説明

溶液型の先駆物質

原子層堆積、化学気相堆積および有機金属化学気相堆積のような成膜プロセスにおいて出発原料として用いるための溶液型の先駆物質。この溶液型の先駆物質は、蒸発する間に分解と凝固を起こす傾向があるために気相堆積法のためには不適切であった固体先駆物質の使用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、成膜プロセスにおいて出発原料として用いるための新規で有用な溶液型の(solution-based)先駆物質に関する。本発明は特に、半導体デバイスのための薄膜の堆積のための原子層堆積法(ALD)、化学気相堆積法(CVD)および有機金属化学気相堆積法(MOCVD)において用いることのできる溶液型の先駆物質に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]ムーアの法則は、ハードウェアの見積りの沿革における長期間の傾向を記述している。特に、1958年における集積回路の発明以来、集積回路に安価に組み込むことのできるトランジスタの数は急激に増大し、約2年毎に倍増してきた。この傾向は1965年にGordon E. Mooreによって最初に報告され、現在に至るまで継続している。一つの見解として、この縮小化傾向は次の10年間についても継続するであろう。第二の見解として、付加的な機能性が要求されるようになり、そして単純な縮小化は「ムーアの法則を越して(”more than the Moore”)」終わりに近づいている。いずれの場合においても、技術と経済上の動機によって生じる難題に直面して、新しい材料と新たなデバイス構造が現れつつある。
【0003】
[003]処理速度、記憶容量、デジタルカメラにおける画素の数と寸法などのデジタル電子デバイスの性能はムーアの法則と密接に関連していて、そのような性能の全てが、同様にほぼ指数的な速度で向上している。この性能の向上は、世界経済のほぼ全ての部分においてデジタルエレクトロニクスの有用性を劇的に増大させた。
【0004】
[004]ムーアの法則と「ムーアの法則を越して」の見解のいずれかに従う半導体チップの集積についての傾向を継続させるために、シリコンを基板とするICチップに組み込まれる新たな材料を用いる必要があるだろう。これらの新しい材料は、チップの性能の向上をもたらすとともに製品コストの低減を促進するためにも必要であろう。
【0005】
[005]電子デバイスに重要な機能性を付与するための候補として、多数の2族金属と遷移金属(3、10、12族)が近年になって提案された。しかし、2族金属と遷移金属のための先駆物質は一般に、ALD、CVDおよびMOCVDの処理のような気相堆積法において用いるには困難な固体材料である。ALD法においては、先駆材料に対する必要条件は、CVD法またはMOCVD法において用いられる先駆物質に対する必要条件よりもずっと厳しい。特に、共反応体を用いない如何なる先駆物質の分解や自己成長であっても、膜中の不純物の多さや不均一さなどの品質の問題を生じさせることがある。標準的なアミン系の液体先駆物質の中には、高温において分解を起こすものがある。幾つかの熱的に安定な固体先駆物質の、およびそのような先駆物質についての分子間および分子内の強い相互作用により、薄膜成長の間に重合と自己成長がしばしば生じることがある。さらに、そのような固体先駆材料の中には、半導体ウェハの上に薄い特殊な膜を堆積させるのに用いるためのある程度の蒸気を昇華させる試みにおいて加熱したときに、分解もしくは凝固を起こしてしまうものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[006]従って、気相堆積法において用いるための先駆物質を改良する必要性が当分野に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[007]本発明は、ALD法、CVD法およびMOCVD法のような気相堆積法において用いるための新規な溶液型の先駆物質を提供する。本発明に係る溶液型の先駆物質は蒸発する間に分解または凝固せず、従って、気相堆積法において用いるのに理想的なものである。本発明のもののような溶液配合物が用いられない場合は、多くの固体先駆物質は、高温において昇華源の中で分解あるいは凝固してしまうので、単独では気相堆積において用いることはできない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[008]図1は、固体先駆材料についての熱重量分析の結果を示すグラフである。
【図2】[009]図2は、本発明に係る溶液型の先駆材料についての熱重量分析の結果を示すグラフである。
【図3A】[010]図3A〜3Dは、本発明に係る様々な溶媒の使用に依存する蒸発の挙動の変化を示すグラフである。
【図3B】図3A〜3Dは、本発明に係る様々な溶媒の使用に依存する蒸発の挙動の変化を示すグラフである。
【図3C】図3A〜3Dは、本発明に係る様々な溶媒の使用に依存する蒸発の挙動の変化を示すグラフである。
【図3D】図3A〜3Dは、本発明に係る様々な溶媒の使用に依存する蒸発の挙動の変化を示すグラフである。
【図4】[011]図4は、本発明に係る先駆材料を用いることによって達成される自己制限成長(self-limiting growth)の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[012]本発明は、気相堆積法において用いるための新規な溶液型の先駆物質に関する。幾つかの固体のジルコニウム錯体が検討された。特に、(MeCp)ZrMe、(MeCp)ZrMe、および(t−BuCp)ZrMe(ここで、Meはメチル、t−Buはt−ブチル、そしてCpはシクロペンタジエニルである)が調査された。図1は、固体の(t−BuCp)ZrMeについての熱重量分析の結果を示すグラフである。このグラフでわかるように、この固体物質の加熱による初期の減量が認められるが、これはおそらくメチルまたはその他の炭化水素基が徐々に除去されたためであり、またこの物質の分解と凝固を示す高レベルの残量も存在する。特に、固体の(t−BuCp)ZrMeについて、不揮発性の残留物が初期の重量の約65%残存している。このことは、この物質の固体の形態のものは気相堆積法のための先駆物質としては適当ではないであろうということを示す。
【0010】
[013]本発明によれば、固体の形態では蒸発に不適切である物質が、適当な溶媒中に最初に溶解されると、許容できる先駆材料になることが見いだされた。例えば、(t−BuCp)ZrMeが、n−オクタンのような精製された溶媒中に室温で溶解された。この固体の溶解度は0.2Mよりも大きく、そしてALDのような堆積の用途のための溶液の濃度は0.05M〜0.15Mであり、好ましくは0.1Mである。溶媒は好ましくは酸素を含まない。
【0011】
[014]次いで、この溶液は熱重量分析によって検討され、その結果は図2に示される。溶媒の効果のために、溶解した先駆材料は固体の残留物を形成することなく蒸発され、最終的な残留物の量は最初の溶質の重量の2%未満である。この溶媒の効果は、先駆物質の分子を溶解した段階と蒸気の形態の両者において保護する。溶媒が豊富な環境において、先駆物質の分子は封入され、そして蒸発温度においてメチル基あるいはその他の炭化水素基を失うことなく、一緒に残される。本発明に従って溶媒と先駆物質の特性をさらに調和させることによって、残留物を何らも形成することなく連続的な蒸発曲線を達成することができる。図3は、用いられる様々な溶媒に依存する系統的な蒸発の挙動の変化を示す。特に、溶媒と先駆物質の沸点(図3に示す)やその他の物理的性質が互いに接近するにつれて、一様でより均一な減量曲線を達成することができる。図3Aは、溶媒の沸点が先駆物質の沸点よりもずっと低い場合、その結果は最少レベルに達する初期減量であり、従って、かなりの量の先駆物質が蒸発しない形態で残される、ということを示す。図3Bと図3Cは、溶媒の沸点が先駆物質の沸点に接近するにつれて、減量曲線はより一様になり、先駆物質のほぼ完全な蒸発に達する、ということを示す。図3Dは、先駆物質の沸点が溶媒の沸点よりもずっと高い場合、先駆物質の蒸発はほとんど起こらない、ということを示す。従って、先駆物質と溶媒の物理的性質を入念に調和させることによって、先駆物質の蒸発を最適化することができる。しかしながら、図3Bと図3Cによって示されるように、許容範囲は比較的広い。これらの特性を示す本発明の溶媒型の先駆物質は、ALD法、CVD法およびMOCVD法を含めたあらゆる気相堆積法のために適している。
【0012】
[015]熱加工を行う間のいかなる反応も避けられるように、溶媒は先駆物質に対して不活性でなければならない。アルカン、アルケン、アルキンおよび芳香族化合物のような炭化水素系の溶媒が好ましい。
【0013】
[016]本発明の溶液型の先駆物質の送出は、使用する蒸発器の個所への直接の液体射出を用いて室温で行うことができる。次いで、溶液を蒸発させてもよく、そして先駆物質の分解または凝固を生じさせることなく堆積室へ送出される。例えば、ALD法については、蒸発器からの熱蒸気が不活性ガスの圧力スイッチを用いて堆積室へパルス状に(波動的に)送出され、それにより理想的な矩形波状の送出が行われる。蒸発器は150℃と250℃の間の温度で、そして好ましくは約190℃で操作することができる。本発明に従って溶媒と先駆物質を調和させることによって、溶媒の効果のために、蒸発器の中に残留物を何も残すことなく、これらの温度において先駆材料の完全な蒸発が可能となる。このことは、堆積室への先駆物質の投与量を制御するのに重要であり、特にALD法について重要なことである。
【0014】
[017]金属の先駆物質と酸素の先駆物質を交互に送出することによって、堆積室の中で基板上に薄い酸化膜を形成することができる。例えば、本発明の溶液型の(t−BuCp)ZrMe先駆物質のような金属の先駆物質と水蒸気、オゾンあるいはその他の酸素含有ガスまたは蒸気のような酸化剤の先駆物質を用いて、ZrO膜を形成することができる。特に、酸化剤の先駆物質は、水蒸気、H、O 、O、NO、NO、CO、CO 、CHOH、COH、他のアルコール類、他の酸およびその他の酸化剤とすることができる。同様の方法で、本発明に係る金属先駆物質をNH、N 、アミン等のような窒素含有反応物質とともに用いることによって金属窒化物の膜を形成することができる。また、本発明の金属先駆物質は、第二の先駆物質として水素、水素原子あるいはその他の還元剤を用いることによって、金属の膜を形成するために用いることができる。
【0015】
[018]本発明に従う一つの例において、n−オクタンと脱イオン水の供給源からの水蒸気の中に溶解された(t−BuCp)ZrMe先駆物質を用いてALDによって、酸化ジルコニウムの膜が堆積される。Zr先駆物質と水の用量のいずれかを増大させることによって、成長の飽和を認めることができ、このことは、図4に示されるように、自己制限ALD成長があることを示す。酸化剤が存在しない場合、自己成長は何ら認められない。膜の成長は180℃と280℃の間の温度で、そして好ましくは200℃と240℃の間で行われる。
【0016】
[019]本発明は、調和する不活性な溶媒中に溶解される金属有機先駆物質を提供する。そのような先駆物質の溶液は、固体の先駆物質を直接用いる場合に(例えば、溶媒を用いない場合に)発生する分解と凝固の問題を解決する。従って、本発明の溶液型の先駆物質は、当分野における重要な進歩を意味する。上で説明したように、本発明の溶液型の先駆物質は、自己成長と固体残留物を生じさせることなく、高品質のALD膜を生成させることができる。これは、自己成長を生じる何らかの酸素含有Cp先駆物質の使用に優る改善である。前述の研究は酸素を含まないCp先駆物質に集中しているが、本発明はそれには限定されない。むしろ、本発明の先駆物質はAM(m)の一般式を有することが可能で、ここでMは金属であり、mは金属Mの酸化状態であって、そしてmは0〜7の範囲とすることができて、AとBは同一であるかまたは異なるものであり(ここでm≠0であってAとBが単一に負に帯電した基である場合はx+y=mであり、そうでない場合はx+y=1〜8であり)、そしてAとBは次の化学種のうちの一つとすることができる:(1)シクロペンタジエニル(Cp)およびその誘導体(R1R2R3R4R5Cp;ここでR1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);(2)第一、第二または第三アルキル基(C2n+1、n=1〜12);(3)シクロアルキル基(C2n−1、n=3〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);(4)シクロアルキルジエン(C2n−4、n=4〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);(5)ベンゼンおよびその誘導体(R1R2R3R4R5R6C;ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);(6)アミド(R1R2N;ここでR1およびR2は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);または(7)二座配位子(R1E1=C(R3)-[C(R4)=C(R5)]-E2R2;ここでE1およびE2は同一であるかまたは異なるものであり、そして窒素、酸素、リンまたは硫黄とすることができて、n=0〜4であり、R1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであって、そして存在しないか、あるいは水素、任意のアルキル基または任意のアリール基とすることができる)。本発明に係る固体先駆物質のための適当な溶媒は、接近して調和した沸点を有し、そしてアルカン、アルケン、アルキンまたは芳香族化合物とすることができる。上述したように、本発明の溶液型の先駆物質の濃度は0.05M〜1.0Mであり、好ましくは0.1Mである。
【0017】
[020]本発明は、5%を超える固体残留物が残ることのある金属有機先駆材料を使用することを可能にするが、このようなものは分解と凝固の恐れがあるために、気相堆積法においてこれまでは使用することができなかった。本発明の溶液型の化学種に係る先駆物質を用いることによって、混ぜ物のない金属有機先駆物質を用いた場合に認められていた自己成長の傾向を解消することができる。
【0018】
[021]本発明の先駆物質は幾つかの用途のために有用である。特に、本発明の先駆物質は、Si系、Ge系およびC系のIV族元素半導体のための高誘電率(high-k)ゲート絶縁層を形成するために、あるいはInGaAs、AlGaAsおよびその他のIII-V族高電子移動度半導体のための高誘電率ゲート絶縁層を形成するために用いることができる。さらに、本発明の先駆物質は、DRAMメモリ、フラッシュメモリ、相変化メモリおよび抵抗メモリ(resistive memory)の各メモリデバイスのための高誘電率キャパシタを形成するのに有用である。また、本発明の先駆物質は、気体浄化、有機合成、燃料電池膜および化学検出器のための金属基触媒として、あるいは燃料電池における電極材料のための金属基表面として用いることもできる。
【0019】
[022]以上で説明した態様は単なる例示であるということ、そして当業者であれば本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく変更と修正をなし得るということが理解されよう。そのような変更と修正の全てが、以上で説明した本発明の範囲の中に含まれることが意図されている。さらに、望ましい結果を得るために本発明の様々な態様を結びつけることができるので、ここで開示された全ての態様は必ずしもそのような代替手段の中には含まれない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式を有する先駆物質:
M(m)
(ここでMは金属であり、mは金属Mの酸化状態であって、そしてmは0〜7であり、AとBは同一であるかまたは異なるものであり、そしてAとBは以下のa)〜g)を含む化学種の群から選択される;a)シクロペンタジエニル(Cp)およびその誘導体(R1R2R3R4R5Cp;ここでR1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);b)第一、第二または第三アルキル基(C2n+1、n=1〜12);c)シクロアルキル基(C2n−1、n=3〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);d)シクロアルキルジエン(C2n−4、n=4〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);e)ベンゼンおよびその誘導体(R1R2R3R4R5R6C;ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);f)アミド(R1R2N、ここでR1およびR2は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);およびg)二座配位子(R1E1=C(R3)-[C(R4)=C(R5)]-E2R2、ここでE1およびE2は同一であるかまたは異なるものであり、そして窒素、酸素、リンまたは硫黄とすることができて、n=0〜4であり、R1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであって、そして存在しないか、あるいは水素、任意のアルキル基または任意のアリール基とすることができる)。
【請求項2】
(MeCp)ZrMe、(MeCp)ZrMe、または(t−BuCp)ZrMe(ここで、Meはメチル、t−Buはt−ブチル、そしてCpはシクロペンタジエニルである)を含む、請求項1に記載の先駆物質。
【請求項3】
先駆物質は溶媒中に溶解された固体先駆物質であり、溶媒は固体先駆物質の沸点と接近して調和した沸点を有し、それにより溶液型の先駆物質として生成される、請求項1に記載の先駆物質。
【請求項4】
溶媒はアルカン、アルケン、アルキンまたは芳香族化合物である、請求項3に記載の先駆物質。
【請求項5】
溶液の濃度は0.05M〜1.0Mである、請求項3に記載の先駆物質。
【請求項6】
濃度は0.1Mである、請求項5に記載の先駆物質。
【請求項7】
金属の先駆物質と酸素の先駆物質を堆積室の中の基板へ交互に送出することを含む薄い酸化膜を形成する方法であって、金属の先駆物質は次の式を有する:
M(m)
(ここでMは金属であり、mは金属Mの酸化状態であって、そしてmは0〜7であり、AとBは同一であるかまたは異なるものであり、そしてAとBは以下のa)〜g)を含む化学種の群から選択される;a)シクロペンタジエニル(Cp)およびその誘導体(R1R2R3R4R5Cp;ここでR1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);b)第一、第二または第三アルキル基(C2n+1、n=1〜12);c)シクロアルキル基(C2n−1、n=3〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);d)シクロアルキルジエン(C2n−4、n=4〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);e)ベンゼンおよびその誘導体(R1R2R3R4R5R6C;ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);f)アミド(R1R2N、ここでR1およびR2は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);およびg)二座配位子(R1E1=C(R3)-[C(R4)=C(R5)]-E2R2、ここでE1およびE2は同一であるかまたは異なるものであり、そして窒素、酸素、リンまたは硫黄とすることができて、n=0〜4であり、R1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであって、そして存在しないか、あるいは水素、任意のアルキル基または任意のアリール基とすることができる)。
【請求項8】
金属の先駆物質は溶媒中に溶解された固体先駆物質であり、溶媒は固体先駆物質の沸点と接近して調和した沸点を有し、それにより溶液型の先駆物質として生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
溶媒はアルカン、アルケン、アルキンまたは芳香族化合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
酸素の先駆物質は、水蒸気、H、O 、O、NO、NO、CO、CO 、CHOH、COH、他のアルコール類、他の酸またはその他の酸化剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
薄い膜はZrOであり、そして金属の先駆物質は(t−BuCp)ZrMe(ここで、Meはメチル、t−Buはt−ブチル、そしてCpはシクロペンタジエニルである)である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
金属の先駆物質と窒素の先駆物質を堆積室の中の基板へ交互に送出することを含む薄い窒化膜を形成する方法であって、金属の先駆物質は次の式を有する:
M(m)
(ここでMは金属であり、mは金属Mの酸化状態であって、そしてmは0〜7であり、AとBは同一であるかまたは異なるものであり、そしてAとBは以下のa)〜g)を含む化学種の群から選択される;a)シクロペンタジエニル(Cp)およびその誘導体(R1R2R3R4R5Cp;ここでR1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);b)第一、第二または第三アルキル基(C2n+1、n=1〜12);c)シクロアルキル基(C2n−1、n=3〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);d)シクロアルキルジエン(C2n−4、n=4〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);e)ベンゼンおよびその誘導体(R1R2R3R4R5R6C;ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);f)アミド(R1R2N、ここでR1およびR2は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);およびg)二座配位子(R1E1=C(R3)-[C(R4)=C(R5)]-E2R2、ここでE1およびE2は同一であるかまたは異なるものであり、そして窒素、酸素、リンまたは硫黄とすることができて、n=0〜4であり、R1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであって、そして存在しないか、あるいは水素、任意のアルキル基または任意のアリール基とすることができる)。
【請求項13】
金属の先駆物質は溶媒中に溶解された固体先駆物質であり、溶媒は固体先駆物質の沸点と接近して調和した沸点を有し、それにより溶液型の先駆物質として生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
溶媒はアルカン、アルケン、アルキンまたは芳香族化合物である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
窒素の先駆物質はNH 、N 、またはアミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
次の式を有する金属の先駆物質から形成された薄膜:
M(m)
(ここでMは金属であり、mは金属Mの酸化状態であって、そしてmは0〜7であり、AとBは同一であるかまたは異なるものであり、そしてAとBは以下のa)〜g)を含む化学種の群から選択される;a)シクロペンタジエニル(Cp)およびその誘導体(R1R2R3R4R5Cp;ここでR1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);b)第一、第二または第三アルキル基(C2n+1、n=1〜12);c)シクロアルキル基(C2n−1、n=3〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);d)シクロアルキルジエン(C2n−4、n=4〜12、ここでRは水素またはアルキル基である);e)ベンゼンおよびその誘導体(R1R2R3R4R5R6C;ここでR1、R2、R3、R4、R5およびR6は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);f)アミド(R1R2N、ここでR1およびR2は同一であるかまたは異なるものであり、そして水素またはアルキル[C2n+1、n=1〜6]とすることができる);およびg)二座配位子(R1E1=C(R3)-[C(R4)=C(R5)]-E2R2、ここでE1およびE2は同一であるかまたは異なるものであり、そして窒素、酸素、リンまたは硫黄とすることができて、n=0〜4であり、R1、R2、R3、R4およびR5は同一であるかまたは異なるものであって、そして存在しないか、あるいは水素、任意のアルキル基または任意のアリール基とすることができる)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−532193(P2012−532193A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519599(P2012−519599)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/040765
【国際公開番号】WO2011/005653
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(391009659)リンデ アクチエンゲゼルシャフト (106)
【氏名又は名称原語表記】Linde Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Klosterhofstrasse 1, D−80331 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】