説明

現像装置及びこれを用いる画像形成装置

【課題】現像ローラ内部で磁極が周回移動する磁極移動方式において現像ローラ上の磁性キャリアがキャリア回収ローラ上に直接引き寄せられるのを抑制することを課題とする。
【解決手段】現像領域の感光体表面移動方向下流側のキャリア回収領域で感光体上のキャリアを外周面上に担持するキャリア回収スリーブ91と、これに内包され複数の磁極を備える回転可能なキャリア回収磁石ローラ92とを備え、キャリア回収磁石ローラは、現像スリーブ内部で周回移動する現像磁石ローラ82の複数の磁極が現像スリーブとキャリア回収スリーブとが対向する領域を通過する時に当該複数の磁極により発生する磁界の作用で現像スリーブ上の現像剤が穂立ちするのを抑制するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により潜像担持体上の潜像を現像する現像装置、及び、これを用いる複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の現像装置は、一般に、現像ローラ(現像剤担持体)と感光体(潜像担持体)とが対向する現像領域で、感光体上に形成した静電潜像を、現像ローラ上に担持した現像剤により現像して、感光体上にトナー像を形成する。現像方法としては、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用いて現像する二成分現像方式と、トナーのみの一成分現像剤を用いて現像する一成分現像方式とが知られている。二成分現像方式では、現像スリーブの内部に磁石ローラ(現像用磁界発生手段)を配置した現像ローラを用い、その磁石ローラにより形成される磁界の作用によって、トナーが静電的に付着した状態の磁性キャリアを現像スリーブ表面上にブラシ状に穂立ちさせて磁気ブラシを形成する。そして、現像領域において、感光体上に形成した静電潜像に磁気ブラシ中のトナーのみを付着させて、感光体上にトナー像を形成する。
【0003】
このような二成分現像方式においては、現像剤を攪拌してトナーの帯電を効率よく行う目的で、現像ローラの内部で磁石ローラが回転することにより現像ローラ回転方向に沿って磁石ローラの磁極が周回移動する磁極移動方式を採用するものが知られている。しかしながら、この磁極移動方式では、磁石ローラの回転により現像スリーブ上で磁気ブラシが激しく自転する挙動を示し、その遠心力で磁性キャリアが飛散して感光体に付着するというキャリア付着の問題が深刻化するという欠点がある。特に、近年は、高画質化のために磁性キャリアの小粒径化が進み、キャリア付着が更に悪化する傾向にある。キャリア付着が発生すると、感光体と被転写部材(中間転写体や記録材など)とが接触する転写ニップ部において、感光体上に付着した磁性キャリアの存在により、感光体と被転写部材との密着性が低下し、いわゆる白抜け等の異常画像を引き起こす。また、キャリア付着が発生すると、感光体とクリーニング部材との当接箇所で磁性キャリアが感光体表面を傷つけて画質劣化を引き起こしたり、クリーニング部材を傷つけてクリーニング不良を引き起こしたりするおそれがある。
【0004】
このようなキャリア付着による問題発生を抑制する方策としては、例えば、特許文献1〜3に開示されたものが知られている。これらの特許文献1〜3に開示された画像形成装置では、現像領域から転写ニップまでの間に感光体表面から磁性キャリアを回収するキャリア回収装置を設けている。このキャリア回収装置は、感光体表面にキャリア回収部材を対向配置し、感光体表面上に付着した磁性キャリアをキャリア回収部材が発生させる磁界の作用によってキャリア回収部材の表面上に回収する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、小型化の要請により、このようなキャリア回収部材は現像装置の現像ローラに対して感光体回転方向下流側に近接して配置される場合が多くなってきている。そのため、次のような問題が深刻化してきた。
現像装置の現像ローラは、磁石ローラによって現像ローラ周囲に磁界を発生させることにより、現像ローラの外周面上に磁性キャリアを担持している。このような現像ローラに対し、感光体上に付着した磁性キャリアを引きつける磁界を発生させるキャリア回収部材を近接配置すると、キャリア回収部材の磁界の作用により現像ローラ上の磁性キャリアがキャリア回収部材上に直接引き寄せられてしまう。そのため、キャリア回収部材上に過剰な磁性キャリアが付着して現像剤溜まりが発生する。キャリア回収部材上に現像剤溜まりが発生すると、キャリア回収部材による感光体上の磁性キャリアの回収性能が落ちてしまうという問題が生じる。また、大きな現像剤溜まりが発生してしまうと、現像ローラとキャリア回収部材との間に現像剤溜まりが挟持されて留まる結果、現像ローラの回転に伴って搬送されてくる現像剤が当該現像剤溜まりによって現像ローラから掻き落とされ、現像装置外へ大量の現像剤が落下してしまうという問題も生じる。
【0006】
上記特許文献3には、キャリア回収部材であるキャリア回収ローラ内で感光体に対向するように配置された回収用主磁極の磁力によって現像ローラ上から現像剤を直接引き寄せることがなくなるように、キャリア回収ローラ内の磁極配置を規定した画像形成装置が開示されている。
しかしながら、上記特許文献3に記載の画像形成装置は、現像ローラ内部の磁石ローラが固定配置されたものであり、現像ローラ周囲の磁界がほぼ一定に維持されるという前提構成において、現像ローラ上からキャリア回収ローラへ現像剤を直接引き寄せられるのを防止できるものである。そのため、現像ローラ内部で磁石ローラを回転する磁極移動方式のように現像ローラ周囲の磁界が時間変化するような構成においては、上記問題を解決することはできない。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、現像剤担持体の内部で現像剤担持体回転方向に沿って磁極が周回移動する磁極移動方式において、現像剤担持体上の磁性キャリアがキャリア回収部材上に直接引き寄せられて付着してしまうのを抑制することができる現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、内部に配置された現像用磁界発生手段が複数の磁極より発生させる磁界の作用により磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を外周面上に担持して回転する現像剤担持体を有し、該現像剤担持体の外周面上に担持された二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上に形成された静電潜像に付着させることにより該静電潜像を現像する現像装置において、上記現像用磁界発生手段は、現像剤担持体回転方向に沿って上記複数の磁極を周回移動させるものであり、上記現像剤担持体と上記潜像担持体とが対向する現像領域の潜像担持体表面移動方向下流側のキャリア回収領域で、該潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを磁気的に外周面上に吸着させて回収するキャリア回収部材を有し、上記キャリア回収部材は、磁性キャリアを外周面上に担持する回収キャリア支持体と、該回収キャリア支持体に内包され複数の磁極を備える回転可能なキャリア回収用磁界発生手段とを備えたものであり、上記現像剤担持体内部で周回移動する上記現像用磁界発生手段の複数の磁極が該現像剤担持体と上記回収キャリア支持体とが対向する領域を通過する時に該複数の磁極により発生する磁界の作用で現像剤担持体上の現像剤が穂立ちするのを抑制するように、上記キャリア回収用磁界発生手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記キャリア回収用磁界発生手段は、上記領域を上記現像用磁界発生手段の各磁極が通過する時に当該各磁極と同じ極性の磁極が該領域を通過するように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の現像装置において、上記キャリア回収用磁界発生手段は、上記領域で上記回収キャリア支持体表面上の法線方向磁束密度が上記現像剤担持体表面上の法線方向磁束密度以下となるように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置において、上記キャリア回収用磁界発生手段の回転方向は、上記領域で、上記現像用磁界発生手段における複数の磁極の周回移動方向に連れ回る方向であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置において、上記現像用磁界発生手段及び上記キャリア回収用磁界発生手段は、いずれもN極とS極が交互に配置されたものであって、かつ、その磁極の数が下記の式(1)の関係を満たしていることを特徴とするものである。
N2=2×Round(N1/2×(R2/R1))・・・(1)
ただし、「N1」は上記現像用磁界発生手段の磁極数であり、「N2」は上記キャリア回収用磁界発生手段の磁極数であり、「R1」は該現像用磁界発生手段における複数の磁極の周回移動中心から回収キャリア支持体と最も近接する現像剤担持体外周面上の位置までの距離であり、「R2」はキャリア回収用磁界発生手段の回転中心から該現像剤担持体と最も近接する回収キャリア支持体外周面上の位置までの距離であり、「Round()」はその括弧内の数値を四捨五入することを意味する。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置において、上記キャリア回収部材は、上記回収キャリア支持体の外周面上に付着した磁性キャリアを上記キャリア回収領域とは別のキャリア離脱領域で該回収キャリア支持体の外周面から離脱させる構成を有し、上記キャリア回収用磁界発生手段の各磁極と上記キャリア回収領域との最近接距離が、該キャリア回収用磁界発生手段の各磁極と上記キャリア離脱領域との最近接距離よりも近くなるように構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置において、上記回収キャリア支持体は、回転可能なものであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを有し、該現像装置により該潜像担持体上に形成されたトナー像を最終的に記録材へ転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、上記現像装置として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、キャリア回収部材のキャリア回収用磁界発生手段が発生させる磁界によって、現像用磁界発生手段の複数の磁極が現像剤担持体と回収キャリア支持体とが対向する領域を通過する時に、当該複数の磁極による磁界の作用で現像剤担持体上の現像剤が穂立ちするのが抑制される。これにより、現像剤担持体上の現像剤がキャリア回収部材に接触したりキャリア回収部材の近くを通ったりすることを抑制できる。その結果、現像剤担持体上の現像剤がキャリア回収部材側の磁界に拘束されてキャリア回収部材に付着するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像剤担持体の内部で現像剤担持体回転方向に沿って磁極が周回移動する磁極移動方式において、現像剤担持体上の磁性キャリアがキャリア回収部材上に直接引き寄せられて付着してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る複写機の概略構成を示す説明図である。
【図2】同複写機のプロセスカートリッジに装備されている現像装置及び感光体を示す説明図である。
【図3】現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する現像装置の斜視断面図である。
【図4】トナーを補給する位置を説明する現像装置の外観斜視図である。
【図5】実施形態に係る現像装置の主要部を示す拡大図である。
【図6】(a)〜(c)は、磁極移動方式の従来構成における直接引き寄せ領域での現像剤の動きを示す説明図である。
【図7】(a)〜(c)は、実施形態に係る現像装置における直接引き寄せ領域での現像剤の動きを示す説明図である。
【図8】(a)〜(c)は、現像ローラ側極間隔Lとキャリア回収ローラ側極間隔L’とがほぼ等しい構成を示す説明図である。
【図9】現像スリーブ表面上における現像磁石ローラによる法線方向磁束密度の現像スリーブ回転方向の分布を示したグラフである。
【図10】キャリア回収スリーブ表面上におけるキャリア回収磁石ローラによる法線方向磁束密度のキャリア回収スリーブ回転方向の分布を示したグラフである。
【図11】(a)及び(b)は、直接引き寄せ領域を現像磁石ローラの磁極が通過する時に当該磁極と同じ極性の磁極が当該直接引き寄せ領域を通過するようにキャリア回収磁石ローラが構成されている例を示す説明図である。(c)は、直接引き寄せ領域を現像磁石ローラの磁極が通過する時に当該磁極とは異なる極性の磁極が当該直接引き寄せ領域を通過するようにキャリア回収磁石ローラが構成されている例を示す説明図である。
【図12】比較例2におけるキャリア回収スリーブ表面上のキャリア回収磁石ローラによる法線方向磁束密度の分布を示すグラフである。
【図13】変形例の現像装置の主要部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という。)の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機500の概略について説明する図である。
複写機500は、プリンタ部100、これを搭載する給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されるスキャナ300などを備えている。また、スキャナ300の上には原稿自動給送装置400が固定されている。プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kからなる画像形成ユニット20を備えている。プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。なお、各符号の数字の後に付されたY、M、C、Kは、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している(以下同様)。
【0013】
プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kは、潜像担持体であるドラム状の感光体1、帯電器、現像装置4、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18Yについて説明する。帯電手段たる帯電器によって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。これにより、照射部(露光部)の感光体1Yの表面の電位が減衰する。この表面の電位の減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ18M、C、Kについても同様である。
【0014】
次に、中間転写ユニット17について説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置63などを有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kなども有している。中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。4つの一次転写バイアスローラ62Y,62M,62C,62Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,1M,1C,1Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。
【0015】
Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M、C、K用の感光体1M,1C,1K上に形成されたM、C、Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下「4色トナー像」という。)が形成される。中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録剤である転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置63によってクリーニングされる。
【0016】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。
【0017】
この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0018】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路48に向けて送り出される。
【0019】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路48は、複数の搬送ローラ対47と、給紙路46内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0020】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加熱する。加熱された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着される。
【0021】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板の外側に設けたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかの何れかの搬送形態が選択される。
【0022】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0023】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18K内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体1Y,1M,1C,1K上に、Y、M、C、Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0024】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0025】
複写機500は、2色以上のトナーからなる多色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体1Y,1M,1C,1Kを接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY、M、C用の感光体1Y,1M,1Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,1M,1C,1Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y、M、Cについては、感光体1だけでなく、現像装置4も駆動を停止させて、感光体1や現像装置4の各部材及び現像装置4内の現像剤の不要な消耗を防止する。
【0026】
複写機500は、複写機500内の各機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0027】
図2は、4つプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kにそれぞれ装備されている現像装置4及び感光体1について説明する図である。
4つのプロセスカートリッジ18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ扱うトナーの色が異なる点以外はほぼ同様の構成になっているので、同図では符号4に付すY、M、C、Kという添字を省略している。
【0028】
図2に示すように感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面は不図示の露光装置より照射されたレーザ光により静電潜像を形成された潜像に現像装置4からトナーを供給され、トナー像を形成する。
【0029】
現像装置4は、図中矢印I方向に現像剤を搬送しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給し、現像する現像剤担持体としての現像ローラ5を有している。現像ローラ5は回転可能な現像スリーブ81を備え、複数の磁極からなり図中矢印A方向に回転可能な現像用磁気発生手段としての現像磁石ローラ82を内包している。現像ローラ5の下側、感光体1の表面移動方向下流側であって、現像ローラ5および感光体1に近接した位置にはキャリア回収部材としてのキャリア回収ローラ90を有している。キャリア回収ローラ90は、固定配置された回収キャリア支持体としてのキャリア回収スリーブ91を備え、複数の磁極からなり図中矢印R方向に回転可能なキャリア回収用磁気発生手段としてのキャリア回収磁石ローラ92を内包している。感光体1に付着したキャリアは、キャリア回収ローラ90にて回収され、回転するキャリア回収磁石ローラ92の磁気力によって現像装置4内へ戻される。なお、現像ローラ5およびキャリア回収ローラ90は、本発明の特徴部分であり、詳細は後述する。
【0030】
また、現像ローラ5に現像剤を供給しながら現像ローラ5の軸線方向に沿って図2に示す紙面の奥側(以下、便宜上、図中奥側あるいは図2中奥側と称する場合もある。)に向けて現像剤を搬送する供給搬送部材としての供給スクリュー8を有している。現像ローラ5の供給スクリュー8との対向部から現像剤搬送方向下流側には、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制手段としてのドクタブレード12を備えている。
【0031】
現像ローラ5の感光体1との対向部である現像領域よりも現像剤搬送方向下流側では、現像領域を通過し、現像ローラ5の表面から離脱した現像済みの現像剤を回収する回収搬送路7が現像ローラ5と対向する。回収搬送路7は、回収した回収現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って供給スクリュー8と同方向に搬送する回収搬送部材として、軸線方向に平行に配置された螺旋状の回収スクリュー6を備えている。供給スクリュー8を備えた供給搬送路9は現像ローラ5の上方向に、そして回収スクリュー6を備えた回収搬送路7は現像ローラ5の下方に並設されている。
【0032】
現像装置4は、供給搬送路9と回収搬送路7に並列して攪拌搬送路10を設けている。攪拌搬送路10は奥側では回収搬送路7、手前側では供給搬送路9と略同じ高さになるよう傾斜を設けてある。攪拌搬送路10は、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を攪拌しながら供給スクリュー8とは逆方向である、図2に示す紙面の手前側(以下、便宜上、図中手前側と称する場合もある)に向けて搬送する攪拌搬送部材として、軸線方向に傾斜状に配置された、螺旋状の攪拌スクリュー11を備えている。
【0033】
供給搬送路9と攪拌搬送路10とは仕切り壁としての第一仕切り壁133によって仕切られている。第一仕切り壁133の供給搬送路9と攪拌搬送路10とは、図中手前側が開口部となっており、供給搬送路9と攪拌搬送路10とが連通している。供給搬送路9と回収搬送路7との間は第二仕切り壁134によって仕切られている。第二仕切り壁134の供給搬送路9と回収搬送路7とは、図中奥側が開口部となっており、供給搬送路9と回収搬送路7とが連通している。また、攪拌搬送路10と回収搬送路7との2つの現像剤搬送路は仕切り部材としての第三仕切り壁135によって仕切られている。第三仕切り壁135は、図中奥側が開口部となっており、攪拌搬送路10と回収搬送路7とが連通している。
【0034】
現像剤搬送部材である供給スクリュー8、回収スクリュー6及び攪拌スクリュー11は、樹脂もしくは金属のスクリューからなっており、各スクリュー径は供給スクリュー8、回収スクリュー6がφ26[mm]、攪拌スクリュー11がφ30[mm]でスクリューピッチは供給スクリューが54[mm]の2条巻き、回収スクリュー6が36[mm]の2条巻き、攪拌スクリュー11が54[mm]の2条巻き、回転数は全て約600[rpm]に設定されている。現像ローラ5上に担持された現像剤は、ステンレスからなるドクタブレード12によって薄層化されたうえで感光体1との対向部である現像領域まで搬送されて現像が行われる。現像ローラ5の直径はφ40[mm]、ドクタブレード12及び感光体1とのギャップは0.4[mm]程度となっている。
【0035】
現像後の現像剤は回収搬送路7にて回収が行われ、図2中奥側に搬送され、非画像領域部に設けられた第三仕切り壁135の開口部で、攪拌搬送路10へ現像剤が移送される。なお、供給搬送路9における現像剤搬送方向下流側の第二仕切り壁134の開口部の付近で供給搬送路9の上側には、図4に示すように後述するトナー補給口95から供給搬送路9にトナーが供給される。
【0036】
図3は、現像剤搬送路内の現像剤の流れを説明する現像装置4の斜視断面図である。図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
攪拌搬送路10から現像剤の供給を受けた供給搬送路9では、現像剤が移動しながら現像ローラ5に接触して供給される。そして、現像ローラ5に供給されずに供給搬送路9の搬送方向下流端まで移動した余剰現像剤は第二仕切り壁134の余剰開口部より回収搬送路7に供給される(図3中矢印E)。一方、現像ローラ5に供給された現像剤は現像領域で現像に用いられた後、現像ローラ5から分離・離脱して、回収搬送路7に受け渡される。現像ローラ5から回収搬送路7に受け渡され、回収スクリュー6によって回収搬送路7の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は第三仕切り壁135の回収開口部より攪拌搬送路10に供給される(図3中矢印F)。そして、攪拌搬送路10では、供給搬送路9から供給された余剰現像剤と回収搬送路7に回収された回収現像剤と後述するトナー補給口95(図4参照)から補給されたトナーとが攪拌され、これら攪拌された現像剤は、攪拌スクリュー11の搬送方向下流側で、かつ、供給スクリュー8の搬送方向上流側に搬送され、第一仕切り壁133の供給開口部より供給搬送路9に供給される(図3中矢印D)。なお、攪拌搬送路10の下方には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ(不図示)が設けられ、センサ出力により不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
【0037】
図3に示す現像装置4では、供給搬送路9と回収搬送路7とを備え、現像剤の供給と回収とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が供給搬送路9に混入することがない。このため、供給搬送路9の搬送方向下流側ほど現像ローラ5に供給される現像剤のトナー濃度が低下することを抑制することができる。また、回収搬送路7と攪拌搬送路10とを備え、現像剤の回収と攪拌とを異なる現像剤搬送路で行うので、現像済みの現像剤が攪拌の途中に落ちることがない。これにより、十分に攪拌がなされた現像剤が供給搬送路9に供給されるため、供給搬送路9に供給される現像剤が攪拌不足となることを抑制することができる。このように、供給搬送路9内の現像剤のトナー濃度が低下することを抑制し、供給搬送路9内の現像剤が攪拌不足となることを抑制することができるので現像時の画像濃度を一定にすることができる。
【0038】
図4は、トナーを補給する位置を説明する現像装置の外観斜視図である。
図4に示すように、トナーを補給するトナー補給口95は、供給スクリュー8を備える供給搬送路9の搬送方向下流端部の上方に設けてられている。このトナー補給口95は第二仕切り壁134の余剰開口部(図3中矢印E)の上部であるため、トナーは余剰現像剤および回収現像剤と混ざりやすいため、この位置で補給を行うことによってより効率よく現像剤の攪拌を行うことができる。
【0039】
本実施形態に用いられる現像剤は、次の構成が用いられている。
本実施形態に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含有し、必要に応じて離型剤や帯電制御剤、その他の成分が含有される。また、添加剤として上述のもの以外に、必要に応じて流動性向上剤やその他の成分が添加される。これら材料に関しては、公知のものがすべて可能である。結着樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロレスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)タクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリロニトリル酸、(メタ)アクリアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル。ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又は、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、あるいはそれらの混合物が挙げられる。その他、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂、アイオノマー樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂等が単独あるいは混合して使用できる。
【0040】
着色剤としては公知の染料及び顔料がすべて使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0041】
帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む。)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。0.1重量部未満では、トナーの負帯電が不足し実用的でない。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0042】
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス、等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。
これらは1種または2種以上を併用して用いることができるが、融点が70〜125℃の範囲のものを使用するのが好ましい。融点が70℃以上とすることにより転写性、耐久性が優れたトナーとすることができ、融点を125℃以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの離型剤の使用量は、トナーに対して1〜15重量%が好適である。1重量%より少ない場合にはオフセット防止効果が不充分であり、15重量%以上では転写性、耐久性が低下する。
【0043】
添加剤(外添剤)としては、少なくとも体積平均粒径50〜500nm、嵩密度0.3g/cm3以上の微粒子を添加する。外添量としては、トナー母体に対して0.2〜3重量%が好ましい。この範囲より少ないとトナー間やトナーとその他との間に適度な空隙を形成する効果が発現されない。逆に多いと、流動性を阻害したり、脱離量が多くなることにより外添剤の凝集体ができ、画像品質を低下させる。上述の添加剤と合わせて、この範囲以外の添加剤を添加することも可能であり、流動性向上を目的として体積平均粒径が小さい微粒子を添加することが好ましい。
【0044】
本実施形態での添加剤において、無機化合物としては、SiO、TiO、Al、MgO、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO(TiO)n、Al・2SO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO、SrTiO等を例示することができ、好ましくは、SiO、TiO、Alがあげられる。特にこれら無機化合物は各種のカップリング剤、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、オクチルトリメトキシシラン等で疎水化処理が施されていてもよい。また、有機化合物の添加剤としては、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよく、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0045】
ビニル系樹脂の具体的な例としては、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0046】
本実施形態における添加剤(微粒子)は、現像装置内の現像剤用のトナーとしても優れている。すなわち、トナー粒子、感光体ドラム、帯電付与部材との接触面積が非常に小さく、均等に接触するので付着力低減効果が大きく、現像・転写効率の向上に有効である。さらに、コロの役割を果たすため、感光体ドラムを摩耗又は損傷させることなく、クリーニングブレードと感光体ドラムとの高ストレス(高荷重、高速度等)下でのクリーニングの際も、トナー粒子に埋没し難く、あるいは少々埋没しても離脱、復帰が可能であるので、長期間にわたって安定した特性を得ることができる。さらに、トナーの表面から適度に脱離し、クリーニングブレードの先端部に蓄積し、いわゆるダム効果によって、ブレードからトナーが通過する現象を防止する効果がある。
【0047】
本実施形態におけるトナーの製造方法としては、トナー構成材料を溶融混練後、粉砕分級して得る方法が従来の方法として一般的であるが、この方法に限らず、重合法等も含めてさまざまな方法が可能である。
重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などが可能であり、重合法とは異なるが溶解懸濁法、ポリマー懸濁法等の他、伸長反応法等が使用可能である。
先に説明した粒径範囲や円形度のトナーを容易に得られる点では、従来の方法以外が好ましい。また、粉砕分級後のトナーを加熱処理することにより円形度を調整しても良い。
【0048】
本実施形態における添加剤の添加方法は特に制限されず、トナー母体粒子と添加剤とを各種の公知の混合装置を用いて、機械的に混合して付着させる方法や、液相中でトナー母体粒子と添加剤とを界面活性剤等で均一に分散させ、付着処理後、乾燥させる方法等がある。
【0049】
先に説明したトナーの粒径分布は、コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置を用いて測定することができる。これら装置として、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、上述の測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0050】
先に説明したトナーの円形度は、次式により得られた値である。
円形度=(粒子の投影面積と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
この円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。円形度は東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理をおこない、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして上述の装置によりトナーの形状を測定する。
【0051】
以下、本実施形態に用いられるキャリアについて補足的に説明する。
本実施形態で用いられるキャリアは、重量平均粒径が20〜60μm(好ましくは、20〜45μmである。)になるように形成されている。この粒径範囲は、現像装置内の現像剤用のキャリアとしても優れている。
キャリアの平均粒径が20μm未満であると、キャリア粒子の分布において微粉が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがある。これに対してキャリアの平均粒径が45μmを超えると、現像工程時のキャリアの穂立ちが粗くなって、ベタやハーフトーンの均一性が劣る場合がある(特に、平均粒径が60μmを超えると顕著になる。)。また比表面積が低下するため、小粒径トナーではトナーの飛散が生じることがある。キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0052】
芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gすなわち50×10-7×4π〜90×10-7×4π[Wb・m/kg]のマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上すなわち100×10-7×4π[Wb・m/kg]以上)、マグネタイト(75〜120emu/gすなわち75×10-7×4π〜120×10-7×4π[Wb・m/kg])等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体ドラムへの当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/gすなわち30×10-7×4π〜80×10-7×4π[Wb・m/kg])等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
キャリアの樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0054】
樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、その導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。キャリアの樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付をおこなうことにより形成することができる。塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法等が挙げられる。キャリアにおける樹脂層の量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。樹脂層の量が、0.01質量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0055】
また、現像装置内に予め収容される現像剤(初期剤)も、上述したトナーとキャリアとを混合したものである。現像剤におけるキャリアの含有量(キャリア濃度)としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
【0056】
以下、本発明の特徴部分である現像ローラ5及びキャリア回収ローラ90について詳しく説明する。
図5は、本実施形態に係る現像装置4の主要部を示す拡大図である。
現像ローラ5は、現像剤を担持する円筒状の現像スリーブ81と、現像スリーブ81に内包され現像スリーブ81上に現像剤を担持させる磁界を発生する磁界発生手段としての現像磁石ローラ82とから構成されている。
【0057】
現像スリーブ81は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性かつ導電材料で形成されたものである。現像スリーブ81の表面は、平滑でも構わないが、現像スリーブ81の回転速度が速い場合には現像剤のスリップを抑制するために、下記の粗し処理・加工を施しても良い。
(A)V溝またはU溝等の溝押し出し加工・各種凹形状の機械加工またはレーザ加工またはエッジング加工
(B)ブラスト処理
(C)金属またはセラミック等の溶射処理
【0058】
現像磁石ローラ82は、現像スリーブ81の回転方向(現像剤搬送方向)Iとは反対向きの矢印A方向に回転可能に設けられており、偶数個の磁極が現像スリーブ回転方向に沿って等間隔に配置されており、その極性は隣り合う磁極間で互いに逆極性となっている。なお、本実施形態では12個の磁極が設けられているが、これに限られない。現像磁石ローラ82の磁極は、それぞれ、磁石ホルダ84に接着された個別の磁石83で形成されている。これらの磁石83は、その周囲を図示しない熱収縮チューブ等で保護しても良い。磁石83は、従来の廉価なフェライト磁石が使用可能であるが、小型化や高速化のためには、より強力なサマリウムコバルト磁石やネオジウム磁石等の希土類磁石の使用も可能である。磁石ホルダ84を磁性材料とすると、磁石83の磁気力が若干向上するが、コスト高であるとともに、一般に鉄を主成分とする磁性材料は高比重のため高速回転時に慣性モーメントが増大し、駆動部の耐久性に問題が生じる場合がある。そのため、磁石83の磁気力は若干低くなるが、非磁性かつ軽比重のアルミニウムやマグネシウムを材料としても良い。
【0059】
本実施形態における現像磁石ローラ82の回転中心P’は、現像スリーブ81の回転中心Pよりも距離Tだけズレた位置に偏心させて位置決めされている。偏心の方向は、現像ローラ5の表面に担持された現像剤中のトナーが感光体1に移行する付近の位置で現像ローラ5の内面に最も接近することができる向きに設定され、符号Tで示した距離に相当する偏心量は、現像領域においてキャリアが感光体1に移行するのを磁極からの磁力によって抑制することができる量とされている。これにより、現像剤は、感光体1との接触に際して穂立ちを確保された状態で接触できると共に、接近した磁極からの磁力によりキャリアの移行が阻止されてトナーのみを感光体の潜像に供給するように移動することになる。一方、偏心方向と反対側では磁気力を低く抑えることができる。このため、現像スリーブ81表面に担持されている現像剤の剥離を容易にすることができる。このような偏心構造を設けるだけで、現像剤の剥離が外部からの機械的な外力を用いることなく容易に行えることになる。
【0060】
次に、現像剤の移送について説明する。
供給スクリュー8により現像スリーブ81上に供給された現像剤は、現像磁石ローラ82の磁気力により現像スリーブ81上に吸着され、現像スリーブ81の回転により搬送され、ドクタブレード12を通過する際に現像剤量を一定に規制される。ドクタブレード12を通過した現像剤は磁力線に沿って配列される。つまり、磁石83上(磁極上)では、符号B1で示すように磁気穂が発生し、磁石83と磁石83との間(磁極間)では、符号B2で示すように磁気穂は転倒する。
【0061】
本実施形態において、現像磁石ローラ82の回転方向は、図中符号Aで示すように、現像スリーブ81の回転方向Iに対して相反する方向としている。現像磁石ローラ82が回転する間、磁気穂は、いわゆるフリップフラップ状に自転し、現像磁石ローラ82の回転方向である矢印Aで示す方向とは反対側の矢印Fの方向に進行する。よって、現像スリーブ81が回転していない状態でも、現像剤は現像スリーブ81の表面に沿って図中矢印Fの方向へ進行する。ドクタブレード12を通過した現像剤は、現像磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を増大させながら現像領域へと近づくので、現像領域付近においてキャリアが感光体1へ移行して付着するキャリア付着が抑制される。現像磁石ローラ82の回転速度が速いほど現像領域における現像剤が活発に撹拌されるため、感光体上の静電潜像に対して効率良くトナーを転移できるが、上述した磁気穂の自転による遠心力は回転数の2乗に比例して増大するため、キャリア付着が増大する。現像領域を通過した現像剤は、現像磁石ローラ82の偏心により次第に現像スリーブ81への吸着力を減少させる。そして、自重により図中矢印KやLで示すように現像スリーブ81より離脱し、回収搬送路7へと回収される。
【0062】
次に、キャリア回収ローラ90について説明する。
本実施形態におけるキャリア回収ローラ90は、その表面に回収したキャリアを保持する回転可能なキャリア回収スリーブ91と、キャリア回収スリーブ91に内包され回転可能なキャリア回収磁石ローラ92とから構成されている。このようなキャリア回収ローラ90が現像ローラ5に近接して配置されていると、キャリア回収ローラ90が現像ローラ5から現像剤を直接引き寄せてしまう現象(以下「直接引き寄せ現象」という。)が生じてしまう。
【0063】
ここで、直接引き寄せ現象について説明する。
本発明者らは、現像ローラ5の内部で現像磁石ローラ82が回転することにより現像ローラ回転方向に沿って現像磁石ローラの磁極が周回移動する磁極移動方式において、キャリア回収ローラ90内のキャリア回収磁石ローラが固定された従来の構成を用いて検討を行った。その結果、以下のようなメカニズムで直接現像剤を引き寄せてしまう現象が起きることが分かった。
【0064】
図6(a)〜(c)は、磁極移動方式の従来構成における直接引き寄せ領域での現像剤の動きを示す説明図である。
まず、現像ローラ5とキャリア回収ローラ90とが対向する領域(以下「直接引き寄せ領域」という。)において、この直接引き寄せ領域を通過する現像ローラ5内の現像磁石ローラ82の磁極がキャリア回収ローラ内のキャリア回収磁石ローラ92の磁極とは異極性であると、図6(a)に示すように、これらの磁極間をつなぐように現像剤が穂立ちして現像剤による磁気穂が形成される。その後、現像磁石ローラ82の回転に伴って磁気穂が図6(b)に示すように傾いていき、ある時点で磁気穂が分断される。これにより、図6(c)に示すように、その磁気穂の一部を構成していた現像剤がキャリア回収ローラ90側へ残る。現像ローラ5内の現像磁石ローラ82は高速で回転しているので、このような直接引き寄せ現象が繰り返し発生し、キャリア回収ローラ90上に現像剤溜りが発生する。
【0065】
本実施形態は、磁極移動方式を採用する現像装置においてこのような直接引き寄せ現象が発生するのを抑制するものである。具体的には、現像磁石ローラ82の各磁極が直接引き寄せ領域を通過する時に当該各磁極により発生する磁界の作用で現像ローラ上の現像剤が穂立ちするのを抑制するように、キャリア回収磁石ローラ92を構成する。このようなキャリア回収磁石ローラ92の構成を実現するため、本実施形態では、現像磁石ローラ82の各磁極が直接引き寄せ領域を通過する時に、図7(a)〜(c)に示すように、当該直接引き寄せ領域を通過するキャリア回収磁石ローラ92の磁極が現像磁石ローラ82の磁極と同じ極性となるように構成している。
【0066】
本実施形態におけるキャリア回収ローラ90のキャリア回収スリーブ91は、図中矢印Qの方向に回転可能に設けられている。キャリア回収スリーブ91は、アルミニウム、オーステナイト系ステンレス、マグネシウム等の非磁性材料からなる。キャリア回収スリーブ91の表面は、本実施形態では後述するスクレーパ96によりキャリアをキャリア回収スリーブ91から剥離する方式を採用したため、平滑とした。スクレーパ96を必要としない場合、キャリア回収スリーブ91上におけるキャリアのスリップを抑制するため、現像スリーブ81の場合と同様に、粗し処理・加工を施しても良い。
【0067】
キャリア回収磁石ローラ92は、キャリア回収スリーブ91の回転方向Qとは反対の矢印R方向に回転可能に設けられており、現像磁石ローラ82と同様に、偶数個の磁極がキャリア回収磁石ローラの回転方向に沿って等間隔に配置され、その極性は隣り合う磁極間で互いに逆極性となっている。ただし、キャリア回収磁石ローラ92の磁極の数は現像磁石ローラ82とは異なっている。キャリア回収磁石ローラ92の磁極は、それぞれ、磁石ホルダ94に接着された個別の磁石93で形成されている。磁石93および磁石ホルダ94の材質は、現像磁石ローラ82と同様のものが使用可能である。
【0068】
キャリア回収磁石ローラ92の回転中心S’は、キャリア回収スリーブ91の回転中心Sより距離Uだけ離れた位置に偏心させて位置決めされている。偏心の方向は、キャリア回収スリーブ91と感光体1が最も接近する方向に設定され、偏心量Uは、キャリア回収スリーブ91と感光体1が最も接近位置(キャリア回収領域Y)において感光体からキャリアを磁気力により吸着でき、スクレーパ96によるキャリア離脱領域Xでキャリア回収ローラ90からキャリアを容易に剥離できる磁気力になるように決められている。本実施形態においては、キャリア回収スリーブ91及びキャリア回収磁石ローラ92の大きさの問題から、現像ローラ5のようにスクレーパ無しでキャリアを剥離できるほどの偏心量を確保することができないため、スクレーパ96を用いてキャリアを剥離させる構成を採用している。しかし、キャリア回収スリーブ91をもっと大きくして、または、キャリア回収磁石ローラ92をもっと小さくして、偏心量を十分に大きくできるのであれば、スクレーパ無しでキャリア剥離できる構成を採用することも可能である。
【0069】
本実施形態においてキャリア回収磁石ローラ92の磁極の数すなわち磁石93の個数は、下記の式(1)を満たすように設定される。ただし、下記の式(1)において、「N1」は現像磁石ローラ82の磁極数であり、「N2」はキャリア回収磁石ローラ92の磁極数であり、「R1」は現像磁石ローラ82の回転中心P’からキャリア回収スリーブ91と最も近接する現像スリーブ外周面上の位置までの距離であり、「R2」はキャリア回収磁石ローラ92の回転中心S’から現像スリーブ81と最も近接するキャリア回収スリーブ外周面上の位置までの距離であり、「Round()」はその括弧内の数値を四捨五入することを意味する。
N2 = 2×Round(N1/2×(R2/R1)) ・・・(1)
【0070】
上記式(1)を満たすことで、図8(a)〜(c)に示すように、現像磁石ローラ82の隣り合う磁極間における現像スリーブ81の表面上での距離(現像ローラ側極間隔L)と、キャリア回収磁石ローラ92の隣り合う磁極間におけるキャリア回収スリーブ91の表面上での距離(キャリア回収ローラ側極間隔L’)とがほぼ等しくなり、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ91とが対向する直接引き寄せ領域において、現像磁石ローラ82の磁極とキャリア回収磁石ローラ92の磁極とが常に同じ極性同士が対向するように構成することが可能となる。このとき、キャリア回収磁石ローラ92の回転速度V2[rpm]は、現像磁石ローラ82の回転速度V1[rpm]に対し、V2=V1×(N1/N2)の関係で回転させる。
【0071】
本実施形態のキャリア回収磁石ローラ92の磁極数を上記式(1)を満たすように決定すると、N1=12であり、R1==18.1であり、R2=10.1であるため、N2 =6となり、キャリア回収磁石ローラ92の磁極数は6個に設定される。このとき、V2=3000×(12/6)=6000[rpm]であり、キャリア回収磁石ローラ92は、現像磁石ローラ82と歯数が1:2のギアを介して駆動される。
【0072】
図9は、現像スリーブ81の表面上における現像磁石ローラ82による法線方向磁束密度の現像スリーブ回転方向の分布を示したグラフである。
図10は、キャリア回収スリーブ91の表面上におけるキャリア回収磁石ローラ92による法線方向磁束密度のキャリア回収スリーブ回転方向の分布を示したグラフである。
本実施形態において、キャリア回収磁石ローラ92は、直接引き寄せ領域を現像磁石ローラ82の磁極が通過する時に当該磁極と同じ極性の磁極が当該直接引き寄せ領域を通過するように構成されている。この構成は、直接引き寄せ領域において現像ローラ側の磁気力が最大となるタイミングで、図11(a)や図11(b)に示すように、その直接引き寄せ領域におけるキャリア回収ローラ側の磁気力が現像ローラと同極となっていればよく、好ましくは、図11(a)に示すようにキャリア回収ローラの磁気力が同極でかつ最大値となるように構成される。
【0073】
また、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ91が対向する直接引き寄せ領域において、キャリア回収スリーブ表面上の法線方向磁束密度が現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度以下となるように構成するのが好ましい。特に、図11(a)に示すようにキャリア回収ローラの磁気力が同極でかつ最大値となるように構成する場合、現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度の最大値Bn1とキャリア回収スリーブ表面上の法線方向磁束密度の最大値Bn2が、Bn1≧Bn2の関係を満たすようにする。こうすることで、現像剤は現像スリーブ側へ引き寄せられ、よりキャリア回収ローラへ移動しにくくなる。
【0074】
本実施形態の複写機を用いて効果確認実験を以下の条件で行ったところ、キャリア回収スリーブ91上に現像剤溜りが発生しなかった。
・キャリア:リコー社製複写機(imagio MP C7500)用の35μmフェライトキャリア
・トナー:同複写機用PxP重合トナー
・トナー濃度:4[wt%]
・トナー帯電量:−24[μC/g]
・感光体径:φ100[mm]
・現像スリーブ径:φ40[mm]
・キャリア回収ローラ径:φ20[mm]
・感光体線速:600[mm/s]
・現像スリーブ線速:750[mm/s]
・キャリア回収スリーブ線速:12[mm/s]
・現像スリーブ/感光体間ギャップ:0.4[mm]
・キャリア回収スリーブ/感光体間ギャップ:0.3[mm]
・現像スリーブ/キャリア回収スリーブ間ギャップ:1.5[mm]
・現像磁石ローラ回転数:3000[rpm]
・キャリア回収磁石ローラ回転数:6000[rpm]
【0075】
また、直接引き寄せ領域においてキャリア回収磁石ローラ92の磁極が現像磁石ローラ82の磁極と異極になるように構成した比較例1について、上記効果確認実験と同じ条件で実験を行った。その結果、現像ローラからキャリア回収ローラへ直接現像剤が移動し、回収ローラ上に現像剤溜りが発生した。
また、従来構成のようにキャリア回収スリーブ91内のキャリア回収磁石ローラ92を固定配置した比較例2について、上記効果確認実験と同じ条件で実験を行った。この比較例2におけるキャリア回収スリーブ91の表面上のキャリア回収磁石ローラ92による法線方向磁束密度の分布は、図12に示すとおりである。その結果、現像ローラからキャリア回収ローラへ直接現像剤が移動し、回収ローラ上に現像剤溜りが発生した。
【0076】
〔変形例〕
次に、キャリア回収磁石ローラの一変形例について説明する。
図13は、本変形例の現像装置の主要部を示す拡大図である。
本変形例におけるキャリア回収ローラ190は、そのキャリア回収スリーブ191が回転しない構成となっており、本変形例では、現像装置4のケースと一体化された構成となっている。キャリア回収スリーブ191に内包されたキャリア回収磁石ローラ92は、上述した実施形態の場合と同様に、図中矢印R方向に回転可能に設けられており、現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ191とが対向する直接引き寄せ領域において、現像磁石ローラ82の磁極とキャリア回収磁石ローラ92の磁極とが常に同じ極性同士が対向するように構成されている。
【0077】
キャリア回収磁石ローラ92の磁気力により、感光体1からキャリア回収スリーブ91の表面に吸着したキャリアは、キャリア回収磁石ローラ92の回転により、その回転方向とは逆方向に向けてキャリア回収スリーブ91の表面に沿って搬送される。ただし、キャリア量が少ない状態では、キャリア回収磁石ローラ92と同じ回転方向へ搬送される可能性もある。このような可能性がある場合には、キャリア回収スリーブ91の表面に対して現像スリーブ81と同様に粗し処理・加工を施すのが好ましい。この場合、キャリア量が少ない状態ではキャリアをその場に留めることができる一方、キャリア量が増えるとキャリア回収磁石ローラ92の回転と逆方向へ搬送することができる。
【0078】
キャリア回収磁石ローラ92の回転中心Sは、キャリア回収スリーブ91と感光体1とが最も接近するキャリア回収領域Yにおいて感光体1からキャリアを磁気力により吸着でき、かつ、キャリア離脱領域Xでは重力で現像装置内(回収スクリュー6側)へ落とすことができる磁気力になるように決められている。具体的には、キャリア回収磁石ローラ92の各磁極とキャリア回収領域Yとの最近接距離が、キャリア回収磁石ローラ92の各磁極とキャリア離脱領域Xとの最近接距離よりも近くなるように構成されている。これにより、感光体1からキャリアを回収する高いキャリア回収能力を発揮しつつも、キャリア回収ローラ90からキャリアを離脱させる十分なキャリア離脱性能を確保することが可能となる。
【0079】
本変形例によれば、キャリア回収スリーブを回転させる構成よりも安価な構成を実現できるが、キャリア回収ローラによる安定したキャリア搬送性を得たい場合には、上述した実施形態のようにキャリア回収スリーブ91を回転させる構成を採用する方がよい。
【0080】
以上、本実施形態に係る複写機は、潜像担持体である感光体1と、感光体上に潜像を形成する潜像形成手段としての光書込ユニット21と、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により感光体1上の潜像を現像する現像装置4とを有し、現像装置4により感光体上に形成されたトナー像を最終的に記録材としての転写紙へ転移させて転写紙上に画像を形成する画像形成装置である。この現像装置4は、内部に配置された現像用磁界発生手段としての現像磁石ローラ82が複数の磁極より発生させる磁界の作用により現像剤を外周面上に担持して回転する現像剤担持体としての現像スリーブ81を有し、現像スリーブ81の外周面上に担持された現像剤中のトナーを感光体1上に形成された静電潜像に付着させることにより静電潜像を現像するものである。現像磁石ローラ82は、現像スリーブ回転方向に沿って当該複数の磁極を周回移動させるものである。現像装置4は、現像スリーブ81と感光体1とが対向する現像領域の感光体表面移動方向下流側のキャリア回収領域で、感光体1の表面上に付着した磁性キャリアを磁気的に外周面上に吸着させて回収するキャリア回収部材としてのキャリア回収ローラ90を有し、このキャリア回収ローラ90は、磁性キャリアを外周面上に担持する回収キャリア支持体としてのキャリア回収スリーブ91と、キャリア回収スリーブ91に内包され複数の磁極を備える回転可能なキャリア回収用磁界発生手段としてのキャリア回収磁石ローラ92とを備えている。そして、キャリア回収磁石ローラ92は、現像スリーブ内部で周回移動する現像磁石ローラ82の複数の磁極が現像スリーブ81とキャリア回収スリーブ91とが対向する直接引き寄せ領域を通過する時に当該複数の磁極により発生する磁界の作用で現像スリーブ81上の現像剤が穂立ちするのを抑制するように構成されている。これにより、現像スリーブ81上の現像剤がキャリア回収ローラ90に接触したりキャリア回収ローラ90の近くを通ったりすることを抑制できる。その結果、現像スリーブ91上の現像剤がキャリア回収ローラ側の磁界に拘束されてキャリア回収ローラ90に付着するのを抑制できる。
特に、本実施形態において、キャリア回収磁石ローラ92は、直接引き寄せ領域を現像磁石ローラ82の各磁極が通過する時に当該各磁極と同じ極性の磁極が当該直接引き寄せ領域を通過するように構成されている。これにより、直接引き寄せ領域内で現像スリーブ81上の現像剤が穂立ちするのを安定して抑制することができる。
また、本実施形態において、キャリア回収磁石ローラ92は、直接引き寄せ領域でキャリア回収スリーブ表面上の法線方向磁束密度が現像スリーブ表面上の法線方向磁束密度以下となるように構成されている。これにより、直接引き寄せ領域内の現像剤は現像ローラ5側へ引き付けられ、よりキャリア回収ローラ90へ移動しにくくなる。
また、本実施形態において、キャリア回収磁石ローラ92の回転方向は、直接引き寄せ領域で、現像磁石ローラ82における複数の磁極の周回移動方向に連れ回る方向である。これにより、直接引き寄せ領域に近づく過程や直接引き寄せ領域から遠ざかる過程においても、互いに対向するキャリア回収磁石ローラ92の磁極と現像磁石ローラ82の磁極とが同極の関係となる。よって、直接引き寄せ領域の周辺においても、現像ローラ5からキャリア回収ローラ90へ現像剤が直接的に引き寄せられるのを抑制できる。
また、本実施形態においては、現像磁石ローラ82及びキャリア回収磁石ローラ92が、いずれもN極とS極が交互に配置されたものであって、かつ、その磁極の数が上記式(1)の関係を満たしている。これにより、現像ローラ側極間隔Lとキャリア回収ローラ側極間隔L’とがほぼ等しくなり、直接引き寄せ領域において現像磁石ローラ82の磁極とキャリア回収磁石ローラ92の磁極とが常に同じ極性同士が対向するように構成することが可能となる。
また、本実施形態において、キャリア回収ローラ90は、キャリア回収スリーブ91の外周面上に付着した磁性キャリアをキャリア回収領域Yとは別のキャリア離脱領域Xでキャリア回収スリーブ91の外周面から離脱させる構成を有しており、キャリア回収磁石ローラ92の各磁極とキャリア回収領域Yとの最近接距離が、キャリア回収磁石ローラ92の各磁極とキャリア離脱領域Xとの最近接距離よりも近くなるように構成されている。これにより、感光体1からキャリアを回収する高いキャリア回収能力を発揮しつつも、キャリア回収ローラ90からキャリアを離脱させる十分なキャリア離脱性能を確保することが可能となる。
また、キャリア回収スリーブ91を回転可能なものとすれば、キャリア回収スリーブ91による安定したキャリア搬送性を実現できる。
【符号の説明】
【0081】
1 感光体
4 現像装置
5 現像ローラ
6 回収スクリュー
7 回収搬送路
8 供給スクリュー
9 供給搬送路
10 攪拌搬送路
11 攪拌スクリュー
12 ドクタブレード
18 プロセスカートリッジ
20 画像形成ユニット
21 光書込ユニット
81 現像スリーブ
82 現像磁石ローラ
90,190 キャリア回収ローラ
91,191 キャリア回収スリーブ
92 キャリア回収磁石ローラ
95 トナー補給口
96 スクレーパ
500 複写機
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特開2008−180977号公報
【特許文献2】特開平10−326047号公報
【特許文献3】特開平11−73007号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配置された現像用磁界発生手段が複数の磁極より発生させる磁界の作用により磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を外周面上に担持して回転する現像剤担持体を有し、該現像剤担持体の外周面上に担持された二成分現像剤中のトナーを潜像担持体上に形成された静電潜像に付着させることにより該静電潜像を現像する現像装置において、
上記現像用磁界発生手段は、現像剤担持体回転方向に沿って上記複数の磁極を周回移動させるものであり、
上記現像剤担持体と上記潜像担持体とが対向する現像領域の潜像担持体表面移動方向下流側のキャリア回収領域で、該潜像担持体の表面上に付着した磁性キャリアを磁気的に外周面上に吸着させて回収するキャリア回収部材を有し、
上記キャリア回収部材は、磁性キャリアを外周面上に担持する回収キャリア支持体と、該回収キャリア支持体に内包され複数の磁極を備える回転可能なキャリア回収用磁界発生手段とを備えたものであり、
上記現像剤担持体内部で周回移動する上記現像用磁界発生手段の複数の磁極が該現像剤担持体と上記回収キャリア支持体とが対向する領域を通過する時に該複数の磁極により発生する磁界の作用で現像剤担持体上の現像剤が穂立ちするのを抑制するように、上記キャリア回収用磁界発生手段を構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記キャリア回収用磁界発生手段は、上記領域を上記現像用磁界発生手段の各磁極が通過する時に当該各磁極と同じ極性の磁極が該領域を通過するように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2の現像装置において、
上記キャリア回収用磁界発生手段は、上記領域で上記回収キャリア支持体表面上の法線方向磁束密度が上記現像剤担持体表面上の法線方向磁束密度以下となるように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記キャリア回収用磁界発生手段の回転方向は、上記領域で、上記現像用磁界発生手段における複数の磁極の周回移動方向に連れ回る方向であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記現像用磁界発生手段及び上記キャリア回収用磁界発生手段は、いずれもN極とS極が交互に配置されたものであって、かつ、その磁極の数が下記の式(1)の関係を満たしていることを特徴とする現像装置。
N2 = 2×Round(N1/2×(R2/R1)) ・・・(1)
ただし、「N1」は上記現像用磁界発生手段の磁極数であり、「N2」は上記キャリア回収用磁界発生手段の磁極数であり、「R1」は該現像用磁界発生手段における複数の磁極の周回移動中心から回収キャリア支持体と最も近接する現像剤担持体外周面上の位置までの距離であり、「R2」はキャリア回収用磁界発生手段の回転中心から該現像剤担持体と最も近接する回収キャリア支持体外周面上の位置までの距離であり、「Round()」はその括弧内の数値を四捨五入することを意味する。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記キャリア回収部材は、上記回収キャリア支持体の外周面上に付着した磁性キャリアを上記キャリア回収領域とは別のキャリア離脱領域で該回収キャリア支持体の外周面から離脱させる構成を有し、
上記キャリア回収用磁界発生手段の各磁極と上記キャリア回収領域との最近接距離が、該キャリア回収用磁界発生手段の各磁極と上記キャリア離脱領域との最近接距離よりも近くなるように構成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の現像装置において、
上記回収キャリア支持体は、回転可能なものであることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
潜像担持体と、該潜像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、トナー及び磁性キャリアを含む二成分現像剤により該潜像担持体上の潜像を現像する現像装置とを有し、該現像装置により該潜像担持体上に形成されたトナー像を最終的に記録材へ転移させて、該記録材上に画像を形成する画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−118361(P2012−118361A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268940(P2010−268940)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】