説明

燃料電池車両の補機取付構造

【課題】本発明は、補機を集中させたサブフレームを車体フロア側に固定することで多数の補機を一度に車体フロア側に取り付け、また補機が固定される第3フレームは車体フロアの下側より取り外し自由とし、メンテナンス性を良好とすることを目的としている。
【解決手段】このため、車両の両側で前後方向に延在するメインフレームたる一対のサイドメンバを車体フロアに設け、サイドメンバ前方に燃料電池を配設し、サイドメンバ下面にサブフレームを固定し、サブフレームに補機を支持させた燃料電池車両の補機取付構造において、サブフレームは、サイドメンバ各下面に前後方向に延在する一対の第1フレームと、一対の第1フレームを結合させ第1フレームの間で幅方向に延在する複数の第2フレームと、一対の第2フレームの各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレームとを備え、第3フレームにフレーム取付ブラケットを介して補機を取り付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は燃料電池車両の補機取付構造に係り、特に燃料電池車両用の補機を集中配置したサブフレームを車体フロア側に固定するとともに、補機を車体フロアの下側より取り外し自由とする燃料電池車両の補機取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両においては、使用する燃料によって、ガソリンを使用するガソリンエンジン車両や重油等を使用するディーゼルエンジン車両、圧縮した天然ガス(「CNG」ともいう。)等の気体燃料、いわゆるガス燃料を使用するガスエンジン車両、燃料電池を使用する燃料電池車両等に大別される。
【0003】
そして、例えば燃料電池車両においては、走行用モータを駆動する電気エネルギを車両用燃料電池システムにより発生している。車両用燃料電池システムは、燃料電池セルを多数積層した燃料電池(「燃料電池スタック」ともいう。)を設け、この燃料電池に水素ガスを供給して電気エネルギを発生し、走行用モータを駆動して車両を走行させている。
【0004】
このとき、従来の燃料電池車両の補機取付構造は、車両の両側で前後方向に延在し、かつメインフレームを形成する一対のサイドメンバを車体フロアに設け、該サイドメンバの前方に燃料電池を配設するとともに、該サイドメンバの下面にサブフレームを固定し、該サブフレームに燃料電池車両用の補機を支持させている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−235801号公報
【特許文献2】特開2003−146087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の燃料電池車両の補機取付構造においては、上述の特許文献2に開示されるような燃料電池システムボックスがある。
【0007】
しかし、上述した特許文献2に開示される燃料電池システムボックスにおいては、ボックス内の燃料電池駆動用補機及び配管等に不具合が発生した場合に、ボックス全体を車体から取り外す必要があり、メンテナンス性が悪く、この点が問題となるという不都合がある。
【0008】
また、ボックス自体に強度が必要なため、ボックス形状が複雑となるという不都合もある。
【0009】
更に、上述した特許文献1に開示される自動車用燃料電池の組付装置においては、組付性と放電防止効果は期待できるが、燃料電池駆動用補機の振動を抑えるためには、ゴム弾性体部分の体積が小さく、効果が少ないという不都合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、車両の両側で前後方向に延在し、かつメインフレームを形成する一対のサイドメンバを車体フロアに設け、該サイドメンバの前方に燃料電池を配設するとともに該サイドメンバの下面にサブフレームを固定し、該サブフレームに燃料電池車両用の補機を支持させた燃料電池車両の補機取付構造において、前記サブフレームは、前記サイドメンバの各下面にマウントを介して取り付けられる前後方向に延在する一対の第1フレームと、該一対の第1フレームを結合させるとともに前記第1フレームの間で幅方向に延在する複数の第2フレームと、一対の前記第2フレームの各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレームとを備えるとともに、該第3フレームにフレーム取付ブラケットを介して前記補機を取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上詳細に説明した如くこの本発明によれば、車両の両側で前後方向に延在する一対のサイドメンバを車体フロアに設け、サイドメンバの前方に燃料電池を配設するとともにサイドメンバの下面にサブフレームを固定し、サブフレームに燃料電池車両用の補機を支持させた燃料電池車両の補機取付構造において、サブフレームは、メインフレームの各下面にマウントを介して取り付けられる前後方向に延在する一対の第1フレームと、一対の第1フレームを結合させるとともに前記フレームの間で幅方向に延在する複数の第2フレームと、一対の第2フレームの各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレームとを備えるとともに、第3フレームにフレーム取付ブラケットを介して補機を取り付けたので、燃料電池車両用の補機を集中させたサブフレームを車体フロア側に固定することで多数の補機を一度に車体フロア側に取り付けることができ、また補機が固定されている第3フレームは車体フロアの下側より取り外し自由なため、メンテナンス性も良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上述の如く発明したことにより、燃料電池車両用の補機を集中させたサブフレームを車体フロア側に固定することで多数の補機を一度に車体フロア側に取り付け、また、補機が固定されている第3フレームを車体フロアの下側より取り外し自由とし、メンテナンス性を良好としている。
【実施例1】
【0013】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【0014】
図1〜図8はこの発明の第1実施例を示すものである。図2〜図4において、2は燃料電池車両(以下、単に「車両」という。)、4は車体フロア、6は前輪、8は後輪である。
【0015】
前記車両2の車体フロア4に、図2に示す如く、車両2の両側で前後方向に延在し、かつメインフレームを形成する一対のサイドメンバ10を設ける。このサイドメンバ10は前側タイヤである前記前輪6の後端付近から後席まで側面視で略水平で後方に延出され、後席の前側から後席後端にかけて後側タイヤである前記後輪8の上方に向かって斜め上方に延出した後、後側タイヤである前記後輪8の上端に沿って略水平に後方に延出される。
【0016】
そして、このサイドメンバ10の前方に図示しない燃料電池を配設するとともに、このサイドメンバ10の下面にサブフレーム12を固定し、このサブフレーム12に燃料電池車両用の補機14を支持させるものである。
【0017】
このとき、前記サブフレーム12は、図5〜図7に示す如く、前記サイドメンバ10の各下面にマウント16を介して取り付けられる前後方向に延在する一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と、該一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を結合させるとともに前記左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の間で幅方向に延在する複数の第2フレーム20と、一対の前記第2フレーム20の各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレーム22とを備えるとともに、該第3フレーム22にフレーム取付ブラケット24を介して前記補機14を取り付ける構成とする。
【0018】
詳述すれば、前記第2フレーム20は、一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を結合させる際に、図5に示す如く、左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の間で幅方向に延在し、かつ車両前方から順次平行に配設される5本の第1位置〜第5位置第2フレーム20−1、20−2、20−3、20−4、20−5からなる。
【0019】
また、前記第3フレーム22は、一対の前記第2フレーム20の各下面に固定、例えば図6に示す如く、第2位置第2フレーム20−2と第3位置第2フレーム20−3との間において各下面に固定される車両前後方向に延在する第1群第3フレーム22−1と、第3位置第2フレーム20−3と第4位置第2フレーム20−4との間において各下面に固定される車両前後方向に延在する第2群第3フレーム22−2とからなる。
【0020】
更に、図6に示す如く、前記第1群第3フレーム22−1は、車両左側から順次配設される、例えば5本の第1群・第1位置〜第1群・第5位置第3フレーム22−1a、22−1b、22−1c、22−1d、22−1eとからなるとともに、前記第2群第3フレーム22−2は、車両左側から順次配設される、例えば8本の第2群・第1位置〜第2群・第8位置第3フレーム22−2a、22−2b、22−2c、22−2d、22−2e、22−2f、22−2g、22−2hとからなる。左側第1フレーム18−1と第1群・第1位置第3フレーム22−1aとの間に位置するように第1群第3フレーム22−1の後方に第2群・第1位置〜第2群・第3位置第3フレーム22−2a、22−2b、22−2cが配設され、第1群・第1位置第3フレーム22−1aと第1群・第2位置第3フレーム22−1bとの間に位置するように第1群第3フレーム22−1の後方に第2群・第4位置及び第2群・第5位置第3フレーム22−2d、22−2eが配設され、第1群・第2位置第3フレーム22−1bと第1群・第3位置第3フレーム22−1cとの間に位置するように第1群第3フレーム22−1の後方に第2群・第6位置及び第2群・第7位置第3フレーム22−2f、22−2gが配設され、第1群・第4位置第3フレーム22−1dと第1群・第5位置第3フレーム22−1eとの間に位置するように第1群第3フレーム22−1の後方に第2群・第8位置第3フレーム22−2hが配設される。
【0021】
そして、図3に示す如く、前記車体フロア4の下面にフロア取付ブラケット26を取り付け、該フロア取付ブラケット26を介して燃料供給系部品28又は電力系部品30を前記車体フロア4の下面に支持させる。
【0022】
このとき、前記燃料供給系部品28は、図3に示す如く、車両両側部位に配設される水素配管28−1や車両右側部位に配設される圧力センサ28−2、LTパイプ28−3、水素ヒータ28−4等からなるとともに、前記電力系部品30は、空調ヒータ用リレー30−1やジャンクションボックス30−2、燃料供給系側用バルブ30−3、電力系側用バルブ30−4、高電圧ケーブル30−5、熱電対30−6等からなり、前記燃料供給系部品28及び電力系部品30をフロア取付ブラケット26により前記車体フロア4に支持させている。車体フロア4の中央に上方に突出したフロアトンネルが形成されている。
【0023】
また、図4に示す如く、前記サブフレーム12の中央に前記補機14を集中させて取り付けて左右両側に左側・右側余剰スペース32−1、32−2を設け、該左側・右側余剰スペース32−1、32−2の一方に主として前記燃料系部品28、他方に主として前記電力系部品30が位置するように前記サブフレーム12を車体フロア4に取り付ける。
【0024】
つまり、前記補機14は、熱交換機14−1や第1、第2ウォータポンプ14−2、14−3、ウォータポンプ用インバータ14−4、エアコンコンプレッサ14−5、エアコンコンプレッサ用インバータ14−6、マフラ14−7等からなり、図4に示す如く、前記サブフレーム12の中央に車体前方から車体後方に向かって、熱交換機14−1、第1、第2ウォータポンプ14−2、14−3、ウォータポンプ用インバータ14−4、エアコンコンプレッサ14−5及びマフラ14−7、エアコンコンプレッサ用インバータ14−6等の前記補機14を集中させて取り付ける。前記補機14のうち、矩形状であるもの(熱交換器14−1、第1、第2ウォータポンプ14−2、14−3、ウォータポンプ用インバータ14−4、エアコンコンプレッサ14−5、エアコンコンプレッサ用インバータ14−6、マフラ14−7)については長手方向が車両の前後方向になるようにサブフレーム12中央に縦置きに配置され、配管等についても主に前後方向に延出するように配設されている。
【0025】
そして、前記熱交換機14−1の左側余剰スペース32−1側に第1バルブ14−8を取り付けるとともに、熱交換機14−1の右側余剰スペース32−2側に第1、第2流量計14−9、14−10を取り付け、前記エアコンコンプレッサ14−5及びマフラ14−7の左側余剰スペース32−1側に第2バルブ14−11や第3流量計14−12、差圧計14−13を取り付け、前記エアコンコンプレッサ用インバータ14−6の左側余剰スペース32−1側に第3バルブ14−14を取り付ける。
【0026】
更に、前記第3フレーム22とフレーム取付ブラケット24との間には、防振材34を配設する。つまり、図1及び図7に示す如く、前記補機14、例えば第2ウォータポンプ14−3にフレーム取付ブラケット24を取り付け、このフレーム取付ブラケット24を、防振材34を介して、前記第3フレーム22に固定する。
【0027】
前記サイドメンバ10の下面にサブフレーム12を固定する際に使用される前記マウント16、つまりマウント装置であるブラケット36は、図8(a)及び(b)に示す如く、サイドメンバ10側に位置するアッパブラケット36−1と、サブフレーム12側に位置する防振ブラケット36−2と、この防振ブラケット36−2に取り付けられる防振材36−3と、防振材36−3を抱持して前記サブフレーム12に取り付けられるロアブラケット36−4と、前記アッパブラケット36−1と防振ブラケット36−2とを取り付ける第1ボルト36−5と、前記ロアブラケット36−4を前記サブフレーム12に取り付ける第2ボルト36−6とからなる。
【0028】
なお符号38は、前記サブフレーム12の第2フレーム20の各下面に第3フレーム22を取り付ける取付ボルト、40は、前記防振材34を介して前記第3フレーム22とフレーム取付ブラケット24とを固定する固定ボルトである。
【0029】
次に作用を説明する。
【0030】
前記車両2の車体フロア4の下面には、図3に示す如く、車体フロア4の下面に取り付けられたフロア取付ブラケット26を介して燃料供給系部品28又は電力系部品30を支持させる。
【0031】
また、図5に示す如く、前後方向に延在する一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と、該左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の間で幅方向に延在する複数の第2フレーム20、つまり、5本の第1位置〜第5位置第2フレーム20−1、20−2、20−3、20−4、20−5とによって、前記サブフレーム12の概略的な枠組みを行い、このサブフレーム12の概略的な枠組みに対して、一対の前記第2フレーム20の各下面に車両前後方向に延在する第3フレーム22、つまり、前記第1群第3フレーム22−1及び前記第2群第3フレーム22−2を取り付け、図6に示す如く、前記サブフレーム12の枠組みを完了させる。
【0032】
そして、このサブフレーム12の中央部位には、図4に示す如く、熱交換機14−1や第1、第2ウォータポンプ14−2、14−3、ウォータポンプ用インバータ14−4、エアコンコンプレッサ14−5、エアコンコンプレッサ用インバータ14−6、マフラ14−7等からなる前記補機14を、フレーム取付ブラケット24を介して集中させて取り付け、前記補機14の左右両側に左側・右側余剰スペース32−1、32−2を現出させる。
【0033】
このとき、左側・右側余剰スペース32−1、32−2の一方に主として前記燃料系部品28、他方に主として前記電力系部品30が位置するように前記サブフレーム12を車体フロア4に取り付ける。
【0034】
つまり、図4に示す如く、前記熱交換機14−1の左側余剰スペース32−1側に第1バルブ14−8を取り付けるとともに、熱交換機14−1の右側余剰スペース32−2側に第1、第2流量計14−9、14−10を取り付け、前記エアコンコンプレッサ14−5及びマフラ14−7の左側余剰スペース32−1側に第2バルブ14−11や第3流量計14−12、差圧計14−13を取り付け、前記エアコンコンプレッサ用インバータ14−6の左側余剰スペース32−1側に第3バルブ14−14を取り付ける。
【0035】
更に、前記サイドメンバ10の各下面に一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を取り付ける際には、図2及び図4〜図8に示す如く、前記サイドメンバ10の下面とサブフレーム12の外周部位、つまり一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の上面の所定部位との間に配設されるブラケット36を利用して、サイドメンバ10の各下面に一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を取り付ける。
【0036】
そして、取付後に、保守・点検あるいは交換のために、前記サブフレーム12から前記補機14、例えば第2ウォータポンプ14−3を取り外す際には、図1及び図7に示す如く、前記サブフレーム12の下方から取付ボルト38を外し、前記サブフレーム12の第2フレーム20の第2位置第2フレーム20−2及び第3位置第2フレーム20−3の各下面から、これらの第2位置第2フレーム20−2と第3位置第2フレーム20−3との間に配設される第3フレーム22の第1群・第2位置第3フレーム22−1bと第1群・第3位置第3フレーム22−1cとを取り外す。
【0037】
つまり、前記補機14である第2ウォータポンプ14−3を、第3フレーム22の第1群・第2位置第3フレーム22−1b及び第1群・第3位置第3フレーム22−1cと一緒に前記サブフレーム12の第2フレーム20の第2位置第2フレーム20−2及び第3位置第2フレーム20−3の各下面から取り外すことが可能である。
【0038】
よって、前記サイドメンバ10の下面にサブフレーム12を取り付けた後であっても、サブフレーム12の第3フレームのみの取り外す、あるいは取り付けによって、補機14の取り外し、あるいは再度の取り付けを行うことが可能となる。
【0039】
これにより、燃料電池車両用の補機14を集中させたサブフレーム12を車体フロア4側に固定することで多数の補機14を一度に車体フロア4側に取り付けることができ、また補機14が固定されている第3フレーム22は車体フロア4の下側より取り外し自由なため、メンテナンス性も良好である。
【0040】
また、前記車体フロア4にフロア取付ブラケット26を取り付け、該フロア取付ブラケット26を介して燃料供給系部品28又は電力系部品30を前記車体フロア4に支持させることにより、一度車体フロア4側に固定した後は取り外すことが好ましくない燃料供給系部品28又は電力系部品30はサブフレーム12に取り付けずに、直接フロア取付ブラケット26により車体フロア4に取り付けることによって、これらの燃料供給系部品28又は電力系部品30に影響を与えることなく、補機14が取り付けられるサブフレーム12のみを取り外すことができる。
【0041】
更に、前記サブフレーム12の中央に前記補機14を集中させて取り付けて左右両側に左側・右側余剰スペース32−1、32−2を設け、該左側・右側余剰スペース32−1、32−2の一方に主として前記燃料系部品28、他方に主として前記電力系部品30が位置するように前記サブフレーム12を車体フロア4に取り付けたことにより、比較的高さのある燃料電池車両用の補機14をサブフレーム12の中央に集中させ、車体のトンネル(「フロアトンネル」ともいう。)を利用して車体との干渉をなるべく防止しつつ、車体フロア4の下方向の高さをおさえてコンパクトに配置することができるとともに、左右両側に左側・右側余剰スペース32−1、32−2を形成して、この左側・右側余剰スペース32−1、32−2に燃料供給系部品28又は電力系部品30を位置させることにより、サブフレーム12でこれらの部品を保護することができ、さらに車体フロア4下側の全体のレイアウトをコンパクトに形成できる。
【0042】
更にまた、前記第3フレーム22とフレーム取付ブラケット24との間に防振材34を配設したことにより、サブフレーム12と第3フレーム22とにおいて二段階の防振材34を用いることによって、より幅広い範囲で振動を抑制できる。
【実施例2】
【0043】
図9はこの発明の第2実施例を示すものである。この第2実施例において、上述第1実施例のものと同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
【0044】
この第2実施例の特徴とするところは、前記サブフレーム12に肉抜き部42を形成した点にある。
【0045】
すなわち、前記サブフレーム12は、図9に示す如く、前後方向に延在する一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と、該一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を結合させるとともに前記左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の間で幅方向に延在する複数の第2フレーム20と、一対の前記第2フレーム20の各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレーム22とからなり、例えば、一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と第2フレーム20に複数、つまり各フレームの太さや強度、余白スペースを考慮して複数の前記肉抜き部42を形成するものである。
【0046】
さすれば、前記サブフレーム12に肉抜き部42を形成することによって、サブフレーム12の強度を維持しつつ、サブフレーム12の軽量化を図ることができる。
【実施例3】
【0047】
図10はこの発明の第3実施例を示すものである。
【0048】
この第3実施例の特徴とするところは、前記サブフレーム12の下面に前記補機14を覆うカバー52を取り付けた点にある。
【0049】
すなわち、前記サブフレーム12は、図10に示す如く、前後方向に延在する一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と、該一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を結合させるとともに前記左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の間で幅方向に延在する複数の第2フレーム20と、一対の前記第2フレーム20の各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレーム22とからなるとともに、前記第2フレーム20は、一対の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2を結合させる際に、左側及び右側第1フレーム18−1、18−2の間で幅方向に延在し、かつ車両前方から順次平行に配設される5本の第1位置〜第5位置第2フレーム20−1、20−2、20−3、20−4、20−5からなる。
【0050】
そして、例えば、前記左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と第1位置及び第2位置第2フレーム20−1、20−2とで囲繞される第1空間54が現出されるとともに、前記左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と第4位置及び第5位置第2フレーム20−4、20−5とで囲繞される第2空間56が現出される。
【0051】
このとき、前記第1空間54を閉塞すべく前記サブフレーム12の下面に第1カバー52−1を取り付けるとともに、前記第2空間56を閉塞すべく前記サブフレーム12の下面に第2カバー52−2を取り付けるものである。
【0052】
さすれば、前記サブフレーム12の下面に第1、第2カバー52−1、52−2からなるカバー52を取り付けることにより、カバー52によって補機14を保護することができるとともに、サブフレーム12の剛性の向上を図ることができる。
【0053】
また、前記サブフレーム12にカバー52を取り付けることによって、サブフレーム12の剛性によりカバー52の剛性が確保されるため、比較的軽量なカバー部材を使用することが可能となり、コストを低廉に維持し得るものである。
【実施例4】
【0054】
図11はこの発明の第4実施例を示すものである。
【0055】
この第4実施例の特徴とするところは、前記サブフレーム12の第1フレーム18を断面閉空間形状に形成して内部に冷却水通路62を設け、該冷却水通路62を流れる冷却水により前記補機を冷却した点にある。
【0056】
すなわち、前記サブフレーム12の第1フレーム18は、上述した第1〜第3実施例のものから明らかなように、サブフレーム12の前後方向に延在する一対の左側及び右側第1フレームからなる。
【0057】
そして、前記サブフレーム12の第1フレーム18内に、図11に示す如く、例えば2本の冷却水通路62を設けるものである。
【0058】
さすれば、前記サブフレーム12の第1フレーム18を利用して冷却水通路62を形成することができ、冷却水通路62をコンパクトに形成できる。
【実施例5】
【0059】
図12はこの発明の第5実施例を示すものである。
【0060】
この第5実施例の特徴とするところは、上述第3実施例に記載される前記カバー52に冷却用フィン72を設けた点にある。
【0061】
すなわち、上述第3実施例においては、前記サブフレーム12の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と第2フレーム20の第1位置及び第2位置第2フレーム20−1、20−2とで囲繞される第1空間54が現出されるとともに、前記左側及び右側第1フレーム18−1、18−2と第2フレーム20の第4位置及び第5位置第2フレーム20−4、20−5とで囲繞される第2空間56が現出され、前記第1空間54を閉塞すべく前記サブフレーム12の下面に第1カバー52−1を取り付けるとともに、前記第2空間56を閉塞すべく前記サブフレーム12の下面に第2カバー52−2を取り付けている。
【0062】
そしてこのとき、第1、第2カバー52−1、52−2からなるカバー52には、図12に示す如く、カバー52の下側に突出する複数の冷却用フィン72を設けるものである。
【0063】
さすれば、前記サブフレーム12の左側及び右側第1フレーム18−1、18−2内を通過する冷却水を冷却することができ、補機の冷却性能の向上を図ることができる。
【0064】
なお、この発明は上述第1〜第5実施例に限定されるものではなく、種々の応用改変が可能である。
【0065】
例えば、この発明の第1実施例においては、サブフレームに補機である第2ウォータポンプを取り付ける際に、第2フレームに第3フレームを両端2箇所の取付ボルトを利用して取り付ける構成としたが、取付ボルトの個数を減少させる特別構成とすることも可能である。
【0066】
すなわち、第3フレームの一端あるいは他端側に鈎状係合部を形成し、この鈎状係合部を第2フレームに上方から係合させ、他端あるいは一端側を前記取付ボルトにて取り付けて取付ボルトの個数を減少させるものである。
【0067】
さすれば、取付ボルトの個数を減少させることができ、部品の削減に寄与し得るとともに、取付作業工数をも減少させることができ、使い勝手を向上させ得る。
【0068】
また、この発明の第1実施例においては、第3フレームを直線的な板状部材により形成する構成としたが、第3フレームを直線状以外の形状に形成する特別構成とすることも可能である。
【0069】
すなわち、前記第3フレームを、U字状やV字状、あるいはY字状等に形成し、第3フレームの両端の少なくとも一方の端部の取付箇所を減少させるものである。
【0070】
さすれば、U字状やV字状、あるいはY字状等に形成した第3フレームによって、少なくとも一方の端部の取付箇所を減少させることができ、取付ボルトの個数を減少させて部品の削減に寄与し得るとともに、取付作業工数をも減少させることができ、使い勝手を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明の第1実施例を示すサブフレームから補機を取り外す、あるいはサブフレームに補機を取り付ける際の要部拡大取付斜視図である。
【図2】燃料電池車両の概略左側面図である。
【図3】燃料供給系部品及び電力系部品を配設した車体フロアの概略斜視図である。
【図4】補機を配設したサブフレームの概略斜視図である。
【図5】概略的な枠組みを行ったサブフレームの斜視図である。
【図6】枠組みを行ったサブフレームの斜視図である。
【図7】サブフレームから補機を取り外す、あるいはサブフレームに補機を取り付ける際の取付斜視図である。
【図8】サイドメンバの下面にサブフレームを固定する際に使用されるブラケットを示し、(a)はプラケットの取り付ける状態の概略斜視図、(b)はブラケットにより取り付けた状態の概略斜視図である。
【図9】この発明の第2実施例を示す肉抜き部を形成したサブフレームの斜視図である。
【図10】この発明の第3実施例を示すカバーを取り付けたサブフレームの斜視図である。
【図11】この発明の第4実施例を示す内部に冷却水通路を形成したサブフレームの第1フレームの要部拡大断面図である。
【図12】この発明の第5実施例を示す下面に冷却用フィンを設けたカバーの概略説明図である。
【符号の説明】
【0072】
2 燃料電池車両(以下、単に「車両」という。)
4 車体フロア
10 サイドメンバ
12 サブフレーム
14 補機
14−3 第2ウォータポンプ
16 マウント
18−1 左側第1フレーム
18−2 右側第1フレーム
20 第2フレーム
22 第3フレーム
22−1 第1群第3フレーム
22−2 第2群第3フレーム
24 フレーム取付ブラケット
26 フロア取付ブラケット
28 燃料供給系部品
30 電力系部品
28−1 水素配管
28−2 圧力センサ
28−3 LTパイプ
28−4 水素ヒータ
30−1 空調ヒータ用リレー
30−2 ジャンクションボックス
30−3 燃料供給系側用バルブ
30−4 電力系側用バルブ
30−5 高電圧ケーブル
30−6 熱電対
32−1 左側余剰スペース
32−2 右側余剰スペース
34 防振材
36 ブラケット
38 取付ボルト
40 固定ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の両側で前後方向に延在し、かつメインフレームを形成する一対のサイドメンバを車体フロアに設け、該サイドメンバの前方に燃料電池を配設するとともに該サイドメンバの下面にサブフレームを固定し、該サブフレームに燃料電池車両用の補機を支持させた燃料電池車両の補機取付構造において、前記サブフレームは、前記サイドメンバの各下面にマウントを介して取り付けられる前後方向に延在する一対の第1フレームと、該一対の第1フレームを結合させるとともに前記第1フレームの間で幅方向に延在する複数の第2フレームと、一対の前記第2フレームの各下面に固定される車両前後方向に延在する第3フレームとを備えるとともに、該第3フレームにフレーム取付ブラケットを介して前記補機を取り付けたことを特徴とする燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項2】
前記車体フロアにフロア取付ブラケットを取り付け、該フロア取付ブラケットを介して燃料供給系部品又は電力系部品を前記車体フロアに支持させたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項3】
前記サブフレームの中央に前記補機を集中させて取り付けて左右両側に余剰スペースを設け、該余剰スペースの一方に主として前記燃料供給系部品、他方に主として前記電力系部品が位置するように前記サブフレームを車体フロア側に取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項4】
前記第3フレームと前記フレーム取付ブラケットとの間に防振材を配設したことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項5】
前記サブフレームに肉抜き部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項6】
前記サブフレームの下面に前記補機を覆うカバーを取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項7】
前記サブフレームの第1フレームを断面閉空間形状に形成して内部に冷却水通路を設け、該冷却水通路を流れる冷却水により前記補機を冷却したことを特徴とする請求項6に記載の燃料電池車両の補機取付構造。
【請求項8】
前記カバーに冷却用フィンを設けることを特徴とする請求項6及び請求項7に記載の燃料電池車両の補機取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−160208(P2006−160208A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358789(P2004−358789)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】