説明

画像処理装置

【課題】数百枚単位の画像を生成する高精度の医用画像診断装置における画像を読影する際に、短時間での読影が可能となる画像処理装置を提供する。
【解決手段】三次元原画像に基づいて、前記三次元原画像を所定方向から投影面に投影した投影画像を表示する画像処理を行う画像処理装置であって、前記複数枚の原断層像を積層方向にて所定枚数毎の複数のグループに区分する設定を行う設定手段と、前記設定手段にて設定された前記複数のグループ毎に、1グループを構成する各前記原断層像に対し、各前記原断層像の積層方向上にある1グループ枚数分のピクセルの画素値に対して所定の処理を施すことで所定方向の投影画像を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関し、特に、三次元画像の表示を行うものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、診断・治療のような医療行為を行う場で、X線CT装置、X線診断装置、核磁気共鳴イメージング(MRI)装置等の医用画像診断装置上で作成した画像を、診断若しくは治療を目的として三次元的な画像に表示することが行われている。このような三次元画像診断の分野では、例えばボリュームで画像を撮影し、ボリュームレンダリングにて三次元画像を表示したり、あるいはMPR等によりアキシャル、コロナル、サジタルの各断面を読影することで三次元的に画像を把握することが多い。
【0003】
ボリュームレンダリング法は、例えばCT装置、MRI装置等により得られたスライス画像を積み重ねた後に、複数のスライス画像のそれぞれの値(例えばCT値)をボクセルという正方形の中に填め込んだ三次元構造のボリュームモデル(ボクセル空間)を作り、このボリュームモデルに対して視線方向を決めて任意の視点からボクセル追跡(レイトレーシング)を行い、ボクセルにおける明るさ(CT値ないしはボクセル値)を求めて、この明るさに基づく画像情報を投影面のピクセルに投影して、臓器等を立体的に抽出して三次元画像を得る。
【0004】
一方、画像診断装置における画像表示として、MIP(Maximum Intensity Projection)処理が知られている。ここで、MIP処理とは、処理対象である全ての原画像に対して、それぞれの観察方向上にある全てのピクセルについて、最大値等を取り出して投影画像<IP(Image Projection)イメージ>を生成する処理である。この処理では、得られたMIPイメージにより、病変部を観察することが可能になり、腫瘍の大きさと悪性/良性の精密判断に役立つと考えられる。また、ヘリカルスキャン等により得られる多数のイメージデータから、一枚の画像を得ることで診断が容易になるとして期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、三次元画像表示、例えばボリュームレンダリング画像により、腫瘍等を見る場合、医者は、画像を見る際には腫瘍のみを見たいのではなく、何らかの理由で例えば、腫瘍の周囲の血管自体がどのように走っているのかなどの情報も必要であり、周囲の血管等の構造との位置関係を把握しつつ、周囲の構造も共に見たいとの要望がある。
【0006】
しかしながら、通常のボリュームレンダリングによる画像表示では、例えば腫瘍のCT値と、血管の領域のCT値とが近似しているために、例えば、図17に示すように、腫瘍ai等の位置が血管bi、di等に隠れた状態で表示されてしまう。このため、遮られて隠れる部分に関して視ることができないという問題がある。乃ち、腫瘍と血管の各CT値が近似しているために、互いのオブジェクトが重なると背後に位置するオブジェクトが見えないという問題点があった。さらに、「半透明表示」モードにしたとしても、画像がよく解らず、かつ、どの領域を半透明にすればよいのかも不明であるため装置使用者は画像に対して的確な処理を行うことができないという問題があった。
【0007】
さらにまた、腫瘍等の見たい部位が他の構造物に遮られて隠れてしまうことから、腫瘍をあらゆる方向から見ようとする場合には、腫瘍を見ることができる方向が制限されてしまう。従って、血管のない方向から腫瘍を見る必要があり、一画面において腫瘍と周囲の血管の関係とを同時に見ることが容易にできないという課題があった。
【0008】
また、腫瘍等の存在診断や鑑別診断のために、原画像として読影したい場合には、数十枚の画像であれば1枚ずつ表示して読影を行っても、あまり苦にならなかったが、特にヘリカルスキャンCTなどの普及とともに、高速CTでは、患者一人あたり通常数十枚〜数百枚のイメージが得られ、画像枚数が増大するため、数百枚の画像を1枚ずつ表示し、読影するのは、時間がかかる大変な作業であった。
【0009】
本発明の実施形態は、上記事情に鑑みてなされたものであり、数百枚単位の画像を生成する高精度の医用画像診断装置における画像を読影する際に、短時間での読影が可能となる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、三次元原画像に基づいて、前記三次元原画像を所定方向から投影面に投影した投影画像を表示する画像処理を行う画像処理装置であって、前記複数枚の原断層像を積層方向にて所定枚数毎の複数のグループに区分する設定を行う設定手段と、前記設定手段にて設定された前記複数のグループ毎に、1グループを構成する各前記原断層像に対し、各前記原断層像の積層方向上にある1グループ枚数分のピクセルの画素値に対して所定の処理を施すことで所定方向の投影画像を作成する画像作成手段と、を含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態にかかる画像処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置を備えたX線CT装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の画像処理装置の一例を示す外観図である。
【図4】図1の画像処理装置の表示部に表示される頭部の3次元画像の表示例を示す説明図である。
【図5】ボリュームレンダリングに関する説明を行うための説明図である。
【図6】図1の画像処理装置におけるレンダリング処理を説明するための説明図である。
【図7】従来のボリュームレンダリング後の画像表示について説明するための説明図である。
【図8】図1の画像処理装置においてボリュームレンダリング後の画像表示について説明するための説明図である。
【図9】図1の画像処理装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】同図(A)(B)は、重み関数の一例を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる画像処理装置の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図12】図11の画像処理装置におけるMIP処理の原理を説明するための説明図である。
【図13】図11の画像処理装置におけるMIP処理の原理を説明するための説明図である。
【図14】図11の画像処理装置におけるMIP処理の設定画面の一例を示す説明図である。
【図15】ある条件の下でMIP処理を行う場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】MIP処理を他の条件の下で処理を行う場合の原理を説明するための説明図である。
【図17】従来のボリュームレンダリング後の画像表示を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
(システムの全体構成)
先ず、本発明にいう「画像処理装置」ないしは「医用画像診断装置」を、いわゆる「医用画像診断システム」に適用した場合の一実施の形態について説明を行うこととする。
【0014】
ここに、本発明の特徴は、CT装置又はMRI等で得られたスライス画像に基づく立体的画像をボリュームレンダリングで画面に表示し、このボリュームレンダリング画像上において、特定領域(オブジェクト)の指定点をポインタ等にて押下すると、当該指定されたオブジェクト(腫瘍ai)が鮮明に表示されるように、重み係数をCT値に相関させることにより、当該オブジェクトより前方に表示されている他のオブジェクト(血管bi)等の透明度を変換し、例えば腫瘍aiと血管biなどとの組織関係を把握しながらも当該血管biにより遮蔽される腫瘍aiの形状を明確に表示できるようにするものである。
【0015】
このような本発明の特徴の具体的な説明に先立って、先ずは医用画像診断システムの全体の概略構成について、図1ないし図2を参照して説明する。図1及び図2は、本実施形態の医用画像診断システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0016】
本実施形態の医用画像診断システム1は、図1及び図2に示すように、「X線CT装置」などのX線源、X線検出器等のデータを収集するための機構を備えたモダリティ2と、モダリティ2からの各種画像情報等に基づいて、例えば三次元画像などを表示するための画像処理装置10と、を有している。
【0017】
前記モダリティ2(医用画像診断装置)は、例えば「X線CT装置」等が挙げられ、当該モダリティ2がX線CT装置である場合には、架台3a内に備えられたX線管3d及びX線検出器3e、X線検出器3eからのデータを収集するデータ収集部4、各種データ処理を行う前処理部5、画像再構成処理などを行う再構成部6、各種データを処理するデータ処理部7、などを備え、さらに、各種データを格納する記憶部、データ転送を行う転送処理部、X線CT装置本体を操作するための操作部や表示部(いずれも不図示)なども含まれている。
【0018】
なお、医用画像診断システム1の構成としては、図2に示すように、「X線CT装置」としてその操作卓側に画像処理装置(2a)の機能を搭載する場合や、「X線CT装置」とネットワークを介して接続された(X線CT装置本体とは別に構成にされた)画像参照用コンピュータに画像処理装置(10)の機能を搭載する場合等、そのシステムのハードウエア構成はいずれであっても、もしくはその組み合わせであってもよい。
【0019】
この際、上記X線CT装置の各構成要素は概略次のように作用する。すなわち、X線管11により発せられ、被検体を透過したX線は、X線検出器3eによりアナログ電気信号に変換され、以下、データ収集部4によるデジタル変換処理、前処理部5による各種補正処理等を受け、投影データとして不図示の記憶部に蓄えられる。そして、前記X線管3d及びX線検出器3eが、被検体周囲を例えば1周(=360°)した結果得られる投影データに基づいて、前記再構成部6による断層像等その他の画像情報の再構成を行い、データ処理部7で種々の処理を行い断層像等の画像情報の表示が可能となる。なお、架台3aには、環状の穴部3cが設けられ、被検者を載せた寝台天板3bが矢印方向に所定速度で移動することで、ヘリカルスキャン等を行い得、被検者の複数の断層像(スライス画像)を得る。
【0020】
一方、図1に説明を戻すと、画像処理装置1は、CT装置又はMR等で得られたスライス画像が積み重ねられて記憶された各スライス画像を順次読み出してスライス画像に厚みをもたせ、その空間分解能(x、y)とスライス厚(z)とが等しい三次元空間を構成した3次元構造のボクセル空間を生成して三次元画像を表示可能とする機能を有するものであり、モダリティ2からの各種画像情報やその他の情報(付帯情報など)を記憶する画像記憶部11含んで構成される。この画像記憶部11は、スライス画像等の情報を格納するスライス画像情報格納部11aと、スライス画像情報格納部11aのスライス画像に基づいて、ボリュームレンダリング等のボリュームモデル情報を格納するボリュームモデル情報格納部11bとを有してなる。
【0021】
また、画像処理装置1は、ボリュームモデル情報格納部11bでのボリュームモデル情報に基づいて、3D画像等の立体モデルを生成する立体モデル生成部12と、生成された立体モデルに対して投影処理などを施す投影処理部15と、視線方向位置算出部13と、ボリュームモデル位置算出部14と、投影処理部15と、視線方向距離算出部16と、画像処理部17と、グラフィックデータ生成部18と、関心領域演算部19と、重み演算手段20と、表示部31と、操作部32と、その他の処理33と、これらの制御を司る制御部34と、を有している。
【0022】
立体モデル生成部12(ボリュームモデル生成手段、3D画像生成部)は、例えばレンダリング処理等により三次元画像を生成するものであり、組織の色情報又は透明度に基づくボリュームモデルをファイルに生成するものであり、前述の三次元構造のボクセル空間の一つ一つのボクセルの数値に応じた透明度又は色情報を割り付けて三次元物体をモデルとして定義して、三次元物体の表面のみならず内部の多重構造も可視できる構造のボリュームモデルを生成する。乃ち、ファイルのスライス画像(X、Y)を順次抽出して、スライス画像の空間分解能(x、y)とスライス厚(z)とが等しい三次元空間座標系(X、Y、Z)を構成し、その一つ一つのボクセルの数値に応じた色情報を割り付けたボリュームモデルをファイルに定義する。
【0023】
オブジェクト空間に定義された三次元物体(対象物)は、立体モデル生成部12がCT装置又はMRI等のモダリティ2で得られた被検体のスライス画像に厚みを持たせ、その空間分解能(x、y)とスライス厚(z)とが原則として等しい三次元空間(ボクセル空間)を構成し、その一つ一つのボクセルにCT値等の数値を割り付けて生成している。
【0024】
視線方向位置算出部13は、操作部32(例えばマウス等)の操作に伴うイベントの発生に伴って表示部31の画面に表示された画像(ボリュームレンダリング画像)上における指示ポイント(ポインタ)の位置を、画像処理部17の画像メモリ(不図示)等から読み出し、当該指示ポイントの位置をボリュームモデル位置算出部14に知らせる。前述の画像メモリには、投影処理部15における投影空間、投影面(スクリーン空間)と同じ画像が一次記憶される、座標系は投影面と同じ2次元座標であり、画面の表示分解能に比例させている。なお、前述の指示ポイントとは、画像処理部17がマウスの操作に伴って移動させられる画面(画像メモリ)上のポインタである。また、視線方向位置算出部16は、操作部32の操作に伴う操作量から視線方向を求めている。
【0025】
ボリュームモデル位置算出部14は、投影処理部15の投影面を介して3次元位置を決定するものであり、視線方向位置算出部13で得られたボリュームレンダリング画像上の指定位置(スクリーン空間の2次元位置)を読み、この指定位置の座標をボクセルを用いた座標に対応するように3次元位置(Xi、Yi、Zi)を求め、これを指定ポイントのボリュームモデルの3次元位置(Xi、Yi、Zi)として投影処理部15に送出する。
【0026】
投影処理部15は、オブジェクト空間にボクセルで定義された三次元物体(対象物)に対して投影面を視線方向に基づいて向け、この投影面の各ピクセルから仮想的なレイ(光)を発してボクセル追跡を行い、前方の光り、或いは光源に照らされた光に照らされて反射する光とを合成して、次々とボクセルに渡していき最後のボクセルから出る光をレンダリング画像のピクセル値として投影面のピクセルに投影する。乃ち、所定の視点位置及び視線方向からボクセルで定義された三次元物体にレイトレーシングを行い、ぶつかったボクセルまでの距離とボクセルにおけるレイの方向とから明るさ(CT値)等を求めて、オパシティカーブの透明度αiを読み、この明るさhiと透明度等を積算した画像情報を順次合成して行く。
【0027】
具体的には、視線方向位置算出部13で得られた投影面8スクリーン空間)の座標に対応する2次元の視線方向及び視線位置を基準としてボリュームモデルに対してレイキャスティング等を行って投影面に投影する。前記投影面への投影はオブジェクト空間からの投影法に応じた変換により投影している。また、投影処理部15は、ボリュームモデル位置算出部14によって求められた3次元位置及び視点方向位置算出部13からの視線方向から投影したときのボリュームモデルの3次元的な画像(ボリュームレンダリング画像)を投影面に得て画面上に表示している。
【0028】
そして、投影面の投影に際して、投影処理部15は、例えば投影するピクセルが関心領域aiの場合は、画像記憶部11のオパシィティーカーブを用いた透明度で投影する。
【0029】
視線方向距離算出部16は、ポインタされた位置と視点位置とに基づいて、3次元空間上の視点位置からポインタで指示された位置までの視線方向(視軸、投影線)の距離を算出する。視線方向距離算出部16は、視線方向位置算出部13からボクセル空間のどの位置に指示された指示位置があるかの情報を得て、ボクセル空間内の軸Lと平面H(図5:詳細は後述)との交差する位置から指示位置までの距離を算出する。
【0030】
画像処理部17は、スクリーン空間の画像を画像メモリに一次記憶して、当該画像メモリの画像データを表示部31の表示画面上に表示する。また、操作部32(マウス等)の操作に基づくカーソル等を表示部31の表示画面上に表示する。この画像処理部及び制御部により本発明にいう「画像処理手段」を構成できる。
【0031】
グラフィックデータ生成部18は、表示部31の表示画面上に3次元画像とともに表示される操作カーソル等の各種グラフィック表示データを生成する。前記グラフィックデータ生成部18からの画像データは、画像処理部17に入力され、この画像処理部17を介して表示部31に表示されることとなる。
【0032】
関心領域演算部19は、関心領域や不透明度等の各種の制御演算を行うものであり、操作部32により指定された指定領域のボクセルの位置と、視線方向とに基づいて、関心領域のボクセル値を算出するものである。ここに、関心領域演算部19は、ボクセル位置と関心領域の表示態様を規定する関心領域パラメータとに基づいて、関心領域のボクセル値を抽出する。オブジェクト空間に定義された三次元物体のボクセル情報を投影面に投影するとき投影面の投影領域の関心領域の座標を画像記憶部11に設定する。なお、関心領域の画像表示パラメータとしては、例えば不透明度等が挙げられる。この不透明度とは、オブジェクトの関心領域の強調表示の強調度を示すものである。
【0033】
重み演算手段20は、予め設定された重み係数の場合にはボクセルに対してその重み係数を抽出し、予め設定された重み関数の場合には当該重み関数に基づいて各ボクセルに対応する重み係数を各々算出する重み係数演算部21と、操作部32にて操作指示された位置のボクセル値を基準とした境界より視点位置側のボクセル空間の各ボクセルのボリュームモデル上の位置を、視点位置、視線方向並びに操作部32にて指示された位置などから抽出するボクセル位置抽出部22と、前記ボクセル位置抽出部22にて算出された位置情報と前記重み係数演算部21にて算出された前記位置に対応する重み係数とに基づいて、当該各ボクセルの各CT値(各ボクセル値)を各々算出するCT値(ボクセル値)演算部23と、その他種々の演算処理(例えば、前記各ボクセルに対して重み係数を相関させたボクセル値をボリュームモデル上の視軸部分について算出した場合には、前記ボクセル空間に亘って演算する処理、あるいはこれらの演算制御を司る処理等)を行うその他の演算処理部24と、を含んで構成されている。なお、この重み演算手段は、本発明にいう「演算手段」に該当し、重み係数演算部は、本発明にいう「重み係数算出手段」に該当する。
【0034】
重み係数演算部21は、予め定義された重み関数に基づいて、視線方向の距離に応じた、重み係数(透明度を補正する補正値)を算出するものである。
【0035】
表示部31は、立体モデル生成部12からの画像を表示させる機能を有し、例えば図3に示すようなTVモニタ等から形成され、単体又はデュアル(2画面や合成)表示を可能とする。
【0036】
操作部32は、図3に示すように、例えばマウス、トラックボール及び/又はキーボード等の入力装置を用いて構成され、表示部31上で診断部位の指定や、各種画像表示パラメータの入力設定等を行うためのものである。これにより、制御部34は、操作部32により指定された表示画面上の点に基づいて、腫瘍等の画像の表示をみやすくするように変更制御する。この操作部は、本発明にいう「操作手段」に該当する。
【0037】
なお、表示部31には、表示画面上に表示された表示操作部たる不図示の重み係数設定部ないしは重み関数設定部31aを構成してよい。この重み関数設定部31aは、例えば、画面のボリュームレンダリング画像の特定領域の境界位置より視点位置側のボクセル空間内の各ボクセルに対する各重み係数(透明度)を設定するためのある種の重み関数を任意に設定するものである。具体的には、重み関数の各パラメータ(勾配部のCT値と重み係数)を入力させ、このパラメータに基づく重み関数を生成して前記ボクセル空間と対応させて画像記憶部11に記憶する。
【0038】
重み関数設定部31aは、画面に表示されるボリュームレンダリング画像の全体の重み係数を決定する複数の重み関数を画像記憶部11に記憶する。例えば、図10(A)(B)の重み関数F1は、距離が点A〜点Cまでの範囲の透明度が0〜1になるように変化する関数を有する重み関数にされている。この際、画像記憶部11には、投影面の各ピクセル座標kiに対応するピクセル座標P1(Xi、Yi)、P2、P3、……に重み関数を用いて演算されたCT値が割付けられて記憶されている。なお、本実施の形態の重み関数設定部は、本発明にいう「重み関数設定手段」に該当する。
【0039】
なお、表示部31には、オペレータによって入力された関心領域のオパシティカーブを生成して画像記憶部11に設定するオパシティカーブ設定部(不図示)を形成してよい。
【0040】
上記のように構成された画像処理装置10について、ボリューム表示を行う場合は、概略以下のように作用する。
【0041】
モダリティ2より転送されてきたスライス画像情報が画像記憶部11に格納されると、立体モデル生成部12は、画像記憶部11のスライス画像情報格納部11aより複数のスライス画像(マルチスライス画像)の取得を行う。
【0042】
立体モデル生成部12は、ボリューム表示に伴って、ファイルのスライス画像(X、Y)を順次抽出して、スライス画像の空間分解能(x、y)とスライス厚(z)とが等しい三次元空間座標系(X、Y、Z)を構成し、その一つ一つのボクセルの数値に応じたは色情報を割り付けたボリュームモデルをファイルに定義する。例えば、各ボクセルにCT値に応じた色情報を割り付けたボリュームモデル、つまり、組織間の境界面のみならず内部の情報構造も多重に見えるようなモデルを生成する。
【0043】
また、立体モデル生成部12はボリュームモデルの生成に伴って、三次元空間座標系(X、Y、Z)に、3次元構造のボクセル空間の一つ一つのボクセルに対して、しきい値処理を行った複数の2値ボクセルの隣接関係から一つ一つのボクセル内を定義する。
【0044】
そして、投影処理部15は、ファイルのボリュームモデルを所定の視線位置及び視線方向から投影したときのボリュームレンダリング画像を表示させる。例えば、図4に示すようなボリュームレンダリングの画像を表示する。図4は頭部のボリュームレンダリングの画像であり、腫瘍、血管、他の器官等が見えるようになっている。
【0045】
ここで、レンダリング処理の中でも特にレイトレーシング法を用いて3次元画像を構成する場合には、3次元画像に対して、視線方向すなわち投影面(プロジェクションプレーン)を決め、ボクセルに対して視線方向から光線(=レイ)を飛ばし、経由するボクセルデータ値で決まる不透明度により、減衰透過する光線量を計算しながらレイ上の各サンプル点の反射光総量に輝度やカラー処理を施して3次元画像を得る。
【0046】
このようなボリュームレンダリング画像を表示部31に表示しているとき、例えば、オペレータが操作部32のマウス等によって特定箇所を指示し、視点位置がジャンプされたとき、視線方向位置算出部13は、画面に表示されているボリュームレンダリング画像上の現在の二次元位置(スクリーン空間での二次元位置)を読み、この二次元位置及び視線方向を知らせる。
【0047】
ボリュームモデル位置算出部14は、視線方向位置算出部13からの二次元位置を読み、この位置の座標変換を行い、投影処理部15の投影面を介して前記位置に対応する三次元位置を求め、この三次元位置を、ボリュームレンダリング画像の指定ポイントのボリュームモデルの三次元位置として投影処理部15に送出する。すなわち、視線方向位置算出部13からの二次元位置に対応する三次元位置をボリュームモデルの三次元位置とする。
【0048】
そして、投影処理部15は、ボリュームモデル位置算出部14からの三次元位置及び視線方向位置算出部13からの視線方向に基づいてボリュームモデルを投影面(スクリーン空間)に投影し、この投影面のボリュームレンダリング画像を画面に表示させる。このように、ボリュームレンダリング画像において、指定された位置の正確なボリューム画像を画面に表示できる。
【0049】
(本実施形態の特徴的構成)
ここで、本実施形態の特徴、すなわち、重み係数によりCT値を算出するための原理について図4〜図8を用いて説明する。
【0050】
本実施の形態では、図4に示すようなCT等を用いて撮影された画像を用いて、頭部の3次元画像Gを表示する場合について説明する。なお、説明のため画像サイズは512×512とし、画像枚数は、512枚であり、ピクセルサイズ(xy平面における画素サイズ)とスライスピッチ(z方向の画素サイズ)は同じであるとする。また、座標系は、図4に示す通りであるとし、表示部31における重み関数設定部31aなどによって、重み関数が予め設定されている場合を想定する。
【0051】
本実施の形態では、ユーザーが見たいと所望する部分(関心領域)の1点をクリック等の操作を行うことにより、当該クリックされた座標値(x、y、z)から視点位置側に離間するに従い、各画素(ボクセル値ないしCT値)の透明度を変更することで、前記関心領域を濃く表示し、前記関心領域から離間するに従い薄く表示する。このようにすることで、前記関心領域を明確に見えるようにし、前記関心領域の周囲の構造、例えば、血管等の走行具合を比較的解るように表示可能となる。例えば、図5に示すように、腫瘍aiの領域を操作部32を用いてクリックすると、腫瘍aiは極力見えるようになる。なお、クリックした点が腫瘍ai(関心領域)の中心であるとすると、当該中心点に対して腫瘍ai(関心領域)の視点位置側も若干薄く表示されるようにしてもよい。
【0052】
具体的には、先ず、装置使用者が表示部31の表示画面上に表示された三次元画像であるボリュームレンダリング画像のうち、注目すべき見たい部分(特定領域)を操作部32を用いてクリック等を行うことにより指定する。
【0053】
当該指定された特定領域内の指定点の指定位置は、ボリュームモデル位置算出部14により当該指定位置に対応するボリュームモデルM上の位置(図3に示す点A)に変換される。この際、視線方向Vなどによって投影面やボリュームモデルMの方向は決まっているものとする。
【0054】
ボリュームモデルM上の指定位置(点A)と、視線方向に基づくボリュームモデル上の視点位置(点C)により、投影線L上の前記指定位置(点A)と視点位置(点C)との間の距離(AC)を視線方向距離算出部16が算出する。
【0055】
ここで、ボリュームモデルM内の前記指定位置(点A)より視点位置側のボクセル空間(VO)において、前記投影線L上にオブジェクト(CT値ないしボクセル値の高い分布領域)Bが存在する場合には、ボクセル位置抽出部22は、当該オブジェクトBの中心位置の前記ボリュームモデルM上の位置を抽出する。すなわち、表示部31において、指定された指定領域のオブジェクトAの手前側に何らかのオブジェクトBが存在する場合には、当該オブジェクトBの三次元位置を抽出することとなる。
【0056】
なおよって、視線方向距離算出部16は、指定位置(点A)と位置Bとの距離(AB)、位置Bと位置Cとの距離(BC)などをも算出することとなる。
【0057】
そして、重み係数演算部21は、予め設定された重み関数に基づいて、指定位置(点A)に対応する重み係数(第1重み係数)、位置(点B)に対応する重み係数(第2重み係数)を算出する。ここで、重み関数は、例えば、指定した部分の重みを大きくし、指定した部分から離れるに従い重みが小となる特性を有する関数であることが好ましい。
【0058】
例えば、重み係数により透明度を変更していき、例えば、視線方向から見て点Cにおける光(ボクセルデータないしはCT値)が200であるとすると、血管biのある点Bでは光は100となり、倍の距離で腫瘍aiのある点Aでは光は50となる。ここで、重み係数は、距離に比例した重みとなっているので、血管biのある点Bでは、0.5、腫瘍aiのある点Aでは、1となっている。なお、本例では、腫瘍aiと血管biとの間の距離と、血管biから点Cまでの距離が等しいものであるとしたが、等しくない場合、距離が変われば、この重みも距離に応じて変化する。
【0059】
そして、ボリュームモデルM上の指定位置(点A)における重み係数・ボクセル値(CT値)、位置(点B)における重み係数・ボクセル値(CT値)等の各種データ条件が揃うと、当該データに基づいて、CT値演算部23は、例えば((第1重み係数)(第1ボクセル値)+(第2重み係数)(第2ボクセル値))/((第1重み係数)+(第2重み係数))等の計算式により、投影線上のピクセルに対応するCT値の算出を行う。
【0060】
上記例では、直線L上における点の表示として用いるCT値としては、{(点Aの重み係数)×(点Aの光)+(点Bの重み係数)×(点Bの光)}/{(点Aの重み係数)+(点Bの重み係数)}=66.7となり、従って、直線のL上の点の表示で用いる値(CTであればCT値)は66.7となる。ここに、CT値は、100、200等の許容範囲程度である。
【0061】
このようにして、投影面の一つのピクセルに対してCT値の算出を行うと、上記同様にして投影面の各ピクセルに対応する各CT値の算出、すなわち、図5における平面H全体に亘って同様の処理を行うこととなる。
【0062】
ここで、仮に、腫瘍Aと血管Bとの距離がきわめて近い場合には、各点における各CT値に差が出ない。そのような場合は、例えば、重み係数を2乗することで、より差異が明確になる。
【0063】
なお、重み係数を算出するための重み関数としては、様々な関数の設定方法がある。例えば、縦軸に重み、横軸に距離をとって、例えば、重みを1にして、距離がある程度、例えば腫瘍の大きさが2cm位であるとすると、2cm位までは真っ直ぐで、ある長さを越えた場合には重みが低減するような、図10(A)に示す非線形の関数でもよい。
【0064】
このようにして、指定した点から重み係数を画像を薄くする場合に、当該重み係数を規定する重み関数の例としては、例えば、前記直線的な関数でもよいし、曲線的(2次曲線、双曲線、その他これに類するもの等)な関数でもよいし、非線形の関数を用いてもよい。
【0065】
なお、重みを距離に応じて線形的に一律に変化する場合に比べると、前記重みを2乗したものを重み係数とする方が、距離に応じて光の強さが弱くなるため、指示された点の画像がよりはっきり表示される。なおまた、腫瘍aiが小さい場合には、重み係数として2乗したものを用いた方がよいが、腫瘍aiが大きい場合には、重み係数として2乗しない数値を用いた方が好ましい。乃ち、腫瘍の大きさに応じて重み係数の乗算の手法を変更することが好ましい。またさらに、血管biと腫瘍aiとの大きさや位置関係、つまり、血管biがどの程度、腫瘍aiの先端まで入り込んできているか等に応じても重み係数の演算の手法を変更することが好ましい。
【0066】
このような重み係数の演算手法を変更する場合には、関数を多種多様に変更可能に構成するとよい。ここに、関数の変更は、例えば予め種々の関数を登録しておき、表示画面上に表示された複数の選択部から選択できるように形成しておいてもよい。
【0067】
また、図10(A)(B)に示すように、当該重み関数F1は、グラフ状に表示された関数の線部分をポインタP等により摘む等の操作を行うことにより、変更できるように構成されている。図10(A)(B)の例では、横軸を距離、縦軸を重み係数とした場合に、例えば、図10(B)に示すような重み関数F1をF2〜F5のように変更設定することで重み係数による透明度の変更を行うようにしている。
【0068】
さらに、重み関数としては、上記したような例に限らず、予め専用の関数を設けておき、マニュアル操作により図10(A)(B)に示すようなカーブを画面上に描くことができるように構成してよい。これによって、操作部(マウス)で摘んで当該関数曲線を延ばしたり、あるいは新規に作成したり自由に任意にできることとなる。
【0069】
また、複数の各関数を選択するための例えばファンクションキーを用意しておき(ファンクションキーに複数の関数を登録しておく)、画面を参照しながら最適な関数を選択する構成としてよい。この場合には、いずれか一つのファンクションキーを押下すると、予め登録された関数の画面が呼び出され、当該画面に表示された関数を微調節して設定登録することもできる。あるいは、新たに関数を登録したファンクションキーを生成してもよい。
【0070】
このようにすることにより、複数のユーザー(医師)の各々の好みに応じた専用の、複数の各ファンクションキーを設けることもできる。これにより、透明度の変え方を複数種類構成でき、例えば、腫瘍の大きさによって、関数によって透明度を変えられ、特定の領域を見るための目的に応じて、自由に変更できる。なお、X線CT装置では、例えば腫瘍用のファンクションキー、血管用のファンクションーなどを構成してもよい。
【0071】
(処理手順について)
次に、上述のような構成の画像処理装置において、特に重み係数を考慮したCT値を算出する際のさらに詳細な演算ステップについて、図8を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態においては、立体モデル生成部12がCT装置又はMRI等で得られたスライス画像に基づく三次元物体をボクセルでオブジェクト空間に生成している。
【0072】
先ず、初めに重み関数を設定する処理を説明する。重み関数設定部31aを用いて、腫瘍aiにて指定された指定位置(点A)を基準とした重み関数の勾配を決定するための距離、重み係数等からなるパラメータを装置使用者が設定入力を行う。この際、例えば、デフォルトの設定では、図10(A)に示すような重み関数F1が表示され、必要に応じてポインタPを用いて、図10(B)に示すように、種々の特性に変更することが可能となる。設定入力を行うと、対応する重み関数を生成し、重み関数設定部31は、当該重み関数の特性をテーブル形式で画像記憶部11に記憶する。
【0073】
このような、重み関数を予め設定して、以後に説明する処理を行うことにより、ボリュームレンダリング画像の特定領域の物体をはっきりと表示させる。
【0074】
次に、ボリュームレンダリング画像を表示部31の表示画面上に形成するには、先ず、CT装置又はMRI等で得られて画像記憶部11に記憶されたスライス画像に基づき、立体モデル生成部12は、三次元構造のボクセル空間(座標系)を生成し(ステップ、以下「S」101)、各ボクセルにCT値に応じた色情報を割り付けたボリュームモデルを生成する(S102)。
【0075】
このボリュームモデルを生成して、画像を表示を行う際には、例えば、図4に示す3次元画像から図5に示すようなボリュームレンダリング画像を作成する。ここでは、簡単のために図5に示すように腫瘍aiと血管biとが残るように設定する。
【0076】
さらに、投影処理部15にて所定の視点位置、視線方向(V)からオブジェクト空間にボクセルで定義された三次元物体(対象物)に、投影処理を行い、腫瘍ai、血管bi等を含むボリュームレンダリング画像を生成し、画像処理部17は、視線方向Vから見た画像を表示部31に表示する(S103)。ここで、投影処理では、投影処理部15が投影面のピクセルから3次元物体に対してレイトレーシングを行うときに、そのピクセル座標kiを読み込む。
【0077】
ここで、従来の手法で表示を行う場合には、図5に示す方向Vから入射した光は、血管biで遮られてしまい、図7に示すように、腫瘍aiが血管biに隠れてしまう。
【0078】
これに対し本例では、図7に示すように、腫瘍aiの位置を、3次元カーソル、マウス等で操作部32を用いてポインタPにより指定する。この時、図5に示すように、指定した腫瘍aiの位置Aは、ボリューム画像の中心(255、255、255)であるとする。また、点Aと点Cを結ぶ直線L上には、腫瘍aiの位置A(255、255、255)、血管biの位置B(255、383、255)、点C(255、511、255)が存在し、位置Bは、位置Aと点Cの中間にあるものとする。さらに、点Cの方向から光が入射した場合、血管biより腫瘍aiの方が減衰し、その減衰は、距離に反比例するとする。例えば、入射光が200であれば、点Cでは200、血管biでは100、腫瘍aiでは50になるとする。この際、重み関数は、例えば図10(A)の重み関数を用いるとする。
【0079】
そして、装置使用者によってボリュームレンダリング画像上の特定領域(図7に示す腫瘍ai)の指定位置にポインタP等が指定されると、ボリュームモデル位置算出部14が当該指定位置がボリュームモデル上のいかなる位置であるのかを算出する。すなわち、操作部12の操作によりポインタPを腫瘍aiの位置に指定した場合には、当該ポインタにて指定された位置(腫瘍ai)の座標を抽出する(S104)。ボクセル位置抽出部22は、AC間に画像(血管bi)がある場合に、ACを結ぶ直線L上の点(例えば血管bi)の座標を抽出する(S105)。なお、投影面のピクセル座標kiに、血管biなどのオブジェクトが含まれていない場合には、重み関数の演算処理は行わない。
【0080】
そして、AC間の距離、BC間の距離を各々算出する(S106)。次いで、指定あるいは選択された「重み」を表す重み関数からA、Bにおける重み係数を算出する(S107)。具体的には、重み係数演算部20は、重み関数とAB間の距離、BC間の距離などから点Aにおける重み係数、点Bにおける重み係数、点Cにおける重み係数等を各々算出する。
【0081】
一方、CT値演算部23は、点Cにて入射光が入射する場合には、点Cでのボクセル値(CT値)を所定の値としたときの、点A、Bの各ボクセル値(CT値)を抽出し(S108)、点A、点Bの重み係数、点A、点BのCT値、並びに各点A・B・C間の距離に基づき、L上の点CのCT値を算出する(S109)。そして、平面H上のすべての点について、前記S109の算出を行い、各CT値を算出する(S110)。このように、この重み関数を用いてボクセルの情報の透明度を決定し、重み関数に基づく透明度とボクセルにおける明るさと積算した画像を投影面のピクセルに投影する。乃ち、重み関数を用いて三次元物体のボクセルの情報の透明度を決定し、この透明度とボクセルにおける明るさとを積算した画像を投影面のピクセルに投影する。例えば、頭部がボクセルで三次元物体としてオブジェクト空間に定義され、かつ重み関数が設定されているときに、この重み関数を用いて投影面のピクセルに投影が行われる。この際、投影処理部15は投影面の全てのピクセルに対する投影が終了したかどうかを判断して、終了していないと判定したときは、投影面のピクセルを次の座標のピクセルに更新する。そして、腫瘍aiの輪郭を表示部31に表示する(S111)。
【0082】
従来の表示では、点Cから入射した光が血管biで遮られてしまうため、表示するためのCT値は、100を用いて表示していたため、先に説明したが、図7に示すように腫瘍aiが血管biに遮られてしまう。
【0083】
本実施形態では、指定した点(腫瘍ai)から図7に示す平面Hまでの距離の逆数とする重みをつける。例えば、重み関数が重み関数F1に設定されているときは、CT値が50のときに重み係数が「1」にされて、CT値が「200」のときに重み係数が「0」となる勾配を有するカーブにされているので、図5に示すように、腫瘍aiの重みは1であり、血管biの重みは、0.5となる。そして、表示するL上の点の値は、計算により66.7となる。これを平面H上の全ての点について行うと、腫瘍aiを遮断する血管biが半透明化して消えて、腫瘍aiがはっきりと映ることになり、図8に示すように、血管biの下に隠れた腫瘍aiの輪郭が分かる。
【0084】
このようして、3次元で撮影された画像の中である一点を指定し、指定された点からの距離に応じて透明度を変えて表示することにより、図8に示すように腫瘍等を見たい場合に邪魔な構造物である血管等が半透明になる。よって、あらゆる方向から腫瘍等の形状を認識でき、さらに周囲の構造も把握できる。
【0085】
以上のように本実施の形態によれば、腫瘍等の見たい部分から離れるに従って、重みを軽くすることにより、見たい部分以外が半透明になり、腫瘍等の見たい部分と周囲の構造を見やすくすることができ、特に、腫瘍と血管との関係を見ながら、腫瘍の状態を明確に把握することができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、操作部により指定する指定位置の箇所が1箇所である場合について例示したが、このような場合に限らず、他の複数箇所を指定する場合、例えば2箇所等を指定する場合に適用しても構わない。さらに、本実施の形態では、重み関数の例として、指定した点を基準とした逆数を重みの場合について例示したが、重み関数の例としてはこれに限らず、例えば距離の2乗に反比例する手法等他の種々の手法を用いる場合であって良い。
【0087】
また、上記実施の形態では、ボリュームレンダリング画像において、腫瘍、血管等のみが表示された上で指定した場合の処理を説明したが、頭部の他の構造、例えば、他の腫瘍やその他種々の器官等が表示された状態で指定する場合であっても同様である。もちろん、所定の透明度に関する各関数を用いて腫瘍(関心領域)や血管等を抽出した場合でも、前記重み関数によるCT値の補正演算をさらに行うことで容易に実現できる。
【0088】
さらに、腫瘍の大きさが大きい場合には、腫瘍(関心領域)の中の指定した指定点を含む関心領域を、前記重み関数とは別の専用の重み関数(関心領域を抽出する際の不透明度曲線とも異なる)による処理を施すように構成してもよい。この場合、装置使用者によってボリュームレンダリング画像上に関心領域が設定されている場合には、関心領域演算部19が、当該領域を認識して投影面に関心領域を割り当て、関心領域内のピクセル座標kiに対応するピクセル座標Piを画像記憶部11に設定した際に、この投影面の関心領域内の各ピクセル座標Piに関心領域であることを示すコードを付加して画像記憶部11に記憶されているので、重み関数演算部は、上記コードが検出された場合には、関心領域の重み関数を用い、コードが検出されない場合には前記重み関数を用いればよい。このようなのボリュームレンダリング表示によって、腫瘍ai以外の領域は、重み関数F1透明度で表示されると共に、腫瘍aiは重み関数F1とは異なる重み関数で表示されることにより、例えば腫瘍aiにおいては腫瘍がはっきりと映り、腫瘍ai以外の領域の血管biは薄く映るようになり、さらに、腫瘍ai自身も半透明にしたりあるいは逆に強調したりすることもできる。
【0089】
またさらに、本実施の形態で例示したような画像処理は、ボリュームレンダリング画像により生成された三次元画像について説明したが、他の種々の表示法にて生成された三次元画像について指定する場合であっても一向に構わない。ここに、種々の表示法とは、ボリュームレンダリング法、サーフェスレンダリング法、MIP法、MinIP法、X線投影法等その他の各種の画像表示方法のことを指す。
【0090】
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について、図11〜図16に基づいて説明する。なお、以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図10は、本実施の形態の医用画像診断システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0091】
本実施形態の医用画像診断システム1は、図11に示すように、X線CT装置、X線診断装置、MRI装置、超音波診断装置、SPECT装置等の各種のモダリティ201(医用画像診断装置)と、当該モダリティ201にて取得された画像情報に対して種々の画像処理を施して例えば三次元画像等を表示可能な画像処理装置200aと、から構成されている。
【0092】
画像処理装置200aは、モダリティ201にて取得された画像情報を記憶するための画像記憶部202と、この画像記憶部202での画像情報に基づいて、MIP画像を作成するMIP画像作成処理部203と、設定されたMIP枚数を処理するMIP枚数設定処理部204と、これらの各種画像情報、MIP画像等を表示するための表示部205と、表示部205にて表示される表示モード(例えばMIP画像表示モード、<MIPされていない>断層像表示モード、3D画像表示モード)を切り換える表示モード切換部206と、表示画面上での各種操作を行うための操作部207と、画像記憶部202の画像情報などの転送処理を行うための画像転送部208と、これら各部を制御する制御部209と、を含んで構成されている。なお、本実施の形態のMIP画像作成処理部及び制御部とで、本発明にいう「画像作成手段」を構成し、本実施の形態のMIP枚数設定処理部及び後述する表示設定部とで、本発明にいう「設定手段」を構成できる。
【0093】
上述のような構成を有する画像処理装置200aにおいて、例えばX線CT装置等で撮影された画像を用いて、頭部の3次元画像を表示する場合について説明する。ここに、説明のため画像サイズは、512×512で、画像(スライス画像)枚数は例えば300枚であるとする。また、座標系は、図12に示す通りであるとする。
【0094】
図12に示すように、そもそもMIP処理とは、複数枚の原断層像を積層してなる三次元原画像に基づいて、前記三次元原画像を所定方向から平面に投影した投影画像を表示する画像処理である。すなわち、処理対象である全ての原画像に対して、それぞれの観察方向上にある全てのピクセルについて、図12に示すように、最大値を取り出して投影画像を生成する。なお、ここに取り出す値としては、最大値に限らず、ある特定の特定値でよい。例えば、二番目に大きい値や、最小値,加算平均値等であってもよい。このようにして、造影撮影によって、病巣部が描出される。
【0095】
そして、上述のような構成を有する画像処理装置200aにおいて、MIP処理を行う場合には、図11に示すように、MIP画像作成処理部203は、画像記憶部202に蓄積されている数十枚の画像データを用いて、変化の小さい画像毎にいくつか領域を定め、この領域毎に画像データを画像記憶部202から読み込んで、この領域毎に最大値、最小値、平均値、特定値等のMIP処理を行う。これにより、MIP処理データが分割した領域毎に生成される。このようにして得られたMIP処理データを参照してMIP処理部が分割した領域毎に分割処理用の画像データを生成する。
【0096】
そして、得られた分割処理用の画像データを用いて、MIP画像作成処理部203が画像記憶部202に蓄積されている一連の画像群からなる画像データについてMIP処理を分割された領域毎に各々実行処理し、MIP処理済みの画像データを再び画像記憶部202に戻す。この場合、領域毎に各々MIP処理を行うこととなり、効率が良く、MIP処理時間を短縮することができる。この場合も、関心領域を正確に抽出することが可能になる。
【0097】
そして、画像記憶部202に格納されたMIP処理済みの画像データについて、制御部209が所望の画像処理を行って表示部205に表示する。この場合、画像記憶部202には既にMIP処理された一群の画像データが蓄積されているため、制御部209での画像処理は、どのような画像処理を行うことも可能である。すなわち、任意の角度のMIP処理や3D処理であっても、所望の画像を容易に観察することができるようになる。
【0098】
(表示設定部)
ここで、上述の「MIP処理」における各種設定事項を設定可能な表示設定部の一例について、図14を参照しつつ説明する。図14は、当該MIP処理を行う際の表示設定部の表示画面の一例を示す説明図である。
【0099】
同図に示すように、表示設定部300では、スライス画像の枚数に応じてMIPの対象となる画像枚数を表示した画像枚数表示部301、MIPする場合の区切り方法の設定を行う区切り方法設定部302、区切り枚数が均等である場合に当該区切り枚数の設定を行う第1の区切り枚数設定部303、区切り枚数を不均等に設定したい場合に当該区切り枚数の設定を行う第2の区切り枚数設定部304、区切り方向を設定するための区切り方向設定部305などが形成されている。
【0100】
区切り方法設定部302では、例えば、最大値によるMIP処理、最小値による処理、加算平均値による処理、あるいは、その他の各種特定値により処理、・・等各種処理形態を選択設定できるようになっている。
【0101】
第1の区切り枚数設定部303では、例えば、0〜300枚の画像を均等に区分けする場合の設定項目であり、図の例では例えば「10」枚となっていることから、300枚を10枚毎に区切り、当該10枚をMIP処理して1枚の画像とし、MIP処理後の画像は計30枚になることを意味する。
【0102】
第2の区切り枚数設定部304では、例えば、0〜300枚の画像を不均等に区分けする場合の設定項目であり、図の例では、0〜300枚の画像のうち、最初の40枚、最後の40枚は20枚ずつとし、中央部を例えば10枚とするような設定を行っている。このように、不均等に設定する場合には、場所に応じて任意に設定することも可能である。
【0103】
なお、第1の区切り枚数設定部303、第2の区切り枚数設定部304は、例えばチェックボックスによって、均等、不均等の設定を行うことができる。
【0104】
区切り方向設定部305は、複数のスライス画像を重ね合わせたマルチスライス画像による再構成画像において、区切り方向を設定するための設定項目であり、図の例では体軸に沿ったアキシャル方向(AX)にて区切る場合を意味している。なお、この他、サジタル方向(SA)、コロナル方向(CO)、オブリーク方向(OB)等に設定することも可能である。
【0105】
このようにして、表示設定部300を利用することによって、MIP処理における種々の設定を行いつつ、OKボタン等を押下することによって設定登録がなされ、不図示のMIP処理開始釦等により、当該設定項目にて設定された設定条件につき、MIP処理が行われることとなる。これらの設定条件は、MIP処理が行われると、画像記憶部202に画像データとともに、例えば付帯情報のファイルとして格納される。
【0106】
(処理手順)
次に、上述のような構成の画像処理装置を用いてMIP画像を生成する際の具体的な処理手順について説明する。画像記憶部202にはCT若しくはMRにより得られた多数の画像データが蓄積されている。例えば、ヘリカルスキャンにより得られた胸部や腹部についての数十枚の体軸方向の断層像の一連の画像群からなる画像データが蓄積されているとして説明を行う。
【0107】
より詳細な演算ステップとしては、上述のような構成の画像処理装置において、先ず、図14に示すような表示設定部300を用いて、MIP処理を行う際に区分けされる1グループあたりの枚数(本実施の形態では例えば均等に10枚ずつ)を決める。これによって、MIP枚数設定処理部204は、所定のグループ毎に各スライス画像を区分する処理を行う。そして、図15に示すように、MIP枚数情報を抽出し、区分すべき座標値(x,y,9)、(x,y,19)、(x,y,29)・・・を算出する処理を行う(S201)。
【0108】
次いで、MIP画像作成処理部203は、例えば10枚目までのスライス画像に基づいて、MIP画像を作成する処理を行う(S202)。ここで先ず、「MIP画像1」を生成する処理(S210)について説明する。なお、以下では、基準のボクセルの座標値を(x,y,z)=(0,0,0)とし、例えば、x=0列目は、元来「1列目」のことである。
【0109】
そして、座標(x,y,z)=(0,0,0)〜(0,0,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(0,0)の画素値とする処理を行う(S211(1、1))。乃ち、図12に示すように、直線M(xとyが同じでzが異なる、z軸方向に沿った画素)上の10点から「MIP画像1」の1番目の画素値を決める。ここで、3次元画像のxy座標系とMIP画像のxy座標系は同じであるものとする。そして、「MIP画像1」の画素値の決め方は、図12及び図13に示すように、直線M上の10点の画素値を見て最大の値を、「MIP画像1」の最初の画素値とする。例えば、図12に示す、z軸方向沿った10画素の各画素値が、図13のようであるとすると、この各画素値のうち最大値は「9」であるから、この画素値「9」を「MIP画像1」の対応する位置の画素値とする。
【0110】
同様にして、座標(x,y,z)=(0,1,0)〜(0,1,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(0,1)の画素値とする処理を行う(S211(2、1))。乃ち、直線Mに隣り合った直線N上の10点から「MIP画像1」の2番目の画素値を決める。この際にも、「MIP画像1」の画素値の決め方は、図12及び図13に示すように、直線N上の10点の画素値を見て最大の画素値を「MIP画像1」の次の画素値とする。例えば、図12に示す、z軸方向沿った10画素の各画素値が、図12のようであるとすると、この各画素値のうち最大値は「7」であるから、この画素値「7」を「MIP画像1」の対応する位置の画素値とする。
【0111】
このようにして、yの座標が「0」〜「511」となるまで同様の処理を行う。乃ち、最後に、座標(x,y,z)=(0,511,0)〜(0,511,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(0,511)の画素値とする処理を行う(S211(512、1))。これによって、「MIP画像1」のXY座標系におけるX=0列目の画像値の生成が完了する。
【0112】
次に、座標(x,y,z)=(1,0,0)〜(1,0,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(1,0)の画素値とする処理を行う(S211(1、2))。同様にして、座標(x,y,z)=(1,1,0)〜(1,1,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(1,1)の画素値とする処理を行う(S211(2、2))。このようにして、yの座標が「0」〜「511」となるまで同様の処理を行う。乃ち、最後に、座標(x,y,z)=(1,511,0)〜(1,511,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(1,511)の画素値とする処理を行う(S211(512、2))。これによって、「MIP画像1」のXY座標系におけるX=1列目の画像値の生成が完了する。
【0113】
このようにして、X=511列目まで同様の処理を行う。X=511列目においては、先ず、座標(x,y,z)=(511,0,0)〜(511,0,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(511,0)の画素値とする処理を行う(S211(1、512))。同様にして、座標(x,y,z)=(511,1,0)〜(511,1,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(511,1)の画素値とする処理を行う(S211(2、512))。このようにして、yの座標が「0」〜「511」となるまで同様の処理を行う。乃ち、最後に、座標(x,y,z)=(511,511,0)〜(511,511,9)の各画素値のうち最大の画素値を、MIP画像の座標(X,Y)=(511,511)の画素値とする処理を行う(S211(512、512))。このようにして、xy平面上の全ての位置に関してz軸方向に沿った画素値のうち最大値の画素値を割り当てる処理を行うと、「MIP画像1」のXY座標系におけるX=511列目の画像値が生成されて、「MIP画像1」の作成が完了する。
【0114】
上記のようにして、「MIP画像1」を生成する処理が終了すると、上記「MIP画像1」と同様にして「MIP画像2」を生成する処理を行う(S212)。この「MIP画像2」を生成する処理では、「MIP画像1」で開始座標を(x,y,z)=(0,0,0)〜(0,0,9)としたのを、(x,y,z)=(0,0,10)〜(0,0,19)とすればよい。このように、次の10枚のスライス画像についても、上記処理を行い「MIP画像2」の作成を行う。
【0115】
そして、本実施形態では、z方向に沿ってスライス画像の画像枚数が300枚であることから、上記処理を繰り返し、同様にして「MIP画像3」・・・「MIP画像30」の計30枚のMIP画像の作成が行われることとなる。このように、「MIP画像30」までの処理を行うと(S288)、MIP画像の作成処理が終了することとなる。さらに、MIP画像表示処理を行う(S290)ことによって、30枚のMIP画像の表示を行うことができる。
【0116】
以上にように本実施の形態によれば、ボリュームで撮影された多数枚の画像を、数枚ずつMIP処理を行い、数枚毎に区切ってMIP表示する。例えば、均等に例えば10で分けた場合には、区切った部分での最大値を付けていき、いくつかに区切りを行って表示する。これにより、読影時間を早くし、かつ、見やすい画像を提供できるとともに、全体をも容易に把握できる。
【0117】
なお、本実施の形態では、10枚ずつ等間隔にMIPしたが、MIPする枚数は、前記に限定されず、他の枚数、例えば図16に示すように、両端部K1では15枚で、中央部では5枚毎(K1)にする等でも良い。例えば頭部の画像を収集した際に、端部領域では情報が少ない。そこで、MIP処理を行う際に、端部領域を15枚位とし、中央部領域を5枚位とし、頭の血管等の部分などの見たい所だけを見やすくすることができる。乃ち、中央部領域では情報量が多いので、分割数を密(細かく分割)した方が好ましい。
【0118】
さらに、本実施の形態においては、MIPを算出する場合について例示したが、MIP(最大値を算出する)に限定されるものではない。例えば、この中の平均値を用いる場合や、最大ではなく2番目に高い値を用いる場合、例えば10枚のうちの5枚の加算平均値を用いる場合等であってもよい。あるいは、他の処理形態としては、輝度値の高い方の画素値から半分だけ足して、それの平均をとるような処理であってもよい。要は、複数の画素の中から所定の画素を所定の処理を施して抽出すればよい。あるいは、端部の10枚は最大から2番目の値であるが、中心部方向に向かうほど最大値をとるようにする処理としてもよい。なお、これら種々の中でも、MIP処理の場合は特に血管、腫瘍等が強調されて表示されるので、腫瘍等を見るのであれば、MIP処理の方が特徴点が発見しやすいので好ましい。
【0119】
なお、本発明にかかる装置と処理手順は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。例えば、上述の第1の実施の形態では、モダリティとしてX線CT装置の場合の例を説明したが、これに限定されず、他の例えばMRI(核磁気共鳴イメージング)装置、SPECT又はPET、X線画像装置、超音波診断装置、さらには、X線画像装置としては、「透視撮影装置」や「多目的X線画像診断装置」、IVR―CT装置等であっても良い。
【0120】
また、上記第1の実施の形態では、操作手段により特定領域(関心領域)を指定する場合について例示したが、これに限らず、事前に登録した特定領域であってもよい。さらに、上記第1の実施の形態においては、ボリュームレンダリングによるボリュームレンダリング画像において指定する場合について例示したが、他の様々な手法によって表示された三次元画像において指定する場合であっても良い。またさらに、上記第1の実施の形態において、重み関数、透明度の変え方は、数種類の中から選択したり、自分で登録する場合であってもよい。
【0121】
さらに、前記第2の実施の形態において、三次元で撮影された多数枚の画像を、数枚毎に区切りMIP等の表示をする「MIP」処理について説明したが、このような処理に限らず、各断層像を単に重ね合わせる処理等であってもよい。この際、MIPする枚数や重ね合わせる枚数は変えることができる。また、上記第2の実施の形態では、「MIP」する方向をアキシャル方向とした場合について説明したが、これに限定されず、サジタル方向、コロナル方向、オブリーク方向等、任意の方向での「MIP」処理が可能であることは言うまでもない。
【0122】
またさらに、第2の実施の形態において、モダリティにて例えば画像再構成される際に、原断層像に対してMIP処理を区分けして行い、そのMIP処理されたデータに対して再構成処理を行ってもよい。この場合、被検体の各断層像に対して所定のスライス数毎にMIP処理を施し、被検体の複数のMIP処理データを作成する画像作成手段、画像作成手段によりMIP処理されたデータに対して再構成処理を施し、MIP処理後の断層像を作成する再構成手段、再構成手段で得られた複数の断層画像を表示する表示手段を有することが好ましい。
【0123】
また、上述の実施の形態の医用画像診断システムとして、モダリティとネットワークを介して接続された一又は複数の医用画像保管装置(画像サーバー)、一又は複数の画像参照用端末(画像ビューア、3Dワークステーション等も含む)を含んだシステムを構成してもよい。その際、前記端末が3D表示機能を備えている場合には、前記各実施の形態において説明された処理にかかるプログラムを当該端末に搭載してもよい。さらに、医用画像診断システム内において処理される処理プログラム、説明された処理、データの全体もしくは各部を情報記録媒体に記録した構成であってもよい。この情報記録媒体としては、光ディスク、光磁気ディスク、磁気記録媒体等を用いてよく、さらに、CD−ROM、ハードディスク、CD―R、CD―RW、DVDRAM、DVDROM、MO、ROM、RAM、不揮発性メモリカード等に記録して構成して用いてよい。
【0124】
この情報記録媒体を上記各実施の形態によるシステム以外の他のシステムあるいは装置で用い、そのシステムあるいはコンピュータがこの記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し、実行することによっても、上記各実施の形態と同等の機能を実現できると共に、同等の効果を得ることができる。
【0125】
さらに、上記実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。また、上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含むことは言うまでもない。また、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 医用画像診断システム
10 画像処理装置
11 画像記憶部
17 画像処理部
21 重み係数演算部
23 CT値演算部
31 表示部
31a 重み関数設定部
32 操作部
34 制御部
200 医用画像診断システム
200a 画像処理装置
202 画像記憶部
203 MIP画像作成処理部
204 MIP枚数設定処理部
205 表示部
206 操作部
209 制御部
300 表示設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元原画像に基づいて、前記三次元原画像を所定方向から投影面に投影した投影画像を表示する画像処理を行う画像処理装置であって、
前記複数枚の原断層像を積層方向にて所定枚数毎の複数のグループに区分する設定を行う設定手段と、
前記設定手段にて設定された前記複数のグループ毎に、1グループを構成する各前記原断層像に対し、各前記原断層像の積層方向上にある1グループ枚数分のピクセルの画素値に対して所定の処理を施すことで所定方向の投影画像を作成する画像作成手段と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像作成手段は、少なくとも積層方向上にある1グループ内の各ピクセルの各画素値のうち特定値を取り出す処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−134352(P2011−134352A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68200(P2011−68200)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【分割の表示】特願2001−284280(P2001−284280)の分割
【原出願日】平成13年9月19日(2001.9.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】