説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】二成分現像剤を用いた現像装置において、補給トナーと二成分現像剤との混合性を高めること。
【解決手段】現像槽と、現像槽内部を区分けする仕切り壁と、二成分現像剤を循環搬送する第1および第2現像剤搬送路と、現像剤を一方向に搬送する第1および第2搬送部材と、第1現像剤搬送路内にある現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第1連通路と、第2現像剤搬送路内にある現像剤を第1現像剤搬送路へ導く第2連通路と、現像ローラーと、現像槽内部に新しいトナーを補給するトナー補給口とを備え、第1搬送部材が、第1現像剤搬送路の下流側に現像剤減速部を有し、仕切り壁が、区分部と、第1連通路と区分部との間に設けられ第1現像剤搬送路の現像剤の一部を第2現像剤搬送路へ導く現像剤乗越部を有し、トナー補給口を、第1連通路近傍であって現像剤減速部よりも下流側端部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関し、特に、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を用いた現像装置と、電子写真方式によりこの現像装置を用いて画像形成を行う静電複写機、レーザープリンタ及びファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、感光体ドラム(トナー像担持体)の表面に静電潜像を形成し、現像装置によって感光体ドラムに対してトナーを供給して静電潜像を現像し、現像によって感光体ドラムに形成されたトナー像を用紙等のシートに転写して、定着装置によってシートにトナー像を定着させるようになっている。
【0003】
近年、フルカラー化や高画質化に対応した画像形成装置では、トナーの帯電安定性に優れる二成分現像剤(以下、単に「現像剤」とも称する)が広く使用されている。この現像剤は、トナーと磁性キャリアとからなり、それらを現像装置内で攪拌することによりトナーと磁性キャリアとが摩擦し、この摩擦によって適正に帯電したトナーが得られる。
帯電したトナーは、現像剤担持部材、例えば、現像ローラの表面に供給される。この現像ローラに供給されたトナーは、静電的吸引力によって感光体ドラムに形成された静電潜像に移動する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像に基づいたトナー像が形成される。
【0004】
また、このような画像形成装置では、高速化及び小型化が要求されており、現像剤の帯電を迅速且つ充分に行い、現像剤の搬送も迅速に行う必要がある。
そこで、今日の画像形成装置においては、補給されたトナーを現像剤中に即時に分散させて適切な帯電量を付与するために、循環方式の現像装置を搭載するものが提案されている。
【0005】
たとえば、特許文献1には、現像容器内に、仕切壁によって仕切られ現像剤の循環経路を構成する現像室と撹拌室とを備え、現像室には、トナー及びキャリアを含む現像剤を担持して像担持体へ搬送する現像剤担持体を備え、撹拌室には、回転軸上に撹拌羽根と、その撹拌羽根の間に取り付けた板状部材のフィンとが設けられ現像剤を撹拌搬送するスクリュー部材と、補給トナーを受け入れるトナー補給口を備え、トナー補給口近傍の第1領域よりも、トナー補給口から現像剤搬送方向下流側に所定距離離れた位置以降の第2領域に、多くのフィンを設けた現像装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2004−272017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のように、スクリュー部材に多くのフィンを設けた場合、現像剤と補給トナーとの混合性を向上させ、現像剤の撹拌性と帯電付与性を向上することにより画像不良を防止できる。しかしながら、フィンを設けることにより、現像剤に対する圧縮状態におけるズレ応力(せん断力)が大きくなり、現像剤の搬送中に現像剤にかかるストレスによりトナーの外添剤がトナー粒子中に埋没するため、現像剤の流動性が低下しやすいという問題や、キャリアの摩耗が速くなるという問題が生じていた。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、搬送中に現像剤にかかるストレスを低減させ、現像剤と補給トナーとの混合性を高めて、補給トナーが二成分現像剤の表面に浮いた状態で搬送されることを防止することのできる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、二成分現像剤を収容する現像槽と、前記現像槽内部を区分けする仕切り壁と、前記仕切り壁によって区分され、対になって前記二成分現像剤を循環搬送する第1現像剤搬送路および第2現像剤搬送路と、前記第1および第2現像剤搬送路の内部にそれぞれ回転自在に設けられ、二成分現像剤を一方向に搬送する第1搬送部材および第2搬送部材と、第1現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第1連通路と、第2現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第1現像剤搬送路へ導く第2連通路と、前記第1現像剤搬送路内の二成分現像剤を担持して、感光体ドラムに供給する現像ローラーと、前記現像槽内部に新しいトナーを補給するトナー補給口とを備え、前記第1搬送部材が、前記第1連通路近傍であって前記第1現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側に、現像剤減速部を有し、前記仕切り壁が、前記第1現像剤搬送路内の二成分現像剤と第2現像剤搬送路内の二成分現像剤とが混ざらないように区分けした区分部と、前記第1連通路と前記区分部との間に設けられ、前記第1現像剤搬送路の下流側を移動する二成分現像剤の一部を第2現像剤搬送路へ導く現像剤乗越部を有し、前記トナー補給口が、前記第1連通路近傍であって、前記第1現像剤搬送路の鉛直方向の上方、かつ前記現像剤減速部よりも二成分現像剤搬送方向の下流側端部に、設けられていることを特徴とする現像装置を提供するものである。
【0010】
この発明によれば、第1現像剤搬送路の下流側に現像剤減速部を設け、第1連通路と区分部との間に現像剤の一部を第2現像剤搬送路へ導く現像剤乗越部を設け、トナー補給口を現像剤乗越部よりも現像剤搬送方向の下流側端部に設けているので、第1現像剤搬送路内の現像剤減速部周辺において現像剤面が上昇し、二成分現像剤の一部が現像剤乗越部を乗り越えて、第2現像剤搬送路の方に流れ込むことになる。その結果、トナー補給口から補給された新しいトナーは、現像剤乗越部を乗り越えずに、第1連通路に搬送された二成分現像剤と第1連通路付近で混合され、第2現像剤搬送路に移動した後、現像剤乗越部を越えて第2現像剤搬送路内に流れ込む二成分現像剤と混合されるので、補給トナーと二成分現像剤との混合性をより高くすることができ、補給トナーが二成分現像剤の表面に浮いた状態で搬送されることを防止できる。
【0011】
また、本発明の現像装置は、前記第1搬送部材が所定の螺旋ピッチの第1搬送羽根を有し、前記現像剤減速部が、前記第1搬送羽根の螺旋ピッチよりも短い螺旋ピッチを持つ短ピッチ螺旋羽根であることを特徴とする。
これによれば、短ピッチ螺旋羽根を設けているので、二成分現像剤の搬送速度を緩やかに減速することができ、二成分現像剤に過度なストレスを与えることなく、第1現像剤搬送路の下流側の現像剤面を上昇させることができる。
【0012】
また、本発明の現像装置は、前記現像剤乗越部の鉛直方向の高さが、前記第1搬送部材の回転軸心の高さ以上、前記第1搬送羽根の最上部の高さ以下であることを特徴とする。
これによれば、現像剤乗越部の位置において、第1現像剤搬送路内の二成分現像剤の一部を速やかに、第2現像剤搬送路内に移動させることができ、第2現像剤搬送路の二成分現像剤が第1現像剤搬送路内に逆流することを抑えることができる。
【0013】
また、本発明の現像装置は、前記第1搬送部材が、前記第1現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側端部であって、第1連通路を臨む位置に、周方向撹拌板を備えることを特徴とする。
これによれば、周方向撹拌板を備えているので、第1連通路を臨む位置まで第1搬送部材により搬送されてきた二成分現像剤を、周方向撹拌板により、第2現像剤搬送路の方向に移動撹拌させることにより、第1現像剤搬送路下流側の第1連通路で二成分現像剤が滞留することを防止できる。
【0014】
また、本発明の現像装置は、前記周方向撹拌板が、前記第1搬送部材と同じ回転軸の回りを回転し、前記第1現像剤搬送路の底部を第1連通路に向かって移動する向きに回転することを特徴とする。
これによれば、周方向撹拌板によって、第1連通路内の二成分現像剤が第1現像剤搬送路から第2現像剤搬送路に向かって押し出される向きに移動させられるので、二成分現像剤を速やかに搬送できる。
【0015】
また、本発明の現像装置は、前記トナー補給口が、前記周方向撹拌板の鉛直方向の上方に設けられることを特徴とする。
これによれば、補給トナーは周方向撹拌板の上方から補給されるので、補給トナーは直ちに周方向撹拌板で撹拌され、二成分現像剤表面に浮いた状態を速やかに解消できる。
【0016】
また、本発明の現像装置は、前記第1連通路の底部に、前記第2現像剤搬送路の二成分現像剤が第1現像剤搬送路へ逆流するのを防止する現像剤逆流防止壁が設けられることを特徴とする。
これによれば、現像剤逆流防止壁を設けているので、第2搬送部材で搬送される第2現像剤搬送路内の二成分現像剤が、第2現像剤搬送路から第1現像剤搬送路に戻りにくくなり、二成分現像剤の一方向搬送性を高めることができる。
【0017】
また、本発明の現像装置は、表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、トナー補給装置から補給されたトナーを用いて前記現像装置が感光体ドラムの表面に形成したトナー像を、記録媒体に転写する転写装置と、前記転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする。
これによれば、画像形成装置は、上記のような特徴を持つ現像装置を備えているので、補給トナーと二成分現像剤との混合性が高まり、補給トナーが二成分現像剤の表面に浮いた状態で搬送されることを防止できるようになり、長期に渡って安定した画像品質を持つ画像を形成できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1現像剤搬送路の下流側に、現像剤減速部と、現像剤乗越部とを設け、現像剤減速部よりも現像剤搬送方向の下流側端部にトナー補給口を設けているので、トナー補給口から補給された新しいトナーは、二成分現像剤と多段階で混合されることになり、補給トナーと二成分現像剤との混合性をより高くすることができ、補給トナーが二成分現像剤の表面に浮いた状態で搬送されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置の断面図である。
【図3】図2に示す現像装置のA−A´断面矢視図である。
【図4】図2に示す現像装置のB−B´断面矢視図である。
【図5】図3におけるC−C´断面矢視図である。
【図6】図3におけるD−D´断面矢視図である。
【図7】この発明の現像装置におけるトナー補給装置の一実施例の構成を示す概略断面図である。
【図8】図7に示すトナー補給装置のE−E´断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら、本発明の現像装置および画像形成装置の実施形態を詳説する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。
[画像形成装置の構成]
図1に、本発明に係る現像装置を備えた画像形成装置の一実施例の全体構成の説明図を示す。
この画像形成装置100は、主として、複数の現像装置2a〜2dがケーシング内に収容された現像装置収容部100Aと、定着装置12がケーシング内の現像装置収容部100Aの上方に収容された定着装置収容部100Bと、それらの間に設けられて定着装置12の熱が現像装置側に伝わらないように断熱するための隔壁30とを備える。
また、外部から伝達される画像データに応じてシート状の記録媒体(記録用紙)に多色または単色の画像を形成する装置である。さらに、図1の定着装置収容部100Bの横であって、現像装置収容部100Aの上面は排紙トレイ15となっている。
【0021】
図1の実施形態では、画像形成装置としてプリンターの場合を例示している。ただし、画像形成装置としては、外部から伝達される画像データおよび/またはスキャナによって原稿から読み取った画像データに応じても記録媒体に多色または単色の画像を形成することができるコピー機、ファクシミリ装置またはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0022】
〔現像装置収容部100Aの構成〕
現像装置収容部100Aには、図1に示すように、4つの感光体ドラム3a、3b、3c、3dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面を帯電させる4つの帯電器(帯電装置)5a、5b、5c、5dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面に静電潜像を形成する露光ユニット(露光装置)1と、黒、シアン、マゼンタおよびイエローのトナーを個別に収容して各感光体ドラム3a〜3dの表面の静電潜像を現像してトナー像を形成する4つの現像装置2a、2b、2c、2dと、現像および画像転写後の各感光体ドラム3a〜3dの表面に残存する残留トナーを除去する4つのクリーナユニット4a、4b、4c、4dと、各現像装置2a〜2dに前記4色のトナーを個別に補給する4つのトナー補給装置22a、22b、22c、22dと、各感光体ドラム3a〜3dの表面のトナー像を記録媒体に転写する中間転写ベルトユニット(転写装置)8と、中間転写ベルトクリーニングユニット9等が収容されている。
【0023】
ここで、a〜dの符号は、aが黒画像形成用の部材、bがシアン画像形成用の部材、cがマゼンタ画像形成用の部材、dがイエロー画像形成用の部材であることを示したものである。
この画像形成装置100では、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4つの色成分毎の画像データに基づいて、各感光体ドラム3a〜3dの表面に、黒トナー画像、シアントナー画像、マゼンタトナー画像およびイエロートナー画像が選択的に形成される。そして、これらの形成された各トナー画像が中間転写ベルトユニット8上で重ねられ、記録媒体上に1つのカラー画像が形成される。
【0024】
各色に対応する感光体ドラム3a〜3dは同じ構成であるため、以下の説明では符号を3に統一する。また、これと同様に、現像装置は符号を2、帯電器は符号を5、クリーナユニットは符号を4、トナー補給装置は符号を22に統一して説明する。
この発明の特徴的な構成である現像装置については、後述する。
【0025】
感光体ドラム3は、導電性基体およびその表面に形成される感光層から構成され、帯電と露光による潜像形成を担う円筒状部材である。感光体ドラム3は、光の照射によって導電性を示し、その表面に静電潜像と呼ばれる電気的な画像が形成される。また、感光体ドラム3は、軸線回りに回転駆動が可能となるよう図示しない駆動手段により支持されている。
各感光体ドラム3の下方には、それぞれ異なる色の画像を形成するための4つの現像装置が配置される。
【0026】
クリーナユニット4は、現像及び画像転写工程後に感光体ドラム3の表面に残留しているトナーを除去し、回収するものである。
【0027】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものである。帯電器5としては、図1に示す接触ローラ型の他に、接触ブラシ型または非接触チャージャー型等の帯電器が用いられる。
【0028】
露光ユニット1は、帯電器5と現像装置2の下方から、画像データに応じた光を、帯電された感光体ドラム3の表面に照射して露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成するものである。
本実施形態においては、露光ユニット1は、図1に示すように、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。ただし、発光素子をアレイ状に並べたEL(エレクトロルミネッセンス)またはLED書込みヘッドを用いることもできる。
露光ユニット1は、現像装置2の下方に配置される。
【0029】
中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、図示しない中間転写ベルトテンション機構を備えている。
中間転写ローラ6、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構は、中間転写ベルト7を張架し、図1の矢印B方向に中間転写ベルト7を回転駆動させるものである。
【0030】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構における中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。中間転写ローラ6には感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスが印加されている。
【0031】
中間転写ベルト7は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。中間転写ベルト7上には、感光体ドラム3に形成された各色成分のトナー像が順次重ねて転写されることにより、カラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト7は、厚さが例えば100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0032】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
中間転写ローラ6は、直径が例えば8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとして形成され、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ローラ6は中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では、転写電極としてローラ形状のもの(中間転写ローラ6)を使用しているが、これ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0033】
上述のように各感光体ドラム3上の静電潜像は各色成分に応じたトナーにより顕像化されてそれぞれトナー像となり、これらトナー像は中間転写ベルト7上に重ねて合わされ積層される。このように、積層されたトナー像は、中間転写ベルト7の回転によって、搬送されてきた用紙と中間転写ベルト7との接触位置(転写部)に移動し、この位置に配置されている転写ローラ11によって用紙上に転写される。この場合、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップで互いに圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナー像を用紙に転写させるための電圧が印加される。この電圧は、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧である。
【0034】
上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方は金属等の硬質材料から形成され、他方は弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)から形成される。
中間転写ベルト7と感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、及び中間転写ベルト7から用紙へのトナー像の転写の際に転写されずに中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去され回収される。
【0035】
中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニングブレード(クリーニング部材)が備えられている。中間転写ベルト7におけるクリーニングブレードに接触している部分は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72にて支持されている。
【0036】
さらに、現像装置収容部100Aは、その最下部に配置された複数の記録媒体を収容する給紙トレイ10と、一側面に配置されて不定形サイズの記録媒体がセットされる手差しトレイ20と、給紙トレイ10または手差しトレイ20から記録媒体を中間転写ベルトユニット(転写装置)8に搬送するためのシート搬送路S等を備えている。
【0037】
シート搬送路Sは、給紙トレイ10のシート及び手差しトレイ20の記録媒体を転写部や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に案内する。ここで、転写部は中間転写ベルト駆動ローラ71と転写ローラ11との間に位置する。
さらに、シート搬送路Sには、ピックアップローラ16(16a,16b)、搬送ローラ25(25a〜25h)、レジストローラ14、転写部(転写ローラ11)、定着ユニット12等が配置されている。
【0038】
搬送ローラ25は、シートの搬送を促進・補助するための小型のローラであり、シート搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16aは、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。ピックアップローラ16bは、手差しトレイ20の近傍に備えられ、手差しトレイ20からシートを1枚ずつシート搬送路Sに供給する呼び込みローラである。レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持し、中間転写ベルト7上のトナー像の先端とシートの先端とを合わせるタイミングでシートを転写部に搬送するものである。
【0039】
〔定着装置収容部100Bの構成〕
図1に示すように、定着装置収容部100Bに収容された定着装置12は、トナー画像が転写された記録媒体を挟んで相互に逆方向に回転するヒートローラ81および加圧ローラ82と、搬送ローラ25bと、排紙ローラ25cとを備えている。
ヒートローラ81は、所定の定着温度となるように図示しない制御部によって制御される。この制御部は、図示しない温度検出器からの検出信号に基づいてヒートローラ81の温度を制御する。
【0040】
定着温度に昇温したヒートローラ81と加圧ローラ82は、記録媒体に圧接してトナーを溶融することにより、記録媒体上にトナー画像を定着させる。
トナー像が定着された記録媒体は、搬送ローラ25b、25cによってシート搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態(トナー像を下側に向けた状態)で排紙トレイ15上に排出される。
【0041】
〔現像装置2の構成〕
図2に、図1に示した現像装置2の一実施例の断面図を示す。図3に、図2のA−A´断面矢視図、図4に、図2のB−B´断面矢視図、図5に、図3のC−C´断面矢視図、図6に、図3のD−D´断面矢視図を示す。なお、これらの図において、現像槽111内に収容されている現像剤は省略している。
【0042】
現像装置2は、現像槽111内に、感光体ドラム3と対向するように配置された現像ローラ115を有し、現像ローラ115によって感光体ドラム3の表面にトナーを供給して、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を現像(顕像化)する装置である。
【0043】
図2に示すように、現像装置2は、現像槽111、感光体ドラム3に二成分現像剤を供給する現像ローラ115、仕切り壁(117)、現像剤の搬送部材(112,113)、ドクターブレード116、トナー濃度検知センサ119等を備える。
【0044】
現像槽111は、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤(二成分現像剤)を収容する槽である。
この現像槽111の内部には、図2に示すような位置に、現像ローラ115、第1搬送部材112、第2搬送部材113、ドクターブレード116、トナー濃度検知センサ119が配置される。
この発明で利用される現像剤に含まれるキャリアは、磁性を有する磁性キャリアであり、たとえば、フェライトキャリアが用いられる。
【0045】
《現像槽の内部構成》
図2において、現像槽111の内部は、現像ローラ115の軸心方向と平行な方向(図2の紙面に垂直な方向)に延伸した仕切り壁117によって、水平方向の左右に2つの部屋に区分けされている。2つの部屋のうちの右側の部屋が第1現像剤搬送路Pであり、左側の部屋が第2現像剤搬送路Qである。
この2つの搬送路(P,Q)は、対になって二成分現像剤を循環搬送する。
【0046】
図2に示すように、仕切り壁117の内部に、露光装置1から出射された光Eを感光体ドラムの表面に導く導光路118を設ける。導光路118は、仕切り壁117の内部を鉛直方向に貫通する空洞の空間として設けられる。
この導光路118となる空洞の下方から入射された光Eは、この空洞内を上方向に直進した後、感光体ドラム3の表面に照射される。
【0047】
図2の光Eは、図1に示すように、感光ユニット1から出射された光であり、露光ユニット1のミラーによって上方向に反射され、現像装置2の導光路118を通過して、感光体ドラム3に照射される光である。
導光路118は、図2に示すように、仕切り壁117の内部にあって鉛直方向に貫通した空間であるが、図3に示すように、第1搬送部材112と第2搬送部材113の回転軸に平行な方向(図3の紙面の左右方向)にも広い空間とすることが好ましい。
【0048】
また、図3に示すように、第1現像剤搬送路Pと第2現像剤搬送路Qとは、互いに並行した細長い通路であるが、現像剤を搬送する方向が逆であり、第1現像剤搬送路P内の下流側(図3の左端)にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路Qへと導く第1連通路aと、第2現像剤搬送路Q内の下流側(図3の右端)にある二成分現像剤を第1現像剤搬送路Pへと導く第2連通路bを設ける。
【0049】
また、仕切り壁117は、第1現像剤搬送路Pと第2現像剤搬送路Qとを区分けするものであるが、図4に示すように、第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤と、第2現像剤搬送路R内の二成分現像剤とが搬送途中で混ざらないように完全に区分けした区分部117aを備える。また、第1連通路aに隣接し、第1連通路aと区分部117aとの間に設けられ、第1現像剤搬送路Pの下流側を移動する二成分現像剤の一部を、第2現像剤搬送路Qへと導く現像剤乗越部117bを備えている。
【0050】
また、図4の左端に示すように、第1連通路aの底部には、第2現像剤搬送路Q内の二成分現像剤が第1現像剤搬送路P内へ逆流するのを防止するための第1現像剤逆流防止壁117cを設ける。
さらに、図4の右端に示すように、第2連通路bの底部には、第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤が第2現像剤搬送路Q内へ逆流しないように、第2現像剤逆流防止壁117dを設ける。
【0051】
ここで、現像剤乗越部117bの鉛直方向の高さとしては、搬送されてくる第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤のうち、3分の2程度の二成分現像剤が現像剤乗越部117bを乗り越えて第2現像剤搬送路Qに移動する程度の高さに設定されることが好ましいので、第1搬送部材112の回転軸心の高さ以上で、螺旋状の搬送羽根(112b、113b)の最上部の高さ以下に設定されるのが好ましい。
【0052】
また、第1現像剤逆流防止壁117cの鉛直方向高さとしては、第1連通路aを通って第2現像剤搬送路Qに移動した二成分現像剤が、再び第1現像剤搬送路P内に戻るといった現像剤循環を抑える程度の高さに設定されることが好ましいので、第1現像剤搬送路Pの底部より高く、第1現像剤搬送部材112の回転軸心の高さより低く設定されるのが好ましい。
さらに、第2現像剤逆流防止壁117dの鉛直方向高さとしては、第2連通路bを通って第1現像剤搬送路Pに移動した二成分現像剤が、再び第2現像剤搬送路Q内に戻るといった現像剤循環を抑える程度の高さに設定されることが好ましいので、第2現像剤搬送路Pの底部より高く、第2現像剤搬送部材113の回転軸心の高さより低く設定されるのが好ましい。
仕切り壁117の4つの部分の高さを比べると、区分部117a>現像剤乗越部117b>第1および第2現像剤逆流防止壁(117c,117d)である。
【0053】
したがって、図4に示すように、第1および第2現像剤搬送路(P,Q)を、高さを同じにした水平方向から見ると、両現像剤搬送路(P,Q)の中央部分は、仕切り壁117の区分部117aにより完全に区分けされ、第1および第2連通路(a,b)の部分は、逆流防止壁(117c,117d)によって下部のみが区切られて、上方に大きな空間が形成されている。また、第1連絡路aの近傍の現像剤乗越部117bには、逆流防止壁よりも高い壁が形成され、その上方に比較的小さな空間が形成されている。
【0054】
現像剤乗込部117bを設けるのは、後述するように、この現像剤乗込部117bの上部空間を介して第1現像剤搬送路Pから第2現像剤搬送路Qへ流れ込んだ現像剤と、第1連通路aを通過して第2現像剤搬送路Qへ移動してきた現像剤と、新たに補給された補給トナーとの混合性を高めるためである。
【0055】
また、この現像剤乗込部117bを設けた領域に、後述する現像剤減速部である短ピッチ螺旋羽根112eを設けることにより、搬送速度が減速された現像剤の一部を第1連通路aを通過させずに第2現像剤搬送路Qに送り出せるので、補給トナーと現像剤の混合性をより高めることができるようになる。
【0056】
図5に、第1連通路aに設けられる第1現像剤逆流防止壁117cの形状の一実施例を示す。
図5に示すように、この逆流防止壁117cは、対称的な凸形状の壁でなく、第1現像剤搬送路P側の傾斜がややきつく、第2現像剤搬送路Q側の傾斜が比較的ゆるやかとなっている。
このように、非対称の凸形状としているのは、後述する周方向撹拌板112dによる二成分現像剤の汲上効率を向上させるためである。
【0057】
また、図6に、第2連通路bに設けられる第2現像剤逆流防止壁117dの形状の一実施例を示す。
この逆流防止壁117dは、後述する周方向撹拌板113dによる二成分現像剤の汲上効率を向上させるために、第1現像剤搬送路P側の傾斜がゆるやかで、第2現像剤搬送路Q側の傾斜が比較的きつい非対称の凸形状の壁となっている。
【0058】
一実施例として、第1および第2現像剤搬送路(P,Q)の高さが、たとえば、50mmであったとすると、区分部117aの高さは、50mm程度であり、現像剤乗越部117bの高さは、30mm程度であり、第1現像剤逆流防止壁117cの高さは、7mm程度であり、第2現像剤逆流防止壁117dの高さは、7mm程度とすればよい。
特に、現像剤乗越部117bの高さは、上記したように十分な混合性を確保するために、第1現像剤搬送部材の回転軸芯の高さ(20mm程度)以上で、搬送羽根の最上部の高さ(40mm程度)以下とすることが好ましい。
また、現像剤乗越部117bの図4の左右方向の幅は、たとえば40mm程度であり、第1および第2連通路の幅にほぼ相当する第1および第2現像剤逆流防止壁(117c、117d)の図4の左右方向の幅は、30mm程度である。
【0059】
第1現像剤搬送路P、第2現像剤搬送路Qには、それぞれ第1搬送部材112、第2搬送部材113が、回転自在に設けられ、二成分現像剤を一方向に搬送する。
【0060】
第1搬送部材112は、図3に示すように、第1回転軸112aと、該第1回転軸112aに固定されて一体に回転する螺旋状の第1搬送羽根112bと、第1搬送羽根112bの螺旋ピッチよりも短い螺旋ピッチを持つ短ピッチ螺旋羽根112eと、周方向撹拌板112dとからなり、現像槽111の長手方向の右側の側壁111aを貫通した回転軸112aの一端に、第1ギア112cを備えている。
【0061】
短ピッチ螺旋羽根112eは、現像剤が流れる速度を下げる現像剤減速部として機能する。現像剤減速部は、第1連通路近傍であって第1現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側に設ける。
ただし、現像剤減速部の部材としては、二成分現像剤の搬送速度を減速させるものであればよく、このような螺旋羽根に特に限定されず、たとえば、不連続な複数の羽根からなるプロペラでもよい。
一実施例として、たとえば、第1搬送羽根112bのピッチを30mmとした場合、短ピッチ螺旋羽根112eのピッチは、15mm程度とすればよい。
短ピッチ螺旋羽根112eは、第1連通路aに隣接する位置で、図4に示した現像剤乗越部117bと対応する位置に設けられる。
【0062】
周方向撹拌板112dは、第1現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側端部であって、第1連通路を臨む位置に設けられ、4枚の長方形板からなる。
各長方形板は、第1回転軸112aの回転中心を通る仮想平面上に、隣り合う2枚の長方形板が直角となるように、第1連通路aを臨む位置で、第1回転軸112aに固定されている(図5参照)。周方向撹拌板112dは、第1搬送部材112と同じ回転軸の周りを回転する。
第1ギア112cを介して、図示しない駆動手段(例えば、モータ)により、第1搬送部材112が矢印J方向(図2参照)に回転駆動されると、第1現像剤搬送路Pの中に存在する二成分現像剤は、図3に示すように、矢印X方向に搬送される。
【0063】
また、図5に示すように、周方向撹拌板112dが、第1現像剤搬送路Pの底部を第1連通路aに向かって移動する向き(時計回り方向)に回転することによって、第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤は、第1連通路aを通過して、第2現像剤搬送路Qの方へと速やかに搬送される。
【0064】
第2搬送部材113は、図3に示すように、第2回転軸113aと、該第2回転軸113aに固定されて一体に回転する螺旋状の第2搬送羽根113bとを備えるオーガスクリューからなり、右端に周方向撹拌板113dを備え、現像槽111の長手方向の右側の側壁111aを貫通した回転軸113aの一端に、第2ギア113cを備えている。
【0065】
周方向撹拌板113dは、4枚の長方形板からなる。各長方形板は、第2回転軸113aの回転中心を通る仮想平面上に、隣り合う2枚の長方形板が直角となるように、第2連通路bを臨む位置で、第2回転軸113aに固定されている(図6参照)。
第2ギア113cを介して、図示しない駆動手段(例えば、モータ)により、第2現像剤搬送部材113が矢印K方向(図2参照)に回転駆動されると、第2現像剤搬送路Qの中に存在する二成分現像剤は、図3に示すように、矢印Y方向に搬送される。
【0066】
また、図6に示すように、周方向撹拌板113dは、第2現像剤搬送路Qの底部を第2連通路bに向かって移動する向き(反時計回り方向)に回転することによって、第2現像剤搬送路Q内の二成分現像剤は、第2連通路bを通過して、第1現像剤搬送路Pの方へと速やかに搬送される。
【0067】
《現像ローラ》
図2に示すように、現像槽111には第1現像剤搬送路Pの上方部に開口部が形成され、その開口部の位置に現像ローラ115が、回転可能にかつ感光体ドラム3との間に、所定の現像ニップ部をもって配置されている。
現像ローラ115は、図示しない駆動手段によって軸心回りの矢印N方向に回転駆動するマグネットローラであり、第1現像剤搬送路P内の二成分現像剤を担持して、感光体ドラム3に供給する。図示しない電源から現像バイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム3の表面の静電潜像にトナーを付着させて現像する。
【0068】
《ドクターブレード》
図2に示すように、ドクターブレード116は、現像ローラ115の軸線方向に平行に延びる長方形の板状部材であり、その先端116aは現像ローラ115の表面に対して所定の間隙を保った状態で、現像槽111に固定されている。ドクターブレード116の材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、合成樹脂等が挙げられる。
【0069】
《トナー濃度検知センサ》
トナー濃度検知センサ119は、図2に示すように、第1搬送部材112の鉛直下方で、第1現像剤搬送路Pの中央部の位置に設けられる。第1現像剤搬送路Pを形成する現像槽111の壁面に装着され、第1現像剤搬送路Pの中の現像剤と接触する位置で、センサ面が第1現像剤搬送路Pの内部に露出するように設けられる。
トナー濃度検知センサ119は、図示しないトナー濃度制御部に電気的に接続される。
【0070】
トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサ119が検知するトナー濃度測定値に応じて、後述する図7に示すトナー補給装置22のトナー排出部材122を回転駆動させ、トナー排出口123から現像装置2の第1現像剤搬送路P内に、トナーを供給するように制御する。
トナー濃度制御部が、トナー濃度検知センサ119によって検知されたトナー濃度測定値が所定の設定値よりも低いと判定すると、トナー排出部材122を回転駆動させる駆動手段に制御信号を送信し、トナー排出部材122を回転させる。
【0071】
トナー濃度検知センサ119には、一般的なトナー濃度検知センサを使用することができ、例えば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサ等を用いることができる。ただし、感度の観点から、透磁率検知センサが好ましい。
透磁率検知センサ(トナー濃度検知センサ119)には図示しない電源が接続される。
この電源は、透磁率検知センサを駆動させるための駆動電圧およびトナー濃度の検知結果をトナー濃度制御部に出力するための制御電圧を、透磁率検知センサに印加する。電源による透磁率検知センサへの電圧の印加は、トナー濃度制御部によって制御される。
【0072】
透磁率検知センサは、制御電圧の印加を受けてトナー濃度の検知結果を出力電圧値として出力する型式のセンサであり、基本的に出力電圧の中央値近傍の感度がよいため、その付近の出力電圧が得られるような制御電圧を印加して用いられる。
このような型式の透磁率検知センサは市販されており、例えば、TDK社製の商品名TS−L、TS−A、TS−Kなどが挙げられる。
【0073】
《トナー補給口》
図3に示すように、第1現像剤搬送路Pの下流側端部には、第1現像剤搬送路P内に新しいトナーを補給するためのトナー補給口150が設けられている。また、トナー補給口150は、二成分現像剤の搬送方向に対し、トナー濃度検知センサ119よりも下流側にあって、現像剤減速部である短ピッチ螺旋羽根112eよりも下流側(図3の左端)端部であって、第1連通路aの近傍で、周方向撹拌板112dの鉛直方向の上方に設けられる。
これにより、トナーが消費された後の現像剤であって、濃度が検知された後の現像剤に、その検知濃度に応じた適量の新たなトナーを補給することができる。
また、図3および図5に示すように、トナー補給口150は、補給トナーを導くために、後述する図7および図8に示したトナー搬送パイプ102に接続される
【0074】
[トナー補給装置の構成]
図7に、この発明の現像装置におけるトナー補給装置の一実施例の概略断面図を示す。図8に、図7に示すトナー補給装置のトナー排出口周辺のE−E´断面矢視図を示す。
図7と図8に示すように、トナー補給装置22は、トナー排出口123を有するトナー収容容器121と、トナー攪拌部材125と、トナー排出部材122とを備え、その容器内部に未使用のトナーが収容される。
トナー補給装置22は、図1に示すように、現像装置2の現像槽111の上方に配置されており、そのトナー排出口123と、現像装置2のトナー補給口150(図3参照)とが、トナー搬送パイプ102を介して接続されている。トナー収容容器121は、内部空間を有するほぼ半円筒状の容器部材であり、半円筒状部分の周方向の横位置にトナー排出口123が配置されている。
【0075】
トナー攪拌部材125は、トナー収容容器121の半円筒状部分の略中央位置に回転可能に配置されており、トナー排出部材122はトナー排出口123の上方近傍位置に回転可能に配置されている。
トナー攪拌部材125は、回転軸125aを中心に回転する板状部材であり、回転軸125aから離間した両側先端には、可撓性を有する樹脂製(例えば、ポリエチレンテレフタレート)からなるシート状のトナー汲み上げ部材125bを有している。なお、回転軸125aは、トナー収容容器121の長手方向両側の側壁に回転可能に支持されており、その一端は前記側壁を貫通し、図示しない駆動手段の駆動ギアと噛合するギアがその一端に固定されている。
【0076】
トナー攪拌部材125は、そのトナー汲み上げ部材125bがトナー排出口123に対して下方から上方へ向って回転することにより、トナー収容容器121内に収容されるトナーを攪拌しながら汲み上げてトナー排出部材122へ搬送する。
このとき、トナー汲み上げ部材125bは、その可撓性によって、トナー収容容器121の内壁に沿って摺動して変形しつつ回転し、トナーをトナー排出部材122側に供給する。
【0077】
トナー排出部材122とトナー攪拌部材125との間には、隔壁124が設けられる。これによって、トナー攪拌部材125によって汲み上げられたトナーがトナー排出部材122の周辺に適量のトナーを保持できるようになる。
【0078】
トナー排出部材122は、トナー収容容器121内のトナーをトナー排出口123から現像槽111に供給するもので、図8に示すように、トナー収容容器121の長手方向両側の側壁に両端が回転可能に支持された回転軸122bと、回転軸122bの外周面に固定された螺旋羽根122aと、トナー収容容器121の前記側壁を貫通した回転軸122bの一端に固定されたギア122cとで構成されている。ギア122cは、図示しない駆動手段の駆動ギアと噛合している。
【0079】
トナー収容容器121において、トナー排出口123は、螺旋羽根122aのギア122cとは反対側の一端側に配置されている。
トナー排出部材122が回転することにより、トナー排出部材122側に供給されたトナーは、螺旋羽根122aによってトナー排出口123側に向けて搬送され、トナー排出口123からトナー搬送パイプ102を介して現像装置2の現像槽111内へ供給される。
【0080】
<現像装置における現像剤の搬送動作の説明>
画像形成装置の現像工程においては、図2〜図6に示すように、現像装置2の現像ローラ115、第1搬送部材112、第2搬送部材113を、それぞれ図2の矢印M、J、K方向に回転させる。
これらの部材の回転により、第1現像剤搬送路Pに存在する現像剤が、第1搬送部材112の第1搬送羽根112bによって図3の矢印X方向に搬送される。これと同時に、第2現像剤搬送路Q内にある現像剤が、第2搬送部材113によって図3の矢印Y方向に搬送される。
【0081】
これらの搬送動作と同時に、第1現像剤搬送路Pの下流側に搬送された現像剤は、図3に示す第1連通路aを通って第2現像剤搬送路Qへ送られると共に、第2現像剤搬送路Q内の下流側に搬送された現像剤は、第2連通路bを通って、第1現像剤搬送路Pへと送られる。
また、第1現像剤搬送路P内を移動する現像剤の一部は現像ローラ115に供給される。
現像ローラ115に供給される現像剤は、ドクターブレード116によって現像ローラ115の外周面に均一な所定厚みの現像剤層となって感光体ドラム3へ送られ、この現像剤層から一部のトナーが感光体ドラム3へ供給される。
感光体ドラム3の静電潜像が現像された後、現像ローラ115の表面に残った現像剤は、第1現像剤搬送路P内に落下する。
【0082】
現像剤のトナー濃度は、トナー濃度検知センサ119によって検知されているため、第1現像剤搬送路P内のトナー濃度が所定値以下となると、トナー補給装置22から第1現像剤搬送路内の現像剤の上に未使用の新しいトナーが補給される。
このように、第1連通路a近傍の第1現像剤搬送路において、トナー濃度が低下した二成分現像剤に、新たなトナーが補給されることになる。
【0083】
また、第1現像剤搬送路Pの下流側において、現像後の現像剤は、現像剤乗越部117bを越えて、第2現像剤搬送路Qへ移動させられるものと、第1連通路aを通過して、第2現像剤搬送路Qへ移動させられるものの2通りがある。
現像剤乗越部117bを越えずに第1連通路aを通過する現像剤は、周方向撹拌板112dによって、新しいトナーと第1連通路付近で混合される。
この新しいトナーと混合された現像剤は、第2現像剤搬送路Q内に入ると、第2搬送部材113により撹拌されて図3の右方向に移動させられる。
そして、現像剤乗越部117bにおいて、現像剤乗越部117bの上方空間を越えてきた現像剤と混合されることになる。
【0084】
このように、補給されたトナーは、まず最初に第1連通路a付近で少量の現像剤(3分の1程度)と混合される。その後、現像剤乗越部117bを乗り越えてきた現像剤が、補給トナーの上に供給され、混合されていくので、二成分現像剤の上に補給トナーが供給された時にしばしば起こる生じる現象、すなわち、新たに補給されたトナーが二成分現像剤の表面に浮いた状態で搬送されることを抑制することができ、二成分現像剤と新たに補給されたトナーとの混合性を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1 露光装置(露光ユニット)
2 現像装置
3 感光体ドラム
4 クリーナユニット
5 帯電装置(帯電器)
6 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 転写装置(中間転写ベルトユニット)
9 中間転写ベルトクリーニングユニット
10 給紙トレイ
11 転写ローラ
12 定着装置(定着ユニット)
14 レジストローラ
15 排紙トレイ
16 ピックアップローラ
20 手差しトレイ
22 トナー補給装置
25 搬送ローラ
71 中間転写ベルト駆動ローラ
72 中間転写ベルト従動ローラ
81 ヒートローラ
82 加圧ローラ
100 画像形成装置
102 トナー搬送パイプ
111 現像槽
112 第1搬送部材
112a 第1回転軸
112b 第1搬送羽根
112c 第1ギア
112d 周方向撹拌板
112e 短ピッチ螺旋羽根(現像剤減速部)
113 第2搬送部材
115 現像ローラ
116 ドクターブレード
117 仕切り壁
117a 区分部
117b 現像剤乗越部
117c 第1現像剤逆流防止壁
117d 第2現像剤逆流防止壁
118 導光路
119 トナー濃度検知センサ
131 現像剤汲上部材
132 第2連通搬送部材
150 トナー補給口
P 第1現像剤搬送路
Q 第2現像剤搬送路
S シート搬送路
a 第1連通路
b 第2連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分現像剤を収容する現像槽と、
前記現像槽内部を区分けする仕切り壁と、
前記仕切り壁によって区分され、対になって前記二成分現像剤を循環搬送する第1現像剤搬送路および第2現像剤搬送路と、
前記第1および第2現像剤搬送路の内部にそれぞれ回転自在に設けられ、二成分現像剤を一方向に搬送する第1搬送部材および第2搬送部材と、
第1現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第2現像剤搬送路へ導く第1連通路と、
第2現像剤搬送路内にある二成分現像剤を第1現像剤搬送路へ導く第2連通路と、
前記第1現像剤搬送路内の二成分現像剤を担持して、感光体ドラムに供給する現像ローラーと、
前記現像槽内部に新しいトナーを補給するトナー補給口とを備え、
前記第1搬送部材が、前記第1連通路近傍であって前記第1現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側に、現像剤減速部を有し、
前記仕切り壁が、
前記第1現像剤搬送路内の二成分現像剤と第2現像剤搬送路内の二成分現像剤とが混ざらないように区分けした区分部と、
前記第1連通路と前記区分部との間に設けられ、前記第1現像剤搬送路の下流側を移動する二成分現像剤の一部を第2現像剤搬送路へ導く現像剤乗越部を有し、
前記トナー補給口が、前記第1連通路近傍であって、前記第1現像剤搬送路の鉛直方向の上方、かつ前記現像剤減速部よりも二成分現像剤搬送方向の下流側端部に、設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1搬送部材が所定の螺旋ピッチの第1搬送羽根を有し、
前記現像剤減速部が、前記第1搬送羽根の螺旋ピッチよりも短い螺旋ピッチを持つ短ピッチ螺旋羽根であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤乗越部の鉛直方向の高さが、
前記第1搬送部材の回転軸心の高さ以上、前記第1搬送羽根の最上部の高さ以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第1搬送部材が、前記第1現像剤搬送路の二成分現像剤搬送方向の下流側端部であって、第1連通路を臨む位置に、周方向撹拌板を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記周方向撹拌板が、前記第1搬送部材と同じ回転軸の回りを回転し、
前記第1現像剤搬送路の底部を第1連通路に向かって移動する向きに回転することを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記トナー補給口が、前記周方向撹拌板の鉛直方向の上方に設けられることを特徴とする請求項4または5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第1連通路の底部に、
前記第2現像剤搬送路の二成分現像剤が第1現像剤搬送路へ逆流するのを防止する現像剤逆流防止壁が設けられることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記請求項1から7のいずれかに記載された現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を帯電させる帯電装置と、
感光体ドラムの表面に静電潜像を形成する露光装置と、
前記現像装置にトナーを補給するトナー補給装置と、
トナー補給装置から補給されたトナーを用いて前記現像装置が感光体ドラムの表面に形成したトナー像を、記録媒体に転写する転写装置と、
前記転写されたトナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置とを備えたことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−203103(P2012−203103A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66047(P2011−66047)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】