説明

減圧発酵乾燥装置

【課題】被処理物から生じる臭気を効率的に除去でき、また、周囲に臭気を拡散することを防止でき、さらに、被処理物から生じる腐食成分による劣化を防止できる減圧発酵乾燥装置を提供すること。
【解決手段】減圧発酵乾燥装置1は、微生物が添加された有機性の被処理物が投入される処理室22を有する乾燥機2と、乾燥機2に設けられて被処理物を加熱する加熱ジャケット24と、乾燥機の処理室22内に回転可能に配置され、被処理物を加熱すると共に攪拌する加熱攪拌部25と、有機廃棄物から生成された水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮部23と、凝縮部23の凝縮水と処理室22の空気の混合体が導かれ、導かれた混合体を凝縮水と空気とに分離する気液分離装置3と、気液分離装置3の下流側に接続され、凝縮部23の凝縮水と処理室22の空気を気液分離装置に向かって吸引する吸引ポンプ5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧下で被処理物を加熱すると共に発酵させて乾燥を行う減圧発酵乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場で発生する余剰汚泥や生ごみ等のように、水分の含有率が高い有機性の被処理物を乾燥する装置として、被処理物を減圧環境下で加熱すると共に発酵させて乾燥を行う減圧発酵乾燥装置が知られている。この種の減圧発酵乾燥装置では、被処理物の臭気が比較的強いため、種々の脱臭対策が施されている。
【0003】
出願人は、従来、臭気対策の施した減圧発酵乾燥装置として、図9に示すように、真空ポンプ104で内部が減圧される処理室111と、処理室111の上部に設置され、被処理物の乾燥に伴って生じた水蒸気を凝縮する凝縮部115と、処理室111内の被処理物を攪拌すると共に加熱を行う攪拌加熱装置114と、処理室111の外側に設置された加熱ジャケット113と、加熱用蒸気を生成する蒸気ボイラ106と、凝縮部115の冷却媒体である冷却水を冷却するクーリングタワー105を備えたものを提案している(特許文献1参照)。
【0004】
この減圧発酵乾燥装置101は、水分の含有率が95%を超える余剰汚泥等の被処理物を乾燥するものであり、投入口116から処理室111内に投入された被処理物を、真空ポンプ104で減圧した状態で、加熱ジャケット113と攪拌加熱装置114で加熱しながら攪拌加熱装置114で攪拌して乾燥を促進する。攪拌加熱装置114は、内部に蒸気通路が形成された回転軸114aに、径方向に延在する複数の攪拌棒114bが固定され、この攪拌棒114bの先端に、被処理物を攪拌しつつ回転軸114aと平行の方向に送る送り羽根114cを有する。回転軸114aの両端は、処理室111を形成するケーシング112の壁に設置された軸受に、回動自在に支持されている。回転軸114aを支持する軸受は蒸気が流通可能に形成されており、蒸気ボイラ106から加熱ジャケット113に供給された蒸気が、軸受を通して攪拌加熱装置114に導かれるように構成されている。処理室111での乾燥処理が完了した被処理物は、ケーシング112の下部に設けられた排出口117から排出される。
【0005】
クーリングタワー105は、冷却水を受ける水槽151を下部に有し、この水槽151の冷却水を散水ポンプ155で汲み上げ、上部の散水ノズル152から充填材153に向けて噴射するように構成されている。このクーリングタワー105には、処理室111を減圧する真空ポンプ104により、凝縮部115の凝縮水と処理室111内の空気とが導かれ、クーリングタワー105内を流れる冷却水に混合される。クーリングタワー105の充填材153には、臭気の分解作用を有する微生物が添加されており、散水ノズル152から噴射された冷却水が充填材153を流れる際に、ファン154からの風により冷却されると共に、微生物により臭気が分解されるように構成されている。このように、クーリングタワー105により、凝縮部115に供給する冷却水の冷却と、処理室111から排出された凝縮水及び空気の脱臭を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−105816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の減圧発酵乾燥装置は、処理室111からの凝縮水や空気をクーリングタワー105に導いて冷却水に混合するので、脱臭を行う対象が大量になり、脱臭の処理効率が低いという問題がある。また、クーリングタワー105に導かれた凝縮水や空気の臭気が、クーリングタワー105から外部に漏れて周囲に拡散する問題がある。また、処理室111からの凝縮水や空気をクーリングタワー105に導く真空ポンプ104が、凝縮水や空気に含まれる腐食成分によって劣化しやすいという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、被処理物から生じる臭気を効率的に除去でき、また、周囲に臭気を拡散することを防止でき、さらに、被処理物から生じる腐食成分による劣化を防止できる減圧発酵乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の減圧発酵乾燥装置は、
微生物が添加された有機性の被処理物が投入される処理室を有する乾燥機と、
上記乾燥機に設けられて被処理物を加熱する加熱部と、
上記乾燥機の処理室内に回転可能に配置され、被処理物を攪拌する攪拌部と、
上記有機廃棄物から生成された水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮部と、
上記凝縮部の凝縮水と上記処理室内の空気の混合体が導かれ、導かれた混合体を凝縮水と空気とに分離する気液分離装置と、
上記気液分離装置の下流側に接続され、上記凝縮部の凝縮水と上記処理室の空気を気液分離装置に向かって吸引する吸引ポンプと
を備えることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、乾燥機の処理室に、微生物が添加された有機性の被処理物が投入され、この被処理物が、加熱部で加熱されつつ攪拌部で攪拌される。上記処理室は、吸引ポンプで空気が吸引されて空気圧が大気圧よりも低下することにより、物質の沸点が低下する。したがって、上記加熱部で加熱されつつ攪拌部で攪拌される被処理物は、含有水が効率的に気化して迅速に乾燥する。また、上記処理室の減圧による沸点の低下により、加熱部の加熱温度を低く設定でき、高温による微生物の死滅を防止できるので、微生物により臭気を効果的に分解できる。被処理物から生成された水蒸気は、凝縮部で凝縮されて凝縮水となり、上記処理室内の空気と共に吸引ポンプで吸引され、これら凝縮水と空気の混合体が気液分離装置に導かれる。気液分離装置で混合体が分離されてなる凝縮水と空気は、互いに異なる処理装置により、別個に処理される。したがって、凝縮水と空気を冷却水に混合して処理するよりも効率的に臭気が除去される。また、処理室から吸引する凝縮水と空気を効率的に処理できるので、処理室から凝縮水をより多く吸引でき、したがって、処理室の被処理物の乾燥効率を高めることができる。また、凝縮水と空気を密閉された処理装置で処理することにより、凝縮水と空気をクーリングタワーで冷却水に混合するよりも臭気の拡散を防止できる。さらに、気液分離装置の下流側に接続された吸引ポンプで凝縮水と空気を気液分離装置に導くので、吸引ポンプの劣化を少なくできる。なお、上記攪拌部は、加熱部を兼ねてもよい。すなわち、攪拌部に加熱機能を追加し、被処理物を攪拌すると共に被処理物を加熱するように構成してもよい。
【0011】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、上記気液分離装置で分離された凝縮水を活性汚泥法により処理する廃水処理装置を備える。
【0012】
上記実施形態によれば、廃水処理装置により、凝縮水を活性汚泥法で処理することにより、凝縮水に含まれる有機物を好気性微生物で分解して臭気を効果的に除去することができる。
【0013】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、上記気液分離装置で分離された空気をオゾンで処理するオゾン反応槽を備える。
【0014】
上記実施形態によれば、オゾン反応槽により、処理室から吸引されて気液分離装置で分離された空気を処理することにより、空気に含まれる有機物をオゾンで酸化して臭気を効果的に除去することができる。
【0015】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、上記気液分離装置で分離された凝縮水を貯留する凝縮水貯留槽と、
上記凝縮水貯留槽の重さを測定する貯留槽計重器と、
上記乾燥機の重さを測定する乾燥機計重器と、
上記貯留槽計重器と乾燥機計重器の測定結果に基づいて、上記乾燥機の処理室内の被処理物の乾燥度を算出する乾燥度計算機と
を備える。
【0016】
上記実施形態によれば、気液分離装置で分離された凝縮水が凝縮水貯留槽に貯留され、この凝縮水貯留槽の重さが貯留槽計重器で測定される。一方、乾燥機の重さが乾燥機計重器で測定される。上記貯留槽計重器と乾燥機計重器の測定結果に基づいて、乾燥度計算機により、乾燥機の処理室内の被処理物の乾燥度が算出される。この乾燥度計算機は、被処理物から実際に除去された水分である凝縮水の重さに基づくので、被処理物の正確な乾燥度を算出することができる。
【0017】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、複数の上記凝縮水貯留槽と、
上記気液分離装置と複数の凝縮水貯留槽とを接続する配管に介設され、上記気液分離装置から導かれた凝縮水を、上記複数の凝縮水貯留槽が順次満たされるように各凝縮水貯留槽に分配する分配弁と
を備える。
【0018】
上記実施形態によれば、気液分離装置で分離された凝縮水が、複数の凝縮水貯留槽に振り分けて貯留されるので、満たされた凝縮水貯留槽の重さを貯留槽重量測定器により順次個別に測定することができる。重さの測定が完了した凝縮水貯留槽の凝縮水を排出すれば、凝縮水を再度受け入れることができるので、凝縮水の貯留と、重さの測定と、凝縮水の排出を複数の凝縮水貯留槽が順に繰り返すことにより、容量の制限を受けることなく凝縮水の重さを計測できる。したがって、単一の凝縮水貯留槽に凝縮水を貯留する場合のように、凝縮水貯留槽が満たされると、凝縮水貯留槽の重さの測定と凝縮水の排出のために凝縮水の吸引を中断することが無い。その結果、被処理物の乾燥を行う処理室内から水蒸気を迅速に排除でき、被処理物を迅速に乾燥することができる。また、単一の凝縮水貯留槽に凝縮水を貯留する場合と比較して、満たされた凝縮水貯留槽から凝縮水を排出しながら他の凝縮水貯留槽に凝縮水を貯留できるので、被処理物から生成される全ての凝縮水を貯留するために必要な容量よりも小さい容量の凝縮水貯留槽を用いることができる。したがって、凝縮水貯留槽の大きさを小さくでき、減圧発酵乾燥装置の構成を小型化できる。
【0019】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、上記吸引ポンプの冷却を行う冷却媒体と、上記凝縮部の冷却媒体とを冷却する冷却機を備える。
【0020】
上記実施形態によれば、実質的に同時に作動する吸引ポンプと凝縮部について、これら両方の冷却媒体を単一の冷却機で冷却することにより、冷却に使用するエネルギーを削減できる。
【0021】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、上記攪拌部は、
上記乾燥機に設けられた軸受に回転自在に支持される中空の回転軸と、
上記回転軸に連結され、この回転軸の外径側を螺旋状に取り巻くと共に内部が上記回転軸の内部と連通する螺旋管と、
上記螺旋管の外径側に配置され、上記処理室内の被処理物を回転軸方向に向かって送る送り羽根と
を有する。
【0022】
上記実施形態によれば、回転軸と螺旋管の内部に加熱媒体としての例えば蒸気を供給しながら攪拌部を回転駆動することにより、被処理物が、回転軸と螺旋管で加熱されつつ送り羽根で回転軸方向に送られて攪拌される。したがって、例えば水分の含有率が95%を超える余剰汚泥等の被処理物を、効果的かつ迅速に乾燥することができる。
【0023】
一実施形態の減圧発酵乾燥装置は、上記廃水処理装置は、
凝縮水に好気性微生物を添加して有機物を凝集する密閉構造の反応槽と、
上記反応槽の凝縮水に添加される空気のナノバブルを生成するナノバブル生成装置と
を有することを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【0024】
上記実施形態によれば、反応槽で凝縮水に好気性微生物が添加され、好気性微生物の作用により有機物が凝集する。反応槽の凝縮水には、ナノバブル生成装置で生成された空気のナノバブルが添加され、これにより、曝気が行われる。ナノバブルは、凝縮水の中に安定して拡散するので、密閉された反応槽に添加されても反応槽の換気が不要である。したがって、反応槽から臭気が外部に拡散する不都合を防止できる。したがって、この廃水処理装置は、周囲に臭気を拡散させることなく、活性汚泥法により凝縮水の処理を行うことができる。ここで、ナノバブルとは、10nm以上900nm以下の直径を有する気泡をいう。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、微生物が添加された被処理物を、空気圧が大気圧よりも低い処理室で加熱しつつ攪拌し、処理室の水蒸気を凝縮部で凝縮して排出するので、微生物の分解作用と、加熱作用と、水蒸気の排出作用により、迅速かつ効果的に被処理物の脱臭と乾燥を行うことができる。また、凝縮部で凝縮された凝縮水と処理室内の空気との混合体を誘引ポンプで吸引して気液分離装置に導き、この気液分離装置で分離した凝縮水と空気を、互いに異なる処理装置で別個に処理するので、凝縮水と空気に含まれる臭気を効率的に除去できる。また、処理室から吸引した凝縮水と空気を効率的に処理できるので、処理室から凝縮水をより多く吸引でき、したがって、処理室の被処理物の乾燥効率を高めることができる。また、凝縮水と空気を密閉された処理装置で処理することにより、凝縮水と空気をクーリングタワーで冷却水に混合するよりも臭気の拡散を防止できる。さらに、気液分離装置の下流側に接続された吸引ポンプで凝縮水と空気を気液分離装置に導くので、吸引ポンプの劣化を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態の減圧発酵乾燥装置を示すブロック図である。
【図2】減圧発酵乾燥装置の乾燥機を模式的に示す縦断面図である。
【図3】減圧発酵乾燥装置の乾燥機を模式的に示す横断面図である。
【図4A】気液分離装置を模式的に示す縦断面図である。
【図4B】気液分離装置を模式的に示す横断面図である。
【図5】廃水処理装置を示す模式図である。
【図6】廃水処理装置のナノバブル生成装置が有する微細化ノズルを示す断面図である。
【図7A】微細化ノズルが有する微細化ブロックの平断面図である。
【図7B】微細化ブロックの縦断面図である。
【図8】真空ポンプを模式的に示す横断面図である。
【図9】従来の減圧発酵乾燥装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態の減圧発酵乾燥装置の全体構成を示すブロック図である。この減圧発酵乾燥装置1は、被処理物として、水分の含有率が95%を超える余剰汚泥を処理するものである。この減圧発酵乾燥装置1は、被処理物が投入される処理室22を内部に有する乾燥機2と、乾燥機2から凝縮水が導かれる気液分離装置3と、気液分離装置3で分離された凝縮水を貯留する凝縮水貯留槽としての2つのバッファタンク4,4と、気液分離装置3の下流側に接続された吸引ポンプとしての真空ポンプ5と、真空ポンプ5の下流側に接続されたオゾン反応槽6と、真空ポンプ5及び乾燥機2に冷却媒体としての冷却水を供給する冷却機としてのクーリングタワー7と、乾燥機2に加熱媒体としての蒸気を供給する蒸気ボイラ8と、凝縮水の処理を行う廃水処理装置9で大略構成されている。
【0029】
図2は乾燥機2の長手方向に沿って鉛直方向に切断した様子を示す縦断面図であり、図3は乾燥機2の短手方向に沿って鉛直方向に切断した様子を示す横断面図である。
【0030】
図2及び3に示すように、乾燥機2は、内部に処理室22を有する大略円筒形状のケーシング21と、処理室22の下部の壁面に沿って形成された加熱ジャケット24と、処理室22内に配置された攪拌部としての加熱攪拌部25を有する。
【0031】
ケーシング21の上部の中央には、被処理物を投入する投入装置26が形成され、ケーシング21の下部の他端には、被処理物が排出される排出口22bが形成されている。ケーシング21の投入装置26は、上端が開口した漏斗状の投入口261と、投入口261の下端に設けられたエアロック262を有する。エアロック262は、被処理物の投入口261側と処理室22側に密閉バルブが夫々設けられており、投入口261から内部に被処理物を投入した後、投入口261側の密閉バルブを閉じると共に処理室22側の密閉バルブを開くことにより、大気圧よりも低い処理室22内の気圧を上昇させることなく被処理物を処理室22内に投入するようになっている。
【0032】
加熱攪拌部25は、ケーシング21の両端面に設けられた軸受27,27に両端が支持された中空の回転軸251と、回転軸251の外径側を取り囲むように固定された2つの螺旋管255,258と、螺旋管255,258の外周側に配置されて一辺が5〜10cmの矩形の複数の送り羽根256,259を有する。回転軸251と螺旋管255,258は内部が互いに連通している。回転軸251の一端に接続された蒸気供給管264を通して、蒸気ボイラ8から供給された加熱媒体としての蒸気が回転軸251に供給され、この回転軸251から螺旋管255,258内に蒸気が供給される。加熱攪拌部25の回転軸251の一端には従動プーリ283が設けられており、この従動プーリ283と、モータ281の出力軸に設けられた出力プーリ282とがチェーン284で接続されている。上記モータ281の回転力がチェーン284を介して回転軸251に伝達され、加熱攪拌部25が回転駆動されるようになっている。
【0033】
上記加熱攪拌部25の回転軸251及び螺旋管255,258に蒸気が供給され、加熱攪拌部25が回転駆動されることにより、回転軸251と螺旋管255,258で被処理物を加熱すると共に、処理室22内の被処理物を中央から両端に向かって、又は、両端から中央に向かって送りをかけながら攪拌するように形成されている。送り羽根256,259が被処理物を送る方向は、加熱攪拌部25の回転方向を選択することにより、中央から両端に向かう方向、及び、両端から中央に向かう方向のいずれかを選択可能になっている。
【0034】
加熱攪拌部25の螺旋管255,258は、回転軸251の蒸気の流れにおける上流側に位置する上流側螺旋管255と、下流側に位置する下流側螺旋管258で形成されている。上流側螺旋管255と下流側螺旋管258は、螺旋の巻き方向が互いに反対に形成されている。上流側螺旋管255の上流側端は、回転軸251の径方向に延在する上流直管部255aに形成されており、この上流直管部255aが回転軸251の上流側の端部に接続されている。上流側螺旋管255の下流側端は、回転軸251の径方向に延在する下流直管部255bに形成されており、この下流直管部255bが回転軸251の長手方向の中央に接続されている。また、下流側螺旋管258の上流側端は、回転軸251の径方向に延在する上流直管部258aに形成されており、この上流直管部258aが回転軸251の長手方向の中央に接続されている。下流側螺旋管258の下流側端は、回転軸251の径方向に延在する下流直管部258bに形成されており、この下流直管部258bが回転軸251の下流側の端部に接続されている。
【0035】
この加熱攪拌部25は、矢印V1で示すように蒸気ボイラ8から導かれた蒸気が、蒸気供給管264を通して回転軸251の上流側の端部に供給され、回転軸251内を流れると共に、矢印G1で示すように上流側螺旋管255の上流直管部255aに流入する。上流直管部255aに流入した蒸気は、上流側螺旋管255を通り、下流直管部255bから矢印G2で示すように回転軸251に戻る。また、回転軸251内の蒸気が、矢印G3で示すように下流側螺旋管258の上流直管部258aに流入し、下流側螺旋管258を通り、下流直管部258bから矢印G4で示すように回転軸251に戻る。こうして回転軸251、上流側螺旋管255及び下流側螺旋管258の内部を蒸気が流れることにより、回転軸251、上流側螺旋管255及び下流側螺旋管258の外側面に接する被処理物を加熱するようになっている。回転軸251、上流側螺旋管255及び下流側螺旋管258を流れた蒸気は、回転軸251の下流側の端部に接続された蒸気排出管265を通って、矢印V2で示すように乾燥機2の外側に排出され、これらの蒸気の経路上で生じたドレンと共に、ドレン回収タンク81に戻る。
【0036】
送り羽根256,259は、螺旋管255,258に対する取り付け角度と、螺旋管255,258の径方向の取り付け位置が調整可能になっている。詳しくは、螺旋管255,258の径方向視において、送り羽根256,259を径方向周りの所望の角度に調整可能になっている。送り羽根256,259は、螺旋管255,258の径方向視において、回転軸251の軸に対して傾斜した状態で取り付けられる。送り羽根256,259の傾斜角度の大きさに応じて、被処理物を回転軸251の方向に送る作用と、被処理物を混練する作用との割合が調整される。具体的には、回転軸251に対する送り羽根256,259の傾斜角度が大きい場合は、被処理物を回転軸251の方向に送る作用が大きく、回転軸251に対する送り羽根256,259の傾斜角度が小さい場合は、被処理物を混練する作用が大きくなる。このように、送り羽根256,259の傾斜角度を調整することにより、加熱攪拌部25に、被処理物に合わせた作用を発揮させることができる。
【0037】
また、一方の螺旋管255に取り付けられた送り羽根256と、他方の螺旋管258に取り付けられた送り羽根259は、径方向視における傾斜方向を互いに反対に設定するのが好ましい。これにより、加熱攪拌部25が回転するに伴い、加熱攪拌部25の回転方向に応じて、加熱攪拌部25の回転軸251の両端から中央に向かって、又は、加熱攪拌部25の回転軸251の中央から両端に向かって被処理物を送る。したがって、加熱攪拌部25の回転方向を制御することにより、被処理物を送る方向を制御することができる。
【0038】
螺旋管255,258に対する送り羽根256,259の取り付け位置の調整は、送り羽根256,259の螺旋管255,258から隔たる距離が変更可能になっている。送り羽根256,259の螺旋管255,258からの距離が増えると、送り羽根256,259の螺旋管255,258の径方向における先端縁が、処理室22の内壁面に対して接近し、送り羽根256,259の先端縁と処理室22の内壁面との間のクリアランスが小さくなる。処理室22の壁には加熱ジャケット24が設けられており、被処理物の乾燥が進むと、加熱ジャケット24の熱により、処理室22の内壁面に被処理物が付着する。被処理物の付着が進行すると、被処理物が加熱ジャケット24の熱で焦げて、内壁面に固着する不都合が生じる。ここで、送り羽根256,259の先端縁と処理室22の内壁面との間のクリアランスを調節することにより、処理室22の内壁面に付着する被処理物を掻き取ることができ、被処理物の内壁面の固着を防止することができる。このように、送り羽根256,259の取り付け位置を調整することにより、送り羽根256,259をスクレーパとして機能させることができる。
【0039】
ケーシング21の側面には、長手方向に延びる図示しないメンテナンス窓が設けられており、このメンテナンス窓を開いて、加熱攪拌部25の送り羽根256,259の取り付け角度の調節や、取り付け位置の調節や、送り羽根256,259の交換等のメンテナンスを行うようになっている。
【0040】
加熱ジャケット24は、図3に示すように、加熱攪拌部25の回転領域の下部を取り囲むように、ケーシング21に沿って設置されている。この加熱ジャケット24は、長手方向の一端に蒸気供給管24aが接続されていると共に、長手方向の中央に蒸気排出管24bが接続されている。矢印V1で示すように、蒸気ボイラ8から導かれた蒸気が蒸気供給管24aを通って加熱ジャケット24に供給され、加熱ジャケット24内を流れて処理室22内の被処理物を加熱した後、矢印V3で示すように蒸気排出管24bを通って乾燥機2の外側に排出され、これらの蒸気の経路上で生じたドレンと共に、ドレン回収タンク81に戻る。
【0041】
ケーシング21内の上部には、被処理物から蒸発した蒸気を凝縮する凝縮部23が設けられている。凝縮部23は、ケーシング21の他端側に形成された冷却水供給室231と、ケーシング21の一端側に形成された冷却水排出室232を有する。冷却水供給室231には、クーリングタワー7から冷却水が導かれる冷却水供給管233が接続されている。冷却水排出室232には、冷却水をクーリングタワー7に戻す冷却水排出管234が接続されている。冷却水供給室231と、冷却水排出室232との間には、ケーシング21の軸方向に延在する複数の冷却水管235,235,・・・が掛け渡されており、これらの冷却水管235,235,・・・を通って冷却水供給室231の冷却水が冷却水排出室232に流れる。複数の冷却水管235,235,・・・は、図3の横断面図に示すように、ケーシング21内の上部の幅方向の両側に振り分けて配置されている。振り分けられた複数の冷却水管235,235,・・・の側方と下方には、凝縮水を収集する集水樋236,236が夫々設けられている。集水樋236の内側に、凝縮水と共に処理室22内の空気を吸引する吸引管237が連通している。
【0042】
乾燥機2の処理室22内には、被処理物に作用する酵素が存在する。酵素は、海、山及び陸等の自然界に生息する土着菌や発酵菌等の微生物を採取し、培養したものを処理室22内に投入して得られる。特に、余剰汚泥等の有機性の汚泥を分解して脱臭を行うには、各種の動植物や土壌に生息する菌により生成される酵素が有効である。菌が生息する動植物や土壌としては、よもぎ、野草、薬草、海辺の草、笹、竹やぶの土、山林の土、魚、海草、果実、パイナップル、リンゴ、ミカン、ビワ及びブドウ等がある。これらに生息する菌を、米ぬか又はオガ屑で培養して用いるのが好ましい。本実施形態では、減圧値0.03〜0.098MPaの減圧下、熱媒体温度60〜80℃で30分〜3時間にわたり、被処理物を攪拌するので、かかる条件下で生育して発酵する微生物を処理室22に添加するのが好ましい。なお、減圧値とは、大気圧から低減させる圧力の大きさをいう。
【0043】
微生物の作用により処理室22内に存在する酵素は、次のうちの1つでもよく、また、複数でもよい。なお、各酵素に続く括弧内に、各酵素が作用する物質を記している。アルコールデハイドロゲナーゼ(アルコール)、ラクテートデハイドロゲナーゼ(乳糖)、グルコース6リン酸デハイドロゲナーゼ(糖質)、アルデヒドデハイドロゲナーゼ(アルデヒド)、L・アスパルテイト・ベーターセミアルデヒド・NADPオキシドレクターゼ(アルデヒド)、グルタミン酸デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸セミアルデヒド・デハイドロゲナーゼ(アミノ酸)、NADPH2チクトクロームC・リアクターゼ(NADP)、グルタチオン・デハイドロゲナーゼ(グルタチオン)、トレハローズリン酸シンテクターゼ(糖質)、ポリフォスヘエードキナーゼ(ATP)、エタノールアミンフォスヘエードサイチジル・トランスフェラーゼ(CTP)、トレハローズフォスファターゼ(糖質)、メタルチオ・フォスフォ・グリセレート・フォスファターゼ(グリセリン)、イヌラーゼ(イヌリン)、β−マンノシターゼ(糖質)、ウリジン・ヌクレオシターゼ(アミノ酸)、シトシン・ジアミナーゼ(シトシン)、メチルシステインシンテターゼ(アミノ酸)、アスパラギン酸シンテターゼ(ATP)、コハク酸デハイドロゲナーゼ(コハク酸)、アコニチン酸ハイドロゲナーゼ(クエン酸)、フマレイトハイドロゲナーゼ(マロン酸)、マレイトデハイドロゲナーゼ(マロン酸)、クエン酸シンテターゼ(アセチルCouA)、イソクエン酸デハイドロゲナーゼ(クエン酸)、LSNADPオキシダクターゼ(クエン酸)、モノアミンオキシダクターゼ(アミン)、ヒスタミナーゼ(アミン)、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(オキソ酸)、ATPアーゼ(ATP)、ヌクレオチドピロフォスファターゼ(核酸)、エンドポリフォスファターゼ(ATP)、ATPフォスフォハイドロラーゼ(ATP)、オロチジン5リン酸デカルボキシラーゼ(オロチジン)。これらのうちの少なくとも1つの酵素を生成する微生物を、被処理物に添加することにより、多種類の有機物成分からなる被処理物に対して効果的に分解処理を行うことができる。
【0044】
上記各構成部品を有する乾燥機2は、下端の支持部材と基礎の間に設けられた乾燥機計重器としてのロードセル29,29を有する。ロードセル29,29は、制御装置10に接続されている。制御装置10は、被処理物が投入される前後でロードセル29,29を作動させて重量を測定し、このロードセル29,29の測定値に基づいて、被処理物の重量を算出する。
【0045】
図4Aは、気液分離装置3を示す縦断面図であり、図4Bは、気液分離装置3を示す横断面図である。図4Aに示すように、気液分離装置3は、概ね円筒形状を有して中心軸を鉛直方向に向けて配置される縦長のケーシング31を備え、このケーシング31の下部に、凝縮部23から凝縮水と処理室22内の空気の混合体を導く導入管32が、横断面においてケーシング31の接線方向を向いて固定されている。ケーシング31には、混合物から分離した凝縮水を排出する液体排出管33が下端に設けられている一方、混合物から分離した空気を排出する気体排出管34が上端に設けられている。この気液分離装置3は、ケーシング31内に、下部から上方に向かって順に、サイクロン部35と、デミスタ36と、フィルタ部37を収容している。
【0046】
サイクロン部35は、ケーシング31の下部と、ケーシング31内を横断して固定された仕切板353との間に形成された旋回室351と、仕切板353の中央に固定されて旋回室351内に突出した排気筒352を有する。サイクロン部35の旋回室351には、図4Bに示すように、導入管32を通して導かれた混合体が旋回状に流れ、遠心力によって凝縮水と空気が分離する。混合体から分離した空気は、排気塔352を通って上方にデミスタ36に導かれる。一方、混合体から分離した凝縮水は、ケーシング31の内側面を沿って下方に流れ、旋回室351の底面の中央に開口した排出穴33aから排出され、液体排出管33を通って廃水処理装置9に導かれる。デミスタ36は、金属網を複数層重ね合わせて形成されたワイヤメッシュで形成され、仕切板353の上方に、サイクロン部35の排気筒352の出口に隣接して配置されている。サイクロン部35で混合体から分離されて排気筒352から導かれた空気がデミスタ36を通過する際に、空気に含まれる凝縮水の微粒子が、デミスタ36の繊維の隙間に生成される毛細管作用で捕捉される。フィルタ部37は、気体排出管34の下端に取り付けられた円環板状の上支持板371と、円盤状の下支持板372との間に、樹脂やセルロースの繊維の塊体で形成された円筒環状のフィルタエレメント373と、フィルタエレメント373の外周面を取り巻く濾布374とが挟持されて構成されている。上記デミスタ36を通過した空気が、フィルタ部37の濾布374とフィルタエレメント373を通過する際に、空気に残存している凝縮水の微粒子や塵芥が捕獲される。濾布374とフィルタエレメント373を通過した空気は、フィルタエレメント373の内側の空洞部375を通り、この空洞部375に連通する気体排出管34を通って真空ポンプ5に吸引される。上記デミスタ36やフィルタ部37で捕獲された凝縮水は、ケーシング31内を落下して液体排出管33から排出される。
【0047】
バッファタンク4は、気液分離装置3で分離された凝縮水を、凝縮水の廃水処理を行う前に一旦貯留するタンクである。本実施形態では、気液分離装置3の液体排出管33に連なる切換弁41の下流側に、2つのバッファタンク4,4を接続している。各バッファタンク4には、バッファタンク4の重さを測定する貯留槽計重機としてのロードセル42,42と、タンク内の凝縮水の水位を検出する水位計43,43が設けられている。バッファタンク4,4の排出管には開閉弁44,44が介設されている。切換弁41と、ロードセル42,42と、水位計43,43と、開閉弁44,44は、制御装置10に接続されている。2つのバッファタンク4は、制御装置10の制御により、次のように作動する。まず、切換弁41により、気液分離装置3からの凝縮水が一方のバッファタンク4に導かれ、このバッファタンク4内の水位が水位計43で検出される。水位計43の検出信号に基づいてバッファタンク4が満たされたことを検知すると、制御装置10は、切換弁41を作動させて凝縮水の供給を他方のバッファタンク4に切り替える。これと共に、一方のバッファタンク4のロードセル42を作動させて重量を測定し、このロードセル42の測定値に基づいて、バッファタンク4内に貯留された凝縮水の重量を算出する。重量の測定が完了すると、制御装置10は、一方のバッファタンク4の排水弁44を開いて凝縮水を排出する。水位計43の検出信号に基づいてバッファタンク4が空になったことを検知すると、制御装置10は、排水弁44を閉じる。このように、凝縮水の供給と、重量の測定と、排水とを2つのバッファタンク4の間で交互に繰り返すことにより、比較的小さいバッファタンク4,4によって、大量の凝縮水の重さを継続して測定するようになっている。なお、バッファタンク4は、複数であれば2つ以上設けてもよい。
【0048】
制御装置10は、被処理物の処理が開始された以降にバッファタンク4,4のロードセル42,42で測定された凝縮水の重量の合計と、処理室22への投入直後に乾燥機2のロードセル29,29で測定された被処理物の重量とに基づいて、被処理物の乾燥度を算出する乾燥度計算機としての機能を有する。乾燥機2のロードセル29,29の測定値は、被処理物の処理が進むに伴い、加熱ジャケット24及び加熱攪拌部25に蓄積されるドレンの重量を含むので、被処理物の乾燥度を乾燥機2の重量のみに基づいて算出することは困難である。そこで、乾燥機2の重量を被処理物の投入直後に測定しておき、被処理物の処理が進行すると、バッファタンク4,4の重量を測定する。これらの測定値から求めた投入直後の被処理物の重量と、処理途中の凝縮水の重量に基づいて、被処理物の乾燥度を正確に算出するようになっている。
【0049】
バッファタンク4から排出された凝縮水を処理する廃水処理装置9は、活性汚泥法により有機物を除去する。廃水処理装置9は、図5に示すように、バッファタンク4から送られた凝縮水に含まれる比較的大きな微粒子を沈殿させる前沈殿槽91と、前沈殿槽91からの凝縮水に好気性微生物を添加し、好気性微生物の作用により曝気環境下で有機物を凝集する反応槽92と、反応槽92で凝集させた有機物を沈殿する後沈殿槽93を有する。前沈殿槽91、反応槽92及び後沈殿槽93はタンクで形成された密閉構造であり、臭気の拡散を防止するように構成されている。反応槽92には、ナノバブル生成装置94が設けられている。ナノバブル生成装置94は、10nm以上900nm以下の直径を有する空気の気泡であるナノバブルを生成する。反応槽92は、ナノバブル生成装置94で生成されたナノバブルが凝縮水に添加されることにより、凝縮水を密閉状態で曝気環境とするように構成されている。後沈殿槽93で有機物を除去した水は、塩素や次亜塩素酸ナトリウム等の消毒剤が添加された後、外部に排出される。なお、廃水処理装置9には、前沈殿槽91を設けなくてもよい。
【0050】
反応槽92に設けられたナノバブル生成装置94は、反応槽92の凝縮水内に没して設置される微細化ノズル95と、微細化ノズル95に空気と水の混合流体を供給する供給管96と、空気と水の二相混合流体を生成する二相流ポンプ97を有する。図6は、ナノバブル生成装置94が有する微細化ノズル95を示す断面図であり、図7Aは、微細化ノズル95の構成部品である微細化ブロックの平断面図であり、図7Bは、微細化ブロックの縦断面図である。
【0051】
図6に示すように、微細化ノズル95は、概ね球状の耐圧ケーシング951と、耐圧ケーシング951内に内蔵された微細化ブロック954とで大略構成されている。耐圧ケーシング951に連結された供給管96を通して二相流ポンプ97から混合流体が耐圧ケーシング951内に圧送される。耐圧ケーシング951に圧送された混合流体は、微細化ブロック954内に被圧状態で流入し、空気が微細化されて、微細化ブロック954に連結された排出管955を通って耐圧ケーシング951の外部へ排出される。排出管955は耐圧ケーシング951の供給管96が設けられた側と反対側に挿通して固定されており、微細化ブロック954を耐圧ケーシング951に固定する固定具を兼ねている。二相流ポンプ97は水と空気を混合し、この水と空気の混合流体を所定の圧力で圧送する。二相流ポンプ97は、遠心ポンプを用いるのが好ましいが、気液二相流を圧送できるのであれば、どのような形式のポンプでもよい。二相流ポンプ97が空気と混合する水は、反応槽92内の凝縮水でもよく、あるいは、外部から導いた上水でもよい。
【0052】
微細化ブロック954は、平面視において概ね正八角柱のブロック本体956と、ブロック本体956の中心軸の周りに等角度をおいて形成された4つの旋回室957,957,957,957と、ブロック本体956の中心軸と同心に形成され、対向する旋回室957,957の間を結ぶ線と直角をなす直角通路958が内部に形成されている。微細化ブロック954は、例えばフッ素樹脂等の合成樹脂で製造することができる。なお、微細化を行う対象や、混合流体の温度等の条件に応じて、他の合成樹脂を用いて微細化ブロック954を製造してもよい。また、ステンレス鋼等の金属で微細化ブロック954を製造してもよい。
【0053】
微細化ブロック954の旋回室957は、円筒の端面に半球を連ねたような回転体形状を有し、円筒部が微細化ブロック954の外径側を向くと共に半球部が微細化ブロック954の内径側を向くように形成されている。対向する2つの旋回室957が、中心軸を一直線上に配置されて、旋回室対を構成している。さらに、2つの旋回室対が、各対の旋回室57間を結ぶ中心軸が互いに直交するように配置されている。直角通路958は、各旋回室対の旋回室957の間を結ぶ中心軸に対して直角方向に延在している。直角通路958には、4つの旋回室957の半球部の先端が連通している。直角通路958の各旋回室対の旋回室957の間に位置する部分が、旋回室957から噴き出した混合流体が衝突する衝突室958aとなっている。直角通路958の衝突室58aよりも排出管55側に位置する部分は、衝突室58aで微細化した混合流体を排出する排出路958bとなっている。一方、直角通路958の供給管96側の端部は、キャップ961で閉じられている。
上記直角通路958の排出路958bの端部は排出管955に接続されている。
【0054】
微細化ブロック954には、旋回室957へ混合流体を供給する供給路959が形成されている。供給路959は、旋回室957の中心軸方向視において内周面の接線を描くように形成されており、微細化ブロック954の端面に形成された入口開口959aから混合流体が流入し、旋回室957の内側面に形成された流入開口959bから混合流体を室内に放出するようになっている。供給路959は、旋回室957の中心軸に関して対称の位置に2つ設けられており、各供給路959の入口開口959aは、微細化ブロック954の両端面に夫々形成されている。図7Aの平断面図には、断面に表れない側の供給路959の平面方向の位置を仮想線で示している。なお、ケーシング2に供給される混合流体の流量や圧力、或いは、旋回室957に形成すべき旋回流の速度等に応じて、2つの供給路959のうちの一方が閉鎖されてもよい。あるいは、微細化ブロック954に、1つの旋回室957につき供給路959を1つのみ形成してもよい。この微細化ブロック954は、旋回室957の内周面の接線を描くように供給路959が設けられていることにより、微細化ブロック954の外側に所定圧力の混合流体が満たされれば、上記供給路959に混合流体が流入し、可動部を用いることなく旋回室957内に旋回流を形成することができる。微細化ブロック954の旋回室957は、概ね正八角柱のブロック本体956が有する8個の側面のうち、1つおきの4個の側面に、底が球状の円柱穴を形成し、この円柱穴の開口部を円形ドーム状の蓋体960で閉鎖して形成されている。
【0055】
上記ナノバブル生成装置94は、次のように動作する、まず、二相流ポンプ97が、反応槽92内の凝縮水と空気を混合してなる混合流体を、供給管96を通して微細化ノズル95に供給する。二相流ポンプ97で微細化ノズル95へ供給される混合流体の気泡は、直径が100μm以上3mm以下であるのが好ましい。また、微細化ノズル95へ供給される混合流体は、供給管96において、流速が約1L/min以上50L/min以下であり、かつ、圧力が約0.1MPa以上5MPa以下であるのが好ましい。特に好ましくは、供給管96において、混合流体の圧力が約0.5MPa以上5MPaである。この混合流体は、0.8L/min以上40L/min以下の流量の水と、0.2L/min以上10L/min以下の流量の空気とが混合されている。
【0056】
供給管96を通って微細化ノズル95に供給された混合流体は、耐圧ケーシング951内に放出され、耐圧ケーシング951の内側面と、微細化ブロック954の外側面との間に満たされる。耐圧ケーシング951と微細化ブロック954との間に満たされた混合流体は、微細化ブロック954の端面に形成された入口開口959aから供給路959に流入し、流入開口959bから旋回室957内に導かれる。供給路959から旋回室957に導かれた混合流体は、供給路959が旋回室957の中心軸に対して接線方向に形成されていることにより、旋回室957内で中心軸周りの旋回流になる。旋回室957内に形成される混合流体の旋回流は、旋回室957の流入開口959bが設けられた円筒部の端部から半球部の端部に向かって流れ、これに伴う旋回径の縮小によって流速が増大する。旋回室957の微細化ブロック954の内径側に位置する半球部の端部に達した混合流体は、高速で旋回しながら直角通路958の衝突室958aに吐出される。
【0057】
旋回室対を構成する2つの旋回室957で生成される旋回流の旋回方向は、互いに反対向きであり、これにより、直角通路958の衝突室958aで互いに反対向きの旋回流れが衝突する。これらの旋回流は、旋回室957から衝突室958aに吐出され、吐出口から円錐状に旋回する旋回噴流が形成される。これら旋回噴流は、互いに反対向きに旋回するので、衝突室958aで互いに衝突することにより、混合流体中の空気泡が効果的に破壊され、空気泡が微細化される。さらに、2つの旋回室対が設けられていることにより、各旋回室対の混合流体の旋回流が衝突室958aで重畳的に衝突し、混合流体中の空気泡が効果的に微細化されて、直径が10nm以上900nm以下の空気泡であるナノバブルが生成される。
【0058】
こうして微細化ブロック954で生成された生成されたナノバブルは、排出管955を通って耐圧ケーシング951の外部へ排出され、反応槽92の凝縮水に添加される。ナノバブル生成装置94で生成されたナノバブルは、直径が10nm以上900nm以下であるので、凝縮水の表面に上昇することなく、長時間にわたって凝縮水中に拡散する。したがって、凝縮水に添加された好気性微生物を効果的に活性化し、凝縮水の有機物を効果的に凝集させることができる。また、ナノバブルは、長時間にわたって凝縮水中に分散するので、反応槽92の換気の必要が無く、反応槽92を密閉状態に保持できる。したがって、凝縮水に含まれる臭気の拡散を効果的に防止できる。
【0059】
真空ポンプ5は、気液分離装置3の気体排出管34に接続され、気液分離装置3の下流側から気液分離装置3を通して乾燥機2の処理室22の空気を吸引することにより、凝縮部23の凝縮水と処理室22の空気の混合体を気液分離装置3に導く。真空ポンプ5はルーツ式ポンプで形成され、図8に示すように、横断面が瓢箪形状の作動室52を有するケーシング51と、作動室52内に収容された2つの瓢箪形状のロータ53,53を有する。なお、ロータ53,53は、瓢箪形状のほか、三葉形状であってもよい。この真空ポンプ5は、2つの瓢箪形状のロータ53,53が横断面視において噛み合った状態で、回転軸53a,53aに連結された図示しないモータにより、互いに反対方向に回転駆動される。これに伴い、ケーシング51の上部に形成された吸気口54から入った空気が、ケーシング51とロータ53,53の間の空間に閉じ込められ、ロータ53,53の回転に伴って下方に移動させられ、ケーシング51の下部に形成された排気口55から排出される。真空ポンプ5は、ロータ53,53の相互間及びロータ53とケーシング51の間に、0.1mm以上0.5mm以下の隙間をおいて作動するので、作動室52内に潤滑油が不要である。真空ポンプ5のケーシング51には、冷却媒体としての冷却水を流通させる冷却水通路が形成されており、真空ポンプ5の作動に伴って生じる熱を冷却水で除去するようになっている。
【0060】
本実施形態の減圧発酵乾燥装置1は、真空ポンプ5で気液分離装置3の下流側から処理室22の凝縮水と空気の混合体を吸引し、凝縮水は気液分離装置3で分離されて空気のみが真空ポンプ5に導かれる。したがって、凝縮水に含まれる腐食性物質により真空ポンプ5が損傷する不都合を防止できる。
【0061】
オゾン反応槽6は、気液分離装置3で分離された処理室22の空気にオゾンを混合し、空気に含まれる臭気成分や有害物質を分解する。オゾン反応槽6は、真空ポンプ5で吸引された処理室22の空気が流下すると共に、オゾン発生装置61で生成されたオゾンが供給される反応通路と、反応通路の下流側に設けられたフィルタを有する。
【0062】
オゾン発生装置61は、無声放電により大気からオゾンを生成するものであり、大気中の酸素を濃縮して高濃度酸素を生成する酸素濃縮部と、酸素濃縮部から酸素が供給される放電空間に配置された一対の電極と、電極間に電圧を印加する交流電源を有する。このオゾン発生装置61は、空気中の酸素を取り入れ、酸素濃縮部で生成した高濃度酸素に4〜10kVの交流電圧を印加して無声放電を生じさせ、これによりオゾンを生成する。なお、オゾン発生装置のオゾンの生成方法は、無声放電によるもの以外に、沿面放電によるものや、プラズマ放電によるものや、紫外線を用いた光化学的作用によるものであってもよい。
【0063】
上記オゾン反応槽6は、真空ポンプ5の排気口55から排出された空気を反応通路に導くと共に、オゾン発生装置61で生成されたオゾンを反応通路に供給し、反応通路を流れる空気に含まれる臭気成分や有害物質を、オゾンの酸化作用により分解する。反応通路を通過した空気は、フィルタで微粒子が除去され、大気に放出される。
【0064】
クーリングタワー7は、真空ポンプ5に供給する冷却水と、乾燥機2に供給する冷却水とを冷却するものである。クーリングタワー7と真空ポンプ5のケーシング51との間に、冷却水を循環させる循環配管が設けられている。また、リングタワー7と乾燥機2の凝縮部23との間に、冷却水を循環させる循環ポンプが介設された循環配管が設けられている。クーリングタワー7は、冷却水を受ける水槽と、この水槽の冷却水を汲み上げる散水ポンプと、散水ポンプで汲み上げた冷却水を噴射する散水ノズルと、散水ノズルから噴射された冷却水を受けて蒸発を促進する充填材と、充填材に風を送るファンを有する。クーリングタワー7の散水ノズルに、真空ポンプ5及び凝縮部23から冷却水を戻す戻り配管が接続されている。クーリングタワー7の水槽に、真空ポンプ5及び凝縮部23に冷却水を送る往き給管が接続されている。クーリングタワー7と真空ポンプ5との間の往き配管には、冷却水を真空ポンプ5に送る循環ポンプ71が介設されている。クーリングタワー7と乾燥機2との間の往き配管には、冷却水を乾燥機2に送る循環ポンプ72が介設されている。減圧発酵乾燥装置1が動作を開始すると、クーリングタワー7の散水ポンプとファンが起動すると共に、循環配管に介設された循環ポンプ71,72が起動する。これにより、真空ポンプ5が作動する際に生じる熱と、凝縮部23が蒸気と熱交換して得た熱が回収され、クーリングタワー7で大気に放出される。クーリングタワー7の水槽には、給水バルブ73を通して補給水が追加され、冷却動作に伴って蒸発した冷却水を補うようになっている。
【0065】
蒸気ボイラ8は、乾燥機2で被処理物を加熱する加熱ジャケット24と加熱攪拌部25の加熱媒体としての蒸気を、乾燥機2に供給するものである。蒸気ボイラ8は貫流ボイラで形成され、内部に燃焼室が形成される円筒状のケーシングと、燃焼室の上部に設けられて下方に向けて燃焼室内に炎を出射するバーナと、燃焼室の周りを取り囲んで配置された水管を有する。水管の形態は、環状の上部管寄せと、環状の下部管寄せとの間に配置されて鉛直方向に延在する複数の直管で形成された多管式でもよく、また、単一の管をコイル状に巻回した単管式でもよい。水管には、ドレン回収タンク81で回収されたドレンが、ドレンポンプ82によって導かれる。ドレン回収タンク81から導かれるドレンの量が少ない場合、蒸気ボイラ8に給水バルブ83を通して補給水が追加される。また、ドレン回収タンク81に、必要に応じて給水バルブ84を通して補給水が追加される。
【0066】
ドレン回収タンク81は、加熱ジャケット24と加熱攪拌部25で被処理物の加熱を行なった後の蒸気とドレンを回収し、ドレンを抽出して蒸気ボイラ8に戻すものである。加熱ジャケット24と加熱攪拌部25から回収した蒸気は、フラッシュ蒸気として大気に排出する。なお、フラッシュ蒸気を冷却して凝縮水を生成し、この凝縮水を蒸気ボイラ8に戻してもよい。
【0067】
以下、上記構成の減圧発酵乾燥装置1で被処理物としての余剰汚泥を処理する例を説明する。余剰汚泥は、活性汚泥法による下水処理で生成され、一般的に、水分含有量が質量割合で80%以上99%以下の高水分である。
【0068】
まず、処理室22内の空気を真空ポンプ5で吸引して大気圧よりも低い圧力に減圧する。ここで、処理室22の減圧値を0.03〜0.098MPaとし、水の沸点を約90〜68℃に低下させるのが好ましい。なお、減圧値とは、大気圧から低減させる圧力の大きさをいう。また、乾燥機2の加熱ジャケット24と加熱攪拌部25に、加熱媒体として0.2〜0.7MPaかつ120〜170℃の蒸気を蒸気ボイラ8から供給する。ここで、処理室22内が減圧されているので、常圧で乾燥するよりも加熱媒体の温度を低く設定できる。また、被処理物の加熱温度が低いので処理室22内に添加された微生物の死滅を防止でき、安定して効果的に脱臭を行うことができる。
【0069】
続いて、被処理物としての高水分の余剰汚泥を、乾燥機2の投入装置26を通して処理室22内に投入する。余剰汚泥の投入量に応じて、微生物を適宜添加する。処理室22に投入された被処理物は、大気圧よりも低い空気圧の下、加熱ジャケット24と加熱攪拌部25で加熱されつつ加熱攪拌部25で攪拌される。処理室22は、空気圧が大気圧よりも低くて水の沸点が100℃以下に低下するので、上記加熱ジャケット24と加熱攪拌部25で加熱されつつ加熱攪拌部25で攪拌される被処理物は、含有水が効率的に気化して迅速に乾燥する。また、処理室22の減圧による沸点の低下により、加熱ジャケット24と加熱攪拌部25の加熱温度を低く設定でき、高温による微生物の死滅を防止できるので、微生物により臭気を効果的に分解できる。
【0070】
被処理物から生成された水蒸気は、乾燥機2の凝縮部23で凝縮されて凝縮水となり、処理室22内の空気と共に真空ポンプ5で吸引され、これら凝縮水と空気の混合体が気液分離装置3に導かれる。気液分離装置3で混合体が分離されてなる凝縮水と空気は、廃水処理装置9とオゾン反応層6との互いに異なる装置により、別個に処理される。したがって、凝縮水と空気を冷却水に混合して処理する従来の減圧発酵乾燥装置よりも、効率的に臭気を除去することができる。また、凝縮水と空気を、廃水処理装置9とオゾン反応層6で処理するので、従来のように凝縮水と空気をクーリングタワーで冷却水に混合するよりも、臭気の拡散を防止できる。さらに、気液分離装置3の下流側に接続された真空ポンプ5で凝縮水と空気の混合体を気液分離装置3に導くので、凝縮水が真空ポンプ5の作動部に触れないから、真空ポンプ5の劣化を少なくできる。
【0071】
また、被処理物の水分を凝縮してなる凝縮水を、廃水処理装置9で活性汚泥法により処理するので、凝縮水に含まれる有機物を好気性微生物で分解して臭気を効果的に除去することができる。また、上記廃水処理装置9は、密閉された反応槽92の凝縮水に空気のナノバブルを添加して曝気を行うので、効果的に臭気の拡散を防止しながら、凝縮水を活性汚泥法により処理することができる。
【0072】
また、処理室22から吸引された空気をオゾン反応槽6で処理するので、空気の臭気を周囲に拡散することなく効果的に除去することができる。
【0073】
また、気液分離装置3で分離された凝縮水をバッファタンク4,4に貯留し、このバッファタンク4,4の重さをロードセル42,42で測定すると共に、被処理物の投入直後の乾燥機2の重さをロードセル29,29で測定し、これらの測定値に基づいて、制御装置10により被処理物の乾燥度を算出する。このように、制御装置10は、乾燥度計算機として機能する。こうして制御装置10により被処理物の乾燥度を算出することにより、運転を中止して処理室22を開いて被処理物を直接確認することなく、処理室22内の被処理物の乾燥度を、処理を行いながらリアルタイムで正確に検出することができる。
【0074】
また、被処理物の乾燥に伴って生じる凝縮水を、2つのバッファタンク4,4に振り分けて貯留するので、バッファタンク4のロードセル42による重量の測定と、測定の完了後の凝縮水の排出を、2つのバッファタンク4,4で交互に行うことにより、凝縮水を、バッファタンク4の容量の制限を受けることなく連続して測定することができる。したがって、被処理物の水分含有量が多くても、バッファタンクの制約を受けることなく、乾燥処理を連続して行うことができる。したがって、凝縮水の測定のために乾燥処理を中断することが無いので、処理にかかる時間を短くできる。また、2つのバッファタンク4,4を交互に貯留して凝縮水の重量を測定し、測定後は凝縮水を排出するので、1つのバッファタンクに凝縮水を満たして測定するよりも、バッファタンク4の大きさを小さくでき、減圧発酵乾燥装置1の構成を小型化できる。
【0075】
また、実質的に同時に作動する真空ポンプ5と凝縮部23について、これら両方の冷却媒体である冷却水を、単一のクーリングタワー7で冷却するので、冷却に使用するエネルギーを削減できる。
【0076】
上記実施形態において、被処理物として、下水処理場で生成される余剰汚泥を処理する例を説明したが、被処理物は、湖沼や海の底に堆積したヘドロや、農水産業で排出される廃棄物や、食品工場から排出される食品残渣や、一般家庭から排出される生ごみ等、各種産業で生じる高水分の有機性の被処理物であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 減圧発酵乾燥装置
2 乾燥機
3 気液分離装置
4 バッファタンク
5 真空ポンプ
6 オゾン反応槽
7 クーリングタワー
8 蒸気ボイラ
9 廃水処理装置
10 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物が添加された有機性の被処理物が投入される処理室を有する乾燥機と、
上記乾燥機に設けられて被処理物を加熱する加熱部と、
上記乾燥機の処理室内に回転可能に配置され、被処理物を攪拌する攪拌部と、
上記有機廃棄物から生成された水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮部と、
上記凝縮部の凝縮水と上記処理室の空気の混合体が導かれ、導かれた混合体を凝縮水と空気とに分離する気液分離装置と、
上記気液分離装置の下流側に接続され、上記凝縮部の凝縮水と上記処理室の空気を気液分離装置に向かって吸引する吸引ポンプと
を備えることを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載の減圧発酵乾燥装置において、
上記気液分離装置で分離された凝縮水を活性汚泥法により処理する廃水処理装置を備えることを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項3】
請求項1に記載の減圧発酵乾燥装置において、
上記気液分離装置で分離された空気をオゾンで処理するオゾン反応槽を備えることを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項4】
請求項1に記載の減圧発酵乾燥装置において、
上記気液分離装置で分離された凝縮水を貯留する凝縮水貯留槽と、
上記凝縮水貯留槽の重さを測定する貯留槽重量測定器と、
上記乾燥機の重さを測定する乾燥機重量測定器と、
上記貯留槽重量測定器と乾燥機重量測定器の測定結果に基づいて、上記乾燥機の処理室内の被処理物の乾燥度を算出する乾燥度計算機と
を備えることを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項5】
請求項4に記載の減圧発酵乾燥装置において、
複数の上記凝縮水貯留槽と、
上記気液分離装置と複数の凝縮水貯留槽とを接続する配管に介設され、上記気液分離装置から導かれた凝縮水を、上記複数の凝縮水貯留槽が順次満たされるように各凝縮水貯留槽に分配する分配弁と
を備えることを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項6】
請求項1に記載の減圧発酵乾燥装置において、
上記吸引ポンプの冷却を行う冷却媒体と、上記凝縮部の冷却媒体とを冷却する冷却機を備えることを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項7】
請求項1に記載の減圧発酵乾燥装置において、
上記攪拌部は、
上記乾燥機に設けられた軸受に回転自在に支持される中空の回転軸と、
上記回転軸に連結され、この回転軸の外径側を螺旋状に取り巻くと共に内部が上記回転軸の内部と連通する螺旋管と、
上記螺旋管の外径側に配置され、上記処理室内の被処理物を回転軸方向に向かって送る送り羽根と
を有することを特徴とする減圧発酵乾燥装置。
【請求項8】
請求項2に記載の減圧発酵乾燥装置において、
上記廃水処理装置は、
凝縮水に好気性微生物を添加して有機物を凝集する密閉構造の反応槽と、
上記反応槽の凝縮水に添加される空気のナノバブルを生成するナノバブル生成装置と
を有することを特徴とする減圧発酵乾燥装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−75248(P2013−75248A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215390(P2011−215390)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】