無線タグ探索方法および装置
【課題】
無線タグの位置の探索を支援する。
【解決手段】
無線タグの位置を探索する際に、無線装置は無線タグに対してID番号の送信を要求する。無線タグが送信した電磁波を受信した無線装置は、電磁波の受信強度と、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式に基づいて、無線装置から無線タグまでの距離や方向を推定し、その推定位置を無線タグのID番号と関連付けて表示する。複数回の探索により無線タグの位置を特定するため、無線装置の向きを指示し、各探索で推定された推定位置の重なりを表示する。
無線タグの位置の探索を支援する。
【解決手段】
無線タグの位置を探索する際に、無線装置は無線タグに対してID番号の送信を要求する。無線タグが送信した電磁波を受信した無線装置は、電磁波の受信強度と、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式に基づいて、無線装置から無線タグまでの距離や方向を推定し、その推定位置を無線タグのID番号と関連付けて表示する。複数回の探索により無線タグの位置を特定するため、無線装置の向きを指示し、各探索で推定された推定位置の重なりを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末と無線タグの間で電磁波を送受信することにより、無線タグの位置を探索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫で所望の在庫品を探す場合など、多数の物体の中から特定の物体の位置を探索するために、無線タグを物体に取り付け、探索者が持つ無線端末と無線タグとの間で電磁波を送受信することにより無線タグが取り付けられた物体の位置を探索する場合がある。このような無線タグの探索を行うシステムとしては、例えば、特開平2004−354351号公報に記載の電波発信器探索装置が知られている。この電波発信器探索装置は、RFIDタグを探索するときに、RFIDタグの位置を知るための手掛かりとなる情報をユーザーに対して提示するものであり、電波発信器探索装置が、受信アンテナの方向を変えながら
RFIDタグの発信する電磁波の電波強度を検出し、電波強度の差分値を計算し、電波強度の極大値を検知すると、検知したことを表示するものであった。
【0003】
【特許文献1】特開平2004−354351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開平2004−354351号公報に記載されている電波発信器探索装置では、ユーザーが電波発信器探索装置の方向を変化させることによりRFIDタグから受信する電波強度が変化し、RFIDタグの探索に必要な電波強度の差分情報や前記差分情報の変化情報を得る。すなわち、電波発信器探索装置を受信状態(測定状態)にしたままアンテナを移動させ(スキャン)、移動によって時々刻々変化する受信電波強度の時間差分を測定し、受信電波強度が極大値になった方向を検出して表示する。しかし、受信電波強度が極大値になった方向を検出するためには、アンテナの方向を変化させながらスキャンしている間、RFIDタグから電磁波が連続放出される状態になるため、他の電波発信器探索装置や無線機器と電波干渉する可能性がある。また、スキャンしている間、電波発信器探索装置は電磁波を連続して受信している状態になるため、消費電力が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、電波干渉が少なく、消費電力を小さくできる無線タグ探索方法および装置により無線タグの位置の探索を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、本発明の無線タグ探索装置は、探索装置からの電磁波に対して自分のID番号を電磁波に変換して送信する無線タグが送信した電磁波をアンテナで受信して、受信した電磁波から無線タグのID番号を識別し、無線タグの位置の推定処理を行う無線装置とからなる。無線装置は、無線タグが送信した電磁波を受信して識別した結果などを表示する表示装置を備え、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式から無線タグの位置を推定する位置推定処理部を備えている。
【0007】
無線タグが送信した電磁波を受信した無線装置は、電磁波の受信強度と、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式に基づいて、位置推定処理部により無線装置から無線タグまでの距離や方向を推定し、その推定位置を無線タグのID番号と関連付けて表示装置に表示する。そして、無線タグからの電磁波の受信強度が小さく、無線タグのID番号が識別できない場合は、位置推定処理部で推定した無線タグの推定位置のみを表示し、無線タグのID番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置の候補を表示する。
【0008】
また、受信電波強度の測定時には無線装置は方向を変化させず静止状態であり、その状態で電磁波を受信し、電波受信強度データが1個得られ、前記電波受信強度データと受信電波強度とアンテナ指向性を使用して、無線タグの存在する可能性のある範囲を計算し表示する。また、前記無線タグの存在する可能性のある範囲の絞込みを行うため、無線装置の向きを指示し、別の方向においても電波受信強度データを取り、無線タグの存在する可能性のある範囲を計算し、前に計算した範囲との重複範囲を計算し表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性に基づき、無線タグが送信した電磁波を無線装置が受信した際の受信強度から無線タグの位置を推定して推定位置を表示することにより、無線タグの位置の探索を支援することが可能である。
【0010】
そして、無線タグの位置が特定できない場合でも、無線タグのID番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置などの候補の表示を行うことにより、無線タグの位置の探索を支援することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、第1の実施形態について説明する。図1に、第1実施形態に係る無線タグによる探索システムの構成を示す。図1において、物体200には無線タグ2が取り付けられている。各無線タグ2は個々を識別可能なID番号が記憶されており、自無線タグのID番号を電磁波に変換し、自発的あるいは無線装置1からの指示により電磁波を送信する。また、無線装置1は、無線タグ2が送信した電磁波をアンテナで受信して、無線タグの識別手段であるID番号を受信した電磁波から識別して、無線タグの位置の推定処理を行う。
【0013】
図15に無線タグ2の構成を示す。無線タグ2は、ID番号などの情報を記憶しておく無線タグ記憶装置214と、無線タグ記憶装置214に記憶されている情報をベースバンド信号に変換する無線タグ送信データ生成装置215と、無線タグ送信データ生成装置
215で生成したベースバンド信号を高周波信号に変換し、無線タグアンテナ211を介して電磁波として送信する無線タグ無線送信装置217から構成される。送信される高周波信号は、例えば、周波数変調波や位相変調波などである。さらに、無線タグ2を構成する各装置に電源を供給する無線タグ電源供給装置216を有する。無線タグ電源供給装置216は、例えば、蓄電池や太陽電池などを用いる。
【0014】
また、図16には、無線装置1から送信指示を受信した時に電磁波を送信する機能を有する無線タグ2の構成を示す。無線タグ2は、無線装置1から送信された電磁波を無線タグアンテナ211を介して受信する。無線タグ無線送受信装置218は、アンテナ211で受信した電磁波から得られた高周波信号を復調してベースバンド信号を取り出す。無線タグ受信データ抽出装置212は、復調されたベースバンド信号から受信データを抽出する。この受信データは、例えば、無線装置1からの送信指示を表す数値列である。またこの数値列は、例えば、送信すべき無線タグのID番号などである。無線タグ送信判定装置213は、無線タグ受信データ抽出装置212が出力する送信指示が、自無線タグへ出された指示か否かを判定する。例えば、無線タグ受信データ抽出装置212が出力した数値列が、無線タグ記憶装置214に記憶されている自無線タグを表すID番号であるか否かを判定する。この無線タグ送信判定装置213による判定結果から、送信指示を受信したことが判明した場合は、無線タグ送信判定装置213は無線タグ送信データ生成装置215へ送信指示を出す。無線タグ送信データ生成装置215は、無線タグ記憶装置214に記憶されている情報をベースバンド信号に変換する。無線タグ無線送受信装置218は、このベースバンド信号を高周波信号に変調し、無線タグアンテナ211を介して電磁波として送信する。さらに、無線タグ2を構成する各装置に電源を供給する無線タグ電源供給装置216を有する。
【0015】
このような無線タグを用いることにより、無線タグの位置を探索する際に送信される電波電力を測定する一瞬しか無線タグから電磁波が出ないため、他の無線装置や他の無線機器との電波干渉を回避することが可能である。また、無線タグの電波送信時間が短いため、電子回路の消費電力の低減が可能である。
【0016】
無線装置1は、主に無線タグ2が送信した電磁波を受信して解析処理する処理装置10と、無線タグ2との間で電磁波を送受信するアンテナ11と、無線タグ2が送信した電磁波を受信して解析処理した結果などを表示する表示装置12から構成される。また、無線装置1は、テンキーなどの入力装置15を装備してもよい。
【0017】
図11に処理装置10の構成を示す。無線受信装置106は、アンテナ11で受信した電磁波から得られた高周波信号を復調してベースバンド信号を取り出す。復調する高周波信号は、例えば、周波数変調波や位相変調波などである。受信データ抽出装置102は、復調して得られたベースバンド信号から受信データを抽出する。この受信データは、例えば、無線タグのID番号などの無線タグの状態を表す数値列である。計算処理装置103は、無線受信装置106が出力する受信電波強度信号を取り込み、無線装置1と無線タグ2の距離dを後述する計算式に基づき計算し、計算結果を記憶する。ここで受信電波強度信号とは、例えば、RSSI(Receive Signal Strength Identifier)信号などである。また計算処理装置103は、受信データ抽出装置102が抽出した受信データと計算された距離dを関連付けて記憶してもよい。表示装置12は、計算処理装置103が計算して記憶した計算結果を表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示装置である。入力装置15は、テンキーなどのキーボードでもよいし、液晶タッチパネルでもよい。
【0018】
また、図12では、無線タグに電磁波を送信させるための指示を送信する機能を有する処理装置10の構成を示す。図12において、受信データ抽出装置102,計算処理装置103,表示装置12,記憶装置109の機能は図11の場合と同様であるが、さらに、電磁波を送信させる無線タグを指定するために、探索対象とする無線タグのID番号などを入力装置15から入力する。そして、入力装置15から入力された情報をベースバンド信号に変換する送信データ生成装置105を有し、送信データ生成装置105で生成したベースバンド信号を高周波信号に変換し、アンテナ11を介して電磁波として送信する無線送受信装置107を有する。なお、電磁波を受信する時の無線送受信装置107は、無線受信装置106を同様の動作を行う。
【0019】
ここで、計算処理装置103の構成を図13に示す。計算処理装置103は、数値演算を行う演算装置1031,計算式に基づき計算された距離d等の演算結果を記憶する記憶装置1032,受信データ抽出装置102から出力されたデータを一時的に保持する受信データ用レジスタ装置1033,無線受信装置106あるいは無線送受信装置107が出力した受信電波強度信号を一時的に保持する受信電波強度用レジスタ装置1034,計算結果を表示装置12へ出力するために計算結果を一時的に保持する表示装置インタフェース1035,入力装置15からの入力データを取り込む入力装置インタフェース1037、そしてこれら各装置間を接続するシステムバス1036から構成される。
【0020】
計算処理装置103には、アンテナ11の受信特性110と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性20と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式が記憶装置1032に記憶されている。
【0021】
なお、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性20に関しては、取り付けられる可能性のある物体毎に、予め測定あるいはシミュレーションにより数値化して記憶装置1032に記憶させておき、探索対象の無線タグ2が取り付けられている物体を入力することにより、対応する送信特性20を使用可能にできるようにしておく。
【0022】
また、アンテナ11の受信特性110と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性20は、例えば図1のように表され、アンテナ11の受信特性110では、正面からの角度θrの方向の利得がGrであることを表し、無線タグの送信特性20では、正面からの角度θtの方向の利得がGtであることを表している。
【0023】
図2の表13はアンテナ11の受信特性110、すなわちθrとGrの対応関係を数値化した例であり、記憶装置1032の内部では表13のような形式で記憶されている。同様にして、無線タグの送信特性20、すなわちθtとGtの対応関係を数値化したものも、取り付ける物体200の種類毎に作成し、記憶装置1032の中で表13のような形式で記憶されている。なお、図2ではθtとGtの対応関係を2次元的に表現しているが、3次元的に表現してもよい。
【0024】
また、記憶装置1032に記憶されている、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式としては、例えば、無線装置1の受信電磁波強度をPr、無線タグ2の送信電磁波強度をPt、伝搬距離をd、電磁波の波長をλとすると、
Pr=(Gr・Gt・Pt)/ (4πd/λ)2 …(式1)
となる。
【0025】
さて、以下の説明では、便宜的に無線装置1をアンテナ11の受信特性110で表し、その位置を受信特性110の中心点で表し、無線タグ2をその送信特性20で表し、その位置を送信特性20の中心点で表すことにする。
【0026】
図1では、無線装置1と物体200に取り付けられた無線タグ2がdの距離で、お互いに向かい合って位置している場合を示している。
【0027】
この時、無線装置1と無線タグ2の距離dは、式1を用いて、
d=(λ/4π)(Gr・Gt・Pt/Pr)1/2 …(式2)
と表される。
【0028】
無線装置1と無線タグ2が図1のような位置関係の場合には、無線タグ2が送信した電磁波を無線装置1が受信できるため、記憶している図2に示す受信特性や送信特性を用いて、θrとθtの組合せ、すなわちGrとGtの組合せから式2を用いて無線装置1と無線タグ2の距離dの値の範囲を計算可能であり、計算した値dを用いて無線タグ2の存在位置を推定することができる。
【0029】
ここで、式2に基づき無線装置1と無線タグ2の距離dの値の範囲を計算する存在位置推定処理9000の手順を図14に示す。
【0030】
ここでは説明を簡単にするため、探知機と無線タグは同一水平面内にあるとし、探知機の受信電波強度をPr、無線タグの送信電力をPt、波長をλとすると、探知機と無線タグ間の距離dで減衰する電磁波の減衰量L= (4πd/λ)2 となり、無線タグが発する電磁波の波長はほぼ一定、また無線タグの送信出力はほぼ一定であると考えると、λ,
Ptは定数と見なせることになる。しかし、1回の測定でPrのある値が求まり、探知機に対する無線タグの方向θrの値を決めても、無線タグの向きが分からないためθtはあらゆる方向を向いている可能性がある。そこで、「今回の測定で、もしθrが0°でかつ探知機に対し1°の方向を向いていたとしたら(θtが1°だったとしたら)dはいくらになるか」を求める。次に、「今回の測定で、もしθrが0°でかつ探知機に対し2°の方向を向いていたとしたら(θtが2°だったとしたら)dはいくらになるか」を求める。このようにしてθrが0°とした時のθtの振れ幅分のdを計算する。
【0031】
次にθrを1°としたときのθtの振れ幅分のdを計算する。以下、同様にして、θrの想定値を少しずつ変化させながら、θrが−180°〜180°場合のそれぞれについて、θtに関して−180°〜180°の範囲でdを計算する。こうして求めたdの値を探知機の位置を中心に推定される存在位置をプロットする。
【0032】
上述の方法は、計算する角度の分解能(1°ずつ計算するか、5°ずつ計算するか、等)により、当然ながらその結果の精度が変わり、θrやθtの変化分を何度おきに計算するかは要求精度に依存する。また、計算処理量の削減のため、3次元的空間内で計算すべき処理を2次元平面に縮退させて計算すると、やはりその結果の精度は落ちる。どの程度精度が落ちるかは、指向性パターンの形状に依存する。
【0033】
そこで、存在位置推定処理9000ではまず、θrを0°に初期化(9001)する。そしてθtを変化させて距離dをそれぞれのθtについて計算するため、θtを0°に初期化(9002)する。次に、図2に示した表13のアンテナ11の受信特性110、すなわちθrとGrの対応関係と、図示されていない無線タグの送信特性20、すなわち
θtとGtの対応関係から、Gr(θr),Gt(θt)を求め、無線装置1で受信した無線タグ2の受信電磁波強度Prと、予め設定されていた無線タグ2の送信電磁波強度
Pt及び、電磁波の波長をλの値から、前述の式2を用いて距離d(θr,θt)を計算する(9003)。この計算結果である距離dをθr,θtの値と対応付けて記憶装置
1032に格納する(9004)。そしてθtについて360°分計算したかどうかをチェックし(6005)、まだであればθtの値を変化分(図に示した例では1°)増やして(9006)、距離dの計算に戻る。一方、θtについて360°分計算し終えた場合は、θrについて360°分計算したかどうかをチェックし(6007)、まだであれば
θrの値を変化分(図に示した例では1°)増やして(9008)、θtの初期化処理に戻る。また、θrについて360°分計算し終えた場合は、θr,θtの値と対応付けられた距離dの値、即ち無線タグが存在する可能性のある場所をd=0を原点としてθrについて平面上にプロットすることにより、無線タグの推定存在位置の領域を求める(9009)。
【0034】
上記の方法により推定した無線タグ2の存在位置は無線装置1の表示装置12に表示される。図3にその表示例121を示す。図3では、現在位置を示す点1211つまりd=0の地点を基準に、無線タグ2の推定存在位置1212とその無線タグ2のID番号を関連付けて表示している。さらに、無線タグ2の推定存在位置1212と現在位置1211との間の推定距離1213を関連付けて表示している。距離dは、各θrに対しθtが変化した場合の最大値と最小値の間で幅を持った値となるため、推定距離1213は、例えば上記で求めた推定存在位置1212における距離dの平均値あるいは最大値とすればよい。
【0035】
さらに、無線装置1が複数の無線タグ2から電磁波を受信した場合は、各無線タグ2について距離dを計算し、図4に示すように、各推定存在位置とID番号を関連付けて表示してもよい。図4の表示122では、現在位置を示す点1221を基準に、無線タグ2の推定存在位置1222とその無線タグ2のID番号を関連付けて表示している。このとき、図3と同様に、現在位置を各無線タグ2の推定存在位置との間の距離を関連付けて表示してもよいし、表示画面に基準となる距離を表す図形1223を描き、この図形内に現在位置1221と各無線タグ2の推定存在位置1222の相互の位置関係を表示してもよい。
【0036】
また、現在位置と無線タグ2の間の距離が大きく、無線タグ2からの電磁波は受信できるが、受信強度が弱過ぎてID番号が認識できない場合もある。このような場合は図5に示すように、無線タグ2の推定存在位置1232を表示し、ID番号が認識できなかった旨の表示を行う。さらに、ID番号が認識可能な位置までの推定移動距離d′を計算し、図6に示すように、無線装置1の使用者に対して推定移動距離d′以上の距離を移動して再度探索することをアドバイスする内容を表示1234する。
【0037】
推定移動距離d′の求め方を以下に示す。
【0038】
無線装置1が無線タグのID番号を認識可能な最小の電磁波受信強度をPrmin として、そのときの推定距離をdmax とすると、式2を用いて、
dmax =(λ/4π)(Gr・Gt・Pt/Prmin)1/2 …(式3)
と表される。Prmin の値は予め測定しておくことが出来るため、考えられうるθrと
θtの組合せ、すなわち考えられうるGrとGtの組合せから式3を用いてdmax を計算可能である。この時、存在位置推定処理9000のフローにおける距離dを計算する処理
9003において、測定した電磁波受信強度Prの代わりに予め求めておいたPrmin の値を用いて距離dmax を計算すればよい。そして実際に測定した電磁波受信強度Prから求めた距離dとPrmin の値を用いた距離dmaxから、
d′=d−dmax …(式4)
を計算する。なお、d′はある程度幅を持った値となるため、表示する際は例えば平均値あるいは最大値とする。
【0039】
なお、無線装置1において無線タグ2からの電磁波が受信できないか、あるいは電磁波が微弱なため認識できない場合は、存在位置推定処理9000を実行することが出来ないため、無線タグ2を検出できなかった旨を表示する。
【0040】
以上により、無線タグの位置を推定してその推定存在位置を表示し、また、無線タグの位置が確認できない場合でも、無線タグのID番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置の候補の表示を行うことにより、無線タグの位置の探索を支援することが可能となる。
【0041】
また、受信電波電力を測定する一瞬しか無線タグから電磁波が出ないため、他の無線装置や他の無線機器との電波干渉を回避することが可能である。
【0042】
また、無線装置の電波受信時間が短いため、電子回路の消費電力の低減が可能である。
【0043】
ところで、上述の実施例1は、特定の識別番号の無線タグ2の探索にも利用できる。すなわち、探索する前に、探索したい無線タグ2の識別番号を、無線装置1の入力装置15から入力し、無線装置1は、前記識別番号を持たない無線タグ2は無視し、前記識別番号を持つ無線タグ2に関してのみ、実施例1に示した探索を行えばよい。
【実施例2】
【0044】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0045】
上述の第1の実施形態では、図3や図4の例のように、無線タグ2の推定存在位置が1点ではなく、ある面積を持つ領域として表示される場合がある。このとき、無線タグ2の存在密度が小さければ、所望の無線タグ2の特定が可能であるが、無線タグ2の存在密度が大きい場合、表示された領域の内部に複数の無線タグ2が存在し、所望の無線タグ2の特定が困難な場合がある。
【0046】
そこで、図7に示すように、アンテナ11の向きあるいは無線装置1自体の向きを回転させて再度探索し、複数の探索結果を合成して、領域の重複した部分を無線タグ2の推定存在位置として表示する。アンテナ11の向きを回転させる方向としては、例えば、推定存在位置の左端あるいは右端の方向を選ぶ方法がある。すなわち、図10に示すように、推定存在位置の左端と現在のアンテナ11の向きのなす角度をθ1、推定存在位置の右端と現在のアンテナ11の向きのなす角度をθ2として、第2回目の探索ではアンテナ11の向きを左へ角度θ1回転させ、さらに探索をする場合は右へ角度(θ1+θ2)回転させる。
【0047】
まず、第1回目の探索後、図7に示すように推定存在位置1252を表示し、使用者に対して推定存在位置の絞込みを行うか否かを問う(1254)。使用者が絞込みを希望した場合は、アンテナ11を回転する方向と角度を指示する(1255)。図7では、回転方向を左、角度をθ1として指示している。
【0048】
利用者が指示された方向へアンテナを回転後に第2回目の探索を行うと、図8に示すように、新たに得た推定存在位置1256と前回得た推定存在位置1252の重複領域1257を表示し、使用者に対して推定存在位置の絞込みを行うか否かを利用者に問う(1254)。使用者が絞込みを希望した場合は、アンテナ11を回転する方向と角度を再度指示する(1255)。図8では、絞り込まれた推定存在位置の左端が第1回目の探索における推定存在位置1252と同じであるため、回転方向を右、回転角度を(θ1+θ2)として指示している。
【0049】
この新たな指示に従い、利用者がアンテナを回転後に第3回目の探索を行い、図9に示すように、新たに得た推定存在位置1258と第1回目および第2回目に得た推定存在位置1252および1256の重複領域1259を表示し、使用者に対して推定存在位置の絞込みを行うか否かを問う(1254)。
【0050】
これ以後、使用者による絞込みが終了するまで探索を繰り返す。更なる絞込みを行うか否かは、使用者が判断すればよく、使用者が要求する推定精度に応じて探索回数を増加していけばよい。なお、アンテナ11を回転する方向と角度は、例えば、第3回目までの探索で絞り込んだ推定存在位置の左端あるいは右端の方向選ぶ方法がある。また、角度1°ずつ探索してもよい。また、アンテナ11を回転する方向や角度を使用者自身が入力することにより指定してもよい。
【0051】
絞り込み処理のフローを、図17を用いて説明する。まず最初の測定を行い、測定対象とする無線タグからの電磁波が受信できなければ(901)、無線タグが検出できなかった旨を表示し(904)、処理が終了する。最初の測定で無線タグからの電磁波が受信された場合、その測定結果から存在位置推定処理9000と同様の処理を行い推定存在位置を求め、この推定存在位置を重複領域の初期値とする(902)。ユーザーが更に推定存在位置の絞り込みを希望するか確認し(903)、希望しなければ処理が終了する。
【0052】
存在推定位置の絞り込みを希望する場合には、重複領域の左端にアンテナ11を向けた測定を促して測定を行い新たに推定存在位置を求める(905)。重複領域と新たな測定により求めた推定存在位置が重複するか調べ(906)、重複領域と推定存在位置とで重複したエリアが存在すれば、この重複するエリアを新たな重複領域とする(907)。そして、ユーザーが更に推定存在位置の絞り込みを希望するか再び確認する(903)。
【0053】
一方、重複領域と推定存在位置とで重複した新たな重複領域が存在しないときは、更なる測定を行うため重複領域の右端にアンテナを向けた測定を促して測定を行い推定存在位置を求める(908)。ここで重複領域と今回の測定により求めた推定存在位置が重複するか調べ(909)、重複領域と推定存在位置とで重複するエリアが存在しないときは、これ以上絞り込みが出来ないことを表示(910)して処理が終了する。また、重複領域と推定存在位置とで重複したエリアが存在すれば、この重複するエリアを新たな重複領域とする(907)処理へ移る。
【0054】
このように、新たな重複領域が存在すればその左端を狙い、重複領域が無ければ重複領域の右端にアンテナを向けて測定を試みる、という処理を繰り返すことにより推定存在位置が絞り込まれてゆく。なお、アンテナ11を左に振っても右に振っても新たな重複領域が求まらない場合は、その時点で測定は終了する。
【0055】
以上のように、複数の探索結果を合成することにより、無線タグの推定存在位置の絞込みが可能となる。また、上記の処理手順では、処理905で重複領域の左端にアンテナを向けるように指示していたが、重複領域と前回の測定方向との間を2等分する方向を新たなアンテナの方向として指示するようにしても良い。あるいは、前回の測定方向からアンテナ11の受信特性がピークの半分になる半値角の半分の各区度だけ左に向けた方向を新たなアンテナの向きとして指示するようにしても良い。なお、右にアンテナを向ける場合も同様である。更には、上記処理手順では左端の探索を優先していたが、逆に右端の探索を優先させても良い。
【0056】
ところで、上述の実施例2は、特定の識別番号の無線タグ2の探索にも利用できる。すなわち、探索する前に、探索したい無線タグ2の識別番号を、無線装置1の入力装置15から入力し、無線装置1は、前記識別番号を持たない無線タグ2は無視し、前記識別番号を持つ無線タグ2に関してのみ、実施例2に示した探索を行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
在庫品管理や生産管理,物流管理などに適用される無線識別システムにおいて本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る無線タグによる探索システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る送受信特性を示す表である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る推定存在位置を絞り込む際のアンテナの向きを示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施形態に係る無線装置の他の構成を示すブロック図である
【図13】本発明の実施形態に係る計算処理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施形態に係る計算手順を示すフローである。
【図15】本発明の実施形態に係る無線タグの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態に係る無線タグの他の構成を示すブロック図である。
【図17】重複領域のs絞り込み処理を示すフローである。
【符号の説明】
【0059】
1…無線装置、2…無線タグ、10…処理装置、11…アンテナ、12…表示装置、
13…アンテナ11の受信特性110を数値化した表、15…入力装置、20…無線タグ2の送信特性、102…受信データ抽出装置、103…計算処理装置、105…送信データ生成装置、106…無線受信装置、107…無線送受信装置、110…無線装置1のアンテナ11の受信特性、200…探索対象の物体、211…無線タグのアンテナ、212…無線タグ受信データ抽出装置、213…無線タグ送信判定装置、214…無線タグ記憶装置、215…無線タグ送信データ生成装置、216…無線タグ電源供給装置、217…無線タグ無線送信装置、218…無線タグ無線送受信装置、1031…演算装置、1032…記憶装置、1033…受信データ用レジスタ装置、1034…受信電波強度用レジスタ装置、1035…表示装置インタフェース、1036…システムバス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末と無線タグの間で電磁波を送受信することにより、無線タグの位置を探索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫で所望の在庫品を探す場合など、多数の物体の中から特定の物体の位置を探索するために、無線タグを物体に取り付け、探索者が持つ無線端末と無線タグとの間で電磁波を送受信することにより無線タグが取り付けられた物体の位置を探索する場合がある。このような無線タグの探索を行うシステムとしては、例えば、特開平2004−354351号公報に記載の電波発信器探索装置が知られている。この電波発信器探索装置は、RFIDタグを探索するときに、RFIDタグの位置を知るための手掛かりとなる情報をユーザーに対して提示するものであり、電波発信器探索装置が、受信アンテナの方向を変えながら
RFIDタグの発信する電磁波の電波強度を検出し、電波強度の差分値を計算し、電波強度の極大値を検知すると、検知したことを表示するものであった。
【0003】
【特許文献1】特開平2004−354351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特開平2004−354351号公報に記載されている電波発信器探索装置では、ユーザーが電波発信器探索装置の方向を変化させることによりRFIDタグから受信する電波強度が変化し、RFIDタグの探索に必要な電波強度の差分情報や前記差分情報の変化情報を得る。すなわち、電波発信器探索装置を受信状態(測定状態)にしたままアンテナを移動させ(スキャン)、移動によって時々刻々変化する受信電波強度の時間差分を測定し、受信電波強度が極大値になった方向を検出して表示する。しかし、受信電波強度が極大値になった方向を検出するためには、アンテナの方向を変化させながらスキャンしている間、RFIDタグから電磁波が連続放出される状態になるため、他の電波発信器探索装置や無線機器と電波干渉する可能性がある。また、スキャンしている間、電波発信器探索装置は電磁波を連続して受信している状態になるため、消費電力が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、電波干渉が少なく、消費電力を小さくできる無線タグ探索方法および装置により無線タグの位置の探索を支援することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、本発明の無線タグ探索装置は、探索装置からの電磁波に対して自分のID番号を電磁波に変換して送信する無線タグが送信した電磁波をアンテナで受信して、受信した電磁波から無線タグのID番号を識別し、無線タグの位置の推定処理を行う無線装置とからなる。無線装置は、無線タグが送信した電磁波を受信して識別した結果などを表示する表示装置を備え、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式から無線タグの位置を推定する位置推定処理部を備えている。
【0007】
無線タグが送信した電磁波を受信した無線装置は、電磁波の受信強度と、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式に基づいて、位置推定処理部により無線装置から無線タグまでの距離や方向を推定し、その推定位置を無線タグのID番号と関連付けて表示装置に表示する。そして、無線タグからの電磁波の受信強度が小さく、無線タグのID番号が識別できない場合は、位置推定処理部で推定した無線タグの推定位置のみを表示し、無線タグのID番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置の候補を表示する。
【0008】
また、受信電波強度の測定時には無線装置は方向を変化させず静止状態であり、その状態で電磁波を受信し、電波受信強度データが1個得られ、前記電波受信強度データと受信電波強度とアンテナ指向性を使用して、無線タグの存在する可能性のある範囲を計算し表示する。また、前記無線タグの存在する可能性のある範囲の絞込みを行うため、無線装置の向きを指示し、別の方向においても電波受信強度データを取り、無線タグの存在する可能性のある範囲を計算し、前に計算した範囲との重複範囲を計算し表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性に基づき、無線タグが送信した電磁波を無線装置が受信した際の受信強度から無線タグの位置を推定して推定位置を表示することにより、無線タグの位置の探索を支援することが可能である。
【0010】
そして、無線タグの位置が特定できない場合でも、無線タグのID番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置などの候補の表示を行うことにより、無線タグの位置の探索を支援することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、第1の実施形態について説明する。図1に、第1実施形態に係る無線タグによる探索システムの構成を示す。図1において、物体200には無線タグ2が取り付けられている。各無線タグ2は個々を識別可能なID番号が記憶されており、自無線タグのID番号を電磁波に変換し、自発的あるいは無線装置1からの指示により電磁波を送信する。また、無線装置1は、無線タグ2が送信した電磁波をアンテナで受信して、無線タグの識別手段であるID番号を受信した電磁波から識別して、無線タグの位置の推定処理を行う。
【0013】
図15に無線タグ2の構成を示す。無線タグ2は、ID番号などの情報を記憶しておく無線タグ記憶装置214と、無線タグ記憶装置214に記憶されている情報をベースバンド信号に変換する無線タグ送信データ生成装置215と、無線タグ送信データ生成装置
215で生成したベースバンド信号を高周波信号に変換し、無線タグアンテナ211を介して電磁波として送信する無線タグ無線送信装置217から構成される。送信される高周波信号は、例えば、周波数変調波や位相変調波などである。さらに、無線タグ2を構成する各装置に電源を供給する無線タグ電源供給装置216を有する。無線タグ電源供給装置216は、例えば、蓄電池や太陽電池などを用いる。
【0014】
また、図16には、無線装置1から送信指示を受信した時に電磁波を送信する機能を有する無線タグ2の構成を示す。無線タグ2は、無線装置1から送信された電磁波を無線タグアンテナ211を介して受信する。無線タグ無線送受信装置218は、アンテナ211で受信した電磁波から得られた高周波信号を復調してベースバンド信号を取り出す。無線タグ受信データ抽出装置212は、復調されたベースバンド信号から受信データを抽出する。この受信データは、例えば、無線装置1からの送信指示を表す数値列である。またこの数値列は、例えば、送信すべき無線タグのID番号などである。無線タグ送信判定装置213は、無線タグ受信データ抽出装置212が出力する送信指示が、自無線タグへ出された指示か否かを判定する。例えば、無線タグ受信データ抽出装置212が出力した数値列が、無線タグ記憶装置214に記憶されている自無線タグを表すID番号であるか否かを判定する。この無線タグ送信判定装置213による判定結果から、送信指示を受信したことが判明した場合は、無線タグ送信判定装置213は無線タグ送信データ生成装置215へ送信指示を出す。無線タグ送信データ生成装置215は、無線タグ記憶装置214に記憶されている情報をベースバンド信号に変換する。無線タグ無線送受信装置218は、このベースバンド信号を高周波信号に変調し、無線タグアンテナ211を介して電磁波として送信する。さらに、無線タグ2を構成する各装置に電源を供給する無線タグ電源供給装置216を有する。
【0015】
このような無線タグを用いることにより、無線タグの位置を探索する際に送信される電波電力を測定する一瞬しか無線タグから電磁波が出ないため、他の無線装置や他の無線機器との電波干渉を回避することが可能である。また、無線タグの電波送信時間が短いため、電子回路の消費電力の低減が可能である。
【0016】
無線装置1は、主に無線タグ2が送信した電磁波を受信して解析処理する処理装置10と、無線タグ2との間で電磁波を送受信するアンテナ11と、無線タグ2が送信した電磁波を受信して解析処理した結果などを表示する表示装置12から構成される。また、無線装置1は、テンキーなどの入力装置15を装備してもよい。
【0017】
図11に処理装置10の構成を示す。無線受信装置106は、アンテナ11で受信した電磁波から得られた高周波信号を復調してベースバンド信号を取り出す。復調する高周波信号は、例えば、周波数変調波や位相変調波などである。受信データ抽出装置102は、復調して得られたベースバンド信号から受信データを抽出する。この受信データは、例えば、無線タグのID番号などの無線タグの状態を表す数値列である。計算処理装置103は、無線受信装置106が出力する受信電波強度信号を取り込み、無線装置1と無線タグ2の距離dを後述する計算式に基づき計算し、計算結果を記憶する。ここで受信電波強度信号とは、例えば、RSSI(Receive Signal Strength Identifier)信号などである。また計算処理装置103は、受信データ抽出装置102が抽出した受信データと計算された距離dを関連付けて記憶してもよい。表示装置12は、計算処理装置103が計算して記憶した計算結果を表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示装置である。入力装置15は、テンキーなどのキーボードでもよいし、液晶タッチパネルでもよい。
【0018】
また、図12では、無線タグに電磁波を送信させるための指示を送信する機能を有する処理装置10の構成を示す。図12において、受信データ抽出装置102,計算処理装置103,表示装置12,記憶装置109の機能は図11の場合と同様であるが、さらに、電磁波を送信させる無線タグを指定するために、探索対象とする無線タグのID番号などを入力装置15から入力する。そして、入力装置15から入力された情報をベースバンド信号に変換する送信データ生成装置105を有し、送信データ生成装置105で生成したベースバンド信号を高周波信号に変換し、アンテナ11を介して電磁波として送信する無線送受信装置107を有する。なお、電磁波を受信する時の無線送受信装置107は、無線受信装置106を同様の動作を行う。
【0019】
ここで、計算処理装置103の構成を図13に示す。計算処理装置103は、数値演算を行う演算装置1031,計算式に基づき計算された距離d等の演算結果を記憶する記憶装置1032,受信データ抽出装置102から出力されたデータを一時的に保持する受信データ用レジスタ装置1033,無線受信装置106あるいは無線送受信装置107が出力した受信電波強度信号を一時的に保持する受信電波強度用レジスタ装置1034,計算結果を表示装置12へ出力するために計算結果を一時的に保持する表示装置インタフェース1035,入力装置15からの入力データを取り込む入力装置インタフェース1037、そしてこれら各装置間を接続するシステムバス1036から構成される。
【0020】
計算処理装置103には、アンテナ11の受信特性110と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性20と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式が記憶装置1032に記憶されている。
【0021】
なお、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性20に関しては、取り付けられる可能性のある物体毎に、予め測定あるいはシミュレーションにより数値化して記憶装置1032に記憶させておき、探索対象の無線タグ2が取り付けられている物体を入力することにより、対応する送信特性20を使用可能にできるようにしておく。
【0022】
また、アンテナ11の受信特性110と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性20は、例えば図1のように表され、アンテナ11の受信特性110では、正面からの角度θrの方向の利得がGrであることを表し、無線タグの送信特性20では、正面からの角度θtの方向の利得がGtであることを表している。
【0023】
図2の表13はアンテナ11の受信特性110、すなわちθrとGrの対応関係を数値化した例であり、記憶装置1032の内部では表13のような形式で記憶されている。同様にして、無線タグの送信特性20、すなわちθtとGtの対応関係を数値化したものも、取り付ける物体200の種類毎に作成し、記憶装置1032の中で表13のような形式で記憶されている。なお、図2ではθtとGtの対応関係を2次元的に表現しているが、3次元的に表現してもよい。
【0024】
また、記憶装置1032に記憶されている、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係を表す計算式としては、例えば、無線装置1の受信電磁波強度をPr、無線タグ2の送信電磁波強度をPt、伝搬距離をd、電磁波の波長をλとすると、
Pr=(Gr・Gt・Pt)/ (4πd/λ)2 …(式1)
となる。
【0025】
さて、以下の説明では、便宜的に無線装置1をアンテナ11の受信特性110で表し、その位置を受信特性110の中心点で表し、無線タグ2をその送信特性20で表し、その位置を送信特性20の中心点で表すことにする。
【0026】
図1では、無線装置1と物体200に取り付けられた無線タグ2がdの距離で、お互いに向かい合って位置している場合を示している。
【0027】
この時、無線装置1と無線タグ2の距離dは、式1を用いて、
d=(λ/4π)(Gr・Gt・Pt/Pr)1/2 …(式2)
と表される。
【0028】
無線装置1と無線タグ2が図1のような位置関係の場合には、無線タグ2が送信した電磁波を無線装置1が受信できるため、記憶している図2に示す受信特性や送信特性を用いて、θrとθtの組合せ、すなわちGrとGtの組合せから式2を用いて無線装置1と無線タグ2の距離dの値の範囲を計算可能であり、計算した値dを用いて無線タグ2の存在位置を推定することができる。
【0029】
ここで、式2に基づき無線装置1と無線タグ2の距離dの値の範囲を計算する存在位置推定処理9000の手順を図14に示す。
【0030】
ここでは説明を簡単にするため、探知機と無線タグは同一水平面内にあるとし、探知機の受信電波強度をPr、無線タグの送信電力をPt、波長をλとすると、探知機と無線タグ間の距離dで減衰する電磁波の減衰量L= (4πd/λ)2 となり、無線タグが発する電磁波の波長はほぼ一定、また無線タグの送信出力はほぼ一定であると考えると、λ,
Ptは定数と見なせることになる。しかし、1回の測定でPrのある値が求まり、探知機に対する無線タグの方向θrの値を決めても、無線タグの向きが分からないためθtはあらゆる方向を向いている可能性がある。そこで、「今回の測定で、もしθrが0°でかつ探知機に対し1°の方向を向いていたとしたら(θtが1°だったとしたら)dはいくらになるか」を求める。次に、「今回の測定で、もしθrが0°でかつ探知機に対し2°の方向を向いていたとしたら(θtが2°だったとしたら)dはいくらになるか」を求める。このようにしてθrが0°とした時のθtの振れ幅分のdを計算する。
【0031】
次にθrを1°としたときのθtの振れ幅分のdを計算する。以下、同様にして、θrの想定値を少しずつ変化させながら、θrが−180°〜180°場合のそれぞれについて、θtに関して−180°〜180°の範囲でdを計算する。こうして求めたdの値を探知機の位置を中心に推定される存在位置をプロットする。
【0032】
上述の方法は、計算する角度の分解能(1°ずつ計算するか、5°ずつ計算するか、等)により、当然ながらその結果の精度が変わり、θrやθtの変化分を何度おきに計算するかは要求精度に依存する。また、計算処理量の削減のため、3次元的空間内で計算すべき処理を2次元平面に縮退させて計算すると、やはりその結果の精度は落ちる。どの程度精度が落ちるかは、指向性パターンの形状に依存する。
【0033】
そこで、存在位置推定処理9000ではまず、θrを0°に初期化(9001)する。そしてθtを変化させて距離dをそれぞれのθtについて計算するため、θtを0°に初期化(9002)する。次に、図2に示した表13のアンテナ11の受信特性110、すなわちθrとGrの対応関係と、図示されていない無線タグの送信特性20、すなわち
θtとGtの対応関係から、Gr(θr),Gt(θt)を求め、無線装置1で受信した無線タグ2の受信電磁波強度Prと、予め設定されていた無線タグ2の送信電磁波強度
Pt及び、電磁波の波長をλの値から、前述の式2を用いて距離d(θr,θt)を計算する(9003)。この計算結果である距離dをθr,θtの値と対応付けて記憶装置
1032に格納する(9004)。そしてθtについて360°分計算したかどうかをチェックし(6005)、まだであればθtの値を変化分(図に示した例では1°)増やして(9006)、距離dの計算に戻る。一方、θtについて360°分計算し終えた場合は、θrについて360°分計算したかどうかをチェックし(6007)、まだであれば
θrの値を変化分(図に示した例では1°)増やして(9008)、θtの初期化処理に戻る。また、θrについて360°分計算し終えた場合は、θr,θtの値と対応付けられた距離dの値、即ち無線タグが存在する可能性のある場所をd=0を原点としてθrについて平面上にプロットすることにより、無線タグの推定存在位置の領域を求める(9009)。
【0034】
上記の方法により推定した無線タグ2の存在位置は無線装置1の表示装置12に表示される。図3にその表示例121を示す。図3では、現在位置を示す点1211つまりd=0の地点を基準に、無線タグ2の推定存在位置1212とその無線タグ2のID番号を関連付けて表示している。さらに、無線タグ2の推定存在位置1212と現在位置1211との間の推定距離1213を関連付けて表示している。距離dは、各θrに対しθtが変化した場合の最大値と最小値の間で幅を持った値となるため、推定距離1213は、例えば上記で求めた推定存在位置1212における距離dの平均値あるいは最大値とすればよい。
【0035】
さらに、無線装置1が複数の無線タグ2から電磁波を受信した場合は、各無線タグ2について距離dを計算し、図4に示すように、各推定存在位置とID番号を関連付けて表示してもよい。図4の表示122では、現在位置を示す点1221を基準に、無線タグ2の推定存在位置1222とその無線タグ2のID番号を関連付けて表示している。このとき、図3と同様に、現在位置を各無線タグ2の推定存在位置との間の距離を関連付けて表示してもよいし、表示画面に基準となる距離を表す図形1223を描き、この図形内に現在位置1221と各無線タグ2の推定存在位置1222の相互の位置関係を表示してもよい。
【0036】
また、現在位置と無線タグ2の間の距離が大きく、無線タグ2からの電磁波は受信できるが、受信強度が弱過ぎてID番号が認識できない場合もある。このような場合は図5に示すように、無線タグ2の推定存在位置1232を表示し、ID番号が認識できなかった旨の表示を行う。さらに、ID番号が認識可能な位置までの推定移動距離d′を計算し、図6に示すように、無線装置1の使用者に対して推定移動距離d′以上の距離を移動して再度探索することをアドバイスする内容を表示1234する。
【0037】
推定移動距離d′の求め方を以下に示す。
【0038】
無線装置1が無線タグのID番号を認識可能な最小の電磁波受信強度をPrmin として、そのときの推定距離をdmax とすると、式2を用いて、
dmax =(λ/4π)(Gr・Gt・Pt/Prmin)1/2 …(式3)
と表される。Prmin の値は予め測定しておくことが出来るため、考えられうるθrと
θtの組合せ、すなわち考えられうるGrとGtの組合せから式3を用いてdmax を計算可能である。この時、存在位置推定処理9000のフローにおける距離dを計算する処理
9003において、測定した電磁波受信強度Prの代わりに予め求めておいたPrmin の値を用いて距離dmax を計算すればよい。そして実際に測定した電磁波受信強度Prから求めた距離dとPrmin の値を用いた距離dmaxから、
d′=d−dmax …(式4)
を計算する。なお、d′はある程度幅を持った値となるため、表示する際は例えば平均値あるいは最大値とする。
【0039】
なお、無線装置1において無線タグ2からの電磁波が受信できないか、あるいは電磁波が微弱なため認識できない場合は、存在位置推定処理9000を実行することが出来ないため、無線タグ2を検出できなかった旨を表示する。
【0040】
以上により、無線タグの位置を推定してその推定存在位置を表示し、また、無線タグの位置が確認できない場合でも、無線タグのID番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置の候補の表示を行うことにより、無線タグの位置の探索を支援することが可能となる。
【0041】
また、受信電波電力を測定する一瞬しか無線タグから電磁波が出ないため、他の無線装置や他の無線機器との電波干渉を回避することが可能である。
【0042】
また、無線装置の電波受信時間が短いため、電子回路の消費電力の低減が可能である。
【0043】
ところで、上述の実施例1は、特定の識別番号の無線タグ2の探索にも利用できる。すなわち、探索する前に、探索したい無線タグ2の識別番号を、無線装置1の入力装置15から入力し、無線装置1は、前記識別番号を持たない無線タグ2は無視し、前記識別番号を持つ無線タグ2に関してのみ、実施例1に示した探索を行えばよい。
【実施例2】
【0044】
次に、第2の実施形態について説明する。
【0045】
上述の第1の実施形態では、図3や図4の例のように、無線タグ2の推定存在位置が1点ではなく、ある面積を持つ領域として表示される場合がある。このとき、無線タグ2の存在密度が小さければ、所望の無線タグ2の特定が可能であるが、無線タグ2の存在密度が大きい場合、表示された領域の内部に複数の無線タグ2が存在し、所望の無線タグ2の特定が困難な場合がある。
【0046】
そこで、図7に示すように、アンテナ11の向きあるいは無線装置1自体の向きを回転させて再度探索し、複数の探索結果を合成して、領域の重複した部分を無線タグ2の推定存在位置として表示する。アンテナ11の向きを回転させる方向としては、例えば、推定存在位置の左端あるいは右端の方向を選ぶ方法がある。すなわち、図10に示すように、推定存在位置の左端と現在のアンテナ11の向きのなす角度をθ1、推定存在位置の右端と現在のアンテナ11の向きのなす角度をθ2として、第2回目の探索ではアンテナ11の向きを左へ角度θ1回転させ、さらに探索をする場合は右へ角度(θ1+θ2)回転させる。
【0047】
まず、第1回目の探索後、図7に示すように推定存在位置1252を表示し、使用者に対して推定存在位置の絞込みを行うか否かを問う(1254)。使用者が絞込みを希望した場合は、アンテナ11を回転する方向と角度を指示する(1255)。図7では、回転方向を左、角度をθ1として指示している。
【0048】
利用者が指示された方向へアンテナを回転後に第2回目の探索を行うと、図8に示すように、新たに得た推定存在位置1256と前回得た推定存在位置1252の重複領域1257を表示し、使用者に対して推定存在位置の絞込みを行うか否かを利用者に問う(1254)。使用者が絞込みを希望した場合は、アンテナ11を回転する方向と角度を再度指示する(1255)。図8では、絞り込まれた推定存在位置の左端が第1回目の探索における推定存在位置1252と同じであるため、回転方向を右、回転角度を(θ1+θ2)として指示している。
【0049】
この新たな指示に従い、利用者がアンテナを回転後に第3回目の探索を行い、図9に示すように、新たに得た推定存在位置1258と第1回目および第2回目に得た推定存在位置1252および1256の重複領域1259を表示し、使用者に対して推定存在位置の絞込みを行うか否かを問う(1254)。
【0050】
これ以後、使用者による絞込みが終了するまで探索を繰り返す。更なる絞込みを行うか否かは、使用者が判断すればよく、使用者が要求する推定精度に応じて探索回数を増加していけばよい。なお、アンテナ11を回転する方向と角度は、例えば、第3回目までの探索で絞り込んだ推定存在位置の左端あるいは右端の方向選ぶ方法がある。また、角度1°ずつ探索してもよい。また、アンテナ11を回転する方向や角度を使用者自身が入力することにより指定してもよい。
【0051】
絞り込み処理のフローを、図17を用いて説明する。まず最初の測定を行い、測定対象とする無線タグからの電磁波が受信できなければ(901)、無線タグが検出できなかった旨を表示し(904)、処理が終了する。最初の測定で無線タグからの電磁波が受信された場合、その測定結果から存在位置推定処理9000と同様の処理を行い推定存在位置を求め、この推定存在位置を重複領域の初期値とする(902)。ユーザーが更に推定存在位置の絞り込みを希望するか確認し(903)、希望しなければ処理が終了する。
【0052】
存在推定位置の絞り込みを希望する場合には、重複領域の左端にアンテナ11を向けた測定を促して測定を行い新たに推定存在位置を求める(905)。重複領域と新たな測定により求めた推定存在位置が重複するか調べ(906)、重複領域と推定存在位置とで重複したエリアが存在すれば、この重複するエリアを新たな重複領域とする(907)。そして、ユーザーが更に推定存在位置の絞り込みを希望するか再び確認する(903)。
【0053】
一方、重複領域と推定存在位置とで重複した新たな重複領域が存在しないときは、更なる測定を行うため重複領域の右端にアンテナを向けた測定を促して測定を行い推定存在位置を求める(908)。ここで重複領域と今回の測定により求めた推定存在位置が重複するか調べ(909)、重複領域と推定存在位置とで重複するエリアが存在しないときは、これ以上絞り込みが出来ないことを表示(910)して処理が終了する。また、重複領域と推定存在位置とで重複したエリアが存在すれば、この重複するエリアを新たな重複領域とする(907)処理へ移る。
【0054】
このように、新たな重複領域が存在すればその左端を狙い、重複領域が無ければ重複領域の右端にアンテナを向けて測定を試みる、という処理を繰り返すことにより推定存在位置が絞り込まれてゆく。なお、アンテナ11を左に振っても右に振っても新たな重複領域が求まらない場合は、その時点で測定は終了する。
【0055】
以上のように、複数の探索結果を合成することにより、無線タグの推定存在位置の絞込みが可能となる。また、上記の処理手順では、処理905で重複領域の左端にアンテナを向けるように指示していたが、重複領域と前回の測定方向との間を2等分する方向を新たなアンテナの方向として指示するようにしても良い。あるいは、前回の測定方向からアンテナ11の受信特性がピークの半分になる半値角の半分の各区度だけ左に向けた方向を新たなアンテナの向きとして指示するようにしても良い。なお、右にアンテナを向ける場合も同様である。更には、上記処理手順では左端の探索を優先していたが、逆に右端の探索を優先させても良い。
【0056】
ところで、上述の実施例2は、特定の識別番号の無線タグ2の探索にも利用できる。すなわち、探索する前に、探索したい無線タグ2の識別番号を、無線装置1の入力装置15から入力し、無線装置1は、前記識別番号を持たない無線タグ2は無視し、前記識別番号を持つ無線タグ2に関してのみ、実施例2に示した探索を行えばよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
在庫品管理や生産管理,物流管理などに適用される無線識別システムにおいて本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る無線タグによる探索システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る送受信特性を示す表である。
【図3】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る表示装置の表示例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る推定存在位置を絞り込む際のアンテナの向きを示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る無線装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施形態に係る無線装置の他の構成を示すブロック図である
【図13】本発明の実施形態に係る計算処理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施形態に係る計算手順を示すフローである。
【図15】本発明の実施形態に係る無線タグの構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施形態に係る無線タグの他の構成を示すブロック図である。
【図17】重複領域のs絞り込み処理を示すフローである。
【符号の説明】
【0059】
1…無線装置、2…無線タグ、10…処理装置、11…アンテナ、12…表示装置、
13…アンテナ11の受信特性110を数値化した表、15…入力装置、20…無線タグ2の送信特性、102…受信データ抽出装置、103…計算処理装置、105…送信データ生成装置、106…無線受信装置、107…無線送受信装置、110…無線装置1のアンテナ11の受信特性、200…探索対象の物体、211…無線タグのアンテナ、212…無線タグ受信データ抽出装置、213…無線タグ送信判定装置、214…無線タグ記憶装置、215…無線タグ送信データ生成装置、216…無線タグ電源供給装置、217…無線タグ無線送信装置、218…無線タグ無線送受信装置、1031…演算装置、1032…記憶装置、1033…受信データ用レジスタ装置、1034…受信電波強度用レジスタ装置、1035…表示装置インタフェース、1036…システムバス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別番号を電磁波に変換して送信する無線タグが送信した電磁波を受信するアンテナに接続された通信手段と、該通信手段で受信した無線タグからの電磁波から前記識別番号を識別する受信データ抽出手段を備えた無線タグ探索装置において、
前記アンテナの受信特性と、無線タグの送信特性を記憶した記憶装置と、
前記通信手段は受信した電磁波の受信強度を求め、受信データ抽出手段が抽出した識別番号毎に、前記受信強度と前記アンテナの受信特性と無線タグの送信特性に基づいて当該無線タグの距離と方向を推定し、推定した位置を無線タグの識別番号と関連付けて表示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線タグ探索装置において、前記記憶装置が記憶している無線装置のアンテナの受信特性及び無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係に基づき、無線タグの識別番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置の候補求めて表示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線タグ探索装置において、探索する無線タグの識別番号入力する入力手段を備え、前記入力された識別番号を持つ無線タグの前記の推定した位置に基づき、次の探索におけるアンテナの方向を指示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項4】
請求項3に記載の無線タグ探索装置において、複数回の探索における前記入力された識別番号を持つ無線タグの各推定した位置の重複した範囲を表示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項5】
識別番号を電磁波に変換して送信する無線タグが送信した電磁波を受信し、受信した電磁波から前記識別番号を識別する無線装置における無線タグ探索方法であって、
無線タグが送信した電磁波の受信強度と、前記無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性に基づいて、無線装置から無線タグまでの距離と方向を推定し、当該推定位置を無線タグの識別番号と関連付けて表示することを特徴とする無線タグ探索方法。
【請求項1】
識別番号を電磁波に変換して送信する無線タグが送信した電磁波を受信するアンテナに接続された通信手段と、該通信手段で受信した無線タグからの電磁波から前記識別番号を識別する受信データ抽出手段を備えた無線タグ探索装置において、
前記アンテナの受信特性と、無線タグの送信特性を記憶した記憶装置と、
前記通信手段は受信した電磁波の受信強度を求め、受信データ抽出手段が抽出した識別番号毎に、前記受信強度と前記アンテナの受信特性と無線タグの送信特性に基づいて当該無線タグの距離と方向を推定し、推定した位置を無線タグの識別番号と関連付けて表示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線タグ探索装置において、前記記憶装置が記憶している無線装置のアンテナの受信特性及び無線タグの送信特性と、空間を伝搬する電磁波強度と伝搬距離との関係に基づき、無線タグの識別番号を識別可能な電磁波の受信強度が確保可能と推定される無線装置の位置の候補求めて表示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線タグ探索装置において、探索する無線タグの識別番号入力する入力手段を備え、前記入力された識別番号を持つ無線タグの前記の推定した位置に基づき、次の探索におけるアンテナの方向を指示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項4】
請求項3に記載の無線タグ探索装置において、複数回の探索における前記入力された識別番号を持つ無線タグの各推定した位置の重複した範囲を表示することを特徴とする無線タグ探索装置。
【請求項5】
識別番号を電磁波に変換して送信する無線タグが送信した電磁波を受信し、受信した電磁波から前記識別番号を識別する無線装置における無線タグ探索方法であって、
無線タグが送信した電磁波の受信強度と、前記無線装置のアンテナの受信特性と、物体に取り付けられた状態における無線タグの送信特性に基づいて、無線装置から無線タグまでの距離と方向を推定し、当該推定位置を無線タグの識別番号と関連付けて表示することを特徴とする無線タグ探索方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−74323(P2007−74323A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258649(P2005−258649)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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