説明

現像カートリッジ

【課題】検出ギヤのような被検知回転体を備える構成において、従来よりも便利な現像カートリッジを提供する。
【解決手段】被検知回転体50は、第1被検知部72および第2被検知部73を有している。そして、被検知回転体50は、入力ギヤ45に入力される駆動力により、第1被検知部72が光センサ95に検知される第1回転位置から、第2被検知部73が光センサ95に検知される第2回転位置に回転する。
そして、被検知回転体50が第2回転位置まで回転すると、入力ギヤ45から被検知回転体50への駆動力の伝達が遮断される。これにより、被検知回転体50は、その回転位置が第2回転位置である状態で停止する。そのため、現像カートリッジが本体ケーシング2内に装着されている間、第2被検知部73が光センサ95に検知され続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置の装置本体内に着脱可能に装着される現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置には、たとえば、装置本体内に現像カートリッジが着脱可能に装着されるタイプのものがある。現像カートリッジ内には、トナーが収容されている。現像カートリッジ内のトナーがなくなると、その現像カートリッジは、装置本体内から取り出される。そして、新品の現像カートリッジが装置本体内に装着される。また、装置本体内で用紙のジャムが発生したときに、装置本体内から現像カートリッジが取り出され、ジャムの解消後、その現像カートリッジが装置本体内に再び装着されることがある。
【0003】
このタイプの画像形成装置において、当接突起を備える検出ギヤが現像カートリッジの側面に配置され、装置本体内に現像カートリッジが装着されたときに、検出ギヤの回転に基づいて、その現像カートリッジに関する情報を取得するものが提案されている。
【0004】
検出ギヤは、現像カートリッジの側面と直交する方向に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。検出ギヤの周面には、その一部を除いて、ギヤ歯が形成されている。すなわち、検出ギヤは、欠け歯ギヤである。また、現像カートリッジの側面には、伝達ギヤが検出ギヤの軸線と間隔を空けて平行に延びる軸線を中心に回転可能に設けられている。伝達ギヤの周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。現像カートリッジが新品の状態では、検出ギヤのギヤ歯に伝達ギヤのギヤ歯が噛合している。現像カートリッジが装置本体内に装着されると、伝達ギヤにモータの駆動力が入力され、その駆動力が伝達ギヤから検出ギヤにそれらのギヤ歯を介して伝達される。
【0005】
これにより、検出ギヤが回転し、この検出ギヤの回転に伴って、当接突起が移動する。装置本体内には、当接突起の通過を検出するセンサが設けられている。そして、モータの駆動開始から一定時間内に、センサにより当接突起の通過が検出されたか否かに基づいて、現像カートリッジが新品であるか旧品であるかが判別される。検出ギヤの回転が進み、検出ギヤの欠け歯部分が伝達ギヤのギヤ歯と対向すると、伝達ギヤのギヤ歯と検出ギヤのギヤ歯との噛合が解除され、検出ギヤの回転が停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−267994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、検出ギヤのような被検知回転体を備える構成において、従来よりも便利な現像カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明は、画像形成装置の装置本体内に着脱可能に装着される現像カートリッジであって、互いに対向して配置される第1側壁および第2側壁を有し、内部に現像剤を収容する筺体と、前記第1側壁の外側に、前記第1側壁および前記第2側壁の対向方向に延びる第1軸線を中心に回転可能に設けられ、前記装置本体内に備えられた駆動出力部材が接続されて、前記駆動出力部材から駆動力を受ける受動部材と、前記第1側壁と前記第2側壁との間に、前記第1軸線と間隔を空けて平行に延びる第2軸線を中心に回転可能に保持され、前記受動部材が受ける駆動力により回転する現像ローラと、前記第1側壁の外側に、前記第1軸線と間隔を空けて平行に延びる第3軸線を中心に回転可能に設けられ、第1被検知部、および前記第1被検知部に対して前記第3軸線を中心とする回転方向に間隔を空けて配置される第2被検知部を有し、前記受動部材が受ける駆動力により、前記第1被検知部が前記装置本体内に備えられた検知部材に検知される第1回転位置から、前記第2被検知部が前記検知部材に検知される第2回転位置に回転する被検知回転体と、前記被検知回転体が前記第2回転位置に位置する状態で、前記受動部材から前記被検知回転体への駆動力の伝達を遮断する遮断手段とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、筺体の第1側壁の外側には、受動部材および被検知回転体がそれぞれ第1軸線および第3軸線を中心に回転可能に設けられている。また、第1側壁と第2側壁との間には、現像ローラが第1軸線と平行に延びる第2軸線を中心に回転可能に設けられている。
【0010】
受動部材には、装置本体内に備えられた駆動出力部材が接続されて、駆動出力部材から駆動力が入力される。この受動部材に入力される駆動力(受動部材が駆動出力部材から受ける駆動力)により、現像ローラおよび被検知回転体が回転する。
【0011】
被検知回転体は、第1被検知部および第2被検知部を有している。そして、被検知回転体は、受動部材に入力される駆動力により、第1被検知部が検知部材に検知される第1回転位置から、第2被検知部が検知部材に検知される第2回転位置に回転する。これにより、被検知回転体の回転の前後において、第1被検知部および第2被検知部が検知部材に検知され、その検知に基づいて、現像カートリッジに関する情報、たとえば、現像カートリッジが新品であるか旧品であるかという情報を取得することができる。
【0012】
そして、遮断手段が備えられているので、被検知回転体が第2回転位置まで回転すると、受動部材から被検知回転体への駆動力の伝達が遮断される。これにより、被検知回転体は、その回転位置が第2回転位置である状態で停止する。そのため、現像カートリッジが装置本体内に装着されている間、第2被検知部が検知部材に検知され続ける。よって、検知部材により第2被検知部が検知されているか否かに基づいて、装置本体内に現像カートリッジが装着されているか否かを判定することができる。
【0013】
その結果、現像カートリッジが装置本体内に装着されている間、検知部材の出力を有効に利用することができる。
【0014】
一方、背景技術として説明した従来の現像カートリッジでは、当接突起がセンサの検出位置を通過し、検出ギヤの回転が停止した後は、次に新品の現像カートリッジが装置本体内に装着されるまで、センサからオフ信号が出力され続ける。そのため、現像カートリッジが新品であるか旧品であるかが判別された後、センサの出力は、何らの情報の取得にも利用することができない。
【0015】
よって、本発明に係る現像カートリッジは、従来の現像カートリッジ(現像カートリッジが新品であるか旧品であるかという情報のみしか取得できない現像カートリッジ)よりも便利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る現像カートリッジが装着されたレーザプリンタの断面図である。
【図2A】図2Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図2C】図2Cは、図2Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図2D】図2Dは、図2Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図2E】図2Eは、図2Aに示す現像カートリッジの一部の斜視図であり、その一部を拡大して示す。
【図3A】図3Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、本体ケーシング内に装着された直後の状態を示す。
【図3B】図3Bは、図3Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図3C】図3Cは、図3Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図3D】図3Dは、図3Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図4A】図4Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図3Aに示す状態の次の状態を示す。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図4C】図4Cは、図4Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図4D】図4Dは、図4Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図5A】図5Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図4Aに示す状態の次の状態を示す。
【図5B】図5Bは、図5Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図5C】図5Cは、図5Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図5D】図5Dは、図5Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図6A】図6Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図5Aに示す状態の次の状態を示す。
【図6B】図6Bは、図6Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図6C】図6Cは、図6Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図6D】図6Dは、図67Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図7A】図7Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図6Aに示す状態の次の状態を示す。
【図7B】図7Bは、図7Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図7C】図7Cは、図7Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図7D】図7Dは、図7Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図7E】図7Eは、図7Aに示す現像カートリッジの一部の斜視図であり、その一部を拡大して示す。
【図8A】図8Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図7Aに示す状態の次の状態を示す。
【図8B】図8Bは、図8Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図8C】図8Cは、図8Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図8D】図8Dは、図8Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図9A】図9Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図8Aに示す状態の次の状態を示す。
【図9B】図9Bは、図9Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図9C】図9Cは、図9Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図9D】図9Dは、図9Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図10A】図10Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図9Aに示す状態の次の状態を示す。
【図10B】図10Bは、図10Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図10C】図10Cは、図10Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図10D】図10Dは、図10Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図11A】図11Aは、現像カートリッジの左後方から見た斜視図であり、図10Aに示す状態の次の状態を示す。
【図11B】図11Bは、図11Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、ギヤカバーが取り付けられた状態を示す。
【図11C】図11Cは、図11Aに示す現像カートリッジの左側面図である。
【図11D】図11Dは、図11Aに示す現像カートリッジの左側面図であり、被検知回転体の一部を欠落させた状態を示す。
【図12】図12は、現像カートリッジの装着検出および新品検出時の主要部の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図13】図13は、現像カートリッジの装着検出および新品検出時の主要部の他の動作タイミング(第3検知部が省略された構成でのタイミング)を示すタイミングチャートである。
【図14】図14は、係合部がアジテータギヤと別体に形成された構成(変形例1)を示す平面図である。
【図15】図15は、係合部がアジテータギヤと別のギヤと一体的に形成された構成(変形例2)を示す図解的な側面図である。
【図16】図16は、第1被検知部と第2被検知部とが一体化された構成(変形例3)を示す側面図である。
【図17】図17は、被検知回転体の欠け歯ギヤ部に代わる構成(変形例4)を示す図解的な側面図である。
【図18】図18は、現像カートリッジの装着検出および新品検出のためのフローチャートの一例(モータ駆動前に現像カートリッジの装着の有無が判別される例)である。
【図19】図19は、現像カートリッジの装着検出および新品検出のためのフローチャートの他の例(モータ駆動後に現像カートリッジの装着の有無が判別される例)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.レーザプリンタの全体構成
図1に示されるように、画像形成装置の一例としてのレーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の一方側壁には、カートリッジ着脱口3が形成され、このカートリッジ着脱口3を開閉するフロントカバー4が設けられている。
【0018】
なお、以下の説明において、フロントカバー4が設けられている側をレーザプリンタ1の前側とする。レーザプリンタ1の上下左右に関しては、レーザプリンタ1を前側から見たときを基準とする。また、後述する現像カートリッジ7の前後については、本体ケーシング2に装着された状態を基準とし、その上下左右については、現像カートリッジ7を前側から見たときを基準とする。
【0019】
本体ケーシング2内の中央より少し前側の位置には、プロセスカートリッジ5が装着されている。プロセスカートリッジ5は、フロントカバー4を開いた状態で、カートリッジ着脱口3を介して、本体ケーシング2内に装着され、また、本体ケーシング2内から離脱される。
【0020】
プロセスカートリッジ5は、ドラムカートリッジ6と、そのドラムカートリッジ6に着脱自在に装着される現像カートリッジ7とからなる。
【0021】
ドラムカートリッジ6は、ドラムフレーム8を備えている。ドラムフレーム8の後端部には、感光ドラム9が回転可能に保持されている。また、ドラムフレーム8には、帯電器10および転写ローラ11が保持されている。帯電器10および転写ローラ11は、それぞれ感光ドラム9の後方および下方に配置されている。
【0022】
ドラムフレーム8における感光ドラム9よりも前側の部分は、現像カートリッジ装着部12とされており、この現像カートリッジ装着部12に、現像カートリッジ7が装着される。
【0023】
現像カートリッジ7は、トナーを収容する筐体13を備えている。筐体13の内部には、互いに連通するトナー収容室14および現像室15が前後に隣接して形成されている。
【0024】
トナー収容室14には、アジテータ16が左右方向に延びるアジテータ回転軸線17を中心に回転可能に設けられている。アジテータ16の回転により、トナー収容室14内に収容されているトナーが攪拌されつつ、トナー収容室14から現像室15へ送られる。
【0025】
現像室15には、現像ローラ18および供給ローラ19がそれぞれ左右方向に延びる現像回転軸線20および供給回転軸線21を中心に回転可能に設けられている。現像ローラ18は、その周面の一部が筐体13の後端部から露出するように配置されている。現像カートリッジ7は、現像ローラ18の周面が感光ドラム9の周面と接触するように、ドラムカートリッジ6に装着される。供給ローラ19は、その周面が現像ローラ18の周面に対して前下方から接触するように配置されている。現像室15内のトナーは、供給ローラ19により現像ローラ18の周面に供給され、現像ローラ18の周面上に薄層となって担持される。
【0026】
また、本体ケーシング2内には、プロセスカートリッジ5の上方に、レーザなどを備える露光器22が配置されている。
【0027】
画像形成時には、感光ドラム9が図1における時計回りに一定速度で回転される。感光ドラム9の回転に伴って、感光ドラム9の周面(表面)は、帯電器10からの放電により、一様に帯電される。一方、プリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図示せず)から受信する画像データに基づいて、露光器22からレーザビームが出射される。レーザビームは、帯電器10と現像カートリッジ7との間を通り、一様に正帯電された感光ドラム9の周面に照射され、感光ドラム9の周面を選択的に露光する。これにより、感光ドラム9の露光された部分から電荷が選択的に除去され、感光ドラム9の周面に静電潜像が形成される。感光ドラム9の回転により、静電潜像が現像ローラ18に対向すると、現像ローラ18から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム9の周面にトナー像が形成される。
【0028】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット23が配置されている。給紙カセット23の上方には、給紙カセット23から用紙を送り出すためのピックアップローラ24が設けられている。
【0029】
また、本体ケーシング2内には、側面視S字状の搬送路25が形成されている。この搬送路25は、給紙カセット23から感光ドラム9と転写ローラ11との間を経由して、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ26に至る。搬送路25上には、互いに対向配置される分離ローラ27および分離パッド28、1対の給紙ローラ29、1対のレジストローラ30ならびに1対の排紙ローラ31が設けられている。
【0030】
給紙カセット23から送り出された用紙Pは、分離ローラ27と分離パッド28との間を通過し、その際に1枚ずつに捌かれる。その後、用紙Pは、給紙ローラ29により、レジストローラ30に向けて搬送される。そして、その用紙Pは、レジストローラ30によるレジスト後に、レジストローラ30により、感光ドラム9と転写ローラ11との間に向けて搬送される。
【0031】
感光ドラム9の周面上のトナー像は、感光ドラム9の回転により、感光ドラム9と転写ローラ11との間を通過する用紙Pと対向したときに、転写ローラ11により電気的に引き寄せられて、用紙Pに転写される。
【0032】
搬送路25上には、転写ローラ11に対して用紙Pの搬送方向の下流側に、定着器32が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、搬送路25を搬送されて、定着器32を通過する。定着器32では、加熱および加圧により、トナー像が画像となって用紙Pに定着される。
【0033】
このプリンタ1は、動作モードとして、用紙Pの片面に画像(トナー像)を形成する片面モードと、用紙Pの一方面に画像を形成した後、その用紙Pの一方面と反対の他方面に画像を形成する両面モードとを有している。
【0034】
片面モードでは、一方面に画像が形成された用紙Pは、排紙ローラ31により、排紙トレイ26に排出される。
【0035】
両面モードを実現するための構成として、本体ケーシング2内には、反転搬送路33が形成されている。反転搬送路33は、排紙ローラ31の近傍から搬送路25と給紙カセット23との間を延び、搬送路25における給紙ローラ29とレジストローラ30との間の部分に接続されている。反転搬送路33上には、1対の第1反転搬送ローラ34および1対の第2反転搬送ローラ35が設けられている。
【0036】
両面モードでは、用紙Pの一方面に画像が形成された後、その用紙Pは、排紙トレイ26に排出されずに、反転搬送路33に送り込まれる。そして、用紙Pは、第1反転搬送ローラ34および第2反転搬送ローラ35により、反転搬送路33を搬送され、その表裏が反転されて、画像が形成されていない他方面が感光ドラム9の周面と対向する姿勢で搬送路25に送り込まれる。そして、用紙Pの他方面に画像が形成されることにより、用紙Pの両面への画像の形成が達成される。
2.現像カートリッジ
(1)筐体
図2Aに示されるように、現像カートリッジ7の筐体13は、後側が開放されたボックス形状に形成されている。具体的には、筐体13は、第1側壁41および第2側壁42を備えている。第1側壁41および第2側壁42は、左右方向に互いに対向し、それぞれ前後方向に延びる板状をなしている。また、筐体13は、第1側壁41および第2側壁の各上端部間に架設される上壁43と、第1側壁41および第2側壁の各下端部間に架設される下壁44とを備えている。下壁44の前端部は、湾曲しつつ上方に延び、上壁43の前端部に接続されている。
(2)ギヤ
左側の第1側壁41の外側(左側)には、図2A,2Cに示されるように、受動部材の一例としての入力ギヤ45、現像ギヤ46、供給ギヤ47、中間ギヤ48、中間回転体の一例としてのアジテータギヤ49および被検知回転体50が設けられている。
(2−1)入力ギヤ
入力ギヤ45は、第1側壁41の後端上部に配置されている。入力ギヤ45は、左右方向に延びる入力ギヤ回転軸51を中心に回転可能に設けられている。入力ギヤ回転軸51は、第1側壁41に回転不能に保持されている。
【0037】
そして、入力ギヤ45は、大径ギヤ部52、小径ギヤ部53およびカップリング部54を一体的に有している。大径ギヤ部52、小径ギヤ部53およびカップリング部54は、第1側壁41側からこの順に並んでいる。
【0038】
大径ギヤ部52は、入力ギヤ回転軸51と中心軸線が一致する円板状に形成されている。大径ギヤ部52の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯(たとえば、斜歯)が形成されている。
【0039】
小径ギヤ部53は、入力ギヤ回転軸51と中心軸線が一致する円板状をなし、大径ギヤ部52よりも小径に形成されている。小径ギヤ部53の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯(たとえば、斜歯)が形成されている。
【0040】
カップリング部54は、入力ギヤ回転軸51と中心軸線が一致する円柱状をなし、小径ギヤ部53の周面よりも小径の周面を有している。カップリング部54の左側面には、結合凹部55が形成されている。現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された状態で、結合凹部55には、本体ケーシング2内に備えられる駆動出力部材56(図2A参照)の先端部が挿入される。
【0041】
駆動出力部材56は、左右方向に進退可能に設けられている。現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された状態で、駆動出力部材56は、入力ギヤ回転軸51の中心軸線に沿って右方に進出し、その先端部が結合凹部55に挿入される。これにより、駆動出力部材56と結合凹部55とが相対回転不能に結合される。よって、本体ケーシング2内のモータ(図示せず)からの駆動力により、駆動出力部材56が回転されると、その駆動出力部材56の回転力が駆動力として入力ギヤ45に受けられ、駆動出力部材56とともに入力ギヤ45が回転する。
(2−2)現像ギヤ
現像ギヤ46は、入力ギヤ45の後下方に配置されている。現像ギヤ46は、現像ローラ18が有する現像ローラ軸57に相対回転不能に取り付けられている。現像ローラ軸57は、第1側壁41に対して回転可能に設けられており、その中心軸線が現像ローラ18の回転軸線である第2軸線の一例としての現像回転軸線20(図1参照)となる。現像ギヤ46の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されており、このギヤ歯は、入力ギヤ45の大径ギヤ部52のギヤ歯と噛合している。
(2−3)供給ギヤ
供給ギヤ47は、入力ギヤ45の下方に配置されている。供給ギヤ47は、供給ローラ19(図1参照)が有する供給ローラ軸58に相対回転不能に取り付けられている。供給ローラ軸58は、第1側壁41に対して回転可能に設けられており、その中心軸線が供給ローラ19の回転軸線である供給回転軸線21(図1参照)となる。供給ギヤ47の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されており、このギヤ歯は、入力ギヤ45の小径ギヤ部53のギヤ歯と噛合している。
(2−4)中間ギヤ
中間ギヤ48は、入力ギヤ45の前方に配置されている。中間ギヤ48は、左右方向に延びる中間ギヤ回転軸59を中心に回転可能に設けられている。中間ギヤ回転軸59は、第1側壁41に回転不能に保持されている。
【0042】
そして、中間ギヤ48は、相対的に小さい外径を有する円板状に形成された小径部60と、相対的に大きい外径を有する円筒状に形成された大径部61とを一体的に有している。小径部60および大径部61は、第1側壁41側からこの順に並んでいる。小径部60および大径部61の各中心軸線は、中間ギヤ回転軸59の中心軸線と一致している。
【0043】
小径部60の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。
【0044】
大径部61の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。大径部61のギヤ歯は、入力ギヤ45の小径ギヤ部53のギヤ歯と噛合している。
(2−5)アジテータギヤ
アジテータギヤ49は、中間ギヤ48の前下方に配置されている。アジテータギヤ49は、図2Cに示されるように、アジテータ回転軸62に相対回転不能に取り付けられている。具体的には、アジテータ回転軸62は、第1側壁41を左右方向に貫通している。筐体13内において、アジテータ回転軸62には、アジテータ16が取り付けられている。アジテータ回転軸62の左端部は、その周面の一部が切り落とされた側面視D字状にDカット加工されている。そして、第1側壁41の外側において、アジテータ回転軸62の左端部がアジテータギヤ49を左右方向に貫通して形成された側面視D字状の軸挿通孔63に挿通されることにより、アジテータギヤ49がアジテータ回転軸62に相対回転不能に取り付けられている。
【0045】
アジテータ回転軸62は、第1側壁41および第2側壁42(図2A参照)に回転可能に保持されている。これにより、アジテータ16およびアジテータギヤ49は、アジテータ回転軸62の中心軸線をアジテータ回転軸線17(図1参照)として、アジテータ回転軸62と一体的に回転可能になっている。
【0046】
また、アジテータギヤ49は、大径ギヤ部64、小径ギヤ部65および係合部66を一体的に有している。
【0047】
大径ギヤ部64は、アジテータ回転軸62と中心軸線が一致する円板状をなしている。大径ギヤ部64の周面には、その全周にわたって、ギヤ歯が形成されている。この大径ギヤ部64のギヤ歯は、中間ギヤ48の小径部60のギヤ歯と噛合している。
【0048】
小径ギヤ部65は、大径ギヤ部64に対して第1側壁41と反対側に形成され、アジテータ回転軸62と中心軸線が一致する円板状をなし、大径ギヤ部64よりも小径に形成されている。小径ギヤ部65の周面には、その全周にわたって、第1ギヤ歯の一例としてのギヤ歯67が形成されている。
【0049】
係合部66は、小径ギヤ部65の左端面に設けられている。係合部66は、左右方向に高さを有し、小径ギヤ部65の径方向に延びる側面視略三角形状をなしている。係合部66のアジテータ回転軸62側と反対側の端部は、小径ギヤ部65の1つのギヤ歯67と側面視で同形状に形成され、1つのギヤ歯67と左右方向において完全にオーバラップしている。
(2−6)被検知回転体
被検知回転体50は、アジテータギヤ49の前方に配置されている。被検知回転体50は、図2A〜2Dに示されるように、左右方向に延びる回転軸68を中心に回転可能に設けられている。回転軸68は、第1側壁41に回転不能に保持されている。
【0050】
そして、被検知回転体50は、欠け歯ギヤ部69、嵩上げ部70、円筒部71、第1被検知部72、第2被検知部73および第3被検知部74を一体的に有している。
【0051】
欠け歯ギヤ部69は、図2Dに示されるように、回転軸68と中心軸線が一致する2重円筒状をなしている。
【0052】
外側の円筒状部分の周面、つまり欠け歯ギヤ部69の最外周面には、その一部に第2ギヤ歯の一例としてのギヤ歯76が形成されている。具体的には、欠け歯ギヤ部69の最外周面には、中心角が約230°をなす部分を遮断手段の一例としての欠け歯部分77として、その欠け歯部分77以外の中心角が約130°をなす部分に、ギヤ歯76が形成されている。ギヤ歯76は、アジテータギヤ49の小径ギヤ部65のギヤ歯67よりも歯幅が大きく、その右端面がギヤ歯67の右端面と同一面上に配置されている。これにより、ギヤ歯76の左端部は、被検知回転体50の回転位置に関係なく、ギヤ歯67と噛合せず、ギヤ歯76の左端部以外の部分は、被検知回転体50の回転位置によっては、ギヤ歯67と噛合する。
【0053】
また、欠け歯部分77には、被検知回転体50の回転方向(図2Dにおける反時計回り)の上流側端部に、被係合部78が形成されている。被係合部78は、図2Eに示されるように、被検知回転体の径方向にギヤ歯76の高さとほぼ同じ長さで延びる側面視三角形状をなし、ギヤ歯76の歯列における回転方向の最下流端に配置されたギヤ歯76の左端部に対して回転方向に間隔を空けて対向している。ここで、被係合部78は、ギヤ歯76の歯列における回転方向の最下流端に配置されたギヤ歯76の右端部(具体的には、ギヤ歯76におけるギヤ歯67と噛合しない左端部(前述)より右側の部分)に対しては回転方向において対向していない。これにより、被係合部78は、被検知回転体50の回転位置に関係なく、アジテータギヤ49の小径ギヤ部65のギヤ歯67に当接しない。また、被検知回転体50の回転時に被係合部78が描く回転軌跡は、アジテータギヤ49の回転時に係合部66が描く回転軌跡と一部重なっている。
【0054】
欠け歯ギヤ部69の内側の円筒状部分には、被押圧部79が一体的に形成されている。被押圧部79は、内側の円筒状部分の周面から径方向に延びる第1径方向延設部80と、第1径方向延設部80の先端部から被検知回転体50の回転方向の下流側に向かって、その回転方向に延びる回転方向延設部81と、回転方向延設部81の先端部から円筒状部分の周面に向かって延びる第2径方向延設部82とを有している。第1径方向延設部80は、ギヤ歯76のうちの最下流側に配置されたギヤ歯76と回転軸68とを結ぶ線分に対してほぼ直交する方向(詳細には、その線分に対して約85°の角度をなす方向)に延びている。また、回転方向延設部81は、回転軸68の中心軸線を中心とする中心角が約80°の円弧に沿って形成され、欠け歯部分77に対向している。
【0055】
嵩上げ部70は、回転軸68と中心軸線が一致する円柱状に形成されている。嵩上げ部70には、その中心軸線に沿って貫通孔(図示せず)が形成されており、その貫通孔に、回転軸68が挿通されている。
【0056】
円筒部71は、嵩上げ部70の左端面から突出する円筒状をなしている。円筒部71には、回転軸68の左端部が挿入されている。
【0057】
第1被検知部72は、嵩上げ部70の左端面上を円筒部71から嵩上げ部70の径方向に延びている。被検知回転体50の回転方向において、第1被検知部72の先端部は、欠け歯ギヤ部69のギヤ歯76の歯列の中央部とほぼ同じ位置に配置されている。
【0058】
第2被検知部73は、嵩上げ部70の左端面上を円筒部71から第1被検知部72とほぼ正反対の方向に延びている。被検知回転体50の回転方向において、第2被検知部73の先端部73Aは、欠け歯ギヤ部69の欠け歯部分77の中央部とほぼ同じ位置に配置されている。また、その先端部73Aは、被検知回転体50の回転時に第1被検知部72が描く回転軌跡外に突出し、後述する干渉部材91が当接する被当接部をなしている。
【0059】
第3被検知部74は、被検知回転体50の回転方向(図2Bにおける反時計回り)において、第1被検知部72の上流側かつ第2被検知部73の下流側に設けられ、第1被検知部72が延びる方向および第2被検知部73が延びる方向と直交する方向に延びている。
(3)線ばね
また、第1側壁41の外側には、図2Dに示されるように、被検知回転体50の前方において、円柱状のボス83が突出して形成されている。ボス83には、保持部材の一例としての線ばね84が巻回されている。線ばね84の一端部は、第1側壁41に固定されている。線ばね84の他端部は、被検知回転体50の回転軸68側に延び、途中部が屈曲して、その先端部が欠け歯ギヤ部69の被押圧部79に前側から当接し、被押圧部79を後方に押圧している。
(4)ギヤカバー
そして、図2Bに示されるように、第1側壁41の外側には、ギヤカバー85が取り付けられている。ギヤカバー85は、入力ギヤ45、供給ギヤ47、中間ギヤ48、アジテータギヤ49、被検知回転体50および線ばね84を一括して覆っている。このギヤカバー85には、入力ギヤ45のカップリング部54を露出させるための開口86と、被検知回転体50の嵩上げ部70、円筒部71、第1被検知部72、第2被検知部73および第3被検知部74を露出させるための開口87とが形成されている。
3.干渉部材
本体ケーシング2内には、図3Aに示されるように、現像カートリッジ7の第1側壁41と左右方向に対向し、かつ、第2被検知部73と上下方向に対向する位置に、干渉部材91が設けられている。干渉部材91は、上下方向に厚さを有し、前後方向に延びる板状の支持部92と、支持部92の上面における前後方向の途中部から後上方に傾斜して延び、屈曲して、支持部92と間隔を空けて後方にさらに延びる板状の操作部93とを備えている。
4.検出機構
また、本体ケーシング2内には、図3A〜3Cに示されるように、第1被検知部72、第2被検知部72および第3被検知部74を検出するための検出機構が備えられている。この検出機構は、アクチュエータ94および検知部材の一例としての光センサ95とを含む。
【0060】
アクチュエータ94は、左右方向に延びる揺動軸96と、揺動軸96の右端部から下方に延びる当接レバー97と、揺動軸96における当接レバー97が結合した部分に対して左側に間隔を空けた部分から上方に延びる遮光レバー98とを一体的に備えている。揺動軸96は、たとえば、本体ケーシング2の図示しない内壁部に回転可能に保持されている。当接レバー97と遮光レバー98とは、揺動軸96を中心として約130°の角度をなして交差している。
【0061】
そして、アクチュエータ94は、図3Cに示されるように、当接レバー97が揺動軸96からほぼ鉛直下方に延び、遮光レバー98が揺動軸96から前上方に延びる検知姿勢と、図9Cに示されるように、遮光レバー98が揺動軸96からほぼ鉛直上方に延び、当接レバー97が揺動軸96から前下方に延びる非検知姿勢とに揺動可能であり、図示しないばねのばね力により、そのばね力以外の外力が加わらない状態で被検知姿勢となるように付勢されている。
【0062】
光センサ95は、左右方向に互いに対向して配置される発光素子および受光素子を備えている。そして、光センサ95は、発光素子から受光素子に至る光路が検知姿勢のアクチュエータ94の遮光レバー98により遮られる位置に配置されている。光センサ95は、発光素子から受光素子に至る光路が遮光レバー98により遮られている間、オン信号を出力し、その光路が遮られていない間(発光素子からの光が受光素子に到達している間)は、オフ信号を出力する。
5.現像カートリッジの装着検出および新品検出
図2A〜2Cに示されるように、新品の現像カートリッジ7では、第2被検知部73が円筒部71から鉛直下方に延びている。また、図2Dに示されるように、新品の現像カートリッジ7では、被係合部78がアジテータギヤ49の回転時に係合部66が描く回転軌跡外の位置、具体的には、側面視において、アジテータギヤ49の小径ギヤ部65の上端部と前後方向に対向する位置に配置されている。
【0063】
なお、このときの被検知回転体50の回転位置が、後述する第1回転位置および第2回転位置とは異なる第3回転位置の一例である。
【0064】
本体ケーシング2内への現像カートリッジ7の装着は、フロントカバー7が開かれた状態で行われる。新品の現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着される場合、その装着の途中で、図3A〜3Cに示されるように、第2被検知部73の先端部73Aが干渉部材91の操作部93における傾斜した部分の上面に当接する。そして、その装着に伴う現像カートリッジ7の後方への移動により、第2被検知部73の先端部73Aは、操作部93の傾斜した部分の上面を摺擦しつつ、その傾斜に従って上方に持ち上げられる。これにより、被検知回転体50が図3B〜3Dにおける時計回りに約10°回転し(図12のT1−T2)、図3Dに示されるように、被係合部78が係合部66の回転軌跡上に配置される。
【0065】
現像カートリッジ7の装着が完了すると、図3A〜3Cに示されるように、第1被検知部72の先端部がアクチュエータ94の当接レバー97の下端部に当接して、その下端部を後方へ押圧し、アクチュエータ94が検知姿勢となる。その結果、光センサ95の発光素子から受光素子に至る光路が遮光レバー98により遮られ、光センサ95からオン信号が出力される(図12のT1)。これにより、光センサ95による第1被検知部72の間接的な検出が達成される。
【0066】
なお、このときの被検知回転体50の回転位置が、第1被検知部72が光センサ95に検知される第1回転位置の一例である。
【0067】
現像カートリッジ7の装着が完了し、フロントカバー4が閉じられると、レーザプリンタ1のウォームアップ動作が開始される。このウォームアップ動作では、入力ギヤ45の結合凹部55に駆動出力部材56(図2A参照)が挿入されて、駆動出力部材56から入力ギヤ45に駆動力が入力され、入力ギヤ45が回転する。そして、入力ギヤ45の回転に伴って、現像ギヤ46、供給ギヤ47および中間ギヤ48が回転し、現像ローラ18および供給ローラ19が回転する。また、中間ギヤ48の回転に伴って、アジテータギヤ49が回転し(図12のT3)、アジテータ16(図1参照)が回転する。このアジテータ16の回転により、現像カートリッジ7内のトナーがほぐされる。
【0068】
アジテータギヤ49は、図4C,5C,6Cにその回転位置が順に示されるように、図4C,5C,6Cにおける時計回りに回転する。このとき、係合部66と被係合部78とが接触しておらず、また、アジテータギヤ49の欠け歯ギヤ部69のギヤ歯76とアジテータギヤ49のギヤ歯67とが噛合していないので、図4A〜4D,5A〜5D,6A〜6Dに示されるように、被検知回転体50は回転せず、被検知回転体50の回転位置は変わらない。
【0069】
アジテータギヤ49の回転が進むと、図7A,7C,7Dに示されるように、係合部66が被係合部78に当接する。具体的には、図7Eに示されるように、係合部66が被係合部78に対して上方から当接する。
【0070】
そして、アジテータギヤ49の回転がさらに進むと、図8A,8C,8Dに示されるように、係合部66により被係合部78が押圧され、被検知回転体50が図8A,8C,8Dにおける反時計回りに回転し(図12のT4)、被検知回転体50の欠け歯ギヤ部69のギヤ歯76がアジテータギヤ49のギヤ歯67と噛合する。
【0071】
その後は、アジテータギヤ49の回転に従動して、ギヤ歯76が移動し、被検知回転体50が回転する。被検知回転体50の回転により、図9A〜9Cに示されるように、第1被検知部72の先端部がアクチュエータ94の当接レバー97から離れ、アクチュエータ94が検知姿勢から非検知姿勢となる。その結果、光センサ95の発光素子から受光素子に至る光路上から遮光レバー98が外れ、光センサ95からオフ信号が出力される(図12のT5)。
【0072】
その後、アジテータギヤ49および被検知回転体50の回転が進むと、図10A〜10Cに示されるように、第3被検知部74の先端部がアクチュエータ94の当接レバー97の下端部に当接して、その下端部を後方へ押圧し、アクチュエータ94が非検知姿勢から再び検知姿勢となる。その結果、光センサ95の発光素子から受光素子に至る光路が遮光レバー98により遮られ、光センサ95からオン信号が出力される(図12のT6)。これにより、光センサ95による第3被検知部74の間接的な検出が達成される。
【0073】
アジテータギヤ49および被検知回転体50の回転がさらに進むと、第3被検知部74の先端部がアクチュエータ94の当接レバー97から離れ、アクチュエータ94が検知姿勢から再び非検知姿勢となる。その結果、光センサ95の発光素子から受光素子に至る光路上から遮光レバー98が外れ、光センサ95からオフ信号が出力される(図12のT7)。
【0074】
この後、アジテータギヤ49および被検知回転体50の回転がさらに進むと、図11A〜11Cに示されるように、第2被検知部73の先端部73Aがアクチュエータ94の当接レバー97の下端部に当接して、その下端部を後方へ押圧し、アクチュエータ94が非検知姿勢から再び検知姿勢となる。その結果、光センサ95の発光素子から受光素子に至る光路が遮光レバー98により遮られ、光センサ95からオン信号が出力される(図12のT8)。これにより、光センサ95による第2被検知部73の間接的な検出が達成される。
【0075】
なお、このときの被検知回転体50の回転位置が、第2被検知部73が光センサ95に検知される第2回転位置の一例である。
【0076】
そして、図11Dに示されるように、アジテータギヤ49および被検知回転体50の回転がさらに進み、被検知回転体50のギヤ歯76がアジテータギヤ49のギヤ歯67との噛合が解除されると、被検知回転体50の回転が停止する(図12のT9)。その後は、線ばね84が被検知回転体50の被押圧部79を後方に向けて押圧することにより、被検知回転体50の回転位置がギヤ歯76とギヤ歯67との噛合が解除された時の回転位置に保持され、被検知回転体50が回転することはない。
【0077】
フロントカバー7が閉じられてから一定時間が経過すると、ウォームアップ動作が終了となり、駆動出力部材56を回転させるモータ(図示せず)が停止されて、駆動出力部材56から入力ギヤ45への駆動力の入力が停止する。
【0078】
このように、新品の現像カートリッジ7が本体ケーシング2に初めて装着されると、光センサ95からオフ信号が出力される状態が2回生じる。したがって、現像カートリッジ2が本体ケーシング2に装着された後、光センサ95からオフ信号が出力される状態が2回生じた場合には、その現像カートリッジ2が新品であると判別することができる。
【0079】
さらに、現像カートリッジ7が新品である場合には、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されると、第1被検知部72の先端部がアクチュエータ94の当接レバー97の下端部を後方へ押圧し、アクチュエータ94が検知姿勢となり、光センサ95からオン信号が出力される。また、現像カートリッジ7が旧品であっても、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されると、第2被検知部73の先端部73Aがアクチュエータ94の当接レバー97の下端部を後方へ押圧し、アクチュエータ94が検知姿勢となり、光センサ95からオン信号が出力される。よって、現像カートリッジ7が新品であるか旧品であるかにかかわらず、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された状態では、光センサ95からオン信号が出力されるので、これに基づいて、本体ケーシング2内に現像カートリッジ7が装着されているか否かを判別することができる。
【0080】
なお、第3被検知部74は、省略されてもよい。第3被検知部74が省略される場合、新品の現像カートリッジ2が本体ケーシング2に装着されると、図13に示すように、時間T6−T7において光センサ95からオン信号が出力されず、光センサ95からオフ信号が出力される状態が1回のみ生じる。したがって、光センサ95からオフ信号が出力される状態が1回生じたことにより、その現像カートリッジ2が新品であると判断することができる。
【0081】
たとえば、第3被検知部74が設けられている現像カートリッジ2の筐体13内には、トナーが相対的に多量に収容され、第3被検知部74が省略された現像カートリッジ2の筐体13内には、トナーが相対的に少量に収容されて、これらが選択的に本体ケーシング2内に装着される場合、新品の現像カートリッジ2が装着された後に、光センサ95からオフ信号が出力される状態が生じた回数により、その現像カートリッジ7の種別を判別することができる。
【0082】
このような現像カートリッジ7の装着の有無および現像カートリッジ7の新旧の判別は、マイクロコンピュータを備える制御部(図示せず)により行われる。具体的には、現像カートリッジ7の装着の有無および現像カートリッジ7の新旧の判別のために、制御部により、たとえば、図18のフローチャートに示される処理が実行される。
【0083】
図18のフローチャートは、フロントカバー7が閉じられたことに応答して実行される。
【0084】
フロントカバー7が閉じられると、まず、光センサ95の出力信号がオン信号(ON)であるか否かが調べられる(S1)。
【0085】
光センサ95の出力信号がオン信号であれば(S1:YES)、ウォームアップ動作が開始され、入力ギヤ45の結合凹部55に駆動出力部材56が結合した状態で、駆動出力部材56を回転させるためのモータ(図示せず)の駆動が開始される(S2)。
【0086】
モータの駆動中は、光センサ95の出力信号の状態が常に監視されている(S3)。すなわち、制御部により、光センサ95の出力信号が一定周期でサンプリングされ、光センサ95の出力信号がオン信号であるかオフ信号であるかが繰り返し調べられている。光センサ95の出力信号がオン信号からオフ信号に切り替わると、その度に制御部内のカウンタの値がインクリメント(+1)される。カウンタの値は、この処理の開始時に零にリセットされている。
【0087】
モータの駆動開始から一定時間が経過すると(S4:YES)、モータの駆動が停止され、ウォームアップ動作が終了となる。
【0088】
そして、モータが駆動されていた期間(モニタ期間)における光センサ95からのオフ信号の出力の有無が調べられる(S5)。具体的には、制御部内のカウンタの値が1または2であるか零であるかが調べられる。
【0089】
カウンタの値が1または2であれば、現像カートリッジ7が新品であると判別される(S6)。より詳細な一例では、カウンタの値が1であれば、現像カートリッジ7が新品かつ相対的に少ない量のトナーを収容したものであると判別され、カウンタの値が2であれば、現像カートリッジ7が新品かつ相対的に多い量のトナーを収容したものであると判別される。
【0090】
一方、カウンタの値が零であれば、現像カートリッジ7が旧品であると判別される(S7)。
【0091】
また、フロントカバー7が閉じられた直後の光センサ95の出力信号がオフ信号である場合(S1:NO)、本体ケーシング2内に現像カートリッジ7が装着されていないと判別される(S8)。
6.作用効果
(1)作用効果1
以上のように、筺体13の第1側壁41の外側には、入力ギヤ45および被検知回転体50がそれぞれ互いに平行に延びる入力ギヤ回転軸51および回転軸68の各中心軸線を中心に回転可能に設けられている。入力ギヤ回転軸51および回転軸68の中心軸線は、それぞれ第1軸線および第3軸線の一例である。また、第1側壁41と第2側壁42との間には、現像ローラ18が現像回転軸線20を中心に回転可能に設けられている。
【0092】
入力ギヤ45には、本体ケーシング2内に備えられた駆動出力部材56が接続されて、駆動出力部材56から駆動力が入力される。この入力ギヤ45に入力される駆動力(入力ギヤ45が駆動出力部材56から受ける駆動力)により、現像ローラ18および被検知回転体50が回転する。
【0093】
被検知回転体50は、第1被検知部72および第2被検知部73を有している。そして、被検知回転体50は、入力ギヤ45に入力される駆動力により、第1被検知部72が光センサ95に検知される第1回転位置から、第2被検知部73が光センサ95に検知される第2回転位置に回転する。これにより、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されてから、被検知回転体50が回転した場合には、光センサ95により第1被検知部72および第2被検知部73の両方が検知されるので、これに基づいて、現像カートリッジ7が新品であるという情報を取得することができる。
【0094】
そして、被検知回転体50が第2回転位置まで回転すると、入力ギヤ45から被検知回転体50への駆動力の伝達が遮断される。これにより、被検知回転体50は、その回転位置が第2回転位置である状態で停止する。そのため、現像カートリッジが本体ケーシング2内に装着されている間、第2被検知部73が光センサ95に検知され続ける。よって、光センサ95により第2被検知部73が検知されているか否かに基づいて、本体ケーシング2内に現像カートリッジ7が装着されているか否かを判定することができる。
【0095】
その結果、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されている間、光センサ95の出力を有効に利用することができる。
【0096】
よって、現像カートリッジ7は、従来の現像カートリッジ(現像カートリッジが新品であるか旧品であるかという情報のみしか取得できない現像カートリッジ)よりも便利である。
(2)作用効果2
そして、現像カートリッジ7には、線ばね84が備えられている。そのため、第2被検知部73がアクチュエータ94の当接レバー97に当接し、アクチュエータ94に備えられるばね(図示せず)の付勢力が第2被検知部73に作用していても、線ばね84による被検知回転体50の被押圧部79の押圧により、被検知回転体50が第2回転位置に位置する状態が保持される。そのため、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されている間、第2被検知部73が光センサ95により検知され続ける。よって、光センサ95により第2被検知部が検知されているか否かに基づいて、本体ケーシング2内に現像カートリッジ7が装着されているか否かを良好に判定することができる。
(3)作用効果3
本体ケーシング2内には、干渉部材91が固定的に配置されている。そして、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着される過程において、第2被検知部73が干渉部材91に当接し、被検知回転体50は、第1回転位置および第2回転位置と異なる第3回転位置から第1回転位置まで回転する。これにより、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着される前の状態で、被検知回転体50の回転位置が第3回転位置であっても、その被検知回転体50の回転位置を第3回転位置から第1回転位置に確実に変位させることができる。
【0097】
被検知回転体50の回転位置が第3回転位置であるときには、入力ギヤ45に駆動力が入力されても、被検知回転体50が回転しないので、現像カートリッジ7の組立後に、被検知回転体50を回転させることなく、現像カートリッジ7の動作確認を行うことができる。したがって、現像カートリッジ7の動作確認が行われても、被検知回転体50が意図しない位置に回転することがない。そのため、動作確認後においても、被検知回転体50の第1被検知部72、第2被検知部73および第3被検知部74が適正な位置に維持される。そのため、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された後に、光センサ95により第1被検知部72を検知することができ、これに基づいて、現像カートリッジ7の装着の有無を良好に検出することができる。
(4)作用効果4
第1被検知部72および第2被検知部73は、被検知回転体50の回転半径方向に延びている。第2被検知部73は、被検知回転体50の回転時に第1被検知部72が描く回転軌跡外に突出し、その突出する部分82は、本体ケーシング2内への現像カートリッジ7の装着時に干渉部材91が当接する被当接部とされている。これにより、第2被検知部73に干渉部材91を確実に当接させることができながら、被検知回転体50の回転時に、第1被検知部72が干渉部材91に当接することを防止できる。
(5)作用効果5
また、第1側壁41の外側には、アジテータギヤ49が第4軸線および第5軸線の一例としてのアジテータ回転軸62の中心軸線を中心に回転可能に設けられている。アジテータギヤ49は、入力ギヤ45が受ける駆動力により回転する。
【0098】
アジテータギヤ49の小径ギヤ部65の周面には、ギヤ歯67が形成されている。
【0099】
一方、被検知回転体50の欠け歯ギヤ部69の周面には、一部を欠け歯部分77として、欠け歯部分77以外の部分に、ギヤ歯67と噛合可能なギヤ歯76が形成されている。
【0100】
そして、被検知回転体50の回転位置が第3回転位置および第1回転位置であるときに、被検知回転体50の欠け歯部分77がアジテータギヤ49のギヤ歯67に対向する。そのため、被検知回転体50の回転位置が第3回転位置および第1回転位置であるときには、入力ギヤ45が受ける駆動力により、アジテータギヤ49が回転しても、直ちには、被検知回転体50のギヤ歯76がアジテータギヤ49のギヤ歯67と噛合しない。よって、被検知回転体50の回転位置が第3回転位置および第1回転位置であるときに、被検知回転体50がアジテータギヤ49の回転に直ちに従動することを防止できる。
(6)作用効果6
アジテータギヤ49には、係合部66が形成されている。
【0101】
一方、被検知回転体50は、被係合部78を有している。被係合部78は、被検知回転体50の回転時に描く回転軌跡がアジテータギヤ49の回転時に係合部66が描く回転軌跡と一部重なるように設けられている。
【0102】
被検知回転体50の回転位置が第3回転位置であるときには、被係合部78は、係合部66の回転軌跡外に配置されている。したがって、この状態でアジテータギヤ49(係合部66)が回転しても、係合部66が被係合部78に係合しない。そして、被検知回転体50が第3回転位置から第1回転位置まで回転すると、被係合部78が係合部66の回転軌跡上に配置される。この状態で、アジテータギヤ49が回転すると、係合部66が被係合部78に係合する。
【0103】
ギヤ歯76がアジテータギヤ49のギヤ歯67と噛合していないので、係合部66が被係合部78に係合するまでは、被検知回転体50は、その回転位置を変えずに静止している。係合部66が被係合部78に係合した後、係合部66がさらに回転することにより、係合部66から被係合部78に力が加えられて、被検知回転体50が回転し始める。そして、被検知回転体50の回転位置が所定範囲内になると、ギヤ歯76がアジテータギヤ49に接触する。したがって、それ以後は、ギヤ歯76がアジテータギヤ49の回転に従動し、これにより被検知回転体50が回転する。
【0104】
よって、現像カートリッジ7が本体ケーシング2に装着されて、駆動出力部材56の始動直後(入力ギヤ45への駆動力の入力開始直後)は、被検知回転体50が回転せず、駆動出力部材56の始動から係合部66が被係合部78に係合するまでに要する時間が経過した後、被検知回転体50が回転し始める。これにより、駆動出力部材56から入力ギヤ45に入力される駆動力が安定した後に、被検知回転体50を安定して回転させることができる。したがって、第1被検知部72および第2被検知部73を安定した速度で移動させることができる。
(7)作用効果7
また、現像カートリッジ7には、アジテータ16が備えられている。アジテータ16は、アジテータ回転軸62の中心軸線(第4軸線と同一の軸線である第6軸線の一例)を中心に回転する。このアジテータ16の回転により、筺体13内に収容されているトナーを攪拌することができる。
【0105】
新品の現像カートリッジ7では、筐体13内のトナーが固まっている場合がある。この場合、新品の現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されて、入力ギヤ45が駆動出力部材56から受ける駆動力によりアジテータギヤ49が回転し始めた直後は、アジテータギヤ49と一体的に回転するアジテータ16に大きな負荷(抵抗)が加わる。そして、トナーがほぐれ始めると、アジテータ16に加わる負荷が小さくなり、その負荷の大きさがほぼ一定に落ち着く。したがって、アジテータギヤ49が回転し始めてからトナーがほぐれるまでの間は、アジテータギヤ49の回転が不安定になる。
【0106】
被検知回転体50は、駆動出力部材56の始動直後(入力ギヤ45への駆動力の入力開始直後)は、アジテータギヤ49の回転に従動せず、駆動出力部材56の始動から係合部66が被係合部78に係合するまでに要する時間が経過した後、アジテータギヤ49の回転に従動する。よって、筐体内のトナーがほぐれた後に、被検知回転体50をアジテータギヤ49の回転に従動させることができる。その結果、被検知回転体50の回転を一層安定させることができ、第1被検知部72および第2被検知部をより安定した速度で移動させることができる。
(8)作用効果8
また、第1被検知部72と第2被検知部73とが被検知回転体50の回転方向に互いに離れて配置されているので、被検知回転体50が360°回転しなくても、その回転位置が第1被検知部72が光センサ95に検知される第1回転位置から第2被検知部73が光センサ95に検知される第2回転位置に変位する。そのため、被検知回転体50が欠け歯ギヤ部69を備えることにより、被検知回転体50が第2回転位置まで回転したときに、アジテータギヤ49から被検知回転体50への駆動力の伝達を遮断することができながら、第1被検知部72および第2被検知部73を備えることにより、被検知回転体50を360°回転させずに、光センサ95による第1被検知部72および第2被検知部73の検知を達成することができる。
【0107】
たとえば、第2被検知部73を省略して、光センサ95による第1被検知部72の検知のみにより、現像カートリッジ7が新品であるか否かの判別と、現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着されているか否かの判別との両方を行うことが考えられる。
【0108】
この場合、新品の現像カートリッジ7が本体ケーシング2内に装着された時点で、第1被検知部72がアクチュエータ94の当接レバー97に当接し、第1被検知部72が光センサ95により検知される必要がある。そして、被検知回転体50の回転により、第1被検知部72が当接レバー97から一旦離れた後、被検知回転体50が現像カートリッジ7の装着時から360°回転して、第1被検知部72が当接レバー97に再び当接し、第1被検知部72が光センサ95により検知される必要がある。さらに、被検知回転体50が360°回転した時点で、アジテータギヤ49から被検知回転体50への駆動力の伝達を遮断しなければならない。
【0109】
これら3つの要件は、欠け歯ギヤ部69を備える構成では満たすことができず、それらの要件を満たすためには、クラッチ機構などの複雑な機構を備えなければならず、現像カートリッジ7(レーザプリンタ1)の構成が複雑になるうえ、そのコストが増大する。
【0110】
第1被検知部72と別に第2被検知部73を備え、欠け歯ギヤ部69を備えることにより、現像カートリッジ7の構成の複雑化およびコストの増大を押さえることができながら、現像カートリッジ7の新品/旧品および本体ケーシング2内における現像カートリッジ7の装着の有無を良好に判別するための3つの要件を満たすことができる。
7.変形例
(1)変形例1
レーザプリンタ1では、アジテータギヤ49の小径ギヤ部65に係合部66が一体的に形成されている。しかしながら、図14に示すように、小径ギヤ部65と別部材として、たとえば、円柱状の結合部材141が設けられて、この結合部材141に係合部66がその周面から突出するように形成され、結合部材141が小径ギヤ部65に対して一体的に回転可能なように(相対回転不能に)結合されていてもよい。
【0111】
この場合、小径ギヤ部65と結合部材141とは、図14に示されるように、たとえば、結合部材141において小径ギヤ部65側に延びる2つのボス142を小径ギヤ部65に設けられた凹部143に嵌め合わせることにより、一体的に回転することが可能になる。
(2)変形例2
また、図15に示すように、係合部66は、中間ギヤ48から駆動力が伝達される別のギヤ151にその先端がギヤ151の周面から突出するように形成され、ギヤ151の回転により被係合部78を押圧してもよい。この場合、被検知回転体50は、まず、ギヤ151に設けられた係合部66と被係合部78と接触することにより、欠け歯ギヤ部69がアジテータ49の小径ギヤ部65から駆動を受ける位置に回転することになる。
(3)変形例3
第1被検知部72と第2被検知部73とは、一体化されていてもよい。たとえば、図16に示すように、第1被検知部72と第3被検知部74との間および第3被検知部74と第2被検知部73との間に、それぞれ円筒部71の外周面に沿って延びる非検知部の一例としての連結部161,162が形成されて、第1被検知部72、第2被検知部73および第3被検知部74が一体化されていてもよい。ただし、この場合、連結部161,162の高さ(被検知回転体50の回転半径方向の長さ)は、第1被検知部72および第2被検知部73の長さよりも小さく、アクチュエータ94の当接レバー97が連結部161,162に当接しても、アクチュエータ94の遮光レバー98が光センサ95の光路上から外れない程度に形成される。
(4)変形例4
レーザプリンタ1では、被検知回転体50に、欠け歯ギヤ部69が備えられ、その欠け歯ギヤ部69の最外周面に、ギヤ歯76が形成されている。しかしながら、欠け歯ギヤ部69の外側の円筒状部分に代えて、たとえば、図17に示すように、被検知回転体50の回転軸68を中心とする扇形板状の本体171と、少なくとも外周面がゴムなどの摩擦係数が比較的大きい材料により形成され、本体171の周縁に沿って立設された壁部172の外周に巻回される抵抗付与部材173とが設けられてもよい。この場合、アジテータギヤ49の小径ギヤ部65の周面には、ギヤ歯67が形成されていてもよいし、ギヤ歯67が形成されていなくてもよい。そして、本体171および抵抗付与部材173は、抵抗付与部材173の外周面における2つの平面のなす角度が約230°であり、それらの平面が小径ギヤ部65と接触せず、その外周面における円弧面が小径ギヤ部65の周面が小径ギヤ部65の周面と接触するサイズに形成される。
【0112】
(5)変形例5
現像カートリッジ7の装着の有無および現像カートリッジ7の新旧の判別のために、図18のフローチャートに示される処理に代えて、制御部により、図19のフローチャートに示される処理が実行される。
【0113】
図19のフローチャートは、フロントカバー7が閉じられたことに応答して実行される。
【0114】
フロントカバー7が閉じられると、ウォームアップ動作が開始され、入力ギヤ45の結合凹部55に駆動出力部材56が結合した状態で、駆動出力部材56を回転させるためのモータ(図示せず)の駆動が開始される(S11)。
【0115】
モータの駆動中は、光センサ95の出力信号の状態が常に監視されている(S12)。すなわち、制御部により、光センサ95の出力信号が一定周期でサンプリングされ、光センサ95の出力信号がオン信号であるかオフ信号であるかが繰り返し調べられている。光センサ95の出力信号がオン信号からオフ信号に切り替わると、その度に制御部内のカウンタの値がインクリメント(+1)される。カウンタの値は、この処理の開始時に零にリセットされている。
【0116】
モータの駆動開始から一定時間が経過すると(S13:YES)、モータの駆動が停止され、ウォームアップ動作が終了となる。
【0117】
この後、光センサ95の出力信号がオン信号(ON)であるか否かが調べられる(S14)。
【0118】
光センサ95の出力信号がオン信号であれば(S14:YES)、つづいて、モータが駆動されていた期間(モニタ期間)における光センサ95からのオフ信号の出力の有無が調べられる(S15)。具体的には、制御部内のカウンタの値が1または2であるか零であるかが調べられる。
【0119】
カウンタの値が1または2であれば、現像カートリッジ7が新品であると判別される(S16)。より詳細な一例では、カウンタの値が1であれば、現像カートリッジ7が新品かつ相対的に少ない量のトナーを収容したものであると判別され、カウンタの値が2であれば、現像カートリッジ7が新品かつ相対的に多い量のトナーを収容したものであると判別される。
【0120】
一方、カウンタの値が零であれば、現像カートリッジ7が旧品であると判別される(S17)。
【0121】
また、ウォームアップ動作が終了した時点での光センサ95の出力信号がオフ信号である場合(S14:NO)、本体ケーシング2内に現像カートリッジ7が装着されていないと判別される(S18)。
【0122】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 レーザプリンタ
2 本体ケーシング
7 現像カートリッジ
13 筺体
16 アジテータ
17 アジテータ回転軸線
18 現像ローラ
20 現像回転軸線
41 第1側壁
42 第2側壁
45 入力ギヤ
49 アジテータギヤ
50 被検知回転体
51 入力ギヤ回転軸
56 駆動出力部材
62 アジテータ回転軸
66 係合部
67 ギヤ歯
68 回転軸
69 欠け歯ギヤ部
72 第1被検知部
73 第2被検知部
76 ギヤ歯
77 欠け歯部分
78 被係合部
84 線ばね
91 干渉部材
95 光センサ
101 リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体内に着脱可能に装着される現像カートリッジであって、
互いに対向して配置される第1側壁および第2側壁を有し、内部に現像剤を収容する筺体と、
前記第1側壁の外側に、前記第1側壁および前記第2側壁の対向方向に延びる第1軸線を中心に回転可能に設けられ、前記装置本体内に備えられた駆動出力部材が接続されて、前記駆動出力部材から駆動力を受ける受動部材と、
前記第1側壁と前記第2側壁との間に、前記第1軸線と間隔を空けて平行に延びる第2軸線を中心に回転可能に保持され、前記受動部材が受ける駆動力により回転する現像ローラと、
前記第1側壁の外側に、前記第1軸線と間隔を空けて平行に延びる第3軸線を中心に回転可能に設けられ、第1被検知部、および前記第1被検知部に対して前記第3軸線を中心とする回転方向に間隔を空けて配置される第2被検知部を有し、前記受動部材が受ける駆動力により、前記第1被検知部が前記装置本体内に備えられた検知部材に検知される第1回転位置から、前記第2被検知部が前記検知部材に検知される第2回転位置に回転する被検知回転体と、
前記被検知回転体が前記第2回転位置に位置する状態で、前記受動部材から前記被検知回転体への駆動力の伝達を遮断する遮断手段とを備える、現像カートリッジ。
【請求項2】
前記被検知回転体が前記第2回転位置に位置する状態を保持する保持部材を備えている、請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項3】
前記被検知回転体は、前記第1被検知部と前記第2被検知部との間に、前記第1回転位置から前記第2回転位置への回転中に前記検知部材に検知されない非検知部を有している、請求項1または2に記載の現像カートリッジ。
【請求項4】
前記被検知回転体は、当該現像カートリッジが前記装置本体に装着される過程において、前記第2被検知部が前記装置本体内に固定的に配置された干渉部材に当接し、前記第1回転位置および前記第2回転位置と異なる第3回転位置から前記第1回転位置に回転する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像カートリッジ。
【請求項5】
前記第1被検知部および前記第2被検知部は、前記被検知回転体の回転半径方向に延び、
前記第2被検知部は、前記被検知回転体の回転時に前記第1被検知部が描く回転軌跡外に突出し、前記干渉部材に当接する被当接部を有している、請求項4に記載の現像カートリッジ。
【請求項6】
前記第1側壁の外側に、前記第3軸線と間隔を空けて平行に延びる第4軸線を中心に回転可能に設けられ、前記第4軸線を中心とする周面に第1ギヤ歯が形成され、前記受動部材が受ける駆動力により回転する中間回転体を備え、
前記被検知回転体は、前記第3軸線を中心とする周面の一部を欠け歯部分として、当該周面における前記欠け歯部分以外の部分に形成され、前記第1ギヤ歯と噛合可能な第2ギヤ歯を有し、
前記遮断手段は、前記欠け歯部分である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像カートリッジ。
【請求項7】
前記第1側壁の外側において、前記第1軸線と間隔を空けて平行に延びる第5軸線を中心に回転可能に設けられ、前記受動部材が受ける駆動力により回転する係合部を備え、
前記被検知回転体は、当該被検知回転体の回転時に描く回転軌跡が前記係合部が描く回転軌跡と一部重なるように、前記第3軸線上から外れた位置に設けられた被係合部とを有し、
前記被検知回転体の回転位置が前記第1回転位置であるときに、前記欠け歯部分が前記第1ギヤ歯に対向し、前記被係合部が前記係合部の回転軌跡上に配置される、請求項6に記載の現像カートリッジ。
【請求項8】
前記係合部は、前記中間回転体に設けられ、
前記第5軸線は、前記第4軸線と同一の軸線である、請求項7に記載の現像カートリッジ。
【請求項9】
前記筺体に前記第1軸線と間隔を空けて平行に延びる第6軸線を中心に回転可能に保持され、前記受動部材が受ける駆動力により回転し、前記筺体内に収容されている現像剤を攪拌するアジテータを備えている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の現像カートリッジ。
【請求項10】
前記第4軸線は、前記第6軸線と同一の軸線であり、
前記中間回転体は、前記アジテータと一体的に回転するアジテータギヤである、請求項9に記載の現像カートリッジ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−203362(P2011−203362A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68572(P2010−68572)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】