画像処理システムおよび画像処理方法
【課題】 パッチをセンサにより測定する時のランダムノイズを安定的にゼロに近く収束させるためには、測定の時間を長く取る必要があるため、全体のパッチチャートを測定する時間も長くなる。パッチチャートをセンサで走査しながら測定する場合、1パッチあたりの測定時間は、最も暗いパッチを安定的に測定できる時間に合わせるため、結果としてパッチチャート全体を測定する総測定時間が長くなるという問題があった。
【解決手段】 本発明によれば、光学濃度が低いパッチの長さを短く、光学濃度が高いパッチの長さを長くなるようにパッチ毎にそれぞれパッチ長を決定し、パッチデータを生成する。また、パッチの位置情報を入力し、走査速度を一定のまま測定するセンサによって測定する時に、その位置情報を使ってセンサの制御を行う。これにより、光学濃度の高い暗いパッチのSNを改善しつつ、短時間でパッチチャートを測定することができる。
【解決手段】 本発明によれば、光学濃度が低いパッチの長さを短く、光学濃度が高いパッチの長さを長くなるようにパッチ毎にそれぞれパッチ長を決定し、パッチデータを生成する。また、パッチの位置情報を入力し、走査速度を一定のまま測定するセンサによって測定する時に、その位置情報を使ってセンサの制御を行う。これにより、光学濃度の高い暗いパッチのSNを改善しつつ、短時間でパッチチャートを測定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷したパッチをセンサにより測定して測定値を得ることができる画像処理システムおよび画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、大判のインクジェットプリンタ等の画像出力装置において、測色器を搭載したものが市場に多く出回っている。これらは、プリンタの印字濃度を補正し、色味を安定させるためのカラーキャリブレーションや、ICCプロファイルの作成等を目的に導入されている。このような測色器の搭載形式としては、さまざまなものがあり、プリントヘッドのキャリッジ部分に搭載する形態や、排紙口に測色器ユニットを取り付けて固定して提供される形態がある。また、測色器の測定方法としては、接触式と非接触式のものに大別できる。接触式では、外光の影響を除去するために紙面に接触して測定するため、測定時に測色器を紙面上で静止しなければならないが、非接触式では、静止せずに紙面上を走査しながら測定することが可能である。特許文献1では、非接触式のセンサで走査をしながら走査ヘッドを停止させずに測定する技術が提案されている。この発明では、複数のカラーパッチの測色を能率的に行うことを目的としている。ヘッドをメディアの幅方向に移動させながらパッチの測色を行う時は、パッチの測色にはある程度の時間を要する。そこで、各パッチの長辺を、ヘッドの移動速度にヘッドの測色に要する時間を乗じた長さよりも長くなるように設定し、各パッチの境界の座標に対して測色開始座標をずらすことで、ヘッドを停止させずに測色を行うことができる。
【0003】
一方、市販のプリンタに内蔵される測色器としては、通常の高価な測色器と比較して、比較的安価に製造されるセンサにより構成された測色器が使用されることが多い。センサで受けた信号には、常にノイズが入っているが、センサで受けた信号がノイズに対して十分大きい場合、すなわちSN比が大きい場合はあまり問題とならない。しかし、光学濃度が高いパッチ、すなわち暗いパッチでは受ける信号が小さくなり、相対的にノイズ成分の割合が大きくなることで、SN比が悪くなってしまう。特に、安価なセンサでは、信号値とノイズの比率であるSN比が小さく、信号値に対するノイズの比率が相対的に高くなるため、信号値に与えるノイズの影響が高くなり、測定の精度が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−283852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題に対する対策としては、例えば光量を増やす方法や、増幅率を上げる方法等が考えられる。光量を増やす場合、熱的な問題や光源の分光特性の変化等の問題が発生するほか、明るいパッチで信号が飽和してしまうことがある。増幅率を上げる方法でも、明るいパッチで信号が飽和する可能性があるほか、ノイズそのものまで増幅されてしまう問題も発生する。また、一般的に測色センサでは、白基準に対して校正を実施してから測色を行うが、測色時は上記誤差を防ぐために校正を実施したときと同条件で測色する必要があるため、測色中にパッチ毎に光量や増幅率を変えることは測色誤差の増大に繋がる。
【0006】
従って、一般的には、代表的な手法として平均化処理が用いられている。センサで測定を行う際に発生するランダムノイズは、時間的に平均することによりゼロに収束する性質がある。つまり、測定の時間を長くして時間的な平均回数を多くすることにより、相対的なノイズの比率を下げ、精度を高めることできる。
【0007】
図1は、センサでパッチを測定する場合のSN比を説明するための図である。図1(a)は、光学濃度が低いパッチ、すなわち反射信号値が高いパッチを測定した時の信号値の様子である。一方、図1(b)は、光学濃度が高いパッチ、すなわち反射信号値が低いパッチを測定した時の信号値の様子である。信号値には、ランダムノイズが入っているが、図1(a)のように反射信号値が大きい場合はノイズの影響が小さいため、比較的短い測定時間t1で測定できる。この測定時間t1の間に複数回のサンプリングを行い、平均化処理を行う。一方、図1(b)のように反射信号値が小さい場合はノイズの影響が大きいため、測定時間t1では精度が確保できない。よって、t1よりも長い測定時間t2が必要である。この場合、測定時間t2の間に図1(a)よりも多いサンプリング回数で平均化処理を行う。
【0008】
しかし、この平均化処理においてノイズ成分をゼロ近くに収束させるためには、暗いパッチほど測定の時間を長く取る必要があり、全体のパッチチャートを測定する時間も長くなる。パッチチャートをセンサで移動しながら測定する場合、1パッチあたりの測定時間を最も暗いパッチを安定的に測定できる時間に合わせる必要がある。しかしながら、各パッチの長さを、最も暗いパッチを安定的に測定できる長さに合わせてしまうと、全てのパッチを測定する総測定時間が長くなってしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、センサが紙面上を相対移動しながらパッチを測定する場合でも、高精度な測定を短時間で行うことができる画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを生成するパッチ画像データ生成手段と、前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、前記記録媒体に対して一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサとを有する画像処理システムであって、前記パッチ画像データ生成手段は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする。
【0011】
また、別の本発明は、第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを格納する格納手段と、前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、前記記録媒体に対する一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサとを有する画像処理システムであって、前記印刷手段は、前記第1のパッチにおける前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチにおける前記相対移動方向の長さよりも長くなるように印刷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パッチの光学濃度に応じたパッチの長さのパッチ画像データを生成することにより、光学濃度の高いパッチのSNを改善しつつ、短時間でパッチチャートを測定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】SN比の説明をするための図である。
【図2】本発明を適用可能な構成例を示す図である。
【図3】本発明を適用可能な第二の構成例を示す図である。
【図4】本発明を適用可能なシステムの処理の流れを示す図である。
【図5】パッチチャート設定のUIを示す図である。
【図6】パッチチャート作成の流れを示す図である。
【図7】入力する色値データの例を示す図である。
【図8】RGB値とパッチ長Pの対応を表す図である。
【図9】パッチチャートの例を示す図である。
【図10】分光反射率によりパッチ長を算出する方法を説明する図である。
【図11】パッチ長を2段階としたパッチチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる最良の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
<装置の概略構成>
図2の(a)は本発明に関わる実施例における画像処理システムの第一の構成を表したものである。本実施例の画像処理システムとしては、代表的な例として、インクジェット方式のプリンタを使用した例を挙げる。プリンタ装置20には、情報処理装置としてパーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」という)21が接続されて構成されており、出力を行うためのプリント部220および測定を行うための測定機230で構成される。この測定機は、照射した光の反射光を測定機に内蔵されたセンサにより受光し、対象となる原稿の反射光の強度から反射率を測定する。測定機としては、分光反射率を使用した測色器を使用してもよい。本実施例では、図3に示すように、測定機230はプリント部220の移動可能なキャリッジ部分に搭載されて構成されるが、排紙口に取り付ける形態や、プリンタの外部に接続されるような形態でもよい。ただし、測定機の測定方法としては、非接触式で、静止せずに所定の速度で走査しながら測定を行うものとする。
【0016】
PC21は、プリンタ装置20の制御に関して種々の処理を行う。PC21は、操作部211、CPU212、作業メモリ213、記憶装置214、データ入出力装置215から構成される。ユーザーインターフェースとなる(以下、UIと呼ぶ)操作部211は、ユーザーによる入力やユーザーに対する表示を行うもので、キーボードやマウス等の入力機器や、ディスプレイ等の表示装置を含む。記憶装置214には本実施例のシステムプログラムやPC21上で作成された印刷データを記憶しているハードディスク等の記憶装置である。CPU212は、記憶装置214に格納されたプログラムに従いプリント部220および測定機230の制御のための処理を実行し、作業メモリ213はその処理の際のワークエリアとして用いられる。
【0017】
ユーザーは通常、PC21において種々のアプリケーションによって処理された文書、画像等をプリンタ装置20にて出力させることができる。すなわち、PC21におけるプリントアプリケーションにより上記処理された画像等について所定の画像処理を行い、印刷データとしてプリンタドライバへ送出する。プリンタドライバは印刷データをプリンタのインク色であるCMYKなどに色変換し、さらにハーフトーン処理を施して、プリンタ装置20へ出力する。プリンタ装置20は、PC21から受信したハーフトーン処理後のデータを出力用紙上に展開し、プリント部220にてハードコピーを生成する。なお、本実施例では、プリンタドライバで色変換処理とハーフトーン処理を実行する構成だが、上記処理をプリンタ装置20内で実施する構成であってもよい。
【0018】
図2の(b)に、本発明に関わる実施例における画像処理システムの第二の構成を示す。第二の構成では、前述のPC21の代わりに演算部210がプリンタ装置20内に構成されるものである。演算部210は、情報処理装置としてプリント部220と測定部230の制御に関して種々の処理を行う。演算部210は、操作部211、CPU212、作業メモリ213、記憶装置214、データ入出力装置215から構成される。各構成要素の役割としては、第一の構成と同様である。ユーザーは通常、PC21あるいは操作部211からの指示により、印刷等の実行命令を行うが、印刷等の実行命令を操作部211より行う場合、プリンタ装置20のみで処理が完結するため、PC21は必須ではない。
【0019】
図4は、本実施例の画像処理システムにおいて、第一の構成におけるパッチチャート作成から測定までの処理が実行される流れを模式的に表したフローチャートである。以下、フローチャートに沿って実行の流れを詳細に説明する。
【0020】
まず、ステップS401において、ユーザーは、PC21の記憶装置214に記憶されたプログラムを起動し、パッチチャート設定のメニュー画面を表示する。図5は、パッチチャート設定のUIを示すメニュー画面である。
【0021】
次に、ステップS402において、パッチチャート作成、測定に関する設定を行う。まず、プリンタで使用可能な用紙種類と給紙口および用紙サイズ、印刷品質、色変換の選択を行う。図5の501では、上記メディアに関する情報をプルダウンメニューより選択できる。給紙口としては、ロール紙、背面手差し等が選択可能であり、用紙種類は普通紙、コート紙、アート紙、光沢紙等から選択できる。印字品位としては、用紙種類に対応した標準、きれい、最高等から選択する。色変換は、プリンタドライバで選択可能な、「写真調」「鮮やかな色に」「色差最小」等から選択する。色変換をしない場合は、「色変換なし」を選択することもできる。502で、入力データの指定を行う。入力データのフォーマットをRGBあるいはCMYKより選択する。そして、参照ボタンを押下することにより図示しないダイアログを表示し、パッチ作成の元となる色値データが記述されたファイルを指定する。503は、パッチの測定に関する設定である。測定方向を片方向あるいは双方向から選択する。また、パッチの並び替え処理のON/OFFを選択する。パッチの並び替え処理については、後述する。
【0022】
次にステップS403において、ステップS402で選択されたパッチチャート設定に対して、用紙種類や用紙サイズがパッチ印刷に対応しているか否かのチェックおよび入力データのチェックを行う。選択された用紙が印刷可能な用紙で、入力ファイルの色値データに問題がなければ、実行確認のダイアログをPC21の画面に表示する。OKが選択されると、次のステップに移行する。キャンセルが選択されると実行メニュー表示状態に戻る。
【0023】
次に、ステップS404においてパッチチャートの作成を行う。パッチチャートの生成は、PC21の記憶装置214に記憶されたプログラムにより後述する方法に従って行われる。この際、パッチチャートのパッチ画像データ生成のための解像度変換や誤差拡散等のパラメータ、画像処理テーブルは、PC21の記憶装置214に記憶されたデータを参照する。なお、パッチチャート作成時には、複数のパッチの測定時に使用するパッチ位置情報も同時に作成される。
【0024】
ステップS405において、パッチチャートの印刷を行う。パッチチャートの印刷は、ステップS402で選択された給紙口、用紙種類、用紙サイズ、印刷品質、色変換の内容に従って行われる。
【0025】
ステップS406において、パッチチャートの測定を行う。プリントヘッドのキャリッジ部分に搭載された測定機230により、パッチチャート上を走査しながら測定を行う。このパッチチャートの測定は、ステップS404で作成したパッチ位置情報を参照しながら行う。
【0026】
最後に、ステップS407において、測定値を格納する。測定値が所定の形式に変換され、記憶装置214の所定の領域に格納される。測定値の格納が終了すると、実行処理を終了する。
【0027】
<パッチチャートの作成>
次に、図6を用いて本発明の特徴であるステップS404のパッチチャートの作成について、詳細に説明する。パッチ画像データであるパッチチャートの作成は、PC21の記憶装置214に記憶されたプログラムにより行われる。
【0028】
まず、ステップS601にて、色データとしてパッチの入力RGB値をプログラムに入力する。これは、図5の502で指定された色値ファイルに記述されたパッチ毎のRGB値である。本実施例では、RGB値R、G、Bがそれぞれ8bit入力(0〜255)の場合を例に説明する。入力する色値データの例を図7に示す。なお、S402のパッチチャート設定にて色変換なしが選択されている場合は、RGB値をそのまま使用するが、色変換が選択されている場合は、用紙種類に対応した色変換を適用したRGB値を入力値として使用する。
【0029】
ステップS602では、各パッチの入力RGB値から演算式によりパッチ長を求める。本実施例では、パッチの入力値として最も一般的に使用される色データとしてRGB値を用いる。そして、後述する演算式を用いることにより、最も暗いパッチ、すなわち光学濃度が最も高いパッチの長さが最大となるように決定される。本実施例におけるパッチの長さとは、センサの移動方向におけるパッチの長さである。なお、本実施例では、RGB値からパッチ長を求めたが、センサの受光量に影響を与えるような値であればこれに限らない。例えば、分光反射率、RGB値、CMYK値等があげられる。
【0030】
パッチ長は、以下の式により求める。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、max(r,g,b)は、入力値r,g,bの最大値を表し、min(r,g,b)は、入力値r,g,bの最小値を表す。式(1)によって求められるx1は、最大値と最小値の差をデジタルカウント値255で割った変数である。r,g,bがカラーの原色R(255,0,0),G(0,255,0),B(0,0,255)あるいはC(0,255,255),M(255,0,255),Y(255,255,0)を表す組み合わせの時、最大の1となる。そして、無彩色であるr=g=bの時、最小の0となる。式(2)で求められるx2は、r=g=b=0すなわち黒の時に最大の1となり、r=g=b=255すなわち白の時に最小の0となる変数である。また、パッチ長Pは式(3)にて求められる。α1、α2は、重み付けの係数である。また、値βは、オフセット値であり、測定を行うために最低限必要なパッチの長さである。x1≧x2の時は、パッチ長Pを求めるためにx1およびα1を使用し、x1<x2の場合は、x2およびα2を使用する。本実施例では、一例として、α1=4、α2=6、β=2とする。
【0033】
図8に、上記の演算式により求められたパッチ長Pと入力された色値r,g,bとの関係を示す。このパッチ長Pの値は、パッチ毎に対応付けられた形で記憶装置214に一時的に記憶される。なお、このように印刷する用紙によらない共通の演算式によりパッチ長を決定する場合、印刷する用紙の違いにより紙面上での発色に差が発生するため、実濃度とパッチ長Pの関係が明確ではない。これに対し、例えば発色性の低い普通紙では光学濃度が低くなる傾向があるため、オフセット値であるβを小さくすることで、印刷用紙によりパッチ長を変化させることができる。同様に、発色性の高いアート紙では光学濃度が高くなる傾向にあるため、βを大きくする。なお、ここではS402においてRGB入力が指定された場合で説明したが、CMYK入力においても、同様の考え方で演算式を作成し、パッチ長Pを求める。
【0034】
パッチ長の算出が終わると、ステップS603にてパッチのレイアウトを行う。パッチのレイアウトは、ステップS402のパッチチャート測定に関する設定に従って行われる。図5のパッチ測定設定503におけるパッチ並び替えがOFFに設定されていた場合は、パッチは、図9の(a)のように、走査方法に入力データ順に並べられた形でレイアウトされる。パッチの並び替えがONに設定されていた場合は、図9(b)に示すように、同じ大きさのパッチが並列して連続的に配置されるようにする。特に、濃度の高いパッチを先に印刷し、濃度の低いパッチを後に印刷した上で、濃度の低いパッチから測定を始めることで、測定時間を濃度の高いパッチの乾燥時間として割り当てることができる。その結果、印刷から測定までの時間を短くすることができる。また、同じパッチ長のパッチを連続させることで、同じパッチ長のパッチの測定をブロック毎にまとめて行うことができ、測定のシーケンスを単純にできるという利点もある。
【0035】
次に、ステップS604において、パッチ位置情報を生成する。パッチのレイアウトが終了すると、パッチ毎のパッチ長Pのデータから求めた、パッチの測定を開始する座標と終了する座標を、パッチ位置情報として記憶装置214に記憶する。このパッチ位置情報は、パッチ測定時にセンサの位置制御を行うために参照される。
【0036】
最後に、ステップS605において、レイアウト済みのパッチチャートのデータを記憶装置214の所定の領域に保存し、処理を終了する。
【0037】
以上、本実施例の画像処理システムにおけるパッチチャート作成から測定の流れを説明した。本発明により、センサが記録媒体との相対移動中にパッチの測定を行う場合に、パッチ画像データと測定のための位置情報をパッチの色データに応じて生成し、高精度な測定を短時間で行うことができる。なお、本実施例では、代表的な例としてインクジェット方式のプリンタを挙げたが、これに限らず、複写機や電子写真式プリンタ等でも適用可能である。
【0038】
また、本実施例では、格納手段である記憶装置214に記憶されたプログラムによってパッチ画像データを生成したが、同様に生成されたパッチ画像データを記憶装置214に格納している形態であってもよい。このとき、記憶装置214から読み出したパッチ画像データを印刷し、印刷されたパッチ画像を測定手段であるセンサで測定する画像処理システムとして機能する。尚、前述したように、記憶装置214は、PC21に備えられていてもよく、プリンタ装置20に備えられていてもよい。
【実施例2】
【0039】
前述の実施例1のステップS602では、パッチの色データから演算式によりパッチ長を決定した。一方、パッチの色値からパッチ長に変換するためのルックアップテーブル(以下LUTと呼ぶ)を予め保持しておき、LUTを参照してパッチ長を決定する形態も考えられる。以下、そのLUTの作成方法を説明する。
【0040】
まず、RGBをそれぞれ9段階で変化させた9×9×9=729の入力RGB値に対し、それぞれステップS602の演算式によりパッチ長を算出する。そして、既存の一般的な技術である四面体補間を使用してLUTを作成する。このようにして作成したLUTを、記憶装置214に予め保存しておく。そして、ステップS602でパッチ長の決定を行う時に、RGB値からパッチ長へと変換するLUTを参照する。
【0041】
また、パッチの色値からパッチ長に変換するためのLUTを対応用紙毎に保持しておく形態も考えられる。これは、ステップS602で説明したように、印刷する用紙の違いにより紙面上での発色に差が発生するため、それぞれ用紙でLUTを保持していたほうが、実濃度とパッチ長Pの対応関係が保てるためである。
【実施例3】
【0042】
実施例2のLUTは、パッチの色値から演算式によりパッチ長を決定してパッチ画像データを生成したが、用紙に印刷したパッチ毎に濃度や分光反射率を測定して、その値を元に作成してもよい。以下、分光反射率を測定してLUTを作成する方法を説明する。
【0043】
まず、RGBをそれぞれ9段階で変化させた9×9×9=729パッチをプリンタで印刷可能な用紙で印刷する。次に、測色器により、パッチの分光反射率を測定する。使用する測色器は、プリンタに内蔵されているものと同じ測色器を使用することが望ましい。分光反射率の測定を行った後は、測定した分光反射率からパッチ長を決定する。図10は、ある用紙で入力RGB値の異なるパッチを印刷して分光反射率を測定した時の、パッチの分光反射率を表したものである。1000は、白のパッチで、(r,g,b)=(255,255,255)、1001は、赤のパッチで(r,g,b)=(255,0,0)、1002は黒のパッチで、(r,g,b)=(0,0,0)である。これに対し、例えば、分光反射率が所定の閾値t以下となる波長領域を求め、全体の波長領域に対する比率を求めることによりパッチ長を算出する方法が考えられる。すなわち、1002の黒パッチのように全波長領域において分光反射率が低いパッチは、全波長領域で分光反射率が閾値t以下となるため、最も長いパッチなる。また、1000の白パッチように分光反射率が高いパッチでは、閾値t以下となる波長が無いため、最も短いパッチとなる。また、1001の赤パッチのように特定領域の分光反射率が低い場合は、中程度の長さのパッチとなる。例えば、閾値t=0.1とした時、全波長領域380〜730nmに対して380〜580nmが閾値以下であり、その割合に応じてパッチ長を決める。
【0044】
このようにして作成したLUTを記録媒体の種類毎に予め用意し、記憶装置214に保存しておく。そして、S602でパッチ長の算出を行う時に、RGB値からパッチ長へと変換するLUTを参照する。なお、LUTの補間処理は、既存の一般的な技術である四面体補間等を使用して行う。補間については、本発明の特徴とするところではないため、省略する。また、本実施例では1つの閾値でパッチ長を決定したが、段階的に複数の閾値を用いる方法や、分光反射率を波長で積分した情報をもとにパッチ長を求める方法、分光反射率の最小値を用いる方法等、同様の効果が得られる方法であれば、他の方法でもよい。
【実施例4】
【0045】
さらに、別の実施例として、実施例2におけるLUT作成を、プリンタドライバで予め用意されている印刷用紙ではなく、ユーザーが追加した用紙にて行う方法が考えられる。これは、ユーザー指定の用紙を追加する手続きを行った後に、実施例3と同様の方法をユーザ自身が行い、LUTを作成することで実現できる。
【0046】
具体的には、用紙の追加時にRGBをそれぞれ9段階で変化させた9×9×9=729パッチを印刷する。そして、実施例3と同様の方法で、測色器によりパッチの分光反射率を測定し、その追加用紙のLUTを作成する。作成したLUTは追加した用紙と関連付けられた形で記憶装置214に保存され、その用紙を使用してパッチ長の決定を行う際に参照される。
【実施例5】
【0047】
実施例1および実施例3では、入力RGB値や分光反射率から複数段階のパッチ長を求める方法を説明したが、より簡素な構成も考えられる。例えば、ある標準のパッチ長を定めておき、パッチの入力RGB値から演算式により求められる値Pが所定の閾値を超える場合にのみパッチ長が長いパッチとし、閾値を超えない場合には標準のパッチ長とする。図11に、パッチ長が2段階であるパッチチャートの例を示す。このとき、1100は第1の光学濃度のパッチであり、標準のパッチ長である。一方、1101は第1の光学濃度よりも高い第2の光学濃度のパッチであり、標準のパッチ長よりも長いパッチである。このようなパッチチャートの構成にすれば、測定時のパッチ位置制御が、より簡単にできるという利点がある。
【0048】
(その他の実施例)
本実施例では、記録媒体上をセンサが移動する形態の例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、記録媒体とセンサとの相対移動中に光学的にパッチが測定される形態であればよい。例えば、固定されたセンサに対して記録媒体が移動する際に測定を行う形態であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
20 プリンタ装置
21 PC
210 演算部
211 UI
212 CPU
213 作業メモリ
214 記憶装置
215 データ入出力装置
220 プリント部
230 測定機
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷したパッチをセンサにより測定して測定値を得ることができる画像処理システムおよび画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、大判のインクジェットプリンタ等の画像出力装置において、測色器を搭載したものが市場に多く出回っている。これらは、プリンタの印字濃度を補正し、色味を安定させるためのカラーキャリブレーションや、ICCプロファイルの作成等を目的に導入されている。このような測色器の搭載形式としては、さまざまなものがあり、プリントヘッドのキャリッジ部分に搭載する形態や、排紙口に測色器ユニットを取り付けて固定して提供される形態がある。また、測色器の測定方法としては、接触式と非接触式のものに大別できる。接触式では、外光の影響を除去するために紙面に接触して測定するため、測定時に測色器を紙面上で静止しなければならないが、非接触式では、静止せずに紙面上を走査しながら測定することが可能である。特許文献1では、非接触式のセンサで走査をしながら走査ヘッドを停止させずに測定する技術が提案されている。この発明では、複数のカラーパッチの測色を能率的に行うことを目的としている。ヘッドをメディアの幅方向に移動させながらパッチの測色を行う時は、パッチの測色にはある程度の時間を要する。そこで、各パッチの長辺を、ヘッドの移動速度にヘッドの測色に要する時間を乗じた長さよりも長くなるように設定し、各パッチの境界の座標に対して測色開始座標をずらすことで、ヘッドを停止させずに測色を行うことができる。
【0003】
一方、市販のプリンタに内蔵される測色器としては、通常の高価な測色器と比較して、比較的安価に製造されるセンサにより構成された測色器が使用されることが多い。センサで受けた信号には、常にノイズが入っているが、センサで受けた信号がノイズに対して十分大きい場合、すなわちSN比が大きい場合はあまり問題とならない。しかし、光学濃度が高いパッチ、すなわち暗いパッチでは受ける信号が小さくなり、相対的にノイズ成分の割合が大きくなることで、SN比が悪くなってしまう。特に、安価なセンサでは、信号値とノイズの比率であるSN比が小さく、信号値に対するノイズの比率が相対的に高くなるため、信号値に与えるノイズの影響が高くなり、測定の精度が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−283852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題に対する対策としては、例えば光量を増やす方法や、増幅率を上げる方法等が考えられる。光量を増やす場合、熱的な問題や光源の分光特性の変化等の問題が発生するほか、明るいパッチで信号が飽和してしまうことがある。増幅率を上げる方法でも、明るいパッチで信号が飽和する可能性があるほか、ノイズそのものまで増幅されてしまう問題も発生する。また、一般的に測色センサでは、白基準に対して校正を実施してから測色を行うが、測色時は上記誤差を防ぐために校正を実施したときと同条件で測色する必要があるため、測色中にパッチ毎に光量や増幅率を変えることは測色誤差の増大に繋がる。
【0006】
従って、一般的には、代表的な手法として平均化処理が用いられている。センサで測定を行う際に発生するランダムノイズは、時間的に平均することによりゼロに収束する性質がある。つまり、測定の時間を長くして時間的な平均回数を多くすることにより、相対的なノイズの比率を下げ、精度を高めることできる。
【0007】
図1は、センサでパッチを測定する場合のSN比を説明するための図である。図1(a)は、光学濃度が低いパッチ、すなわち反射信号値が高いパッチを測定した時の信号値の様子である。一方、図1(b)は、光学濃度が高いパッチ、すなわち反射信号値が低いパッチを測定した時の信号値の様子である。信号値には、ランダムノイズが入っているが、図1(a)のように反射信号値が大きい場合はノイズの影響が小さいため、比較的短い測定時間t1で測定できる。この測定時間t1の間に複数回のサンプリングを行い、平均化処理を行う。一方、図1(b)のように反射信号値が小さい場合はノイズの影響が大きいため、測定時間t1では精度が確保できない。よって、t1よりも長い測定時間t2が必要である。この場合、測定時間t2の間に図1(a)よりも多いサンプリング回数で平均化処理を行う。
【0008】
しかし、この平均化処理においてノイズ成分をゼロ近くに収束させるためには、暗いパッチほど測定の時間を長く取る必要があり、全体のパッチチャートを測定する時間も長くなる。パッチチャートをセンサで移動しながら測定する場合、1パッチあたりの測定時間を最も暗いパッチを安定的に測定できる時間に合わせる必要がある。しかしながら、各パッチの長さを、最も暗いパッチを安定的に測定できる長さに合わせてしまうと、全てのパッチを測定する総測定時間が長くなってしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、センサが紙面上を相対移動しながらパッチを測定する場合でも、高精度な測定を短時間で行うことができる画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを生成するパッチ画像データ生成手段と、前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、前記記録媒体に対して一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサとを有する画像処理システムであって、前記パッチ画像データ生成手段は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする。
【0011】
また、別の本発明は、第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを格納する格納手段と、前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、前記記録媒体に対する一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサとを有する画像処理システムであって、前記印刷手段は、前記第1のパッチにおける前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチにおける前記相対移動方向の長さよりも長くなるように印刷することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パッチの光学濃度に応じたパッチの長さのパッチ画像データを生成することにより、光学濃度の高いパッチのSNを改善しつつ、短時間でパッチチャートを測定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】SN比の説明をするための図である。
【図2】本発明を適用可能な構成例を示す図である。
【図3】本発明を適用可能な第二の構成例を示す図である。
【図4】本発明を適用可能なシステムの処理の流れを示す図である。
【図5】パッチチャート設定のUIを示す図である。
【図6】パッチチャート作成の流れを示す図である。
【図7】入力する色値データの例を示す図である。
【図8】RGB値とパッチ長Pの対応を表す図である。
【図9】パッチチャートの例を示す図である。
【図10】分光反射率によりパッチ長を算出する方法を説明する図である。
【図11】パッチ長を2段階としたパッチチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる最良の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
<装置の概略構成>
図2の(a)は本発明に関わる実施例における画像処理システムの第一の構成を表したものである。本実施例の画像処理システムとしては、代表的な例として、インクジェット方式のプリンタを使用した例を挙げる。プリンタ装置20には、情報処理装置としてパーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」という)21が接続されて構成されており、出力を行うためのプリント部220および測定を行うための測定機230で構成される。この測定機は、照射した光の反射光を測定機に内蔵されたセンサにより受光し、対象となる原稿の反射光の強度から反射率を測定する。測定機としては、分光反射率を使用した測色器を使用してもよい。本実施例では、図3に示すように、測定機230はプリント部220の移動可能なキャリッジ部分に搭載されて構成されるが、排紙口に取り付ける形態や、プリンタの外部に接続されるような形態でもよい。ただし、測定機の測定方法としては、非接触式で、静止せずに所定の速度で走査しながら測定を行うものとする。
【0016】
PC21は、プリンタ装置20の制御に関して種々の処理を行う。PC21は、操作部211、CPU212、作業メモリ213、記憶装置214、データ入出力装置215から構成される。ユーザーインターフェースとなる(以下、UIと呼ぶ)操作部211は、ユーザーによる入力やユーザーに対する表示を行うもので、キーボードやマウス等の入力機器や、ディスプレイ等の表示装置を含む。記憶装置214には本実施例のシステムプログラムやPC21上で作成された印刷データを記憶しているハードディスク等の記憶装置である。CPU212は、記憶装置214に格納されたプログラムに従いプリント部220および測定機230の制御のための処理を実行し、作業メモリ213はその処理の際のワークエリアとして用いられる。
【0017】
ユーザーは通常、PC21において種々のアプリケーションによって処理された文書、画像等をプリンタ装置20にて出力させることができる。すなわち、PC21におけるプリントアプリケーションにより上記処理された画像等について所定の画像処理を行い、印刷データとしてプリンタドライバへ送出する。プリンタドライバは印刷データをプリンタのインク色であるCMYKなどに色変換し、さらにハーフトーン処理を施して、プリンタ装置20へ出力する。プリンタ装置20は、PC21から受信したハーフトーン処理後のデータを出力用紙上に展開し、プリント部220にてハードコピーを生成する。なお、本実施例では、プリンタドライバで色変換処理とハーフトーン処理を実行する構成だが、上記処理をプリンタ装置20内で実施する構成であってもよい。
【0018】
図2の(b)に、本発明に関わる実施例における画像処理システムの第二の構成を示す。第二の構成では、前述のPC21の代わりに演算部210がプリンタ装置20内に構成されるものである。演算部210は、情報処理装置としてプリント部220と測定部230の制御に関して種々の処理を行う。演算部210は、操作部211、CPU212、作業メモリ213、記憶装置214、データ入出力装置215から構成される。各構成要素の役割としては、第一の構成と同様である。ユーザーは通常、PC21あるいは操作部211からの指示により、印刷等の実行命令を行うが、印刷等の実行命令を操作部211より行う場合、プリンタ装置20のみで処理が完結するため、PC21は必須ではない。
【0019】
図4は、本実施例の画像処理システムにおいて、第一の構成におけるパッチチャート作成から測定までの処理が実行される流れを模式的に表したフローチャートである。以下、フローチャートに沿って実行の流れを詳細に説明する。
【0020】
まず、ステップS401において、ユーザーは、PC21の記憶装置214に記憶されたプログラムを起動し、パッチチャート設定のメニュー画面を表示する。図5は、パッチチャート設定のUIを示すメニュー画面である。
【0021】
次に、ステップS402において、パッチチャート作成、測定に関する設定を行う。まず、プリンタで使用可能な用紙種類と給紙口および用紙サイズ、印刷品質、色変換の選択を行う。図5の501では、上記メディアに関する情報をプルダウンメニューより選択できる。給紙口としては、ロール紙、背面手差し等が選択可能であり、用紙種類は普通紙、コート紙、アート紙、光沢紙等から選択できる。印字品位としては、用紙種類に対応した標準、きれい、最高等から選択する。色変換は、プリンタドライバで選択可能な、「写真調」「鮮やかな色に」「色差最小」等から選択する。色変換をしない場合は、「色変換なし」を選択することもできる。502で、入力データの指定を行う。入力データのフォーマットをRGBあるいはCMYKより選択する。そして、参照ボタンを押下することにより図示しないダイアログを表示し、パッチ作成の元となる色値データが記述されたファイルを指定する。503は、パッチの測定に関する設定である。測定方向を片方向あるいは双方向から選択する。また、パッチの並び替え処理のON/OFFを選択する。パッチの並び替え処理については、後述する。
【0022】
次にステップS403において、ステップS402で選択されたパッチチャート設定に対して、用紙種類や用紙サイズがパッチ印刷に対応しているか否かのチェックおよび入力データのチェックを行う。選択された用紙が印刷可能な用紙で、入力ファイルの色値データに問題がなければ、実行確認のダイアログをPC21の画面に表示する。OKが選択されると、次のステップに移行する。キャンセルが選択されると実行メニュー表示状態に戻る。
【0023】
次に、ステップS404においてパッチチャートの作成を行う。パッチチャートの生成は、PC21の記憶装置214に記憶されたプログラムにより後述する方法に従って行われる。この際、パッチチャートのパッチ画像データ生成のための解像度変換や誤差拡散等のパラメータ、画像処理テーブルは、PC21の記憶装置214に記憶されたデータを参照する。なお、パッチチャート作成時には、複数のパッチの測定時に使用するパッチ位置情報も同時に作成される。
【0024】
ステップS405において、パッチチャートの印刷を行う。パッチチャートの印刷は、ステップS402で選択された給紙口、用紙種類、用紙サイズ、印刷品質、色変換の内容に従って行われる。
【0025】
ステップS406において、パッチチャートの測定を行う。プリントヘッドのキャリッジ部分に搭載された測定機230により、パッチチャート上を走査しながら測定を行う。このパッチチャートの測定は、ステップS404で作成したパッチ位置情報を参照しながら行う。
【0026】
最後に、ステップS407において、測定値を格納する。測定値が所定の形式に変換され、記憶装置214の所定の領域に格納される。測定値の格納が終了すると、実行処理を終了する。
【0027】
<パッチチャートの作成>
次に、図6を用いて本発明の特徴であるステップS404のパッチチャートの作成について、詳細に説明する。パッチ画像データであるパッチチャートの作成は、PC21の記憶装置214に記憶されたプログラムにより行われる。
【0028】
まず、ステップS601にて、色データとしてパッチの入力RGB値をプログラムに入力する。これは、図5の502で指定された色値ファイルに記述されたパッチ毎のRGB値である。本実施例では、RGB値R、G、Bがそれぞれ8bit入力(0〜255)の場合を例に説明する。入力する色値データの例を図7に示す。なお、S402のパッチチャート設定にて色変換なしが選択されている場合は、RGB値をそのまま使用するが、色変換が選択されている場合は、用紙種類に対応した色変換を適用したRGB値を入力値として使用する。
【0029】
ステップS602では、各パッチの入力RGB値から演算式によりパッチ長を求める。本実施例では、パッチの入力値として最も一般的に使用される色データとしてRGB値を用いる。そして、後述する演算式を用いることにより、最も暗いパッチ、すなわち光学濃度が最も高いパッチの長さが最大となるように決定される。本実施例におけるパッチの長さとは、センサの移動方向におけるパッチの長さである。なお、本実施例では、RGB値からパッチ長を求めたが、センサの受光量に影響を与えるような値であればこれに限らない。例えば、分光反射率、RGB値、CMYK値等があげられる。
【0030】
パッチ長は、以下の式により求める。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、max(r,g,b)は、入力値r,g,bの最大値を表し、min(r,g,b)は、入力値r,g,bの最小値を表す。式(1)によって求められるx1は、最大値と最小値の差をデジタルカウント値255で割った変数である。r,g,bがカラーの原色R(255,0,0),G(0,255,0),B(0,0,255)あるいはC(0,255,255),M(255,0,255),Y(255,255,0)を表す組み合わせの時、最大の1となる。そして、無彩色であるr=g=bの時、最小の0となる。式(2)で求められるx2は、r=g=b=0すなわち黒の時に最大の1となり、r=g=b=255すなわち白の時に最小の0となる変数である。また、パッチ長Pは式(3)にて求められる。α1、α2は、重み付けの係数である。また、値βは、オフセット値であり、測定を行うために最低限必要なパッチの長さである。x1≧x2の時は、パッチ長Pを求めるためにx1およびα1を使用し、x1<x2の場合は、x2およびα2を使用する。本実施例では、一例として、α1=4、α2=6、β=2とする。
【0033】
図8に、上記の演算式により求められたパッチ長Pと入力された色値r,g,bとの関係を示す。このパッチ長Pの値は、パッチ毎に対応付けられた形で記憶装置214に一時的に記憶される。なお、このように印刷する用紙によらない共通の演算式によりパッチ長を決定する場合、印刷する用紙の違いにより紙面上での発色に差が発生するため、実濃度とパッチ長Pの関係が明確ではない。これに対し、例えば発色性の低い普通紙では光学濃度が低くなる傾向があるため、オフセット値であるβを小さくすることで、印刷用紙によりパッチ長を変化させることができる。同様に、発色性の高いアート紙では光学濃度が高くなる傾向にあるため、βを大きくする。なお、ここではS402においてRGB入力が指定された場合で説明したが、CMYK入力においても、同様の考え方で演算式を作成し、パッチ長Pを求める。
【0034】
パッチ長の算出が終わると、ステップS603にてパッチのレイアウトを行う。パッチのレイアウトは、ステップS402のパッチチャート測定に関する設定に従って行われる。図5のパッチ測定設定503におけるパッチ並び替えがOFFに設定されていた場合は、パッチは、図9の(a)のように、走査方法に入力データ順に並べられた形でレイアウトされる。パッチの並び替えがONに設定されていた場合は、図9(b)に示すように、同じ大きさのパッチが並列して連続的に配置されるようにする。特に、濃度の高いパッチを先に印刷し、濃度の低いパッチを後に印刷した上で、濃度の低いパッチから測定を始めることで、測定時間を濃度の高いパッチの乾燥時間として割り当てることができる。その結果、印刷から測定までの時間を短くすることができる。また、同じパッチ長のパッチを連続させることで、同じパッチ長のパッチの測定をブロック毎にまとめて行うことができ、測定のシーケンスを単純にできるという利点もある。
【0035】
次に、ステップS604において、パッチ位置情報を生成する。パッチのレイアウトが終了すると、パッチ毎のパッチ長Pのデータから求めた、パッチの測定を開始する座標と終了する座標を、パッチ位置情報として記憶装置214に記憶する。このパッチ位置情報は、パッチ測定時にセンサの位置制御を行うために参照される。
【0036】
最後に、ステップS605において、レイアウト済みのパッチチャートのデータを記憶装置214の所定の領域に保存し、処理を終了する。
【0037】
以上、本実施例の画像処理システムにおけるパッチチャート作成から測定の流れを説明した。本発明により、センサが記録媒体との相対移動中にパッチの測定を行う場合に、パッチ画像データと測定のための位置情報をパッチの色データに応じて生成し、高精度な測定を短時間で行うことができる。なお、本実施例では、代表的な例としてインクジェット方式のプリンタを挙げたが、これに限らず、複写機や電子写真式プリンタ等でも適用可能である。
【0038】
また、本実施例では、格納手段である記憶装置214に記憶されたプログラムによってパッチ画像データを生成したが、同様に生成されたパッチ画像データを記憶装置214に格納している形態であってもよい。このとき、記憶装置214から読み出したパッチ画像データを印刷し、印刷されたパッチ画像を測定手段であるセンサで測定する画像処理システムとして機能する。尚、前述したように、記憶装置214は、PC21に備えられていてもよく、プリンタ装置20に備えられていてもよい。
【実施例2】
【0039】
前述の実施例1のステップS602では、パッチの色データから演算式によりパッチ長を決定した。一方、パッチの色値からパッチ長に変換するためのルックアップテーブル(以下LUTと呼ぶ)を予め保持しておき、LUTを参照してパッチ長を決定する形態も考えられる。以下、そのLUTの作成方法を説明する。
【0040】
まず、RGBをそれぞれ9段階で変化させた9×9×9=729の入力RGB値に対し、それぞれステップS602の演算式によりパッチ長を算出する。そして、既存の一般的な技術である四面体補間を使用してLUTを作成する。このようにして作成したLUTを、記憶装置214に予め保存しておく。そして、ステップS602でパッチ長の決定を行う時に、RGB値からパッチ長へと変換するLUTを参照する。
【0041】
また、パッチの色値からパッチ長に変換するためのLUTを対応用紙毎に保持しておく形態も考えられる。これは、ステップS602で説明したように、印刷する用紙の違いにより紙面上での発色に差が発生するため、それぞれ用紙でLUTを保持していたほうが、実濃度とパッチ長Pの対応関係が保てるためである。
【実施例3】
【0042】
実施例2のLUTは、パッチの色値から演算式によりパッチ長を決定してパッチ画像データを生成したが、用紙に印刷したパッチ毎に濃度や分光反射率を測定して、その値を元に作成してもよい。以下、分光反射率を測定してLUTを作成する方法を説明する。
【0043】
まず、RGBをそれぞれ9段階で変化させた9×9×9=729パッチをプリンタで印刷可能な用紙で印刷する。次に、測色器により、パッチの分光反射率を測定する。使用する測色器は、プリンタに内蔵されているものと同じ測色器を使用することが望ましい。分光反射率の測定を行った後は、測定した分光反射率からパッチ長を決定する。図10は、ある用紙で入力RGB値の異なるパッチを印刷して分光反射率を測定した時の、パッチの分光反射率を表したものである。1000は、白のパッチで、(r,g,b)=(255,255,255)、1001は、赤のパッチで(r,g,b)=(255,0,0)、1002は黒のパッチで、(r,g,b)=(0,0,0)である。これに対し、例えば、分光反射率が所定の閾値t以下となる波長領域を求め、全体の波長領域に対する比率を求めることによりパッチ長を算出する方法が考えられる。すなわち、1002の黒パッチのように全波長領域において分光反射率が低いパッチは、全波長領域で分光反射率が閾値t以下となるため、最も長いパッチなる。また、1000の白パッチように分光反射率が高いパッチでは、閾値t以下となる波長が無いため、最も短いパッチとなる。また、1001の赤パッチのように特定領域の分光反射率が低い場合は、中程度の長さのパッチとなる。例えば、閾値t=0.1とした時、全波長領域380〜730nmに対して380〜580nmが閾値以下であり、その割合に応じてパッチ長を決める。
【0044】
このようにして作成したLUTを記録媒体の種類毎に予め用意し、記憶装置214に保存しておく。そして、S602でパッチ長の算出を行う時に、RGB値からパッチ長へと変換するLUTを参照する。なお、LUTの補間処理は、既存の一般的な技術である四面体補間等を使用して行う。補間については、本発明の特徴とするところではないため、省略する。また、本実施例では1つの閾値でパッチ長を決定したが、段階的に複数の閾値を用いる方法や、分光反射率を波長で積分した情報をもとにパッチ長を求める方法、分光反射率の最小値を用いる方法等、同様の効果が得られる方法であれば、他の方法でもよい。
【実施例4】
【0045】
さらに、別の実施例として、実施例2におけるLUT作成を、プリンタドライバで予め用意されている印刷用紙ではなく、ユーザーが追加した用紙にて行う方法が考えられる。これは、ユーザー指定の用紙を追加する手続きを行った後に、実施例3と同様の方法をユーザ自身が行い、LUTを作成することで実現できる。
【0046】
具体的には、用紙の追加時にRGBをそれぞれ9段階で変化させた9×9×9=729パッチを印刷する。そして、実施例3と同様の方法で、測色器によりパッチの分光反射率を測定し、その追加用紙のLUTを作成する。作成したLUTは追加した用紙と関連付けられた形で記憶装置214に保存され、その用紙を使用してパッチ長の決定を行う際に参照される。
【実施例5】
【0047】
実施例1および実施例3では、入力RGB値や分光反射率から複数段階のパッチ長を求める方法を説明したが、より簡素な構成も考えられる。例えば、ある標準のパッチ長を定めておき、パッチの入力RGB値から演算式により求められる値Pが所定の閾値を超える場合にのみパッチ長が長いパッチとし、閾値を超えない場合には標準のパッチ長とする。図11に、パッチ長が2段階であるパッチチャートの例を示す。このとき、1100は第1の光学濃度のパッチであり、標準のパッチ長である。一方、1101は第1の光学濃度よりも高い第2の光学濃度のパッチであり、標準のパッチ長よりも長いパッチである。このようなパッチチャートの構成にすれば、測定時のパッチ位置制御が、より簡単にできるという利点がある。
【0048】
(その他の実施例)
本実施例では、記録媒体上をセンサが移動する形態の例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、記録媒体とセンサとの相対移動中に光学的にパッチが測定される形態であればよい。例えば、固定されたセンサに対して記録媒体が移動する際に測定を行う形態であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
20 プリンタ装置
21 PC
210 演算部
211 UI
212 CPU
213 作業メモリ
214 記憶装置
215 データ入出力装置
220 プリント部
230 測定機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを生成するパッチ画像データ生成手段と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、
前記記録媒体に対して一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサと
を有する画像処理システムであって、
前記パッチ画像データ生成手段は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記パッチ画像データ生成手段は、前記複数のパッチは、パッチの光学濃度が高いほど前記相対移動方向における長さが長くなるようにパッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記パッチ画像データ生成手段は、パッチの光学濃度からパッチの前記相対移動方向の長さを算出するための演算式を用いて前記パッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記パッチ画像データ生成手段は、パッチの光学濃度からパッチの前記相対移動方向の長さを導くためのルックアップテーブルを用いて前記パッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記ルックアップテーブルは、記録媒体の種類毎に異なることを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記パッチ画像データ生成手段は、前記相対移動方向における長さが同じパッチを前記相対移動方向に沿って配置するように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記センサは移動可能なキャリッジに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを格納する格納手段と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、
前記記録媒体に対する一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサと
を有する画像処理システムであって、
前記印刷手段は、前記第1のパッチにおける前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチにおける前記相対移動方向の長さよりも長くなるように印刷することを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを生成するパッチ画像データ生成工程と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷工程と、
前記記録媒体に対して一定の速度で相対移動中に前記複数のパッチを測定する測定工程と
を有し、
前記パッチ画像データ生成工程は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
格納手段から第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを読み出す読出工程と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷工程と、
前記記録媒体に対する一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定する測定工程と
を有し、
前記印刷工程は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように印刷することを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを生成するパッチ画像データ生成手段と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、
前記記録媒体に対して一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサと
を有する画像処理システムであって、
前記パッチ画像データ生成手段は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記パッチ画像データ生成手段は、前記複数のパッチは、パッチの光学濃度が高いほど前記相対移動方向における長さが長くなるようにパッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記パッチ画像データ生成手段は、パッチの光学濃度からパッチの前記相対移動方向の長さを算出するための演算式を用いて前記パッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記パッチ画像データ生成手段は、パッチの光学濃度からパッチの前記相対移動方向の長さを導くためのルックアップテーブルを用いて前記パッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記ルックアップテーブルは、記録媒体の種類毎に異なることを特徴とする請求項4に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記パッチ画像データ生成手段は、前記相対移動方向における長さが同じパッチを前記相対移動方向に沿って配置するように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記センサは移動可能なキャリッジに取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを格納する格納手段と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷手段と、
前記記録媒体に対する一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定するセンサと
を有する画像処理システムであって、
前記印刷手段は、前記第1のパッチにおける前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチにおける前記相対移動方向の長さよりも長くなるように印刷することを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを生成するパッチ画像データ生成工程と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷工程と、
前記記録媒体に対して一定の速度で相対移動中に前記複数のパッチを測定する測定工程と
を有し、
前記パッチ画像データ生成工程は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように前記パッチ画像データを生成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
格納手段から第1のパッチと、前記第1のパッチよりも光学濃度が低い第2のパッチとを含む複数のパッチを印刷するために用いるパッチ画像データを読み出す読出工程と、
前記パッチ画像データに基づいて記録媒体に前記複数のパッチを印刷する印刷工程と、
前記記録媒体に対する一定の速度での相対移動中に前記複数のパッチを光学的に測定する測定工程と
を有し、
前記印刷工程は、前記第1のパッチの前記相対移動方向の長さが、前記第2のパッチの前記相対移動方向の長さよりも長くなるように印刷することを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−148298(P2011−148298A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268749(P2010−268749)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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