物体位置検知装置
【課題】 簡易に物体の位置を特定し、耐久性のある物体位置検知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 検知部201〜210は、検知距離の短い順に、センサA、B、Cを有する。制御ユニット100は、検知部と各検知部のセンサとの組合せと位置情報とを対応づけて管理している。制御ユニット100は対象物体を検知した検知部とかかる検知部のいずれのセンサが対象物体を検知したかに基づき対象物体531の位置情報を特定する。各検知部の複数のセンサが対象物体を検知した場合、検知距離の短いセンサに対応する位置を対象物体の位置と特定する。上位制御装置300は、特定された座標に応じて、ディスプレイに種種の情報を表示する。
【解決手段】 検知部201〜210は、検知距離の短い順に、センサA、B、Cを有する。制御ユニット100は、検知部と各検知部のセンサとの組合せと位置情報とを対応づけて管理している。制御ユニット100は対象物体を検知した検知部とかかる検知部のいずれのセンサが対象物体を検知したかに基づき対象物体531の位置情報を特定する。各検知部の複数のセンサが対象物体を検知した場合、検知距離の短いセンサに対応する位置を対象物体の位置と特定する。上位制御装置300は、特定された座標に応じて、ディスプレイに種種の情報を表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検知するセンサを用いた物体位置検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式2次元センサを複数用いて、各センサの設置位置、検知角度および距離情報から物体の位置を特定する技術がある。回転式2次元センサとは、モータによりセンサを回動させて、検知領域内に存在する物体を検知している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−4107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転式2次元センサで物体を検知する場合、複雑な角度情報の演算や補正処理が必要であり、処理時間がかかるという問題があった。また、回転式2次元センサの検知領域内に存在する物体の移動速度が速い場合、位置を正確に特定できないという問題もあった。また、回転式2次元センサは、可動部分を有するため耐久性が低いという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、簡易に物体の位置を特定し、耐久性のある物体位置検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の物体位置検知装置において、検知距離の異なる複数のセンサを有し、対象物体を検知する複数の検知部と、各複数の検知部と各複数のセンサとの組合せによって一意に特定される位置情報を格納する位置情報格納部と、対象物体を検知しているセンサである検知センサを備える検知部を特定して、特定された検知部と検知センサとの組合せを特定する組合せ特定部と、特定された組合せおよび位置情報に基づき、対象物体の位置を特定する位置特定部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明の物体位置検知装置によれば、対象物体を検知したセンサとかかるセンサを備える検知部との組合せを特定することにより、複雑な計算を必要とせず簡易に対象物体の位置情報を特定することができる。
【0008】
本発明の物体位置検知装置において、組合せ特定部は、特定された検知部に備えられている複数のセンサが検知センサに該当する場合には、検知距離の短いセンサを検知センサとして特定してもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、対象物体の位置情報の特定の精度を向上することができる。
【0009】
本発明の物体位置検知装置において、更に、各センサに対して、検知信号の出力を指示する指示部を備え、検知部の前記各センサは指示に応じて検知信号を出力してもよい。
【0010】
本発明の物体位置検知装置によれば、センサごとに検知信号を出力させることができるため、各センサの検知信号の誤検知を抑制し、検知精度を向上させることができる。
【0011】
本発明の物体位置検知装置において、指示部は、各検知部の設置間隔に指示を行ってもよい。また、指示部は各検知部における各センサに対して、順次、指示を行ってもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、近接する検知部間、センサ間での誤検知を抑制し検知精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の物体位置検知装置において、検知部は複数の検知部が水平方向に所定の間隔をあけて設置されてもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、検知領域を幅方向に広げることができる。
【0013】
本発明の物体位置検知装置において、検知部は複数の検知部が垂直方向に所定の間隔をあけて設置されてもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、物体の高さを特定することができる。
【0014】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。また、本発明は、上述した物体位置検知装置としての構成の他に、物体位置検知装置による物体位置検知方法、物体位置検知装置に物体の位置を検知させるためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体等としても構成できる。いずれの構成においても、上述した各態様を適宜適用可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクや、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ハードディスク等種々の媒体を利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき、次の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1は、第1実施例における物体位置検知システム1000のシステム構成を例示する説明図である。物体位置検知システム1000は、ディスプレイDPと、制御ユニット100と、検知部201〜210と、上位制御装置300とを有する。検知部201〜210は制御ユニット100と接続されており、制御ユニット100は上位制御装置300と接続されている。上位制御装置300は、ディスプレイDPと接続されている。
【0016】
検知部201〜210は、検知距離の短い順に、センサA、B、Cを有する。本実施例では、センサAの検知距離は50cm、センサBの検知距離は1m、センサCの検知距離は1m50cmである。
【0017】
制御ユニット100は、検知部により検知可能な領域を座標によって管理しており、検知部201〜210による検知結果に基づき対象物体531、対象物体532の座標を特定する。上位制御装置300は、特定された座標に応じてディスプレイに種々の情報を表示する。
【0018】
A2.機能ブロック:
図2は、本実施例における制御ユニット100の機能ブロックを例示する説明図である。制御ユニット100は、CPU101、入出力部102、メモリ103、RAM108、入力ポート群110、出力ポート群120を有する。入力ポート群110は、検知部201〜210に備えられている各センサに対応する入力ポートを有する。出力ポート群120は、3つの出力ポートを有する。各機能ブロックは、CPU101により制御され実行される。
【0019】
検知部201のセンサAは入力ポート1aと、検知部201のセンサBは入力ポート1bと、検知部201のセンサCは入力ポート1cと接続されている。他のセンサも同様にそれぞれに対応する入力ポートに接続されている。
【0020】
出力ポート群120は、出力ポート120A、出力ポート120B、および、出力ポート120Cを有する。出力ポート120Aは各検知部のセンサAと接続されている。出力ポート120Bは各検知部のセンサBと接続されている。出力ポート120Cは各検知部のセンサCと接続されている。
【0021】
メモリ103は、座標特定モジュール105と、検知情報記録モジュール106と、センサ指示モジュール107とを備える。
【0022】
センサ指示モジュール107は、出力ポート120A〜120Cを介して、各センサに対して所定のタイミングで赤外線を出力させる指示を行う。センサ指示モジュール107が出力ポート120Aを介して赤外線出力指示を行うと、出力ポート120Aに接続されている各検知部のセンサAが赤外線を出力し検知を行う。同様に、センサ指示モジュール107が出力ポート120Bを介して赤外線出力指示を行うと、出力ポート120Bに接続されている各検知部のセンサBが赤外線を出力し検知を行い、出力ポート120Cを介して赤外線出力指示を行うと、出力ポート120Cに接続されている各検知部のセンサCが赤外線を出力し検知を行う。すなわち、センサ指示モジュール107は、各検知部に備えられている3つのセンサを、ある時間には1のセンサのみが動作するように時分割制御する。
【0023】
センサ指示モジュール107が赤外線出力指示を行うタイミングについて、図3を用いて説明する。図3は、本実施例における赤外線出力指示のタイミングを例示するタイミングチャートである。タイミングチャート400の横軸は時間tを示す。パルス信号401は出力ポート120Aの動作状況を示しており、パルス信号402は出力ポート120Bの動作状況を示しており、パルス信号403は出力ポート120Cの動作状況を示している。
【0024】
時刻t0から時刻t1の間は、パルス信号401のみがONであり、パルス信号402およびパルス信号403はOFFである。すなわち、各検知部のセンサAから赤外線が出力され、センサBおよびセンサCは赤外線を出力していないことを示している。
【0025】
時刻t1から時刻t2の間は、パルス信号402のみがONであり、パルス信号401およびパルス信号403はOFFである。すなわち、出力ポート120Bを介して赤外線出力指示がなされており、各検知部のセンサBから赤外線が出力されていることを示している。
【0026】
検知情報記録モジュール106は、各入力ポートを介して各センサの検知結果を取得しRAM108に記録する。RAM108には、直前に取得した検知結果と今回取得した検知結果とが記録されている。
【0027】
RAM108の構成について、図4を用いて説明する。図4は、本実施例におけるRAM108の記録内容を例示する説明図である。RAM108は、検知結果格納領域150と、直前検知結果格納領域170とを備える。検知結果格納領域150には、今回取得した検知結果が格納される。検知結果格納領域150は、格納領域151〜160を備える。例えば、格納領域151には検知部201の検知結果が格納される。格納領域151は図示するように格納領域151a、151b、151cを有し、検知部201のセンサAの検知結果が格納領域151aに、検知部201のセンサBの検知結果が格納領域151bに、検知部201のセンサCの検知結果が格納領域151cに格納される。同様に、格納領域152〜160には、検知部202〜210の検知結果が格納される。
【0028】
直前検知結果格納領域170には、前回取得した検知結果が格納される。直前検知結果格納領域170は格納領域171〜180を備える。格納領域171には検知部201の直前の検知結果が格納される。格納領域171は格納領域151と同様の構成であり、格納領域171a、171b、171cを有する。検知部201のセンサAの直前の検知結果が格納領域171aに、検知部201のセンサBの直前の検知結果が格納領域171bに、検知部201のセンサCの直前の検知結果が格納領域171cに格納されている。同様に、格納領域172〜180には、検知部202〜210の直前の検知結果が格納されている。
【0029】
本実施例では、センサが、センサから出力され対象物体に当たって反射した赤外線を検知した際には、検知情報記録モジュール106はセンサに対応する格納領域に「1」を記録する。センサから出力された赤外線の反射が検知されない際には、検知情報記録モジュール106はセンサに対応する格納領域に「0」を記録する。例えば、格納領域152aには「0」が格納されているため、検知部202のセンサAは出力した赤外線の反射を検知しなかったことを表す。格納領域154bには「1」が格納されているため、検知部204のセンサBは出力した赤外線の反射を検知したことを表す。
【0030】
座標特定モジュール105は、RAM108を参照して直前に取得した検知結果と、今回取得した検知結果とを比較し、比較結果に基づいて対象物体の位置を表す座標を特定する。また、座標特定モジュール105は、入出力部102を介して、特定した座標を上位制御装置300に送信する。
【0031】
図5を用いて、検知領域と座標との対応付けについて説明する。図5は、検知領域と座標との対応付けを例示する説明図である。検知領域520は、検知部201〜210によって検知可能な領域である。検知領域520はO点を基準として、幅方向を表すX軸と検知部からの距離を表すY軸とによって表される。検知領域520は、X軸方向に検知部の個数に分割されており、Y軸方向に各検知部に備えられているセンサの個数に分割されている。すなわち、検知領域520は、図示するように、領域10A,10B,10C,20A,20B,20C...100A,100B,100Cに分割されており、各領域には座標が対応づけられている。例えば、対象物体531が存在する領域40Aの座標は(X4,Y1)であり、領域60Bの座標は(X6,Y2)であり、領域80Cの座標は(X8,Y3)である。
【0032】
本実施例において、検知部201はX軸方向に基準点Oからx1まで検知可能であり、検知部202はx1からx2まで検知可能であり、検知部203はx2からx3まで検知可能であり、検知部204はx3からx4まで検知可能であり、検知部205はx4からx5まで検知可能であり、検知部206はx5からx6まで検知可能であり、検知部207はx6からx7まで検知可能であり、検知部208はx7からx8まで検知可能であり、検知部209はx8からx9まで検知可能であり、検知部210はx9からx10まで検知可能である。各検知部の検出距離の最も短いセンサAが検出可能な距離はY軸上の「y1」までであり、検出距離が次に短いセンサBが検出可能な距離はY軸上の「y2」までであり、検出距離が最も長いセンサCが検出可能な距離はY軸上の「y3」までである。
【0033】
上位制御装置300について、図6を用いて説明する。図6は、本実施例における上位制御装置300の機能ブロックを例示する説明図である。上位制御装置300は、CPU301、RAM302、入出力部303、メモリ304を備えるコンピュータである。メモリ304は、表示内容決定モジュール305と、表示制御モジュール306とを備える。各モジュールはCPU301により制御され実行される。入出力部303は、ディスプレイDPおよび制御ユニット100との情報の授受を行うハードウェアインターフェースである。
【0034】
表示内容決定モジュール305は、入出力部303を介して制御ユニット100から対象物体の座標を取得し、取得した座標に応じてディスプレイDPに出力する出力情報すなわちディスプレイDPの表示内容を決定する。
【0035】
表示制御モジュール306は、表示内容決定モジュール305によって決定された出力情報をディスプレイDPに表示させる。
【0036】
A3.物体位置特定処理:
図7は、本実施例における物体位置特定処理を説明するフローチャートである。制御ユニット100のCPU101が各機能ブロックを制御して行う処理である。
【0037】
CPU101は、出力ポート120Aを介して各検知部のセンサAに対して検知指示を行い(ステップS10)、検知結果をRAM108に記録する(ステップS11)。CPU101は、出力ポート120Bを介して各検知部のセンサBに対して検知指示を行い(ステップS12)、検知結果をRAM108に記録する(ステップS13)。CPU101は、出力ポート120Cを介して各検知部のセンサCに対して検知指示を行い(ステップS14)、検知結果をRAM108に記録する(ステップS15)。検知結果は、図4において説明したように、検知結果格納領域150の各センサに対応する格納領域に記録される。
【0038】
CPU101は、取得した検知結果と前回取得した検知結果とを比較し(ステップS16)、今回取得した検知結果に前回取得した検知結果から変化があるか否かを判断する(ステップS17)。CPU101は、検知結果格納領域150と直前検知結果格納領域170とにおいて、対応する格納領域、例えば、格納領域154bと格納領域174bを比較し、格納領域に記録されている値が異なる場合に変化があると判断する。
【0039】
変化がない場合(ステップS17:NO)、ステップS10に戻り、所定の時間間隔で各センサへの検知指示を行う。
【0040】
変化がある場合(ステップS17:YES)、今回取得した検知結果から対象物体の位置を表す座標を特定する処理を行う(ステップS18)。
【0041】
座標を特定する処理について、図8〜図10を用いて詳細に説明する。図8は、本実施例における座標特定処理を説明するフローチャートである。本処理は、座標特定モジュール105が実行する処理である。
【0042】
座標特定モジュール105は、今回取得した検知結果を参照し(ステップS30)、対象物体を検知したセンサが備えられている検知部を特定する(ステップS31)。座標特定モジュール105は、特定された検知部に備えられているセンサのうち、複数のセンサが対象物を検知しているか否かを判断する(ステップS32)。複数のセンサが対象物体を検知している場合(ステップS32:YES)、対象物体を検知したセンサのうち、検知距離の最も短いセンサが対象物体を検知したセンサであると判断する(ステップS33)。
【0043】
物体検知処理について、検知部204を例に図9を用いて説明する。図9は、本実施例における物体検出処理を例示する模式図である。赤外線204aは、検知部204のセンサAから出力される赤外線である。赤外線204bは検知部204のセンサBから出力される赤外線である。赤外線204cは検知部204のセンサCから出力される赤外線である。赤外線204aはディスプレイDPから50cmの距離まで検知可能であり、赤外線204bはディスプレイDPから1mの距離まで検出可能であり、赤外線204cはディスプレイDPから1m50cmの距離まで検出可能である。検知部204では、赤外線204bおよび赤外線204cが対象物体531に当たって反射するため、センサBおよびセンサCが赤外線の反射を検知する。このように複数のセンサが赤外線の反射を検知場合、座標特定モジュール105は、検知距離の短いセンサを、物体を検知したセンサとして特定する。
【0044】
複数のセンサが対象物を検知していない場合(ステップS32:NO)、すなわち、1のセンサのみが対象物を検知している場合は、センサCを、対象物体を検知したセンサと判断する(ステップS34)。
【0045】
座標特定モジュール105は、座標テーブル410を参照し(ステップS35)、検知部と対象物体を検知したと判断されたセンサとの組合せから対象物体の座標を特定する(ステップS36)。
【0046】
検知部、各検知部に備えられているセンサ、および、座標との対応付けについて、図10を用いて説明する。図10は、本実施例における本実施例におけるセンサと検知領域の座標との対応付けを例示する座標テーブル410である。座標テーブル410は、検知部とセンサと座標の3項目からなり、センサと座標とが対応づけられている。図示するように、例えば、検知部201のセンサAに対応する座標は(X1,Y1)である。検知部202のセンサBに対応する領域の座標は(X2,Y2)であり、検知部210のセンサCに対応する領域の座標は(X10,Y3)である。
【0047】
CPU101は、特定した座標を上位制御装置300に送信し(ステップS19)、RAM108の検知結果格納領域150を更新する(ステップS20)。検知結果格納領域150の更新は、検知結果格納領域150に記録されている今回取得した検知結果を、直前検知結果格納領域170の対応する各格納領域へ書き込むことにより行う。例えば、格納領域151aに記録されている検知結果を格納領域171aに書き込む。
【0048】
上位制御装置300は、物体の座標を受信し、位置に応じた種種の情報、例えば、静止画像、動画像をディスプレイDPに表示する。
【0049】
以上説明した第1実施例の物体位置検知システム1000によれば、検出距離の異なる複数のセンサを備える検知部によって対象物体の検出を行い、物体を検知したセンサと、かかるセンサを備える検知部との組合せから、物体の座標を簡易に得ることができる。従って、複雑な計算を必要とせずに、物体の位置を簡易にかつ迅速に特定することができる。
【0050】
また、本実施例の物体位置検知システム1000によれば、各センサの赤外線出力のタイミングを制御でき、近接する複数のセンサ間の誤検知を抑制することができる。
【0051】
また、物体位置検知システム1000によれば、各センサは可動部を有さないため、耐久性の向上を図ることができる。
【0052】
B.第2実施例:
上述した第1実施例では、複数の検知部を水平方向に並べて設置した。第2実施例では、複数の検知部を垂直方向に並べて設置し物体の高さを判断する。
【0053】
B1.システム構成:
図11(a)は、第2実施例における物体位置検知システム2000のシステム構成を例示する説明図である。物体位置検知システム2000は、ディスプレイDPと、制御ユニット600と、検知部601〜604と、上位制御装置700とを備える。各機器は第1実施例における各機器と同様の構成である。ただし、図示するように、検知部601、602はディスプレイDPの外枠に垂直方向に所定の間隔を開けて並んで設定されている。また、検知部603、604も同様に、ディスプレイDPの外枠の、検知部601、602とは逆側に、垂直方向に所定の間隔を開けて並んで設置されている。検知部601と検知部603および検知部602と検知部604は同じ高さの位置に設置されている。物体位置検知システム2000における対象物体の検出動作について、図11(b)を用いて模式的に説明する。図11(b)は、本実施例における物体検出動作を例示する模式図である。
【0054】
検知部601と検知部602とを例にあげて説明する。検知部601は、ディスプレイDPが設置されている床からの高さThよりも高い位置に設置されており、検知部602は、ディスプレイDPが配置されている床からの高さThよりも低い位置に設置されている。高さThは任意に設定した閾値である。以降、高さThを閾値Thと呼ぶ。
【0055】
検知部601は、第1実施例の検知部と同様に3つの反射型赤外線センサを備える。各センサは検出距離の短い順にセンサA,センサB、センサCである。赤外線601aは、センサAから出力される赤外線であり、ディスプレイDPからd1の距離まで検出可能である。赤外線601bは、センサBから出力される赤外線であり、ディスプレイDPからd2の距離まで検出可能である。赤外線601cは、センサCから出力される赤外線であり、d3の距離まで検出可能である。検知部602も601と同様に、検出距離の異なる3つの反射型赤外線センサA,センサB、センサCを備える。
【0056】
図示するように、検知部601では、赤外線601cのみが人物610に当たりセンサCが赤外線の反射を検知する。一方、検知部602では、赤外線602bと赤外線602cとが人物611に当たりセンサBとセンサCとが赤外線の反射を検知する。従って、制御ユニット600は、検知部601のセンサBは赤外線を検知しておらず、検知部602のセンサBが赤外線の反射を検知していることから、ディスプレイDPの前には、d1とd2の間に閾値Thよりも低い物体(人物611)が存在すると判断する。また、制御ユニット600は、検知部601ではセンサCのみが赤外線の反射を検知していることから、ディスプレイDPの前には、d2とd3の間に閾値Thよりも高い物体(人物610)が存在すると判断する。
【0057】
上述した第2実施例の物体位置検知システム2000によれば、ディスプレイDPの前の物体の高さ、すなわち、センサの検知対象である人物の身長が閾値Thよりも高いもしくは低いと判断できる。例えば、閾値Thを小学6年生の平均身長程度の高さとすれば、本実施例のようにディスプレイの前に人物が二人立っていた場合、人物611は小学生以下の子供であり人物610は小学生以上であると判断することができる。従って、人物の存在する位置や距離だけでなく、大人や子供といった詳細な情報に応じてディスプレイDPの表示を変更することができ、利便性を向上させることができる。
【0058】
C.変形例:
(1)
上述した第1実施例では、各検知部の中に設置されている検知距離の異なるセンサの数を3つとし、検知部を10個用いたがこれに限られない。検知部に設置される検知距離の異なる各センサの数や検知部の数を調整することにより、物体位置検知装置の用途や検知対象の物体に応じて検知領域の分解能を柔軟に設定できる。
【0059】
(2)
上述した第1実施例および第2実施例では、各センサとして反射型赤外線センサを用いたがこれに限られない。対象物までの距離を判別できる用件を満たせば、反射型に限らず赤外線以外のセンサを用いてもよい。
【0060】
(3)
上述した第1実施例および第2実施例では、対象物体の座標に応じてディスプレイDPの表示内容を変更したがこれに限られない。例えば、対象物体が遠くに位置する際には、ディスプレイDPの表示内容の変更とともに音声を大きくしてもよい。
【0061】
(4)
上述した第1実施例では、対象物体の位置を座標により表したがこれに限られない。座標以外に、対象物体の位置情報を特定できる情報であればよい。
【0062】
(5)
上述した第1実施例および第2実施例では、検出対象の物体として人物を前提として説明したがこれに限られない。人物の他、動植物、自動車等を対象としてもよい。
【0063】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施例における物体位置検知システムのシステム構成を例示する説明図。
【図2】第1実施例における制御ユニットの機能ブロックを例示する説明図。
【図3】第1実施例における赤外線送出指示のタイミングを例示するタイミングチャート。
【図4】第1実施例におけるRAMの記録内容を例示する説明図。
【図5】第1実施例における検知領域の座標について説明する模式図。
【図6】第1実施例における上位制御装置の機能ブロックを例示する説明図。
【図7】第1実施例における物体位置特定処理を説明するフローチャート。
【図8】第1実施例における座標特定処理を説明するフローチャート。
【図9】第1実施例における物体検出動作を説明する模式図。
【図10】第1実施例における座標テーブルを例示する説明図。
【図11】第2実施例における物体位置検知システムのシステム構成を例示する説明図。
【符号の説明】
【0065】
1000...物体位置検知システム
300...上位制御装置
100...制御ユニット
101...CPU
102...入出力部
103...メモリ
105...座標特定モジュール
106...検知情報記録モジュール
107...センサ指示モジュール
400...タイミングチャート
401、402、403...パルス信号
110...入力ポート群
120...出力ポート群
303...入出力部
304...メモリ
305...表示内容決定モジュール
306...表示制御モジュール
150...検知結果格納領域
160...直前検知結果格納領域
520...検知領域
600...制御ユニット
700...上位制御装置
2000...物体位置検知システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を検知するセンサを用いた物体位置検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転式2次元センサを複数用いて、各センサの設置位置、検知角度および距離情報から物体の位置を特定する技術がある。回転式2次元センサとは、モータによりセンサを回動させて、検知領域内に存在する物体を検知している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−4107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転式2次元センサで物体を検知する場合、複雑な角度情報の演算や補正処理が必要であり、処理時間がかかるという問題があった。また、回転式2次元センサの検知領域内に存在する物体の移動速度が速い場合、位置を正確に特定できないという問題もあった。また、回転式2次元センサは、可動部分を有するため耐久性が低いという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、簡易に物体の位置を特定し、耐久性のある物体位置検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の物体位置検知装置において、検知距離の異なる複数のセンサを有し、対象物体を検知する複数の検知部と、各複数の検知部と各複数のセンサとの組合せによって一意に特定される位置情報を格納する位置情報格納部と、対象物体を検知しているセンサである検知センサを備える検知部を特定して、特定された検知部と検知センサとの組合せを特定する組合せ特定部と、特定された組合せおよび位置情報に基づき、対象物体の位置を特定する位置特定部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明の物体位置検知装置によれば、対象物体を検知したセンサとかかるセンサを備える検知部との組合せを特定することにより、複雑な計算を必要とせず簡易に対象物体の位置情報を特定することができる。
【0008】
本発明の物体位置検知装置において、組合せ特定部は、特定された検知部に備えられている複数のセンサが検知センサに該当する場合には、検知距離の短いセンサを検知センサとして特定してもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、対象物体の位置情報の特定の精度を向上することができる。
【0009】
本発明の物体位置検知装置において、更に、各センサに対して、検知信号の出力を指示する指示部を備え、検知部の前記各センサは指示に応じて検知信号を出力してもよい。
【0010】
本発明の物体位置検知装置によれば、センサごとに検知信号を出力させることができるため、各センサの検知信号の誤検知を抑制し、検知精度を向上させることができる。
【0011】
本発明の物体位置検知装置において、指示部は、各検知部の設置間隔に指示を行ってもよい。また、指示部は各検知部における各センサに対して、順次、指示を行ってもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、近接する検知部間、センサ間での誤検知を抑制し検知精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の物体位置検知装置において、検知部は複数の検知部が水平方向に所定の間隔をあけて設置されてもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、検知領域を幅方向に広げることができる。
【0013】
本発明の物体位置検知装置において、検知部は複数の検知部が垂直方向に所定の間隔をあけて設置されてもよい。本発明の物体位置検知装置によれば、物体の高さを特定することができる。
【0014】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。また、本発明は、上述した物体位置検知装置としての構成の他に、物体位置検知装置による物体位置検知方法、物体位置検知装置に物体の位置を検知させるためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体等としても構成できる。いずれの構成においても、上述した各態様を適宜適用可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクや、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ハードディスク等種々の媒体を利用することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき、次の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1は、第1実施例における物体位置検知システム1000のシステム構成を例示する説明図である。物体位置検知システム1000は、ディスプレイDPと、制御ユニット100と、検知部201〜210と、上位制御装置300とを有する。検知部201〜210は制御ユニット100と接続されており、制御ユニット100は上位制御装置300と接続されている。上位制御装置300は、ディスプレイDPと接続されている。
【0016】
検知部201〜210は、検知距離の短い順に、センサA、B、Cを有する。本実施例では、センサAの検知距離は50cm、センサBの検知距離は1m、センサCの検知距離は1m50cmである。
【0017】
制御ユニット100は、検知部により検知可能な領域を座標によって管理しており、検知部201〜210による検知結果に基づき対象物体531、対象物体532の座標を特定する。上位制御装置300は、特定された座標に応じてディスプレイに種々の情報を表示する。
【0018】
A2.機能ブロック:
図2は、本実施例における制御ユニット100の機能ブロックを例示する説明図である。制御ユニット100は、CPU101、入出力部102、メモリ103、RAM108、入力ポート群110、出力ポート群120を有する。入力ポート群110は、検知部201〜210に備えられている各センサに対応する入力ポートを有する。出力ポート群120は、3つの出力ポートを有する。各機能ブロックは、CPU101により制御され実行される。
【0019】
検知部201のセンサAは入力ポート1aと、検知部201のセンサBは入力ポート1bと、検知部201のセンサCは入力ポート1cと接続されている。他のセンサも同様にそれぞれに対応する入力ポートに接続されている。
【0020】
出力ポート群120は、出力ポート120A、出力ポート120B、および、出力ポート120Cを有する。出力ポート120Aは各検知部のセンサAと接続されている。出力ポート120Bは各検知部のセンサBと接続されている。出力ポート120Cは各検知部のセンサCと接続されている。
【0021】
メモリ103は、座標特定モジュール105と、検知情報記録モジュール106と、センサ指示モジュール107とを備える。
【0022】
センサ指示モジュール107は、出力ポート120A〜120Cを介して、各センサに対して所定のタイミングで赤外線を出力させる指示を行う。センサ指示モジュール107が出力ポート120Aを介して赤外線出力指示を行うと、出力ポート120Aに接続されている各検知部のセンサAが赤外線を出力し検知を行う。同様に、センサ指示モジュール107が出力ポート120Bを介して赤外線出力指示を行うと、出力ポート120Bに接続されている各検知部のセンサBが赤外線を出力し検知を行い、出力ポート120Cを介して赤外線出力指示を行うと、出力ポート120Cに接続されている各検知部のセンサCが赤外線を出力し検知を行う。すなわち、センサ指示モジュール107は、各検知部に備えられている3つのセンサを、ある時間には1のセンサのみが動作するように時分割制御する。
【0023】
センサ指示モジュール107が赤外線出力指示を行うタイミングについて、図3を用いて説明する。図3は、本実施例における赤外線出力指示のタイミングを例示するタイミングチャートである。タイミングチャート400の横軸は時間tを示す。パルス信号401は出力ポート120Aの動作状況を示しており、パルス信号402は出力ポート120Bの動作状況を示しており、パルス信号403は出力ポート120Cの動作状況を示している。
【0024】
時刻t0から時刻t1の間は、パルス信号401のみがONであり、パルス信号402およびパルス信号403はOFFである。すなわち、各検知部のセンサAから赤外線が出力され、センサBおよびセンサCは赤外線を出力していないことを示している。
【0025】
時刻t1から時刻t2の間は、パルス信号402のみがONであり、パルス信号401およびパルス信号403はOFFである。すなわち、出力ポート120Bを介して赤外線出力指示がなされており、各検知部のセンサBから赤外線が出力されていることを示している。
【0026】
検知情報記録モジュール106は、各入力ポートを介して各センサの検知結果を取得しRAM108に記録する。RAM108には、直前に取得した検知結果と今回取得した検知結果とが記録されている。
【0027】
RAM108の構成について、図4を用いて説明する。図4は、本実施例におけるRAM108の記録内容を例示する説明図である。RAM108は、検知結果格納領域150と、直前検知結果格納領域170とを備える。検知結果格納領域150には、今回取得した検知結果が格納される。検知結果格納領域150は、格納領域151〜160を備える。例えば、格納領域151には検知部201の検知結果が格納される。格納領域151は図示するように格納領域151a、151b、151cを有し、検知部201のセンサAの検知結果が格納領域151aに、検知部201のセンサBの検知結果が格納領域151bに、検知部201のセンサCの検知結果が格納領域151cに格納される。同様に、格納領域152〜160には、検知部202〜210の検知結果が格納される。
【0028】
直前検知結果格納領域170には、前回取得した検知結果が格納される。直前検知結果格納領域170は格納領域171〜180を備える。格納領域171には検知部201の直前の検知結果が格納される。格納領域171は格納領域151と同様の構成であり、格納領域171a、171b、171cを有する。検知部201のセンサAの直前の検知結果が格納領域171aに、検知部201のセンサBの直前の検知結果が格納領域171bに、検知部201のセンサCの直前の検知結果が格納領域171cに格納されている。同様に、格納領域172〜180には、検知部202〜210の直前の検知結果が格納されている。
【0029】
本実施例では、センサが、センサから出力され対象物体に当たって反射した赤外線を検知した際には、検知情報記録モジュール106はセンサに対応する格納領域に「1」を記録する。センサから出力された赤外線の反射が検知されない際には、検知情報記録モジュール106はセンサに対応する格納領域に「0」を記録する。例えば、格納領域152aには「0」が格納されているため、検知部202のセンサAは出力した赤外線の反射を検知しなかったことを表す。格納領域154bには「1」が格納されているため、検知部204のセンサBは出力した赤外線の反射を検知したことを表す。
【0030】
座標特定モジュール105は、RAM108を参照して直前に取得した検知結果と、今回取得した検知結果とを比較し、比較結果に基づいて対象物体の位置を表す座標を特定する。また、座標特定モジュール105は、入出力部102を介して、特定した座標を上位制御装置300に送信する。
【0031】
図5を用いて、検知領域と座標との対応付けについて説明する。図5は、検知領域と座標との対応付けを例示する説明図である。検知領域520は、検知部201〜210によって検知可能な領域である。検知領域520はO点を基準として、幅方向を表すX軸と検知部からの距離を表すY軸とによって表される。検知領域520は、X軸方向に検知部の個数に分割されており、Y軸方向に各検知部に備えられているセンサの個数に分割されている。すなわち、検知領域520は、図示するように、領域10A,10B,10C,20A,20B,20C...100A,100B,100Cに分割されており、各領域には座標が対応づけられている。例えば、対象物体531が存在する領域40Aの座標は(X4,Y1)であり、領域60Bの座標は(X6,Y2)であり、領域80Cの座標は(X8,Y3)である。
【0032】
本実施例において、検知部201はX軸方向に基準点Oからx1まで検知可能であり、検知部202はx1からx2まで検知可能であり、検知部203はx2からx3まで検知可能であり、検知部204はx3からx4まで検知可能であり、検知部205はx4からx5まで検知可能であり、検知部206はx5からx6まで検知可能であり、検知部207はx6からx7まで検知可能であり、検知部208はx7からx8まで検知可能であり、検知部209はx8からx9まで検知可能であり、検知部210はx9からx10まで検知可能である。各検知部の検出距離の最も短いセンサAが検出可能な距離はY軸上の「y1」までであり、検出距離が次に短いセンサBが検出可能な距離はY軸上の「y2」までであり、検出距離が最も長いセンサCが検出可能な距離はY軸上の「y3」までである。
【0033】
上位制御装置300について、図6を用いて説明する。図6は、本実施例における上位制御装置300の機能ブロックを例示する説明図である。上位制御装置300は、CPU301、RAM302、入出力部303、メモリ304を備えるコンピュータである。メモリ304は、表示内容決定モジュール305と、表示制御モジュール306とを備える。各モジュールはCPU301により制御され実行される。入出力部303は、ディスプレイDPおよび制御ユニット100との情報の授受を行うハードウェアインターフェースである。
【0034】
表示内容決定モジュール305は、入出力部303を介して制御ユニット100から対象物体の座標を取得し、取得した座標に応じてディスプレイDPに出力する出力情報すなわちディスプレイDPの表示内容を決定する。
【0035】
表示制御モジュール306は、表示内容決定モジュール305によって決定された出力情報をディスプレイDPに表示させる。
【0036】
A3.物体位置特定処理:
図7は、本実施例における物体位置特定処理を説明するフローチャートである。制御ユニット100のCPU101が各機能ブロックを制御して行う処理である。
【0037】
CPU101は、出力ポート120Aを介して各検知部のセンサAに対して検知指示を行い(ステップS10)、検知結果をRAM108に記録する(ステップS11)。CPU101は、出力ポート120Bを介して各検知部のセンサBに対して検知指示を行い(ステップS12)、検知結果をRAM108に記録する(ステップS13)。CPU101は、出力ポート120Cを介して各検知部のセンサCに対して検知指示を行い(ステップS14)、検知結果をRAM108に記録する(ステップS15)。検知結果は、図4において説明したように、検知結果格納領域150の各センサに対応する格納領域に記録される。
【0038】
CPU101は、取得した検知結果と前回取得した検知結果とを比較し(ステップS16)、今回取得した検知結果に前回取得した検知結果から変化があるか否かを判断する(ステップS17)。CPU101は、検知結果格納領域150と直前検知結果格納領域170とにおいて、対応する格納領域、例えば、格納領域154bと格納領域174bを比較し、格納領域に記録されている値が異なる場合に変化があると判断する。
【0039】
変化がない場合(ステップS17:NO)、ステップS10に戻り、所定の時間間隔で各センサへの検知指示を行う。
【0040】
変化がある場合(ステップS17:YES)、今回取得した検知結果から対象物体の位置を表す座標を特定する処理を行う(ステップS18)。
【0041】
座標を特定する処理について、図8〜図10を用いて詳細に説明する。図8は、本実施例における座標特定処理を説明するフローチャートである。本処理は、座標特定モジュール105が実行する処理である。
【0042】
座標特定モジュール105は、今回取得した検知結果を参照し(ステップS30)、対象物体を検知したセンサが備えられている検知部を特定する(ステップS31)。座標特定モジュール105は、特定された検知部に備えられているセンサのうち、複数のセンサが対象物を検知しているか否かを判断する(ステップS32)。複数のセンサが対象物体を検知している場合(ステップS32:YES)、対象物体を検知したセンサのうち、検知距離の最も短いセンサが対象物体を検知したセンサであると判断する(ステップS33)。
【0043】
物体検知処理について、検知部204を例に図9を用いて説明する。図9は、本実施例における物体検出処理を例示する模式図である。赤外線204aは、検知部204のセンサAから出力される赤外線である。赤外線204bは検知部204のセンサBから出力される赤外線である。赤外線204cは検知部204のセンサCから出力される赤外線である。赤外線204aはディスプレイDPから50cmの距離まで検知可能であり、赤外線204bはディスプレイDPから1mの距離まで検出可能であり、赤外線204cはディスプレイDPから1m50cmの距離まで検出可能である。検知部204では、赤外線204bおよび赤外線204cが対象物体531に当たって反射するため、センサBおよびセンサCが赤外線の反射を検知する。このように複数のセンサが赤外線の反射を検知場合、座標特定モジュール105は、検知距離の短いセンサを、物体を検知したセンサとして特定する。
【0044】
複数のセンサが対象物を検知していない場合(ステップS32:NO)、すなわち、1のセンサのみが対象物を検知している場合は、センサCを、対象物体を検知したセンサと判断する(ステップS34)。
【0045】
座標特定モジュール105は、座標テーブル410を参照し(ステップS35)、検知部と対象物体を検知したと判断されたセンサとの組合せから対象物体の座標を特定する(ステップS36)。
【0046】
検知部、各検知部に備えられているセンサ、および、座標との対応付けについて、図10を用いて説明する。図10は、本実施例における本実施例におけるセンサと検知領域の座標との対応付けを例示する座標テーブル410である。座標テーブル410は、検知部とセンサと座標の3項目からなり、センサと座標とが対応づけられている。図示するように、例えば、検知部201のセンサAに対応する座標は(X1,Y1)である。検知部202のセンサBに対応する領域の座標は(X2,Y2)であり、検知部210のセンサCに対応する領域の座標は(X10,Y3)である。
【0047】
CPU101は、特定した座標を上位制御装置300に送信し(ステップS19)、RAM108の検知結果格納領域150を更新する(ステップS20)。検知結果格納領域150の更新は、検知結果格納領域150に記録されている今回取得した検知結果を、直前検知結果格納領域170の対応する各格納領域へ書き込むことにより行う。例えば、格納領域151aに記録されている検知結果を格納領域171aに書き込む。
【0048】
上位制御装置300は、物体の座標を受信し、位置に応じた種種の情報、例えば、静止画像、動画像をディスプレイDPに表示する。
【0049】
以上説明した第1実施例の物体位置検知システム1000によれば、検出距離の異なる複数のセンサを備える検知部によって対象物体の検出を行い、物体を検知したセンサと、かかるセンサを備える検知部との組合せから、物体の座標を簡易に得ることができる。従って、複雑な計算を必要とせずに、物体の位置を簡易にかつ迅速に特定することができる。
【0050】
また、本実施例の物体位置検知システム1000によれば、各センサの赤外線出力のタイミングを制御でき、近接する複数のセンサ間の誤検知を抑制することができる。
【0051】
また、物体位置検知システム1000によれば、各センサは可動部を有さないため、耐久性の向上を図ることができる。
【0052】
B.第2実施例:
上述した第1実施例では、複数の検知部を水平方向に並べて設置した。第2実施例では、複数の検知部を垂直方向に並べて設置し物体の高さを判断する。
【0053】
B1.システム構成:
図11(a)は、第2実施例における物体位置検知システム2000のシステム構成を例示する説明図である。物体位置検知システム2000は、ディスプレイDPと、制御ユニット600と、検知部601〜604と、上位制御装置700とを備える。各機器は第1実施例における各機器と同様の構成である。ただし、図示するように、検知部601、602はディスプレイDPの外枠に垂直方向に所定の間隔を開けて並んで設定されている。また、検知部603、604も同様に、ディスプレイDPの外枠の、検知部601、602とは逆側に、垂直方向に所定の間隔を開けて並んで設置されている。検知部601と検知部603および検知部602と検知部604は同じ高さの位置に設置されている。物体位置検知システム2000における対象物体の検出動作について、図11(b)を用いて模式的に説明する。図11(b)は、本実施例における物体検出動作を例示する模式図である。
【0054】
検知部601と検知部602とを例にあげて説明する。検知部601は、ディスプレイDPが設置されている床からの高さThよりも高い位置に設置されており、検知部602は、ディスプレイDPが配置されている床からの高さThよりも低い位置に設置されている。高さThは任意に設定した閾値である。以降、高さThを閾値Thと呼ぶ。
【0055】
検知部601は、第1実施例の検知部と同様に3つの反射型赤外線センサを備える。各センサは検出距離の短い順にセンサA,センサB、センサCである。赤外線601aは、センサAから出力される赤外線であり、ディスプレイDPからd1の距離まで検出可能である。赤外線601bは、センサBから出力される赤外線であり、ディスプレイDPからd2の距離まで検出可能である。赤外線601cは、センサCから出力される赤外線であり、d3の距離まで検出可能である。検知部602も601と同様に、検出距離の異なる3つの反射型赤外線センサA,センサB、センサCを備える。
【0056】
図示するように、検知部601では、赤外線601cのみが人物610に当たりセンサCが赤外線の反射を検知する。一方、検知部602では、赤外線602bと赤外線602cとが人物611に当たりセンサBとセンサCとが赤外線の反射を検知する。従って、制御ユニット600は、検知部601のセンサBは赤外線を検知しておらず、検知部602のセンサBが赤外線の反射を検知していることから、ディスプレイDPの前には、d1とd2の間に閾値Thよりも低い物体(人物611)が存在すると判断する。また、制御ユニット600は、検知部601ではセンサCのみが赤外線の反射を検知していることから、ディスプレイDPの前には、d2とd3の間に閾値Thよりも高い物体(人物610)が存在すると判断する。
【0057】
上述した第2実施例の物体位置検知システム2000によれば、ディスプレイDPの前の物体の高さ、すなわち、センサの検知対象である人物の身長が閾値Thよりも高いもしくは低いと判断できる。例えば、閾値Thを小学6年生の平均身長程度の高さとすれば、本実施例のようにディスプレイの前に人物が二人立っていた場合、人物611は小学生以下の子供であり人物610は小学生以上であると判断することができる。従って、人物の存在する位置や距離だけでなく、大人や子供といった詳細な情報に応じてディスプレイDPの表示を変更することができ、利便性を向上させることができる。
【0058】
C.変形例:
(1)
上述した第1実施例では、各検知部の中に設置されている検知距離の異なるセンサの数を3つとし、検知部を10個用いたがこれに限られない。検知部に設置される検知距離の異なる各センサの数や検知部の数を調整することにより、物体位置検知装置の用途や検知対象の物体に応じて検知領域の分解能を柔軟に設定できる。
【0059】
(2)
上述した第1実施例および第2実施例では、各センサとして反射型赤外線センサを用いたがこれに限られない。対象物までの距離を判別できる用件を満たせば、反射型に限らず赤外線以外のセンサを用いてもよい。
【0060】
(3)
上述した第1実施例および第2実施例では、対象物体の座標に応じてディスプレイDPの表示内容を変更したがこれに限られない。例えば、対象物体が遠くに位置する際には、ディスプレイDPの表示内容の変更とともに音声を大きくしてもよい。
【0061】
(4)
上述した第1実施例では、対象物体の位置を座標により表したがこれに限られない。座標以外に、対象物体の位置情報を特定できる情報であればよい。
【0062】
(5)
上述した第1実施例および第2実施例では、検出対象の物体として人物を前提として説明したがこれに限られない。人物の他、動植物、自動車等を対象としてもよい。
【0063】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施例における物体位置検知システムのシステム構成を例示する説明図。
【図2】第1実施例における制御ユニットの機能ブロックを例示する説明図。
【図3】第1実施例における赤外線送出指示のタイミングを例示するタイミングチャート。
【図4】第1実施例におけるRAMの記録内容を例示する説明図。
【図5】第1実施例における検知領域の座標について説明する模式図。
【図6】第1実施例における上位制御装置の機能ブロックを例示する説明図。
【図7】第1実施例における物体位置特定処理を説明するフローチャート。
【図8】第1実施例における座標特定処理を説明するフローチャート。
【図9】第1実施例における物体検出動作を説明する模式図。
【図10】第1実施例における座標テーブルを例示する説明図。
【図11】第2実施例における物体位置検知システムのシステム構成を例示する説明図。
【符号の説明】
【0065】
1000...物体位置検知システム
300...上位制御装置
100...制御ユニット
101...CPU
102...入出力部
103...メモリ
105...座標特定モジュール
106...検知情報記録モジュール
107...センサ指示モジュール
400...タイミングチャート
401、402、403...パルス信号
110...入力ポート群
120...出力ポート群
303...入出力部
304...メモリ
305...表示内容決定モジュール
306...表示制御モジュール
150...検知結果格納領域
160...直前検知結果格納領域
520...検知領域
600...制御ユニット
700...上位制御装置
2000...物体位置検知システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体位置検知装置であって、
検知距離の異なる複数のセンサを有し、対象物体を検知する複数の検知部と、
各前記複数の検知部と各前記複数のセンサとの組合せによって一意に特定される位置情報を格納する位置情報格納部と、
前記対象物体を検知しているセンサである検知センサを備える検知部を特定して、前記特定された検知部と前記検知センサとの組合せを特定する組合せ特定部と、
前記特定された組合せおよび前記位置情報に基づき、前記対象物体の位置を特定する位置特定部と、を備える物体位置検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の物体位置検知装置であって、
前記組合せ特定部は、前記特定された検知部に備えられている複数のセンサが前記検知センサに該当する場合には、前記検知距離の短いセンサを前記検知センサとして特定する物体位置検知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の物体位置検知装置であって、更に、
前記各センサに対して、検知信号の出力を指示する指示部を備え、
前記検知部の前記各センサは、前記指示に応じて前記検知信号を出力する物体位置検知装置。
【請求項4】
請求項3記載の物体位置検知装置であって、
前記指示部は、前記各検知部の設置間隔に基づき前記指示を行う物体位置検知装置。
【請求項5】
請求項3記載の物体位置検知装置であって、
前記指示部は、前記各検知部に備えられている各センサに対して、順次、前記指示を行う物体位置検知装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の物体位置検知装置であって、
前記検知部は、前記複数の検知部が水平方向に所定の間隔をあけて設置されている物体位置検知装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の物体位置検知装置であって、
前記検知部は、前記複数の検知部が垂直方向に所定の間隔をあけて設置されている物体位置検知装置。
【請求項8】
検知距離の異なる複数のセンサが備えられている複数の検知部を有する物体位置検知装置における物体位置検知方法であって、
前記検知部により対象物体を検知し、
前記対象物体を検知しているセンサである検知センサを備える検知部を特定し、
前記特定された検知部と前記検知センサとの組合せを特定し、
前記特定された組合せ、および、各前記複数の検知部と各前記複数のセンサとの組合せによって一意に特定される位置情報に基づき、前記対象物体の位置を特定する物体位置検知方法。
【請求項1】
物体位置検知装置であって、
検知距離の異なる複数のセンサを有し、対象物体を検知する複数の検知部と、
各前記複数の検知部と各前記複数のセンサとの組合せによって一意に特定される位置情報を格納する位置情報格納部と、
前記対象物体を検知しているセンサである検知センサを備える検知部を特定して、前記特定された検知部と前記検知センサとの組合せを特定する組合せ特定部と、
前記特定された組合せおよび前記位置情報に基づき、前記対象物体の位置を特定する位置特定部と、を備える物体位置検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の物体位置検知装置であって、
前記組合せ特定部は、前記特定された検知部に備えられている複数のセンサが前記検知センサに該当する場合には、前記検知距離の短いセンサを前記検知センサとして特定する物体位置検知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の物体位置検知装置であって、更に、
前記各センサに対して、検知信号の出力を指示する指示部を備え、
前記検知部の前記各センサは、前記指示に応じて前記検知信号を出力する物体位置検知装置。
【請求項4】
請求項3記載の物体位置検知装置であって、
前記指示部は、前記各検知部の設置間隔に基づき前記指示を行う物体位置検知装置。
【請求項5】
請求項3記載の物体位置検知装置であって、
前記指示部は、前記各検知部に備えられている各センサに対して、順次、前記指示を行う物体位置検知装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の物体位置検知装置であって、
前記検知部は、前記複数の検知部が水平方向に所定の間隔をあけて設置されている物体位置検知装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の物体位置検知装置であって、
前記検知部は、前記複数の検知部が垂直方向に所定の間隔をあけて設置されている物体位置検知装置。
【請求項8】
検知距離の異なる複数のセンサが備えられている複数の検知部を有する物体位置検知装置における物体位置検知方法であって、
前記検知部により対象物体を検知し、
前記対象物体を検知しているセンサである検知センサを備える検知部を特定し、
前記特定された検知部と前記検知センサとの組合せを特定し、
前記特定された組合せ、および、各前記複数の検知部と各前記複数のセンサとの組合せによって一意に特定される位置情報に基づき、前記対象物体の位置を特定する物体位置検知方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−17308(P2007−17308A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199555(P2005−199555)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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