説明

無段変速機の制御装置

【課題】吸気バルブなどの開閉タイミングの変更に応じて内燃機関の出力トルクを精度良く推定し、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定してトルク伝達効率を向上させるようにした無段変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】運転状態に応じて吸気バルブの開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えたエンジン(内燃機関)に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、エンジン(内燃機関)の負荷と回転数からエンジンの出力トルクを算出し(S10)、吸気バルブの開閉タイミングの目標値と実際値とから補正係数を算出し(S12からS20)、エンジンの出力トルクを補正係数で補正する(S22)。次いで、補正された出力トルクに基づいて無段変速機のベルト伝達トルクを算出すると共に、算出されたベルト伝達トルクに基づいて無段変速機に供給すべき油圧を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は無段変速機の制御装置に関し、より詳しくはバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト式の無段変速機は金属製のベルトをプーリで側方から挟んでトルクを伝達するが、トルク伝達効率を向上させるためには、プーリに適正な側圧(クランプ力)を与える必要がある。そのためには、無段変速機に接続される内燃機関の出力トルクを精度良く推定する必要がある。
【0003】
ところで、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更する、油圧式のバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関が知られており、その例として特許文献1記載の技術を挙げることができる。
【0004】
特許文献1記載の技術にあっては、油路を反転させて長くすることで、バルブ開閉タイミング変更機構の作動を制御する制御弁に供給される作動油の油圧の脈動を減衰させるように構成している。
【特許文献1】特開2001−73725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術のようにバルブの開閉タイミングを変更すると、排気の一部が吸気側に戻される、いわゆる内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)が生じることで、内燃機関の出力トルクが変化する。
【0006】
従って、この発明の目的は、吸気バルブなどの開閉タイミングの変更に応じて内燃機関の出力トルクを精度良く推定し、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定してトルク伝達効率を向上させるようにした無段変速機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1にあっては、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、前記内燃機関の負荷と回転数から前記内燃機関の出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、前記開閉タイミングの目標値と実際値とから補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記内燃機関の出力トルクを前記算出された補正係数で補正する出力トルク補正手段と、前記補正された出力トルクに基づいて前記無段変速機のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段と、前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記無段変速機に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段とを備える如く構成した。
【0008】
請求項2にあっては、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、前記内燃機関の負荷と回転数と前記開閉タイミングの目標値とから前記内燃機関の第1の出力トルクを算出する第1の出力トルク算出手段と、前記内燃機関の負荷と回転数と前記開閉タイミングの実際値とから前記内燃機関の第2の出力トルクを算出する第2の出力トルク算出手段と、前記第1と第2の出力トルクのうち、大きい方の出力トルクを選択する選択手段と、前記選択された出力トルクに基づいて前記無段変速機のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段と、前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記無段変速機に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段とを備える如く構成した。
【0009】
請求項3にあっては、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、前記内燃機関の負荷と回転数から前記内燃機関の出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、前記開閉タイミングに応じて排気の還流率を算出する還流率算出手段と、前記算出された還流率から補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記内燃機関の出力トルクを前記算出された補正係数で補正する出力トルク補正手段と、前記補正された出力トルクに基づいて前記無段変速機のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段と、前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記無段変速機に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段とを備える如く構成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る無段変速機の制御装置にあっては、負荷と回転数から内燃機関の出力トルクを算出し、バルブの開閉タイミングの目標値と実際値とから補正係数を算出し、内燃機関の出力トルクを算出された補正係数で補正し、補正された出力トルクに基づいて無段変速機のベルト伝達トルクを算出すると共に、それに基づいて無段変速機に供給すべき油圧を決定する如く構成したので、バルブの開閉タイミングが変更されて内燃機関の出力トルクが変化するときも、内燃機関の出力トルクを精度良く推定することができ、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定できる。よって、無段変速機のトルク伝達効率を向上させることができると共に、燃費も向上させることができる。また、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定できることから、プーリに適正な側圧(クランプ力)を与えることが可能となり、よってベルトの耐久性も向上させることができる。
【0011】
請求項2に係る無段変速機の制御装置にあっては、負荷と回転数と開閉タイミングの目標値とから内燃機関の第1の出力トルクを算出する一方、負荷と回転数と開閉タイミングの実際値とから内燃機関の第2の出力トルクを算出し、それらのうち、大きい方の出力トルクを選択し、選択された出力トルクに基づいて無段変速機のベルト伝達トルクを算出すると共に、それに基づいて無段変速機に供給すべき油圧を決定する如く構成したので、同様に、バルブの開閉タイミングが変更されて内燃機関の出力トルクが変化するときも、内燃機関の出力トルクを精度良く推定することができ、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定できる。よって、無段変速機のトルク伝達効率を向上させることができると共に、燃費も向上させることができる。また、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定できることから、プーリに適正な側圧(クランプ力)を与えることが可能となり、よってベルトの耐久性も向上させることができる。
【0012】
請求項3に係る無段変速機の制御装置にあっては、負荷と回転数から内燃機関の出力トルクを算出し、開閉タイミングに応じて排気の還流率を算出し、算出された還流率から補正係数を算出し、内燃機関の出力トルクを算出された補正係数で補正し、補正された出力トルクに基づいて無段変速機のベルト伝達トルクを算出すると共に、それに基づいて無段変速機に供給すべき油圧を決定する如く構成したので、同様に、バルブの開閉タイミングが変更されて内燃機関の出力トルクが変化するときも、内燃機関の出力トルクを精度良く推定することができ、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定できる。よって、無段変速機のトルク伝達効率を向上させることができると共に、燃費も向上させることができる。また、無段変速機に供給すべき油圧を適正に決定できることから、プーリに適正な側圧(クランプ力)を与えることが可能となり、よってベルトの耐久性も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に即してこの発明に係る無段変速機の制御装置を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、この発明の第1実施例に係る無段変速機の制御装置を全体的に示す概略図である。
【0015】
図1において、符号10は内燃機関(以下「エンジン」という)を示す。エンジン10は、車両(駆動輪Wなどで部分的に示す)12に搭載される。
【0016】
エンジン10において、吸気系に配置されたスロットルバルブ(図示せず)は車両12の運転席に配置されるアクセルペダル(図示せず)との機械的な接続が絶たれ、電動モータなどのアクチュエータ(図示せず)からなるDBW(Drive By Wire)機構14に接続されて駆動される。
【0017】
スロットルバルブで調量された吸気はインテークマニホルド(図示せず)を通って流れ、各気筒の吸気ポート付近でインジェクタ(燃料噴射弁)16から噴射された燃料と混合して混合気を形成し、吸気バルブ(図示せず)が開弁されたとき、当該気筒の燃焼室(図示せず)に流入する。燃焼室において混合気は点火されて燃焼し、ピストン(図示せず)を駆動してクランクシャフト(図示せず)を回転させた後、排気となって排気バルブ(図示せず)が開放されるときにエンジン10の外部に放出される。
【0018】
エンジン10のクランクシャフトはドライブプレート20に固定される。ドライブプレート20はフライホイールマスも兼ねるトルクコンバータ22のポンプ・インペラ22aに接続される一方、それに対向配置されて流体(作動油)を収受するタービン・ランナ22bはメインシャフト(ミッション入力軸)MSに接続される。符号22cはロックアップクラッチを示す。
【0019】
トルクコンバータ22の下流には、前後進切換機構24を介して無段変速機(Continuous Variable Transmission。以下「CVT」という)26が接続される。
【0020】
CVT26は、メインシャフトMS上に配置されるドライブプーリ26aと、メインシャフトMSに平行なカウンタシャフトCS上に配置されたドリブンプーリ26bと、その間に掛け回される金属製のベルト26cからなる。
【0021】
ドライブプーリ26aは、メインシャフトMS上に配置された固定プーリ半体26a1と、固定プーリ半体26a1に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体26a2とからなる。ドリブンプーリ26bは、カウンタシャフトCSに固定された固定プーリ半体26b1と、固定プーリ半体26b1に対して軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体26b2からなる。
【0022】
ベルト26cは2束のリングとそのリングに保持される多数の、例えば400個程度のエレメント(後で図5に示す)から構成され、エレメントが順次押されることでドライブプーリ26aからドリブンプーリ26bにトルクが伝達される。
【0023】
前後進切換機構24は、メインシャフトMSに固定されるリングギヤ24aと、CVT26のドライブプーリ26aの固定プーリ半体26a1に固定されるサンギヤ24bと、その間に配置されるピニオンギヤキャリア24cと、リングギヤ24aとサンギヤ24bを締結可能な前進(フォワード)クラッチ24dと、ピニオンギヤキャリア24cを変速機ケース(図示せず)に固定可能な後進(リバース)ブレーキクラッチ24eとからなる。
【0024】
カウンタシャフトCSにはセカンダリドライブギヤ30が固定され、セカンダリドライブギヤ30はセカンダリシャフトSSに固定されたセカンダリドリブンギヤ32と噛合する。セカンダリシャフトSSにはファイナルドライブギヤ34が固定され、ファイナルドライブギヤ34は、ディファレンシャル機構Dのファイナルドリブンギヤ36に噛合される。
【0025】
上記の構成により、カウンタシャフトCSの回転はギヤ30,32を介してセカンダリシャフトSSに伝えられ、セカンダリシャフトSSの回転はギヤ34,36を介してディファレンシャルDに伝えられ、そこで振り分けられて左右の駆動輪(タイヤ。右側のみ示す)Wに伝えられる。駆動輪Wの付近にはディスクブレーキ40が配置される。
【0026】
図2はCVT26などの油圧機構を模式的に示す油圧回路図である。
【0027】
図示の如く、油圧機構(符号42で示す)には油圧ポンプ42aが設けられる。油圧ポンプ42aはベーンポンプからなり、エンジン10によって駆動され、リザーバ42bに貯留された作動油を汲み上げてPH制御バルブ(PH REG VLV)42cに圧送する。
【0028】
PH制御バルブ42cの出力(PH圧(ライン圧))は、一方では油路42dから第1、第2のレギュレータバルブ(DR REG VLV, DN REG VLV)42e,42fを介してCVT26のドライブプーリ26aの可動プーリ半体26a2のピストン室(DR)26a21とドリブンプーリ26bの可動プーリ半体26b2のピストン室(DN)26b21に接続されると共に、他方では油路42gを介してCRバルブ(CR VLV)42hに接続される。
【0029】
CRバルブ42hはPH圧を減圧してCR圧(制御圧)を生成し、油路42iから第1、第2、第3の(電磁)リニアソレノイドバルブ42j,42k,42l(LS-DR, LS-DN, LS-CPC)に供給する。第1、第2のリニアソレノイドバルブ42j,42kはそのソレノイドの励磁に応じて決定される出力圧を第1、第2のレギュレータバルブ42e,42fに作用させ、油路42dから送られるPH圧の作動油を可動プーリ半体26a2,26b2のピストン室26a21,26b21に供給し、それに応じたプーリ側圧を発生させる。
【0030】
従って、図1に示す構成においては、可動プーリ半体26a2,26b2を軸方向に移動させるプーリ側圧が発生させられてドライブプーリ26aとドリブンプーリ26bのプーリ幅が変化し、ベルト26cの巻掛け半径が変化する。このように、プーリの側圧を調整することで、エンジン10の出力を駆動輪Wに伝達する変速比を無段階に変化させることができる。
【0031】
CRバルブ42hの出力(CR圧)はCRシフトバルブ(CR SFT VLV)42nにも接続され、そこからマニュアルバルブ(MAN VLV)42oを介して前後進切換機構24の前進クラッチ24dのピストン室(FWD)24d1と後進ブレーキクラッチ24eのピストン室(RVS)24e1に接続される。
【0032】
前進クラッチ24dと後進ブレーキクラッチ24eの動作は、車両12の運転席に設けられた、例えばP,R,N,D,S,Lのレンジ(ポジション)を備えるセレクトレバー44を運転者が操作して選択することで決定される。即ち、運転者によってセレクトレバー44のいずれかのレンジが選択されたとき、その選択動作は油圧機構42のマニュアルバルブ42oに伝えられる。
【0033】
例えばD,S,Lレンジ、即ち、前進走行レンジが選択されると、それに応じてマニュアルバルブ42oのスプールが移動し、後進ブレーキクラッチ24eのピストン室24e1から作動油(油圧)が排出される一方、前進クラッチ24dのピストン室24d1に作動油が供給されて前進クラッチ24dが締結される。前進クラッチ24dが締結されると、全ギヤがメインシャフトMSと一体に回転し、ドライブプーリ26aはメインシャフトMSと同方向(車両12が前進する方向に相当する方向)に駆動される。
【0034】
他方、Rレンジ(後進走行レンジ)が選択されると、前進クラッチ24dのピストン室24d1から作動油が排出される一方、後進ブレーキクラッチ24eのピストン室24e1に作動油が供給されて締結される。その結果、ピニオンギヤキャリア24cが変速機ケースに固定され、サンギヤ24bはリングギヤ24aと逆方向に駆動され、ドライブプーリ26aはメインシャフトMSとは逆方向(車両12が後進する方向に相当する)に駆動される。
【0035】
また、PあるいはNレンジが選択されると、両方のピストン室から作動油が排出されて前進クラッチ24dと後進ブレーキクラッチ24eが共に開放され、前後進切換機構24を介しての動力伝達が断たれ、エンジン10とCVT26のドライブプーリ26aとの間の動力伝達が遮断される。
【0036】
また、PH制御バルブ42cの出力は、油路42pを介してTCレギュレータバルブ(TC REG VLV)42qに送られ、TCレギュレータバルブ42qの出力はLCコントロールバルブ(LC CTL VLV)42rを介してLCシフトバルブ(LC SFT VLV)42sに接続される。LCシフトバルブ42sの出力は一方ではトルクコンバータ22のロックアップクラッチ22cのピストン室22c1に接続されると共に、他方ではその背面側の室22c2に接続される。
【0037】
CRシフトバルブ42nとLCシフトバルブ42sは第1、第2(電磁)オン・オフソレノイド(SOL-A, SOL-B)42u,42vに接続され、その励磁・非励磁によって前進クラッチ24dへの油路の切替えとロックアップクラッチ22cの締結(オン)・開放(オフ)が制御される。
【0038】
ロックアップクラッチ22cにあっては、LCシフトバルブ42sを介して作動油がピストン室22c1に供給される一方、背面側の室22c2から排出されると、ロックアップクラッチ22cが係合(締結。オン)され、背面側の室22c2に供給されると共に、ピストン室22c1から排出されると、解放(非締結。オフ)される。ロックアップクラッチ22cのスリップ量、即ち、係合と解放の間でスリップさせられるときの係合容量は、ピストン室22c1と背面側の室22c2に供給される作動油の量(油圧)によって決定される。
【0039】
先に述べた第3のリニアソレノイドバルブ42lは油路42wとLCコントロールバルブ42rを介してLCシフトバルブ42sに接続され、さらに油路42xを介してCRシフトバルブ42nに接続される。即ち、前進クラッチ24dと、ロックアップクラッチ22cの係合容量(滑り量)は、第3のリニアソレノイドバルブ42lのソレノイドの励磁・非励磁によって調整(制御)される。
【0040】
図1の説明に戻ると、エンジン10のカムシャフトの付近にはTDCセンサ50が設けられてピストンのTDC位置を示す信号を出力すると共に、クランクシャフトの付近にはクランク角センサ51が設けられ、ピストンの所定クランク角度位置を示すパルス信号を出力する。吸気系においてスロットルバルブの下流の適宜位置には吸気圧力センサ52が設けられ、吸気圧力(エンジン負荷)PBAに比例した信号を出力する。
【0041】
DBW機構14のアクチュエータにはスロットル開度センサ54が設けられ、アクチュエータの回転量を通じてスロットル開度THに比例した信号を出力すると共に、アクセルペダル付近にはアクセル開度センサ56が設けられ、運転者のアクセルペダル操作量に相当するアクセル開度APに比例する信号を出力する。
【0042】
さらに、エンジン10の適宜位置には大気圧センサ58が設けられて車両12(とエンジン10)が位置する地の大気圧を示す出力を生じる。また、冷却水通路(図示せず)の付近には水温センサ60が設けられ、エンジン冷却水温TW、換言すればエンジン10の温度に応じた出力を生じると共に、吸気系には吸気温センサ62が設けられ、エンジン10に吸入される吸気温(外気温)に応じた出力を生じる。
【0043】
上記したセンサ出力はエンジンコントローラ64に送られる。エンジンコントローラ64は、CPU,ROM,RAM,I/Oなどからなるマイクロコンピュータと波形整形回路などを備える。エンジンコントローラ64は、クランク角センサ51の出力パルス間隔の時間を測定してエンジン回転数NEを検出すると共に、検出されたエンジン回転数NEとその他のセンサ出力に基づいて目標スロットル開度を決定してDBW機構14の動作を制御すると共に、燃料噴射量を決定してインジェクタ16を駆動する。
【0044】
メインシャフトMSの付近の適宜位置にはNTセンサ(回転数センサ)66が設けられ、タービン・ランナ22bの回転数に相当する、メインシャフトMSの回転数を示すパルス信号を出力すると共に、CVT26のドライブプーリ26aの付近の適宜位置にはNDRセンサ(回転数センサ)70が設けられてドライブプーリ26aの回転数を示すパルス信号を出力する。
【0045】
セカンダリシャフトSSのセカンダリドリブンギヤ32の付近にはVELセンサ(回転数センサ)72が設けられ、セカンダリドリブンギヤ32の回転数を通じてCVT26の出力回転数あるいは車速VELを示すパルス信号を出力する。前記したセレクトレバー44の付近にはセレクトレバーセンサ74が設けられ、運転者によって選択されたR,N,Dなどのレンジに応じた信号を出力する。
【0046】
また、油圧機構42において、リザーバ42bには油温センサ76が配置されて作動油の温度(油温)に応じた出力を生じると共に、ドリブンプーリ26bの可動プーリ半体26b2のピストン室26b21に接続される油路には油圧センサ78が配置されてピストン室26b21に供給される作動油の圧力(油圧)に応じた出力を生じる。
【0047】
上記したNTセンサ66などの出力は、シフトコントローラ80に送られる。シフトコントローラ80もエンジンコントローラ64と同様にCPU,ROM,RAM,I/Oなどからなるマイクロコンピュータと波形整形回路などを備えると共に、エンジンコントローラ64と通信自在に構成される。シフトコントローラ80は不揮発性メモリ80aを備える。
【0048】
シフトコントローラ80において、NTセンサ66とNDRセンサ70の出力は波形整形回路に入力され、CPUはその出力から回転数を検出する。VELセンサ72の出力は、波形整形回路に入力された後、方向検出回路に入力される。CPUは波形整形回路の出力をカウントしてCVT26の出力回転数(と車速)を検出すると共に、方向検出回路の出力からCVT26の回転方向を検出する。
【0049】
シフトコントローラ80はそれら検出値に基づき、CVT26の供給油圧を決定して油圧機構42の電磁ソレノイドバルブ42jなどを励磁・非励磁してCVT26の動作を制御すると共に、トルクコンバータ22のロックアップクラッチ22cと前進クラッチ24dと後進ブレーキクラッチ24eの締結・開放を制御する。
【0050】
上記した構成に加え、エンジン10の吸気カムシャフトの付近には、バルブ開閉タイミングを変更する変更機構84が設けられる。
【0051】
それについて説明すると、エンジン10にはクランクシャフトの上部に吸、排気カムシャフトが2本配置され、クランクシャフトによってチェーンで駆動されてクランクシャフト2回転当たり1回転する。
【0052】
変更機構84は吸気カムシャフトに連結されるベーン部とタイミングギヤからなるアクチュエータ84aと油圧バルブ84b(共に図4に示す)などからなり、ベーン部の左右の油室に作動油を給排することでベーン部をタイミングギヤに対して回転させ、ベーン部に連結された吸気カムシャフトの角度(位相)をクランクシャフトに対して進角方向に回転させ、それによって吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方、具体的には吸気バルブの開閉タイミングを変更する。
【0053】
図3は変更機構84による吸、排気バルブの開閉タイミングをクランク角度に対して示す説明図である。
【0054】
図3において特性IN1は吸気カムシャフトの角度、即ち、変更機構84のアクチュエータ84aの作動角が変更されないときの(初期の)、特性IN2はその作動角が最大限変更されたときの吸気バルブの開閉タイミングを示す。
【0055】
変更機構84の作動角、即ち、吸気バルブの開閉タイミングは特性IN1とIN2の間でクランク角度において進行方向に連続的に変更可能であり、よって排気バルブの開閉タイミングとのオーバラップ量も特性IN1のときのaから特性IN2のときのbの間で連続的に変更可能である。この作動角は、変更機構84の作動がない状態(初期状態)を0としたとき、そこからの変位角を示す値である。
【0056】
図4は前記したエンジンコントローラ64によって行われる、変更機構84の制御を説明するブロック図である。
【0057】
エンジンコントローラ64は、クランク角センサ51と吸気圧力センサ52とスロットル開度センサ54と大気圧センサ58の出力から決定される運転状態に応じて変更機構84のアクチュエータ84aの作動角の目標値である目標作動角(吸気カムシャフトの目標角度、即ち、吸気バルブの開閉タイミング、より正確には開放タイミングの目標値)を算出する。
【0058】
またエンジンコントローラ64は吸気カムシャフトの回転数に応じた出力を生じるカムセンサ68を備え、カムセンサ68とTDCセンサ50とクランク角センサ51の出力から変更機構84のアクチュエータ84aの作動角の実際値である実作動角(吸気カムシャフトの実角度、即ち、吸気バルブの開閉タイミング、より正確には開放タイミングの実際値)を算出(検出)する。
【0059】
次いでエンジンコントローラ64は算出された目標作動角と実作動角の偏差を求め、それに応じて油圧バルブ84bの電磁ソレノイドバルブの駆動デューティを算出して駆動することで油圧バルブ84bの開度を調整し、ベーン部の油室への作動油の給排を制御して変更機構84のアクチュエータ84aの実作動角が目標作動角となるように制御する。また、エンジンコントローラ64は、クランク角センサ51と水温センサ60と吸気温センサ62の出力から変更機構84の作動が許可されるか判別する。
【0060】
尚、説明は省略するが、バルブ開閉タイミング変更機構84に加え、バルブリフト量変更機構も備え、シフトコントローラ80は、吸、排気バルブのリフト量自体も変更するが、その詳細は前記した特許文献1に記載されているので、説明は省略する。
【0061】
図5はシフトコントローラ80のCVT26の制御動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムはシフトコントローラ80によって所定時間、例えば10msecごとに実行される。
【0062】
以下説明すると、S10においてエンジン10の負荷と回転数からエンジン10が出力するトルクを算出する。これは、図6にその特性を示すマップを検出されたエンジン回転数NEと吸気圧力PBA(負荷を示す)から検索することで行う。吸気圧力PBAは幾つかの代表点でのみ設定されることから、吸気圧力が設定値以外のときのエンジントルクは補間で求める。
【0063】
次いでS12に進み、目標作動角(変更機構84のアクチュエータ84aの)に応じてエンジン10が出力するトルク、即ち、吸気バルブの開閉タイミングの目標値に応じてエンジン10が出力するトルクを算出する。
【0064】
これは、図7にその特性を示すマップを目標作動角と検出されたエンジン回転数NEと吸気圧力PBAから検索することで算出する。図7に示す如く、マップはA,B,C,Dの4種の作動角別に用意されると共に、吸気圧力PBAも幾つかの代表点で設定されることから、作動角と吸気圧力が設定値以外のときの出力トルクは補間によって求める。
【0065】
次いでS14に進み、実作動角(変更機構84のアクチュエータ84aの)に応じてエンジン10が出力するトルク、即ち、吸気バルブの開閉タイミングの実際値に応じてエンジン10が出力するトルクを算出する。
【0066】
これも、図7にその特性を示すマップを実作動角と検出されたエンジン回転数NEと吸気圧力PBAから検索することで算出する。作動角と吸気圧力が設定値以外のときの出力トルクを補間によって求めることも同様である。
【0067】
次いでS16に進み、目標作動角に応じたエンジントルクが実作動角に応じたエンジントルクよりも大きいか否か判断し、肯定されるときはS18に進み、S10で算出されたエンジントルクで目標作動角に応じたエンジントルクを除算して得た商を補正係数とする。
【0068】
一方、S16で否定されるときはS20に進み、S10で算出されたエンジントルクで実作動角に応じたエンジントルクを除算して得た商を補正係数とする。S12からS20までの処理は吸気バルブの開閉タイミングの目標値と実際値とから補正係数を算出することに相当する。
【0069】
次いでS22に進み、S10で算出されたエンジントルクにS18(あるいはS20)で算出された補正係数を乗じてプーリクランプ力算出用トルク(補正された出力トルク)を算出する。
【0070】
図8は作動角とエンジントルクとベルト伝達トルクの関係を示すグラフである。
【0071】
図8を参照して上記を説明すると、同図(a)(b)に示す如く、作動角が進角されるにつれて内部EGR量が増加するためにエンジントルクは低下することから、作動角に応じてエンジントルクを補正すると共に、補正に際しては目標作動角と実作動角のうち大きい方を使用した。これは、作動角の変化過渡においてCVT26の実際の入力トルクより低く見積って側圧を決定すると、ベルト26cがスリップする恐れがあるからである。
【0072】
ただし、同図(a)に示すように目標作動角(あるいは実作動角)が急増するとき、同図(b)(c)に示す如く、プーリクランプ力算出用トルクは、それを修正して緩やかに減少させるようにした。これはCVT26の供給油圧のアンダーシュートによるベルト26cのスリップ抑制を意図したものである。
【0073】
図9は図5の処理で算出されたプーリクランプ力算出用トルクに基づいて行われるプーリ側圧の決定処理を示すフロー・チャートである。この処理もシフトコントローラ80によって所定時間、例えば10msecごとに実行される。
【0074】
以下説明すると、S100において、その他の補正係数、例えば吸気温センサ62で検出された吸気温TAに応じた環境補正係数を算出すると共に、点火時期の遅角量に応じた補正係数を算出する。
【0075】
吸気温TAが上昇するほど、エンジン10が出力するトルクは低下することから、環境補正係数は吸気温TAが上昇するほど減少するように設定する。
【0076】
次いでS102に進み、S100で算出された補正係数を乗じてプーリクランプ力算出用トルクを再度補正する。
【0077】
次いでS104に進み、算出(補正)されたプーリクランプ力算出用トルクに基づき、より正確には算出されたプーリクランプ力算出用トルクにトルクコンバータ22のトルク比(検出されたエンジン回転数NEとメインシャフトMSの回転数からマップ検索して算出)を乗じて得た積を伝達できるようにCVT26のベルト伝達トルクを算出する。
【0078】
次いでS106に進み、算出されたベルト伝達トルクに基づき、より正確には算出されたベルト伝達トルクに基づき、検出された車速とスロットル開度とから検出されたエンジン回転数NEが目標値になるように、シフトマップを検索してドライブプーリ26aとドリブンプーリ26bに供給すべき油圧(側圧)を決定する。即ち、算出されたベルト伝達トルクに基づいてCVT26に供給すべき油圧(側圧)を決定する。
【0079】
図10は第1実施例のシミュレーション結果を示すデータ図である。
【0080】
図示の如く、作動角から算出されたトルクに応じて補正係数が適正に算出されているのが見てとれよう。
【0081】
上記の如く、第1実施例にあっては、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構84を備えたエンジン(内燃機関)10に接続されるベルト式のCVT(無段変速機)26の制御装置(シフトコントローラ80)において、前記エンジンの負荷(吸気圧力PBA)と回転数(エンジン回転数)NEから前記エンジンの出力トルクを算出する出力トルク算出手段(S10)と、前記開閉タイミングの目標値(目標作動角)と実際値(実作動角)とから補正係数を算出する補正係数算出手段(S12からS20)と、前記エンジンの出力トルクを前記算出された補正係数で補正する出力トルク補正手段(S22)と、前記補正された出力トルクに基づいて前記CVTのベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段(S100からS104)と、前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記CVT26に供給すべき油圧(側圧)を決定する変速機供給油圧決定手段(S106)とを備える如く構成したので、バルブの開閉タイミングが変更されてエンジン10の出力トルクが変化するときも、エンジンの出力トルクを精度良く推定することができ、CVT26に供給すべき油圧を適正に決定できる。よって、CVT26のトルク伝達効率を向上させることができると共に、燃費も向上させることができる。また、CVT26に供給すべき油圧を適正に決定できることから、ドライブプーリ26aとドリブンプーリ26bに適正な側圧(クランプ力)を与えることが可能となり、よってベルト26cの耐久性も向上させることができる。
【実施例2】
【0082】
図11は、この発明の第2実施例に係る無段変速機の制御装置の動作を示す図5と同様のフロー・チャートである。
【0083】
以下説明すると、S200において第1実施例と同様、図7に示すマップと同様のマップを検索し、目標作動角に応じてエンジン10が出力するトルク(第1の出力トルク)を算出し、次いでS202に進み、実作動角に応じてエンジン10が出力するトルク(第2の出力トルク)を算出する。
【0084】
次いでS204に進み、目標作動角に応じたエンジントルクが実作動角に応じたエンジントルクよりも大きいか否か判断し、肯定されるときはS206に進み、目標作動角に応じたエンジントルクをプーリクランプ力算出用トルクと決定する一方、否定されるときはS208に進み、実作動角に応じたエンジントルクをプーリクランプ力算出用トルクと決定する。
【0085】
次いで、図9フロー・チャートに示す処理と同様の処理に従って算出されたプーリクランプ力算出用トルクに基づいてベルト伝達トルクが算出され、それに基づいてプーリ側圧が決定される。残余の構成は第1実施例と異ならない。
【0086】
上記の如く、第2実施例にあっては、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構84を備えたエンジン(内燃機関)10に接続されるベルト式のCVT(無段変速機)26の制御装置(シフトコントローラ80)において、前記エンジンの負荷(吸気圧力PBA)と回転数(エンジン回転数NE)と前記開閉タイミングの目標値(目標作動角)とから前記エンジン10の第1の出力トルクを算出する第1の出力トルク算出手段(S200)と、前記エンジン10の負荷(吸気圧力PBA)と回転数(エンジン回転数NE)と前記開閉タイミングの実際値(実作動角)とから前記エンジン10の第2の出力トルクを算出する第2の出力トルク算出手段(S202)と、前記第1と第2の出力トルクのうち、大きい方の出力トルクを選択する選択手段(S204からS208)と、前記選択された出力トルクに基づいて前記CVT26のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段(S100からS104と同様の処理)と、前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記CVT26に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段(S106と同様の処理)とを備える如く構成したので、第1実施例と同様に、バルブの開閉タイミングが変更されてエンジン10の出力トルクが変化するときも、エンジン10の出力トルクを精度良く推定することができ、CVT26に供給すべき油圧を適正に決定できる。よって、CVT26のトルク伝達効率を向上させることができると共に、燃費も向上させることができる。また、CVT26に供給すべき油圧を適正に決定できることから、プーリ26a,26bに適正な側圧(クランプ力)を与えることが可能となり、よってベルト26cの耐久性も向上させることができる。
【実施例3】
【0087】
図12は、この発明の第3実施例に係る無段変速機の制御装置の動作を示す図5と同様のフロー・チャートである。
【0088】
以下説明すると、S300において第1実施例と同様、図6に示すマップと同様のマップを検索し、エンジン10が出力するトルクを算出する。
【0089】
次いでS302に進み、作動角(変更機構84のアクチュエータ84aの)に応じてエンジン10に吸気側に戻される排気の還流率を図13に示す特性に従って算出する。作動角としては実作動角を使用する。
【0090】
次いでS304に進み、算出された還流率より図14に示す特性に従って補正係数を算出し、S306に進み、S300で算出されたエンジントルクにS304で算出された補正係数を乗じてプーリクランプ力算出用トルク(補正された出力トルク)を算出する。
【0091】
次いで、図9フロー・チャートに示す処理と同様の処理に従って算出されたプーリクランプ力算出用トルクに基づいてベルト伝達トルクが算出され、それに基づいてプーリ側圧が決定される。残余の構成は第1実施例と異ならない。
【0092】
上記の如く、第3実施例にあっては、運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構84を備えたエンジン(内燃機関)10に接続されるベルト式のCVT(無段変速機)26の制御装置(シフトコントローラ80)において、前記エンジン10の負荷(吸気圧力PBA)と回転数(エンジン回転数)NEから前記エンジン10の出力トルクを算出する出力トルク算出手段(S300)と、前記開閉タイミング(作動角(変更機構84のアクチュエータ84aの))に応じて排気の還流率を算出する還流率算出手段(S302)と、前記算出された還流率から補正係数を算出する補正係数算出手段(S304)と、前記エンジン10の出力トルクを前記算出された補正係数で補正する出力トルク補正手段(S306)と、前記補正された出力トルクに基づいて前記CVT26のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段(S100からS104と同様の処理)と、前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記CVT26に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段(S106と同様の処理)とを備える如く構成したので、同様に、バルブの開閉タイミングが変更されてエンジン10の出力トルクが変化するときも、エンジン10の出力トルクを精度良く推定することができ、CVT26に供給すべき油圧を適正に決定できる。よって、CVT26のトルク伝達効率を向上させることができると共に、燃費も向上させることができる。また、CVT26に供給すべき油圧を適正に決定できることから、プーリ26a,26bに適正な側圧(クランプ力)を与えることが可能となり、よってベルト26cの耐久性も向上させることができる。
【0093】
尚、上記においてCVT26あるいは前後進切換機構24の構造は例示であり、この発明はそれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の第1実施例に係る無段変速機の制御装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示すCVT(変速機)などの油圧機構を模式的に示す油圧回路図である。
【図3】図1に示すバルブ開閉タイミング変更機構による吸、排気バルブの開閉タイミングをクランク角度に対して示す説明図である。
【図4】図1に示すエンジンコントローラによって行われる、バルブ開閉タイミング変更機構の制御を説明するブロック図である。
【図5】図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図6】図5の処理で使用されるマップの特性を示す説明図である。
【図7】同様に、図5の処理で使用されるマップの特性を示す説明図である。
【図8】図1のバルブ開閉タイミング変更機構の作動角とエンジントルクとベルト伝達トルクの関係を示すグラフである。
【図9】図5の処理で算出されたプーリクランプ力算出用トルクに基づいて行われるプーリ側圧の決定処理を示すフロー・チャートである。
【図10】第1実施例のシミュレーション結果を示すデータ図である。
【図11】この発明の第2実施例に係る無段変速機の制御装置の動作を示す図5と同様のフロー・チャートである。
【図12】この発明の第3実施例に係る無段変速機の制御装置の動作を示す図5と同様のフロー・チャートである。
【図13】図12の処理で算出される還流率の特性を示す説明図である。
【図14】同様に、図12の処理で算出される補正還流率の特性を示す説明図である。
【符号の説明】
【0095】
10 内燃機関(エンジン)、12 車両、22 トルクコンバータ、24 前後進切換機構、24a リングギヤ、24b サンギヤ、24c ピニオンギヤキャリア、24d 前進クラッチ、24e 後進ブレーキクラッチ、26 無段変速機(CVT)、26a ドライブプーリ、26b ドリブンプーリ、26c ベルト、26c1 エレメント、42 油圧機構、44 セレクトレバー、51 クランク角センサ、52 吸気圧力センサ、60 水温センサ、62 吸気温センサ、64 エンジンコントローラ、66 NTセンサ、70 NDRセンサ、72 VELセンサ、80 シフトコントローラ、84 バルブ開閉タイミング変更機構、84a アクチュエータ、MS メインシャフト、CS カウンタシャフト、SS セカンダリシャフト、D ディファレンシャル、W 駆動輪(タイヤ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、
a.前記内燃機関の負荷と回転数から前記内燃機関の出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、
b.前記開閉タイミングの目標値と実際値とから補正係数を算出する補正係数算出手段と、
c.前記内燃機関の出力トルクを前記算出された補正係数で補正する出力トルク補正手段と、
d.前記補正された出力トルクに基づいて前記無段変速機のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段と、
e.前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記無段変速機に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段と、
を備えたことを特徴とする無段変速機の制御装置。
【請求項2】
運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、
a.前記内燃機関の負荷と回転数と前記開閉タイミングの目標値とから前記内燃機関の第1の出力トルクを算出する第1の出力トルク算出手段と、
b.前記内燃機関の負荷と回転数と前記開閉タイミングの実際値とから前記内燃機関の第2の出力トルクを算出する第2の出力トルク算出手段と、
c.前記第1と第2の出力トルクのうち、大きい方の出力トルクを選択する選択手段と、
d.前記選択された出力トルクに基づいて前記無段変速機のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段と、
e.前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記無段変速機に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段と、
を備えたことを特徴とする無段変速機の制御装置。
【請求項3】
運転状態に応じて吸気バルブと排気バルブの少なくとも一方の開閉タイミングを変更するバルブ開閉タイミング変更機構を備えた内燃機関に接続されるベルト式の無段変速機の制御装置において、
a.前記内燃機関の負荷と回転数から前記内燃機関の出力トルクを算出する出力トルク算出手段と、
b.前記開閉タイミングに応じて排気の還流率を算出する還流率算出手段と、
c.前記算出された還流率から補正係数を算出する補正係数算出手段と、
d.前記内燃機関の出力トルクを前記算出された補正係数で補正する出力トルク補正手段と、
e.前記補正された出力トルクに基づいて前記無段変速機のベルト伝達トルクを算出するベルト伝達トルク算出手段と、
f.前記算出されたベルト伝達トルクに基づいて前記無段変速機に供給すべき油圧を決定する変速機供給油圧決定手段と、
を備えたことを特徴とする無段変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−78020(P2010−78020A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245658(P2008−245658)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】