説明

溶融炉管理方法、および溶融炉管理システム

【課題】放射温度計における誤認識を抑制し雑固体廃棄物の効率よい溶融管理を可能とする。
【解決手段】低レベル放射性廃棄物の減容設備における溶融炉の管理方法であって、前記溶融炉における放射温度計が検知した温度値を取得し、当該温度値が所定時間にわたってほぼ同一値で継続したかを判定する継続判定手順と、前記判定により所定時間にわたって継続した温度値を前記放射温度計の測定温度とする温度決定手順と、を含むことを特徴とする溶融炉管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融炉管理方法、および溶融炉管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で発生する低レベル放射性廃棄物のうち、例えば雑固体廃棄物は、ドラム缶に詰められた上でモルタル等の充填を受け、このドラム缶ごと所定の埋設場に埋設処分される。なお、埋設場の広さには限りがあるので、雑固体廃棄物を減容し、埋設されるドラム缶の数を少なくすることが好ましい。
【0003】
そこで、雑固体廃棄物の減容技術として、高周波誘導加熱方式による溶融減容設備が提案されている。この設備においては、溶融炉内にセットしたキャニスタ内で溶融対象物たる雑固体廃棄物を溶融して減容し固化させた後、キャニスタごとドラム缶に詰める。そして、モルタル等の固型化材料を前記ドラム缶に充填して廃棄体とすることとなる。
【0004】
こうした溶融設備における、溶融炉の制御手法に関して、例えば、放射温度計により連続的に計測される温度計測結果を取り込む温度取込ステップと、該温度取込ステップで取り込まれた温度計測結果の内で少なくとも最新の温度計測結果を含む1以上の計測値群と、該少なくとも最新の温度計測結果を含む1以上の計測値群を含まない1以上の計測値群とに基づき放射温度計の異常判定を行う突発異常判定ステップとを有することを特徴とする温度計の異常検知方法(特許文献1参照)などが提案されている。
【0005】
また、内部を加熱する複数の加熱手段が設けられ、傾斜する底面の上部にテルミット剤を混在させた被溶融物が投入される投入口が設けられるとともに下部に溶融スラグの排出口が設けられ、上記底面の上方から下方に向けて順次上記被溶融物の投入域、溶融域および排出域が連続的に形成されるテルミット式溶融炉の炉内温度制御方法であって、上記底面と対向する天井部または側壁部に設けた赤外放射温度計によって、少なくとも上記溶融域および排出域から発せられる赤外放射エネルギーを検出し、この検出信号に基づいて上記溶融域および排出域が所定の温度範囲になるように各々の上記加熱手段による炉内加熱を制御することを特徴とするテルミット式溶融炉の炉内温度制御方法(特許文献2参照)なども提案されている。
【0006】
また、廃棄物が熱分解されて生じた熱分解ガスが導入され、この熱分解ガスに一次燃焼空気を供給することにより当該熱分解ガスを燃焼させる一次燃焼部と、この一次燃焼部と連通され、当該一次燃焼部から排出されたガスに二次燃焼空気を供給することにより当該ガスを二次燃焼させる二次燃焼部とを備えた溶融炉の燃焼状態を制御する方法であって、上記一次燃焼部内の温度及び二次燃焼部内の温度を検出し、これらの温度の比較に基づき一次燃焼部内での空気の過不足を推定して上記一次燃焼空気の供給量を調節することを特徴とする溶融炉の燃焼制御方法(特許文献3参照)なども提案されている。
【0007】
また、装入された被処理物を溶融処理する主室(1)に、前記主室(1)内に燃焼用酸素含有ガス又は燃焼用酸素含有ガス及び燃料を供給する燃焼装置(2)を設けてある廃棄物溶融炉の燃焼制御方法であって、前記主室(1)からの燃焼ガス中の排出酸素濃度及び一酸化炭素濃度を検出し、実測した前記主室(1)への酸素含有ガス供給量と、前記供給した酸素含有ガスの供給酸素濃度と、前記検出した排出酸素濃度と一酸化炭素濃度とに基づき、計算式として、Soe=GoD×(Po −Po2+0.5×Pco)/100(但し、Soe:主室内の可燃物に対する理論酸素量(Nm3/h)、GoD:主室への酸素含有ガス供給量(Nm3/h)、Po :供給する酸素含有ガスの供給酸素濃度(%)、Po2:排出酸素濃度(%)、Pco:一酸化炭素濃度(%))を用いて、前記主室(1)内の可燃物に関する理論酸素量を演算導出し、前記演算導出した理論酸素量を基に、計算式として、Goe=Soe/(Po/100)(但し、Goe:主室内の可燃物に対する理論酸素含有ガス供給量(Nm3/h))を用いて、前記主室(1)内の可燃物に対する理論酸素含有ガス供給量を演算導出し、前記演算導出した理論酸素含有ガス供給量と、設定された目標酸素過剰係数を基に、計算式として、GoP=Goe×αP (但し、GoP:目標酸素含有ガス供給量(Nm3/h)、αP:目標酸素過剰係数)を用いて、前記主室(1)内の可燃物に対する目標酸素含有ガス供給量を演算導出して、前記主室(1)に供給する酸素含有ガスの供給量を、前記演算導出した目標酸素含有ガス供給量を基準に調節して、前記主室(1)内を所定の酸素過剰係数範囲内に維持する廃棄物溶融炉の燃焼制御方法(特許文献4参照)なども提案されている。
【特許文献1】特開2002−90224号公報
【特許文献2】特開2003−56989号公報
【特許文献3】特開平11−351538号公報
【特許文献4】特開2001−108208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで溶融炉においては、溶融炉内の高周波誘導コイルに電圧を印加することにより磁界およびこれに起因するジュール熱を発生させてキャニスタ内の昇温を実現し、溶融対象物の溶融を行っている。この溶融は、予めキャニスタ内に投入された溶融対象物に対するものと、この溶融対象物の減容がなされた後に追加投入された溶融対象物に対するものとがある。
【0009】
しかしながら、このようにキャニスタ内に投入される溶融対象物たる雑固体廃棄物が、例えば所定量以上の金属粉または金属片などを含む場合、溶融過程においてキャニスタ内での急激な燃焼が生じて問題を生じることがあった。例えば、前記キャニスタ内での急激な燃焼に伴う炎がキャニスタ温度を測定する放射温度計付近まで回り込む一方で、当該放射温度計は前記の炎の延伸をもってキャニスタの温度上昇と誤認識してしまう惧れがあった。この放射温度計における温度値の誤認識は、誤認識された温度値が溶融炉の制御システムへ通知されることで溶融炉の自動停止につながり、その後の煩雑な復旧措置を招来することとなっていた。これにより雑固体廃棄物の減容処理効率が低下し、処理コストや手間の悪化を招くこととなっていた。
【0010】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、放射温度計における誤認識を抑制し雑固体廃棄物の効率よい溶融管理を可能とする、溶融炉管理方法および溶融炉管理システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の溶融炉管理方法は、低レベル放射性廃棄物の減容設備における溶融炉の管理方法であって、前記溶融炉における放射温度計が検知した温度値を取得し、当該温度値が所定時間にわたってほぼ同一値で継続したかを判定する継続判定手順と、前記判定により所定時間にわたって継続した温度値を前記放射温度計の測定温度とする温度決定手順と、を含むことを特徴とする(第1の発明)。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記温度決定手順において前記放射温度計の測定温度とされた温度値が所定温度以上であった場合に、溶融炉制御装置に対して溶融炉停止指示を送る、停止指示通知手順を含むことを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記所定時間を約20秒とすることを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明において、低レベル放射性廃棄物中より所定量以上の金属粉または金属片を選別し、この金属粉または金属片を前記溶融炉における溶融対象から除外する、金属粉等除外手順を含むことを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、低レベル放射性廃棄物の減容設備における溶融炉の管理システムであって、前記溶融炉における放射温度計が検知した温度値を取得し、当該温度値が所定時間にわたってほぼ同一値で継続したかを判定する継続判定手段と、前記判定により所定時間にわたって継続した温度値を前記放射温度計の測定温度とする温度決定手段と、を含むことを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、第5の発明において、前記温度決定手段において前記放射温度計の測定温度とされた温度値が所定温度以上であった場合に、溶融炉制御装置に対して溶融炉停止指示を送る、停止指示通知手段を含むことを特徴とする。
【0017】
第7の発明は、第5または第6の発明において、低レベル放射性廃棄物中より所定量以上の金属粉または金属片を選別し、この金属粉または金属片を前記溶融炉における溶融対象から除外する、金属粉等除外手段を含むことを特徴とする。
【0018】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放射温度計における誤認識を抑制し雑固体廃棄物の効率よい溶融管理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明が適用される放射性廃棄物処理設備の全体構成を示す説明図である。先に本出願人は、図1に示す雑固体廃棄物の減容設備300を開発し、現在実用に供している。本実施形態においては、この雑固体廃棄物の減容設備300において本発明の溶融炉管理システムを実現すると同時に、溶融炉管理方法を行う状況を想定する。
【0021】
この雑固体廃棄物の減容設備300は、雑固体廃棄物を仕分する前処理設備1と、仕分された雑固体廃棄物のうち溶融可能な廃棄物を溶融するための溶融設備2と、溶融終了後の溶融廃棄物を収納したドラム缶に、モルタルを充填して充填固化体とするモルタル固化設備3と、充填固化体を一時保管する保管設備4とからなる。
【0022】
前処理設備1は、原子力発電施設にて発生する、性状(材質、寸法、形状等)の異なる雑固体廃棄物5を、処理対象外廃棄物6、直接充填物7、溶融対象物8に分別する仕分け台9を備える。
【0023】
また、溶融対象物8を溶融し易い大きさに切断する切断機10と、溶融対象物8を投入容器11、キャニスタ12のそれぞれに収納する収納手段13と、投入容器11及びキャニスタ12を溶融設備2に搬出する搬出手段14と、直接充填物7が充填されたドラム缶15をモルタル固化設備3に搬出する搬出手段16とを備える。
【0024】
前記仕分け台9は、原子力発電施設から送られてくる雑固体廃棄物5を受けつけて回転するターンテーブル等の回転部17と、回転部17を支持する固定部18とを備える。この仕分け台9における雑固体廃棄物5の分別作業は、前記回転部17を囲むように配置された複数人員の手作業により実施するとしてもよい。雑固体廃棄物5を例えば、処理対象外廃棄物6、直接充填物7、溶融対象物8の3区分に分別することとなる。
【0025】
この仕分け台9は、本発明における、低レベル放射性廃棄物中より所定量以上の金属粉または金属片を選別し、この金属粉または金属片を前記溶融炉21における溶融対象から除外する金属粉除外手段となる。そのため、例えば、所定量以上の金属粉または金属片に特有の性状や形態を識別する適宜なセンサや機構を備えて、前記雑固体廃棄物中より、所定量以上の金属粉または金属片を含む雑固体廃棄物を選別・除外するものとすれば好適である。
【0026】
前記処理対象外廃棄物6は、例えば、鉛等の有害物及び可燃物であり、有害物は貯蔵所に搬出され、可燃物は別途焼却施設にて焼却処理される。
【0027】
一方、直接充填物7は、溶融することにより溶融設備2に好ましくない影響を与える、例えば、塩化ビニル類、ゴム類等の難燃性の廃棄物及び真鍮等の非鉄金属類である。この直接充填物8は、例えば手作業にてそのままドラム缶15に充填され、移動台車又はクレーン等の搬出手段16にてモルタル固化設備3に搬出される。
【0028】
また、溶融対象物8は、溶融により減容化がはかれる、例えば、炭素鋼、ステンレス等の金属類、コンクリート、保温材、ガラスの無機物類の不燃物である。この溶融対象物8のうち、大型の雑固体廃棄物や異形の雑固体廃棄物は、投入容器11又はキャニスタ12に入る大きさに切断機10にて切断される。こられの溶融対象物8は、手作業又はコンベア等の収納手段13により投入容器11又はキャニスタ12に収納され、クレーン又はコンベア等の搬出手段14により溶融設備2へ搬出される。
【0029】
他方、前記溶融設備2は、略円筒形状であって、内側表面の下部に高周波誘導コイル20が螺旋状に巻回されている溶融炉21を有する。また、この溶融炉21の下部側から初期装荷として予め溶融対象物8を詰め込んだキャニスタ12を上昇させて高周波誘導コイル20の内側に装填し、溶融終了後はキャニスタ12を下降させ、冷却装置22まで移動させる移動装置23を備える。
【0030】
更に、前記溶融設備2は、初期装荷した溶融対象物8が溶融し減容することで生じたキャニスタ12内の余裕空間に、溶融炉21の上部側から投入容器11を降下させ、当該投入容器11下部のゲートを開けることでキャニスタ12内に溶融対象物8を投入する投入装置24を備える。
【0031】
また、キャニスタ12内部の溶融状況を常時監視する監視カメラ25と、溶融炉21から発生する排気を排出する煙道26と、排気中の粉塵を濾過するフィルター27と、排気を吸引する排ガスブロワと、排ガスブロワにより吸引した排気を無害化する排気処理装置29とを備える。
【0032】
また、キャニスタ12の炉内への装荷や炉外への取り出し等、キャニスタ12のハンドリングを容易にするため、また、キャニスタ12の外表面温度の測定のため、溶融炉21の内壁とキャニスタ12との間には空隙を持たせている。
【0033】
このような溶融設備2においては、溶融炉21内の高周波誘導コイル20に電圧を印加することにより磁界が発生し、ジュール熱を生ずることでキャニスタ12の内部を1500℃程度に昇温させ、溶融対象物8を溶融させる。そして、キャニスタ内に余裕ができると投入容器11内の溶融対象物8を順次キャニスタ12内に追加投入しながら溶融させ、所定の溶湯レベルに至るまで追加投入を継続する。溶湯レベル及び溶融状態は、キャニスタ12内部が見渡せる溶融炉21の上部付近に設けられた前記監視カメラ25によって常時監視されている。
【0034】
さらに、溶融炉21の上部付近には、排気排出用の煙道26が開口されており、この煙道26には煙道配管30が接続されている。また、この煙道配管30はフィルタ27を介して排ガスブロワ及び排気処理装置29に接続されている。この排ガスブロワの吸引動作により溶融炉内は負圧に常時保たれ、排気の外部拡散を防止している。また、排気については、フィルタ27で濾過を行って排気中の粉塵を除去した後、排気処理装置29を通過させて無害化し、大気中に放出される。
【0035】
キャニスタ12において溶融終了後の溶融廃棄物31は、キャニスタ移動装置23にてキャニスタ12ごと溶融炉21から取り出され、冷却装置22まで搬送される。また、この冷却装置22にて外気等で所定温度まで冷却された溶融廃棄物31は、キャニスタ12ごとドラム缶32内に収容されることとなる。
【0036】
図2は本実施形態における溶融炉管理システムを含む溶融設備概要図である。本実施形態における前記溶融設備2は、図2に示すように、前記減容設備300が備える溶融炉21における放射温度計201が検知したキャニスタ12周囲の温度値を取得し、当該温度値が所定時間にわたってほぼ同一値で継続したかを判定する継続判定手段202と、前記判定により所定時間にわたって継続した温度値を前記放射温度計201の測定温度とする温度決定手段203ととからなる溶融炉管理システム200を備える。
【0037】
また、この溶融炉管理システム200は、前記温度決定手段203において前記放射温度計201の測定温度とされた温度値が所定温度以上であった場合に、溶融炉制御装置に対して溶融炉停止指示を送る、停止指示通知手段204を含むこととできる。
【0038】
ここで、前記溶融炉管理システム200は溶融設備2に備わるコンピュータであり、CPU、メモリ、およびインターフェイスを備える。この溶融炉管理システム200は、本発明の溶融炉管理方法を実現するプログラムを前記メモリに読み出してにCPUにて各種演算処理を行い、インターフェイスを通じて各データの授受を外部装置と実行する。
【0039】
図3は本実施形態における溶融炉管理方法の処理手順を示すフロー図である。次に、溶融炉管理方法の処理手順について説明する。まず、金属粉等除外手段たる仕分け台9において、低レベル放射性廃棄物中より所定量以上の金属粉または金属片について選別および除去を実行する(s1000)。ここで選別・除去された所定量以上の金属粉または金属片は、直接充填物7としてドラム缶15に充填され、搬出手段16によりモルタル固化設備3に搬出される。
【0040】
一方、溶融炉管理システム200は、前記溶融炉21における放射温度計201が検知したキャニスタ12周囲の温度値を取得し(s1001)、この温度値と予め定めた所定の設定温度とを比較する(s1002)。そして、前記温度値が所定条件に合致していれば前記温度値を前記放射温度計201の制御温度として決定し(s1003)、当該温度を所定の記録装置にて記録する(s1004)。
【0041】
上述のごとく決定された放射温度計201の制御温度が、所定温度以上で所定時間以上継続していなければ(s1005:NO)、処理をステップs1001に戻す。他方、前記測定温度が所定温度以上で所定時間以上継続していれば(s1005:YES)、溶融炉制御装置(溶融炉の運転を制御する装置)に対して溶融炉停止指示を送り(s1006)、本フローは終了する。
【0042】
つまり、所定量以上の金属粉や金属片などが溶融対象物に含まれている際に生じやすい、キャニスタ12での溶融対象物の急激な燃焼とその炎の延伸といった事象に際しても、本発明の溶融炉管理システム200ではこれをあくまでも一時的な現象として認識することができるのである。従って、こうした一時的な現象のみをもって溶融炉21の自動停止等を措置を行うといった、非効率的な設備運営を改善することが可能となる。
【0043】
なお、前記所定時間は約20秒とすることとできるが、キャニスタ12、溶融対象物8、あるいは放射温度計201といった、溶融炉の特性や運営状況などに応じて適宜設定できるものとする。
【0044】
なお、前記溶融炉管理システム200は、前記監視カメラ25やマイクロ波レベル計40による溶湯レベルの監視手段と連動することで、例えば、前記放射温度計201の測定温度が所定温度以上であるかを判定すると共に、溶湯レベルが所定レベル以上であるか否かも判定し、どちか一方の判定結果でも溶融炉管理上で不適なものであれば、溶融炉の一時停止やホウ砂および珪砂等のキャニスタ12への投入など対応措置を実施するといったことが可能である。
【0045】
本発明によれば、放射温度計における誤認識を抑制し雑固体廃棄物の効率よい溶融管理が可能となる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明が適用される放射性廃棄物処理設備の全体構成を示す説明図である。
【図2】本実施形態における溶融炉管理システムを含む溶融設備概要図である。
【図3】本実施形態における溶融炉管理方法の処理手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0048】
1 前処理設備 2 溶融設備
3 モルタル固化設備 4 保管設備
5 雑固体廃棄物 6 処理対象外廃棄物
7 直接充填物 8 溶融対象物
9 仕分け台、金属粉除外手段 10 切断機
11 投入容器 12 キャニスタ
13 収納手段 14、16 搬出手段
15、32 ドラム缶 17 回転部
18 固定部 20 高周波誘導コイル
21 溶融炉 22 冷却装置
23 移動装置 24 投入装置
25 監視カメラ 26 煙道
27 フィルター 29 排気処理装置
30 煙道配管 31 溶融廃棄物
33 固形化材サイロ 34 固形化材投入機
35 練り混ぜ機 36 ホッパ
37 充填固化体 40 マイクロ波レベル計
200 溶融炉管理システム 201 放射温度計
202 継続判定手段 203 温度決定手段
204 停止指示通知手段 300 雑固体廃棄物溶融設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低レベル放射性廃棄物の減容設備における溶融炉の管理方法であって、前記溶融炉における放射温度計が検知した温度値を取得し、当該温度値が所定時間にわたってほぼ同一値で継続したかを判定する継続判定手順と、前記判定により所定時間にわたって継続した温度値を前記放射温度計の測定温度とする温度決定手順と、を含むことを特徴とする溶融炉管理方法。
【請求項2】
請求項1において、前記温度決定手順において前記放射温度計の測定温度とされた温度値が所定温度以上であった場合に、溶融炉制御装置に対して溶融炉停止指示を送る、停止指示通知手順を含むことを特徴とする溶融炉管理方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記所定時間を約20秒とすることを特徴とする溶融炉管理方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、低レベル放射性廃棄物中より所定量以上の金属粉または金属片を選別し、この金属粉または金属片を前記溶融炉における溶融対象から除外する、金属粉等除外手順を含むことを特徴とする溶融炉管理方法。
【請求項5】
低レベル放射性廃棄物の減容設備における溶融炉の管理システムであって、前記溶融炉における放射温度計が検知した温度値を取得し、当該温度値が所定時間にわたってほぼ同一値で継続したかを判定する継続判定手段と、前記判定により所定時間にわたって継続した温度値を前記放射温度計の測定温度とする温度決定手段と、を含むことを特徴とする溶融炉管理システム。
【請求項6】
請求項5において、前記温度決定手段において前記放射温度計の測定温度とされた温度値が所定温度以上であった場合に、溶融炉制御装置に対して溶融炉停止指示を送る、停止指示通知手段を含むことを特徴とする溶融炉管理システム。
【請求項7】
請求項5または6において、低レベル放射性廃棄物中より所定量以上の金属粉または金属片を選別し、この金属粉または金属片を前記溶融炉における溶融対象から除外する、金属粉等除外手段を含むことを特徴とする溶融炉管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−271185(P2007−271185A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98505(P2006−98505)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】