熱処理システム
【課題】複数の基板を一括して熱処理する反応炉を備えた熱処理装置に対して給電する電力設備の容量を小さくすることのできる熱処理システムを提供する。
【解決手段】基板に対して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、第1の電力変換部2a、2bは三相交流電力を直流電力に変換するためにm個(mは2以上の整数)設けられ、第2の電力変換部41〜43は、これら第1の電力変換部2a、2bに接続されて各反応炉のヒータに電力を供給する。制御部5a、5bはn個の反応炉のヒータ14〜16の消費電力の合計がm個の第1の電力変換部2a、2bの最大出力の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御する。
【解決手段】基板に対して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、第1の電力変換部2a、2bは三相交流電力を直流電力に変換するためにm個(mは2以上の整数)設けられ、第2の電力変換部41〜43は、これら第1の電力変換部2a、2bに接続されて各反応炉のヒータに電力を供給する。制御部5a、5bはn個の反応炉のヒータ14〜16の消費電力の合計がm個の第1の電力変換部2a、2bの最大出力の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を基板保持具に保持して反応炉内に搬入し、一括して熱処理する熱処理システムにおいて、反応炉のヒータに電力を供給する電力設備の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場内に設置される装置の一つとして、半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)などの基板を複数枚一括して熱処理を行う縦型熱処理装置がある。この装置における熱処理部である縦型の反応炉は、通常ゾーン毎に温度制御を行うため、夫々各ゾーンを受け持つ複数のヒータが配置されており、ウエハボートに多数枚のウエハを棚状に保持して当該ウエハボートを反応炉下部の開口部から搬入し、蓋体により当該開口部を塞ぎ、この状態でウエハに対して所定の熱処理が行われる。
【0003】
熱処理装置で電力が消費される部位としてはヒータ、ガス供給系の駆動部、ウエハボートの昇降エレベータや搬送アームの駆動部、及び制御部などであるが、主たる部位はヒータである。電力設備は装置から離れた領域に設けられ、ここからケーブルを引き回して各装置に電力が供給される。
【0004】
図12は従来の電力設備1000から熱処理装置1001のヒータに電力を供給するシステムの一例を示し、商用電力を電力設備である変圧器で分配し、分配された電力をケーブル1003によりヒータ1004に供給している。ヒータ1004としては、反応炉を5つのゾーンに分割して各ゾーンの加熱を行う5ヶ所のヒータを記載してある。
【0005】
ところでヒータの消費電力は、ウエハをウエハボートに搭載して反応炉内に搬入するとき、いわゆるロード時が最大(100%)であり、反応炉内の温度が熱処理温度に安定しているときには例えば30%程度である。その理由はロード時には反応炉の蓋体が開いており、しかも冷たいウエハの搬入により反応炉内が冷やされるため、ヒータの消費電力が大きくなるからである。これに対して熱処理時には反応炉内は密閉雰囲気であるから、ヒータの消費電力は小さくなる。
【0006】
従来は電力設備(変圧器)と反応炉とはケーブルにより1:1の関係で接続されているため、各電力設備の容量はヒータの消費電力の最大(100%)時に応じた大きさに設定する必要がある。このため反応炉の運転時間に対してロードの時間の割合が小さいにもかかわらず、電力設備としては大容量の大型のものを必要とし、広い設置スペースが要求され、またコストが高かった。
【0007】
そして半導体製造工場においては、各電力設備に対して割り当てる商用電力は、その電力設備の容量に対応する大きさであることから、縦型熱処理装置用の電力設備の容量が大きければ、工場側に大きな商用電力の割り当てを要求することになる。しかしながら工場側では電力節減を図っているためこうした要求は受け入れがたいという実情もある。
【0008】
更にまた電力設備に不具合が生じると装置が停止してしまう問題もあった。そしてゾーン制御を行っていることから、ヒータの数に対応する本数のケーブル、例えば5ゾーンのヒータを備えている場合には10本のケーブルを電力設備と装置(縦型熱処理装置)との間を引き回すため、メンテナンス作業時などには作業者の邪魔になると共に、配線工数も増加しコストアップの要因となっている。
【0009】
縦型熱処理装置の電力設備としては非特許文献1に三相交流電源から受電した電力を整流器にて直流に変換し、反応炉の各ヒータの手前に設けた電圧制御器を用いてこの直流を半波直流に再度変換してからヒータに引加することにより、ヒータの力率改善及び高調波電流の低減を図った技術が記載されているが、上述の問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】発明協会公開技報 公技番号2003−500840
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は複数の基板を一括して熱処理する反応炉を備えた熱処理装置に対して給電する電力設備の容量を小さくすることのできる熱処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る熱処理システムは、複数の基板を基板保持具に互いに並列に保持して当該基板に対して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、
三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数)の第1の電力変換部と、
これらm個の第1の電力変換部の各出力端が共通に接続された給電路と、
この給電路に接続され、各反応炉のヒータに電力を供給するための第2の電力変換部と、
n個の反応炉のヒータの消費電力の合計がm個の第1の電力変換部の最大出力の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
前記制御部は、例えば基板が保持された基板保持部の反応炉内への搬入のタイミングを制御することにより、反応炉の運転のシーケンスを制御するものである。また前記制御部は、例えば基板が保持された基板保持部を反応炉内へ搬入する動作が同時に行われる反応炉の個数を制限するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、複数の基板に一括して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数)の第1の電力変換部により電力設備を構成すると共に、装置側では各反応炉のヒータに電力を供給するための第2の電力変換部を設け、n個の反応炉のヒータの消費電力の合計がm個の第1の電力変換部の容量(最大出力)の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御している。従って各電力設備である第1の電力変換部の容量は、反応炉のヒータの消費電力の最大(100%)時よりも小さくなるので、電力設備の小型化を図ることができ、また電力設備の容量が小さくなることから、工場側に要求する商用電力も小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る成膜装置の全体構成を示す縦断側面図である。
【図2】前記成膜装置を複数個備えた熱処理システムの電力供給系統を示す系統図である。
【図3】前記熱処理システムの電力供給系統に設けられたコンバータ及びインバータの構成を示す回路図である。
【図4】前記熱処理システムの外観構成を示す斜視図である。
【図5】前記熱処理システム内の成膜装置内に設けられた装置制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】前記熱処理システム内の各成膜装置の動作シーケンスを示す説明図である。
【図7】熱処理システム内に3台の成膜装置が設けられている場合の動作シーケンスを示す説明図である。
【図8】他の実施の形態に係る熱処理システムの電力供給系統を示す系統図である。
【図9】さらに他の実施の形態に係る熱処理システムの電力供給系統を示す系統図である。
【図10】前記さらに他の実施の形態に係るコンバータ及び降圧チョッパ回路の構成を示すブロック図である。
【図11】前記さらに他の実施の形態に係る回路の第2の構成例を示すブロック図である。
【図12】従来の電力設備の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の熱処理システムが適用される縦型熱処理装置の一例を示す縦断側面図である。以下、図1に示した縦型熱処理装が、成膜用のガスを供給して装置内を加熱することによりウエハWへの成膜を実行する成膜装置として構成されている場合について説明する。図1中11は例えば縦長の円筒状に形成された石英製の反応容器であり、この反応容器11の下端は、処理対象であるウエハWの搬入出口(炉口)として開口しており、この開口部111の周縁にはフランジ部112が一体に形成されている。
【0017】
反応容器11の下方には、フランジ部112の下面に当接して開口部111を気密に閉塞する石英製の蓋体113が設けられており、この蓋体113の中央部には回転軸114が貫通して設けられている。回転軸114の上端部には、多数の基板であるウエハWを互いに並列に棚状に保持する基板保持具であるウエハボート115が搭載されている。一方、回転軸114の下端部には、当該回転軸114を回転させる駆動部をなすモータMが設けられていると共に、回転軸114は蓋体113の上面に配置された保温ユニット116によってその周囲を囲まれている。
【0018】
これら蓋体113、回転軸114、ウエハボート115及び保温ユニット116は、蓋体113の底面側に設けられた不図示のボートエレベータによって蓋体113を昇降させることにより、反応容器11内とその下方側の位置との間を移動することができる。そしてウエハWを保持したウエハボート115が反応容器11内に搬入された状態が搬入(ロード)位置、このウエハボート115が反応容器11から搬出された状態が搬出(アンロード)位置となる。
【0019】
また反応容器11の下部のフランジ部112には、反応容器11内のウエハWにガスを供給するためのインジェクタ117が挿入されており、インジェクタ117の基端側には不図示のガス供給源及びこのガス供給源から供給されるガスの供給量を調節する調節機構を備えたガスコントローラ17が接続されている。また反応容器11の上方には、当該反応容器11内を排気するための排気口が形成されており、この排気口には排気管120が設けられている。排気管120は、反応容器11内が所望の真空度となるように真空排気を行う真空ポンプ118に接続されている。
【0020】
反応容器11の周囲には、筒状の断熱材121がベース体122上に固定されており、この断熱材121の内側には例えば抵抗発熱体からなるヒータが例えば上下に複数分割して設けられている。既述のように、この種の熱処理装置1においては、ヒータの分割数は例えば4段や5段となっているものがあるが、説明の便宜上、本例においてヒータは、下段、中段、上段の3段に分割されており、分割されたヒータには下段側の1段目から順に14〜16の符号を割り当てるものとする。そしてウエハWの加熱処理雰囲気は加熱制御をする上で上下方向に3つのゾーン(上段、中段、下段)に分けられており、各ヒータ14〜16は、各ゾーン(分割領域)の加熱を受け持つように構成されている。そして、以上に説明した反応容器11、断熱材121、ヒータ14〜16などは、本発明の反応炉に相当している。
【0021】
また反応容器11内には、各ヒータ14〜16に対応した高さ位置に例えば熱電対からなる内部温度センサTC1〜TC3が設けられており、これら内部温度センサTC1〜TC3は、例えば蓋体113に固定された固定棒13の下段、中段、上段の位置に各々配設されている。
【0022】
この熱処理装置1は、反応容器11内へのウエハWの搬入(ロード)や搬出(アンロード)、反応容器11内の温度制御や各ヒータ14〜16への電力供給などの動作制御を実行するための装置制御部5を備えている。装置制御部5は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には当該熱処理装置1の作用、即ち、ウエハWが並列に保持されたウエハボート115を反応容器11内に搬入したのちウエハWへの成膜処理を実行してから、ウエハボート115を反応容器11から搬出するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0023】
本実施の形態に係る熱処理装置1は、ヒータ14〜16へ供給される電力を複数の熱処理装置1間で共同して管理するシステムを構成することにより、これらの複数台の熱処理装置1におけるトータルの消費電力を平準化して電力供給系統の最大負荷を抑えることが可能となっている。以下、当該システムの詳細な構成について説明する。
【0024】
図2は、図1を用いて説明した熱処理装置1と同様に、装置内に各々1個の反応炉を備えた例えば2台の熱処理装置1a、1bにて電力の供給系統を共用する熱処理システムの電力供給系統を示している。当該熱処理システムは、例えば電圧が数百Vの商用の三相交流電源20a、20bに接続された第1の電力変換部である例えば2個のPWMコンバータ2a、2bを備えている。各PWMコンバータ2a、2bにはコンバータ側給電路201、202が接続されており、これらは互いに合流して共通給電路203となった後、熱処理装置1a、1bの装置側給電路204に接続されている。そして熱処理装置1a、1bの各電力消費端末は、この装置側給電路204に並列に接続されている。
【0025】
ここで各熱処理装置1a、1bの電力消費端末は、互いに共通の構成となっているので、図1に記載の熱処理装置1を参照しながらこれらの説明をしておくと、各装置1a、1b内の装置側給電路204には第2の電力変換部であるインバータ31〜33を介してヒータ14〜16が接続されており、PWMコンバータ2a、2bから供給された電力は、これらインバータ31〜33にて例えば電圧が数百Vの交流に再変換された後、各ヒータ14〜16へと供給されるようになっている。
【0026】
またインバータ31〜33は、各々ヒータコントローラ41〜43と接続されており、このヒータコントローラ41〜43の指令値に基づいてヒータ14〜16への供給電力を増減することができる。ヒータコントローラ41〜43は、各ヒータ14〜16に対応した高さ位置に設けられた既述の内部温度センサTC1〜TC3と各々接続されており、反応容器11内の下段、中段、上段の各ゾーンの温度を検出した結果を取得して、装置制御部5から取得した温度設定値と比較し、温度設定値に対する検出温度の偏差に応じた大きさの指令値をインバータ31〜33に向けて出力する例えばPID制御を実行する構成となっている。
【0027】
また本例では分岐した装置側給電路204の一本は、チョッパ34を介してガスコントローラ17に接続されており、PWMコンバータ2a、2bから供給された電力がチョッパ34にて電圧調整された後、直流のままガスコントローラ17へと供給されるようになっている。
【0028】
ヒータ14〜16など、熱処理装置1の主要な電力消費端末を説明したが、熱処理装置1内の電力消費端末はこれらの例に限定されるものではない。例えば装置制御部5の制御電力や蓋体113を昇降させるボートエレベータ、回転軸114を回転させるモータMなどについても、PWMコンバータ2a、2bの負荷として装置側給電路204に接続されているが、図1や図2などではその記載を省略してある。
【0029】
以上に図1を用いて説明したヒータ14〜16やガスコントローラ17、インバータ31〜33やヒータコントローラ41〜43などは、図2に示した熱処理システム内の各熱処理装置1a、1bにほぼ同様の構成で設けられている。これらのうち、図1で示したものと同様の構成には各々図1と同じ符号を付し、「a、b」の添え字を加えて2台の熱処理装置1a、1bを区別してある。
【0030】
図3は各PWMコンバータ2a、2b(総括的にPWMコンバータ2と示してある)及びインバータ31(32、33)の構成を示す回路図であり、PWMコンバータ2は6個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)210を備えた三相ブリッジ回路として構成されている。図中、L11〜L32はリアクトル、C1〜C4はコンデンサである。また、インバータ31(32、33)についても4個のIGBT310を備えた二相ブリッジ回路として構成されていている。図中、L4はリアクトル、C5〜C6はコンデンサである。
【0031】
以上に説明した構成を備えた熱処理システムにおいて、2個のPWMコンバータ2a、2bの容量(許容最大負荷)は次のように設定されている。即ち、本実施の形態では、2個のPWMコンバータ2a、2bと2台の熱処理装置1a、1bとに1:1の対応付けをせず、2つの電源(PWMコンバータ2a、2b)全体で2台の熱処理装置1a、1bの使用電力を確保している。
【0032】
そして2台の熱処理装置1a、1bにおいて各ヒータ14a〜16a、14b〜16bの消費電力は、例えば背景技術にて説明したように、加熱されていない冷えたウエハWが反応容器11内に搬入されるウエハWのロード時のタイミングにおいて最大となり、ウエハWが搬入された後、反応容器11が蓋体113で密閉された後のタイミングなどにおいては上述の最大値よりも小さな消費電力にて安定するといったように、熱処理の運転シーケンスの状態によって大きく変化する。このため、これらヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷が同時に100%となる運転を予め制限しておくことにより、各ヒータ14a〜16a、14b〜16bの消費電力の合計がPWMコンバータ2a、2bの容量を超えないようにしている。
【0033】
上述の観点から、2個の反応炉と2個のPWMコンバータ2a、2bとを備えた本熱処理システムにおいて、PWMコンバータ2a、2bの合計の容量Qは以下の(1)式により決定される。
Q=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計2台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計2台)+予備電力 …(1)
【0034】
従ってヒータ14a〜16a、14b〜16bの100%負荷や安定時の負荷、制御電力(ボートエレベータの昇降やモータMの駆動、ガスコントローラ17a、17bの消費電力なども含む)を予め把握しておくことにより、PWMコンバータ2a、2bの合計の容量を決定することが可能となり、各PWMコンバータ2a、2bの各容量についても例えば平準化した負荷「Q/2」の値などから設計することができる。
【0035】
図4は、図2に示した熱処理システムの外観構成を示す斜視図であり、図1の縦断側面図では説明できなかったものを含めた熱処理装置1a、1bの主要な構成要素を挙げると、筐体である装置本体101と、ウエハWの搬送容器(ウエハキャリアあるいはFOUP)の搬入出が行われる搬入ポート102と、装置本体内に搬入された搬送容器からウエハWを取り出し、基板保持具であるウエハボート115にウエハWを搭載する基板搬送手段である不図示のウエハ搬送手段と、既述の反応炉(反応容器11、断熱材121、ヒータ14〜16など)とを備えたものである。この例では1つの装置(縦型熱処理装置)に1個の反応炉が設けられているが、後述するように1つの装置に複数個の反応炉が設けられる場合もある。
【0036】
また図4には、配電領域及び給電線であるケーブルについてのイメージを併せて示してあり、図中205は2個のPWMコンバータ2a、2bの出力を重畳する結合器、206は共通のケーブル(共通給電路203)から送られた電力を各熱処理装置1a、1bに分配する分配器である。
【0037】
また、図2に示すように熱処理装置1aの装置制御部5aと熱処理装置1bの装置制御部5bとは、信号ケーブル50により接続されていて、互いに通信ができるようになっている。これら装置制御部5a、5b(図1にて説明した装置制御部5に相当する)は、既述のようにコンピュータにより構成され、図5に示すようにCPU(Central Processing Unit)51a(51b)、ウエハWに対して熱処理である成膜処理を行うときの処理手順を記載したレシピを格納するレシピ格納部52a(52b)、自己の熱処理装置1a(1b)において反応容器11内へのウエハボート115の搬入(ロード)を行うタイミングを判断するタイミング判断部54a(54b)、及び他の熱処理装置1b(1a)に対して通信を行うための通信部53a(53b)を備えている。
【0038】
既述のように本例に係る熱処理システムは、2台の熱処理装置1a、1bについて、ヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷が同時に100%とならないように運転することが必要であることから、一方の熱処理装置1a(1b)のタイミング判断部54a(54b)により、他方の熱処理装置1b(1a)の運転状況に基づいて当該一方の熱処理装置1a(1a)の運転を制御するようにしている。
【0039】
ここでヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷が100%になる状態は、ウエハWを反応容器11内にロードするときである。その理由は冷たいウエハWが反応容器11内に搬入され、しかも反応容器11の開口部111が開いている状態であるためにヒータの供給電力を最大にするように制御がかかるからである。これに対してロード後にウエハWの温度が安定した後においては、ヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷は例えば30%程度になる。
【0040】
そこで一方の熱処理装置1a(1b)のタイミング制御部54a(54b)は、通信部53a(53b)を介して他方の熱処理装置1b(1a)の運転状況を問い合わせ、当該他方の熱処理装置1b(1a)が反応容器11内へのウエハWの搬入動作を行っていなければ、ウエハWの搬入動作を許可することになる。また、ロード後にウエハWの温度が安定する前にプロセス処理時の温度まで昇温を開始する場合もあるので、この場合にはウエハWを搬入した後の昇温の工程を行っている熱処理装置1a、1bがないことを条件にウエハWの搬入動作を許可してもよい。
【0041】
ウエハWの搬入が終了した直後においてはヒータ14a〜16a(14b〜16b)の負荷は依然大きいことから、例えばウエハWの搬入が終了した後、一定の時間が経過した後に許可するようにしてもよい。その後の一連の動作については、CPU51a(51b)がレシピ格納部52a(52b)からレシピを読み出し、各ゾーンを担当しているヒータ14a〜16a(14b〜16b)のヒータコントローラ41a〜43a(41b〜43b)に温度指令値を出力し、またガスコントローラ17a(17b)の制御信号を出力することになる。
【0042】
また図2、図3に示した6は熱処理装置1a、1bの稼動状態に応じて2つのPWMコンバータ2a、2bの動作を制御し、またこれらPWMコンバータ2a、2bの稼動状態に応じて熱処理装置1a、1bの稼動を制御する上位コンピュータであるシステム制御部である。システム制御部6は、例えば予め設定された定格電圧を各PWMコンバータ2a、2bの設定電圧として出力するようになっている。また例えばPWMコンバータ2a、2bに異常が発生していずれか一方が停止した場合などには、残るPWMコンバータ2a、2bから供給可能な電力に応じて熱処理装置1a、1b側の消費電力を削減するように、これら熱処理装置1a、1bの稼動調整を行う指令を出す機能も備えている。
【0043】
以上に説明した熱処理システムの作用について説明する。先ず各装置にて実行される一連の動作について説明すると、搬入ポート102にウエハWの搬送容器が載置されると、この搬送容器が装置本体101内に取り込まれ、ウエハ搬送手段によって搬送容器からウエハボート115へのウエハWの移載が行われる。ウエハWの移載を終えると、ボートエレベータにより蓋体113を上昇させてウエハボート115を反応容器11内に搬入し、蓋体113により反応容器11の開口部111を閉じる(ロード)。
【0044】
そして真空ポンプ118により反応容器11内を真空排気した後、インジェクタ117から成膜用のガスを供給しつつヒータ14〜16により反応容器11内の雰囲気及びウエハWを昇温して、これらが予め設定した温度に達してウエハWの温度が安定したらそのままプロセス処理を実行する。
【0045】
そして所定時間プロセス処理を実行したらヒータ14〜16による加熱を停止し、ウエハWや反応容器11内を降温した後、蓋体113を降下させて反応容器11からウエハボート115を搬出する。ウエハボート115の搬出を終えたらウエハボート115から搬送容器へのウエハWの移載を実行し、搬入時とは逆の経路で搬送容器を搬入ポート102まで搬送して一連の動作を終える。
【0046】
ここで図6の上段側には、上述した熱処理装置1aの一連の動作(A1〜A5)が記載されており、熱処理装置1bについても同図の下段に記載されている(B1〜B5)。この図6は横方向が時間軸になっており、従ってこの例では熱処理装置1a、1bが同時にロードになっていないが、熱処理装置1bがロードを開始しようとして熱処理装置1aに問い合わせたときにその時点がロードの動作中であれば、熱処理装置1bの装置制御部5bは、熱処理装置1aのロードが終了するまで待機し、この動作が終了した後に当該熱処理装置1bでのロードを開始する。
【0047】
このとき各熱処理装置1a、1bへの電力の供給に関して述べておくと、各PWMコンバータ2a、2bにより商用の三相交流電力が直流電力に変換され、夫々コンバータ側給電路201、202に出力される。これら直流電力は結合器205により重畳され、共通給電路203、分配器206及び装置側給電路204を介して各熱処理装置1a、1bへ供給される。
【0048】
各PWMコンバータ2a、2bの出力電圧の指令値はこの例では既述のシステム制御部6から出力され、各PWMコンバータ2a、2bは、受け取った電圧指令値と電圧センサ61の電圧検出値との偏差に基づいて三相ブリッジ回路の各IGBT210の点弧のタイミングつまり各相の位相を制御するタイミング信号を出力する。このため熱処理装置1a、1b側で消費される電力が大きくなると、各コンバータ側給電路201、202の電圧が下がろうとし、このため各PWMコンバータ2a、2bの出力電圧も下がろうとするので、三相ブリッジ回路の各トランジスタのオン時間が長くなるようにタイミング信号(制御信号)が出力され、これにより各熱処理装置1a、1bに供給される直流電圧が一定に保持される。
【0049】
また一方のPWMコンバータ2a、2bが故障により停止するなどの異常が発生した場合には、システム制御部6は当該異常が発生した旨の信号を各熱処理装置1a、1bに向けて出力する。各熱処理装置1a、1bにおいてはレシピ格納部52a、52bに予め記憶されていた電力供給系統の異常発生時用のレシピ情報に基づき、例えば消費電力が最大となるロード時からプロセス処理温度までの昇温スピードを遅くしたり、反応容器11へのウエハWの搬入枚数を減らしたりしてヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷を落とすなど、1個のPWMコンバータ2a、2bにて供給電力を賄える程度の負荷まで各熱処理装置1a、1bの消費電力を低減したうえで両装置1a、1bの運転を継続する。
【0050】
ここで例えば昇温スピードを遅くすることにより各熱処理装置1a、1bの消費電力を低減する場合には、各熱処理装置1a、1bは1個のPWMコンバータ2a、2bにて供給可能な電力に見合うようにウエハWの昇温スピードを遅くするレシピを予め記憶している。そしていずれかのPMWコンバータ2a、2bに異常が発生したことをシステム制御部6が検知すると、システム制御部6から各熱処理装置1a、1bへ向けてその旨の信号が出力される。この結果、各熱処理装置1a、1bでは、新たなレシピが選択され、その
レシピに基づいてウエハWの昇温スピードを遅くし、これにより電力の制約の範囲内での運転が継続される。
【0051】
図2に示した例ではPMWコンバータ2a、2bが2個、熱処理装置1a、1bが2台の例を示したが、一般的にPMWコンバータ2がm個(mは2以上の整数)、熱処理装置1がn台(nは2以上の整数)のときには例えば以下の要領で昇温スピードの調節が行われる。各熱処理装置1は、全熱処理装置1の合計の消費電力の最大値が残るPWMコンバータ2にて供給可能な電力に見合うように、ウエハWの昇温スピードを遅くする複数種類のレシピを1個〜k個(1≦k≦m−1の整数)のPWMコンバータ2が停止した各ケースに対応付けて記憶している。
【0052】
これらのレシピは、例えばレシピ自体の識別符号やレシピ内に記憶されているウエハWの昇温スピード、PWMコンバータ2の停止個数や稼動している(m−k)個のPWMコンバータ2から供給可能な最大電力など、レシピを選択するための情報と対応付けて記憶されている。そしてPWMコンバータ2に異常が発生した場合には、システム制御部6は異常の発生したPWMコンバータ2の個数(または稼動を継続しているPMWコンバータ2の個数)に応じてレシピを選択するための情報を示す信号を出力する。この結果、各熱処理装置1では新たなレシピが選択され、このレシピに基づいてウエハWの昇温スピードを遅くし、これにより稼動を継続しているPWMコンバータ2にて供給可能な電力の範囲内での運転が継続される。
【0053】
またシステム制御部6を介さず、異常が発生した旨の信号を各熱処理装置1がPWMコンバータ2から直接取得し、異常の発生したPWMコンバータ2の個数に対応付けて予め記憶されているレシピを選択することにより昇温スピードを遅くして、この結果、熱処理装置1のトータルの消費電力が残るPWMコンバータ2にて供給可能な電力の範囲内となるようにしてもよい。
また以上の説明では、ウエハWの昇温スピードを遅くする場合の例を中心に説明したが、各熱処理装置1へのウエハWの搬入枚数を減らす場合についても上述の各例と同様の要領により熱処理装置1の消費電力を減らすことができる。
【0054】
本実施の形態に係る熱処理システムによれば以下の効果がある。複数のウエハWに一括して熱処理を行うn個(nは2以上の整数、本例ではn=2)の反応炉(反応容器11、断熱材121、ヒータ14〜16など)を備えた熱処理システムにおいて、三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数あり、本例ではm=2)のPWMコンバータ2a、2bにより電力設備を構成すると共に、熱処理装置1a、1b側では各反応炉のヒータ14〜16に電力を供給するためのインバータ31〜33を設け、n個の反応炉のヒータ14〜16の消費電力の合計がm個のPWMコンバータ2a、2bの容量(最大出力)の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御している。従って各電力設備であるPWMコンバータ2a、2bの容量は、反応炉のヒータ14〜16の消費電力の最大(100%)時よりも小さくなるので、電力設備の小型化を図ることができ、また電力設備の容量が小さくなることから、工場側に要求する商用電力も小さくて済む。そして容量が小さくなることにより設置スペースの小型化も図ることができる。
【0055】
また2つのPWMコンバータ2a、2bによって熱処理装置1a、1bの電源系統が冗長化されているので、既述のようにPWMコンバータ2a、2bに異常が発生していずれか一方が停止した場合などにも熱処理装置1a、1bのヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷を低減するなどして熱処理システムの運転を継続することができる。
また各PWMコンバータ2a、2bと熱処理装置1a、1bとが1:1に対応付けられておらず、共通の装置側給電路204に各熱処理装置1a、1bの電力消費端末が並列に接続されているので、電力設備は装置から離れた領域から引き回される例えば共通給電路203などのケーブルの本数が2本になる。このため背景技術にて説明した10本ものケーブルを引き回す場合と比較してメンテナンス作業時などにおける作業性の向上やコスト低減に寄与する。
【0056】
本熱処理システムを適用可能な熱処理装置の台数(特許請求の範囲の「反応炉の個数」に相当する)については2台に限られず、3台以上であってもよい。この場合、例えばヒータ14〜16の100%負荷を2台許容するようにしてもよいし、1台のみ許容するようにしてもよい。図7は例えば3台の熱処理装置1a〜1cを備えるシステムにおいて、2台までの100%負荷を許容している場合である。
【0057】
各装置のタイミング制御は例えば既述の実施の形態にて説明した場合と同様に、各熱処理装置1a〜1cの装置制御部間にて通信を行い、ロードの開始タイミングを判断するようにしてもよい。つまり熱処理装置1cがこれからロードしようとするときに、他の熱処理装置1a、1bに問い合わせを行い、その時点において双方の熱処理装置1a、1bがロードの動作中であれば、熱処理装置1cは、いずれかの熱処理装置1a、1bのロードが終了するまで待機し、この動作が終了した後に当該熱処理装置1cでのロードを開始するといった場合が考えられる。
【0058】
ここで3台の熱処理装置1a〜1cのうち、1台のみの100%負荷を許容する場合には、2個のPWMコンバータ2a、2bの合計の容量Q1は以下の(2)式にて決定される。
Q1=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計3台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計3台)+予備電力 …(2)
【0059】
また装置2台を許容する場合には、2個のPWMコンバータの合計の容量Q2は以下の(3)式にて決定される。
Q2=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計3台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計3台)+予備電力 …(3)
【0060】
また例えば熱処理装置5台が接続され、2台まで同時ロードが許容されるときには2個のPWMコンバータの合計の容量Q3は以下の(4)式にて決定される。
Q3=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計5台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計5台)+予備電力 …(4)
【0061】
ここでPWMコンバータ2の個数は2個でなくとも3個以上であってもよい。また上述の各例においては、PWMコンバータ2の個数が熱処理装置1の台数以下である場合を例示しているが、PWMコンバータ2の個数の方が熱処理装置1の台数よりも多くてもよい。例えば50kVAのPWMコンバータ2を4個使って最大消費電力が100kWの熱処理装置1を3台稼動させる場合などにおいても、3台の熱処理装置1の消費電力の合計が4個のPWMコンバータ2の容量(最大出力)の合計を越えないように各熱処理装置1の運転のシーケンスを制御する場合などにおいて本発明は有効である。またこれら複数のPWMコンバータ2の容量は互いに同じでなくともよい。
【0062】
上述の例では、各熱処理装置1a、1bの装置制御部5a、5b間の通信によりウエハWの搬入を開始するタイミング(ヒータ14〜16の負荷が100%となるタイミング)を判断しているが、上位コンピュータ(例えば図2に示したシステム制御部6)が各装置1a、1bの運転状況を把握するように構成すると共に、各装置1a、1bがウエハWの搬入を行う際に上位コンピュータに許可を取りに行くようにしてもよい。
【0063】
図8は、例えば図4に図示した熱処理装置1a、1bのうちの一方側の装置本体101内に2個の反応炉10a、10b(及びその付属設備であるインバータ31a〜33a、31b〜33b、ヒータコントローラ41a〜43a、41b〜43b、ガスコントローラ17a、17b等)を備えた熱処理装置1dを示している。本例においても2個のPWMコンバータ2a、2bと2個の反応炉10a、10bとに1:1の対応付けをせず、2つの電源(PWMコンバータ2a、2b)により2個の反応炉10a、10bの使用電力を確保する本発明の熱処理システムを適用することができる。
【0064】
また図9に記載の熱処理装置1e、1fに示すように、各反応炉のヒータ14a〜16a、14b〜16bに供給する電力は、既述の交流電力の例に限定されず、直流電力にて供給してもよい。この例では例えば200Vで受電した商用の三相交流電力をPWMコンバータ2a、2bにて600Vの直流電力に昇圧し、第2の電力変換部である各高圧チョッパ71a〜73a、71b〜71bにて100Vの直流電力に降圧してヒータ14a〜16a、14b〜16bへと供給している。電力の消費端末に直流の状態で電力を供給することにより、力率ロスの発生を抑えることができる。
【0065】
この場合には降圧チョッパ71a〜73a、71b〜73bは、例えば図10のブロック図に降圧チョッパ71(72、73)として総括的に示すように、ヒータ14(15、16)に印加される直流電力の電流値と電圧値とを各々電流センサ703、電圧センサ704で監視しながら電力制御部702により降圧チョッパ回路701におけるパルス変調のデューティ比をきめ細かく調整することにより、高精度の電力制御が可能となっている。
【0066】
また図9、図10に示した例において、図11に示すように降圧チョッパ71(72、73)とヒータ14(15、16)との間にインバータ部70を設け、降圧チョッパ71(72、73)から供給される直流電流の流れる方向を定期的に、例えば各プロセス毎に、若しくは1日に数回、あるいは数日毎に逆転させることにより、例えば抵抗発熱体からなるヒータ14(15、16)でのエレクトロマイグレーションの発生を抑制してもよい。ここで図11では、図10に示した降圧チョッパ71(72、73)のうち降圧チョッパ回路701の部分を抜き出して回路表示してある。
【0067】
図11に示した例ではインバータ部70は例えば4個のIGBT705〜708を備えた二相ブリッジ回路として構成されており、本例ではIGBT705、708をオンとし、IGBT706、707をオフとすることにより「A→B」の方向に向けてヒータ14(15、16)に電流を流し、またIGBT706、707をオンとし、IGBT705、708をオフとすることにより「B→A」の方向に向けて流れる。このような電流の流れ方向の切り替えを定期的に行うことにより、ヒータ14(15、16)における電子の流れ方向が定期的に反転し、これに伴って抵抗発熱体を構成する例えば金属原子の拡散方向が反転するので、例えば同じ方向に電流を流し続ける場合に比べて各ヒータ14(15、16)におけるエレクトロマイグレーションの進行を抑えることができる。
【0068】
上述の各実施の形態においては、三相交流電源から受電した電力をPWMコンバータ2(第1の電力変換部)により直流電力に変換する例を示したが、三相交流電力の例に限られず、他の手法により受電した交流電力についても本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
W ウエハ
1、1a〜1f
熱処理装置
11 反応容器
115 ウエハボート
14〜16 ヒータ
17 ガスコントローラ
2、2a、2b
PWMコンバータ
20a、20b
三相交流電源
31〜33 インバータ
41〜43 ヒータコントローラ
5 装置制御部
6 システム制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の基板を基板保持具に保持して反応炉内に搬入し、一括して熱処理する熱処理システムにおいて、反応炉のヒータに電力を供給する電力設備の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場内に設置される装置の一つとして、半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)などの基板を複数枚一括して熱処理を行う縦型熱処理装置がある。この装置における熱処理部である縦型の反応炉は、通常ゾーン毎に温度制御を行うため、夫々各ゾーンを受け持つ複数のヒータが配置されており、ウエハボートに多数枚のウエハを棚状に保持して当該ウエハボートを反応炉下部の開口部から搬入し、蓋体により当該開口部を塞ぎ、この状態でウエハに対して所定の熱処理が行われる。
【0003】
熱処理装置で電力が消費される部位としてはヒータ、ガス供給系の駆動部、ウエハボートの昇降エレベータや搬送アームの駆動部、及び制御部などであるが、主たる部位はヒータである。電力設備は装置から離れた領域に設けられ、ここからケーブルを引き回して各装置に電力が供給される。
【0004】
図12は従来の電力設備1000から熱処理装置1001のヒータに電力を供給するシステムの一例を示し、商用電力を電力設備である変圧器で分配し、分配された電力をケーブル1003によりヒータ1004に供給している。ヒータ1004としては、反応炉を5つのゾーンに分割して各ゾーンの加熱を行う5ヶ所のヒータを記載してある。
【0005】
ところでヒータの消費電力は、ウエハをウエハボートに搭載して反応炉内に搬入するとき、いわゆるロード時が最大(100%)であり、反応炉内の温度が熱処理温度に安定しているときには例えば30%程度である。その理由はロード時には反応炉の蓋体が開いており、しかも冷たいウエハの搬入により反応炉内が冷やされるため、ヒータの消費電力が大きくなるからである。これに対して熱処理時には反応炉内は密閉雰囲気であるから、ヒータの消費電力は小さくなる。
【0006】
従来は電力設備(変圧器)と反応炉とはケーブルにより1:1の関係で接続されているため、各電力設備の容量はヒータの消費電力の最大(100%)時に応じた大きさに設定する必要がある。このため反応炉の運転時間に対してロードの時間の割合が小さいにもかかわらず、電力設備としては大容量の大型のものを必要とし、広い設置スペースが要求され、またコストが高かった。
【0007】
そして半導体製造工場においては、各電力設備に対して割り当てる商用電力は、その電力設備の容量に対応する大きさであることから、縦型熱処理装置用の電力設備の容量が大きければ、工場側に大きな商用電力の割り当てを要求することになる。しかしながら工場側では電力節減を図っているためこうした要求は受け入れがたいという実情もある。
【0008】
更にまた電力設備に不具合が生じると装置が停止してしまう問題もあった。そしてゾーン制御を行っていることから、ヒータの数に対応する本数のケーブル、例えば5ゾーンのヒータを備えている場合には10本のケーブルを電力設備と装置(縦型熱処理装置)との間を引き回すため、メンテナンス作業時などには作業者の邪魔になると共に、配線工数も増加しコストアップの要因となっている。
【0009】
縦型熱処理装置の電力設備としては非特許文献1に三相交流電源から受電した電力を整流器にて直流に変換し、反応炉の各ヒータの手前に設けた電圧制御器を用いてこの直流を半波直流に再度変換してからヒータに引加することにより、ヒータの力率改善及び高調波電流の低減を図った技術が記載されているが、上述の問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】発明協会公開技報 公技番号2003−500840
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は複数の基板を一括して熱処理する反応炉を備えた熱処理装置に対して給電する電力設備の容量を小さくすることのできる熱処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る熱処理システムは、複数の基板を基板保持具に互いに並列に保持して当該基板に対して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、
三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数)の第1の電力変換部と、
これらm個の第1の電力変換部の各出力端が共通に接続された給電路と、
この給電路に接続され、各反応炉のヒータに電力を供給するための第2の電力変換部と、
n個の反応炉のヒータの消費電力の合計がm個の第1の電力変換部の最大出力の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
前記制御部は、例えば基板が保持された基板保持部の反応炉内への搬入のタイミングを制御することにより、反応炉の運転のシーケンスを制御するものである。また前記制御部は、例えば基板が保持された基板保持部を反応炉内へ搬入する動作が同時に行われる反応炉の個数を制限するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、複数の基板に一括して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数)の第1の電力変換部により電力設備を構成すると共に、装置側では各反応炉のヒータに電力を供給するための第2の電力変換部を設け、n個の反応炉のヒータの消費電力の合計がm個の第1の電力変換部の容量(最大出力)の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御している。従って各電力設備である第1の電力変換部の容量は、反応炉のヒータの消費電力の最大(100%)時よりも小さくなるので、電力設備の小型化を図ることができ、また電力設備の容量が小さくなることから、工場側に要求する商用電力も小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施の形態に係る成膜装置の全体構成を示す縦断側面図である。
【図2】前記成膜装置を複数個備えた熱処理システムの電力供給系統を示す系統図である。
【図3】前記熱処理システムの電力供給系統に設けられたコンバータ及びインバータの構成を示す回路図である。
【図4】前記熱処理システムの外観構成を示す斜視図である。
【図5】前記熱処理システム内の成膜装置内に設けられた装置制御部の構成を示すブロック図である。
【図6】前記熱処理システム内の各成膜装置の動作シーケンスを示す説明図である。
【図7】熱処理システム内に3台の成膜装置が設けられている場合の動作シーケンスを示す説明図である。
【図8】他の実施の形態に係る熱処理システムの電力供給系統を示す系統図である。
【図9】さらに他の実施の形態に係る熱処理システムの電力供給系統を示す系統図である。
【図10】前記さらに他の実施の形態に係るコンバータ及び降圧チョッパ回路の構成を示すブロック図である。
【図11】前記さらに他の実施の形態に係る回路の第2の構成例を示すブロック図である。
【図12】従来の電力設備の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の熱処理システムが適用される縦型熱処理装置の一例を示す縦断側面図である。以下、図1に示した縦型熱処理装が、成膜用のガスを供給して装置内を加熱することによりウエハWへの成膜を実行する成膜装置として構成されている場合について説明する。図1中11は例えば縦長の円筒状に形成された石英製の反応容器であり、この反応容器11の下端は、処理対象であるウエハWの搬入出口(炉口)として開口しており、この開口部111の周縁にはフランジ部112が一体に形成されている。
【0017】
反応容器11の下方には、フランジ部112の下面に当接して開口部111を気密に閉塞する石英製の蓋体113が設けられており、この蓋体113の中央部には回転軸114が貫通して設けられている。回転軸114の上端部には、多数の基板であるウエハWを互いに並列に棚状に保持する基板保持具であるウエハボート115が搭載されている。一方、回転軸114の下端部には、当該回転軸114を回転させる駆動部をなすモータMが設けられていると共に、回転軸114は蓋体113の上面に配置された保温ユニット116によってその周囲を囲まれている。
【0018】
これら蓋体113、回転軸114、ウエハボート115及び保温ユニット116は、蓋体113の底面側に設けられた不図示のボートエレベータによって蓋体113を昇降させることにより、反応容器11内とその下方側の位置との間を移動することができる。そしてウエハWを保持したウエハボート115が反応容器11内に搬入された状態が搬入(ロード)位置、このウエハボート115が反応容器11から搬出された状態が搬出(アンロード)位置となる。
【0019】
また反応容器11の下部のフランジ部112には、反応容器11内のウエハWにガスを供給するためのインジェクタ117が挿入されており、インジェクタ117の基端側には不図示のガス供給源及びこのガス供給源から供給されるガスの供給量を調節する調節機構を備えたガスコントローラ17が接続されている。また反応容器11の上方には、当該反応容器11内を排気するための排気口が形成されており、この排気口には排気管120が設けられている。排気管120は、反応容器11内が所望の真空度となるように真空排気を行う真空ポンプ118に接続されている。
【0020】
反応容器11の周囲には、筒状の断熱材121がベース体122上に固定されており、この断熱材121の内側には例えば抵抗発熱体からなるヒータが例えば上下に複数分割して設けられている。既述のように、この種の熱処理装置1においては、ヒータの分割数は例えば4段や5段となっているものがあるが、説明の便宜上、本例においてヒータは、下段、中段、上段の3段に分割されており、分割されたヒータには下段側の1段目から順に14〜16の符号を割り当てるものとする。そしてウエハWの加熱処理雰囲気は加熱制御をする上で上下方向に3つのゾーン(上段、中段、下段)に分けられており、各ヒータ14〜16は、各ゾーン(分割領域)の加熱を受け持つように構成されている。そして、以上に説明した反応容器11、断熱材121、ヒータ14〜16などは、本発明の反応炉に相当している。
【0021】
また反応容器11内には、各ヒータ14〜16に対応した高さ位置に例えば熱電対からなる内部温度センサTC1〜TC3が設けられており、これら内部温度センサTC1〜TC3は、例えば蓋体113に固定された固定棒13の下段、中段、上段の位置に各々配設されている。
【0022】
この熱処理装置1は、反応容器11内へのウエハWの搬入(ロード)や搬出(アンロード)、反応容器11内の温度制御や各ヒータ14〜16への電力供給などの動作制御を実行するための装置制御部5を備えている。装置制御部5は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には当該熱処理装置1の作用、即ち、ウエハWが並列に保持されたウエハボート115を反応容器11内に搬入したのちウエハWへの成膜処理を実行してから、ウエハボート115を反応容器11から搬出するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0023】
本実施の形態に係る熱処理装置1は、ヒータ14〜16へ供給される電力を複数の熱処理装置1間で共同して管理するシステムを構成することにより、これらの複数台の熱処理装置1におけるトータルの消費電力を平準化して電力供給系統の最大負荷を抑えることが可能となっている。以下、当該システムの詳細な構成について説明する。
【0024】
図2は、図1を用いて説明した熱処理装置1と同様に、装置内に各々1個の反応炉を備えた例えば2台の熱処理装置1a、1bにて電力の供給系統を共用する熱処理システムの電力供給系統を示している。当該熱処理システムは、例えば電圧が数百Vの商用の三相交流電源20a、20bに接続された第1の電力変換部である例えば2個のPWMコンバータ2a、2bを備えている。各PWMコンバータ2a、2bにはコンバータ側給電路201、202が接続されており、これらは互いに合流して共通給電路203となった後、熱処理装置1a、1bの装置側給電路204に接続されている。そして熱処理装置1a、1bの各電力消費端末は、この装置側給電路204に並列に接続されている。
【0025】
ここで各熱処理装置1a、1bの電力消費端末は、互いに共通の構成となっているので、図1に記載の熱処理装置1を参照しながらこれらの説明をしておくと、各装置1a、1b内の装置側給電路204には第2の電力変換部であるインバータ31〜33を介してヒータ14〜16が接続されており、PWMコンバータ2a、2bから供給された電力は、これらインバータ31〜33にて例えば電圧が数百Vの交流に再変換された後、各ヒータ14〜16へと供給されるようになっている。
【0026】
またインバータ31〜33は、各々ヒータコントローラ41〜43と接続されており、このヒータコントローラ41〜43の指令値に基づいてヒータ14〜16への供給電力を増減することができる。ヒータコントローラ41〜43は、各ヒータ14〜16に対応した高さ位置に設けられた既述の内部温度センサTC1〜TC3と各々接続されており、反応容器11内の下段、中段、上段の各ゾーンの温度を検出した結果を取得して、装置制御部5から取得した温度設定値と比較し、温度設定値に対する検出温度の偏差に応じた大きさの指令値をインバータ31〜33に向けて出力する例えばPID制御を実行する構成となっている。
【0027】
また本例では分岐した装置側給電路204の一本は、チョッパ34を介してガスコントローラ17に接続されており、PWMコンバータ2a、2bから供給された電力がチョッパ34にて電圧調整された後、直流のままガスコントローラ17へと供給されるようになっている。
【0028】
ヒータ14〜16など、熱処理装置1の主要な電力消費端末を説明したが、熱処理装置1内の電力消費端末はこれらの例に限定されるものではない。例えば装置制御部5の制御電力や蓋体113を昇降させるボートエレベータ、回転軸114を回転させるモータMなどについても、PWMコンバータ2a、2bの負荷として装置側給電路204に接続されているが、図1や図2などではその記載を省略してある。
【0029】
以上に図1を用いて説明したヒータ14〜16やガスコントローラ17、インバータ31〜33やヒータコントローラ41〜43などは、図2に示した熱処理システム内の各熱処理装置1a、1bにほぼ同様の構成で設けられている。これらのうち、図1で示したものと同様の構成には各々図1と同じ符号を付し、「a、b」の添え字を加えて2台の熱処理装置1a、1bを区別してある。
【0030】
図3は各PWMコンバータ2a、2b(総括的にPWMコンバータ2と示してある)及びインバータ31(32、33)の構成を示す回路図であり、PWMコンバータ2は6個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)210を備えた三相ブリッジ回路として構成されている。図中、L11〜L32はリアクトル、C1〜C4はコンデンサである。また、インバータ31(32、33)についても4個のIGBT310を備えた二相ブリッジ回路として構成されていている。図中、L4はリアクトル、C5〜C6はコンデンサである。
【0031】
以上に説明した構成を備えた熱処理システムにおいて、2個のPWMコンバータ2a、2bの容量(許容最大負荷)は次のように設定されている。即ち、本実施の形態では、2個のPWMコンバータ2a、2bと2台の熱処理装置1a、1bとに1:1の対応付けをせず、2つの電源(PWMコンバータ2a、2b)全体で2台の熱処理装置1a、1bの使用電力を確保している。
【0032】
そして2台の熱処理装置1a、1bにおいて各ヒータ14a〜16a、14b〜16bの消費電力は、例えば背景技術にて説明したように、加熱されていない冷えたウエハWが反応容器11内に搬入されるウエハWのロード時のタイミングにおいて最大となり、ウエハWが搬入された後、反応容器11が蓋体113で密閉された後のタイミングなどにおいては上述の最大値よりも小さな消費電力にて安定するといったように、熱処理の運転シーケンスの状態によって大きく変化する。このため、これらヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷が同時に100%となる運転を予め制限しておくことにより、各ヒータ14a〜16a、14b〜16bの消費電力の合計がPWMコンバータ2a、2bの容量を超えないようにしている。
【0033】
上述の観点から、2個の反応炉と2個のPWMコンバータ2a、2bとを備えた本熱処理システムにおいて、PWMコンバータ2a、2bの合計の容量Qは以下の(1)式により決定される。
Q=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計2台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計2台)+予備電力 …(1)
【0034】
従ってヒータ14a〜16a、14b〜16bの100%負荷や安定時の負荷、制御電力(ボートエレベータの昇降やモータMの駆動、ガスコントローラ17a、17bの消費電力なども含む)を予め把握しておくことにより、PWMコンバータ2a、2bの合計の容量を決定することが可能となり、各PWMコンバータ2a、2bの各容量についても例えば平準化した負荷「Q/2」の値などから設計することができる。
【0035】
図4は、図2に示した熱処理システムの外観構成を示す斜視図であり、図1の縦断側面図では説明できなかったものを含めた熱処理装置1a、1bの主要な構成要素を挙げると、筐体である装置本体101と、ウエハWの搬送容器(ウエハキャリアあるいはFOUP)の搬入出が行われる搬入ポート102と、装置本体内に搬入された搬送容器からウエハWを取り出し、基板保持具であるウエハボート115にウエハWを搭載する基板搬送手段である不図示のウエハ搬送手段と、既述の反応炉(反応容器11、断熱材121、ヒータ14〜16など)とを備えたものである。この例では1つの装置(縦型熱処理装置)に1個の反応炉が設けられているが、後述するように1つの装置に複数個の反応炉が設けられる場合もある。
【0036】
また図4には、配電領域及び給電線であるケーブルについてのイメージを併せて示してあり、図中205は2個のPWMコンバータ2a、2bの出力を重畳する結合器、206は共通のケーブル(共通給電路203)から送られた電力を各熱処理装置1a、1bに分配する分配器である。
【0037】
また、図2に示すように熱処理装置1aの装置制御部5aと熱処理装置1bの装置制御部5bとは、信号ケーブル50により接続されていて、互いに通信ができるようになっている。これら装置制御部5a、5b(図1にて説明した装置制御部5に相当する)は、既述のようにコンピュータにより構成され、図5に示すようにCPU(Central Processing Unit)51a(51b)、ウエハWに対して熱処理である成膜処理を行うときの処理手順を記載したレシピを格納するレシピ格納部52a(52b)、自己の熱処理装置1a(1b)において反応容器11内へのウエハボート115の搬入(ロード)を行うタイミングを判断するタイミング判断部54a(54b)、及び他の熱処理装置1b(1a)に対して通信を行うための通信部53a(53b)を備えている。
【0038】
既述のように本例に係る熱処理システムは、2台の熱処理装置1a、1bについて、ヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷が同時に100%とならないように運転することが必要であることから、一方の熱処理装置1a(1b)のタイミング判断部54a(54b)により、他方の熱処理装置1b(1a)の運転状況に基づいて当該一方の熱処理装置1a(1a)の運転を制御するようにしている。
【0039】
ここでヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷が100%になる状態は、ウエハWを反応容器11内にロードするときである。その理由は冷たいウエハWが反応容器11内に搬入され、しかも反応容器11の開口部111が開いている状態であるためにヒータの供給電力を最大にするように制御がかかるからである。これに対してロード後にウエハWの温度が安定した後においては、ヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷は例えば30%程度になる。
【0040】
そこで一方の熱処理装置1a(1b)のタイミング制御部54a(54b)は、通信部53a(53b)を介して他方の熱処理装置1b(1a)の運転状況を問い合わせ、当該他方の熱処理装置1b(1a)が反応容器11内へのウエハWの搬入動作を行っていなければ、ウエハWの搬入動作を許可することになる。また、ロード後にウエハWの温度が安定する前にプロセス処理時の温度まで昇温を開始する場合もあるので、この場合にはウエハWを搬入した後の昇温の工程を行っている熱処理装置1a、1bがないことを条件にウエハWの搬入動作を許可してもよい。
【0041】
ウエハWの搬入が終了した直後においてはヒータ14a〜16a(14b〜16b)の負荷は依然大きいことから、例えばウエハWの搬入が終了した後、一定の時間が経過した後に許可するようにしてもよい。その後の一連の動作については、CPU51a(51b)がレシピ格納部52a(52b)からレシピを読み出し、各ゾーンを担当しているヒータ14a〜16a(14b〜16b)のヒータコントローラ41a〜43a(41b〜43b)に温度指令値を出力し、またガスコントローラ17a(17b)の制御信号を出力することになる。
【0042】
また図2、図3に示した6は熱処理装置1a、1bの稼動状態に応じて2つのPWMコンバータ2a、2bの動作を制御し、またこれらPWMコンバータ2a、2bの稼動状態に応じて熱処理装置1a、1bの稼動を制御する上位コンピュータであるシステム制御部である。システム制御部6は、例えば予め設定された定格電圧を各PWMコンバータ2a、2bの設定電圧として出力するようになっている。また例えばPWMコンバータ2a、2bに異常が発生していずれか一方が停止した場合などには、残るPWMコンバータ2a、2bから供給可能な電力に応じて熱処理装置1a、1b側の消費電力を削減するように、これら熱処理装置1a、1bの稼動調整を行う指令を出す機能も備えている。
【0043】
以上に説明した熱処理システムの作用について説明する。先ず各装置にて実行される一連の動作について説明すると、搬入ポート102にウエハWの搬送容器が載置されると、この搬送容器が装置本体101内に取り込まれ、ウエハ搬送手段によって搬送容器からウエハボート115へのウエハWの移載が行われる。ウエハWの移載を終えると、ボートエレベータにより蓋体113を上昇させてウエハボート115を反応容器11内に搬入し、蓋体113により反応容器11の開口部111を閉じる(ロード)。
【0044】
そして真空ポンプ118により反応容器11内を真空排気した後、インジェクタ117から成膜用のガスを供給しつつヒータ14〜16により反応容器11内の雰囲気及びウエハWを昇温して、これらが予め設定した温度に達してウエハWの温度が安定したらそのままプロセス処理を実行する。
【0045】
そして所定時間プロセス処理を実行したらヒータ14〜16による加熱を停止し、ウエハWや反応容器11内を降温した後、蓋体113を降下させて反応容器11からウエハボート115を搬出する。ウエハボート115の搬出を終えたらウエハボート115から搬送容器へのウエハWの移載を実行し、搬入時とは逆の経路で搬送容器を搬入ポート102まで搬送して一連の動作を終える。
【0046】
ここで図6の上段側には、上述した熱処理装置1aの一連の動作(A1〜A5)が記載されており、熱処理装置1bについても同図の下段に記載されている(B1〜B5)。この図6は横方向が時間軸になっており、従ってこの例では熱処理装置1a、1bが同時にロードになっていないが、熱処理装置1bがロードを開始しようとして熱処理装置1aに問い合わせたときにその時点がロードの動作中であれば、熱処理装置1bの装置制御部5bは、熱処理装置1aのロードが終了するまで待機し、この動作が終了した後に当該熱処理装置1bでのロードを開始する。
【0047】
このとき各熱処理装置1a、1bへの電力の供給に関して述べておくと、各PWMコンバータ2a、2bにより商用の三相交流電力が直流電力に変換され、夫々コンバータ側給電路201、202に出力される。これら直流電力は結合器205により重畳され、共通給電路203、分配器206及び装置側給電路204を介して各熱処理装置1a、1bへ供給される。
【0048】
各PWMコンバータ2a、2bの出力電圧の指令値はこの例では既述のシステム制御部6から出力され、各PWMコンバータ2a、2bは、受け取った電圧指令値と電圧センサ61の電圧検出値との偏差に基づいて三相ブリッジ回路の各IGBT210の点弧のタイミングつまり各相の位相を制御するタイミング信号を出力する。このため熱処理装置1a、1b側で消費される電力が大きくなると、各コンバータ側給電路201、202の電圧が下がろうとし、このため各PWMコンバータ2a、2bの出力電圧も下がろうとするので、三相ブリッジ回路の各トランジスタのオン時間が長くなるようにタイミング信号(制御信号)が出力され、これにより各熱処理装置1a、1bに供給される直流電圧が一定に保持される。
【0049】
また一方のPWMコンバータ2a、2bが故障により停止するなどの異常が発生した場合には、システム制御部6は当該異常が発生した旨の信号を各熱処理装置1a、1bに向けて出力する。各熱処理装置1a、1bにおいてはレシピ格納部52a、52bに予め記憶されていた電力供給系統の異常発生時用のレシピ情報に基づき、例えば消費電力が最大となるロード時からプロセス処理温度までの昇温スピードを遅くしたり、反応容器11へのウエハWの搬入枚数を減らしたりしてヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷を落とすなど、1個のPWMコンバータ2a、2bにて供給電力を賄える程度の負荷まで各熱処理装置1a、1bの消費電力を低減したうえで両装置1a、1bの運転を継続する。
【0050】
ここで例えば昇温スピードを遅くすることにより各熱処理装置1a、1bの消費電力を低減する場合には、各熱処理装置1a、1bは1個のPWMコンバータ2a、2bにて供給可能な電力に見合うようにウエハWの昇温スピードを遅くするレシピを予め記憶している。そしていずれかのPMWコンバータ2a、2bに異常が発生したことをシステム制御部6が検知すると、システム制御部6から各熱処理装置1a、1bへ向けてその旨の信号が出力される。この結果、各熱処理装置1a、1bでは、新たなレシピが選択され、その
レシピに基づいてウエハWの昇温スピードを遅くし、これにより電力の制約の範囲内での運転が継続される。
【0051】
図2に示した例ではPMWコンバータ2a、2bが2個、熱処理装置1a、1bが2台の例を示したが、一般的にPMWコンバータ2がm個(mは2以上の整数)、熱処理装置1がn台(nは2以上の整数)のときには例えば以下の要領で昇温スピードの調節が行われる。各熱処理装置1は、全熱処理装置1の合計の消費電力の最大値が残るPWMコンバータ2にて供給可能な電力に見合うように、ウエハWの昇温スピードを遅くする複数種類のレシピを1個〜k個(1≦k≦m−1の整数)のPWMコンバータ2が停止した各ケースに対応付けて記憶している。
【0052】
これらのレシピは、例えばレシピ自体の識別符号やレシピ内に記憶されているウエハWの昇温スピード、PWMコンバータ2の停止個数や稼動している(m−k)個のPWMコンバータ2から供給可能な最大電力など、レシピを選択するための情報と対応付けて記憶されている。そしてPWMコンバータ2に異常が発生した場合には、システム制御部6は異常の発生したPWMコンバータ2の個数(または稼動を継続しているPMWコンバータ2の個数)に応じてレシピを選択するための情報を示す信号を出力する。この結果、各熱処理装置1では新たなレシピが選択され、このレシピに基づいてウエハWの昇温スピードを遅くし、これにより稼動を継続しているPWMコンバータ2にて供給可能な電力の範囲内での運転が継続される。
【0053】
またシステム制御部6を介さず、異常が発生した旨の信号を各熱処理装置1がPWMコンバータ2から直接取得し、異常の発生したPWMコンバータ2の個数に対応付けて予め記憶されているレシピを選択することにより昇温スピードを遅くして、この結果、熱処理装置1のトータルの消費電力が残るPWMコンバータ2にて供給可能な電力の範囲内となるようにしてもよい。
また以上の説明では、ウエハWの昇温スピードを遅くする場合の例を中心に説明したが、各熱処理装置1へのウエハWの搬入枚数を減らす場合についても上述の各例と同様の要領により熱処理装置1の消費電力を減らすことができる。
【0054】
本実施の形態に係る熱処理システムによれば以下の効果がある。複数のウエハWに一括して熱処理を行うn個(nは2以上の整数、本例ではn=2)の反応炉(反応容器11、断熱材121、ヒータ14〜16など)を備えた熱処理システムにおいて、三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数あり、本例ではm=2)のPWMコンバータ2a、2bにより電力設備を構成すると共に、熱処理装置1a、1b側では各反応炉のヒータ14〜16に電力を供給するためのインバータ31〜33を設け、n個の反応炉のヒータ14〜16の消費電力の合計がm個のPWMコンバータ2a、2bの容量(最大出力)の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御している。従って各電力設備であるPWMコンバータ2a、2bの容量は、反応炉のヒータ14〜16の消費電力の最大(100%)時よりも小さくなるので、電力設備の小型化を図ることができ、また電力設備の容量が小さくなることから、工場側に要求する商用電力も小さくて済む。そして容量が小さくなることにより設置スペースの小型化も図ることができる。
【0055】
また2つのPWMコンバータ2a、2bによって熱処理装置1a、1bの電源系統が冗長化されているので、既述のようにPWMコンバータ2a、2bに異常が発生していずれか一方が停止した場合などにも熱処理装置1a、1bのヒータ14a〜16a、14b〜16bの負荷を低減するなどして熱処理システムの運転を継続することができる。
また各PWMコンバータ2a、2bと熱処理装置1a、1bとが1:1に対応付けられておらず、共通の装置側給電路204に各熱処理装置1a、1bの電力消費端末が並列に接続されているので、電力設備は装置から離れた領域から引き回される例えば共通給電路203などのケーブルの本数が2本になる。このため背景技術にて説明した10本ものケーブルを引き回す場合と比較してメンテナンス作業時などにおける作業性の向上やコスト低減に寄与する。
【0056】
本熱処理システムを適用可能な熱処理装置の台数(特許請求の範囲の「反応炉の個数」に相当する)については2台に限られず、3台以上であってもよい。この場合、例えばヒータ14〜16の100%負荷を2台許容するようにしてもよいし、1台のみ許容するようにしてもよい。図7は例えば3台の熱処理装置1a〜1cを備えるシステムにおいて、2台までの100%負荷を許容している場合である。
【0057】
各装置のタイミング制御は例えば既述の実施の形態にて説明した場合と同様に、各熱処理装置1a〜1cの装置制御部間にて通信を行い、ロードの開始タイミングを判断するようにしてもよい。つまり熱処理装置1cがこれからロードしようとするときに、他の熱処理装置1a、1bに問い合わせを行い、その時点において双方の熱処理装置1a、1bがロードの動作中であれば、熱処理装置1cは、いずれかの熱処理装置1a、1bのロードが終了するまで待機し、この動作が終了した後に当該熱処理装置1cでのロードを開始するといった場合が考えられる。
【0058】
ここで3台の熱処理装置1a〜1cのうち、1台のみの100%負荷を許容する場合には、2個のPWMコンバータ2a、2bの合計の容量Q1は以下の(2)式にて決定される。
Q1=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計3台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉1台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計3台)+予備電力 …(2)
【0059】
また装置2台を許容する場合には、2個のPWMコンバータの合計の容量Q2は以下の(3)式にて決定される。
Q2=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計3台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計3台)+予備電力 …(3)
【0060】
また例えば熱処理装置5台が接続され、2台まで同時ロードが許容されるときには2個のPWMコンバータの合計の容量Q3は以下の(4)式にて決定される。
Q3=(100%負荷時のヒータの消費電力)×(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)+(安定しているヒータの消費電力)×{(反応炉合計5台)−(ヒータの100%負荷を同時に許容する反応炉2台)}+(制御電力)×(反応炉を備えた熱処理装置の合計5台)+予備電力 …(4)
【0061】
ここでPWMコンバータ2の個数は2個でなくとも3個以上であってもよい。また上述の各例においては、PWMコンバータ2の個数が熱処理装置1の台数以下である場合を例示しているが、PWMコンバータ2の個数の方が熱処理装置1の台数よりも多くてもよい。例えば50kVAのPWMコンバータ2を4個使って最大消費電力が100kWの熱処理装置1を3台稼動させる場合などにおいても、3台の熱処理装置1の消費電力の合計が4個のPWMコンバータ2の容量(最大出力)の合計を越えないように各熱処理装置1の運転のシーケンスを制御する場合などにおいて本発明は有効である。またこれら複数のPWMコンバータ2の容量は互いに同じでなくともよい。
【0062】
上述の例では、各熱処理装置1a、1bの装置制御部5a、5b間の通信によりウエハWの搬入を開始するタイミング(ヒータ14〜16の負荷が100%となるタイミング)を判断しているが、上位コンピュータ(例えば図2に示したシステム制御部6)が各装置1a、1bの運転状況を把握するように構成すると共に、各装置1a、1bがウエハWの搬入を行う際に上位コンピュータに許可を取りに行くようにしてもよい。
【0063】
図8は、例えば図4に図示した熱処理装置1a、1bのうちの一方側の装置本体101内に2個の反応炉10a、10b(及びその付属設備であるインバータ31a〜33a、31b〜33b、ヒータコントローラ41a〜43a、41b〜43b、ガスコントローラ17a、17b等)を備えた熱処理装置1dを示している。本例においても2個のPWMコンバータ2a、2bと2個の反応炉10a、10bとに1:1の対応付けをせず、2つの電源(PWMコンバータ2a、2b)により2個の反応炉10a、10bの使用電力を確保する本発明の熱処理システムを適用することができる。
【0064】
また図9に記載の熱処理装置1e、1fに示すように、各反応炉のヒータ14a〜16a、14b〜16bに供給する電力は、既述の交流電力の例に限定されず、直流電力にて供給してもよい。この例では例えば200Vで受電した商用の三相交流電力をPWMコンバータ2a、2bにて600Vの直流電力に昇圧し、第2の電力変換部である各高圧チョッパ71a〜73a、71b〜71bにて100Vの直流電力に降圧してヒータ14a〜16a、14b〜16bへと供給している。電力の消費端末に直流の状態で電力を供給することにより、力率ロスの発生を抑えることができる。
【0065】
この場合には降圧チョッパ71a〜73a、71b〜73bは、例えば図10のブロック図に降圧チョッパ71(72、73)として総括的に示すように、ヒータ14(15、16)に印加される直流電力の電流値と電圧値とを各々電流センサ703、電圧センサ704で監視しながら電力制御部702により降圧チョッパ回路701におけるパルス変調のデューティ比をきめ細かく調整することにより、高精度の電力制御が可能となっている。
【0066】
また図9、図10に示した例において、図11に示すように降圧チョッパ71(72、73)とヒータ14(15、16)との間にインバータ部70を設け、降圧チョッパ71(72、73)から供給される直流電流の流れる方向を定期的に、例えば各プロセス毎に、若しくは1日に数回、あるいは数日毎に逆転させることにより、例えば抵抗発熱体からなるヒータ14(15、16)でのエレクトロマイグレーションの発生を抑制してもよい。ここで図11では、図10に示した降圧チョッパ71(72、73)のうち降圧チョッパ回路701の部分を抜き出して回路表示してある。
【0067】
図11に示した例ではインバータ部70は例えば4個のIGBT705〜708を備えた二相ブリッジ回路として構成されており、本例ではIGBT705、708をオンとし、IGBT706、707をオフとすることにより「A→B」の方向に向けてヒータ14(15、16)に電流を流し、またIGBT706、707をオンとし、IGBT705、708をオフとすることにより「B→A」の方向に向けて流れる。このような電流の流れ方向の切り替えを定期的に行うことにより、ヒータ14(15、16)における電子の流れ方向が定期的に反転し、これに伴って抵抗発熱体を構成する例えば金属原子の拡散方向が反転するので、例えば同じ方向に電流を流し続ける場合に比べて各ヒータ14(15、16)におけるエレクトロマイグレーションの進行を抑えることができる。
【0068】
上述の各実施の形態においては、三相交流電源から受電した電力をPWMコンバータ2(第1の電力変換部)により直流電力に変換する例を示したが、三相交流電力の例に限られず、他の手法により受電した交流電力についても本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
W ウエハ
1、1a〜1f
熱処理装置
11 反応容器
115 ウエハボート
14〜16 ヒータ
17 ガスコントローラ
2、2a、2b
PWMコンバータ
20a、20b
三相交流電源
31〜33 インバータ
41〜43 ヒータコントローラ
5 装置制御部
6 システム制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を基板保持具に互いに並列に保持して当該基板に対して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、
三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数)の第1の電力変換部と、
これらm個の第1の電力変換部の各出力端が共通に接続された給電路と、
この給電路に接続され、各反応炉のヒータに電力を供給するための第2の電力変換部と、
n個の反応炉のヒータの消費電力の合計がm個の第1の電力変換部の最大出力の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御する制御部と、を備えていることを特徴とする熱処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、基板が保持された基板保持部の反応炉内への搬入のタイミングを制御することにより、反応炉の運転のシーケンスを制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、基板が保持された基板保持部を反応炉内へ搬入する動作が同時に行われる反応炉の個数を制限するものであることを特徴とする請求項2に記載の熱処理システム。
【請求項1】
複数の基板を基板保持具に互いに並列に保持して当該基板に対して熱処理を行うn個(nは2以上の整数)の反応炉を備えた熱処理システムにおいて、
三相交流電力を直流電力に変換するためのm個(mは2以上の整数)の第1の電力変換部と、
これらm個の第1の電力変換部の各出力端が共通に接続された給電路と、
この給電路に接続され、各反応炉のヒータに電力を供給するための第2の電力変換部と、
n個の反応炉のヒータの消費電力の合計がm個の第1の電力変換部の最大出力の合計を越えないように各反応炉の運転のシーケンスを制御する制御部と、を備えていることを特徴とする熱処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、基板が保持された基板保持部の反応炉内への搬入のタイミングを制御することにより、反応炉の運転のシーケンスを制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、基板が保持された基板保持部を反応炉内へ搬入する動作が同時に行われる反応炉の個数を制限するものであることを特徴とする請求項2に記載の熱処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−259298(P2010−259298A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109967(P2009−109967)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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