説明

熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法

【課題】 ダイの吐出ノズル先端部における目やにの堆積を効果的に抑制することが可能な熱可塑性樹脂の押出成形方法を提供する。
【解決手段】 溶融した熱可塑性樹脂組成物が押し出される吐出ノズル12の先端部近傍に気体流出口11から気体を吹き付けながら、吐出ノズルあたり14kg/時以上、40kg/時以下の吐出量で熱可塑性樹脂組成物を押し出すことにより、吐出ノズル先端部近傍の、押し出された熱可塑性樹脂組成物がバラス効果によって膨張している部分で気体の流れを変化させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法に関し、特には熱可塑性樹脂組成物をストランド状に押し出して成形するための熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂組成物の造粒(ペレットの製造)などにおいて、熱可塑性樹脂組成物を溶融してストランド状に押出成形することが広く行われている。通常、このような押出成形では、ノズル状の吐出孔を一般には複数有するダイを押出機のシリンダー先端に取り付け、押出機から溶融樹脂組成物をダイの吐出孔から押し出すことにより、ストランド状の樹脂組成物製品が製造される。樹脂組成物の造粒を行う場合には、ストランド状に押し出された樹脂組成物製品を、カッターブレードによって所定長さごとに切断する。
【0003】
ノズル状の吐出孔から連続して樹脂組成物を押し出すと、押し出された樹脂組成物のごく一部が吐出孔の縁に付着する。吐出孔の縁に付着するこのような微量の樹脂組成物を喩えて「目やに」と呼ぶ。目やには押し出しの継続時間が長くなるほど堆積して大きくなり、また、熱や酸化の影響により樹脂組成物の特性が劣化したり、変色したりする。
【0004】
目やには、そのまま放置しておくと堆積して大きくなり、ある時点で吐出孔の縁から剥がれ、押し出されるストランド状の樹脂組成物に付着して運ばれ、樹脂組成物製品(ペレットなど)に混入する。このような目やには、正常に造粒された樹脂組成物とは外観(色、形状)や物性が異なるため、樹脂組成物製品にとって異物である。例えば、大きな目やにがペレットに混入していると、そのペレットから成形した成形品の外観や物性を損ねる原因となる。
【0005】
そのため、目やにの発生や、発生した目やに(異物)の製品(ペレット)への混入を抑制するための提案がなされている。例えば、特許文献1には、吐出孔の先端外周(ストランド表面)に気体を吹き付けることにより、目やにを吹き飛ばしたり、吐出孔の縁に付着した樹脂組成物がまだ小さく、変質が進まない段階で(未固化の)ストランド状樹脂組成物の表面に付着させて分散希釈し、独立した固形物としての目やに(異物)の混入や発生を抑制する押し出し成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3681172号公報(図2〜図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の技術によれば、目やにの混入や発生をある程度抑制することができるが、それらの効果は不十分であり、完全に目やにを無くすためには吐出孔の先端外周に吹き付ける気体の流速を高くする必要があった。だが、この気体はストランド表面にも吹き付けられるため、押し出されたストランドが不安定化し、ストランドが切れたり、隣り合うストランドが融着したりすることがあり、安定した押し出しは困難であった。
【0008】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、熱可塑性樹脂組成物をダイの吐出ノズルから押し出してストランド状に押出成形する際、吐出ノズル先端部における目やにの堆積を効果的に抑制することが可能な押出成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は、目やに発生の様子や、気流により目やにを吹き飛ばす検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂組成物をストランド状に押出成形する際、特定の吐出量で樹脂組成物を押し出しながら、ダイの吐出ノズル先端部近傍へ気体を吹き付けることにより、吐出ノズル先端部における目やにの堆積を効果的に抑制可能であることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
上述の目的は、吐出ノズルを有する口金を取り付けた押出装置を用い、熱可塑性樹脂組成物を吐出ノズルから押出成形する方法であって、先端部の肉厚Ltが0<Lt≦2mmである吐出ノズルを用いるとともに、吐出ノズルの先端部近傍へ気体を吹き付けながら、吐出ノズルあたり14kg/時以上、40kg/時以下の吐出量で熱可塑性樹脂組成物を押し出すことにより、吐出ノズルの先端部近傍で、熱可塑性樹脂組成物をバラス効果によって膨張させ、当膨張部分で気体の流れを変化させ、押し出された熱可塑性樹脂組成物の一部が吐出ノズルの先端部に堆積することを抑制することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法によって達成される。
【発明の効果】
【0011】
このような構成により、本発明によれば、吐出ノズル先端部における目やにの堆積を効果的に抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る押出成形方法を適用可能な押出装置の、ダイ周辺の構成例を示す垂直断面図である。
【図2】図1における吐出ノズル12と気体流出口11との位置関係をより詳細に説明するための垂直断面図である。
【図3】(a)は、吐出ノズル先端の形状例とバラス効果を模式的に示す図、(b)〜(d)は、吐出ノズル先端の他の形状例および吐出ノズル先端部の肉厚の定義を示す図である。
【図4】本発明の原理を説明するための図である。
【図5】気体流出口11からの気流を乱流化するための構成の一例を示す図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る樹脂押出用ダイに複数設けられた吐出ノズル12のうち、2つについての正面図、(b)は本発明の実施形態に係る樹脂押出用ダイの吐出ノズルの縦断面図、(c)は本発明の実施形態に係る樹脂押出用ダイのマニホールドの構成を説明するための図である。
【図7】(a)は本発明の実施形態に係る樹脂押出用ダイを用いて押し出されたストランドをペレット状に加工するまでの工程に係る構成を模式的に示した図、(b)はストランドを搬送するガイドローラーの構成例を示す図、(c)は図7(b)に示すガイドローラーの溝の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明についてさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る押出成形方法を適用可能な押出装置の、ダイ周辺の構成例を示す垂直断面図である。
なお、本発明において、ダイを除く押出装置本体の構成は、単軸押出装置、多軸押出装置など、周知の任意の形式を採用することが可能であるため、その構成の詳細についての説明は省略する。また、ホッパーやフィーダー等、押出装置に関連する周辺装置についても特に制限はなく、樹脂組成物などに応じて適宜適切な形式の周辺装置を採用することができる。
【0014】
樹脂押出用ダイ(以下、単にダイという)は、押出装置のシリンダー先端に設けられたダイホルダ5に例えばネジ21によって取り付けられる口金8と、口金8に例えばネジ22で取り付けられるカバー10とから構成される。
【0015】
口金8には吐出孔15を備える吐出ノズル12が設けられており、ダイホルダ5に設けられた流路9に押し出し装置のスクリュー(図示せず)によって供給される溶融樹脂組成物は、吐出孔15からストランド状に押し出される。Oリング状のパッキン13は、ダイホルダ5と口金8の隙間を塞ぎ、口金8とダイホルダ5との取り付け部から高圧の溶融樹脂組成物が漏れ出すことを防止するために設けられている。
【0016】
なお、図1は垂直断面図であるため吐出ノズル12が1つのみ示されているが、紙面と直交する方向に複数の吐出ノズル12が所定間隔で配置されてもよい。また、以下の説明においては、図1の下方向が鉛直下方であり、樹脂組成物が水平方向よりやや下方に押し出されるものとするが、本実施形態に係るダイにおいて、樹脂組成物の押出方向に制限はなく、ダイの取り付け角度及び/または吐出ノズル12の方向は任意に変更可能である。
【0017】
カバー10は、口金8との間に空間を形成するように口金8に取り付けられる。また、カバー10の前面上部には、図示しない気体供給部からカバー10内部に気体を導入するための気体流入口14が設けられ、気体は、気体流入口14に取り付けられる気体供給ノズル14aを通じて気体供給部からカバー10内部に導入される。なお、本実施形態では気体として空気を使用するが、気体は空気に限定されることはなく、不活性ガス、窒素ガスや水蒸気であってもよい。
【0018】
なお、カバー10と口金8との間の空間に気体を供給することが可能であれば、気体流入口14をカバー10に設ける必要はない。例えば、口金8を通じて気体を供給する構成とした場合、カバー10に気体流入口14を設けなくてもよい。
【0019】
カバー10にはまた、個々の吐出ノズル12に対応した気体流出口11が設けられている。気体流出口11は、気体供給口14からカバー10内部の空間に供給される気体を吐出ノズル12の先端部の近傍周囲に吹き付けるために設けられる。カバー10の気体流出口11周囲の内壁10aは、気体の流路を気体流出口11に向かって徐々に狭くするよう、気体流出口11に向かってすり鉢状にテーパーが形成されている。これにより、気体は吐出ノズル12の外周面に沿って吐出ノズル12の先端部近傍へ効率よく吹き付けることができる。なお、カバー10は、気体供給口14から供給された気体が気体流出口11からのみ流出可能なよう、口金8の少なくとも一部を覆う構成とすることができる。
【0020】
図2は、図1における吐出ノズル12と気体流出口11との位置関係をより詳細に説明するための垂直断面図である。
気体流出口11と吐出ノズル12の先端部外周との間隙dは略均一であり、1.0mm≧d≧0.1mmであることが好ましい。更に好ましくは0.7≧d≧0.2mmである。
dが0.1mm未満となると、気体の流速が不十分となり、目やにがノズル先端に付着しやすく(あるいは付着した目やにが堆積しやすく)なる。一方、dを1.0mmを超えるように構成しても構わないが、必要な気体の流量の増加に対し、目やにの発生や堆積を抑制する効果や、付着した目やにを除去する効果に有意な変化が見られないため、現実的でない。
【0021】
また、吐出ノズル12の先端部外周のテーパー角をα、気体流出口11周囲のテーパー角をβとすると、気体流出口11に向かって気体流路の断面積を減少させて流速を上昇させるため、α<βであることが好ましい。また、β−αが0.5°以上であることが好ましく、1°以上であることがさらに好ましく、3°以上であることが最も好ましい。また、β−αが50°以下であることが好ましい。50°を超えるとノズル先端の気流速度が逆に落ち、目やにの堆積を抑制する効果が低減する。
【0022】
吐出ノズル12の内径φdは、7mm≧φd≧2mmであることが好ましい。7mmより大きくなるとストランドが太くなりすぎ、引き取り時に切れやすく、生産性が低下する。また2mmより小さいとダイの中での圧力が高くなりすぎベントアップし易くなる。
【0023】
さらに、吐出ノズル12の先端部(吐出孔15の縁)への目やにの堆積を抑制するため、吐出ノズル12の先端は、肉厚が少なくなるようにテーパー加工されており、先端部の肉厚Lt=(外径φD−内径φd)/2は、強度が維持できる範囲で小さいことが望ましい。
【0024】
図3(a)は、吐出ノズル先端の形状例とバラス効果を模式的に示す図である。吐出ノズル12内の溶融樹脂組成物の径(=吐出ノズル12の内径)をφd、吐出ノズル12から押し出されて膨張した溶融樹脂組成物の径をDとすると、D>φdとなる。このような、押し出された溶融樹脂組成物が膨張する現象はバラス効果(ダイスエルとも呼ばれる)として知られており、押し出された溶融樹脂組成物が粘弾性を有することに起因する。
【0025】
ここで、吐出ノズル12の先端部の肉厚Ltが大きいと、吐出ノズル12の先端部12aに形成される、樹脂組成物の押し出し方向に対して略垂直な端面12bが大きくなる。吐出ノズル12の周囲の気体流出口11から流出する気体は吐出ノズル12の外周に沿って進んだのち、押し出された溶融樹脂組成物へ向かう気流a1と、端面12bの後ろに渦状に回り込む気流a2とに分かれるが、端面12bが大きくなると、渦状の気流a2が到達しない領域12cが生じるため、領域12cに目やにが付着しやすくなると考えられる。
【0026】
従って、略垂直な端面12bを減少させるため、吐出ノズル12の先端部12aの肉厚Ltは小さいことが好ましく、具体的には0<肉厚Lt≦2mmであることが好ましい。肉厚Ltが2mmを超えると、上述した理由により、吐出ノズル12先端部近傍外周に気体を吹き付けることの効果を十分に得ることが困難となる。
【0027】
なお、樹脂組成物の押し出し方向に対して略垂直な端面12bを減少させる(実質的に0mmとする)ために、吐出ノズル12の先端部12aの形状を加工することもできる。なお、ここで、端面12bが実質的に0mmとは、肉厚Ltが0.05mm以下程度であることを意味するものとする。例えば、図3(b)に示すように、先端部12aの外周面を曲面状(所謂アール)に加工することにより、樹脂組成物の押し出し方向に対して略垂直な面を実質的に無くすことができる。このアールは曲線ではない所謂「面取り」の形状としても良いことは勿論である。図3(b)の形状の場合、先端部12aの肉厚Ltは、上述のLt=(φD−φd)/2におけるφDとして、吐出ノズル12の長手方向における中心軸に沿った垂直断面において、先端部12aの最先端の2点12eを通る直線12fと外周面が形成する線を延長した直線12dとの交点Pの間隔を用いることにより求めることができる。
肉厚Ltは0に近いほど良いが、先端部12aの変形、欠損は致命的な欠陥となる場合があるので、図3(a)の構造を採用する場合には肉厚Ltは0.03mm程度以上とすることが良いと考えられる。
【0028】
また、樹脂組成物の押し出し方向に対して略垂直な端面12bを減少させるための別の加工例を図3(c)に示す。図3(c)では、先端部12aを曲面加工する代わりに、端面12bに相当する部分をノズルの中心に向かって曲面的なすり鉢状に加工したものである。この場合、肉厚Ltを規定するφDは、吐出ノズル12の長手方向における中心軸に沿った垂直断面において、先端部12aの最先端の2点12gの間隔として規定することができる。なお、端面12bが存在する場合には、図3(d)に示すように、最先端の2点の最大の間隔(12g'の間隔)としてφDを規定することができる。
なお、ノズル先端の内面部分にはアール(矢示R)が形成されていることが好ましく、このアールの形成は樹脂組成物のスムーズな膨張(バラス効果による拡大・膨張)を促し、目やにの堆積防止に大いに役立つ。アールの大きさ(アールを規定する半径)は0.005〜1mm程度が適当である。アール面を平面とした所謂面取りの場合も面幅の大きさで0.005〜1mm程度が適当である。
【0029】
本発明において、個々の気体流出口11から流出させる気流の線速度が4〜100m/秒となるように気体を供給する。線速度が4m/秒を下回ると、風圧が不十分となり、目やにの堆積を抑制する効果が十分得られない。また、100m/秒を超えると、風圧により樹脂組成物ストランドが切断されたりするなど、押し出されている樹脂組成物に対する影響が生じうる。
【0030】
更に、気体の温度は押し出される樹脂組成物の種類、軟化点、溶融温度等によって異なるが、非晶性樹脂組成物であれば、(Tg(ガラス転移温度)−100)℃から(Tg+150)℃の温度に加熱されていることが好ましい。例えば樹脂としてポリカーボネートを用いる場合には50℃〜300℃程度とするのが好ましい。また、結晶性樹脂であれば(Tm(溶融温度)−150)℃〜Tm+50℃に加熱されることが好ましい。例えば樹脂としてポリブチレンテレフタレートを用いる場合には70℃〜270℃程度とすることが好ましい。更に、非晶性樹脂であれば、(Tg−70)℃から(Tg+130)℃、結晶性樹脂であれば(Tm−120)℃〜Tm+20℃の温度に加熱されることがより好ましい。このような温度とすることにより目やにを固化させることなく吹き飛ばして除去することができるし、またダイ温度を低下させる等の悪影響を与える心配もない。より高い温度の気体を使用することもできるが、より良い効果は期待できない。むしろ、気体の温度が高すぎるとノズル近傍に僅かに発生した目やにの劣化変色を促進してしまう。
【0031】
(熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂組成物)
本発明の押出成形方法によってストランド状に押出成形する熱可塑性樹脂組成物の成分は特に制限されないが、JIS K7199に準じて、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定した剪断粘度が50Pa・秒以上であり、かつ5000Pa・秒以下であることが好ましい。更に好ましくは同条件で測定した剪断粘度が80Pa・秒以上であり、3000Pa・秒以下である。
剪断粘度が50Pa・秒未満だと、粘性が低く、バラス効果が小さくなるため、後述する吐出量の制御によっても目やにの堆積を抑制する効果を十分得ることができない。一方、剪断粘度が5000Pa・秒を超えると発熱し易くなり、樹脂が熱分解し発泡し、ストランドが切れやすくなる。また熱分解により目やにの発生も多くなる。
【0032】
バラス効果の大きい樹脂(組成物)を選択したり、成形条件を変化させたりする(例えば、引き取り速度を遅めにする)ことにより、図4(a)に示すような成形をおこなうことも可能である。この成形はノズル先端部12aの略垂直な端面12bをストランドの表面で擦り上げるようにバラス効果を極端にするもので、生成した目やには劣化する前に、直ぐにストランドの表面に付着して移動し、ノズル先端部12aへの目やにの堆積が抑制される。
【0033】
熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂の単一成分であってもよく、複数の熱可塑性樹脂の混合物でもよい。また溶融樹脂に強化充填材を配合することができる。非限定的な強化充填材の例としては、ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、ホウ素繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素チタン酸カリウム繊維、金属繊維などの無機繊維や、芳香族ポリアミド繊維、フッ素樹脂繊維などの有機繊維などが挙げられる。これらの強化充填材は、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
強化充填材と共に、あるいは別に、他の充填材を溶融樹脂に配合することができる。他の充填材の非限定的な例としては、板状無機充填材、セラミックビーズ、アスベスト、ワラストナイト、タルク、クレー、マイカ、ゼオライト、カオリン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの中でも、板状無機充填材を配合することにより、成形品の異方性およびソリを低減することができる。板状無機充填材の非限定的な例としては、ガラスフレーク、雲母、金属箔などを挙げることができる。これらの中ではガラスフレークが好適に使用される。
【0035】
また、2,6−ジ−t−ブチル−4−オクチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のフェノール化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−ラウリルチオジプロピオネート)等のチオエーテル化合物、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の燐化合物などの抗酸化剤、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルに代表される長鎖脂肪酸およびそのエステル、シリコーンオイル等の離型剤などを溶融樹脂に添加してもよい。
【0036】
また、樹脂に難燃性を付与するために難燃剤を配合することができる。非限定的な難燃剤の例としては、有機ハロゲン化合物、アンチモン化合物、リン化合物、その他の有機難燃剤、無機難燃剤などが挙げられる。このうち、有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート等が挙げられる。アンチモン化合物としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等が挙げられる。リン化合物としては、例えば、リン酸エステル、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、赤リン等が挙げられる。その他の有機難燃剤としては、例えば、メラミン、シアヌール酸などの窒素化合物などが挙げられる。その他の無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物などが挙げられる。
【0037】
また、必要に応じて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸エステル、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリエステル、等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を配合することができる。これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0038】
このように、本発明の押出成形方法は、様々な熱可塑性樹脂組成物の押出に適用することが可能である。しかし、目やにの発生し易い熱可塑性樹脂(単一成分および樹脂組成物を含む)に適用することが特に効果的であることはいうまでもない。
熱可塑性樹脂が単一成分であれば目やにの発生は僅かである。例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂のみを単一成分で押し出す場合、目やにの発生は少ない。
【0039】
しかしながら、これらの熱可塑性樹脂に、上述した強化充填材、充填材、難燃剤、他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの他成分を添加すると目やにの発生が目立ってくる。これらの他成分が溶融樹脂中5%以上含まれると目やにの発生が多くなり、10%以上含まれると目やにの発生が顕著になる。そのため、本発明の押出成形方法を、他成分が5%以上含まれる樹脂組成物の押出に用いることで、目やにの堆積及び成形品への混入を抑制する顕著な効果を享受することができる。
【0040】
(離型剤の効果)
本発明の押出成形方法を使用してストランド状に押し出す熱可塑性樹脂に、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、モンタン酸やモンタン酸エステルに代表される長鎖脂肪酸およびそのエステル、シリコーンオイル等の離型剤を添加することにより、目やにの発生をさらに低減できる。これは、熱可塑性樹脂に添加された離型剤が、吐出孔出口でノズルの表面と溶融樹脂の間の潤滑剤として機能し、溶融樹脂がノズルに付着しづらくなる(目やにの堆積がある程度抑制される)からである。離型剤を押し出す熱可塑性樹脂(組成物)に対して0.03%以上添加すると含まれると目やにの堆積を抑制する効果が現れ、特には0.1%以上添加すると効果が顕著となる。一方、1%を超える割合で添加しても効果の向上が少ないため、コストの点から1%以下とすることが好ましい。
【0041】
(吐出量)
本発明の押出成形方法は、溶融樹脂(組成物)の吐出量を制御することで、バラス効果による径の増大(ダイスエル率)を制御し、気体流出口11からの吐出ノズル12の外周に沿った気流がストランドの膨張部分に吹き付けられるようにすることで気流の方向を変化させ、溶融樹脂組成物が吐出ノズルから離れる部分(目やにが発生しやすい部分)に気体が十分な風圧で当たるようにして、目やにの堆積を抑制することを特徴とする。なお、目やにの堆積を抑制する効果は、目やにの発生自体の抑制はもとより、発生した目やにが微小な段階のうちに吹き飛ばすことによって達成される。
【0042】
ここで、ストランドの膨張部分とは、図4(a)に示すように、溶融樹脂(組成物)が吐出ノズル12の吐出孔から押しだされた時点(径=吐出ノズル12の内径φd)から、略一定の径Dとなるまでの間の区間41を意味する。換言すれば、バラス効果によって溶融樹脂の径が増大し続けている部分を意味する。
【0043】
発明者の検討によれば、吐出ノズルからの溶融樹脂(組成物)の吐出量の下限を、14kg/時以上、好ましくは17kg/時以上、さらに好ましくは19kg/時以上とし、上限を40kg/時以下、好ましくは30kg/時以下、さらに好ましくは24kg/時以下とすることにより、上述した剪断粘度を有する熱可塑性樹脂(組成物)について良好なバラス効果が得られ、目やにの発生および樹脂製品への混入を防止することが可能であることがわかった。
【0044】
図4(a)及び(b)に示すように、樹脂ストランドの膨張部分は、気流a、特には気体流出口11から吐出ノズル12の外周面に沿って流れる成分からみて壁のような存在となる。そのため、気流は膨張部分に当たってその向きを変え、参照数字42で示す、ストランドが吐出ノズル12から離れる部分とその近傍、すなわち目やにの発生しやすい部分に気体の圧力が作用するため、気流による目やにの堆積抑制効果が効果的に実現されると考えられる。
【0045】
吐出量が14kg/時未満となったり、40kg/時を超えると、目やにの発生並びに発生した目やにの樹脂製品への混入を防止する効果が十分得られない。
なお、吐出ノズル12が口金8に複数設けられている場合、ここでいう吐出量は吐出ノズル1つ当たりの吐出量である。
【0046】
また、特には、バラス効果による径の膨張率(ダイスエル率)=D/φdが、1.05以上であることが好ましく、1.1以上となるように吐出量を決定することがさらに好ましい。また、ダイスエル率は1.35以下であることが好ましい。ダイスエル率が1.35を超えると目やにが発生しやすくなる。これは、ダイスエル率が1.35を超えると気流の流れが変わり、目やにの発生する部分に気体の圧力が作用し難くなることが原因と考えられる。ダイスエル率は1.30以下であることが更に好ましい。
ダイスエル率は、成形中の樹脂組成物のストランドと成形していない状態のノズル先端(内径)を同じ位置から写真で撮影し、ノズル先端から2cm以内のストランド最大径(φD)とノズル内径(φd)を写真から実測、この径の比(φD/φd)をダイスエル率とした。
【0047】
(気流の乱流化)
なお、吐出ノズル12の外周に沿って吹き付ける気流の流速および気流の方向の少なくとも一方を経時的に変化させる(乱流化する)ことにより、本発明の効果を一層高めることができる。これは、気体の供給量を経時的に変化させることによっても実現できるが、気体流出口11と吐出ノズル12とを振動させることによっても実現できる。
【0048】
図5は、気体流出口11と吐出ノズル12先端部とを振動させることにより、気流を乱流化する構成の例を示す図である。
図5に示す構成では、口金8を振動させる振動発生機30が設けられている。振動発生機30はアクチュエータのような振動部材(図示せず)を有し、図示しない制御回路によりアクチュエータの動作が制御される。振動発生機30はその動作状態において、口金8(及び口金8に取り付けられているカバー10)を所定の周波数及び振幅で上下方向、又は左右方向に振動させることができる。
【0049】
これにより、気体流出口11から流出する気体の流れに乱れを生じさせ、乱流を安定的に形成することができる。ここで、口金8に加える振動は、振幅が0.005mm〜0.2mm、振動速度が0.3mm/秒〜5mm/秒であることが好ましい。なお、振動速度(mm/s)/(2π×振幅(mm))で振動周波数(Hz)を求めることができる。振幅や振動速度の上限を超えると、押し出されたストランドが大きく振動することがあり、隣接する吐出孔から押し出されるストランドがぶつかったり、ストランドと冷却水との接触が不安定となったりして安定した製造ができなくなる。また、口金8やカバー10を固定するネジ21,22が緩んで、安定した製造ができなくなる原因となる場合もある。また、下限値未満の場合には、振動による気流の乱流化の効果が十分得られない。
【0050】
口金8を所定の振幅及び振動速度で振動させることは、目やにの除去効果の上から重要な要件となる場合が多い。すなわち、口金8が振動することにより、振動しない場合よりも、目やにが吐出ノズル12の先端部から早期(微小物のうち)に外れ易く(飛び易く)なるし、更に、押し出されたストランドも振動するため、気流や振動で飛ばされた目やにがストランドの表面に付着しにくくなるという相乗効果が奏されるからである。
【0051】
なお、図5に示した構成は、気体流出口11から流出する気流を乱流化させるための構成の一例であり、他の構成を採用しうることは言うまでもない。例えば、振動発生機30のような能動的な加振部材を設けずに、押出装置の駆動装置(モーターなど)の発生する振動を利用して口金8(及びカバー10)を振動させる構成であってもよい。
【0052】
(吐出ノズルの構成に関するさらなる詳細)
なお、上述の構成を有する樹脂押出用ダイを用いて溶融樹脂組成物をストランド状に成形する場合、複数の吐出ノズル12がダイに設けられるが、この吐出ノズルを特定の構造とすることによりさらに押出が安定し、目やに防止(除去)やストランドの切断防止に有効であることが本発明者の検討により明らかになった。
【0053】
ここで、特定の構造とは、
(1)複数設けられる吐出ノズルの内径φd(押出方向に直交する断面積)と、複数の吐出ノズルに供給される溶融樹脂組成物の圧力を均一化するために、吐出ノズルの後部(押出機側)に設けられるマニホールド120の断面積(押し出し方向に直交する断面積)との関係が特定の関係を満たし、かつ、
(2)吐出ノズルの長さが特定の条件を満たす、
構造である。
【0054】
図6(a)は複数設けられた吐出ノズル12のうち、2つの正面図、図6(b)はある吐出ノズル12の縦断面図(吐出ノズルを円柱形状と見なした場合の軸を含んだ垂直断面図)である。ダイが複数の吐出ノズル12を備える場合、複数の吐出ノズル12の後部には通常、複数の吐出ノズル12に対して均一な圧力で溶融樹脂組成物を供給するためのマニホールド120が設けられている。すべての吐出ノズル12には共通のマニホールド120を通じて溶融樹脂組成物が供給される。押出機からダイに供給される溶融樹脂組成物はマニホールド120で一旦滞留して、圧力が均一化され、細い吐出ノズル12で絞り込まれることにより吐出ノズル12からの押出し量が均一となる。この際、吐出ノズル12での絞り込み率が少なすぎると(あまり絞り込まないと)各吐出ノズル12に掛かる圧力が不均一となり、ストランドが安定せず、ストランドが切れ、吐出ノズル12への目やに付着が多くなる。絞り込み率が大きすぎると樹脂圧力が高くなり、押出機のスクリュー先端の樹脂充満領域が長くなり、剪断により発熱し樹脂温度が上がり、目やに発生が多くなる。また吐出ノズル12が短かすぎるとやはり各吐出ノズル12に掛かる圧力が不均一となり、ストランドが安定せず、ストランドが切れ、吐出ノズル12への目やに付着が多くなる。同様に、長すぎると樹脂温度が上がり、目やに発生が多くなる。
従って、絞り込み率と吐出ノズル12長さのバランスはストランドの安定性、ひいては目やにの発生に大きく影響を与える。
【0055】
マニホールド120から吐出ノズル12への絞り込み率は、吐出ノズル12の最小断面積の合計面積S1とマニホールド120の最大断面積S2(マニホールド120の径×マニホールド120の長さで表される、押し出し方向に直交する断面積のうち最大のもの)との比率、すなわちノズル開口率=S1/S2として表すことが可能である。
【0056】
マニホールド120の形状によって多少の変化を生ずるが、マニホールド120の径とは図6(b)に示す径、すなわち、吐出ノズル12を正面から見て、最大投影される上下方向の距離であり、マニホールド120長さとは、図6(c)に示すような、含む長手方向の距離である。なお、図6(c)では、ダイに形成された空洞であるマニホールド120の形状がわかるよう、マニホールド120と吐出ノズルのみを抜き出して模式的に示している。
このように定義される吐出ノズル12の最小断面積の合計面積S1とマニホールド120の最大面積S2との比率S1/S2であるノズル開口率は10%≧S1/S2≧1.2%であることが好ましく、8%≧S1/S2≧2%程度であることが更に好ましい。なお、ノズル開口率が大きければ、各ノズルに掛かる樹脂圧力にむらが発生し、各ノズルからの樹脂組成物の流れが不均一になる。それにより、目やにの発生は多くなる。また開口率が小さければ、樹脂組成物のマニホールドでの滞留時間が長くなり、熱履歴を受け、目やにが発生し易くなる。
また、吐出ノズル12の長さは15〜50mmであり、更に好ましくは18mm〜40mmである。吐出ノズルが短くなると、所謂バラス効果によるストランド径の増加率(ダイスエル率)が大きくなり、目やにが吐出ノズル先端に付着しやすくなる。逆に、吐出ノズルが長くなるとスクリュー先端での樹脂滞留域が長くなって樹脂温度が上昇するため、やはり目やにが発生しやすくなる。
ノズル開口率S1/S2と吐出ノズル12の長さをこのようなバランスとすることにより、ストランドの安定した押出しが行え、ひいては目やに発生の抑制効果につながる。
【0057】
吐出ノズル12については図6(b)に示すような断面を有する構造が一般的であるが、吐出ノズル12の内径とは吐出ノズル12の先端部の最小径の部分を指し、それより大きな形を有する根元部分(マニホールド120側)の径ではない。ただし、吐出ノズル12の長さは、最小径部分のみの長さではなく、マニホールド120から突出している部分全体の長さである。
【0058】
図7(a)は、吐出ノズル12から押し出されたストランドをペレット状に加工するまでの工程に係る構成を模式的に示した図である。
ストランド91は引き取りローラー95によって引き取られ、ペレタイザー96によってペレット状に加工(切断)されるが、ペレタイザー96に供給される前の搬送経路において冷却されるのが通常である。具体的には図7(a)に示すように、冷却槽92に溜められた冷却媒体(通常は水)93中を搬送されるようにして、冷却される。樹脂組成物の劣化を少なくするために、ストランド91が吐出ノズル12から押し出されてから冷却媒体93に入るまでの時間は短い方が良い。通常は、吐出ノズル12から押し出されてから1秒以内に冷却媒体93に入るのが良い。
【0059】
そのため、吐出ノズル12からほぼ最短距離で冷却媒体93へ向かうように搬送することが好ましく、また、冷却媒体93で冷却される時間が長くなるように搬送することが好ましい。
このような条件を満たす搬送経路を実現するため、ストランド91の搬送経路には94A,94Bで示すようなガイドローラーが設けられるのが一般的である。ガイドローラー94A,94Bの径は通常3〜7cm程度である。
【0060】
本発明者の検討によれば、従前用いられているこのような搬送機構、具体的にはガイドローラー94A,94Bの少なくとも1つを利用することにより、上述した各種の方法をかいくぐってストランド91の表面に付着した目やにをさらに削減することが可能になることがわかった。
具体的には、ガイドローラー94A,94Bの少なくとも一方を、ストランド91の走行(搬送)方向とは逆方向に回転させるか、ストランド91の走行速度(引取り速度)よりも遅い周速度でストランド91の走行方向と同じ方向に回転させることである(あるいは、回転させない状態で保持してもよい)。
【0061】
ガイドローラー94A,94Bは通常、ストランドの走行方向と交差する方向に回転軸を有する円筒形状を有する。そして、複数本が平行して押し出されるストランド91が所望の搬送経路で搬送されるように、複数本のストランド91を円筒面(外周面)で支持する。
ガイドローラー94A,94Bの円筒面には図7(b)に示すように周方向に環状(リング状)の溝942が複数設けられる。溝942は走行するストランド91を受け入れて支持し、接近した位置にあるストランド91同士が接触し融着することを防ぐ。
【0062】
溝942の幅はストランド91の太さより若干広めで、溝942の底部は弧状とされていることが安定した支持を行うために好ましい。また、通常溝942の深さはストランド91の径にもよるが、2mm〜10mmである。更に、溝942のピッチ(隣り合う溝942の間隔)は、通常、ストランド91の間隔(ダイの吐出ノズル12の間隔)に合わせる。ストランド91の径にもよるがピッチは5mmから20mmである。溝942の数は押し出されるストランドの数以上であれば良い。
【0063】
ガイドローラー94A,94Bは冷却槽92のストランド走行位置に1本あるいは複数本設けられる。複数本の場合はガイドローラー94A,94B間にストランドが掛け渡されて冷却槽92中を走行し冷却される。
【0064】
ガイドローラー94A,94Bはストランドの走行方向と逆方向または走行方向と同じ方向に回転可能に支持されてもよいし、回転不能に支持されてもよい。ストランド91の走行(搬送)速度に対してガイドローラー94A,94Bの溝942の移動(回転)速度が相対的に遅くなるようにガイドローラー94A,94Bを支持(もしくは駆動)することにより、溝942のストランド91と接する面でストランド91の表面を擦り、ストランド91の表面に付着した目やにを除去することができる。なお、ガイドローラー94が搬送経路の複数箇所に設けられている場合には、その少なくとも一つを上述のように支持もしくは駆動することにより、ストランド91の表面を擦るようにすればよい。
【0065】
ガイドローラー94A,94Bをストランドの走行方向と逆方向に回転させるにはガイドローラー94A,94Bに駆動装置を設ければ良い。この場合、ストランド91と溝942の表面(ストランド91と接する面)との抵抗(摩擦)が大きすぎるとストランド91の走行が不安定になる場合が有るので、ストランド91の走行が安定する範囲で回転速度(一定時間あたりの回転量)を定める。
【0066】
ガイドローラー94A,94Bを走行方向と同じ方向に回転させる場合には駆動装置を設けなくてもよい。ガイドローラー94A,94Bを回転させるのにある程度の抵抗(少なくとも、走行するストランド91の摩擦力によりストランド91と当速度で回転することがない程度の抵抗)を与えれば良い。これにより、ガイドローラー94A,94Bはストランド91の走行に追従して回転するが、与えられた抵抗によりストランド91の走行速度より遅く(周速度が遅く)回転し、溝942の表面でストランドの表面を擦ることが可能になる。駆動装置を設けることも可能であるが、逆回転の場合と異なり、回転に抵抗を与える構成の方が簡便である。
【0067】
このように、ストランド91は冷却媒体92中を走行しながらガイドローラー94A,94Bの表面と接触し、ストランド91の走行速度とガイドローラー94A,94Bの回転速度(周速度)との差によってストランド91の表面が溝942の表面で擦られ、ストランド91の表面に付着する目やにが除去される。
【0068】
この効果は、ストランド91の走行速度と同じ周速度でガイドローラー94A,94Bを回転させた場合には得られないものである。ストランド91の走行速度とガイドローラー94A,94Bの周速度を略同速度とした場合には、ストランド91の表面を擦ることが出来ないだけでなく、むしろ溝942の表面によって目やにをストランドに張り付けたり、埋め込んだりすることになることも考えられる。具体的なガイドローラー94A,94Bの回転(周)速度Vrは、ストランドの速度Vsに対して0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係であることが好ましい。上限はより好ましくは0.5≧Vr/Vsであり、下限はより好ましくはVr/Vs≧0である。Vsはストランド91の引き取り速度とすることができ、Vrは(ガイドローラー94A,94Bの半径−溝深さ)×2π×一分間の回転数で求まる。Vr/Vsが正の場合、ガイドローラー94A,94Bがストランド走行方向と同方向に回転する場合であり、負の場合はガイドローラー94A,94Bがストランド走行方向と逆方向に回転する場合である。
【0069】
ガイドローラー94A,94Bは冷却槽中に1本あるいは複数本設けられるが、複数本の場合は全てのガイドローラー94A,94Bを上述のような回転とする必要はなく、冷却媒体93中にあり、吐出ノズル12(ダイス)に最も近いガイドローラー(図7(a)では94A)を上記のように作動させるのが目やに除去に効果的である。
【実施例】
【0070】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0071】
<実施例1>
ダイス鋼SKD11を使用して図1〜2に示すような樹脂押出用ダイを作製した。なお、吐出ノズル12及び気体流出口11は樹脂の押し出し方向に、図1及び図2の紙面に垂直な方向に等間隔で3つずつ設けた。なお、気体流出口11は直径5.3mmの円形とし、図2におけるd=0.5mm、φd=3mm、φD=3.2mm(すなわち吐出ノズル12の先端部12aの肉厚Lt=0.1mm)、α=25°、β=35°、H=1mmとした。
【0072】
押出機に東芝社製TEM37BSを使用し、条件は吐出量60kg/時(すなわち、吐出ノズルあたりの吐出量20kg/時)、スクリュー回転数500rpmとした。熱可塑性樹脂組成物として、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)を30重量%、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS3000)を70重量%含んだ樹脂組成物(樹脂組成物Aとする)を使用した。
押出機のシリンダーと樹脂押出用ダイの設定温度を250℃として押し出した。樹脂温は通常、ダイの設定温度より30℃程度高いと考えられる。
樹脂組成物Aの剪断粘度を、TOYOSEIKI(株)製 CAPIROGRAPH-1Cにより、JIS−K7911に準拠した方法で、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定したところ、1200Pa・秒であった。
【0073】
また、150℃に加温した空気を、個々の気体流出口からの流量が室温換算10リットル/分となるように、気体供給口14から供給した。押出した樹脂のストランドを写真で撮影し、ダイスから押出されたストランドについて、吐出ノズル先端部から2cm以内での最大径φDを測定したところ、3.66mmであった。吐出ノズルの内径φd=3mmであるから、バラス効果による径の増加率(ダイスエル率)φD/φd=1.22である。(なお、樹脂ストランドは押出されてから2cm以内に膨張が終了するので、吐出ノズル先端部から2cm以内の最大径を測定した。)
また、樹脂押出用ダイの口金部分に、図5に示した振動発生機30として、小型動電型振動試験装置(有限会社旭製作所製 Wave Maker 01)を取り付け、上下方向に20Hzの振動を加えた以外は実施例1と同条件で樹脂組成物Aの押し出しを実施した。RION株式会社製のポケッタブル振動計 VM-63A "RIOVIBRO"を口金に押し当て、口金の振動量、振動速度を測定したところ、振幅は0.01mm、振動速度は1.0mm/秒であった。
3時間連続して押し出したが、目やにの発生及び成形品への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。
【0074】
<実施例2>
熱可塑性樹脂組成物を、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)30重量%、ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス製ノバレックス5008)70重量%からなる樹脂組成物Bとした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.13、樹脂組成物Bの剪断粘度は温度280℃、剪断速度100/秒の条件で130Pa・秒であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物B)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると1mgであった。
【0075】
<実施例3>
吐出量を45kg/時(ノズルあたり15kg/時)とした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.20であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると1mgであった。
【0076】
<実施例4>
気流の線速度を3m/秒にした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.22であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると4mgであった。
【0077】
<実施例5>
気体流出口11と吐出ノズル12の外周面との間隙dを1.1mmとし、気流の線速度を10m/秒とした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.22であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると6mgであった。
【0078】
<実施例6>
樹脂組成物として、第1のポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス製ノバレックス5008)35重量%、第2のポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス製ノバレックス5007)35重量%、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)30重量%からなる樹脂組成物Cを用いた以外は、実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.04、樹脂組成物Cの剪断粘度は温度280℃、剪断速度100/秒の条件で80Pa・秒であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物C)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると5mgであった。
【0079】
<実施例7>
樹脂組成物として、ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスチックス製ノバレックス5007)70重量%、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)30重量%からなる樹脂組成物Dを用いた以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.03、樹脂組成物Dの剪断粘度は温度280℃、剪断速度100/秒の条件で40Pa・秒であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物D)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると8mgであった。
【0080】
<実施例8>
突出ノズルの内径φdを8mmにした以外は実施例1と同様に実験した。ダイスエル率は1.17であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると9mgであった。
【0081】
<実施例9>
振動発生機を使用しなかった以外は実施例1同様に実験した。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
【0082】
<実施例10>
熱可塑性樹脂組成物として、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)を30重量%、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンE2000)を70重量%含んだ樹脂組成物(樹脂組成物Eとする)を使用した以外は全て実施例1と同様に実験した。
樹脂組成物Eの剪断粘度を、TOYOSEIKI(株)製 CAPIROGRAPH-1Cにより、JIS−K7911に準拠した方法で、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定したところ、3200Pa・秒であった。ダイスエル率は1.27であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物E)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると3mgであった。
【0083】
<実施例11>
熱可塑性樹脂組成物として、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)を60重量%、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンE2000)を40重量%含んだ樹脂組成物(樹脂組成物Fとする)を使用した以外は全て実施例1と同様に実験した。
樹脂組成物Eの剪断粘度を、TOYOSEIKI(株)製 CAPIROGRAPH-1Cにより、JIS−K7911に準拠した方法で、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定したところ、6000Pa・秒であった。ダイスエル率は1.33であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物F)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると9mgであった。また押出しの途中、ストランドの発泡に起因すると思われるストランド切れが4回発生した。
【0084】
<実施例12>
樹脂組成物Aの吐出量を84kg/時(ノズルあたり28kg/時)とした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.25であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると1mgであった。
【0085】
<実施例13>
樹脂組成物Aの吐出量を105kg/時(ノズルあたり35kg/時)とした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.26であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると4mgであった。
【0086】
<実施例14>
吐出ノズル先端部の肉厚Lt=(φD−φd)/2を0.7mmとした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると3mgであった。
【0087】
<実施例15>
吐出ノズル先端部の肉厚Lt=(φD−φd)/2を1.5mmとした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入は検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたものと考えられる。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると8mgであった。
【0088】
<実施例16>
上記で用いたと同構造のノズルの先端を図4(c)に示すような、肉厚Ltが実質的に0となるように加工したノズル(内面アールは0.01mm)に取替え、実施例1と同様に成形を行った所、4時間経過した後も目やにの発生はほとんど無く、成形品への異物(変質した樹脂組成物A)の混入も検出されなかった。
【0089】
<比較例1>
吐出ノズル先端部の肉厚Lt=(φD−φd)/2を2.1mmとした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにが観察された。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると32mgであった。成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入も確認された。
【0090】
<比較例2>
樹脂組成物Aの吐出量を30kg/時(ノズルあたり10kg/時)とした以外は実施例1と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.09であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにが観察された。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると17mgであった。成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入も確認された。
【0091】
<比較例3>
振動発生機を使用しなかった以外は全て比較例2と同様に実験した。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにが観察された。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると22mgであった。成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物A)の混入も確認された。
【0092】
<比較例4>
樹脂組成物Bの吐出量を150kg/時(ノズルあたり50kg/時)とした以外は実施例1と同様に実験した。ダイスエル率は1.37であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにが観察された。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると12mgであった。成形品(この場合はペレット)中への異物(変質した樹脂組成物B)の混入も確認された。
【0093】
<参考例>
樹脂押出用ダイの口金部分に、図5に示した振動発生機30として、本格的動電型振動試験装置(有限会社旭製作所製 Big Wave)を取り付け、上下方向に20Hzの振動を加えた以外は実施例3と同条件で樹脂の押出しを実施した。実施例3と同様にして口金の振幅と振動速度を測定したところ、振幅は0.3mm、振動速度は35mm/秒であった。
押し出されたストランドが大きく振動し、隣同士のストランドがぶつかり融着し、その状態でカッティングされ、2つ接着したペレットが得られたため、成形を開始3分後に停止した。この方法では1つ1つバラけたペレットが得られないために不可と判断した。
【0094】
上述の全ての実施例、比較例では、ストランドを引き取り、冷却し、ペレタイザーでカッティングしペレット化した。その時のストランド引取り速度はストランドの直径が3mmになるように設定した。ストランドはダイノズルから出た時にバラス効果により膨張し、ノズル径より大きくなるが、その後ストランド引取り速度に応じて延伸され、3mmの直径となった。なお、引き取り速度を変えても、吐出ノズルを出た直後(2cm以内)でのバラス効果による膨張率にはあまり変化がなかった。
【0095】
<実施例17>
ダイス鋼SKD11を使用して図1〜2に示すような樹脂押出用ダイを作製した。なお、吐出ノズル12及び気体流出口11は樹脂の押し出し方向に、図1及び図2の紙面に垂直な方向に等間隔で3つずつ設けた。なお、気体流出口11は直径5.3mmの円形とし、図2におけるd=0.5mm、φd=3mm、φD=3.2mm(すなわち吐出ノズル12の先端部12aの肉厚Lt=0.1mm)、α=25°、β=35°、H=1mmとした。
ダイス鋼SKD11を使用して図1に示すような樹脂押出用ダイを作製した。ダイのマニホールドの最大断面積は670mmであり、直径は3mmφ、長さ25mmの吐出ノズルを3個横に配置した。上述したノズル開口率は3.2%である。
【0096】
押出機に東芝社製TEM37BSを使用し、条件は吐出量60kg/時(すなわち、吐出ノズルあたりの吐出量20kg/時)、スクリュー回転数500rpmとした。熱可塑性樹脂組成物として、タルク(林化成(株)製TALKAN PAWDER PK−C)を30重量%、ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンS3000)を70重量%含んだ樹脂組成物(樹脂組成物Aとする)を使用した。
押出機のシリンダーと樹脂押出用ダイの設定温度を250℃として押し出した。樹脂温は通常、ダイの設定温度より30℃程度高いと考えられる。
樹脂組成物Aの剪断粘度を、TOYOSEIKI(株)製 CAPIROGRAPH-1Cにより、JIS−K7911に準拠した方法で、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定したところ、1200Pa・秒であった。
【0097】
また、150℃に加温した空気を、個々の気体流出口からの流量が室温換算10リットル/分となるように、気体供給口14から供給した。押出した樹脂のストランドを写真で撮影し、ダイスから押出されたストランドについて、吐出ノズル先端部から2cm以内での最大径φDを測定したところ、3.66mmであった。吐出ノズルの内径φd=3mmであるから、バラス効果による径の増加率(ダイスエル率)φD/φd=1.22である。(なお、樹脂ストランドは押出されてから2cm以内に膨張が終了するので、吐出ノズル先端部から2cm以内の最大径を測定した。)
また、樹脂押出用ダイの口金部分に、図5に示した振動発生機30として、小型動電型振動試験装置(有限会社旭製作所製 Wave Maker 01)を取り付け、上下方向に20Hzの振動を加えた以外は実施例1と同条件で樹脂組成物Aの押し出しを実施した。RION株式会社製のポケッタブル振動計 VM-63A "RIOVIBRO"を口金に押し当て、口金の振動量、振動速度を測定したところ、振幅は0.01mm、振動速度は1.0mm/秒であった。
【0098】
ダイから出たストランドを図7(a)に示したような搬送、造粒構成を用い、引き取り速度(Vs)=42m/minで引き取った。二本のガイドローラーの直径は40mmで溝深さは7.5mm、溝のピッチは9mmのものを使用した。冷却槽92内で最初にストランドと接するガイドローラー94Aとして、回転速度を制御可能なガイドロールを設け、周速度(Vr)=9m/minとなるように回転させた(Vr/Vs=0.2)。なお、ガイドローラー94Aは、駆動部に住友重機械工業(株)製の小型ギアモーターCNHM02-4085-AV-11を使用して駆動し、同じく住友重機械工業(株)製のインバーターHF3202-A20を使用して回転速度を制御した。なお、上述の通り、正の周速度は、ガイドローラー94Aの回転方向がストランドの搬送方向に等しいことを意味する(すなわち、図7(a)におけるガイドローラー94Aとは逆の回転方向である)。
3時間連続して押出を行ったが、目やにの発生及び成型品(ペレット)へ混入した異物(変質した樹脂組成物A)は検出されなかった。
そのため、さらに3時間押出を継続し、6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に3つの吐出ノズルの周辺に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると2mgとごく僅かであった。
【0099】
<実施例18>
ノズルの長さを35mmとした以外は実施例17と同様にして押出成形を行った。
3時間連続して押出を行ったが、目やにの発生及び異物(変質した樹脂組成物A)の混入した成型品(ペレット)は検出されなかった。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると2mgとごく僅かであった。
【0100】
<実施例19>
ノズルの直径は変更せず、マニホールド最大断面積を352mmとしてノズル開口率を6%にした以外は実施例17と同様にして押出成形を行った。
3時間連続して押出を行ったが、目やにの発生及び異物(変質した樹脂組成物A)の混入した成型品(ペレット)は検出されなかった。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると2mgとごく僅かであった。
【0101】
<実施例20>
ノズルの数を3個から5個に増やし(ノズル開口率:S1/S2=10.5%)、吐出量を100kg/hrにした以外は実施例17と同様にして押出成形を行った。
3時間連続して押出を行ったところ、2時間過ぎから僅かに目やにの発生が確認されたが、異物(変質した樹脂組成物A)の混入した成型品(ペレット)は検出されなかった。3時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると2mgとごく僅かであった。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが3個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると6mgであった。
【0102】
<実施例21>
ノズルの数を3個から1個に減らし(ノズル開口率:S1/S2=1.0%)、吐出量を20kg/hrにした以外は実施例17と同様にして押出成形を行った。
3時間連続して押出を行ったところ、2時間過ぎから僅かに目やにの発生が確認されたが、異物(変質した樹脂組成物A)の混入した成型品(ペレット)は検出されなかった。3時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると3mgとごく僅かであった。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
【0103】
<実施例22>
ガイドローラー94Aを回転させず、周速度(Vr)を0(従ってVr/Vs=0)としたこと以外は実施例17と同様にして押出成形を行った。
3時間連続して押出を行ったが、目やにの発生及び異物(変質した樹脂組成物A)の混入した成型品(ペレット)は検出されなかった。6時間までの評価を実施したところ、6時間後も目やにの発生ならびに異物の混入したペレットは検出されなかった。
【0104】
<実施例23>
ガイドローラー94Aの周速度を樹脂ストランドの引き取り速度に等しい42m/minとしたこと以外は実施例17と同様にして押出成形を行った。
3時間連続して押出を行ったが、目やにの発生及び異物(変質した樹脂組成物A)の混入した成型品(ペレット)は検出されなかった。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが4個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると2mgとごく僅かであった。
【0105】
<実施例24>
熱可塑性樹脂組成物として上述の樹脂組成物Bを用い、樹脂ストランドの引き取り速度を42m/min、ガイドローラー94Aの周速度を6m/min(Vr/Vs=0.1)としたこと以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.13、樹脂組成物Bの剪断粘度は温度280℃、剪断速度100/秒の条件で130Pa・秒であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物B)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると1mgとごく僅かであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると4mgとごく僅かであった。
【0106】
<実施例25>
吐出量を45kg/時(ノズルあたり15kg/時)とし、樹脂ストランドの引き取り速度を32m/min、ガイドローラー94Aの周速度を8m/min(Vr/Vs=0.3)とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.18であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)の混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると1mgとごく僅かであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると5mgとごく僅かであった。
【0107】
<実施例26>
気流の線速度を3m/秒にした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.22であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると4mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが3個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると12mgであった。
【0108】
<実施例27>
気体流出口11と吐出ノズル12の外周面との間隙dを1.1mmとし、気流の線速度を10m/秒とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.22であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると6mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが3個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると15mgであった。
【0109】
<実施例28>
樹脂組成物として、上述の樹脂組成物Cを用い、ガイドローラー94Aの周速度を5m/minとした以外は、実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.04、樹脂組成物Cの剪断粘度は温度280℃、剪断速度100/秒の条件で80Pa・秒であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物C)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると5mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが4個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると13mgであった。
【0110】
<実施例29>
樹脂組成物として、上述の樹脂組成物Dを用い、ガイドローラー94Aの周速度を5m/minとした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.03、樹脂組成物Dの剪断粘度は温度280℃、剪断速度100/秒の条件で40Pa・秒であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物D)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると8mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると17mgであった。
【0111】
<実施例30>
ガイドローラー94Aの回転を停止(Vr=0、Vr/Vs=0)した以外は実施例29と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物D)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
6時間までの評価を実施しても、異物の混入したペレットは検出されなかった。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると15mgであった。
【0112】
<実施例31>
ガイドローラー94Aの回転速度(Vr)を42m/min(Vr/Vs=1.0)とした以外は実施例29と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物D)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが6個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると16mgであった。
【0113】
<実施例32>
突出ノズルの内径φdを8mm(ノズル開口率:S1/S2=22.5%)にし、ガイドローラー94Aの周速度を12m/minとした以外は実施例17と同様に実験した。ダイスエル率は1.17であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると9mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが3個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると21mgであった。
【0114】
<実施例33>
振動発生機を使用しなかった以外は実施例17同様に実験した。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると13mgであった。
【0115】
<実施例34>
熱可塑性樹脂組成物として上述の樹脂組成物Eを使用し、ガイドローラー94Aの周速度を11m/minとした以外は全て実施例17と同様に実験した。
樹脂組成物Eの剪断粘度を、TOYOSEIKI(株)製 CAPIROGRAPH−1Cにより、JIS−K7911に準拠した方法で、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定したところ、3200Pa・秒であった。ダイスエル率は1.27であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物E)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると3mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると8mgであった。
【0116】
<実施例35>
熱可塑性樹脂組成物として、上述の樹脂組成物Fを使用し、ガイドローラー94Aの周速度を12m/minとした以外は全て実施例17と同様に実験した。
樹脂組成物Eの剪断粘度を、TOYOSEIKI(株)製 CAPIROGRAPH−1Cにより、JIS−K7911に準拠した方法で、温度280℃、剪断速度100/秒の条件で測定したところ、6000Pa・秒であった。ダイスエル率は1.33であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物F)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると9mgであった。また押出しの途中、ストランドの発泡に起因すると思われるストランド切れが4回発生した。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると21mgであった。
【0117】
<実施例36>
ガイドローラー94Aの回転を停止(Vr=0、Vr/Vs=0)した以外は実施例35と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物F)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると10mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると17mgであった。
【0118】
<実施例37>
ガイドローラー94Aの回転速度(Vr)を42m/min(Vr/Vs=1.0)とした以外は実施例35と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物F)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると8mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが6個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると18mgであった。
【0119】
<実施例38>
樹脂組成物Aの吐出量を84kg/時(ノズルあたり28kg/時)とし、樹脂ストランドの引き取り速度を59m/min、ガイドローラー94Aの周速度を12m/min(Vr/Vs=0.2)とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.25であった。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると1mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると4mgとごく僅かであった。
【0120】
<実施例39>
樹脂組成物Aの吐出量を105kg/時(ノズルあたり35kg/時)とし、樹脂ストランドの引き取り速度を74m/min、ガイドローラー94Aの周速度を13m/min(Vr/Vs=0.2)とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.26であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると4mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると14mgであった。
【0121】
<実施例40>
吐出ノズル先端部の肉厚Lt=(φD−φd)/2を0.7mmとし、ガイドローラー94Aの周速度を19m/min(Vr/Vs=0.5)とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、開始2時間過ぎから微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると3mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが3個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると11mgであった。
【0122】
<実施例41>
吐出ノズル先端部の肉厚Lt=(φD−φd)/2を1.5mmとした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると8mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると23mgであった。
【0123】
<実施例42>
ガイドローラー94Aの回転を停止(Vr=0、Vr/Vs=0)した以外は実施例41と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると9mgであった。
6時間までの評価を実施しても、異物の混入したペレットは検出されなかった。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると24mgであった。
【0124】
<実施例43>
ガイドローラー94Aの回転速度(Vr)を25m/min(Vr/Vs=0.6)とした以外は実施例41と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると9mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが1個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると24mgであった。
【0125】
<実施例44>
ガイドローラー94Aの回転速度(Vr)を42m/min(Vr/Vs=1.0)とした以外は実施例41と同様に押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが5個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると25mgであった。
【0126】
<実施例45>
吐出ノズルの長さを14mmとした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。吹き飛ばされた目やにのうち一部は押し出されているストランドの表面に付着したようにも見えたが、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットは検出されなかった。劣化が進んでおらず、かつ微小な目やにであったため、ストランドの表面に拡散吸収されたか、ガイドローラー94Aとの摩擦により除去されたものと考えられる。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると7mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが2個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると13mgであった。
【0127】
<実施例46>
吐出ノズルの長さを52mmとした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間後頃から微小な目やにが観察されたが、微小物の状態のうちに吹き飛ばされて、大きく堆積することはなかった。また、3時間経過後にペレットを調べたところ、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットが5個確認された。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると14mgであった。
6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが9個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると29mgであった。
【0128】
<比較例5>
吐出ノズル先端部の肉厚Lt=(φD−φd)/2を2.1mmとし、ガイドローラー94Aの周速度を19m/min(Vr/Vs=0.5)とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにの発生が観察された。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると32mgであった。また、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットが6個確認された。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが15個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると65mgであった。
【0129】
<比較例6>
樹脂組成物Aの吐出量を30kg/時(ノズルあたり10kg/時)とし、ストランドの引き取り速度を21m/min、ガイドローラー94Aの周速度を7m/min(Vr/Vs=0.3)とした以外は実施例17と同条件で押出成形を行った。ダイスエル率は1.09であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにの発生が観察された。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると17mgであった。また、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットが11個確認された。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが22個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると41mgであった。
【0130】
<比較例7>
振動発生機を使用しなかった以外は全て比較例6と同様に実験した。RION株式会社製のポケッタブル振動計 VM-63A "RIOVIBRO"を口金に押し当て、口金の振動量、振動速度を測定したところ、振幅は0.008mm、振動速度は0.32mm/秒であった。これは押出機の振動が口金に伝播したものと考えられる。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにの発生が観察された。また3時間後に3個の吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると23mgであった。また、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットが17個確認された。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが24個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると44mgであった。
【0131】
<比較例8>
樹脂組成物Bの吐出量を150kg/時(ノズルあたり50kg/時)とし、ストランドの引き取り速度を105m/min、ガイドローラー94Aの周速度を24m/min(Vr/Vs=0.2)とした以外は実施例17と同様に実験した。ダイスエル率は1.37であった。
3時間連続した成形のうち、成形開始1時間以内に目やにが観察された。また3時間後に吐出ノズルの先端部に付着していた僅かな目やにを捕集し、重量を測定すると12mgであった。また、異物(変質した樹脂組成物A)が混入したペレットが13個確認された。6時間までの評価を実施したところ、異物の混入したペレットが29個確認された。また6時間後に吐出ノズルの周辺に付着していた目やにを捕集し、重量を測定すると37mgであった。
【0132】
以上の実施例、比較例の条件及び評価結果を以下に示す。
【表1】

【0133】
【表2】

【0134】
以上説明したように、本発明によれば、吐出ノズル先端部の外周面に沿って流れる気流を、吐出ノズルから押し出される樹脂ストランドへ吹き付けながら押出成形する際に、先端部の肉厚Ltが0<Lt≦2mmである吐出ノズルを用いるとともに、吐出ノズルからの吐出量を14kg/時以上、40kg/時以下とすることにより、バラス効果による溶融樹脂の膨張部分に気体が当たるようにして、目やにの発生及び発生した目やにの堆積を抑制することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ノズルを有する口金を取り付けた押出装置を用い、熱可塑性樹脂組成物を前記吐出ノズルから押出成形する方法であって、
先端部の肉厚Ltが0<Lt≦2mmである吐出ノズルを用いるとともに、前記吐出ノズルの先端部近傍へ気体を吹き付けながら、吐出ノズルあたり14kg/時以上、40kg/時以下の吐出量で前記熱可塑性樹脂組成物を押し出すことにより、前記吐出ノズルの先端部近傍で、熱可塑性樹脂組成物をバラス効果によって膨張させ、当該膨張部分で前記気体の流れを変化させ、前記押し出された熱可塑性樹脂組成物の一部が前記吐出ノズルの先端部に堆積することを抑制することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂組成物の前記バラス効果による膨張率が、前記吐出ノズルの内径をφd、前記熱可塑性樹脂組成物が前記吐出ノズルからストランド状に押し出され、膨張した後の樹脂ストランドの直径をDとした場合に、1.35≧D/φd≧1.05以上となるように前記吐出量を決定することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項3】
剪断粘度が、温度280℃、剪断速度100/秒において50Pa・秒以上、5000Pa・秒以下である熱可塑性樹脂組成物を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項4】
前記吐出ノズルの先端部近傍における前記気体の線速度が4〜100m/秒であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項5】
前記吐出ノズルとして、内径が2〜7mmの吐出ノズルを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項6】
前記口金には、前記吐出ノズルの先端部の周囲に間隙を形成する気体流出口を有し、前記口金と前記気体流出口の間に空間を形成するように前記口金の少なくとも一部を覆うカバーが設けられ、
前記間隙を0.1〜1mmとして、前記気体を前記気体流出口から前記吐出ノズルの先端部近傍へ吹き付けることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項7】
さらに、前記口金および前記カバーを
振幅:0.005mm〜0.2mm、かつ
振動速度:0.3mm/秒〜5mm/秒
で振動させながら、前記熱可塑性樹脂組成物を押し出すことを特徴とする請求項6記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項8】
前記口金には、前記押出装置から供給される前記熱可塑性樹脂組成物の圧力を均一化させて前記吐出ノズルに供給するためのマニホールドが設けられ、
前記複数の吐出ノズル各々の、前記押し出し方向と直交する最小の断面積の合計面積(S1)と、前記マニホールドの前記押し出し方向と直交する最大断面積(S2)との比S1/S2で定められるノズル開口率が、10%≧S1/S2≧1.2%であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項9】
前記吐出ノズルの長さLが50mm≧L≧15mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。
【請求項10】
前記吐出ノズルから押し出された前記熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂ストランドを、当該樹脂ストランドの搬送経路に設けられたガイドローラーに接するように、かつ引き取り速度Vs(m/min)で引き取るとともに、
前記ガイドローラーの前記樹脂ストランドの接する外周面の移動速度をVr(m/min)とした場合に、0.7≧Vr/Vs≧−0.2の関係を満たすように、前記引き取り速度及び前記移動速度並びに前記ガイドローラーの回転方向を決定することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物の押出成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−79306(P2011−79306A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198227(P2010−198227)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】