説明

画像処理装置

【課題】大規模災害発生時に簡便な操作で必要な画像を安否確認システムの災害情報処理サーバにアップロードすることのできる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10は、大規模災害発生時に発令される緊急地震速報などの災害情報から時刻取得部26が取得した災害発生時刻を基準に、接続された携帯端末30内から災害発生時刻以降に撮影された画像を選択的に取得する。この取得画像は、当該携帯端末30内に保存された当該携帯端末30の保有者の個人情報と、この取得画像の撮影場所の位置情報と共に、当該携帯端末30の保有者の安否確認情報として災害情報処理サーバ40へアップロードされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末より取得した画像を災害情報処理サーバにアップロードする機能を有する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、信頼できる観測結果から大規模災害が至近に発生すると予想した場合に、気象庁より専用の回線を用いて大規模災害発生の予報が提供されている(たとえば、緊急地震速報)。
【0003】
また、近年、大規模災害が発生した際に、サーバ上の専用掲示板などを介し、被災者自身が所持する携帯端末から送信した情報をもとに安否を確認する安否確認システムが提供されている。
【0004】
また、大規模災害発生情報を情報処理装置が取得した際、当該情報処理装置が提供する通常のユーザーインターフェース画面から、安否確認システムの利用に特化した緊急災害時用のユーザーインターフェースへ自動的に移行するシステムがある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-46809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯端末で撮影した災害現場などの画像を携帯端末から災害情報処理サーバにアップロードする場合、保存されている画像の中からユーザが携帯端末を操作してアップロード対象の画像を選択する作業を要していた。しかし、一般に携帯端末内には過去の画像をはじめ多数のデータが保存されているので、大規模災害発生直後などの緊急時にこの災害に関する画像のみを選択して送信する作業が煩雑で、使い勝手が良くないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、大規模災害発生時に簡便な操作で必要な画像を安否確認システムの災害情報処理サーバにアップロードすることのできる画像処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]災害発生時刻を取得する時刻取得部と、
接続された携帯端末と通信を行う端末通信部と、
災害情報処理サーバに画像をアップロードするためのネットワーク通信部と、
前記端末通信部に接続された携帯端末に保存されている画像の撮影時刻と前記取得した災害発生時刻とを比較し、災害発生時刻以降に撮影された画像を前記携帯端末から読み出して前記ネットワーク通信部に前記災害情報処理サーバへアップロードさせる制御部と、
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【0010】
上記発明では、制御部は取得した災害発生時刻と携帯端末内保存画像の撮影時刻とを比較し、災害発生時刻以降に撮影された画像のみを災害情報処理サーバへアップロードする。すなわち、災害発生時刻以前に撮影された不要な画像を災害情報管理サーバへのアップロード対象としないことで画像のアップロードに係る操作が簡便となる。
【0011】
[2]前記読み出した画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示されている画像の中から前記災害情報処理サーバにアップロードする画像の選択をユーザから受ける操作部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部にて選択された画像を前記災害情報処理サーバにアップロードする
ことを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
【0012】
上記発明では、災害発生時刻以降に撮影された画像の中でさらにユーザからアップロード許可を受けた画像のみをアップロードすることができる。
【0013】
[3]前記制御部は、前記携帯端末に保存されている端末保有者の個人情報を取得して災害情報処理サーバにアップロードする画像に添付する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像処理装置。
【0014】
[4]前記制御部は、前記アップロードする画像に前記携帯端末から取得した個人情報を添付するか否かをユーザに確認し、添付の許可を受けた場合に前記個人情報を前記画像に添付する。
ことを特徴とする[3]に記載の画像処理装置。
【0015】
上記[3]および[4]に係る発明では、画像処理装置は、携帯端末が保存する携帯端末保有者の個人情報を自動的に取得し、その個人情報を画像に添付してアップロードする。すなわち、アップロードする画像に添付するその画像のアップロード主体(携帯端末保有者)に関する個人情報の入力操作が簡便となる。
【0016】
[5]前記制御部は、前記アップロードする画像の撮影場所の位置情報を前記携帯端末から取得して前記アップロードする画像に添付する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0017】
上記発明により、取得画像が撮影場所の位置情報を含む場合、その位置情報をユーザが確認することで、被災地情報と比較して有用性の判断を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る画像処理装置によれば、災害情報などから災害発生時刻を取得し、その時刻を基準にして災害発生後の画像を選別することで、災害情報処理サーバへのアップロードが必要な画像であるか簡便に判断することができる。また、その画像の撮影者および撮影場所の情報を取得し、画像をアップロードする際に添付できるので、画像の閲覧者がより詳しい情報を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置を含むシステム全体の構成例を示す説明図である。
【図2】画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理装置による災害時刻情報の取得から災害情報管理サーバへの情報アップロードまでの動作を示す流れ図である。
【図4】画像処理装置が災害発生時刻を取得し、その時刻を基準に接続された携帯端末内の画像を選別して表示部に表示する例を示す説明図である。
【図5】携帯端末内の画像および個人情報が表示部に表示され、災害情報管理サーバにアップロードする画像を操作部からの入力で決定する例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係るシステム全体の構成を示す説明図である。画像処理装置10は災害発生時刻を取得し、当該画像処理装置10に接続した携帯端末30内に保存されている画像のうち、災害発生時刻以降に撮影された画像をUI(User Interface)上に表示し、ユーザの操作によって選択された画像を災害情報処理サーバ40ヘアップロードするシステムである。
【0022】
携帯端末30は携帯可能な情報処理端末である。たとえば携帯電話や小型PC(Personal Computer)等であり、画像処理装置10と当該携帯端末30とは有線または無線で接続される。この接続は当該画像処理装置10と当該携帯端末30の間に外部ネットワークを介した間接的なものでも、当該画像処理装置10と当該携帯端末30を直接的に繋いだものでもよい。
【0023】
携帯端末30は当該携帯端末30の保有者の個人情報および画像などを保存する記憶機能を備え、この記憶機能が保存する情報は外部からの接続による取得ができるようになっている。この画像は、当該携帯端末30が備えるカメラ機能などによって撮影して保存したものである。なお他の装置で撮影された画像を入力して保存している画像も含まれる。
【0024】
災害情報処理サーバ40は大規模災害発生時に災害伝言掲示板あるいは安否確認システムなどを管理するサーバであり、各種情報処理端末(たとえば、画像処理装置10)からアップロードされた画像などを登録する機能を備える。災害伝言掲示板は当該災害情報処理サーバ40内に設置された、被災者の伝言や画像などを登録し外部ネットワークを介して安否確認情報として一般に公開する電子掲示板である。安否確認システムとは、この災害伝言掲示板を処理するサーバと、安否確認情報の登録また安否確認情報の閲覧を行う端末から構成されたシステムであり、大規模災害発生時に被災者の安否確認情報を遠隔地の親族などへ災害伝言掲示板を介して通知するサービスを提供する。たとえば、安否確認をする場合は、安否確認システムの災害情報処理サーバに該当する個人の電話番号を送信することで、その電話番号に対応付けて登録されている伝言などの安否確認情報を受信できる。当該画像処理装置10は、ネットワーク通信部を介して当該災害処理サーバ40と接続される。
【0025】
災害情報処理サーバ40に安否確認情報として登録された画像などのデータは、外部ネットワークなどを介して接続することで外部の端末装置や情報処理装置(たとえば、画像処理装置10や携帯端末30)などから検索および内容の閲覧ができるよう構成されている。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置10の構成を示すブロック図である。画像処理装置10は、当該画像処理装置10の動作を統括制御する制御部としてのCPU(Central Processing Unit)11にバス12を介して、ROM(Read Only Memory)13と、RAM(Random Access Memory)14と、不揮発メモリ15と、スキャナ部16と、プリンタ部17と、ファクシミリ通信部18と、ネットワーク通信部19と、表示部20と、操作部21と、画像処理部22と、補助記憶装置接続部24と、端末通信部25と、時刻取得部26と、補助記憶装置接続部24を介して補助記憶装置23とを接続して構成される。
【0027】
ROM13には各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU11が処理を実行することにより画像処理装置10としての各機能が実現される。RAM14はこのCPU11がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像を格納する画像メモリ、送受信に係るデータを一時的に保存する通信バッファなどとして利用されるランダム・アクセス・メモリである。
【0028】
ネットワーク通信部19は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介してパーソナルコンピュータなどの端末装置(たとえば、携帯端末30)やサーバ(たとえば、災害情報処理サーバ40)などと通信して各種のデータや情報を送受信する機能を果たす。
【0029】
時刻取得部26は、ネットワーク通信部19を介して気象庁などから発令された災害情報を受信し、災害情報に含まれる災害の種類、災害の規模および災害発生の時刻などを分析する。また、この分析情報をCPU11に通知する機能を備えている。
【0030】
不揮発メモリ15は、電源をOFFにしてもその記憶内容が保存される書き換え可能なメモリである。この不揮発メモリ15には、画像処理装置10に対して設定された各種の設定内容(設定値)、ユーザ情報などに加え、時刻取得部26が取得した災害発生時刻が保存される。さらに、この不揮発メモリ15には災害情報処理サーバ40にアクセスするためのアドレス情報が保存される。そのアドレス情報は、たとえば、所定の登録画面を通じて入力される、あるいはネットワーク通信部19を通じて外部端末から受信されるようになっている。
【0031】
スキャナ部16は、原稿を光学的に読み取って画像を取得する機能を果たす。このスキャナ部16は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読み取り位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタル画像に変換する変換部などを備えて構成されている。
【0032】
プリンタ部17は、画像に応じた画像を記録紙に印刷する機能を果たす。ここでは、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザユニットと、現像装置と、転写装置と、分離装置と、クリーニング装置と、定着部とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂レーザープリンタとして構成されている。
【0033】
ファクシミリ通信部18は、ファクシミリ送信やファクシミリ受信のための通信制御、発呼(ダイアル)、着呼、電話回線との接続などを行うようになっている。
【0034】
表示部20は、各種の操作画面や設定画面、案内画面、警告画面などをUIとして表示する機能を果たす。この表示部20は、たとえば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などで構成される。
【0035】
操作部21は、ユーザからの各種の操作を受け付けCPU11に通知する機能を果たす。この操作部21は、たとえば表示部20の画面上に設けられたタッチパネルと、その他テンキー、スタートボタン、機能モードキーなどで構成される。
【0036】
画像処理部22は、外部の端末装置から受信した印刷データをイメージデータ(ビットマップデータ)に変換するラスタライズ処理、画像の圧縮処理や伸張処理、画像の回転処理などを行う機能を備えている。
【0037】
補助記憶装置23は、大容量不揮発の記憶装置であり、画像などが保存される。この補助記憶装置23は、たとえばハードディスクドライブなどである。
【0038】
端末通信部25は、当該端末通信部25に接続された外部端末(たとえば、携帯端末30)との間で情報の送受信を行う機能を備えている。この接続は、有線・無線を問わない。たとえば接続の規格はUSB(Universal Serial Bus)のような有線の接続規格であってもよいし、IrDA(Infrared Data Association)のような無線の接続規格であってもよい。
【0039】
図3は、災害情報を取得した画像処理装置10が行う処理の流れを示している。画像処理装置10の時刻取得部26は受信した災害情報を分析しCPU11に通知する。CPU11はその情報が大規模災害情報であるか否かを判断し(ステップS101)、その情報が大規模災害情報であれば(ステップS101;Yes)、その情報から災害発生時刻情報を抜き出して不揮発メモリ15に保存し(ステップS102)当該画像処理装置10の動作モードを災害伝言モードに移行させる。その情報が大規模災害情報でなければ(ステップS101;No)、処理を終了する。
【0040】
なお、この時刻取得部26が大規模災害を前提として発令される災害情報(たとえば、気象庁発令の緊急地震速報)を受信した場合は、CPU11は大規模災害情報であるか否かを判断せずに不揮発メモリ15に災害発生時刻を保存させ、当該画像処理装置10の動作モードを災害伝言モードに移行させる。また、実施の一例として大規模地震災害の場合を取り扱っているが、全ての災害をその規模に拘らず本処理の対象としてもよい。たとえば、台風・津波・土砂崩れなど地震以外の災害情報であってもよいし、CPU11が大規模災害と判断する基準をより緩く変更、もしくはより厳しく変更した設定で災害伝言モードを利用できるようにしてもよい。
【0041】
災害伝言モードに移行した場合、CPU11は端末通信部25に携帯端末30が接続されているか否かを確認する(ステップS103)。CPU11は、端末通信部25に携帯端末30が接続されていない場合は(ステップS103;No)、ユーザから操作部21を通じて災害伝言モードを解除する入力がなされたか否かを確認する(ステップS104)。ここでユーザから操作部21を通じて災害伝言モードを解除する入力がなされた場合は(ステップS104;Yes)、処理を終了する。また、ユーザから操作部21を通じた災害伝言モードを解除する入力がなされていなかった場合は(ステップS104;No)、CPU11は端末通信部25に携帯端末30が接続されているか否かを再度確認する(ステップS103)。
【0042】
端末通信部25に携帯端末30が接続されている場合は(ステップS103;Yes)、CPU11は携帯端末30内に災害発生時刻以降に撮影された画像が保存されているか否かを検索して調べ(ステップS106)、災害発生時刻以降に撮影された画像が保存されていた場合は(ステップS106;Yes)、端末通信部25を通じてその画像を取得する。ここでは、携帯端末30内に保存されている画像の属性情報としてその画像の撮影時刻が記憶されており、CPU11はこの属性情報に含まれる撮影時刻と災害発生時刻とを比較することで、災害発生時刻以降に撮影された画像を検索する。CPU11は、災害発生時刻以降に撮影された画像が保存されていない場合は(ステップS106;No)、携帯端末30内に保存されている携帯端末30の保有者の個人情報を取得し、これを災害情報処理サーバ40へ送信する(ステップS111)。
【0043】
なお、当該携帯端末30の保有者の個人情報を当該携帯端末30から取得できない場合(たとえば、当該携帯端末30に当該携帯端末30の保有者の個人情報が登録されていない場合)には、ステップS111を行わずに、本処理を終了する。
【0044】
CPU11は、携帯端末30より取得した画像にこの画像の撮影場所を示す位置情報が含まれているか否かを確認する(ステップS107)。CPU11は、この画像に位置情報が含まれている場合は(ステップS107;Yes)、その位置情報(たとえば、座標情報)に基づいて撮影場所を特定し、その撮影場所の情報(地名や番地など)を画像と共に表示部20へUI表示させる(ステップS108)。画像に位置情報が含まれていない場合は(ステップS107;No)、位置情報を付加することなくその画像を表示部20へUI表示させる(ステップS109)。
【0045】
画像に含まれる位置情報の例としては、画像にデータとして含まれるGPS(Global Positioning System)座標、画像に写った標識などの文字情報もしくは場所を特定可能な建造物などが挙げられる。この位置情報はCPU11によってUI表示に変換され、表示部20を介し住所・地名や特定可能な建造物からの距離・方位などで撮影場所として表示される。たとえば、位置情報がGPS座標情報の場合は、その座標情報に対応する地名や番地を地図データから検索し、その地名・番地を画像に付加して表示することができる構成となっている。
【0046】
なお、端末通信部25を介して携帯端末30より取得した災害発生時刻以降に撮影された画像は、表示部20へのUI表示において、特定の属性、たとえば画像の撮影時刻や画像の名称などをキーとして表示の再配列ができるようになっている。
【0047】
CPU11は、表示部20にUI表示された画像の中から、災害情報処理サーバ40にアップロードする画像の選択操作をユーザから操作部21を通じて受け付ける(ステップS110)。アップロード対象に選択された画像が含まれていた場合は(ステップS110;Yes)、その選択された画像を災害情報処理サーバ40にネットワーク通信部19を介してアップロードし(ステップS112)、処理を終了する。選択された画像が含まれていなかった場合は(ステップS110;No)、携帯端末30から携帯端末保有者の個人情報を取得し、その取得した個人情報のみをネットワーク通信部19を介して災害情報処理サーバ40にアップロードし、処理を終了する。
【0048】
なお、携帯端末30から取得した携帯端末30の保有者の個人情報は、災害情報処理サーバ40へアップロードする前に、操作部21を介した手動入力で内容の変更ができるように構成されている。この個人情報の内容に変更がなされた場合は、表示部20を介したUI表示で、変更がなされた個人情報のアップロードを許可するか否かの確認を行う。このUI表示においてアップロードの許可が入力された場合に、変更がなされた個人情報を当該災害情報処理サーバ40へアップロードすることができる構成となっている。
【0049】
時刻取得部26が受信する災害情報は、ネットワーク通信部19を介して取得されるもの(たとえば、気象庁発令の緊急地震速報)に限らない。時刻取得部26が何らかの原因でネットワーク通信部19を介して災害情報を受信できなかった場合は、テレビ放送などで地震情報を知ったユーザによる操作部21を介した手動入力で災害情報を取得してもよい。また、画像処理装置10が震度計など測定装置を備えている場合は、その測定結果から時刻取得部26が災害発生を認識し、その時点の日時を災害発生時刻として別途の時計部から取得するように構成されてもよい。たとえば、画像処理装置10が外部ネットワークと接続されているが災害情報の取得が難しい場合でも、当該画像処理装置10が震度計などの測定装置や時計部を備えた構成であれば、これらより時刻取得部26へ必要な入力がなされ、当該画像処理装置10は災害伝言モードへ移行することができる。
【0050】
図4、図5は、当該画像処理装置10を利用して災害に関する画像を携帯端末から取得して災害情報処理サーバ40へアップロードする手順を表示している。
【0051】
図4(a)は、大規模災害発生前の状態を示している。大規模災害発生前は画像処理装置10に災害発生時刻が記録されておらず、携帯端末30内には災害発生時刻以前に撮影された画像のみが保存されている。その後、8月20日の15:30に地震災害が発生し、その時刻が当該画像処理装置10に保存される(同図(b))。続く同図(c)は当該画像処理装置10が大規模災害の発生後に、接続された携帯端末30から災害発生時刻以降に保存された画像や当該携帯端末30の保有者の個人情報、その画像が撮影された場所の位置情報などを取得している状態を示す。たとえば、大規模災害発生時刻が15:30であった場合、CPU11は携帯端末30内に保存されている画像のうち、15:30以降に撮影された画像を当該携帯端末30から選択的に取得する。
【0052】
図4(d)は、接続された携帯端末30から取得した当該携帯端末30の保有者の個人情報と、災害発生時刻以降に撮影された画像とを画像処理装置10がその表示部20にUI表示している状態を例示している。図5(e)は災害情報処理サーバ40にアップロードする画像をユーザが操作部21を介して選択した状態のUI表示を示している。ここでOK釦27が操作されると、選択されている個人情報および画像などが当該災害情報処理サーバ40へアップロードされる(図5(f))。
【0053】
図5(g)は、画像処理装置10よりアップロードされた画像などの安否確認情報を、他の画像処理装置10Bが、災害情報処理サーバ40からダウンロードして表示部20BへUI表示している状態を示す。ここでOK釦28が操作されると、画像処理装置10BはUI表示で選択された処理(たとえば、画像の印刷出力など)を行う。
【0054】
このように、本実施の形態に係る画像処理装置10では、災害発生時刻を取得し、その時刻を基準にして画像を選別することで、アップロードが必要な画像であるか否かを簡便に判断することができるようになっている。
【0055】
さらに、災害情報処理サーバ40へアップロードする画像を表示部20にUI表示された中から選択できることで、表示された画像の内容を確認し、アップロードが必要な画像であるか簡便に判断することができる。
【0056】
また、画像処理装置10が携帯端末30の保有者として携帯端末30内に保存された個人情報を自動取得し、携帯端末30で撮影された画像を災害情報処理サーバ40へアップロードする際にこの個人情報を自動的に画像に添付しアップロードする。このため、この画像の撮影者の個人情報を入力しなくとも、撮影者の情報が添付された画像をアップロードできるようになっている。
【0057】
また、携帯端末30から取得した携帯端末30の保有者の個人情報を画像に添付する際に修正できることにより、この個人情報の不足および間違いを訂正できる。たとえば、この個人情報に欠落があった場合であっても、不足部分の情報を入力して補うことで、正確な個人情報を災害情報処理サーバ40にアップロードすることができる。
【0058】
また、画像が撮影された位置情報を取得して画像に付加するため、災害情報処理サーバ40にこの画像をアップロードする際に、およびアップロード後にこの画像を閲覧する際に、被災地域のどこの画像であるかの確認を行い易くなっている。
【0059】
また、取得した位置情報を地名・番地または有名建造物からの距離などに変換するため、画像の示す場所を具体的に把握しやすくなっている。たとえば、画像の示す場所の景観が被災によって大きく変化しても、その画像の示す場所がどこであるか否かを把握できるようになっている。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0061】
たとえば、図4に示された表示部20のUI表示は実施の形態の一例であり、本発明におけるUI表示の実施の形態はこれに限らない。
【0062】
実施の形態では、災害発生時刻以降に撮影された画像の中からアップロード対象とする画像の選択操作をユーザから受けるようにしたが、この選択操作を受けることなく、携帯端末30から取得した災害発生時刻以降に撮影された画像を全て自動的に災害情報処理サーバ40へアップロードするように構成されてもよい。
【0063】
また、実施の形態では、災害発生時刻を画像処理装置10内部に保存するようにしたが、たとえば、携帯端末30が接続された際に、画像処理装置10が災害情報処理サーバ40などの外部装置に災害発生時刻を問い合わせて取得するように構成されてもよい。
【0064】
同様に、操作表示装置(表示部20、操作部21およびCPU11)を有する画像処理装置10として複合機を例に説明したが、外部端末および外部ネットワークと接続が可能であり、災害発生時刻を取得できる機能を備えた画像処理装置であれば他の装置でもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…画像処理装置
11…CPU
12…バス
13…ROM
14…RAM
15…不揮発メモリ
16…スキャナ部
17…プリンタ部
18…ファクシミリ通信部
19…ネットワーク通信部
20…表示部
21…操作部
22…画像処理部
23…補助記憶装置
24…補助記憶装置接続部
25…端末通信部
26…時刻取得部
27…OK釦
28…OK釦
30…携帯端末
40…災害情報処理サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時刻を取得する時刻取得部と、
接続された携帯端末と通信を行う端末通信部と、
災害情報処理サーバに画像をアップロードするためのネットワーク通信部と、
前記端末通信部に接続された携帯端末に保存されている画像の撮影時刻と前記取得した災害発生時刻とを比較し、災害発生時刻以降に撮影された画像を前記携帯端末から読み出して前記ネットワーク通信部に前記災害情報処理サーバへアップロードさせる制御部と、
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記読み出した画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示されている画像の中から前記災害情報処理サーバにアップロードする画像の選択をユーザから受ける操作部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部にて選択された画像を前記災害情報処理サーバにアップロードする
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記携帯端末に保存されている端末保有者の個人情報を取得して災害情報処理サーバにアップロードする画像に添付する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記アップロードする画像に前記携帯端末から取得した個人情報を添付するか否かをユーザに確認し、添付の許可を受けた場合に前記個人情報を前記画像に添付する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アップロードする画像の撮影場所の位置情報を前記携帯端末から取得して前記アップロードする画像に添付する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−277370(P2010−277370A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129592(P2009−129592)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】