炭化珪素半導体の洗浄方法および炭化珪素半導体の洗浄装置
【課題】表面特性が良好になるようにSiC半導体を洗浄するSiC半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置を提供する。
【解決手段】SiC半導体の洗浄方法は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する工程(ステップS2)と、酸化膜を除去する工程(ステップS3)とを備え、酸化膜を除去する工程(ステップS3)では、ハロゲンプラズマまたは水素プラズマによって、酸化膜を除去する。酸化膜を除去する工程(ステップS3)では、ハロゲンプラズマとしてフッ素プラズマを用いることが好ましい。
【解決手段】SiC半導体の洗浄方法は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する工程(ステップS2)と、酸化膜を除去する工程(ステップS3)とを備え、酸化膜を除去する工程(ステップS3)では、ハロゲンプラズマまたは水素プラズマによって、酸化膜を除去する。酸化膜を除去する工程(ステップS3)では、ハロゲンプラズマとしてフッ素プラズマを用いることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素(SiC)半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置に関し、より特定的には酸化膜を有する半導体デバイスに用いるSiC半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体デバイスの製造方法において、表面に付着している付着物を除去するために洗浄を行なっている。このような洗浄方法として、たとえば、特開平6−314679号公報(特許文献1)に開示の技術が挙げられる。この特許文献1の半導体基板の洗浄方法は、以下のように行なうことが開示されている。まず、シリコン(Si)基板をオゾンを含む超純水で洗浄してSi酸化膜を形成し、このSi酸化膜の内部や表面にパーティクルおよび金属不純物を取り込む。次に、このSi基板を希フッ酸水溶液で洗浄してSi酸化膜をエッチング除去し、同時にパーティクルおよび金属不純物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−314679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SiCは、バンドギャップが大きく、また最大絶縁破壊電界および熱伝導率はSiと比較して大きい一方、キャリアの移動度はSiと同程度に大きく、電子の飽和ドリフト速度および耐圧も大きい。そのため、高効率化、高耐圧化、および大容量化を要求される半導体デバイスへの適用が期待される。そこで、本発明者はSiC半導体を半導体デバイスに用いることに着目した。SiC半導体を半導体デバイスに用いる場合には、SiC半導体の表面を洗浄する必要がある。
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示の洗浄方法をSiC半導体へ適用するべく、SiC半導体上にSi酸化膜を形成し、Si酸化膜を希フッ酸水溶液で洗浄すると、面方位によるSi酸化膜の膜質により、SiC半導体の面内でエッチングレートに差が生じることを本発明者は見い出した。SiC半導体においてSi酸化膜除去の面内バラツキが生じると、Si酸化膜が残るなど洗浄が不十分な領域が生じる場合がある。Si酸化膜がすべて除去された場合であっても、SiC半導体面内の一部の領域のみエッチングが進行することで、SiC半導体の表面特性にバラツキが生じる。このため、洗浄後のSiC半導体の表面特性を良好にできない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、表面特性が良好になるようにSiC半導体を洗浄するSiC半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のSiC半導体の洗浄方法は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する工程と、酸化膜を除去する工程とを備え、酸化膜を除去する工程では、ハロゲンプラズマまたは水素(H)プラズマによって、酸化膜を除去する。
【0008】
本発明のSiC半導体の洗浄方法によれば、SiC半導体の表面に酸化膜を形成することにより、表面に付着していた不純物、パーティクルなどを取り込んで酸化膜を形成することができる。この酸化膜を、ハロゲンプラズマまたはHプラズマによって除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。このため、SiC半導体の表面に形成した酸化膜を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、SiC半導体の表面の不純物、パーティクルなどを面内バラツキを低減して除去することができる。また、SiC半導体は、安定な化合物であるので、ハロゲンプラズマを用いても、SiC半導体へのダメージが少ない。よって、表面特性が良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0009】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を除去する工程では、ハロゲンプラズマとしてフッ素(F)プラズマを用いる。
【0010】
Fプラズマは、エッチング効率が高く、金属汚染の可能性が低い。このため、表面特性がより良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0011】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を除去する工程では、20℃以上400℃以下の温度で行なう。
【0012】
これにより、SiC半導体へのダメージが低減できる。
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を除去する工程では、0.1Pa以上20Pa以下の圧力で行なう。
【0013】
これにより、ハロゲンプラズマまたはHプラズマと、酸化膜との反応性を高めることができるので、酸化膜を容易に除去することができる。
【0014】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を形成する工程では、酸素(O)プラズマを用いる。
【0015】
Oプラズマを用いることにより、結合が強固で、安定な化合物であるSiC半導体の表面に酸化膜を容易に形成できる。このため、表面に付着していた不純物、パーティクルなどを取り込んで酸化膜を容易に形成することができる。ハロゲンプラズマでこの酸化膜を除去することで、SiC半導体の表面の不純物、パーティクルなどを除去することができる。また、SiC半導体は、安定な化合物であるので、Oプラズマを用いても、SiC半導体へのダメージが少ない。よって、表面特性がより良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0016】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を形成する工程と酸化膜を除去する工程との間では、SiC半導体は大気が遮断された雰囲気内に配置される。
【0017】
これにより、大気中の不純物がSiC半導体の表面に再付着することを抑制できる。したがって、表面特性がより良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0018】
本発明の一の局面におけるSiC半導体の洗浄装置は、形成部と、除去部と、接続部とを備えている。形成部は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する。除去部は、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜を除去する。接続部は、SiC半導体を搬送可能に形成部と除去部とを接続する。接続部におけるSiC半導体を搬送させる領域は、大気の遮断が可能である。
【0019】
本発明の他の局面におけるSiC半導体の洗浄装置は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成するための形成部と、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜を除去するための除去部とを備え、形成部と除去部とは同一である。
【0020】
本発明の一および他の局面におけるSiC半導体の洗浄装置によれば、形成部においてSiC半導体に酸化膜を形成した後、除去部において酸化膜を除去する間に、SiC半導体が大気に曝されることを抑制できる。これにより、大気中の不純物がSiC半導体の表面に再付着することを抑制できる。またハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。これにより、SiC半導体の表面に形成した酸化膜を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、表面特性が良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のSiC半導体の洗浄方法および洗浄装置によれば、表面に形成した酸化膜をハロゲンプラズマまたはHプラズマで除去することにより、表面特性が良好になるようにSiC半導体を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1において準備するSiC半導体を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1においてSiC半導体に酸化膜を形成した状態を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1において酸化膜を除去した状態を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。
【図7】本発明の実施の形態2における洗浄するSiC半導体を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図12】実施例で洗浄するエピタキシャルウエハを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。図1を参照して、本発明の一実施の形態におけるSiC半導体の洗浄装置を説明する。
【0025】
図1に示すように、SiC半導体の洗浄装置10は、形成部11と、除去部12と、接続部13とを備えている。形成部11と除去部12とは、接続部13により接続されている。形成部11、除去部12および接続部13の内部は大気から遮断されており、内部は互いに連通可能である。
【0026】
形成部11は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する。形成部11は、たとえばプラズマ発生装置、オゾン水などのOを含む溶液を用いて酸化膜を形成する装置などが用いられる。
【0027】
除去部12は、形成部11で形成した酸化膜を除去する。除去部12は、プラズマ発生装置が用いられる。除去部12は、ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いて酸化膜を除去する。
【0028】
形成部11および除去部12で用いるプラズマ発生装置は、特に限定されず、たとえば平行平板型RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)装置、ICP(Inductive Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)型RIE装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)型RIE装置、SWP(Surface Wave Plasma:表面波プラズマ)型RIE装置、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)装置などが用いられる。
【0029】
接続部13は、SiC基板1を搬送可能に形成部11と除去部12とを接続する。接続部13においてSiC基板1を搬送させる領域(内部空間)は、大気の遮断が可能である。
【0030】
ここで、大気の遮断(大気を遮断した雰囲気)とは、大気が混入しない雰囲気を意味し、たとえば真空中、または、不活性ガスや窒素ガスよりなる雰囲気である。具体的には、大気を遮断した雰囲気は、たとえば真空中、または、窒素(N)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、またはこれらの組み合わせからなるガスが充填された雰囲気である。
【0031】
本実施の形態では、接続部13は、形成部11の内部と除去部12の内部とを連結している。接続部13は、形成部11から搬出されるSiC半導体を除去部12へ搬送するための空間を内部に有する。つまり、接続部13は、SiC半導体を大気に開放しないように、形成部11から除去部12へ搬送するために設置されている。
【0032】
接続部13は、内部でSiC基板1が搬送可能であるような大きさを有する。また接続部13は、SiC基板1をサセプタに載置した状態で搬送可能である大きさを有していてもよい。接続部13は、たとえば形成部11の出口と、除去部12の入口とを連結するロードロック室である。
【0033】
また、洗浄装置10は、接続部13の内部に配置されるとともに、SiC半導体を形成部11から除去部12へ搬送するための第1の搬送部をさらに備えていてもよい。洗浄装置10は、除去部12で酸化膜を除去したSiC半導体を、洗浄装置10の外部へ取り出す、あるいは、半導体デバイスを構成する酸化膜を形成する酸化膜形成部へ大気を遮断した雰囲気で搬送するための第2の搬送部をさらに備えていてもよい。第1の搬送部と第2の搬送部とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
また、洗浄装置10は、形成部11と接続部13との間に配置され、かつ形成部11の内部と接続部13の内部とを遮断するための遮断部をさらに備えていてもよい。また、洗浄装置10は、除去部12と接続部13との間に配置され、かつ除去部12の内部と接続部13の内部とを遮断するための遮断部をさらに備えていてもよい。遮断部は、たとえばそれぞれの連通部を塞ぐことが可能な弁や扉などを用いることができる。
【0035】
また、洗浄装置10は、内部の雰囲気ガスを排出するための真空ポンプや、内部の雰囲気ガスを置換するための置換ガスボンベをさらに備えていてもよい。真空ポンプや置換ガスボンベは、形成部11、除去部12および接続部13のそれぞれに接続されていてもよく、少なくともいずれか1つに接続されていてもよい。
【0036】
なお、洗浄装置10は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
【0037】
また、図1では、接続部13として形成部11と除去部12との間のみを連結する形状を示したが、特にこれに限定されない。接続部13として、たとえば大気を遮断したチャンバを用い、このチャンバ内に形成部11および除去部12が配置されていてもよい。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態1において準備するSiC半導体を概略的に示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態1においてSiC半導体に酸化膜を形成した状態を概略的に示す断面図である。図5は、本発明の実施の形態1において酸化膜を除去した状態を概略的に示す断面図である。続いて、図1〜図5を参照して、本発明の一実施の形態のSiC半導体の洗浄方法を説明する。本実施の形態では、SiC半導体として、図2に示すSiC基板1を洗浄する方法を説明する。また、本実施の形態では、図1に示すSiC半導体の洗浄装置10を用いる。
【0039】
図2および図3に示すように、まず、表面1aを有するSiC基板1を準備する(ステップS1)。SiC基板1は、特に限定されないが、たとえば以下の方法により準備することができる。
【0040】
具体的には、たとえば、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法、OMVPE(OrganoMetallic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長)法、昇華法、CVD法などの気相成長法、フラックス法、高窒素圧溶液法などの液相成長法などにより成長されたSiCインゴットを準備する。その後、SiCインゴットから表面を有するSiC基板を切り出す。切り出す方法は特に限定されず、SiCインゴットからスライスなどによりSiC基板を切り出す。次いで、切り出したSiC基板の表面を研磨する。研磨する面は、表面のみでもよく、表面と反対側の裏面をさらに研磨してもよい。研磨する方法は特に限定されないが、表面を平坦にするとともに、傷などのダメージを低減するために、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)を採用する。CMPでは、研磨剤としてコロイダルシリカ、砥粒としてダイヤモンド、酸化クロム、固定剤として接着剤、ワックスなどを用いる。なお、CMPと併せて、あるいは代わりに、電界研磨法、化学研磨法、機械研磨法などの他の研磨をさらに行なってもよい。また研磨を省略してもよい。これにより、図2に示す表面1aを有するSiC基板1を準備することができる。このようなSiC基板1として、たとえば導電型がn型であり、抵抗が0.02Ωcmの基板を用いる。
【0041】
次に、図3および図4に示すように、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成する(ステップS2)。本実施の形態のステップS2では、図1に示す洗浄装置10の形成部11で酸化膜3を形成する。
【0042】
酸化膜3の形成方法は、特に限定されず、たとえばOを含む溶液、Oプラズマ、Oガスを含む雰囲気での熱酸化などを用いてSiC基板1の表面1aを酸化する方法が挙げられる。
【0043】
Oを含む溶液は、たとえばオゾン水が挙げられる。SiCが安定した化合物であることを考慮すると、たとえば30ppm以上の濃度を有するオゾン水を用いることが好ましい。この場合、オゾンの分解を抑制できるとともに、表面1aとオゾンとの反応速度を高めることができるので、表面1aに酸化膜3を容易に形成することができる。
【0044】
また、Oガスを含む熱酸化は、SiCが安定した化合物であることを考慮すると、たとえば700℃以上の温度のドライ雰囲気で行なうことが好ましい。なお、ドライ雰囲気とは、気相中で酸化膜3を形成することを意味し、意図しない液相成分を含んでいてもよい。
【0045】
また、Oプラズマとは、O元素を含むガスから生成されるプラズマを意味し、たとえばOガスをプラズマ発生装置に供給することにより発生させることができる。「Oプラズマにより酸化膜3を形成する」とは、O元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3を形成することを意味する。言い換えると、O元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を形成することを意味する。
【0046】
ステップS2でOプラズマを用いる場合には、200℃以上700℃以下で酸化膜3を形成することが好ましい。この場合、スループットを向上して酸化膜3を形成することができる。また電力を低減できるので、コストを低減して酸化膜3を形成することができる。また、均一に酸化膜を形成できる。
【0047】
ステップS2でOプラズマを用いる場合には、0.1Pa以上20Pa以下の雰囲気で酸化膜を形成する。この場合、SiC基板1の表面1aとの反応性を高めることができる。
【0048】
ステップS2では、たとえば1分子層以上30nm以下の厚みの酸化膜3を形成する。1分子層以上の厚みを有する酸化膜3を形成することで、表面1aの不純物、パーティクルなどを酸化膜に取り込むことができる。30nm以下の酸化膜を形成することで、後述するステップS3で酸化膜3は除去されやすくなる。
【0049】
このステップS2を実施すると、SiC基板1の表面1aに付着しているパーティクル、金属不純物などを酸化膜3の表面や内部に取り込む。なお、酸化膜3は、たとえば酸化シリコンである。
【0050】
次に、図1を参照して、形成部11で酸化膜3を形成したSiC基板1を、除去部12へ搬送する。このとき、SiC基板1は大気が遮断された雰囲気である接続部13内で搬送される。言い換えると、酸化膜3を形成するステップS2と酸化膜3を除去するステップS3との間では、SiC基板1は大気が遮断された雰囲気内に配置される。これにより、酸化膜3が形成された後に、SiC基板1に大気に含まれる不純物が付着することを抑制できる。
【0051】
次に、図3および図5に示すように、酸化膜3を除去する(ステップS3)。このステップS3では、ハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、酸化膜3を除去する。本実施の形態のステップS3では、図1に示す洗浄装置10の除去部12で酸化膜3を除去する。
【0052】
ここで、ハロゲンプラズマとは、ハロゲン元素を含むガスから生成されるプラズマを意味する。ハロゲン元素とは、F、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)である。「ハロゲンプラズマにより酸化膜3を除去する」とは、ハロゲン元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3をエッチングすることを意味する。言い換えると、ハロゲン元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を除去することを意味する。
【0053】
ハロゲンプラズマとしては、Fプラズマを用いることが好ましい。ここで、Fプラズマとは、F元素を含むガスから生成されるプラズマを意味し、たとえば四フッ化炭素(CF4)、三フッ化メタン(CHF3)、フロン(C2F6)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)、二フッ化キセノン(XeF2)、フッ素(F2)、および三フッ化塩素(ClF3)の単独ガスあるいは混合ガスをプラズマ発生装置に供給することにより発生させることができる。「Fプラズマにより酸化膜3を除去する」とは、F元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3をエッチングすることを意味する。言い換えると、F元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を除去することを意味する。
【0054】
Hプラズマとは、H元素を含むガスから生成されるプラズマを意味し、たとえばH2ガスをプラズマ発生装置に供給することにより発生させることができる。「Hプラズマにより酸化膜3を除去する」とは、H元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3をエッチングすることを意味する。言い換えると、H元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を除去することを意味する。
【0055】
このステップS3では、20℃以上400℃以下の温度で酸化膜3を除去することが好ましい。
【0056】
また、このステップS3では、0.1Pa以上20Pa以下の圧力で酸化膜3を除去することが好ましい。
【0057】
このステップS3を実施すると、ステップS2で不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜を除去できるので、ステップS1で準備したSiC基板1の表面1aに付着していた不純物、パーティクルなどを除去することができる。
【0058】
以上の工程(ステップS1〜S3)を実施することにより、たとえば図5に示すように、不純物およびパーティクルが低減された表面2aを有するSiC基板2を実現することができる。
【0059】
なお、上記ステップS2およびS3を繰り返してもよい。またステップS1後に必要に応じて、他の薬液での洗浄工程、純水リンス工程、乾燥工程などを追加して実施してもよい。他の薬液は、たとえば硫酸と過酸化水素水とを含むSPMが挙げられる。ステップS2前にSPMで洗浄する場合には有機物を除去することもできる。また、ステップS2前にRCA洗浄などを行なってもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態におけるSiC半導体としてのSiC基板1の洗浄方法は、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成する工程(ステップS2)と、酸化膜3を除去する工程(ステップS3)とを備え、除去する工程(ステップS3)では、ハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、酸化膜3を除去する。
【0061】
ステップS2においてSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成することにより、表面1aに付着していたチタン(Ti)などの金属不純物、パーティクルなどを取り込んで酸化膜3を形成することができる。ハロゲンプラズマによる活性ハロゲンまたはHプラズマによる活性Hを利用することで酸化膜3を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。このため、SiC基板1の表面1aに形成した酸化膜3を面内バラツキを低減して除去することができる。つまり、酸化膜3の膜質に影響されずに、均一性良く酸化膜3を除去できる。したがって、SiC基板1の表面1aの不純物、パーティクルなどを面内バラツキを低減して除去することができる。また、SiC基板1の表面1a上に形成した酸化膜3の局所的な残留も抑制できる。さらに、SiC基板1面内の一部の領域のみエッチングが進行することを抑制できるので、SiC基板1の表面1aの局所的な凹みも抑制できる。
【0062】
また、SiC基板は化学的に安定していることに本発明者は着目して、Si基板ではダメージが生じるハロゲンプラズマまたはHプラズマによる酸化膜3の除去方法をSiC基板に適用しても、SiC基板1にはダメージが生じにくいことを見い出した。このため、ステップS3においてハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いても、SiC基板1へ与えるダメージは少ない。
【0063】
したがって、本実施の形態におけるSiC基板1の洗浄方法によれば、不純物、パーティクルなどを表面1aの面内バラツキを低減して除去できるとともに、洗浄によるダメージが少ない。よって、表面特性が良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0064】
また、ステップS3において酸化膜3の除去をドライ雰囲気のハロゲンプラズマまたはHプラズマにより行なっている。プラズマはクリーンであるので、環境にもやさしい。さらに、プラズマによるエッチング工程は、ウエット雰囲気(液相を含む雰囲気)での洗浄と比較して水洗、乾燥などの後処理を省略できるので、SiC基板1を簡便に洗浄できる。さらには、水洗の後処理の必要がなくなるので、ステップS3後のSiC基板2の表面2aにウォーターマークが発生することを抑制できる。
【0065】
上記本実施の形態におけるSiC半導体としてのSiC基板1の洗浄方法において好ましくは、酸化膜3を形成する工程(ステップS2)では、Oプラズマを用いる。
【0066】
本発明者は、上記特許文献1の洗浄方法をSiC半導体に適用すると、SiCはSiよりも熱的に安定な化合物であるので、SiC半導体の表面が酸化されにくいことに着目した。つまり、上記特許文献1の洗浄方法は、Siの表面を酸化することはできるが、SiCの表面を十分に酸化できないので、SiC半導体の表面を十分に洗浄することはできない。そこで、SiC半導体の表面を酸化するために本発明者が鋭意研究した結果、Oプラズマを用いることにより活性Oを利用することで酸化膜3を容易に形成できることを見い出した。またSiCは結晶的に丈夫であるので、Oプラズマを用いても、SiC基板1へのダメージが少ない。したがって、表面特性がより良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0067】
また、OプラズマでSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成し(ステップS2)、ハロゲンプラズマまたはHプラズマで酸化膜3を除去する(ステップS3)ことにより、ドライ雰囲気(気相中)でSiC基板1の表面1aを洗浄することができる。ウエット雰囲気(液相を含む雰囲気)での洗浄は、洗浄に用いる液相、器具などに金属イオンが含まれている場合がある。また洗浄室からパーティクルが増加しやすい傾向にある。このため、ドライ雰囲気での洗浄は、ウエット雰囲気(液相を含む雰囲気)に比べて、表面の金属不純物およびパーティクルをより低減できる。
【0068】
本発明の実施の形態におけるSiC半導体としてのSiC基板1の洗浄装置10は、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成するための形成部11と、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜3を除去するための除去部12と、SiC基板を搬送可能にするために形成部11と除去部12とを接続し、かつSiC基板1を搬送させる領域は大気の遮断が可能である接続部13とを備えている。
【0069】
本実施の形態におけるSiC基板1の洗浄装置10によれば、形成部11においてSiC基板1に酸化膜3を形成した後、除去部12において酸化膜3を除去する間に、SiC基板1が大気に曝されることを抑制できる。これにより、大気中の不純物がSiC基板1の表面1aに再付着することを抑制できる。またハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜3を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。これにより、SiC基板1の表面1aに形成した酸化膜3を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、表面特性が良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0070】
(変形例)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。図6を参照して、本実施の形態の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置を説明する。
【0071】
図6に示すように、変形例の洗浄装置20は、チャンバ21と、第1のガス供給部22と、第2のガス供給部23と、真空ポンプ24とを備えている。第1のガス供給部22、第2のガス供給部23および真空ポンプ24は、チャンバ21と接続されている。
【0072】
チャンバ21は、内部にSiC基板1を収容するプラズマ発生装置である。プラズマ発生装置は、平行平板型RIE装置、ICP型RIE装置、ECR型RIE装置、SWP型RIE装置、CVD装置などが用いられる。
【0073】
第1および第2のガス供給部22、23は、プラズマ発生源のガスをチャンバ21に供給する。第1のガス供給部22は、たとえばOを含むガスを供給する。このため、第1のガス供給部22は、チャンバ21内でOプラズマを発生することが可能であり、これによりSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成することができる。第2のガス供給部23は、たとえばハロゲンまたはHを含むガスを供給する。このため、第2のガス供給部23は、チャンバ21内でハロゲンプラズマまたはHプラズマを発生することが可能であり、これによりSiC基板1の表面1aに形成された酸化膜3を除去することができる。
【0074】
真空ポンプ24は、チャンバ21の内部を真空にする。このため、OプラズマによりSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成した後に、チャンバ21の内部を真空にして、ハロゲンプラズマまたはHプラズマにより酸化膜3を除去することができる。なお、真空ポンプ24は省略されてもよい。
【0075】
なお、図6に示す洗浄装置は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
【0076】
以上より、本実施の形態の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置20は、SiC半導体としてのSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成するための形成部と、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜3を除去するための除去部とを備え、形成部と除去部とが同一(チャンバ21)である。
【0077】
変形例におけるSiC半導体の洗浄装置20によれば、形成部においてSiC基板1に酸化膜3を形成した後、除去部において酸化膜3を除去する間に、SiC基板1を搬送する必要がないので、SiC基板1は大気に曝されない。言い換えると、酸化膜3を形成するステップS2と酸化膜3を除去するステップS3との間では、SiC基板は大気が遮断された雰囲気内に配置される。これにより、SiC基板1の洗浄中に大気中の不純物がSiC基板1の表面1aに再付着することを抑制できる。またハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜3を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。これにより、SiC基板1の表面1aに形成した酸化膜3を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、表面特性が良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0078】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における洗浄するSiC半導体を概略的に示す断面図である。図8は、本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。図9〜図11は、本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。図2、図4、図5、図7〜図11を参照して、本実施の形態におけるSiC半導体の洗浄方法について説明する。本実施の形態では、SiC半導体として、図7に示すように、SiC基板2と、SiC基板2上に形成されたエピタキシャル層120とを含むエピタキシャルウエハ100を洗浄する方法を説明する。
【0079】
まず、図2および図8に示すように、SiC基板1を準備する(ステップS1)。ステップS1は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0080】
次に、図4および図8に示すように、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成し(ステップS2)、その後、図5および図8に示すように、酸化膜3を除去する(ステップS3)。ステップS2およびS3は実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。これにより、SiC基板1の表面1aを洗浄することができ、不純物およびパーティクルが低減された表面2aを有するSiC基板2を準備できる。なお、SiC基板1の表面1aの洗浄は省略されてもよい。
【0081】
次に、図7〜図9に示すように、SiC基板2の表面2a上に、気相成長法、液相成長法などにより、エピタキシャル層120を形成する(ステップS4)。本実施の形態では、たとえば以下のようにエピタキシャル層120を形成する。
【0082】
具体的には、図9に示すように、SiC基板2の表面2a上に、バッファ層121を形成する。バッファ層121は、たとえば導電型がn型のSiCからなり、たとえば厚さが0.5μmのエピタキシャル層である。またバッファ層121における導電性不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3である。
【0083】
その後、図9に示すように、バッファ層121上に耐圧保持層122を形成する。耐圧保持層122として、気相成長法、液相成長法などにより、導電型がn型のSiCからなる層を形成する。耐圧保持層122の厚さは、たとえば15μmである。また耐圧保持層122におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1015cm-3である。
【0084】
次に、図7および図8に示すように、エピタキシャル層120にイオン注入する(ステップS5)。本実施の形態では、図7に示すように、p型ウエル領域123と、n+ソース領域124と、p+コンタクト領域125とを、以下のように形成する。まず導電型がp型の不純物を耐圧保持層122の一部に選択的に注入することで、ウエル領域123を形成する。その後、n型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってソース領域124を形成し、また導電型がp型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってコンタクト領域125を形成する。なお不純物の選択的な注入は、たとえば酸化膜からなるマスクを用いて行われる。このマスクは、不純物の注入後にそれぞれ除去される。
【0085】
このような注入工程の後、活性化アニール処理が行われてもよい。たとえば、アルゴン雰囲気中、加熱温度1700℃で30分間のアニールが行われる。
【0086】
これらの工程により、図7に示すように、SiC基板2と、SiC基板2上に形成されたエピタキシャル層120とを備えたエピタキシャルウエハ100を準備することができる。
【0087】
次に、エピタキシャルウエハ100の表面100aを洗浄する。具体的には、図8および図10に示すように、エピタキシャルウエハ100の表面100aに、酸化膜3を形成する(ステップS2)。
【0088】
このステップS2は、実施の形態1におけるSiC基板1の表面1a上に酸化膜3を形成するステップS2と同様である。ただし、ステップS5でエピタキシャルウエハにイオン注入することにより表面100aがダメージを受けた場合、このダメージ層を除去する目的で、ダメージ層を酸化してもよい。この場合、たとえばOプラズマや1100℃以上での熱酸化により、表面100aからSiC基板2に向けて10nm超えて100nm以下酸化する。
【0089】
次に、エピタキシャルウエハ100の表面100a上に形成された酸化膜3をハロゲンプラズマまたはHプラズマによって除去する(ステップS3)。このステップS3は、実施の形態1におけるSiC基板1の表面1a上に形成した酸化膜3を除去するステップS3と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0090】
以上の工程(S1〜S5)を実施することにより、エピタキシャルウエハ100の表面100aに付着していた不純物、パーティクルなどを洗浄することができる。なお、ステップS2およびステップS3を繰り返し行なってもよいこと、他の洗浄工程をさらに含んでもよいことは、実施の形態1と同様である。これにより、たとえば図11に示すように、不純物およびパーティクルが低減された表面101aを有するエピタキシャルウエハ101を実現することができる。
【0091】
なお、本実施の形態におけるエピタキシャルウエハを洗浄する際には、図1に示す洗浄装置10および図6に示す洗浄装置20のいずれを用いてもよい。図1に示す洗浄装置10を用いる場合には、洗浄装置10の接続部13は、酸化膜3が形成されたエピタキシャルウエハ100が搬送される。このため、接続部13は、エピタキシャルウエハ100またはエピタキシャルウエハ100が載置されたサセプタが搬送可能な形状である。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態におけるエピタキシャルウエハ100の洗浄方法によれば、SiCは結晶的に丈夫であるので、Siではダメージにより採用することができないハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、酸化膜3を除去している。ハロゲンプラズマおよびHプラズマはクリーンで均一性が高いため、面方位による異方性の影響を低減して、酸化膜3を除去することができる。したがって、エピタキシャルウエハ100の表面100aの特性が良好になるように洗浄することができる。
【0093】
本実施の形態のSiC半導体としてのエピタキシャルウエハ100の洗浄方法を実施することにより、図11に示すように、不純物、パーティクルなどを低減した表面101aを有するエピタキシャルウエハ101を製造できる。この表面101a上にゲート酸化膜などの半導体デバイスを構成する絶縁膜を形成して半導体デバイスを作製すると、絶縁膜の特性を向上できるとともに、表面101aと絶縁膜との界面、および絶縁膜中に存在する不純物、パーティクルなどを低減することができる。したがって、半導体デバイスの逆方向電圧印加時の耐圧を向上できるとともに、順方向電圧印加時の動作の安定性および長期信頼性を向上することができる。よって、本発明のSiC半導体の洗浄方法は、ゲート酸化膜形成前のエピタキシャルウエハ100の表面100aに特に好適に用いられる。
【0094】
なお、本実施の形態の洗浄方法で洗浄したエピタキシャルウエハ101は、洗浄した表面101aに絶縁膜を形成することで絶縁膜の特性を向上できるので、絶縁膜を有する半導体デバイスに好適に用いることができる。したがって、本実施の形態で洗浄したエピタキシャルウエハ101は、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの絶縁ゲート型電界効果部を有する半導体デバイスや、JFET(Junction Field-Effect Transistor:接合電界効果トランジスタ)などに好適に用いることができる。
【0095】
ここで、実施の形態1では、SiC基板1の表面1aを洗浄する方法について説明した。実施の形態2では、SiC基板2と、SiC基板2上に形成されたSiCエピタキシャル層120とを備え、SiCエピタキシャル層120はイオン注入された表面100aを有するエピタキシャルウエハ100の表面100aを洗浄する方法について説明した。しかし、本発明の洗浄方法は、イオン注入されていない表面を有するSiCエピタキシャル層にも適用することができる。また、エピタキシャルウエハ100を洗浄する場合には、エピタキシャルウエハ100を構成するSiC基板2の表面2aまたは、エピタキシャルウエハ100の表面100aの少なくとも一方を洗浄してもよい。つまり、本発明のSiC半導体の洗浄方法は、(i)SiC基板を洗浄する場合と、(ii)SiC基板と、SiC基板上に形成されたSiCエピタキシャル層とを有する、エピタキシャルウエハを洗浄する場合とを含み、(ii)のSiCエピタキシャル層は、表面からイオン注入されたものと、イオン注入されていないものとを含む。
【実施例】
【0096】
本実施例では、SiC半導体として、図12に示すエピタキシャルウエハ130を洗浄して、ハロゲンプラズマを用いて酸化膜を除去することの効果について調べた。なお、図12は、実施例で洗浄するエピタキシャルウエハ130を概略的に示す断面図である。
【0097】
(本発明例1)
まず、SiC基板2として、表面2aを有する4H−SiC基板を準備した(ステップS1)。
【0098】
次に、エピタキシャル層120を構成する層として、10μmの厚みを有し、1×1016cm-3の不純物濃度を有するp型SiC層131をCVD法により成長した(ステップS4)。
【0099】
次に、SiO2をマスクとして用いて、リン(P)をn型不純物として1×1019cm-3の不純物濃度を有するソース領域124およびドレイン領域129を形成した。また、アルミニウム(Al)をp型不純物として1×1019cm-3の不純物濃度を有するコンタクト領域125を形成した(ステップS5)。なお、各々のイオン注入をした後には、マスクを除去した。
【0100】
次に、活性化アニール処理を行なった。この活性化アニール処理としては、Arガスを雰囲気ガスとして用いて、加熱温度1700〜1800℃、加熱時間30分と条件とした。
【0101】
これにより、表面130aを有するエピタキシャルウエハ130を準備した。続いて、図6に示す洗浄装置20を用いて、エピタキシャルウエハ130の表面130aを洗浄した。
【0102】
Oプラズマを用いて、酸化膜を形成した(ステップS2)。このステップS2では、図6に示す平行平板型RIEの洗浄装置20を用い、チャンバ21の内部にエピタキシャルウエハ130を配置し、以下の条件でOプラズマを行なった。第1のガス供給部22からO2ガスを50sccmで供給し、チャンバ21内の雰囲気の圧力が1.0Paで、エピタキシャルウエハ130におけるSiC基板2の裏面の加熱温度を400℃とし、500Wの電力(パワー)を印加した状態で、酸化膜を形成した。これにより、エピタキシャルウエハ130の表面130aに1nmの厚みの酸化膜を形成できたことを確認した。
【0103】
次に、チャンバ21内にエピタキシャルウエハ130を配置した状態で、Fプラズマを用いて、酸化膜を除去した(ステップS3)。このステップS3では、第1のガス供給部22からOを供給することを停止し、第2のガス供給部23からF2ガスを30sccmで供給し、チャンバ21内の雰囲気の圧力が1.0Paで、エピタキシャルウエハ130におけるSiC基板2の裏面の加熱温度を400℃とし、300Wの電力(パワー)を印加した状態で、酸化膜を除去した。これにより、ステップS2で形成した酸化膜が均一に(面内バラツキを低減して)除去できたことを確認した。
【0104】
以上の工程(ステップS1〜S5)により、エピタキシャルウエハ130の表面130aを洗浄した。本発明例1の洗浄後のエピタキシャルウエハ130の表面は、洗浄前の表面130aよりも不純物およびパーティクルが低減されていた。また、本発明例1の洗浄後のエピタキシャルウエハ130の表面は、酸化膜が局所的に残留していなかった。
【0105】
(比較例1)
比較例1は、まず、本発明例1と同様の図12に示すエピタキシャルウエハ130を準備した。
【0106】
次に、エピタキシャルウエハ130を洗浄した。比較例1のエピタキシャルウエハ130の洗浄方法は、基本的には本発明例1のエピタキシャルウエハ130の洗浄方法と同様であったが、酸化膜を除去するステップS3においてFプラズマの代わりにHFを用いた点、および、図6に示す洗浄装置20の代わりに図1に示す洗浄装置10を用いた点において異なっていた。
【0107】
具体的には、比較例1では、図1に示す洗浄装置20において、Oプラズマを用いて、準備したエピタキシャルウエハ130の表面130aに酸化膜を形成した(ステップS2)。このステップS2では、形成部11として平行平板型RIEを用い、形成部11の内部にエピタキシャルウエハ130を配置し、本発明例1と同様の以下の条件でOプラズマを行なった。O2ガスを50sccmで供給し、形成部11内の雰囲気の圧力が1.0Paで、エピタキシャルウエハ130におけるSiC基板2の裏面の加熱温度を400℃とし、500Wの電力(パワー)を印加した状態で、酸化膜を形成した。これにより、エピタキシャルウエハ130の表面130aに1nmの厚みの酸化膜を形成できたことを確認した。
【0108】
次に、形成部11で酸化膜を形成したエピタキシャルウエハ130を、除去部12へ搬送した。このとき、エピタキシャルウエハ130は大気が遮断された雰囲気である接続部13内で搬送された。
【0109】
次に、HFを用いて酸化膜を除去した。この工程では、除去部12内にHFを貯留させて、エピタキシャルウエハ130をHFに浸漬させることで酸化膜3を除去した。
【0110】
その後、洗浄装置10からエピタキシャルウエハ130を取り出し、エピタキシャルウエハ130の表面を純水で洗浄した(純水リンス工程)。次いで、スピン法にてエピタキシャルウエハ130を乾燥した(乾燥工程)。
【0111】
次に、上述したOプラズマを用いて酸化膜を形成する工程(ステップS2)、HFを用いて酸化膜を除去する工程、純水リンス工程および乾燥工程を繰り返した。
【0112】
以上の工程により、エピタキシャルウエハ130の表面130aを洗浄した。比較例1では、ステップS2で形成した酸化膜を、本発明例1よりも均一に(面内バラツキを低減して)除去できなかった。これは、比較例1ではHFを用いて酸化膜を除去したので、面方位による酸化膜の膜質により、エピタキシャルウエハ130の面内でエッチングレートに差に起因して酸化膜除去の面内バラツキが生じたためと考えられる。
【0113】
以上より、本実施例によれば、SiC半導体の表面に酸化膜を形成し、かつこの酸化膜をハロゲンプラズマを用いて除去することにより、表面に付着していた不純物、パーティクルなどを面内バラツキを低減して除去できるため、SiC半導体の表面特性を良好にして洗浄できることがわかった。
【0114】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1,2 SiC基板、1a,2a,100a,101a,130a 表面、3 酸化膜、10,20 洗浄装置、11 形成部、12 除去部、13 接続部、21 チャンバ、22 第1のガス供給部、23 第2のガス供給部、24 真空ポンプ、100,101,130 エピタキシャルウエハ、120 エピタキシャル層、121 バッファ層、122 耐圧保持層、123 ウエル領域、124 ソース領域、125 コンタクト領域、129 ドレイン領域、131 p型SiC層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素(SiC)半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置に関し、より特定的には酸化膜を有する半導体デバイスに用いるSiC半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体デバイスの製造方法において、表面に付着している付着物を除去するために洗浄を行なっている。このような洗浄方法として、たとえば、特開平6−314679号公報(特許文献1)に開示の技術が挙げられる。この特許文献1の半導体基板の洗浄方法は、以下のように行なうことが開示されている。まず、シリコン(Si)基板をオゾンを含む超純水で洗浄してSi酸化膜を形成し、このSi酸化膜の内部や表面にパーティクルおよび金属不純物を取り込む。次に、このSi基板を希フッ酸水溶液で洗浄してSi酸化膜をエッチング除去し、同時にパーティクルおよび金属不純物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−314679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SiCは、バンドギャップが大きく、また最大絶縁破壊電界および熱伝導率はSiと比較して大きい一方、キャリアの移動度はSiと同程度に大きく、電子の飽和ドリフト速度および耐圧も大きい。そのため、高効率化、高耐圧化、および大容量化を要求される半導体デバイスへの適用が期待される。そこで、本発明者はSiC半導体を半導体デバイスに用いることに着目した。SiC半導体を半導体デバイスに用いる場合には、SiC半導体の表面を洗浄する必要がある。
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示の洗浄方法をSiC半導体へ適用するべく、SiC半導体上にSi酸化膜を形成し、Si酸化膜を希フッ酸水溶液で洗浄すると、面方位によるSi酸化膜の膜質により、SiC半導体の面内でエッチングレートに差が生じることを本発明者は見い出した。SiC半導体においてSi酸化膜除去の面内バラツキが生じると、Si酸化膜が残るなど洗浄が不十分な領域が生じる場合がある。Si酸化膜がすべて除去された場合であっても、SiC半導体面内の一部の領域のみエッチングが進行することで、SiC半導体の表面特性にバラツキが生じる。このため、洗浄後のSiC半導体の表面特性を良好にできない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、表面特性が良好になるようにSiC半導体を洗浄するSiC半導体の洗浄方法およびSiC半導体の洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のSiC半導体の洗浄方法は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する工程と、酸化膜を除去する工程とを備え、酸化膜を除去する工程では、ハロゲンプラズマまたは水素(H)プラズマによって、酸化膜を除去する。
【0008】
本発明のSiC半導体の洗浄方法によれば、SiC半導体の表面に酸化膜を形成することにより、表面に付着していた不純物、パーティクルなどを取り込んで酸化膜を形成することができる。この酸化膜を、ハロゲンプラズマまたはHプラズマによって除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。このため、SiC半導体の表面に形成した酸化膜を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、SiC半導体の表面の不純物、パーティクルなどを面内バラツキを低減して除去することができる。また、SiC半導体は、安定な化合物であるので、ハロゲンプラズマを用いても、SiC半導体へのダメージが少ない。よって、表面特性が良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0009】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を除去する工程では、ハロゲンプラズマとしてフッ素(F)プラズマを用いる。
【0010】
Fプラズマは、エッチング効率が高く、金属汚染の可能性が低い。このため、表面特性がより良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0011】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を除去する工程では、20℃以上400℃以下の温度で行なう。
【0012】
これにより、SiC半導体へのダメージが低減できる。
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を除去する工程では、0.1Pa以上20Pa以下の圧力で行なう。
【0013】
これにより、ハロゲンプラズマまたはHプラズマと、酸化膜との反応性を高めることができるので、酸化膜を容易に除去することができる。
【0014】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を形成する工程では、酸素(O)プラズマを用いる。
【0015】
Oプラズマを用いることにより、結合が強固で、安定な化合物であるSiC半導体の表面に酸化膜を容易に形成できる。このため、表面に付着していた不純物、パーティクルなどを取り込んで酸化膜を容易に形成することができる。ハロゲンプラズマでこの酸化膜を除去することで、SiC半導体の表面の不純物、パーティクルなどを除去することができる。また、SiC半導体は、安定な化合物であるので、Oプラズマを用いても、SiC半導体へのダメージが少ない。よって、表面特性がより良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0016】
上記SiC半導体の洗浄方法において好ましくは、酸化膜を形成する工程と酸化膜を除去する工程との間では、SiC半導体は大気が遮断された雰囲気内に配置される。
【0017】
これにより、大気中の不純物がSiC半導体の表面に再付着することを抑制できる。したがって、表面特性がより良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【0018】
本発明の一の局面におけるSiC半導体の洗浄装置は、形成部と、除去部と、接続部とを備えている。形成部は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する。除去部は、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜を除去する。接続部は、SiC半導体を搬送可能に形成部と除去部とを接続する。接続部におけるSiC半導体を搬送させる領域は、大気の遮断が可能である。
【0019】
本発明の他の局面におけるSiC半導体の洗浄装置は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成するための形成部と、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜を除去するための除去部とを備え、形成部と除去部とは同一である。
【0020】
本発明の一および他の局面におけるSiC半導体の洗浄装置によれば、形成部においてSiC半導体に酸化膜を形成した後、除去部において酸化膜を除去する間に、SiC半導体が大気に曝されることを抑制できる。これにより、大気中の不純物がSiC半導体の表面に再付着することを抑制できる。またハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。これにより、SiC半導体の表面に形成した酸化膜を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、表面特性が良好になるように、SiC半導体を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のSiC半導体の洗浄方法および洗浄装置によれば、表面に形成した酸化膜をハロゲンプラズマまたはHプラズマで除去することにより、表面特性が良好になるようにSiC半導体を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1において準備するSiC半導体を概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1においてSiC半導体に酸化膜を形成した状態を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1において酸化膜を除去した状態を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。
【図7】本発明の実施の形態2における洗浄するSiC半導体を概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図12】実施例で洗浄するエピタキシャルウエハを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。図1を参照して、本発明の一実施の形態におけるSiC半導体の洗浄装置を説明する。
【0025】
図1に示すように、SiC半導体の洗浄装置10は、形成部11と、除去部12と、接続部13とを備えている。形成部11と除去部12とは、接続部13により接続されている。形成部11、除去部12および接続部13の内部は大気から遮断されており、内部は互いに連通可能である。
【0026】
形成部11は、SiC半導体の表面に酸化膜を形成する。形成部11は、たとえばプラズマ発生装置、オゾン水などのOを含む溶液を用いて酸化膜を形成する装置などが用いられる。
【0027】
除去部12は、形成部11で形成した酸化膜を除去する。除去部12は、プラズマ発生装置が用いられる。除去部12は、ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いて酸化膜を除去する。
【0028】
形成部11および除去部12で用いるプラズマ発生装置は、特に限定されず、たとえば平行平板型RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)装置、ICP(Inductive Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)型RIE装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance:電子サイクロトロン共鳴)型RIE装置、SWP(Surface Wave Plasma:表面波プラズマ)型RIE装置、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)装置などが用いられる。
【0029】
接続部13は、SiC基板1を搬送可能に形成部11と除去部12とを接続する。接続部13においてSiC基板1を搬送させる領域(内部空間)は、大気の遮断が可能である。
【0030】
ここで、大気の遮断(大気を遮断した雰囲気)とは、大気が混入しない雰囲気を意味し、たとえば真空中、または、不活性ガスや窒素ガスよりなる雰囲気である。具体的には、大気を遮断した雰囲気は、たとえば真空中、または、窒素(N)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、またはこれらの組み合わせからなるガスが充填された雰囲気である。
【0031】
本実施の形態では、接続部13は、形成部11の内部と除去部12の内部とを連結している。接続部13は、形成部11から搬出されるSiC半導体を除去部12へ搬送するための空間を内部に有する。つまり、接続部13は、SiC半導体を大気に開放しないように、形成部11から除去部12へ搬送するために設置されている。
【0032】
接続部13は、内部でSiC基板1が搬送可能であるような大きさを有する。また接続部13は、SiC基板1をサセプタに載置した状態で搬送可能である大きさを有していてもよい。接続部13は、たとえば形成部11の出口と、除去部12の入口とを連結するロードロック室である。
【0033】
また、洗浄装置10は、接続部13の内部に配置されるとともに、SiC半導体を形成部11から除去部12へ搬送するための第1の搬送部をさらに備えていてもよい。洗浄装置10は、除去部12で酸化膜を除去したSiC半導体を、洗浄装置10の外部へ取り出す、あるいは、半導体デバイスを構成する酸化膜を形成する酸化膜形成部へ大気を遮断した雰囲気で搬送するための第2の搬送部をさらに備えていてもよい。第1の搬送部と第2の搬送部とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
また、洗浄装置10は、形成部11と接続部13との間に配置され、かつ形成部11の内部と接続部13の内部とを遮断するための遮断部をさらに備えていてもよい。また、洗浄装置10は、除去部12と接続部13との間に配置され、かつ除去部12の内部と接続部13の内部とを遮断するための遮断部をさらに備えていてもよい。遮断部は、たとえばそれぞれの連通部を塞ぐことが可能な弁や扉などを用いることができる。
【0035】
また、洗浄装置10は、内部の雰囲気ガスを排出するための真空ポンプや、内部の雰囲気ガスを置換するための置換ガスボンベをさらに備えていてもよい。真空ポンプや置換ガスボンベは、形成部11、除去部12および接続部13のそれぞれに接続されていてもよく、少なくともいずれか1つに接続されていてもよい。
【0036】
なお、洗浄装置10は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
【0037】
また、図1では、接続部13として形成部11と除去部12との間のみを連結する形状を示したが、特にこれに限定されない。接続部13として、たとえば大気を遮断したチャンバを用い、このチャンバ内に形成部11および除去部12が配置されていてもよい。
【0038】
図2は、本発明の実施の形態1において準備するSiC半導体を概略的に示す断面図である。図3は、本発明の実施の形態1におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。図4は、本発明の実施の形態1においてSiC半導体に酸化膜を形成した状態を概略的に示す断面図である。図5は、本発明の実施の形態1において酸化膜を除去した状態を概略的に示す断面図である。続いて、図1〜図5を参照して、本発明の一実施の形態のSiC半導体の洗浄方法を説明する。本実施の形態では、SiC半導体として、図2に示すSiC基板1を洗浄する方法を説明する。また、本実施の形態では、図1に示すSiC半導体の洗浄装置10を用いる。
【0039】
図2および図3に示すように、まず、表面1aを有するSiC基板1を準備する(ステップS1)。SiC基板1は、特に限定されないが、たとえば以下の方法により準備することができる。
【0040】
具体的には、たとえば、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシ)法、OMVPE(OrganoMetallic Vapor Phase Epitaxy:有機金属気相成長)法、昇華法、CVD法などの気相成長法、フラックス法、高窒素圧溶液法などの液相成長法などにより成長されたSiCインゴットを準備する。その後、SiCインゴットから表面を有するSiC基板を切り出す。切り出す方法は特に限定されず、SiCインゴットからスライスなどによりSiC基板を切り出す。次いで、切り出したSiC基板の表面を研磨する。研磨する面は、表面のみでもよく、表面と反対側の裏面をさらに研磨してもよい。研磨する方法は特に限定されないが、表面を平坦にするとともに、傷などのダメージを低減するために、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)を採用する。CMPでは、研磨剤としてコロイダルシリカ、砥粒としてダイヤモンド、酸化クロム、固定剤として接着剤、ワックスなどを用いる。なお、CMPと併せて、あるいは代わりに、電界研磨法、化学研磨法、機械研磨法などの他の研磨をさらに行なってもよい。また研磨を省略してもよい。これにより、図2に示す表面1aを有するSiC基板1を準備することができる。このようなSiC基板1として、たとえば導電型がn型であり、抵抗が0.02Ωcmの基板を用いる。
【0041】
次に、図3および図4に示すように、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成する(ステップS2)。本実施の形態のステップS2では、図1に示す洗浄装置10の形成部11で酸化膜3を形成する。
【0042】
酸化膜3の形成方法は、特に限定されず、たとえばOを含む溶液、Oプラズマ、Oガスを含む雰囲気での熱酸化などを用いてSiC基板1の表面1aを酸化する方法が挙げられる。
【0043】
Oを含む溶液は、たとえばオゾン水が挙げられる。SiCが安定した化合物であることを考慮すると、たとえば30ppm以上の濃度を有するオゾン水を用いることが好ましい。この場合、オゾンの分解を抑制できるとともに、表面1aとオゾンとの反応速度を高めることができるので、表面1aに酸化膜3を容易に形成することができる。
【0044】
また、Oガスを含む熱酸化は、SiCが安定した化合物であることを考慮すると、たとえば700℃以上の温度のドライ雰囲気で行なうことが好ましい。なお、ドライ雰囲気とは、気相中で酸化膜3を形成することを意味し、意図しない液相成分を含んでいてもよい。
【0045】
また、Oプラズマとは、O元素を含むガスから生成されるプラズマを意味し、たとえばOガスをプラズマ発生装置に供給することにより発生させることができる。「Oプラズマにより酸化膜3を形成する」とは、O元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3を形成することを意味する。言い換えると、O元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を形成することを意味する。
【0046】
ステップS2でOプラズマを用いる場合には、200℃以上700℃以下で酸化膜3を形成することが好ましい。この場合、スループットを向上して酸化膜3を形成することができる。また電力を低減できるので、コストを低減して酸化膜3を形成することができる。また、均一に酸化膜を形成できる。
【0047】
ステップS2でOプラズマを用いる場合には、0.1Pa以上20Pa以下の雰囲気で酸化膜を形成する。この場合、SiC基板1の表面1aとの反応性を高めることができる。
【0048】
ステップS2では、たとえば1分子層以上30nm以下の厚みの酸化膜3を形成する。1分子層以上の厚みを有する酸化膜3を形成することで、表面1aの不純物、パーティクルなどを酸化膜に取り込むことができる。30nm以下の酸化膜を形成することで、後述するステップS3で酸化膜3は除去されやすくなる。
【0049】
このステップS2を実施すると、SiC基板1の表面1aに付着しているパーティクル、金属不純物などを酸化膜3の表面や内部に取り込む。なお、酸化膜3は、たとえば酸化シリコンである。
【0050】
次に、図1を参照して、形成部11で酸化膜3を形成したSiC基板1を、除去部12へ搬送する。このとき、SiC基板1は大気が遮断された雰囲気である接続部13内で搬送される。言い換えると、酸化膜3を形成するステップS2と酸化膜3を除去するステップS3との間では、SiC基板1は大気が遮断された雰囲気内に配置される。これにより、酸化膜3が形成された後に、SiC基板1に大気に含まれる不純物が付着することを抑制できる。
【0051】
次に、図3および図5に示すように、酸化膜3を除去する(ステップS3)。このステップS3では、ハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、酸化膜3を除去する。本実施の形態のステップS3では、図1に示す洗浄装置10の除去部12で酸化膜3を除去する。
【0052】
ここで、ハロゲンプラズマとは、ハロゲン元素を含むガスから生成されるプラズマを意味する。ハロゲン元素とは、F、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)である。「ハロゲンプラズマにより酸化膜3を除去する」とは、ハロゲン元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3をエッチングすることを意味する。言い換えると、ハロゲン元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を除去することを意味する。
【0053】
ハロゲンプラズマとしては、Fプラズマを用いることが好ましい。ここで、Fプラズマとは、F元素を含むガスから生成されるプラズマを意味し、たとえば四フッ化炭素(CF4)、三フッ化メタン(CHF3)、フロン(C2F6)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)、二フッ化キセノン(XeF2)、フッ素(F2)、および三フッ化塩素(ClF3)の単独ガスあるいは混合ガスをプラズマ発生装置に供給することにより発生させることができる。「Fプラズマにより酸化膜3を除去する」とは、F元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3をエッチングすることを意味する。言い換えると、F元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を除去することを意味する。
【0054】
Hプラズマとは、H元素を含むガスから生成されるプラズマを意味し、たとえばH2ガスをプラズマ発生装置に供給することにより発生させることができる。「Hプラズマにより酸化膜3を除去する」とは、H元素を含むガスを用いたプラズマにより酸化膜3をエッチングすることを意味する。言い換えると、H元素を含むガスから生成されるプラズマによって処理されることにより、酸化膜3を除去することを意味する。
【0055】
このステップS3では、20℃以上400℃以下の温度で酸化膜3を除去することが好ましい。
【0056】
また、このステップS3では、0.1Pa以上20Pa以下の圧力で酸化膜3を除去することが好ましい。
【0057】
このステップS3を実施すると、ステップS2で不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜を除去できるので、ステップS1で準備したSiC基板1の表面1aに付着していた不純物、パーティクルなどを除去することができる。
【0058】
以上の工程(ステップS1〜S3)を実施することにより、たとえば図5に示すように、不純物およびパーティクルが低減された表面2aを有するSiC基板2を実現することができる。
【0059】
なお、上記ステップS2およびS3を繰り返してもよい。またステップS1後に必要に応じて、他の薬液での洗浄工程、純水リンス工程、乾燥工程などを追加して実施してもよい。他の薬液は、たとえば硫酸と過酸化水素水とを含むSPMが挙げられる。ステップS2前にSPMで洗浄する場合には有機物を除去することもできる。また、ステップS2前にRCA洗浄などを行なってもよい。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態におけるSiC半導体としてのSiC基板1の洗浄方法は、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成する工程(ステップS2)と、酸化膜3を除去する工程(ステップS3)とを備え、除去する工程(ステップS3)では、ハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、酸化膜3を除去する。
【0061】
ステップS2においてSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成することにより、表面1aに付着していたチタン(Ti)などの金属不純物、パーティクルなどを取り込んで酸化膜3を形成することができる。ハロゲンプラズマによる活性ハロゲンまたはHプラズマによる活性Hを利用することで酸化膜3を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。このため、SiC基板1の表面1aに形成した酸化膜3を面内バラツキを低減して除去することができる。つまり、酸化膜3の膜質に影響されずに、均一性良く酸化膜3を除去できる。したがって、SiC基板1の表面1aの不純物、パーティクルなどを面内バラツキを低減して除去することができる。また、SiC基板1の表面1a上に形成した酸化膜3の局所的な残留も抑制できる。さらに、SiC基板1面内の一部の領域のみエッチングが進行することを抑制できるので、SiC基板1の表面1aの局所的な凹みも抑制できる。
【0062】
また、SiC基板は化学的に安定していることに本発明者は着目して、Si基板ではダメージが生じるハロゲンプラズマまたはHプラズマによる酸化膜3の除去方法をSiC基板に適用しても、SiC基板1にはダメージが生じにくいことを見い出した。このため、ステップS3においてハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いても、SiC基板1へ与えるダメージは少ない。
【0063】
したがって、本実施の形態におけるSiC基板1の洗浄方法によれば、不純物、パーティクルなどを表面1aの面内バラツキを低減して除去できるとともに、洗浄によるダメージが少ない。よって、表面特性が良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0064】
また、ステップS3において酸化膜3の除去をドライ雰囲気のハロゲンプラズマまたはHプラズマにより行なっている。プラズマはクリーンであるので、環境にもやさしい。さらに、プラズマによるエッチング工程は、ウエット雰囲気(液相を含む雰囲気)での洗浄と比較して水洗、乾燥などの後処理を省略できるので、SiC基板1を簡便に洗浄できる。さらには、水洗の後処理の必要がなくなるので、ステップS3後のSiC基板2の表面2aにウォーターマークが発生することを抑制できる。
【0065】
上記本実施の形態におけるSiC半導体としてのSiC基板1の洗浄方法において好ましくは、酸化膜3を形成する工程(ステップS2)では、Oプラズマを用いる。
【0066】
本発明者は、上記特許文献1の洗浄方法をSiC半導体に適用すると、SiCはSiよりも熱的に安定な化合物であるので、SiC半導体の表面が酸化されにくいことに着目した。つまり、上記特許文献1の洗浄方法は、Siの表面を酸化することはできるが、SiCの表面を十分に酸化できないので、SiC半導体の表面を十分に洗浄することはできない。そこで、SiC半導体の表面を酸化するために本発明者が鋭意研究した結果、Oプラズマを用いることにより活性Oを利用することで酸化膜3を容易に形成できることを見い出した。またSiCは結晶的に丈夫であるので、Oプラズマを用いても、SiC基板1へのダメージが少ない。したがって、表面特性がより良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0067】
また、OプラズマでSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成し(ステップS2)、ハロゲンプラズマまたはHプラズマで酸化膜3を除去する(ステップS3)ことにより、ドライ雰囲気(気相中)でSiC基板1の表面1aを洗浄することができる。ウエット雰囲気(液相を含む雰囲気)での洗浄は、洗浄に用いる液相、器具などに金属イオンが含まれている場合がある。また洗浄室からパーティクルが増加しやすい傾向にある。このため、ドライ雰囲気での洗浄は、ウエット雰囲気(液相を含む雰囲気)に比べて、表面の金属不純物およびパーティクルをより低減できる。
【0068】
本発明の実施の形態におけるSiC半導体としてのSiC基板1の洗浄装置10は、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成するための形成部11と、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜3を除去するための除去部12と、SiC基板を搬送可能にするために形成部11と除去部12とを接続し、かつSiC基板1を搬送させる領域は大気の遮断が可能である接続部13とを備えている。
【0069】
本実施の形態におけるSiC基板1の洗浄装置10によれば、形成部11においてSiC基板1に酸化膜3を形成した後、除去部12において酸化膜3を除去する間に、SiC基板1が大気に曝されることを抑制できる。これにより、大気中の不純物がSiC基板1の表面1aに再付着することを抑制できる。またハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜3を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。これにより、SiC基板1の表面1aに形成した酸化膜3を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、表面特性が良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0070】
(変形例)
図6は、本発明の実施の形態1の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置の模式図である。図6を参照して、本実施の形態の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置を説明する。
【0071】
図6に示すように、変形例の洗浄装置20は、チャンバ21と、第1のガス供給部22と、第2のガス供給部23と、真空ポンプ24とを備えている。第1のガス供給部22、第2のガス供給部23および真空ポンプ24は、チャンバ21と接続されている。
【0072】
チャンバ21は、内部にSiC基板1を収容するプラズマ発生装置である。プラズマ発生装置は、平行平板型RIE装置、ICP型RIE装置、ECR型RIE装置、SWP型RIE装置、CVD装置などが用いられる。
【0073】
第1および第2のガス供給部22、23は、プラズマ発生源のガスをチャンバ21に供給する。第1のガス供給部22は、たとえばOを含むガスを供給する。このため、第1のガス供給部22は、チャンバ21内でOプラズマを発生することが可能であり、これによりSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成することができる。第2のガス供給部23は、たとえばハロゲンまたはHを含むガスを供給する。このため、第2のガス供給部23は、チャンバ21内でハロゲンプラズマまたはHプラズマを発生することが可能であり、これによりSiC基板1の表面1aに形成された酸化膜3を除去することができる。
【0074】
真空ポンプ24は、チャンバ21の内部を真空にする。このため、OプラズマによりSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成した後に、チャンバ21の内部を真空にして、ハロゲンプラズマまたはHプラズマにより酸化膜3を除去することができる。なお、真空ポンプ24は省略されてもよい。
【0075】
なお、図6に示す洗浄装置は、上記以外の様々な要素を含んでいてもよいが、説明の便宜上、これらの要素の図示および説明は省略する。
【0076】
以上より、本実施の形態の変形例におけるSiC半導体の洗浄装置20は、SiC半導体としてのSiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成するための形成部と、ハロゲンプラズマまたはHプラズマを用いて酸化膜3を除去するための除去部とを備え、形成部と除去部とが同一(チャンバ21)である。
【0077】
変形例におけるSiC半導体の洗浄装置20によれば、形成部においてSiC基板1に酸化膜3を形成した後、除去部において酸化膜3を除去する間に、SiC基板1を搬送する必要がないので、SiC基板1は大気に曝されない。言い換えると、酸化膜3を形成するステップS2と酸化膜3を除去するステップS3との間では、SiC基板は大気が遮断された雰囲気内に配置される。これにより、SiC基板1の洗浄中に大気中の不純物がSiC基板1の表面1aに再付着することを抑制できる。またハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、不純物、パーティクルなどを取り込んだ酸化膜3を除去しているので、SiCの面方位による異方性の影響を低減できる。これにより、SiC基板1の表面1aに形成した酸化膜3を面内バラツキを低減して除去することができる。したがって、表面特性が良好になるように、SiC基板1を洗浄することができる。
【0078】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における洗浄するSiC半導体を概略的に示す断面図である。図8は、本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法を示すフローチャートである。図9〜図11は、本発明の実施の形態2におけるSiC半導体の洗浄方法の一工程を概略的に示す断面図である。図2、図4、図5、図7〜図11を参照して、本実施の形態におけるSiC半導体の洗浄方法について説明する。本実施の形態では、SiC半導体として、図7に示すように、SiC基板2と、SiC基板2上に形成されたエピタキシャル層120とを含むエピタキシャルウエハ100を洗浄する方法を説明する。
【0079】
まず、図2および図8に示すように、SiC基板1を準備する(ステップS1)。ステップS1は、実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0080】
次に、図4および図8に示すように、SiC基板1の表面1aに酸化膜3を形成し(ステップS2)、その後、図5および図8に示すように、酸化膜3を除去する(ステップS3)。ステップS2およびS3は実施の形態1と同様であるため、その説明は繰り返さない。これにより、SiC基板1の表面1aを洗浄することができ、不純物およびパーティクルが低減された表面2aを有するSiC基板2を準備できる。なお、SiC基板1の表面1aの洗浄は省略されてもよい。
【0081】
次に、図7〜図9に示すように、SiC基板2の表面2a上に、気相成長法、液相成長法などにより、エピタキシャル層120を形成する(ステップS4)。本実施の形態では、たとえば以下のようにエピタキシャル層120を形成する。
【0082】
具体的には、図9に示すように、SiC基板2の表面2a上に、バッファ層121を形成する。バッファ層121は、たとえば導電型がn型のSiCからなり、たとえば厚さが0.5μmのエピタキシャル層である。またバッファ層121における導電性不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3である。
【0083】
その後、図9に示すように、バッファ層121上に耐圧保持層122を形成する。耐圧保持層122として、気相成長法、液相成長法などにより、導電型がn型のSiCからなる層を形成する。耐圧保持層122の厚さは、たとえば15μmである。また耐圧保持層122におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1015cm-3である。
【0084】
次に、図7および図8に示すように、エピタキシャル層120にイオン注入する(ステップS5)。本実施の形態では、図7に示すように、p型ウエル領域123と、n+ソース領域124と、p+コンタクト領域125とを、以下のように形成する。まず導電型がp型の不純物を耐圧保持層122の一部に選択的に注入することで、ウエル領域123を形成する。その後、n型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってソース領域124を形成し、また導電型がp型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってコンタクト領域125を形成する。なお不純物の選択的な注入は、たとえば酸化膜からなるマスクを用いて行われる。このマスクは、不純物の注入後にそれぞれ除去される。
【0085】
このような注入工程の後、活性化アニール処理が行われてもよい。たとえば、アルゴン雰囲気中、加熱温度1700℃で30分間のアニールが行われる。
【0086】
これらの工程により、図7に示すように、SiC基板2と、SiC基板2上に形成されたエピタキシャル層120とを備えたエピタキシャルウエハ100を準備することができる。
【0087】
次に、エピタキシャルウエハ100の表面100aを洗浄する。具体的には、図8および図10に示すように、エピタキシャルウエハ100の表面100aに、酸化膜3を形成する(ステップS2)。
【0088】
このステップS2は、実施の形態1におけるSiC基板1の表面1a上に酸化膜3を形成するステップS2と同様である。ただし、ステップS5でエピタキシャルウエハにイオン注入することにより表面100aがダメージを受けた場合、このダメージ層を除去する目的で、ダメージ層を酸化してもよい。この場合、たとえばOプラズマや1100℃以上での熱酸化により、表面100aからSiC基板2に向けて10nm超えて100nm以下酸化する。
【0089】
次に、エピタキシャルウエハ100の表面100a上に形成された酸化膜3をハロゲンプラズマまたはHプラズマによって除去する(ステップS3)。このステップS3は、実施の形態1におけるSiC基板1の表面1a上に形成した酸化膜3を除去するステップS3と同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0090】
以上の工程(S1〜S5)を実施することにより、エピタキシャルウエハ100の表面100aに付着していた不純物、パーティクルなどを洗浄することができる。なお、ステップS2およびステップS3を繰り返し行なってもよいこと、他の洗浄工程をさらに含んでもよいことは、実施の形態1と同様である。これにより、たとえば図11に示すように、不純物およびパーティクルが低減された表面101aを有するエピタキシャルウエハ101を実現することができる。
【0091】
なお、本実施の形態におけるエピタキシャルウエハを洗浄する際には、図1に示す洗浄装置10および図6に示す洗浄装置20のいずれを用いてもよい。図1に示す洗浄装置10を用いる場合には、洗浄装置10の接続部13は、酸化膜3が形成されたエピタキシャルウエハ100が搬送される。このため、接続部13は、エピタキシャルウエハ100またはエピタキシャルウエハ100が載置されたサセプタが搬送可能な形状である。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態におけるエピタキシャルウエハ100の洗浄方法によれば、SiCは結晶的に丈夫であるので、Siではダメージにより採用することができないハロゲンプラズマまたはHプラズマによって、酸化膜3を除去している。ハロゲンプラズマおよびHプラズマはクリーンで均一性が高いため、面方位による異方性の影響を低減して、酸化膜3を除去することができる。したがって、エピタキシャルウエハ100の表面100aの特性が良好になるように洗浄することができる。
【0093】
本実施の形態のSiC半導体としてのエピタキシャルウエハ100の洗浄方法を実施することにより、図11に示すように、不純物、パーティクルなどを低減した表面101aを有するエピタキシャルウエハ101を製造できる。この表面101a上にゲート酸化膜などの半導体デバイスを構成する絶縁膜を形成して半導体デバイスを作製すると、絶縁膜の特性を向上できるとともに、表面101aと絶縁膜との界面、および絶縁膜中に存在する不純物、パーティクルなどを低減することができる。したがって、半導体デバイスの逆方向電圧印加時の耐圧を向上できるとともに、順方向電圧印加時の動作の安定性および長期信頼性を向上することができる。よって、本発明のSiC半導体の洗浄方法は、ゲート酸化膜形成前のエピタキシャルウエハ100の表面100aに特に好適に用いられる。
【0094】
なお、本実施の形態の洗浄方法で洗浄したエピタキシャルウエハ101は、洗浄した表面101aに絶縁膜を形成することで絶縁膜の特性を向上できるので、絶縁膜を有する半導体デバイスに好適に用いることができる。したがって、本実施の形態で洗浄したエピタキシャルウエハ101は、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの絶縁ゲート型電界効果部を有する半導体デバイスや、JFET(Junction Field-Effect Transistor:接合電界効果トランジスタ)などに好適に用いることができる。
【0095】
ここで、実施の形態1では、SiC基板1の表面1aを洗浄する方法について説明した。実施の形態2では、SiC基板2と、SiC基板2上に形成されたSiCエピタキシャル層120とを備え、SiCエピタキシャル層120はイオン注入された表面100aを有するエピタキシャルウエハ100の表面100aを洗浄する方法について説明した。しかし、本発明の洗浄方法は、イオン注入されていない表面を有するSiCエピタキシャル層にも適用することができる。また、エピタキシャルウエハ100を洗浄する場合には、エピタキシャルウエハ100を構成するSiC基板2の表面2aまたは、エピタキシャルウエハ100の表面100aの少なくとも一方を洗浄してもよい。つまり、本発明のSiC半導体の洗浄方法は、(i)SiC基板を洗浄する場合と、(ii)SiC基板と、SiC基板上に形成されたSiCエピタキシャル層とを有する、エピタキシャルウエハを洗浄する場合とを含み、(ii)のSiCエピタキシャル層は、表面からイオン注入されたものと、イオン注入されていないものとを含む。
【実施例】
【0096】
本実施例では、SiC半導体として、図12に示すエピタキシャルウエハ130を洗浄して、ハロゲンプラズマを用いて酸化膜を除去することの効果について調べた。なお、図12は、実施例で洗浄するエピタキシャルウエハ130を概略的に示す断面図である。
【0097】
(本発明例1)
まず、SiC基板2として、表面2aを有する4H−SiC基板を準備した(ステップS1)。
【0098】
次に、エピタキシャル層120を構成する層として、10μmの厚みを有し、1×1016cm-3の不純物濃度を有するp型SiC層131をCVD法により成長した(ステップS4)。
【0099】
次に、SiO2をマスクとして用いて、リン(P)をn型不純物として1×1019cm-3の不純物濃度を有するソース領域124およびドレイン領域129を形成した。また、アルミニウム(Al)をp型不純物として1×1019cm-3の不純物濃度を有するコンタクト領域125を形成した(ステップS5)。なお、各々のイオン注入をした後には、マスクを除去した。
【0100】
次に、活性化アニール処理を行なった。この活性化アニール処理としては、Arガスを雰囲気ガスとして用いて、加熱温度1700〜1800℃、加熱時間30分と条件とした。
【0101】
これにより、表面130aを有するエピタキシャルウエハ130を準備した。続いて、図6に示す洗浄装置20を用いて、エピタキシャルウエハ130の表面130aを洗浄した。
【0102】
Oプラズマを用いて、酸化膜を形成した(ステップS2)。このステップS2では、図6に示す平行平板型RIEの洗浄装置20を用い、チャンバ21の内部にエピタキシャルウエハ130を配置し、以下の条件でOプラズマを行なった。第1のガス供給部22からO2ガスを50sccmで供給し、チャンバ21内の雰囲気の圧力が1.0Paで、エピタキシャルウエハ130におけるSiC基板2の裏面の加熱温度を400℃とし、500Wの電力(パワー)を印加した状態で、酸化膜を形成した。これにより、エピタキシャルウエハ130の表面130aに1nmの厚みの酸化膜を形成できたことを確認した。
【0103】
次に、チャンバ21内にエピタキシャルウエハ130を配置した状態で、Fプラズマを用いて、酸化膜を除去した(ステップS3)。このステップS3では、第1のガス供給部22からOを供給することを停止し、第2のガス供給部23からF2ガスを30sccmで供給し、チャンバ21内の雰囲気の圧力が1.0Paで、エピタキシャルウエハ130におけるSiC基板2の裏面の加熱温度を400℃とし、300Wの電力(パワー)を印加した状態で、酸化膜を除去した。これにより、ステップS2で形成した酸化膜が均一に(面内バラツキを低減して)除去できたことを確認した。
【0104】
以上の工程(ステップS1〜S5)により、エピタキシャルウエハ130の表面130aを洗浄した。本発明例1の洗浄後のエピタキシャルウエハ130の表面は、洗浄前の表面130aよりも不純物およびパーティクルが低減されていた。また、本発明例1の洗浄後のエピタキシャルウエハ130の表面は、酸化膜が局所的に残留していなかった。
【0105】
(比較例1)
比較例1は、まず、本発明例1と同様の図12に示すエピタキシャルウエハ130を準備した。
【0106】
次に、エピタキシャルウエハ130を洗浄した。比較例1のエピタキシャルウエハ130の洗浄方法は、基本的には本発明例1のエピタキシャルウエハ130の洗浄方法と同様であったが、酸化膜を除去するステップS3においてFプラズマの代わりにHFを用いた点、および、図6に示す洗浄装置20の代わりに図1に示す洗浄装置10を用いた点において異なっていた。
【0107】
具体的には、比較例1では、図1に示す洗浄装置20において、Oプラズマを用いて、準備したエピタキシャルウエハ130の表面130aに酸化膜を形成した(ステップS2)。このステップS2では、形成部11として平行平板型RIEを用い、形成部11の内部にエピタキシャルウエハ130を配置し、本発明例1と同様の以下の条件でOプラズマを行なった。O2ガスを50sccmで供給し、形成部11内の雰囲気の圧力が1.0Paで、エピタキシャルウエハ130におけるSiC基板2の裏面の加熱温度を400℃とし、500Wの電力(パワー)を印加した状態で、酸化膜を形成した。これにより、エピタキシャルウエハ130の表面130aに1nmの厚みの酸化膜を形成できたことを確認した。
【0108】
次に、形成部11で酸化膜を形成したエピタキシャルウエハ130を、除去部12へ搬送した。このとき、エピタキシャルウエハ130は大気が遮断された雰囲気である接続部13内で搬送された。
【0109】
次に、HFを用いて酸化膜を除去した。この工程では、除去部12内にHFを貯留させて、エピタキシャルウエハ130をHFに浸漬させることで酸化膜3を除去した。
【0110】
その後、洗浄装置10からエピタキシャルウエハ130を取り出し、エピタキシャルウエハ130の表面を純水で洗浄した(純水リンス工程)。次いで、スピン法にてエピタキシャルウエハ130を乾燥した(乾燥工程)。
【0111】
次に、上述したOプラズマを用いて酸化膜を形成する工程(ステップS2)、HFを用いて酸化膜を除去する工程、純水リンス工程および乾燥工程を繰り返した。
【0112】
以上の工程により、エピタキシャルウエハ130の表面130aを洗浄した。比較例1では、ステップS2で形成した酸化膜を、本発明例1よりも均一に(面内バラツキを低減して)除去できなかった。これは、比較例1ではHFを用いて酸化膜を除去したので、面方位による酸化膜の膜質により、エピタキシャルウエハ130の面内でエッチングレートに差に起因して酸化膜除去の面内バラツキが生じたためと考えられる。
【0113】
以上より、本実施例によれば、SiC半導体の表面に酸化膜を形成し、かつこの酸化膜をハロゲンプラズマを用いて除去することにより、表面に付着していた不純物、パーティクルなどを面内バラツキを低減して除去できるため、SiC半導体の表面特性を良好にして洗浄できることがわかった。
【0114】
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1,2 SiC基板、1a,2a,100a,101a,130a 表面、3 酸化膜、10,20 洗浄装置、11 形成部、12 除去部、13 接続部、21 チャンバ、22 第1のガス供給部、23 第2のガス供給部、24 真空ポンプ、100,101,130 エピタキシャルウエハ、120 エピタキシャル層、121 バッファ層、122 耐圧保持層、123 ウエル領域、124 ソース領域、125 コンタクト領域、129 ドレイン領域、131 p型SiC層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素半導体の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を除去する工程とを備え、
前記酸化膜を除去する工程では、ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いる、炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項2】
前記酸化膜を除去する工程では、前記ハロゲンプラズマとしてフッ素プラズマを用いる、請求項1に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項3】
前記酸化膜を除去する工程では、20℃以上400℃以下の温度で行なう、請求項1または2に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項4】
前記酸化膜を除去する工程では、0.1Pa以上20Pa以下の圧力で行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項5】
前記酸化膜を形成する工程では、酸素プラズマを用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項6】
前記酸化膜を形成する工程と前記酸化膜を除去する工程との間では、前記炭化珪素半導体は大気が遮断された雰囲気内に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項7】
炭化珪素半導体の表面に酸化膜を形成するための形成部と、
ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いて前記酸化膜を除去するための除去部と、
前記炭化珪素半導体を搬送可能に前記形成部と前記除去部とを接続する接続部とを備え、
前記接続部における前記炭化珪素半導体を搬送させる領域は、大気の遮断が可能である、炭化珪素半導体の洗浄装置。
【請求項8】
炭化珪素半導体の表面に酸化膜を形成するための形成部と、
ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いて前記酸化膜を除去するための除去部とを備え、
前記形成部と前記除去部とは同一である、炭化珪素半導体の洗浄装置。
【請求項1】
炭化珪素半導体の表面に酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜を除去する工程とを備え、
前記酸化膜を除去する工程では、ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いる、炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項2】
前記酸化膜を除去する工程では、前記ハロゲンプラズマとしてフッ素プラズマを用いる、請求項1に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項3】
前記酸化膜を除去する工程では、20℃以上400℃以下の温度で行なう、請求項1または2に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項4】
前記酸化膜を除去する工程では、0.1Pa以上20Pa以下の圧力で行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項5】
前記酸化膜を形成する工程では、酸素プラズマを用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項6】
前記酸化膜を形成する工程と前記酸化膜を除去する工程との間では、前記炭化珪素半導体は大気が遮断された雰囲気内に配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体の洗浄方法。
【請求項7】
炭化珪素半導体の表面に酸化膜を形成するための形成部と、
ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いて前記酸化膜を除去するための除去部と、
前記炭化珪素半導体を搬送可能に前記形成部と前記除去部とを接続する接続部とを備え、
前記接続部における前記炭化珪素半導体を搬送させる領域は、大気の遮断が可能である、炭化珪素半導体の洗浄装置。
【請求項8】
炭化珪素半導体の表面に酸化膜を形成するための形成部と、
ハロゲンプラズマまたは水素プラズマを用いて前記酸化膜を除去するための除去部とを備え、
前記形成部と前記除去部とは同一である、炭化珪素半導体の洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−4272(P2012−4272A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136869(P2010−136869)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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