説明

環状体、環状体張架装置、カートリッジ、被検知部材検知ユニットおよび画像形成装置

【課題】被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる環状体、および、色ズレの発生が抑制された画像が得られる画像形成装置の提供。
【解決手段】環状体本体210と、環状体本体210の内部に環状体本体210の表面に露出しない状態で、環状体本体210とは異なる電気抵抗を有する被検知部材200と、を有する環状体、および、トナー像を保持する像保持体と、前記環状体を用いてなる中間転写用環状体と、環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、第1電極および第2電極によって挟まれる領域における電流変化または電圧変化を検出する検出装置と、像保持体上のトナー像を環状体に転写する一次転写装置と、環状体に転写されたトナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状体、環状体張架装置、カートリッジ、被検知部材検知ユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の転写工程に環状体(ベルト)を用いたものが知られている。環状体は中間転写用環状体(ベルト)や記録媒体搬送用環状体(ベルト)として用いられる。
【0003】
この環状体に対し位置検出を主目的に環状体の外周表面あるいは内周表面に被検知部材(検出マーク)を形成することが試されている(例えば、特許文献1参照)。これは環状体の回転駆動中に被検知部材の検出を行い、その結果に基づいて、画像の書き出し、記録媒体と画像の位置合わせ、環状体の異常判定等を行なう為である。
尚、被検知部材(検出マーク)およびその検出方法としては、環状体(ベルト)の軸方向全域に該環状体より抵抗の低い領域を形成し、この環状体に転写ローラなどを接触させて電圧をかけたときの抵抗変化を捉える技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−150574号公報
【特許文献2】特開平11−184278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、被検知部材が環状体本体の表面に露出している場合に比べ、被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる環状体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
少なくとも環状体本体と、
前記環状体本体の表面に露出しない状態で該環状体本体の内部に、該環状体本体とは異なる電気抵抗を有する被検知部材と、
を有する環状体である。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記環状体本体が少なくとも隣接して積層された2層の環状層を有し、且つ前記被検知部材が前記2層の環状層に挟まれている請求項1に記載の環状体である。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記環状体本体が少なくとも1層の環状層を有し、且つ前記被検知部材が前記1層の環状層の内部に埋め込まれている請求項1に記載の環状体である。
【0009】
請求項4に係る発明は、
前記環状体本体の体積抵抗率が8LogΩcm以上13LogΩcm以下であり、且つ前記被検知部材の電気抵抗が前記環状体本体の電気抵抗より低い請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の環状体である。
【0010】
請求項5に係る発明は、
前記被検知部材が少なくとも金属を含む請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の環状体である。
【0011】
請求項6に係る発明は、
前記環状体本体が少なくともゴムおよび樹脂から選択される少なくとも一種を含む請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の環状体である。
【0012】
請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体と、
前記環状体を内周面側から回転可能に張架する複数の張架部材と、
を備える環状体張架装置である。
【0013】
請求項8に係る発明は、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体と、
前記環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
を有するカートリッジである。
【0014】
請求項9に係る発明は、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体と、
前記環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、
を有する被検知部材検知ユニットである。
【0015】
請求項10に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像装置と、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体を用いてなる中間転写用環状体と、
前記中間転写用環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記中間転写用環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、
前記像保持体上の前記トナー像を前記中間転写用環状体に転写する一次転写装置と、
前記中間転写用環状体に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着装置と、
を備える画像形成装置である。
【0016】
請求項11に係る発明は、
前記第1電極および前記第2電極が、ローラ部材およびスクレーパ部材から選択される少なくとも一種である請求項10に記載の画像形成装置である。
【0017】
請求項12に係る発明は、
前記第1電極が前記中間転写用環状体の外周面側に接触する位置と、前記第2電極が前記中間転写用環状体の内周面側に接触する位置と、が前記中間転写用環状体の回転駆動方向にズレを有し、
且つ前記中間転写用環状体の回転駆動方向における前記被検知部材の長さが、前記ズレの距離以上である請求項10または請求項11に記載の画像形成装置である。
【0018】
請求項13に係る発明は、
前記中間転写用環状体が前記被検知部材を、前記トナー像が転写されない領域の内部に有し、
前記中間転写用環状体が回転駆動する際に該中間転写用環状体の前記被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、且つ前記中間転写用環状体のトナー像が転写される領域と、前記第1電極および前記第2電極と、は接さず、
前記被検知部材の電気抵抗が前記中間転写用環状体本体の電気抵抗より高い請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0019】
請求項14に係る発明は、
前記中間転写用環状体が前記被検知部材を、前記トナー像が転写されない領域の内部に有し、
前記中間転写用環状体が回転駆動する際に該中間転写用環状体の前記被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、且つ前記中間転写用環状体のトナー像が転写される領域の軸方向全域と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、
前記被検知部材の電気抵抗が前記中間転写用環状体本体の電気抵抗より低い請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0020】
請求項15に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像装置と、
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体を用いてなる記録媒体搬送用環状体と、
前記記録媒体搬送用環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記記録媒体搬送用環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、
前記像保持体上の前記トナー像を前記記録媒体搬送用環状体によって搬送される記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着装置と、
を備える画像形成装置である。
【0021】
請求項16に係る発明は、
前記第1電極および前記第2電極が、ローラ部材およびスクレーパ部材から選択される少なくとも一種である請求項15に記載の画像形成装置である。
【0022】
請求項17に係る発明は、
前記第1電極が前記記録媒体搬送用環状体の外周面側に接触する位置と、前記第2電極が前記記録媒体搬送用環状体の内周面側に接触する位置と、が前記記録媒体搬送用環状体の回転駆動方向にズレを有し、
且つ前記記録媒体搬送用環状体の回転駆動方向における前記被検知部材の長さが、前記ズレの距離以上である請求項15または請求項16に記載の画像形成装置である。
【0023】
請求項18に係る発明は、
前記記録媒体搬送用環状体が前記被検知部材を、前記記録媒体を保持しない領域の内部に有し、
前記記録媒体搬送用環状体が回転駆動する際に該記録媒体搬送用環状体の前記被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、且つ前記記録媒体搬送用環状体の記録媒体を保持する領域の軸方向全域と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、
前記被検知部材の電気抵抗が前記記録媒体搬送用環状体本体の電気抵抗より低い請求項15〜請求項17の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る発明によれば、被検知部材が環状体本体の表面に露出している場合に比べ、被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0025】
請求項2に係る発明によれば、被検知部材が2層の環状層に挟まれていない場合に比べ、被検知部材の位置だし精度が向上し、結果として誤検知が少なく、検出感度の向上が図られる。
【0026】
請求項3に係る発明によれば、被検知部材が1層の環状層の内部に埋め込まれていない場合に比べ、被検知部材の汚れによる誤検知が防止できるとともに、層間での剥離の問題も無く、環状体も安価に製造できるとの効果が得られる。
【0027】
請求項4に係る発明によれば、被検知部材の電気抵抗が環状体本体の電気抵抗以上である場合に比べ、環状体本体の体積抵抗率が8LogΩcm以上13LogΩcm以下(即ち半導電性)であっても、被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0028】
請求項5に係る発明によれば、被検知部材の材質を考慮しない場合に比べ、被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0029】
請求項6に係る発明によれば、環状体本体の材質を考慮しない場合に比べ、抵抗の制御性に優れると共に、環状体が適度な剛性を持つことにより張架、回転動作が容易かつ高精度であるとの効果が得られる。
【0030】
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0031】
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0032】
請求項9に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0033】
請求項10に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色ズレの発生が抑制された画像が得られる。
【0034】
請求項11に係る発明によれば、第1電極および第2電極の材質を考慮しない場合に比べ、新たな構成要素を追加することなく検出が可能となり、装置の小型化につながる。
【0035】
請求項12に係る発明によれば、第1電極と第2電極とがズレを有しない場合および被検知部材の長さが第1電極と第2電極とのズレの距離未満である場合に比べ、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0036】
請求項13に係る発明によれば、被検知部材の電気抵抗が環状体本体の電気抵抗以下である場合に比べ、中間転写用環状体が回転駆動する際に該中間転写用環状体の被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、第1電極および第2電極と、が接し、且つ中間転写用環状体のトナー像が転写される領域と、第1電極および第2電極と、が接しない場合であっても、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0037】
請求項14に係る発明によれば、被検知部材の電気抵抗が環状体本体の電気抵抗以上である場合に比べ、中間転写用環状体が回転駆動する際に該中間転写用環状体の被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、第1電極および第2電極と、が接し、且つ中間転写用環状体のトナー像が転写される領域の軸方向全域と、第1電極および第2電極と、が接する場合であっても、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0038】
請求項15に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、色ズレの発生が抑制された画像が得られる。
【0039】
請求項16に係る発明によれば、第1電極および第2電極の材質を考慮しない場合に比べ、新たな構成要素を追加することなく検出が可能となり、装置の小型化につながる。
【0040】
請求項17に係る発明によれば、第1電極と第2電極とがズレを有しない場合および被検知部材の長さが第1電極と第2電極とのズレの距離未満である場合に比べ、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0041】
請求項18に係る発明によれば、被検知部材の電気抵抗が環状体本体の電気抵抗以上である場合に比べ、記録媒体搬送用環状体が回転駆動する際に該記録媒体搬送用環状体の被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、第1電極および第2電極と、が接し、且つ記録媒体搬送用環状体のトナー像が転写される領域の軸方向全域と、第1電極および第2電極と、が接する場合であっても、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(A)は、第1−1の態様に係る環状体において被検知部材が形成された箇所における断面図を表し、(B)は、(A)に示す環状体を上から見た上面図を表す。
【図2】(A)は、第1−2の態様に係る環状体において被検知部材が形成された箇所における断面図を表し、(B)は、(A)に示す環状体を上から見た上面図を表す。
【図3】回転塗布法により円筒成形管に塗布液を塗布する方法を説明する概略図である。
【図4】ズレをもってオフセット配置されている第1電極および第2電極を示す概略図である。
【図5】(A)は、被検知部材が存在する場合における第1電極から第2電極への電流の流れを示す概略図であり、(B)は、被検知部材が存在しない場合における第1電極から第2電極への電流の流れを示す概略図である。
【図6】第2−1の態様に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【図7】第2−1の態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセス制御系を示す概略構成図である。
【図8】第2−1の態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセス制御処理を示すブロック図である。
【図9】(a)は、一定の印加電圧Vに対して測定したモニタ電流Imの変化を示す説明図であり、(b)は、一定の注入電流Iに対して測定したモニタ電圧Vmの変化を示す説明図である。
【図10】第2−2の態様に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【図11】第2−2の態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセス制御系を示すブロック図である。
【図12】第2−3の態様に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【図13】第2−3の態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセス制御系を示すブロック図である。
【図14】第2−4の態様に係るカラー画像形成装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0044】
<第1実施形態:環状体>
第1実施形態に係る環状体は、少なくとも環状体本体と、前記環状体本体の表面に露出しない状態で該環状体本体の内部に、該環状体本体とは異なる電気抵抗を有する被検知部材と、を有することを特徴とする。
【0045】
尚、上記第1実施形態に係る環状体の態様としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の二通りが挙げられる。
・第1−1の態様 : 図1(A)に示すごとく、環状体本体210が少なくとも隣接して積層された2層の環状層212および214を有し、且つ前記被検知部材200が前記2層の環状層212,214に挟まれている態様
・第1−2の態様 : 図2(A)に示すごとく、環状体本体210が少なくとも1層の環状層216を有し、且つ前記被検知部材200が前記1層の環状層216の内部に埋め込まれている態様
(尚、図1(A)は、第1−1の態様に係る環状体において被検知部材200が形成された箇所における断面図を表し、図2(A)は、第1−2の態様に係る環状体において被検知部材200が形成された箇所における断面図を表す。)
【0046】
環状体の表面に被検出部材が存在する場合には、該被検出部材と環状体本体との段差があったため、汚れの付着が促進されたり、表面の清掃が阻害されて汚れの除去が効率的に行われにくかった。また、被検出部材が環状体の表面に存在すると外部からのダメージによって破損しやすかった。更に、環状体に電流を流して被検出部材が存在する位置を検知しようとした際、該被検出部材が環状体の表面に存在すると、放電ノイズが発生しやすかった。
その結果、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度が低下しやすかった。
【0047】
これに対し、第1実施形態に係る環状体は、被検出部材が環状体本体の内部に存在するために、該被検出部材と環状体本体との段差がなく、汚れの付着が抑制されると共に表面の清掃が効率的に行われる。また、被検出部材が表面に露出していないため、被検出部材の破損が抑制され、且つ放電ノイズの発生も抑制される。これらにより、第1実施形態に係る環状体は、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。
【0048】
〔被検知部材が設けられる位置〕
ここで、被検出部材が設けられる位置について説明する。
第1実施形態に係る環状体において被検出部材が設けられる位置は、特に該環状体を画像形成装置における中間転写用環状体や記録媒体半層用環状体等として用いる場合であれば、図1(B)および図2(B)に示すごとく、端部に形成することが好ましい。より具体的には、中間転写用環状体として用いる環状体であれば、前記被検知部材を、トナー像が転写されない領域(端部)の内部に有することが好ましく、また、記録媒体搬送用環状体として用いる環状体であれば、前記被検知部材を、前記記録媒体を保持しない領域(端部)の内部に有することが好ましい。
(尚、図1(B)は、図1(A)に示す第1−1の態様に係る環状体を上から見た上面図を表し、図2(B)は、図2(A)に示す第1−2の態様に係る環状体を上から見た上面図を表す。)
但し、第1実施形態に係る環状体はこれに限定されるものではなく、用途によって上記端部以外の位置に設けてもよい。
【0049】
また、第1実施形態に係る環状体における被検出部材を設ける箇所の数は、環状体の周方向(回転駆動方向)に1箇所であってもよいし、複数の箇所に設けてもよい。
【0050】
〔被検知部材の電気抵抗〕
被検知部材は、前記環状体本体とは異なる電気抵抗を有することを特徴とする。被検知部材の電気抵抗は環状体本体よりも低くても、逆に高くても構わない。
しかし、特に環状体本体が半導電性(体積抵抗率が8LogΩcm以上13LogΩcm以下)である場合には、環状体本体の電気抵抗よりも低いことが好ましい。より具体的に述べると、被検知部材の電気抵抗および環状体本体の電気抵抗については、環状体本体が半導電性であり、一方被検知部材の体積抵抗率が1LogΩcm以下であることが好ましい。
また、被検知部材の電気抵抗を環状体本体の電気抵抗よりも高く設定する場合には、環状体本体の体積抵抗率が8LogΩcm以上10LogΩcm以下であり、被検知部材の体積抵抗率が15LogΩcm以上であることが好ましい。
【0051】
ここで、被検知部材と環状体本体のそれぞれにおける電気抵抗(体積抵抗率)の測定方法について説明する。尚、被検知部材の測定は環状体から被検知部材のみを取り出して行い、一方環状体本体の測定は環状体から被検知部材を取り出して残った環状体本体について行う。
上記体積抵抗率の測定は、JIS−K−6911(1995)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加し、印加後5sec後の電流値をアドバンテスト製、微小電流計 R8340Aを用いることにより測定し、その電流値により、体積抵抗から体積抵抗率を求める。
本明細書に記載の数値は、上記方法によって測定されたものである。
【0052】
次いで、第1実施形態に係る環状体における環状体本体および被検知部材について説明する。
〔環状体本体の組成〕
・ゴムおよび樹脂
環状体本体には、少なくともゴムまたは樹脂を用いることが好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂等、特に限定されることなく画像形成装置の環状体として用いられる樹脂であれば使用される。これらの中でも、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が最も適している。尚、上記樹脂は単独で用いても混合して用いてもよい。
また、ゴムとしては、クロロプレンゴム、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、エピクロールヒドリンゴム等、特に限定されることなく画像形成装置の環状体として用いられる樹脂であれば使用される。尚、上記ゴムは単独で用いても混合して用いてもよい。
【0053】
・導電材料
第1実施形態に係る環状体を、画像形成装置における中間転写用環状体や記録媒体半層用環状対等として用いる場合には、環状体に導電性(即ち体積抵抗率が13Log以下)を付与するため、環状体本体中に導電材料を添加してもよい。
上記導電材料としては、例えばカーボンブラック、イオン導電性樹脂、導電性高分子材料等が挙げられ、特にカーボンブラックが好適に用いられる。上記カーボンブラックとしては、例えばオイルファーネスブラック、チャンネルブラック、またはアセチレンブラック等が挙げられ、中でもチャンネルブラックが特に好ましい。尚、上記導電材料は単独で用いても混合して用いてもよい。
【0054】
・その他の添加剤
上記環状体本体には、上記のほかにも、樹脂の熱劣化を防止するための酸化防止剤や、流動性を向上させるための界面活性剤等、画像形成装置の環状体として用いられるどの添加剤を用いてもよい。
【0055】
〔被検知部材の材質〕
被検知部材は、前述の通り、前記環状体本体とは異なる電気抵抗を有することを特徴とし、被検知部材の電気抵抗は環状体本体よりも低くても、逆に高くても構わない。
【0056】
ここで被検知部材の材質としては、環状体本体の電気抵抗によって異なるため一概には言えないものの、例えば以下のものが挙げられる。
被検知部材の電気抵抗を環状体本体よりも低く調整する場合であれば、例えば、金属、カーボンファイバー等が挙げられ、この中でも特に金属が好ましい。該金属としては、アルミニウム、ステンレス、銅等が挙げられ、この中でも特にアルミニウムが好ましい。
【0057】
被検知部材の電気抵抗を環状体本体よりも高く調整する場合であれば、例えば、環状体本体と同じ樹脂を用いカーボン等による導電化処理を行わないポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂や、導電化処理を行わない市販のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂フィルムを例えば用い、カーボン等による導電化処理を施したポリアミド樹脂環状体に用いる。
【0058】
〔環状体の製造方法〕
第1実施形態に係る環状体を製造する方法として、前述の第1−1の態様および第1−2の態様の環状体の製造方法の一例を挙げて説明する。
【0059】
まず、前述の第1−1の態様(図1(A)参照)の環状体を製造する場合、樹脂またはゴム等の前記組成物を含有する内周面側層214用の塗布液を筒型状の円筒成形管の外周面に塗布し、乾燥して成形する。次いで、被検知部材200(例えばアルミニウム箔)を定められた位置に貼り付け、その後樹脂またはゴム等の前記組成物を含有する外周面側層212用の塗布液を前記内周面側層214用の塗布液の乾燥膜上に塗布し、乾燥して成形する。こうして第1−1の態様の環状体が得られる。
【0060】
また、前述の第1−2の態様(図2(A)参照)の環状体を製造する場合、まず樹脂またはゴム等の前記組成物を含有する環状層216用の塗布液を筒型状の円筒成形管の外周面に塗布する。次いで乾燥を行わない状態で、被検知部材200(例えばアルミニウム箔)を定められた位置に貼り付け、その後更に環状層216用の塗布液を被検知部材200が覆われるように全体に塗布し、乾燥して成形する。こうして第1−2の態様の環状体が得られる。
【0061】
尚、上記内周面側層214用の塗布液、外周面側層212用の塗布液、環状層216用の塗布液等の塗布液の塗布は、例えば図3に示す回転塗布法(フローコート法)により好適に行われる。
この方法では、環状体の長さに対応した外径を有する円筒成形管111を用意する。円筒成形管111外周面に沿った位置に、塗布液(樹脂溶液)116を円筒成形管111外周面上に吐出するためのノズル115を配し、ノズル115は配管を通じて塗布液容器114に接続されており、さらに塗布液容器114は配管を通じて加圧装置117に接続している。また、ノズル115の下方には、吐出された塗布液116を円筒成形管111外周面上において押し付けるためのブレード118が配置されている。
【0062】
円筒成形管111を円筒成形管回転方向(矢印D)の向きに回転し、ノズル115から塗布液116を円筒成形管111外周面上に吐出し、ブレード118で円筒成形管111外周面上に均す。ノズル115とブレード118は、ノズルおよびブレード移動方向(矢印E)に移動し、塗布液116が円筒成形管111外周面上に塗布される。なお、塗布液116は加圧装置117によりノズル115から吐出するように調節されている。これにより、円筒成形管111外周面上に塗布液116塗膜が形成される。
【0063】
尚、塗布液116塗膜を加熱乾燥させて環状体を成形した後、冷却して円筒成形管111から剥離し定められた幅で切断することで環状体が得られる。
例えば、塗布液(樹脂溶液)116の樹脂材料としてポリイミド前駆体を用いる場合には、円筒成形管111外周面上に塗布液116塗膜を形成した後、80℃以上170℃以下で乾燥することにより溶媒を除去し(乾燥工程)、さらに250℃以上350℃以下に加熱することでイミド転化(焼成工程)させてポリイミド樹脂膜を形成する。
【0064】
こうして得られる第1実施形態に係る環状体の厚みとしては、特に画像形成装置の記録媒体搬送用環状体や中間転写用環状体として用いる場合であれば、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0065】
また、第1実施形態に係る環状体には、内周表面側や外周表面側に、表面保護層や抵抗調整層等の他の層を設けてもよい。
【0066】
<第2実施形態:画像形成装置>
次いで、第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。前記第1実施形態に係る環状体は、特に画像形成装置用の環状体として好適に用いられ、特に中間転写用環状体や記録媒体搬送用環状体として好適に用いられる。
【0067】
ここで、第1実施形態に係る環状体を中間転写用環状体として適用した画像形成装置とは、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像装置と、第1実施形態に係る環状体を用いてなる中間転写用環状体と、前記中間転写用環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、前記中間転写用環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、前記像保持体上の前記トナー像を前記中間転写用環状体に転写する一次転写装置と、前記中間転写用環状体に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、前記記録媒体上のトナー像を定着する定着装置と、を備える。
【0068】
また、第1実施形態に係る環状体を記録媒体搬送用環状体として適用した画像形成装置とは、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像装置と、第1実施形態に係る環状体を用いてなる記録媒体搬送用環状体と、前記記録媒体搬送用環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、前記記録媒体搬送用環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、前記像保持体上の前記トナー像を前記記録媒体搬送用環状体によって搬送される記録媒体に転写する転写装置と、前記記録媒体上のトナー像を定着する定着装置と、を備える。
【0069】
〔第1電極と第2電極とのズレ(オフセット)〕
ここで、第2実施形態に係る画像形成装置においては、図4に示すごとく、第1電極221が環状体(例えば中間転写用環状体や記録媒体搬送用環状体)の外周面側に接触する位置と、第2電極222が環状体(例えば中間転写用環状体や記録媒体搬送用環状体)の内周面側に接触する位置と、が環状体の回転駆動方向(矢印A)にズレ(Z)(いわゆるオフセット)を有していることが好ましい。またその際、環状体の回転駆動方向(矢印A)における被検知部材200の長さ(N)が、前記ズレ(Z)の距離以上であることが好ましい。その理由は以下の通りである。
【0070】
・被検知部材200の電気抵抗が環状体本体210の電気抵抗より低い場合
第1電極221と第2電極222とを環状体を挟んでズレをもって配置(オフセット配置)することにより、被検知部材200が第1電極221と第2電極222とで挟まれる領域に存在する際には、電流の流れは以下の通りとなる。図5(A)に示すごとく、第1電極221から被検知部材200までの最短距離で環状体本体210内を通り、被検知部材200内を第2電極222の最も近い位置まで通り、更に被検知部材200から第2電極222までの最短距離で環状体本体210内を通って第2電極222に流れる。
一方、被検知部材200が第1電極221と第2電極222とで挟まれる領域に存在しない際には、電流の流れは、図5(B)に示すごとく、第1電極221から第2電極222までの最短距離で環状体本体210内を通り第2電極222に流れる。
即ち、電気抵抗がより高い環状体本体210を通過する距離は被検知部材200が存在しない場合の方が長くなり、その結果、電気抵抗の差がより大きくなり、更に検出感度が向上する。
【0071】
〔被検知部材の電気抵抗〕
環状体(例えば中間転写用環状体や記録媒体搬送用環状体)が被検知部材を、端部(例えば、中間転写用環状体であればトナー像が転写されない領域、記録媒体搬送用環状体であれば記録媒体を保持しない領域)の内部に有する場合について説明する。
まず、第1電極および第2電極は、環状体の回転駆動によって被検知部材を有する領域が通過する位置(即ち、環状体の被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面が通過する位置)と接するように配置される。その際、第1電極および第2電極が、前記端部以外の部分、即ち画像の形成に寄与する領域(例えば、中間転写用環状体であればトナー像が転写される領域、記録媒体搬送用環状体であれば記録媒体を保持する領域)には接しないよう配置されている態様においては、前記被検知部材の電気抵抗が前記環状体本体の電気抵抗より高いことが好ましい。
尚、上記態様の第1電極および第2電極としては、環状体の端部(被検知部材を有する領域が通過する位置)にのみ接触するよう、被検知部材を検知するための専用の電極を配置した態様が挙げられる。
【0072】
上記態様においては、被検知部材の電気抵抗が前記環状体本体の電気抵抗より高いことにより、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。この理由は以下の通りである。
全面に接触する場合に比べ、端部のみであるため電流の変化分が全電流に占める割合が大きくなり、いわゆるS/N比が向上する為である。
【0073】
一方、第1電極および第2電極が、前記端部以外の部分、即ち画像の形成に寄与する領域(例えば、中間転写用環状体であればトナー像が転写される領域、記録媒体搬送用環状体であれば記録媒体を保持する領域)にも接するように配置されている態様においては、前記被検知部材の電気抵抗が前記環状体本体の電気抵抗より低いことが好ましい。
尚、上記態様の第1電極および第2電極としては、環状体清掃部材(外周面側に接する清掃用スクレーパと内周面側に接する清掃用ロールなど)、第1転写部材(外周面側に接する静電潜像保持体と内周面側に接する第1転写ロールなど)、第2転写部材(外周面側に接する第2転写ロールと内周面側に接するバックアップロールなど)が挙げられ、これらに被検知部材を検知するための第1電極および第2電極の役割を兼務させた態様が挙げられる。
【0074】
上記態様においては、被検知部材の電気抵抗が前記環状体本体の電気抵抗より低いことにより、環状体における被検出部材が存在する位置の検出感度に優れる。この理由は以下の通りである。
これらの部材は対向部材とオフセットして設けられているため上述の通り検出感度に優れる結果となる。
【0075】
次いで、第2実施形態に係る画像形成装置に関し、図を用いて4つの態様(第2−1乃至第2−4の態様)を例に挙げて説明する。
【0076】
〔第2−1の態様〕
図6は第2−1の態様に係るカラー画像形成装置(本態様ではカラー電子写真複写機)の概略構成を示す。同図において、符号11は感光体ドラム(潜像保持体)であり、矢線A方向への回転に伴いその表面には帯電装置12および図示外の露光装置(図中露光ビームを符号13で示す)などの周知の電子写真プロセスによって画情報に応じた静電潜像が形成される。また、この感光体ドラム11の周囲にはブラック(Bk)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色に対応した現像器14乃至17が配設されており、感光体ドラム11に形成された静電潜像を現像器14乃至17のいずれかで現像してトナー像Tを形成する。
【0077】
また、符号20は感光体ドラム11の表面に接触して配置された中間転写用環状体(中間転写ベルト)であり、複数(本態様では4つ)のロール21乃至24に張架されて環状体張架装置を形成し、矢線B方向へ回転駆動可能に配置されている。ここで、本態様では、符号21は中間転写ベルト20の駆動ロール、22は従動ロール、23は中間転写ベルト20の張力を一定に制御するテンションロール、24は二次転写用の対向ロール(バックアップロール)である。本態様では、上記中間転写ベルト20として、前述の第1実施形態に係る環状体が適用されている。
【0078】
また、中間転写ベルト20の感光体ドラム11に対向する部位(一次転写位置)において、中間転写ベルト20の裏面側には一次転写装置(本態様では一次転写ロール)18が配設され、この一次転写ロール18にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体ドラム11上のトナー像Tが中間転写ベルト20に静電吸引される。
【0079】
また、記録媒体としての用紙Pの搬送経路に面した中間転写ベルト20の二次転写位置には二次転写装置40が配設されており、本態様では、中間転写ベルト20のトナー像保持面(外周面)側に接触配置される二次転写ロール25と、中間転写ベルト20の内周面側に配置されて二次転写ロール25の対向電極をなす対向ロール(バックアップロール)24とを備えている。そして、本態様では、二次転写ロール25が接地されており、また、バックアップロール24にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが給電ロール26を介して安定的に印加されている。尚、二次転写ロール25には例えばウレタンゴムからなるクリーニングブレード28が付設されている。
【0080】
本態様においては、上記バックアップロール24として、例えば、金属芯材の外周に内側に発泡弾性体層と外側の導電層を被覆してなる2層構成のEPDMを用い得る。外側の導電層はカーボンブラックを分散した半導電性のEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)発泡ゴムで構成されている。また、二次転写ロール25は芯金とこの芯金の周囲に固着されたカーボンブラック分散発泡EPDM材料からなるコア層にスキン層を介してカーボンブラック分散のフッ素樹脂系材料でコーティングして構成されている。
【0081】
更に、二次転写装置40の下流側には、中間転写ベルト20上の残留トナーを除去するベルトクリーナ(クリーニングスクレーパ)41が設けられている。クリーニングスクレーパ41は、駆動ロール21に対してズレをもってオフセット配置されている。
そして、中間転写ベルト20の二次転写装置40の下流側で且つクリーニングスクレーパ41の上流側には、中間転写ベルト20の表面電位を検知する表面電位センサ42が中間転写ベルト20の表面(トナー像保持面)側に対向配置されている。ここで、表面電位センサ42としては例えばESV(Electrostatic Voltmeter)が用いられ、本態様では、通常、中間転写ベルト20表面の電位をモニターし、例えば現像条件や転写条件を制御する目的で使用され、更に、二次転写後に中間転写ベルト20に用紙Pが貼り付いたか否かを検知する用紙有無センサとしても使用される。
【0082】
また、本態様において、用紙搬送系は、用紙収納部50からの用紙Pをフィードロール51で送出し、レジストレーションロール(レジストロール)52で一旦位置決め停止させた後に定められたタイミングで二次転写位置へと用紙Pを送り込み、二次転写後の用紙Pを図示外の用紙搬送ガイドを介して搬送ベルト53へと導き、この搬送ベルト53にて定着器54へと搬送する。
【0083】
更に、本態様では、中間転写ベルト20の被検知部材の抵抗変化を検出し、この抵抗変化情報に基づいて中間転写ベルト20の基準位置を検知するための手段(基準位置検知手段)を設けることが必要である。
尚、この基準位置検知手段としては、被検知部材の抵抗変化を検出し得るものであれば選定して差し支えなく、抵抗変化自体は勿論のこと、抵抗変化に伴う電流、電圧を検出するものも含むことは勿論である。ここで、基準位置検知手段の好ましい態様としては、例えば定電圧制御若しくは定電流制御が実施され且つ供給電源での電流あるいは電圧のモニタ値にて被検知部材の位置を検知するものが挙げられる。
【0084】
尚本態様では、図7に示す作像プロセス制御系130が設けられている。この作像プロセス制御系130は、一次転写装置(一次転写ロール)18を通過する中間転写ベルト20の抵抗変化を測定するための電流検出部132と、この電流検出部132で検出された電流情報(抵抗情報に相当)を用いて図8に示す作像プロセス制御処理を実行し、一連の作像プロセスを制御する制御部140とを備えている。ここで、電流検出部132は、一次転写装置(一次転写ロール)18に一定電圧を印加した際のリターン電流を計測するものであり、例えばバイアス電源自体のモニタ機能を使用し得る。尚、図7中、151は一次転写装置(一次転写ロール)18への一次転写バイアス、152は二次転写装置40(具体的には給電ロール26)への二次転写バイアスを夫々示す。
【0085】
次に、本態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセスについて説明する。
図示外のスタートスイッチがオン操作されると作像プロセスが実行される。具体的に述べると、感光体ドラム11に書き込まれた静電潜像が例えばイエロの画情報に対応したものであれば、この静電潜像はイエロ(Y)のトナーを内包する現像器15で現像され、感光体ドラム11上にはイエロのトナー像Tが形成される。そして、感光体ドラム11上に形成された未定着トナー像Tは、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置で感光体ドラム11から中間転写ベルト20の表面に転写される。
【0086】
このとき、単色画像を形成する場合には、中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像Tを用紙Pに二次転写するのであるが、複数色のトナー像を重ね合わせたカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム11上でのトナー像の形成並びにこのトナー像Tの一次転写の工程が色数分だけ繰り返される。例えば4色のトナー像を重ね合わせたフルカラー画像を形成する場合には、感光体ドラム11上にはその一回転毎にブラック、イエロ、マゼンタおよびシアンのトナー像Tが形成され、これらトナー像Tは順次中間転写ベルト20に一次転写される。一方、中間転写ベルト20は最初に一次転写されたブラックのトナー像Tを保持したまま感光体ドラム11と同周期で回転駆動し、中間転写ベルト20上にはその一回転毎にイエロ、マゼンタおよびシアンのトナー像Tが転写される。
【0087】
こうして中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像Tは、中間転写ベルト20の回転駆動に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、用紙Pはレジストロール52にて定められたタイミングで二次転写位置へと供給され、バックアップロール24に対して二次転写ロール25が用紙Pをニップする。すると、二次転写位置では、二次転写装置40である二次転写ロール25とバックアップロール24とで挟まれる領域(ニップ領域)に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト20に保持されたトナー像Tが二次転写位置において用紙Pに静電転写される。この後、二次転写された用紙Pは搬送ベルト53を経て定着器54へと搬送され、用紙P上のトナー像Tが定着される。
【0088】
この一連の作像プロセスを行なうに際しては、作像プロセス制御系130が働いている。先ず、作像プロセス制御系130は、図8に示すごとく、作像モードが多色モード(フルカラーモード、二色モード等)であるか否かを判別し、多色モードであると判別したときには一次転写装置18を定電圧制御し、中間転写ベルト20の被検知部材200を検出する。このとき、作像プロセス制御系130は、図9(a)に示すごとく、一定の印加電圧Vに対しモニタ電流Imの変化にて被検知部材200を判断する。この後、作像プロセス制御系130は、被検知部材200の位置を基準に、各色の画像記録開始位置(感光体ドラム11上での画像書き込み開始位置)、一次転写開始位置、二次転写開始位置を決定し、上述した一連の作像プロセスが行なわれる。
【0089】
一方、作像プロセス制御系130は、単色モードであると判別すると、被検知部材200の位置検知を行なわずに、一連の作像プロセスを行う。
【0090】
また、本態様では、被検知部材200の検知過程で定電圧制御方式を採用したが、図7に示すごとく、電流検出部132に代えて、図7に一点鎖線で囲む電圧検出部133を設けてもよい。この電圧検出部133は、一次転写装置(一次転写ロール)18に一定の注入電流を流した際のリターン電圧を計測するものであり、例えばバイアス電源自体のモニタ機能を使用し得る。この方式においては、作像プロセス制御系130では、図9(b)に示すごとく、一定の注入電流Iに対しモニタ電圧Vmの変化にて被検知部材200を判断する。
【0091】
〔第2−2の態様〕
図10は第2−2の態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセス制御系を示す。同図において、作像プロセス制御系130は、二次転写装置40を通過する中間転写ベルト20の抵抗変化を測定する電流検出部134と、この電流検出部で検出された電流情報(抵抗情報に相当)を用いて図11の作像プロセス制御処理を実行し、一連の作像プロセスを制御する制御部140とを備えている。ここで、電流検出部134は、二次転写装置40の給電ロール26を通じてバックアップロール24に一定電圧を印加し二次転写ロール25に流れる電流を計測するものであり、例えばバイアス電源自体のモニタ機能を使用し得る。尚、その他の構成については、第2−1の態様に記載の構成要素がそのまま採用されるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0092】
次に、本態様で用いられる作像プロセス制御系130の作動について説明する。先ず、作像プロセス制御系130は、図10に示すように、作像モードが多色モード(フルカラーモード、二色モード等)であるか否かを判別し、多色モードであると判別したときには二次転写装置40を定電圧制御し、中間転写ベルト20の被検知部材200を検出する。このとき、作像プロセス制御系130は、一定の印加電圧に対しモニタ電流の変化にて被検知部材200を判断する。この後、作像プロセス制御系130は、被検知部材200の位置を基準に、各色の画像記録開始位置(感光体ベルト11上での画像書き込み開始位置)、一次転写開始位置、二次転写開始位置を決定し、上述した一連の作像プロセスが行なわれる。
【0093】
一方、作像プロセス制御系130は、単色モードであると判別すると、被検知部材200の位置検知を行なわずに、一連の作像プロセスを行う。尚、本態様では、被検知部材200の検知過程で定電圧制御方式を採用したが、電流検出部134に代えて、図示外の電圧検出部を設けてもよい。
【0094】
〔第2−3の態様〕
図12は第2−3の態様に係るカラー画像形成装置の作像プロセス制御系を示す。同図において、作像プロセス制御系130は、ベルトクリーナ(クリーニングスクレーパ)41と駆動ロール21とで挟まれる領域を通過する中間転写ベルト20の抵抗変化を測定する電流検出部135と、この電流検出部で検出された電流情報(抵抗情報に相当)を用いて図13の作像プロセス制御処理を実行し、一連の作像プロセスを制御する制御部140とを備えている。ここで、電流検出部135は、ベルトクリーナ(クリーニングスクレーパ)41に一定電圧を印加し駆動ロール21に流れる電流を計測するものであり、例えばバイアス電源自体のモニタ機能を使用し得る。尚、その他の構成については、第2−1の態様に記載の構成要素がそのまま採用されるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0095】
次に、本態様で用いられる作像プロセス制御系130の作動について説明する。先ず、作像プロセス制御系130は、図12に示すように、作像モードが多色モード(フルカラーモード、二色モード等)であるか否かを判別し、多色モードであると判別したときにはベルトクリーナ(クリーニングスクレーパ)41を定電圧制御し、中間転写ベルト20の被検知部材200を検出する。このとき、作像プロセス制御系130は、一定の印加電圧に対しモニタ電流の変化にて被検知部材200を判断する。この後、作像プロセス制御系130は、被検知部材200の位置を基準に、各色の画像記録開始位置(感光体ベルト11上での画像書き込み開始位置)、一次転写開始位置、二次転写開始位置を決定し、上述した一連の作像プロセスが行なわれる。
【0096】
一方、作像プロセス制御系130は、単色モードであると判別すると、被検知部材200の位置検知を行なわずに、一連の作像プロセスを行う。尚、本態様では、被検知部材200の検知過程で定電圧制御方式を採用したが、電流検出部135に代えて、図示外の電圧検出部を設けてもよい。
【0097】
〔第2−4の態様〕
図14は第2−4の態様に係るカラー画像形成装置(本態様ではカラー電子写真複写機)の概略構成を示す。同図において、本態様に係るカラー画像形成装置は、中間転写ベルト20に対し4つの色成分の画像が形成可能な例えば電子写真方式が採用された画像形成ユニット151(具体的には151a乃至151d)を並列配置し、各画像形成ユニット151で形成された各色成分トナー像を一次転写装置18(具体的には18a乃至18d)にて中間転写ベルト20上に順次一次転写した後、二次転写装置40にて用紙Pに一括(二次)転写するものである。
【0098】
本態様で用いられる作像プロセス制御系(図示せず)は、二次転写装置40にて中間転写ベルト20の抵抗変化を検出し、被検知部材200の位置を基準として各色成分の画像記録開始位置、一次転写開始位置、二次転写開始位置を決定し、一連の作像プロセスを制御するものである。
【実施例】
【0099】
以下、実施例および比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0100】
〔実施例1〕
(環状体の作製)
中間転写用環状体(中間転写ベルト)として、2層構成のポリイミド樹脂ベルトを作製した。具体的には、外周面側層がポリイミド樹脂製(40μm厚)で抵抗が10LogΩcmに、内周面側層がポリイミド樹脂製(60μm厚)で抵抗が7LogΩcmのポリイミド樹脂ベルトを作製した。
【0101】
製造方法は、内周面側層用の塗布液として、完成体で電気抵抗が7LogΩcmになるようカーボンブラックを添加して抵抗調整したポリイミドワニスをフローコート法にて円筒型上に形成して乾燥し、次いで、外周面側層用の塗布液として、完成体で電気抵抗が10LogΩcmになるようカーボンブラックを添加して抵抗調整したポリイミドワニスをフローコート法にて前記内周面側層用の塗布液の乾燥膜上に形成して乾燥し、更に焼成して規定寸法にカットした。
【0102】
尚、前記2層構成のベルト作製時に、内周面側層用の塗布液を塗布し乾燥した後にベルト端部(トナー像が転写されない領域)に10mm角のアルミニウム箔からなる検知マーク(被検知部材)を配設し、その後外周面側層を形成することで、内周面側層と外周面側層に検知マークが挟まれたベルトを得た。
【0103】
(電気抵抗の測定)
前述の方法により、環状体本体(検知マークを有していない状態でのベルト)の電気抵抗(体積抵抗率)を測定したところ、以下の通りであった。検知マークはテスター測定で1Ω以下であることが確認された。尚、金属の体積抵抗率は−4LogΩcm以下である。
・環状体本体:9.6LogΩcm
・検知マーク:1LogΩcm
【0104】
(画像形成装置)
図12に示す、ベルトクリーナ(クリーニングスクレーパ)41と駆動ロール21とで挟まれる領域を通過する中間転写ベルト20の抵抗変化を測定する画像形成装置を用い、上記環状体(ベルト)を中間転写ベルトとして適用して、検知マークの検出を行い画像を形成した。
【0105】
尚、一次転写位置においては、定電流電源に接続された中抵抗発泡ウレタンからなる一次転写ローラが、中間転写ベルトを介して感光体ドラムに4mm下流にオフセット対向配設されている。
【0106】
また、二次転写位置においては、中間転写ベルトの内周面側に中抵抗ゴムからなり定電圧電源に接続されたバックアップロールが配設され、該バックアップロールに、中間転写ベルトを介して、接地された二次転写ロールが対向配置されている。二次転写ロールは中抵抗で弾性をもった3層構造のロールであり、表面には表面保護層が形成され、トナー、キャリアや紙粉を落とすブレードクリーナが接触配置されている。またバックアップロールと二次転写ロールとの食い込み量は0.5mmである。
【0107】
更に、ベルトクリーナ41として金属スクレーパが中間転写ベルトに接触配置され、該金属スクレーパの対向には、中間転写ベルトを介して駆動ロール21としての金属ロールが対向配設されている。金属ロールには200Vの定電圧がバイアスされ電流モニターされている。
【0108】
[評価]
(1)ノイズ・放電評価
検知マーク検出の際のノイズおよび放電の発生を、以下の方法により評価した。
環状体を回転させマーク検出状態で明所、暗所での目視観察と放電音の確認を行なった。尚、評価基準は以下のとおりである。結果を表1に示す。
◎:放電の発生が見られず、放電音も聞こえない。
○:暗所で電極近傍が青く光るが、放電音は聞こえない。
△:暗所で火花が観察され、放電音が聞こえる。
×:火花が観察され、放電音が聞こえる。
【0109】
(2)汚れ・破損評価
検知マークにおける汚れおよび破損の発生については以下の通りである。
汚れは環状体表面にマークが露出している場合には必ず発生する為、露出している場合「×」、内包されていれば「○」とした。破損は層形成を行なえば必ず層の界面が出現しこの部分が層中に比べ機械的に弱くなることは自明である為、層がある場合を「△」、ない場合を「○」とした。
【0110】
(3)電流変化(SN比)
検知マーク検出の際に検出されるSN比(検出時電流と非検出時電流との比)を、以下の方法により測定した。
環状体を回転させマーク検出時の電流をモニターしIs、非検出時の電流をInとして以下の数式にいれた。
式 : Is/In
尚、比較例1を基準(1)として数値換算した。結果を表1に示す。
【0111】
[評価]
(4)画質評価
得られた画像の画質を、以下の方法により評価した。
Y、M、C、Kトナーからなる1cm角、太さ125μmの格子をA3用紙ほぼ全面に形成した。色ずれがない理想的状態ではこの各色トナーは環状体上で重なり1本の線となる。
今回の評価は用紙最先端にある格子の軸方向に延びた線に着目し、重なり具合を評価した。各色線の最も離れた相対位置が125μm以上を「×」とし、125μm以下を「○」とした。結果を表1に示す。
【0112】
〔実施例2〕
(環状体の作製)
中間転写用環状体(中間転写ベルト)として、単層構成のポリイミド樹脂ベルトを作製した。具体的には、ポリイミド樹脂製(100μm厚)で抵抗が9LogΩcmとした。
製造方法は、塗布液として、完成体で電気抵抗が9LogΩcmになるようカーボンブラックを添加して抵抗調整したポリイミドワニスをフローコート法にて完成体で50μm厚み分を円筒型上にトラバースさせ形成し、ベルト端部(トナー像が転写されない領域)に10mm角のアルミニウム箔からなる検知マーク(被検知部材)を配設し、さらに反対方向にトラバースさせ50μm厚み分を形成して乾燥し、更に焼成して規定寸法にカットした。
【0113】
〔実施例3〕
実施例1で用いた画像形成装置において、金属スクレーパに中間転写体ベルトを介して対向した金属ロールを2mm上流側にオフセット配置させた以外、実施例1に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。尚、電圧は変らず200Vである。結果を表1に示す。
【0114】
〔実施例4〕
実施例3において、オフセット配置させた距離を4mmに変更した以外、実施例3に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。尚、電圧は変らず200Vである。結果を表1に示す。
【0115】
〔実施例5〕
実施例3において、オフセット配置させた距離を6mmに変更した以外、実施例3に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。尚、電圧は変らず200Vである。結果を表1に示す。
【0116】
〔実施例6〕
実施例3において、オフセット配置させた距離を8mmに変更した以外、実施例3に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。尚、電圧は変らず200Vである。結果を表1に示す。
【0117】
〔実施例7〕
実施例3において、オフセット配置させた距離を10mmに変更した以外、実施例3に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。尚、電圧は変らず200Vである。結果を表1に示す。
【0118】
〔実施例8〕
実施例2で用いた画像形成装置において、金属スクレーパに中間転写体ベルトを介して対向した金属ロールを6mm上流側にオフセット配置させた以外、実施例2に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。尚、電圧は変らず200Vである。結果を表1に示す。
【0119】
〔比較例1〕
実施例1において、内周面側層用の塗布液を塗布し乾燥した後にベルト端部検知マークを配設せず、代わりに、ベルト形成後にベルト端部(トナー像が転写されない領域)の外周面側に10mm角のアルミニウム箔からなる検知マークを貼り付けて配設した以外、実施例1に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。結果を表1に示す。
【0120】
〔比較例2〕
実施例5において、内周面側層用の塗布液を塗布し乾燥した後にベルト端部検知マークを配設せず、代わりに、ベルト形成後にベルト端部(トナー像が転写されない領域)の外周面側に10mm角のアルミニウム箔からなる検知マークを貼り付けて配設した以外、実施例5に記載の方法により中間転写ベルトを作製し、更に検知マークの検出を行い画像を形成した。結果を表1に示す。
【0121】
【表1】

【符号の説明】
【0122】
11 感光体ドラム
12 帯電装置
14 現像器
15 現像器
18 一次転写ロール
20 中間転写ベルト
21 駆動ロール
24 バックアップロール
25 二次転写ロール
26 給電ロール
28 クリーニングブレード
40 二次転写装置
41 ベルトクリーナ(クリーニングスクレーパ)
42 表面電位センサ
50 用紙収納部
51 フィードロール
52 レジストロール
53 搬送ベルト
54 定着器
111 円筒成形管
114 塗布液容器
115 ノズル
116 塗布液
117 加圧装置
118 ブレード
130 作像プロセス制御系
132 電流検出部
133 電圧検出部
134 電流検出部
135 電流検出部
140 制御部
151 画像形成ユニット
200 被検知部材
210 環状体本体
212 外周面側層
214 内周面側層
216 環状層
221 第1電極
222 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも環状体本体と、
前記環状体本体の表面に露出しない状態で該環状体本体の内部に、該環状体本体とは異なる電気抵抗を有する被検知部材と、
を有する環状体。
【請求項2】
前記環状体本体が少なくとも隣接して積層された2層の環状層を有し、且つ前記被検知部材が前記2層の環状層に挟まれている請求項1に記載の環状体。
【請求項3】
前記環状体本体が少なくとも1層の環状層を有し、且つ前記被検知部材が前記1層の環状層の内部に埋め込まれている請求項1に記載の環状体。
【請求項4】
前記環状体本体の体積抵抗率が8LogΩcm以上13LogΩcm以下であり、且つ前記被検知部材の電気抵抗が前記環状体本体の電気抵抗より低い請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の環状体。
【請求項5】
前記被検知部材が少なくとも金属を含む請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の環状体。
【請求項6】
前記環状体本体が少なくともゴムおよび樹脂から選択される少なくとも一種を含む請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の環状体。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体と、
前記環状体を内周面側から回転可能に張架する複数の張架部材と、
を備える環状体張架装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体と、
前記環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
を有するカートリッジ。
【請求項9】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体と、
前記環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、
を有する被検知部材検知ユニット。
【請求項10】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像装置と、
少なくとも環状体本体、および前記環状体本体の表面に露出しない状態で該環状体本体の内部に、該環状体本体とは異なる電気抵抗を有する被検知部材を有してなる請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体を用いてなる中間転写用環状体と、
前記中間転写用環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記中間転写用環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、
前記像保持体上の前記トナー像を前記中間転写用環状体に転写する一次転写装置と、
前記中間転写用環状体に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項11】
前記第1電極および前記第2電極が、ローラ部材およびスクレーパ部材から選択される少なくとも一種である請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第1電極が前記中間転写用環状体の外周面側に接触する位置と、前記第2電極が前記中間転写用環状体の内周面側に接触する位置と、が前記中間転写用環状体の回転駆動方向にズレを有し、
且つ前記中間転写用環状体の回転駆動方向における前記被検知部材の長さが、前記ズレの距離以上である請求項10または請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記中間転写用環状体が前記被検知部材を、前記トナー像が転写されない領域の内部に有し、
前記中間転写用環状体が回転駆動する際に該中間転写用環状体の前記被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、且つ前記中間転写用環状体のトナー像が転写される領域と、前記第1電極および前記第2電極と、は接さず、
前記被検知部材の電気抵抗が前記中間転写用環状体本体の電気抵抗より高い請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記中間転写用環状体が前記被検知部材を、前記トナー像が転写されない領域の内部に有し、
前記中間転写用環状体が回転駆動する際に該中間転写用環状体の前記被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、且つ前記中間転写用環状体のトナー像が転写される領域の軸方向全域と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、
前記被検知部材の電気抵抗が前記中間転写用環状体本体の電気抵抗より低い請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体上の静電潜像をトナーにより現像しトナー像を形成する現像装置と、
少なくとも環状体本体、および前記環状体本体の表面に露出しない状態で該環状体本体の内部に、該環状体本体とは異なる電気抵抗を有する被検知部材を有してなる請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の環状体を用いてなる記録媒体搬送用環状体と、
前記記録媒体搬送用環状体の外周面側に接触して配置される第1電極と、
前記記録媒体搬送用環状体の内周面側に接触して配置される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極によって挟まれる領域における、電流変化および電圧変化から選択される少なくとも一方を検出する検出装置と、
前記像保持体上の前記トナー像を前記記録媒体搬送用環状体によって搬送される記録媒体に転写する転写装置と、
前記記録媒体上のトナー像を定着する定着装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項16】
前記第1電極および前記第2電極が、ローラ部材およびスクレーパ部材から選択される少なくとも一種である請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記第1電極が前記記録媒体搬送用環状体の外周面側に接触する位置と、前記第2電極が前記記録媒体搬送用環状体の内周面側に接触する位置と、が前記記録媒体搬送用環状体の回転駆動方向にズレを有し、
且つ前記記録媒体搬送用環状体の回転駆動方向における前記被検知部材の長さが、前記ズレの距離以上である請求項15または請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記記録媒体搬送用環状体が前記被検知部材を、前記記録媒体を保持しない領域の内部に有し、
前記記録媒体搬送用環状体が回転駆動する際に該記録媒体搬送用環状体の前記被検知部材を内部に有する部分の厚み方向表面と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、且つ前記記録媒体搬送用環状体の記録媒体を保持する領域の軸方向全域と、前記第1電極および前記第2電極と、が接し、
前記被検知部材の電気抵抗が前記記録媒体搬送用環状体本体の電気抵抗より低い請求項15〜請求項17の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−231033(P2010−231033A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79217(P2009−79217)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】