説明

熱伝導性樹脂組成物及び半導体パッケージ

【課題】放熱性に優れ、かつ成形が容易な封止材を備えた半導体パッケージを提供する。
【解決手段】半導体パッケージの封止材4が、熱硬化性樹脂組成物に、該熱硬化性樹脂組成物に対して容量比で70:30〜5:95の範囲にある無機酸化物フィラーが分散されてなる熱伝導性樹脂組成物であって、該無機酸化物フィラーが、容量比で5:95〜40:60の範囲にある酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは半導体パッケージの封止用として有用な熱伝導性樹脂組成物に関する。本発明はまた半導体パッケージにも関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージは、半導体素子(例:IC、LSI)と周辺部材、そして該半導体素子の周囲を封止する封止材からなる。半導体パッケージでは、半導体素子の小型化、高集積化、動作の高速化、高消費電力化に伴い、発熱量が増加する傾向にある。このため、半導体パッケージでは、半導体素子にて発生した熱を外部に素早く拡散させるために、封止材の熱伝導率を高めることが必要となっている。
【0003】
封止材の原料には、エポキシ樹脂やフェノール樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物に、熱伝導性が高い無機酸化物フィラーを分散した熱伝導性樹脂組成物が広く利用されている。無機酸化物フィラーとしては、酸化ケイ素粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末などが知られている。
【0004】
特許文献1には、酸化マグネシウム粉末を含有する熱伝導性樹脂組成物において、酸化マグネシウム粉末として、表面にケイ素とマグネシウムの複酸化物又はアルミニウムとマグネシウムの複酸化物を含む被覆層を有する被覆酸化マグネシウム粉末を用いることが記載されている。この特許文献1によれば、被覆酸化マグネシウム粉末を含有する熱伝導性樹脂組成物を用いて製造された成形体は、優れた耐湿性(耐候性)と熱伝導性とを有する。なお、この特許文献1の実施例では、成形体はプレス成形により製造されている。
【0005】
一方、半導体パッケージの封止材は、一般にトランスファー成形により製造されている。特許文献2には、トランスファー成形時の成形性を良好にするために、熱伝導性フィラー全体の5〜40質量%を、平均粒径が2μm未満の熱伝導性フィラーにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−27177号公報
【特許文献2】特開2008−184544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載されているように、酸化マグネシウム粉末は熱伝導性に優れた材料であるが、本発明者の検討によると、熱硬化性樹脂組成物に酸化マグネシウム粉末を加えた樹脂組成物は、トランスファー成形時の成形性が低下する傾向にあることが判明した。従って、本発明の目的は、酸化マグネシウム粉末を含有しながらも、トランスファー成形時の成形性に優れる熱伝導性樹脂組成物を提供することにある。本発明の目的はまた、放熱性に優れ、かつ成形が容易な封止材を備えた半導体パッケージを提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、熱硬化性樹脂組成物に無機酸化物フィラーとして、酸化マグネシウム粉末と共に二酸化ケイ素粉末を所定の割合で加えることによって、トランスファー成形時の成形性が向上することを見出し、さらにその組成物を用いてトランスファー成形により製造した成形体は高い熱伝導性を示すことを確認して、本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明は、熱硬化性樹脂組成物に、該熱硬化性樹脂組成物に対して容量比で70:30〜5:95の範囲にある無機酸化物フィラーが分散されてなる熱伝導性樹脂組成物であって、該無機酸化物フィラーが、容量比で5:95〜40:60の範囲にある酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物にある。
【0010】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の好ましい態様は次の通りである。
(1)酸化マグネシウム粉末が、硬焼酸化マグネシウム粉末もしくは電融酸化マグネシウム粉末である。
(2)酸化マグネシウム粉末が、1〜100μmの範囲に平均粒子径を有する。
(3)二酸化ケイ素粉末が、球状粒子の粉末である。
(4)二酸化ケイ素粉末が、1〜100μmの範囲に平均粒子径を有する。
(5)熱硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む。
(6)半導体パッケージの封止用である。
【0011】
本発明はまた、半導体素子と周辺部材、そして該半導体素子の周囲を封止する封止材からなる半導体パッケージであって、上記封止材が、熱硬化性樹脂組成物に、該熱硬化性樹脂組成物に対して容量比で70:30〜5:95の範囲にある無機酸化物フィラーが分散されてなる熱伝導性樹脂組成物であって、該無機酸化物フィラーが、容量比で5:95〜40:60の範囲にある酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物の硬化物である半導体パッケージにもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、後述の実施例のデータから明らかなように、トランスファー成形時の成形性に優れ、また本発明の熱伝導性樹脂組成物を用いてトランスファー成形により製造した成形体は高い熱伝導性を示す。従って、本発明の熱伝導性樹脂組成物の硬化物を封止材に用いた半導体パッケージは放熱性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従う、半導体パッケージの一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物中に、無機酸化物フィラーとして、酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とが分散されてなる。酸化マグネシウム粉末の容量と二酸化ケイ素粉末の容量の比は、5:95〜40:60の範囲、好ましくは10:90〜40:60の範囲、特に好ましくは20:80〜40:60の範囲である。熱硬化性樹脂組成物の容量と、酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末の合計容量との比は、70:30〜5:95の範囲、好ましくは40:60〜10:90の範囲、特に好ましくは40:60〜25:75の範囲にある。
【0015】
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む組成物であることが好ましい。エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含むことが好ましく、さらに硬化促進剤を含むことが好ましい。
【0016】
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノール型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビフェニル型、トリフェニルメタン型、ジシクロペンタジエン型などの各種のエポキシ樹脂を挙げることができる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0017】
硬化剤は、エポキシ樹脂と反応する化合物であれば特に制限はないが、フェノール樹脂であることが好ましい。フェノール樹脂の例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂を挙げることができる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
硬化促進剤は、フェノール樹脂の水酸基を活性化する化合物であることが好ましい。硬化促進剤の例としては、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのアミン化合物、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機リン化合物を挙げることができる。これらは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
エポキシ樹脂と硬化剤と硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂の配合量を100質量部としたときに、硬化剤の配合量が10〜80質量部の範囲、硬化促進剤の配合量が0.5〜10質量部の範囲となる割合であることが好ましい。
【0020】
本発明で使用する酸化マグネシウム粉末は、硬焼酸化マグネシウム粉末もしくは電融酸化マグネシウム粉末であることが好ましい。硬焼酸化マグネシウム粉末は、水酸化マグネシウム粉末や炭酸マグネシウム粉末などの酸化マグネシウム原料粉末を1500℃以上の温度で焼成して得た酸化マグネシウム粉末である。酸化マグネシウム原料粉末の焼成装置には、ロータリーキルンや電気炉を用いることができる。酸化マグネシウム粉末は、ロータリーキルンで酸化マグネシウム原料粉末を1600〜2000℃の温度で焼成して得た硬焼酸化マグネシウム粉末であることが特に好ましい。酸化マグネシウム粉末は、平均粒子径が1〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0021】
酸化マグネシウム粉末は、表面が、シランカップリング剤で処理されていることが好ましい。シランカップリング剤の例としては、反応性基を有するアルコキシシラン(モノマー)、及びオリゴマー状反応性シロキサンを挙げることができる。反応性基の例としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基及びメルカプト基を挙げることができる。これらの反応性基のなかでは、ビニル基、アミノ基及びエポキシ基が好ましく、ビニル基及びアミノ基がより好ましい。オリゴマー状反応性シロキサンは、反応性基を有するアルコキシシランの単独重合体、及び反応性基を有するアルコキシシランと反応性基を有しないアルコキシシランとの共重合体を意味する。
【0022】
ビニル基を有するアルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランを挙げることができる。アミノ基を有するアルコキシシランの例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩を挙げることができる。エポキシ基を有するアルコキシシランの例としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを挙げることができる。メタクリロキシ基を有するアルコキシシランの例としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及び3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランを挙げることができる。アクリロキシ基を有するアルコキシシランの例としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。メルカプト基を有するアルコキシシランの例としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。この他のアルコキシシランの例としては、p−スチリルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。
【0023】
オリゴマー状反応性シロキサンとしては、エボニックデグサ ジャパン株式会社から販売されている、Dynasylan6490やDynasylan1146を使用することができる。
【0024】
二酸化ケイ素粉末は、熱伝導性樹脂組成物用の充填材として公知であり、本発明においても、それらの二酸化ケイ素粉末から任意に選択して使用することができる。本発明で使用する二酸化ケイ素粉末は、球状粒子の粉末であることが好ましく、球状粒子からなる溶融シリカ粉末であることが特に好ましい。二酸化ケイ素粉末は、非晶質性であってもよいし、結晶性であってもよい。
【0025】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、例えば、熱硬化性樹脂組成物に酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを容量比で上記の範囲となる割合にて加えて混合し、混練することによって製造することができる。トランスファー成形では、熱伝導性樹脂組成物をタブレット状に成形して使用する。タブレット状の熱伝導性樹脂組成物は、例えば、熱伝導性樹脂組成物を、粉砕して一旦粉末状として、金型に入れて加圧成形することによって製造することができる。
【0026】
図1に、本発明の熱伝導性樹脂組成物で封止した半導体パッケージの一例の断面図を示す。図1において、半導体パッケージは、リードフレーム1、該リードフレーム1の中央部(アイランド)の上に搭載された半導体素子2、該半導体素子2とリードフレーム1の端部(アウターリード)とを電気的に接続するボンディングワイヤー3、そして半導体素子2の周囲を封止する封止材4とからなる。封止材4は、上記本発明の熱伝導性樹脂組成物から成形された硬化物である。封止材4は、硬化樹脂組成物と、硬化樹脂組成物中に分散された酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを含む。なお、本発明において、半導体パッケージの実装形式に特には制限はない。図1に示した半導体パッケージの実装形式以外に、代表的な実装形式としては、PBGA(Plastic Ball Grid Array)やFBGA(Fine Pitch Ball Grid Array)などがある。
【実施例】
【0027】
下記の材料を用意した。
(A)熱硬化性樹脂組成物:ビフェニル型エポキシ樹脂100質量部に対して、フェノールノボラック樹脂を57.22質量部、そしてトリフェニルホスフィンを2.50質量部の割合となるように混合して調製したもの。
(B)酸化マグネシウム粉末:表面がオリゴマー状反応性シロキサン(Dynasylan1146、エボニックデグサ ジャパン(株)製)で処理された硬焼酸化マグネシウム粉末(平均粒子径:10μm)。硬焼酸化マグネシウム粉末は、ロータリーキルンで水酸化マグネシウム粉末を1800℃の温度で焼成して製造した。オリゴマー状反応性シロキサンによる表面処理は、硬焼酸化マグネシウム粉末6kgを、ヘンシェルミキサー(FM10B、三井三池化工機(株)製)に投入し、ヘンシェルミキサーの回転速度を1000rpmとして、硬焼酸化マグネシウム粉末を撹拌しながら、硬焼酸化マグネシウム粉末にオリゴマー状反応性シロキサン30gを添加して5分間撹拌を続けた後、ヘンシェルミキサーの回転速度を2000rpmに上げ、さらに40分間撹拌することにより行なった。
(C)二酸化ケイ素粉末:平均粒子径が25.1μmの球状粒子からなる溶融シリカ粉末。
【0028】
[実施例1〜2、比較例1〜2]
下記表1に示す配合量にて採取した、(A)熱硬化性樹脂組成物と(B)酸化マグネシウム粉末と(C)二酸化ケイ素粉末とを混合した。表1に、酸化マグネシウム粉末の容量と二酸化ケイ素粉末の容量との比(B:C)と、熱硬化性樹脂組成物の容量と、酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末の合計容量との比(A:B+C)を示す。
得られた混合物を、二軸ニーダーを用いて100℃の温度に加熱しながら混練した。得られた混練物を室温まで放冷した後、ミルを用いて粉砕して粉末にした。得られた粉末を加圧し、タブレットを得た。得られたタブレットを用いて、成形性、流動性(スパイラルフロー値)とを下記の方法により評価し、さらに該タブレットを用いてトランスファー成形により製造した成形体を試験片として、単位体積当たりの吸水量、熱伝導率、弾性率及び最大点応力を下記の方法により測定した。表2に、その結果を示す。
【0029】
(1)成形性
試料のタブレットを、マイクロ波加熱機を用いて予備加熱した後、トランスファー成形機の金型の上にセットする。トランスファー成形機にて、175℃の温度に加熱した金型を用いて、タブレットを6.9MPaの圧力で30秒間加圧した後、3MPaの圧力で120秒間加圧する条件にて、成形体を作成する。成形体が作成できたものを合格、成形体が作成できなかったものを不合格とする。
【0030】
(2)流動性(スパイラルフロー値)
試料のタブレットを、電子機能材料工業規格(EIMS)のT901:2006で規定するスパイラルフロー測定用金型にセットする。トランスファー成形機にて、175℃の温度に加熱した金型を用いて、タブレットを6.9MPaの圧力で60秒間加圧した後、40秒間保持する条件にて、成形体を作成し、その長さを測定する。試験は4回行ない、その平均値を求める。長さが長い方が流動性が良好である。
【0031】
(3)単位体積当たりの吸水量
前記(1)の成形性の評価と同様にして作成した成形体を試験片とする。試験片の質量(W1)を測定した後、試験片を95℃の温度に加熱した純水に投入して、該温度で24時間保持する。次いで、試験片を純水から取り出し、水分を拭き取った後、その質量(W2)を測定する。吸水量は下記の式より算出する。
吸水量(g/cm3)={W2(g)−W1(g)}/試験片の体積(cm3
【0032】
(4)熱伝導率
縦50mm×横100mm×高さ4mmの金型を用いること以外は、前記(1)の成形性の評価と同様にして作成した成形体を試験片とする。この試験片の熱伝導率を京都電子工業(株)製QTM−500を用いて測定する。
【0033】
(5)弾性率と最大点応力
縦10mm×横80mm×高さ4mmの金型を用いること以外は、前記(1)の成形性の評価と同様にして作成した成形体を試験片とする。この試験片の弾性率と最大点応力を、3点曲げ法にて、室温で2.0mm/分の条件にて測定する。
【0034】
表1
────────────────────────────────────────
配合量(g) 容量比
───────────────────── ─────────────
A B C B:C A:B+C
────────────────────────── ─────────────
実施例1 143.93 289.47 534.13 25:75 27:73
実施例2 143.93 381.06 477.59 33:67 27:73
────────────────────────── ─────────────
比較例1 159.92 0 792.03 0:100 27:73
比較例2 127.94 513.21 316.81 50:50 27:73
────────────────────────────────────────
A:熱硬化性樹脂組成物
B:酸化マグネシウム粉末
C:二酸化ケイ素粉末
【0035】
表2
────────────────────────────────────────
成形性 流動性 吸水量 熱伝導率 弾性率 最大点応力
(cm) (g/cm3) (W/m・K)(GPa) (MPa)
────────────────────────────────────────
実施例1 合格 106.5 0.0032 1.20 21.8 117
実施例2 合格 81.5 0.0032 1.33 22.7 108
────────────────────────────────────────
比較例1 合格 180.5 0.0032 0.91 19.5 155
比較例2 不合格 − − − − −
────────────────────────────────────────
【0036】
表2の結果から明らかなように、熱硬化性樹脂組成物に酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを本発明の範囲で加えて得た樹脂組成物(実施例1、2)は、熱硬化性樹脂組成物に二酸化ケイ素粉末のみを加えた樹脂組成物(比較例1)と比較して、吸水量は変化せずに、熱伝導率が向上している。本発明の範囲を超えて酸化マグネシウム粉末を加えた樹脂組成物(比較例2)は、流動性が悪くトランスファー成形により成形体を製造するのが困難になる。
【符号の説明】
【0037】
1 リードフレーム
2 半導体素子
3 ボンディングワイヤー
4 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂組成物に、該熱硬化性樹脂組成物に対して容量比で70:30〜5:95の範囲にある無機酸化物フィラーが分散されてなる熱伝導性樹脂組成物であって、該無機酸化物フィラーが、容量比で5:95〜40:60の範囲にある酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
【請求項2】
酸化マグネシウム粉末が、硬焼酸化マグネシウム粉末もしくは電融酸化マグネシウム粉末である請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項3】
酸化マグネシウム粉末が、1〜100μmの範囲に平均粒子径を有する請求項1もしくは2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項4】
二酸化ケイ素粉末が、球状粒子の粉末である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項5】
二酸化ケイ素粉末が、1〜100μmの範囲に平均粒子径を有する請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項6】
熱硬化性樹脂組成物がエポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項7】
半導体パッケージの封止用である請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項8】
半導体素子の周囲が封止材で封止された半導体パッケージであって、上記封止材が、熱硬化性樹脂組成物に、該熱硬化性樹脂組成物に対して容量比で70:30〜5:95の範囲にある無機酸化物フィラーが分散されてなる熱伝導性樹脂組成物であって、該無機酸化物フィラーが、容量比で5:95〜40:60の範囲にある酸化マグネシウム粉末と二酸化ケイ素粉末とを含むことを特徴とする熱伝導性樹脂組成物の硬化物である半導体パッケージ。

【図1】
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【公開番号】特開2012−162650(P2012−162650A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24149(P2011−24149)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(591018707)明和化成株式会社 (12)
【出願人】(000119988)宇部マテリアルズ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】