説明

物体の表面上の衝撃位置を決定する方法

【課題】衝撃により生成された音響信号の解析に基づき物体の表面上の衝撃位置を決定する方法を提供する。
【解決手段】物体の境界での反射によるスプリアス寄与分を考慮するために音響信号を重み付けする信号処理工程を含み、前記重み付けは時間領域において行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃により生成された音響信号の解析に基づき物体の表面上の衝撃位置を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法は、感知信号s(t)を処理装置へ送信するN個の変換器から成る表面上の衝撃位置を決定する方法を開示する特許文献1から公知である。この方法は、a)N個の異なる変換器の感知信号のフーリエ変換のうちP個の相互相関積を算定する工程と、b)P個の相互相関積の逆フーリエ変換p’ij(u)を計算する工程と、c)物体の表面の各領域k毎に
【数1】

を算定する工程と、d)すべての領域kの固有値P(u)のうちPk0(u)の固有値が最大となる領域kを発見する工程とを含む。ここで、τijkは、各領域kに対し、2つの異なる変換器により感知された信号の到着の時間差に対応する。
【0003】
したがって、その定位方法(localization method)は、衝撃が発生した位置での相互相関関数の和における顕著なピークの存在に基づく。しかしながら、ある状況下では、衝撃位置の決定は、物体の境界領域における音響信号の反射から生じるスプリアス寄与分、あるいはねじ、クラックまたは穴などの物体内の他の何らかの不連続性から生じるスプリアス寄与分によりゆがめられる。
【0004】
所定時間後に信号を遮断することにより、あるいは低域通過フィルタを使用することによりこの問題を克服することが提案されている。それにもかかわらず、提案された解決案により得られる結果は満足できるものではない。反射なしで受信された感知信号と反射された感知信号間の明確な分離が可能でない場合(これは、例えば材料特性による信号分散の場合に発生し得る)、上記遮断は信号の修正をもたらし、このため衝撃の定位精度も制限される。
【特許文献1】国際公開第2006/108443号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、物体の境界での反射からの寄与分などのスプリアス寄与分をよりうまく考慮するように感知信号を処理する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載の方法により達成される。音響信号を重み付けることにより、信号の全情報を維持することができるとともに、物体の境界での反射から発生し得る寄与分(通常は後で到達する)に関しては、衝撃位置から直接に受信される感知信号からの寄与分を増幅することができる。その結果、衝撃位置の決定はより安定し正確になる。この状況では、処理される音響信号は必ずしも変換器により直ちに感知された信号ではなく、例えばアナログディジタル変換により処理されたものであってもよいということを理解されたい。
【0007】
好ましくは、重み付けは、衝撃位置を識別する際に最良の結果が達成される時間領域で実行される。
【0008】
好ましい実施態様によると、信号処理工程は、音響信号の第1の波面を識別する工程と減衰窓を適用する工程とを含むことができる。音響信号は衝撃後物体全体に拡散し、所定数の変換手段(例えば変換器)により感知される。信号の第1の反射寄与分は、音響信号の第1の波面が当該変換器に既に到達した(幾何学的な理由による)後のみに感知することができる。したがって第1の波面の識別は、感知信号の残りより大きな重み係数を有すべき信号であってかつ減衰窓を適用する工程により考慮される信号の一部を識別するための強力なパラメータである。この文脈で、用語「第1の波面」は、反射からのスプリアス寄与分を有しない、変換手段に到達する信号の一部を意味する。
【0009】
好ましくは、第1の波面を識別する工程は最大信号振幅を識別することを含むことができる。最大信号振幅は、容易に検知可能でありしたがって大規模な計算能力を必要としないパラメータであるとともに、音響信号の始まりを発見するための強力な第一番目のパラメータである。最大振幅の代わりに、感知音響信号の別のパラメータは信号の電力、最大ピークトゥピーク振幅、または信号のエネルギーであってよい。信号振幅を識別するに先立って、データ解析を容易にするためにさらに信号の整流と平滑化の工程を実行することができる。
【0010】
好適な実施態様によると、第1の波面を識別する工程は、最大信号振幅に基づく閾値を音響信号が通過する時刻として第1の波面の到着を決定することをさらに含む。例えば、音響信号の第1の波面の到着は、最大振幅のうちの所定の割合が到達する時刻に帰することができる。
【0011】
好ましくは、減衰窓を適用する工程は、音響信号と次式の指数関数減衰窓との掛け算を用いることを含んでよい。
【0012】
【数2】

【0013】
ここで、tは第1の波面の到着時刻に対応し、Δtは遅延時間、Tは指数時定数である。
【0014】
データ解析における最良の結果はこのような指数関数減衰窓に対して実現されると考えられる。ここで、項Δt(Δt>0)は、結果をさらに最適化するために好ましくは減衰窓の始まりをより早い時間にずらす遅延時間である。アプリケーションに依存して、Δtは固定値であってもよいし、あるいは例えば装置の初期設定時に適合化されてもよい。
【0015】
音響信号は少なくとも2つの変換手段により感知することができると有利である。ここで、第1の波面は1個(特には1個のみ)の変換手段に対し識別され、したがって同じ時間源の減衰窓がすべての変換手段に適用される。こうすることにより計算量を小さくしておくことができる。最良の結果は第1の感知信号の第1の波面を使用することにより得られた。この状況では、第1の感知信号は、N個のチャネルの信号振幅上の固定閾値を用いることにより識別される。
【0016】
好ましい実施態様によると、音響信号は少なくとも2つの変換手段により感知することができ、音響信号の重み付けは、少なくとも2つの変換手段により感知された信号の相互相関積を使用することにより行なうことができる。したがって、上述の場合と異なり、重み付けられるのは直接感知された信号ではなく、衝撃の定位のために使用されることが好ましい相互相関である。また、上記方法のように、直接信号からの情報を失うことなく反射の悪影響を抑圧することができる。スプリアス寄与分の影響をさらに低減するために、本発明の変形態様は、上に開示されたように第1の工程において感知信号を重み付けることと、第2の工程において相互相関積を重み付けることからなる。
【0017】
好都合には、第1の波面を識別する工程は相互相関積の最大値を決定することを含むことができる。代替案として、最大2乗振幅、最大ピークトゥピーク振幅、平方自乗平均等に基づいて解析してもよい。これらは、第一近似として、相互相関が決定された2つの変換器間の信号の到着時間差を識別するための強力なパラメータである。
【0018】
好ましくは、減衰窓を適用する工程は、直接信号の寄与分を増強するために、そして内容を完全には失うことなく反射の寄与分を減衰するために、対称的な窓関数、特にはガウス、ハミング、ハニングまたはブラックマン窓を適用することを含むことができる。
【0019】
有利な変形態様によると、本方法は、さらに、音響信号に低域および/または高域通過フィルタリングを適用することを含むことができ、これによりデータのさらなる最適化をもたらし衝撃位置を導出することができる。
【0020】
本発明は、さらに、請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の方法の工程を実行するためのコンピューター実行可能命令を有する一つまたは複数のコンピューター読出し可能な媒体を含むコンピュータープログラム製品に関する。
【0021】
本発明の目的は、本方法に関するのと同じ有利な効果を実現することができる、請求項13に記載の装置により実現される。
【0022】
本発明の好適な実施形態につき、以下の添付の図面と合わせて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明による衝撃位置を決定する方法を使用した接触式装置1の概略3次元図である。接触式装置1は、相互作用手段3と、変換手段5a〜5d(変換手段5dは図1では見えない)と、変換手段5a〜5dに連結された信号処理手段7とを含む。
【0024】
相互作用手段3は、平坦または曲線状の透明、半透明、または不透明なパネルであり、革、ラテックス、シリコン、プラスチック、ガラス、金属、木材、石膏ボード、または複合材料などの任意の適切な材料から成ることができる。相互作用手段3は、音響信号がその中またはその上を伝達することができる限り硬質性であっても軟質性であってもよい。相互作用手段3は、ユーザと装置1との間の相互作用を可能にする表面を提供する。この実施形態では、ユーザは、通常、変換手段と反対の表面側9に衝撃を与えるが、衝撃が発生する側に変換手段5a〜5dを配置してもよいであろう。
【0025】
図1には、4個の変換手段5a〜5dを有する接触式装置1を示す。しかしながら、この数は限定されなく、少なくとも2つの変換手段が接触制御システム1の一部である限り本発明の有利な効果を実現することができる。変換手段5a〜5dは、セラミックまたはPVDFフィルムのような圧電変換器の形態の歪みゲージなどの変換器を含む。しかしながら、衝撃により生成された音響信号を電気信号に変換することができる限り一般的には受動的または電源供給型の任意の種類の圧力または力センサーが好適であるので、変換手段5a〜5dは歪みゲージ用途に限定されない。
【0026】
変換手段5a〜5dは、衝撃位置11を決定できるように、感知信号を解析するように構成された信号処理手段7に感知信号を送信する。さらに、処理手段7は、追加の装置に対し衝撃位置11を出力するように、あるいは衝撃が発生した物体上の位置に関連付けられた処理を開始するように構成することができる。
【0027】
信号処理手段7は、変換手段5a〜5dから来る感知信号を、例えばフィルタリングすることにより、増幅することにより、および/またはディジタル信号に変換することにより適合させる信号処理装置を含む。次に、この信号は、相互作用板3上の当該衝撃位置(例えば、x、y座標)を決定するために相互作用板3上の衝撃から生じるディジタル信号を処理する衝撃位置決定装置(impact location unit)によりさらに処理される。
【0028】
衝撃位置を決定する一方法について以下に説明する。
【0029】
まず、衝撃の直後に、4個の音響変換器5a〜5dは感知信号s(t)(iは1〜4)を与え、次に、感知信号s(t)は信号処理手段7(信号処理装置)により離散的感知信号s(n)に変えられる。その後、各形成手段5a〜5d毎にS(w)を得るためにフーリエ変換を行なう。信号処理装置は最終的には分散効果を考慮することもできる。次に、すべての可能な組み合わせに対し相互相関計算Pij(w)=Si(w)Sj(w)*を行う。相互相関は逆フーリエ変換を使用することにより時間領域に再度変換される。次の工程では、様々な相互相関積はp(u)=Σijij(u-τijk)により加算される。ここで、τijkは、相互作用板3の表面上の所定位置kに対する到着値の時間差に対応する。到着値τijkの時間差は、変換手段5a〜5dのうち変換手段iとjの位置に対する、位置kでの衝撃により発生された音響信号の伝達時間の差異に対応する。上記値は理論的に決定されるか、あるいは装置1の初期設定または較正時に決定される。
【0030】
次に、衝撃11の位置を識別するためにp(u)のエネルギー最大値を求める。エネルギーの代わりに、相互相関和の他のパラメータ、例えば最大値、電力または最大2乗振幅、最大ピークツーピーク振幅、自乗平均平方根等も用いることができる。この方法についてのさらなる詳細は上述の従来技術文書に見出すことができる。
【0031】
図2に上記方法の理論的な一結果を示す。左側に、所与数の変換器に対する相互相関積が示され、中央では、相互相関は衝撃位置11に対応する位置kに対する到着値τijkの時間差により補正され、そして右側には、予期された顕著なピークを有する位置kに対する相互相関積の和を示す。
【0032】
図3には、kがkに一致しない場合の固有値p(u)を示す。この場合、固有値p(u)はpk0(u)よりはるかに小さい。
【0033】
しかしながら、実際は、この状況は、相互作用板3の境界での反射の存在などの感知信号へのスプリアス寄与分の存在により悪化する。図4の上部には、自由音場伝搬の理論的な場合における感知信号の一例を示す。反射が無ければ、信号の継続時間は時間で制限される。不完全な境界条件による反射の存在下では、信号は時間と共に拡散する(図4の下部)。図4の下部に例示されるように、境界上で反射することなく変換手段に直接到達する第1の波面と、反射から生じる第1の寄与分とを区別することはもはやできない。実際、相互作用板上の衝撃の結果としての音響信号は既に一定の継続時間を有し得るので、直接感知信号の端は反射信号の始まりと干渉し得る。また、分散効果は信号を不鮮明にしてしまう。
【0034】
スプリアス寄与分を含む感知信号に対し上記衝撃位置を決定する方法を行なうことにより、図5に示す結果が得られる。この3次元プロットは、相互作用板3上の位置kの座標x、yの関数としてのp(u)を示す。歪められた信号のために、衝撃位置11に対応する相互相関積51の和は、図2に例示されたものと比較し余り目立たない最大値を有する。その上、実際の衝撃位置kに対応しない他のいくつかの位置53、55、57、59の相互相関積は、スプリアス寄与分により誤って強調されている。したがって衝撃位置11を正しく識別することはより困難になる。最悪の場合、誤った衝撃位置が信号処理手段7により識別されることもあり得る。
【0035】
この問題を克服するために、本発明による方法は、最初の寄与分が終わりの信号より高い衝撃を有するように感知音響信号の重み付けを実行することを提案する(ただし、信号のテールを完全には除去しない)。データ処理は、定位手順の実行に先立ってアナログ領域で(したがって信号処理装置内で)あるいはディジタル領域で、信号処理手段7において行なわれる。
【0036】
本発明の信号処理工程は、音響信号の第1の波面を識別する第1の工程と減衰窓を適用する第2の工程を含む。第1の波面の識別は、変換手段5a〜5dのそれぞれにおける信号の到着時間の推定に基づく。
【0037】
本実施形態における到着推定の時間は、まず全波整流を行ない、続いて全波整流された信号に対し平滑化手順例えば1次オーダの低域通過フィルタリングを適用することにより実現される。一旦信号のエンベロープが推定されると、各変換手段5a〜5dごとに最大振幅amaxが決定される。
【0038】
最大値は必ずしも第1の波面の到着時刻に一致しないが、最大値は、到着時刻を推定することができる強力なパラメータに相当することがわかった。この目的のため、信号がこの最大レベルの所与の割合にいつ最初に到達するかが決定される。このとき、この時点は、変換手段における音響信号の到着時刻を表すと考えられる。したがって、到着時刻は、信号がa×amax(0<a<1)に到達する時刻n(離散信号領域(n)における)に相当する。最良の結果は、0.15〜0.20の範囲(好ましくは0.15)のaに対し達成された。上述の状況を図6に示す。同図には、全波整流され平滑化された信号を示し、a×Amaxに対応する時刻nにおける最大振幅Amaxおよび到着時刻もまた示される。
【0039】
次に、減衰窓を適用する第2の工程は、感知信号に、好適な減衰窓(好ましくは図7では点線で例示されるような指数関数窓)を掛け算することを含む。指数関数窓は、到着時刻に対応する時間インデックスnで開始されてもよいであろうが、最良の結果は、到着時刻より早く減衰窓が開始されるときに実現された。こうして指数関数窓の場合、減衰窓は次式のように定義することができる。
【0040】
【数3】

【0041】
ここで、Δtは正の値に相当し、Tは指数時定数である。離散時間型指標に関し上式はw(n)=exp((n-Δn-n)/N)となる。ここで、離散指数時定数N=T/Ts、Tsはサンプリング周期、Tは指数時定数である。
【0042】
図7からわかるように、減衰窓を適用することにより、一定継続時間後に信号を遮断するだけでなく信号の全継続期間にわたって情報を維持する。
【0043】
この実施形態の変形によると、到着決定の時刻を変換手段のうち一つのみ(特には信号が最初に観察されたもの)に制限することができる。こうすることにより計算量を制限することができ、そして減衰窓はすべての感知信号に対し同時刻tまたはt−Δtで開始することができる。
【0044】
さらなる変形形態によると、重み付け式はまた次式であってもよい。
【0045】
【数4】

【0046】
この場合、感知信号の始まりは削除されない。
【0047】
この指数関数減衰窓は本発明の単なる一例であり、他の種類の減衰窓も使用することができる。実際は、任意の種類の減衰窓も使用することができ、減衰窓は非対称的、例えば線形、あるいは対称的、例えばガウス形、ブラックマン、ハニング、またはハミングである。対称的な窓の場合、窓はt−Δtを中心としてよいであろう。これにより、感知信号上の第1の波面を不注意に削除することが回避されるであろう。
【0048】
本発明の第2の実施形態によると、音響信号を重み付ける方法は、上述のように変換手段5a〜5dにより感知された信号の相互相関積に対して行なわれる。本発明の方法の第2の実施形態では、したがって相互相関積の最大値を識別し、そして減衰窓、好ましくはガウス、ハミング、ハニング、またはブラックマン窓のような対称的な窓は、直接信号に起因する相互相関の寄与分を増強するために、かつ反射から生じる信号の寄与分を減衰するために使用される。
【0049】
図8には、この第2の実施形態の概念を示す。図8には、2つの感知信号(実線)から計算された相互相関積を示す。点線の減衰窓は相互相関積の最大値を中心とする。ちなみに、相互相関の最大値は、2つの異なる変換手段の信号の伝達時間の差の良好な第一近似を与える。ここで、ガウス窓は次式により定義される。
【0050】
【数5】

【0051】
ここで、σ=1e−2、44kHzサンプリング周波数ではN=2048。
【0052】
図9には、衝撃位置を識別するために使用される相互相関積の重み付けの効果を示す。スプリアス寄与分をさらに抑圧するために本発明の第1と第2の実施形態を組み合わせてもよい。
【0053】
第1の実施形態および第2の実施形態は、組み合わせることでもさらにスプリアス寄与分を抑圧することができる。
【0054】
第1と第2の実施形態は、信号に対するスプリアス寄与分(例えば、電源等から発生する)を除去する高域および/または低域通過フィルタを適用することによりさらに改良され得る。
【0055】
本発明による第1と第2の実施形態により、衝撃位置を決定するのに必要な情報を失うことなく、相互作用手段の境界での反射から生じるようなスプリアス寄与分の悪影響を大幅に抑圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による衝撃位置を決定する方法を使用した接触式装置の概略3次元図である。
【図2】衝撃位置を決定するために使用される相互相関積を示す。
【図3】kがkとは異なる場合、固有値P(u)は小さいということを示す。ここでkは衝撃が発生した領域である。
【図4】変換手段により感知された音響信号に対する反射の影響を示す。
【図5】衝撃位置の決定精度への反射の悪影響を示す。
【図6】音響信号の第1の波面を識別するように処理された感知信号を示す。
【図7】感知音響信号を重み付けるために使用される減衰窓を示す。
【図8】相互相関積を重み付けるために使用される減衰窓を示す。
【図9】重み付けの結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃により生成される音響信号の解析に基づき物体の表面上の衝撃位置を決定する方法であって、
前記音響信号を重み付けし、これにより特には前記物体の境界での反射によるスプリアス寄与分を考慮する信号処理工程をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記重み付けは時間領域において行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号処理工程は前記音響信号の第1の波面を識別する工程と減衰窓を適用する工程とを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の波面を識別する工程は最大信号振幅を識別することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記識別する工程は、前記音響信号が前記最大信号振幅に基づく閾値を通過する時刻として前記第1の波面の到着を決定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記減衰窓を適用する工程は、前記音響信号と次式の指数関数減衰窓との掛け算を用いることを含み、
【数1】

ここで、tは前記第1の波面の到着時刻に対応し、Δtは遅延時間、Tは指数時定数である、請求項3から請求項5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記音響信号は少なくとも2つの変換手段により感知され、前記第1の波面は1個の(特には1個のみの)変換手段に対して識別され、したがって同じ時間源の前記減衰窓はすべての変換手段に対して適用される、請求項3から請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記音響信号は少なくとも2つの変換手段により感知され、前記音響信号の前記重み付けは前記少なくとも2つの変換手段により感知された前記信号の相互相関積を使用することにより行なわれる、請求項1から請求項7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第一の波面を識別する工程は前記相互相関積の最大値を決定することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
減衰窓を適用する前記工程は、対称的な窓関数、特にはガウス、ハミング、ハニングまたはブラックマン窓を適用することを含む、請求項8または請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記音響信号に対し低域および/または高域通過フィルタリングを適用することをさらに含む、請求項1から請求項10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の方法の工程を実行するためのコンピューター実行可能命令を有する一つまたは複数のコンピューター読出し可能な媒体を含むコンピュータープログラム。
【請求項13】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の方法を実行するように配置され構成された、物体の表面上の衝撃位置を決定する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−271045(P2009−271045A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−154570(P2008−154570)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508177482)
【Fターム(参考)】