説明

画像処理装置及び方法

【課題】失敗目画像に対して最適な補正を行う。
【解決手段】画像から顔と目を検出し、この検出結果に基づいて閉じている目、半開きの目、赤目、目線がカメラを向いていない目などの失敗目であるか否かをテンプレートパターンマッチングにより判定し、失敗目であると判定された場合に、失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像をあらかじめ作成された画像データベースから検索し、検索された候補画像のサイズ、角度、ぼかし、明るさ、色相を修正し、この修正された候補画像を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル写真画像を修正する画像処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及によって、写真画像のデジタル化が容易になっている。加えて印刷装置、特にインクジェット方式の高画質化が進み、ユーザが撮影したデジタル画像から写真調の印刷結果を得ることができるようになった。更に、パーソナルコンピュータ上で各種アプリケーションソフトウェアを使用して、撮影された画像データを編集、加工処理することも容易になっている。
【0003】
このような背景から、更に簡単に撮影した画像をきれいに印刷できる環境の開発が進められている。
【0004】
特に人物を撮影する場合に被写体である人物の目が閉じていたり半目の状態や、撮影された人物の目が赤目になることがよくある。これは、シャッタを切った瞬間に、被写体がこちらに注目していなかったり、フラッシュのプレ発光のため、逆に目を閉じてしまったり、フラッシュ光が、開いた瞳孔で反射されて目が赤く撮影されることによって起こる。
【0005】
また、集合写真を撮影する場合には、撮影される人物全員の瞬きのタイミングを合わせることなどできないため、複数枚撮影して、極力全員の目が開いている状態の画像を得るようにしている。
【0006】
目が閉じているか、または半目の状態になってしまった写真は、人物の印象が悪くとられることが多く、一般に失敗写真と判断される。
【0007】
このような目が閉じている失敗写真を補正する方法としては、特許文献1及び2などに開示されている方法が知られている。
【0008】
【特許文献1】特開2001−197296号公報
【特許文献2】特開2002−199202号公報
【特許文献3】特開2002−183731号公報
【特許文献4】特開2003−30667号公報
【特許文献5】特開平8−63597号公報
【特許文献6】特開2000−105829号公報
【特許文献7】特開平8−77334号公報
【特許文献8】特開2001−216515号公報
【特許文献9】特開平5−197793号公報
【特許文献10】特開平11−53525号公報
【特許文献11】特開2000−132688号公報
【特許文献12】特開2000−235648号公報
【特許文献13】特開平11−250267号公報
【特許文献14】特登録2541688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的な画像処理ソフトを使用して、ユーザが手作業で、閉じている目や半目状態の目、赤目の領域に他の目を合成するという方法はあるが、簡単に満足のいく結果を得ることは困難であった。
【0010】
特許文献1の発明では、目を閉じている画像の修正方法は開示されているが、半目や赤目などの目の画像が完全でない場合の画像に対する補正は記載されていない。
【0011】
さらに、特許文献2に記載の発明によれば、連続した2枚の画像が必要となるため、撮影条件に制約があり、使いやすいものではないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、このような問題点を解決し、失敗目の撮影画像に最適な失敗目補正を実施することができる画像処理装置及び方法を提供することを第1の目的とする。
【0013】
また、本発明は、このような問題点を解決し、失敗目領域のサイズ、印刷条件に応じて検索条件、補正の品位を変更することができる画像処理装置及び方法を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、該顔器官検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、該失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項1の発明において、失敗目判定手段は、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することができる。
【0016】
請求項1の発明において、失敗目判定手段は、目が閉じていることを判定することができる。
【0017】
請求項1の発明において、失敗目判定手段は、目が半分閉じていることを判定することができる。
【0018】
請求項1の発明において、失敗目判定手段は、目が赤目であることを判定することができる。
【0019】
請求項6の発明は、画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、該顔検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、該失敗目判定手段により失敗目であると判定された失敗目領域に必要とされる品位が所定の基準以上か否かを評価する評価手段と、該評価手段により前記所定の基準以上でないと評価された場合に、前記失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段とを具備することを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明において、失敗目判定手段は、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することができる。
【0021】
請求項6の発明において、評価手段は、失敗目であると判定された領域と画像の大きさの比を評価することができる。
【0022】
請求項6の発明において、評価手段は、印刷条件によって評価することができる。
【0023】
請求項9の発明において、印刷条件は、印刷メディアとすることができる。
【0024】
請求項9の発明において、印刷条件は、印刷品位とすることができる。
【0025】
請求項9の発明において、印刷条件は、印刷レイアウトから評価することができる。
【0026】
請求項13の発明は、画像から顔と目を検出する顔器官検出ステップと、該顔検出ステップによる目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定ステップと、該失敗目判定ステップにより失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索ステップと、該補正候補画像検索ステップによって検索された候補画像を修正する候補画像修正ステップと、該候補画像修正ステップによって修正された候補画像を合成する合成ステップとを具備することを特徴とする。
【0027】
請求項13の発明において、失敗目判定ステップは、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することができる。
【0028】
請求項13の発明において、失敗目判定ステップは、目が閉じていることを判定することができる。
【0029】
請求項13の発明において、失敗目判定ステップは、目が半分閉じていることを判定することができる。
【0030】
請求項13の発明において、失敗目判定ステップは、目が赤目であることを判定することができる。
【0031】
請求項18の発明は、画像から顔と目を検出する顔器官検出ステップと、該顔検出ステップによる目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定ステップと、該失敗目判定ステップにより失敗目であると判定された失敗目領域に必要とされる品位が所定の基準以上か否かを評価する評価ステップと、該評価ステップにより前記所定の基準以上でないと評価された場合に、前記失敗目判定ステップにより失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索ステップと、該補正候補画像検索ステップによって検索された候補画像を修正する候補画像修正ステップと、該候補画像修正ステップによって修正された候補画像を合成する合成ステップとを具備することを特徴とする。
【0032】
請求項18の発明において、失敗目判定ステップは、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することができる。
【0033】
請求項18の発明において、評価ステップは、失敗目であると判定された領域と前記画像の大きさの比を評価することができる。
【0034】
請求項18の発明において、評価手段は、印刷条件によって評価することができる。
【0035】
請求項21の発明において、印刷条件は、印刷メディアとすることができる。
【0036】
請求項21の発明において、印刷条件は、印刷品位とすることができる。
【0037】
請求項21の発明において、前記印刷条件は、印刷レイアウトから評価することができる。
【0038】
請求項25のプログラムは、コンピュータを、画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、該顔器官検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、該失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段として機能させる。
【0039】
請求項26のプログラムは、コンピュータを、画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、該顔検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、該失敗目判定手段により失敗目であると判定された失敗目領域に必要とされる品位が所定の基準以上か否かを評価する評価手段と、該評価手段により前記所定の基準以上でないと評価された場合に、前記失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段として機能させる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、上記のように構成したので、失敗した目の撮影画像に最適な失敗目補正を実施することができる。
【0041】
また、本発明によれば、上記のように構成したので、失敗目領域のサイズ、印刷条件に応じて、検索条件、補正の品位を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態は、本発明をプリンティングシステムに適用した例について説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0043】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態を示す。これは画像処理装置の例である。
【0044】
(画像処理装置)
図1において、画像処理装置101は、CPU(central processing unit)102、ROM(read only memory)103、RAM(random access memory)104、2次記憶装置105、表示装置106、入力装置107、I/F(interface)制御部108で構成されている。
【0045】
CPU102は、ROM103、RAM104、2次記憶装置105に格納されているプログラムを適時動作させて周辺機器を制御する。
【0046】
ROM103にはBIOS(basic input/output system)と呼ばれる周辺機器の入出力を制御するプログラムが格納されていて、電源投入時に実行され、RAM104やその他の入出力装置の初期化を行う。RAM104は作業用のメモリ空間を提供している。2次記憶装置105はHDD(hard disk drive)やCD−ROM(compact disk-ROM)に代表される大容量磁気記憶装置などで構成されており、OS(operating system)、アプリケーションや各種データが格納されている。
【0047】
表示装置106はCRT(cathode ray tube)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置である。表示装置106にはアプリケーションの処理結果や、メッセージなどが表示される。入力装置107はキーボード、マウスなどのユーザの指示を入力する機器であって、ユーザの指示を画像処理装置101に入力する機能を提供している。
【0048】
I/F制御部108は外部周辺機器とのインタフェースを提供している。インタフェースとしては、パラレルポートとも呼ばれるIEEE1284やSCSI(small computer system interface)、更にはUSB(universal serial bus)、IEEE1394といったシリアルバスなどが使用できる。どのインタフェースを使用するかは画像処理装置101の構成、外部周辺機器の対応によって決まる。
【0049】
外部周辺機器としてはデジタルスチルカメラ109、メモリカードリーダ/ライタ110、プリンタ111がある。
【0050】
デジタルスチルカメラ109は、撮影装置であり、ユーザが撮影した撮影画像データが格納されている。撮影画像データはデジタルスチルカメラ109をI/F制御部108を介して画像処理装置101に接続するか、あるいは、デジタルスチルカメラに内蔵される記録メディアを取り出して、メモリカードリーダ/ライタ110に挿入して、撮影画像データを、2次記憶装置105に転送して格納することができる。更に、格納された撮影画像データはプリンタ111で印刷することが可能である。
【0051】
(画像処理アプリケーション)
図2はユーザインタフェース(以下「UI」という。)の一例を示す。202〜205は、それぞれ、画像選択タブ、補正選択タブ、用紙選択タブ、レイアウト/印刷タブである。
【0052】
画像選択タブ202を選択すると、図示はしていないが、これから補正や印刷を行うための画像を選択することができる。画像の選択には入力装置107(図1)を使用する。用紙選択タブ204を選択すると、図示はしていないが、これから印刷するときに使用する紙の種類や大きさ、印刷品位を選択することできる。レイアウト/印刷205を選択すると、図示しないが、印刷のレイアウト、例えば用紙全面に一枚の画像を印刷するか、または複数の画像が選択されている場合に用紙全面に4枚の画像を配置して印刷するなどのレイアウトが選択できる。
【0053】
補正選択タブ203を選択すると、図2に示すようなUIが表示装置106に表示され、失敗目補正処理を選択するボタン206や、他の補正を選択するボタンがUI上に選択できるようになっている。さらには補正対象となる画像207が表示されている。ユーザは画像207を見ながら補正強度の修正や補正パターンの変更が可能になっている。
【0054】
(画像解析)
図3は画像処理手順の一例を示すフローチャートである。ここに、ユーザが、画像処理アプリケーションを実行して、図2のUIにおいて、補正対象画像207を選択して、補正対象画像207に失敗目補正処理206を選択して実行ボタン210を押して、補正開始の指示を行った、との仮定の下に、画像処理を説明する。
【0055】
初めに、ユーザが失敗目補正処理を自動で実行するか、または手動で実行するかを、自動タブ208、手動タブ209を選択する。手動タブ209が選択された場合は、補正対象画像207中にある失敗目の領域を、入力装置107によって指定する。自動タブ208が選択され、かつ実行ボタン210が押されると、S301で、補正対象画像207に対して顔検出を行う。
【0056】
この顔検出手法としては、すでに様々な手法が提案されている。特許文献3に記載の手法によれば、入力画像から目領域を検出し、目領域周辺を顔候補領域とする。この顔候補領域に対して、画素毎の輝度勾配、及び輝度勾配の重みを算出し、これらの値が、あらかじめ設定されている理想的な顔基準画像の勾配、及び勾配の重みと比較したときに、各勾配間の平均角度が所定の閾値以下であった場合、入力画像は顔領域を有すると判定される。
【0057】
また、特許文献4に記載の手法によれば、まず画像中から肌色領域を検出し、同領域内において、人間の虹彩色画素を検出することにより、目の位置が検出される。
【0058】
さらに、特許文献5に記載の手法によれば、複数の顔の形状をしたテンプレートと画像とのマッチング度を計算し、マッチング度が最も高いテンプレートを選択し、最も高かったマッチング度があらかじめ定められた閾値以上であれば、選択されたテンプレート内の領域を顔候補領域とし、このテンプレートを用いることにより、目の位置が検出される。
【0059】
さらに、特許文献6に記載の手法によれば、まず、鼻画像パターンをテンプレートとし、画像全体、あるいは画像中の指定された領域を走査し最もマッチする位置が鼻の位置として出力される。ついで、画像の鼻の位置よりも上の領域を目が存在する領域と考え、目画像パターンをテンプレートとして目存在領域を走査してマッチングをとり、ある閾値よりもマッチ度が大きい画素の集合である目存在候補位置集合が求められる。さらに、目存在候補位置集合に含まれる連続した領域をクラスタとして分割し、各クラスタと鼻位置との距離が算出される。その距離が最も短くなるクラスタを、目が存在するクラスタと決定することにより、器官位置が検出される。
【0060】
その他、顔及び器官位置を検出する方法としては、特許文献7乃至14など、数多くの手法が提案されている。本実施の形態では特に手法を限定しない。
【0061】
ここに、顔検出の結果、例えば図4に示すような画像401において、次のように仮定する。すなわち、顔領域402とは、LT(左上)及びRB(右下)の2点で定義される矩形領域であるものとする。また、右目領域403は、REyeT(右目目頭)及びREyeB(右目目尻)で定義される2点で検出され、左目領域404は、LEyeT(左目目頭)及びLEyeB(左目目尻)で定義される2点で検出されるものとする。
【0062】
S301で、顔と目が検出されると、S302で検出された目領域が失敗目であるか否かの判定を行う。ここで、失敗目とは例えば、人物の目が半開き(半目)や閉じた状態になっている目、目線がカメラを向いていない目、フラッシュの光により赤目になっている目、目の色が変色している目のことである。この失敗目であるか否かの判定には、目領域を、目領域の白目、虹彩、瞳孔部分に分割して、虹彩部分が円形に近い形をしているかの評価を行う。さらには、目のテンプレート(目が開いている画像)とのパターンマッチングを行い、所定の確度で、目が開いている、閉じている、変目の状態である、との評価を行う。また、瞳孔部分が赤いかの判定を行えば、赤目でないかの評価も実行できる。しかし、失敗目の評価項目はこれに限定されず、様々な評価量を定義することにより、失敗目の判定を行うことができる。
【0063】
S303では、S302で算出した複数の評価量に基づいて、検出されたすべての目領域に対して失敗目の判定を行う。
【0064】
S303で、失敗目が検出されなかった場合には、S304へ進み、ユーザに対して失敗目が検出されなかったことを通知して、次の指示を待つ。自動の失敗目検出の検出率を100%にすることは不可能である。そのため、画像401の中に失敗目が撮影されていたとしても、検出できないことがある。検出できない場合には、S305で、ユーザは失敗目と思う目領域を指定して失敗目補正の実行を指示できる。もしユーザからの領域指定がなく、キャンセルボタン211が押されると、S306へ進み、ユーザに失敗目補正を継続するか、終了するかを問うメッセージを表示する。S306でユーザが失敗目補正の継続を望んだ場合には、再度S304へ進む。他方、失敗目補正の終了を望んだ場合は、処理を終了する。
【0065】
S303で失敗目が検出された場合か、またはS306でユーザが失敗目領域を指定した場合には、S307へ進む。S307では、補正候補画像の検索を行う。修正候補画像データベース310は、あらかじめ作成された画像データベースである。この画像データベースには、縦横比、明るさ、虹彩の色、人種、年齢、などの目画像の特徴を分類する情報が付加された目画像が格納されている。なお、自動タブ208にあるチェックボックスを指定して検索条件を与えるようにしてもよい。さらには、ユーザ自身や家族の写真から成功した目の画像を修正候補画像DBに追加できるようにしても良い。
【0066】
S307では、検出された顔領域402の特徴量を判定して、修正候補画像DBの中から最適な修正候補画像を選択する。検索結果は、ユーザに候補画像をして見せるようにしても良い。ユーザが、選ばれた候補画像を気に入らなかった場合、次の候補画像を見せることで補正結果の満足度をあげるようにしても良い。
【0067】
S307で検出された複数の失敗目領域に対する補正候補画像を選択して、S308へ進む。S308では検出された目の領域の座標REyeTとREyeBか、またはLEyeTとLEyeBの値にマッチングするように、修正候補画像を変換する。この変換により、目画像のサイズ調整、角度調整、周辺領域をぼかす調整、元画像の目領域付近の色の明るさ、色相などを加味して修正候補画像の色調整を行う。
【0068】
S309で、S308で作成した修正候補画像を元画像に合成して、失敗目補正画像を得ることができる。
【0069】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、画像全体に対する失敗目の大きさや、実際に印刷された場合の失敗目の大きさなどは、何も考慮されていなかった。しかし、撮影された画像において失敗目の大きさが小さい場合には、厳密な補正候補画像の検索や、補正候補画像の修正が必要でない場合もある。また、失敗目補正画像の使用方法において、プリンタで印刷する場合などは、その印刷サイズ、印刷品位によっては、補正を厳密に行う必要もないことがある。
【0070】
そこで、第2の実施の形態では、失敗目の大きさや、印刷などの使用時の失敗目の大きさを考慮した。以下、これらの点を考慮した失敗目補正を説明する。図5に画像処理のフロー図を示す。図5において、S301からS310までのステップは、図3と同一ステップを示す。
【0071】
S303で失敗目が検出されると、S511へ進み、S511において、失敗目の大きさと、どのように印刷されるかを調査する。
【0072】
S512では、S511で得られた結果から、失敗目画像領域が必要とする品位を判定する。
【0073】
図6は失敗目が撮影された画像の例を示す。図6において、601は画像全体であり、その縦、横は画素数で表すことができる。例えば200万画素のデジタルカメラで撮影した画像は、縦×横が1600画素×1200画素程度である。目サイズ602は失敗目の大きさを示す。この目サイズ602はXEyeTとXEyeB(XはRまたはL)の距離で求めることができる。
【0074】
画像601と失敗目の大きさとの比率は、画像601の縦と横のうちの小さい方の画素数と、目サイズ602との比で定義する。そして、この比率が所定の値以下である場合には、失敗目画像の品位は低いと評価する。例えば、画像に対して失敗目の大きさの比が10%以下であれば品位が低いと判定する。
【0075】
ついで、印刷条件から失敗目の品位を判定する。例えば画像601を、A4サイズの用紙に印刷する場合と、図6(b)に605で示すように、A4サイズの用紙に4枚の画像を同時に印刷する場合では、失敗目のサイズは1/2になる。したがって、A4サイズを基準として、失敗目が印刷されるメディアでどの程度の大きさになるのかを算出して失敗眼領域の品位の評価に使用できる。
【0076】
また、印刷時には印刷品位が指定できる。印刷品位のパラメータとしては、メディアの種類、印刷画像の品位の指定を使うことができる。一般的に、光沢紙、写真用紙などの高品位メディアは品位が高く、普通紙などは品位が低いと判断できる。そこで、印刷メディアに普通紙が選択されている場合は、失敗目領域の品位の評価量を所定の割合で減じる。例えば普通紙では失敗目領域の品位を1/2にする。また、印刷画像の品位は、ドラフト印刷、標準印刷、高画質印刷などの印刷の画質によってそのレベルが規定されていることが多い。そこで、印刷画質の品位が低くても問題ないドラフト印刷では、失敗目領域の品位の評価量を、例えば1/2といった所定の割合で減じる。
【0077】
印刷メディアの条件は、アプリケーション201の用紙選択タブ204、レイアウト/印刷タブ205で同じような設定になっているかを調べると良い。
【0078】
S512で品位を評価した結果、失敗目領域の品位が所定の値よりも大きい場合には、第1の実施の形態と同様に、S307からS309までの処理を行う。他方、品位が所定の値よりも小さい場合には、S513へ進み、S513において、同一画像内に失敗目と判定されなかった画像があるか否かを調べ、S514で候補領域として使用できるかの判定を行う。S514の判定では、失敗目と失敗目でない領域とのサイズの所定の割合が、例えば0.5以上1.5以下である場合には、候補領域として採用できるものとする。また、複数の失敗目でない領域がある場合には、目領域のサイズ、色の一致度などの複数の評価量から一番似ているものを採用して、S308へ進む。
【0079】
他方、S514で候補となる目領域がなかった場合には、標準候補画像データベース(S516)にあらかじめ格納されている標準目画像から候補画像を選択して、S308へ進む。S308以降は、第1の実施の形態と同じである。
【0080】
(その他)
本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置等)に適用しても良い。
【0081】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は、本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0082】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における画像処理手順の一例を示すフロー図である。
【図4】顔、目の検出例を説明するための説明図である。
【図5】第2の実施の形態にやける画像処理手順の一例を示すフロー図である。
【図6】失敗目画像の例と印刷例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
101 画像処理装置
102 CPU
103 ROM
104 RAM
105 2次記憶装置
106 表示装置
107 入力装置
108 I/F制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、
該顔器官検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、
該失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、
該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、
該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、前記失敗目判定手段は、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1において、前記失敗目判定手段は、目が閉じていることを判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1において、前記失敗目判定手段は、目が半分閉じていることを判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1において、前記失敗目判定手段は、目が赤目であることを判定する画像処理装置。
【請求項6】
画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、
該顔検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、
該失敗目判定手段により失敗目であると判定された失敗目領域に必要とされる品位が所定の基準以上か否かを評価する評価手段と、
該評価手段により前記所定の基準以上でないと評価された場合に、前記失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、
該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、
該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6において、前記失敗目判定手段は、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項6において、前記評価手段は、失敗目であると判定された領域と前記画像の大きさの比を評価することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項6において、前記評価手段は、印刷条件によって評価することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項9において、前記印刷条件は、印刷メディアであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項9において、前記印刷条件は、印刷品位であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項9において、前記印刷条件は、印刷レイアウトから評価することを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
画像から顔と目を検出する顔器官検出ステップと、
該顔検出ステップによる目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定ステップと、
該失敗目判定ステップにより失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索ステップと、
該補正候補画像検索ステップによって検索された候補画像を修正する候補画像修正ステップと、
該候補画像修正ステップによって修正された候補画像を合成する合成ステップと
を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項13において、前記失敗目判定ステップは、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
請求項13において、前記失敗目判定ステップは、目が閉じていることを判定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
請求項13において、前記失敗目判定ステップは、目が半分閉じていることを判定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
請求項13において、前記失敗目判定ステップは、目が赤目であることを判定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
画像から顔と目を検出する顔器官検出ステップと、
該顔検出ステップによる目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定ステップと、
該失敗目判定ステップにより失敗目であると判定された失敗目領域に必要とされる品位が所定の基準以上か否かを評価する評価ステップと、
該評価ステップにより前記所定の基準以上でないと評価された場合に、前記失敗目判定ステップにより失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索ステップと、
該補正候補画像検索ステップによって検索された候補画像を修正する候補画像修正ステップと、
該候補画像修正ステップによって修正された候補画像を合成する合成ステップと
を具備することを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
請求項18において、前記失敗目判定ステップは、目の領域のパターンが予め定めた開いた目のパターンとマッチングするか否かに基づき失敗目であるか否かを判定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項20】
請求項18において、前記評価ステップは、失敗目であると判定された領域と前記画像の大きさの比を評価することを特徴とする画像処理方法。
【請求項21】
請求項18において、前記評価手段は、印刷条件によって評価することを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
請求項21において、前記印刷条件は、印刷メディアであることを特徴とする画像処理方法。
【請求項23】
請求項21において、前記印刷条件は、印刷品位であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項24】
請求項21において、前記印刷条件は、印刷レイアウトから評価することを特徴とする画像処理方法。
【請求項25】
コンピュータを、
画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、
該顔器官検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、
該失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、
該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、
該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段と
として機能させるためのプログラム。
【請求項26】
コンピュータを、
画像から顔と目を検出する顔器官検出手段と、
該顔検出手段による目の検出結果に基づいて失敗目であるか否かを判定する失敗目判定手段と、
該失敗目判定手段により失敗目であると判定された失敗目領域に必要とされる品位が所定の基準以上か否かを評価する評価手段と、
該評価手段により前記所定の基準以上でないと評価された場合に、前記失敗目判定手段により失敗目であると判定された領域に対する補正候補画像を検索する補正候補画像検索手段と、
該補正候補画像検索手段によって検索された候補画像を修正する候補画像修正手段と、
該候補画像修正手段によって修正された候補画像を合成する合成手段と
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−344166(P2006−344166A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171529(P2005−171529)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】