説明

画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法

【課題】使用環境にかかわらず画像のディテールの見えを改善する画像処理装置、画像表
示装置及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】画像表示部に供給される画像信号を補正する画像処理装置は、所与の空間周
波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ、該画像信号の輝度成分
の補正量を、視環境に応じて算出する輝度成分補正量算出部と、前記輝度成分補正量算出
部によって算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度成分を補正する輝度成分
補正部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンテンツ画像の高画質化によって、より一層広い色再現域を有する画像表示装
置が望まれている。ところが、進歩した色再現技術が採用された画像表示装置であっても
、照明等により明るい環境で使用される場合、照明等の映り込みによって色再現域が狭く
なり、例えば全体的に淡い色の画像になってしまうことが多い。
【0003】
そこで、例えば画像表示装置の使用環境の明るさをセンサで測定し、このセンサの測定
結果を用いて使用環境の明るさに応じて画像の彩度を強調する処理が行われる技術が、特
許文献1に開示されている。
【0004】
この特許文献1には、センサにより画像表示装置に映り込む外部照明の明るさや色を測
定し、その影響をキャンセルするように色補正テーブルを書き換え、書き換え後の色補正
テーブルに従って画像信号に対する色補正を行う技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−91415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、画面全体に対して一律の補正を行う
ため、画像の明度や彩度のコントラストを改善させることができるものの、画像のディテ
ールが潰れたまま表現されてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、
使用環境にかかわらず画像のディテールの見えを改善する画像処理装置、画像表示装置及
び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、画像表示部に供給される画像信号を補正する画像
処理装置であって、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対
してのみ、該画像信号の輝度成分の補正量を、視環境に応じて算出する輝度成分補正量算
出部と、前記輝度成分補正量算出部によって算出された前記補正量を用いて、前記画像信
号の輝度成分を補正する輝度成分補正部とを含む画像処理装置に関係する。
【0009】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対
してのみ該画像信号の輝度成分を補正するようにしたので、画面全体に対して一律の補正
を行うことなく、暗部と明部とが混在している場合であっても、暗部と明部の両方のディ
テールを表現できるように画像信号を補正できるようになる。しかも、視環境に応じて輝
度成分の補正量を算出するようにしたので、使用環境にかかわらず画像のディテールの見
えを改善する画像処理装置を提供できるようになる。
【0010】
本発明に係る画像処理装置では、前記輝度成分補正量算出部が、外光と前記画像表示部
の出力光の輝度比を前記視環境として前記補正量を算出することができる。
【0011】
本発明によれば、視環境として、外光と画像表示部の出力光の輝度比を採用するように
したので、簡素な構成で使用環境にかかわらず画像のディテールの見えを改善する画像処
理装置を提供できるようになる。
【0012】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域
の信号を抽出する信号抽出回路を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前記画像信号の輝
度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出回路を含み、前記信号抽
出回路によって抽出された前記空間周波数帯域の信号と、前記輝度ゲイン算出回路によっ
て算出された前記輝度ゲインと、前記輝度比とに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出
することができる。
【0013】
本発明によれば、信号抽出回路により所与の空間周波数帯域の信号を抽出し、輝度ゲイ
ン算出回路により所与の輝度成分のレベル範囲の信号を特定することができるので、上記
の効果に加えて、簡素な構成により、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範
囲の画像信号に対してのみ、該画像信号の輝度成分を補正することができるようになる。
【0014】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域
の信号を抽出する多段フィルタ回路を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前記多段フィ
ルタ回路の出力ごとに設けられ補正前の前記輝度成分のレベル及び前記輝度比に対応した
ゲインを出力する複数のテーブルと、前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ、前記
多段フィルタ回路の出力と前記複数のテーブルを構成する各テーブルの出力とを乗算する
複数の乗算器と、前記複数の乗算器を構成する各乗算器の乗算結果を加算する加算器とを
含み、前記加算器の出力を前記輝度成分の補正量として算出することができる。
【0015】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対
してのみ該画像信号の輝度成分を補正する場合に、多段フィルタ回路の出力ごとに設けら
れた複数のテーブルによりゲインを出力するようにしたので、上記の効果に加えて、乗算
器の数を減らすことができ、低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0016】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域
の信号を抽出する信号抽出回路を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前記信号抽出回路
の出力と補正前の前記輝度成分のレベルと前記輝度比とに対応した前記輝度成分の補正量
を出力するテーブルを含むことができる。
【0017】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対
してのみ該画像信号の輝度成分を補正する場合に、テーブルにより輝度成分の補正量を出
力するようにしたので、上記の効果に加えて、乗算器を無くすことができ、大幅な低消費
電力化及び低コスト化が可能となる。
【0018】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分の空間周波数を解析する
周波数解析部を含み、前記輝度成分補正量算出部が、前記画像信号の輝度成分の補正量を
、前記輝度比と前記周波数解析部の解析結果とに応じて算出することができる。
【0019】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の空間周波数を解析し、所与の空間周波数帯域に
おいて所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ、該画像信号の輝度成分を、輝度比
と輝度成分の空間周波数の解析結果とに応じて補正量を算出し、該補正量を用いて輝度成
分を補正するようにしたので、画面全体に対して一律の補正を行うことなく、暗部と明部
とが混在している場合であっても、暗部と明部の両方のディテールを表現できるように画
像信号を補正できるようになる。更に、画像の暗部のディテールと輝度ノイズとを区別す
ることができるので、暗部のディテールと一緒に輝度ノイズを強調してしまう事態を回避
できるようになる。
【0020】
また本発明に係る画像処理装置では、前記周波数解析部は、前記画像信号の輝度成分の
所与の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部を含み、前記輝度成分補正量算出部は、前
記高周波成分抽出部によって抽出された前記高周波成分に対応した周波数ゲインを算出す
る周波数ゲイン算出部を含み、前記空間周波数帯域における所与の輝度レベル範囲の輝度
成分と、前記周波数ゲイン算出部によって算出された前記周波数ゲインと、前記輝度比と
に基づいて、前記輝度成分の補正量を算出することができる。
【0021】
本発明によれば、輝度成分の高周波成分を抽出し、該高周波成分に対応した周波数ゲイ
ンと、所与の空間周波数帯域における所与の輝度レベル範囲の輝度成分と、上記の輝度比
とに基づいて補正量を算出するようにしたので、上記の効果に加えて、簡素な処理で、暗
部のディテールと輝度ノイズとを区別して、暗部のディテールと一緒に輝度ノイズを強調
してしまう事態を回避できるようになる。
【0022】
また本発明に係る画像処理装置では、前記輝度成分補正量算出部は、前記画像信号の輝
度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出部を含み、前記空間周波
数帯域の信号と、前記周波数ゲインと、前記輝度ゲイン算出部によって算出された前記輝
度ゲインと、前記輝度比とに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出することができる。
【0023】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域の信号に対して、輝度ゲインにより所与の輝度
成分のレベル範囲の信号を特定することができるので、上記の効果に加えて、簡素な構成
により、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の輝度成分に対してのみ使
用環境に応じて該画像信号の輝度成分を補正することができるようになる。
【0024】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域
の信号を抽出する信号抽出部を含むことができる。
【0025】
本発明によれば、上記の効果に加えて、簡素な構成で、所与の輝度レベル範囲の輝度成
分のうち、所与の空間周波数帯域の成分を抽出できるようになる。
【0026】
また本発明に係る画像処理装置では、前記周波数解析部は、前記画像信号の輝度成分か
ら所与の輝度ノイズ成分を除去する輝度ノイズ除去部を含み、前記輝度成分補正部は、前
記補正量を用いて、前記輝度ノイズ除去部によって前記輝度ノイズ成分が除去された前記
画像信号の輝度成分を補正することができる。
【0027】
本発明によれば、輝度ノイズが除去された輝度成分に対して、輝度成分補正部により算
出された補正量を用いて補正するようにしたので、上記の効果に加えて、暗部と明部の両
方のディテールを表現し、且つ、画像の暗部のディテールと輝度ノイズとを区別する画像
信号の補正を高精度に行うことができるようになる。
【0028】
また本発明に係る画像処理装置では、前記輝度成分補正部による補正前後においてxy
色度の値が変化しないように前記画像信号の色差成分を補正する色差成分補正部を含むこ
とができる。
【0029】
本発明によれば、輝度成分の補正前後におけるxy色度の値が変化しないように輝度成
分の補正と連動して色差成分を補正するようにしたので、上記の効果に加えて、各画素の
色度が変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテ
ールを表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0030】
また本発明に係る画像処理装置では、前記輝度成分補正部による補正前後の前記画像信
号の輝度成分に基づいて、xy色度の値が変化しないように該画像信号の色差成分の補正
量を算出する色差成分補正量算出部を含み、前記色差成分補正部が、前記色差成分補正量
算出部によって算出された前記色差成分の補正量を用いて、前記画像信号の色差成分を補
正することができる。
【0031】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の補正と連動して、輝度成分の補正量に応じて色
差成分を補正するようにしたので、輝度成分の補正前後におけるxy色度の値を変化させ
ることなく、画像の暗部や明部のディテールを表現可能な画像信号の補正が可能となる。
【0032】
また本発明に係る画像処理装置では、前記色差成分の調整パラメータを記憶する調整パ
ラメータ記憶部を含み、補正前の前記輝度成分をYin、補正後の前記輝度成分をYou
t、前記調整パラメータをbとしたとき、前記色差成分補正部は、(1−b×(1−Yo
ut/Yin))を色差ゲインとして、前記画像信号の色差成分に前記色差ゲインを乗算
することで前記色差成分を補正することができる。
【0033】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の補正に連動した色差成分の補正を簡素な処理で
実現できるようになる。
【0034】
また本発明は、画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置であって、前記画像信
号を補正する上記のいずれか記載の画像処理装置と、前記画像処理装置によって補正され
た画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部とを含む画像表示装置に関係する。
【0035】
本発明によれば、使用環境にかかわらず画像のディテールの見えを改善する画像表示装
置を提供できるようになる。
【0036】
また本発明に係る画像表示装置では、前記画像表示部の出力光の輝度と前記外光の輝度
とを測定するためのセンサを含むことができる。
【0037】
本発明によれば、一体化されたセンサにより、低コストで、使用環境にかかわらず画像
のディテールの見えを改善する画像表示装置を提供できるようになる。
【0038】
また本発明は、画像表示部に供給される画像信号を補正する画像処理方法であって、所
与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ、該画像信号
の輝度成分の補正量を、視環境に応じて算出する輝度成分補正量算出ステップと、前記輝
度成分補正量算出ステップにおいて算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝度
成分を補正する輝度成分補正ステップとを含む画像処理方法に関係する。
【0039】
本発明によれば、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対
してのみ該画像信号の輝度成分を補正するようにしたので、画面全体に対して一律の補正
を行うことなく、暗部と明部とが混在している場合であっても、暗部と明部の両方のディ
テールを表現できるように画像信号を補正できるようになる。しかも、外光と画像表示部
の出力光の輝度比に応じて輝度成分の補正量を算出するようにしたので、使用環境にかか
わらず画像のディテールの見えを改善する画像処理方法を提供できるようになる。
【0040】
また本発明に係る画像処理方法では、前記輝度成分補正量算出ステップは、外光と前記
画像表示部の出力光の輝度比を前記視環境として前記補正量を算出することができる。
【0041】
本発明によれば、視環境として、外光と画像表示部の出力光の輝度比を採用するように
したので、簡素な方法で使用環境にかかわらず画像のディテールの見えを改善する画像処
理方法を提供できるようになる。
【0042】
また本発明に係る画像処理方法では、前記画像信号の輝度成分の空間周波数を解析する
周波数解析ステップを含み、前記輝度成分補正量算出ステップが、前記画像信号の輝度成
分の補正量を、前記輝度比と前記周波数解析ステップの解析結果とに応じて算出すること
ができる。
【0043】
本発明によれば、画像信号の輝度成分の空間周波数を解析し、所与の空間周波数帯域に
おいて所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ、該画像信号の輝度成分を、輝度比
と輝度成分の空間周波数の解析結果とに応じて補正量を算出し、該補正量を用いて輝度成
分を補正するようにしたので、画面全体に対して一律の補正を行うことなく、暗部と明部
とが混在している場合であっても、暗部と明部の両方のディテールを表現できるように画
像信号を補正できるようになる。更に、画像の暗部のディテールと輝度ノイズとを区別す
ることができるので、暗部のディテールと一緒に輝度ノイズを強調してしまう事態を回避
できるようになる。
【0044】
また本発明に係る画像処理方法では、前記画像表示部が黒画像を表示したときの輝度と
前記画像表示部が白画像を表示したときの輝度とに基づいて、前記輝度比を算出すること
ができる。
【0045】
本発明によれば、簡素な方法で輝度比を算出できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明す
る実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではな
い。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0047】
以下では、本発明に係る画像表示装置としてプロジェクタを例に説明するが、本発明に
係る画像表示装置がプロジェクタに限定されるものではない。
【0048】
〔実施形態1〕
図1に、本発明に係る実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図を示
す。
【0049】
画像表示システム10は、プロジェクタ(広義には画像表示装置)20と、スクリーン
SCRとを含む。プロジェクタ20は、入力画像信号に基づいて図示しない光源からの光
を変調し、変調後の光をスクリーンSCRに投射することで画像を表示する。
【0050】
このプロジェクタ20は、画像処理部30(広義には画像処理装置)と、投射部100
(広義には画像表示部)と、センサ300と、補正強度算出部310とを含む。図1では
、センサ300及び補正強度算出部310がプロジェクタ20に内蔵されているものとし
て示しているが、センサ300及び補正強度算出部310の少なくとも1つがプロジェク
タ20の外部に設けられてもよい。或いは、センサ300及び補正強度算出部310の少
なくとも1つが、画像処理部30又は投射部100に内蔵されていてもよい。
【0051】
センサ300は、プロジェクタ20の使用環境(周辺光、外光)の投射領域における輝
度と投射部100の最大出力輝度とを測定する。このようなセンサ300の機能は、いわ
ゆるイメージセンサや輝度計等の公知の測定機器によって実現される。センサ300によ
って測定された輝度に基づいて、補正強度算出部310は、画像処理部30による入力画
像信号の補正強度HSを算出し、該補正強度HSを画像処理部30に出力する。
【0052】
画像処理部30は、補正強度算出部310からの補正強度HSを用いて、補正対象外の
輝度領域に影響を与えることなく表示画像の暗部や明部のディテールを表現できるように
入力画像信号を補正し、補正後の画像信号を投射部100に出力する。投射部100は、
画像処理部30からの画像信号に基づいて変調した光をスクリーンSCRに投射する。
【0053】
図2に、図1の画像処理部30において行われる階調補正処理の説明図を示す。図2で
は、階調補正処理中の各画像信号により表される画像の特性として、横軸に画像の水平方
向の位置、縦軸に輝度レベルを模式的に表している。
【0054】
入力画像IMGinは、例えば左側が低輝度(低階調)で、右側が高輝度(高階調)の
画像であり、輝度が低い領域においても微小な階調変化を有し、輝度が高い領域において
も微小な階調変化を有する。信号抽出手段L1は、この入力画像IMGinの画像信号の
輝度成分のうち、所与の空間周波数帯域の輝度成分の信号Yを抽出する。図2では、空
間周波数に対応してゲインが設定されており、信号抽出手段L1はこのゲインが大きい空
間周波数帯域の輝度成分の信号Yを抽出している。
【0055】
また、輝度ゲイン算出手段G1は、該入力画像の画像信号の輝度成分のレベルに対応し
たゲイン係数g(輝度ゲイン係数。広義には輝度ゲイン。以下同様)を算出する。図2で
は、輝度ゲイン算出手段G1が、輝度成分のレベルが低い領域で大きくなり、輝度成分の
レベルが高い領域でほぼ0となるゲイン係数gを算出する。
【0056】
この結果、乗算器M1は、信号抽出手段L1によって抽出された信号Yに輝度ゲイン
算出手段G1によって算出されたゲイン係数gを掛け合わせた信号gYを生成する。信
号gYが、入力画像信号の輝度成分の補正量に対応した信号である。加算器A1は、入
力画像信号の輝度信号Yinと信号gYとを加算して、階調補正後の画像信号を構成す
る輝度信号Youtを出力する。
【0057】
そして、実施形態1では、図2のいずれかの処理において、プロジェクタ20の使用環
境に対応した補正強度によりディテールの強調処理を異ならせている。
【0058】
図3に、図1の画像処理部30の動作説明図を示す。図3では、縦軸に入力画像信号の
輝度成分、横軸に該輝度成分の空間周波数を表している。
【0059】
図1の画像処理部30は、空間周波数帯域Far(所与の空間周波数帯域)の画像信号
の輝度成分の補正量のみを、プロジェクタ20の使用環境(視環境)に応じて算出し、該
補正量を用いて画像信号の輝度成分を補正する。より具体的には、画像処理部30は、プ
ロジェクタ20の使用環境(視環境)として例えば外光とプロジェクタ20の投射部10
0の出力光の輝度比を採用する。そして、画像処理部30は、信号抽出手段L1によって
抽出された空間周波数帯域Farにおいて、輝度ゲイン算出手段G1によって算出された
入力画像信号の輝度成分Yinの所与のレベル範囲Yarの信号(図3では、範囲Sar
)に対して、該輝度比に応じて、階調補正を行う。これにより、使用環境にかかわらず、
全体的な輝度の傾向を変化させることなく、信号抽出手段L1によって抽出された空間周
波数帯域Farであって、輝度ゲイン算出手段G1によって算出された入力画像信号の輝
度成分Yinの所与のレベル範囲Yarのみ、輝度成分を変化させることができるように
なる。
【0060】
信号抽出手段L1によって抽出される空間周波数帯域や、輝度ゲイン算出手段G1によ
ってゲイン係数gが算出される輝度成分のレベル範囲は、それぞれ指定可能であるため、
指定した空間周波数帯域の指定した輝度成分のレベル範囲のみ、入力画像信号の輝度変化
を増幅させることができる。このため、例えば輝度ゲイン算出手段G1において、暗部で
ある低輝度の輝度成分に対して輝度ゲイン係数を大きくすることで、他の階調の輝度レン
ジを縮めることなく暗部のディテールを表現できるようになる。しかも、画面全体に対し
て一律の補正を行わないので、暗部と明部とが混在している場合であっても、例えば一律
に暗部の輝度も上げたり、或いは一律に明部の輝度も下げたりすることもなく、暗部と明
部の両方のディテールを表現できるようになる。
【0061】
以下、このような階調補正を実現する実施形態1におけるプロジェクタ20の構成例に
ついて詳細に説明する。以下では、画像信号が、輝度信号Y及び色差信号U、Vにより構
成される例について説明するが、本発明に係る画像信号は、これに限定されるものではな
い。
【0062】
図4に、図1のセンサ300及び補正強度算出部310の説明図を示す。図4は、図1
の画像表示システム10においてプロジェクタ20がスクリーンSCRに画像を投射する
様子を横方向から見た図を模式的に表す。図4において、図1と同一部分には同一符号を
付し、適宜説明を省略する。
【0063】
例えば、外部照明350による照明の下で、プロジェクタ20が、スクリーンSCRに
画像を投射するものとする。このとき、外部照明350がスクリーンSCRに映り込むこ
とで、スクリーンSCRの投射画像の見え方が大きく異なってしまう。そこで、センサ3
00は、外部照明350による外光の輝度Yi、プロジェクタ20の投射部100の出力
光の最大輝度Ydを取得し、補正強度算出部310は、輝度Yi、Ydに基づいて、補正
強度HSを算出する。
【0064】
実施形態1では、センサ300をプロジェクタ20の投射領域の方向に向けておき、プ
ロジェクタ20に黒画像と白画像とを表示させる。黒画像を投射したとき、プロジェクタ
20からの漏れ光を無視して、センサ300の測定結果を外部照明350の輝度Yiに相
当する輝度Ys1(Ys1≒Yi)と判断する。一方、白画像を投射したとき、センサ3
00の測定結果をプロジェクタ20(投射部100)の出力光の最大輝度Ydに外部照明
350の輝度Yiが加算された輝度Ys2(Ys2≒Yi+Yd)と判断する。従って、
輝度Ys2から輝度Ys1を差し引くことによって、プロジェクタ20(投射部100)
の出力光の最大輝度Ydを求めることができる。補正強度算出部310は、外光の輝度Y
iと投射部100の出力光の輝度Ydの輝度比R(=Yi/Yd)に対応した補正強度を
算出する。
【0065】
図5に、図1の補正強度算出部310の動作説明図を示す。
【0066】
補正強度算出部310は、入力を輝度比Rとして、出力を補正強度HSとするルックア
ップテーブル(Look Up Table:以下、LUTと略す)により実現される。そのため、補
正強度算出部310には、予め輝度比Ra、Rb、Rc、・・・に対応した補正強度HS
a、HSb、HSc、・・・が記憶されており、輝度比Rが入力されたとき、この輝度比
Rに対応した補正強度を出力するようになっている。
【0067】
この補正強度算出部310は、輝度比が大きくなるほど(外光が明るくなるほど)補正
強度が強くなるように、輝度比Rに対応した補正強度HSを記憶することが望ましい。こ
うすることで、使用環境が明るいとき(輝度Yiが大きいとき)の輝度コントラストの低
下等の影響を確実に防ぐことができるようになる。
【0068】
なお、輝度比Rは、センサ300が、自身の測定結果(輝度Yi、Yd)に基づいて算
出してから補正強度算出部310に出力してもよいし、補正強度算出部310が、センサ
300からの測定結果(輝度Yi、Yd)に基づいて輝度比Rを算出してから、この輝度
比Rに対応した補正強度HSを出力するようにしてもよい。
【0069】
図6に、図1の画像処理部30のハードウェア構成例のブロック図を示す。図6では、
画像処理部30の外部に設けられる補正強度算出部310についても併せて図示している

【0070】
画像処理部30は、ラインメモリ32、多段フィルタ回路(信号抽出回路)40、輝度
信号補正量算出回路(輝度成分補正量算出部)50、輝度信号補正回路(輝度成分補正部
)60を含む。更に、画像処理部30は、ラインメモリ34、色差ゲイン算出回路(色差
成分補正量算出部)80、色差信号補正回路(色差成分補正部)90を含む。
【0071】
ラインメモリ32は、入力画像信号を構成する輝度信号Y(入力画像信号の輝度成分)
を格納する。ラインメモリ32は、多段フィルタ回路40で必要なライン数分だけ輝度信
号Yを格納する。
【0072】
多段フィルタ回路40は、ラインメモリ32に格納された輝度信号Y(画像信号の輝度
成分)から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する。この多段フィルタ回路40は、図2
の信号抽出手段L1の機能を実現することができる。
【0073】
輝度信号補正量算出回路50は、多段フィルタ回路40の出力と、ラインメモリ32に
格納されている輝度信号と、補正強度算出部310からの補正強度HSとに基づいて、輝
度信号の補正量を算出する。この輝度信号補正量算出回路50は、多段フィルタ回路40
によって抽出された所与の空間周波数帯域の輝度信号のうち所与の輝度レベル範囲の輝度
信号に対する補正量を、補正強度算出部310からの補正強度HSに応じて算出すること
ができる。この輝度信号補正量算出回路50は、図2の輝度ゲイン算出手段G1の機能を
実現することができる。
【0074】
輝度信号補正回路60は、輝度信号補正量算出回路50によって算出された補正量を用
いて、ラインメモリ32に格納された輝度信号を補正し、補正後の輝度信号Y1として出
力する。
【0075】
また、画像処理部30は、輝度信号の補正と連動して色差信号を補正することができる
ようになっている。このため、ラインメモリ34には、ラインメモリ32に輝度信号Yが
格納されるタイミングに同期して、該輝度信号に対応した色差信号U、V(入力画像信号
の色差成分)が格納される。
【0076】
色差ゲイン算出回路80は、輝度信号補正回路60による補正前後の輝度信号Y、Y1
に基づいて、例えばXYZ表色系(CIE 1931 standard colorimetric system)のxy色
度の値が変化しないように、色差信号U、Vの補正量を算出する。ここでは、色差ゲイン
算出回路80は、色差信号の補正量に対応したゲイン係数を算出する。
【0077】
色差信号補正回路90は、色差ゲイン算出回路80によって算出された補正量を用いて
、ラインメモリ34に格納された色差信号U、Vを補正し、補正後の色差信号U1、V1
として出力する。これにより、色差信号補正回路90は、輝度信号補正回路60による補
正前後においてxy色度の値が変化しないように色差信号U、Vを補正することができる

【0078】
このように画像処理部30は、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベルの輝度
信号に対してのみ、プロジェクタ20の使用環境に応じて輝度信号を補正することができ
る。また、画像処理部30は、該輝度信号の補正と連動して、輝度信号の補正量に応じて
色差信号を補正することができる。
【0079】
次に、画像処理部30を構成する各ブロックについて説明する。
【0080】
図7に、図6の多段フィルタ回路40の構成例のブロック図を示す。図7において、図
6と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0081】
多段フィルタ回路40は、互いにフィルタサイズが異なる第1〜第3のフィルタ回路4
2、44、46を含む。図7では、多段フィルタ回路40が、3種類のフィルタ回路でフ
ィルタ処理を行う例を説明するが、フィルタ回路の数に本発明が限定されるものではない

【0082】
多段フィルタ回路40は、それぞれが抽出する信号の周波数帯域が異なる複数のフィル
タ回路を有し、各フィルタ回路は、画像の水平方向及び垂直方向に並ぶ画素の画素値と、
フィルタ係数行列との畳み込み演算結果を出力する。
【0083】
第1のフィルタ回路42は、次の式に従ってフィルタ処理された結果を出力することが
できる。
【数1】

【0084】
上式において、第1のフィルタ回路42の出力をFO1、座標(x,y)の輝度信号を
Y(x,y)、フィルタ係数をa、(i,j)は対象画素を中心とした相対座標で上式の
範囲をとり、フィルタサイズをsとする。各フィルタ回路には、フィルタサイズに対応し
たライン数(垂直走査ライン数)の輝度信号が入力される。
【0085】
上式では、第1のフィルタ回路42の出力について示したが、第2及び第3のフィルタ
回路44、46も、上式と同様のフィルタ処理結果を出力することができる(出力FO2
、FO3)。
【0086】
図7では、第1のフィルタ回路42のフィルタサイズを「3」、第2のフィルタ回路4
4のフィルタサイズを「5」、第3のフィルタ回路46のフィルタサイズを「7」とする
が、フィルタサイズに本発明が限定されるものではない。
【0087】
図8に、図6の輝度信号補正量算出回路50の構成例のブロック図を示す。図8におい
て、図6と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図8では、画像処理部3
0の外部に設けられる補正強度算出部310についても併せて図示している。
図9に、図8の重み付け算出回路52の動作説明図を示す。
図10に、図8の輝度ゲイン算出回路56の動作説明図を示す。
図11(A)、図11(B)に、図10の輝度ゲイン算出回路56によって算出される
輝度ゲイン係数hの説明図を示す。図11(A)、図11(B)は、それぞれ、横軸に輝
度、縦軸に輝度ゲイン係数hを表す。
【0088】
輝度信号補正量算出回路50は、重み付け算出回路52、乗算器53〜53、加算
器54、輝度ゲイン算出回路56、乗算器55、57を含む。
【0089】
重み付け算出回路52には、多段フィルタ回路40を構成する第1〜第3のフィルタ回
路42〜46の各フィルタ回路の出力が入力される。そして、重み付け算出回路52は、
図9に示すように、第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力の組み
合わせに応じて、重み付け係数g〜gを算出する。
【0090】
このような重み付け算出回路52は、入力を第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各
フィルタ回路の出力とし、出力を重み付け係数g〜gとするLUTにより実現される
。そのため、重み付け算出回路52には、予め第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各
フィルタ回路の出力の組み合わせに対応した重み付け係数(ga,ga,ga)、
(gb,gb,gb)、(gc,gc,gc)、・・・が記憶されており、
第1〜第3のフィルタ回路42〜46の各フィルタ回路の出力FO1〜FO3が入力され
たとき、これらの組み合わせに対応した重み付け係数を出力するようになっている。
【0091】
重み付け係数gは、第1のフィルタ回路42の出力FO1が入力される乗算器53
に入力される。乗算器53は、第1のフィルタ回路42の出力FO1に重み付け係数g
を乗算した結果を加算器54に出力する。
【0092】
重み付け係数gは、第2のフィルタ回路44の出力FO2が入力される乗算器53
に入力される。乗算器53は、第2のフィルタ回路44の出力FO2に重み付け係数g
を乗算した結果を加算器54に出力する。
【0093】
重み付け係数gは、第3のフィルタ回路46の出力FO3が入力される乗算器53
に入力される。乗算器53は、第3のフィルタ回路46の出力FO3に重み付け係数g
を乗算した結果を加算器54に出力する。
【0094】
加算器54は、乗算器53〜53の各乗算結果を加算し、その加算結果を乗算器5
5に出力する。乗算器55には、輝度ゲイン算出回路56によって算出された輝度ゲイン
係数hが入力されている。
【0095】
輝度ゲイン算出回路56には、入力画像信号を構成する輝度信号が入力される。そして
、輝度ゲイン算出回路56は、図10に示すように、輝度信号のレベル(画像信号の輝度
成分のレベル)に対応した輝度ゲイン係数h(輝度ゲイン)を算出する。
【0096】
このような輝度ゲイン算出回路56は、入力を輝度信号(画像信号の輝度成分)とし、
出力を輝度ゲイン係数hとするLUTにより実現される。そのため、輝度ゲイン算出回路
56には、予め入力画像信号を構成する輝度信号(入力輝度信号)に対応した輝度ゲイン
係数ha、hb、hc、・・・が記憶されており、入力画像信号を構成する輝度信号が入
力されたとき、該輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を出力するようになっている。この
輝度ゲイン算出回路56では、所望の輝度信号に対応した輝度ゲイン係数を指定できるの
で、指定した階調に対してのみ補正量を生成することができる。
【0097】
輝度ゲイン算出回路56は、例えば図11(A)に示すように高輝度領域及び低輝度領
域において大きくなり、中間輝度領域ではほぼ0となる輝度ゲイン係数hを出力すること
が望ましい。或いは輝度ゲイン算出回路56は、例えば図11(B)に示すように低輝度
領域において大きくなり、それ以外の輝度領域ではほぼ0となる輝度ゲイン係数hを出力
することが望ましい。こうすることで、他の輝度領域に影響を与えることなく表示画像の
暗部や明部のディテールを表現できるように入力画像信号を補正できるようになる。
【0098】
乗算器55は、加算器54の加算結果に、輝度ゲイン算出回路56からの輝度ゲイン係
数hを乗算する。乗算器55の乗算結果は、乗算器57に入力される。乗算器57には、
補正強度算出部310によって上述のように求められた補正強度HSが入力されている。
乗算器57は、乗算器55の乗算結果に、補正強度HSを乗算することで、輝度信号の補
正量に対応した補正信号VAを出力する。この補正信号VAは、輝度信号補正回路60に
入力される。
【0099】
このように、輝度信号補正量算出回路50は、多段フィルタ回路40(広義には信号抽
出回路)によって抽出された所与の空間周波数帯域の信号と、輝度ゲイン算出回路56に
よって算出された輝度ゲイン係数と、プロジェクタ20の使用環境に対応した補正強度算
出部310からの補正強度HSとに基づいて、輝度信号の補正量を算出することができる
。補正強度HSは、輝度比Rに対応しているため、輝度信号補正量算出回路50は、所与
の空間周波数帯域の信号と、輝度ゲイン係数と、輝度比とに基づいて、輝度信号の補正量
を算出することができる。そして、輝度信号補正回路60は、例えば入力画像信号を構成
する輝度信号に、輝度信号補正量算出回路50からの補正信号VAを加算することで、補
正後の輝度信号Y1を出力する。
【0100】
また、輝度信号の補正と連動した、輝度信号の補正量に応じた色差信号の補正処理は、
次のような構成で実現できる。
【0101】
図12に、図6の色差ゲイン算出回路80の構成例のブロック図を示す。図12におい
て、図6と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0102】
色差ゲイン算出回路80は、色差信号調整回路82と、調整パラメータ記憶部84とを
含む。色差信号調整回路82には、入力画像信号を構成する輝度信号(入力画像信号の輝
度成分)Yinと、輝度信号Yinを上記のように補正した輝度信号Youtと、調整パ
ラメータ記憶部84に記憶された調整パラメータbとが入力される。そして、色差信号調
整回路82は、輝度信号Yin、Yout、調整パラメータbを用いて、色差ゲイン係数
(色差ゲイン)gcを算出する。
【0103】
より具体的には、色差ゲイン算出回路80は、次式に従って色差ゲイン係数gcを算出
する。
【数2】

【0104】
上式において、調整パラメータbは、色度を調整するためのパラメータである。調整パ
ラメータbが「0」のとき、入力画像信号を構成する色差信号(色差成分)は補正される
ことなくそのまま出力される。一方、調整パラメータbが「1」のとき、入力画像信号の
輝度信号の補正前後において色度が変化しないように、輝度信号の補正量に応じて色差信
号も補正される。調整パラメータbは、「0」より大きく「1」より小さい値とすること
もできるが、実施形態1では、調整パラメータbが「1」であることが望ましい。
【0105】
図13に、図12の色差ゲイン算出回路80の動作例の説明図を示す。図13では、調
整パラメータbが「1」であるものとする。
【0106】
縦軸に輝度信号、横軸に色差信号を示す色空間を表すと、RGBのR成分とG成分及び
B成分とは図13に示す方向に定義される。ここで、領域DISPは、表示機器で再現可
能な色域を表す。このとき、入力画像信号の色が座標P0のとき、座標P0を通る等値線
SV上では、xy色度図の値が等しい。
【0107】
ところが、入力画像信号を構成する輝度信号を上記のように補正すると、座標P1に移
動してしまう。そのため、等値線SV上に座標P1が存在しなくなり、輝度信号を補正し
た後の色の傾向が変化してしまう。
【0108】
そこで、色差ゲイン算出回路80では、座標P0の入力信号の色を等値線SV上の座標
P2に変換するように輝度信号の補正量に応じて色差信号を補正するために、色差ゲイン
係数gcを算出する。これにより、輝度信号を補正したとしても、補正後の輝度レベルを
変えることなく、画面全体の色の傾向を維持させることができる。従って、補正前後で各
画素の色度が変化することなく、見た目に自然な補正を実現できるようになる。
【0109】
このように算出された色差ゲイン係数gcは、色差信号補正回路90に入力される。色
差信号補正回路90は、色差ゲイン係数gcをラインメモリ34からの色差信号Uに乗算
すると共に、該色差ゲイン係数gcをラインメモリ34からの色差信号Vに乗算する。こ
うして補正された色差信号U、Vは、投射部100に入力される。
【0110】
このように、画像処理部30は、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号
を補正することができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が変化し
て画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現す
る場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0111】
実施形態1における画像処理部30の処理は、ソフトウェア処理によって実現すること
もできる。この場合、画像処理部30は、中央演算処理装置(Central Processing Unit
:以下、CPUと略す)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:以下、ROMと略す
)又はランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:以下、RAMと略す)を有し、
ROM又はRAMに格納されたプログラムを読み込んだCPUが、該プログラムに対応し
た処理を実行することで乗算器や加算器等のハードウェアを制御して、上記の輝度成分及
び色差成分の補正処理を行う。
【0112】
図14に、実施形態1における画像処理部30の輝度信号の補正処理例のフロー図を示
す。図14の処理をソフトウェアで実現する場合、画像処理部30が内蔵するROM又は
RAMに図14に示す処理を実現するプログラムが格納される。
【0113】
まず、画像処理部30は、入力輝度信号蓄積ステップとして、入力画像信号を構成する
輝度信号(入力輝度信号)を蓄積する(ステップS10)。この場合、輝度信号は、ライ
ンメモリ32、又はラインメモリ32の機能を実現するRAMに格納される。
【0114】
次に、画像処理部30は、使用環境情報取得ステップとして、センサ300によって測
定された外部照明の輝度と投射部100の出力光の最大輝度とに基づいて算出された輝度
比(広義には使用環境情報、視環境)を取得する(ステップS12)。例えば、上述した
ように、プロジェクタ20の投射部100が黒画像を表示したときの輝度と投射部100
が白画像を表示したときの輝度とに基づいて、輝度比Rを算出することができる。
【0115】
続いて、画像処理部30は、信号抽出ステップとして、輝度信号の特定の空間周波数帯
域を抽出する(ステップS14)。例えば、多段フィルタ回路40により所与の空間周波
数帯域の輝度信号を抽出する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが
多段フィルタ回路40の機能を実現する乗算器や加算器を制御して上記の空間周波数帯域
の輝度信号を抽出する。
【0116】
その後、画像処理部30は、輝度成分補正量算出ステップとして、輝度信号の補正量を
算出する(ステップS16)。即ち、輝度信号補正量算出回路50が、多段フィルタ回路
40で抽出された信号に応じて重み付けされた後、入力画像信号を構成する輝度信号の輝
度レベルに応じた係数で乗算された補正信号VAを出力する。或いは、ソフトウェア処理
で実現する場合には、CPUが、信号抽出処理により抽出した信号に応じて重み付けした
後、入力画像信号を構成する輝度信号の輝度レベルに応じた係数で乗算した補正信号VA
を生成する。即ち、ステップS16では、輝度ゲイン算出ステップとして、画像信号の輝
度成分のレベルに対応した輝度ゲインが算出される。そして、ステップS14において抽
出された空間周波数帯域の信号と、ステップS16において算出された輝度ゲインとに基
づいて、輝度成分の補正量が算出される。
【0117】
そして、画像処理部30は、輝度成分補正ステップとして、ステップS16で算出され
た補正量を用いて、入力画像信号を構成する輝度信号を補正し(ステップS18)、補正
後の輝度信号を出力して(ステップS20)、一連の処理を終了する(エンド)。即ち、
ステップS18では、輝度信号補正回路60が、入力画像信号を構成する輝度信号に、補
正信号VAを加算して、補正後の輝度信号を生成する。或いは、ソフトウェア処理で実現
する場合には、CPUが、入力画像信号を構成する輝度信号に、補正信号VAを加算して
、補正後の輝度信号を生成する。
【0118】
なお、ステップS12とステップS14の順番を入れ替えても、同様の処理を実現でき
る。
【0119】
図15に、実施形態1における画像処理部30の色差信号の補正処理例のフロー図を示
す。図15の処理をソフトウェアで実現する場合、画像処理部30が内蔵するROM又は
RAMに図15に示す処理を実現するプログラムが格納される。
【0120】
まず、画像処理部30は、入力色差信号蓄積ステップとして、入力画像信号を構成する
色差信号(入力色差信号)を蓄積する(ステップS30)。この場合、色差信号は、ライ
ンメモリ32、又はラインメモリ32の機能を実現するRAMに格納される。
【0121】
次に、画像処理部30は、色差成分補正量算出ステップとして、図14の輝度信号の補
正処理における補正前後の輝度信号に応じて、色差信号を調整する色差ゲイン係数を算出
する(ステップS32)。例えば、色差信号調整回路82が、補正前後の輝度信号と予め
指定された調整パラメータとに対応した色差ゲイン係数gcを出力する。或いは、ソフト
ウェア処理で実現する場合には、CPUが、予め決められた調整パラメータbを用いて上
記の(2)式に従って色差ゲイン係数gcを出力する。このように、ステップS32では
、輝度成分補正ステップにおける補正前後においてxy色度の値が変化しないように画像
信号の色差成分の補正量が算出される。
【0122】
続いて、画像処理部30は、色差成分補正ステップとして、ステップS32で算出され
た色差成分の補正量(色差ゲイン係数)を用いて、入力画像信号を構成する色差信号を補
正し(ステップS34)、補正後の色差信号を出力して(ステップS36)、一連の処理
を終了する(エンド)。即ち、ステップS34では、色差信号補正回路90が、入力画像
信号を構成する色差信号に、ステップS32で算出された色差ゲイン係数を乗算して、補
正後の色差信号を生成する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、
入力画像信号を構成する色差信号に、上記の色差ゲイン係数を乗算して補正後の色差信号
を生成する。このように、ステップS34では、輝度成分補正ステップにおける補正前後
においてxy色度の値が変化しないように画像信号の色差成分が補正される。
【0123】
画像処理部30によって補正された輝度信号Y1、色差信号U1、V1は、投射部10
0に出力される。投射部100は、輝度信号Y1及び色差信号U1、V1に基づいて、光
源からの光を変調し、変調後の光をスクリーンSCRに投射することができる。
【0124】
図16に、図1の投射部100の構成例の図を示す。図16では、実施形態1における
投射部100が、いわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものとして説明す
るが、本発明に係る画像表示装置の投射部がいわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構
成されるものに限定されるものではない。即ち、以下では、1画素がR成分のサブ画素、
G成分のサブ画素、及びB成分のサブ画素により構成されるものとして説明するが、1画
素を構成するサブ画素数(色成分数)に限定されるものではない。
【0125】
また、図16では、画像処理部30から入力される輝度信号Y1、色差信号U1、V1
が、RGBの各色成分の画像信号に変換された後、色成分毎に光源からの光を変調するも
のとする。この場合、RGB信号への変換回路は、画像処理部30が備えていてもよいし
、投射部100が備えていてもよい。
【0126】
実施形態1における投射部100は、光源110、インテグレータレンズ112、11
4、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用
ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G
用フィールドレンズ124G、R用液晶パネル130R(第1の光変調素子)、G用液晶
パネル130G(第2の光変調素子)、B用液晶パネル130B(第3の光変調素子)、
リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用
いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレ
ンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0127】
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成
分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレータレンズ112は、光源110か
らの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ
114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有
する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出され
る部分光を液晶パネル上で重畳する。
【0128】
また偏光変換素子116は、偏光ビームスプリッタアレイとλ/2板とを有し、光源1
10からの光を略一種類の偏光光に変換する。偏光ビームスプリッタアレイは、インテグ
レータレンズ112により分割された部分光をp偏光とs偏光に分離する偏光分離膜と、
偏光分離膜からの光の向きを変える反射膜とを、交互に配列した構造を有する。偏光分離
膜で分離された2種類の偏光光は、λ/2板によって偏光方向が揃えられる。この偏光変
換素子116によって略一種類の偏光光に変換された光が、重畳レンズ118に照射され
る。
【0129】
重畳レンズ118からの光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用
ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過
させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロ
イックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光
は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0130】
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させ
る機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系14
0に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレ
ンズ124Gに導かれる。
【0131】
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の
光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リ
レーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ14
2を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレン
ズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレ
ーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
【0132】
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル
130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能
し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従
って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に
基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0133】
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル
130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能
し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従
って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に
基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0134】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パ
ネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率
(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入
射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がク
ロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0135】
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G、B用液晶パネル130Bは、それ
ぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明な
ガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタをスイッチ
ング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
【0136】
実施形態1では、1画素を構成する色成分毎に光変調素子としての液晶パネルが設けら
れ、各液晶パネルの透過率がサブ画素に対応した画像信号により制御される。即ち、R成
分のサブ画素用の画像信号が、R用液晶パネル130Rの透過率(通過率、変調率)の制
御に用いられ、G成分のサブ画素用の画像信号が、G用液晶パネル130Gの透過率の制
御に用いられ、B成分のサブ画素用の画像信号が、B用液晶パネル130Bの透過率の制
御に用いられる。
【0137】
クロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル1
30G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力す
る機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像さ
せるレンズである。
【0138】
実施形態1における階調補正処理を行った後に、画像表示ステップとしてこのような投
射部100を制御して、上記の階調補正処理において補正された画像信号に基づいて画像
を表示することで、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテールの表現を改善
する画像表示方法を提供できる。
【0139】
以上のように、実施形態1では、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号
を補正する。このとき、輝度信号については、プロジェクタ20の使用環境に応じて補正
され、その補正対象が所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の輝度信号の
みに限定される。
【0140】
〔実施形態1の第1の変形例〕
実施形態1における画像処理部30では、輝度信号補正量算出回路50が、図8に示す
ように、重み付け算出回路52と輝度ゲイン算出回路56とを有し、重み付け係数や輝度
ゲイン係数を乗算する乗算器により補正信号VAを生成する構成となっていたが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0141】
図17に、実施形態1の第1の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロ
ック図を示す。例えば実施形態1における輝度信号補正量算出回路50に代えて、図17
に示す輝度信号補正量算出回路が図6の画像処理部30に内蔵される。
【0142】
輝度信号補正量算出回路200は、第1〜第3のLUT202〜202、乗算器2
04〜204、加算器206を含む。この輝度信号補正量算出回路200は、第1〜
第3のLUT202〜202の各LUTからの輝度ゲイン係数を、多段フィルタ回路
40の各出力に乗算した後、各乗算結果を加算して補正信号VAとして出力する。
【0143】
図18(A)、図18(B)、図18(C)に、図17の第1〜第3のLUT202
〜202の動作説明図を示す。
【0144】
第1のLUT202には、補正強度算出部310によって算出された補正強度HS及
び入力画像信号を構成する輝度信号が入力され、該輝度信号及び補正強度HSに対応した
輝度ゲイン係数jを出力する。そのため、第1のLUT202には、予め輝度信号及
び補正強度HSに対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されてお
り、輝度信号及び補正強度HSが入力されたとき該輝度信号及び補正強度HSに対応した
輝度ゲイン係数を輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0145】
第2のLUT202には、補正強度算出部310によって算出された補正強度HS及
び入力画像信号を構成する輝度信号が入力され、該輝度信号及び補正強度HSに対応した
輝度ゲイン係数jを出力する。そのため、第2のLUT202には、予め輝度信号及
び補正強度HSに対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されてお
り、輝度信号及び補正強度HSが入力されたとき該輝度信号及び補正強度HSに対応した
輝度ゲイン係数を輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0146】
第3のLUT202には、補正強度算出部310によって算出された補正強度HS及
び入力画像信号を構成する輝度信号が入力され、該輝度信号及び補正強度HSに対応した
輝度ゲイン係数jを出力する。そのため、第3のLUT202には、予め輝度信号及
び補正強度HSに対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されてお
り、輝度信号及び補正強度HSが入力されたとき該輝度信号及び補正強度HSに対応した
輝度ゲイン係数を輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0147】
図17において、乗算器204は、多段フィルタ回路40を構成する第1のフィルタ
回路42の出力FO1と第1のLUT202からの輝度ゲイン係数jとを乗算し、乗
算結果を加算器206に出力する。乗算器204は、多段フィルタ回路40を構成する
第2のフィルタ回路44の出力FO2と第2のLUT202からの輝度ゲイン係数j
とを乗算し、乗算結果を加算器206に出力する。乗算器204は、多段フィルタ回路
40を構成する第3のフィルタ回路46の出力FO3と第3のLUT202からの輝度
ゲイン係数jとを乗算し、乗算結果を加算器206に出力する。
【0148】
加算器206は、乗算器204〜204の各乗算結果を加算し、加算結果を補正信
号VAとして出力する。
【0149】
以上のように、実施形態1の第1の変形例における画像処理部は、画像信号の輝度成分
から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路40を含み、輝度信号補正
量算出回路200は、多段フィルタ回路40の出力ごとに設けられ、補正強度HS及び補
正前の輝度成分のレベルに対応したゲインを出力する複数のテーブルと、多段フィルタ回
路40の出力ごとに設けられ多段フィルタ回路40の出力と上記の複数のテーブルを構成
する各テーブルの出力とを乗算する複数の乗算器と、複数の乗算器の乗算結果を加算する
加算器とを含み、加算器の出力を輝度成分の補正量として算出することができる。補正強
度HSは、輝度比Rに対応しているため、輝度信号補正量算出回路200は、多段フィル
タ回路40の出力ごとに設けられ、輝度比R及び補正前の輝度成分のレベルに対応したゲ
インを出力する複数のテーブルを備えることを意味する。
【0150】
このような実施形態1の第1の変形例では、実施形態1と同様に、所与の空間周波数帯
域において所与の輝度レベル範囲の輝度信号のみを、プロジェクタ20の使用環境に応じ
て補正できると共に、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正するこ
とができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が変化して画面の全体
的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に画面
全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0151】
また、実施形態1の第1の変形例によれば、実施形態1と比較して、輝度信号補正量算
出回路に内蔵される乗算器の数を減らすことができるので、低消費電力化及び低コスト化
が可能となる。
【0152】
〔実施形態1の第2の変形例〕
実施形態1の第1の変形例における輝度信号補正量算出回路200は、図17に示すよ
うに、第1〜第3のLUT202〜202と、乗算器204〜204と、加算器
206とを有し、第1〜第3のLUT202〜202からの輝度ゲイン係数を用いた
乗算器の乗算結果を加算する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0153】
図19に、実施形態1の第2の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロ
ック図を示す。例えば実施形態1における輝度信号補正量算出回路50に代えて、図19
に示す輝度信号補正量算出回路250が図6の画像処理部30に内蔵される。
【0154】
輝度信号補正量算出回路250は、LUT252を含む。この輝度信号補正量算出回路
250は、LUT252からの出力を補正信号VAとして出力する。
【0155】
図20に、図19のLUT252の動作説明図を示す。
【0156】
LUT252には、補正強度算出部310によって算出された補正強度HS及び入力画
像信号を構成する輝度信号と、多段フィルタ回路40を構成する第1〜第3のフィルタ回
路42〜44の各フィルタ回路の出力FO1〜FO3が入力され、補正強度HS、輝度信
号及び各フィルタ回路の出力との組み合わせに対応した補正量を出力する。この補正量が
、補正信号VAとして出力される。そのため、LUT252には、予め補正強度HS、輝
度信号及び各フィルタ回路の出力FO1〜FO3との組み合わせに対応した補正量VAa
、VAb、・・・、VAc、VAd、・・・、VAe、VAf、・・・が記憶されており
、補正強度HS、輝度信号及び各フィルタ回路の出力が入力されたとき、これらの組み合
わせに対応した補正量を出力するようになっている。
【0157】
以上のように、実施形態1の第2の変形例における画像処理部は、画像信号の輝度成分
から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路(広義には信号抽出回路)
40を含み、輝度信号補正量算出回路250は、多段フィルタ回路40の出力と補正強度
HSと補正前の輝度成分のレベルとに対応した輝度成分の補正量を出力するテーブルを含
むことができる。補正強度HSは、輝度比Rに対応しているため、輝度信号補正量算出回
路250は、多段フィルタ回路40の出力と輝度比Rと補正前の輝度成分のレベルとに対
応した輝度成分の補正量を出力するテーブルを含むことを意味する。そして、このテーブ
ルが出力する補正量を補正信号VAとして出力する。
【0158】
実施形態1の第2の変形例では、実施形態1又は実施形態1の第1の変形例と同様に、
所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の輝度信号のみを、プロジェクタ2
0の使用環境に応じて補正できると共に、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色
差信号を補正することができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が
変化して画面の全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを
表現する場合に画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0159】
また、実施形態1の第2の変形例によれば、実施形態1又は実施形態1の第1の変形例
と比較して、輝度信号補正量算出回路に内蔵される乗算器及び加算器を無くすことができ
るので、大幅な低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0160】
〔実施形態2〕
実施形態1又はその変形例では、画像のディテールと輝度ノイズとを区別することなく
、入力輝度信号に対して階調補正処理を行っていたが、本発明はこれに限定されるもので
はない。本発明に係る実施形態2では、入力画像信号の輝度成分の高周波成分に応じて、
階調の補正強度を異ならせることで、画像のディテールと輝度ノイズとを区別して入力輝
度信号に対する階調補正処理を行う。
【0161】
このような実施形態2における画像処理部400は、図1の画像処理部30に代えて、
センサ300及び補正強度算出部310を有するプロジェクタ20に搭載される。この画
像処理部400は、図2に示すように実施形態1と同様の階調補正処理を行う際に、入力
画像IMGinの画像信号の輝度成分に含まれる輝度ノイズ量を考慮して、図示しない周
波数ゲイン算出手段によってゲイン係数f(周波数ゲイン係数。広義には周波数ゲイン。
以下同様)を算出し、このゲイン係数fを、信号gYに掛け合わせることで、暗部のデ
ィテールと輝度ノイズとを区別して、表示画像の暗部のディテールのみが強調されるよう
にしている。
【0162】
図21に、実施形態2における画像処理部400の動作説明図を示す。図21では、3
次元の座標系において、入力画像信号の輝度成分、該輝度成分の空間周波数、該輝度成分
の高周波成分の信号YHPFを模式的に表している。
【0163】
実施形態2における画像処理部400は、画像信号の輝度成分の空間周波数を解析し、
空間周波数帯域Far(所与の空間周波数帯域)のみにおいて画像信号の輝度成分の補正
量を、プロジェクタの使用環境に対応した輝度比(又は補正強度)と画像信号の輝度成分
の空間周波数の解析結果に応じて算出し、該補正量を用いて画像信号の輝度成分を補正す
る。より具体的には、画像処理部400は、信号抽出手段L1によって抽出された画像信
号の輝度成分の空間周波数帯域Farにおいて、輝度ゲイン算出手段G1によって算出さ
れた入力画像信号の輝度信号Yinの所与のレベル範囲Yarの信号(図21では、範囲
Sar)に対して、階調補正を行う。このとき、入力画像信号の輝度成分の高周波成分と
プロジェクタの使用環境に対応した輝度比(又は補正強度)に応じて、階調の補正強度を
異ならせる。例えば、プロジェクタが同一の環境下で使用されるものとすると、輝度成分
の高周波成分が多いとき、所望の信号成分が多く輝度ノイズが少ないと判断して補正強度
を強くし、輝度成分の高周波成分が少ないとき、所望の信号成分が少なく輝度成分ノイズ
が多いと判断して、補正強度を弱くする。これにより、画像の輝度ノイズを強調してしま
うことなく全体的な輝度の傾向を変化させずに、信号抽出手段L1によって抽出された空
間周波数帯域Farであって、輝度ゲイン算出手段G1によって算出された入力画像信号
を構成する輝度信号Yinの所与のレベル範囲Yarのみ、輝度成分を変化させることが
できるようになる。
【0164】
信号抽出手段L1によって抽出される空間周波数帯域、輝度ゲイン算出手段G1によっ
てゲイン係数gが算出される輝度成分のレベル範囲、輝度成分の高周波帯域や補正強度は
、それぞれ指定可能であるため、指定した空間周波数帯域の指定した輝度成分のレベル範
囲のみ、入力画像信号の輝度変化を、輝度ノイズ量に合わせて増幅させることができる。
このため、例えば輝度ゲイン算出手段G1において、暗部である低輝度の輝度成分に対し
て輝度ゲイン係数を大きくすることで、他の階調の輝度レンジを縮めることなく暗部のデ
ィテールを表現できるようになる。
【0165】
しかも、画面全体に対して一律の補正を行わないので、暗部と明部とが混在している場
合であっても、例えば一律に暗部の輝度も上げたり、或いは一律に明部の輝度も下げたり
することもなく、暗部と明部の両方のディテールを表現できるようになる。例えば、図2
1に示す場合には、入力画像信号の輝度の中周波数帯域から高周波数帯域に対して補正す
るため、入力画像の全体的な明るさを変化させずに、ディテールのみを強調できるように
なる。更に、画像の暗部のディテールと輝度ノイズとを区別することができるので、暗部
のディテールと一緒に輝度ノイズを強調してしまう事態を回避できるようになる。
【0166】
以下、このような階調補正を実現する実施形態2におけるプロジェクタの構成例及び処
理例について説明するが、実施形態1におけるプロジェクタ20と同一部分には同一符号
を付し、適宜説明を省略する。
【0167】
図22に、実施形態2における画像処理部400のハードウェア構成例のブロック図を
示す。図22において、図6と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図2
2では、画像処理部400の外部に設けられる補正強度算出部310についても併せて図
示している。
【0168】
図22の画像処理部400が図6の画像処理部30と異なる点は、画像処理部400が
、高周波成分抽出回路や輝度ノイズ除去回路として機能する周波数解析回路(周波数解析
部)70が追加され、輝度信号補正量算出回路50に代えて輝度信号補正量算出回路45
0が設けられている点である。
【0169】
周波数解析回路70は、ラインメモリ32に格納されている輝度信号の空間周波数を解
析する。より具体的には、周波数解析回路70は、輝度信号の高周波成分を抽出すると共
に、ラインメモリ32からの輝度信号から輝度ノイズを除去することができる。周波数解
析回路70によって抽出された輝度信号の高周波成分の絶対値である出力highYは、
周波数解析回路70の解析結果として輝度信号補正量算出回路450に供給される。周波
数解析回路70によって輝度ノイズが除去された輝度信号は、輝度信号NRとして輝度信
号補正回路60に供給される。
【0170】
輝度信号補正量算出回路450は、多段フィルタ回路40の出力と、ラインメモリ32
に格納されている輝度信号と、周波数解析回路70の解析結果と、補正強度算出部310
からの補正強度HSとに基づいて、輝度信号の補正量に対応する補正信号VAを算出する
。この輝度信号補正量算出回路450は、出力highY及び補正強度HS(又は輝度比
R)に応じて、多段フィルタ回路40によって抽出された所与の空間周波数帯域の輝度信
号のうち所与の輝度レベル範囲の輝度信号に対する補正量を算出することができる。
【0171】
ここで、出力highYは、入力画像の暗部のディテールや輝度ノイズに対応した信号
である。即ち、同一の環境下で使用される場合、輝度信号補正量算出回路450は、出力
highYのレベルに応じて、輝度ノイズが小さいと判断されるときには補正強度が強く
なるように補正量を生成し、輝度ノイズが大きいと判断されるときには補正強度が弱くな
るように補正量を生成することができる。この輝度信号補正量算出回路450は、図2の
輝度ゲイン算出手段G1や図示しない周波数ゲイン算出手段の機能を実現することができ
る。
【0172】
輝度信号補正回路60は、輝度信号補正量算出回路450によって算出された補正信号
VAを用いて、周波数解析回路70によって輝度ノイズが除去された輝度信号NRを補正
し、補正後の輝度信号Y1として出力する。
【0173】
このように画像処理部400は、所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベルの輝
度信号に対してのみ、入力画像の輝度信号の空間周波数の解析結果及び補正強度HSに応
じて輝度信号を補正することができる。また、画像処理部400は、該輝度信号の補正と
連動して、輝度信号の補正量に応じて色差信号を補正することができる。
【0174】
次に、その他のブロックについては、画像処理部30の対応するブロックと同様である
ため、画像処理部400特有のブロックである周波数解析回路70及び輝度信号補正量算
出回路450について説明する。
【0175】
図23に、図22の周波数解析回路70の構成例のブロック図を示す。図23において
、図22と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0176】
周波数解析回路70は、高周波成分抽出回路(高周波成分抽出部)72と、輝度ノイズ
除去回路(輝度ノイズ除去部)74とを含む。高周波成分抽出回路72は、ラインメモリ
32に蓄積された輝度信号から、画像の暗部のディテールと輝度ノイズが含まれる所与の
高周波成分を抽出して、その絶対値を出力highYとして出力する。輝度ノイズ除去回
路74は、ラインメモリ32に蓄積された輝度信号から、輝度ノイズを除去した輝度信号
NRを生成する。ここで、輝度ノイズ除去回路74は、高周波成分抽出回路72によって
抽出された高周波成分を用いて、輝度信号NRを生成する。
【0177】
高周波成分抽出回路72は、HPF(High Pass Filter)回路73を含む。HPF回路
73には、ラインメモリ32から輝度信号が入力され、該輝度信号の高周波成分の絶対値
を出力highYとして、輝度信号補正量算出回路50や輝度ノイズ除去回路74に出力
する。このようなHPF回路73は、公知のHPF処理により、次式に従って出力hig
hYを、高周波成分の絶対値として出力する。
【数3】

【0178】
ここで、highYはHPF回路73の出力、Yは入力輝度信号、(x,y)は対象画
素の座標であり、aHPFはフィルタ係数、(u,v)は対象画素を中心とした相対座標
系で上記の範囲をとり、sはフィルタのサイズを表す。sは、例えば「3」とすることが
できるが、「3」以外であってもよい。
【0179】
輝度ノイズ除去回路74は、LPF(Low Pass Filter)回路75、重み付け算出回路
76、乗算器77、78、加算器79を含む。LPF回路75には、ラインメモリ32か
ら輝度信号が入力され、該輝度信号の低周波成分を通す。このようなLPF回路75は、
公知のLPF処理により、次式に従って出力lowYを出力する。
【数4】

【0180】
ここで、lowYはLPF回路75の出力、Yは入力輝度信号、(x,y)は対象画素
の座標であり、aLPFはフィルタ係数、(u,v)は対象画素を中心とした相対座標系
で上記の範囲をとり、sはフィルタのサイズを表す。sは、例えば「5」とすることがで
きるが、「5」以外であってもよく、HPF回路73のフィルタサイズより大きいことが
望ましい。
【0181】
図24に、図23のHPF回路73、LPF回路75のフィルタ特性の一例を示す。図
24は、横軸に輝度信号の周波数、縦軸にゲインを表す。
【0182】
HPF回路73の出力は、輝度信号の空間周波数が低い領域では小さくなり、輝度信号
の空間周波数が高い領域では大きくなる(図24のT1)。このHPF回路73のカット
オフ周波数は、ωHPFである。一方、LPF回路75の出力は、輝度信号の空間周波数
が低い領域では大きくなり、輝度信号の空間周波数が高い領域では小さくなる(図24の
T2)。このLPF回路75のカットオフ周波数は、ωLPFである。ここで、HPF回
路73のカットオフ周波数とLPF回路75のカットオフ周波数とは等しいことが望まし
い(ωHPF=ωLPF=ωcut)。これにより、元の輝度信号の情報を欠落させるこ
となく、輝度信号を補正することができるようになる。
【0183】
図23において、重み付け算出回路76は、高周波成分抽出回路72からの出力に応じ
て、重み付け量を算出する。重み付け算出回路76は、HPF回路73の出力highY
に対応した重み付け量をLUT形式で保存しており、HPF回路73からの出力に対応し
た値を読み出したり、HPF回路73からの出力に対応した複数の値を補間して出力した
りできるようになっている。
【0184】
図25に、重み付け算出回路76の動作説明図を示す。
【0185】
重み付け算出回路76は、HPF回路73の出力に応じて、乗算器77に対して重み付
け係数αLPFを出力すると共に、乗算器78に対して重み付け係数αHPFを出力する
。より具体的には、重み付け算出回路76は、HPF回路73からの出力に対応した重み
付け係数αHPF、αLPFを予めLUT形式により記憶されている。すなわち、重み付
け算出回路76には、予めHPF回路73の出力に対応した重み付け係数(αHPFa,
αLPFa)、(αHPFb,αLPFb)、(αHPFc,αLPFc)、・・・が記
憶されており、HPF回路73の出力highYが入力されたとき、これに対応した重み
付け係数αHPF、αLPFを出力するようになっている。
【0186】
図26に、重み付け算出回路76が出力する重み付け係数αHPF、αLPFの説明図
を示す。図26は、横軸にHPF回路73の出力、縦軸に重み付け算出回路76が出力す
る重み付け量としての重み付け係数αHPF、αLPFを表す。
【0187】
重み付け算出回路76には、HPF回路73の出力highYが大きくなるに従って、
値が大きくなる重み付け係数αHPFを記憶する(図26のT10)と共に、HPF回路
73の出力highYが大きくなるに従って、値が小さくなる重み付け係数αLPFを記
憶する(図26のT11)。なお、図26では、HPF回路73の出力highYに応じ
て重み付け係数αHPF、αLPFがリニアに増加又は減少しているが、所与の関数に従
って重み付け係数αHPF、αLPFが増加又は減少していてもよい。
【0188】
図23において、乗算器77は、LPF回路75の出力と重み付け算出回路76からの
重み付け係数αLPFとの乗算結果を出力し、加算器79に出力する。乗算器78は、H
PF回路73の出力と重み付け算出回路76からの重み付け係数αHPFとの乗算結果を
出力し、加算器79に出力する。加算器79は、乗算器77の乗算結果と乗算器78の乗
算結果とを加算し、輝度ノイズを除去した後の輝度信号NRとして出力する。即ち、輝度
ノイズ除去回路74は、次の式に従って輝度信号NRを出力する。
【数5】

【0189】
上式において、highYはHPF回路73の出力であり、lowYはLPF回路75
の出力である。
【0190】
重み付け算出回路76が、図26に示したように重み付け係数αHPF、αLPFを出
力するため、輝度信号NRは、高周波の輝度ノイズが除去された信号となる。即ち、HP
F回路73の出力highYが小さい領域は、主として低周波数帯域に分布する輝度信号
に対応しており、重み付け係数αHPFを小さくし、重み付け係数αLPFを大きくする
ことで、輝度ノイズを強調させることなく、所望の輝度信号NRを得ることができる。一
方、HPF回路73の出力highYが大きい領域は、主として高周波数帯域に分布する
輝度信号に対応しており、重み付け係数αHPFを大きくし、重み付け係数αLPFを小
さくすることで、エッジ情報を維持又は強調させて、所望の輝度信号NRを得ることがで
きる。
【0191】
なお、図23では、周波数解析回路70が、高周波成分抽出回路72及び輝度ノイズ除
去回路74を含む構成を有しているものとして説明したが、周波数解析回路70が高周波
成分抽出回路72のみを含む構成を有し、ラインメモリ32に蓄積された輝度信号がその
まま輝度信号NRとして輝度信号補正回路60に供給されてもよい。
【0192】
図27に、図22の輝度信号補正量算出回路450の構成例のブロック図を示す。図2
7において、図8又は図22と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図2
7では、画像処理部の外部に設けられる補正強度算出部310についても併せて図示して
いる。
図28に、図27の周波数ゲイン算出回路の動作説明図を示す。
【0193】
輝度信号補正量算出回路450は、重み付け係数記憶回路452、乗算器53〜53
、加算器54、乗算器55、輝度ゲイン算出回路(輝度ゲイン算出部)56、周波数ゲ
イン算出回路(周波数ゲイン算出部)458、乗算器57、59を含む。輝度信号補正量
算出回路450が、図8に示す輝度信号補正量算出回路50と異なる点は、重み付け算出
回路52に代えて重み付け係数記憶回路452が設けられると共に、周波数ゲイン算出回
路458と乗算器59とが追加され、周波数ゲイン係数fを加味した補正信号VAが生成
される点である。
【0194】
このような輝度信号補正量算出回路450において、重み付け係数記憶回路452は、
予め決められた定数値である重み付け係数g〜gを記憶する。重み付け係数gは、
第1のフィルタ回路42の出力FO1が入力される乗算器53に入力される。乗算器5
は、第1のフィルタ回路42の出力FO1に重み付け係数gを乗算した結果を加算
器54に出力する。
【0195】
重み付け係数gは、第2のフィルタ回路44の出力FO2が入力される乗算器53
に入力される。乗算器53は、第2のフィルタ回路44の出力FO2に重み付け係数g
を乗算した結果を加算器54に出力する。
【0196】
重み付け係数gは、第3のフィルタ回路46の出力FO3が入力される乗算器53
に入力される。乗算器53は、第3のフィルタ回路46の出力FO3に重み付け係数g
を乗算した結果を加算器54に出力する。
【0197】
加算器54は、乗算器53〜53の各乗算結果を加算し、その加算結果を乗算器5
5に出力する。乗算器55には、輝度ゲイン算出回路56によって算出された輝度ゲイン
係数hが入力されている。
【0198】
このような乗算器55の乗算結果が入力される乗算器59には、周波数ゲイン算出回路
458によって算出された周波数ゲイン係数fが入力されている。周波数ゲイン算出回路
458には、図23のHPF回路73からの出力highYが入力される。そして、周波
数ゲイン算出回路458は、図28に示すように、HPF回路73の出力highYのレ
ベルに対応した周波数ゲイン係数f(周波数ゲイン)を算出する。
【0199】
このような周波数ゲイン算出回路458は、入力をHPF回路73の出力highYと
し、出力を周波数ゲイン係数fとするLUTにより実現される。そのため、周波数ゲイン
算出回路458には、予め出力highYに対応した周波数ゲイン係数fa、fb、fc
、・・・が記憶されており、HPF回路73からの出力highYが入力されたとき、出
力highYに対応した周波数ゲイン係数を出力するようになっている。この周波数ゲイ
ン算出回路458では、所望の出力highYに対応した周波数ゲイン係数を指定できる
ので、指定した高周波数帯域に対してのみ補正量を生成することができる。
【0200】
乗算器59は、乗算器55の乗算結果に周波数ゲイン算出回路458からの周波数ゲイ
ン係数fを乗算する。乗算器59の乗算結果は、乗算器57に入力される。この乗算器5
7には、実施形態1と同様に、補正強度算出部310によって求められた補正強度HSが
入力されている。乗算器57は、乗算器59の乗算結果に、補正強度HSを乗算すること
で、輝度信号の補正量に対応した補正信号VAを出力する。この補正信号VAは、輝度信
号補正回路60に入力される。
【0201】
このように、輝度信号補正量算出回路450は、多段フィルタ回路40(広義には信号
抽出回路)によって抽出された所与の空間周波数帯域の信号と、輝度ゲイン算出回路56
によって算出された輝度ゲイン係数と、周波数ゲイン算出回路58によって算出された周
波数ゲイン係数と、プロジェクタ20の使用環境に対応した補正強度算出部310からの
補正強度HS(又は輝度比R)とに基づいて、輝度信号の補正量を算出することができる
。そして、輝度信号補正回路60は、例えば入力画像信号を構成する輝度信号又は輝度ノ
イズ成分が除去された輝度信号に、輝度信号補正量算出回路450からの補正信号VAを
加算することで、補正後の輝度信号Y1を出力する。これにより、輝度ノイズが少ない場
合にのみ補正を行うことができるので、補正によって輝度ノイズが増幅されるのを防ぐこ
とができるようになる。
【0202】
なお、輝度ゲイン係数を算出するまでもなく、輝度信号補正量算出回路450は、多段
フィルタ回路40(広義には信号抽出回路)によって抽出された所与の空間周波数帯域に
おける所与の輝度レベル範囲の輝度成分と、周波数ゲイン算出回路58によって算出され
た周波数ゲイン係数と、プロジェクタ20の使用環境に対応した補正強度算出部310か
らの補正強度HS(又は輝度比R)とに基づいて、輝度信号の補正量を算出するようにし
てもよい。
【0203】
また、実施形態2において、輝度信号の補正と連動した、輝度信号の補正量に応じた色
差信号の補正処理は、実施形態1と同様に行うことができるので、説明を省略する。従っ
て、画像処理部400は、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正す
ることができる。これにより、輝度信号の補正量に応じて各画素の色度が変化して画面の
全体的な色の傾向が変化するという事態を回避でき、画像のディテールを表現する場合に
画面全体の色の傾向を維持できるようになる。
【0204】
実施形態2における画像処理部400の処理は、ソフトウェア処理によって実現するこ
ともできる。この場合、画像処理部400は、CPU、ROM、RAMを有し、ROM又
はRAMに格納されたプログラムを読み込んだCPUが、該プログラムに対応した処理を
実行することで乗算器や加算器等のハードウェアを制御して、上記の輝度成分及び色差成
分の補正処理を行う。
【0205】
図29に、実施形態2における画像処理部400の輝度信号の補正処理例のフロー図を
示す。図29の処理をソフトウェアで実現する場合、画像処理部400が内蔵するROM
又はRAMに図29に示す処理を実現するプログラムが格納される。
【0206】
まず、画像処理部400は、入力輝度信号蓄積ステップとして、入力画像信号を構成す
る輝度信号(入力輝度信号)を蓄積する(ステップS40)。この場合、輝度信号は、ラ
インメモリ32、又はラインメモリ32の機能を実現するRAMに格納される。
【0207】
次に、画像処理部400は、使用環境情報取得ステップとして、センサ300によって
測定された外部照明の輝度と投射部100の出力光の最大輝度とに基づいて算出された輝
度比(広義には使用環境情報)を取得する(ステップS42)。
【0208】
続いて、画像処理部400は、信号抽出ステップとして、ラインメモリ32等に蓄積さ
れた輝度信号から特定の空間周波数帯域の輝度信号を抽出する(ステップS44)。例え
ば、多段フィルタ回路40により所与の空間周波数帯域の輝度信号を抽出する。或いは、
ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが多段フィルタ回路40の機能を実現する
乗算器や加算器を制御して上記の空間周波数帯域の輝度信号を抽出する。
【0209】
その後、画像処理部400は、周波数解析ステップとして、ステップS44で抽出され
た特定の空間周波数帯域の輝度信号の空間周波数を解析する(ステップS46、ステップ
S48)。より具体的には、ステップS46では、高周波成分抽出ステップとして、ステ
ップS44で抽出された特定の空間周波数帯域のうち所与の高周波成分の輝度信号が抽出
される。そして、ステップS48では、輝度ノイズ除去ステップとして、ラインメモリ等
32に蓄積された輝度信号から輝度ノイズ成分が除去される。
【0210】
そして、画像処理部400は、輝度成分補正量算出ステップとして、輝度信号の補正量
を算出する(ステップS50、ステップS52、ステップS54)。より具体的には、ス
テップS50において、輝度ゲイン算出ステップとして、ステップS44で抽出された輝
度信号に対して重み付けを行い、入力画像信号を構成する輝度信号の輝度レベルに応じた
係数で乗算される。そして、ステップS52において、周波数ゲイン算出ステップとして
、ステップS46で抽出された高周波成分の輝度信号(HPF回路73の出力highY
)に応じた係数で、ステップS50で輝度レベルに対応した係数を乗算された輝度信号に
乗算される。この結果、ステップS56では、輝度信号の補正量に対応した補正信号VA
が生成される。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、信号抽出処理
により抽出した輝度信号に対して重み付けを行った後に、入力画像信号を構成する輝度信
号の輝度レベルに応じた係数と、ステップS46で抽出された高周波成分の輝度信号(H
PF回路73の出力highY)に応じた係数とを用いて乗算した結果を、輝度信号の補
正量に対応した補正信号VAとして生成する。このように、ステップS54では、ステッ
プS46において抽出された空間周波数帯域の信号と、ステップS50において算出され
た輝度ゲインと、ステップS52において算出された周波数ゲインとに基づいて、輝度成
分の補正量が算出される。
【0211】
そして、画像処理部400は、輝度成分補正ステップとして、ステップS54で算出さ
れた補正量を用いて、ステップS48において輝度ノイズが除去された輝度信号を補正し
(ステップS56)、補正後の輝度信号を出力して(ステップS58)、一連の処理を終
了する(エンド)。即ち、ステップS56では、輝度信号補正回路60が、ステップS4
8において輝度ノイズが除去された輝度信号に、補正信号VAを加算して、補正後の輝度
信号を生成する。或いは、ソフトウェア処理で実現する場合には、CPUが、ステップS
48において輝度ノイズが除去された輝度信号に、補正信号VAを加算して、補正後の輝
度信号を生成する。
【0212】
なお、実施形態2では、図29のステップS46とステップS48の順序を入れ替えた
り、図29のステップS50とステップS52の順序を入れ替えたりしてもよく、図29
に示す処理順序に限定されるものではない。
【0213】
このような実施形態2における画像処理部400は、実施形態1と同様に色差信号の補
正処理を行うことができる。画像処理部400による色差信号の補正処理は、実施形態1
と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0214】
即ち、実施形態2においても、上記の階調補正処理を行った後に、画像表示ステップと
してこのような投射部100を制御して、上記の階調補正処理において補正された画像信
号に基づいて画像を表示することで、他の輝度領域に影響を与えることなく画像のディテ
ールの表現を改善する画像表示方法を提供できる。
【0215】
以上のように、実施形態2においても、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色
差信号を補正する。このとき、輝度信号については、プロジェクタ20の使用環境に応じ
て補正され、その補正対象が所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の輝度
信号のみに限定される。
【0216】
〔実施形態2の第1の変形例〕
実施形態2では、多段フィルタ回路40を構成する第1〜第3のフィルタ回路42、4
4、46の出力FO1〜FO3の比率を変更できなかったが、本発明はこれに限定される
ものではない。実施形態2の第1の変形例では、多段フィルタ回路40を構成する第1〜
第3のフィルタ回路42、44、46の出力FO1〜FO3の比率を、HPF回路73の
出力highYに応じて変更可能に構成される。
【0217】
このような実施形態2の第1の変形例における画像処理部が、実施形態2における画像
処理部400と異なる点は、輝度信号補正量算出回路の構成である。そこで、以下では、
実施形態2と共通する点については図示及び説明を省略し、実施形態2の第1の変形例に
おける画像処理部の輝度信号補正量算出回路について説明する。
【0218】
図30に、実施形態2の第1の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロ
ック図を示す。図30において、図27と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略
する。図30では、画像処理部の外部に設けられる補正強度算出部310についても併せ
て図示している。
図31に、図30の重み付け算出回路の動作説明図を示す。
【0219】
実施形態2の第1の変形例における輝度信号補正量算出回路490は、重み付け算出回
路492、乗算器53〜53、加算器54、乗算器55、57、輝度ゲイン算出回路
56を含む。
【0220】
重み付け算出回路492には、周波数解析回路70の高周波成分抽出回路72のHPF
回路73によって生成された出力highYが入力される。そして、重み付け算出回路4
92は、図31に示すように、HPF回路73からの出力highYに応じて、重み付け
係数g〜gを算出する。
【0221】
このような重み付け算出回路492は、入力をHPF回路73からの出力highYと
し、出力を重み付け係数g〜gとするLUTにより実現される。そのため、重み付け
算出回路492には、予めHPF回路73からの出力highYに対応した重み付け係数
(ga,ga,ga)、(gb,gb,gb)、(gc,gc,g
)、・・・が記憶されており、HPF回路73から出力highYが入力されたとき、こ
れに対応した重み付け係数を出力するようになっている。
【0222】
加算器54は、乗算器53〜53の各乗算結果を加算し、その加算結果を乗算器5
5に出力する。乗算器55には、輝度ゲイン算出回路56によって算出された輝度ゲイン
係数hが入力されている。乗算器55の乗算結果は、乗算器57に入力される。この乗算
器57には、図27と同様に、補正強度算出部310によって求められた補正強度HSが
入力されている。乗算器57は、乗算器55の乗算結果に、補正強度HSを乗算すること
で、輝度信号の補正量に対応した補正信号VAを出力する。この補正信号VAは、輝度信
号補正回路60に入力される。
【0223】
このように、輝度信号補正量算出回路490は、HPF回路73からの出力highY
と、多段フィルタ回路40(広義には信号抽出回路)によって抽出された所与の空間周波
数帯域の信号と、輝度ゲイン係数と、プロジェクタ20の使用環境に対応した補正強度算
出部310からの補正強度HSとに基づいて、輝度信号の補正量を算出することができる
。そして、輝度信号補正回路60は、例えば入力画像信号を構成する輝度信号又は輝度ノ
イズ成分が除去された輝度信号に、輝度信号補正量算出回路490からの補正信号VAを
加算することで、補正後の輝度信号Y1を出力する。
【0224】
図32に、実施形態2の第1の変形例における画像処理部の動作説明図を示す。図32
において、図21と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0225】
実施形態2の第1の変形例では、実施形態2と同様に、画像信号の輝度成分の空間周波
数を解析し、空間周波数帯域Far(所与の空間周波数帯域)のみにおいて画像信号の輝
度成分の補正量を、プロジェクタの使用環境に対応した輝度比(又は補正強度)と画像信
号の輝度成分の空間周波数の解析結果に応じて算出し、該補正量を用いて画像信号の輝度
成分を補正する。このとき、入力画像信号の輝度成分の高周波成分に応じて、階調の補正
強度を異ならせる。更に、実施形態2の第1の変形例では、多段フィルタ回路40を構成
する第1〜第3のフィルタ回路42、44、46の出力FO1〜FO3の比率を変更でき
るため、図32に示すように、高周波成分のレベルが小さくなって輝度ノイズが多くなる
に従って空間周波数帯域が狭くなるように輝度信号を抽出することができる。そして、低
輝度でゲインが大きくなるように輝度ゲインを与えることで、暗部のディテールのみを増
幅することができるようになる。
【0226】
このように、実施形態2の第1の変形例によれば、実施形態2の効果に加えて、輝度ノ
イズ量に応じて抽出される空間周波数帯域を狭くできるので、高周波数帯域に存在する輝
度ノイズが増幅されるのを防ぐことができるようになる。
【0227】
〔実施形態2の第2の変形例〕
実施形態2又は実施形態2の第1の変形例における画像処理部では、輝度信号補正量算
出回路が、重み付け係数記憶回路452や重み付け算出回路492と輝度ゲイン算出回路
56とを有し、重み付け係数や輝度ゲイン係数を乗算する乗算器により補正信号VAを生
成する構成となっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0228】
図33に、実施形態2の第2の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロ
ック図を示す。例えば実施形態2における輝度信号補正量算出回路450に代えて、図3
3に示す輝度信号補正量算出回路が図22の画像処理部400に内蔵される。
【0229】
輝度信号補正量算出回路500は、第1〜第3のLUT502〜502、乗算器5
04〜504、加算器506を含む。第1〜第3のLUT502〜502の各L
UTには、入力画像信号を構成する輝度信号とHPF回路73からの出力highYとが
入力される。各LUTには、プロジェクタの使用環境に対応した補正強度HSと入力画像
信号を構成する輝度信号とHPF回路73からの出力highYとの組み合わせに対応し
て、輝度ゲイン係数が記憶されている。この輝度信号補正量算出回路500は、第1〜第
3のLUT502〜502の各LUTからの輝度ゲイン係数を、多段フィルタ回路4
0の各出力に乗算した後、各乗算結果を加算して補正信号VAとして出力する。
【0230】
図34(A)、図34(B)、図34(C)に、図33の第1〜第3のLUT502
〜502の動作説明図を示す。
【0231】
図34(A)に示すように、第1のLUT502には、入力画像信号を構成する輝度
信号とHPF回路73からの出力highYと補正強度HSとが入力され、該輝度信号、
出力highY及び補正強度HSの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数jを出力する
。そのため、第1のLUT502には、予め輝度信号、出力highY及び補正強度H
Sの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されてお
り、輝度信号、出力highY及び補正強度HSが入力されたとき該輝度信号、HPF回
路73からの出力highY及び補正強度HSの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数を
輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0232】
図34(B)に示すように、第2のLUT502には、入力画像信号を構成する輝度
信号とHPF回路73からの出力highYと補正強度HSとが入力され、該輝度信号、
出力highY及び補正強度HSの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数jを出力する
。そのため、第2のLUT502には、予め輝度信号、出力highY及び補正強度H
Sの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されてお
り、輝度信号、出力highY及び補正強度HSが入力されたとき該輝度信号、HPF回
路73からの出力highY及び補正強度HSの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数を
輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0233】
図34(C)に示すように、第3のLUT502には、入力画像信号を構成する輝度
信号とHPF回路73からの出力highYと補正強度HSとが入力され、該輝度信号、
出力highY及び補正強度HSの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数jを出力する
。そのため、第3のLUT502には、予め輝度信号、出力highY及び補正強度H
Sの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数ja、jb、jc・・・が記憶されてお
り、輝度信号、出力highY及び補正強度HSが入力されたとき該輝度信号、HPF回
路73からの出力highY及び補正強度HSの組み合わせに対応した輝度ゲイン係数を
輝度ゲイン係数jとして出力するようになっている。
【0234】
図33において、乗算器504は、多段フィルタ回路40を構成する第1のフィルタ
回路42の出力FO1と第1のLUT502からの輝度ゲイン係数jとを乗算し、乗
算結果を加算器506に出力する。乗算器504は、多段フィルタ回路40を構成する
第2のフィルタ回路44の出力FO2と第2のLUT502からの輝度ゲイン係数j
とを乗算し、乗算結果を加算器506に出力する。乗算器504は、多段フィルタ回路
40を構成する第3のフィルタ回路46の出力FO3と第3のLUT502からの輝度
ゲイン係数jとを乗算し、乗算結果を加算器506に出力する。
【0235】
加算器506は、乗算器504〜504の各乗算結果を加算し、加算結果を補正信
号VAとして出力する。
【0236】
以上のように、実施形態2の第2の変形例における画像処理部は、画像信号の輝度成分
から所与の空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路40を含み、輝度信号補正
量算出回路500は、多段フィルタ回路40の出力ごとに設けられ補正前の輝度成分のレ
ベルに対応したゲインを出力する複数のテーブルと、多段フィルタ回路40の出力ごとに
設けられ多段フィルタ回路40の出力と上記の複数のテーブルを構成する各テーブルの出
力とを乗算する複数の乗算器と、複数の乗算器の乗算結果を加算する加算器とを含み、加
算器の出力を輝度成分の補正量として算出することができる。
【0237】
実施形態2の第2の変形例においても、実施形態2又は実施形態2の第1の変形例と同
様に、輝度信号のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正することができる。
【0238】
このような実施形態2の第2の変形例によれば、実施形態2又は実施形態2の第1の変
形例と比較して、輝度信号補正量算出回路に内蔵される乗算器の数を減らすことができる
ので、低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0239】
〔実施形態2の第3の変形例〕
実施形態2の第2の変形例における輝度信号補正量算出回路500が、図33に示すよ
うに、第1〜第3のLUT502〜502と、乗算器504〜504と、加算器
506とを有し、第1〜第3のLUT502〜502からの輝度ゲイン係数を用いた
乗算器の乗算結果を加算する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0240】
図35に、実施形態2の第3の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロ
ック図を示す。例えば実施形態2における輝度信号補正量算出回路50に代えて、図35
に示す輝度信号補正量算出回路が図22の画像処理部400に内蔵される。
【0241】
輝度信号補正量算出回路550は、LUT552を含む。この輝度信号補正量算出回路
550は、LUT552からの出力を補正信号VAとして出力する。
【0242】
図36に、図35のLUT552の動作説明図を示す。
【0243】
LUT552には、入力画像信号を構成する輝度信号、HPF回路73からの出力hi
ghY、多段フィルタ回路40を構成する第1〜第3のフィルタ回路42〜44の各フィ
ルタ回路の出力FO1〜FO3及び補正強度HSが入力され、輝度信号、出力highY
、各フィルタ回路の出力、及び補正強度HSの組み合わせに対応した補正量を出力する。
この補正量が、補正信号VAとして出力される。そのため、LUT552には、予め輝度
信号、出力highY、各フィルタ回路の出力FO1〜FO3及び補正強度HSの組み合
わせに対応した補正量(補正信号)VAa、VAb、・・・、VAc、VAd、・・・、
VAe、VAf、・・・が記憶されており、輝度信号、出力highY、各フィルタ回路
の出力及び補正強度HSが入力されたとき、これらの組み合わせに対応した補正量を出力
するようになっている。
【0244】
実施形態2の第3の変形例においても、実施形態2又はその変形例と同様に、輝度信号
のみならず、該輝度信号に連動して色差信号を補正することができる。
【0245】
このような実施形態2の第3の変形例によれば、実施形態2又はその変形例と比較して
、輝度信号補正量算出回路に内蔵される乗算器及び加算器を無くすことができるので、大
幅な低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0246】
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示装置、及び画像処理方法を上記の実施形態
に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を
逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のよう
な変形も可能である。
【0247】
(1)上記の各実施形態又はその変形例では、画像表示装置としてプロジェクタを例に
説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係る画像表示装置は、液
晶表示装置やプラズマディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等の画像表示を行う
装置全般に適用できる。
【0248】
(2)上記の各実施形態又はその変形例では、光変調素子として透過型の液晶パネルを
用いたライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。光変調素子として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、L
COS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0249】
(3)上記の各実施形態又はその変形例では、光変調素子として、いわゆる3板式の透
過型の液晶パネルを用いたライトバルブを例に説明したが、単板式の液晶パネルや2板又
は4板式以上の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを採用してもよい。
【0250】
(4)上記の各実施形態又はその変形例では、1画素を3つの色成分のサブ画素で構成
されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1画素を構成す
る色成分数が2、又は4以上であってもよい。
【0251】
(5)上記の各実施形態又はその変形例では、輝度ゲイン及び周波数ゲインを算出する
ようにしていたが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、入力輝度信号を補正
する際に、輝度ゲイン及び周波数ゲインの少なくとも1つを算出し、その算出結果を用い
て入力輝度信号を補正するようにしてもよい。
【0252】
(6)上記の各実施形態又はその変形例において、本発明を、画像処理装置、画像表示
装置及び画像処理方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例え
ば、上記の画像処理装置や画像表示装置を含む画像表示システムであってもよい。或いは
、例えば、本発明を実現するための画像処理装置の処理方法(画像処理方法)、又は本発
明を実現するための画像表示装置の処理方法(画像表示方法)の処理手順が記述されたプ
ログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】実施形態1における画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の画像処理部において行われる階調補正処理の説明図。
【図3】図1の画像処理部の動作説明図。
【図4】図1のセンサ及び補正強度算出部の説明図。
【図5】図1の補正強度算出部の動作説明図。
【図6】図1の画像処理部のハードウェア構成例のブロック図。
【図7】図6の多段フィルタ回路の構成例のブロック図。
【図8】図6の輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図9】図8の重み付け算出回路の動作説明図。
【図10】図8の輝度ゲイン算出回路の動作説明図。
【図11】図11(A)、図11(B)は図10の輝度ゲイン算出回路によって算出される輝度ゲイン係数の説明図。
【図12】図6の色差ゲイン算出回路の構成例のブロック図。
【図13】図12の色差ゲイン算出回路の動作例の説明図。
【図14】実施形態1における画像処理部の輝度信号の補正処理例のフロー図。
【図15】実施形態1における画像処理部の色差信号の補正処理例のフロー図。
【図16】図1の投射部の構成例の図。
【図17】実施形態1の第1の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図18】図18(A)、図18(B)、図18(C)は図17の第1〜第3のLUTの動作説明図。
【図19】実施形態1の第2の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図20】図19のLUTの動作説明図。
【図21】実施形態2における画像処理部の動作説明図。
【図22】実施形態2における画像処理部のハードウェア構成例のブロック図。
【図23】図22の周波数解析回路の構成例のブロック図。
【図24】図23のHPF回路、LPF回路のフィルタ特性の一例を示す図。
【図25】重み付け算出回路の動作説明図。
【図26】重み付け算出回路が出力する重み付け係数の説明図。
【図27】図22の輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図28】図27の周波数ゲイン算出回路の動作説明図。
【図29】実施形態2における画像処理部の輝度信号の補正処理例のフロー図。
【図30】実施形態2の第1の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図31】図30の重み付け算出回路の動作説明図。
【図32】実施形態2の第1の変形例における画像処理部の動作説明図。
【図33】実施形態2の第2の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図34】図34(A)、図34(B)、図34(C)は図33の第1〜第3のLUTの動作説明図。
【図35】実施形態2の第3の変形例における輝度信号補正量算出回路の構成例のブロック図。
【図36】図35のLUTの動作説明図。
【符号の説明】
【0254】
10…画像表示システム、 20…プロジェクタ、 30,400…画像処理部、
32,34…ラインメモリ、 40…多段フィルタ回路、 42…第1のフィルタ回路、
44…第2のフィルタ回路、 46…第3のフィルタ回路、
50,200,250,450,490,500,550…輝度信号補正量算出回路、
52,76,492…重み付け算出回路、
53〜53,55,57,59,77,78,204〜204,504〜50
…乗算器、
54,79,206,506…加算器、 56…輝度ゲイン算出回路、
60…輝度信号補正回路、 70…周波数解析回路、 72…高周波成分抽出回路、
73…HPF回路、 74…輝度ノイズ除去回路、 75…LPF回路、
80…色差ゲイン算出回路、 82…色差信号調整回路、
84…調整パラメータ記憶部、 90…色差信号補正回路、 100…投射部、
110…光源、 112,114…インテグレータレンズ、 116…偏光変換素子、
118…重畳レンズ、 120R…R用ダイクロイックミラー、
120G…G用ダイクロイックミラー、 122,148,150…反射ミラー、
124R…R用フィールドレンズ、 124G…G用フィールドレンズ、
130R…R用液晶パネル、 130G…G用液晶パネル、
130B…B用液晶パネル、 140…リレー光学系、
142,144,146…リレーレンズ、 160…クロスダイクロイックプリズム、
170…投射レンズ、 202,502…第1のLUT、
202,502…第2のLUT、 202,502…第3のLUT、
252,552…LUT、 300…センサ、 310…補正強度算出部、
350…外部照明、 452…重み付け係数記憶回路、
458…周波数ゲイン算出回路、 SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部に供給される画像信号を補正する画像処理装置であって、
所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ、該画像
信号の輝度成分の補正量を、視環境に応じて算出する輝度成分補正量算出部と、
前記輝度成分補正量算出部によって算出された前記補正量を用いて、前記画像信号の輝
度成分を補正する輝度成分補正部とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記輝度成分補正量算出部が、
外光と前記画像表示部の出力光の輝度比を前記視環境として前記補正量を算出すること
を特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出回路を含み

前記輝度成分補正量算出部は、
前記画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出回路
を含み、
前記信号抽出回路によって抽出された前記空間周波数帯域の信号と、前記輝度ゲイン算
出回路によって算出された前記輝度ゲインと、前記輝度比とに基づいて、前記輝度成分の
補正量を算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する多段フィルタ回路を
含み、
前記輝度成分補正量算出部は、
前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ補正前の前記輝度成分のレベル及び前記輝
度比に対応したゲインを出力する複数のテーブルと、
前記多段フィルタ回路の出力ごとに設けられ、前記多段フィルタ回路の出力と前記複数
のテーブルを構成する各テーブルの出力とを乗算する複数の乗算器と、
前記複数の乗算器を構成する各乗算器の乗算結果を加算する加算器とを含み、
前記加算器の出力を前記輝度成分の補正量として算出することを特徴とする画像処理装
置。
【請求項5】
請求項2において、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出回路を含み

前記輝度成分補正量算出部は、
前記信号抽出回路の出力と補正前の前記輝度成分のレベルと前記輝度比とに対応した前
記輝度成分の補正量を出力するテーブルを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項2において、
前記画像信号の輝度成分の空間周波数を解析する周波数解析部を含み、
前記輝度成分補正量算出部が、
前記画像信号の輝度成分の補正量を、前記輝度比と前記周波数解析部の解析結果とに応
じて算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記周波数解析部は、
前記画像信号の輝度成分の所与の高周波成分を抽出する高周波成分抽出部を含み、
前記輝度成分補正量算出部は、
前記高周波成分抽出部によって抽出された前記高周波成分に対応した周波数ゲインを算
出する周波数ゲイン算出部を含み、
前記空間周波数帯域における所与の輝度レベル範囲の輝度成分と、前記周波数ゲイン算
出部によって算出された前記周波数ゲインと、前記輝度比とに基づいて、前記輝度成分の
補正量を算出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記輝度成分補正量算出部は、
前記画像信号の輝度成分のレベルに対応した輝度ゲインを算出する輝度ゲイン算出部を
含み、
前記空間周波数帯域の信号と、前記周波数ゲインと、前記輝度ゲイン算出部によって算
出された前記輝度ゲインと、前記輝度比とに基づいて、前記輝度成分の補正量を算出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれかにおいて、
前記画像信号の輝度成分から前記空間周波数帯域の信号を抽出する信号抽出部を含むこ
とを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかにおいて、
前記周波数解析部は、
前記画像信号の輝度成分から所与の輝度ノイズ成分を除去する輝度ノイズ除去部を含み

前記輝度成分補正部は、
前記補正量を用いて、前記輝度ノイズ除去部によって前記輝度ノイズ成分が除去された
前記画像信号の輝度成分を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記輝度成分補正部による補正前後においてxy色度の値が変化しないように前記画像
信号の色差成分を補正する色差成分補正部を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記輝度成分補正部による補正前後の前記画像信号の輝度成分に基づいて、xy色度の
値が変化しないように該画像信号の色差成分の補正量を算出する色差成分補正量算出部を
含み、
前記色差成分補正部が、
前記色差成分補正量算出部によって算出された前記色差成分の補正量を用いて、前記画
像信号の色差成分を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記色差成分の調整パラメータを記憶する調整パラメータ記憶部を含み、
補正前の前記輝度成分をYin、補正後の前記輝度成分をYout、前記調整パラメー
タをbとしたとき、
前記色差成分補正部は、
(1−b×(1−Yout/Yin))を色差ゲインとして、前記画像信号の色差成分
に前記色差ゲインを乗算することで前記色差成分を補正することを特徴とする画像処理装
置。
【請求項14】
画像信号に基づいて画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像信号を補正する請求項1乃至13のいずれか記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置によって補正された画像信号に基づいて画像を表示する画像表示部と
を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記画像表示部の出力光の輝度と前記外光の輝度とを測定するためのセンサを含むこと
を特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
画像表示部に供給される画像信号を補正する画像処理方法であって、
所与の空間周波数帯域において所与の輝度レベル範囲の画像信号に対してのみ、該画像
信号の輝度成分の補正量を、視環境に応じて算出する輝度成分補正量算出ステップと、
前記輝度成分補正量算出ステップにおいて算出された前記補正量を用いて、前記画像信
号の輝度成分を補正する輝度成分補正ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記輝度成分補正量算出ステップは、
外光と前記画像表示部の出力光の輝度比を前記視環境として前記補正量を算出すること
を特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記画像信号の輝度成分の空間周波数を解析する周波数解析ステップを含み、
前記輝度成分補正量算出ステップが、
前記画像信号の輝度成分の補正量を、前記輝度比と前記周波数解析ステップの解析結果
とに応じて算出することを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
請求項17又は18において、
前記画像表示部が黒画像を表示したときの輝度と前記画像表示部が白画像を表示したと
きの輝度とに基づいて、前記輝度比を算出することを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−152265(P2010−152265A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332969(P2008−332969)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】