説明

無線基地局との車両側交信装置

【課題】車両側が複数の通信要求を有するとき、車両が無線基地局の通信エリアを通過する間に、その全ての通信要求に応じられること。
【解決手段】車両の出発地から目的地の間のルートを探索すると共に、該探索されたルートに従ってルート案内するナビゲーション機能が動作中であるか否かを問わず、車両が無線基地局との通信エリアに入る前に、通信要求部82に車両側から通信要求する内容を準備しておき、車両が通信エリアに入ったとき、ルート特定部83によって車両が通信エリアを通過する予想ルートを決め、ルート特定部83で特定された予想ルートを走行した場合の通信エリアの通過する距離を通過距離算出部84で算出し、通過距離算出部84で算出された距離を通信要求数Nに応じて複数に配分し、交信割当部85で当該配分された距離内で通信要求した内容を交信することになり、車両が通信エリアを通過する間に、その全ての通信要求に応じられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無線通信で行う無線LAN(Local Area Network)、高度道路交通システム(ITS)において利用されるETC(Electronic Toll Collection System)、地域情報として用いられている狭域通信システム(Dedicated Short Range Communication;(以下、単に「DSRC」という))等の無線基地局との通信系を使用した無線基地局との車両側交信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歩行者に対するナビゲーション装置としては、膨大な地図データが格納されたCD―ROM等の記憶媒体が利用可能な携帯端末、必要と思われる分だけの地図データを携帯端末内の記憶媒体に予め記憶させた携帯端末を携帯し、静止衛星を利用したGPSにより地図上に経路表示するものがある。
前者のナビゲーション装置では、利用者が膨大な地図データを予め用意する必要があり、利用者側のコスト負担が大きくなる。また、地図データを記憶したCD―ROMやハードディスクのドライブ装置を携帯端末が備え、その駆動に使用するバッテリの電力消費が大きいという問題もある。また、後者では、保有する地図データが目的地等の経路上のデータを含んでいない場合、必要なデータを新たに取得する必要がある。
【0003】
特許文献1は、各々通信エリアを持つ複数の無線基地局と、複数の無線基地局を管理するセンター局とが公衆回線網を介して接続され、無線基地局が無線基地局の通信エリアに存在する携帯端末に無線通信により情報を提供するシステムにおいて、無線基地局が管理する通信エリア内に存在する携帯端末から情報を自動受信し、受信した情報をセンター局に送信し、また、センター局から送信された情報を受信し、受信した情報を携帯端末に送信することができ、しかも、センター局を設けることにより、携帯端末に入力された目的地点の情報と携帯端末の位置情報から、目的地点までの経路を算出し、経路指示データを無線基地局を介して携帯端末に送信することが可能となり、携帯端末を設けることにより、センター局から送信された経路指示データを受信し、通知することが可能となる発明を開示した。この特許文献1では、携帯端末によって要求された経路指示データは、センター局から送信され無線基地局から携帯端末へ無線通信によって送信されていた。この無線通信は、無線LAN、DSRCのように限られた狭い範囲の無線基地局の通信エリア内の交信であっても、人の移動する間に十分な交信時間を得ることができる。しかし、これを直接車載用のナビゲーション装置等の交信に使用すると、車両が通過する距離内で複数通信要求すると、それに対応する情報を全て車両側で取り込めない可能性がある。
【0004】
そこで、本出願人は、特許文献2の発明、即ち、車両がアクセスポイントにおける通信エリア内に存在しているときの通信可能データ容量を算出する通信可能データ容量算出処理手段と、前記通信可能データ容量に基づいて複数のデータのうちの所定のデータを選択するデータ選択処理手段と、選択されたデータの送受信を行う送受信処理手段とを具備し、各通信エリア内を車両が走行している間に、データの送受信を全て終了させることができ、データの送受信を効率よく行うことができる移動通信システムを提供した。
【特許文献1】特開2001−204062号公報
【特許文献2】特開2004−187007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2では、通信エリア内を車両が走行している間に、データの送受信を効率よく行うことを前提としているが、前記通信エリア内を車両が走行している間に、複数の通信要求、例えば、ナビゲーション情報、渋滞情報、一般情報、統計情報、メール等がある場合、そのデータの送受信を全て一度に終了させることができない。特許文献2のデータ選択処理手段としては、データ容量が大きい順、優先順位の高い順にデータを選択する手法を採用している。
しかし、データ容量が大きい順に通信要求を満たすとなると、その要求が満たさせるまで、他の通信要求が通らず、例えば、ローカル情報等は後回しとなり、結果的にその取得する機会を逃すことが予測される。また、データ容量が大きい通信要求に応じていると、他の通信要求が生じ、一時的にせよ通信要求数が増加する可能性がある。
そして、優先順位の高い順にデータを選択する場合においても、同様に、ローカル情報等は後回しとなり、結果的にその取得する機会を逃すことが予測される。また、ドライブ目的及び目的地等の内容によって、優先順位が変化し、車両を移動させる前にその優先順位を設定するという煩わしさが発生する。
【0006】
そこで、この発明はかかる不具合を解決し、車両側が複数の通信要求を有するとき、車両が無線基地局の通信エリアを通過する間に、その全ての通信要求に応じられるようにした無線基地局との車両側交信装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1にかかる無線基地局との車両側交信装置は、車両の走行中に無線基地局に通信要求する内容を通信要求部で予め準備しておく。そして、前記車両が走行により前記通信エリアに入ったとき、前記通信要求部に通信要求が複数存在していれば、ルート特定部によって前記車両が前記通信エリアを通過する最短の距離を予想ルートとしてルートを特定する。前記ルート特定部で特定された予想ルートの走行によって、前記通信エリアを通過する距離を通過距離算出部によって算出し、交信割当部によって前記通過距離算出部で算出された前記距離を通信要求数に応じて複数に配分し、当該配分された距離内で通信要求した内容を交信するものである。
ここで、上記通信要求部は、車両の走行中に、前記車両が無線基地局との通信エリアに入ったとき、前記車両側から通信要求する内容を通信エリアに入るまでに準備しておくものである。
また、上記ルート特定部は、前記車両が走行により前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを通過する道路を車両の予想ルートとして選択するもので、ナビゲーション機能が動作中であれば、ナビゲーション機能に設定されている道路、ナビゲーション機能が動作中でないときでも、前記通信エリアを通過する最短の走行する距離、または道路の種別の値の小さいもの等の優先順位を付与することができる。
そして、上記通過距離算出部は、前記ルート特定部で選択された予想ルートの走行によって、前記通信エリアを通過する距離を計算するものである。
更に、上記交信割当部は、前記通過距離算出部で算出された前記距離を通信要求数に応じて複数に配分し、当該配分された距離内で通信要求した内容を交信するものであり、この複数の配分は、要求数Nに対して単純にN分割してもよいし、通信要求内容によって重み付けをしてもよい。
なお、この発明において距離とは、直線距離を意味するものではなく、道程を意味し、道路長を意味する。
【0008】
請求項2にかかる無線基地局との車両側交信装置は、車両の走行中に無線基地局に通信要求する内容を通信要求部で予め準備しておく。そして、前記車両が走行により前記通信エリアに入ったとき、前記通信要求部に通信要求が複数存在していれば、ルート特定部によって前記車両が前記通信エリアを通過する最短の時間を予想ルートとしてルートを特定する。前記ルート特定部で特定された予想ルートの走行によって、前記通信エリアを通過する時間を通過時間算出部によって算出し、交信割当部によって前記通過時間算出部で算出された前記時間を通信要求数に応じて複数に配分し、当該配分された時間内で通信要求した内容を交信するものである。
なお、この発明で時間で表現しているものは、車両の進行から見れば、距離と置換することができ、請求項1の発明と請求項2の発明において、両者は等価である。
ここで、上記通信要求部は、車両の走行中に、前記車両が無線基地局との通信エリアに入ったとき、前記車両側から通信要求する内容を通信エリアに入るまでに準備しておくものである。
また、上記ルート特定部は、前記車両が走行により前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを通過する道路を車両の予想ルートとして特定するもので、ナビゲーション機能が動作中であれば、ナビゲーション機能に設定されている道路、ナビゲーション機能が動作中でないときでも、前記通信エリアを通過する最短の走行時間、または道路の種別の値の小さいもの等の優先順位を付与することができる。
そして、上記通過時間算出部は、前記ルート特定部で特定された予想ルートの走行によって、前記通信エリアを通過する距離を計算するものである。
更に、上記交信割当部は、前記通過時間算出部で算出された前記時間を通信要求数に応じて複数に配分し、当該配分された距離内で通信要求した内容を交信するものであり、この複数の配分は、要求数Nに対して単純にN分割してもよいし、通信要求内容によって重み付けをしてもよい。
【0009】
請求項3にかかる無線基地局との車両側交信装置は、更に、前記車両が前記通信エリアにあって、前記ルート特定部で特定された道路の走行が途中で変更されたとき、前記交信割当部の配分について再配分を行うものである。
ここで、前記交信割当部の再配分とは、前記ルート特定部で特定された予想ルートから離れたとき、当該予想ルートから変更されるまでの前記交信割当部の配分を捨て、新たに残余の通信要求に基づき予想ルートについて配分を行うこと、継続して交信するように配分することができる。
【0010】
請求項4にかかる無線基地局との車両側交信装置の前記交信割当部の前記再配分は、前記ルート特定部で特定された前記道路の走行が途中で変更されたとき、前記予想ルートが変更された位置を基点に残余の通信要求数に応じて配分し、当該配分された距離または時間内で通信要求し、交信するものである。即ち、例えば、単純に通信エリアに入る以前にN個の通信要求があったとしても、1個の通信要求が処理された後に予想ルートが変更された場合には、前記予想ルートが変更された位置を基点にN−1個の通信要求の配分を行うもので、また、1個の通信要求も処理されていないときには、予想ルートが変更された場合、前記予想ルートが変更された位置を基点にN個の通信要求の配分を行うものである。
【0011】
請求項5にかかる無線基地局との車両側交信装置の前記交信割当部の前記再配分は、前記ルート特定部で特定された前記予想ルートが途中で変更されたとき、前記予想ルートの交信中の当該通信要求に基づいて交信した距離または時間を、前記変更ルートの残余の距離または残余の時間に加算して、残余の通信要求数として残りの距離または時間を配分するものである。即ち、例えば、単純に通信エリアに入る以前にN個の通信要求があり、それまでの通信要求の処理が途中にあるときに予想ルートが変更された場合、前記予想ルートが変更された位置を基点に通信要求の配分を行い、継続して通信要求の交信に入ったり、または、それを切断したりして、次の通信要求の交信に入るかを判断し、交信を行うものである。
【0012】
請求項6にかかる無線基地局との車両側交信装置の前記ルート特定部は、前記車両が道路の走行により前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを脱する最短の距離または走行時間の道路を予想ルートとするものである。即ち、前記車両が前記通信エリアを脱する最小の距離または最小の時間を前提としておけば、それ以上の距離変更があっても、最終の通信要求が途中で断たれることがないので、車両走行ができる最短の道路を予想ルートとするものである。
【0013】
請求項7にかかる無線基地局との車両側交信装置の前記通過時間算出部は、渋滞情報を考慮して前記通信エリアを通過する時間を算出するものである。ここで、前記通過時間算出部は、それまでの車速、それからの渋滞情報に基づく車速の予想等によって、前記通信エリアを通過する時間を算出するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1における無線基地局との車両側交信装置は、車両が無線基地局との通信エリアに入るまでに、通信要求部に前記車両側から通信要求する内容を準備し、前記車両が通信エリアに入ったとき、まず、ルート特定部によって前記車両が前記通信エリアを通過する予想ルートを決め、前記ルート特定部で特定された予想ルートを走行した場合の前記通信エリアの通過する距離を通過距離算出部で算出し、前記通過距離算出部で算出された前記距離を通信要求数に応じて複数に配分し、交信割当部で当該配分された距離内で通信要求した内容を交信する。
したがって、従来の無線基地局との車両側交信装置では、複数の通信要求を有する場合、最初の通信要求に応じている間に車両が無線基地局との通信エリアを通過してしまい、その後の通信要求に応じられなくなる場合がある。
しかし、本発明は車両の出発地から目的地の間のルートを探索すると共に、該探索されたルートに従ってルート案内する車載ナビゲーション装置が動作中であるか否かを問わず、通過距離算出部で算出された距離を通信要求数に応じて複数に配分し、その交信できる距離を特定し、車両が無線基地局の通信エリアを通過する間に、その全ての通信要求に応じられるようにしたものである。仮に、通信エリア外においてローカル情報としてPOI(施設情報)を検索し、通信エリア内で地域サービス情報またはインターネット情報を取得しようとしたとき、駐車場情報の取得が後手に回り、後戻りしないと駐車場に入れないようになる等の不都合が発生しなくなる。
【0015】
請求項2における無線基地局との車両側交信装置は、車両の出発地から目的地の間のルートを探索すると共に、該探索されたルートに従ってルート案内する無線基地局との車両側交信装置が動作中であるか否かを問わず、前記車両が無線基地局との通信エリアに入るまでに、通信要求部に前記車両側から通信要求する内容を準備し、前記車両が通信エリアに入ったとき、まず、ルート特定部によって前記車両が前記通信エリアを通過する予想ルートを決め、前記ルート特定部で特定された予想ルートを走行した場合の前記通信エリアの通過時間を通過時間算出部で算出し、前記通過時間算出部で算出された前記時間を通信要求数に応じて複数に配分し、交信割当部で当該配分された時間内で通信要求した内容を交信する。
したがって、通常の無線基地局との車両側交信装置では、複数の通信要求を有する場合、最初の通信要求に応じている間に車両が無線基地局との通信エリアを通過してしまい、その後の通信要求に応じられなくなる場合がある。しかし、本発明は通過時間算出部で算出された時間を通信要求数に応じて複数に配分し、その交信時間を特定し、車両が無線基地局の通信エリアを通過する間に、その全ての通信要求に応じられるようにしたものである。仮に、通信エリア外においてローカル情報としてPOI(施設情報)を検索し、通信エリア内で地域サービス情報またはインターネット情報を取得しようとしたとき、駐車場情報の取得が後手に回り、後戻りしないと駐車場に入れないようになる等の不都合が発生しなくなる。
【0016】
請求項3における無線基地局との車両側交信装置は、更に、前記車両が前記通信エリアにあって、前記ルート特定部で選択された道路の走行が途中で変更されたとき、前記交信割当部で再配分を行うものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、初回の配分値を修正する再配分によって距離の余裕が出たときには、残余の通信要求を効率的に満たすことができる。また、逆に、短くなったとしても、最終通信要求の交信を行うことができるように割り振りできる。
【0017】
請求項4における無線基地局との車両側交信装置の前記交信割当部の前記再配分は、前記ルート特定部で特定された前記道路の走行が途中で変更されたとき、前記予想ルートが変更された位置を基点に通信要求数に応じて複数に配分し、当該配分された距離または時間内で通信要求し、交信するものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、通信要求に対応して処理されたものを除き、残余の通信要求に対して、前記予想ルートが変更された位置を基点に通信要求数に応じて配分するものであるから、再配分によって距離または時間の余裕が出たときには、残余の通信要求を効率的に満たすことができ、逆に、短くなったとしても、最終通信要求の交信を行うことができる。
【0018】
請求項5における無線基地局との車両側交信装置の前記交信割当部の前記再配分は、前記ルート特定部で選択された前記予想ルートが途中で変更されたとき、前記予想ルートの交信中の当該通信要求に基づいて交信した距離または時間を、前記変更ルートの残余の距離または時間に加算して、残余の通信要求数として残りの距離または時間を配分するものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、予想ルートから変更された変更ルートに切り替えが行われても、効率のよい交信ができる。
【0019】
請求項6における無線基地局との車両側交信装置の前記ルート特定部は、前記車両が道路の走行により前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを脱する最短の距離または走行時間の道路を予想ルートとするものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、通信要求に対応して処理される距離または時間が最小限に設定されるものであるから、複数の通信要求に対する対応が絶対的なものとなり、通信要求に漏れがない。
【0020】
請求項7における無線基地局との車両側交信装置の前記通過時間算出部は、渋滞情報を考慮して前記通信エリアを通過する時間を算出するものであるから、請求項2に記載の効果に加えて、工事中または時間帯による渋滞であっても、前記通信エリアを通過する時間を正確に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図中、同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここでは重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の全体構成図であり、ナビゲーション機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。また、図2は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア外と車両との関係の一例を示す説明図、図3は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア内と車両との関係の一例を示す説明図、図4は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア内の交差点と車両との関係の一例を示す説明図で、図5は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア内の交差点と車両との関係の他の事例を示す説明図である。図6は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の制御を行うプログラムの一部のフローチャート、図7は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の制御を行うプログラムの残部のフローチャートである。
【0022】
図において、本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うマイクロプロセッサからなる演算・制御部1と、ドライバ等の操作者からの操作を受け付ける各種キー入力、音声入力、タッチスイッチ等の操作部2と、操作者に対して操作情報、地図等の情報を表示する液晶からなるディスプレイ3と、ルート案内、交通規制情報、渋滞情報の案内に関する音声ガイダンスを行うスピーカ4を有している。なお、操作部2としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置等を使用することもできる。更に、ディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0023】
マイクロプロセッサからなる演算・制御部1は、全体の制御を行う演算及び制御を行うCPU11、及びCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用すると共に、ルート探索や、ルートが探索されたときのルートデータ、交通規制情報、渋滞情報等が記憶されるRAM12、制御用プログラムの他、バイパス道路情報、合流地点毎の所要距離の算出を行うプログラム等が記憶されたROM13、ROM13から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ14等の内部記憶装置や、日時を計測するタイマ15等を備えている。
【0024】
ROM13には、各種のプログラムが記憶され、RAM12に各種のデータが記憶されるようになっており、また、プログラム、データ等を外部記憶装置、メモリカード等からプログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリ14に書き込まれる。更に、メモリカード等を交換または外部から所定のプログラム、データ等をインストールすることによってプログラム、データ等を更新することができる。
演算・制御部1には、操作部2、ディスプレイ3、スピーカ4、通信部5等の各周辺装置が電気的に接続されている。操作部2は、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際やPOI(施設情報)の検索を行う際等に操作され、各種キー等の複数の操作スイッチから構成される。演算・制御部1は、操作部2の各スイッチの操作により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0025】
ディスプレイ3には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までのルート案内、ルート案内に沿った案内情報、後述のルート変更案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、距離、メール、テレビ番組等が表示される。
なお、ディスプレイ3として液晶ディスプレイの代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL等を使用し、車両Yのフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することもできる。そして、ディスプレイ3は操作部2としてのタッチスイッチを兼ねてもよい。スピーカ4は、演算・制御部1からの指示に基づいて、本線道路、バイパス道路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、ルート案内のルート変更を案内する音声案内を出力する。なお、スピーカ4より出力される音声としては、合成された音声の他に、各種効果音、予めメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0026】
また、日本道路交通情報センター(JARTIC(登録商標):Japan Road Traffic Information Center(以下、単に「JARTIC」という))からのAM放送(周波数1620KHz)、及び/または、道路交通情報通信システムセンター(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System(以下、単に「VICS」という))52等の情報センターとの間でネットワーク51を介して通信を行う通信部5を有している。無線通信で行う無線LAN53、高度道路交通システム(ITS)において利用されるETC(登録商標)、地域情報として用いられているDSRC54等の無線基地局との通信を行う。
本実施の形態では、VICS52、無線LAN53、DSRC54からネットワーク51を介して、警察、日本道路公団(登録商標)等の交通管制システム、駐車場情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や、交通規制情報、駐車場情報等の道路交通情報を所定距離毎に受信可能となっている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関するローカル情報である。該ローカル情報の詳細情報としては、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる距離等であり、交通規制情報の場合、VICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の距離帯等である。更に、VICS52、無線LAN53、DSRC54からの情報の他に、通信部5は、ニュース、天気予報等の情報からなるFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。なお、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0027】
また、ネットワーク51としては、例えば、無線LAN53、WAN(Wide Area Network)、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網等の通信回線網、地域情報として用いられているDSRC54等の通信系を使用している。そして、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステムのETC等の狭域通信系を使用している。
そして、通信部5は、例えば、VICS52、無線LAN53、DSRC54等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各ローカル情報からなる道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信部5は、ネットワーク51として通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。
【0028】
更に、本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、現在の自車の位置、方位、目標位置(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となるように各種センサからなる自車の現在地を検出する現在地検出部6と、同じく、各種のデータが記録され、書込み、読出しが可能な記憶容量が大きいハードディスクからなる地図情報処理部7、車両Yが無線基地局90の通信エリアXに入ったとき、車両Y側からの通信要求により無線基地局90と交信を行う情報交信部8を具備している。
【0029】
本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置を構成する特徴的な構成要素について図1に基づいて、更に、具体的に説明する。
自車の現在地を検出する現在地検出部6は、GPSセンサ61、地磁気センサ62、距離センサ63、ステアリングセンサ64、方位検出部としてのジャイロセンサ65、高度計66、更に、自車の走行速度及び走行距離を検出する車速センサ67等からなる。なお、この距離センサ63と車速センサ67は単一のものとすることもできる。
特に、本実施の形態においては、GPSセンサ61のみを使用し、現在地検出部6とすることもできる。GPSセンサ61は、人工衛星から発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在距離を検出する。地磁気センサ62は、地磁気を測定することによって自車方位を検出する。距離センサ63は、道路上の所定位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ63としては、例えば、自車の車輪の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するが、車速センサ67の出力を積分して距離を検出してもよい。
【0030】
また、ステアリングセンサ64は自車の操舵角を検出するものである。ここで、ステアリングセンサ64としては、例えば、ステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
そして、ジャイロセンサ65は自車の旋回角を検出するものである。ここで、ジャイロセンサ65としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ65によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0031】
地図情報処理部7としては、本実施の形態ではハードディスクを使用した場合で説明する。このハードディスクに記憶された交通情報DB(データベース、以下、単に『DB』という)71、地図情報DB74、及び所定のプログラム等を読み出す機能を備えている。なお、本実施の形態においては、地図情報処理部7としてハードディスクを使用されているが、ハードディスクの他にメモリカード、DVD、光ディスク等を外部記憶装置の一部として使用することもできる。
【0032】
交通情報DB71には、VICS52から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる距離等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報から作成した渋滞情報72が格納されている。また、この交通情報DB71には、VICS52から受信した交通規制のある道路工事、建築工事等による交通規制情報等に関する道路交通情報から作成した交通規制情報73が格納されている。なお、交通情報DB71には、本発明の実施の形態の放送局からの放送情報を用いるものではなく、VICSリンクIDによって得られる情報である。
VICS52から受信した各道路交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度、駐車場情報等の情報と共に、VICSリンクIDが含まれる。VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記道路交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0033】
ここで、地図情報DB74に記憶される道路とVICSリンクとは同一情報を扱うものではない。即ち、一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。そこで、交通情報DB71には、各道路に識別番号として付与されるリンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブルを有し、VICSリンクIDに基づいて、対応するリンクIDを特定することができるようになっている。そのため、ナビゲーション機能では、VICS52からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の道路交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。そして、VICS52から受信した現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて渋滞情報72として格納される。また、VICS52から受信した交通規制情報等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて交通規制情報73として格納される。
【0034】
また、地図情報DB74には、本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置のナビゲーション機能による走行案内やルート探索に使用されるナビ地図情報75が格納されている。ここで、ナビ地図情報75には、ルート案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、分岐地点に関する分岐地点のデータ、施設の一種である道路に関するリンクデータ、ルートを探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。そして、地図情報DB74の内容は、地図情報配信センターから通信部5を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0035】
そして、ルート探索データとしては、設定された目的地までのルートを探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、分岐地点を通過する際のコストや道路を構成するリンクのコストからなる探索コストを算出し、使用するコストデータ、ルート探索により選択された誘導ルートをディスプレイ3の地図上に表示するためのルート表示データ等から構成されている。
店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDと共に記録される。なお、前記地図情報DB74には、所定の情報をナビゲーション装置のスピーカ4によって出力するための音声出力データも記録される。
【0036】
更に、情報交信部8としては、本実施の形態では地図情報処理部7と同様、ハードディスクを使用した場合で、図2乃至図5を用いて説明する。
情報交信部8は、通信エリア情報部81及び通信要求部82、ルート特定部83、通過距離算出部84、交信割当部85を有している。これら情報交信部8は、車両Yの出発地から目的地の間の探索されたルート案内中でなくとも使用できる。
なお、通過距離算出部84は、通過時間算出部と同等の機能を有するものである。
通信エリア情報部81は、ハードディスクに記憶された地図情報DB74に無線LAN53、DSRC54等のローカル情報等を提供する狭域通信の電波到達エリアの情報が格納されている。そこから何れの道路を走行すると当該通信エリアXに入り、また、通信エリアXを通過するかの情報を格納するメモリである。勿論、専用の無線LAN53、DSRC54等の狭域通信のエリアの情報が掲載されているROMから書き込みを行ってもよいし、ディーラオプションとして各販売店が他のローカル情報と共に通信エリア情報を提供してもよい。何れにせよ、無線LAN53、DSRC54等の狭域通信のエリアまたは無線基地局90の情報が格納されるものであればよく、地図情報DB74を直接使用してもよい。
【0037】
通信要求部82は、車両側が要求するローカル情報等の駐車場情報、渋滞情報、交通規制、POI、インターネット情報等の得たい情報の通信要求項目を格納するメモリである。車両Yの出発地から目的地の間の探索されたルート案内中であれば、ナビゲーション装置地図情報の取り込み等も行われる。何れにせよ、車両Yの走行中に、車両Yが無線基地局90との通信エリアXに入ったときに、車両Y側から得たい情報を通信要求する内容を決定し、準備しておく機能を有している。
【0038】
ルート特定部83は、車両Yの走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを通過する道路を予想ルートとして特定する機能であり、また、通信エリアX内において、予想ルートの走行が変更されたとき、変更ルートを特定する機能も有する。即ち、ナビゲーション機能によって車両Yの出発地から目的地の間の探索されたルート案内中であれば、ナビゲーション機能に設定されている道路が予想ルートとして特定される。また、ナビゲーション機能が動作中でないときには、通信エリアXを通過する最短の走行距離または最短の走行時間、または道路の種別の値の小さいもの等の優先順位を付与して特定することもできる。
【0039】
通過距離算出部84は、ルート特定部83で特定された予想ルートの走行によって、通信エリアXを通過する距離を算出するもので、通信エリア情報部81が所有する狭域通信のエリアの情報及び予想ルートによって、その距離を算出するものである。勿論、車両Yの速度から時間として当該距離を表現してもよい。何れにせよ、基準になるのは、通信エリアXの道程としての距離である。
ここで、通信エリアXを通過する距離とは、略直線道路であれば、距離と直線距離は略同じとなるが、道路が直角に折れていたときには、距離と直線距離は大きく異なってくる。そこで、本実施の形態の距離とは、道路の長さを言うものであり、直線道路(距離)を意味するものではないが、通常では、直線距離との違いは殆んど無視でき、両者は同等とみることができる。
また、通信エリアXを通過する距離を算出する通過距離算出部84は、当該距離を特定の車速で走行すれば、当該距離を走行する車両Yの走行時間として時間表現することができる。したがって、通過時間算出部と同等の機能を有するものである。
【0040】
交信割当部85は、無線基地局90の通信エリアX内で交信する通信要求の数Nに応じて交信距離または時間の配分を行うもので、通過する通信エリアX内の距離または時間を均等または重み付けして配分するものである。通過距離算出部84で算出された距離を通信要求数Nに応じて複数に分割し、当該分割された距離内で通信要求した内容を受信するものであり、この複数の配分は、要求数Nに対して単純にN分割してもよいし、通信要求内容によって重み付けをしてもよい。また、その通信要求に対して優先順位を付与し、要求数Nに対して単純にN分割してもよい。或いは、通信要求内容によって重み付けをして交信時間(距離)を決定してもよい。即ち、交信割当部85は、通過距離算出部84で算出された距離を通信要求の数Nに応じて複数に配分し、当該配分された距離内で通信要求した内容を交信自在とするものである。
【0041】
次に、本実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の基本的動作を、特に、図2乃至図5を用いて説明する。
まず、交信割当部85に通信要求数Nに応じて均等に距離をN分割するように設定されている事例で説明する。
【0042】
図2において、車両Yが走行中にあり、各種情報を提供する幾つかの情報源からなるセンター局91に光ファイバで接続されている無線基地局90の通信エリアXに近づいている。この通信エリアX内では、道路は分岐、合流がないとする。ここで、通信エリア情報部81には狭域通信のエリアの情報として通信エリアXの位置が格納されているから、それによって通信エリアXの交信開始位置の地点A及び交信終了位置の地点Bが分かる。このとき、通信要求部82には、目的地検索と渋滞情報の通信要求が2個存在したとする。
【0043】
車両Yが更に走行し、無線基地局90と交信が開始され、通信エリアXの地点Aに到着したことが確認される。ここで、ルート特定部83は予想ルートとして単一の道路しか存在していないので予想ルートをルートZに特定する。そして、通信エリア情報部81の通信エリアXのルートZと交わる交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点B間の道路長を計算する。そして、交信割当部85に均等に分割するように初期設定されているときであれば、交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点B間の距離の道路長の1/2の位置である地点Cを特定する。
【0044】
通信エリアXのルートZと交わる交信開始位置の地点AからルートZの1/2の位置である地点Cまで、最初の通信要求部82の通信要求に基づいて、無線基地局90から目的地検索情報を受信する。地点Cに車両Yが到着すると、無線基地局90からの目的地検索情報の受信を終了し、次の通信要求に基づいて、無線基地局90から渋滞情報の受信を開始する。そして、通信エリアXのルートZと交わる交信終了位置の地点Bまで、通信要求部82の2番目の通信要求に基づいて、無線基地局90から渋滞情報を受信し、交信終了位置の地点Bに車両Yが到着すると、無線基地局90からの渋滞情報の受信を終了する。
【0045】
次に、交信割当部85に通信要求数Nに応じて、先に重みを少なく、後に大きく重み付けして配分するように設定されている事例で説明する。
図3において、車両Yが走行中にあり、各種情報を提供するセンター局91に光ファイバで接続されている無線基地局90の通信エリアXに近づくとき、通信エリア情報部81には狭域通信のエリアの情報として通信エリアXの位置が格納されている。このとき、通信要求部82には、目的地検索と渋滞情報の通信要求が存在したとする。
【0046】
車両Yが更に走行し、無線基地局90と交信が開始され、通信エリアXの地点A(通過時刻10:00)に到着したことが確認されると、ルート特定部83は予想ルートとして単一の道路しか存在していないので、そのルートZを特定する。また、通信エリア情報部81の通信エリアXのルートZと交わる交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点B間の距離の道路長を計算する。そして、交信割当部85に通信要求の重みに応じて分割するように設定されているから、交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点B間の道路長をその配分にして当該配分地点D(通過時刻10:01)を特定する。
【0047】
通信エリアXのルートZと交わる交信開始位置の地点AからルートZの分割位置である地点Dまで、最初の通信要求部82の通信要求に基づいて、無線基地局90から目的地検索情報を受信する。地点Dに車両Yが到着すると、無線基地局90からの目的地検索情報の受信を終了し、次の通信要求に基づいて、無線基地局90から渋滞情報の受信を開始する。そして、通信エリアXのルートZと交わる交信終了位置の地点B(通過時刻10:04)まで、通信要求部82の2番目の通信要求に基づいて、無線基地局90から渋滞情報を受信し、交信終了位置の地点Bに車両Yが到着すると、無線基地局90からの渋滞情報の受信を終了する。
【0048】
なお、ここでは、交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点Bまでの距離を基に説明したが、これを走行速度と時間の関係で表現することもできる。即ち、本発明の実施の形態で説明する距離の概念は、車両Yの速度と時間の関係で表現することができる。しかし、距離の概念の方が直接的に使用でき、正確性が高い。
【0049】
次に、本実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置のルートの選択及びルート変更について図4及び図5を用いて説明する。
図4において、前者同様に、車両Yが走行中にあり、各種情報を提供する無線基地局90の通信エリアXに近づくとき、通信エリア情報部81には狭域通信のエリアの情報として通信エリアXの位置が格納されているから、それによって通信エリアXの交信開始位置の地点A及び交信終了位置の地点B、他の地点C、地点Eに分かれる。
ここで、通信エリアXの交信終了位置の道路地点は、ルートZ1の場合の地点E、ルートZ2の場合の地点B、ルートZ3の場合の地点Cとなり、この実施の形態では、車両の進行する予想ルートとして最短距離のルートが選択されることとする。
【0050】
車両Yが更に走行し、無線基地局90と交信が開始され、通信エリアXの地点Aに到着したことが確認されると、ルート特定部83は予想ルートとして最短のルートZ1を特定する。また、通信エリア情報部81の通信エリアXのルートZ1と交わる交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点E間の道路長を計算する。交信割当部85に均等に分割するように設定されているときであれば、交信開始位置の地点Aから交信終了位置の地点E間の道路長を所定の配分で交信距離を定め、その配分に応じて当該配分地点を特定する。
【0051】
即ち、ルート特定部83は、車両Yの走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアを通過する道路を予想ルートとして最短距離のルートZ1を特定するが、ナビゲーション機能が動作中でないときには、通信エリアXを通過する最短の走行距離とすることによって、最も短時間に処理されなければならない条件に設定することにより、通信要求の全てに均等に交信できる機会を与えることができる。
勿論、ナビゲーション機能が動作中のときには、そのルートを予想ルートとすることができる。また、道路の種別の値の小さいもの等の優先順位を付与して予想ルートを特定してもよいし、道路の種別の値の同じものを優先させて予想ルートを特定してもよい。
【0052】
この場合においても、最短距離のルートZ1を走行しないでその交差点Oを通過したとき、ルートZ2を走行していることが確認されると、変更ルートとしてルートZ2が選択される。
このとき、現在位置Y1で変更ルートとしてルートZ2が選択されたことが確認されると、本実施の形態では再配分を行う。
この再配分は、最初に最短距離のルートZ1を走行すると仮定しているので、走行しないでルート変更した場合でも、そのままにしておけば、最後の通信要求に対応する走行距離が長くなるだけである。しかし、最後の通信要求に対応する走行距離だけでなく、他の通信要求に対しても、交信時間を増加するには、再配分するのが望ましい。
図5に示すように、最短距離のルートZ1を走行しないでその交差点Oを通過したとき、ルートZ3を走行していることが確認されるときも同様である。変更ルートとしてルートZ3が選択される。このとき、現在位置Y1で変更ルートとしてルートZ3が選択されたことが確認されると、本実施の形態では再配分を行う。この再配分は、最後の通信要求に対応する走行距離だけでなく、他の通信要求に対しても、交信時間を増加するものである。
【0053】
ルート変更した場合の再配分の仕方としては、次の方法がある。
まず、最初の通信要求が満たされていないとき、最初の通信要求数Nに応じて変更ルートのルートZ2またはルートZ3の距離で配分しなおす方法。また、最初の通信要求が満たされおり、次の通信要求に入っているとき、最初の通信要求数Nが交信した通信要求数を減じた通信要求数Mに応じて変更ルートの残余のルートZ2またはルートZ3の距離を配分しなおす方法等がある。この変更ルートの切り替えの際には、通信要求に基づき無線基地局90と交信している車両Yの現在位置Y1は、既に、最初の通信要求数Nが交信した通信要求数を減じた通信要求数Mに応じて変更ルートの残余のルートZ2またはルートZ3の配分距離を超えている場合には、直ちに交信を終了し、また、変更ルートの残余のルートZ2またはルートZ3の配分距離を越えていないときには、交信を継続させるものである。特に、最初に最短距離のルートZ1を走行すると仮定しておらず、ルートZ2と仮定した後に、若干短いルートZ3の走行と判断された場合には、最初の通信要求数Nから交信した通信要求数を減じた通信要求数Mに応じて変更ルートの残余のルートZ3の距離を配分しなおす方法が好適である。
【0054】
このように、ルート変更した場合の再配分の仕方としては、車両Yの現在位置Y1が通信エリアX内の交差点Oを通過した後、ルート特定部83で選択された道路の走行が途中で変更されたとき、交信割当部85の配分について再配分を行うと、ルート特定部83で選択した予想ルートに間違いがあっても、全ての通信要求に対して交信の機会を付与することができる。
また、交信割当部85の再配分は、ルート特定部83で選択された予想ルートが途中で変更されたとき、予想ルートが変更された位置を車両Yの現在位置Y1を基点に通信要求数に応じて配分し、当該配分された距離内で複数の通信要求をし、その配分された距離内で交信することもできる。
【0055】
そして、交信割当部85の再配分は、ルート特定部83で選択された予想ルートが途中で変更されたとき、予想ルートの交信中の通信要求に基づいて交信した距離を、変更ルートの残余の距離に加算して、残余の通信要求数Mとして残りの距離を配分することもできる。勿論、予想ルートの交信中の通信要求に基づいて交信した距離を無視し、或いは、それを尊重して、それによって終了させることもできるが、バランス感覚からすれば、予想ルートが途中で変更されたとき、予想ルートの交信中の通信要求に基づいて交信した距離を、変更ルートの残余の距離に加算して、残余の通信要求数として残りの距離を配分することが望ましい。
【0056】
殊に、ルート特定部83は、車両Yが道路の走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを脱する最短の走行距離の道路を予想ルートとすることにより、交信割当部85の配分処理の自由度を広くすることができる。即ち、通信エリアXに入ったとき、最短の距離に設定されているから、その距離が短くなることはあり得ない。したがって、後に行う通信要求に対する交信時間が長くなるものであるから、短時間に取得できる通信要求を先に行うことによって、交信時間が長くなるインターネット関係を後に行えば、変更ルートを設定することなく対応可能となる。
【0057】
次に、本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置をプログラム制御するフローチャートについて説明する。
まず、このプログラムは無線基地局との車両側交信装置のナビゲーション機能が動作中であるか否かにかかわらず、動作するものである。
まず、ステップS1で無線LAN53、DSRC54等のからネットワーク51を介して、狭域通信の通信エリアXから得るローカル情報の通信要求をまとめて収集する。通信要求は、優先順位順にリストを形成しておき、そのリストに要求があるか否かを書き込むことにより、通信要求をまとめて収集し、メモリに記載しておくこともできるし、発生した通信要求のみを挙げることもできる。なお、このステップS1は、通信要求部82を構成するものである。ステップS2で車両Yの走行位置付近の幾つかの無線基地局90の狭域通信のエリアの情報を、通信エリア情報部81に収集する。即ち、地図情報DB74に無線LAN53、DSRC54等のローカル情報等を提供する狭域通信の電波到達エリアの情報が格納されているから、そこから何れの道路を走行すると当該通信エリアXに入り、また、通信エリアXを通過するかの情報を格納する。
【0058】
ステップS3で車両Yが無線基地局90からの電波到達範囲の通信エリアX内に入ったことが確認されるまで、ステップS1乃至ステップS3の処理を繰り返す。
ステップS3で車両Yが無線基地局90からの電波到達範囲の通信エリアX内に入ったことが、無線基地局90からの電波の受信で確認されると、ステップS4の処理に入る。ステップS4では、通信要求部82に通信要求が複数Nあるか、ないかを判断し、通信要求部82に通信要求が単数のみ存在するとき、ステップS5で通信要求に応じて無線基地局90と交信し、ステップS6で通信エリアXを通過したことが確認されるまで、ステップS5及びステップS6のルーチンの処理を繰り返し行う。
【0059】
ステップS4で通信要求部82に通信要求が複数Nあると判断したとき、ステップS7でルート特定部83で予想ルートを特定する。予想ルートは、ナビゲーション機能によって車両Yの出発地から目的地の間の探索されたルート案内中であれば、ナビゲーション機能に設定されている道路が予想ルートとして特定される。また、ナビゲーション機能が動作中でないときには、通信エリアXを通過する最短の距離または道路の種別の値の小さいもの等の優先順位を付与して特定する。即ち、車両Yの走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを通過する道路を予想ルートとして特定する。
【0060】
ステップS8で特定された予想ルートと無線基地局90の通信エリアXの外周が交わる通信エリアXの入り口A地点と、その出口B地点を特定し、その距離から全長を算出する。そして、ステップS9で予想ルートと通信エリアXの外周が交わるA地点と、その出口B地点の距離を通信要求数Nに配分する。距離の配分数Nは、要求数Nに対して単純にN分割してもよいし、通信要求内容によって重み付けをしてもよい。
次に、ステップS10で通信要求数Nを設定するカウンタの値が「2」以上であるか否かを判断する。通信要求数Nの値が「2」以上でないとき誤りであるから、ステップS4からのルーチンを再度処理する。ステップS10で通信要求数Nの値が「2」以上のとき、ステップS11で通信要求に応じて交信を行う。ステップS12でルート変更があるか否かを監視し、ルート変更が確認されないとき、ステップS13で通信要求数Nの値を「1」減算(デクリメント)し、ステップS14で通信要求数Nの値が「1」になったかを判断し、通信要求数Nの値が「1」になるまで、ステップS10乃至ステップS14のルーチンを繰り返し実行し、通信要求数Nに従って交信し、通信要求数Nを減ずる。通信要求数Nの値が「1」になると、最後の通信要求であるから、ステップS6で通信エリアXを通過したことが確認されるまで、ステップS5及びステップS6の処理を行う。
【0061】
ステップS12でルート変更されていることが判断されると、ステップS15で変更ルートを求める。具体的には、ステップS7と同様に求める。ステップS16で残余の通信要求Mが複数以上あるか否かを判断し、ステップS16で残余の通信要求Mが複数ないとき、ステップS17で通信要求に応じて無線基地局90と交信し、ステップS18で通信エリアXを通過したことが確認されるまで、ステップS17及びステップS18のルーチンの処理を繰り返し行う。
【0062】
ステップS16で残余の通信要求Mが複数あるとき、ステップS19で特定された変更ルートと無線基地局90の通信エリアXの外周が交わる通信エリアXの出口C地点を特定し、その残余の距離を算出する。そして、ステップS20で変更ルート点と通信エリアXの外周が交わる出口C地点の距離を通信要求数Mに配分する。残余の距離の配分数Mは、要求数Mに対して単純にM分割してもよいし、通信要求内容によって重み付けをしてもよい。
ステップS21で通信要求数Mの値が「2」以上であるか否かを判断する。通信要求数Mの値が「2」以上出ないとき誤りであるから、ステップS16からのルーチンを再度処理する。ステップS21で通信要求数Mの値が「2」以上のとき、ステップS22で通信要求に応じて交信を行う。ステップS23でルート変更があるか否かを監視し、ルート変更が確認されないとき、ステップS24で通信要求数Mの値を「1」減算(デクリメント)し、ステップS25で通信要求数Mの値が「1」になったのを判断し、通信要求数Mの値が「1」になるまで、ステップS21乃至ステップS25のルーチンを繰り返し実行し、通信要求数Mに従って交信し、通信要求数Mを減ずる。通信要求数Mの値が「1」になると、最後の通信要求であるから、ステップS18で通信エリアXを通過したことが確認されるまで、ステップS17及びステップS18の処理を行う。
【0063】
以上のように、本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、車両Yの走行中に、車両Yが無線基地局90の通信エリアXに入ったとき、車両Y側から通信要求する内容を準備しておくステップS1からなる通信要求部82と、車両Yの走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを通過する道路を予想ルートとして特定するステップS4及びステップS7からなるルート特定部83と、ルート特定部83で特定された予想ルートの走行によって、通信エリアXを通過する距離を算出するステップS8からなる通過距離算出部84と、通過距離算出部84で算出された距離を前記通信要求の数Nに応じて複数に配分し、当該配分された距離内で通信要求した内容を交信するステップS9乃至ステップS14及びステップS5及びステップS6からなる交信割当部85を具備するものである。
【0064】
このように、本実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、車両Yの出発地から目的地の間のルートを探索すると共に、該探索されたルートに従ってルート案内するナビゲーション機能が動作中であるか否かを問わず、車両Yが無線基地局90との通信エリアXに入る前に、通信要求部82に車両Y側から通信要求する内容を準備しておき、車両Yが通信エリアXに入ったとき、まず、ルート特定部83によって車両Yが通信エリアXを通過する予想ルートを決め、ルート特定部83で特定された予想ルートを走行した場合の通信エリアXの通過する距離をステップS8からなる通過距離算出部84で算出し、通過距離算出部84で算出された距離を通信要求数Nに応じて複数に配分し、交信割当部85で当該N配分された距離内で通信要求した内容を交信することになる。
【0065】
したがって、従来の無線基地局との車両側交信装置では、複数の通信要求を有する場合、最初の通信要求に応じている間に車両Yが無線基地局90との通信エリアXを通過してしまい、その後の通信要求に応じられなくなる場合がある。しかし、本実施の形態では通過距離算出部84で算出された距離を通信要求数Nに応じて複数に配分し、その交信できる距離を特定し、車両Yが無線基地局90の通信エリアXを通過する間に、その全ての通信要求に応じられるようになる。仮に、通信エリアX外においてローカル情報としてPOI(施設情報)を検索し、通信エリアX内で地域サービス情報またはインターネット情報を取得しようとしたとき、駐車場情報の取得が後手に回り、後戻りしないと駐車場に入れないようになる等の不都合が発生しなくなる。
【0066】
上記実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、ステップS7からなるルート特定部83によって車両Yが通信エリアXを通過する予想ルートを決め、ルート特定部83で特定された予想ルートを走行した場合の通信エリアXの通過距離をステップS8からなる通過距離算出部84で算出し、通過距離算出部84で算出された距離を通信要求数Nに応じて複数に配分し、交信割当部85で当該配分された距離内で通信要求した内容を交信するものである。しかし、上記実施の形態では、特定された予想ルートを走行した場合の通信エリアXの車両Yの通過する距離を通過距離算出部84で算出しているが、本発明を実施する場合には、車両Yの通過する距離を車速との関係で時間とすることもできる。
【0067】
即ち、この場合の実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、車両Yの走行中に、車両Yが無線基地局90の通信エリアXに入ったとき、車両Y側から通信要求する内容を準備しておくステップS1からなる通信要求部82と、車両Yの走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを通過する道路を予想ルートとして特定するステップS4及びステップS7からなるルート特定部83と、ルート特定部83で特定された予想ルートの走行によって、通信エリアXを通過する時間を算出する通過時間算出部(通過距離算出部84に相当)と、通過時間算出部(通過距離算出部84に相当)で算出された時間を通信要求の数Nに応じて複数に配分し、当該N配分された時間内で通信要求した内容を交信するステップS9乃至ステップS14及びステップS5及びステップS6からなる交信割当部85を具備する構成とすることができる。
【0068】
したがって、この種の実施の形態においても、従来の無線基地局との車両側交信装置では、複数の通信要求を有する場合、最初の通信要求に応じている間に車両Yが無線基地局90との通信エリアXを通過してしまい、その後の通信要求に応じられなくなる場合がある。しかし、本実施の形態では通過時間算出部(通過距離算出部84に相当)で算出された時間を通信要求数Nに応じて複数に配分し、その交信できる時間を特定し、車両Yが無線基地局90の通信エリアXを通過する間に、その全ての通信要求に応じられるようにした。仮に、通信エリアX外においてローカル情報としてPOI(施設情報)を検索し、通信エリアX内で地域サービス情報またはインターネット情報を取得しようとしたとき、駐車場情報の取得が後手に回り、後戻りしないと駐車場に入れないようになる等の不都合が発生しなくなる。
【0069】
上記実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、更に、車両Yが通信エリアX内にあって、ルート特定部83で特定された道路の走行が途中で変更されたとき、ステップS9乃至ステップS25に示すように交信割当部85の配分について再配分を行うものである。
したがって、更に、車両Yが通信エリアXにあって、ルート特定部83で選択された道路の走行が途中で変更されたとき、交信割当部85の配分について再配分を行うものであるから、初回の配分値を修正する再配分によって距離または時間の余裕が出たときには、残余の通信要求を効率的に満たすことができる。また、逆に、短くなったとしても、最終通信要求の交信を行うことができる。
【0070】
上記実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、交信割当部85の再配分は、ルート特定部83で特定された予想ルートが途中で変更されたとき、予想ルートが変更された位置を基点に通信要求数Mに応じて配分し、当該配分された距離または時間内で複数の通信要求をし、交信するものである。
したがって、交信割当部85の再配分は、ルート特定部83で選択された道路の走行が途中で変更されたとき、予想ルートが変更された位置を基点に通信要求数に応じた複数Mに配分し、当該配分された距離または時間内で通信要求し、交信するものであるから、通信要求に対応して処理されたものを除き、残余の通信要求に対して、予想ルートが変更された位置を基点に通信要求数Mに応じて配分するものであるから、再配分によって距離の余裕が出たときには、残余の通信要求を効率的に満たすことができ、逆に、短くなったとしても、最終通信要求の交信を行うことができる。
【0071】
上記実施の形態の無線基地局との車両側交信装置は、交信割当部85の再配分は、ルート特定部83で選択された予想ルートが途中で変更されたとき、予想ルートの交信中の当該通信要求に基づいて交信した距離または時間を、前記変更ルートの残余の距離または時間に加算して、残余の通信要求数Mとして残りの距離または時間を配分するものである。
したがって、交信割当部85の再配分は、ルート特定部83で選択された予想ルートが途中で変更されたとき、予想ルートの交信中の通信要求に基づいて交信した距離または時間を、前記変更ルートの残余の距離または時間に加算して、残余の通信要求数Mとして残りの距離または時間を配分するものであるから、予想ルートから変更された変更ルートに切り替えが行われても、効率のよい交信ができる。
【0072】
上記実施の形態の無線基地局との車両側交信装置のルート特定部83は、車両Yが道路の走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを脱する最短の走行距離または時間の道路を予想ルートとするものである。
したがって、ルート特定部83は、車両Yが道路の走行により通信エリアXに入ったとき、車両Yが通信エリアXを脱する最短の走行距離または時間の道路を予想ルートとするものであるから、通信要求に対応して処理される距離または時間が最小限に設定され、複数の通信要求に対する対応が絶対的なものとなり、通信要求に漏れがない。
【0073】
上記実施の形態の無線基地局との車両側交信装置の前記通過時間算出部は、渋滞情報を考慮して前記通信エリアを通過する時間を算出する構成とすることもできる。即ち、前記通信エリア内に、工事中または時間帯による渋滞が発生している場合では、その渋滞情報を使用して前記通信エリアを通過する時間を正確に算出することができる。また、逆に、直線道路であり、比較的信号停止が発生しない区間であれば、それをも加味し、前記通信エリアを通過する時間を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の全体構成図であり、ナビゲーション機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア外と車両との関係の一例を示す説明図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア内と車両との関係の一例を示す説明図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア内の交差点と車両との関係の一例を示す説明図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の通信エリア内の交差点と車両との関係の他の事例を示す説明図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の制御を行うプログラムの一部のフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施の形態にかかる無線基地局との車両側交信装置の制御を行うプログラムの残部のフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
X 通信エリア
Y 車両
1 演算・制御部
5 通信部
6 現在地検出部
7 地図情報処理部
8 情報交信部
51 ネットワーク
81 通信エリア情報部
82 通信要求部
83 ルート特定部
84 通過距離算出部
85 交信割当部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行中に、前記車両が無線基地局の通信エリアに入ったときに、前記車両側から通信要求ができるように通信要求する内容を準備しておく通信要求部と、
前記車両が前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを通過する道路を予想ルートとして特定するルート特定部と、
前記ルート特定部で特定された前記予想ルートの走行によって、前記通信エリアを通過する距離を算出する通過距離算出部と、
前記通過距離算出部で算出された前記距離を前記通信要求部に存在する通信要求の数に応じて複数に配分し、当該配分された距離内で通信要求した内容を交信する交信割当部と
を具備することを特徴とする無線基地局との車両側交信装置。
【請求項2】
車両の走行中に、前記車両が無線基地局との通信エリアに入ったときに、前記車両側から通信要求ができるように通信要求する内容を準備しておく通信要求部と、
前記車両が前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを通過する道路を予想ルートとして特定するルート特定部と、
前記ルート特定部で特定された前記予想ルートの走行によって、前記通信エリアを通過する時間を算出する通過時間算出部と、
前記通過時間算出部で算出された前記時間を前記通信要求部に存在する通信要求の数に応じて複数に配分し、当該配分された時間内で通信要求した内容を交信する交信割当部と
を具備することを特徴とする無線基地局との車両側交信装置。
【請求項3】
更に、前記車両が前記通信エリア内にあって、前記ルート特定部で選択された道路の走行が途中で変更されたときには、前記交信割当部で再配分を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無線基地局との車両側交信装置。
【請求項4】
前記交信割当部による前記再配分は、前記ルート特定部で選択された前記予想ルートが途中で変更されたとき、前記予想ルートが変更された位置を基点に通信要求数に応じて配分し、当該配分された距離または時間内で複数の通信要求をし、交信することを特徴とする請求項3に記載の無線基地局との車両側交信装置。
【請求項5】
前記交信割当部による前記再配分は、前記ルート特定部で選択された前記予想ルートが途中で変更されたとき、前記予想ルートの交信中の当該通信要求に基づいて交信した距離または時間を、前記変更ルートの残余の距離または時間に加算して、残余の通信要求数として残りの距離または時間を配分することを特徴とする請求項3に記載の無線基地局との車両側交信装置。
【請求項6】
前記ルート特定部は、前記車両が前記通信エリアに入ったとき、前記車両が前記通信エリアを脱する最短の走行距離または時間の道路を予想ルートとすることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の無線基地局との車両側交信装置。
【請求項7】
前記通過時間算出部は、渋滞情報を考慮して前記通信エリアを通過する時間を算出することを特徴とする請求項2に記載の無線基地局との車両側交信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−8302(P2010−8302A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169795(P2008−169795)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】