説明

熱可塑性ポリマーを含む剥離被膜

1つ以上の熱可塑性シリコーン含有ポリマー及びシリコーン含有ポリマーと異なる1つ以上のその他の熱可塑性ポリマーを含む剥離被膜。剥離被膜を包含する物品、剥離被膜及び物品を作製する方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
通常粘着性の感圧接着剤(PSA)材料は、半世紀以上にわたって用いられてきた。テープ、ラベル、及び他のタイプの接着剤被覆シートの形を取るこのタイプの製品は、他の表面への意図しない接着から保護されなければならない。従って、テープは、典型的には、テープ自体のバッキング上でロールに巻き取られ、ラベルは、典型的には、他の表面への偶発的接着を防ぐとともに空気中のダスト及び他の異物による汚染も防ぐために剥離シートに積層(レリース・シート)される。
【0002】
テープバッキングへの接着剤の好ましくない移行を伴わずにテープのロールを巻き出すことを可能にするために、通例、低粘着性バックサイズ(LAB)がテープバッキングに提供される。同様に、接着剤被覆ラベルが典型的に積層される剥離シート又は剥離ライナーは、ラベルからのライナーの容易な除去を可能にするために剥離被膜(レリース・コーティング)を与えられる。このLAB又は剥離被膜は、接着剤に悪影響を及ぼさないため、及び剥離レベルが経時的に比較的予想可能なままであるように耐老化性であるために対象接着剤に対する適切な剥離レベルを再現可能にもたらすことが期待される。
【0003】
シリコーン、フッ素含有ポリマーなどの低臨界表面張力を有する種々のポリマー及び長アルキル鎖分岐ポリマーは、剥離被膜(例えばLAB)として有用である。長アルキル鎖分岐ポリマーは、PSAテープのために特に望ましい中剥離値の剥離被膜を調製するために使用できるワックス質化合物である。剥離被膜の特許には、シリコーンポリ尿素の使用も記載されている。適したシリコーンポリ尿素ポリマーは、典型的には、ポリジメチルシロキサンのランダムブロック、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドのソフトセグメント、及び低分子量ジアミン/ジイソシアネート製品のハードセグメントを含む。これらは、水性又は溶媒性のポリマーであることが可能であり、典型的には非多孔質フィルムに被着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ポリプロピレン裏材等の裏材に塗布できるその他の低粘着性バックサイズ被膜が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
おむつ産業における多くの接着物品、特に締結テープとしては、基材、典型的にそれに配置された剥離被膜を有するポリプロピレン裏材が挙げられる。接着剤を使用しないその他の基材としては、剥離被膜も挙げられる。そのような物品が、本発明により提供される。
【0006】
1つの実施形態において、基材と基材上に配置された剥離被膜を含む物品が提供され、剥離被膜は、シリコーン含有ポリマーの総重量の15重量%を超えるシリコーンセグメント及び65重量%未満のシリコーンセグメントを有する熱可塑性シリコーン含有ポリマーと、水分散性である二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを含む。この実施形態において、剥離被膜は、水及び任意成分の水混和性有機共溶媒でコーティングされる。好ましくは、構成成分は、剥離被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックガラス転移温度(Tg)を有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示すように選択される(実施例の項に記載される135°剥離力試験による)。
【0007】
シリコーンセグメントに加え、熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、好ましくはハードセグメント(好ましくは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも25重量%のハードセグメント)及びソフトセグメント(好ましくは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも15重量%のソフトセグメント)も含む。好ましくは、熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、45重量%以下のハードセグメントと45重量%以下のソフトセグメントを含む。
【0008】
好ましくは、熱可塑性シリコーン含有ポリマーのハードセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも1重量%の−COOH基を含む。好ましくは、熱可塑性シリコーン含有ポリマーのハードセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の5重量%以下の−COOH基を含む。
【0009】
好ましくは、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性である。より好ましくは、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、スチレン−アクリルコポリマー、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルターポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル−エチレンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、アルケンケテンダイマー、酢酸ビニルアクリルコポリマー、アクリルポリマー、ポリビニルアセテートホモポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0010】
典型的に、当該技術分野において既知のシリコーン含有ポリマーは、水系システムにおいて他の熱可塑性ポリマーと容易に混合されない。すなわち、シリコーン含有ポリマーの大部分の多数及び多くの他の熱可塑性ポリマーは、有効な剥離被膜を提供できる水系システム(すなわち、水及び任意成分の1つ以上の水混和性有機液体)を容易に形成しない。これは重要である、というのは本明細書に記載するシリコーン含有ポリマーは、高価であり、一方、それらを本明細書に記載のように混合できる二次熱可塑性ポリマーの多くは、高価ではない。従って、そのようなブレンドは、全体的な組成物のコストを下げ、それと同時にそれでもなおシリコーン含有ポリマーの所望の性状を提供できる。これは、基材上の組成物の被膜を乾燥する時に少なくともシリコーン含有ポリマーの部分が被膜の表面に移動するためと思われる。
【0011】
1つの実施形態において、基材と基材上に配置された剥離被膜を含む物品が提供され、剥離被膜は、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと水分散性である二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーンセグメント、−COOH基を含むハードセグメント、及びソフトセグメントを含む。前記シリコーン含有ポリマーにおいて、シリコーンセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の20重量%〜50重量%の量で存在し、ハードセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の25重量%〜45重量%の量で存在し、ソフトセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の15重量%〜45重量%の量で存在し、及び−COOH基は、シリコーン含有ポリマーの総重量の1重量%〜5重量%の量で存在する。熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の5重量%〜99重量%の量で(剥離被膜中に)存在し、及び二次熱可塑性被膜形成性ポリマーが、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の1重量%〜95重量%の量で(剥離被膜中に)存在する。この実施形態において、剥離被膜が、水及び任意成分の水混和性有機共溶媒を含むコーティング組成物でコーティングされる。好ましくは、構成成分は、得られた剥離被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示すように選択される。
【0012】
1つの実施形態において、第1主表面及び第2主表面を含有するポリプロピレン裏材を包含するおむつテープを含む物品が提供され、そこで感圧接着剤は、裏材の第1主表面に配置され、低粘着性バックサイズ被膜は、裏材の第2主表面に配置される。この実施形態において、低粘着性バックサイズは、熱可塑性シリコーン含有ポリマー及び水分散性である二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーンセグメント、−COOH基を含むハードセグメント、及びソフトセグメントを含む。前記シリコーン含有ポリマーにおいて、シリコーンセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の20重量%〜50重量%の量で存在し、ハードセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の25重量%〜45重量%の量で存在し、ソフトセグメントは、シリコーン含有ポリマーの総重量の15重量%〜45重量%の量で存在し、及び−COOH基は、シリコーン含有ポリマーの総重量の1重量%〜5重量%の量で存在する。熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の5重量%〜99重量%の量で(剥離被膜中に)存在し、及び二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の1重量%〜95重量%の量で(剥離被膜中に)存在する。好ましくは、構成成分は、得られた低粘着性バックサイズ被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示すように選択される。
【0013】
ある実施形態において、本発明の物品は、その上に(例えば、剥離被膜が配置された表面とは反対側の表面上に)配置された感圧接着剤を有することができる。好ましくは、感圧接着剤としては、スチレン系ブロックコポリマーゴム(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム)が挙げられる。
【0014】
1つの実施形態において、物品を作製する方法が提供され、前記方法は、基材を提供する工程と、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーのブレンドを含む水性分散液を基材の表面に塗布する工程とを含み、熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の15重量%を超え65重量%未満のシリコーンセグメントを含み、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性であり、水性分散液は、水混和性有機共溶媒を含む。前記方法は、更に水性分散液を乾燥し、基材上に配置された剥離被膜を形成する工程を含む。好ましくは、剥離被膜は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す。
【0015】
1つの実施形態において、第1主表面及び第2主表面を有する裏材を提供する工程と、感圧接着剤を前記裏材の第1主表面に塗布する工程と、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーのブレンドを含む水性分散液を裏材の第2主表面に塗布する工程と、ここで、熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、ポリマーの総重量の15重量%を超え65重量%未満のシリコーンセグメントを含み、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性であり、水性分散液は、水混和性有機共溶媒を含み、水性分散液を乾燥し、裏材上に配置されている低粘着性バックサイズ被膜を形成する工程とを含む物品を作製する方法が提供される。好ましくは、低粘着性バックサイズは、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「含む」及びその変化したものは、これらの用語が説明及び請求項にあらわれる場合、限定的な意味を有しない。
【0017】
本明細書で使用する時、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つ」及び「1つ以上」は同義的に使用される。従って、「a」熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む剥離被膜は、剥離被膜が「1つ以上の」熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含むことを意味すると解釈できる。
【0018】
本明細書で使用する時、「熱可塑性」は、有意な分子の分解が起こらないポリマーの温度範囲特性を通じて繰返し加熱により軟化し冷却により硬化できるポリマーを意味し、軟化状態において押出成形により成形できる、「シリコーンセグメント」は、式−O−SiR−のジオルガノシロキサン繰返し単位を意味し、被膜形成は、水性分散液からキャストされたポリマーが合体し連続被膜を形成することを意味する。
【0019】
本明細書で使用する時、「低粘着性バックサイズ」又は「LAB」は、感圧接着剤(PSA)等の接着剤に対して低い接着を示す剥離被膜、好ましくはフィルムを指し、そのため、分離は、実質的に接着剤と剥離被膜境界面の間で起こる。剥離被膜は、テープがそれ自体巻き上げられ、使用がテープロールの巻き出しを必要とする接着剤テープロール中で用いることが可能である。こうした剥離被膜は、典型的にはLABと呼ばれる。剥離被膜は、ラベル又は医療包帯等の他の接着剤物品向けに「ライナー」としても使用でき、そこでは、接着剤物品は、一般にロール作成物に対してシート状作成物として供給される。
【0020】
本明細書で使用する時、「水分散性」は、ポリマーが水中に小さい粒子の安定な懸濁液(すなわち、エマルションの状態のように経時で沈降しない懸濁液)を形成することを意味する。組成物の「水性分散液」は、1つ以上の水分散性ポリマー、水及び1つ以上の水混和性有機液体(例えば、有機溶媒)を含む。
【0021】
語句「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の環境において特定の利益を供し得る発明の実施形態を示す。しかしながら、同様又は他の環境において、他の実施形態が好まれるかもしれない。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0022】
また本明細書において、端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、等)が包含される。
【0023】
本発明の上述の発明の開示は、本発明の開示された各実施形態もあらゆる実施も記載しようと意図していない。以下の説明は、説明に役立つ実施形態をより詳細に例示する。明細書全体にわたって幾つかの箇所で、実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、基材及び所望により接着剤上に有効な剥離被膜を含む物品を提供する。前記基材は、締結テープ、包帯、ラベル等の多くの接着剤物品に使用できる。特に、本発明は、ポリマー被膜及び裏材のポリマー被膜上に配置された感圧接着剤を含む裏材上の有効な低粘着性バックサイズ(LAB)を提供する。本発明の好ましい接着剤物品は、おむつ産業で使用される典型的なフロンタル(前側)テープ(すなわち、おむつの前側部分に締結/剥離面を提供するおむつテープ)である。
【0025】
広くは、本発明は、基材上の剥離被膜を提供する。ある実施形態において、本発明は、感圧接着剤(PSA)が配置された表面には反対側の裏材に低粘着性バックサイズ(LAB)を提供する。例えば、ポリマー被膜を含む裏材の状態で、PSAは、1つの表面のポリマー被膜上に配置され、LABは、裏材のは反対側の表面に配置された。
【0026】
適した感圧接着剤としては、スチレン系ブロックコポリマーゴム(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーゴム)が挙げられる。ある実施形態において、感圧接着剤は、粘着性スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーを含む。好ましくは、PSAは、少なくとも−21℃(252K)、より好ましくは少なくとも−15℃(258K)の中間ブロックTgを有する。好ましくは、PSAは、−7℃(266K)以下、より好ましくは−11℃(262K)以下の中間ブロックTgを有する。好ましくは、PSAは、少なくとも16g/mのコーティング重量でコーティングされる。好ましくは、PSAは、25g/m以下のコーティング重量でコーティングされる。
【0027】
本発明の剥離被膜(又はLAB)は、少なくとも1つの熱可塑性シリコーン含有ポリマー、好ましくはシリコーンポリ尿素ポリマー、及びシリコーン含有ポリマーと異なる少なくとも1つの熱可塑性被膜形成性ポリマー(すなわち、二次熱可塑性被膜形成性ポリマー)を含む。以下の説明は、剥離被膜と、剥離被膜の特殊タイプであるLABの両方に当てはまる。
【0028】
剥離被膜は、水系システム(すなわち、水性分散液)から作製できる。すなわち、本発明の剥離被膜組成物は、分散でき、水を含む水系システムでコーティングできる。所望の場合、水性分散液は、1つ以上の水混和性有機液体(例えば、有機共溶媒)も含むことができる。前記共溶媒としては、1−メチル−2−ピロリジノン、プロピレングリコール、ヘキシルカルビトール、ドワノール(Dowanol)PnB、イソプロパノール、及びこれらの混合物が挙げられる。使用される場合、共溶媒は、好ましくは組成物中の固形物重量の少なくとも1/3、より好ましくは組成物中の固形物重量の少なくとも1/2、更により好ましくは組成物中の固形物重量の少なくとも1/1.5の量で使用される。使用される場合、共溶媒は、好ましくは組成物中の固形物重量の3x以下、より好ましくは組成物中の固形物重量の2x以下、更により好ましくは組成物中の固形物重量の1.5x以下で使用される。
【0029】
本発明に使用される適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の15重量%を超え、65重量%未満のシリコーンセグメントを含む。このような熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、好ましくはハードセグメント及びソフトセグメントも含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも25重量%のハードセグメントを含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも15重量%のソフトセグメントを含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、45重量%以下のハードセグメントを含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、45重量%以下のソフトセグメントを含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも1重量%のカルボン酸基(−COOH基)を含む。このような酸基は、典型的にハードセグメント内に組み込まれる。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、5重量%以下の−COOH基を含む。
【0030】
本発明に使用される適した二次熱可塑性ポリマーは、被膜形成性ポリマーである。好ましくは、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性である。より好ましくは、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、スチレン−アクリルコポリマー、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルターポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル−エチレンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、アルケンケテンダイマー、酢酸ビニルアクリルコポリマー、アクリルポリマー、ポリビニルアセテートホモポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0031】
驚いたことに、本明細書に記載のシリコーン含有ポリマーは、水系システムで本明細書に記載の二次熱可塑性ポリマーと混合し、有効な剥離被膜を提供する。これは、基材上の組成物の被膜を乾燥する時に少なくともシリコーン含有ポリマーの一部がコーティングの表面に移動するためと思われる。
【0032】
好ましくは、本発明の剥離被膜は、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の少なくとも5重量%の熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む。より好ましくは、剥離被膜は、少なくとも10重量%の熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む。好ましくは、剥離被膜は、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の99重量%以下の熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む。より好ましくは、剥離被膜は、50重量%以下の熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む。更により好ましくは、剥離被膜は、20重量%以下の熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む。
【0033】
好ましくは、本発明の剥離被膜は、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の少なくとも1重量%の二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。より好ましくは、剥離被膜は、少なくとも5重量%の二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。更により好ましくは、剥離被膜は、少なくとも50重量%の二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。更により好ましくは、剥離被膜は、少なくとも80重量%の二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。好ましくは、剥離被膜は、熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の95重量%以下の二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。より好ましくは、剥離被膜は、90重量%以下の二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む。
【0034】
好ましくは、熱可塑性シリコーン含有ポリマー及び二次熱可塑性被膜形成性ポリマー、並びにそれらの量は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、平方メートル(g/m)当たり20〜40グラムのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を提供するように選択される(実施例の項に記載される135°剥離力試験による)。より好ましくは、熱可塑性シリコーン含有ポリマー及び二次熱可塑性被膜形成性ポリマー、並びにそれらの量は、巻出し力、剥離被膜移動、及び磨耗耐性の望ましい性状を提供するように選択される。
【0035】
特に好ましい実施形態において、本発明の剥離被膜を含む物品は、以下の望ましい性状の1つ以上を示す。すなわち、2.5センチメートル(cm)当たり少なくとも0.49N(50グラム(g))の初期巻出し力(ここで物品は、−15℃(258K)〜−11℃(262K)の中間ブロックTgを有し、16〜25g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーを含有する感圧接着剤を含む、実施例の項で記載する巻き戻し試験による);本発明の剥離被膜に適用され、そこから取り除かれた後、参照締結試験テープが、ポリエチレンから2.5cm当たり少なくとも3.92N(400グラム)の再付着135°剥離力を示すような参照締結試験テープにほとんど又は全く剥離被膜の移動がない(実施例の項で記載する再付着試験により、135°剥離力試験の参照締結試験テープで使用される粘着性スチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤への剥離被膜の移動を示す);及び/又は剥離被膜が綿ダックカンバスで30回摩耗された後、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープからの初期135°剥離力が200%以下の増加である。
【0036】
好ましくは、本発明の剥離被膜を含む物品は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す(実施例の項で記載する135°剥離力試験による)。より具体的には、前記物品は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも1.47N(150グラム)の初期135°剥離力を示す。更により具体的には、前記物品は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも1.96N(200グラム)の初期135°剥離力を示す。好ましくは、前記物品は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも9.81N(1,000グラム)以下の初期135°剥離力を示す。より好ましくは、前記物品は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも6.86N(700グラム)以下の初期135°剥離力を示す。更に前記物品は、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも4.90N(500グラム)以下の初期135°剥離力を示す。
【0037】
好ましくは、本発明の粘着性スチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤(−15℃(258K)〜−11℃(262K)の中間ブロックTgを有し、16〜25g/mのコーティング重量でコーティングされる)及び剥離被膜を備える物品は、2.5cm当たり少なくとも0.5N(50g)の初期巻出し力を示す(実施例の項に記載する巻き戻し試験による)。より好ましくは、前記物品は、2.5cm当たり少なくとも0.7N(75g)の初期巻出し力を示す。更により好ましくは、前記物品は、2.5cm当たり少なくとも0.98N(100g)の初期巻出し力を示す。好ましくは、前記物品は、2.5cm当たり4.90N(500g)以下の初期巻出し力を示す。より好ましくは、前記物品は、2.5cm当たり2.94N(300g)以下の初期巻出し力を示す。更により好ましくは、前記物品は、2.5cm当たり2.45N(250g)以下の初期巻出し力を示す。
【0038】
好ましくは、参照締結試験テープ(−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む)は、本発明の剥離被膜に適用し、そこから取り外された後、ポリエチレンから2.5cm当たり少なくとも3.92N(400グラム)の再付着135°剥離力を示す。この試験は、実施例の項に記載の再付着試験により行われ、上記135°剥離力試験に使用される参照締結試験テープの感圧接着剤への剥離被膜の移動を示す。より好ましくは、前記物品は、ポリエチレンから2.5cm当たり少なくとも4.90N(500グラム)の再付着135°剥離力を示す。更により好ましくは、前記物品は、ポリエチレンから2.5cm当たり少なくとも5.88N(600グラム)の再付着135°剥離力を示す。
【0039】
好ましくは、本発明の剥離被膜を含む物品は、剥離被膜が綿ダックカンバスで30回摩耗された後、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープからの初期135°剥離力が200%以下の増加を示す(実施例の項に記載する磨耗試験による)。より好ましくは、前記物品は、剥離被膜が綿ダックカンバスで30回摩耗された後、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから初期135°剥離力の100%以下の増加を示す。更により好ましくは、前記物品は、剥離被膜が綿ダックカンバスで30回摩耗された後、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから初期135°剥離力の50%以下の増加を示す。
【0040】
好ましくは、剥離被膜(例えば低粘着性バックサイズ)は、2.0グラム/平方メートル(g/m2)以下の塗布量でバッキング上に配される。より好ましくは、コーティング重量は、1.5g/m以下、最も好ましくは1.2g/m以下である。典型的に、コーティング重量は、実施例の項で記載するように本明細書で上記した望ましい性状を提供するのに十分である。好ましくは、このことは、コーティング重量が少なくとも0.125g/m、より好ましくは0.25g/mであることを意味する。剥離被膜のコーティング重量は、蛍光X線装置(オックスフォード(Oxford)3000、英国アビンドン(Abingdon,England)のオックスフォード(Oxford Inc.)で測定し、g/m2で測定した。
【0041】
熱可塑性シリコーン含有ポリマー
本発明の剥離被膜は熱可塑性シリコーン含有ポリマー含む。本発明に使用される適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の15重量%を超え、65重量%未満のシリコーンセグメントを含む。すなわち、ポリマーの総重量は、15重量%を超え、65重量%未満の−OSiR−セグメントから構成される。ポリマーを製造するために用いられる材料の予備知識が無くても、ポリマーセグメントの組成を、質量分析計及び核磁気共鳴分光分析などの分析技術の組み合わせを通して決定することが可能である。
【0042】
好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも20重量%のシリコーンセグメントを含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも25重量%のシリコーンセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも30重量%のシリコーンセグメントを含む。好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、50重量%以下のシリコーンセグメントを含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、40重量%以下のシリコーンセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、35重量%以下のシリコーンセグメントを含む。
【0043】
適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、好ましくはハードセグメント及びソフトセグメントも含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも25重量%のハードセグメントを含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも25重量%のハードセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも30重量%のハードセグメントを含む。好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、45重量%以下のハードセグメントを含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、40重量%以下のハードセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、35重量%以下のハードセグメントを含む。
【0044】
好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも15重量%のソフトセグメントを含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも20重量%のソフトセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも30重量%のソフトセグメントを含む。好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、45重量%以下のソフトセグメントを含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、40重量%以下のソフトセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、35重量%以下のソフトセグメントを含む。
【0045】
好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも1重量%の−COOH基を含む。前記-COOH基は、典型的にシリコーン含有ポリマーのハードセグメントに組み込まれる。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、少なくとも1.5重量%の−COOH基を含む。好ましくは、適した熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、シリコーン含有ポリマーの総重量の5重量%以下の−COOH基を含む。より好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、4重量%以下の−COOH基を含有するハードセグメントを含む。更により好ましくは、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、3重量%以下の−COOH基を含有するハードセグメントを含む。カルボン酸基(−COOH基)は、「乾燥」状態でこの形態であるが水系システムでカルボキシレートイオン(−COOイオン)の形態になる。カルボン酸基に対する上記重量パーセントは、カルボキシレートイオンにも適用される。
【0046】
熱可塑性シリコーン含有ポリマーの好ましい例は、水性又は水分散性シリコーンポリ尿素であり、その例が、欧州特許番号0380236B1(レイアー(Leir))に開示されている。
【0047】
ある水性実施形態の場合、シリコーンポリ尿素は、以下の繰返し単位(式I):
【0048】
【化1】

【0049】
(式中、
Zは、フェニレン、アルキレン、アラルキレン及びシクロアルキレンから選択される二価基であり、
Yは、1〜10個の炭素原子のアルキレン基であり、
Rは、少なくとも50%がメチルであり、全てのR基100%の残部が、2〜12個の炭素原子を有する一価アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する置換アルキル基、ビニル基、フェニル基、及び置換フェニル基から選択され、
Dは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキル基、及びフェニルから選択され、
Bは、アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、これらの混合物、並びにAを含む環状構造を完結し、複素環を形成し、水分散性形態の場合、ブロックコポリマーを水分散性にするため十分な数の鎖内又は側カルボン酸基(又はカルボキシレートイオン)を含有する基から選択され、
Aは、-O-及び-N-
|

から成る群から選択され、
ここで、Gは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキル基、フェニル基、及びヘテロ環を形成させるためのB’を含む環構造を完成させる基からなる群から選択され、
「n」は、10以上の数であり、並びに
「m」は、0以外で25までの数である)を含むオルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーである。
【0050】
上記したオルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーは、低いガラス転移温度、高い熱安定性及び酸化安定性、耐UV性、低表面エネルギー及び疎水性、良好な電気特性及び多くの気体に対する高い透過性、ならびに優れた機械的特性及びゴム弾性特性の望ましい追加的特性のポリシロキサンに付随した従来の優れた物理的特性を有する。
【0051】
オルガノポリシロキサン−ポリウレタンブロックコポリマーは、(ソフトセグメントをもたらす)二官能性オルガノポリシロキサンアミンと(ハードセグメントをもたらす)ジイソシアネートの縮重合を通して得ることが可能である(AB)n型のセグメント化コポリマーであり、二官能性アミン又はアルコール、或いはそれらの混合物などの二官能性連鎖延長剤を含んでもよい。
【0052】
好ましいブロックコポリマーにおいて、Zは、ヘキサメチレン、メチレンビス(フェニレン)、イソホロン、テトラメチレン、シクロヘキシレン、及びメチレンジシクロヘキシレンから選択され、Rはメチルである。
【0053】
水性オルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーを作製する方法が欧州特許番号0380236B1(レイアー(Leir))に開示されている。簡単に言うと、その方法は、任意に100℃未満の沸点を有する水溶性溶媒中で不活性雰囲気下で95重量%以下の連鎖延長剤の存在下で、シリコーンジアミンと少なくとも一種のジイソシアネートを重合させることを含む。重合が完結すると、次に水をこの混合物に添加し、ポリマーを分散させる。その後、有機溶媒を混合物から蒸留する。
【0054】
本発明において記載された水性オルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーは、欧州特許第0380236B1号(レイアー(Leir))に記載されたのと同じセグメントからなる。しかし、本発明は、ポリマーを製造するための別の方法を含む。この別の方法は、例えばジアミノ酸がポリマーに含まれる時に特異である。簡単に言うと、別の方法は、100℃未満の沸点を有する水溶性溶媒中で不活性雰囲気下でシリコーンジアミン及び任意の連鎖延長剤を少なくとも一種のジイソシアネートと反応させることを可能にすることにより、オリゴマーのイソシアネート末端封止溶液を最初に製造することを含む。その後、中和ジアミノ酸連鎖延長剤の水溶液をオリゴマーミックスと反応させ、それによってポリマーを完成させる。その後、溶媒は分散液から蒸留され、分散媒体として実質的に水を生じさせる。
【0055】
シリコーンジアミンは、好ましくは、以下の一般式(式II):
【0056】
【化2】

【0057】
(式中、R、Y、D、及びnは上述の式Iで定義された通りである。ジイソシアネートは、好ましくは、OCN−Z−NCO(式III)によって表される分子構造を有する。ここで、Zは上述の式Iで定義された通りである)を有する。
【0058】
ジアミンとジイソシアネートのモル比は、典型的に1:0.95〜1:1.05の範囲に保持される。連鎖延長剤は、典型的にジアミン類、ジヒドロキシ化合物、及びこれらの混合物から選択される。オルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーの水性形態を考慮すると、前記連鎖延長剤の少なくとも1つが、鎖内又は側カルボン酸基から選択される少なくとも1つの基を含有し、前記基の数は、ひとたびイオン化されると前記ブロックコポリマーが好ましくは15%までのイオン含有率を有し、前記オルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーをイオン化するように選択される。水性オルガノポリシロキサン−ポリ尿素ブロックコポリマーのために有用な典型的なジアミノ酸連鎖延長剤は、2,5−ジアミノペンタン酸、2,6−ジアミノペンタン酸、又はジアミノ安息香酸である。シリコーン含有ポリマーの総重量の少なくとも1.0重量%のカルボキシレートアニオンが、ある実施形態において安定な分散液を得るのに望ましく、ある実施形態においては、1〜5%が好ましい。
【0059】
反応において有用なジイソシアネートは、トルエンジイソシアネート又はp−フェニレンジイソシアネートなどのフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート;メチレンビス−(フェニルイソシアネート)又はテトラメチルキシレンジイソシアネートなどのアラルキレンジイソシアネート、或いはイソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、又はシクロヘキシルジイソシアネートなどのシクロアルキレンジイソシアネートであることが可能である。
【0060】
式IIによって表されるオルガノポリシロキサンジアミンを製造する方法も、欧州特許第0380236B1号及び米国特許第5,512,650号に記載されている。
【0061】
本発明のプロセス修正を含む欧州特許第0380236B1号に記載された水分散性(すなわち水性)ポリマーは、水より低い沸点を有する水溶性溶媒を用いる。適した溶媒には、2−ブタノン、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、又はそれらの混合物が挙げられる。酸含有シリコーンブロックコポリマーは、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンなどのアミン又はアルカリ土類塩基の化学量論量により脱プロトン化することにより溶液中でイオン化される。特定の用途のために必要ならば、アミン含有ポリマー又はカルボン酸基含有ポリマーは非イオン化形態で用いることが可能であり、溶媒からコーティングすることが可能である。
【0062】
二次熱可塑性ポリマー
本発明に使用される適した二次熱可塑性ポリマーは、被膜形成性ポリマーである。二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性であることが好ましい。
【0063】
より好ましくは、二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、スチレン−アクリルコポリマー、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルターポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル−エチレンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、アルケンケテンダイマー、酢酸ビニルアクリルコポリマー、アクリルポリマー、ポリビニルアセテートホモポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0064】
任意の添加剤及びコーティング方法
特定の特性を強化するため、又は特定の特性を得るために本発明による溶媒性熱可塑性シリコーン含有ポリマー又は水性熱可塑性シリコーン含有ポリマーを含む剥離被覆組成物に他の化合物、又は添加剤を添加してもよい。適した任意の添加剤は、好ましくは発明による剥離被膜組成物の被膜形成性及び剥離性の妨げにならないものである。任意の添加剤は、好ましくは架橋剤、消泡剤、流動及び平坦化剤、着色剤(例えば、染料又は顔料)、ある基材とともに使用される接着促進剤、可塑剤、チキソトロープ剤、レオロジー改質剤、殺生物/抗菌剤、腐食防止剤、酸化防止剤、光安定剤(UV吸収剤)、界面活性剤、乳化剤、延長剤(例えば、ポリマー又はポリマーエマルション、増粘剤、フィラー)、水性の特別な場合、被膜形成剤(例えば、被膜形成を手助けする融合有機溶媒)、及びそれらの混合物の群から選択される。好ましい添加剤としては、界面活性剤、消泡剤、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0065】
適した消泡剤としては、例えば石鹸(カルボキシレート)、モノアミド等の窒素消泡剤、リン酸エステル、鉱物油ブレンド、長鎖アルコール、フッ素系界面活性剤、シリコーン、及び/又はシリカ/シリコーン含有消泡剤が挙げられる。適した消泡剤の例としては、例えば商品名RG21(ブラジル、ダグ・キミカ(DAG QUIMICA))、TA−30(ジョージア州ローレンスビル(Lawrenceville)、テイラーケミカル社(Taylor Chemical Co. Inc.))として入手可能なものが挙げられる。使用される場合、消泡剤は、組成物の総重量の少なくとも0.1重量%の量で存在するのが好ましい。使用される場合、消泡剤は、組成物の総重量の1重量%の以下量で存在するのが好ましい。
【0066】
適した界面活性剤としては、例えばエトキシレート(ethloxylates)及びプロキシレートを含む非イオンタイプ及びイオンタイプ、フッ素化界面活性剤、シロキサン、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、アルキルアミン、カルボキシレート、スルホネート、及びホスフェートが挙げられる。適した界面活性剤の例としては、例えば、商品名シルウェット(SILWET)L77(ブラジルのウィトコ(WITCO))、ゾニル(ZONYL)及びマーポール(MERPOL)シリーズ(デュポン(Dupont))、フルオラド(FlUORAD)シリーズ(3M)、並びにステパノール(STEPANOL)シリーズ(ステペン(Stepen))として入手可能なものが挙げられる。使用される場合、界面活性剤は、組成物の総重量の少なくとも0.005重量%の量で存在するのが好ましい。使用される場合、界面活性剤は、組成物の総重量の1重量%の以下の量で存在するのが好ましい。
【0067】
本発明の水性ポリマーは、水、又は水の混合物及び1つ以上の有機液体でコーティングできる。ポリマーの水性分散液として提供される剥離被膜組成物は、経済的であることに加えて、コーティングされる表面上の有機溶媒の有害反応、臭い、及び製造時のその他の環境問題等の有機溶液及び分散液に通常伴う多くの問題を減少させる。
【0068】
剥離被膜組成物中のポリマーの所望の濃度は、コーティングの方法、所望の最終被膜厚さ、及び基材の多孔度に応じて異なる。典型的に、本発明の剥離被膜組成物は、5%〜50%の固形分、所望により10%〜30%の固形分でコーティングされる。
【0069】
剥離被膜組成物は、線巻ロッドコーティング、直接グラビアコーティング、オフセットグラビアコーティング、リバースロールコーティング、エアーナイフコーティング、及び垂下ナイフコーティングなどの従来のコーティング技術によって適した基材に被着させてもよい。被膜は、室温で、高温で、又はそれらの組み合わせで乾燥させることが可能である。但し、バッキング材料が高温に耐えうることを条件とする。典型的に、高温は、60℃〜130℃である。
【0070】
基材及び剥離被覆された材料
本発明の剥離被膜は、感圧接着剤(PSA)テープのための低粘着性バックサイズ(LAB)などの様々な形式で用いることが可能である。例えば、図1で示したように、テープ10のロールは、可撓性バッキング11、バッキングの1つの主面12(すなわち、第1の主面)上の感圧接着剤被膜及びバッキングの反対主面14(すなわち、第2の主面)上の剥離被膜を含む。剥離被膜は上述した組成物から形成される。テープは、感圧接着剤が剥離被膜に接触するようロールに巻かれる。図2は、テープ10(図1)のセグメントの分解断面である。
【0071】
図2について説明すると、テープ20は、裏材21、感圧接着剤22、及び剥離被膜(又はLAB)23を含む。LAB23は、感圧接着剤がコーティングされる裏材の表面に対してよりも感圧接着剤に対してより低い固有接着をもたらす。これは、バッキングからの感圧接着剤の裏移り又は移行もなくロールからのテープの巻き出しを可能にする。もう一つの形式は、少なくとも一方が上述した剥離被膜組成物でコーティングされる二つの剥離ライナーの間に感圧接着剤のフィルムを含む転写テープである。
【0072】
本発明の組成物は、一般に基材の剥離被膜として使用でき、シート、繊維、又は造形物であってよい。基材の一つの好ましいタイプは、テープ、ラベル、及び包帯などの、感圧接着剤物品のために用いられるタイプである。組成物は、乾燥を開始する前に適した可撓性バッキング材料又は非可撓性バッキング材料の少なくとも一つの主面に被着させてもよい。
【0073】
本発明の剥離被膜(すなわちLAB)を含む特に好ましい物品は、テープ、ラベル、創傷包帯、おむつテープ、及び医療用テープである。例えば、1つの好ましい物品は、ポリマー被膜を含むおむつテープであり、そのためテープは、細く、可撓性があり、柔軟で、且つ順応性がある。従って、好ましくは、バッキングは柔らかく、しなやかで、順応性で、且つじょうぶである。典型的に、前記裏材は、引張られて容易に裂けないよう十分に強いが、おむつテープに有用であるよう十分に柔らかく可撓性があり、そのためそれらは着用者に不快感を与えない。
【0074】
好ましい基材は、水蒸気透過性、柔軟性、順応性、降伏弾性率、きめ、外観、加工性、及び強度などの特性の所望の組み合わせを示す。特性の特定の組み合わせは、典型的には所望の用途によって決定される。例えば、多くの使用において、基材は、低い降伏弾性率を有し、所望の用途及びロール又はパッド形態の処方に対して十分な強度を有することになる。
【0075】
織布、不織布、又は編材料、或いはフィルムを基材として使用できる。有用な可撓性基材には、合成繊維又はコットンなどの天然材料或いはこれらのブレンドの糸から形成された織布が挙げられる。或いは、基材は、合成繊維又は天然材料或いはこれらのブレンドのカード布地、スパンボンド布地、スパンレース布地、エアレイド布地、及びスティッチボンド布地などの不織布であってもよい。
【0076】
好ましくは、基材としては、ポリプロピレン(好ましくは2軸配向ポリプロピレン)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される材料が挙げられる。おむつテープの場合、基材は、典型的にポリプロピレン又はエチレンとプロピレンのコポリマーである。
【0077】
基材は、剥離被膜の強化接着のため処理された基材であることが好ましい。前記処理としては、例えば、コロナ処理、火炎処理、又は化学処理が挙げられる。
【0078】
感圧接着剤は、既知のさまざまな材料のいずれであってもよく、一般に裏材に塗布される。一般に、感圧接着剤は、テープに使用され、テープは、裏材(又は基材)及び感圧接着剤を含む。感圧接着剤は、加えられた指圧を上回らない圧力で接着し、恒久的に粘着性である。感圧接着剤は、プライマー、粘着性付与剤、及び可塑剤などと合わせて用いることが可能である。感圧接着剤は、好ましくは、通常の乾燥状態で十分に粘着性であり、所期の用途のための粘着力、合着性、延伸性、弾性及び強度の所望のバランスを有する。
【0079】
本発明の剥離被膜は、天然ゴム系、アクリル系、粘着性付与済みブロックコポリマー、及び他の合成膜形成性エラストマー材料などの様々な従来の感圧接着剤のために有効な剥離を提供する。好ましくは、感圧接着剤は非酸性である。すなわち、感圧接着剤は酸性成分を含まず、酸性アクリレートなどの酸性モノマーから調製されない。但し、必要ならば、アクリルアミドモノマーを用いることが可能である。特に好ましい感圧接着剤は、おむつテープ(すなわち、おむつ締付タブ)中で用いられるものなどのブロックコポリマーである。こうした接着剤の例は、米国特許第5,019,071号(バニィ(Bany)ら)、同第5,453,319号(ゴブラン(Gobran))、及び同第5,468,237号(ミラー(Miller)ら)に記載されている。
【0080】
本発明の特に好ましい用途は、図3に示すおむつ30である。図3について説明すると、おむつ30は、感圧接着剤テープ32からなる感圧接着剤クロージャ及びおむつの締結領域をカバーするポリオレフィン被膜の矩形34を有する。この矩形34は、一般にフロンタル(前側)テープと呼ばれ、好ましくは本発明の剥離被膜を含む。テープの末端部は、折り畳まれ、幅の狭い非接着性タブ36を提供すると同時に感圧接着剤領域38を残す。おむつは、開くことができ、さらにもしくは捨てることができ、又はクロージャは、テープの接着剤受容領域38を矩形34に接触して押し付けることにより再締結できる。
【0081】
以下の実施例により本発明を説明する。特定の実施例、材料、量、及び手順が本明細書で記載された本発明の範囲及び精神により広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。特に指示がない限り、すべての部及び百分率は重量により、すべての分子量は数平均(Mn)分子量である。
【実施例】
【0082】
本発明を以下の実施例によって例示する。特定の実施例、材料、量、及び手順が本明細書で記載された本発明の範囲及び精神により広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。特に指示がない限り、すべての部及び百分率は重量により、すべての分子量は数平均(Mn)分子量である。
【0083】
試験方法
巻出し力
この試験は、感圧接着剤(PSA)テープの2インチ(51mm)ロールを巻き戻すのに必要な抵抗力を測定する。巻出し力値を、ASTM D3811の変法により測定した。テープ試料を一定温度及び湿度の部屋内で24時間、21℃(70°F)、相対湿度50%で放置した。テープの3回転を自由回転ロールから取り外し、テープのロールをインストロン試験機(INS(登録商標)TRON Tester)(インストロン社(Instron Corporation)から入手可能)の下部つかみ具を取り替えるよう設計された巻出し装置のスピンドルに位置決めした。テープの自由端を折り畳んでタブを形成し、タブをインストロン試験機の上方顎中内で締め付けた。テープの約15.2cm(6インチ)を50.8cm/分(20インチ/分)の速度で巻き出し、平均剥離値を記録した。強制空気対流炉内で49℃で15日にわたり、加熱経時させて長期自然経時を模擬したテープについても巻出し力を測定した。結果をグラム−力/2.54cm−幅単位で報告し、3つの独立した測定値の平均を示す。
【0084】
135°剥離力
135°剥離力試験を使用し、フロンタル(前側)テープの剥離被膜表面から感圧接着剤締結試験テープ(以下に記載)を剥離するのに必要な抵抗力量を測定した。さらに135°剥離力試験は、剥離被膜が所定のPSAテープでいかに良好に行えるかを示すために使用される。
【0085】
被試験フロンタル(前側)テープ試料を二重コーティングされた接着テープを使用し5.1cm×12.7cm(2インチ×5インチ)という寸法である鋼パネルに確実に付着させた(剥離被膜側を上にして)。次に参照締結試験テープの2.5cm(1インチ)幅ストリップをフロンタル(前側)テープ試料の剥離被膜表面に付着させ、その後、試料テープを2パスの2キログラム(4.5ポンド)ゴムローラーで下に流した。パネルを135°角度固定具内に配置し、次に参照締結試験テープを上部つかみ具で保持したままインストロン(INS(登録商標)TRON)定速度引張り試験機の下部つかみ具内に配置した。上部つかみ具を1分当たり30.5cm(12インチ)の一定クロスヘッド速度で起動させると同時に接着試験テープをパネルに対して135°で保持するように鋼パネルを移動した。試験は21℃の定温及び50%の相対湿度で行った。フロンタル(前側)テープから参照締結試験テープを取り外すのに必要な抵抗力を剥離力として記録した。剥離力の結果をグラム−力/2.5センチメートル(g/2.5cm)単位の135°剥離力として以下の表2に報告する。結果は、4つの別々の測定値の平均を示す。長時間自然経時を模擬するため強制空気対流式オーブン内で15日間49℃で加熱経時させたフロンタル(前側)テープの剥離力も測定した。
【0086】
再接着
ロールに巻かれた後、剥離被膜のいずれかがフロンタル(前側)テープの剥離被膜側からフロンタル(前側)テープの接着被膜側に移動した場合の徴候を得るため135°剥離力試験を行った。剥離力の有意な減少は、ある程度の剥離被膜の移動が起こった徴候である。
【0087】
平滑なポリエチレン被膜の330ミクロン(13ミル)片を二重コーティングされた接着テープを使用し、5.1cm×12.7cm(2インチ×5インチ)という寸法の鋼パネルに確実に付着させた。上記135°剥離力試験に使用された参照締結試験テープの同じ片をポリエチレン被膜の表面に付着させ、次いで2パスの2キログラム(4.5ポンド)ゴムローラーで下に流した。パネルを固定具内に配置し、次に参照締結試験テープを上部つかみ具で保持したままインストロン(INS(登録商標)TRON)定速度引張り試験機の下部つかみ具内に配置した。上部つかみ具を1分当たり30.5cm(12インチ)の一定クロスヘッド速度で起動させた。試験は21℃の定温及び50%の相対湿度で行った。ポリエチレン被膜から参照締結試験テープを取り外すのに必要な抵抗力を記録し、グラム−力/2.5センチメートル(g/2.5cm)単位の再接着として以下の表2に報告した。結果は、4つの別々の測定値の平均を示す。
【0088】
磨耗
本発明の剥離被膜の耐久性をワイゼンピーク精密磨耗試験メーター(Wyzenbeek Precision Wear Test Meter)(60901イリノイ州カンカキー(Kankakee)Rt6私書箱124、J.K.テクノロジーズ(J.T.Technologies))を使用して測定した。連邦仕様書CCC−C−419、タイプ1、番号6(08846ニュージャージ州ミドルセックス(Middlesex)ブラックフォード(Blackford)通り200、私書箱420、テスト・ファブリックス社(Test Fabrics Inc.)から入手可能)に適合した綿ダックカンバスを摩耗ドラムに取り付けた。試験メーターの引っ張りアームを3.33N(340グラム)に設定し、重量バーを1.47N(150グラム)に設定し、その後所定の場所にロックした。比較例C3及びC6並びに実施例1からのフロンタル(前側)テープを個々に試験メーターに実装した。回転摩耗ドラムを3、10、17及び30回起動させ、その間、カンバスをフロンタル(前側)テープの剥離被膜に接触させて摩擦又は磨耗させた。フロンタル(前側)テープを試験メーターから取り外し、次いで、1パスの2キログラム(4.5ポンド)ゴムローラーがフロンタル(前側)テープを鋼試験パネルに固定するのに使用されたのだけを除き、上記した135°剥離力試験を使用し試験した。それらの結果を下記の表3に示す。剥離力値の増加は、剥離被膜が摩耗され、剥離被膜としてのその機能性が失われたことを示す。
【0089】
参照締結試験テープ
50%クレイトン(KRATON)1119(テキサス州ヒューストン(Houston)、クレイトンポリマーズ社(Kraton Polymers, Inc.)のSIS合成ブロックコポリマーゴム)及び50%ウィングタックプラス(WINGTACK PLUS)(オハイオ州アクロン(Akron)、グッドイヤーケミカル社(Goodyear Chemical Co.)の合成粘着付与樹脂)からなる接着剤33.5グラム/mを94グラム/mの剥離被膜ポリプロピレン/ポリエチレン耐衝撃性コポリマー被膜(ミシガン州ミッドランド(Midland)、ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)の7C50)上にホットメルトコーティングすることにより感圧接着剤参照締結試験テープを調製した。
【0090】
比較例C1-C6は、一般に使用されている市販の剥離材料を示し、本明細書においてその性状が本発明の剥離材料の一般的な目標となる。
【0091】
比較例C1
水中に分散されたシリコーン系剥離材料を火炎処理され約0.0004N/cm(40ダイン/cm)〜0.0005N/cm(45ダイン/cm)を有する厚さ25ミクロンの2軸配向ポリプロピレン(BOPP)上にコーティングし、その後被膜の非剥離側に接着剤をコーティングすることによりフロンタル(前側)テープを調製した。
【0092】
剥離材料は、以下の手順を使用し、周囲室温(約21℃)で調製した。すなわち、イソホロンジイソシアネート(ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburg)、バイエルケミカルズ(Bayer Chemicals)のIPDI)25重量部とイソプロパノール390重量部を窒素パージした反応容器に添加した。順に適度な攪拌をしながら、ダイテク−EP(DYTEK-EP)(ミズリー州セントルイス(St. Louis)、シグマ・アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Co.)1,3−ジアミノペンタン)1.33重量部、ジェファミン(JEFFAMINE)DU700(テキサス州ヒューストン(Houston)、ハンツマン・パフォマンス・ケミカルズ(Huntsman Performance Chemicals))34.3重量部、シリコーンジアミン(5200Mn、米国特許第5,512,650号におけるように調製した、実施例38)29.4重量部及びイソプロパノール10重量部を生成した溶液に添加した。混合物を10分間反応させ、その後、水200重量部、リジン塩酸塩9.95重量部及びトリエチルアミン11.8重量部の水溶液を6分間にわたり急速攪拌の状態で添加した。次に、水100重量部を添加した。混合物を30分間反応させ、その後、液体567重量部を溶液から蒸留し、続いて水267重量部を添加し、20%固形分の水性分散液が生じた。最終ポリマーのシリコーン含有率は、約30%であった。その後、剥離材料分散液を更に水で2.5%固形分に希釈した。これで希釈された剥離材料分散液の調製が完了する。
【0093】
1−メチル−2−ピロリジノンを共溶媒として固形分濃度と等しい量添加し、この場合は2.5%であった、次に、ゴムロールに対して作用する260QCH-クアドチャネル(Quad Channel)グラビアロール(ノースカロライナ州シャルロット(Charlotte)、コンソリデイテッド・エングレイバーズ社(Consolidated Engravers Inc.))を使用し、BOPP被膜上にグラビアコーティングした。コーティング済みウェブを60℃〜70℃で運転している強制空気炉に1回通して、剥離塗料分散液から水を乾燥させた。
【0094】
その後、感圧接着剤を被膜の非剥離側にホットメルトコーティングした。接着剤は、49.5%のスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(クレイトン(KRATON)1107、テキサス州ヒューストン(Houston)のクレイトン・ポリマーズ(Kraton Polymers Inc.)、49.5%炭化水素樹脂(ウィングタック(WINGTACK)Plus、オハイオ州アクロン(Akron)のグッドイヤー・ケミカルズ(Goodyear Chemicals Inc.))及び1%のイルガノックス(IRGANOX)1076酸化防止剤(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Speciality Chemicals))のブレンドからなっていた。接触ダイ及び約180℃の溶融温度を用いて接着剤をバッキング上にコーティングした。接着剤被膜の厚さは、約20グラム/mであった。次に生成したフロンタル(前側)テープは、それ自身をロール形態に巻き上げた。
【0095】
比較例C2
フロンタル(前側)テープは、最終希釈の%固形分が1.5%であることをのぞいて比較例C1における場合と同じように調製した。1.5重量%の濃度でコーティングする前に1−メチル−2−ピロリジノンを添加した。
【0096】
比較例C3
フロンタル(前側)テープは、米国特許第2,532,011号に記載のようにオクタデシルイソシアネートをビニルアルコールのポリマーと反応させることにより作製されたウレタン系剥離被膜を使用したことをのぞいて比較例C1における場合と同じように調製し、1−メチル−2−ピロリジノン共溶媒を添加しなかった。水中2.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜をコーティングした。
【0097】
比較例C4
フロンタル(前側)テープは、1.5%固形分分散液を使用し、BOPP被膜をコーティングしたことをのぞいて比較例C3における場合と同じように調製した。
【0098】
比較例C5
フロンタル(前側)テープは、シリコーン含有率13%を有するシリコーン/尿素系剥離被膜を米国特許第5,356,706号、実施例1に記載のように使用したことをのぞいて比較例C1における場合と同じように調製した。2.5重量%の1−メチル−2−ピロリジノン濃度を有する2.5%固形分分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングした。
【0099】
比較例C6
フロンタル(前側)テープは、1.5重量%の1−メチル−2−ピロリジノン濃度を有する1.5%固形分分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングしたことをのぞいて比較例C3における場合と同じように調製した。
【0100】
(実施例1)
フロンタル(前側)テープは、シリコーン系剥離被膜が、水分散性熱可塑性ポリマーで変性されたことをのぞいて比較例C1における場合と同じように調製した。
【0101】
C1のシリコーンポリマーの水中2.5%固形分分散液を、乾燥時剥離被膜が20%のシリコーンポリマーと80%のスチレン−アクリルコポリマーから構成されるように低攪拌の攪拌容器を使用し適切な比率でスチレン−アクリルコポリマー(ベルギー、ブラッセルズ(Brussels)、サイテック・サーフェス・スペシャリティーズ(Cytec Surface Specialties)のバンクリル((VANCRYL)928、Tg=85℃)の水中2.5%固形分分散液と混合した。1−メチル−2−ピロリジノンを2.5重量%で有機共溶媒として添加した。コーティングプロセス時過剰な泡を避けるため消泡剤(ブラジル、ダグ・キミカ(DAG QUIMICA)のRG21)を0.05重量%で添加した。変性されたポリシロキサン界面活性剤(コネティカット州ウィルトン(Wilton)、GEシリコーンズ(GE Silicones)のシルウェット(SILWET)L77)を、このようにより均一なコーティングを促進するのに最終剥離被膜溶液の表面張力を減少させるため0.05%で添加した。
【0102】
その後、混合された分散液をBOPP被膜にコーティングし、C1における場合のようにPSAテープのロールに変換した。
【0103】
(実施例2)
実施例2
フロンタル(前側)テープは、1.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングすることをのぞいて実施例1における場合と同じように調製した。1−メチル−2−ピロリジノンを1.5重量%で有機共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤(すなわち、消泡剤)は、添加しなかった。
【0104】
(実施例3)
フロンタル(前側)テープは、シリコーンポリマーとSAコポリマーの比率が乾燥量基準で10:90に調節されたことをのぞいて実施例1における場合と同じように調製した。2.5%固形分の分散液を使用しBOPP被膜にコーティングした。1−メチル−2−ピロリジノンを2.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0105】
(実施例4)
フロンタル(前側)テープは、1.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングすることをのぞいて実施例3における場合と同じように調製した。1−メチル−2−ピロリジノンを1.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0106】
(実施例5)
フロンタル(前側)テープは、エチレン−塩化ビニル−アセテート(EVCA)ターポリマー(ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown)、エアプロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals Inc.)のエアフレックス(AIRFLEX)456、Tg=0℃)を使用し、シリコーン系剥離被膜を変性したことをのぞいて実施例1における場合と同じように調製した。2.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングした。1−メチル−2−ピロリジノンを2.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0107】
(実施例6)
フロンタル(前側)テープは、1.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングすることをのぞいて実施例5における場合と同じように調製した。1−メチル−2−ピロリジノンを1.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0108】
(実施例7)
フロンタル(前側)テープは、シリコーンポリマーとEVCAターポリマーの比率が、乾燥量基準で10:90に調節されたことをのぞいて実施例5における場合と同じように調製した。2.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングした。1−メチル−2−ピロリジノンを2.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0109】
(実施例8)
フロンタル(前側)テープは、1.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングすることをのぞいて実施例7における場合と同じように調製した。1−メチル−2−ピロリジノンを1.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0110】
(実施例9)
フロンタル(前側)テープは、酢酸ビニル−エチレン(VAE)コポリマー(ペンシルバニア州アレンタウン(Allentown)、エアプロダクツ・アンド・ケミカルズ社(Air Products and Chemicals Inc.)のエアフレックス(AIRFLEX)144、Tg=0℃)を使用し、シリコーンを変性したことをのぞいて実施例1における場合と同じように調製した。2.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングした。1−メチル−2−ピロリジノンを2.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0111】
(実施例10)
フロンタル(前側)テープは、1.5%固形分の分散液を使用し、BOPP被膜にコーティングすることをのぞいて実施例9における場合と同じように調製した。1−メチル−2−ピロリジノンを1.5重量%で共溶媒として添加した。界面活性剤及び消泡剤は、添加しなかった。
【0112】
以下の表1は、本発明の変性された剥離被膜から作製されたフロンタル(前側)テープが、変性されていない剥離被膜に匹敵する巻出し力をあらわすことを示す。
【0113】
【表1】

【0114】
以下の表2は、本発明の変性された剥離被膜から作製されたフロンタル(前側)テープが、変性されていない剥離被膜に匹敵する剥離力をあらわすことを示す。
【0115】
【表2】

【0116】
以下の表3は、典型的なシリコーンとウレタン系剥離被膜と比較したときの本発明の剥離被膜耐久性(磨耗耐性)の劇的な増加を示す。
【0117】
【表3】

【0118】
本明細書で引用されたすべての特許、特許出願及び刊行物ならびに電子的に入手可能な資料の完全な開示は、ここで引用したことで援用したものとする。前述の説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示した。それらから無用の限定を解するべきではない。本発明は、示され記載された厳密な詳細事項に限定されるべきではない。当業者に対して明らかな変形が特許請求の範囲において規定された本発明の範囲に含まれるからである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明によるロール構造の形をした接着剤物品の側面の模式図。
【図2】本発明による接着剤物品の拡大断面図。
【図3】本発明のおむつフロンタル(前側)テープを示すおむつの斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に配置された剥離被膜を備える物品であって、
前記剥離被膜が、シリコーン含有ポリマー総重量の15重量%を超え65重量%未満のシリコーンセグメントを含む熱可塑性シリコーン含有ポリマーと、
水分散性である二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを備え、
前記剥離被膜が、水及び任意成分の水混和性有機共溶媒を含むコーティング組成物でコーティングされ、
前記剥離被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す、物品。
【請求項2】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、20重量%〜50重量%のシリコーンセグメントを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、25重量%〜40重量%のシリコーンセグメントを含む、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、30重量%〜35重量%のシリコーンセグメントを含む、請求項3に記載の物品。
【請求項5】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、前記シリコーン含有ポリマー総重量の少なくとも25重量%のハードセグメントと少なくとも15重量%のソフトセグメントを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、45重量%以下のハードセグメントと45重量%以下のソフトセグメントを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、25重量%〜40重量%のハードセグメントと20重量%〜40重量%のソフトセグメントを含む、請求項6に記載の物品。
【請求項8】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、30重量%〜35重量%のハードセグメントと30重量%〜35重量%のソフトセグメントを含む、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、前記シリコーン含有ポリマー総重量の少なくとも1重量%の−COOH基を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、少なくとも1.5重量%の−COOH基を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、5重量%以下の−COOH基を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項12】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、4重量%以下の−COOH基を含む、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記コーティング組成物が、界面活性剤、消泡剤、又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記剥離被膜が、2.0g/m以下のコーティング重量で裏材上に配置されている、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、シリコーンポリ尿素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、以下の繰返し単位:
【化1】

(式中、
Zは、フェニレン、アルキレン、アラルキレン及びシクロアルキレンから選択される二価基であり、
Yは、1〜10個の炭素原子のアルキレン基であり、
Rは、少なくとも50%がメチルであり、全てのR基100%の残部が、2〜12個の炭素原子を有する一価アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する置換アルキル基、ビニル基、フェニル基、及び置換フェニル基から選択され、
Dは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキル基、及びフェニルから選択され、
Bは、アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、これらの混合物、並びにAを含む環状構造を完結して複素環、及び鎖内又は側-COOH基を形成する基から選択され、
Aは、-O-及び-N-
|

から成る群から選択され、
ここで、Gは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキル基、フェニル基、及びヘテロ環を形成させるためにB’を含む環構造を完成させる基からなる群から選択され、
「n」は、10以上の数であり、並びに
「m」は、0以外で25までの数である)を含む、請求項15に記載の物品。
【請求項17】
前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーが、スチレン−アクリルコポリマー、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルターポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル−エチレンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、アルケンケテンダイマー、酢酸ビニルアクリルコポリマー、アクリルポリマー、ポリビニルアセテートホモポリマー及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記任意成分の水混和性有機共溶媒が、1−メチル−2−ピロリジノン、プロピレングリコール、ヘキシルカルビトール、ドワノール(Dowanol)PnB、イソプロパノール、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記剥離被膜が、
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の少なくとも5重量%の前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと、
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の少なくとも1重量%の前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
前記剥離被膜が、
99重量%以下の前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと
95重量%以下の前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記剥離被膜が、
5重量%〜50重量%の前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと、
50重量%〜95重量%の前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記剥離被膜が、
10重量%〜20重量%の前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと
80重量%〜90重量%の前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを含む、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
該物品が、おむつテープの形態である、請求項1に記載の物品。
【請求項24】
前記おむつテープが、フロンタル(前側)テープである、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記剥離被膜が配置される表面とは反対側の表面の前記基材上に配置された感圧接着剤を更に備え、前記感圧接着剤がスチレン系ブロックコポリマーゴムを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
前記感圧接着剤が、−15℃(258K)〜−11℃(262K)の中間ブロックTgを有し、16〜25g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーを含み、更に前記物品が、2.5cm当たり少なくとも0.49N(50グラム)の初期巻出し力を示す、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
請求項1の前記剥離被膜に適用してそこから取り外された後、前記参照締結試験テープが、ポリエチレンから2.5cm当たり少なくとも3.92N(400グラム)の再付着135°剥離力を示す、請求項1に記載の物品。
【請求項28】
前記剥離被膜が綿ダックカンバスで30回摩耗された後、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープからの初期135°剥離力が200%以下の増加を示す、請求項1に記載の物品。
【請求項29】
基材と、
前記基材上に配置された剥離被膜とを備える物品であって、前記剥離被膜が、シリコーンセグメント、-COOH基を含有するハードセグメント、及びソフトセグメントを含む熱可塑性シリコーン含有ポリマーと、
ここで、前記シリコーンセグメントは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の20重量%〜50重量%の量で存在し、
前記ハードセグメントは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の25重量%〜45重量%の量で存在し、
前記ソフトセグメントは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の15重量%〜45重量%の量で存在し、及び
前記−COOH基は、前記シリコーン含有ポリマー総重量の1重量%〜5重量%の量で存在し、並びに
水分散性である二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを含み、
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の5重量%〜99重量%の量で存在し、及び前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーが、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとの総重量の1重量%〜95重量%の量で存在し、
前記剥離被膜が、水及び任意成分の水混和性有機共溶媒を含むコーティング組成物でコーティングされ、
前記剥離被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す、物品。
【請求項30】
前記基材が、コロナ処理、火炎処理、又は化学処理された基材である、請求項29に記載の物品。
【請求項31】
前記基材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、及びこれらの組み合わせから成る群から選択されるポリマーを含む、請求項29に記載の物品。
【請求項32】
前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーが、スチレン−アクリルコポリマー、エチレン−塩化ビニル−酢酸ビニルターポリマー、酢酸ビニル−エチレンコポリマー、カルボキシル化酢酸ビニル−エチレンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、アルケンケテンダイマー、酢酸ビニルアクリルコポリマー、アクリルポリマー、ポリビニルアセテートホモポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項29に記載の物品。
【請求項33】
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、以下の繰返し単位:
【化2】

(式中、
Zは、フェニレン、アルキレン、アラルキレン、及びシクロアルキレンから選択される二価基であり、
Yは、1〜10個の炭素原子のアルキレン基であり、
Rは、少なくとも50%がメチルであり、全てのR基100%の残部が、2〜12個の炭素原子を有する一価アルキル基、2〜12個の炭素原子を有する置換アルキル基、ビニル基、フェニル基、及び置換フェニル基から選択され、
Dは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキル基、及びフェニルから選択され、
Bは、アルキレン、アラルキレン、シクロアルキレン、フェニレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、これらの混合物、並びにAを含む環状構造を完結して複素環、及び鎖内又は側-COOH基を形成する基から選択され、
Aは、-O-及び-N-
|

から成る群から選択され、
ここで、Gは、水素、1〜10個の炭素原子のアルキル基、フェニル基、及びヘテロ環を形成させるためのB’を含む環構造を完成させる基からなる群から選択され、
「n」は、10以上の数であり、並びに
「m」は、0以外で25までの数である)を含む、請求項29に記載の物品。
【請求項34】
前記剥離被膜が配置された表面とは反対側の表面の前記基材上に配置された感圧接着剤を更に備え、前記感圧接着剤がスチレン系ブロックコポリマーゴムを含む、請求項29に記載の物品。
【請求項35】
前記感圧接着剤が、−15℃(258K)〜−11℃(262K)の中間ブロックTgを有し、16〜25g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーを含み、更に前記物品が、2.5cm当たり少なくとも0.49N(50グラム)の初期巻出し力を示す、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
請求項29の前記剥離被膜に適用してそこから取り外された後、前記参照締結試験テープが、ポリエチレンから2.5cm当たり少なくとも3.92N(400グラム)の再付着135°剥離力を示す、請求項29に記載の物品。
【請求項37】
前記剥離被膜が綿ダックカンバスで30回摩耗された後、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから初期135°剥離力が200%以下の増加を示す、請求項29に記載の物品。
【請求項38】
前記コーティング組成物が、界面活性剤、消泡剤、又はそれらの組合せを含む、請求項29に記載の物品。
【請求項39】
第1主表面及び第2主表面を備えるポリプロピレン裏材と、
前記裏材の前記第1主表面に配置された感圧接着剤と、
前記裏材の前記第2主表面に配置された低粘着性バックサイズ被膜と、
ここで、前記低粘着性バックサイズ被膜は、シリコーンセグメント、-COOH基を含むハードセグメント、及びソフトセグメントを含む可塑性シリコーン含有ポリマーを備え、
前記シリコーンセグメントは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の20重量%〜50重量%の量で存在し、
前記ハードセグメントは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の25重量%〜45重量%の量で存在し、
前記ソフトセグメントは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の15重量%〜45重量%の量で存在し、及び
前記−COOH基は、前記シリコーン含有ポリマー総重量の1重量%〜5重量%の量で存在し、並びに
水分散性である二次熱可塑性被膜形成性ポリマーとを含むおむつテープを備えるおむつであって、
前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーが、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーの総重量の5重量%〜99重量%の量で存在し、及び前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーが、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーと前記二次熱可塑性被膜形成ポリマーの総重量の1重量%〜95重量%の量で存在し、
前記低粘着性バックサイズが、水及び任意成分の水混和性有機共溶媒を含むコーティング組成物でコーティングされ、
前記低粘着性バックサイズ被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す、おむつ。
【請求項40】
前記コーティング組成物が、界面活性剤、消泡剤、又はそれらの組合せを含む、請求項39に記載の物品。
【請求項41】
基材を提供する工程と
熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーのブレンドを含む水性分散液を前記基材の表面に塗布する工程と、
ここで、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の15重量%を超え65重量%未満のシリコーンセグメントを含み、
前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性であり、及び
前記水性分散液は、水混和性有機共溶媒を含み、並びに、
前記水性分散液を乾燥し前記基材に配置された剥離被膜を形成する工程とを含む物品を作製する方法であって、
前記剥離被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す、方法。
【請求項42】
前記水性分散液が、界面活性剤、消泡剤、又はそれらの組合せを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
第1主表面及び第2主表面を有する裏材を提供する工程と、
感圧接着剤を前記裏材の第1主表面に塗布する工程と、
熱可塑性シリコーン含有ポリマーと二次熱可塑性被膜形成性ポリマーのブレンドを含む水性分散液を前記裏材の前記第2主表面に塗布する工程と、
ここで、前記熱可塑性シリコーン含有ポリマーは、前記シリコーン含有ポリマー総重量の15重量%を超え65重量%未満のシリコーンセグメントを含み、
前記二次熱可塑性被膜形成性ポリマーは、水分散性であり、及び
前記水性分散液は、水混和性有機共溶媒を含み、並びに
前記水性分散液を乾燥し前記裏材に配置される低粘着性バックサイズ被膜を形成する工程とを含む物品を作製する方法であって、
前記低粘着性バックサイズ被膜が、−10℃(263K)の中間ブロックTgを有し、20〜40g/mのコーティング重量でコーティングされた、粘着付与されたスチレン−イソプレン−スチレン感圧接着剤を含む参照締結試験テープから2.5cm当たり少なくとも0.98N(100グラム)の初期135°剥離力を示す、方法。
【請求項44】
前記水性分散液が、界面活性剤、消泡剤、又はそれらの組合せを含む、請求項43に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−514701(P2009−514701A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538924(P2008−538924)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/041711
【国際公開番号】WO2007/053405
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】