説明

測位のためのシステムおよび方法

搬送信号およびベースバンド信号を含む変調連続波を送波するように構成された、近似範囲内で移動可能な送波装置と、送波装置によって送波された信号を受波し、かつ送波装置から受波した搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析に基づき、近似範囲内の送波装置の位置を決定するように構成された受波ユニットとを備えた、小空間測位のためのシステムが提供される。また、搬送信号およびベースバンド信号を含む変調連続波を送波装置から送波するステップと、送波装置によって送波された信号を、相互に予め定められた距離に配置された受波器により受波するステップと、送波装置から受波した搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析に基づいて近似範囲内で送波装置の位置を決定するステップとを含み、送波装置および受波器の一方が近似範囲内で移動可能であり、他方が予め定められた位置に配置された、小空間測位のための方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許仮出願第60/907280号(2007年3月27日出願)の米国特許法第119条(e)項に基づく特典を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、その一部の実施形態では、測位システムおよび方法に関し、さらに詳しくは、小空間測位システムおよび方法に関するが、それに限定されない。
【背景技術】
【0003】
小空間測位、数メートル以下の空間内の測位の分野は公知である。小空間測位システムを利用する公知の用途は、コンピュータインタラクション用のポインティングデバイス、ロボット工学、および機械制御システムのみならず、玩具および在庫管理用のコンピュータインタラクションをも含む。特定の用途は2Dソリューションを必要とする場合があり、他の用途は3Dソリューションを必要とする場合がある。ポインティングデバイスなどの特定の用途は片方向通信を必要とする場合がある一方、他の用途、例えばロボット工学用途は、双方向通信を必要とする場合がある。
【0004】
デジタル筆記具、例えばデジタルペンは一般的に、コンピュータインタラクション用のペンストロークを捕捉しかつデジタル化するために使用される。公知のデジタルペンとして超音波式デジタルペンがある。一般的に、デジタルペンによって出力される超音波パルス信号は受波器によって検知され、受波器の出力から決定される距離は三角測量され、絶対ペン位置と相関される。一般的に位置測定は、見通し線(LOS)における送信パルスの飛行時間(TOF)の測定に基づく。TOFは一般的に、クロックの不正確さおよび/またはドリフトを補償するために、送波器と受波器との間の正確な同期を必要とする。
【0005】
Epos Technologies Ltdに譲渡され、「Acoustic Robust Synchronization Signaling For Acoustic Positioning System」と称し、その内容を参照によって本書に組み込むAltman Nathanの国際特許出願公開第WO2005111653号は、位置要素および測位装置を記載しており、位置要素は、連続的に変調される音響波形および少なくとも2つの同期パケットのシーケンスである同期信号を送波し、各同期パケットは連続的に変調される音響波形のためのタイミングデータを担持する。加えて、同期信号は時間ホッピングを使用して、複数の位置要素の同時測位をサポートする。
【0006】
Epos Technologies Ltdに譲渡され、「Method And System For Obtaining Positioning Data」と称し、その内容を参照によって本書に組み込むAltman NathanおよびEliashiv Odedの国際特許出願公開第WO03088136号は、位置を固定するために復号可能な略連続的超音波を放出するための第1エミッタと、位置の固定を可能にする仕方で波形を検出し、かつ位置固定能力を維持する仕方で計算のために波形を出力するための検出器配列とを含む、位置を得るための位置要素を記載している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一部の実施形態の態様では、小空間測位のためのシステムおよび方法を提供する。そのようなシステムは、公知のシステムに比べて精度の改善および/または曖昧性の低減をもたらす。
【0008】
本発明の一部の実施形態の態様は、搬送信号およびベースバンド信号を含む変調連続波を送波するように構成された、近似範囲内で移動可能な送波装置と、送波装置によって送波された信号を受波し、かつ送波装置から受波した搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析に基づき、近似範囲内の送波装置の位置を決定するように構成された受波ユニットとを備えた、小空間測位のためのシステムを提供することである。
【0009】
任意選択的に、搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析は、搬送信号の位相解析を含む。
【0010】
任意選択的に、受波ユニットは検出器を含み、検出器は、受波ユニットによって受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関を実行するように構成される。
【0011】
任意選択的に、変調連続波は予め定められ、予想変調連続波は送波装置によって送波された変調連続波のレプリカである。
【0012】
任意選択的に、受波ユニットは、受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関からベースバンド信号および搬送信号の相関曲線を決定するように構成される。
【0013】
任意選択的に、受波ユニットは、絶対相関曲線における少なくとも1つのピークおよび実相関曲線における少なくとも1つのピークを決定するように構成される。
【0014】
任意選択的に、受波ユニットは少なくとも1つの受波器を含み、受波ユニットは、送波装置と少なくとも1つの受波器との間の見通し距離を決定するように構成される。
【0015】
任意選択的に、実相関曲線におけるピークと実質的に整列する絶対相関曲線のピークは、少なくとも1つの受波器と送波装置との間の最尤見通し距離に対応する。
【0016】
任意選択的に、システムは、実相関曲線における複数のピークから少なくとも1つのピークを選択するように構成された曖昧性レゾルバを備える。
【0017】
任意選択的に、複数のピークは、その相関曲線が相互に重畳する幾つかの遅延信号を含む受波信号から得られる。
【0018】
任意選択的に、システムは曖昧性レゾルバを備え、曖昧性レゾルバは、複数のピークから絶対相関曲線のピークに最も近いピークを識別するように、または複数のピークから適切なピークが無いことを決定するように構成される。
【0019】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、複数のピークから絶対相関曲線における上昇エネルギに最も近いピークを識別するように構成される。
【0020】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、決定された見通し距離の履歴追跡に基づき、複数のピークからピークを識別するように構成される。
【0021】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、決定された見通し距離の経時的な速度追跡に基づき、複数のピークからピークを識別するように構成される。
【0022】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、見通し線の速度の経時的な加速度追跡に基づき、複数のピークからピークを識別するように構成される。
【0023】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、様々な受波器から算出される可能な見通し距離を比較するように構成される。
【0024】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、受波した変調連続波に適合する重畳波の最小分散または最大尤度を決定するように構成される。
【0025】
任意選択的に、曖昧性レゾルバは、複数のピークの少なくとも一部分に割り当てられるスコアに基づいて、複数のピークからピークを識別するように構成される。
【0026】
任意選択的に、スコアは、曖昧性レゾルバによって算出された1つ以上の予め定められたパラメータの値に基づく。
【0027】
任意選択的に、受波ユニットは、送波器と少なくとも1つの受波器との間の最尤見通し距離を解読するように構成され、受波器によって受波される信号は、送波装置によって送波される信号のマルチパシングのため、相互に重畳する近接範囲の幾つかの遅延信号を含む。
【0028】
任意選択的に、受波ユニットは、搬送信号波長の10分の1程度の精度内で位置を決定するように構成される。
【0029】
任意選択的に、異なるシステムには異なるベースバンド信号が使用される。
【0030】
任意選択的に、受波ユニットは、送波装置によって送波されるベースバンド信号に関する情報を格納するように構成される。
【0031】
任意選択的に、受波ユニットは、システムの送波装置から送波される搬送周波数による変調信号と他の送波装置から送波される搬送周波数による変調信号とをベースバンド信号に基づいて区別するように構成される。
【0032】
任意選択的に、受波ユニットは、システムの伝達関数に基づいて予想変調連続波を調整するように構成された、少なくとも1つの較正パラメータを格納するように構成される。
【0033】
任意選択的に、較正パラメータは、位相応答、振幅応答、および群遅延を含む群から選択される。
【0034】
任意選択的に、変調連続波は音響波である。
【0035】
任意選択的に、変調連続波は超音波である。
【0036】
任意選択的に、変調連続波は、空気以外の媒体を透過するように構成された1〜18MHzの範囲内の超音波である。
【0037】
任意選択的に、変調連続波はRF波である。
【0038】
任意選択的に、搬送信号の周波数は、変調連続波のベースバンド信号の周波数と同程度の大きさである。
【0039】
任意選択的に、受波ユニットは、離隔され各々が予め定められた位置に配置された少なくとも2つの受波器を含む。
【0040】
任意選択的に、システムは、送波装置と少なくとも2つの受波器からの2つの受波器の各々との間の見通し距離の三角測量に基づき、送波装置の位置を決定するように構成される。
【0041】
任意選択的に、送波装置はさらに同期信号を送波するように構成され、同期信号は飛行時間遅延の開始を規定する。
【0042】
任意選択的に、同期信号はIR信号である。
【0043】
任意選択的に、同期信号はRF信号である。
【0044】
本発明の一部の実施形態の態様は、搬送信号およびベースバンド信号を含む変調連続波を送波装置から送波するステップと、送波装置によって送波された信号を、相互に予め定められた距離に配置された受波器により受波するステップと、送波装置から受波した搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析に基づいて近似範囲内で送波装置の位置を決定するステップとを含み、送波装置および受波器の一方が近似範囲内で移動可能であり、他方が予め定められた位置に配置された、小空間測位のための方法を提供することである。
【0045】
任意選択的に、送波装置は近似範囲内で移動可能であり、受波器は予め定められた位置に配置される。
【0046】
任意選択的に、搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析は搬送信号の位相解析を含む。
【0047】
任意選択的に、該方法は、受波ユニットによって受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関を実行するステップを含む。
【0048】
任意選択的に、変調連続波は予め定められ、予想変調連続波は送波された変調連続波のレプリカである。
【0049】
任意選択的に、該方法は、受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関から絶対相関曲線および実相関曲線を決定するステップを含む。
【0050】
任意選択的に、該方法は、絶対相関曲線におけるピークおよび実相関曲線におけるピークを決定するステップを含む。
【0051】
任意選択的に、該方法は、送波装置と少なくとも1つの受波器との間の見通し距離を決定するステップを含む。
【0052】
任意選択的に、実相関曲線におけるピークと実質的に整列する絶対相関曲線におけるピークは、少なくとも1つの受波器と送波装置との間の最尤見通し距離に対応する。
【0053】
任意選択的に、該方法は、実相関曲線における複数のピークからピークを選択するステップを含む。
【0054】
任意選択的に、複数のピークは、相関曲線が相互に重畳する幾つかの遅延信号を含む受波信号から得られる。
【0055】
任意選択的に、該方法は、複数のピークから絶対相関曲線のピークに最も近いピークを識別するステップを含む。
【0056】
任意選択的に、該方法は、複数のピークから絶対相関曲線における上昇エネルギに最も近いピークを識別するステップを含む。
【0057】
任意選択的に、該方法は、決定された見通し距離の履歴追跡に基づいて複数のピークからピークを識別するステップを含む。
【0058】
任意選択的に、該方法は、決定された見通し距離の経時的な速度追跡に基づいて複数のピークからピークを識別するステップを含む。
【0059】
任意選択的に、該方法は、異なる受波器から算出された可能な見通し距離を比較するステップを含む。
【0060】
任意選択的に、該方法は、受波した変調連続波に適合する重畳波の最小分散または最大尤度を決定するステップを含む。
【0061】
任意選択的に、該方法は、複数のピークの少なくとも一部分に割り当てられるスコアに基づいて、複数のピークからピークを識別するステップを含む。
【0062】
任意選択的に、スコアは1つ以上の予め定められたパラメータの計算値に基づく。
【0063】
任意選択的に、該方法は、送波器と受波器との間の最尤見通し距離を解読するステップを含み、受波器によって受波される信号は、送波装置によって送波される信号のマルチパシングのため、相互に重畳する近接範囲の幾つかの遅延信号を含む。
【0064】
任意選択的に、該方法は、搬送信号の波長の10分の1程度の精度で位置を決定するステップを含む。
【0065】
任意選択的に、該方法は、異なる送波装置から送波された信号を区別するステップを含む。
【0066】
任意選択的に、区別は、予想ベースバンド信号と受波したベースバンド信号との比較に基づく。
【0067】
任意選択的に、該方法は、予想変調連続波のテンプレートを迅速に(on the fly)調整するステップを含む。
【0068】
任意選択的に、調整は、受波した変調連続波の品質の定量的尺度に基づく。
【0069】
任意選択的に、定量的尺度は変調連続波と予想変調連続波との間の相関からの相関スコアである。
【0070】
任意選択的に、変調連続波は音響波である。
【0071】
任意選択的に、変調連続波は超音波である。
【0072】
任意選択的に、変調連続波は、空気以外の媒体を透過するように構成された1〜18MHzの範囲内の超音波である。
【0073】
任意選択的に、変調連続波はRF波である。
【0074】
任意選択的に、搬送信号の周波数は変調連続波のベースバンド信号の周波数と同程度である。
【0075】
任意選択的に、該方法は、送波装置と、送波装置から送波された信号を受波するように構成された2つの受波器の各々との間の見通し距離の三角測量を実行するステップを含む。
【0076】
任意選択的に、該方法は、飛行時間遅延の開始を規定する同期信号を送波するステップを含む。
【0077】
任意選択的に、同期信号はIR信号である。
【0078】
任意選択的に、同期信号はRF信号である。
【0079】
別途定義されない限り、本書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、例示的な方法および/または材料が下記に記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0080】
本発明の実施形態の方法および/またはシステムを実行することは、選択されたタスクを、手動操作で、自動的にまたはそれらを組み合わせて実行または完了することを含んでいる。さらに、本発明の装置、方法および/またはシステムの実施形態の実際の機器や装置によって、いくつもの選択されたステップを、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェア、あるいはオペレーティングシステムを用いるそれらの組合せによって実行できる。
【0081】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップまたは回路として実施されることができる。ソフトウェアとして、本発明の実施形態により選択されたタスクは、コンピュータが適切なオペレーティングシステムを使って実行する複数のソフトウェアの命令のようなソフトウェアとして実施されることができる。本発明の例示的な実施形態において、本書に記載される方法および/またはシステムの例示的な実施形態による1つ以上のタスクは、データプロセッサ、例えば複数の命令を実行する計算プラットフォームで実行される。任意選択的に、データプロセッサは、命令および/またはデータを格納するための揮発性メモリ、および/または、命令および/またはデータを格納するための不揮発性記憶装置(例えば、磁気ハードディスク、および/または取り外し可能な記録媒体)を含む。任意選択的に、ネットワーク接続もさらに提供される。ディスプレイおよび/またはユーザ入力装置(例えば、キーボードまたはマウス)も、任意選択的にさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
本書では本発明のいくつかの実施形態を単に例示し添付の図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の実施形態を例示考察することだけを目的としていることを強調するものである。この点について、図面について行う説明によって、本発明の実施形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
【図1A】図1Aは、本発明の一部の実施形態に係る小空間測位システムを示す簡易ブロック図である。
【図1B】図1Bは、本発明の一部の実施形態に係る、3つの受波器を含む小空間測位システムを示す簡易ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一部の実施形態に係る、位置を決定するための簡易データ流れ図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る受波信号および予想信号の相関曲線の絶対部、虚部、および実部の概略図である。
【図4A−B】図4Aおよび4Bは、本発明の一部の実施形態に係る、マルチパス信号の存在のため生じることのある潜在的曖昧性を示す例示的相関曲線である。
【図4C】図4Cは、本発明の一部の実施形態に係る、マルチパス信号の存在のため生じることのある潜在的曖昧性を示す例示的相関曲線である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る、マルチパス信号の振幅、マルチパス信号の遅延、および最強ピークに対するLOSの位置の間の関係を示す例示的マップである。
【図6】図6は、LOS信号に重畳される複数のマルチパス信号から得られる自己相関曲線の例示的絶対部および実部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明は、その一部の実施形態では、測位システムおよび方法に関し、さらに詳しくは、小空間測位システムおよび方法に関するが、それに限定されない。
【0084】
一部の実施形態では、小空間測位システムの精度を改善するためのシステムおよび方法を提供する。本発明の一部の実施形態では、小空間測位システムは、離隔配置された少なくとも2つの受波器に変調連続信号を送波する。任意選択的に、同期信号も送波される。変調連続信号は、搬送信号に埋め込まれた予め定められたベースバンド信号を含む。本発明の一部の実施形態では、予想変調信号と受波された変調信号との間で算出される相互相関に基づいて、TOFおよび/またはLOS距離が決定される。本書で使用する場合、相互相関という用語は、信号を比較することのできる任意の比較関数、例えば最小分散、最小絶対誤差等を意味する。任意選択的に、同期信号は変調連続信号と共に送波され、TOF遅延の開始を定義する。
【0085】
本発明の実施形態では、例えばダウンコンバージョンを除去および/または実行することなく、かつ搬送信号の低域フィルタの有無に関係なく、搬送信号およびベースバンド信号の両方で相互相関が実行される。本発明の一部の実施形態では、予想搬送波形および受波搬送波形の相互相関は、搬送信号の位相解析の実行を容易化する。
【0086】
本発明の一部の実施形態では、ベースバンド(BB)信号は、搬送信号の波長に対応する程度の精度で測位をもたらす一方、搬送信号の位相解析は、その波長内の位置に関する情報を提供することによって精度を改善する。
【0087】
本発明の一部の実施形態では、本書に記載するシステムおよび方法は、音響測位システムに対して得られる精度の改善を容易化する。本発明の一部の実施形態では、搬送信号の波長の約1000分の1程度の精度を達成することができる。一般的に、精度は信号対雑音比(SNR)によって制限される。無限SNRでは、精度も無限であり得る。実際には、SNRは20dBにまで上ることがあり、精度に関して依然として非常に良い結果をもたらすことがある。発明者は、本書に記載するシステムの精度の制限因子がSNRではない(それが充分に高い場合、例えば一般的に15dB超の場合)ことを見出した。制限因子は、オフィス/ホーム環境でさえもわずかに変動する音の速度の繰返し性である。音の速度の小さいゆらぎはシステムの精度を制限する。
【0088】
一部の例示的実施形態では、搬送信号およびBB信号は、搬送信号がBB信号の周波数範囲内および/またはBB信号と同程度の周波数になるように選択される。
【0089】
一部の例示的実施形態では、搬送信号およびBB信号は音響信号であり、超音波(US)周波数範囲内に存する。他の例示的実施形態では、搬送信号およびベースバンド信号は電磁波であり、RF範囲内に存する。
【0090】
本発明の一部の実施形態では、マルチパス信号の存在下でLOS距離を決定するときに、曖昧性を解消するためのシステムおよび方法を提供する。曖昧性は相関曲線、例えば原信号およびマルチパス信号の相関曲線の重なり合いによるものであり、原LOSピークの識別を困難にする。
【0091】
本発明の実施形態によると、マルチパス信号への暴露中に、最尤測位を決定するために1つまたはそれ以上のパラメータが算出される。一部の例示的実施形態では、複数の定義されたパラメータに基づいて最尤測位を決定するために、スコアリングシステムが使用される。一部の例示的実施形態では、相関のエンベロープおよび実部における曖昧性を解消するためにピークの解析が実行される。一部の例示的実施形態では、曖昧性を解消するために履歴追跡が実行される。一部の例示的実施形態では、曖昧性を解消するために速度追跡が実行される。一部の例示的実施形態では、曖昧性を解消するために、受波器の各々で受波された信号間の比較が実行される。
【0092】
ここで、本発明の一部の実施形態に係る小空間測位システムを記載する簡易ブロック図を示す図1Aを参照する。本発明の一部の実施形態では、測位システム100は一般的に、その位置が近似範囲内で、例えば定義された領域内で決定される移動可能なかつ/または可搬性の送波装置110、およびその定義された領域内で送波装置110によって送波された信号を捕捉するため、かつ受波信号のTOF解析に基づいて送波装置の位置を決定するための受波装置120を含む。一般的には、受波装置120は静止している。
【0093】
本発明の実施形態では、送波装置110は予め定められた変調連続信号112を送波する。受波装置120の1つ以上の受波器、例えば受波器121および受波器122は、送波装置110によって送波された信号を捕捉する場合がある。受波信号は、搬送波およびBB相関器152を用いて、予想信号、例えば受波器側に予め格納された所定の変調連続信号のレプリカ(または受波器側における算出信号または受波器による捕捉信号)と比較される。一般的に、搬送波およびBB相関器は処理ユニット160と一体的である。予め定められた変調連続信号のテンプレート、モデル、および/または特徴は一般的に、メモリ151、例えば不揮発性メモリに予め格納される。本書で使用する場合、テンプレートとは、数学的系列からデジタル化入力データまで予想される信号のフルモデルである。一部の例示的実施形態では、基準モデル、例えばテンプレートは、算出基準の「開始点」として使用することができる。各システムは伝達関数に関して送波器と受波器との間で少し異なる場合がある。一部の例示的実施形態では、受波器は、テンプレートを「迅速に」または特別な較正モードで調整することによって、これらの相違を受け入れることができる。この目的のために、受波信号の品質の定量的尺度が実現される場合がある。1つの例示的実施形態では、定量的尺度は相関スコアである。一部の例示的実施形態では、信号の品質を定義するために、相関スコアの予め定められた閾値が実現される。例えば相関スコアが予め定められた閾値を超える場合、システムは受波信号を用いてテンプレートを調整することができる。
【0094】
任意選択的に、送波装置110は同期信号116をも送波し、それは同期受波器123によって検出され、受波した変調信号112のTOFを決定するために遅延カウントをプロンプトするために、処理ユニット160によって実現される。一部の例示的実施形態では、同期信号116はIR信号である場合があり、同期受波器123はIR検出器である場合がある。他の例示的実施形態では、RF信号が同期のために使用される場合がある。一般的に、同期ユニットは、測位システム100の寸法に対して略零のTOFを有する。TOFは一般的に、変調信号の伝搬速度のみならず、送波装置110と受波装置120との間の距離にも基づく。
【0095】
受波器121および122は、送波装置110から信号および/または複数の信号を受波する。一般的に、受波器121および122は静止し、離隔され、予め定められた位置に配置される。1つの例示的実施形態では、受波器121および122は、コンピューティングデバイス、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話装置、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)の縁に沿って配置される。本発明の一部の実施形態では、受波器121および122はマイクロフォンであってよい。本発明の実施形態では、受波器121および122と電気的または論理的通信状態にある搬送波およびBB相関器152は、BB信号をその搬送波から抽出することなく、かつ/または搬送信号と共に、受波した変調信号および予想変調信号を相互相関させる回路構成を含む。一般的に、予想変調信号のテンプレートは受波信号との相互相関のために実現される。
【0096】
受波した同期信号は、遅延の開始を設定するため、かつモバイルユニットと基地局との間でクロックを同期させるためにも利用される。プロセッサ160は、搬送波およびベースバンド信号の相互相関結果に基づいて測位を決定する。本発明の一部の実施形態では、各受波ユニットは専用の搬送波およびBB相関器152に関連付けられる。本発明の代替的実施形態では、搬送波およびBB相関器ならびに/またはその機能は、例えば測位システムに関連付けられたパーソナルコンピュータまたはコンピューティングデバイス内の処理ユニット160と一体的である。本発明の一部の実施形態では、プロセッサ160は高速フーリエ変換(FFT)能力を含み、受波信号の位相および振幅解析を実行するために使用される。本発明の一部の実施形態では、メモリユニット151はメモリ能力、例えば受波信号からの情報、予想変調連続信号のパラメータ、および/または他の情報を格納するメモリ能力を含む。メモリユニット151は、揮発性メモリのみならず、不揮発性メモリをも含むことができる。一部の例示的実施形態では、メモリユニット151は、特定のハードウェアセット、例えば受波器および送波器の機能、例えば伝達関数に基づき、テンプレートを調整するために実現される1つ以上の較正パラメータを格納する。例示的較正パラメータは、数あるパラメータの中でも特にテンプレートの位相、振幅、および群遅延を含むことができる。
【0097】
本発明の一部の実施形態では、同期信号源116は、測位システム100の寸法に対して略零のTOFおよび/または到達時間(TOA)の信号源であってよい。例えば、同期信号はIR信号、RF信号、および/またはテザード信号であってよい。
【0098】
本発明の一部の実施形態では、同期信号116は、アンテナまたはIT送波器を介して送波され、変調連続信号112は別のアンテナを介して送波されてよい。一部の例示的実施形態では、同期信号116および変調連続信号112は単一アンテナを介して送波されてよい。
【0099】
本発明の一部の実施形態では、変調連続信号源112は、例えば超音波範囲で音響信号源であってよい。例えば、変調連続信号源116の信号範囲は、約20から80KHzの間で、かつ/または最高200KHzまで変動することがある。200KHzを超える周波数も音響信号に使用される場合があるが、発明者らは、音響信号の周波数が増大すると、LOSを喪失する傾向が高くなることを見出した。周波数の増大は、波長近傍またはそれより大きい寸法の小さいアーチファクトによる全体的な音響応答に対し、または送波信号の減衰率に対し影響を及ぼし、結果的にシステムの有効範囲が小さくなる場合がある。
【0100】
本発明の他の実施形態では、信号源112はRF信号源であってよい。一部の例示的実施形態では、RF信号源は、極超短波(UHF)範囲、例えば433MHz、868MHz、900MHz、915MHz、および2.4GHzの信号、および/または超広帯域(UWB)範囲、例えば3.1〜10.6GHzの信号を放出する場合がある。送波装置と受波装置との間の距離は、LOS上の送波装置から受波装置までの変調連続信号のTOF、例えば送波装置と受波装置との間の最短距離に基づいて決定される。2次元における送波装置の位置は、2つの受波器の各々から決定される距離の三角測量に基づいて決定することができる。3次元における位置を決定するために、3つ以上の受波器を使用することができ、例えば3つの受波器を使用することができる。
【0101】
一般的に、コンピュータポインティングデバイスの場合、かつ/またはデジタルペンシステムの場合、送波装置はポインティングデバイスおよび/またはペン内に埋め込まれ、取り付けられ、または他の仕方で組み込まれる一方、少なくとも2つの受波器は、送波信号を受波するために、所定の静止位置に配置される。受波信号に基づき、プロセッサ160は、搬送およびBB信号に基づいてTOFを算出し、かつ一般的に三角測量を実行して送波装置の位置を時間の関数として決定する。
【0102】
ここで、本発明の一部の例示的実施形態に係る、3つの受波器を含む小空間測位システムを示す簡易ブロック図を示す、図1Bを参照する。本発明の一部の実施形態では、測位システム101は、所定の位置にかつ相互に所定の距離にある3つの受波器121、122、および124を含む。一部の例示的実施形態では、受波器121、122、124は、単一面内に、たとえばディスプレイフレームの3つの点位置に配置される。代替的に、受波器121,122、および124のうちの1つは、異なる面内に配置されていてよい。一部の実施形態では、3つの受波器を実現することで、同期信号無しに位置を検出することが容易になる。一部の例示的実施形態では、位置は、3つの受波器間の時間遅延差を比較することによって決定される。
【0103】
一部の実施形態では、同期信号116は、例えばRFシステム用に、変調連続信号112に埋め込まれており、専用アンテナを必要としない。
【0104】
ここで、本発明の一部の実施形態に係る、位置を決定するための簡易データ流れ図を示す図2を参照する。本発明の実施形態では、2つ以上の受波器、例えば受波器121および122によって捕捉された信号は、受波信号の遅延解析を予め定められた周波数帯域内で実行することができるように、FFT210を受ける場合がある。本発明の一部の例示的実施形態では、受波器によって捕捉された信号は、FFTを実行する前にフィルタリングされ、かつ増幅されてよい。任意選択的に、同期信号を受波するために同期受波器123、例えばIR検出器が使用され、受波された音響信号の位相に対して固定した関係を有する信号を生成するために、タイミングデジタル位相ロックループ(DPLL)214を実現してよい。本発明の一部の実施形態では、受波器121および122から受波した信号のタイミング補正が、周波数ドメインで、受波変調信号と送波変調信号との間で検出された時間シフトに基づいて実行される。一般的に、補正された信号は、位置を決定するその後の処理のために、メモリ220に保存される。一部の例示的実施形態では、メモリ220はメモリ151と一体的である(図1)。タイミング補正がユニット212によって実行された後で、相関器は、223に格納されたテンプレートと入力データとの間の相互相関を実行する。本発明の一部の実施形態では、相関器240は、予想変調連続信号、例えばメモリ151(または図2のメモリ223)に保存された予め定められた変調連続信号を、メモリ220に保存された受波変調連続信号と相互相関するために実現される。本発明の一部の実施形態では、相関器216は、相関曲線のエンベロープおよび実部を算出し、エンベロープピークおよび実部のピークの位置に基づいて、TOFを決定することができる。本発明の一部の実施形態では、曖昧性レゾルバ218は、マルチパス信号、例えば相関エンベロープのマージを導くマルチパス信号の受波の結果生じる、LOS距離の決定における曖昧性を解消するために実現される。一部の実施形態では、TOFおよび/またはLOSの距離を決定する際に、以前のサンプルから格納された情報および/または他の受波器からの出力信号が考慮されてよい。格納されたデータは、1つ以上の定義されたパラメータ値、閾値、および/またはTOFの決定に有用な他の情報を含む場合がある。本発明の一部の実施形態では、格納されたデータはテーブル、例えば予想される信号、予め格納された信号、および/または基準信号のテーブルを含む場合がある。送波された音響信号の起点の位置は、受波器121および122から受波された信号から決定されるTOFに基づいて、座標推定器222によって決定されてよい。一部の例示的実施形態では、起点の位置は、予め定められた座標系内で、受波器の位置に対して相対的に画定される。
【0105】
本発明の一部の実施形態では、プロセッサ160はテンプレートを使用して、基準信号および/または予想信号のルックアップテーブルを構築し、それに照らして受波信号を比較して最良一致距離を見つけることができる。一部の実施形態では、予想される波形は、ナイキストレートでサンプリングされ、サンプリングポイント間のタイミングミスマッチは外挿関数によって克服して、距離を明らかにすることができる。本発明の一部の実施形態では、同期信号、例えばIR信号を使用して、遅延の開始が設定され、かつモバイルユニットと基地局との間でクロックも同期化される。音響信号が異なる角伝達関数を有することを当業者は理解されるであろう。本発明の一部の実施形態では、この現象を補償するために、基地局にイコライザを追加することができる。
【0106】
本発明の実施形態では、曖昧性検出器によって得られる最尤信号を使用して、テンプレート信号から最尤非零距離が識別される。本発明の一部の実施形態では、座標推定器222は、組み込まれる国際特許出願公開第WO03088136号に記載されたものと同様の最尤検出器を含む場合がある。
【0107】
本発明の一部の実施形態では、連続信号112は、
|ω|>B/2ではS(ω)=0、それ以外ではSL(ω)≠0
となるように、フーリエ変換SL(ω)を有する複合低域通過時間ドメイン信号S(t)により変調される。
【0108】
この信号の周波数ドメインにおける自己相関は次の通りである。

時間ドメインの自己相関関数cLL(t)は対称となることに注目されたい(周波数応答が実であるため)。
【0109】
両側帯域通過信号SBP(ω)は、S(ω)の周波数応答を搬送周波数ωの前後に(正および負周波数に)配置することによって同期化することができる。
【0110】
本発明の実施形態では、SBP(ω)の自己相関および/または相互相関は(ω≧B/2と仮定して)次のように表わすことができる。

時間ドメイン表現は次の通りである。

(ω)が対称的である場合、CLL(t)は実であることに注目されたい。
【0111】
一部の例示的実施形態では、両側SBP(ω)信号の代わりに、正周波数のみが情報を含む片側表現SBP+(ω)が使用される。
【0112】
この信号の自己相関は次の通りである。

B+PBP+(t)の絶対部は、BB信号の自己相関に対応する。フェーザ(複素指数)は、この応答に変調項を追加する。
【0113】
ここで、本発明の実施形態に係る、受波信号と予想信号との間の相互相関曲線の絶対部および実部の概略図を示す図3を参照する。相関曲線および/またはエンベロープ曲線310の絶対部は、ベースバンド自己相関を表わす一方、相関曲線320の実部は搬送信号相互相関を表す。図3から分かるように、搬送信号320の相関曲線は、ベースバンド信号310に対応する相関曲線より狭い。相関曲線320は、搬送信号に埋め込まれた追加位相情報を提供する。搬送信号320の相関曲線は狭いので、それはエンベロープ曲線310によって決定される波長内の距離のより正確な推定を可能にする。
【0114】
本発明の実施形態では、LOS信号の遅延は、線350が時間軸(X軸)と交わるときに発生し、エンベロープ曲線310の範囲内で相関曲線の実部のピークに対応する時に画定される。一部の例示的実施形態では、相関曲線330の虚部は、搬送信号に埋め込まれた追加の位相情報を提供するために使用することができる。一部の例示的実施形態では、相関の虚部および実部の両方が、位相情報を決定するために実現することができる。
【0115】
本発明の実施形態では、相関曲線のベースバンド部からの情報を、搬送波によって提供される位相情報と結合することにより、TOAのより正確な推定が可能になる。一般的に、例えば帯域幅が充分であるならば、ベースバンド信号は、波長程度の精度の情報を含む。搬送信号はより狭い帯域を有し、エンベロープによって画定される波長内に位相情報を提供する。ベースバンドおよび搬送波からの結果を結合することにより、曖昧性を生じることなく距離のより正確な推定が可能になり、結果的に搬送波との相関を使用するだけですむことを発明者らは見出した。
【0116】
本発明の一部の実施形態では、方形BB信号の理想的な自己相関結果は、sinc(x)の形を持つエンベロープ310、およびピークがエンベロープのピークと整列する搬送波320となる。sinc(x)はsin(x)/xを表わす。sinc(x)は信号の有限帯域幅による。sinc(x)の主ローブの幅は、信号の帯域幅に比例する。本発明の一部の実施形態では、搬送信号との相関を用いることにより、精度は10倍改善される。
【0117】
本発明の実施形態では、他のシステムに比べて改善された精度は、TOAおよび/またはTOFを決定するときに、搬送信号に埋め込まれた位相情報を考慮することによってもたらされる。例えばRF測位システムで測位のために変調連続信号を使用する公知のシステムでは、搬送信号は除去され、TOA、TOF、および/またはLOS距離を決定するときに考慮されない。
【0118】
本発明の実施形態では、搬送信号の周波数、例えば30〜60KHzは、帯域幅、例えば50〜100KHzとほぼ同程度である。サンプリングレートは一般的に帯域幅に基づいて、例えばエイリアシングを回避するために帯域幅の少なくとも2倍になるように決定されるので、一般的に実信号を決定するために使用されるサンプリング周波数は、利用可能なシステム、例えば音響小空間測位システムのサンプリングレートを著しく増大することなく、搬送信号情報を考慮することができるように、搬送信号をサンプリングするのにも適用可能である。
【0119】
一般的に、これは、搬送周波数が数百MHzの程度である一方、帯域幅がかなり小さいRFシステムの場合には当てはまらない。しかし、高いサンプリングレート、例えば3〜4GHzおよび/またはさらに高いレート、例えば6〜8GHzのサンプリングレートを持つ受波器を含む公知のRFシステムの場合、本書に記載するシステムおよび方法を用いて、搬送信号の位相情報を適用することもできる。
【0120】
本発明の一部の実施形態では、搬送信号は一般的にベースバンド信号より頑健であり、その位置とLOSを維持し、例えばマルチパス信号にもかかわらず、その位置とLOSを維持する。本発明の一部の実施形態では、搬送信号の頑健性のため、相関を決定するときに、BB信号に依存して相関を決定するシステムに比べて、測位システムの環境ノイズに対する感受性が低減される。
【0121】
ここで、本発明の一部の実施形態に係る、マルチパス信号の存在のため生じることのある潜在的曖昧性を示す例示的相関曲線の組を示す図4A〜4Cを参照する。本発明の一部の実施形態では、短距離マルチパス信号が存在する場合、幾つかの遅延信号は近接範囲内で検出器に到着し、相互に重畳し、それによって結果的に生じる相関曲線が不明瞭になる。本発明の実施形態では、マルチパス信号が存在するので、その対応する相関曲線450が見通し線(LOS)信号の相関曲線400から距離を置いて現われる場合、最大相関点410を示す相関の実部および絶対部におけるピークは明瞭であり、LOS距離を決定することができる(図4A)。LOSは信号が受波された最短距離であり、かつ/またはマルチパシング無しの送波器と受波器との間の距離である。最短距離は遅延410を持つ第1ピークによって表わされるので、この第1ピークがLOS信号を表わすことは明瞭である。
【0122】
本発明の実施形態では、曖昧性は短いマルチパス信号、例えば搬送信号の1波長の大きさ程度の距離からのマルチパス信号から生じることがある。マルチパス遅延460がLOS遅延410(図4B〜4C)に近づくにつれて、相関曲線の形状は、LOS信号410およびマルチパス信号460の相関曲線の重畳のため不明瞭になることがある。
【0123】
一般的に、図4Bに示す通り、近接マルチパシングが生じたときに、複数の潜在的LOSピーク、例えばピーク405および455が相関曲線の実部に見られ、どのピークがLOSに対応するかについての曖昧性を導くことがある。一見して、エンベロープ曲線499および実曲線488は、実曲線488がその最大ピーク455を有するとき460に、最大相関を指し示すように見えるが、LOSピークは遅延410で発生する。
【0124】
一部の例示的実施形態では、さらに近接したマルチパス信号が現われる場合(図4C)、LOS信号および遅延はさらに曖昧になり、実相関曲線における潜在的ピーク、例えばピーク406、407、および408はいずれも、遅延410に対応する原LOSピークに対応しない場合がある。信号の重畳は、LOSピークではないピークの増幅、および/またはLOSに対応するピークの減衰を導く場合がある。LOS距離に関する曖昧性にもかかわらず、最尤LOSピークを決定するために2つ以上の判断基準を検討することが必要になる場合がある。
【0125】
ここで、本発明の実施形態に係る、見通し線位置を識別するために使用され得る、単一マルチパス信号の振幅、単一マルチパス信号の遅延、および結果的に生じたピーク間の関係を表わすマップを示す図5を参照する。プロットは、近隣のピークと比較して最も近接したLOS実ピークの相対的高さを示す。1実施例では、凡例の0のスコアは、MP振幅がLOSより低く、MPの遅延が大きいことを示す。他方、3のスコアはMP振幅がLOS振幅と同じ高さまたはそれ以上の高さであり、LOSとMPとの間の遅延が比較的小さいことを示す。2のスコアは、最高ピークがLOSの右側に現われたことを示す。本発明者らは、MP振幅がLOSより高くなり始め、MP遅延が搬送波長の1.5倍より少し低いときに、このピークはその近隣より低くなることを見出した。これらの場合は、解決が難しい。図4Cは、1.2の振幅を持つMP信号および搬送波長の0.486倍のMP遅延を持つMP信号に対応するシミュレーション事例を示す。
【0126】
本発明の実施形態では、曖昧性レゾルバ218(図2)は、マルチパス信号の重畳から生じる曖昧性を解消するために実現される。ここで、LOS信号に重畳される複数のマルチパス信号から得ることのできる自己相関曲線の例示的絶対部および実部の概略図を示す図6を参照する。一見して、エンベロープ曲線499および実曲線488は、実曲線488がその最大ピーク462を持つとき469に、最大相関を指し示すように見える。本発明の一部の実施形態では、LOSピーク、例えばLOS距離に対応するピークを解読、推定、および/または選択するために1つ以上の基準および/またはパラメータが考慮され、かつ/または計算されてよい。一部の例示的実施形態では、エンベロープピーク499および搬送波ピーク462の間の距離が考慮されてよい。例えば、本発明者は、エンベロープピークに最も近い搬送波ピークがLOSピークであると予想することができることを見出した。例えば図6で、ピーク462は、エンベロープピーク461に最も近いのでLOSピークの強力な候補としてみなすことができる。加えて、または代替的に、エンベロープピークから予め定められた距離より先のピークは弱い候補として却下され、排除のプロセスによってLOSピークを選択することができる。例えばピーク425および430は弱い候補として却下することができる。
【0127】
さらに、エンベロープピークと搬送波ピークとの間の上述の距離は、最尤LOSピークを推定するために考慮される幾つかのパラメータおよび/または基準の1つにすぎない。考慮することのできる1つの他のパラメータは、ピークがエンベロープの上昇部または急上昇部に位置するか否かである。本発明者は、LOSピークがエンベロープ曲線の上昇エネルギ部に位置するピーク、例えば曲線420が上昇しているときの最も急な部分の第1ピークであると予想されることを見出した。例えばこのパラメータに基づいて、ピーク422がLOSピークであると決定することができる。
【0128】
本発明の一部の実施形態では、現在のサンプルで最尤LOSピークを選択するときに、以前のサンプルにおけるLOSピークに対応する位置および/または距離が考慮されてよい。一部の例示的実施形態では、現在の最尤LOSピークを決定するときに、近接マルチパスによる曖昧性が存在しない以前のサンプルで解読されたLOSピークに対応する位置および/または距離を、基準点として考慮しかつ使用することができる。例えば4つ前のサンプルで、サンプルにマルチパス曖昧性が無いのでLOSピークが受波器からの距離Aに対応することが明瞭である場合、どれが現在のサンプルの最尤距離およびしたがってLOSピークであるかを決定するために、そのサンプルを基準点として使用することができる。LOSピークの以前の位置、例えば曖昧性の無い位置に基づくLOSピークの位置の履歴追跡は、正しいLOSピークを選択する尤度を改善することができる。一部の例示的実施形態では、異なる可能性に対するスコアが決定され、最良のメトリックの可能性が、現在のサンプルの最尤LOSピークとして選択され得る。
【0129】
本発明の一部の実施形態では、LOSピークによって決定された距離の速度追跡を可能にするために、以前の信号と現在の信号との間の相互相関が実行される。本発明の一部の実施形態では、以前の信号と現在の信号との間の相互相関を使用して、速度追跡が実行されてよい。実現される用途に応じて、サンプリングポイント間の適正かつ/または有望な速度範囲を予め定めることができる。予め定められた範囲外の見込みの無い速度に対応するピークは、有望なLOSピークとして失格であり、かつ/または結果的に低いスコアになることがある。例えばペンデジタイザシステムでは、送波装置を移動させるために一般的に手の動きが使用される。手の動きの可能な範囲は公知であり、定められた時間に対するLOSの見込みの無い位置および/または位置の変化を除外するために使用することができる。一部の例示的実施形態では、以前にサンプルに対して予め定められた速度に基づいて、LOSピークにスコアを付与することができる。最良のスコアを持つ、例えば最尤速度を持つLOSピークは、最尤LOSピークとして選択することができる。2つのサンプル、例えば隣接するサンプル間で、かつ/または複数のサンプル間で、速度追跡を実行することができる。一部の例示的実施形態では、曖昧性を持たない以前のサンプルを用いて、速度追跡を実行することができる。
【0130】
本発明の一部の実施形態では、別の受波器から得られた情報を使用して、最尤LOSピークを解読することができる。一部の例示的実施形態では、2つの受波器、例えば受波器121および122(図1)から受波した入力信号間の相互相関を実行して、最尤LOSピークを決定することができる。本発明者らは、マルチパシングによる曖昧性が一般的に、両方の受波器に対して同時にかつ/または同様には影響を及ぼさないことを見出した。本発明の一部の例示的実施形態では、各入力信号は、別の受波器および/または受波信号のためのテンプレートとして実現することができる。各受信器からの結果を比較したときに、追加情報が加えられ、位置の曖昧さを排除かつ/または低減することができる。
【0131】
上記パラメータのいずれかのみならず、他のパラメータも、最尤LOSピークを決定するために単独で、または組み合わせて使用することができる。一部の例示的実施形態では、各パラメータが各ピークにスコアを与えるように、異なるパラメータ値に基づいてスコアリングシステムを使用し、次いで最高(または最低)スコアを持つものをLOSピークとして選択する。パラメータの各々に重み付けを適用することができる。例えば重要なパラメータには、他のパラメータと比べてより大きい重みを与えることができる。一部の実施形態では、最高スコアを得たピークを最尤LOSピークであると決定することができる。代替的に、スコアリングシステムは、最低スコアを得たピークが最尤LOSピークとして選択されかつ使用されるように定義される。
【0132】
一部の実施形態では、最尤LOSピークの解読を補助するために、他のパラメータおよび/または追加パラメータが考慮されてよい。
【0133】
本発明者らは、音響測位の場合、US周波数範囲の送波信号を使用すると有利であることを見出した。US波は音響スペクトルの高端部に位置する。一般的に高い周波数の搬送信号の場合、高い精度を得ることができる。別の利点は、US送波器が他の音響送波器と比較して、かつ/またはRF送波器と比較して、我々の一般的な環境であまり目立たないので、US波が一般的に、環境ノイズからの干渉に対する感受性が低いことである。追加US送波器および/またはUS信号が周囲環境に現われた場合、周波数が高いほど減衰率が大きくなるので、それらは一般的に他の音響波より速く減衰する。US測位システムの別の利点は、必要な送波エネルギ量について、US送波器および/または受波器が一般的に他の信号送波器および/または受波器より小さいことである。加えて、US周波数範囲は人間には聞こえないので、音響測位システムに使用される他の音響範囲より、ユーザインタラクションにとってより実用的である。一部の例示的実施形態では、実現される音響周波数の範囲は、より高い範囲の信号の場合LOSの一時的な損失に対する感受性がより大きいので、制限することができる。
【0134】
システムおよび方法を主に20〜100KHzの範囲の音響信号について記載したが、本書に記載するシステムおよび方法は、一般的により高い周波数、例えば肝臓および腎臓などの深部構造用に1〜6MHz、または筋肉、腱、胸部、精巣、および新生児脳などの構造用に7〜18MHzを適用する医用超音波システムにも適用可能である。加えて、本書に記載するシステムおよび方法はRFシステムにも適用可能である。
【0135】
本発明の実施形態では、本書に記載するシステムおよび方法は、マルチユーザに、例えば相互に近接して作業する複数のユーザに容易に適応することができる。本発明の一部の実施形態では、各送波装置110は、専用検出器151および152(図1)によって認識することのできる独自の変調連続信号を送波することができる。一部の例示的実施形態では、異なる送波装置の搬送信号は、異なるユーザに対し異なるベースバンド信号によって変調することができる。各受波器および/または検出器は、その関連送波器に対応するベースバンドパターンを認識することができる。例えば認識は、ベースバンド信号の信号解析によって可能になる。予想ベースバンド信号の定義された特性を持たない受波信号は無視し、かつ/またはTOF解析から除外することができる。TOFはベースバンドおよび搬送波情報の両方によって決定されるので、TOFの検出および/または推定の精度を犠牲にすることなく、異なる信号を実現することができる。
【0136】
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連する検出回路および処理回路が開発されることが予想され、検出器および処理器(プロセッサ)の用語の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
【0137】
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0138】
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、かつそれらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0139】
用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、特許請求される組成物、方法、または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法、または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
【0140】
本開示を通して、本発明の様々な実施形態が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1〜6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
【0141】
数値範囲が本書で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
【0142】
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施形態に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の各種の特徴は、別個にまたは適切なサブコンビネーションで、または本発明の他の実施形態において好適に提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送信号およびベースバンド信号を含む変調連続波を送波するように構成された、近似範囲内で移動可能な送波装置と、送波装置によって送波された信号を受波し、かつ送波装置から受波した搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析に基づき、近似範囲内の送波装置の位置を決定するように構成された受波ユニットとを備えた、小空間測位のためのシステム。
【請求項2】
搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析は、搬送信号の位相解析を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
受波ユニットは検出器を含み、検出器は、受波ユニットによって受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関を実行するように構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
変調連続波は予め定められ、予想変調連続波は送波装置によって送波された変調連続波のレプリカである、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
受波ユニットは、受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関からベースバンド信号および搬送信号の相関曲線を決定するように構成される、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
受波ユニットは、絶対相関曲線における少なくとも1つのピークおよび実相関曲線における少なくとも1つのピークを決定するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
受波ユニットは少なくとも1つの受波器を含み、受波ユニットは、送波装置と少なくとも1つの受波器との間の見通し距離を決定するように構成される、請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
実相関曲線におけるピークと実質的に整列する絶対相関曲線のピークは、少なくとも1つの受波器と送波装置との間の最尤見通し距離に対応する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
実相関曲線における複数のピークから少なくとも1つのピークを選択するように構成された曖昧性レゾルバを備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
複数のピークは、相関曲線が相互に重畳する幾つかの遅延信号を含む受波信号から得られる、請求項8または9に記載のシステム。
【請求項11】
曖昧性レゾルバを備え、曖昧性レゾルバは、複数のピークから絶対相関曲線のピークに最も近いピークを識別するように、または複数のピークから適切なピークが無いことを決定するように構成される、請求項9または10に記載のシステム。
【請求項12】
曖昧性レゾルバは、複数のピークから絶対相関曲線における上昇エネルギに最も近いピークを識別するように構成される、請求項9〜11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
曖昧性レゾルバは、決定された見通し距離の履歴追跡に基づき、複数のピークからピークを識別するように構成される、請求項9〜12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
曖昧性レゾルバは、決定された見通し距離の経時的な速度追跡に基づき、複数のピークからピークを識別するように構成される、請求項9〜13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
曖昧性レゾルバは、見通し線の速度の経時的な加速度追跡に基づき、複数のピークからピークを識別するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
曖昧性レゾルバは、様々な受波器から算出される可能な見通し距離を比較するように構成される、請求項9〜14のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
曖昧性レゾルバは、受波した変調連続波に適合する重畳波の最小分散または最大尤度を決定するように構成される、請求項9〜16のいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
曖昧性レゾルバは、複数のピークの少なくとも一部分に割り当てられるスコアに基づいて、複数のピークからピークを識別するように構成される、請求項9〜17のいずれかに記載のシステム。
【請求項19】
スコアは、曖昧性レゾルバによって算出された1つ以上の予め定められたパラメータの値に基づく、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
受波ユニットは、送波器と少なくとも1つの受波器との間の最尤見通し距離を解読するように構成され、受波器によって受波される信号は、送波装置によって送波される信号のマルチパシングのため、相互に重畳する近接範囲の幾つかの遅延信号を含む、請求項7〜19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
受波ユニットは、搬送信号波長の10分の1程度の精度内で位置を決定するように構成される、請求項1〜20のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
異なるシステムには異なるベースバンド信号が使用される、請求項1〜21のいずれかに記載のシステム。
【請求項23】
受波ユニットは、送波装置によって送波されるベースバンド信号に関する情報を格納するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
受波ユニットは、システムの送波装置から送波される搬送周波数による変調信号と他の送波装置から送波される搬送周波数による変調信号とをベースバンド信号に基づいて区別するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
受波ユニットは、システムの伝達関数に基づいて予想変調連続波を調整するように構成された、少なくとも1つの較正パラメータを格納するように構成される、請求項1〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項26】
較正パラメータは、位相応答、振幅応答、および群遅延を含む群から選択される、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
変調連続波は音響波である、請求項1〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項28】
変調連続波は超音波である、請求項1〜27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
変調連続波は、空気以外の媒体を透過するように構成された1〜18MHzの範囲内の超音波である、請求項1〜28のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
変調連続波はRF波である、請求項1〜24のいずれかに記載のシステム。
【請求項31】
搬送信号の周波数は、変調連続波のベースバンド信号の周波数と同程度の大きさである、請求項1〜30のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
受波ユニットは、離隔され各々が予め定められた位置に配置された少なくとも2つの受波器を含む、請求項1〜31のいずれかに記載のシステム。
【請求項33】
送波装置と少なくとも2つの受波器からの2つの受波器の各々との間の見通し距離の三角測量に基づき、送波装置の位置を決定するように構成される、請求項1〜32のいずれかに記載のシステム。
【請求項34】
送波装置はさらに同期信号を送波するように構成され、同期信号は飛行時間遅延の開始を規定する、請求項1〜33のいずれかに記載のシステム。
【請求項35】
同期信号はIR信号である、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
同期信号はRF信号である、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
搬送信号およびベースバンド信号を含む変調連続波を送波装置から送波するステップと、
送波装置によって送波された信号を、相互に予め定められた距離に配置された受波器により受波するステップと、
送波装置から受波した搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析に基づいて近似範囲内で送波装置の位置を決定するステップと
を含み、送波装置および受波器の一方が近似範囲内で移動可能であり、他方が予め定められた位置に配置された、小空間測位のための方法。
【請求項38】
送波装置は近似範囲内で移動可能であり、受波器は予め定められた位置に配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
搬送信号およびベースバンド信号の両方の解析は搬送信号の位相解析を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
受波ユニットによって受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関を実行するステップを含む、請求項37または39に記載の方法。
【請求項41】
変調連続波は予め定められ、予想変調連続波は送波された変調連続波のレプリカである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
受波された変調連続波と予想変調連続波との間の相関から絶対相関曲線および実相関曲線を決定するステップを含む、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
絶対相関曲線におけるピークおよび実相関曲線におけるピークを決定するステップを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
送波装置と少なくとも1つの受波器との間の見通し距離を決定するステップを含む、請求項37〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
実相関曲線におけるピークと実質的に整列する絶対相関曲線におけるピークは、少なくとも1つの受波器と送波装置との間の最尤見通し距離に対応する、請求項37〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
実相関曲線における複数のピークからピークを選択するステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
複数のピークは、相関曲線が相互に重畳する幾つかの遅延信号を含む受波信号から得られる、請求項45または46に記載の方法。
【請求項48】
複数のピークから絶対相関曲線のピークに最も近いピークを識別するステップを含む、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
複数のピークから絶対相関曲線における上昇エネルギに最も近いピークを識別するステップを含む、請求項46〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
決定された見通し距離の履歴追跡に基づいて複数のピークからピークを識別するステップを含む、請求項46〜49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
決定された見通し距離の経時的な速度追跡に基づいて複数のピークからピークを識別するステップを含む、請求項46〜50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
異なる受波器から算出された可能な見通し距離を比較するステップを含む、請求項46〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
受波した変調連続波に適合する重畳波の最小分散または最大尤度を決定するステップを含む、請求項46〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
複数のピークの少なくとも一部分に割り当てられるスコアに基づいて、複数のピークからピークを識別するステップを含む、請求項46〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
スコアは1つ以上の予め定められたパラメータの計算値に基づく、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
送波器と受波器との間の最尤見通し距離を解読するステップを含み、受波器によって受波される信号は、送波装置によって送波される信号のマルチパシングのため、相互に重畳する近接範囲の幾つかの遅延信号を含む、請求項46〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
搬送信号の波長の10分の1程度の精度で位置を決定するステップを含む、請求項37〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
異なる送波装置から送波された信号を区別するステップを含む、請求項37〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
区別は、予想ベースバンド信号と受波したベースバンド信号との比較に基づく、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
予想変調連続波のテンプレートを迅速に調整するステップを含む、請求項40〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
調整は、受波した変調連続波の品質の定量的尺度に基づく、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
定量的尺度は変調連続波と予想変調連続波との間の相関からの相関スコアである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
変調連続波は音響波である、請求項37に記載の方法。
【請求項64】
変調連続波は超音波である、請求項37に記載の方法。
【請求項65】
変調連続波は、空気以外の媒体を透過するように構成された1〜18MHzの範囲内の超音波である、請求項37〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
変調連続波はRF波である、請求項37〜59のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
搬送信号の周波数は変調連続波のベースバンド信号の周波数と同程度の大きさである、請求項37〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
送波装置と、送波装置から送波された信号を受波するように構成された2つの受波器の各々との間の見通し距離の三角測量を実行するステップを含む、請求項37〜67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
飛行時間遅延の開始を規定する同期信号を送波するステップを含む、請求項37〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
同期信号はIR信号である、請求項37〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
同期信号はRF信号である、請求項37〜68のいずれかに記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A−B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−522879(P2010−522879A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500435(P2010−500435)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000432
【国際公開番号】WO2008/117292
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509257329)エポス ディベロップメント リミテッド (5)
【Fターム(参考)】