説明

画像処理方法及び装置、閾値マトリクス作成方法、画像形成装置、サブマトリクス作成方法並びにプログラム

【課題】記憶容量を大幅に増大させることなく、ブルーノイズマスクなどの比較的大きなサイズの閾値マトリクスを利用した高画質の画像形成と、不吐(記録不能)による画像欠陥を目立たなくするハーフトーニング処理とを実現可能な画像処理技術を提供する。
【解決手段】基本閾値マトリクスのうち記録不能位置に対応する所定画素幅の領域(一部領域)について、記録不能による画像欠陥の視認性を低減するドット配置を実現する閾値(サブマトリクス)を予め計算し、このようなサブマトリクスを記録不能位置の違いに対応して複数種類用意しておく。そして、特定された記録不能位置の情報に基づいて、基本閾値マトリクス上の対応領域を決定し、当該領域を記憶しておいたサブマトリクスに置き換え、得られた閾値マトリクスを適用してハーフトーニング処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理方法及び装置、閾値マトリクス作成方法、画像形成装置、サブマトリクス作成方法並びにプログラムに係り、特にインクジェットプリンタにおけるインクの不吐出による画像欠陥を目立たなくするハーフトーニング処理に好適な画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタにおいては、様々な要因によりノズルからインクを吐出できなくなる状況が発生し得る。ノズル群の中の特定のノズルが不吐出になった場合、そのノズルによって本来打滴されるべきはずのドットが欠落するため、記録媒体上に記録された画像に意図せぬスジ状の欠陥(スジムラ)が発生し、そのスジムラが非常に目立ってしまう。
【0003】
特に、複数のノズルを配列させたライン型の記録ヘッドを用いて1回の副走査で印字を完成させる装置構成(シングルパス方式)の場合、シャトル(マルチ)スキャン方式と違って、別のノズルで不吐ノズルの打滴位置をカバーすること(いわゆるシングリング)が困難であるため、不吐ノズルによるスジムラが顕著になり、重大な画質劣化を引き起こす。そのため、あるノズルが不吐出になった場合に、それによる画質劣化を目立ち難くするための方策が望まれる。
【0004】
特許文献1は、インクジェットプリンタにおいて、不吐による白抜けを目立たなくするため、通常のディザマトリクスと、不吐に対応したディサマトリクスとを用意し、不吐位置情報に基づいて選択的にディザマトリクスを適用する技術を開示している。
【0005】
また、特許文献2では、不吐となる記録素子による記録ドットの代わりに、別の記録素子で吐出を行うように記録ドットの組合せを変更する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2004−202795号公報
【特許文献2】特開2004−202927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように不吐ノズルを含まない組合せに変更する技術は、不吐ノズルがディザマトリクス内に複数あった場合に、その組合せ数だけディザマトリクスが必要になるため、全体のディザマトリクスデータの記憶容量が著しく増大する欠点がある。また、特許文献2のように組合せを変更する技術は、ディザマトリクスが2×2画素以上のサイズへの適用を考えると組合せが膨大になるため、開示している技術では対応できない。
【0007】
一般に、ブルーノイズマスクに代表されるような大きいサイズの閾値マトリクス(例えば、256(列)×256(行)画素や512(列)×512(行)画素など)を使用して入力画像を量子化して得られるドット画像は高画質である。このブルーノイズマスクを使用した場合に、不吐によるスジ状のアーティファクトを低減する目的で特許文献1に開示されている技術を用いた場合(不吐ノズルに対応する閾値マトリクスを予め作成しておき、不吐位置に対応してマトリクスを切り替える技術)は、大きなサイズの閾値マトリクス(例えば、M=N×Nとする)に適用することを考えると、不吐対応の切り替え用に用意すべき閾値マトリクスの数は、M×N(Mはマトリクスサイズ、Nは閾値マトリクス内
に含まれる不吐位置に対応)、つまり、N×N×N(Nの3乗)のオーダーになるため、不吐に対応する全ての閾値マトリクス全体では膨大な記憶容量を必要とすることがわかる。
【0008】
1つの不吐で上記のようにNの3乗オーダーであるが、1つのマトリクス内に2以上の不吐が発生することを想定すると、Nの4乗のオーダーが必要になることが容易にわかる。仮に、閾値マトリクスサイズを小さくすれば、その分、記憶容量は減少するが、その場合はブルーノイズマスクが利用できないので、高画質が得られないという問題が起きる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、記憶容量を大幅に増大させることなく、ブルーノイズマスクなどの比較的大きなサイズの閾値マトリクスを利用した高画質の画像形成と不吐(記録不能)対応の両方を実現できる画像処理方法及び装置、閾値マトリクス作成方法、画像形成装置、サブマトリクス作成方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像形成方法は、記録不能となった記録素子に対応する画像上の記録不能位置を特定する記録不能位置特定工程と、多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶工程と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶工程と、前記入力画像データ中の画素位置及び前記記録不能位置特定工程で特定された記録不能位置から前記基本閾値マトリクス内で前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の対応領域を決定する置換領域決定工程と、前記サブマトリクス記憶工程で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から前記置換領域決定工程の決定に基づいて前記対応領域の置換えに用いるサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択工程と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記対応領域の閾値を前記サブマトリクス選択工程で選択されたサブマトリクスに置き換える閾値置換工程と、前記閾値置換工程で前記基本閾値マトリクスの前記対応領域をサブマトリクスに置き換えて得られた閾値マトリクス又は前記基本閾値マトリクスを選択的に適用して前記入力画像データの量子化を行う量子化処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
デジタル画像は、最小情報単位である画素の集合(配列)として取り扱われ、各画素に画像内容に応じた階調値(濃淡の程度を表す値)が与えられている。かかる元画像(多値の入力画像データ)をハーフトーン化し、より低階調の画像データ(2値或いはドットサイズの変更を考慮した多値のドットデータ)に変換する際の技術として、請求項1に係る発明によれば、基本閾値マトリクスのうち記録不能位置に対応する所定画素幅の領域(一部領域)について、記録不能による画像欠陥の視認性を低減するドット配置を実現する閾値(サブマトリクス)を予め計算し、このようなサブマトリクスを記録不能位置の違いに対応して複数種類用意しておく。すなわち、サブマトリクスは、記録不能位置のドット抜けによるスジムラ(アーティファクト)の発生を抑制すべく、近隣画素(所定画素数範囲の画素)のドット配置を決定するように閾値が設定される。また、基本閾値マトリクスの一部をサブマトリクスで置き換えた際に、マトリクス上における置換え領域のつなぎ目付近でアーティファクトが発生しないようにサブマトリクスの閾値が設定される。
【0012】
記録不能位置特定工程で特定された記録不能位置の情報に基づいて、基本閾値マトリクス上の対応領域を決定し、当該領域を記憶しておいたサブマトリクスに置き換え、得られた閾値マトリクスを適用してハーフトーニング処理を行う。これにより、記録不能な記録
素子が発生した場合でも、画像欠陥の目立たない高画質な画像を得ることができる。
【0013】
また、基本閾値マトリクスの一部と置換されるサブマトリクスを保持し、記録不能位置の対応領域に応じて該当するサブマトリクスを選択的に適用する構成にしたので、記録不能位置に応じて閾値マトリクス全体を切り替える構成と比較して、記憶すべきデータ量を削減することができる。
【0014】
記録不能位置特定工程では、予め記録不能位置に関する情報をメモリ等の記憶手段に格納しておき、必要な情報を読み出すことによって情報を取得してもよいし、実際にテストパターン等を印字してその印字結果を読み取り、解析処理を行って記録不能位置の情報を取得してもよい。
【0015】
なお、「記録不能」とは、記録素子自体が何らかの原因で記録不能の状態に至ったものに限らず、記録素子自体は記録不能ではないが記録位置の異常や記録ドット形状の異常など、不完全な記録を示す場合などに、制御上、当該不良記録素子を強制的に使用不可とすることによって記録不能となる場合も含まれるものとする。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像処理方法の一態様に係り、前記基本閾値マトリクスはブルーノイズ特性を有し、前記サブマトリクスの前記所定画素数幅は3〜9画素の範囲で設定されることを特徴とする。
【0017】
本発明で用いる基本閾値マトリクスとしては、高画質な画像形成が可能なブルーノイズ特性を有していることが好ましい。ブルーノイズマスクは、画像の直流成分に対して視覚的に好ましいドット配置になるように設計されている。マトリクスサイズとしては、比較的大きいが(例えば、256(列)×256(行)画素〜512(列)×512(行)画素)、当該基本閾値マトリクスの一部領域と置換されるサブマトリクスは3〜9画素の所定画素数列と小サイズであるため、基本閾値マトリクスとサブマトリクスを合わせた全体のデータ量は小さく抑えられている。
【0018】
請求項3に係る発明は、前記目的を達成するための画像処理装置を提供する。すなわち、請求項3に係る画像形成装置は、記録不能となった記録素子に対応する画像上の記録不能位置を特定する記録不能位置特定手段と、多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶手段と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶手段と、前記入力画像データ中の画素位置及び前記記録不能位置特定手段で特定された記録不能位置から前記基本閾値マトリクス内で前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の対応領域を決定する置換領域決定手段と、前記サブマトリクス記憶手段で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から前記置換領域決定手段の決定に基づいて前記対応領域の置換えに用いるサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択手段と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記対応領域の閾値を前記サブマトリクス選択手段で選択されたサブマトリクスに置き換える閾値置換手段と、前記閾値置換手段で前記基本閾値マトリクスの前記対応領域をサブマトリクスに置き換えて得られた閾値マトリクス又は前記基本閾値マトリクスを選択的に適用して前記入力画像データの量子化を行う量子化処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項3に係る画像処理装置によれば、請求項1に係る画像処理方法による作用効果と同様に、少ないデータ記憶容量で高画質の画像再現が可能となる。
【0020】
記録不能位置特定手段は、予め記録不能位置に関する情報をメモリ等の記憶手段に格納しておき、必要な情報を読み出すことによって情報を取得する手段でもよいし、実際にテストパターン等を印字してその印字結果を読み取り、解析処理を行って記録不能位置の情報を取得する手段(記録不能位置検出手段)でもよい。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記目的を達成するための閾値マトリクス作成方法を提供する。すなわち、請求項4に係る閾値マトリクス作成方法は、多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶工程と、前記基本閾値マトリクス上における記録不能な記録素子の位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶工程と、前記サブマトリクス記憶工程で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から少なくとも1つのサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択工程と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の一部領域の閾値を前記サブマトリクス選択工程で選択されたサブマトリクスで置き換えて閾値マトリクスを生成する閾値置換工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
基本閾値マトリクス上で記録不能位置が複数特定される場合には、各記録不能位置に対応する領域についてそれぞれ適切なサブマトリクスで置換えが行われる。
【0023】
本発明によれば、基本閾値マトリクス内の異なる記録不能位置に対応して適応的にサブマトリクスによる閾値の置換えが行われ、各記録不能位置の画像補正に適した閾値マトリクスを作成することができる。なお、請求項4に記載の閾値マトリクス作成方法における各工程を実施するそれぞれの手段を備えることによって閾値マトリクス作成装置を提供することができる。
【0024】
請求項5に係る発明は、前記目的を達成するための画像形成装置を提供する。すなわち、請求項5に係る画像形成装置は、複数の記録素子が配列された記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、前記記録ヘッドの記録素子列のうち記録不能となった記録素子に対応する画像上の記録不能位置を特定する記録不能位置特定手段と、多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶手段と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶手段と、前記入力画像データ中の画素位置及び前記記録不能位置特定工程で特定された記録不能位置から前記基本閾値マトリクス内で前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の対応領域を決定する置換領域決定手段と、前記サブマトリクス記憶手段で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から前記置換領域決定手段の決定に基づいて前記対応領域の置換えに用いるサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択手段と、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記対応領域の閾値を前記サブマトリクス選択手段で選択されたサブマトリクスに置き換える閾値置換手段と、前記閾値置換手段で前記基本閾値マトリクスの前記対応領域をサブマトリクスに置き換えて得られた閾値マトリクス又は前記基本閾値マトリクスを選択的に適用して前記入力画像データの量子化を行う量子化処理手段と、前記量子化処理手段の量子化によって生成されたドットデータに基づいて前記記録ヘッドの記録素子の駆動を制御する記録制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の画像形成装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、前記記録素
子として、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するためのノズル及び吐出圧を発生させる圧力発生手段(圧電素子や加熱素子など)を含む液滴吐出素子を複数配列させた液滴吐出素子列を有する液体吐出ヘッド(記録ヘッド)と、前記量子化処理手段で生成されたドットデータに基づいて前記液体吐出ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、前記ノズルから吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成する。
【0026】
記録ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の記録素子を配列させた記録素子列を有するフルライン型の記録ヘッドを用いることができる。
【0027】
この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない記録素子列を有する比較的短尺の記録ヘッドブロックを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さの記録素子列を構成する態様がある。
【0028】
フルライン型の記録ヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。
【0029】
「記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被吐出媒体、印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、液体吐出ヘッドによって配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0030】
記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。なお、インクジェット方式の記録ヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
【0031】
請求項6に係る発明は、請求項1又は2記載の画像処理方法、請求項3記載の画像処理装置、請求項4記載の閾値マトリクス作成方法、又は請求項5記載の画像形成装置に用いる前記サブマトリクスを作成する方法を提供する。すなわち、請求項6に係るサブマトリクスの作成方法は、前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む所定画素数幅の領域をサブマトリクスによる置換領域として設定するサブマトリクス領域設定工程と、前記記録不能位置以外の前記サブマトリクス内の位置のドット配置を順次決定することによって、当該サブマトリクスの閾値を決定して行く過程で、当該サブマトリクスに対応するドット配置と前記基本閾値マトリクスのうち前記サブマトリクスで置換されない非置換領域に対応するドット配置とを組み合わせたときに得られるドット配置について視覚される濃度分布の評価値を演算する評価値演算工程と、前記評価値演算工程で得られる評価値を利用して、追加するドットの配置を決定するドット配置決定工程と、前記ドット配置決定工程で決定されたドット配置に従い、前記サブマトリクス内の追加ドットの位置に対応する閾値を設定する閾値入力工程と、を含むことを特徴とする。
【0032】
前記評価値は、粒状性及び異方性のうち少なくとも1つを評価する値を含んで構成される態様が好ましい。ドットパターンの評価指標としては、粒状性や異方性を考慮する態様が好ましい。例えば、前記評価値は、粒状性評価関数と異方性評価関数の線形結合から成る評価関数を用いて計算される。粒状性と異方性の両方を考慮することで一層好ましい評価を行うことができる。
【0033】
また、請求項6に係るサブマトリクスの作成方法において、前記サブマトリクス設定工程で設定された前記置換領域に対応するサイズを有するサブマトリクスの各位置の閾値を未決定状態に設定する初期化工程と、前記初期化されたサブマトリクス上の前記記録不能位置に対応する画素位置に対して、入力値によらずドットを発生させない閾値を設定する不記録対応閾値設定工程と、を付加し、前記不記録対応閾値設定工程で閾値が設定された位置以外の前記サブマトリクス内の位置について、前記評価値演算工程及び閾値入力工程を経て閾値を決定していく態様が可能である。
【0034】
請求項7に係る発明は、請求項1又は2記載の画像処理方法、請求項4記載の閾値マトリクス作成方法、又は請求項6記載のサブマトリクス作成方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0035】
本発明に係るプログラムは、プリンタなどに組み込まれる中央処理装置(CPU)の動作プログラムとして適用できるとともに、パソコンなどのコンピュータシステムに適用することも可能である。
【0036】
また、本発明に係るプログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして構成されてもよいし、画像編集ソフトウエアなど、他のアプリケーションの一部として組み込まれてもよい。本発明によるプログラムをCD−ROMや磁気ディスクその他の情報記憶媒体(外部記憶装置)に記録し、該情報記憶媒体を通じて当該プログラムを第三者に提供したり、インターネットなどの通信回線を通じて当該プログラムのダウンロードサービスを提供したりすることも可能である。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、基本閾値マトリクス上の記録不能位置に対応する一部領域(所定画素数幅の範囲)の閾値をサブマトリクスに切り替えて、記録不能位置付近の画像形成に適したドット配置を実現する閾値マトリクスを作成するようにしたので、記録不能な記録素子が発生しても、それによる画像欠陥の目立たない高画質な画像を得ることができる。
【0038】
また、本発明はマトリクスサイズの大きな基本閾値マトリクス(例えば、ブルーノイズ特性を有する基本閾値マトリクス)に適用することができるため、マトリクスサイズの観点からも高画質な画像形成が可能である。更に、基本閾値マトリクスの一部領域をサブマトリクスで置き換えることで、記録不能に対応した閾値マトリクスを得る構成のため、記録不能への対応を含めたマトリクスデータ(基本閾値マトリクスのデータとサブマトリクスのデータの和)の記憶容量を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0040】
〔本発明の実施形態による画像処理方法の概要〕
本発明の実施形態による画像処理方法は、ブルーノイズ特性を備えた基本閾値マトリクスについて、不吐位置に対応する所定幅の閾値を予め計算し、これを不吐対応サブマトリクスとして記憶しておき、不吐位置に対応して、基本閾値マトリクスの一部を不吐対応サブマトリクスに置き換えて適用するというものである。
【0041】
図1は本発明の実施形態による画像処理の概念を示す図である。図示のように、入力画像IMGに対して基本閾値マトリクスMをタイル状に繰り返し適用することによって、画像を量子化し、疑似階調画像(ドットデータ)に変換する。このとき、印字ヘッド(ここではラインヘッドを想定)のある特定のノズルが不吐になり、図1のように当該不吐ノズルに対応する画像位置(不吐位置)にスジ状のアーティファクト(白抜け)が発生する場合
を考える。図1の上下方向に用紙(記録媒体)が搬送されるものとすると、この用紙搬送方向(副走査方向)に沿ってスジ状の欠陥が発生する。
【0042】
入力画像IMGのうち不吐の無い(正常な)画像領域(図1中の符号In の領域)については、そのまま基本閾値マトリクスMを適用して量子化を行う。これに対し、基本閾値マトリクスMを適用しようとする画像領域内に不吐位置Xが含まれている場合(図1の符号Ia の領域)には、基本閾値マトリクスMの一部(不吐位置Xに対応する位置を含む所定画素数幅の列領域;図1中斜線で示した範囲)を不吐対応サブマトリクスで置き換えたマトリクスを適用する。
【0043】
すなわち、図2に示すように、画像内の不吐位置Xに対応した基本閾値マトリクスM上の不吐位置をX’とすると、図3のように、基本閾値マトリクスM上で、不吐位置X’に対応して当該不吐位置X’を含む所定の画素数幅の領域(置換え領域)MAを、不吐によるスジが目立たないようなドット配置を実現するような不吐対応サブマトリクスSM(X’)に置き換える。不吐対応サブマトリクスSM(X’)には不吐位置X’に対応するノズルを使わないような閾値が入力されている。なお、基本閾値マトリクスM上において、不吐対応サブマトリクスSM(X’)に置き換わらない領域(非置換え領域)は図中MBで表してある。
【0044】
細かな説明に入る前に、本例の画像処理方法の主な特徴を列挙しておく。本例の画像処理方法は、印字ヘッドによる不吐がスジ状のアーティファクトを発生させる場合に適用される。ここでいう「不吐」の概念は、ノズル詰まりによる不吐に限らず、着弾ズレや液量不良など、何らかの原因で不良吐出が発生するノズルを不使用とする(強制的に使用しない制御を行う)場合も含むものとする。
【0045】
画像処理を行う際の前提として、まず、不吐位置の情報が必要である。事前に所定のテストパターンを印字し、そのテスト印字の結果を読み取るなどして、不吐位置を検出する手段、或いは予め不吐位置を記憶した記憶手段から情報を読み出すなどの方法によって、画像上における不吐位置を特定する。
【0046】
不吐対応サブマトリクスは、不吐位置に対して所定幅(好ましくは3画素〜7画素)とする。「3画素」とは、不吐位置の画素とその両隣の画素を含む範囲であり、不吐位置の両側の画素位置のみが利用できるので、最小のサイズである。「5画素」とは、前記3画素の更に外側に隣接する両側の画素を含む範囲であり、不吐位置の両側の位置を不吐位置補正に使用し、更にその外側を前記両側の位置の変動を低減する補正に使用することができるため、好ましいサイズである。「7画素」とは、前記5画素の更に外側に隣接する両側の画素を含む範囲であり、不吐位置の両側を不吐位置補正に使用し、その外側を前記両側の位置の変動を低減する役割に用い、更にその外側も変動を低減する補正に使用することができるるため、好ましいサイズである。なお、不吐対応サブマトリクスのサイズ(所定幅)のベストモードは、解像度と関係がある。例えば、1200dpi では3〜5画素が好ましく、2400dpi では3〜9画素が好ましい。
【0047】
不吐対応サブマトリクスは、基本閾値マトリクス上の対応する領域に置き換えたときに、基本閾値マトリクス上で隣接する領域(置き換わらなかった領域(非置換え領域)と置換えた領域との境界付近)においてアーティファクトが発生しないように決定される。
【0048】
不吐対応サブマトリクスは、基本閾値マトリクス上の対応する領域に置き換えたときに、基本閾値マトリクス上で隣接する領域において、粒状性が大きく変化しないように決定される。
【0049】
不吐対応サブマトリクスは、基本閾値マトリクス上の対応する領域に置き換えたときに、基本閾値マトリクス上で隣接する領域において、濃度がおよそ等しいように決定される。
【0050】
不吐対応サブマトリクスは、不吐出が視覚的に低減するドット配置を実現するように決定される。
【0051】
不吐対応サブマトリクスは、基本閾値マトリクス上の対応する領域に置き換えたときに、基本閾値マトリクス上で隣接する領域において、複数の評価値(不吐出が視覚的に低減、濃度がおおよそ等しい、アーティラクトが発生しない、粒状性が大きく変化しない)の条件を満たすように決定される。
【0052】
不吐対応サブマトリクスは、基本閾値マトリクス内の全ての不吐位置に対応するために、N種類用意したとしても、高々、3×N×N〜9×N×Nのデータサイズであるから、従来技術によるNの3乗オーダー(N=64,128,256)との比較しても非常に小さいデータ量である。
【0053】
なお、基本閾値マトリクス内の複数位置で不吐が発生した場合、各不吐位置に対応して複数の不吐対応サブマトリクスの置換えが行われる。このとき、所定の画素数幅以内(例えば、所定幅を7画素としたとき、2つの不吐位置の間が6画素未満の場合)にあるときは、不吐対応サブマトリクスどうしが重なってしまうという問題がおきる。
【0054】
このような状況に対しては、不吐対応サブマトリクスどうしが重ならないように、少なくともどちらか一方の不吐対応サブマトリクスの所定幅が小さいものを利用することで問題を解決できる。例えば、所定幅が5画素のとき、どちらかの不吐対応サブマトリクスを3画素又は5画素に変更する。このように、不吐位置が近接する場合にも対応できるように、更に所定幅が最小の不吐対応サブマトリクスを備えることが好ましい。
【0055】
もちろん、不吐対応サブマトリクスとして、所定幅以内に2つの不吐がある場合を予め求めておく方法も考えられる。この場合、複数の不吐位置の組合せに応じて、不吐対応サブマトリクスのデータ量(これを記憶する記憶容量)が大きくなるが、例えば、所定幅が7画素の場合を考えると、2つの不吐位置が6画素から3画素以内を考えると(不吐位置が近すぎると補正性能自体が低下するので、一定の補正性能を期待する場合は下限が必要、例えば、2つの画素位置が隣接しているときには補正不能)、高々4(6画素から4画素以内で位置を選ぶ組合せの数)×14(所定幅:7画素+7画素)×N(行数)×N(列数)あればよいので、従来技術のように、Nの3乗オーダーのように爆発的な記憶容量の増加は起きない。
【0056】
不吐対応サブマトリクスは、所定幅が大きいほどアーティファクト軽減の補正効果が大きい。ただし、一定の大きさを超えると補正性能は飽和する。補正効果と不吐位置近接と記憶容量をバランスする適度な所定幅(例えば、5画素)を選択することが望ましい。
【0057】
〔不吐対応サブマトリクスの計算方法〕
次に、不吐対応サブマトリクスの計算方法(決定方法)について説明する。
【0058】
計算の基本方針は、基本閾値マトリクスMに基づいて不吐対応サブマトリクスSM(X)を求めることにある。ただし、不吐位置を「X」という変数で表している。
【0059】
まず、計算に関係する主要な概念について図4乃至図6を用いて説明する。図4は基本閾値マトリクスMの置換え領域MA(X)と非置換え領域MB(X)の関係を示した概念
図である。図5は基本閾値マトリクスMの置換え領域MA(X)のドット配置DMA(X,L)及び非置換え領域MB(X)のドット配置DMB(X,L)の例を示した概念図である。DMA(X,L)やDMB(X,L)は、不吐位置Xで且つ、閾値がL以下でドットONになるドット配置のことである。
【0060】
また、図6は基本閾値マトリクスMの置換え領域MA(X)を不吐対応サブマトリクスSM(X)で置き換えた様子が示されており、不吐対応サブマトリクスSM(X)のドット配置DSM(X,L)と基本閾値マトリクスMの非置換え領域MB(X)のドット配置DMB(X,L)の例が示されている。
【0061】
これらの図4乃至図6に示したとおり、本例の不吐対応サブマトリクスの計算に用いる主要な文字(記号)の意味は以下のとおりである。
・基本閾値マトリクスMに含まれる閾値集合LM={L0,L1,L2,L3,…}
・基本閾値マトリクスMの置換わる領域(置換え領域)MA(X)のドット配置DMA(X,L)、置換え領域MA(X)に含まれる閾値集合LA={L0,L2,L3,L5,…}
・基本閾値マトリクスMの置換わらない領域(非置換え領域)MB(X)のドット配置DMB(X,L)、非置換え領域MB(X)に含まれる閾値集合LB={L1,L4,L7,…}・不吐対応サブマトリクスSM(X)に基づくドット配置DSM(X,L)
ただし、Lは入力値(マトリクス全体に対する入力値)或いは階調値を示しており、この入力値Lに対応してドット配置が定まる。
【0062】
また、基本閾値マトリクスMに含まれる閾値LMは、置換え領域MA(X)に含まれる閾値集合LAと非置換え領域MB(X)に含まれる閾値集合LBの和集合(LM=LA+LB、集合演算なのでLM=LA ∪ LB )である。
【0063】
計算の制約条件は、以下のとおりである。
【0064】
(1)ドット配置DMA(X,L)とドット配置DSM(X,L)の関係について、ドット数、ドットサイズ構成が類似であること(制約条件1-1)。また、濃度がほぼ等しいこと(制約条件(1-2)。
【0065】
(2)ドット配置DSM(X,L)とドット配置DMB(X,L)の関係について、両者を組み合わせたときにアーティファクトが発生しないこと、濃度段差、エッジが視認し難いこと(制約条件2-1)。また、粒状性がかけ離れていないこと(制約条件2-2)。
【0066】
(3)ドット配置DSM(X,L)に関して、不吐によるアーティファクト(スジムラ)が視認し難いこと(制約条件3-1)。
【0067】
入力値Lを次第に増加させながら、上記制約条件を満たすように、ドット配置(ドット分布)を順次決定していくことで、不吐対応サブマトリクスの閾値を順次埋めていき、不吐対応サブマトリクスを完成させる。
【0068】
図7乃至図9は、不吐対応サブマトリクスの決定手順を示したフローチャートである。なお、以下の説明で「閾値が未入力」とは、2値の場合(ドットのON/OFFのみの場合)については、その位置に閾値が入っているか否かで判断できるので、話は単純であるが、多値(ドットサイズ変調)の場合については、各階調値(ドットサイズ)に対応する閾値が同一位置にあるため、それら同一位置の各階調値(ドットサイズ)に対応する閾値の何れかが未入力の状態を示すものとする。例えば、大・中・小の3種類のドットサイズ変調が可能な場合、ある画素に注目すると、まずドット無しの状態から小サイズのドットが形成される閾値(第1レベルの閾値)があり、更に、小サイズから中サイズのドットに
変わるときの閾値(第2レベルの閾値)、中サイズから大サイズのドットに変わるときの閾値(第3レベルの閾値)が階層的に設定される。したがって、これら各レベルの閾値の何れかが未入力の状態のときは「閾値が未入力である」という表現をとる。
【0069】
図7に示したように本アルゴリズムの処理が開始されると(ステップS10)、まず、基本閾値マトリクスサイズ(例えば、256(列)×256(行)画素や512(列)×512(行)画素など)を設定し(ステップS12)、当該設定したサイズの基本閾値マトリクスを決定する(ステップS14)。基本閾値マトリクスの決定には、公知の技術を用いることができる。例えば、ブルーノイズマスクの決定法などを利用する。
【0070】
次いで、不吐対応サブマトリクスの所定幅を設定する(ステップS16)。これは、例えば、7画素というように設定される。アルゴリズム的には、外部からオペレータが所定の値を入力することによって設定される。
【0071】
次いで、第1ループの判断ステップS18に進む。第1ループは、基本閾値マトリクス内で不吐位置Xが順番に変わっていくための演算ループであり、ステップS18では、基本閾値マトリクス上の不吐位置Xについて未計算の列があるか否かを判断する(不吐位置Xと基本閾値マトリクスの関係については、図2,図3及び図10を参照)。基本閾値マトリクス上で未計算の列が無くなったら、第1ループを抜けて、本アルゴリズムを終了する(図7のステップS70)。
【0072】
ステップS18において未計算の列がある場合には、ステップS20に進み、不吐位置Xに対応する不吐対応サブマトリクスSM(X)が基本閾値マトリクスMからはみ出すかどうかを判断する。これは、図10(a)のように不吐位置Xが基本閾値マトリクスMの端部にある場合に対応した処理である。すなわち、図10(a)に示したように不吐位置Xに対応した基本閾値マトリクスM上の不吐位置X’が基本閾値マトリクスMの端部にある場合、不吐対応サブマトリクスの所定幅を確保しようとしたときに、基本閾値マトリクスMの範囲からはみ出す状況が起こり得る。このような場合、基本閾値マトリクスMの反対側の端部領域MEを、不吐位置X’側の端部に移動させ、同(b)に示すように基本マトリクスM’に変換し、このM’を基本閾値マトリクスとして以下で取り扱うものとする(図7ステップS22)。ステップS22の次はステップS24へ進む。
【0073】
なお、ステップS20で不吐対応サブマトリクスSM(X)が基本閾値マトリクスMからはみ出さない場合は、ステップS22の処理は省略してステップS24へ進む。
【0074】
ステップS24では、不吐対応サブマトリクスSM(X)の全ての位置の閾値を未入力状態に設定(初期化)する。続いて、不吐対応サブマトリクスSM(X)の不吐位置Xの全て(不吐位置Xに対応する一列上の全ての位置)にドットが発現しない閾値Lz (どんな入力値Lに対してもドットONにならない所定の値)を設定する(ステップS26)。
【0075】
次に、非置換え領域MB(X)の閾値集合LBに含まれる閾値を小さい順に並べたものを配列LXに入力する(ステップS28)。そして、この配列LXの中から小さい順に閾値Lを取り出す(ステップS30)。
【0076】
ステップS30の次は、図8のステップS32へ進む。ステップS32は第2ループを抜ける条件を判定する処理である。第2ループは閾値Lを初期値から初めて終了値まで演算を繰り返すループであり、全ての閾値を計算し終えるか(配列LXが空になるか)、若しくは、終了条件を満たした場合に、第2ループを抜けてS66へ進む。ステップS32では、配列LXが空(φ)であるか否かが判定され、NOならばステップS34へ進み、閾値が未入力な位置の有無が確認される。ステップS34において閾値が未入力な位置が
ない場合は、終了条件を満たしたので、第2ループを抜けてステップS66へ進む。
【0077】
ステップS32でNO、且つステップS34で閾値が未入力な位置があると判定されると、ステップS36へ進み、第2ループの演算に入る。ステップS36では、当該閾値Lに対応するドット配置DMB(X,L)を求める。また、当該閾値Lに対応するドット配置DMA(X,L)も求める(ステップS38)。
【0078】
ここで、置換え領域のドット配置DMA(X,L)について不吐位置に相当するドットが存在しているか否かの判定を行う(ステップS40)。DMA(X,L)において不吐位置に相当するドットが存在していなければ、ステップS42に進み、MA(X)のうち閾値Lに該当する位置と対応するSM(X)の位置に、閾値Lを入力する。これは、不吐出ノズルを使わないうちは(元々、該当ノズルを使っていない条件の下では)、MA(X)の配置(閾値)を不吐対応サブマトリクスSM(X)においてそのまま使うことを意味している(制約条件を自動的に満たしているから)。ステップS42の後は、次の閾値Lを配列LXから取り出し(ステップS44)、ステップS32に戻る。
【0079】
これに対し、ステップS40でDMA(X,L)において不吐位置に相当するノズルが存在する場合、つまり、不吐出ノズルを使う(条件の場合には、図9のステップS50へ移行して、不吐位置を使わないようなドット配置を実現する閾値Lの位置を決定する処理に入っていく。ある段階で不吐出ノズルを使い始めると、以後の閾値Lに対しては必ず、ステップS40でYESとなり、図9の演算に進むことになる。
【0080】
すなわち、まず、1つ前の閾値L−1に対応する不吐対応サブマトリクスSM(X)のドット配置DSM(X,L−1)を求める(ステップS50)。不吐対応サブマトリクスを閾値の低いところから順番に決めて行く過程で、ある段階まで閾値は(不吐位置を使わない段階まで)決まっており、不吐位置を使い始める閾値のところで、追加するドット配置を適切に決定しようとするものである。このとき、1つ手前閾値L−1のドット配置の状態から、次の追加ドットをどこにするのが適切であるかを制約条件から決定していく。
【0081】
なお、ここでは、閾値L−1に対応するドット配置DSM(X,L−1)を求めているが、L未満で配列LXのLより次に小さい閾値以上であれば、他の値でもよい(L−1はこの条件を満たす)。
【0082】
次に、DSM(X,L−1)とDMB(X,L)を組み合わせたドット配置DMについて、所定のドットモデルを使い、濃度分布DDMを計算する(ステップS52)。つまり置き換わらない外側の領域(非置換え領域MB(X))のドット配置DMB(X,L)と、置き換わる領域のドット配置(ただし、ドットが1つ少ない状態)DSM(X,L−1)とを組み合わせたドット配置DMについて、所定のドットモデルを適用して濃度分布DDMを求める。
【0083】
更に、この求めたDDMを視覚特性の基づく空間フィルタで処理した結果に対して、濃度ヒストグラムHDDMを作成する(ステップS54)。
【0084】
次に、DDMを視覚特性に基づく空間フィルタで処理した結果に対して、DSM領域内であり且つ閾値が未入力であり且つ濃度ヒストグラムDDMにおいて最小濃度から所定画素数以内の条件を満たす位置を候補位置として抽出する(ステップS56)。この処理は、不吐対応サブマトリクスの中に次のドットをどこに追加したらいいかを決めるにあたり、追加ドット位置の候補を絞り込む処理である。候補の決め方として、濃度分布DDMの中で濃度が低いところ(そこに、ドットが追加されることで濃度ムラが低減される)の付近に、次のドットを入れる可能性が高いという条件、更に、閾値が未入力の位置であること、且つ、置き換える不吐対応サブマトリクスの中にあること、という条件の下で候補位置を選んでいる。なお、不吐位置Xの列は閾値Lz を入力済みであるため(図7のステップS26)、候補位置としては挙がってこない。
【0085】
続いて、ステップS56で抽出した候補位置について、適用可能な階調値(ドットサイズ)を追加したときのドット配置DM’(i)を求め、このドット配置DM’(i)に対して所定のドットモデルを使い、濃度分布DDM’(i)を求める(ステップS58)。
【0086】
また、DDM’(i)を視覚特性に基づく粒状評価と異方性評価(アーティファクト)を行い、その評価値EDDM’(i)を求める(ステップS60)。
【0087】
評価値EDDM’(i)の計算方法の一例として、評価値EDDM’(i)を粒状性評価関数と異方性評価関数の線形結合とし、次式(式A)によって定義する。
【0088】
EDDM’(i)=wg ×粒状性評価関数(i)+wa ×異方性評価関数(i)
…(式A)
ただし、wg ,wa は重み係数である
粒状性評価関数及び異方性評価関数としては、Robert,Ulichneyが提唱したドット明度分布の極座標パワースペクトラムの平均指標(Radially Averaged Power Spectrum; R.A.P.S)と分散指標(Anisotropy)」を用いることができる。
【0089】
デジタルハーフトーニングの結果としてドットパターンが得られ、このドットパターン(ドット配置)の評価法としては、Robert,Ulichneyが提唱した方法が一般的に知られている(『Digital Halftoning』; The MIT Press出版)。
【0090】
すなわち、ドット配置によって得られる網点画像の2次元パワースペクトラムを極座標に変換して、図11のように、極座標の半径に対応する空間周波数fr について全角度のスペクトラムの平均と分散に相当する指標を用いる。
【0091】
極座標パワースペクトラムの平均指標を「R.A.P.S 」とよび、次式で表す。
【0092】
【数1】


また、分散指標を「 Anisotropy 」と呼び、次式で表す。
【0093】
【数2】


R.A.P.S は、ドット配置の視認性に関する指標であり、Anisotropyは、ドット配置の異
方性に関する指標である。
【0094】
図12には、ある好ましい条件で計算されたR.A.P.S の例が示されている。図12においてσg は、次式で表される。
【0095】
【数3】


ただし、gは規格化された入力値を示し、0≦g≦1である。
【0096】
図12に示したグラフでは視覚特性は考慮されていなが、これに、図13のような、公知の視覚特性(VTF)を考慮すると(掛け合わせると)、全体にエネルギーが低く抑えられたものになる。なお、R.A.P.S やAnisotropyを計算する際のVTFには、Dooly&Shawが提唱するものに限定されず、公知のものを使うことができる。
【0097】
また、図14には、ある好ましい条件で計算されたAnisotropy の一例が示されている。Robert Ulichney によると、Anisotropyが−10デシベル〔dB〕以下であれば、ドットの異方性は目立たないとされている。
【0098】
本実施形態では、上述したR.A.P.S を粒状性評価関数(i)に利用し、Anisotolopyを異方性評価関数(i)に利用して評価値EDDM’(i) が上述の(式A)で定義される。
【0099】
図9のステップS56で抽出された候補位置iについて位置(i)を順番に換えながら、評価を行い(ステップS58〜S60)、最も評価値の良い位置を選択し、その位置に閾値Lを入力する(ステップS62)。
【0100】
こうして、閾値Lの入力位置が決まったら、次の閾値Lを配列LXから取り出し(ステップS64)、図8のステップS32へ戻る。
【0101】
閾値Lを順次変更しながら、上述の処理が繰り返えされ、不吐対応サブマトリクスSM(X)の各位置に閾値が順次入力されていく。やがて、閾値が未入力の位置がなくなると、第2ループを抜け、不吐位置Xに対応した不吐対応サブマトリクスSM(X)が決定する(ステップS66)。続いて、不吐位置Xを次の位置に変更して(ステップS68)、図7のステップS18(第1ループの先頭)に戻る。全ての不吐位置Xに対応する不吐対応サブマトリクスSM(X)が決定されると、ステップS18でNO判定となり、第1ループを抜けて本シーケンスを終了する(ステップS70)。
【0102】
なお、図9で説明したステップS56〜S62の部分を、図15に示したステップS56’〜S62’で置き換える態様も可能である。
【0103】
図9のステップS56〜S62では、濃度ヒストグラムHDDMにおいて最小濃度値からある画素数の範囲で候補位置を絞ってから、その絞った候補地の中で最良位置を選んだが、図15に示したステップS56’〜S62’の例では、候補位置を絞らずに、次に追加されるドットが入る可能性のある位置を全てについて計算を試みるというものである。各ステップS56’〜S62’の処理内容は、図15に記載のとおりである。計算量を減らすためには、図9のように候補を絞る態様が好ましい。ただし、真に最良の位置を求めるには、図15のように可能性のある位置を全て計算してみる態様が好ましい。
【0104】
図7乃至図15で説明した方法によって、基本閾値マトリクスMと、不吐位置に対応した複数の不吐対応サブマトリクスSM(X)が得られる。
【0105】
なお、ここで「ブルーノイズ特性」について概説しておく。図11乃至図14で説明した評価方法を用いてドット配置を評価したときに、R.A.P.S が低周波域で小さく、中周波でピークを持ち、高周波で一定になるような特性を備え、かつAnisotropy が−10デシベル〔dB〕以下であるようなドット配置が「ブルーノイズ特性」であり、閾値マトリクスによって決定されたドット配置がブルーノイズ特性を有するときに、当該閾値マトリクスをブルーノイズマスクという。なお、図12に示したグラフも概ねブルーノイズ特性を示しているが、典型的なグラフの例は図16のようなものである。
【0106】
上述した基本閾値マトリクスM及びこれに基づく不吐対応サブマトリクスSM(X)の作成方法はコンピュータを用いて実現することができる。すなわち、図7乃至図15で説明した不吐対応サブマトリクスの決定方法のアルゴリズムをコンピュータに実行させるプログラム(閾値マトリクス作成プログラム)を作成し、このプログラムによってコンピュータを動作させることにより、当該コンピュータをマトリクスの作成装置として機能させることができる。
【0107】
図17はコンピュータのシステム構成例を示すブロック図である。コンピュータ10は、本体12と、ディスプレイ(表示手段)14及びキーボードやマウスなど入力装置(各種の指示を入力するための入力手段)16から構成される。本体12内には中央演算処理装置(CPU)20、RAM22、ROM24、入力装置16からの信号入力を制御する入力制御部26、ディスプレイ14に対して表示用の信号を出力する表示制御部28、ハードディスク装置30、通信インターフェース32、及びメディアインターフェース34などを有し、これら各回路はバス36を介して相互に接続されている。
【0108】
CPU20は、全体の制御装置及び演算装置(演算手段)として機能する。RAM22は、データの一時記憶領域やCPU20によるプログラム実行時の作業用領域として利用される。ROM24は、CPU20を動作させるブートプログラムや各種設定値・ネットワーク接続情報などを記憶する書き換え可能な不揮発性の記憶手段である。ハードディスク装置30には、オペレーティングシステム(OS)や各種のアプリケーションソフト(プログラム)やデータ等が格納される。
【0109】
通信インターフェース32は、USBやLAN、Bluetooth など所定の通信方式に従って外部機器や通信ネットワークに接続するための手段である。メディアインターフェース34は、メモリカードや磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクに代表される外部記憶装置38の読み書き制御を行う手段である。
【0110】
本発明の実施形態に係るドット配置決定処理プログラムや閾値マトリクス作成プログラムは、ハードディスク装置30、或いは外部記憶装置38に格納されており、必要に応じて当該プログラムが読み出され、RAM22に展開されて実行される。或いは、通信インターフェース32を介して接続される不図示のネットワーク上に設置されたサーバによってプログラムが提供される態様も可能であるし、インターネット上のサーバによって本プログラムによる演算処理サービスを提供するという態様も考えられる。
【0111】
オペレータは、ディスプレイ14上に表示される不図示のアプリケーションウインドウを見ながら入力装置16を操作して所望の基本閾値マトリクスサイズや不吐対応サブマトリクスのサイズ(所定画素数幅)など、計算に必要な各種値を入力することができるとともに、演算結果をディスプレイ14上で確認することができる。
【0112】
上述した方法によって得られた基本閾値マトリクスMと不吐対応サブマトリクスSM(X)のデータを記憶し、実際の画像処理の段階では、不吐位置の情報に基づいて、該当位置に対応する基本閾値マトリクスMの一部を不吐対応サブマトリクスSM(X)に置き換えたマトリクスを適用して画像の量子化(デジタルハーフトーニング)を行う。
【0113】
このとき、図10で説明したように、不吐位置が基本閾値マトリクスの端部にあり、不吐対応サブマトリクスSM(X)が基本閾値マトリクスの範囲からはみ出す場合については、不吐対応サブマトリクスSM(X)の計算の際には、図10(b)のような処理を行って不吐対応サブマトリクスSM(X)を求めたが(図7のステップS22)、画像処理を行う段階では、図18に示すように、不吐位置Xに対応して隣接する2つの基本閾値マトリクスMに対して不吐対応サブマトリクスSM(X)の置換えが行われる。
【0114】
次に、上述した閾値マトリクス作成方法によって作成された基本閾値マトリクス及び不吐対応サブマトリクスを用いて画像処理を行う画像処理装置の例について説明する。
【0115】
〔画像処理装置の構成〕
図19は本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図示のように、本実施形態に係る画像処理装置50は、基本閾値マトリクスMのデータを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶手段52と、不吐対応サブマトリクスSM(X)のデータを記憶しておく不吐対応サブマトリクス記憶手段54と、不吐位置を検出する不吐位置検出手段56と、不吐位置検出手段56から得た不吐位置の情報に基づいて不吐位置に対応した不吐対応サブマトリクスを不吐対応サブマトリクス記憶手段54から選択的に取り出す不吐対応サブマトリクス選択手段58と、不吐対応サブマトリクス選択手段58によって選択された不吐対応サブマトリクスを基本閾値マトリクスの一部と置き換え、不吐位置に適用するための閾値マトリクス(以下、「置換合成閾値マトリクス」と呼ぶことにする)を生成する閾値マトリクス置換え手段60と、画像の領域(位置)に応じて量子化に用いる閾値マトリクスを設定する(基本閾値マトリクス又は置換合成閾値マトリクスの何れかを選択的に設定する)閾値マトリクス設定手段62と、画像入力手段64と、閾値マトリクス設定手段62で設定された閾値マトリクスを用いて入力画像(多値データ)を量子化する量子化処理手段66と、量子化処理手段によって生成された量子化データに基づいてドット画像を出力する量子化データ出力手段68と、を備えている。
【0116】
基本閾値マトリクス記憶手段52及び不吐対応サブマトリクス記憶手段54には、EEPROMなどの不揮発性のメモリ、或いはハードディスク装置などの記憶装置が好適に用いられる。基本閾値マトリクス記憶手段52及び不吐対応サブマトリクス記憶手段54についてそれぞれ別々のメモリ(或いは記憶装置)を用いても良いし、1つのメモリ(或いは記憶装置)において記憶領域を分けることによって基本閾値マトリクス記憶手段52及び不吐対応サブマトリクス記憶手段54を構成してもよい。
【0117】
不吐位置検出手段56は、例えば、テストパターンの印字結果を撮像するイメージセンサ及び該イメージセンサから得られる画像データを解析して不吐位置を把握する情報処理装置(演算処理装置)を含んで構成される。或いはまた、不吐位置検出手段56に代えて、予め別途の手段で取得しておいた不吐位置の情報を記憶した不吐位置記憶手段を用いることができる。ここでいう「不吐位置記憶手段」にはEEPROMなどの不揮発性のメモリ、或いはハードディスク装置などの記憶装置が好適に用いられる。
【0118】
不吐対応サブマトリクス選択手段58は、不吐位置検出手段56(又は不吐位置記憶手段)から得られる不吐位置の情報に応じて不吐対応サブマトリクス記憶手段54から不吐位置に対応した不吐対応サブマトリクスのデータを読み出し、これを閾値マトリクス置換え手段60へ提供する。なお、不吐対応サブマトリクス選択手段58は、基本閾値マトリ
クス内で不吐位置を含む置換領域(所定画素数幅の対応領域)を決定する置換領域決定手段としても機能している。
【0119】
閾値マトリクス置換え手段60は、基本閾値マトリクス記憶手段52から読み出した基本閾値マトリクスに対して、その一部を不吐対応サブマトリクス選択手段58から提供される不吐対応サブマトリクスで置き換えた閾値マトリクス(置換合成閾値マトリクス)を生成する処理を行う。すなわち、閾値マトリクス置換え手段60は、基本閾値マトリクス上の不吐位置を含む対応領域の閾値を不吐対応サブマトリクスに置き換える閾値置換手段として機能している。
【0120】
閾値マトリクス設定手段62は、不吐位置検出手段56(又は不吐位置記憶手段)から得られる情報に基づき、量子化処理の対象領域に不吐位置が含まれているか否かを判断して閾値マトリクスを切り替える処理を行う。
【0121】
画像入力手段64は、量子化する前の原画像のデータ(例えば、256階調等で表現された多値のデジタル画像データ)を受入するインターフェース部である。具体的には、通信インターフェースであってもよいし、リムーバブルメディア等のメディアインターフェースであってもよく、或いは、メモリ等からデータを取り込むメモリコントローラなどがこれに該当する。
【0122】
画像入力手段64から入力された多値の画像データは、閾値マトリクス設定手段62によって設定される閾値マトリクスを用いて量子化処理手段66において量子化され、2値の、或いはドットサイズ変調がある場合はドットサイズの種類に対応した多値の量子化データに変換される。このとき、不吐位置を含む画像領域に対しては不吐対応サブマトリクスを組み込んだ置換合成閾値マトリクスが適用される。これにより、不吐によるアーティファクトが目立たない良好な量子化データ(ドットデータ)を得ることができる。
【0123】
なお、不吐対応サブマトリクス選択手段58、閾値マトリクス置換え手段60、閾値マトリクス設定手段62、量子化処理手段66の各手段は、ソフトウエアによって実現することができる。
【0124】
量子化データ出力手段68は、量子化処理手段66で生成された量子化データ(ドットデータ)に基づいて駆動される印字ヘッド(液体吐出ヘッド)を含む画像形成部に相当する。量子化処理手段66で生成された量子化データが量子化データ出力手段68に供給されることにより、量子化データ出力手段によって、記録紙その他の媒体に画像が印字される。
【0125】
本実施形態に係る画像処理装置50によれば、不吐位置に応じて適応的に最適な不吐対応サブマトリクスが選択され、基本閾値マトリクスの一部をこの不吐対応サブマトリクスで置き換えた閾値マトリクスを適用する構成にしたので、不吐によるアーティファクトの目立たない良好な画像形成が可能である。
【0126】
不吐対応サブマトリクスは、不吐の発生位置に応じて複数用意されるものの、各不吐対応サブマトリクスのサイズ(所定幅)は3〜9画素程度と比較的小さいため、不吐対応サブマトリクス記憶手段の記憶容量は比較的小容量で足りる。また、不吐位置に応じて基本閾値マトリクスの一部を不吐対応サブマトリクスで置き換えて、不吐位置に対応可能な閾値マトリクスを適応的に生成する構成にしたので、多様な不吐位置に対応可能な閾値マトリクスのデータ量全体として見ると、比較的少ないデータ量である。したがって、特許文献1に開示された如き従来の技術によって、不吐位置に対応した不吐対応マトリクス(マトリクス全体)を多数用意する構成と比較して、本実施形態では、基本閾値マトリクスと
不吐対応サブマトリクスのデータの記憶容量(基本閾値マトリクス記憶手段と不吐対応サブマトリクス記憶手段の記憶容量の和)を削減することができる。
【0127】
基本閾値マトリクス内の複数の位置で不吐が発生した場合は、各不吐位置に対応する領域に対してそれぞれ不吐対応サブマトリクスによる閾値の置換え(切り替え)が行われる。このとき、複数の不吐位置が互いに近接しており、各不吐位置に対応した不吐対応サブマトリクス同士が互いに重なってしまう場合も起こり得るが、かかる場合には、互いの置換え領域が重ならないように、両方の不吐対応サブマトリクス、又は、どちらか一方の不吐対応マトリクスについて、マトリクスサイズ(画素数幅)の小さいものを使用するように、複数の不吐対応マトリクスの組合せを変更するように制御される。かかる不吐対応マトリクスの組合せ制御は、不吐位置検出手段56からの情報に基づき、不吐対応サブマトリクス選択手段58によって行われる。
【0128】
次に、上述した画像処理装置50の具体的な適用例としてのインクジェット記録装置について説明する。
【0129】
図20は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
【0130】
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0131】
図20では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0132】
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0133】
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0134】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図20のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
【0135】
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0136】
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図20に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
【0137】
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図25中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図20上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図20の左から右へと搬送される。
【0138】
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0139】
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0140】
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0141】
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図21参照)。
【0142】
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0143】
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
【0144】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0145】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0146】
図20に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置ずれなどの吐出不良をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0147】
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
【0148】
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
【0149】
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0150】
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図20には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0151】
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
【0152】
図22(a) はヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図22(b) はその一部の拡大図である。また、図22(c) はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図、図23は1つの液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図22(a) 中の23−23線に沿う断面図)である。
【0153】
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図22(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0154】
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図22(a) の構成に代えて、図22(c) に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0155】
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図22(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0156】
図23に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
【0157】
圧力室152の一部の面(図23において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に供給される。
【0158】
上述した構造を有するインク室ユニット153を図24に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0159】
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0160】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0161】
特に、図24に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13 、151-14 、151-15 、151-16 を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26 を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36 を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16 を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
【0162】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0163】
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0164】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0165】
〔制御系の説明〕
図25は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
【0166】
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0167】
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0168】
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
【0169】
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0170】
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
【0171】
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(元画像のデータ) から印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部180は、図19で説明した不吐対応サブマトリクス選択手段58,閾値マトリクス置換え手段60,閾値マトリクス設定手段62及び量子化処理手段66を含んで構成されており、本発明による画像処理手段の機能を果たす。
【0172】
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図25において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0173】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ174に記憶される。
【0174】
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180において閾値マトリクスを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
【0175】
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの
4色のドットデータに変換する処理を行う。本発明を適用して作成された閾値マトリクスはプリント制御部180に組み込まれ、上述の元画像からドットデータへの変換処理に使用される。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
【0176】
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる印字データ(すなわち、画像バッファメモリ182に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0177】
ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
【0178】
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0179】
印字検出部124は、図20で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録媒体116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。つまり、印字検出部124は、図19で説明した不吐位置検出手段56として機能する。なお、この印字検出部124に代えて、又はこれと組み合わせて他の吐出検出手段(吐出異常検出手段に相当)を設けてもよい。
【0180】
他の吐出検出手段としては、例えば、ヘッド150の各圧力室152内又はその近傍に圧力センサを設け、インク吐出時或いは圧力測定用のアクチュエータ駆動時などに、この圧力センサから得られる検出信号から吐出異常を検出する態様(内部検出方法)、或いは、レーザ発光素子などの光源と受光素子から成る光学検出系を用い、ノズルから吐出された液滴にレーザ光等の光を照射し、その透過光量(受光量)によって飛翔液滴を検出する態様(外部検出方法)などがあり得る。
【0181】
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124或いは図示しない他の吐出検出手段から得られる情報に基づいて、閾値マトリクスの設定やヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0182】
上記構成のインクジェット記録装置110によれば、ノズル不吐出が発生した場合にも、ドット抜けによる画質低下の少ない良好な画像を得ることができる。
【0183】
上記実施形態では、フルライン型の印字ヘッドを用いたインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、図26(a),(b)に示したように、記録媒体(記録紙116その他の印字媒体)216の幅Wm に足りない長さのラインヘッド(以下、印字ヘッド250という。)を用いて、複数回走査して画像形成する場合にも本発明は適用可能である。
【0184】
なお、図26(a),(b)の印字ヘッド250内に描いた両向き矢印250Aはノズ
ル並び方向とノズル列の長さを模式的に表しており、白抜き矢印252は印字ヘッド走査方向を表している。図26(a)は、1回目の走査の様子を示し、同(b)は走査位置を変えて実施されるN回目(Nは2以上の整数)の走査の様子を示している。
【0185】
図示のとおり、印字ヘッド250は、その長手方向(ノズル並び方向)が記録媒体216の幅方向に沿って配置され、不図示のヘッド走査手段(キャリッジ、走行ガイドなどの支持機構及びこれを駆動するためのモータ等の駆動手段を含む。)によって印字ヘッド走査方向(白抜き矢印252方向)及び記録媒体216の幅方向(図26において横方向)に移動可能に支持されている。
【0186】
記録媒体216の幅方向に対する印字ヘッド250の位置(走査位置)を変えながら、印字ヘッド走査方向252に複数回の走査を実施することによって、記録媒体216上に画像が形成される。
【0187】
なお、ここでは、印字ヘッド250を移動させる例を説明するが、記録媒体216に対して印字ヘッド250を相対的に移動させて走査を行えばよく、記録媒体216側を移動させる態様、或いは印字ヘッド250と記録媒体216の両方の移動を組み合わせて走査を行う態様も可能である。
【0188】
図26(a),(b)に示したとおり、各走査において、印字ヘッド250はそれぞれ異なる位置を走査するが、これら各走査によって相対的に記録媒体216上を移動したノズルを、図27に示すように、仮想的な記録媒体幅(Wm)のラインヘッド255上の対応する位置のノズルとみなすことによって、印字ヘッド250を記録媒体216の幅Wm に対応する長さのノズル列255Aを有する仮想的なラインヘッド255の一部とみなすことができる。すなわち、この仮想的なラインヘッド(フルライン型ヘッド)255について、既述のフルライン型のヘッド150の実施形態と同様に本発明を適用可能である。
【0189】
また、図28(a),(b)に示すように、印字ヘッド250をシャトルスキャンして画像を形成する場合も同様に、仮想的なラインヘッドに変換可能であり、本発明のアルゴリズムを適用可能である。
【0190】
図28(a),(b)中、図26(a),(b)と同一又は類似する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0191】
図28(a),(b)において、印字ヘッド250は、その長手方向(ノズル並び方向)が記録媒体216の送り方向(白抜き矢印254で示したメディア送り方向)に沿って配置され、メディア送り方向と略直交する方向に印字ヘッド250が走査される。
【0192】
印字ヘッド250による走査と、記録媒体216の移動との組み合わせによって、記録媒体216と印字ヘッド250との相対位置を変えながら、複数回の走査を行うことにより、記録媒体216上に画像が形成される。
【0193】
上記実施の形態では画像記録装置の一例としてインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、ラインヘッドを有する熱転写記録装置(サーマル素子を記録素子とする装置)、LED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタ(LED素子を記録素子とする装置)など各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】基本閾値マトリクスと不吐対応サブマトリクスを用いた画像処理の概念図
【図2】基本閾値マトリクスと不吐位置の関係を示した概念図
【図3】基本閾値マトリクス上の不吐位置及び置換え領域と非置換え領域の関係を例示した概念図
【図4】基本閾値マトリクスの置換え領域MA(X)と非置換え領域MB(X)の関係を例示した概念図
【図5】置換え領域MA(X)のドット配置DMA(X,L)と非置換え領域MB(X)のドット配置DMB(X,L)の例を示した概念図
【図6】不吐対応サブマトリクスSM(X)のドット配置DSM(X,L)と非置換え領域MB(X)のドット配置DMB(X,L)の例を示した概念図
【図7】不吐対応サブマトリクスの決定手順を示したフローチャート
【図8】不吐対応サブマトリクスの決定手順を示したフローチャート
【図9】不吐対応サブマトリクスの決定手順を示したフローチャート
【図10】不吐位置が基本閾値マトリクスの端部にある場合の処理方法の例を説明するために用いた概念図
【図11】2次元パワースペクトラムを計算する座標系を示した図
【図12】ある条件で計算された極座標パワークペクトラムの平均指標(R.A.P.S )の例を示すグラフ
【図13】人間の目の視覚特性(VTF)を示すグラフ
【図14】ある条件で計算された極座標パワースペクトラムの分散指標(anisotropy)の例を示すグラフ
【図15】図9で説明したフローの一部と置換え可能な他の処理例を示した要部フローチャート
【図16】ブルーノイズ特性を有するドット配置の典型的なR.A.P.S のグラフ
【図17】本発明の実施形態による閾値マトリクス作成処理及び画像処理を行うコンピュータのシステム構成例を示すブロック図
【図18】不吐対応サブマトリクスが隣接する2つの基本閾値マトリクスに関わる場合の例を示した概念図
【図19】本発明の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図
【図20】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図
【図21】図20に示したインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図
【図22(a)】インクジェット記録ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図22(b)】図22(a) の要部拡大図
【図22(c)】フルライン型ヘッドの他の構造例を示す平面透視図
【図23】図22(a) 中の23−23線に沿う断面図
【図24】図22(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図
【図25】本実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図
【図26】走査型の印字ヘッドを用いて画像形成する実施形態の一例を示した模式図
【図27】複数回走査と仮想的なラインヘッドの関係を示す説明図
【図28】走査型の印字ヘッドを用いて画像形成する他の実施形態を示した模式図
【符号の説明】
【0195】
10…コンピュータ、12…本体、20…CPU、24…ROM、50…画像処理装置、52…基本閾値マトリクス記憶手段、54…不吐対応サブマトリクス記憶手段、56不吐位置検出手段、58…不吐対応サブマトリクス選択手段、60…閾値マトリクス置換え手段、62…閾値マトリクス設定手段、64…画像入力手段、66…量子化処理手段、68…量子化データ出力手段、110…インクジェット記録装置、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙、118…給紙部、122…ベルト搬送部、124…印字検出部、131、132…
ローラ、133…ベルト、134…吸着チャンバ、135…ファン、150…ヘッド、151…ノズル、152…圧力室、153…インク室ユニット、158…アクチュエータ、172…システムコントローラ、175…ROM、180…プリント制御部、M…基本閾値マトリクス、SM(X)…不吐対応サブマトリクス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録不能となった記録素子に対応する画像上の記録不能位置を特定する記録不能位置特定工程と、
多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶工程と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶工程と、
前記入力画像データ中の画素位置及び前記記録不能位置特定工程で特定された記録不能位置から前記基本閾値マトリクス内で前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の対応領域を決定する置換領域決定工程と、
前記サブマトリクス記憶工程で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から前記置換領域決定工程の決定に基づいて前記対応領域の置き換えに用いるサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択工程と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記対応領域の閾値を前記サブマトリクス選択工程で選択されたサブマトリクスに置き換える閾値置換工程と、
前記閾値置換工程で前記基本閾値マトリクスの前記対応領域をサブマトリクスに置き換えて得られた閾値マトリクス又は前記基本閾値マトリクスを選択的に適用して前記入力画像データの量子化を行う量子化処理工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記基本閾値マトリクスはブルーノイズ特性を有し、前記サブマトリクスの前記所定画素数幅は3〜9画素の範囲で設定されることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
【請求項3】
記録不能となった記録素子に対応する画像上の記録不能位置を特定する記録不能位置特定手段と、
多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶手段と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶手段と、
前記入力画像データ中の画素位置及び前記記録不能位置特定手段で特定された記録不能位置から前記基本閾値マトリクス内で前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の対応領域を決定する置換領域決定手段と、
前記サブマトリクス記憶手段で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から前記置換領域決定手段の決定に基づいて前記対応領域の置き換えに用いるサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択手段と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記対応領域の閾値を前記サブマトリクス選択手段で選択されたサブマトリクスに置き換える閾値置換手段と、
前記閾値置換手段で前記基本閾値マトリクスの前記対応領域をサブマトリクスに置き換えて得られた閾値マトリクス又は前記基本閾値マトリクスを選択的に適用して前記入力画像データの量子化を行う量子化処理手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフ
トーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶工程と、
前記基本閾値マトリクス上における記録不能な記録素子の位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶工程と、
前記サブマトリクス記憶工程で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から少なくとも1つのサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択工程と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の一部領域の閾値を前記サブマトリクス選択工程で選択されたサブマトリクスで置き換えて閾値マトリクスを生成する閾値置換工程と、
を含むことを特徴とする閾値マトリクス作成方法。
【請求項5】
複数の記録素子が配列された記録ヘッドと、
前記記録ヘッド及び記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記記録媒体を相対移動させる搬送手段と、
前記記録ヘッドの記録素子列のうち記録不能となった記録素子に対応する画像上の記録不能位置を特定する記録不能位置特定手段と、
多値の入力画像データを量子化し、より少ない階調数のドットデータに変換するハーフトーニング処理に用いる基本閾値マトリクスを記憶しておく基本閾値マトリクス記憶手段と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置に対応した画素位置を含む所定画素数幅を有する一部領域の閾値と置き換えられる閾値が設定されているサブマトリクスを、前記基本閾値マトリクス内の記録不能位置に対応して複数種類記憶しておくサブマトリクス記憶手段と、
前記入力画像データ中の画素位置及び前記記録不能位置特定手段で特定された記録不能位置から前記基本閾値マトリクス内で前記記録不能位置を含む前記所定画素数幅の対応領域を決定する置換領域決定手段と、
前記サブマトリクス記憶手段で記憶しておいた複数のサブマトリクスの中から前記置換領域決定手段の決定に基づいて前記対応領域の置き換えに用いるサブマトリクスを選択するサブマトリクス選択手段と、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む前記対応領域の閾値を前記サブマトリクス選択手段で選択されたサブマトリクスに置き換える閾値置換手段と、
前記閾値置換手段で前記基本閾値マトリクスの前記対応領域をサブマトリクスに置き換えて得られた閾値マトリクス又は前記基本閾値マトリクスを選択的に適用して前記入力画像データの量子化を行う量子化処理手段と、
前記量子化処理手段の量子化によって生成されたドットデータに基づいて前記記録ヘッドの記録素子の駆動を制御する記録制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の画像処理方法、請求項3記載の画像処理装置、請求項4記載の閾値マトリクス作成方法、又は請求項5記載の画像形成装置に用いる前記サブマトリクスを作成する方法であって、
前記基本閾値マトリクス上の前記記録不能位置を含む所定画素数幅の領域をサブマトリクスによる置換領域として設定するサブマトリクス領域設定工程と、
前記記録不能位置以外の前記サブマトリクス内の位置のドット配置を順次決定することによって、当該サブマトリクスの閾値を決定して行く過程で、当該サブマトリクスに対応するドット配置と前記基本閾値マトリクスのうち前記サブマトリクスで置換されない非置換領域に対応するドット配置とを組み合わせたときに得られるドット配置について視覚される濃度分布の評価値を演算する評価値演算工程と、
前記評価値演算工程で得られる評価値を利用して、追加するドットの配置を決定するドット配置決定工程と、
前記ドット配置決定工程で決定されたドット配置に従い、前記サブマトリクス内の追加ドットの位置に対応する閾値を設定する閾値入力工程と、
を含むことを特徴とするサブマトリクス作成方法。
【請求項7】
請求項1又は2記載の画像処理方法、請求項4記載の閾値マトリクス作成方法、又は請求項6記載のサブマトリクス作成方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22(a)】
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【図22(b)】
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【図22(c)】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−297919(P2006−297919A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−79421(P2006−79421)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.イーサネット
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】