説明

画像処理方法、撮影装置、および画像処理装置

【課題】 撮影画像データを取得して三次元画像を表示することができる画像処理方法、三次元の画像を表示するための画像データを得ることができる撮影装置および画像処理装置を提供する。
【解決手段】 撮影光学系101で第1のフォーカスレンズ101cの合焦位置(前方)と第2のフォーカスレンズ101iの合焦位置(後方)の撮影画像(2D化像)を生成し、各撮影画像における各画素の輝度を、各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データを輝度比処理部130で生成するとともに、各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した2つの圧縮画像を表わす2つの圧縮画像データを圧縮率処理部131,圧縮処理回路123で生成して、画像表示部13の、重ねて配置された2枚の光透過性表示画面上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画像データを取得して表示する画像処理方法、撮影画像データを生成する撮影装置、および撮影画像データを取得して処理する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮影装置において、被写体を結像させる撮影光学系やその撮影光学系を経由して得られた画像に関する様々な技術が提案されている。例えば、撮影光学系を経由して入射してきた被写体像を瞬時に可視像として電子的に且つ直接的に記録現像する電子現像型カメラにおいて、撮影時には複数の電子現像型記録媒体をそれぞれ異なった像面に位置決めするとともに、撮影終了後には複数の電子現像型記録媒体を一平面に整列させて固定するホルダ組立体を備えた技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術によれば、光路長補正プリズムが不要であるとともに複数の電子現像型記録媒体からの記録画像の読み取りを容易に行なうことができる。
【0003】
また、電子部品上の検査点の位置を三角測量により測定するにあたり、ビームスプリッタを設けて電子部品からの光束を2つに分割し、各光束内に各カメラを配置する技術が提案されている(特許文献2参照)。この技術によれば、各カメラの光軸間隔を数ミリ程度まで接近させることができるため、半導体素子のような小さな電子部品上の検査点であっても、その立体的な凹凸を正確に測定することができる。
【0004】
さらに、接眼鏡筒部の傾斜角が可変な実体顕微鏡用傾斜角可変双眼鏡筒において、固定鏡筒部と可動鏡筒部とを備え、固定鏡筒部を可動鏡筒部でコの字状に囲い、可動鏡筒部内に像回転補正光学系を配置する技術が提案されている(特許文献3参照)。この技術によれば、鏡筒部の小型化が図れるとともに、医療における手術等の作業性を高めることができる。
【0005】
また、観察者の視線方向から射影して生成された二次元画像を、その観察者から見て異なった奥行き位置に配備された複数の表示面にそれぞれ表示するとともに、それら表示される二次元画像の輝度を各表示面毎にそれぞれ独立に変化させて、三次元画像(立体像)を表示する三次元画像表示方法において、各表示面に表示される二次元画像の透過度を各表示面毎にそれぞれ独立に変化させて、各表示面に表示される二次元画像の輝度をそれぞれ独立に変化させる技術が提案されている(特許文献4参照)。この技術によれば、眼鏡を用いることなく動画表示が可能であり、また立体視の生理的要因間での矛盾(例えば、両眼視差および輻輳と、ピント調節との間での矛盾)を抑制することができ、さらに電気的に表示の書換えが可能である。
【0006】
さらに、観察者から見て異なった奥行き位置に配備された複数の表示面それぞれに、表示対象物を観察者の視線方向から射影して生成された二次元画像を表示し、それら表示される二次元画像の輝度を各表示面毎にそれぞれ独立に変化させるとともに、観察者の最も近い位置に配置された表示面に備えられた光の偏向方向が互いにそれぞれ異なる複数の領域を有する光学部材で、その表示面に入射する入射光をそれぞれ異なる方向に出射する技術が提案されている(特許文献5参照)。この技術によれば、簡単な構成で、複数の観察者に対して同時に三次元画像を表示することができる。
【0007】
また、第1,第2の透明自発光型表示装置と、反射ミラーと、波長変換手段と、フィルタ膜とを備え、第1,第2の透明自発光型表示装置からの発光光の通過をフィルタ膜で阻止するとともに波長変換手段で変換された所定波長の光を通過させ、第1,第2の透明自発光型表示装置に表示される二次元像の輝度を、第1,第2の画素群ごとにそれぞれ独立に変化させる技術が提案されている(特許文献6参照)。この技術によれば、立体視の生理的要因間での矛盾を抑制することができ、且つ眼鏡を用いることなくカラー画像の三次元画像の表示が可能であり、また構成が簡単でコンパクトな三次元画像表示装置を提供することができる。
【0008】
さらに、電子内視鏡装置において、対物レンズ,光学ローパスフィルタから出射される像光を接合プリズムで分離し、分離した光を、異なる光路長に設定された遠点用CCDと近点用CCDへ入射させる技術が提案されている(特許文献7参照)。この技術によれば、異なる距離にピントが合った複数の画像を同時に撮影して表示することができ、診断や処置等に有益な情報を得ることができる。
【0009】
また、電子内視鏡装置において、対物レンズ,光学ローパスフィルタから出射される像光をクロスプリズムで三つの光路に分離し、これらの分離光を入射するように、異なる光路長に設定された遠点用CCDと近点用CCDを配置するとともに、別の遠点用CCDを上記遠点用CCDに対し半画素ずれた位置に設ける技術が提案されている(特許文献8参照)。この技術によれば、異なる距離にピントが合った複数の画像を同時に表示することができるとともに高解像度化が図られて、診断や処置等に有益な情報を得ることができる。
【特許文献1】特開平9−96865号公報
【特許文献2】特開平9−42946号公報
【特許文献3】特開平11−231226号公報
【特許文献4】特開2001−54144号公報
【特許文献5】特開2003−66371号公報
【特許文献6】特開2004−157296号公報
【特許文献7】特開平11−197097号公報
【特許文献8】特開平11−197098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1,2,3,7に提案された技術は、撮影光学系を工夫した技術であり、また特許文献4,5,6,8に提案された技術は、三次元画像を表示するための技術である。このように、上述した特許文献1〜8には、撮影光学系の工夫や撮影光学系を経由して得られた画像を三次元的に表示する技術が提案されている。しかし、これらの特許文献1〜8には、三次元画像を表示するために必要である撮影画像データを生成したりあるいは取得して画像処理を行なう技術に関しては記載されていない。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、撮影画像データを取得して三次元画像を表示することができる画像処理方法、三次元の画像を表示するための画像データを得ることができる撮影装置、および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の画像処理方法は、
同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを取得し、
各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成し、
重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面上に上記複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示することを特徴とする。
【0013】
本発明の画像処理方法は、先ず、同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを取得する。このようにすることにより、三次元の画像を表示するための撮影画像データを取得する。次いで、各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成する。これにより、観察者から見て、例えば、近い撮影画像(前方の画像)にピントが合っている場合は、その前方の画像の各画素の輝度を高輝度側に調整するとともに遠い撮影画像(後方の画像)の各画素の輝度を低輝度側に調整した2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データを生成する。さらに、この例の場合は、重ねて配置された2枚の光透過性表示画面上に上記2つの輝度調整画像を1枚ずつ表示する。このようにして、撮影画像データを取得して複数の輝度調整用画像データを生成し、重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面上に複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示することにより、三次元の画像を表示することができる。
【0014】
ここで、本発明の画像処理方法において、各撮影画像を、その各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを生成し、上記複数の圧縮画像データを保存することが好ましい。
【0015】
撮影画像の合焦の程度が低い領域はピントが合っていないためボケの程度が大きく、従って高い圧縮率で圧縮し、また撮影画像の合焦の程度が高い領域はピントが合っているためボケの程度は小さく、従って低い圧縮率で圧縮する。このようにすることにより、三次元画像を表示するための画像データを効率よく圧縮することができる。
【0016】
また、上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置は、
撮影により、同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを生成する撮影部と、
各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成する画像処理部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
ここで、本発明の第1の撮影装置において、重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面を有し、それら複数枚の表示画面上に上記複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示する画像表示部を備えたことが好ましい。
【0018】
本発明の第1の撮影装置は、三次元の画像を表示するための撮影画像データを撮影部で生成し、生成された撮影画像データで表わされる各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを画像処理部で生成するものである。このため、観察者から見て、例えば、前方の画像にピントが合っている場合は、その前方の画像の各画素の輝度が高輝度側に調整されるとともに後方の画像の各画素の輝度が低輝度側に調整された2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データが生成される。ここで、本発明の第1の撮影装置に上記画像表示部を備えた場合、その画像表示面が有する重ねて配置された2枚の光透過性表示画面上に上記2つの輝度調整画像を1枚ずつ表示することができる。このようにすることにより、撮影画像データを取得し、取得した撮影画像データに基づいて三次元画像を表示することができる。
【0019】
さらに、上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置は、
撮影により、同一被写体に対するピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを生成する撮影部と、
各撮影画像を、その各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを生成する画像圧縮部とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の撮影装置は、三次元の画像を表示するための撮影画像データを撮影部で取得し、取得した撮影画像データで表わされる各撮影画像を、その各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを画像圧縮部で生成するものである。このため、撮影画像の合焦の程度が低い領域は高い圧縮率で圧縮され、また撮影画像の合焦の程度が高い領域は低い圧縮率で圧縮される。従って、三次元画像を表示するための画像データを効率よく圧縮することができる。
【0021】
また、上記目的を達成する本発明の画像処理装置は、
同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを取得する画像取得部と、
各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成する画像処理部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
ここで、本発明の画像処理装置において、重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面を有し、それら複数枚の表示画面上に上記複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示する画像表示部を備えたことが好ましい。
【0023】
本発明の画像処理装置は、三次元の画像を表示するための撮影画像データを画像取得部で取得し、取得した撮影画像データで表わされる各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを画像処理部で生成するものである。このため、観察者から見て、例えば、前方の画像にピントが合っている場合は、その前方の画像の各画素の輝度が高輝度側に調整されるとともに後方の画像の各画素の輝度が低輝度側に調整された2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データが生成される。ここで、本発明の画像処理装置に上記画像表示部を備えた場合、その画像表示面が有する重ねて配置された2枚の光透過性表示画面上に上記2つの輝度調整画像を1枚ずつ表示することができる。このようにすることにより、撮影画像データを取得し、取得した撮影画像データに基づいて三次元画像を表示することができる。
【0024】
また、本発明の画像処理装置において、各撮影画像を、その各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを生成することも好ましい態様である。
【0025】
このように、撮影画像の合焦の程度が低い領域は高い圧縮率で圧縮し、また撮影画像の合焦の程度が高い領域は低い圧縮率で圧縮することにより、三次元画像を表示するための画像データを効率よく圧縮することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、撮影画像データを取得して三次元画像を表示することができる画像処理方法、三次元の画像を表示するための画像データを得ることができる撮影装置および画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の撮影装置および本発明の第2の撮影装置の双方の一実施形態であるデジタルカメラを上方から見た上面図(図1(a))、正面から見た正面図(図1(b))および背面から見た背面図(図1(c))である。
【0029】
このデジタルカメラ1は、撮影により、同一被写体に対するピントのあった距離が互いに異なる2つの撮影画像を表わす2つの撮影画像データを生成して三次元画像を表示することができるデジタルカメラである。また、このデジタルカメラ1には、本発明の画像処理方法の一実施形態が適用されている。
【0030】
先ず、このデジタルカメラ1の概要について説明する。
【0031】
このデジタルカメラ1は、図1(a),図1(b)に示すようにカメラボディ1aの中央にレンズ鏡胴10が配備されている。また、このカメラボディ1aの上面にはパワーボタン11が配備されており、このパワーボタン11が操作されると、図1(a),(b)に示すようにレンズ鏡胴10が繰出されて撮影準備が整えられるようになっている。
【0032】
さらに、カメラボディ1a上面には、電源投入用のパワーボタン11のほか、レリーズボタン12とそのレリーズボタン12の廻りに撮影モードダイヤル12_1とが配備されており、この撮影モードダイヤル12_1がAUTOに切り替えられているときにレリーズボタン12が押されて撮影が行なわれるときにはデジタルカメラ1の内部に自動的に撮影条件が設定されて撮影が行なわれる。また、この撮影モードダイヤル12_1が動画撮影モードに切り替えられると、動画撮影が行なわれるようになり、シーンポジション(符号SP)側に切り替えられると、撮影シーンに応じた撮影条件がデジタルカメラ1内部に自動的に設定されて撮影が行なわれるようになる。
【0033】
また、図1(c)に示すように、カメラボディ1aの背面側には、詳細は後述する画像表示部(液晶モニタ)13が設けられており、撮影モード時には、この画像表示部13上に被写体が表示されたり、メニューが表示されたりする。この撮影モードにあるときに画像表示部13の脇にある再生ボタン14が一度押されると、再生モードに切り替わり既撮影画像が画像表示部13上に表示され、この再生ボタン14が再度押されると、撮影モードに切り替わりスルー画像が画像表示部13上に表示される。また、再生モードボタン14の横には、F(フォトモード)ボタン15が配備されており、よく用いられるモード、例えばピクセル設定モードや感度設定モードなどの切り替えがこのFボタン15の操作により簡単に行なえるようにもなっている。
【0034】
また、そのFボタン15の下方には十字キー16やOK/メニューボタン17が配備され上方にはズームスイッチ18が配備されている。これら十字キー16やOK/メニューボタン17の操作により、セットアップメニューに切り替えて日時の設定や画像表示を行なうか否かの設定等を行なったり、撮影メニューに切り替えて連写,セルフタイマ等を選択したりすることができる。
【0035】
さらに、十字キー16の下方には、画像表示部13の表示を切り換えたり操作を途中でやめるときなどに使用されるDSP/BACKボタン19が配備されている。
【0036】
また、図1(b)に示すカメラボディ1aの正面には測光センサ20や閃光発光窓21が配備されており、閃光発光が必要な場合にはその閃光発光窓21から閃光が被写体に向けて発光されるようになっている。
【0037】
図2は、図1に示すデジタルカメラの内部構成を示す図である。
【0038】
このデジタルカメラ1には、撮影光学系101(本発明にいう撮像部の一例に相当)を構成するアイリス101a,ズームレンズ101b,第1のフォーカスレンズ101cと、ハーフミラー101d,第1の反射鏡101e,第2の反射鏡101f,第1のCCD101gと、第3の反射鏡101h,第2のフォーカスレンズ101i,第2のCCD101jとが備えられている。
【0039】
また、このデジタルカメラ1には、アイリス101a,ズームレンズ101b,第1のフォーカスレンズ101c用のモータを駆動するモータドライバ111,112,113が備えられている。
【0040】
さらに、デジタルカメラ1には、タイミングジェネレータ114と、CPU115が備えられている。タイミングジェネレータ114は、CPU115からの指示により所定のタイミングで第1のCCD101g,第2のCCD101jを駆動する。これにより、第1のCCD101g,第2のCCD101jに入射されている被写体光が所定のフレームレートで光電変換され、それら第1のCCD101g,第2のCCD101jからアナログ画像信号として出力される。尚、第1のCCD101g,第2のCCD101jを含む撮影光学系101における詳細な動作説明については後述するが、この撮影光学系101は、撮影により、同一被写体に対する、ピントのあった距離が互いに異なる2つの撮影画像を表わす2つの撮影画像データを生成する。
【0041】
CPU115は、このデジタルカメラ1全体の制御を行なう。具体的には、CPU115にはROMが内蔵されており、その内蔵されたROMのプログラムの手順にしたがってデジタルカメラ1全体の動作が制御される。
【0042】
さらに、デジタルカメラ1には、第1のCCD101g,第2のCCD101jから出力されたアナログ画像信号の雑音を低減する処理等を行なう第1のCDSAMP116,第2のCDSAMP117と、それらの処理等が施されたアナログ画像信号をデジタル画像信号にアナログ/デジタル変換する第1のA/D変換回路118,第2のA/D変換回路119と、これら第1のA/D変換回路118,第2のA/D変換回路119でデジタル画像信号に変換されたRGBからなる画像データをデータバスを介して、メモリであるSDRAM120に転送する画像入力コントローラ121とが備えられている。
【0043】
また、デジタルカメラ1には、SDRAM120の画像データを読み出させ、YC信号への変換を行なう画像処理プロセスを実行する画像信号処理回路122と、画像処理プロセスが終了した時点でJPEGプロセスを実行して画像データの圧縮を行なう圧縮処理回路123と、画像データをビデオ信号に変換して画像表示部13に導くためのVideo/LCDエンコーダ124とが備えられている。尚、圧縮処理回路123では、後述する圧縮率処理部131からの情報を参照して、画像データの圧縮を行なう。
【0044】
さらに、デジタルカメラ1には、画像のピント情報を検出するAF検出回路125と、画像の輝度情報と白色バランス情報を検出するAE&AWB検出部126と、作業領域用のメモリとしても使用される前述したSDRAM120と、A領域,B領域を有する表示用のバッファとしてのVRAM127と、画像データを記録メディア110に記憶するための制御を行なうメディアコントローラ128と、測光センサ20とが備えられている。
【0045】
また、デジタルカメラ1には、フラッシュ発光部129と、前述したパワーボタン11,レリーズボタン12,撮影モードダイヤル12_1,再生ボタン14,Fボタン15,十字キー16、OK/メニューボタン17,ズームスイッチ18,DSP/BACKボタン19からなる操作スイッチ群100が備えられている。
【0046】
さらに、デジタルカメラ1には、撮影光学系101で生成された2つの撮影画像データで表わされる2つの撮影画像の各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データを生成する輝度比処理部130(本発明にいう画像処理部の一例に相当)が備えられている。
【0047】
ここで、画像表示部13は、重ねて配置された2枚の光透過性表示画面を有し、これら2枚の表示画面上に2つの輝度調整画像を1枚ずつ表示するものであり、眼鏡を用いないで動画表示が可能な3次元表示装置である。
【0048】
また、デジタルカメラ1には、各撮影画像を、その各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した2つの圧縮画像を表わす2つの圧縮画像データを生成する情報を、前述した圧縮処理回路123に提供する圧縮率処理部131が備えられている。圧縮処理回路123では、この情報を参照して、画像データの圧縮を行なう。ここで、圧縮率処理部131および圧縮処理回路123が、本発明にいう画像圧縮部の一例に相当する。
【0049】
次に、このデジタルカメラ1の概略動作について説明する。
【0050】
このデジタルカメラ1の動作は統括的にCPU115により制御される。このCPU115内にはROMが内蔵されており、その内蔵されたROM内にプログラムが格納されている。このプログラムの手順にしたがってデジタルカメラ1全体の動作がCPU115により制御される。また、SDRAM120にはROMに記述されているプログラムの手順にしたがってCPU115がこのデジタルカメラ1全体を制御しているときに、処理中の画像データが一時的に格納されたりする。
【0051】
また、表示用のバッファとしてのVRAM127にはスルー画像を表わす画像データがA領域、B領域に順次記憶され、それらの領域にある画像データが交互にVideo/LCDエンコーダ124に供給され画像データに基づく画像が順次切り換えられてスルー画像として画像表示部13上に表示される。ここで、画像表示部13上に表示されるスルー画は、詳細は後述するが、眼鏡を用いないでも観察することができる三次元の動画である。
【0052】
ここでは、撮影モードダイヤル12_1(図1参照)がAUTOに切り替えられて撮影が行なわれた場合の画像データの流れを、図2を参照して説明する。
【0053】
撮影モードダイヤル12_1がAUTOに切り替えられると、CPU115は撮影光学系101を経由した被写体光を第1のCCD101g,第2のCCD101jで捉え、それらの第1のCCD101g,第2のCCD101jで生成される画像データを所定の間隔ごとに第1のCDSAMP116,第2のCDSAMP117側へ出力させ、第1のA/D変換部118,第2のA/D変換部119および画像入力コントローラ121,輝度比処理部130,画像信号処理回路122で表示可能な画像データに変換してスルー画像を画像表示部13の画面上に表示させる。そのスルー画像に基づいて任意にフレーミングが行なわれ、AF検出回路125が絶えず第1のフォーカスレンズ101c,第2のフォーカスレンズ101hを前後させ、後述するようにして合焦点検出を行なって、焦点のあった画像を第1のCCD101g,第2のCCD101jに結像させる。このときにはAE&AWB検出部126によって被写界輝度が検出され、その検出結果に基づいてホワイトバランス調整のためにR、G、Bの各色信号のゲインが調整されたりする。このように被写界輝度に応じて露出が調節され焦点のあった画像を表わす画像データを、タイミングジェネレータ114からのタイミング信号に応じて所定の間隔ごとに第1のCDSAMP116,第2のCDSAMP117へ出力させ、後段でスルー画像を得ている。撮影者はこのスルー画像を見ながらフレーミングを行ない、シャッタチャンスにレリーズ操作を行なう。
【0054】
レリーズ操作が行なわれると、CPU115は、第1のCCD101g,第2のCCD101jにレリーズ操作時の画像を結像させるため、タイミングジェネレータ114からタイミング信号を供給させる。このタイミング信号は第1のCCD101g,第2のCCD101jに露光開始および露光終了を告げるものでありいわゆるシャッタスピードに相当する。CPU115はこの露光終了時に第1のCCD101g,第2のCCD101jから画像データ(RGBの光の3原色R,G、Bからなる画像データ)を出力させ、後段の第1のCDSAMP116,第2のCDSAMP117に供給させる。さらに、第1のCDSAMP116,第2のCDSAMP117でそれら第1のCCD101g,第2のCCD101jから出力された画像データの雑音が低減され、その雑音が低減された画像データが第1のA/D変換部118,第2のA/D変換部119でデジタル信号に変換される。これら第1のA/D変換部118,第2のA/D変換部119でデジタル信号に変換されたRGBからなる画像データは、後段の画像入力コントローラ121によりデータバスを介してSDRAM120に供給され、このSDRAM120に第1のCCD101g,第2のCCD101jのすべての画素の画像データが記憶される。すべての画素データに対応する画像データがSDRAM120に記憶されると、CPU115が後述する輝度比処理部130,画像信号処理回路122の画像処理プロセスを起動させ、その画像処理プロセスによってSDRAM120の画像データを読み出させ、YC信号への変換を行なわせる。さらに、この画像信号処理部122の画像処理プロセスが終了したことをCPU115が検知すると、CPU115は後述する圧縮率処理部131,圧縮処理回路123のJPEGプロセスを起動させ、JPEGプロセスによって画像データの圧縮を行なわせる。これら圧縮率処理部131,圧縮処理回路123での圧縮が完了したことをCPU115が検知すると、CPU115は次に記録処理プロセスを起動させ、JPEG圧縮された画像データを、メディアコントローラ128を介して記録メディア110に記録させる。このようにして、画像データの処理が行なわれる。
【0055】
図3は、図2に示す撮影光学系で前面と後面の2次元画像を同時に生成する様子を説明するための図である。
【0056】
眼鏡を用いないで動画表示が可能な3次元表示装置である画像表示部13に、画像データを供給するためには、3次元物体を観察者から見て遠い表示面と近い表示面の2つの面にて射影できる2次元的な画像(2D化像)を生成する必要がある。本実施形態のデジタルカメラ1は、観察者から見て遠い表示面(後方)の画像と、観察者から見て近い表示面(前方)の画像を、同時に撮像する撮影装置である。
【0057】
本実施形態の特徴の1つは、図3に示すように、第1のCCD101gと第2のCCD101jにおける2つの光学系であって、焦点距離が異なり、光軸および光路長が同じである撮影光学系101にある。また、本実施形態の効果の1つは、光軸と光路長が同じであり、2つの撮像素子である第1のCCD101g,第2のCCD101jを持つデジタルカメラに、合焦調節レンズ(第2のフォーカスレンズ101i)を挿入するだけで、三次元画像表示(3D表示)に必要な2D化像を生成することができることにある。
【0058】
ここでは、被写体Aと被写体Bが距離Lだけ離れており、被写体Aは被写体Bより後方に位置し、被写体Aと被写体Bはデジタルカメラ1の方向に対して互いに重ならないように実在しする場合を例に挙げて説明する。
【0059】
被写体Bは被写体Aより前方に位置し、合焦調節レンズ(第1のフォーカスレンズ101c)で被写体Bに焦点(ピント)を合わせると、第1のフォーカスレンズ101cの合焦位置での画像が、光量調節用絞り(アイリス101a)、倍率調節用レンズ(ズームレンズ101b)、第1のフォーカスレンズ101cを通過してハーフミラー101dにて約半分の光が透過して、反射鏡2枚(第1の反射鏡101e,第2の反射鏡101f)を経由して第1のCCD101gに入射する。
【0060】
被写体Aは被写体Bより後方に位置し、第2のフォーカスレンズ101iで被写体Aに焦点(ピント)を合わせると、第2のフォーカスレンズ101iの合焦位置での画像が、アイリス101a,ズームレンズ101b,第1のフォーカスレンズ101cを通過してハーフミラー101dにて約半分の光が反射して、第3の反射鏡101hを経由し、第2のフォーカスレンズ101iを通過して、第2のCCD101jに入射する。
【0061】
第1のCCD101gの撮像画像は、前方位置にある被写体Bに合焦しており、後方位置にある被写体Aには非合焦である。第2のCCD101jの撮像画像は、後方位置にある被写体Aに合焦しており、前方位置にある被写体Bには非合焦である。
【0062】
前述したように、このデジタルカメラ1の撮影光学系101を用いると、第1のフォーカスレンズ101cの合焦位置(前方)と第2のフォーカスレンズ101iの合焦位置(後方)の2D化像を、光軸と光路長が同じであリ、2つの撮像素子(第1のCCD101g,第2のCCD101j)を持つデジタルカメラに、合焦調節レンズ(第2のフォーカスレンズ101i)を挿入するだけで、3D表示に必要な2D化像を生成することができる。
【0063】
図4は、図2,図3に示す撮影光学系とは異なる撮影光学系で前面と後面の2次元画像を同時に生成する様子を説明するための図である。
【0064】
図4には、図2,図3に示す撮影光学系101とは異なる撮影光学系201が示されている。この撮影光学系201は、図2,図3に示す撮影光学系101と比較し、第1の反射鏡101e,第2の反射鏡101fが削除されている点が異なっている。
【0065】
ここでの特徴は、第1のCCD101gと第2のCCD101jにおける2つの光学系であって、焦点距離が異なり、光軸が同じで、光路長が異なる撮影光学系201にある。また、ここでの効果は、前述したデジタルカメラ1と比較し、2枚の反射鏡(第1の反射鏡101e,第2の反射鏡101f)が不要となり、従って光量低下を防止することができるとともに、部品点数と調整工数の削減効果によるコストダウンを図ることができる。また、前述したデジタルカメラ1と同様に、3D表示に必要な2D化像を生成することができる。
【0066】
ここでは、被写体Aと被写体Bが距離Lだけ離れており、被写体Aは被写体Bより後方に位置し、被写体Aと被写体Bはデジタルカメラの方向に対して互いに重ならないように実在しする場合を例に挙げて説明する。
【0067】
被写体Bは被写体Aより前方に位置し、合焦調節レンズ(第1のフォーカスレンズ101c)で被写体Bに焦点(ピント)を合わせると、第1のフォーカスレンズ101cの合焦位置での画像が、光量調節用絞り(アイリス101a)、倍率調節用レンズ(ズームレンズ101b)、第1のフォーカスレンズ101cを通過してハーフミラー101dにて約半分の光が透過して、第1のCCD101gに入射する。
【0068】
被写体Aは被写体Bより後方に位置し、第2のフォーカスレンズ101iで被写体Aに焦点(ピント)を合わせると、第2のフォーカスレンズ101iの合焦位置での画像が、アイリス101a,ズームレンズ101b,第1のフォーカスレンズ101cを通過してハーフミラー101dにて約半分の光が反射して、第3の反射鏡101hを経由して、第2のフォーカスレンズ101iを通過して、第2のCCD101jに入射する。
【0069】
第1のCCD101gの撮像画像は、前方位置にある被写体Bに合焦しており、後方位置にある被写体Aには非合焦である。第2のCCD101jの撮像画像は、後方位置にある被写体Aに合焦しており、前方位置にある被写体Bには非合焦である。
【0070】
前述したように、この撮影光学系201を用いると、第1のフォーカスレンズ101cの合焦位置(前方)と第2のフォーカスレンズ101iの合焦位置(後方)の2D化像を、光軸が同じで光路長が異なり、2つの撮像素子(第1のCCD101g,第2のCCD101j)を持つデジタルカメラに、合焦調節レンズ(第2のフォーカスレンズ101i)を挿入するだけで、3D表示に必要な2D化像を生成することができる。このような撮影光学系201を用いて三次元画像を表示してもよい。
【0071】
図5は、図2に示す輝度比処理部における信号処理の流れを示す図、図6は、図2に示す輝度比処理部における信号波形を示す図である。
【0072】
上述したように、撮影光学系101を備えたデジタルカメラ1(もしくは撮影光学系201を備えたデジタルカメラ)では、第1のCCD101gと第2のCCD101jにおける2つの光学系であって、焦点距離が異なり、光軸が同じである撮影光学系101,201に特徴がある。且つ、3D表示に必要な2D化像を、単一の光軸上で撮像した前面と後面の2D化像にて提供している。
【0073】
さらに、輝度比処理部130では、撮影光学系101(もしくは撮影光学系201)で得られた単一の光軸上で撮像した前面と後面の2D化像から、観察者から見た奥行き方向の連続情報を逐次演算可能とする信号処理方法が提供される。
【0074】
ここで、前面寄りに被写体がある場合は前面での合焦比率が高く後面での合焦比率が低いので、前面での輝度信号に前面での合焦比率を乗算し、後面での輝度信号に後面での合焦比率を乗算して、3D表示の輝度信号を提供する。この効果は、合焦比率を用いて奥行き方向の情報を逐次演算し、奥行きが連続的に変化して見える3D表示させる輝度信号が得られることにある。
【0075】
次に、図5,図6を参照して、輝度比処理部130における信号処理の流れと各部波形について説明する。前方面の合焦位置で撮像された画像輝度信号Yaは、輝度比処理部130に備えられたHPF(ハイパスフィルタ)に入力され、そのHPFで空間周波数の高域成分aが抽出され、さらにその高域成分aの絶対値Aが求められる。また、後方面の合焦位置で撮像された画像輝度信号Ybは、輝度比処理部130に備えられた上記HPFとは異なるHPFに入力され、そのHPFで空間周波数の高域成分bが抽出され、その高域成分bの絶対値Bが求められる。
【0076】
図6に示す各部波形においては、合焦している部分を太線にて示している。前方面の画像は前方面の被写体に合焦(A>B)しており、後方面の被写体は非合焦(A<B)である。また、後方面の画像は後方面の被写体に合焦(A<B)しており、前方面の被写体は非合焦(A>B)である。前方面での合焦比率A/(A+B)を、前方面の合焦位置で撮像された画像輝度信号Yaに乗算して、前方側のLCD画面(画像表示部13の第1の光透過性表示画面)に表示させる画像輝度信号Ya’(Ya’=Ya×A/(A+B))(第1の輝度調整画像データ)とする。この画像輝度信号Ya’は、前方面寄りにある合焦している部分が増加し、後方面寄りにある非合焦の部分が減少していることを表わしている信号である。また、後方面での合焦比率B/〈A+B)を、後方面の合焦位置で撮像された画像輝度信号Ybに乗算して、後方側のLCD画面(画像表示部13の第2の光透過性表示画面)に表示させる画像輝度信号Yb’(Yb’=Yb×B/(A+B))(第2の輝度調整画像データ)とする。この画像輝度信号Yb’は、後方面寄りにある合焦している部分が増加し、前方面寄りにある非合焦の部分が減少していることを表わしている信号である。尚、この図6に示す画像輝度信号Ya’は、高域成分aの絶対値Aの大きな部分(画像のあるエッジと他のエッジ)どうしが接続されるような処理が施されて生成されている。
【0077】
以上説明したように、前方側に射影する画像と後方側に射影する画像にて、その輝度信号を被写体の奥行き位置に応じて可変することができる。これらの画像を画像表示部13に供給すると、立体的な被写体として表示される。
【0078】
図7は、図2に示す圧縮率処理部における信号処理の流れを示す図である。
【0079】
この圧縮率処理部131は、単一の光軸上で撮像した前面と後面の2D化像より、記録用の画像データを生成する時の圧縮率を最適化する処理を行なう。即ち、この圧縮率処理部131は、上述した輝度比処理部130にて算出した前面と後面との合焦比率(A/(A+B),B/〈A+B))に応じて、画像データ圧縮率を調整する。詳細には、基準圧縮率Zに、前方面での合焦比率A/(A+B)の逆数を乗算して、前方側のLCD画面(画像表示部13の第1の光透過性表示画面)に表示させる画像データの保存用の圧縮率Za’(Za’=Z×(A+B)/A)とする。また、基準圧縮率Zに、後方面での合焦比率B/〈A+B)の逆数を乗算して、後方側のLCD画面(画像表示部13の第2の光透過性表示画面)に表示させる画像データの保存用の圧縮率Zb’(Zb’=Z×(A+B)/B)とする。つまり、各画素(プロック)について、後面より前面の合焦比率が高い場合には、前面の画像データの圧縮率を下げ、且つ、後面の画像データの圧縮率を上げる。このように、前面と後面の各画素(ブロック)の圧縮率が合焦比率に応じて調整されるため、3D表示させる画像データを効率的に圧縮することができるという効果を有する。つまり、合焦比率の高い表示面に射影する画像データの圧縮率を下げるのでより鮮鋭な記録ができ、また合焦比率の低い表示面に射影する画像データの圧縮率を上げるので保存するデータ量をより削減することができる。より望ましい態様としては、前面の保存データ量と後面の保存データ量の和がほぼ等しくなるように画像データ圧縮率を調整するのが良い。これは、前面と後面の画像データの品質をほぼ等しくすることになり、画像表示部13上に射影された3D画像の奥行き方向の品質がほぼ等しくなるので自然な画像として表示することができる。
【0080】
尚、上述した実施形態では、本発明の撮影装置としてデジタルカメラの例で説明したが、これに限られるものではなく、本発明の撮影装置は、デジタルカメラの機能が組み込まれた携帯電話や動画を撮影するビデオカメラ等であってもよい。
【0081】
次に、本発明の画像処理装置の一実施形態について説明する。
【0082】
図8は、本発明の画像処理装置の一実施形態が実現される情報処理装置を示す概要図である。
【0083】
この図8には、情報処理装置として、一般にワークステーションまたはパーソナルコンピュータと呼ばれるコンピュータ200が示されており、このコンピュータ200により本発明の画像処理装置の一実施形態が実現される。尚、この画像処理装置の一実施形態の実現にあたっては、後述するCD―ROM300に記憶された画像処理プログラムがコンピュータ200にローディングされることにより行なわれる。
【0084】
先ず、このコンピュータ200のハードウェア構成について説明する。
【0085】
このコンピュータ200は、CPU(中央処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ハードディスク、通信用ボード等が内蔵された本体部201、その本体部201からの指示により表示画面202a上に画像や文字列を表示する画像表示部(液晶モニタ)202、このコンピュータ200に利用者の指示を入力するためのキーボード203、表示画面202a上の任意の位置を指定することにより、その指定時にその位置に表示されていたアイコン等に応じた指示を入力するマウス204を備えている。ここで、画像表示部202は、重ねて配置された2枚の光透過性表示画面を有し、それら2枚の表示画面上に、後述する2つの輝度調整画像を1枚ずつ表示する画像表示部である。
【0086】
本体部201は、さらに外観上、フレキシブルディスク(図示せず)、CD―ROM200が装填されるフレキシブルディスク装填口201a、CD―ROM装填口201bを有しており、それらの内部には、それらの装填口201a,201bから装填されたフレキシブルディスクやCD−ROM300をドライブしてアクセスするフレキシブルディスクドライブやCD−ROMドライブも内蔵されている。
【0087】
図9は、図8に示した外観を有するコンピュータのハードウェア構成図である。
【0088】
図9のハードウェア構成図には、CPU211、RAM212、ハードディスクコントローラ213、フレキシブルディスクドライブ214、CD―ROMドライブ215、マウスコントローラ216、キーボードコントローラ217、ディスプレイコントローラ218、および通信用ボード219が示されており、それらはバス210で相互に接続されている。
【0089】
フレキシブルディスクドライブ214、CD―ROMドライブ215は、図8を参照して説明したように、それぞれフレキシブルディスク装填口201aおよびCD−ROM装填口201bから装填されたフレキシブルディスク400、CD−ROM300をアクセスするものである。通信用ボード219は通信回線500に接続される。
【0090】
また、図9には、ハードディスクコントローラ213によりアクセスされるハードディスク220、マウスコントローラ216により制御されるマウス204、キーボードコントローラ217により制御されるキーボード203、およびディスプレイコントローラ218により制御される画像表示部202も示されている。
【0091】
図10は、図8に示す情報処理装置であるコンピュータを、画像処理装置として動作させる画像処理プログラムが記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【0092】
図10に示すCD−ROM300には、画像処理プログラム310が記憶されており、この画像処理プログラム310は、画像取得ルーチン部311および画像処理ルーチン部312で構成されている。画像処理プログラム310の各部の細部については、本発明の画像処理装置の一実施形態の各部の作用とあわせて説明する。
【0093】
図11は、本発明の画像処理装置の、CD−ROMに記憶された画像処理プログラムにより実現される一実施形態の構成を示す図である。
【0094】
図11に示す画像処理装置200_1は、CD―ROM300に記憶された画像処理プログラムがコンピュータ200にローディングされることにより実現される画像取得部200_11および画像処理部200_12と、前述した画像表示部202とにより構成される。
【0095】
画像取得部200_11は、図10に示す画像取得ルーチン部311のプログラムの作用を受けて動作し、図9に示す通信回線500および通信用ボード219を経由して、デジタルカメラ等からの、同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを取得する。
【0096】
画像処理部200_12は、図10に示す画像処理ルーチン部312のプログラムの作用を受けて動作し、各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データを生成する。また、各撮影画像を、その各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した2つの圧縮画像を表わす2つの圧縮画像データを生成して、ハードディスクコントローラ213を経由してハードディスク220に保存する。
【0097】
画像表示部202は、前述したように、重ねて配置された2枚の光透過性表示画面を有し、それら2枚の表示画面上に上記2つの輝度調整画像を1枚ずつ表示する。
【0098】
本実施形態の画像処理装置200_1は、三次元の画像を表示するための撮影画像データを画像取得部200_11で取得し、取得した撮影画像データで表わされる各撮影画像における各画素の輝度を、その各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データを画像処理部200_12で生成するものである。このため、観察者から見て、前方の画像にピントが合っている場合は、その前方の画像の各画素の輝度が高輝度側に調整されるとともに後方の画像の各画素の輝度が低輝度側に調整された2つの輝度調整画像を表わす2つの輝度調整画像データが生成される。さらに、画像処理装置200_1に備えられた画像表示部202の2枚の光透過性表示画面上に上記2つの輝度調整画像が1枚ずつ表示される。このようにして、画像表示部202に三次元画像が表示される。
【0099】
また、本実施形態の画像処理装置200_1では、撮影画像の合焦の程度が低い領域は高い圧縮率で圧縮し、また撮影画像の合焦の程度が高い領域は低い圧縮率で圧縮するものであるため、三次元画像を表示するための画像データを効率よく圧縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の撮影装置および本発明の第2の撮影装置の双方の一実施形態であるデジタルカメラを上方から見た上面図、正面から見た正面図および背面から見た背面図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラの内部構成を示す図である。
【図3】図2に示す撮影光学系で前面と後面の2次元画像を同時に生成する様子を説明するための図である。
【図4】図2,図3に示す撮影光学系とは異なる撮影光学系で前面と後面の2次元画像を同時に生成する様子を説明するための図である。
【図5】図2に示す輝度比処理部における信号処理の流れを示す図である。
【図6】図2に示す輝度比処理部における信号波形を示す図である。
【図7】図2に示す圧縮率処理部における信号処理の流れを示す図である。
【図8】本発明の画像処理装置の一実施形態が実現される情報処理装置を示す概要図である。
【図9】図8に示した外観を有するコンピュータのハードウェア構成図である。
【図10】図8に示す情報処理装置であるコンピュータを、画像処理装置として動作させる画像処理プログラムが記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【図11】本発明の画像処理装置の、CD−ROMに記憶された画像処理プログラムにより実現される一実施形態の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
1 デジタルカメラ
1a カメラボディ
10 レンズ鏡胴
11 パワーボタン
12 レリーズボタン
12_1 撮影モードダイヤル
13 画像表示部
14 再生ボタン
15 Fボタン
16 十字キー
17 OK/メニューボタン
18 ズームスイッチ
19 DSP/BACKボタン
20 測光センサ
21 閃光発光窓
100 操作部
101,201 撮影光学系
101a アイリス
101b ズームレンズ
101c,101i フォーカスレンズ
101d ハーフミラー
101e,101f,101h 反射鏡
101g,101j CCD
110 記録メディア
111,112,113 モータドライバ
114 タイミングジェネレータ
115,211 CPU
116,117 CDSAMP
118,119 A/D変換回路
120 メモリ(SDRAM)
121 画像入力コントローラ
122 画像信号処理回路
123 圧縮処理回路
124 ビデオエンコーダ
125 AF検出回路
126 AE&AWB検出回路
127 VRAM
128 メディアコントローラ
129 フラッシュ発光部
130 輝度比処理部
131 圧縮率処理部
200 コンピュータ
200_1 画像処理装置
200_11 画像取得部
200_12 画像処理部
201 本体部
201a フレキシブルディスク装填口
201b CD―ROM装填口
202 画像表示部
202a 表示画面
203 キーボード
204 マウス
210 バス
211 CPU
212 RAM
213 ハードディスクコントローラ
214 フレキシブルディスクドライブ
215 CD―ROMドライブ
216 マウスコントローラ
217 キーボードコントローラ
218 ディスプレイコントローラ
219 通信用ボード
220 ハードディスク
300 CD―ROM
310 画像処理プログラム
311 画像取得ルーチン部
312 画像処理ルーチン部
400 フレキシブルディスク
500 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを取得し、
各撮影画像における各画素の輝度を、該各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成し、
重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面上に前記複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
各撮影画像を、該各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを生成し、前記複数の圧縮画像データを保存することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
撮影により、同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを生成する撮影部と、
各撮影画像における各画素の輝度を、該各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面を有し、該複数枚の表示画面上に前記複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示する画像表示部を備えたことを特徴とする請求項3記載の撮影装置。
【請求項5】
撮影により、同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを生成する撮影部と、
各撮影画像を、該各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを生成する画像圧縮部とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
同一被写体に対する、ピントの合った距離が互いに異なる複数の撮影画像を表わす複数の撮影画像データを取得する画像取得部と、
各撮影画像における各画素の輝度を、該各画素の合焦の程度が高いほど高輝度側に調整した複数の輝度調整画像を表わす複数の輝度調整画像データを生成する画像処理部とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
重ねて配置された複数枚の光透過性表示画面を有し、該複数枚の表示画面上に前記複数の輝度調整画像を1枚ずつ表示する画像表示部を備えたことを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
各撮影画像を、該各撮影画像の合焦の程度が低い領域ほど高い圧縮率で圧縮した複数の圧縮画像を表わす複数の圧縮画像データを生成することを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−318307(P2007−318307A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144071(P2006−144071)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】