説明

現像装置及びプロセスカートリッジ

【課題】トナー漏れやコストアップへの影響が少なく、小型化を実現した現像装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像剤供給ローラ35は、円筒状弾性体35bの端部35cに中央部の外径よりも小さい外径の小径部44を有しており、小径部44の端面35dの外径は、現像容器29における端部シール部材36に接触しないように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する複写機やプリンタ等の電子写真画像形成装置に用いられる現像装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての帯電手段、現像手段、クリーニング手段及び電子写真感光体を一体的にカートリッジ化し、このプロセスカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0004】
また、現像装置とは電子写真感光体の静電潜像を現像するために用いられる現像手段を一体化した装置であり、プロセスカートリッジの一部を構成する、もしくは現像装置単独で電子写真感光体を備えた電子写真画像形成装置に着脱可能に搭載されるものである。
【背景技術】
【0005】
電子写真プロセスを用いたプリンタ等の電子写真画像形成装置は、像担持体である感光体ドラムを一様に帯電させ、前記感光体ドラムへの選択的な露光によって潜像を形成する。前記潜像を現像剤であるトナーで現像し、前記トナー像を記録媒体に転写し、更に、転写されたトナー像に熱や圧力を加えることで前記トナー像を記録媒体に定着させて画像を記録する。
【0006】
このような装置は、トナー補給や各種プロセス手段のメンテナンスを伴う。そこで、このトナー補給作業やメンテナンスを容易にする手段として感光体ドラム、帯電手段、現像手段、クリーニング手段等の全て若しくは一部を枠体内にまとめてカートリッジ化することが行われている。即ち、このカートリッジを画像形成装置に着脱可能とするカートリッジ方式が採用されている。このカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをカートリッジの交換という形でユーザ自身が行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。よって、このカートリッジ方式は画像形成装置において広く用いられている。
【0007】
このようなカートリッジとしては、特許文献1に示すように、少なくとも、感光体ドラムに形成された静電潜像を現像する現像ローラ、トナーを収容して現像ローラに現像剤を供給するための開口部を備えた現像容器を有している。更に、現像ローラに現像剤であるトナーを供給する現像剤供給ローラ、現像ローラ上のトナー量を均一に規制する現像ブレードを備えている(特許文献1、図2〜図4参照)。また、現像容器の開口部の両端に配置され、現像ブレード及び現像ローラの端部と現像容器との隙間からのトナー漏れを防止する端部シール部材を有している(特許文献1、図4、7、8参照)。
【0008】
ここでカートリッジ方式においては、ユーザ自身がメンテナンスを行う際にカートリッジを画像形成装置本体から着脱する作業を行うため、カートリッジからのトナー漏れが無いことは重要な機能の一つである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−255741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年の市場拡大に伴い、電子写真画像形成装置においては多様な環境で使用できるような更に小型な製品が求められている。そのため、カートリッジにおいては、小型化のために部品間のクリアランスを減少させる必要がある。そこで、端部シール部材の幅に対して現像容器の端部シール部材貼付け座面の幅がほぼ等しく、かつ端部シール部材貼付け座面の一端である現像容器開口部の内側端面と現像剤供給ローラの端面のクリアランスを詰めた構成が採用されている(特許文献1、図8参照)。
【0011】
しかしながら、このような構成においては、部品公差のばらつきなどにより、端部シール部材と現像剤供給ローラの端部とが接触する可能性があった。万一、端部シール部材と回転体である現像剤供給ローラの端部とが接触すると、端部シール部材にトナーが侵入しやすくなり、トナーが端部シール部材を通り抜けて現像装置の外に漏れる恐れがあった。また、端部シール部材と現像剤供給ローラの端部の接触を防ぐために部品公差を厳しくすると、コストアップや量産性への影響が懸念される。また、端部シール部材と回転体である現像剤供給ローラの端部とが接触しても端部シール部材のパイルが抜けない構成を実現する場合、前記と同様にコストアップや量産性への影響が懸念される。
【0012】
そこで本発明は、上記課題に対し、トナー漏れやコストアップへの影響が少なく、小型化を実現した現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は本発明に係る現像装置及びプロセスカートリッジにて達成される。要約すれば、本発明の第一の態様によれば、
現像剤を収容し、開口部を有する現像容器と、
前記開口部に配置され、像担持体上に現像剤像を形成する現像ローラと、
前記現像ローラの端部に沿って前記開口部に配置され、前記開口部と前記現像ローラの端部との隙間からのトナー漏れを防止する第1シール部材と、
芯材と、該芯材の周りに設けられ、前記現像ローラに接触する円筒状弾性体と、を備え、前記現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給ローラと、
を有し、
前記円筒状弾性体の長手方向における端面と前記第1シール部材とが接触しないように、前記端面の外径が前記円筒状弾性体の長手方向中央部の外径よりも小さく形成されていることを特徴とする現像装置が提供される。
【0014】
本発明の第二の態様によれば、
静電潜像を担持する像担持体と、
現像剤を収容し、開口部を有する現像容器と、
前記開口部に配置され、像担持体上に現像剤像を形成する現像ローラと、
前記現像ローラの端部に沿って前記開口部に配置され、前記開口部と前記現像ローラの端部との隙間からのトナー漏れを防止する第1シール部材と、
芯材と、該芯材の周りに設けられ、前記現像ローラに接触する円筒状弾性体と、を備え、前記現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給ローラと、
を有し、
前記円筒状弾性体の長手方向における端面と前記第1シール部材とが接触しないように、前記端面の外径が前記円筒状弾性体の長手方向中央部の外径よりも小さく形成されていることを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端部シール部材と現像剤供給ローラ端部の接触を防ぐことができるため、トナー漏れやコストアップへの影響が少なく、小型化を実現した現像装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る現像装置及びプロセスカートリッジが適用される電子写真画像形成装置の全体構成を示す概略構成断面図である。
【図2】本発明に係る現像装置の第一の実施例における現像剤供給ローラと端部シール部材貼り付け座面の位置関係を示す断面図である。
【図3】本発明の現像装置を備えたプロセスカートリッジの一実施例の外観斜視図である。
【図4】本発明の現像装置を備えたプロセスカートリッジの一実施例の概略構成断面図である。
【図5】本発明の現像装置の一実施例の分解斜視図である。
【図6】本発明のプロセスカートリッジの一実施例の分解斜視図である。
【図7】本発明に係る現像装置の第二の実施例における現像剤供給ローラと端部シール部材貼り付け座面の位置関係を示す断面図である。
【図8】本発明に係る現像装置の第二の実施例の変更例における現像剤供給ローラと端部シール部材貼り付け座面の位置関係を示す断面図である。
【図9】本発明に係る現像装置の第二の実施例の変更例における現像剤供給ローラと端部シール部材貼り付け座面の位置関係を示す断面図である。
【図10】本発明に係る現像装置の第二の実施例の変更例における現像剤供給ローラと端部シール部材貼り付け座面の位置関係を示す断面図である。
【図11】本発明に係る現像装置の第三の実施例における現像剤供給ローラと端部シール部材貼り付け座面の位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る現像装置及びプロセスカートリッジを図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
《画像形成装置の全体的な概略構成》
図1に、本発明に係る現像装置及びプロセスカートリッジが搭載される、本実施例のカラー電子写真画像形成装置の断面概略構成を示す。この画像形成装置1A(以下、「装置本体」と称す。)は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。本装置は、プロセスカートリッジ方式を用いており、プロセスカートリッジを装置本体1Aに取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
【0019】
ここで、以下の説明において、装置本体1Aに関して、装置開閉ドア3を配設した側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。左右は装置本体1Aを正面から見て左又は右とする。
【0020】
装置本体1Aには4つのプロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)(以下、「カートリッジ」と称す。)が水平方向に配置されて搭載されている。各カートリッジPは、装置本体1Aのプロセスカートリッジ収容部2に収容されている。カートリッジPは交換可能であり、交換の際は装置本体1Aの装置開閉ドア3を開け、プロセスカートリッジ収容部2を正面方向に引き出して各カートリッジPの着脱を行う。
【0021】
各カートリッジPは、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下、「トナー」と称す。)の色や、トナーの充填量が各々異なるものである。収容部2に位置しているカートリッジPには装置本体1Aの駆動入力部(不図示)から回転駆動力が伝達される。また、カートリッジPには装置本体1Aからバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
【0022】
図4に示すように、本実施例の各カートリッジPは、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」と称す。)4と、この感光体ドラム4に作用するプロセス手段としての帯電手段5及びクリーニング手段7を備えた感光体ドラムユニット8を有する。また、各カートリッジPは、感光体ドラム4上の静電潜像を現像して現像剤像(「以下、「トナー像」と称す。)とする現像手段を備えた現像装置9を有する。感光体ドラムユニット8と現像装置9は互いに結合されている。また、帯電手段としては帯電ローラ5、クリーニング手段としてはクリーニングブレード7、現像手段としては現像ローラ6を用いている。カートリッジPのより具体的な構成については後述する。
【0023】
第1のカートリッジPYは、現像容器内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、感光体ドラム4の面にイエロー色のトナー像を形成する。第2のカートリッジPMは、現像容器内にマゼンタ(M)のトナーを収容してあり、感光体ドラム4の面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3のカートリッジPCは、現像容器内にシアン(C)のトナーを収容してあり、感光体ドラム4の面にシアン色のトナー像を形成する。第4のカートリッジPKは、現像容器内にブラック(K)のトナーを収容しており、感光体ドラム4の面にブラック色のトナー像を形成する。
【0024】
図1を参照すると、カートリッジP(PY、PM、PC、PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが配設されている。このレーザスキャナユニットLBは、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。そして、レーザ光Lは、カートリッジPの露光窓部10を通過して感光体ドラム4の表面を走査露光する。
【0025】
カートリッジP(PY、PM、PC、PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11を配設してある。この中間転写ベルトユニット11は、可撓性を有するエンドレスの転写ベルト12と、この転写ベルト12を張設して回動させる駆動ローラ13、ターンローラ14、テンションローラ15を有する。各カートリッジPの感光体ドラム4は、その下面が転写ベルト12の上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト12の内側には、感光体ドラム4に対向させて一次転写ローラ16を配設している。ターンローラ14には転写ベルト12を介して二次転写ローラ17を当接させて配設してある。転写ベルト12と二次転写ローラ17の接触部が二次転写部である。
【0026】
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を配設してある。この給送ユニット18は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ19、給紙ローラ20、等を有する。
【0027】
装置本体1A内の後側の上方には、定着ユニット21と、排出ユニット22を配設してある。装置本体1Aの上面は排出トレイ23としている。
【0028】
カートリッジ収容部2に収容されている各カートリッジP(PY、PM、PC、PK)は、装置本体1A側の加圧機構(不図示)により上から加圧されて装置本体1A側の位置決め部(不図示)に固定されている。また、各カートリッジPの駆動入力部に対して装置本体1A側の駆動出力部が結合している(不図示)。また、各カートリッジ側の入力電気接点に対して装置本体1A側の給電系統(不図示)が導通している。
【0029】
《画像形成動作》
フルカラー画像を形成するための動作は次のとおりである。図1において、第1〜第4の各カートリッジP(PY、PM、PC、PK)の感光体ドラム4が矢印の方向(図中で反時計周り)に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト12も矢印の方向(感光体ドラム回転に順方向)に感光体ドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。レーザスキャナユニットLBも駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジにおいて帯電ローラ5が感光体ドラム4の表面を所定の極性、電位に一様に帯電する。レーザスキャナユニットLBは各感光体ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Lで走査露光する。これにより、各感光体ドラム4の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される現像ローラ6により現像され、トナー像となる。
【0030】
前記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYの感光体ドラム4にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上に一次転写される。
【0031】
同様に、第2のカートリッジPMの感光体ドラム4にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0032】
同様に、第3のカートリッジPCの感光体ドラム4にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色+マゼンタ色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0033】
同様に、第4のカートリッジPKの感光体ドラム4にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色+マゼンタ色+シアン色のトナー像に重畳されて一次転写される。
【0034】
このようにして、転写ベルト12上にイエロー色+マゼンタ色+シアン色+ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0035】
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ17と転写ベルト12との当接部である二次転写部に導入される。これにより、記録媒体Sが前記二次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
【0036】
記録媒体Sは転写ベルト12の面から分離されて定着ユニット21へ導入される。そして、定着ニップ部で加熱、加圧される。これにより、各色トナー像の記録媒体Sへの定着がなされる。そして、記録媒体Sは、定着ユニット21を出て、フルカラー画像形成物として排出ユニット22により排紙トレイ23上に排出される。
【0037】
《プロセスカートリッジの構成》
図3に示すように、カートリッジP(PY、PM、PC、PK)は、感光体ドラム4の回転軸線aの方向を長手方向とする横長の形状であり、装置本体正面から見て右側が駆動側、左側が非駆動側である。カートリッジPは、感光体ドラムユニット8と、現像装置9と、駆動側カバー部材24と、非駆動側カバー部材25を有する。
【0038】
図4に、プロセスカートリッジPの断面概略構成を示す。
【0039】
感光体ドラムユニット8は、クリーニングブレード7を有するクリーニング装置26と、感光体ドラム4と、帯電ローラ5により構成される。感光体ドラム4は、非駆動側は図6に示す非駆動側カバー部材25の感光体ドラム支持部27L、また、駆動側は図6に示す駆動側カバー部材24の感光体ドラム支持部27Rによって回転自在に支持されている。感光体ドラム4の駆動側の端部4Rには、感光体ドラム駆動入力部としてのドラム駆動カップリング(駆動伝達部)28が感光体ドラム4と同心に取り付けてある。このドラム駆動カップリング28に対して装置本体側のドラム駆動出力部としてのカップリング(不図示)が係合して装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力の伝達がなされ、感光体ドラム4が図1、図4において反時計方向に所定の速度で回転駆動される。帯電ローラ5は、感光体ドラム4に接触し従動回転する接触帯電方式の帯電部材である。そして、帯電ローラ5は、駆動側と非駆動側の軸端部をクリーニング装置26の側板間に設けられた軸受部(不図示)を介して回転自在に支持させて配設してある。
【0040】
クリーニングブレード7は、弾性ゴムブレードであり、感光体ドラム4に残留したトナーを除去する役目をする。このクリーニングブレード7により感光体ドラム4の周面から除去された転写残トナーは、クリーニング装置26内に収容される。
【0041】
図5に示すように、現像装置9は、現像手段としての現像ローラ6の回転軸方向を長手方向とする横長の形状である。現像装置9は、現像剤収容部を形成し、また、現像ローラを回転自在に担持した第2の枠体としての現像容器29を備えている。
【0042】
現像装置9は、現像容器29に、現像ローラ6の他に更に、現像ブレード30、現像剤供給ローラ35を設置し、第1シール部材としての端部シール部材36R、36L、可撓性シート部材37、第2シール部材としての供給ローラ軸シール43R、43Lを取り付けることによって構成される。
【0043】
現像剤供給ローラ35は、金属製の芯材35aと発泡ウレタン製の円筒状弾性体35bで構成されている(図2)。また、現像剤供給ローラ35は、現像容器29の開口部(即ち、現像ローラ6に現像剤を供給するための現像剤供給開口)29A(図4をも参照)に配置され、現像ローラ6と当接している。
【0044】
図5を参照すると、現像ローラ6の芯材6aと現像剤供給ローラ35の芯材35aの両端部はそれぞれ、現像容器29の駆動側と非駆動側の両側面に取り付けられた軸受部材(41、42)によって回転自在に支持されている。
【0045】
また、現像ローラ6と現像剤供給ローラ35の芯材6a、35aの駆動側端部にはそれぞれ、現像ローラギア38と現像剤供給ローラギア39が配置され、現像駆動入力ギア40と噛み合っている。現像駆動入力ギア40は、現像駆動カップリング33を備えており、装置本体側の現像駆動出力部としてのカップリング(不図示)が係合して装置本体の駆動モータ(不図示)の駆動力の伝達がなされる。そして、現像ローラ6と現像剤供給ローラ35が図1、図4において時計方向に所定の速度で回転駆動される。
【0046】
現像時には、駆動により現像剤供給ローラ35が回転して現像ローラ6と摺擦することで現像容器内のトナーを現像ローラ6上に担時させる。現像ブレード30は、先端部を現像ローラ6の回転方向(図1、図4において時計方向)に対してカウンター方向に現像ローラ6に当接させて配設してある。従って、現像ローラ6上に担持されたトナーは、現像ローラ6の回転に伴い現像ブレード30によって電荷を付与されると共に、所定のトナー薄層に規制される。そして、現像ローラ6と感光体ドラム4の接触部で現像ローラ6上のトナーが感光体ドラム4上の静電潜像に付着し、潜像を現像する。
【0047】
現像に寄与せず、現像ローラ6上に残留したトナーは、現像ローラ6の回転によって現像容器29内に戻され、現像剤供給ローラ35との摺擦部で現像ローラ6から剥離、回収される。回収されたトナーは、現像容器29内で残りのトナーと混合される。
【0048】
現像容器29の開口部(現像剤供給開口)29Aの両端部には端部シール部材36R、36Lが配置され、現像ローラ6と現像容器29との隙間からのトナー漏れを防止している。
【0049】
また、現像容器29の開口部29Aの長手方向には可撓性シート部材37が現像ローラ6と当接するように配置され、現像容器29と現像ローラ6と間のトナー漏れを防止している。また、図2に示すように、現像容器29の外側には、現像剤供給ローラ35の芯材35aの周りに供給ローラ軸シール43(43R、43L)が装着されており、現像容器29に設けられた芯材が貫通する通し穴29Cと芯材35aとの隙間からのトナー漏れを防止している。現像剤供給ローラ35の芯材35aは、供給ローラ軸シールとの接触部43a(図2ハッチング部)に潤滑剤としてのグリスを塗布されており、トナー漏れを防止する効果を高めている。
【0050】
また、図6に示したように、現像装置9は、駆動側と非駆動側のカバー部材24、25間においてドラム軸線aと並行な軸線bを中心にして揺動自在に支持されている。現像ユニット9の駆動側はサイドカバー31の円筒部分31Aがカバー部材24の円筒受け穴32に回転可能に支持されて揺動中心となっている。非駆動側は、現像容器側面の穴(不図示)がカバー部材25の軸34に回転可能に支持されて揺動中心となっている。即ち、現像装置9は、ドラムユニット8と回転可能に結合されており、現像ローラ6が感光体ドラム4に接触する方向(図1、図4において反時計方向)に回動するように、付勢部材である加圧バネ(不図示)によって常に付勢されている。
【0051】
《現像装置内の詳細な構成》
次に、図2を参照して、本実施例における現像装置9の詳細な構成について述べる。
【0052】
現像剤供給ローラ35は金属製の芯材35aと、芯材35aの外周部に形成された発泡ウレタン製の円筒状弾性体35bとを有している。円筒状弾性体35bの長手方向端部35cには、長手方向中央部よりも小さい外径の部分(小径部44)が形成されている。円筒状弾性体35bの端部35cの外径、即ち、小径部44の端面35dの外径は、現像容器29における端部シール部材36の貼り付け座面45より低い位置にある。即ち、円筒状弾性体35bの小径部44の端面外径は、端部シール36に対し現像剤供給ローラ35の径方向でオーバーラップしないように(端面35dと端部シール36とが接触しないように)、中央部の外径よりも小さく形成されている。
【0053】
本実施例によれば、部品公差を緩和しても円筒状弾性体35bの端部小径部44の端面35dと端部シール部材36が接触することはないため、コストアップせずに端部シール部材36からのトナー漏れを防止することができる。
【0054】
なお、本実施例の図2のように、供給ローラ軸シール43と端部シール部材36とを互いに接触するようにオーバーラップさせるとトナー漏れ防止効果を高めることができる。従来は、供給ローラ軸シール43と端部シール部材36とを互いに接触するようにオーバーラップさせると、供給ローラ軸シール43に塗布された潤滑剤が端部シール部材36を介して現像剤供給ローラ35に浸透することとなる。そのため、潤滑剤が現像ローラの表面に付着して画像不良を引き起こす可能性があった。しかし、本実施例では、円筒状弾性体35bの端部小径部44の端面35dと端部シール部材36が接触することはないため、潤滑剤による画像不良も防止することができる。
【0055】
実施例2
図7に、本発明の現像装置の第二の実施例を示す。本実施例にて、現像装置の全体構成は、実施例1と同様であり、実施例1の説明を援用し、ここでの説明は省略する。本実施例では、実施例1の現像装置とは、現像装置の端部構成において異なっている。
【0056】
つまり、本実施例にて円筒状弾性体35bの端部35cにおける小径部44の外径は、円筒状弾性体35bの最端部、即ち、端面35dに向かうにつれて小さくなっている。円筒状弾性体35bの端面35dの外径は、現像容器29における端部シール部材36貼り付け座面45より低い位置にある。すなわち、端面35dと端部シール36とが接触しないように、端面35dの外径が中央部の外径よりも小さく形成されている。
【0057】
本実施例によれば円筒状弾性体35bを一定の外径で成型した現像剤供給ローラ35に対してローラを回転させながら切断することでの製作が可能であるため、加工が容易になることで現像剤供給ローラ35の量産性に影響は無い。
【0058】
図7の形状以外にも、端部35cにおける小径部44の外径が端面35dに向かうにつれて小さくなっていればよい。例えば、図8〜図10に示したような形状、即ち、
(1)円筒状弾性体35bの端面35dに向かうにつれて、小径部の44の外形状が凹状に湾曲しながら小さくなっている形状(図8)。
(2)円筒状弾性体35bの端面35dに向かうにつれて、小径部の44の外形状が凸状に湾曲しながら小さくなっている形状(図9)。
(3)円筒状弾性体35bの端面35dに向かうにつれて、小径部の44の外形状が凹状に湾曲しながら小さくなっており、かつ、円筒状弾性体35bの端面35dの外径が、芯材35aの外径と同じとされる形状(図10)。
とすることができ、この場合においても、上述の図2、図7に示す実施例と同様の効果が得られることは言うまでも無い。
【0059】
実施例3
図11に、本発明の現像装置の第三の実施例を示す。本実施例にて、現像装置の全体構成は、実施例1と同様であり、実施例1の説明を援用し、ここでの説明は省略する。本実施例では、実施例1の現像装置とは、現像装置の端部構成において異なっている。
【0060】
つまり、本実施例における円筒状弾性体35bの端部35c(端面35d)は、現像容器29の開口部29Aの端部(現像容器の内壁29B)と接触している。
【0061】
従来では、円筒状弾性体35bの端部35c、即ち、端面35dと現像容器29の開口部29Aの端部(内側端面29B)を接触させると、円筒状弾性体35bの端面35dと端部シール部材36が接触してトナー漏れを起こす恐れがあった。そのため、円筒状弾性体35bの端面35dと現像容器29の開口部29Aの端面35dに隙間を設ける必要があった。
【0062】
本実施例の構成によれば、従来例に示すように、トナー漏れに影響なく、円筒状弾性体の端部と現像容器の開口部の内側端面を接触させることが可能である。そのため、上記長手の隙間を削減でき、第一及び第二の実施例に対して現像装置やプロセスカートリッジを長手方向に更に小型化することができる。
【符号の説明】
【0063】
1A 画像形成装置本体(装置本体)
4 感光体ドラム(像担持体)
6 現像ローラ
8 感光体ドラムユニット
9 現像装置
29 現像容器
29A 開口部
29B 内壁
35 現像剤供給ローラ
35a 芯材
35b 円筒状弾性体
35c 円筒状弾性体端部
35d 円筒状弾性体端面
36(36R、36L) 端部シール部材
43(43R、43L) 供給ローラ軸シール
44 現像剤供給ローラの小径部
45 端部シール部材貼り付け座面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容し、開口部を有する現像容器と、
前記開口部に配置され、像担持体上に現像剤像を形成する現像ローラと、
前記現像ローラの端部に沿って前記開口部に配置され、前記開口部と前記現像ローラの端部との隙間からのトナー漏れを防止する第1シール部材と、
芯材と、該芯材の周りに設けられ、前記現像ローラに接触する円筒状弾性体と、を備え、前記現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給ローラと、
を有し、
前記円筒状弾性体の長手方向における端面と前記第1シール部材とが接触しないように、前記端面の外径が前記円筒状弾性体の長手方向中央部の外径よりも小さく形成されていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記端面が前記現像容器の内壁と接触していることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記円筒状弾性体の長手方向における端部の外径は、前記端面に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像容器に設けられた前記芯材を貫通するための穴と前記芯材との間からのトナー漏れを防止する第2シール部材が、前記現像容器の外側において前記芯材の周りに設けられており、
前記芯材は前記第2シール部材との接触部に潤滑剤を塗布されており、
前記第1シール部材と前記第2シール部材とが接触していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
静電潜像を担持する像担持体と、
現像剤を収容し、開口部を有する現像容器と、
前記開口部に配置され、像担持体上に現像剤像を形成する現像ローラと、
前記現像ローラの端部に沿って前記開口部に配置され、前記開口部と前記現像ローラの端部との隙間からのトナー漏れを防止する第1シール部材と、
芯材と、該芯材の周りに設けられ、前記現像ローラに接触する円筒状弾性体と、を備え、前記現像ローラに現像剤を供給する現像剤供給ローラと、
を有し、
前記円筒状弾性体の長手方向における端面と前記第1シール部材とが接触しないように、前記端面の外径が前記円筒状弾性体の長手方向中央部の外径よりも小さく形成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記円筒状弾性体の長手方向における端部の外径は、前記端面に向かうにつれて小さくなっていることを特徴とする請求項5に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記端面が、前記現像容器の内壁と接触していることを特徴とする請求項5または6に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記現像容器に設けられた前記芯材を貫通するための穴と前記芯材との間からのトナー漏れを防止する第2シール部材が、前記現像容器の外側において前記芯材の周りに設けられており、
前記芯材は前記第2シール部材との接触部に潤滑剤を塗布されており、
前記第1シール部材と前記第2シール部材とが接触していることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−186447(P2011−186447A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22870(P2011−22870)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】