熱補償機械共振子
【課題】熱補償単結晶シリコンから作られたテンプ輪スプリング又はヘアスプリングを含む共振子を提供すること。
【解決手段】本発明は、多角形断面のコアが単結晶シリコンで構成されるストリップを有する熱補償機械共振子に関する。本発明によれば、コアの1つ又は複数の表面が共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングを有する。本発明は時計の分野に関する。
【解決手段】本発明は、多角形断面のコアが単結晶シリコンで構成されるストリップを有する熱補償機械共振子に関する。本発明によれば、コアの1つ又は複数の表面が共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングを有する。本発明は時計の分野に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱補償機械共振子に関し、より具体的には、熱補償単結晶シリコンから作られたテンプ輪スプリングすなわちヘアスプリングを含むこのタイプの共振子に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1422436号は、コアが単結晶シリコンから作られたテンプ輪スプリングを開示しており、このテンプ輪スプリングは、二酸化ケイ素コーティングで被覆され、該テンプ輪スプリングを熱的に補償するようにしている。当該特許はまた、温度の関数としての熱弾性係数の変動を最小限にする。しかしながら、本文献では、均一の厚みのコーティングを開示しているに過ぎず、最小の変動率の共振子を得るために該コーティングにテンプを適合させることが困難な可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1422436号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、熱補償を可能にするコーティングの形成に関してより大きな自由度をもたらす共振子を提案することにより上述の欠点の全て又は一部を克服することである。
【0005】
従って、本発明は、多角形断面のコアが単結晶シリコンを含むストリップを有する熱補償機械共振子において、コアの表面の少なくとも1つに、コアが共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングを含み、少なくとも1つの他の表面にはコーティングがないことを特徴とし、或いは、コアの少なくとも隣接する2つの表面が同じ厚みでは被覆されないことを特徴とする熱補償機械共振子に関する。
【0006】
本発明の他の利点によれば、
−ストリップの断面は同一な表面の対を含む四角形である。
−上記コーティングは、ストリップの曲げ平面に平行な面に優先的に堆積され、前記共振子の周波数への影響を定量的に改善するようにし、或いは逆に、垂直な面に優先して堆積され、平行な面上の堆積物と比べて影響を少なくして共振子周波数を変更するようにする。
−ストリップは巻かれて少なくとも1つのコイルを形成し、慣性フライホイールに結合される。ストリップは、MEMSを形成し、又は少なくとも2つの対称的に組み立てられたバーを形成して音叉となる。
−コーティングは二酸化ケイ素を含む。
−コアは、{100}面又は{111}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる。
−上記ペアの面の{100}面又は{111}面に沿ったコーティング厚は次の関係式に従う。
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
上式で、
− Yは、全ストリップ高さ(h)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に平行な表面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
− Xは、前記ストリップの全底辺(b)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に垂直な表面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
− Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数であって、−3.5302×10−5、又は−3.55565×10−5であり;
− Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数であって、−1.114×10−3、又は−1.0642×10−3であり;
− Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数であって、−0.29152、又は−0.28721であり;
− Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数であって、15.522、又は16.446である。
【0007】
上述の変形形態の1つによる少なくとも1つの共振子を含む時計に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】テンプ輪スプリングを示す図であり、図1Aはテンプ輪スプリングの全体の斜視図であり、図1Bはテンプ輪スプリングの代表的断面図である。
【図2】本発明による複数の実施形態の図である。
【図3】向きの関数として単結晶シリコンの{100}面のヤング率の空間図である。
【図4】温度の関数として単結晶シリコンの{100}面のヤング率の変動の図である。
【図5】向きの関数として単結晶シリコンの{111}面のヤング率の空間図である。
【図6】温度の関数として単結晶シリコンの{111}面のヤング率の変動の図である。
【図7】温度及びコーティング厚の関数として単結晶シリコンの{100}面からコアが得られた共振子の周波数変化の図である。
【図8】軸線b1+b3[%b]方向の図7の一部の垂直図である。
【図9】軸線h1+h3[%h]方向の図7の一部の垂直図である。
【図10】方向ΔF=1の図7の一部の水平面である。
【図11】コーティングの位置の関数としての共振子周波数変化の図である。
【図12】コーティングの厚みの関数としての共振子周波数変化の図である。
【図13】温度及びコーティング厚の関数として単結晶シリコンの{111}面からコアが得られた共振子の周波数変化の図である。
【図14】軸線b1+b3[%b]方向の図13の一部の垂直図である。
【図15】軸線h1+h3[%h]方向の図13の一部の垂直図である。
【図16】方向ΔF=1の図13の一部の水平面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら非限定的な例証として与えられた以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
本発明は、ヘアスプリング(ひげぜんまい)付きテンプ、音叉、又はより一般的なMEMS(マイクロ電子機械システム)タイプのものとすることができる機械共振子に関する。
【0011】
しかしながら、本発明を説明するため、図1A及び図1Bに示すように、ここではテンプ輪と協働して機械共振子を形成するテンプ輪スプリングへの適用を利用している。テンプ輪スプリングは、一般に、その断面が底辺b及び高さhを有する長さIの少なくとも1つのコイルに巻かれたストリップにより形成される。
【0012】
図1Aに示すように、ストリップは、コレット(ひげ玉)と共に単一部品内に形成されるのが好ましい。好ましくは、このことは、厚みが底辺bのサイズにほぼ一致する単結晶シリコン・ウェハを使用することで実施可能となる。ウェハは、テンプ輪スプリング及びそのコレット全体をディープ反応性イオンエッチングを介してエッチング処理される。
【0013】
図1Bに示すように、底辺bのサイズ全体が単結晶シリコンから作られるが、反対側の2つのコーティングは、好ましくは非晶質二酸化ケイ素(SiO2)から作られることが理解できる。この第1の実施形態は、図2で参照符号Aで示される。図2はまた、A1で指定したストリップの曲げ軸を表す破線を示している。従って、第1の実施形態Aでは、曲げ軸A1に垂直なストリップの表面だけがそれぞれの厚みb1及びb3のコーティングで被覆される。従って、底辺bのサイズ全体は、これらのコーティングb1及びb3と、単結晶シリコン部分のサイズb2により形成されることは明らかである。
【0014】
図2の第2の実施形態Bでは、曲げ軸A1に平行なストリップの表面だけが、それぞれの厚みh1及びh3のコーティングで被覆される。従って、高さのサイズ全体hは、これらのコーティングh1及びh3と、単結晶シリコン部分のサイズh2により形成されることは明らかである。
【0015】
図2の実施形態Cでは、ストリップの表面の全てがコーティングで被覆されている。しかし、ストリップの隣接する表面は同様には被覆されず、好ましくは、表面の対をなすものが同一に被覆される。すなわち、曲げ軸A1に平行な面は、それぞれの厚みh1及びh3のコーティングで被覆され、曲げ軸A1に垂直な面は、それぞれの厚みb1及びb3のコーティングで被覆される。従って、一方では、高さの全体サイズhは、コーティングh1及びh3と単結晶シリコン部分のサイズh2とにより形成され、他方では、底辺のサイズ全体bは、従って、コーティングb1及びb3と、単結晶シリコン部分のサイズb2とにより形成されることは明らかである。サイズh1、h3は、サイズb1、b3よりも小さい。
【0016】
図2の第4の実施形態Dでは、ストリップの表面の全ては、第3の実施形態Cと同様にしてコーティングで被覆される。ストリップの隣接する表面は同様には被覆されず、好ましくは、表面の対をなすものが同一に被覆される。第3の実施形態Cとは異なり、サイズh1、h3は、サイズb1、b3よりも大きい。
【0017】
本発明によれば、第4の実施形態A、B、C、及びDは、{100}面及び{111}面に沿って切断した単結晶シリコン・ウェハで形成されるストリップを用いて検討した。図3に示す実施例は、向きの関数として単結晶シリコンの{100}面のヤング率の空間図を示している。従って、弾性は、ストリップの曲げの向きに応じて変わることは明らかである。しかしながら、計算を実施すると、螺旋ストリップの構造は、実際には図4に示す中程度のヤング率(ΔSimoy)を有するかのような挙動を示す。この図はまた、単結晶シリコンの熱弾性係数が負(マーク□、○、△参照)であり、非晶質二酸化ケイ素(SiO2)の熱弾性係数が正(マーク×参照)であることを示している。
【0018】
従って、図5及び図6を参照すると、これらは、{111}面に関連すること以外は図3及び図4にそれぞれ類似しており、{111}面から形成されるストリップは、{100}面から形成されるものと同様にして反応し、すなわち、非晶質二酸化ケイ素コーティング(SiO2)により補償することができる。
【0019】
図7は、{100}面に沿って切断した単結晶シリコン・ウェハで形成されるストリップにおいて実行される計算の完全表現である。図7は、温度及びコーティング厚の関数として{100}単結晶シリコンから得られたストリップで構成の共振子の周波数変化を示している。種々の熱平面間にほぼ一定の比ΔF(すなわち、1に等しい)が得られる収束曲線が存在することが分かる。特性曲線をより明確に例示するために、以下の平面が与えられ、すなわち、軸線b1+b3[%b]、すなわち%h=0の方向の図7の一部の垂直平面(図8)、軸線h1+h3[%h]、すなわち%b=0の別の方向の図7の一部の垂直平面(図9)、最後に、方向ΔF=1の図7の水平面(図10)が形成された。
【0020】
図2の第1の実施形態Aの実際の熱補償曲線である図8は、熱曲線が約39と41%の間のbに対してパーセンテージb1+b3で25℃曲線上に収束することを示している。反対側にある各表面が関係b1=b3に従う本発明の好ましい事例では、第1の実施形態Aにおいて、19.5と20.5%の間の2つの面の各々に対してコーティング厚を有する。より詳細な計算の後、値b1+b3は約39.65%で推定される。
【0021】
同様に、図2の第2の実施形態Bの熱補償曲線である図9を参照すると、熱曲線が、実質的に15と16%の間で構成されるhに対してパーセンテージh1+h3にて25℃曲線上に収束することが分かる。従って、第2の実施形態Bで反対側の各表面が関係h1=h3に従う本発明の好ましい事例において、7.5と8%の間の2つの表面の各々に対するコーティング厚がある。より詳細な計算の後、値h1+h3は、約15.49%で推定される。
【0022】
図10は、非晶質二酸化ケイ素(SiO2)コーティングを備えた{100}面に沿って切断された単結晶シリコン・ウェハから形成されるストリップを補償するのに観測される曲線を要約している。従って、第1及び第2の実施形態A及びBの値は、同様にX及びY軸上でそれぞれ見られる。更に、注釈付きの曲線Eも見られ、同じパーセンテージがストリップ表面の全てにわたって適用される(すなわち、欧州特許第1422436号と同様)。最後に、B点と曲線Eとの間の特性曲線は、図2の第4の実施形態Dに属し、曲線EとA点との間の特性曲線は、図2の第3の実施形態Cに属する。
【0023】
形成される層の判定を簡素化するために、3次多項式を計算し、共振子の生成をより容易にした。
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
− Yは、全ストリップ高さ(h)に対するストリップ曲げ軸(A1)に平行な表面上のコーティング厚(h1+h3)のパーセンテージであり;
− Xは、ストリップの全底辺(b)に対するストリップ曲げ軸(A1)に垂直な表面上のコーティング厚(b1+b3)のパーセンテージであり;
− Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.5302×10−5であり;
− Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.114×10−3であり;
− Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数で、−0.29152であり;
− Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数で、15.522である。
【0024】
最後に、図11及び図12はそれぞれ、理論上は、コーティングが曲げ軸A1(実施形態A)に垂直な面、或いは曲げ軸A1(実施形態B)に平行な面を覆うかどうかに応じた共振子周波数への影響を示している。周波数は、曲げ軸A1(実施形態A)に垂直な表面に加えられたコーティングによるよりも、曲げ軸A1(実施形態B)に平行な表面に加えられたコーティングによる影響の方が遙かに大きくなる点に留意されたい。従って、共振子を形成するためにテンプ輪スプリングとテンプ間で行われる調整によって、実施形態A、B、C、D及びEのうちの1つが、他のものよりもより有利になると推測される。
【0025】
ウェハの{100}面に対して実施した研究はまた、{111}面についても実施した。従って、図13は、{111}面に沿って切断した単結晶シリコン・ウェハで形成されるストリップについて実施した計算の完全図である。
【0026】
図13は、温度及びコーティング厚の関数として単結晶シリコンの{111}面からそのストリップが得られた共振子の周波数変化を示している。また、種々の熱平面間にほぼ一定の比ΔF(すなわち、1に等しい)を維持できるようにする収束曲線が存在することが分かる。特性曲線をより明確に例示するために、以下の平面が与えられ、すなわち、軸線b1+b3[%b]、すなわち%h=0の方向の図13の一部の垂直平面(図15)、軸線h1+h3[%h]、すなわち%b=0の別の方向の図13の一部の垂直平面(図16)、最後に、方向ΔF=1の図13の水平面(図16)が形成された。
【0027】
図2の第1の実施形態Aの実際の熱補償曲線である図14は、熱曲線が約41と43%の間を含むbに対してパーセンテージb1+b3で25℃曲線上に収束することを示している。各対向する表面が関係b1=b3を観測する本発明の好ましい事例では、実施形態Aにおいて、20.5と21.5%の間の2つの表面の各々に対してコーティング厚を有する。より詳細な計算の後、値b1+b3は約41.69%で推定される。
【0028】
同様に、図2の第2の実施形態Bの熱補償曲線である図15を参照すると、熱曲線が、約16と17%との間で構成されるhに対してパーセンテージh1+h3にて25℃曲線上に収束することが分かる。従って、各対向する表面が関係h1=h3を観測する本発明の好ましい事例では、第2の実施形態Bにおいて、2つの表面の各々に対して8と8.5%の間のコーティング厚を有する。より詳細な計算の後、値h1+h3は、約16.46%で推定される。
【0029】
図16は、非晶質二酸化ケイ素(SiO2)コーティングを備えた{111}面に沿って切断された単結晶シリコン・ウェハから形成されるストリップを補償するのに観測される曲線を要約している。従って、第1及び第2の実施形態A及びBの値は、同様にX及びY軸上でそれぞれ見られる。更に、注釈付きの曲線Eもあり、同じパーセンテージがストリップ面の全てにわたって適用される(すなわち、欧州特許第1422436号と同様)。最後に、B点と曲線Eとの間の特性曲線は、図2の第4の実施形態Dに属し、曲線EとA点との間の特性曲線は、図2の第3の実施形態Cに属する。
【0030】
形成される層の判定を簡素化するために、3次多項式を計算し、共振子の生成をより容易にした。
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
− Yは、全ストリップ高さ(h)に対するストリップ曲げ軸(A1)に平行な表面上のコーティング厚(h1+h3)のパーセンテージであり;
− Xは、ストリップの全底辺(b)に対するストリップ曲げ軸(A1)に垂直な表面上のコーティング厚(b1+b3)のパーセンテージであり;
− Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.55565×10−5であり;
− Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.0642×10−3であり;
− Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数で、−0.28721であり;
− Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数で、16.446である。
【0031】
従って、切断する{100}面と同様に、共振子を形成するために、単結晶シリコン・ウェハの切断する{111}面から得られるテンプ輪スプリングとテンプ(慣性フライホイール)間で行われる調整によって、実施形態A、B、C、D及びEのうちの1つが、他のものよりもより有利になると推測される。よって、上述のように、切断する面{100}又は{111}の選択は決定的影響ではない点に留意されたい。
【0032】
上記の説明に照らして、開示される教示は、例えば、音叉又はMEMSタイプの共振子など、他のタイプの熱補償機械共振子にも実施できることは明らかである。
【符号の説明】
【0033】
A1 曲げ軸;
b1、b3 コーティング厚み; b2 単結晶シリコン部分の厚み;
h1、h3 コーティング厚み; h2 単結晶シリコン部分の厚み。
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱補償機械共振子に関し、より具体的には、熱補償単結晶シリコンから作られたテンプ輪スプリングすなわちヘアスプリングを含むこのタイプの共振子に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第1422436号は、コアが単結晶シリコンから作られたテンプ輪スプリングを開示しており、このテンプ輪スプリングは、二酸化ケイ素コーティングで被覆され、該テンプ輪スプリングを熱的に補償するようにしている。当該特許はまた、温度の関数としての熱弾性係数の変動を最小限にする。しかしながら、本文献では、均一の厚みのコーティングを開示しているに過ぎず、最小の変動率の共振子を得るために該コーティングにテンプを適合させることが困難な可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1422436号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの目的は、熱補償を可能にするコーティングの形成に関してより大きな自由度をもたらす共振子を提案することにより上述の欠点の全て又は一部を克服することである。
【0005】
従って、本発明は、多角形断面のコアが単結晶シリコンを含むストリップを有する熱補償機械共振子において、コアの表面の少なくとも1つに、コアが共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングを含み、少なくとも1つの他の表面にはコーティングがないことを特徴とし、或いは、コアの少なくとも隣接する2つの表面が同じ厚みでは被覆されないことを特徴とする熱補償機械共振子に関する。
【0006】
本発明の他の利点によれば、
−ストリップの断面は同一な表面の対を含む四角形である。
−上記コーティングは、ストリップの曲げ平面に平行な面に優先的に堆積され、前記共振子の周波数への影響を定量的に改善するようにし、或いは逆に、垂直な面に優先して堆積され、平行な面上の堆積物と比べて影響を少なくして共振子周波数を変更するようにする。
−ストリップは巻かれて少なくとも1つのコイルを形成し、慣性フライホイールに結合される。ストリップは、MEMSを形成し、又は少なくとも2つの対称的に組み立てられたバーを形成して音叉となる。
−コーティングは二酸化ケイ素を含む。
−コアは、{100}面又は{111}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる。
−上記ペアの面の{100}面又は{111}面に沿ったコーティング厚は次の関係式に従う。
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
上式で、
− Yは、全ストリップ高さ(h)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に平行な表面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
− Xは、前記ストリップの全底辺(b)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に垂直な表面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
− Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数であって、−3.5302×10−5、又は−3.55565×10−5であり;
− Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数であって、−1.114×10−3、又は−1.0642×10−3であり;
− Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数であって、−0.29152、又は−0.28721であり;
− Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数であって、15.522、又は16.446である。
【0007】
上述の変形形態の1つによる少なくとも1つの共振子を含む時計に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】テンプ輪スプリングを示す図であり、図1Aはテンプ輪スプリングの全体の斜視図であり、図1Bはテンプ輪スプリングの代表的断面図である。
【図2】本発明による複数の実施形態の図である。
【図3】向きの関数として単結晶シリコンの{100}面のヤング率の空間図である。
【図4】温度の関数として単結晶シリコンの{100}面のヤング率の変動の図である。
【図5】向きの関数として単結晶シリコンの{111}面のヤング率の空間図である。
【図6】温度の関数として単結晶シリコンの{111}面のヤング率の変動の図である。
【図7】温度及びコーティング厚の関数として単結晶シリコンの{100}面からコアが得られた共振子の周波数変化の図である。
【図8】軸線b1+b3[%b]方向の図7の一部の垂直図である。
【図9】軸線h1+h3[%h]方向の図7の一部の垂直図である。
【図10】方向ΔF=1の図7の一部の水平面である。
【図11】コーティングの位置の関数としての共振子周波数変化の図である。
【図12】コーティングの厚みの関数としての共振子周波数変化の図である。
【図13】温度及びコーティング厚の関数として単結晶シリコンの{111}面からコアが得られた共振子の周波数変化の図である。
【図14】軸線b1+b3[%b]方向の図13の一部の垂直図である。
【図15】軸線h1+h3[%h]方向の図13の一部の垂直図である。
【図16】方向ΔF=1の図13の一部の水平面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら非限定的な例証として与えられた以下の説明から明らかになるであろう。
【0010】
本発明は、ヘアスプリング(ひげぜんまい)付きテンプ、音叉、又はより一般的なMEMS(マイクロ電子機械システム)タイプのものとすることができる機械共振子に関する。
【0011】
しかしながら、本発明を説明するため、図1A及び図1Bに示すように、ここではテンプ輪と協働して機械共振子を形成するテンプ輪スプリングへの適用を利用している。テンプ輪スプリングは、一般に、その断面が底辺b及び高さhを有する長さIの少なくとも1つのコイルに巻かれたストリップにより形成される。
【0012】
図1Aに示すように、ストリップは、コレット(ひげ玉)と共に単一部品内に形成されるのが好ましい。好ましくは、このことは、厚みが底辺bのサイズにほぼ一致する単結晶シリコン・ウェハを使用することで実施可能となる。ウェハは、テンプ輪スプリング及びそのコレット全体をディープ反応性イオンエッチングを介してエッチング処理される。
【0013】
図1Bに示すように、底辺bのサイズ全体が単結晶シリコンから作られるが、反対側の2つのコーティングは、好ましくは非晶質二酸化ケイ素(SiO2)から作られることが理解できる。この第1の実施形態は、図2で参照符号Aで示される。図2はまた、A1で指定したストリップの曲げ軸を表す破線を示している。従って、第1の実施形態Aでは、曲げ軸A1に垂直なストリップの表面だけがそれぞれの厚みb1及びb3のコーティングで被覆される。従って、底辺bのサイズ全体は、これらのコーティングb1及びb3と、単結晶シリコン部分のサイズb2により形成されることは明らかである。
【0014】
図2の第2の実施形態Bでは、曲げ軸A1に平行なストリップの表面だけが、それぞれの厚みh1及びh3のコーティングで被覆される。従って、高さのサイズ全体hは、これらのコーティングh1及びh3と、単結晶シリコン部分のサイズh2により形成されることは明らかである。
【0015】
図2の実施形態Cでは、ストリップの表面の全てがコーティングで被覆されている。しかし、ストリップの隣接する表面は同様には被覆されず、好ましくは、表面の対をなすものが同一に被覆される。すなわち、曲げ軸A1に平行な面は、それぞれの厚みh1及びh3のコーティングで被覆され、曲げ軸A1に垂直な面は、それぞれの厚みb1及びb3のコーティングで被覆される。従って、一方では、高さの全体サイズhは、コーティングh1及びh3と単結晶シリコン部分のサイズh2とにより形成され、他方では、底辺のサイズ全体bは、従って、コーティングb1及びb3と、単結晶シリコン部分のサイズb2とにより形成されることは明らかである。サイズh1、h3は、サイズb1、b3よりも小さい。
【0016】
図2の第4の実施形態Dでは、ストリップの表面の全ては、第3の実施形態Cと同様にしてコーティングで被覆される。ストリップの隣接する表面は同様には被覆されず、好ましくは、表面の対をなすものが同一に被覆される。第3の実施形態Cとは異なり、サイズh1、h3は、サイズb1、b3よりも大きい。
【0017】
本発明によれば、第4の実施形態A、B、C、及びDは、{100}面及び{111}面に沿って切断した単結晶シリコン・ウェハで形成されるストリップを用いて検討した。図3に示す実施例は、向きの関数として単結晶シリコンの{100}面のヤング率の空間図を示している。従って、弾性は、ストリップの曲げの向きに応じて変わることは明らかである。しかしながら、計算を実施すると、螺旋ストリップの構造は、実際には図4に示す中程度のヤング率(ΔSimoy)を有するかのような挙動を示す。この図はまた、単結晶シリコンの熱弾性係数が負(マーク□、○、△参照)であり、非晶質二酸化ケイ素(SiO2)の熱弾性係数が正(マーク×参照)であることを示している。
【0018】
従って、図5及び図6を参照すると、これらは、{111}面に関連すること以外は図3及び図4にそれぞれ類似しており、{111}面から形成されるストリップは、{100}面から形成されるものと同様にして反応し、すなわち、非晶質二酸化ケイ素コーティング(SiO2)により補償することができる。
【0019】
図7は、{100}面に沿って切断した単結晶シリコン・ウェハで形成されるストリップにおいて実行される計算の完全表現である。図7は、温度及びコーティング厚の関数として{100}単結晶シリコンから得られたストリップで構成の共振子の周波数変化を示している。種々の熱平面間にほぼ一定の比ΔF(すなわち、1に等しい)が得られる収束曲線が存在することが分かる。特性曲線をより明確に例示するために、以下の平面が与えられ、すなわち、軸線b1+b3[%b]、すなわち%h=0の方向の図7の一部の垂直平面(図8)、軸線h1+h3[%h]、すなわち%b=0の別の方向の図7の一部の垂直平面(図9)、最後に、方向ΔF=1の図7の水平面(図10)が形成された。
【0020】
図2の第1の実施形態Aの実際の熱補償曲線である図8は、熱曲線が約39と41%の間のbに対してパーセンテージb1+b3で25℃曲線上に収束することを示している。反対側にある各表面が関係b1=b3に従う本発明の好ましい事例では、第1の実施形態Aにおいて、19.5と20.5%の間の2つの面の各々に対してコーティング厚を有する。より詳細な計算の後、値b1+b3は約39.65%で推定される。
【0021】
同様に、図2の第2の実施形態Bの熱補償曲線である図9を参照すると、熱曲線が、実質的に15と16%の間で構成されるhに対してパーセンテージh1+h3にて25℃曲線上に収束することが分かる。従って、第2の実施形態Bで反対側の各表面が関係h1=h3に従う本発明の好ましい事例において、7.5と8%の間の2つの表面の各々に対するコーティング厚がある。より詳細な計算の後、値h1+h3は、約15.49%で推定される。
【0022】
図10は、非晶質二酸化ケイ素(SiO2)コーティングを備えた{100}面に沿って切断された単結晶シリコン・ウェハから形成されるストリップを補償するのに観測される曲線を要約している。従って、第1及び第2の実施形態A及びBの値は、同様にX及びY軸上でそれぞれ見られる。更に、注釈付きの曲線Eも見られ、同じパーセンテージがストリップ表面の全てにわたって適用される(すなわち、欧州特許第1422436号と同様)。最後に、B点と曲線Eとの間の特性曲線は、図2の第4の実施形態Dに属し、曲線EとA点との間の特性曲線は、図2の第3の実施形態Cに属する。
【0023】
形成される層の判定を簡素化するために、3次多項式を計算し、共振子の生成をより容易にした。
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
− Yは、全ストリップ高さ(h)に対するストリップ曲げ軸(A1)に平行な表面上のコーティング厚(h1+h3)のパーセンテージであり;
− Xは、ストリップの全底辺(b)に対するストリップ曲げ軸(A1)に垂直な表面上のコーティング厚(b1+b3)のパーセンテージであり;
− Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.5302×10−5であり;
− Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.114×10−3であり;
− Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数で、−0.29152であり;
− Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数で、15.522である。
【0024】
最後に、図11及び図12はそれぞれ、理論上は、コーティングが曲げ軸A1(実施形態A)に垂直な面、或いは曲げ軸A1(実施形態B)に平行な面を覆うかどうかに応じた共振子周波数への影響を示している。周波数は、曲げ軸A1(実施形態A)に垂直な表面に加えられたコーティングによるよりも、曲げ軸A1(実施形態B)に平行な表面に加えられたコーティングによる影響の方が遙かに大きくなる点に留意されたい。従って、共振子を形成するためにテンプ輪スプリングとテンプ間で行われる調整によって、実施形態A、B、C、D及びEのうちの1つが、他のものよりもより有利になると推測される。
【0025】
ウェハの{100}面に対して実施した研究はまた、{111}面についても実施した。従って、図13は、{111}面に沿って切断した単結晶シリコン・ウェハで形成されるストリップについて実施した計算の完全図である。
【0026】
図13は、温度及びコーティング厚の関数として単結晶シリコンの{111}面からそのストリップが得られた共振子の周波数変化を示している。また、種々の熱平面間にほぼ一定の比ΔF(すなわち、1に等しい)を維持できるようにする収束曲線が存在することが分かる。特性曲線をより明確に例示するために、以下の平面が与えられ、すなわち、軸線b1+b3[%b]、すなわち%h=0の方向の図13の一部の垂直平面(図15)、軸線h1+h3[%h]、すなわち%b=0の別の方向の図13の一部の垂直平面(図16)、最後に、方向ΔF=1の図13の水平面(図16)が形成された。
【0027】
図2の第1の実施形態Aの実際の熱補償曲線である図14は、熱曲線が約41と43%の間を含むbに対してパーセンテージb1+b3で25℃曲線上に収束することを示している。各対向する表面が関係b1=b3を観測する本発明の好ましい事例では、実施形態Aにおいて、20.5と21.5%の間の2つの表面の各々に対してコーティング厚を有する。より詳細な計算の後、値b1+b3は約41.69%で推定される。
【0028】
同様に、図2の第2の実施形態Bの熱補償曲線である図15を参照すると、熱曲線が、約16と17%との間で構成されるhに対してパーセンテージh1+h3にて25℃曲線上に収束することが分かる。従って、各対向する表面が関係h1=h3を観測する本発明の好ましい事例では、第2の実施形態Bにおいて、2つの表面の各々に対して8と8.5%の間のコーティング厚を有する。より詳細な計算の後、値h1+h3は、約16.46%で推定される。
【0029】
図16は、非晶質二酸化ケイ素(SiO2)コーティングを備えた{111}面に沿って切断された単結晶シリコン・ウェハから形成されるストリップを補償するのに観測される曲線を要約している。従って、第1及び第2の実施形態A及びBの値は、同様にX及びY軸上でそれぞれ見られる。更に、注釈付きの曲線Eもあり、同じパーセンテージがストリップ面の全てにわたって適用される(すなわち、欧州特許第1422436号と同様)。最後に、B点と曲線Eとの間の特性曲線は、図2の第4の実施形態Dに属し、曲線EとA点との間の特性曲線は、図2の第3の実施形態Cに属する。
【0030】
形成される層の判定を簡素化するために、3次多項式を計算し、共振子の生成をより容易にした。
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
− Yは、全ストリップ高さ(h)に対するストリップ曲げ軸(A1)に平行な表面上のコーティング厚(h1+h3)のパーセンテージであり;
− Xは、ストリップの全底辺(b)に対するストリップ曲げ軸(A1)に垂直な表面上のコーティング厚(b1+b3)のパーセンテージであり;
− Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.55565×10−5であり;
− Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.0642×10−3であり;
− Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数で、−0.28721であり;
− Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数で、16.446である。
【0031】
従って、切断する{100}面と同様に、共振子を形成するために、単結晶シリコン・ウェハの切断する{111}面から得られるテンプ輪スプリングとテンプ(慣性フライホイール)間で行われる調整によって、実施形態A、B、C、D及びEのうちの1つが、他のものよりもより有利になると推測される。よって、上述のように、切断する面{100}又は{111}の選択は決定的影響ではない点に留意されたい。
【0032】
上記の説明に照らして、開示される教示は、例えば、音叉又はMEMSタイプの共振子など、他のタイプの熱補償機械共振子にも実施できることは明らかである。
【符号の説明】
【0033】
A1 曲げ軸;
b1、b3 コーティング厚み; b2 単結晶シリコン部分の厚み;
h1、h3 コーティング厚み; h2 単結晶シリコン部分の厚み。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形断面のコアが単結晶シリコンを含むストリップを有する熱補償機械共振子において、
前記コアが、前記共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングを前記コアの表面の少なくとも1つに含み、少なくとも1つの他の表面にはコーティングがない、
ことを特徴とする熱補償機械共振子。
【請求項2】
多角形コアが単結晶シリコンを含むストリップを含む熱補償共振子において、前記コアが前記共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングで被覆されている共振子であって、
前記コアの少なくとも2つの隣接する表面が同じ厚みでは被覆されない、
ことを特徴とする共振子。
【請求項3】
前記ストリップの断面が、その表面が同一の対である四角形である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の共振子。
【請求項4】
前記コーティングが、前記ストリップの曲げ平面に平行な表面に優先的に堆積され、前記共振子の周波数への影響を定量的に改善するようにする、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の共振子。
【請求項5】
前記コーティングが二酸化ケイ素である、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の共振子。
【請求項6】
前記ストリップが、対称的に組み立てられて音叉となる少なくとも2つのバーを形成する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の共振子。
【請求項7】
前記ストリップがMEMSを形成する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の共振子。
【請求項8】
前記ストリップが巻き付けられて少なくとも1つのコイルを形成し、慣性フライホイールに結合される、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の共振子。
【請求項9】
前記コアが{100}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の共振子。
【請求項10】
前記コアが{100}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項8に記載の共振子。
【請求項11】
前記コアが{111}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の共振子。
【請求項12】
前記コアが{111}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項8に記載の共振子。
【請求項13】
前記対の表面のコーティング厚が、
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
Yは、全ストリップ高さ(h)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に平行な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Xは、前記ストリップの全底辺(b)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に垂直な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.5302×10−5であり;
Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.114×10−3であり;
Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数で、−0.29152であり;
Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数で、15.522である、
と言う関係式に従う、
ことを特徴とする、請求項10に記載された共振子。
【請求項14】
前記対の面のコーティング厚が、
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
Yは、全ストリップ高さ(h)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に平行な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Xは、前記ストリップの全底辺(b)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に垂直な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.55565×10−5であり;
Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.0642×10−3であり;
Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数、−0.28721であり;
Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数、16.446である。
と言う関係式に従う、
ことを特徴とする、請求項12に記載された共振子。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の少なくとも1つの機械共振子を含むことを特徴とする時計。
【請求項1】
多角形断面のコアが単結晶シリコンを含むストリップを有する熱補償機械共振子において、
前記コアが、前記共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングを前記コアの表面の少なくとも1つに含み、少なくとも1つの他の表面にはコーティングがない、
ことを特徴とする熱補償機械共振子。
【請求項2】
多角形コアが単結晶シリコンを含むストリップを含む熱補償共振子において、前記コアが前記共振子を温度変化の影響を受けにくくするためのコーティングで被覆されている共振子であって、
前記コアの少なくとも2つの隣接する表面が同じ厚みでは被覆されない、
ことを特徴とする共振子。
【請求項3】
前記ストリップの断面が、その表面が同一の対である四角形である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の共振子。
【請求項4】
前記コーティングが、前記ストリップの曲げ平面に平行な表面に優先的に堆積され、前記共振子の周波数への影響を定量的に改善するようにする、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の共振子。
【請求項5】
前記コーティングが二酸化ケイ素である、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の共振子。
【請求項6】
前記ストリップが、対称的に組み立てられて音叉となる少なくとも2つのバーを形成する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の共振子。
【請求項7】
前記ストリップがMEMSを形成する、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の共振子。
【請求項8】
前記ストリップが巻き付けられて少なくとも1つのコイルを形成し、慣性フライホイールに結合される、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の共振子。
【請求項9】
前記コアが{100}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の共振子。
【請求項10】
前記コアが{100}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項8に記載の共振子。
【請求項11】
前記コアが{111}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の共振子。
【請求項12】
前記コアが{111}面の単結晶シリコン・ウェハから作られる、
ことを特徴とする請求項8に記載の共振子。
【請求項13】
前記対の表面のコーティング厚が、
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
Yは、全ストリップ高さ(h)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に平行な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Xは、前記ストリップの全底辺(b)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に垂直な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.5302×10−5であり;
Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.114×10−3であり;
Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数で、−0.29152であり;
Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数で、15.522である、
と言う関係式に従う、
ことを特徴とする、請求項10に記載された共振子。
【請求項14】
前記対の面のコーティング厚が、
Y = A・X3 + B・X2 + C・X + D
ここで、
Yは、全ストリップ高さ(h)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に平行な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Xは、前記ストリップの全底辺(b)に対する前記ストリップの曲げ軸(A1)に垂直な面上のコーティング厚のパーセンテージであり;
Aは、特性曲線の多項式推定の3次係数で、−3.55565×10−5であり;
Bは、特性曲線の多項式推定の2次係数で、−1.0642×10−3であり;
Cは、;特性曲線の多項式推定の1次係数、−0.28721であり;
Dは、特性曲線の多項式推定の一の位の数、16.446である。
と言う関係式に従う、
ことを特徴とする、請求項12に記載された共振子。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載の少なくとも1つの機械共振子を含むことを特徴とする時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−41282(P2011−41282A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181325(P2010−181325)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(591048416)ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス (63)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(591048416)ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス (63)
【Fターム(参考)】
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