説明

現像装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に可変調整する。
【解決手段】現像装置9として、少なくとも表面粗さが最大高さ5μm以下の平滑面3aとして形成されて回転する中空状の現像回転体3、及び、現像回転体3内に固定的に内包され且つ周囲に複数の磁極5が配列される磁石部材4を有する現像剤保持体2と、現像回転体3と非接触な間隙を介して対向配置され且つ現像回転体3との対向部位にて少なくとも現像回転体3と同方向に回転可能な層規制回転体6と、現像動作時には現像剤保持体2の現像回転体3及び層規制回転体6を回転駆動すると共に、現像剤保持体2上で規制すべき現像剤G層の増減に伴って層規制回転体6の周速vを増減させるように、層規制回転体6の周速vを可変調整する現像駆動装置10と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置で用いられる現像装置としては例えば特許文献1〜4記載のものが挙げられる。
特許文献1は、環境条件(温度・湿度)等の外乱に対して層形成したトナー濃度を安定させるために、層形成ロールと現像剤担持体表面とを互いに反対方向に移動させ、両者の相対移動差による摩擦帯電でトナー帯電量を変化させ、層形成したトナー濃度を制御する技術である。
特許文献2は、現像スリーブ上の現像剤層厚を一定に規制し、かつ、現像スリーブ等にトナー融着の発生しないように、現像スリーブ内にマグネットローラを設けると共に、現像スリーブに押圧する現像剤量規制体である円柱棒を設け、現像スリーブの表面はサンドブラスト処理を施した後に鏡面加工を施し、円柱棒の表面には離型性が良好で低摩擦性かつ耐熱性を有する材料で被覆されている技術である。
特許文献3は、現像スリーブ上のトナー層厚を均一に塗布し、トナーの帯電ムラを緩和するために、現像スリーブ表面の表面粗さを0.5μm以上1.5μm以下に設定する技術である。
特許文献4は、現像剤の現像位置への出し入れを容易に制御可能とするために、現像剤の現像位置への混入を遮断する時に、マグネットが層厚規制位置まで回動し、対向する固定マグネットローラの磁極とマグネットの磁極とにより磁気ブリッジを形成し、現像剤の侵入を遮断する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−118575号公報(実施例,第1図)
【特許文献2】特開平5−19631号公報(実施例,図1)
【特許文献3】特開平7−181806号公報(実施例,図1)
【特許文献4】特開平11−249424号公報(発明の実施の形態,図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に可変調整する現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、トナー像が保持可能な像保持体に対向配置され且つ少なくとも表面粗さが最大高さで5μm以下の平滑面として形成されて回転する中空状の現像回転体、及び、この現像回転体内に固定的に内包され且つ周囲に複数の磁極が配列される磁石部材を有し、現像回転体を回転させることで磁石部材の磁極による磁力にて現像回転体上にトナー及びキャリアが含まれる現像剤を保持する現像剤保持体と、この現像剤保持体上に保持される現像剤層を規制するように、前記現像回転体と非接触な間隙を介して対向配置され且つ前記現像回転体との対向部位にて少なくとも前記現像回転体と同方向に回転可能な層規制回転体と、現像動作時には前記現像剤保持体の現像回転体及び層規制回転体を回転駆動すると共に、現像剤保持体上で規制すべき現像剤層の増減に伴って層規制回転体の周速を増減させるように、層規制回転体の周速を可変調整する現像駆動装置と、を備えたことを特徴とする現像装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る現像装置において、現像剤保持体の磁石部材は、前記層規制回転体と前記現像回転体との最近接部位に30mT以上60mT以下の磁力が生成される層規制用磁極を有することを特徴とする現像装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る現像装置において、現像剤保持体の磁石部材は、層規制回転体と現像回転体との最近接部位よりも現像剤搬送方向上流側に偏ってピーク磁力が位置するように層規制用磁極を配置したものであることを特徴とする現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る現像装置において、前記層規制回転体は、表面粗さが最大高さ5μm以下の平滑面を有するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る現像装置において、前記層規制回転体は、前記現像回転体との間に60μmないし1mmの間隙を有するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る現像装置において、前記現像駆動装置は、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、前記層規制回転体を通過して像保持体と現像剤保持体との間の現像位置に向かう現像剤保持体上の現像剤層を略0にすることを特徴とする現像装置である。
【0007】
請求項7に係る発明は、トナー像が保持可能な像保持体と、この像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、像保持体上に形成された静電潜像をトナーにて現像する請求項1ないし6いずれかに係る現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る画像形成装置において、前記現像駆動装置は、画像形成装置の使用条件に応じて現像に供する現像剤層が算出される算出部と、この算出部にて算出された現像剤層を得るように前記層規制回転体の周速を決定する周速決定部とを有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項9に係る発明は、各色成分のトナー像が保持可能な像保持体と、この像保持体上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体の周囲に複数設けられ、前記像保持体上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて選択的に現像する請求項6に係る現像装置とを備え、非現像動作状態の現像装置では、前記現像駆動装置は、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、前記現像回転体を回転駆動停止することを特徴とする画像形成装置である。
請求項10に係る発明は、各色成分のトナー像が保持可能な複数の像保持体と、各像保持体上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置と、各像保持体に対応して夫々設けられ、各像保持体上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて現像する請求項6に係る現像装置と、複数の色成分画像を形成する複数色作像制御処理と、単色の色成分画像を形成する単色作像制御処理とを切替えて実行する作像制御装置とを備え、前記作像制御装置が複数色作像制御処理から単色作像制御処理に切り替える時に、非現像動作状態になる現像装置では、前記現像駆動装置は、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、前記現像回転体を回転駆動停止することを特徴とする画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、各色成分のトナー像が保持可能な像保持体と、この像保持体上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて現像する請求項6に係る複数の現像装置を回転支持体に回転可能に支持し、前記像保持体に対向する現像位置に対し各現像装置を切替選択可能に回転移動する回転型現像組立体とを備え、回転型現像組立体の各現像装置における現像駆動装置は、回転型現像組立体の各現像装置による現像動作終了時に、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、前記現像回転体を回転駆動停止し、回転支持体を回転することで前記現像位置に次色の現像装置を切替選択することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に可変調整することができる。
請求項2に係る発明によれば、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層をストレスの少ない状態で容易に可変調整することができる。
請求項3に係る発明によれば、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層をストレスを抑えた状態で容易に可変調整することができる。
請求項4に係る発明によれば、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に且つ細かいレベルで可変調整することができる。
請求項5に係る発明によれば、層規制回転体と現像剤保持体との間の層規制位置における現像剤層の充填密度を良好に保つことができ、現像剤層二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に可変調整することができる。
請求項6に係る発明によれば、現像剤層二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に可変調整することができ、必要に応じて、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置に向かう現像剤層を略0にすることができる。
請求項7に係る発明によれば、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を容易に可変調整することが可能な現像装置を含む画像形成装置を簡単に構築することができる。
請求項8に係る発明によれば、二成分現像剤を用いた方式にて現像剤保持体上に保持可能な現像剤層を画像形成装置の使用条件に応じて容易に可変調整することが可能な現像装置を含む画像形成装置を簡単に構築することができる。
請求項9に係る発明によれば、一つの像保持体を複数回転させる作像方式の画像形成装置において、非現像動作状態の現像装置について像保持体と現像剤保持体との現像位置から現像剤を容易に除去することができ、像保持体上に保持された既存のトナー像を乱す事態を回避することができる。
請求項10に係る発明によれば、複数の像保持体を有する作像方式の画像形成装置において、複数色作像処理から単色作像処理に切り替えるときに、非現像動作状態になる現像装置については、現像回転体を回転駆動停止する前に、像保持体と現像剤保持体との現像位置から現像剤を除去することができる。このため、単色作像処理に切り替わった時に、非現像動作状態になる現像装置において現像回転体が回転駆動停止したとしても、現像位置に現像剤が溢れて部分的に過剰になり、像保持体を汚す懸念はない。
請求項11に係る発明によれば、回転型現像組立体を備えた画像形成装置において、現像動作が終了する現像装置については、現像回転体を回転駆動停止する前に、像保持体と現像剤保持体との現像位置から現像剤を除去した後に、回転支持体を回転させて次色の現像装置を前記現像位置に回転移動させることができる。このため、回転支持体を回転させることで現像装置を切替選択するときに、現像装置に遠心力や衝撃が作用したとしても、現像装置から現像剤が飛散して像保持体を汚す事態を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
【図2】(a)〜(c)は図1の現像装置における層規制回転体の周速vを変化させたときの当該像規制回転体付近の現像剤の搬送挙動を示す説明図であり、(a)はv=vr1のとき、(b)はv=vr2>vr1のとき、(c)はv=0又は<0のときを示す。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【図4】(a)は実施の形態1で用いられる現像装置の現像ロールと回転トリマとのレイアウトを示す説明図、(b)は現像ロールの磁石ロールの磁極による磁束密度分布例を示す説明図である。
【図5】(a)は現像装置の駆動伝達系を示す説明図、(b)はその駆動状態を模式的に示す説明図である。
【図6】現像装置の駆動制御系を示す説明図である。
【図7】実施の形態1で用いられる現像装置の駆動制御系にて採用される画像情報によるMOS(Mass on the sleeve)量制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施の形態1で用いられる現像装置の駆動制御系にて採用される使用履歴情報によるMOS量制御の一例を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1で用いられる現像装置の駆動制御系にて採用される環境情報によるMOS量制御の一例を示すフローチャートである。
【図10】(a)は実施の形態1で用いられる現像装置の回転トリマの周速変化に伴うMOS変化を示す説明図、(b)は回転トリマ周速比とMOSとの関係を示すグラフ図である。
【図11】(a)〜(c)は実施の形態1で用いられる現像装置において回転トリマの周速vを変化させたときのMOSの変化状態を示す説明図であり、(a)はv=vr1のとき、(b)はv=vr2≠vr1のとき、(c)はVr=0(又は<0)のときである。
【図12】(a)〜(e)は実施の形態2に係る画像形成装置として、一つの感光体を複数回転させる作像方式の画像形成装置について、各色成分現像装置の現像時又は非現像時の作動状態を示す説明図(1)である。
【図13】(a)〜(d)は実施の形態2に係る画像形成装置について、各色成分現像装置の現像時又は非現像時の作動状態を示す説明図(2)である。である。
【図14】(a)〜(c)は実施の形態3に係る画像形成装置として、複数の感光体を有するタンデム作像方式の画像形成装置について、フルカラーモードから単色黒(単K)モードに切り替えるときの各色成分現像装置の作動状態を示す説明図(1)である。
【図15】(a)〜(c)は実施の形態3に係る画像形成装置について、フルカラーモードから単色黒(単K)モードに切り替えるときの各色成分現像装置の作動状態を示す説明図(2)である。
【図16】(a)〜(f)は実施の形態4に係る画像形成装置として、回転型現像ユニットを備えた画像形成装置について、フルカラーモードにおける回転型現像ユニットの各色成分現像装置の作動状態を示す説明図(1)である。
【図17】(a)〜(f)は実施の形態4に係る画像形成装置について、フルカラーモードにおける回転型現像ユニットの各色成分現像装置の作動状態を示す説明図(2)である。
【図18】(a)は実施例(実施例1,2)に係る現像装置の態様を示す説明図、(b)は比較例(比較例1,2)に係る現像装置の態様を示す説明図である。
【図19】(a)は実施例で用いられる現像スリーブ(平滑スリーブ)の表面状態を示す説明図、(b)は比較例1で用いられる現像スリーブ(ブラストスリーブ)の表面状態を示す説明図、(c)は比較例2で用いられる現像スリーブ(溝スリーブ)の表面状態を示す説明図である。
【図20】実施例及び比較例に係る現像装置における現像剤搬送性を評価するに当たって、トリマ、層規制用磁極の磁束密度、現像スリーブ表面を組みあわせたときの夫々のMOSを示す説明図である。
【図21】実施例1,2と比較例1に係る現像装置について、回転トリマ周速比とMOSとの関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用される画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、トナー像が保持可能な像保持体1と、この像保持体1上に静電潜像を形成する潜像形成装置9と、像保持体1上に形成された静電潜像をトナーにて現像する現像装置10と、を備えている。
特に、本実施の形態では、現像装置10は、トナー像が保持可能な像保持体1に対向配置され且つ少なくとも表面粗さが最大高さで5μm以下の平滑面3aとして形成されて回転する中空状の現像回転体3、及び、この現像回転体3内に固定的に内包され且つ周囲に複数の磁極5が配列される磁石部材4を有し、現像回転体3を回転させることで磁石部材4の磁極5による磁力にて現像回転体3上にトナー及びキャリアが含まれる現像剤Gを保持する現像剤保持体2と、この現像剤保持体2上に保持される現像剤G層を規制するように、前記現像回転体3と非接触な間隙TG(図2(a)参照)を介して対向配置され且つ前記現像回転体3との対向部位にて少なくとも前記現像回転体3と同方向に回転可能な層規制回転体6と、現像動作時には前記現像剤保持体2の現像回転体3及び層規制回転体6を回転駆動すると共に、現像剤保持体2上で規制すべき現像剤G層の増減に伴って層規制回転体6の周速vを増減させるように、層規制回転体6の周速vを可変調整する現像駆動装置11と、を備えたものである。
尚、図1において、符号7は現像容器8内に収容されるトナー及びキャリアが含まれる現像剤Gを循環撹拌搬送し、トナーを十分に帯電させた後に現像剤保持体2に現像剤Gを保持させる撹拌搬送部材である。
【0011】
このような技術的手段において、像保持体1としては、静電潜像を形成でき、かつ、トナー像を保持可能であれば、感光体、誘電体、更には、循環移動する保持体の表面に静電潜像に対応する潜像電圧が印加される画素電極を行列配置した態様など適宜選定して差し支えない。
潜像形成装置9としては、像保持体1上に静電潜像を形成するものであれば適宜選定して差し支えなく、像保持体1が感光体、誘電体である場合には帯電装置と光やイオン等による潜像書込装置を用いるようにすればよいし、また、像保持体1が画素電極を有する態様では当該画素電極に対し静電潜像に対応する潜像電圧を印加するようにすればよい。
更に、現像装置10としては、現像剤を保持搬送する現像剤保持体2を有していればよく、現像剤保持体2としては、平滑面3aを有する現像回転体3と、この現像回転体3内に内包される磁石部材4とを備えていることを要する。
本例では、現像回転体3としては剛体の筒状体でもよいし、可撓性薄膜部材でもよい。ここで、平滑面3aとしては表面粗さが最大高さRz(JIS B0601 2001の規格に相当)5μm以下であることを要件とする。また、現像回転体3は予め設定された周速vにて回転するものであるが、プロセス条件の違いに基づいて可変設定される態様(例えば記録材としての厚紙走行時には低速制御する態様)もある。
一方、磁石部材4には、現像剤を搬送する搬送用磁極、像保持体1と対向する現像位置Aに設けられる現像用磁極、層規制回転体6と対向する層規制位置Bに設けられる層規制用磁極5a、現像回転体上の現像吸着位置にて現像剤Gを吸着保持する吸着用磁極、現像回転体3上の現像剤剥離位置にて現像剤を剥離する剥離用磁極などの磁極5が配列される。但し、これらの磁極5は単一の機能ではなく、複数の機能を兼用する形で配置されている。
【0012】
また、層規制回転体6は、現像回転体3との対向部位にて現像回転体3と少なくとも同方向に回転するものであればよく、現像回転体3との間には少なくとも現像剤Gの層規制が可能な範囲で予め定めた間隙TG(図2(a)参照)を確保するようにすればよい。また、磁性、非磁性のいずれでも差し支えなく、表面粗さも特には制限はないが、あまり粗く設定すると、前記表面粗さが現像剤Gに対する搬送力に大きく寄与するため、層規制回転体6の周速vを可変にするときの現像剤G層の変化分が大きくなり過ぎるという懸念がある。
更に、現像駆動装置11としては、現像剤保持体2の現像回転体3及び層規制回転体6を回転駆動するものであればよい。このとき、現像回転体3に対しては必要ない場合には回転駆動停止することが好ましい。一方、層規制回転体6に対しては予め定めた範囲で周速vを増減するものであればよく、この場合、規制すべき現像剤層の増減に伴って層規制回転体6の周速vを増減させるようにすればよい。
【0013】
次に、本実施の形態の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、磁石部材4の磁極5の磁力分布については適宜選定して差し支えないが、現像剤保持体2の磁石部材4は、層規制回転体6と現像回転体3との最近接部位に30mT以上60mT以下の磁力が生成される層規制用磁極5aを有するものが好ましい。
これは、層規制用磁極5aの好ましい磁力設定として、層規制回転体6と現像回転体3との最近接部位に作用する層規制用磁極5aの磁力を所定範囲(30mT〜60mT)に選定したものである。ここで、例えば30mT未満では現像剤G層を規制する上で現像剤層の穂立ちが少し弱い感があり、一方、60mTを超えると逆に現像剤G層の穂立ちが強すぎ、現像剤層を規制する上でストレスがかかり易い。
また、層規制用磁極6の好ましいレイアウトとしては、例えば図2(a)に示すように、現像剤保持体2の磁石部材4は、層規制回転体6と現像回転体3との最近接部位よりも現像剤搬送方向上流側に偏ってピーク磁力が位置するように層規制用磁極5aを配置したものが挙げられる。
ここで、層規制回転体6と現像回転体3との最近接部位よりも現像剤搬送方向上流側に偏って層規制用磁極5aのピーク磁力を設定すると、現像剤Gの穂立ちが立ち下がる過程で前記最近接部位を通過することになり、現像剤Gへのストレスが少ない。この点、前記最近接部位に対応して層規制用磁極5aのピーク磁力を設定すると、前記最近接部位にて現像剤Gが大きく穂立ちすることから、現像剤Gの層規制に当たって現像剤にストレスがかかり易い。一方、前記最近接部位よりも現像剤搬送方向下流側に偏って層規制用磁極5aのピーク磁力を設定すると、現像剤Gの穂立ちが立ち上がる過程で前記最近接部位を通過することになり、その分、現像剤Gの層規制に当たって現像剤にストレスがかかり易い。
【0014】
更に、層規制回転体6の好ましい態様としては、表面粗さが最大高さ5μm以下の平滑面を有する態様が挙げられる。ここで、層規制回転体6の表面粗さを5μmより大きく設定すると、この表面粗さの影響で層規制回転体6の回転に伴う搬送力が増加してしまい、層規制回転体6の周速変化に対する現像剤層の変化分が大きくなってしまう。このため、層規制回転体6についても表面粗さは平滑である方が好ましい。
更にまた、層規制回転体6による層規制位置Bでの好ましい間隙設定としては、現像回転体6との間に60μmないし1mmの間隙を有するものが挙げられる。ここで、例えば60μm未満では層規制位置Bでの現像剤層が密になり過ぎ、一方、1mmを超えると、層規制位置Bでの現像剤層が粗になり過ぎ、現像剤層を規制する上で、これらの中間の範囲が好ましい。
【0015】
また、現像駆動装置11の好ましい態様としては、現像回転体3を回転駆動すると共に、層規制回転体6を回転駆動停止又は現像回転体3との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、層規制回転体6を通過して像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aに向かう現像剤保持体2上の現像剤層を略0にする態様が挙げられる。本態様では、現像回転体3を回転駆動すると共に、層規制回転体6を回転駆動停止するか、現像回転体3との対向部位にて逆方向に回転駆動することで、層規制回転体6と現像剤保持体2との間の層規制位置Bに対し現像剤保持体2に保持された現像剤層は通過できずに遮断される。これは、層規制回転体6によって現像剤層の上部がせき止められ、あるいは、押し戻されるとき、現像回転体3の表面が平滑面3aであることから、現像剤層の下部が現像回転体3表面の平滑面3a上で滑り、結果として、現像剤層が層規制位置Bにて遮断されるものと推測される。
更に、現像駆動装置11の代表的態様としては、画像形成装置の使用条件に応じて現像に供する現像剤層が算出される算出部12と、この算出部12にて算出された現像剤層を得るように前記層規制回転体6の周速を決定する周速決定部13とを有する態様が挙げられる。
ここで、算出部12は、画像形成装置の使用条件と現像剤層とを関連付けたものであればよい。ここで、画像形成装置の使用条件には以下のものが広く含まれる。
(1)現像すべき静電潜像に関する画像情報、例えば文字等の細線重視の画像又は高濃度画像に対して最適な現像剤層を算出し、細密画像又は高濃度画像の両者の画質向上が可能である。
(2)使用履歴情報(例えば作像枚数)や環境情報に起因して現像剤の帯電特性が変化したとしても、これに対応する最適な現像剤層を算出することにより現像特性を補正することが可能である。
また、周速決定部13とは、算出された現像剤層と層規制回転体6の周速とを相互に関連付け、算出された現像剤層に基づいて層規制回転体6の周速を決定するものであればよい。
【0016】
次に、本実施の形態で用いられる現像装置の作動について説明する。
例えば図1及び図2(a)に示すように、現像回転体3が予め設定された周速v=vdcにて回転すると、この現像回転体3に保持された現像剤Gは磁石部材4の磁極5による磁束密度分布に基づく磁力に従って回転移動し、現像回転体3と層規制回転体6との間の層規制位置Bに到達する。このとき、層規制回転体6が周速v=vr1にて回転していると仮定すると、現像回転体3に保持された現像剤Gは、その上部が層規制回転体6の回転に伴う搬送力を受け、前記層規制位置BをMOSの搬送量にて通過して現像位置Aに向かって搬送される。
また、図1及び図2(b)に示すように、層規制回転体6の周速vがvr1からvr2(>vr1)に増加したと仮定すると、図2(a)に比べて、層規制回転体6の回転による現像剤に対する搬送力が増加するため、現像回転体3に保持された現像剤Gは、その上部が層規制回転体6の回転に伴うより強い搬送力を受け、前記層規制位置Bを図2(a)よりも増加したMOS(>MOS)の搬送量にて通過して現像位置Aに向かって搬送される。
尚、逆に、層規制回転体6の周速vがvr1から減少した場合には、層規制回転体6の回転による現像剤に対する搬送力が減少するため、MOSは減少する傾向になる。
更に、図1及び図2(c)に示すように、現像回転体3が周速v=vdcにて回転したまま、層規制回転体6の回転駆動が停止される(v=0)と、層規制回転体6の回転による現像剤Gに対する搬送力が0になるため、現像回転体3に保持された現像剤Gは、その上部が停止状態の層規制回転体6にてせき止められると共にその下部が現像回転体3の平滑面3a上を滑り、前記層規制位置Bを通過することなく、層形成位置Bに滞留する。このため、現像回転体3に保持された現像剤Gは、層規制位置Bを介して現像位置Aに到達することはなく、現像位置Aに対応した現像回転体3には現像剤Gは存在していない。
また、図1及び図2(c)に示すように、層規制回転体6が層規制位置Bにて現像回転体3表面の回転方向と逆方向に回転駆動される(v<0)場合には、層規制回転体6の逆方向の回転によって現像剤Gには当該現像剤Gの搬送を阻害する抵抗力が働くため、現像回転体3に保持された現像剤Gは、その上部が逆方向に回転する層規制回転体6にて現像剤Gの搬送方向と逆方向に押し戻されると共にその下部が現像回転体3の平滑面3a上を滑り、前記層規制位置Bを通過することなく、層形成位置Bに滞留する。このため、現像回転体3に保持された現像剤Gは、層規制位置Bを介して現像位置Aに到達することはなく、現像位置Aに対応した現像回転体3には現像剤Gは存在していない。
【0017】
更に、各種の態様の画像形成装置における好ましい態様について説明する。
これらは、現像装置10として、いずれも現像回転体3を回転駆動すると共に、層規制回転体6を回転駆動停止又は現像回転体3との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、層規制回転体6を通過して像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aに向かう現像剤保持体2上の現像剤層を略0にする態様が採用される。
先ず、一つの像保持体1を複数回転させる作像方式の画像形成装置の好ましい態様としては、各色成分のトナー像が保持可能な像保持体1と、この像保持体1上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置9と、像保持体1の周囲に複数設けられ、像保持体1上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて選択的に現像する現像装置10とを備え、非現像動作状態の現像装置10では、現像駆動装置11は、現像回転体3を回転駆動すると共に、層規制回転体6を回転駆動停止又は現像回転体3との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aへの現像剤の供給を遮断した後に、現像回転体3を回転駆動停止するものである。本態様では、層規制回転体6の回転駆動を停止するか、あるいは、現像回転体3との対向部位にて逆方向に層規制回転体6を回転駆動することにより、像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aへの現像剤の供給を遮断するため、現像位置Aには現像剤が存在しない状態に至る。
【0018】
また、複数の像保持体1を有するタンデム作像方式の画像形成装置の好ましい態様としては、各色成分のトナー像が保持可能な複数の像保持体1と、各像保持体1上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置9と、各像保持体1に対応して夫々設けられ、各像保持体1上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて現像する現像装置10と、複数の色成分画像を形成する複数色作像制御処理と、単色の色成分画像を形成する単色作像制御処理とを切替えて実行する作像制御装置(図示せず)とを備え、作像制御装置が複数色作像制御処理から単色作像制御処理に切り替える時に、非現像動作状態になる現像装置10では、現像駆動装置11は、現像回転体3を回転駆動すると共に、層規制回転体6を回転駆動停止又は現像回転体3との対向部にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aへの現像剤の供給を遮断した後に、現像回転体3を回転駆動停止するものである。本態様では、複数色作像処理から単色作像処理に切り替わるときに非現像動作状態になる現像装置10では、現像回転体3を回転駆動停止する前に、層規制回転体6の回転駆動を停止するか、あるいは、現像回転体3との対向部位にて逆方向に層規制回転体6を回転駆動することにより、像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aへの現像剤の供給を遮断するため、現像位置Aには現像剤が存在しない状態に至る。
【0019】
更に、回転型現像組立体を備えた画像形成装置の好ましい態様としては、各色成分のトナー像が保持可能な像保持体1と、この像保持体1上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置9と、像保持体1上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて現像する複数の現像装置10を回転支持体(図示せず)に回転可能に支持し、像保持体1に対向する現像位置Aに対し各現像装置10を切替選択可能に回転移動する回転型現像組立体(図示せず)とを備え、回転型現像組立体の各現像装置10における現像駆動装置11は、回転型現像組立体の各現像装置10による現像動作終了時に、現像回転体3を回転駆動すると共に、層規制回転体6を回転駆動停止又は現像回転体との対向部にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aへの現像剤の供給を遮断した後に、現像回転体3を回転駆動停止し、回転支持体を回転することで現像位置Aに次色の現像装置10を切替選択するもののである。本態様によれば、各色成分トナーの現像装置10は回転支持体に支持されて回転し切替選択されるが、いずれの現像装置10も、現像動作終了時には、現像回転体3を回転駆動停止する前に、層規制回転体6の回転駆動を停止するか、あるいは、現像回転体3との対向部位にて逆方向に層規制回転体6を回転駆動することにより、像保持体1と現像剤保持体2との間の現像位置Aへの現像剤の供給を遮断するため、現像位置Aには現像剤が存在しない状態に至る。
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図3は実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置30は、像保持体としてのドラム状の感光体31と、この感光体31を帯電する帯電装置32と、この帯電装置32で帯電された感光体31に静電潜像を光にて書き込む露光装置33と、感光体31上に書き込まれた静電潜像を現像剤(トナー)にて可視像化する現像装置34と、この現像装置34にて可視像化されたトナー像を転写媒体としての記録材38に転写する転写装置35と、この転写装置35にて転写された後に感光体31上に残留する残留トナーを清掃する清掃装置36と、を備えている。
そして、本例では、記録材38に転写された転写像は図示外の定着装置にて定着された後に排出される。尚、本例では、転写媒体としては記録材38が例示されているが、これに限られることなく、記録材38に転写する前に一時的にトナー像を保持する中間転写体をも含む。
【0021】
ここで、帯電装置32は例えば帯電容器321を有し、この帯電容器321内に帯電部材として放電ワイヤ322及びグリッド電極323を配設したものであるが、帯電装置32としてはこれに限られるものではなく、例えばロール状の帯電部材を用いるなど適宜選定して差し支えない。
また、露光装置33としては、レーザ走査装置やLEDアレイなどが使用される。
更に、現像装置34としては、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤を用いた二成分現像方式が採用されたものが用いられる。尚、現像装置34の詳細については後述する
更にまた、転写装置35としては、感光体31上のトナー像を記録材38側に静電転写させる転写電界を作用させるものであればよく、例えば転写バイアスが印加されるロール状の転写部材が用いられるが、これに限られるものではなく、放電ワイヤを用いた転写コロトロンなど適宜選定して差し支えない。
また、清掃装置36は、感光体31側が開口し且つ残留トナーが収容される清掃容器360を有し、この清掃容器360の開口のうち感光体31回転方向下流側縁にブレードやスクレーパ等の板状清掃部材361を配設すると共に、この板状清掃部材361の感光体31の回転方向上流側にはブラシ状又はロール状の回転清掃部材362を配設し、前記清掃容器360の開口のうち感光体31回転方向上流側縁に封止用のシール部材363を設け、更に、清掃容器360内の回転清掃部材362の下方には清掃された残留トナーを廃棄回収するために搬送する搬送部材364(例えば回転軸部材の周囲に螺旋羽根を設けた態様)を配設したものである。
【0022】
−現像装置−
本実施の形態において、現像装置34は、感光体31側が開口し且つトナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容される現像容器40を有し、この現像容器40の感光体31に面した箇所に現像剤が保持搬送可能な現像ロール41を配設すると共に、現像容器40内の現像ロール41の背面側にはトナーを摩擦帯電するために現像剤が撹拌搬送せしめられる撹拌搬送部材42,43を例えば水平方向に並べて配設し、撹拌搬送部材42,43にて撹拌搬送された現像剤を現像ロール41に受け渡し、現像ロール41上に保持された現像剤を層規制部材44にて層規制した後に感光体31に対向する現像位置Aに現像剤を供給するようにしたものである。
ここで、現像容器40は、図5(a)に示すように、現像ロール41の軸方向に沿って延びる仕切板48にて内部空間を仕切り、この仕切板48の長手方向両端付近に夫々通孔49,50を開設し、前記仕切板48で仕切られた空間には例えば回転軸部材51の周囲に螺旋羽根52が設けられる前記撹拌搬送部材42,43を配設し、この撹拌搬送部材42,43及び通孔49,50にて現像剤を循環搬送するようになっている。
尚、現像容器40の開口上縁には封止用のシール部材45が設けられ、また、現像位置Aよりも感光体31の回転方向下流側には浮遊したトナーを回収するための回収ロール46が設けられ。この回収ロール46に回収された浮遊トナー等は掻き取り部材47にて掻き取られ、現像容器40内に戻される。
【0023】
<現像ロール>
本例では、現像ロール41は前記現像位置Aにて感光体31との間に間隙を介して非接触配置されているが、当該間隙は、前記現像位置Aに対し現像ロール41上に現像に必要な現像剤搬送量(MOS:Mass on the sleeveの略)を有する場合には感光体31と現像ロール41との間に現像剤が充填される程度に選定されている。
そして、現像ロール41は、図3及び図4に示すように、非磁性材料(例えばSUS304等)にて筒状に形成され且つ回転可能な現像スリーブ61と、この現像スリーブ61内に固定的に内包される磁石ロール62とを備えている。
本実施の形態において、現像スリーブ61はその表面に平滑面61aを有している。この平滑面61aは、例えば非磁性材料からなる現像スリーブ61の素管の表面に対し研磨処理を施すことで形成されており、表面粗さが最大高さRz(JIS B0601 2001)で5μm以下の値に選定されている。
また、磁石ロール62は、図4(a)(b)に示すように、非磁性のロール部材63の周囲に複数の磁極64(本例では5つの磁極64a〜64e)を配列したもので、具体的には、前記現像位置Aに対応して現像剤を現像に供する現像用磁極64a(本例ではN極)、前記層形成部材44による層規制位置Bに対応して現像剤層を規制する層規制用磁極64b(本例ではS極)、更には、現像ロール41に現像剤を吸着保持する吸着用磁極64d(本例ではS極)、そして、層規制用磁極64bと吸着用磁極64dとの間には現像剤を搬送するための搬送用磁極64c(本例ではN極)、また、現像用磁極64aと吸着用磁極64dとの間には吸着用磁極64dとの間に反発磁界が生成されて現像ロール41上の現像剤を剥離する剥離用磁極64e(本例ではS極)を配置したものである。尚、現像用磁極64a、層規制用磁極64b、吸着用磁極64d、剥離用磁極64eが隣り合う異なる極性の磁極との間では搬送用磁極として機能するものである。
そして、磁石ロール62の磁極64(64a〜64e)による磁束密度分布Wは現像スリーブ61が回転したときに現像スリーブ61上の現像剤を前記磁束密度分布による磁力で保持搬送するできる程度に選定されている。
【0024】
<層規制部材>
層規制部材44は、図4(a)に示すように、回転可能なロール状部材(以下必要に応じて回転トリマと称する)からなり、現像スリーブ61との対向部位では少なくとも現像スリーブ61と同方向に回転するようになっている。
そして、この層規制部材(回転トリマ)44は、現像スリーブ61の表面との間に予め決められた間隙TGを介して現像スリーブ61に対し非接触配置されている。この間隙TGは、現像位置Aに供されるべき現像剤搬送量(MOS)を得ることができるように、例えば0.035〜1.5mmの範囲で適宜選定される。
この層規制部材(回転トリマ)44は非磁性材料(例えばSUS304)又は磁性材料(例えばSUS416)にて形成されており、表面に平滑面44aを有している。この平滑面44aは、層規制部材(回転トリマ)44の素管の表面に対し研磨処理を施すことで形成されており、表面粗さが最大高さRz(JIS B0601 2001)で5μm以下の値に選定されている。
また、層規制部材(回転トリマ)44は、図4(b)に示すように、現像ロール41の層規制用磁極64bに対応した位置に設けられていればよい。本例では、層規制部材(回転トリマ)44と現像ロール41との層規制位置Bの最近接部位は、層規制用磁極64bのピーク磁力位置に対してkだけ現像剤搬送方向の下流側に偏って配置されており、前記最近接部位には層規制用磁極64bから30mT以上60mT以下の磁力Uが作用するようになっている。
【0025】
<駆動伝達系>
図5(a)は本実施の形態で用いられる現像装置の駆動伝達系を示す。
同図において、現像装置34は、二つの駆動モータ(MOT,MOT)71、72によって駆動されるようになっている。
一方の駆動モータ(MOT)71による駆動伝達系は、モータ駆動軸73に駆動ギア74を同軸に取付ける一方、現像ロール41の現像スリーブ61の回転軸、撹拌搬送部材42,43の回転軸の一端には夫々伝達ギア75〜77を同軸に取付けると共に、伝達ギア76,77を噛み合わせ、更に、前記駆動ギア74と伝達ギア76との間に中間伝達ギア78を噛み合わせた状態で介在させると共に、前記伝達ギア76に前記中間伝達ギア78を噛み合わせるようにしたものである。
他方の駆動モータ(MOT)72による駆動伝達系は、モータ駆動軸81に駆動ギア82を同軸に取り付ける一方、前記層規制部材(回転トリマ)44の回転軸に伝達ギア83を同軸に取付け、前記駆動ギア82と前記伝達ギア83とを噛み合わせるようにしたものである。
そして、二つの駆動モータ71,72は制御装置100から送出された制御信号に基づいて回転駆動又は停止するようになっている。
本例では、一方の駆動モータ71は、図5(a)(b)に示すように、現像ロール41の現像スリーブ61、撹拌搬送部材42,43を同時に回転駆動又は停止するようになっている。また、他方の駆動モータ72は、層規制部材(回転トリマ)44を回転駆動又は停止するようになっている。
【0026】
<駆動制御系>
本実施の形態では、制御装置100はCPU、RAM、ROM及び入出力ポートを含むコンピュータシステムからなり、図6に示すように、例えば画像形成装置の使用条件J(例えばJ〜J)を入力信号として受け取り、ROM内に予めインストールされた現像駆動制御プログラム(例えば図7〜9参照)をCPUにて実行し、二つの駆動モータ(MOT,MOT)71,72に制御信号を送出し、各駆動モータ71,72を介して現像ロール41の現像スリーブ61や層規制部材(回転トリマ)44を駆動制御するものである。
本例では、現像ロール41の現像スリーブ61の周速vは予め定めた一定値(const.)に設定されており、層規制部材(回転トリマ)44の周速vは予め定めた下限値vminと上限値vmaxとの範囲で可変設定されるようになっている。
【0027】
−現像駆動制御処理−
次に、本実施の形態で用いられる現像装置の現像駆動制御処理について説明する。
本例の現像駆動制御処理としては以下のものが挙げられる。
<画像情報によるMOS量制御>
これは、図7に示すように、例えば画像情報Jとして像密度に着目したものであり、像密度が予め定めた低像密度、高像密度、あるいは、両者の中間に位置する通常像密度であるか否かを判別し、通常画像(通常像密度画像)である場合には、‘MOS通常値’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値とし、プリント動作(現像動作)を実施する。
つまり、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)44の回転速度(周速)vを初期設定値とすれば、回転トリマ44の回転に伴って現像剤Gに搬送力が与えられ、搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定したMOS通常値に相当する現像剤搬送量(MOS)をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
【0028】
また、画像情報が低像密度画像である場合には、‘MOS減’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値よりも減少させ、プリント動作(現像動作)を実施する。
このとき、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vが減少すると、回転トリマ44の回転の減少に伴って現像剤Gには小さい搬送力が与えられ、小さい搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定した‘MOS減’に相当する現像剤搬送量(二点鎖線で示すMOS(減))をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
この場合には、MOSが減少することから、低像密度画像は細密画像としてプリントされる。
更に、画像情報が高像密度画像である場合には、‘MOS増’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値よりも増加させ、プリント動作(現像動作)を実施する。
このとき、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vが増加すると、回転トリマ44の回転の増加に伴って現像剤Gには大きい搬送力が与えられ、大きい搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定した‘MOS増’に相当する現像剤搬送量(点線で示すMOS(増))をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
この場合には、MOSが増加することから、高像密度画像は高濃度画像としてプリントされる。
【0029】
<使用履歴情報によるMOS量制御>
これは、図8に示すように、例えば使用履歴情報Jとしてプリント枚数に着目したものであり、プリント枚数が予め定めた閾値N、N、N(N<N<N)以上か否かを判別し、総プリント枚数がN以下である場合には、‘MOS通常値’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値とし、プリント動作(現像動作)を実施する。
この場合、図10(a)に示すように、回転トリマ44の回転に伴って現像剤Gに搬送力が与えられ、搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定したMOS通常値に相当する現像剤搬送量(MOS)をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
また、総プリント枚数がNより多くN以下である場合には、‘MOS増’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値よりも増加させ、プリント動作(現像動作)を実施する。
このとき、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vが増加すると、回転トリマ44の回転の増加に伴って現像剤Gには大きな搬送力が与えられ、大きな搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定した‘MOS減’に相当する現像剤搬送量(点線で示すMOS(増))をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
更に、総プリント枚数がNより多くN以下である場合には、更に‘MOS増’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値よりも更に増加させ、プリント動作(現像動作)を実施する。
このとき、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vが更に増加すると、回転トリマ44の回転のさらなる増加に伴って現像剤Gにはより大きい搬送力が与えられ、より大きい搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定した更なる‘MOS増’に相当する現像剤搬送量(点線で示すMOS(増))をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
【0030】
<環境情報>
これは、図9に示すように、例えば環境情報Jとして温度・湿度に着目したものであり、温度・湿度が予め定めた低温低湿、高温高湿、あるいは、両者の中間に位置する常温常湿であるか否かを判別し、常温常室である場合には、‘MOS通常値’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値とし、プリント動作(現像動作)を実施する。
この場合、図10(a)に示すように、回転トリマ44の回転に伴って現像剤Gに搬送力が与えられ、搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定したMOS通常値に相当する現像剤搬送量(MOS)をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
また、環境情報が低温低湿である場合には、‘MOS増’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値よりも増加させ、プリント動作(現像動作)を実施する。
このとき、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vが増加すると、回転トリマ44の回転の増加に伴って現像剤Gには大きな搬送力が与えられ、大きな搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定した‘MOS増’に相当する現像剤搬送量(点線で示すMOS(増))をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
この場合には、MOSが増加することから、低温低湿であるとしても画像品質を保った状態でプリントされる。
更に、環境情報が高温高湿である場合には、‘MOS減’に設定し、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vを初期設定値よりも減少させ、プリント動作(現像動作)を実施する。
このとき、図10(a)に示すように、層規制部材(回転トリマ)の回転速度(周速)vが減少すると、回転トリマ44の回転の減少に伴って現像剤Gには小さい搬送力が与えられ、小さい搬送力が与えられた現像剤Gは、回転トリマ44の層規制位置Bを通過し、設定した‘MOS減’に相当する現像剤搬送量(二点鎖線で示すMOS(減))をもって現像位置A(図3参照)へと到達する。
この場合には、MOSが減少することから、高温高湿であるとしても画像品質を保った状態でプリントされる。
【0031】
−層規制部材の周速調整処理−
本実施の形態において、層規制部材(回転トリマ)44の周速を変化させたときのMOSの変化を測定したところ、図10(b)に示す傾向が見られた。
同図において、横軸は回転トリマの周速比(対現像ロール周速)であり、図10(a)に示すように、現像ロール41(具体的には現像スリーブ61)との対向部位で同方向に回転トリマ44を回転させる条件で、回転トリマ44の周速vを変化させたところ、MOSが次第に増加していき、本例では、800g/m付近を最大として変化していることが理解される。
つまり、図11(a)に示すように、今、現像ロール41(具体的には現像スリーブ61)が一定周速vで回転している状態で、回転トリマ44の周速がv=vr1であるときに、現像位置Aに到達するMOSがMOSと仮定する。
このとき、図11(b)に示すように、現像ロール41(具体的には現像スリーブ61)が一定周速vで回転している状態のままで、回転トリマ44の周速がv=vr2≠vr1であるとき、現像位置Aに到達するMOSはMOS≠MOSに変化する。
ここで、vr2>vr1の場合には、MOS>MOS
r2<vr1の場合には、MOS<MOS
になる。
更に、図10(b)及び図11(c)に示すように、現像ロール41(具体的には現像スリーブ61)が一定周速vで回転している状態のままで、回転トリマ44の回転駆動を停止すると、MOS=0になる。このとき、現像位置Aへの現像剤の供給が遮断される。
尚、本実施の形態では、現像ロール41(具体的には現像スリーブ61)が一定周速vで回転している状態のままで、現像ロール41(具体的には現像スリーブ61)との対向部位で逆方向に回転トリマ44を回転させた場合にも、図10(b)及び図11(c)に示すように、MOS=0なる。このため、回転トリマ44の回転駆動を停止した場合と同様に、現像位置Aへの現像剤の供給が遮断される。
【0032】
◎実施の形態2
図12(a)は実施の形態2に係る画像形成装置を示す。
同図において、画像形成装置30は、一つの感光体31の周囲に各色成分トナーを有する複数の現像装置34(具体的には34Y、34M、34C、34K)を配設し、感光体31を複数回転することにより、各現像装置34を切替選択し、感光体31上に各色成分トナー像を順次形成し、図示外の転写装置にて記録材に各色成分トナー像を転写させるようにしたものである。
そして、本実施の形態では、各現像装置34は実施の形態1と略同様の構成を有し、例えば層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止させることにより、現像位置への現像剤の供給を遮断するようにしたものである。
図12(a)に示すように、各色非現像時には、感光体31の周囲の現像装置34の駆動は停止した状態にある。
この状態から、フルカラーモードを実施する場合には、図12(b)(c)に示すように、Y色現像装置34Yの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態で、層規制部材(回転トリマ)44を回転させ、Y色現像時に現像位置Aに現像剤を供給し、Y色現像が終了した段階で現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態のままで、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。
【0033】
次に、図12(d)(e)に示すように、M色現像装置34Mの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態で、層規制部材(回転トリマ)44を回転させ、M色現像時に現像位置Aに現像剤を供給し、M色現像が終了した段階で現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態のままで、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。
更に、図13(a)(b)に示すように、C色現像装置34Mの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態で、層規制部材(回転トリマ)44を回転させ、C色現像時に現像位置Aに現像剤を供給し、C色現像が終了した段階で現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態のままで、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。
そして、図13(c)(d)に示すように、K色現像装置34Mの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態で、層規制部材(回転トリマ)44を回転させ、K色現像時に現像位置Aに現像剤を供給し、K色現像が終了した段階で現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態のままで、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。
このように、本実施の形態では、非現像動作状態の現像装置について感光体31と現像ロール41との現像位置Aから現像剤が存在しない状態に保たれる。このため、非現像動作状態の現像装置34が感光体31上に既設された色成分トナー像を乱すという事態は回避される。
【0034】
◎実施の形態3
図14(a)は複数の感光体31(具体的には31Y、31M、31C、31K)を配設すると共に、各感光体31に対応して夫々の色成分トナーを有する現像装置34(34Y、34M、34C、34K)を設け、各感光体31上で各色成分トナー像を形成し、記録材38に直接又は図示外の中間転写体を介して転写させるようにしたものである。
本例では、図示外の作像制御装置は、フルカラーモードによる作像処理と、単色黒モード(単Kモード)による作像処理とを切替選択する要素を備えている。
図14(a)に示すように、今、フルカラーモードを実施する場合には、全ての色成分の現像装置34を現像動作状態、つまり、現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させた状態で、層規制部材(回転トリマ)44を回転させ、現像位置Aへ現像剤を供給するようにする。
この後、フルカラーモードを単色黒モード(単Kモード)に切り替える場合には、図14(b)(c)及び図15(a)に示すように、Y色現像装置34Y、M色現像装置34M、C色現像装置34Cを順に現像ロール41(現像スリーブ61)を回転させたまま、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、図15(b)に示すように、非現像動作状態にする現像装置34(34Y、34M、34C)では、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断し、現像位置AではMOS=0にする。この状態に至った後に、図15(c)に示すように、非現像動作状態の現像装置34(34Y、34M、34C)の現像ロール41(現像スリーブ)の回転駆動を停止するようにすればよい。
本態様によれば、非現像動作状態の現像装置34(34Y、34M、34C)の現像ロール41(現像スリーブ61)の回転駆動を停止する場合には、現像位置Aには現像剤が存在していない状態であるため、現像ロール41(現像スリーブ)を急に停止したとしても、現像ロール41から現像剤がこぼれ落ちるという懸念は極めて少ない。
【0035】
◎実施の形態4
図16(a)は実施の形態4に係る回転型現像ユニットを備えた画像形成装置である。
同図において、画像形成装置は、一つの感光体31の周囲に回転型現像ユニット150を配設したものである。
この回転型現像ユニット150は、回転可能な回転支持枠151を有し、この回転支持枠151に各色性分トナーを有する複数の現像装置34(34Y、34M、34C、34K)を搭載し、感光体31を複数回転させると共に回転支持枠151を間欠的に回転させることにより、感光体31に対向する現像位置Aに各現像装置34(34Y、34M、34C、34K)を切替選択するようにし、感光体31を上に各色成分トナー像を順次形成し、記録材に直接若しくは中間転写体を介して各色成分トナー像を転写させるようにしたものである。
本実施の形態によれば、フルカラーモードでは、先ず、図16(a)(b)に示すように、現像位置AにY色現像装置34Yを配置し、現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動すると共に層規制部材(回転トリマ)44を回転駆動してY色現像動作を行い、Y色現像動作終了後に現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動したまま、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。次いで、図16(c)に示すように、回転支持枠151を回転させることで、現像位置Aに対応してM色現像装置34Mを配置する。
この後、図16(d)(e)に示すように、M色現像装置34Mの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動すると共に層規制部材(回転トリマ)44を回転駆動してM色現像動作を行い、M色現像動作終了後に現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動したまま、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。次いで、図16(f)に示すように、回転支持枠151を回転させることで、現像位置Aに対応してC色現像装置34Cを配置する。
更に、図17(a)(b)に示すように、C色現像装置34Mの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動すると共に層規制部材(回転トリマ)44を回転駆動してC色現像動作を行い、C色現像動作終了後に現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動したまま、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。次いで、図17(c)に示すように、回転支持枠151を回転させることで、現像位置Aに対応してK色現像装置34Kを配置する。
この後、図17(d)(e)に示すように、K色現像装置34Mの現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動すると共に層規制部材(回転トリマ)44を回転駆動してK色現像動作を行い、K色現像動作終了後に現像ロール41(現像スリーブ61)を回転駆動したまま、層規制部材(回転トリマ)44の回転駆動を停止し、現像位置Aへの現像剤の供給を遮断する。次いで、図17(f)に示すように、回転支持枠151を回転させることで、現像位置Aに対応してY色現像装置34Yを配置する。
このように、本実施の形態では、回転型現像ユニット150の各現像装置34(34Y〜34K)はいずれも現像動作終了後に現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、次色の現像装置を現像位置Aに移動させるようにしているので、各現像装置34を切替選択するときに現像装置34から現像剤がこぼれ落ちる懸念は少ない。
【実施例】
【0036】
◎実施例
実施例は、実施の形態1と略同様な構成を備えているが、図18(a)に示すように、現像装置として、撹拌搬送部材42,43を上下に配列し、かつ、現像ロール41に保持された未使用現像剤を回収するロール55を付加したものである。尚、現像ロール41(平滑スリーブを具備)、層規制部材(回転トリマ)44は実施の形態1と同様である。
比較例は、図18(b)に示すように、実施例と略同様な構成を備えているが、実施例と異なり、現像ロール41’として、現像スリーブ61’がブラストスリーブ又は溝スリーブで構成され、更に、層規制部材44’として、磁性板を用いた板状規制部材(固定トリマ)を用いたものである。
ここで、実施例の現像スリーブ61は、図19(a)に示す平滑スリーブ(平滑面が最大高さRzで3μm)にて構成されている。
一方、比較例(比較例1,2)の現像スリーブ61’は図19(b)に示すブラストスリーブ(実施例の平滑スリーブにブラスト処理を施して構成)にて構成され、あるいは、図19(c)に示す溝スリーブ(実施例の平滑スリーブに対し溝加工処理を施して構成)にて構成されている。
尚、実施例、比較例ともに、層規制部材と現像スリーブとの間隙は240μmに設定されている。
【0037】
実施例に係る現像装置、比較例に係る現像装置の性能を評価する上で、層規制部材(トリマ)、層規制用磁極の磁束密度、現像スリーブの表面を夫々組み合わせて、現像剤搬送量(MOS)を測定したところ、図20に示す結果が得られた。
図20によれば、比較例(比較例1,2)では、固定トリマ+ブラストスリーブ、溝スリーブを用いる場合には、一定のMOSを得るには良好であるが、MOS量を調整することは困難である。
これに対し、実施例では、回転トリマ+平滑スリーブを使用した場合には、MOS量を調整することも極めて良好であることが確認された。
ちなみに、現像スリーブとして平滑スリーブを用いた態様で、固定トリマを使用すると、層形成自体が不可になってしまうことが理解される。
更に、層規制位置における層規制用磁極の磁束密度が50mTの場合には、MOS量は多すぎず適量になるが、例えば80mTにすると、使用可能ではあるももの、MOS量が多くなる傾向が見られる。
ここで、層規制位置における層規制用磁極の磁束密度30mT〜60mTであれば、MOS量を適量に調整し易い点で好ましい。
【0038】
また、実施例として、層規制部材と現像スリーブとの間隙を240μmにしたものを実施例1、前記間隙を70μmにしたものを実施例2とし、更に、比較例として、回転トリマとブラストスリーブとを組み合わせた態様のものを用いた。
これらについて、回転トリマの周速比とMOSとの関係を調べたところ、図21に示す結果が得られた。
MOS量としては、300〜800g/m程度が実使用領域であるところ、実施例1,2はいずれもMOSの実使用領域において可変調整していることが理解される。
この点、比較例では、回転トリマの周速比が0.7以上から、MOSの実使用領域を越えてしまうことが理解される。
尚、本実施例1,2では、現像スリーブの平滑面は最大高さ3μmであるが、この平滑面の表面粗さを振って同様な実験を行ったところ、平滑面は最大高さが5μm以下では、実施例1,2と同様な傾向が見られた。
また、層規制部材と現像スリーブとの間隙についても、使用領域(0.035mm〜1.5mm)で振って同様な実験を行ったところ、実施例1,2と同様な傾向が見られた。特に、0.060〜1.0mm程度では安定していることが確認された。
【符号の説明】
【0039】
1…像保持体,2…現像剤保持体,3…現像回転体,3a…平滑面,4…磁石部材,5…磁極,5a…層規制用磁極,6…層規制回転体,7…撹拌搬送部材,8…現像容器,9…潜像形成装置,10…現像装置,11…現像駆動装置,12…算出部,13…周速決定部,A…現像位置,B…層規制位置,G…現像剤,v…現像回転体の周速,v…層規制回転体の周速

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が保持可能な像保持体に対向配置され且つ少なくとも表面粗さが最大高さで5μm以下の平滑面として形成されて回転する中空状の現像回転体、及び、この現像回転体内に固定的に内包され且つ周囲に複数の磁極が配列される磁石部材を有し、現像回転体を回転させることで磁石部材の磁極による磁力にて現像回転体上にトナー及びキャリアが含まれる現像剤を保持する現像剤保持体と、
この現像剤保持体上に保持される現像剤層を規制するように、前記現像回転体と非接触な間隙を介して対向配置され且つ前記現像回転体との対向部位にて少なくとも前記現像回転体と同方向に回転可能な層規制回転体と、
現像動作時には前記現像剤保持体の現像回転体及び層規制回転体を回転駆動すると共に、現像剤保持体上で規制すべき現像剤層の増減に伴って層規制回転体の周速を増減させるように、層規制回転体の周速を可変調整する現像駆動装置と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
現像剤保持体の磁石部材は、前記層規制回転体と前記現像回転体との最近接部位に30mT以上60mT以下の磁力が生成される層規制用磁極を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現像装置において、
現像剤保持体の磁石部材は、層規制回転体と現像回転体との最近接部位よりも現像剤搬送方向上流側に偏ってピーク磁力が位置するように層規制用磁極を配置したものであることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の現像装置において、
前記層規制回転体は、表面粗さが最大高さ5μm以下の平滑面を有するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の現像装置において、
前記層規制回転体は、前記現像回転体との間に60μmないし1mmの間隙を有するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の現像装置において、
前記現像駆動装置は、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、前記層規制回転体を通過して像保持体と現像剤保持体との間の現像位置に向かう現像剤保持体上の現像剤層を略0にすることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
トナー像が保持可能な像保持体と、
この像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
像保持体上に形成された静電潜像をトナーにて現像する請求項1ないし6いずれかに記載の現像装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置において、
前記現像駆動装置は、画像形成装置の使用条件に応じて現像に供する現像剤層が算出される算出部と、この算出部にて算出された現像剤層を得るように前記層規制回転体の周速を決定する周速決定部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
各色成分のトナー像が保持可能な像保持体と、
この像保持体上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の周囲に複数設けられ、前記像保持体上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて選択的に現像する請求項6記載の現像装置とを備え、
非現像動作状態の現像装置では、前記現像駆動装置は、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部位にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、前記現像回転体を回転駆動停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
各色成分のトナー像が保持可能な複数の像保持体と、
各像保持体上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置と、
各像保持体に対応して夫々設けられ、各像保持体上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて現像する請求項6記載の現像装置と、
複数の色成分画像を形成する複数色作像制御処理と、単色の色成分画像を形成する単色作像制御処理とを切替えて実行する作像制御装置とを備え、
前記作像制御装置が複数色作像制御処理から単色作像制御処理に切り替える時に、非現像動作状態になる現像装置では、前記現像駆動装置は、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、前記現像回転体を回転駆動停止することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
各色成分のトナー像が保持可能な像保持体と、
この像保持体上に各色成分の静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上に形成された各色成分の静電潜像を対応する色トナーにて現像する請求項6記載の複数の現像装置を回転支持体に回転可能に支持し、前記像保持体に対向する現像位置に対し各現像装置を切替選択可能に回転移動する回転型現像組立体とを備え、
回転型現像組立体の各現像装置における現像駆動装置は、回転型現像組立体の各現像装置による現像動作終了時に、前記現像回転体を回転駆動すると共に、前記層規制回転体を回転駆動停止又は現像回転体との対向部にて逆方向に回転駆動することにより、像保持体と現像剤保持体との間の現像位置への現像剤の供給を遮断した後に、前記現像回転体を回転駆動停止し、回転支持体を回転することで前記現像位置に次色の現像装置を切替選択することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−73394(P2012−73394A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217871(P2010−217871)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】