説明

熱圧着装置、及び熱圧着装置の制御方法

【課題】 熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料において、接合信頼性を確保する熱圧着装置を提供するする。
【解決手段】 熱圧着装置1は、導電性粒子Rが塗布されたフィルムを移動するロール装置30と、凹凸表面を有する圧着治具20と、導電性粒子Rを溜めるための貯蔵器40と、圧着治具20の凹凸表面を貯蔵器40に対向させて導電性粒子Rを付着させる第1の手段と、前記第1の手段により導電性粒子Rが付着した圧着治具20の凹凸表面をフィルム34に対向させて加圧させる第2の手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱圧着装置に係り、特に基板に対して接合材料を貼り付ける機能を有する熱圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板間接合方法の1つに熱圧着工法がある。熱圧着工法とは、圧着治具を瞬時に温め、その熱で被溶接物を溶かして接合する方法である。外部(セラミックヒーターチップ)から熱を与えて接合するので、基本原理は半田付けに近い技術である。主に樹脂類の接合、フラットケーブル類の半田付け、金属類のろう付け等に適している。 熱圧着工法では、接合対象であるFPC(Flexible Printed Circuit)やPCB(Printed Circuit Board )等の基板の各電極に接合材料を介して接続を行う。一般にこの接合材料には、ACF(Anisotropic Conductive Film)やACP(Anisotropic Conductive Paste)、NCF(Non Conductive Film)等に代表されるフィルム状のものを用いることが多い。具体的には、接合対象である一方の基板に接合材料を貼り付ける(仮貼り)。この仮貼りには、所定の熱や荷重を印加して接合材料を熱硬化させることでPCBやFPCの電極表面に固定することとなる。
【0003】
特許文献1には配線パターンを形成する金属箔に凹凸部を形成することにより、層間接続の信頼性を高めた多層配線基板が開示されている。
【特許文献1】特開2005−129727号公報(第7頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮貼りの状接合材料のうち、NCF(Non Conductive Film)等の熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料は、ACF等の熱硬化性樹脂を主成分とする接合材料に比して接着剤軟化時の粘度が高い。従って、NCF等の熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料は、ACF等の熱硬化性樹脂を主成分とする接合材料に比して、基板間の接合に必要な押し圧力が高く、一般にACF等の数倍の荷重が必要とされる。
【0005】
従って、基板同士を接合するいわゆる本圧着時には、大きな荷重が必要となることから反りやひずみがもたらされ、熱圧着接合部分の近傍に実装された表面実装部品は、この荷重によるダメージを受けやすい。また長期信頼性にも欠けるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は以上の問題点を解決するためになされたものであり、熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料において、接合信頼性を確保する熱圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の熱圧着装置は、接合部材が塗布されたフィルムを移動するロール装置と、凹凸表面を有する加圧治具と、導電粒子を溜めるための貯蔵手段と、前記加圧治具の前記凹凸表面を前記貯蔵手段に対向させて前記導電性粒子を付着させる第1の手段と、前記第1の手段により前記導電性粒子が付着した前記加圧治具の凹凸表面を前記フィルム対向させて加圧させる第2の手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の熱圧着装置の制御方法は、接合部材が塗布されたフィルムを移動するロール装置と、凹凸表面を有する加圧治具と、導電粒子を溜めるための貯蔵手段とを備えた熱圧着装置の制御方法であって、前記加圧治具の前記凹凸表面を前記貯蔵手段に対向させて前記導電性粒子を付着させ、前記導電性粒子が付着した前記加圧治具の凹凸表面を前記フィルム対向させて加圧させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料において、接合信頼性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る熱圧着装置を示した図である。図1に示すように、本発明に係る熱圧着装置1は、台座10と、圧着治具20と、ロール装置30と、貯蔵器40と、制御装置50と、分断装置60とを主たる構成要素とする。
【0011】
台座10は、例えば接続対象である2つの基板(後述する第1の基板100、第2の基板200)を載せる台としての役目を担う。
【0012】
圧着治具20は、後述するフィルム34を基板に仮貼りしたり、上記2つの基板を接続するための治具であり、セラミックや金属等の材質で形成されている。図3は、圧着治具20を示している。圧着治具20は、溝部20bが設けられた圧着面20aを有する。圧着治具20は、後述するように第1の基板100上に搭載された接続部材34Bに対して圧着面20aを覆うように載せる(図10参照)。そして、制御装置50の治具位置制御部54の指示により圧着治具20を加圧することで、第1の基板100とフィルム34とを仮貼りする。
【0013】
また、圧着治具20は、後述するように第2の基板200上に圧着面20aを覆うように載せる(図13参照)。そして、制御装置50の治具位置制御部54や治具加熱制御部55の指示により圧着治具20を加圧・加熱することで、第1の基板100と第2の基板200とを接続部材34Bを介して接続する。ここで、接続部材34Bは、仮貼りを行う際に圧着面20aと第1の基板100との間に介在させる接続部材34Bの元になる。
【0014】
ロール装置30は、フィルム34を移動する。即ち、制御装置50の送出制御部58の指示により第2のロール部31bを駆動させる。これにより、第1のロール部31aから第2のロール部31bへ巻き取り、フィルム34を移動させる。
【0015】
第1のロール部31a及び第2のロール部31bは円盤状の形状をしている。第1のロール部31a及び第2のロール部31bの中心部にはモータ(不図示)が設けられており、送出制御部58の指示により、第2のロール部31bが半時計方向(矢印D方向)に回転することでテープ状のフィルム34を巻き取る。この巻き取りに伴い、第1のロール部31aの図示せぬ回転軸も回転し、新しいフィルム34が圧着治具20へ送出する。ガイドローラ35は上記送出時におけるフィルム34のねじれ等を防止する。
【0016】
連結軸33は、第1のロール部31aと第2のロール部31bとを連結している。連結軸33の中央部からは可動軸36が延設している。可動部32はロール装置30に掛かる荷重に伴い可動軸36を鉛直方向(矢印F方向)に動かす。これによりロール装置30は圧着治具20が移動してフィルム34に接触し、フィルム34の張力が所定の張力範囲を超えた場合には、鉛直下方向に移動する。尚、可動部32は、治具位置制御部54の制御方法によっては、省略して熱圧着装置1を構成しても良い。
【0017】
貯蔵器40は、導電性粒子Rを溜めておく器である。NCF(Non Conductive Film)等の熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料が含まれているフィルム34を使用する場合、この塗布装置40にフィルム34を浸すことでフィルム34に導電性粒子Rが塗布される。
【0018】
分断装置60は、後述するように圧着治具20が当接したフィルム34に対して、フィルム34の反対側の面からカッター61を当接する(図8参照)。この当接により、接着部材34Bを形成する。この接着部材34Bは、第1の基板100と第2の基板200との接合に使用される。
【0019】
制御装置50は、圧着治具20の加圧や加熱、ロール装置30によるフィルム34の送出やロール装置30の移動、貯蔵器40の移動、分断装置60によるフィルムの分断の制御を行う。制御装置50は、主制御部51と、入力部52と、出力部53と、治具位置制御部54と、治具加熱制御部55と、ロール位置制御部56と、貯蔵器位置制御部57と、送出制御部58と、分断制御部59とを主たる構成要素とする。また、各要素は相互にバスで接続されている。
【0020】
主制御部51は、制御装置50全体の制御を行う。入力部52は、ユーザによる圧着の開始や中止、圧着条件等の操作入力を行う。出力部53は、加圧や加熱のプロファイル、フィルム34の送出状況等、本装置の駆動状況を表示する。治具位置制御部54は、圧着治具20の移動及び加圧を制御する。圧着治具20の移動とは、下降・上昇の他、平面方向X方向Y方向による位置も制御できるようにしても良い。治具加熱制御部55は、圧着治具20の加熱を制御する。治具加熱制御部55は圧着治具20内に熱電対等を設けることで、圧着治具20の温度を監視する。ロール位置制御部56は、ロール装置30の移動を制御する。貯蔵器位置制御部57は、貯蔵器40の移動を制御する。貯蔵器40の移動とは、平面方向X方向Y方向の他、下降・上昇による位置も制御できるようにしても良い。送出制御部58は、フィルム34の送出を制御する。分断制御部59は、分断装置60の動きを制御する。
【0021】
次に本発明の実施の形態に係る熱圧着装置の制御方法を説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る熱圧着装置の制御方法を示したフローチャートである。
【0022】
図4に示すように、熱圧着装置1は、まず導電性粒子Rの転写指示があったか否かを判断する(ステップS10)。この判断は、例えば熱圧着装置1内にトグルスイッチを設けておき、ロール装置30にセッティングするフィルム34の種類に応じてこのスイッチのON/OFFを切り替えるような構成にしておく。例えばNCFの場合にはONを設定し、ACFの場合にはOFFを設定するが如くである。そして、その結果スイッチがONに設定されている場合には転写指示があったと判断し、OFFの場合には転写指示は無いと判断するように所定の指示が出されているか否かにより判断する。その結果、導電性粒子Rの転写指示がないと判断した場合には(ステップS10のNo)、後述するステップS30の処理を行う。
【0023】
一方、電性粒子Rの転写指示があると判断した場合には(ステップS10のYes)、フィルム34に導電性粒子Rを転写する(ステップS20)。図5は、導電性粒子Rの転写(ステップS20)の処理を示したフローチャートである。
【0024】
図5に示すように貯蔵器位置制御部57の指示により貯蔵器40の位置を圧着治具20の鉛直下方向まで移動させる(ステップS21)。次に、圧着治具20の下降を開始する(ステップS22)。即ち、治具位置制御部54の指示により圧着治具20の下降を開始する。この圧着治具20の下降の開始により、圧着治具20は、フィルム34に向けて下降を開始する。図7は、圧着治具20の下降の様子を示した図である。図7に示したように、治具位置制御部54は、圧着治具20に圧力P1を加圧しながら圧着治具20を下降させる。
【0025】
次に、圧着治具20が貯蔵器40に到達したか否かを判断する(ステップS23)。即ち、治具位置制御部54により圧着治具20が導電性粒子Rが溜められている貯蔵器40まで到達したか否かを判断する。この判断は、治具位置制御部54が、予め所定の移動量分を圧着治具に対して下降させた場合に貯蔵器40まで到達したと判断するように構成しても良い。また、圧着治具20が貯蔵器40への到達により反力を得ることで圧着治具20への加圧力が変化することを検出した際に圧着治具20が貯蔵器40まで到達したと判断するように構成しても良い。
【0026】
その結果、圧着治具20が貯蔵器40に到達していないと判断した場合には(ステップS23のNo)、圧着治具20が貯蔵器40に到達したと判断するまで以降の処理は行わない。一方、圧着治具20が貯蔵器40に到達したと判断した場合には(ステップS23のYes)、治具位置制御部54による圧着治具20の下降を終了する(ステップS24)。これにより、圧着治具20の下降は停止する。
【0027】
図3(b)は、圧着面20aを示し、図3(c)は図3(b)におけるA−A断面を示し、図3(d)は図3(b)におけるB−B断面を示している。図3を見てわかる通り、長さLを有した圧着治具20は、第2の基板200と略同程度の幅Wを有しており、圧着面20aには、その一部が電極としての役割を担う配線102や配線202と対向した複数の溝部(溝部20b)を有している。溝部20bの深さ20bLは、圧着時の第2の基板等の食い込み等を考慮し、少なくとも第2の基板200の厚さと接続部材300との総和以上であることが好ましい。溝部20bを設けることにより、圧着面20aにおいて、実際に第2の基板200と接する面が小さくなり、同じ推力でも単位面積当たりの圧力が大きくなり、少ない推力で大きな圧力を加えることが可能となる。尚、間隔20bTは、実際に第2の基板200に接する圧着面が電極上に設けられるように電極である各配線(配線102や配線202)の間隔と同等とすることが好ましい。これにより、電極上に集中的に圧力をかけることができ、第1の基板100と第2の基板200との接続信頼性を高めることがきる。
【0028】
以上のように圧着面20aは溝部20bを有しているため、導電性粒子Rが溝部20b内に入り込む。従って、導電性粒子Rは圧着面20aと対向するフィルム34に確実に付着することとなる。
【0029】
従って、圧着治具20の下降停止の状態でフィルム34の表面に導電性粒子Rが十分付着することとなる。フィルム34への導電性粒子Rの塗布が終了すると、治具位置制御部54により圧着治具20を所定位置まで上昇させる(ステップS25)。以上の処理により、図2に示すように圧着治具20の圧着面20aには導電性粒子Rが塗布されることとなる。
【0030】
ステップS20の処理が終了すると、次に分断装置60によりフィルム34を分断する(ステップS30)。即ち、分断制御部59の指示により分断装置60を圧着治具20に向けて移動することにより、フィルム34を切断する。
【0031】
図8は、分断装置60の移動の様子を示した図である。図8に示したように、分断制御部59による分断装置60の移動指示により、カッター61が圧着治具20方向(図8では、鉛直上方向)に向けて移動する。圧着治具20には治具位置制御部54の制御により継続して所定の圧力P1が圧着治具20に対して加わっているものとする。従って、フィルム34は、圧着治具20とカッター61のせん断加工によりフィルム34が分断されることとなる。
【0032】
図9は、フィルム34の分断の様子を示した図である。図9(a)は、カッター61によるフィルム34の分断の開始の時を示した図であり、図9(b)は、カッター61によるフィルム34の分断の途中を示した図であり、図9(c)は、カッター61によるフィルム34の分断の完了を示した図である。図9では付着した導電性粒子Rを不図示としている。既述ではフィルム34が分断されると説明したが、既述の「分断」とは、実際ステップS30の処理を行うことにより、第2の積層部材34bに切り欠きαを形成することを意味する。
【0033】
即ち、フィルム34は、詳細には、第1の積層部材34aと、この第1の積層部材34a上に積層された第2の積層部材34bとから構成されているさらにステップS20の処理により導電性粒子Rが付着している。ここで第1の積層部材34aは、第2の積層部材34bよりも少なくともせん段方向には高い剛性を有した部材である。また、第2の積層部材34bは、接着性を有した部材である。第2の積層部材34bは、例えばNCFである。
【0034】
図9(a)に示すように、カッター61は、フィルム34の第2の積層部材34b側からせん段を開始する。フィルム34は、圧着治具20とカッター61との間に挟まれることから、分断が開始される。第1の積層部材34aと第2の積層部材34bとのせん段方向の剛性の違いから、図9(b)に示すように、カッター61は、第1の積層部材34aを分断するまでには至らない、但し、第2の積層部材34bは完全に分断される。そして、カッター61の上昇を終了させ、所定位置に戻すことで、図9(c)に示すように、フィルム34における第2の積層部材34bの分断が完了することとなる。カッター61は、2箇所あるため、この2つのカッター61による分断で1つの領域である接続部材34Bか形成されることとなる。尚、2つのカッター61間の距離は接続部剤34Bの長さと等しく設けられていることが好ましい。
【0035】
次に、圧着治具20の下降移動により接続部材34Bを第1の基板100上に搭載する(ステップS40)。図10は、接続部材34Bの第1の基板100への搭載の様子を示した図である。図6は、ステップS40の処理を示したフローチャートである。図11は台座10へ搭載する第1の基板100の一例を示した図である。図11(a)は、第1の基板100を天面から見た図であり、図11(b)は、A−A断面を示した図である。図11に示すように第1の基板100は、絶縁材である基材101の上に導電材である複数の配線102が所定の間隔で積層され、その上に被覆材103が積層されている。また、第1の基板100は、基板間接続を行うために配線102の一部が露出する第1の接続部104の領域が設けられている。尚、配線102がない部分は基材101の上に直接被覆材103が積層されている。配線102の露出部分は電極としての役割を担う。
【0036】
図6に示したように、治具位置制御部54の指示により圧着治具20を下降移動(ステップS41)させ、フィルム34と接触してもなお、下降を継続させる。そして予め台座10上に搭載しておいた第1の基板100上のにフィルム34を押し付ける状態で圧着治具20を搭載する(ステップS42)。この際に図10に示すように所定の圧力P2を加圧して第1の基板100に向けて圧着治具20を押し付けることとなる。
【0037】
次に、圧着治具20の上昇移動させ所定の位置に戻す(ステップS43)。即ち、治具位置制御部54の指示により圧着治具20を上昇移動させ、元の位置に戻す。この圧着治具20の上昇により、フィルム34も元の位置に戻るが、フィルム34の第2の積層部材34bにおいて、カッター61により分断されて形成された接続部材34Bは、第1の基板100上に接続したままとなる。即ち、圧着治具20による加圧により接続部材34B(導電性粒子Rと第2の積層部材34b)は第1の基板100と接続される(仮貼り)。
【0038】
圧着面20aには溝部20bが設けられている。従って、従来と同じ押し圧力でも単位面積当たりの圧力が大きくなり、少ない推力で大きな圧力を加えることが可能となる。即ち、ACFに比して粘土が高いNCFにおいても接続部材34Bを確実に第1の基板100に付着させることが出来る。従って、治具加熱制御部55による圧着治具20への加熱を行うことなく、接続部材34Bの第1の基板100への仮貼りが可能になる。また、溝部20bを有する為、圧着治具20の押し圧によっても、導電性粒子Rが第1の基板100と圧着治具20との間からはみ出してしまうことが少ない。
【0039】
ステップS40の処理が終了すると、次に所定の距離だけフィルム34を巻き取る(ステップS50)。即ち、送出制御部58の指示によりロール装置30の第2のロール部31bの図示せぬモータ部の駆動を開始する。第2のロール部31bが半時計方向(図1、図2の矢印D方向)に回転することでテープ状のフィルム34を巻き取る。この巻き取りの開始に伴い、第1のロール部31aの図示せぬ回転軸も回転し、新しいフィルム34を圧着治具20へ送出することとなる。
【0040】
次に、第2の基板200を第1の基板100へ搭載することで、熱圧着を行う(ステップS60)。即ち、接続部材34Bが仮貼りされた第1の基板100上に第2の基板200を搭載し、圧着治具20を加熱・加圧することにより、第1の基板100と第2の基板200とを熱圧着処理する。
【0041】
図12は第2の基板200を示した図である。図12(a)は、第2の基板200を天面から見た図であり、図12(b)は、B−B断面を示した図である。図12に示すように第2の基板200は、絶縁材である基材201の上に導電材である複数の配線202が配線102と同じ所定の間隔で積層され、その上に被覆材203が積層されている。また、第2の基板200は、基板間接続を行うために配線202の一部が露出する第2の接続部204の領域が設けられている。尚、配線202がない部分は基材201の上に直接被覆材203が積層されている。配線202の露出部分は電極としての役割を担う。第2の基板200は、例えばFPCである。
【0042】
図13は、圧着治具20による熱圧着の様子を示した図である。図13に示すように、接続部材34Bが仮貼りされた第1の基板100上に、圧着治具20を搭載して加熱・加圧することにより、第1の基板100と第2の基板200とを熱圧着する。この第2の基板200の配置は第1の接続部104と第2の接続部204とを対向させるように配置する。これにより、第1の基板100と第2の基板200とは接続されることとなる。尚、このステップS60の処理は既存の処理工程と同じであるためこれ以上の詳述は割愛する。
【0043】
以上説明したように、粘性の高いNCF等の熱可塑性樹脂を主成分とする接合材料においても、接合材に導電性粒子Rを付着させ、かつ圧着面20aに溝部20bを設けることで押し圧力を低く保ったまま仮貼りが可能となる。これにより熱可塑性樹脂を主成分とする状接合材料において、接合信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱圧着装置を示した図。
【図2】本発明の実施の形態に係る熱圧着装置を示した図。
【図3】圧着治具20を示した図。
【図4】本発明の実施の形態に係る熱圧着装置の制御方法を示したフローチャート。
【図5】導電性粒子Rの転写(ステップS20)の処理を示したフローチャート。
【図6】ステップS40の処理を示したフローチャートである。
【図7】圧着治具20の下降の様子を示した図
【図8】分断装置60の移動の様子を示した図。
【図9】フィルム34の分断の様子を示した図。
【図10】接続部材34Bの第1の基板100への搭載の様子を示した図。
【図11】台座10へ搭載する第1の基板100の一例を示した図。
【図12】第2の基板200を示した図。
【図13】圧着治具20による熱圧着の様子を示した図。
【符号の説明】
【0045】
1 熱圧着装置
10 台座
20 圧着治具
20a 圧着面
30 ロール装置
31 ロール部
31a 第1のロール部
31b 第2のロール部
32 可動部
33 連結軸
34 フィルム
34a 第1の積層部材
34b 第2の積層部材
34B 接続部材
35 ガイドローラ
36 可動軸
40 貯蔵器
50 制御装置
51 主制御部
52 入力部
53 出力部
54 治具位置制御部
55 治具加熱制御部
56 ロール位置制御部
57 貯蔵器位置制御部
58 送出制御部
59 分断制御部
60 分断装置
61 カッター
100 第1の基板
101 基材
102 配線
103 被覆材
104 第1の接続部
200 第2の基板
201 基材
202 配線
203 被覆材
204 第2の接続部
300 接続部材
R 導電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合部材が塗布されたフィルムを移動するロール装置と、
凹凸表面を有する加圧治具と、
導電粒子を溜めるための貯蔵手段と、
前記加圧治具の前記凹凸表面を前記貯蔵手段に対向させて前記導電性粒子を付着させる第1の手段と、
前記第1の手段により前記導電性粒子が付着した前記加圧治具の凹凸表面を前記フィルム対向させて加圧させる第2の手段と、
を有することを特徴とする熱圧着装置。
【請求項2】
前記熱圧着装置は台座を有し、前記第2の手段における加圧は、前記ロール装置により前記フィルムを前記台座上に移動させ、前記フィルム上から加圧することを特徴とする請求項1に記載の熱圧着装置。
【請求項3】
前記接合部材は、NCF(Non Conductive Film)であることを特徴とする請求項2に記載の熱圧着装置。
【請求項4】
前記熱圧着装置は、前記フィルムに塗布された前記接合部材がNCFであるか否かを検出する検出手段を有し、前記検出手段により前記接合部材が前記NCFであると検出した場合に限り前記第1の手段を実施することを特徴とする請求項3に記載の熱圧着装置。
【請求項5】
接合部材が塗布されたフィルムを移動するロール装置と、凹凸表面を有する加圧治具と、導電粒子を溜めるための貯蔵手段とを備えた熱圧着装置の制御方法であって、
前記加圧治具の前記凹凸表面を前記貯蔵手段に対向させて前記導電性粒子を付着させ、 前記導電性粒子が付着した前記加圧治具の凹凸表面を前記フィルム対向させて加圧させること、
を特徴とする熱圧着装置の制御方法。
【請求項6】
前記熱圧着装置は台座を有し、前記加圧治具の加圧は、前記ロール装置により前記フィルムを前記台座上に移動させ、前記フィルム上から加圧することを特徴とする請求項5に記載の熱圧着装置の制御方法。
【請求項7】
前記接合部材は、NCF(Non Conductive Film)であることを特徴とする請求項6に記載の熱圧着装置の制御方法。
【請求項8】
前記熱圧着装置は、前記フィルムに塗布された前記接合部材がNCFであるか否かを検出し、この検出により前記接合部材が前記NCFであると検出した場合に限り前記加圧治具の前記凹凸表面を前記貯蔵手段に対向させて前記導電性粒子を付着させることを特徴とする請求項7に記載の熱圧着装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−231707(P2009−231707A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77777(P2008−77777)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】