説明

無段変速装置

【課題】部品点数を減少させるとともに、組み立て作業の作業性を向上できる無段変速装置を提供する。
【解決手段】無段変速装置は、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機20とを備える。遊星歯車式変速機20には、伝達軸により同軸上で一体に回転可能とされた第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27が備えられている。これら太陽歯車と伝達軸とは、第3太陽歯車26に噛み合う第3遊星歯車30を支持する固定の第3キャリアに設けられた軸受支持部29dとその前後に配置されたスラストニードル軸受41,42とにより、軸方向移動が規制されている。軸受支持部29dと第2太陽歯車25との間にスラストニードル軸受41が配置され、軸受支持部29dと第3太陽歯車26との間にスラストニードル軸受42が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能で、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用自動変速装置としてトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
例えば、図4の無段変速装置の概略断面図に示すように無段変速装置には、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機20とを備える。
【0003】
このうちのトロイダル型無段変速機1は、回転トルクが入力される入力軸2と、前記入力軸2に支持され入力軸2と一体で回転する一対の入力側ディスク3,3と、前記入力側ディスク3,3との間に挟持されるパワーローラ4,4を介して入力側ディスク3,3から変更可能な変速比で回転トルクが伝達される出力側ディスク5と、前記パワーローラ4,4を挟持した状態の入力側ディスク3,3および出力側ディスク5に軸方向への押圧力を付与する押圧装置(図示略)とを備えている。すなわち、トロイダル型無段変速機1は、互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスク3,3および出力側ディスク5と、これらの両ディスク3,5間に挟持される複数のパワーローラ4,4とを有する。
【0004】
また、入力側ディスク3,3および出力側ディスク5の回転中心に配置される入力軸2に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に傾転するとともに、各パワーローラ4,4を軸受6を介して回転自在に支持する複数のトラニオン7,7を備える。また、入力側ディスク3,3および出力側ディスク5には、それぞれパワーローラ4,4の周面4a、4aと油膜を介して接触する凹面3a,5aを備える。
【0005】
また、この例では、一対の入力側ディスク3,3の間に出力側ディスク5が配置されるとともに、出力側ディスク5は、一対の出力側ディスクをそれらの背面同士を重ねるように接合して一体化した状態となっており、1つの出力側ディスク5の両側面にそれぞれ入力側ディスク3,3に対向する凹面5a,5aが設けられている。
また、出力側ディスク5の内周側には、その入力軸2との間にトロイダル型無段変速機1の出力軸となる円筒状の筒状軸8が設けられており、当該筒状軸8内を入力軸2が貫通した状態となっている。そして、筒状軸8と出力側ディスク5とが入力軸2に対して一体に回転自在に構成され、入力軸2に入力された回転トルクは、入力側ディスク3,3からパワーローラ4,4を介して出力側ディスク5,5に伝動されて筒状軸8から出力される。なお、同軸上に配置される入力軸2および筒状軸8は、トロイダル型無段変速機1のリア側(図中右側)に延出し、後述のように遊星歯車式変速機20に接続されている。
【0006】
そして、この際に、例えば、パワーローラ4,4の周面4a、4aが入力側ディスク3,3の外周側に接触するとともに出力側ディスク5,5の内周側に接触した増速状態から中立位置を経て入力側ディスク3,3の内周側に接触するとともに出力側ディスク5,5の外周側に接触した減速状態まで変速比を変更することが可能となっている。
【0007】
また、遊星歯車式変速機20は、入力軸2およびリア側(後側、図中右側)の入力側ディスク3に結合固定された第1キャリア21を備えている。この第1キャリア21は、伝達軸22aを介して同軸上に前後に一体に回転可能に配置された2つの第1遊星歯車22および第2遊星歯車23を自転自在および公転自在に支持するようになっている。なお、一体に回転する第1遊星歯車22および第2遊星歯車23は、第1キャリア21に複数組が支持されている。
また、上述の筒状軸8は、前後に一体に回転可能に配置された2つの第1および第2遊星歯車22,23のうちの前側の第1遊星歯車22に対応する軸方向位置まで延出して配置され、当該筒状軸8の端部に第1太陽歯車24が一体に回転可能に設けられている。
【0008】
そして、トロイダル型無段変速機1の筒状軸8と一体に回転する第1太陽歯車24と、第1太陽歯車24に噛み合うとともに第2遊星歯車23と一体に回転する第1遊星歯車22と、トロイダル型無段変速機1の入力軸2と一体に回転するとともに第1遊星歯車22および第2遊星歯車23を自転自在および公転自在に支持する第1キャリア21とから第1遊星歯車機構ユニットが構成されている。なお、第1遊星歯車機構ユニットおよび後述の第2遊星歯車機構ユニットには、リング歯車が無い構成となっている。
【0009】
そして、入力軸2の筒状軸8よりもリア側となる部分の外周には、後述の3つの第2から第4太陽歯車25,26,27を前後に間隔をあけて並べた状態で一体に回転可能に支持する円筒状の伝達軸28が設けられている。当該伝達軸28には、前側から順に同軸上で一体に回転可能に第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27が備えられている。なお、これら第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27は、第1太陽歯車24と同軸上に配置される。
【0010】
そして、第2遊星歯車23は、第2太陽歯車25と噛み合っており、第2太陽歯車25と第2遊星歯車23と、第2遊星歯車23を支持する第1キャリア21(第1遊星歯車機構ユニットのキャリアと第2遊星歯車機構ユニットのキャリアとを兼ねる)とから、第2遊星歯車機構ユニットが形成されている。
【0011】
また、第3太陽歯車26には、無段変速装置のケーシング40に固定された状態の第3キャリア29に支持された複数の第3遊星歯車30が噛み合っている。また、第3遊星歯車30には、第3リング歯車31が噛み合っている。そして、これら第3太陽歯車26、第3キャリア29、第3遊星歯車30および第3リング歯車31とにより、第3遊星歯車機構ユニットが構成されている。
【0012】
また、第3リング歯車31は、高速用クラッチ32を介して遊星歯車式変速機20の出力軸33、すなわち、無段変速装置の出力軸33に接続され、高速用クラッチ32が接続状態となっていると(なお、後述の低速用クラッチ37は切断状態)、第3リング歯車31と出力軸33とが一体に回転可能となる。
【0013】
また、第4太陽歯車27には、第4キャリア34に自転自在および公転自在に支持された第4遊星歯車35が噛み合っている。また、第4遊星歯車35には、トロイダル型無段変速機1の入力軸2と一体に回転可能な第4リング歯車36が噛み合っている。そして、これら第4太陽歯車27、第4キャリア34、第4遊星歯車35および第4リング歯車36により、第4遊星歯車機構ユニットが構成されている。
そして、第4キャリア34は、低速用クラッチ37を介して出力軸33に接続され、低速用クラッチ37が接続状態で、高速用クラッチ32が切断状態となっていると、第4キャリア34と出力軸33とが一体に回転可能となる。
【0014】
このような構成の無段変速装置においては、低速用クラッチ37を接続するとともに高速用クラッチ32の接続を断った、所謂低速モード状態では、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、すなわち、入力軸2と出力軸33との間の変速比が変化する。このような低速モード状態では、無段変速装置全体としての変速比は、無限大に変化する。すなわち、トロイダル型無段変速機1の変速比を調節する事により、入力軸2を一方向に回転させた状態のまま出力軸33の回転状態を、停止状態を挟んで、正転、逆転の変換自在となる。
【0015】
これに対して、低速用クラッチ37の接続を断ち、高速用クラッチ32を接続した、所謂高速モード状態では、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化するが、この場合には、トロイダル型無段変速機1の変速比を大きくする程、無段変速装置全体としての変速比が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許5607372号公報
【特許文献2】特開2003−307266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上記特許文献1には、一体に回転する第2太陽歯車25、第3太陽歯車26および第4太陽歯車27の軸方向位置を規制するスラスト軸受が設けられていることが記載されている。
特許文献1において、第2太陽歯車25の軸方向移動を規制するスラスト軸受は、第1キャリア21に設けられており、第2太陽歯車25の前後にそれぞれ第1キャリア21の一部が第2太陽歯車25の端面に対向するように配置され、第2太陽歯車25の前後の端面と、第1キャリア21の一部との間にそれぞれスラスト軸受が配置されている。
【0018】
また、第3太陽歯車26の前側端面と、第3キャリア29との間にスラスト軸受が配置され、第4太陽歯車27の後側端面と、第4キャリア34との間にスラスト軸受が配置されている。なお、図4には示されていないが、スラスト軸受が配置される部分では、太陽歯車の端面とキャリアの一部とが対向配置され、これらの間にスラスト軸受が配置されている。
【0019】
これら4つの部分の軸受により、伝達軸28で一体に回転可能に接続される第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27の軸方向位置が規制されるが、このような構造では、スラスト軸受が多く配置され、部品点数が多くなり、組み立ても煩雑なものとなる。また、これらのことがコスト増の要因となるといった問題があった。
さらに、第1キャリア21と第2太陽歯車25とは、回転方向が逆となるため軸受部分が高速で回転することになり、軸受の耐久性が問題となる。
【0020】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、3つの太陽歯車が同軸上に一体に回転可能に並んだ遊星歯車式変速機を備える場合に、当該3つの太陽歯車の軸方向移動を規制するスラスト軸受の部品点数を減少できるとともに、スラスト軸受が高速で回転するのを防止できる無段変速装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の無段変速装置は、互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラとを有するトロイダル型無段変速機が備えられ、
かつ、前記出力側ディスクと一体に回転する第1太陽歯車と、前記入力側ディスクと一体に回転する第1キャリアと、当該第1キャリアに支持されるとともに第1太陽歯車に噛み合う第1遊星歯車と、当該第1遊星歯車と同軸上で一体に回転するとともに第1キャリアに支持される第2遊星歯車と、当該第2遊星歯車と噛み合うとともに第1太陽歯車と同軸上に配置される第2太陽歯車と、当該第2太陽歯車と伝達軸により一体に回転可能に同軸上に配置される第3太陽歯車および第4太陽歯車と、固定された第3キャリアと、当該第3キャリアに支持されるとともに第3太陽歯車に噛み合う第3遊星歯車と、第3遊星歯車と噛み合うとともに高速用クラッチを介して出力軸と一体に回転可能な第3リング歯車と、第4太陽歯車と噛み合う第4遊星歯車と、第4遊星歯車と噛み合うとともに前記入力軸と一体に回転する第4リング歯車と、第4遊星歯車を支持するとともに低速用クラッチを介して前記出力軸と一体に回転可能な第4キャリアとを有する遊星歯車式変速機が備えられた無段変速装置において、
第3キャリアには、第2太陽歯車と第3太陽歯車との間となる位置に軸受支持部が設けられ、第2太陽歯車と前記軸受支持部との間と、第3太陽歯車と前記軸受支持部との間とのそれぞれにスラスト軸受が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項1に記載の発明においては、伝達軸で一体に回転する第2太陽歯車、第3太陽歯車、第4太陽歯車の伝達軸の軸方向移動を規制するスラスト軸受が2つとなることで、従来に比較して部品点数の削減を図ることができる。
また、スラスト軸受が2つだけとなる点と、2つのスラスト軸受が両方とも第2太陽歯車と第3太陽歯車との間に配置されることから、組み立て作業の作業性を向上することができる。
さらに、スラスト軸受を支持している第3キャリアが固定されていて回転しないので、スラスト軸受を挟んで配置される部材が互いに逆方向に回転することで、スラスト軸受の回転速度が速くなるようなことがない。したがって、スラスト軸受の長寿命化を図ることができる。
【0023】
請求項2に記載の無段変速装置は、請求項1に記載の発明において、前記遊星歯車式変速機に備えられる各歯車がはすば歯車とされ、第1太陽歯車、第2太陽歯車、第3太陽歯車および第4太陽歯車のねじれ方向が全て同じとなっていることを特徴とする。
【0024】
請求項2に記載の発明においては、はすば歯車としての第1太陽歯車と第2太陽歯車のねじれ方向が同じとされることで、第1太陽歯車に噛み合う第1遊星歯車と、第2太陽歯車に噛み合う第2遊星歯車とでねじれ方向が同じとなる。ここで第1遊星歯車は、第1太陽歯車から回転トルクが入力し、第1遊星歯車と一体に回転する第2遊星歯車から回転トルクが第2太陽歯車に出力する状態となっているので、はすば歯車として第1遊星歯車に作用するスラスト力と、第2遊星歯車に作用するスラスト力が逆方向となる。したがって、これらスラスト力の一部が相殺されて、スラスト力を低減することができる。これにより、第1キャリアと、第1遊星歯車および第2遊星歯車との間で前記スラスト力に基づいて発生する摩擦力を低減することができる。
【0025】
また、第2太陽歯車、第3太陽歯車、第4太陽歯車のねじれ方向を同じにすることにより、これら一体に回転するはすば歯車で発生するスラスト力も低減することができる。
すなわち、高速用クラッチを接続状態とし、低速用クラッチを切断状態とした高速モードでは、第4太陽歯車を有する遊星歯車機構部分では、出力軸に回転トルクの出力が行われず、空転した状態となり大きなスラスト力が発生しない。
【0026】
そして、第2太陽歯車と第3太陽歯車とにそれぞれスラスト力が発生するが、この場合も上述の場合と同様にスラスト力の方向が第2太陽歯車と第3太陽歯車とで逆となり、これらスラスト力の一部が相殺され、スラスト力が低減される。
また、高速用クラッチを切断状態とし、低速用クラッチを接続状態とした低速用モードでは、第3太陽歯車を有する遊星歯車機構部分では、出力軸に回転トルクの出力が行われず、空転した状態となり大きなスラスト力が発生しない。
【0027】
そして、第2太陽歯車と第4太陽歯車とにそれぞれスラスト力が発生するが、この場合も上述の場合と同様にスラスト力の方向が第2太陽歯車と第4太陽歯車とで逆となり、これらスラスト力の一部が相殺され、スラスト力が低減される。
以上のことから、スラスト軸受にかかるスラスト力を低減することが可能となり、スラスト軸受の長寿命化を図ることができる。
また、軸受支持部を挟んで2つのスラスト軸受が配置されており、スラスト力の方向により、どちらか一方のスラスト軸受だけにスラスト力が作用するので、スラスト力の作用しない方のスラスト軸受はさらに長寿命化される。
【0028】
また、第1太陽歯車から第4太陽歯車までのはすば歯車においてねじれ方向は、同じとする必要があるが、ねじれ角を同一とする必要はなく、ねじれ角を変更することで、各はすば歯車に発生するスラスト力を調整可能であり、互いに反対方向のスラスト力が発生するとともに一体に回転するはすば歯車においてねじれ角を単体方向のスラスト力が略同じとなるように設定可能であり、上述の第1遊星歯車および第2遊星歯車や、第2太陽歯車、第3太陽歯車および第4太陽歯車において、スラスト力を略0として、スラスト力による摩擦力を極めて小さくしたり、スラスト軸受に対する負荷を極めて小さなものとすることも可能である。
【0029】
請求項3に記載の無段変速装置は、請求項1または請求項2に記載の無段変速装置において、前記第2太陽歯車が前記伝達軸に対して別体に設けられるとともに当該伝達軸の軸方向に僅かに移動可能に取り付けられ、
前記第2太陽歯車が前記第3太陽歯車に最も近づいた状態における第2太陽歯車と第3太陽歯車との距離が、前記第2太陽歯車と第3太陽歯車との間に配置される前記軸受支持部および2つのスラスト軸受の前記伝達軸の軸方向に沿った厚さを合わせた値より大きいことを特徴とする。
【0030】
請求項3に記載の無段変速装置においては、第3太陽歯車との間に軸受支持部と2つのスラスト軸受が配置される第2太陽歯車を伝達軸とは別体に構成したので、例えば、無段変速装置の組み立て作業時に、第2太陽歯車と伝達軸とを接合することが可能となり、組み立て作業の作業性が向上する。
【0031】
また、この際に、前記第2太陽歯車が前記第3太陽歯車に最も近づいた状態における第2太陽歯車と第3太陽歯車との距離が、前記第2太陽歯車と第3太陽歯車との間に配置される前記軸受支持部および2つのスラスト軸受の前記伝達軸の軸方向に沿った厚さを合わせた値より大きいので、容易に作業を行うことができる。
また、上述のように一方のスラスト軸受にはスラスト力が作用しない状態となるが、この際に、スラスト力が作用していないスラスト軸受と第2太陽歯車もしくは第3太陽歯車がほとんど接触しない状態とすることが可能となり、さらにスラスト軸受への負荷を減少させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の無段変速装置によれば、スラスト軸受の数を減らして部品点数の削減を図るとともに、組み立て作業の作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態の無段変速機を示すスケルトン図である。
【図2】前記無段変速装置を示す要部断面図である。
【図3】前記無段変速装置を示す要部断面図である。
【図4】従来の無段変速装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、この実施の形態の無段変速機の特徴は、無段変速装置の3つの太陽歯車25,26,27が一体に回転可能に伝達軸28に前後に並んで設けられた状態で、これら太陽歯車25,26,27の軸方向移動を規制する構造とはすば歯車のねじれ方向の構造とにあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、この実施の形態の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図4と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
【0035】
図1は本発明の実施の形態の無段変速装置を示すスケルトン図、図2および図3は前記無段変速装置を示す要部断面図である。
図1に示すように、この例のトロイダル型無段変速機1および遊星歯車式変速機20を有する無段変速装置は、図4に示される従来の無段変速装置と基本構成が同じとなっているが、図2および図3に示すように伝達軸28に一体に回転可能に設けられた第2太陽歯車25、第3太陽歯車26および第4太陽歯車27の軸方向移動を規制するスラスト軸受の配置と、はすば歯車のねじれ方向等が異なるものとなっている。
【0036】
ここで、第1キャリア21は、前後の支持板21a,21bを備え、当該支持板21a,21bの間に第1遊星歯車22および第2遊星歯車23を回転自在に支持する支持軸21cが架け渡されている。
そして、伝達軸22aの前後に一体的に第1遊星歯車22および第2遊星歯車23が設けられているとともに、前記支持軸21cが貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔に支持軸21cが挿入されるとともに、貫通孔の内周側と支持軸21cとの間にラジアルニードル軸受22bが設けられている。
【0037】
同様に第3キャリア29は、前後の支持板29a,29bを備え、当該支持板29a,29bの間に第3遊星歯車30を支持する支持軸29cが架け渡されている。
そして、第3遊星歯車30には、支持軸29cが貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔に支持軸29cが挿入されるとともに、貫通孔の内周側と支持軸29cとの間にラジアルニードル軸受30aが設けられている。
【0038】
また、第4キャリア34は、前後の支持板34a,34bを備え、当該支持板34a,34bの間に第4遊星歯車35を支持する支持軸34cが架け渡されている。
そして、第4遊星歯車35には、支持軸34cが貫通する貫通孔が形成され、当該貫通孔に支持軸34cが挿入されるととともに、貫通孔の内周側と支持軸34cとの間にラジアルニードル軸受35aが配置されている。
また、第1遊星歯車22、第2遊星歯車23、第3遊星歯車30、第4遊星歯車35は、それぞれ、第1キャリア21、第3キャリア29、第4キャリア34の周方向に沿って並んで複数配置されている。
【0039】
また、第2から第4太陽歯車25,26,27の3つの太陽歯車が設けられる伝達軸28は、円筒状に形成され、その内部に入力軸2が貫通するようになっている。
また、入力軸2の外周面と、伝達軸28の内周面との間の前部および後部とには、それぞれラジアルニードル軸受28g,28hが配置されており、入力軸2に対して伝達軸28が回転自在に支持された状態となっている。
【0040】
また、伝達軸28には、その中央部分に第3太陽歯車26が一体に形成され、後端部に第4太陽歯車27が一体に形成されているが、前端部に設けられる第2太陽歯車25は伝達軸28に対して別体に設けられており、伝達軸28の前端部に第2太陽歯車25が伝達軸28と一体に回転可能に取り付けられた状態となっている。
なお、伝達軸28は、第4太陽歯車27と第3太陽歯車26との間の部分の径に対して、第4太陽歯車27および第3太陽歯車26の径が大きくなっている。
【0041】
また、第3太陽歯車26と、第2太陽歯車25との間には、後述のように第3キャリア29の前側の支持板29aの内周縁部となる軸受支持部29dとその前後にスラストニードル軸受41,42が配置されるようになっている。そして、第3太陽歯車26と第2太陽歯車25の間の部分の径は、第3太陽歯車26と第4太陽歯車27との間の部分の径より小さくされている。
また、伝達軸28の第2太陽歯車25が取り付けられる取付部28aの前部28bは、第3太陽歯車26と第2太陽歯車25との間の径よりも、さらに小さな径とされている。
【0042】
すなわち、伝達軸28の第2太陽歯車25が取り付けられる取付部28aの前部28bは、後部28cより径が小さくされている。
そして、伝達軸28の取付部28aの前部28bは、その外周部分がスプライン構造を有するものとなっている。また、伝達軸28の取付部28aの前部28bとそれより径の大きな後部28cとの間には段差28dが形成されている。
【0043】
一方、第2太陽歯車25の内周側には、前記伝達軸28の取付部28aのスプライン構造を有する前部28bと嵌合するスプライン構造を有する前内周部25aと、取付部28aの後部28cが挿入されとともに当該後部28cの外周面に略当接する内周面を備えた後内周部25bとがあり、取付部28aの前部28bの径および後部28cの径に対応して、第2太陽歯車25の前内周部25aの内径より、後内周部25bの内径が大きくされている。そして、前内周部25aと、後内周部25bとの間に段差25cが形成されている。
【0044】
そして、取付部28aの段差28dと、第2太陽歯車25の内周側の段差25cが対向することにより、第2太陽歯車25の伝達軸28の軸方向に沿った後側への移動が規制されている。
また、伝達軸28の第2太陽歯車25の前側には、止め輪28fが嵌め込まれ、第2太陽歯車25の前側への移動が規制されている。したがって、第2太陽歯車25は、伝達軸28の前側の止め輪28fと後側の段差28dとにより軸方向位置が規制されるが、当該止め輪28fとの後側の段差28dとの間の距離は、第2太陽歯車27の前端から内周側の段差25cとの間の距離よりも僅かに広くなっており、クリアランスを有するものとなっている。
したがって、第2太陽歯車25は、伝達軸28の軸方向に沿って前後に僅かに移動可能となっている。
【0045】
そして、ケーシング40に固定された状態の第3キャリア29の前側の支持板29aの中央部には、入力軸2が貫通した状態の伝達軸28を貫通させる貫通孔が形成されている。そして、この支持板29aの前側の側面の貫通孔周囲となる軸受支持部29dの前側には、第2太陽歯車25の後側の端面が対向した状態となっている。
また、軸受支持部29dの後側の側面には、第3太陽歯車26の前側端面が対向した状態となっている。
【0046】
そして、第3キャリア29の軸受支持部29dの前側の側面と、第2太陽歯車25の後側の端面との間に前側のスラストニードル軸受41が配置されている。
また、軸受支持部29dの後側の側面と、第3太陽歯車26の前側の端面との間に後側のスラストニードル軸受42が配置されている。
また、これらスラストニードル軸受41,42は、それぞれニードル43の軌道面を有する一対のスラストレース44,45を備えている。
【0047】
上述のように僅かに前後移動可能な第2太陽歯車25の後側端面と、第3太陽歯車26の前側端面間の最小距離A、すなわち、第2太陽歯車25が最も後側(最も第3太陽歯車26に近い側)にある状態での第2太陽歯車25の後側端面と、第3太陽歯車26の前側端面間の距離Aの方が、間に軸受支持部29dを挟んだ2つのスラストニードル軸受42の伝達軸28の軸方向に沿った距離Bより広くなっている。なお、図2においては、距離Aと距離Bとがほぼ等しく図示されているが、実際には僅かに距離Aの方が長くなっている。また、距離Bは、軸受支持部29dの伝達軸28の軸方向に沿った厚さと、それぞれ一対のスラストレース44,45を備える2つのスラストニードル軸受41,42の軸方向に沿った厚さとを足し合わせた値となる。
【0048】
また、遊星歯車式変速機20における各歯車、すなわち、第1太陽歯車24、第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27、第1遊星歯車22、第2遊星歯車23、第3遊星歯車30、第4遊星歯車35、第3リング歯車31、第4リング歯車36は、全てはすば歯車(ヘリカルギア)とされている。
【0049】
また、伝達軸22aで一体に回転する第1遊星歯車22および第2遊星歯車23のねじれ方向が同じとなっている。また、伝達軸28で一体に回転する第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27のねじれ方向も同じとなっている。さらに、第1太陽歯車24のねじれ方向も、第2太陽歯車25、第3太陽歯車26および第4太陽歯車27のねじれ方向と同じとなっている。
【0050】
なお、第1太陽歯車24と、第2太陽歯車25とのねじれ方向を同じ向きとすることで、第1太陽歯車24と噛み合う第1遊星歯車22と、第2太陽歯車25と噛み合う第2遊星歯車23とのねじれ方向の向きは同じとなる。
また、各はすば歯車は、互いに噛み合う歯車同士以外については、ねじれ角を同じとする必要はなく、ねじれ方向が同じであっても、ねじれ角は必ずしも同じではない。
【0051】
以上のような無段変速装置では、第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27を同軸上に前後に並べて一体に回転可能とする伝達軸28の軸方向位置(前後位置)、すなわち、これら第2太陽歯車25、第3太陽歯車26および第4太陽歯車27の軸方向位置が、上述のように第2太陽歯車25と第3太陽歯車26との間に配置された第3キャリア29の前側支持板29aの軸受支持部29dの前後に設けられたスラストニードル軸受41,42により規制されることになる。
【0052】
すなわち、従来4つのスラスト軸受で支持していた構造を2つのスラスト軸受で支持する構造とすることができ、部品点数の削減を図ることができる。
なお、この例では、第2太陽歯車と第3太陽歯車との間に2つのスラストニードル軸受41,42が配置される。そして、伝達軸28の前方向への移動と、後方向への移動の両方が規制されることになり、伝達軸28の前後方向への移動が規制されることで、伝達軸28に設けられた第2太陽歯車25、第3太陽歯車26および第4太陽歯車27の全ての軸方向の前後への移動が規制されることになり、他にスラストニードル軸受41,42を設ける必要がない。
【0053】
また、この例では、スラストニードル軸受41,42の一方のスラストレース45がケーシング40に固定されて回転しない第2キャリア29に取り付けられた状態となるので、スラストニードル軸受41,42の回転は、第2太陽歯車25および第3太陽歯車26の回転、すなわち、伝達軸28の回転に基づくものとなり、従来のように互いに逆に回転する部材間にスラスト軸受を配置する状態とならず、スラストニードル軸受41,42が高速に回転することがなく、スラストニードル軸受41,42の耐久性に問題が生じるのを防止することができる。
【0054】
また、第2太陽歯車25と第3太陽歯車26との間に、上述の前後のスラストニードル軸受41,42を配置するように無段変速装置を組み立てるに当たって、伝達軸28の前端部に取り付けられる第2太陽歯車25と伝達軸28とを別体として、組み立て時に第2太陽歯車25に伝達軸28を組み付ける構造となっているので、組み立ての作業性が向上する。特に、従来のように4つのスラスト軸受を有する場合に比較して、組み立て作業を簡便なものとすることができる。
【0055】
なお、組み付け時には、例えば、トロイダル型無段変速機1の筒状軸8の第1太陽歯車24に第1キャリア21に支持された状態の第1遊星歯車22および第2遊星歯車23のうちの第1遊星歯車22を噛み合わせるようにして、第1キャリア21をリア側の入力側ディスク3に取り付けるとともに、入力軸2に取り付ける。そして、次に第2太陽歯車25を、第2遊星歯車23に噛み合わせた状態に組み付け、次に前側のスラストニードル軸受41を組み付け、次に第3キャリア29を組み付け、次に、後側のスラストニードル軸受42を組み付ける。その後に、伝達軸28の先端部を第2太陽歯車25の貫通孔に挿入するようにして、伝達軸28を組み付ける。
【0056】
上述のように第1太陽歯車24と第2太陽歯車25とのねじれ方向を同じにしたことにより、第1遊星歯車22と第2遊星歯車23とのねじれ方向が同じとなる。ここで、第1遊星歯車22には、第1太陽歯車24側から回転トルクが入力されて第1遊星歯車22と第2遊星歯車23とが一体に回転し、第2遊星歯車23から第2太陽歯車25側に回転トルクが出力される状態となるので、噛み合ったはすば歯車どうしの回転により生じするスラスト力は、第1遊星歯車22と第2遊星歯車23とで逆方向となり、少なくとも一部のスラスト力が相殺されることになり、例えば、第1キャリア21と一体の第1遊星歯車および第2遊星歯車との間に作用する前記スラスト力に基づく摩擦力を低減することができる。
【0057】
また、第1遊星歯車22のねじれ角と第2遊星歯車23のねじれ角との少なくとも一方を調整することで、第1遊星歯車22に作用するスラスト力と第2遊星歯車23に作用するスラスト力とを互いに逆方向で略同じ大きさとすることが可能であり、これらスラスト力を略相殺する状態とすることが可能であり、前記摩擦力をほぼ0とすることも可能である。
【0058】
また、伝達軸28により一体に回転するとともに、はすば歯車としてのねじれ方向が互いに同じとなっている第2太陽歯車25、第3太陽歯車26、第4太陽歯車27においては、高速用クラッチ32を接続状態とし、低速用クラッチ37を切断状態とした高速モード時に、第2遊星歯車23から第2太陽歯車25に入力した回転トルクが第3太陽歯車26から第3遊星歯車30を介して第3リング歯車31に伝達されることになり、第2太陽歯車25と第3太陽歯車26とにはすば歯車に基づく互いに逆方向のスラスト力が作用することになる。これにより、スラスト力の一部が相殺され、伝達軸28に作用するスラスト力が低減する。
なお、低速用クラッチ37を切断した状態では、第4太陽歯車から出力軸33側に回転トルクが伝達されず、第4太陽歯車27は空転した状態となり、第4太陽歯車27に大きなスラスト力が作用することがない。
【0059】
また、スラスト力が一方向に働くことから、スラスト力は、間に固定の軸受支持部29dが配置された前後のスラストニードル軸受41,42のうちの一方にだけ作用することになる。
また、上述のように伝達軸28に対して第2太陽歯車25が軸方向に僅かに移動可能となっている。
【0060】
また、第2太陽歯車25と第3太陽歯車26との間の間隔となる距離のうちの第2太陽歯車25の位置に基づいて最小となる距離Aの方が、第2太陽歯車25および第3太陽歯車26との間に配置される軸受支持部29dと、その前後に配置されるスラストニードル軸受41,42とを合わせた軸方向にそった厚みとなる距離Bより大きくなっている。
【0061】
以上のことから、2つのスラストニードル軸受41,42のスラスト力の方向の手前側となる一方のスラストニードル軸受41,42がスラスト力を受け、スラスト力の方向の先側のスラストニードル軸受41,42がスラスト力を受けない状態となるとともに、スラスト力を受けない側のスラストニードル軸受41,42側の太陽歯車(第2太陽歯車25および第3太陽歯車26のうちの一方)との間に隙間が生じ、一方のスラストニードル軸受41,42が回転しない状態となる。
【0062】
また、第2太陽歯車25のねじれ角と第3太陽歯車26のねじれ角とのうちの少なくとも一方を調整することで、それぞれのはすば歯車に発生する互いに逆方向のスラスト力を略同じとして、スラスト力を相殺し、両方のスラストニードル軸受41,42にスラスト力が作用しないようにすることができる。
【0063】
また、高速用クラッチ32を切断状態とし、低速用クラッチ37を接続状態とした低速モードにおいては、第2遊星歯車23から第2太陽歯車25に入力した回転トルクが第4太陽歯車27から第4遊星歯車35を介して第4キャリア34に伝達されることになり、第2太陽歯車25と第4太陽歯車27とにはすば歯車に基づく互いに逆方向のスラスト力が作用することになる。これにより、スラスト力の一部が相殺され、伝達軸28に作用するスラスト力が低減する。なお、高速用クラッチ32を切断した状態では、第3太陽歯車26から出力軸33側に回転トルクが伝達されず、第3太陽歯車26は空転した状態となり、第3太陽歯車26に大きなスラスト力が作用することがない。
【0064】
これにより、高速モードの場合と同様にスラストニードル軸受41,42に対するスラスト力を低減することができる。
また、第2太陽歯車25のねじれ角と第4太陽歯車27のねじれ角とのうちの少なくとも一方を調整することで、それぞれのはすば歯車に発生する互いに逆方向のスラスト力を略同じとして、スラスト力を相殺し、両方のスラストニードル軸受41,42にスラスト力がほとんど作用しないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、遊星歯車式変速機とハーフトロイダル型無段変速機を用いた無段変速装置の他、遊星歯車式変速機とトラニオンが無いフルトロイダル型無段変速機を用いた無段変速装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 トロイダル型無段変速機
2 入力軸
3 入力側ディスク
3a 凹面(内側面)
4 パワーローラ
5 出力側ディスク
5a 凹面(内側面)
20 遊星歯車式変速機
21 第1キャリア
22 第1遊星歯車
23 第2遊星歯車
24 第1太陽歯車
25 第2太陽歯車
26 第3太陽歯車
27 第4太陽歯車
28 伝達軸
29 第3キャリア
29d 軸受支持部
30 第3遊星歯車
31 第3リング歯車
32 高速用クラッチ
33 出力軸
34 第4キャリア
35 第4遊星歯車
36 第4リング歯車
37 低速用クラッチ
41 スラストニードル軸受(スラスト軸受)
42 スラストニードル軸受(スラスト軸受)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラとを有するトロイダル型無段変速機が備えられ、
かつ、前記出力側ディスクと一体に回転する第1太陽歯車と、前記入力側ディスクと一体に回転する第1キャリアと、当該第1キャリアに支持されるとともに第1太陽歯車に噛み合う第1遊星歯車と、当該第1遊星歯車と同軸上で一体に回転するとともに第1キャリアに支持される第2遊星歯車と、当該第2遊星歯車と噛み合うとともに第1太陽歯車と同軸上に配置される第2太陽歯車と、当該第2太陽歯車と伝達軸により一体に回転可能に同軸上に配置される第3太陽歯車および第4太陽歯車と、固定された第3キャリアと、当該第3キャリアに支持されるとともに第3太陽歯車に噛み合う第3遊星歯車と、第3遊星歯車と噛み合うとともに高速用クラッチを介して出力軸と一体に回転可能な第3リング歯車と、第4太陽歯車と噛み合う第4遊星歯車と、第4遊星歯車と噛み合うとともに前記入力軸と一体に回転する第4リング歯車と、第4遊星歯車を支持するとともに低速用クラッチを介して前記出力軸と一体に回転可能な第4キャリアとを有する遊星歯車式変速機が備えられた無段変速装置において、
第3キャリアには、第2太陽歯車と第3太陽歯車との間となる位置に軸受支持部が設けられ、第2太陽歯車と前記軸受支持部との間と、第3太陽歯車と前記軸受支持部との間とのそれぞれにスラスト軸受が設けられていることを特徴とする無段変速装置。
【請求項2】
前記遊星歯車式変速機に備えられる各歯車がはすば歯車とされ、第1太陽歯車、第2太陽歯車、第3太陽歯車および第4太陽歯車のねじれ方向が全て同じとなっていることを特徴とする請求項1に記載の無段変速装置。
【請求項3】
前記第2太陽歯車が前記伝達軸に対して別体に設けられるとともに当該伝達軸の軸方向に僅かに移動可能に取り付けられ、
前記第2太陽歯車が前記第3太陽歯車に最も近づいた状態における第2太陽歯車と第3太陽歯車との距離が、前記第2太陽歯車と第3太陽歯車との間に配置される前記軸受支持部および2つのスラスト軸受の前記伝達軸の軸方向に沿った厚さを合わせた値より大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無段変速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−112091(P2011−112091A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266756(P2009−266756)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】