説明

減圧弁

【課題】弁体が環状のシール部材を弁ハウジングとの間に介在させてハウジングに摺動可能に嵌合され、背圧室が弁座とは反対側の弁体の端部を臨ませて弁ハウジング内に形成され、弁座よりも下流側の流体圧が背圧室に導入され、弁体には、弁座よりも下流側の流体圧に応じて作動する圧力受動部材が連結される減圧弁において、シート径が大きくなっても、弁体の摺動部の長さを小さく設定することを可能とし、小型化を可能とする。
【解決手段】シール部材35による弁体34のシール径よりも小径であるガイド孔31が、弁体34が同軸に有するガイド部34cを摺動可能に嵌合せしめるようにして弁ハウジングに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧の流体が導入される弁室に臨む弁座に着座可能な弁体が、環状のシール部材を弁ハウジングとの間に介在させて前記弁ハウジングに摺動可能に嵌合され、前記弁室との間が前記シール部材で隔絶された背圧室が前記弁座と反対側の前記弁体の端部を臨ませて前記弁ハウジング内に形成され、前記弁座よりも下流側の流体圧が前記背圧室に導入され、前記弁体には、前記弁座よりも下流側の流体圧に応じて作動する圧力受動部材が連結される減圧弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ところで減圧弁にあっては、弁座の上流側および下流側との間で生じる圧力差によって、弁体に軸方向の力が働く。ここで減圧弁に供給される流体圧が常に一定であれば前記圧力差によって弁体に働く力は一定であり、減圧後の流体圧を一定圧に保つことは可能である。しかるタンクに貯留された流体を減圧弁に供給するような場合には、タンク内の流体残量によって減圧弁への流体供給圧が変動することになる。その場合、タンク内の流体残量(流体供給圧)の変動によって弁座の上流側および下流側との間で生じる圧力差も変動し、弁体に働く力が変動し、減圧後の流体圧も変動してしまう。そこで、弁室に臨む弁座に着座可能な弁体の弁座とは反対側の端部を、弁座よりも下流側の流体圧が導入される背圧室に臨ませ、前記弁室および背圧室間を隔絶する環状のシール部材を弁ハウジングおよび弁体間に介在させることで、流体圧によって弁体に作用する軸方向の力をバランスさせるようにしたCNG用減圧弁が、特許文献1等で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−227859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されたものでは、弁体の弁軸が弁ハウジングに設けられたガイド孔に摺動可能に嵌合され、弁室および背圧室間を隔てる環状のシール部材が前記弁軸の外面およびガイド孔の内面間に介装されている。
【0005】
ところで弁体に作用する軸方向の力をバランスさせるためには、弁体および弁ハウジング間に介装されるシール部材によるシール径と、弁体が弁座に着座したときのシート径とがほぼ同一であることが必要であり、上記特許文献1で開示されたものでも、シール部材によるシール径およびシート径が略同一に設定されている。
【0006】
しかるにCNG用の減圧弁では、上記特許文献1で開示された構成でも問題が生じることはないのであるが、CNGと比べて低圧であるLPG燃料を減圧する減圧弁では、減圧後のLPG燃料を必要量確保するために弁座の直径すなわちシート径を大きく設定する必要がある。この場合、シール径も同様に大きく設定する必要があるが、弁体の倒れおよびかじりが生じないようにするためには、弁体をガイドするガイド孔の直径であるガイド径と、弁体の摺動部の長さとの比(摺動部の長さ/ガイド径)は、ある一定の値以上とすることが一般的であり、上記特許文献1の開示構造をそのまま適用すると、シート径が大きくなるのに応じてガイド径が大きくなるので、摺動部の長さも大きくする必要があり、減圧弁の大型化を招くことになる。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、シート径が大きくなっても、弁体の摺動部の長さを小さく設定することを可能とし、小型化を可能とした減圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、高圧の流体が導入される弁室に臨む弁座に着座可能な弁体が、環状のシール部材を弁ハウジングとの間に介在させて前記弁ハウジングに摺動可能に嵌合され、前記弁室との間が前記シール部材で隔絶された背圧室が前記弁座と反対側の前記弁体の端部を臨ませて前記弁ハウジング内に形成され、前記弁座よりも下流側の流体圧が前記背圧室に導入され、前記弁体には、前記弁座よりも下流側の流体圧に応じて作動する圧力受動部材が連結される減圧弁において、前記シール部材による前記弁体のシール径よりも小径であるガイド孔が、前記弁体が同軸に有するガイド部を摺動可能に嵌合せしめるようにして前記弁ハウジングに設けられることを第1の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、前記弁室とは反対側の端部を閉塞端として有底に形成される前記ガイド孔と、該ガイド孔よりも大径にしてガイド孔の開口端に環状段部を介して連なる収容孔とが、同軸にして前記弁ハウジングに設けられ、前記弁体は、前記環状段部との間に大径背圧室を形成するようにして前記収容孔の内面との間に前記シール部材を介在させつつ前記収容孔に収容される大径部と、前記ガイド孔の閉塞端との間に小径背圧室を形成しつつ前記ガイド孔に摺動可能に嵌合されるガイド部とを備え、大径背圧室および小径背圧室に前記弁座よりも下流側の流体圧が導入されることを第2の特徴とする。
【0010】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、前記弁座よりも下流側の流体圧を前記大径背圧室に導入するための背圧導入通路が前記弁ハウジングに設けられ、前記ガイド部の外面または前記ガイド孔の内面に、前記大径背圧室および前記小径背圧室間を結ぶ連通路を前記ガイド部の外面および前記ガイド孔の内面間に形成する切欠きが設けられることを第3の特徴とする。
【0011】
本発明は、第2または第3の特徴の構成に加えて、前記シール部材が、前記弁体の大径部の外面または前記収容孔の内面に装着されるOリングであることを第4の特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記流体がLPG燃料であることを特徴とする。
【0013】
なお実施の形態のダイヤフラム16が本発明の圧力受動部材に対応する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、弁体の大径部と弁ハウジングとの間に、シール径をシート径とほぼ同一とした環状のシール部材を介在せしめ、大径部よりも小径のガイド部を弁ハウジングのガイド孔に摺動可能に嵌合するので、弁体をガイドするガイド孔の直径であるガイド径と、弁体の摺動部の長さとの比(摺動部の長さ/ガイド径)を確保して弁体の倒れおよびかじりが生じないようにしても、弁体をガイドするガイド孔が小径であるので、摺動部の長さを短く設定することができ、減圧弁の小型化を図ることができる。
【0015】
また本発明の第2の特徴によれば、弁体の大径部を収容孔に収容しつつ収容孔の環状段部および大径部間に大径背圧室を形成し、ガイド孔に摺動可能に嵌合されるガイド部およびガイド孔の閉塞端間に小径背圧室を形成するようにして、背圧室全体をコンパクト化することができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、ガイド部の外面またはガイド孔の内面に切欠きが設けられるだけの簡単な構造で、小径背圧室に、弁座よりも下流側の流体圧を導くことができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、弁体は、その大径部の外面または収容孔の内面に装着されるOリングによってもガイドされ、Oリングおよびガイド孔が、相互間に大径背圧室を介在させて相互に離間して配置されるので、弁体の倒れをより確実に抑制することができる。
【0018】
さらに本発明の第5の特徴によれば、シート径を大きく設定する必要があるLPG燃料用減圧弁であってもガイド部を小さくして、減圧弁を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】LPG燃料用減圧弁の縦断面図であって図2の1−1線に沿う断面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1の3矢示部拡大図である。
【図4】ガス通路カバーおよびボディの分解斜視図である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】加熱流体通路構造を示すための加熱流体カバーを取り外した状態でのボディの斜視図である。
【図7】ガス通路カバーを取り外した状態でのボディの正面図である。
【図8】ダイヤフラムおよび弁軸部の連結構造を示すための図1の8矢示部拡大図である。
【図9】ダイヤフラム組立体の組付け時の状態を示す縦断面図である。
【図10】組立時の状態でのLPG燃料用減圧弁の分解縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図10を参照しながら本発明の実施例1について説明すると、先ず図1において、このLPG燃料用減圧弁は、LPG燃料を減圧してエンジン(図示せず)に供給するためのものであり、弁機構15と、該弁機構15を開閉駆動するためのダイヤフラム16とを備える。
【0022】
弁機構15はボディ17に収容されるものであり、ボディ17と、該ボディ17の一面に締結されるガス通路カバー18と、前記ボディ17の他面に締結される加熱流体通路カバー19と、前記ボディ17に螺合される弁座部材20とで弁ハウジング21が構成され、ボディ17、ガス通路カバー18および加熱流体通路カバー19は複数ずつのボルト22…およびナット23…で共締めされる。
【0023】
図2を併せて参照して、前記ボディ17は、リング状に形成される外周リング部17aと、外周リング部17aの一端面よりも内方に一端が配置されるようにしてボディ17の中央部に配置される中央円筒部17bと、外周リング部17aの一端面よりも内方に一端が配置されるようにして外周リング部17aおよび中央円筒部17b間に配置される中間円筒部17cと、該中間円筒部17cの一端および前記外周リング部17aの中間部間を結ぶ第1環状連結板部17dと、前記中間円筒部17cの他端および前記中央円筒部17bの他端間を結ぶ第2環状連結板部17eとを一体に有し、中間円筒部17cは、その一端側に向かうにつれて大径となるように形成される。
【0024】
弁座部材20は、半径方向内方に張り出す鍔部20aを一端に有して円筒状に形成されており、前記鍔部20aの中央に、弁孔24を中央部に開口させた環状の弁座25が形成される。前記中央円筒部17bには、ボディ17の一面側に一端を開口する有底の弁室形成孔26が同軸に設けられ、弁座部材20は、前記弁室形成孔26の一端側に設けられるねじ孔部27に螺合するようにして該弁室形成孔26の開口端側に嵌入、固定され、弁座部材20の他端部外周には中央円筒部17bの内周に弾発的に接触するOリング28が装着される。而して中央円筒部17b内には、前記弁座部材20の内周および中央円筒部17bの内周で外周が規定されるようにして弁室30が形成されることになり、弁座25は弁室30の一端に臨んで配置される。しかも弁室30は、弁座25の直径よりも大きな内径を有し、弁孔24の軸線を中心とする仮想円に側面を沿わせるようにして弁ハウジング21内に形成される。
【0025】
前記中央円筒部17b内には、一端部が前記弁座25よりも内方に間隔をあけた位置に配置されるようにして小径円筒部17fが同軸に配置され、この小径円筒部17fは中央円筒部17bの他端に一体に連設される。この小径円筒部17fには、前記弁室30とは反対側の端部を閉塞端として有底に形成されるガイド孔31と、該ガイド孔31よりも大径にしてガイド孔31の開口端に環状段部33を介して連なる収容孔32とが同軸に設けられる。
【0026】
前記弁座25に着座可能な弁体34は、一端を前記弁座25に着座させ得る円筒状のシート部材と、該シート部材の中央部を貫通する軸部材とが同軸に結合されて成るものであり、前記収容孔32に収容される大径部34aと、大径部34aよりも小径にして大径部34aの一端から同軸に突出して前記弁孔24を貫通する弁軸部34bと、大径部34aよりも小径にして大径部34aの他端から同軸に突出して前記ガイド孔31に摺動可能に嵌合されるガイド部34cとを有するように構成される。
【0027】
図3において、弁体34の大径部34aの外面および前記収容孔32の内面間には、大径部34aの外面または収容孔32の内面に装着されるようにして環状のシール部材であるOリング35が介装されるものであり、この実施例1では、大径部34aの外周に弾発的に摺接するOリング35が前記収容孔32の内面に装着される。而してガイド部34cの外径およびガイド孔31の内径D1は、前記Oリング35によるシール径D2よりも小径であり、前記シール径D2は、前記弁座25によるシート径D3とほぼ同一に設定される。
【0028】
また弁体34は、ダイヤフラム16に後述の連結構造で連結され、ダイヤフラム16によって軸方向に駆動されるのであるが、ダイヤフラム16の作動に対する弁体34の追従性を高めるために、前記弁体34の大径部34aと、ボディ17における環状段部33との間には、弁体34を前記ダイヤフラム16側に付勢するコイル状のばね53が縮設され、このばね53のセット荷重は、弁体34をダイヤフラム16に追従させるだけのごく小さな値に設定される。
【0029】
前記ボディ17の側面には、図2で示すように、加圧タンクからLPG燃料を導く管路(図示せず)が接続される入口側接続管路部材36が取付けられる。また前記ボディ17の外周部には、前記入口側接続管路部材36に一端を連ならせた入口通路37が略直線状に延びるように設けられる。この入口通路37の他端は、前記ボディ17の側面に取付けられた遮断弁38を介してガス導入通路39に接続されるものであり、該ガス導入通路39は、減圧すべきLPG燃料を弁室30に導くべく、遮断弁38および弁室30間を結んで直線状に延びるようにしてボディ17に設けられる。
【0030】
ところで前記弁室30は、弁孔24の軸線を中心とする仮想円に側面を沿わせるようにして弁ハウジング21内に形成されるものであり、前記ガス導入通路39は、前記仮想円の接線方向で弁室30に開口するようにしてボディ17に設けられ、ガス導入通路39の弁室30への開口端は、弁座25から軸方向に離隔した位置に配置される。
【0031】
図4を併せて参照して、前記ボディ17における中央円筒部17bの外面および中間円筒部17cの内面には、複数ずつのフィン40…,41…が一体に突設されており、前記中央円筒部17bの外面、中間円筒部17cの内面および各フィン40…,41…によってボディ17の一面側に開口するガス通路溝42が形成され、このガス通路溝42がガス通路カバー18で覆われることによって前記弁機構15を周囲から覆うガス通路43が形成されることになり、複数の前記フィン40…,41…によりガス通路43は屈曲した迷路状に形成されることになる。
【0032】
しかも前記フィン40…,41…は、ガス通路溝42の一部を構成するようにして相互に対向する2つの壁面、すなわち中央円筒部17bの外壁面および中間円筒部17cの内壁面に突設されるものであるが、ガス通路43の始点PSから終点PEまでのLPG燃料の主流れ方向44に対して上流側に指向するように傾斜しつつ前記主流れ方向44に交互に配置されるようにして中央円筒部17bの外壁面および中間円筒部17cの内壁面に突設される。
【0033】
しかも各フィン40…,41…の基端部は、彎曲部40a…,41a…を有して前記中央円筒部17bの外壁面および中間円筒部17cの内壁面に突設されるものであり、それにより、各フィン40…,41…の基端部は先端部に比べて太くなるようにして前記中央円筒部17bの外壁面および中間円筒部17cの内壁面に一体に連設される。
【0034】
また前記ガス通路溝42は、そのガス通路壁42の相互に対向する一対の側壁すなわち中央円筒部17bの外壁および中間円筒部17cの内壁間の間隔が前記ガス通路カバー18側に向かうにつれて大きくなるように傾斜させて前記ボディ17に設けられるものであり、LPG燃料用減圧弁は、図1で示すように、弁機構15の軸線を水平とした姿勢で車両に搭載される。
【0035】
ところで前記ガス通路カバー18は、前記ボディ17の外周リング部17aの一面との間に環状のシール部材45を介在せしめるリング状の外周平板部18aと、前記外周リング部17aに嵌合されるようにして一端部が外周平板部18aの内周縁に連なる外側円筒部18bと、前記ボディ17の第1環状連結板部17dに近接対向するようにして外側円筒部18bの他端に外周が連なるリング状の中間平板部18cと、該中間平板部18cの内周に一端を連ならせるとともに前記ボディ17における中央円筒部17bの一端を嵌入せしめる内側円筒部18dと、前記中間円筒部17cの一端に間隔をあけて対向するようにして前記内側円筒部18dの他端に連なる円板状の中央平板部18eとを一体に有する。
【0036】
図4で示すように、前記ガス通路カバー18には、ガス通路溝42の内壁すなわち前記中央円筒部17bの外壁面および中間円筒部17cの内壁面に沿うようにしてガス通路溝42内に突入する突壁46が、前記中間平板部18cの内面から突出するようにして一体に設けられる。而してガス通路カバー18は、型成形されるものであり、その型成形時に前記突壁46が一体成形される。
【0037】
前記ガス通路カバー18の中央平板部18eおよび前記ボディ17の中央円筒部17b間には、前記弁孔24に通じる減圧室48が形成されており、この減圧室48を前記ガス通路43に通じさせるための連通路49を、ガス通路カバー18および前記中央円筒部17b間に形成するための切欠き50が、前記中央円筒部17bの一端部外周に設けられる。すなわち前記ガス通路43の始端PSは、前記連通路49のガス通路43への開口端である。
【0038】
減圧された後のLPG燃料をエンジン側に導く管路(図示せず)を接続する出口側接続管路部材51が、前記ガス通路43の周方向で前記始点PSに略対応して設定される終点PEで前記ガス通路43に連なるようにして前記ボディ17の側面に取付けられ、前記終点PEに近接した位置でボディ17の側面にはリリーフ弁52が取付けられる。
【0039】
ところで弁体34の大径部34aと、該大径部34aを収容せしめた収容孔32の内端の環状段部33との間で前記中央円筒部17b内には大径背圧室55が形成されており、前記弁座25よりも下流側のLPG燃料圧を前記大径背圧室55に導入するための背圧導入通路57が弁ハウジング21のボディ17に設けられる。また前記ガイド孔31の閉塞端および前記ガイド部34cとの間には小径背圧室56が形成されるのであるが、図5で明示するように、前記ガイド部34cの外面または前記ガイド孔31の内面に、前記大径背圧室55および前記小径背圧室56間を結ぶ連通路58を前記ガイド部34cの外面および前記ガイド孔31の内面間に形成する切欠き59が設けられ、この実施例1では、大径背圧室55および小径背圧室56間を結ぶ連通路58をガイド孔31の内面との間に形成する切欠き59が、軸方向に延びるようにしてガイド部34cの外面に設けられる。
【0040】
前記弁機構15において、弁室30から弁孔24側に流通するLPG燃料は弁ハウジング21に設けられる第1の加熱手段60で加熱されるものであり、この第1の加熱手段60は、前記弁室30を囲むようにして弁ハウジング21に設けられる加熱流体通路61を、加熱流体たとえばエンジンで温められたエンジン冷却水が流通するように構成されて成るものである。
【0041】
図6を併せて参照して、前記加熱流体通路61は、前記ボディ17の他面に開口するようにして前記ボディ17に設けられる加熱流体通路溝62が、ボディ17の外周リング部17aとの間に環状のシール部材63を介在させてボディ17に締結される加熱流体通路カバー19で覆われて成るものであり、ガス通路43においてフィン40…,41…が突設される一対の壁面のそれぞれが加熱流体通路61で覆われるように、前記加熱流体通路溝62が形成され、前記各フィン40…,41…内にも加熱流体通路61の一部が形成される。さらに前記加熱流体通路61は、前記弁室30を前記弁座25とは反対側からも囲むように形成される。
【0042】
またボディ17には、エンジンからのエンジン冷却水を導く管路(図示せず)が接続される入口管64が加熱流体通路61に通じるようにして取付けられ、加熱流体通路61からのエンジン冷却水を導出するための出口管65が加熱流体通路61に通じるようにして取付けられており、入口管64から加熱流体通路61に導入されたエンジン冷却水は、図2の破線矢印で示すよう加熱流体通路61内を略360度の範囲にわたって流通し、前記出口管65から導出される。また前記ボディ17には、加熱流体通路61内を流通するエンジン冷却水の温度を検出する水温センサ66が取付けられる。
【0043】
前記ガス通路43を流通するLPG燃料は、第2の加熱手段である電気ヒータ68によっても加熱されるものであり、この電気ヒータ68は、ガス通路43に沿うような環状配置で弁ハウジング21に配設されるものであり、この実施例1では、ガス通路カバー18において、外側円筒部18bおよび内側円筒部18d間に形成されてボディ17とは反対側に開放した環状の凹部69に収容されるようにして電気ヒータ68がガス通路カバー18の外面に配設される。而して前記加熱流体通路61は、少なくともその一部で前記ガス通路43を前記電気ヒータ68との間に挟むようにして前記弁ハウジング21に設けられる。
【0044】
図7を併せて参照して、前記電気ヒータ68は、複数のPTC素子70…を電極71…間に挟んで構成されるようにしてホルダ72に保持されるものであり、このホルダ72が前記凹部69に収容される。而してボディ17、ガス通路カバー18および加熱流体通路カバー19をボルト22…とともに共締めするナット23…とガス通路カバー18との間にウエーブワッシャ73が挟まれており、前記凹部69内の前記ホルダ72にウエーブワッシャ73が当接することでホルダ72すなわち電気ヒータ68がガス通路カバー18の外面に固定される。
【0045】
しかも複数の前記PTC素子70…は、ガス通路43に沿うように環状に配置されており、前記弁機構15の軸線方向から見たときに、電気ヒータ68の前記ガス通路43と重なる部位がガス通路43と重ならない部位よりも広くなるように電気ヒータ68がガス通路カバー18の外面に配設される。
【0046】
図8を併せて参照して、前記ダイヤフラム16は、少なくともその周縁部および中央部の板厚を自然な状態では一定とした円板状のゴム板から成るものであり、この実施例1ではダイヤフラム16の全体が自然な状態では板厚を一定とした円板状に形成される。該ダイヤフラム16の周縁部は、前記ガス通路カバー18の中央平板部18eに複数のボルト76…で締結されるダイヤフラムフランジ77と、ダイヤフラムフランジ77にかしめ結合される椀状のダイヤフラムカバー78との間に挟持されるものであり、ダイヤフラムフランジ77およびダイヤフラム16間には、前記ガス通路カバー18の中央平板部18eおよび前記ダイヤフラムフランジ77に設けられる圧力導入孔75を介して減圧室48の圧力が導入される圧力作用室79がダイヤフラム16の一面を臨ませるようにして形成され、ダイヤフラム16およびダイヤフラムカバー78間にはダイヤフラム16の他面を臨ませるばね室80が形成され、ダイヤフラムカバー78およびダイヤフラム16間には、コイル状の第1ばね81と、ばね荷重を調節可能としたコイル状の第2ばね82とが縮設される。
【0047】
ダイヤフラムカバー78は、ダイヤフラム16とは反対側の端部を閉塞端とした有底円筒部78aと、該有底円筒部78aの開口端から半径方向外方に張り出す鍔部78bと、該鍔部78bの外周に連設されてダイヤフラムフランジ77側に延びる円筒状の筒部78cとを一体に有するようにして薄肉金属のプレス成形により椀状に形成される。
【0048】
ところで前記ダイヤフラムカバー78の筒部78cは、前記ダイヤフラムフランジ77の外周に当接するものであり、この筒部78cの先端部は、前記ダイヤフラムフランジ77の外周に係合する係合部78dを形成するように半径方向内方にかしめられる。すなわちダイヤフラム16の周縁部を前記ダイヤフラムフランジ77の外周部および前記鍔部78b間に圧縮して挟むようにして、ダイヤフラムカバー78における前記筒部78cがダイヤフラムフランジ77に固定される。
【0049】
前記ダイヤフラム16の圧力作用室79に臨む面の中央部にはリング状の第1リテーナ83が当接され、前記ダイヤフラム16のばね室80に臨む面の中央部には、前記ダイヤフラム16の中央部を第1リテーナ83との間に挟むリング状の第2リテーナ84が当接される。
【0050】
第1リテーナ83は、ダイヤフラムロッド85に一体に設けられる。このダイヤフラムロッド85は、一端を閉じるとともに弁機構15側の他端を開放した形状の有底円筒部85aと、該有底円筒部85aの一端閉塞部から半径方向外方に張り出す前記第1リテーナ83と、前記有底円筒部85aの一端閉塞部中央に同軸に連なる軸部85bとを一体に有するものであり、有底円筒部85aよりも小径である前記軸部85bは、ダイヤフラム16の中央部に設けられる中央孔87に挿通される。
【0051】
図9において、前記ばね室80側に突出したダイヤフラムロッド85の一端部すなわち軸部85bの一端部はかしめ治具88によってかしめられ、そのかしめによって形成される係合部89およびダイヤフラム16の他面間に、少なくとも第2リテーナ84が挟まれ、この実施例1では第2リテーナ84およびばね受け部材86が前記係合部89およびダイヤフラム16間に挟まれる。
【0052】
而してダイヤフラムロッド85の一端をかしめることで、第1リテーナ83を一体に有するダイヤフラムロッド85、ダイヤフラム16、第2リテーナ84およびばね受け部材86を含むダイヤフラム組立体90が構成される。
【0053】
しかも金属製である第1および第2リテーナ83、84は、ダイヤフラム16の中央部に設けられた中心孔87内で直接または金属製のワッシャを介して当接されるものであり、この実施例1では、第1リテーナ83の一部が前記中心孔87内に配置され、第2リテーナ84に直接当接される。
【0054】
また前記ダイヤフラム16の内周縁部の板厚は自然な状態では一定であり、第1および第2リテーナ83,84間の間隔のうち最小間隔となる部分が最大間隔となる部分よりもダイヤフラム16の半径方向外方に位置するように、第1リテーナ83のダイヤフラム16に臨む面は、ダイヤフラム16の半径方向外方に向かうにつれて第2リテーナ84に近づくように、角度αで傾斜して形成される。
【0055】
さらに第1リテーナ83および第2リテーナ84のダイヤフラム16側の面の少なくとも一方、この実施例1では第1リテーナ83のダイヤフラム16側の面に断面形状を略V字形とした複数の溝91…がダイヤフラム16の一部を食い込ませるようにして形成される。
【0056】
前記ダイヤフラムロッド85の有底円筒部85aは、ダイヤフラムフランジ77の中央部に設けられた貫通孔97に軸方向移動可能に挿入されるものであり、貫通孔97の内面には前記有底円筒部85aの外面に弾発的に摺接するOリング98が装着される。またダイヤフラムフランジ77にボルト76…で取付けられるガス通路カバー18の中央平板部18eには、前記有底円筒部85aを挿入せしめる貫通孔99が前記貫通孔97に同軸に連なるようにして設けられる。また前記圧力導入孔75および前記貫通孔97を囲むようにしてOリング101がガス通路カバー18の中央平板部18eおよびダイヤフラムフランジ77間に介装される。
【0057】
図1に注目して、第1ばね81はダイヤフラムカバー78における有底円筒部78aの閉塞端および第2リテーナ84間に縮設されるようにしてばね室80に収容される。また前記有底円筒部78aの閉塞端中央部には支持筒92が固定されており、ダイヤフラムカバー78の外方から回転操作することを可能とした調整ねじ93がその一端をばね室80内に突入するようにして前記支持筒92に螺合されており、調整ねじ93の一端を閉塞端中央部に当接させて前記支持筒92を覆う有底円筒状のばね受け部材94と、前記ばね受け部材84との間に第2ばね82が縮設される。
【0058】
而して減圧弁の組立時には、図10で示すように、前記ダイヤフラム16、前記ダイヤフラム16との間にばね室80を形成するダイヤフラムカバー78、前記圧力作用室79を前記ダイヤフラム16との間に形成するとともに前記ダイヤフラム16の周縁部を前記ダイヤフラムカバー78との間に挟持するようにしてダイヤフラムカバー78に結合されるダイヤフラムフランジ77、前記ダイヤフラムカバー78および前記ダイヤフラム16間に介設される第1および第2ばね81,82、ならびに前記ダイヤフラム16の中央部に連結されるとともにダイヤフラムフランジ77に挿通されるダイヤフラムロッド85を少なくとも備えるダイヤフラム集合体96を予め準備する。この実施例1では、第1リテーナ83を一体に有するダイヤフラムロッド85、ダイヤフラム16、第2リテーナ84およびばね受け部材86を含んでダイヤフラム組立体90が構成されており、ダイヤフラム集合体96はダイヤフラム組立体90を含むように構成される。
【0059】
一方、少なくとも前記弁機構15が前記ボディ17に収容されて成るボディ集合体100が準備されており、ダイヤフラムフランジ77および前記ボディ17、ならびに前記ダイヤフラムロッド85および前記弁軸部34bを直接もしくは他の部材を介在させて連結するようにして前記ダイヤフラム集合体96および前記ボディ集合体100を相互に組付けて減圧弁が組立てられる。而してこの実施例1では、前記ダイヤフラム集合体96のダイヤフラムフランジ77に、電気ヒータ68が組付けられた状態にあるガス通路カバー18がボルト76…で取付けられ、ガス通路カバー18および加熱流体通路カバー19がボルト22…およびナット23…でボディ17に組付けられ、前記弁機構15の弁軸部34bがダイヤフラムロッド85に同軸に連結される。
【0060】
前記弁軸部34bおよび前記ダイヤフラムロッド85の一方、この実施例では弁軸部34bに挿入部103が設けられ、前記弁軸部34bおよび前記ダイヤフラムロッド85の他方、この実施例1ではダイヤフラムロッド85に前記挿入部103を挿入せしめる有底の挿入孔104が設けられ、挿入部103の外周および挿入孔104の内周間の弾発係合部105で弁軸部34bおよびダイヤフラムロッド85が連結される。
【0061】
前記弁軸部34bの先端にはT字状の係合部109が設けられており、その係合部109に係合するT字状の係合溝110が挿入部103に設けられ、係合部109を係合溝110に係合することで弁軸部34bの先端に挿入部103が設けられることになる。しかも挿入部103は、先端側の小径部103aと、後端側の大径部103bとが前方に臨む環状の段部103cを相互間に形成して同軸に連なって成る。
【0062】
一方、前記挿入孔104は、前記ダイヤフラムロッド85における有底円筒部85aに同軸に設けられるものであり、段付きである前記挿入部103に対応して小径孔部104aおよび大径孔部104bが同軸に連なって成り、小径孔部104aおよび大径孔部104b間に、前記挿入部103bの段部103cに当接して挿入部103の挿入孔104への挿入端を規制する環状の段部104cが形成される。
【0063】
前記弾発係合部105は、前記挿入部103における小径部103aの外周ならびに前記挿入孔104における小径孔部104aの内周にそれぞれ設けられるリング状の係合溝106,107と、半径方向の弾発的な拡縮を可能として前記両係合溝106,107に係合するC型の係合リング108とから成る。
【0064】
次にこの実施例1の作用について説明すると、弁室30に臨む弁座25に着座可能な弁体34が、Oリング35を弁ハウジング21のボディ17との間に介在させて前記ボディ17に摺動可能に嵌合され、前記弁室30との間が前記Oリング35で隔絶された大径背圧室55および小径背圧室56が弁体34の他端側を臨ませてボディ17内に形成され、弁座25よりも下流側であるガス通路43のLPG燃料の圧力が大径背圧室55および小径背圧室56に導入されるものであり、前記Oリング35による前記弁体34のシール径D2よりも小径であるガイド孔31が、弁体34に同軸に設けられたガイド部34cを摺動可能に嵌合せしめるようにして前記ボディ17に設けられる。したがって弁体34をガイドするガイド孔31の直径であるガイド径D1と、弁体34の摺動部の長さとの比(摺動部の長さ/ガイド径)を確保して弁体34の倒れおよびかじりが生じないようにしても、弁体34をガイドするガイド孔31が小径であるので、摺動部の長さを短く設定することができ、減圧弁の小型化を図ることができる。またシート径を大きく設定する必要があるLPG燃料用減圧弁であってもガイド部34cを小さくして減圧弁を小型化することができる。
【0065】
また弁室30とは反対側の端部を閉塞端として有底に形成される前記ガイド孔31と、該ガイド孔31よりも大径にしてガイド孔31の開口端に環状段部33を介して連なる収容孔32とが、同軸にして前記弁ハウジング21のボディ17に設けられ、前記弁体34は、前記環状段部33との間に大径背圧室55を形成するようにして前記収容孔32の内面との間に前記Oリング35を介在させつつ前記収容孔32に収容される大径部34aと、前記ガイド孔31の閉塞端との間に小径背圧室56を形成しつつ前記ガイド孔31に摺動可能に嵌合されるガイド部34cとを備え、大径背圧室55および小径背圧室56に弁座25よりも下流側であるガス通路43のLPG燃料の圧力が導入されるので、大径背圧室55および小径背圧室56から成る背圧室全体をコンパクト化することができる。
【0066】
またガス通路43内のLPG燃料の圧力を前記大径背圧室55に導入するための背圧導入通路57が弁ハウジング21のボディ17に設けられ、前記ガイド部34cの外面に、前記大径背圧室55および前記小径背圧室56間を結ぶ連通路58を前記ガイド孔31の内面との間に形成する切欠き59が前記ガイド部34cの外面に設けられるので、ガイド部34cの外面に切欠き59が設けられるだけの簡単な構造で、小径背圧室56に弁座25よりも下流側の流体圧を導くことができる。
【0067】
ところで弁体34はその大径部34aおよびボディ17間に介在するOリング35によってもガイドされるものであり、Oリング35およびガイド孔31が、相互間に大径背圧室55を介在させて相互に離間して配置されるので、弁体34の倒れをより確実に抑制することができる。
【0068】
ところで弁機構15の弁室30は、その側面を弁孔24の軸線を中心とする仮想円に沿わせるようにして弁ハウジング21に形成されており、弁室30から弁孔24側に流通するガスを加熱する第1の加熱手段60が弁ハウジング21に設けられており、減圧すべきLPG燃料を弁室30に導入するガス導入通路39が、前記仮想円の接線方向で直線状に延びるとともに弁座25から軸方向に離隔した位置で弁室30に開口するようにして弁ハウジング21のボディ17に設けられるので、ガス導入通路39から弁室30内に導入されるLPG燃料は、弁室30内で旋回流を形成しながら弁孔24側に流通することになり、旋回流によって生じる遠心力でLPG燃料が弁室30の内周面に確実に接触しつつ弁孔24側に流通することになり、弁室30の壁面へのLPG燃料の接触面積を増大して弁室30でのLPG燃料への伝熱効率を高めることができる。
【0069】
また弁室30が弁座25の直径よりも大きな内径を有するように形成されるので、弁室内30での旋回流によって生じる遠心力でLPG燃料中の液体成分が弁室30内で壁面寄りの部分を集中して流れ、LPG燃料の気体成分が弁室30の中心側を集中して流れるようになり、LPG燃料の気体成分を優先させて弁孔24側に流通させることができる。
【0070】
しかも第1の加熱手段60が、前記弁室30を囲むようにして前記弁ハウジング21に設けられる加熱流体通路62を加熱流体であるエンジン冷却水が流通するように構成されて成るので、横断面円形である弁室30の内周壁面を効果的に加熱して、弁室30内でのガスへの伝熱効率をより高めることができる。また前記加熱流体通路62は、弁座25と反対側から前記弁室30を囲む部分を有して弁ハウジング21に設けられるので、弁室30内でのLPG燃料への伝熱効率をより一層高めることができる。
【0071】
ところで弁ハウジング21は、ボディ17と、弁座25および弁孔24を有して前記ボディ17に固定される弁座部材20とを備えており、ボディ17にはその一面に開口する有底の弁室形成孔26が設けられ、前記弁室30を前記ボディ17と協働して形成する前記弁座部材20が前記弁室形成孔26の開口端側で前記ボディ17に固定され、前記弁室形成孔26の側面および底面を囲む加熱流体通路溝62が前記ボディ17の他面に開口するようにして該ボディ17に設けられ、加熱流体通路溝62の開口端を塞いで前記加熱流体通路61を形成する加熱流体通路カバー19が、ボディ17の他面に締結されるので、弁室30の一部を形成するようにしてボディ17に設けられる弁室形成孔26の周囲に、加熱流体通路61を容易に形成することができる。
【0072】
弁ハウジング21内に形成されるガス通路43は、弁ハウジング21のボディ17に設けられる複数のフィン40…,41…で迷路状に屈曲されるのであるが、ガス通路43の一部を構成するようにして相互に対向する2つの壁面すなわちボディ17における中央円筒部17bの外面および中間円筒部17cの内面には、ガス通路43の始点PSから終点PEまでのLPG燃料の主流れ方向44に対して上流側に指向するように傾斜しつつ前記主流れ方向44に交互に配置されるようにして複数ずつのフィン40…,41…が一体に突設されるので、ガス通路43を迷路状に屈曲させるフィン40…,41…の長さを長くして各フィンフィン40…,41…の放熱面積を広くすることが可能となるとともに、ガス通路43内でのLPG燃料の流通経路を長くすることが可能となり、LPG燃料への伝熱効率をより高めることができる。しかも各フィンフィン40…,41…が、ガス通路43の始点PSから終点PEまでのLPG燃料の主流れ方向44に対して上流側に指向するものであるので、LPG燃料のうち比重のい高い液体成分が各フィン40…,41…の基端部で捕捉され易くなり、液体成分を優先的に加熱してLPG燃料が気液混合状態となるのを抑制することができる。
【0073】
しかも複数の前記フィン40…,41…の基端部が、それらのフィン40…,41…の先端部に比べて太くなるようにしてボディ17における中央円筒部17bの外面および中間円筒部17cの内面に一体に連設されるので、冷たいLPG燃料でフィン40…,41…自体が冷えてしまうことを抑制し、伝熱効率の向上に寄与することができる。
【0074】
しかもガス通路43の一部を構成するようにして相互に対向する2つの壁面のそれぞれが第1の加熱手段60で覆われるのでガス通路43の両側に加熱手段60が存在することで、伝熱効率をより一層高めることができる。
【0075】
また第1の加熱手段60は、弁ハウジング21に設けられる加熱流体通路61をエンジン冷却水が流通するように構成されて成り、前記フィン40…,41…内に前記加熱流体通路61の一部が形成されるので、フィン40…,41…内にもエンジン冷却水が入り込むようにして、伝熱効率をさらに高めることができる。
【0076】
またガス通路43は、弁ハウジング21の一部を構成するボディ17の一面に開口するようにして該ボディ17に設けられるガス通路溝42が、弁ハウジング21の一部を構成するようにして前記ボディ17の一面に締結されるガス通路カバー18で覆われて成り、加熱流体通路61は、ボディ17の他面に開口するようにして該ボディ17に設けられる加熱流体通路溝62が弁ハウジング21の一部を構成するようにして前記ボディ17に締結される加熱流体通路カバー19で覆われて成るので、ガス通路43および加熱流体通路61を容易に形成することができる。
【0077】
さらに弁ハウジング21に、LPG燃料を減圧して前記ガス通路43に導入するための弁機構15が収容されるとともに、該弁機構15で減圧されたLPG燃料を流通させるようにして前記ガス通路43が設けられ、該ガス通路43が前記弁機構15を周囲から覆うように配置されるので、LPG燃料を減圧するための減圧弁に加熱装置をコンパクトに組み込むことができる。
【0078】
ボディ17の一面に開口するようにして設けられるガス通路溝42の開口端を閉じてガス通路43を形成するガス通路カバー18に、ガス通路溝42の内壁に沿うようにして前記ガス通路溝42内に突入するようにしてガス通路カバー18の内面から突出する突壁46が一体に設けられるので、ガス通路カバー18をボディ17に締結した状態では、迷路状に屈曲したガス通路溝42内に、そのガス通路壁42の内壁に沿う突壁46が突入することになり、ボディ17およびガス通路カバー18間を通ってLPG燃料がショートカットしてしまうことを防止することができ、複雑な形状のシール部材を用いることがないので、シール部材の材料コストがかかることはなく、またシール部材の組付け工程が新たに発生することもない。
【0079】
またガス通路カバー18は型成形されるものであり、その型成形時に前記突壁46が一体成形されるので、突壁46の成形コストを安く抑えることができる。
【0080】
またガス通路溝42を迷路状に屈曲させる複数のフィン40…,41…が前記ボディ17に一体に設けられるのであるが、ガス通路溝42を迷路状に屈曲させるためのフィン40…,41…およびガス通路カバー18間を通ってLPG燃料がショートカットしてしまうことを突壁46で防止することができ、フィン40…,41…によってボディ17およびLPG燃料の接触面積を増大し、フィン40…,41…本来の機能を充分に発揮させることができる。
【0081】
また前記ガス通路43を流通するLPG燃料を加熱するための電気ヒータ68がガス通路43の外方でガス通路カバー18の外面に配設されるので、電気ヒータ68からガス通路カバー18を介してガス通路43のLPG燃料に熱が伝わることになり、突壁46によって放熱面積が増大するので、伝熱効率を高めることができる。
【0082】
前記ガス通路43は弁機構15を環状に囲むようにして弁ハウジング21に設けられるものであり、電気ヒータ68は、ガス通路43に沿うような環状配置で弁ハウジング21に配設されるので、ガス通路43を環状として通路長を長くしつつLPG燃料への電気ヒータ68からの伝熱効率を高めることができる。
【0083】
しかも電気ヒータ68は、ボディ17との間にガス通路43を形成して該ボディ17に締結されるガス通路カバー18に配設されるので、ガス通路43に近接させて電気ヒータ68を配置して伝熱効率を高めることが可能である。また電気ヒータ68がガス通路43内に配置される場合には、ガス通路43の通路形状が複雑であると、それに合わせて電気ヒータ68の形状も複雑にする必要があり、電気ヒータ68のためのシール構造も必要となるのであるが、電気ヒータ68がガス通路カバー18の外面に配設されることによって電気ヒータ68の配置が容易となるだけでなく、シール部材も不要となる。しかもガス通路カバー18を薄板で形成することによってガス通路43内への熱の伝わりを速くすることができる。
【0084】
また電気ヒータ68が、弁機構15の軸線方向で見たときに前記ガス通路43と重なる部位の方が重ならない部位よりも広くなるようにして、前記ガス通路カバー18の外面に配設されるので、ガス通路43を流通するLPG燃料への電気ヒータ68からの伝熱効率を高めることができる。
【0085】
しかもガス通路43を形成すべくボディ17に設けられるガス通路溝42が、その両側壁を、それらの側壁間の間隔をガス通路カバー18に近接するにつれて大きくなるように傾斜させて前記ボディ17に設けられ、弁ハウジング21が、弁機構15の軸線方向を水平とした姿勢で車両に搭載されるので、ガス通路43内を流通するLPG燃料の液体成分がガス通路溝42の側壁を伝わってガス通路カバー18側に偏ることになり、ガス通路カバー18との間の熱交換が促進され、液体成分の加熱、気化が優先的に行われるようになる。
【0086】
またガス通路43に沿うように配置されるとともに少なくともその一部で電気ヒータ68との間にガス通路43を挟むようにして加熱流体通路61が弁ハウジング21に設けられるので、電気ヒータ68をガス通路43に近接して配置するようにしてLPG燃料を速やかに加熱することができる。これに対し、ガス通路43との間に加熱流体通路61を挟んで電気ヒータ68を配置した場合には、電気ヒータ68からの熱が加熱流体通路61を流通するエンジン冷却水に奪われ、LPG燃料を電気ヒータ68で速やかに加熱することが困難である。
【0087】
また弁機構15の弁軸部34bに連結されるダイヤフラム16の外周縁は、弁ハウジング21とは別部材であるダイヤフラムフランジ77と、該ダイヤフラムフランジ77の外周に結合されるダイヤフラムカバー78とで挟持されるものであり、弁機構15の軸線方向で電気ヒータ68がダイヤフラムフランジ77および弁ハウジング21間に配置されるので、ダイヤフラム16の受圧面積を、LPG燃料の流量変化に対する制御圧の変化を少なくして調圧性能を高めるために大きくすると、弁ハウジング21およびダイヤフラムフランジ間に電気ヒータ68が前記ダイヤフラムフランジ77と重なるように配置される構成となるのであるが、ダイヤフラムフランジ77を弁ハウジング21とは別部材とすることにより、電気ヒータ68の弁ハウジング21への取付けが容易となる。
【0088】
さらに電気ヒータ68が、PTC素子70…を電極71…間に挟んで構成されるものであり、PTC素子70…は自己温度制御性を有するので、電気ヒータ68を一定温度に制御することが容易となる。しかも電気ヒータ68が、複数のPTC素子70…を前記ガス通路43に沿うように環状に配置して構成されるので、低コストで電気ヒータ68の環状配置が可能となる。すなわち1つのPTC素子を環状に形成すると製造コストが高くなるのに対し、単純化された形状である複数のPTC素子を用いることができるので、低コストで電気ヒータ68の環状配置が可能となるのである。
【0089】
ボディ17に収容される弁機構15の弁体34が備える弁軸部34bは、圧力作用室79に一面を臨ませるとともに他面をばね室80に臨ませるダイヤフラム16の中央部に連結され、ばね室80には圧力作用室79の容積を縮小する側にダイヤフラム16を付勢するばね力を発揮する第1および第2ばね81,82が収容されるのであるが、ダイヤフラム16の一面に当接する第1リテーナ83を一体に有するダイヤフラムロッド85が前記ダイヤフラム16の中央部に挿通されるとともに前記ばね室80側で前記ダイヤフラムロッド85の一端部をかしめて形成される係合部89および前記ダイヤフラム16の他面間に少なくとも第2リテーナ84、この実施例1では第2リテーナ84およびばねうけ部材86が挟持されることで、第1リテーナ83を一体に有するダイヤフラムロッド85、ダイヤフラム16、第2リテーナ84およびばねうけ部材86を含むダイヤフラム組立体90が構成され、このダイヤフラム組立体90の前記ダイヤフラムロッド85が前記弁軸部34bに連結されるので、従来のナットを用いた組付けに比べて生産性を高めることができる。しかもダイヤフラムロッド85を治具によって保持することができるのでかしめ工法が成立するものであり、それに対し、従来のように弁軸に各部品を積み上げる方式のものでは、弁軸がボディ側に組み込まれた状態にあるので、弁軸側を治具で保持することが困難であり、そのままかしめを行うと、減圧弁の構成部品にかしめ圧力が作用し、前記構成部品の変形を招く可能性がある。
【0090】
また弁軸部34bおよびダイヤフラムロッド85の一方である弁軸部34bに挿入部103が設けられ、該挿入部103を挿入せしめる挿入孔104が、前記弁軸部34bおよび前記ダイヤフラムロッド85の他方であるダイヤフラムロッド85に設けられ、前記挿入部103の外周および前記挿入孔104の内周間の弾発係合部105で弁軸部34bおよびダイヤフラムロッド85が連結されるので、挿入部103を挿入孔104に挿入するだけの簡単な操作でダイヤフラムロッド85に弁軸部34bを同軸に連結することができ、減圧弁の組立が容易となる。
【0091】
また弾発係合部105が、挿入部103の外周および前記挿入孔104の内周にそれぞれ設けられるリング状の係合溝106,107と、半径方向の弾発的な拡縮を可能として前記両係合溝106,107に係合する係合リング108とから成るものであり、係合リング108を用いた小型かつ簡易な構造で、弁軸部34bおよびダイヤフラムロッド85を速やかにかつ強固に連結することができる。
【0092】
ところで第1および第2リテーナ83,84はともに金属製であり、第1および第2リテーナ83,84が、ダイヤフラムロッド85を挿通せしめるべく前記ダイヤフラム16の中央部に設けられた中心孔87内で直接または金属製のワッシャを介して当接されるので、熱等の影響によってダイヤフラム16が劣化し、ダイヤフラム16の弾発力が弱くなっても、第1および第2リテーナ83,84間の間隔が変化することはなく、ダイヤフラムロッド85のダイヤフラム16の中央部への連結が確実に維持される。またダイヤフラム16と、第1および第2リテーナ83,84との間のシール性および耐抜け性を確保するために、第1および第2リテーナ83,84間の寸法を適切な値に設定し、第1および第2リテーナ83,84によるダイヤフラム16の圧縮代を適切な値に管理する必要があるが、かしめを用いても金属同士の当接によって高い精度で第1および第2リテーナ83,84間の間隔を設定することができ、シール性および耐抜け性において高い信頼性を得ることができる。金属同士の当接がない場合には、圧縮率の管理はかしめ荷重の設定のみで行わねばならず、かしめ荷重はピンポイントに設定する必要があり、適切なかしめ荷重を見いだすためには様々な荷重でかしめを行い、圧縮率をその都度測定する数増し試験等を行う必要が生じる。またかしめ後には圧縮率を直接測定することができない。したがって最適なかしめ荷重を設定するためには多くの試験用ワークが必要となるとともに煩雑な作業が必要であり、開発コストの増大を招くことになる。
【0093】
またダイヤフラム16の内周縁部の板厚は、自然な状態では一定であり、第1および第2リテーナ83,84間の間隔のうち最小間隔となる部分が最大間隔となる部分よりもダイヤフラム16の半径方向外方に位置するので、ダイヤフラム16の内周部に半径方向外方に向けての引っ張り荷重が作用したときに、ダイヤフラム16のうち最小間隔の部分よりも半径方向内方にある部分が第1および第2リテーナ83,84間の最小間隔部位を通過するには圧縮されることが必要であり、フラット形状の廉価なダイヤフラム16を用いても、ダイヤフラム16の耐抜け荷重の向上を図ることができる。
【0094】
さらに第1リテーナ83および第2リテーナ84のダイヤフラム16側の面の少なくとも一方、この実施例1では、第1リテーナ83のダイヤフラム16に臨む面に、断面形状を略V字形とした複数の溝91…がダイヤフラム16の一部を食い込ませるようにして形成されるので、V字形の溝91…にダイヤフラム16の一部を食い込ませることで、ダイヤフラム16のシール性および耐抜け荷重を高めることができる。
【0095】
ところで減圧弁の組立時には、前記ダイヤフラム16、前記ダイヤフラム16との間にばね室80を形成するダイヤフラムカバー78、前記圧力作用室79を前記ダイヤフラム16との間に形成するとともに前記ダイヤフラム16の周縁部を前記ダイヤフラムカバー78との間に挟持するようにしてダイヤフラムカバー78に結合されるダイヤフラムフランジ77、前記ダイヤフラムカバー78および前記ダイヤフラム16間に介設される第1および第2ばね81,82、ならびに前記ダイヤフラム16の中央部に連結されるとともにダイヤフラムフランジ77に挿通されるダイヤフラムロッド85を少なくとも備えるダイヤフラム集合体96を予め準備するとともに、少なくとも弁機構15が前記ボディ17に収容されて成るボディ集合体100を予め準備し、ダイヤフラムフランジ77および前記ボディ17、ならびに前記ダイヤフラムロッド85および前記弁軸部34bを直接もしくは他の部材を介在させて連結するようにして前記ダイヤフラム集合体96および前記ボディ集合体100を相互に組付けて減圧弁を組立てるものであり、この実施例1では、前記ダイヤフラム集合体96のダイヤフラムフランジ77に、電気ヒータ68が組付けられた状態にあるガス通路カバー18がボルト76…で取付けられ、ガス通路カバー18および加熱流体通路カバー19がボルト22…およびナット23…でボディ17に組付けられ、前記弁機構15の弁軸部34bがダイヤフラムロッド85に同軸に連結される。
【0096】
したがって減圧弁の組立時の制約が少なく、設計自由度を増大して生産性を高めることができる。すなわちダイヤフラム16およびダイヤフラムロッド85を弁軸部34bとは無関係に連結するようにして作業性を高め、ダイヤフラム16の周縁部をダイヤフラムカバー78およびダイヤフラムフランジ77間に挟持する作業もスペース的な制約がない状態で行うことを可能としてボディ17側に工具配置のための無駄なスペースを確保することを不要として減圧弁の小型化を図ることができる。またボディ集合体100側で弁機構15の気密検査を行い、ダイヤフラム集合体96側でダイヤフラム16の気密検査を行うようにしてボディ集合体100およびダイヤフラム集合体96でそれぞれ個別に機能検査を行うことが可能であり、信頼性を高めることができ、各部に組付け状態の確認が容易となる。さらにダイヤフラム集合体96におけるばね81,82のばね定数を異ならせたり、ダイヤフラム16の面積を異ならせたりして、複数種類のダイヤフラム集合体96を準備しておくことにより、ボディ集合体100を共通としながら制御圧の異なる複数種類の減圧弁を製造することができる。
【0097】
またダイヤフラム集合体96を準備するにあたって、椀状にプレス成形して成る前記ダイヤフラムカバー78の開口部周縁をかしめて前記ダイヤフラムフランジ77の外周部に結合するので、ダイヤフラムカバー78としてプレス成形品を用い、ダイヤフラムカバー78のダイヤフラムフランジ77への結合にかしめを用いることで、製造コストを低減することができ、そのかしめ時に、スペースの制約なくかしめを容易に行うことができる。しかもボディ17を保持するようにしていた従来のものと比べてダイヤフラムフランジ77を保持してかしめ作業を行えばよいので、かしめ治具を小さくかつ単純化することができ、生産性を高めることができる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0099】
16・・・圧力受動部材であるダイヤフラム
21・・・弁ハウジング
25・・・弁座
30・・・弁室
31・・・ガイド孔
32・・・収容孔
33・・・環状段部
34・・・弁体
34a・・・大径部
34c・・・ガイド部
35・・・シール部材であるOリング
55・・・大径背圧室
56・・・小径背圧室
57・・・背圧導入通路
58・・・連通路
59・・・切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧の流体が導入される弁室(30)に臨む弁座(25)に着座可能な弁体(34)が、環状のシール部材(35)を弁ハウジング(21)との間に介在させて前記弁ハウジング(21)に摺動可能に嵌合され、前記弁室(30)との間が前記シール部材(35)で隔絶された背圧室(55,56)が前記弁座(25)と反対側の前記弁体(34)の端部を臨ませて前記弁ハウジング(21)内に形成され、前記弁座(25)よりも下流側の流体圧が前記背圧室(55,56)に導入され、前記弁体(34)には、前記弁座(25)よりも下流側の流体圧に応じて作動する圧力受動部材(16)が連結される減圧弁において、前記シール部材(35)による前記弁体(34)のシール径よりも小径であるガイド孔(31)が、前記弁体(34)が同軸に有するガイド部(34c)を摺動可能に嵌合せしめるようにして前記弁ハウジング(21)に設けられることを特徴とする減圧弁。
【請求項2】
前記弁室(30)とは反対側の端部を閉塞端として有底に形成される前記ガイド孔(31)と、該ガイド孔(31)よりも大径にしてガイド孔(31)の開口端に環状段部(33)を介して連なる収容孔(32)とが、同軸にして前記弁ハウジング(21)に設けられ、前記弁体(34)は、前記環状段部(33)との間に大径背圧室(55)を形成するようにして前記収容孔(32)の内面との間に前記シール部材(35)を介在させつつ前記収容孔(32)に収容される大径部(34a)と、前記ガイド孔(31)の閉塞端との間に小径背圧室(56)を形成しつつ前記ガイド孔(31)に摺動可能に嵌合されるガイド部(34c)とを備え、大径背圧室(55)および小径背圧室(56)に前記弁座(25)よりも下流側の流体圧が導入されることを特徴とする請求項1記載の減圧弁。
【請求項3】
前記弁座(25)よりも下流側の流体圧を前記大径背圧室(55)に導入するための背圧導入通路(57)が前記弁ハウジング(21)に設けられ、前記ガイド部(34c)の外面または前記ガイド孔(31)の内面に、前記大径背圧室(55)および前記小径背圧室(56)間を結ぶ連通路(58)を前記ガイド部(34c)の外面および前記ガイド孔(31)の内面間に形成する切欠き(59)が設けられることを特徴とする請求項2記載の減圧弁。
【請求項4】
前記シール部材(35)が、前記弁体(34)の大径部(34a)の外面または前記収容孔(32)の内面に装着されるOリングであることを特徴とする請求項2または3記載の減圧弁。
【請求項5】
前記流体がLPG燃料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の減圧弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−176643(P2010−176643A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21999(P2009−21999)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】