説明

画像処理装置及びその制御方法

【課題】画像ソースが動画ソースであっても静止画ソースであっても、効果的に画像ノイズを除去することのできる画像処理装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、動画ソース又は静止画ソースの画像ソース取得手段と、前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースが、動画ソースであるか、又は、静止画ソースであるかを判断する、判断手段と、前記判断手段で動画ソースであると判断した場合には、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定し、前記判断手段で静止画ソースであると判断した場合には、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びその制御方法に関し、特に、画像ソースが動画ソースであっても静止画ソースであっても、効果的に画像ノイズを除去することのできる画像処理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像処理装置の中には、画像ソースが静止画ソースである場合のみならず、動画ソースである場合にも、静止画像として印刷したり表示したりすることのできるものがある。例えば、プリンタにおいては、画像ソースが動画ソースである場合、動画ソースに基づいて静止画像を生成し、この生成した静止画像を印刷できるようにしている。
【0003】
ここで、静止画ソースから得られた静止画像については、特開2003−189236号公報(特許文献1)で提案されているように、撮像された際の感度等の条件を取得し、この撮像された際の条件に基づいて、画像ノイズを効率的に低減する手法がある。
【0004】
一方、動画ソースは、静止画ソースと比べて、高い圧縮率で圧縮されており、特に、色差成分の圧縮率が高くなっている。画像ノイズも、静止画ソースから得られた静止画像は、感度不足によるホワイトノイズが多いが、動画ソースから得られた静止画像は、高圧縮時の画質劣化によるモスキートノイズが多いという特徴がある。
【0005】
このように、画像ソースが動画ソースであるか静止画ソースであるかにより、発生する画像ノイズの性質が異なることから、画像ソースの種類に応じて、適切に画像ノイズを除去することが望まれている。
【特許文献1】特開2003−189236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、画像ソースが動画ソースであっても静止画ソースであっても、効果的に画像ノイズを除去することのできる画像処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、
動画ソース又は静止画ソースの画像ソースを取得する画像ソース取得手段と、
前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースが、動画ソースであるか、又は、静止画ソースであるかを判断する、判断手段と、
前記判断手段で動画ソースであると判断した場合には、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定し、前記判断手段で静止画ソースであると判断した場合には、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する、設定手段と、
前記設定手段で設定された平滑化範囲のマトリックスの大きさで、前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースに基づく画像データに対して、輝度プレーンのノイズ除去処理と色差プレーンのノイズ除去処理を行う、ノイズ除去処理実行手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースの画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換する、第1変換手段を、さらに備えるとともに、
前記ノイズ除去処理実行手段は、前記第1変換手段でYCbCrの色空間の表現に変換された画像データに基づいて、ノイズ除去処理を行うようにしてもよい。
【0009】
この場合、前記第1変換手段は、RGBの色空間で表現された画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換するようにしてもよい。
【0010】
この場合、前記ノイズ除去処理実行手段でノイズ除去された画像データを、RGBの色空間で表現された画像データに変換する、第2変換手段を、さらに備えるようにしてもよい。
【0011】
また、前記ノイズ除去処理実行手段でノイズ除去処理がなされた画像データに基づいて、印刷を実行する、印刷実行手段を、さらに備えるようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る画像処理装置の制御方法は、
動画ソース又は静止画ソースの画像ソースを取得する工程と、
前記取得した画像ソースが、動画ソースであるか、又は、静止画ソースであるかを判断する工程と、
前記画像ソースが動画ソースであると判断した場合には、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定し、前記画像ソースが静止画ソースであると判断した場合には、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する工程と、
前記設定された平滑化範囲のマトリックスの大きさで、前記取得した画像ソースに基づく画像データに対して、輝度プレーンのノイズ除去処理と色差プレーンのノイズ除去処理を行う工程と、
を備えることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置10の内部構成の一例を説明するブロック図である。この図1から分かるように、本実施形態における画像処理装置10は、プリンタにより構成されており、より具体的には、カラーのインクジェットプリンタにより構成されている。但し、画像処理装置10は、プリンタに限定されるものではなく、例えばフォトビューアなどの画像表示装置により、構成することもできる。
【0015】
図1に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20と、ROM(Read Only Memory)22と、カードインターフェース24と、通信インターフェース26と、画面インターフェース28と、装置制御部30とを備えて構成されており、これらは内部バス32を介して、相互に接続されている。
【0016】
CPU20には、専用の揮発性記憶装置であるRAM(Random Access Memory)34が接続されている。例えば、このCPU20は、ROM22に格納されている各種のプログラムを読み込んで実行することにより、この画像処理装置10の各種の制御を行う。プログラムを実行する際には、CPU20は、必要に応じて、RAM34に一時的なデータを格納する。
【0017】
ROM22は、不揮発性記憶装置の一例であり、画像処理装置10における各種のプログラムやデータが、不揮発的に格納されている。カードインターフェース24は、画像処理装置10に、PCカードなどのカード型外部デバイス100を挿入して利用するためのインターフェースである。例えば、PCカードの場合、フラッシュメモリカード、ハードディスク、SCSIカード、モデムカードなどの様々な種類がある。
【0018】
通信インターフェース26は、画像処理装置10に、カメラなどの撮像装置や、ノート型やディスクトップ型のパーソナルコンピュータなど、各種の外部デバイス102を接続するためのインターフェースである。画像処理装置10と外部デバイス102との間の接続規格は、USBやRS232Cなどの有線規格を用いてもよいし、IrDAやBluethoothなどの無線規格を用いてもよい。
【0019】
画面インターフェース28は、画像処理装置10に設けられている表示画面36のインターフェースである。表示画面36は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。本実施形態では、この表示画面36には、例えば、印刷する画像をユーザが任意に選択するための縮小画像が表示される。また、この表示画面36は、タッチパネルで構成されており、ユーザが画像処理装置10に指示を入力するためのユーザインターフェースも兼ねている。
【0020】
装置制御部30は、RAM40と、印刷ヘッド42と、キャリッジ44と、紙送り機構46と、スキャナ48とに接続されており、これら印刷ヘッド42と、キャリッジ44と、紙送り機構46と、スキャナ48についての機械的な制御を行う。RAM40は、装置制御部30専用の揮発性記憶装置であり、装置制御部30が、これら機械的制御を行う上で必要なデータが一時的に格納される。この装置制御部30は、例えば、ASIC(Application Specific IC)により構成されている。
【0021】
本実施形態においては、特に、装置制御部30は、印刷ヘッド42とキャリッジ44と紙送り機構46とを用いた印刷の全体的な制御を行う。すなわち、キャリッジ44に搭載された印刷ヘッド42から印刷インクを吐出させつつ、キャリッジ44を走査方向(紙送り方向と交差する方向)に交互に移動させながら紙などの印刷媒体に印刷を行う。紙送り機構46は、紙などの印刷媒体を、キャリッジ44による印刷に合わせて、紙送り方向に順次送り出すことにより、印刷媒体に対する印刷を行わせる。
【0022】
また、装置制御部30は、スキャナ48を用いた画像読み込み時の制御も行う。例えば、ユーザがスキャナ48の画像読み取り面にセットした原稿を、ラインイメージセンサを用いて読み込み、RAM44に画像データとして一時的に格納するための一連の処理の制御を行う。
【0023】
次に、図2に基づいて、本実施形態に係る画像処理装置10が実行する画像ノイズ除去処理について説明する。この図2は、画像処理装置10が実行する画像ノイズ除去処理の一例を説明するためのフローチャートを示す図である。この画像ノイズ除去処理は、例えば、ROM22に格納されている画像ノイズ除去処理プログラムをCPU20が読み込んで実行することにより、実現される処理である。また、この画像ノイズ除去処理は、ユーザが画像処理装置10に、印刷を行う画像やレイアウトなどを指定して、印刷を指示した場合に、印刷実行処理の中の一部として、実行される処理である。
【0024】
まず、図2に示すように、画像処理装置10は、画像ソース情報を取得する(ステップS10)。例えば、カード型外部デバイス100に格納されている画像ソースの画像データを読み込む。読む込みべき画像ソースのファイルは、ユーザが予め指定していたり、画像処理装置10が実行する処理に基づいて自動的に指定されたりする。
【0025】
次に、画像処理装置10は、読み込んだ画像ソースが、動画ソースであるかどうかを判断する(ステップS12)。すなわち、画像処理装置10は、読み込んだ画像ソースが、動画ソースであるか、それとも、静止画ソースであるかを判断する。本実施形態においては、この判断は、ファイル名の拡張子を利用することにより、行っている。例えば、ファイル名の拡張子が、mpg、rm、avi、movなどであった場合には、そのファイルは動画ファイルであり、動画ソースであると判断する。一方、ファイル名の拡張子が、jpg、gif、png、bmpなどであった場合には、そのファイルは静止画ファイルであり、静止画ソースであると判断する。
【0026】
なお、ファイル名の拡張子以外の情報に基づいて、画像ソースが、動画ソースであるか、それとも、静止画ソースであるかを判断するようにしてもよい。例えば、ファイル内のデータ中に、動画ファイルであるのか、又は、静止画ファイルであるのかを示す情報が含まれている場合には、このデータに基づいて、判断するようにしてもよい。
【0027】
読み込んだ画像ソースが動画ソースであると判断した場合(ステップS12:YES)には、画像処理装置10は、輝度補正レベルを「1」に設定し、色差補正レベルを「5」に設定する(ステップS14)。
【0028】
一方、読み込んだ画像ソースが動画ソースではないと判断した場合(ステップS12:NO)、つまり、静止画ソースであると判断した場合には、画像処理装置10は、輝度補正レベルを「3」に設定し、色差補正レベルを「1」に設定する(ステップS16)。
【0029】
これらステップS14又はステップS16の後、画像処理装置10は、RGBの色空間で表現されている画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換する(ステップS18)。
【0030】
次に、画像処理装置10は、ステップS18で得られた画像データのYプレーンのノイズ除去を行う(ステップS20)。このノイズ除去の際には、平滑化処理を行うが、この平滑化処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさは、ステップS14又はステップS16で設定されたレベルによって異なる。
【0031】
図3は、ステップS14又はステップS16で設定されたレベルと、平滑化範囲のマトリックスの大きさの関係を保持するレベル別平滑化範囲テーブルTB10の一例を示す図である。本実施形態においては、このレベル別平滑化範囲テーブルTB10は、例えばROM22に格納されており、画像処理装置10は必要に応じてこれを参照する。
【0032】
この図3に示すように、本実施形態では、レベル1では、縦3ピクセル×横3ピクセルのマトリックスを用いて、平滑化処理を行い、レベル2では、縦7ピクセル×横7ピクセルのマトリックスを用いて、平滑化処理を行いレベル3では、縦9ピクセル×横9ピクセルのマトリックスを用いて、平滑化処理を行いレベル4では、縦15ピクセル×横15ピクセルのマトリックスを用いて、平滑化処理を行いレベル5では、縦21ピクセル×横21ピクセルのマトリックスを用いて、平滑化処理を行う。平滑化処理において、平滑化範囲のマトリックス内の各画素の演算子をどのような値に設定して、重み付けをするかは、任意である。
【0033】
次に、図2に示すように、画像処理装置10は、ステップS18で得られた画像データのCbプレーンのノイズ除去を行い(ステップS22)、Crプレーンのノイズ除去を行う(ステップS24)。これらステップS22及びステップS24のノイズ除去の際にも、平滑化処理を行うが、この平滑化処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさも、ステップS20と同様に、ステップS14又はステップS16で設定されたレベルに基づいて行われる。
【0034】
次に、画像処理装置10は、YCbCrの色空間で表現されているノイズ除去を行った画像データを、RGBの色空間の表現に変換する(ステップS26)。すなわち、元のRGBの色空間の表現に画像データを戻す。これにより、本実施形態に係る画像ノイズ除去処理が終了する。
【0035】
この画像ノイズ除去処理が終了した後、画像処理装置10は、画像ノイズ除去処理でノイズが除去された画像データに基づいて、印刷を実行する。すなわち、ノイズ除去された画像データに基づいて、印刷ヘッド42とキャリッジ44と紙送り機構46とを駆動させて、印刷を行う。これにより、印刷媒体に静止画像が印刷される。
【0036】
以上のように、本実施形態に係る画像ノイズ除去処理によれば、画像処理装置10は、画像ソースが静止画ソースである場合には、輝度補正レベルを「3」に設定し、色差補正レベルを「1」に設定することにより、輝度プレーン(Yプレーン)の非エッジ部分にのみ平滑化フィルタをかけるようにした。このため、静止画の輝度部分のランダムノイズを効果的に低減することができる。
【0037】
一方、画像ソースが動画ソースである場合には、画像処理装置10は、輝度補正レベルを「1」に設定し、色差補正レベルを「5」に設定することにより、色差プレーン(Cbプレーン及びCrプレーン)に大きな範囲の平滑化フィルタをかけるようにした。このため、動画の色差部分のブロックノイズを効果的に低減することができる。
【0038】
このように、画像ソースが動画ソースである場合には、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定し、画像ソースが静止画ソースであると判断した場合には、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定することにより、動画固有の画像ノイズ及び静止画固有の画像ノイズを効果的に除去することができるようになる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態では、画像ソースが静止画ソースである場合には、輝度補正レベルを「3」に設定し、色差補正レベルを「1」に設定する一方で、画像ソースが動画ソースである場合には、輝度補正レベルを「1」に設定し、色差補正レベルを「5」に設定することとしたが、これら輝度補正レベル及び色差補正レベルを、どのようなレベルに設定するかは任意に変更可能である。また、本実施形態では、これらの設定レベルを5段階に分けたが、何段階に分けるかも任意に設定可能である。さらに、どのような大きさで、平滑化範囲のマトリックスを設定するかも、任意に変更可能である。
【0040】
また、上述した実施形態では、ステップS10で取得した画像ソースの画像データが、RGBの色空間で表現されている場合を例に説明したが、取得する画像ソースの画像データは、これ以外の色空間で表現されていてもよい。さらに、取得した画像ソースの画像データが、YCbCrの色空間で表現されている場合には、ステップS18の変換処理は不要となり、また、ステップS26の元の色空間に戻すための変換処理も不要となる。
【0041】
さらに、上述の実施形態で説明した画像ノイズ除去処理については、この画像ノイズ除去処理を実行するためのプログラムをフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、ROM、メモリカード等の記録媒体に記録して、記録媒体の形で頒布することが可能である。この場合、この記録媒体に記録されたプログラムを画像処理装置10に読み込ませ、実行させることにより、上述した実施形態を実現することができる。
【0042】
また、画像処理装置10は、オペレーティングシステムや別のアプリケーションプログラム等の他のプログラムを備える場合がある。この場合、画像処理装置10の備える他のプログラムを活用するために、その画像処理装置10が備えるプログラムの中から、上述した実施形態と同等の処理を実現するプログラムを呼び出すような命令を含むプログラムを、記録媒体に記録するようにしてもよい。
【0043】
さらに、このようなプログラムは、記録媒体の形ではなく、ネットワークを通じて搬送波として頒布することも可能である。ネットワーク上を搬送波の形で伝送されたプログラムは、画像処理装置10に取り込まれて、このプログラムを実行することにより上述した実施形態を実現することができる。
【0044】
また、記録媒体にプログラムを記録する際や、ネットワーク上を搬送波として伝送される際に、プログラムの暗号化や圧縮化がなされている場合がある。この場合には、これら記録媒体や搬送波からプログラムを読み込んだ画像処理装置10は、そのプログラムの復号や伸張を行った上で、実行する必要がある。
【0045】
また、上述した実施形態では、画像ノイズ除去処理をソフトウェアにより実現する場合を例に説明したが、これらの各処理をASIC(Application Specific IC)などのハードウェアにより実現するようにしてもよい。さらには、これらの各処理を、ソフトウェアとハードウェアとが協働して実現するようにしてもよい。
【0046】
図4は、上述した画像ノイズ除去処理を、ハードウェアにより実現した場合の画像処理装置10の構成の一例を説明するためのブロック図である。この図4に示すように、図4の画像処理装置10は、画像ソース取得部200と、判断部202と、設定部204と、ノイズ除去処理実行部206と、を備えて構成されており、こられらは相互に接続されている。
【0047】
画像ソース取得部200は、動画ソース又は静止画ソースの画像ソースを取得する。例えば、画像ソース取得部200は、画像ソース格納部220に格納されている画像ソースを読み出して、取得する。この画像ソース格納部220は、例えば、上述したカード型外部デバイス100や外部デバイス102により、構成されている。
【0048】
判断部202は、画像ソース取得部200で取得した画像ソースが、動画ソースであるか、又は、静止画ソースであるかを判断する。この判断部202において、画像ソースが動画ソースであると判断した場合には、設定部204は、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する。例えば、上述した実施形態のように、輝度補正レベルを「1」にすることにより、縦3ピクセル×横3ピクセルのマトリックスを用いて輝度プレーンのノイズ除去処理を行うように設定し、色差補正レベルを「5」にすることにより、縦21ピクセル×横21ピクセルのマトリックスを用いて色差プレーンのノイズ除去処理を行うように設定する。
【0049】
一方、判断部204で画像ソースが静止画ソースであると判断した場合には、設定部204は、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する。例えば、上述した実施形態のように、輝度補正レベルを「3」にすることにより、縦9ピクセル×横9ピクセルのマトリックスを用いて輝度プレーンのノイズ除去処理を行うように設定し、色差補正レベルを「1」にすることにより、縦3ピクセル×横3ピクセルのマトリックスを用いて色差プレーンのノイズ除去処理を行うように設定する。
【0050】
ノイズ除去処理実行部206は、設定部204で設定された平滑化範囲のマトリックスの大きさで、画像ソース取得部200で取得した画像ソースに基づく画像データに対して、輝度プレーンのノイズ除去処理と色差プレーンのノイズ除去処理を行う。
【0051】
さらに、画像処理装置10は、任意の構成要素として、第1変換部208と、第2変換部210と、印刷実行部212とを追加的に備えて、構成されている。これら第1変換部208と、第2変換部210と、印刷実行部212とは、上述した画像ソース取得部200と、判断部202と、設定部204と、ノイズ除去処理実行部206とともに、相互に接続されている。
【0052】
第1変換部208は、画像ソース取得部200で取得した画像ソースの画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換する。そして、ノイズ除去処理実行部206は、この第1変換部208でYCbCrの色空間の表現に変換された画像データに基づいて、ノイズ除去処理を行う。この第1変換部208は、例えば、RGBの色空間で表現された画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換する。
【0053】
また、第2変換部210は、ノイズ除去処理実行部206でノイズ除去された画像データを、RGBの色空間で表現された画像データに変換する。
【0054】
印刷実行部212は、ノイズ除去処理実行部206でノイズ除去処理がなされた画像データに基づいて、印刷を実行する。
【0055】
このように、本発明においては、上述した図2の画像ノイズ除去処理を、ハードウェアにより行うようにして、画像処理装置10を実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係る画像処理装置の内部構成の一例を説明するブロック図。
【図2】本実施形態に係る画像処理装置で実行される画像ノイズ除去処理の一例を説明するフローチャートを示す図。
【図3】本実施形態に係る画像処理装置が保持するレベル別平滑化範囲テーブルの構成の一例を示す図。
【図4】画像ノイズ除去処理を、ハードウェアにより実現した場合の画像処理装置の構成の一例を説明するためのブロック図。
【符号の説明】
【0057】
10 画像処理装置
20 CPU
22 ROM
24 カードインターフェース
26 通信インターフェース
28 画面インターフェース
30 装置制御部
32 内部バス
34 RAM
40 RAM
42 印刷ヘッド
44 キャリッジ
46 紙送り機構
48 スキャナ
100 カード型外部デバイス
102 外部デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画ソース又は静止画ソースの画像ソースを取得する画像ソース取得手段と、
前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースが、動画ソースであるか、又は、静止画ソースであるかを判断する、判断手段と、
前記判断手段で動画ソースであると判断した場合には、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定し、前記判断手段で静止画ソースであると判断した場合には、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する、設定手段と、
前記設定手段で設定された平滑化範囲のマトリックスの大きさで、前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースに基づく画像データに対して、輝度プレーンのノイズ除去処理と色差プレーンのノイズ除去処理を行う、ノイズ除去処理実行手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像ソース取得手段で取得した画像ソースの画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換する、第1変換手段を、さらに備えるとともに、
前記ノイズ除去処理実行手段は、前記第1変換手段でYCbCrの色空間の表現に変換された画像データに基づいて、ノイズ除去処理を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1変換手段は、RGBの色空間で表現された画像データを、YCbCrの色空間の表現に変換する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記ノイズ除去処理実行手段でノイズ除去された画像データを、RGBの色空間で表現された画像データに変換する、第2変換手段を、さらに備えることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記ノイズ除去処理実行手段でノイズ除去処理がなされた画像データに基づいて、印刷を実行する、印刷実行手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
動画ソース又は静止画ソースの画像ソースを取得する工程と、
前記取得した画像ソースが、動画ソースであるか、又は、静止画ソースであるかを判断する工程と、
前記画像ソースが動画ソースであると判断した場合には、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定し、前記画像ソースが静止画ソースであると判断した場合には、輝度プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさを、色差プレーンのノイズ除去処理で用いる平滑化範囲のマトリックスの大きさより、大きくなるように設定する工程と、
前記設定された平滑化範囲のマトリックスの大きさで、前記取得した画像ソースに基づく画像データに対して、輝度プレーンのノイズ除去処理と色差プレーンのノイズ除去処理を行う工程と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−159601(P2009−159601A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301429(P2008−301429)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】