説明

画像形成システム,画像形成装置

【課題】,ジャムの発生により施錠された排紙トレイの扉やメンテナンス扉を解錠する際のユーザ認証の信頼性を高めることにより情報漏洩の防止を図った画像形成システム及びこれに用いられる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成システムXでは,パソコンZで第1の設定パスワードが入力され(S203のYes側),プリンタ装置Yでその第1の設定パスワードが照合されることにより(S106のYes側),その都度新たな第2の設定パスワードが発行され(S108),パソコンZに通知される(S109)。そして,プリンタ装置Yで第2の設定パスワードが入力されて(S111のYes側)照合されると(S112のYes側),メンテナンス扉30,40の施錠部31,41が解錠される(S113)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印字出力後の用紙が収容される排紙トレイの扉やジャム処理などのメンテナンスを行うためのメンテナンス扉の施錠及び解錠をユーザ認証によって制御するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置(画像形成装置の一例)において機密文書を印字出力する際に,その印字出力後の機密文書が他人に見られないように,印字出力後の用紙(以下「出力用紙」という)が収容される排紙トレイの扉を施錠する技術が周知である(例えば,特許文献1,2参照)。
前記排紙トレイの扉は,その印字出力を要求したユーザを認証することにより解錠される。具体的には,予めユーザ固有のパスワードを設定しておき,プリンタ装置において入力されたパスワードを照合することによってユーザが認証される。ここで用いられるパスワードは,一度設定されると長期間変更されることのない固定的なものである。
このような構成によれば,ユーザが前記プリンタ装置に印字出力を要求したパーソナルコンピュータ(情報処理装置の一例)の設置位置から前記プリンタ装置の設置位置まで移動するまでの間,前記排紙トレイを施錠しておくことができるため,他人に前記出力用紙が見られることがなく,機密文書の情報漏洩を防止することができる。
【0003】
さらに,特許文献1では,プリンタ装置においてジャムが発生した場合に,ジャムを解消するとき等に開放されるメンテナンス扉を施錠することが提案されている。前記メンテナンス扉は,前記排紙トレイの扉と同様にユーザを認証することによって解錠される。したがって,機密文書などの印字出力時にジャムが発生して,出力用紙が画像形成部などに残存している場合であっても,その出力用紙が他人によって取り出されることがなく,機密文書の情報漏洩を防止することができる。
また,特許文献2では,機密文書などの印字出力時にジャムが発生した場合に,出力用紙を特定の排紙トレイに排紙して,その排紙トレイを施錠することについての示唆がなされている。
【特許文献1】特開2005−319735号公報
【特許文献2】特開2000−10442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来では,ジャムの発生により施錠された前記排紙トレイの扉や前記メンテナンス扉などを解錠するために,固定的なパスワードが用いられているため,一度そのパスワードを盗用した他人が,その後何度でもそのパスワードを使用して,前記排紙トレイの扉や前記メンテナンス扉を解錠することができるという問題が生じている。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,ジャムの発生により施錠された排紙トレイの扉やメンテナンス扉を解錠する際のユーザ認証の信頼性を高めることにより情報漏洩の防止を図った画像形成システム及びこれに用いられる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成部,前記画像形成部により画像が形成された後の用紙が排紙される排紙部,前記画像形成部から前記排紙部に用紙を搬送する用紙搬送部,前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部から用紙を取り出すための用紙取出扉,及び当該画像形成装置においてジャムが発生した場合に前記用紙取出扉の開放を規制する用紙取出扉開放規制手段を有する画像形成装置と,前記画像形成装置に通信接続され,該画像形成装置に画像データを入力する一又は複数の情報処理装置と,を備えてなる画像形成システムに適用されるものであって,前記画像形成装置が以下の(1)〜(7)を備えてなり,前記情報処理装置が以下の(8)を備えてなることを特徴とする画像形成システムとして構成される。
(1)前記ジャムが発生したときの画像データを入力した前記情報処理装置に,予め設定された第1の設定パスワードの入力を要求する第1のパスワード入力要求手段。
(2)前記情報処理装置で所定の操作手段により入力された第1の入力パスワードが前記第1の設定パスワードと一致するか否かを判定する第1のパスワード判定手段。
(3)前記第1のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に新たに第2の設定パスワードを生成する第2の設定パスワード生成手段。
(4)前記第2の設定パスワードを前記ジャムが発生したときの画像データを入力した前記情報処理装置に送信するパスワード送信手段。
(5)前記画像形成装置において前記第2の設定パスワードの入力を要求する第2のパスワード入力要求手段。
(6)前記画像形成装置で所定の操作手段により入力された第2の入力パスワードが前記第2の設定パスワードと一致するか否かを判定する第2のパスワード判定手段。
(7)前記第2のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に前記用紙取出扉開放規制手段による規制を解除する規制解除手段。
(8)前記パスワード送信手段により送信された前記第2の設定パスワードを表示するパスワード表示手段。
【0006】
このように構成された前記画像形成システムでは,前記ジャムが発生するたびに発行される前記第2の設定パスワードの照合によってユーザ認証が行われるため,ユーザ認証の信頼性が高まり,他人によって不正に前記用紙取出扉が開放されることがなく,機密文書などの情報漏洩を防止することができる。例えば,他人が前記第1の設定パスワードを盗用したとしても,その他人は前記第2の設定パスワードを知得することができない。
【0007】
また,前記排紙部が,用紙を収容する用紙収容部と,前記用紙収容部から用紙を取り出すための収容用紙取出扉と,前記収容用紙取出扉の開放を規制する収容用紙取出扉開放規制手段とを有する一又は複数の排紙トレイを含んでなる構成では,前記画像形成装置に,当該画像形成装置においてジャムが発生した場合に,前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部に残存する用紙を前記排紙トレイのいずれかに搬送するジャム発生時用紙搬送手段を設けておくことにより,ジャムが発生しても他の印字処理を実行することが可能となる場合がある。
【0008】
さらに,前記画像形成装置におけるジャムの発生箇所を検出するジャム発生箇所検出手段を設けておき,前記ジャム発生時用紙搬送手段が,前記用紙を搬送する前記排紙トレイを前記ジャム発生箇所検出手段による検出結果に基づいて選定する構成では,予め定められた特定の排紙トレイだけに搬送する構成に比べて,より前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部に残存する用紙を他の印字処理に影響のない位置に退避させることができる可能性が高まる。
【0009】
また,本発明は,前記画像形成装置を単体として捉えることも可能である。即ち,入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成部,前記画像形成部により画像が形成された後の用紙が排紙される排紙部,前記画像形成部から前記排紙部に用紙を搬送する用紙搬送部,前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部から用紙を取り出すための用紙取出扉,及び当該画像形成装置においてジャムが発生した場合に前記用紙取出扉の開放を規制する用紙取出扉開放規制手段を有する画像形成装置と,を備えてなる画像形成装置に適用され,以下の(11)〜(17)を備えて構成される。
(11)前記ジャムが発生したときの画像データを入力した所定の情報処理装置に,予め設定された第1の設定パスワードの入力を要求する第1のパスワード入力要求手段。
(12)前記所定の情報処理装置で所定の操作手段により入力された第1の入力パスワードが前記第1の設定パスワードと一致するか否かを判定する第1のパスワード判定手段。
(13)前記第1のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に新たに第2の設定パスワードを生成する第2の設定パスワード生成手段。
(14)前記第2の設定パスワードを前記所定の情報処理装置に送信するパスワード送信手段。
(15)前記画像形成装置において前記第2の設定パスワードの入力を要求する第2のパスワード入力要求手段。
(16)前記画像形成装置で所定の操作手段により入力された第2の入力パスワードが前記第2の設定パスワードと一致するか否かを判定する第2のパスワード判定手段。
(17)前記第2のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に前記用紙取出扉開放規制手段による規制を解除する規制解除手段。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば,前記ジャムが発生するたびに発行される前記第2の設定パスワードの照合によってユーザ認証が行われるため,ユーザ認証の信頼性が高まり,他人によって不正に前記用紙取出扉が開放されることがなく,機密文書などの情報漏洩を防止することができる。例えば,他人が前記第1の設定パスワードを盗用したとしても,その他人は前記第2の設定パスワードを知得することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る画像形成システムXの概略構成を示すブロック図,図2は前記画像形成システムXに設けられたプリンタ装置Yの内部構成を示す断面模式図,図3は本発明の実施の形態に係る画像形成システムXにおいて実行されるジャム発生後処理の手順の一例を説明するフローチャート,図4は前記画像形成システムXに設けられたパソコンZの表示例を示す図である。
まず,図1のブロック図を用いて,本発明の実施の形態に係る画像形成システムXの概略構成について説明する。
図1に示すように,本実施の形態に係る画像形成システムXは,プリンタ装置Yと該プリンタ装置YにLAN100を介して通信接続されたパーソナルコンピュータZ(以下「パソコンZ」と略称する)とを備えて概略構成されている。また,前記画像形成システムXには,前記パソコンZと同様に構成された他のパソコンZ1,Z2も接続可能である。なお,前記プリンタ装置Yは本発明に係る画像形成装置の一例,前記パソコンZは本発明に係る情報処理装置の一例であって,これに限られるものではない。例えば,複写機やファクシミリ装置,複合機なども本発明に係る画像形成装置に該当する。
前記LAN100は,IEEE802.3規格やIEEE802.11b規格などに準拠した有線又は無線による通信媒体,通信機器などで構成され,前記プリンタ装置Y及び前記パソコンZを通信接続するものである。
前記画像形成システムXでは,前記パソコンZから前記LAN100を介して前記プリンタ装置Yに画像データが送信されることにより,該プリンタ装置Yにおいて前記画像データに基づく印字処理が実行される。なお,前記画像データには,原稿画像のデータや前記プリンタ装置Yに実行させる印字処理に関する印字条件,該画像データを送信したユーザに関する情報等が含まれている。例えば,前記印字条件には,原稿画像が機密文書であるか否かや,前記プリンタ装置Yにおいて出力用紙を後述の排紙トレイ70,71a〜71cのいずれに排紙するか等の情報が含まれる。
【0012】
[パソコンZ]
前記プリンタ装置Yに対して前記画像データを送信する前記パソコンZは,後述するジャム発生後処理(図3のフローチャート参照)を行うためのプリンタドライバ(プログラム)などを記憶するハードディスク等の記憶部101と,CPU及びその周辺装置(ROM,RAM等)からなり前記記憶部101に記憶された前記プリンタドライバに従って後述のジャム発生後処理(図3のフローチャート参照)を実行すると共に当該パソコンZを統括的に制御する制御部102と,表示出力を行うための液晶ディスプレイ等からなる表示部103と,操作入力を行うためのキーボードやマウス等からなる操作部104と,を備えて概略構成されている。なお,前記プリンタドライバは,前記プリンタ装置Yから取得され,又は各種メディア(CD−ROMなど)から取得されて前記パソコンZにインストールされる。
【0013】
[プリンタ装置Y]
前記プリンタ装置Yは,前記LAN100を介した前記パソコンZとの通信を可能にするモデムなどの通信装置1と,前記パソコンZから受信した前記画像データや後述の第1の設定パスワードなどを記憶するハードディスク等の記憶部2と,CPU及びその他周辺装置(ROM,RAM等)からなり前記ROMに格納された所定のプログラムに従った処理を実行することにより当該プリンタ装置Yを統括的に制御する制御部3と,液晶ディスプレイ,タッチパネルなどを有する表示・操作部4と,印刷前の用紙が載置されると共に該用紙を後記の画像形成部6に供給する給紙部5と,前記給紙部5から供給される用紙に,入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成部6と,前記画像形成部6により画像が形成された後の用紙(以下「出力用紙」という)が排紙される複数の排紙トレイ70,71a〜71c(図2参照)を有する排紙部7と,前記画像形成部6から前記排紙部7の前記排紙トレイ70,71a〜71cのいずれかに前記出力用紙を搬送するソーター8と,を備えて概略構成されている。
【0014】
ここで,図2を用いて,前記プリンタ装置Yの内部構成について説明する。
前記給紙部5(図1参照)は,手差しトレイ51,給紙カセット52,53と,これらに載置された用紙を前記画像形成部6に搬送するための搬送ローラ54とを有している。
前記画像形成部6は,静電潜像を担持する感光体ドラム61と,前記感光体ドラム61の表面を一様に帯電させる帯電装置62と,前記感光体ドラム61の表面にレーザービームを照射して静電潜像を形成する不図示の露光装置と,トナー等の現像剤によって前記静電潜像を現像(可視像化)する現像装置63と,現像されたトナー画像をシートに転写する転写装置64と,転写後の感光体ドラム61の表面に残存するトナー粒子を除去するクリーニング装置65と,前記転写装置64によって転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着装置66と,前記感光体ドラム61に所定のタイミングで用紙を搬送するレジストローラ67と,前記定着装置66を通過した前記出力用紙を前記ソーター8に搬送する搬送ローラ68と,両面印字処理などの際に前記定着装置66を通過した前記出力用紙を反転させて再度前記感光体ドラム61に搬送するための用紙反転機構69と,を有して構成されている。
【0015】
一方,前記排紙部7は,前記画像形成部6で画像が形成された後の前記出力用紙が排紙される排紙トレイ70及び排紙トレイ71a〜71cを有している。ここで,前記排紙トレイ70は複数のユーザによって共用されるものであって施錠することができないが,前記排紙トレイ71a〜71c各々は,特定のユーザによって使用されるものであって施錠可能である。
具体的に,前記排紙トレイ71a〜71cには,該排紙トレイ71a〜71cから前記出力用紙を取り出すための取り出し扉72a〜72cと,前記取り出し扉72a〜72c各々を施錠して該取り出し扉72a〜72cの開放を規制する施錠部73a〜73cとが設けられている。
前記施錠部73a〜73c各々は,その施錠部73a〜73cに対応する鍵を保有しているユーザのみが解錠することができる。したがって,前記鍵を保有しているユーザは,前記排紙トレイ71a〜71cに排紙された出力用紙を,他人に見られることなく取り出すことが可能であり,機密文書などの情報漏洩が防止される。なお,前記施錠部73a〜73c各々が,予め設定されたパスワードの照合によって解錠される構成も他の実施例として考えられる。
【0016】
前記ソーター8は,前記出力用紙を前記排紙トレイ70に搬送する搬送経路81と,前記出力用紙を前記排紙トレイ71a〜71cに搬送する搬送経路86a〜86cと,前記画像形成部6から前記搬送ローラ68によって搬送されてきた前記出力用紙の搬送先を前記搬送経路81及び前記搬送経路86a〜86cのいずれかに切り替える分岐部82a〜82cと,を有して構成されている。
前記搬送経路81には,前記出力用紙を前記排紙トレイ70に搬送するための搬送ローラ83,84が設けられている。また,前記搬送経路86a〜86c各々には,前記出力用紙を前記排紙トレイ71a〜71cに搬送するための搬送ローラ87a〜87c,88a〜88cが設けられている。
前記分岐部82a〜82cは,前記搬送ローラ68から搬送されてきた前記出力用紙の搬送先を,前記制御部3からの指示に応じて切り替える分岐爪(不図示)などを有している。
さらに,前記ソーター8では,前記搬送経路81及び前記搬送経路86a〜86cの各々の間で前記出力用紙を移動させることが可能である。具体的には,前記制御部3によって,前記搬送ローラ83,84や前記搬送ローラ87a〜87c,88a〜88cの回転方向,前記分岐部82a〜82cに設けられた分岐爪(不図示)が制御されることにより,前記搬送経路81及び前記搬送経路86a〜86c上の前記出力用紙がその他の搬送経路に移動される。
【0017】
前記プリンタ装置Yでは,前記制御部3によって前記ソーター8が制御されることにより,前記出力用紙の排紙先が前記排紙トレイ70及び前記排紙トレイ71a〜71cのいずれに切り替えられる。
例えば,前記パソコンZから送信された画像データの印字条件において,原稿画像が機密文書ではない旨が設定されている場合には,前記出力用紙が前記排紙トレイ70に搬送され,原稿画像が機密文書であり出力用紙を前記排紙トレイ71aに収容させる旨が設定されている場合には,前記出力用紙は前記排紙トレイ71aに搬送される。
【0018】
また,前記プリンタ装置Yには,前記画像形成部6内のジャムを解消するため等に開放されるメンテナンス扉30(用紙取出扉の一例)と,前記メンテナンス扉30の開放を規制する施錠部31と,前記ソーター8内のジャムを解消するためのメンテナンス扉40(用紙取出扉の一例)と,前記メンテナンス扉40の開放を規制する施錠部41と,が設けられている。なお,前記メンテナンス扉30は,前記用紙反転機構69でジャムが発生した場合などにも開放される。
前記施錠部31,41は,前記制御部3によって制御されて施錠及び解錠されることにより,前記メンテナンス扉30,40の開放を規制及び許可する。なお,前記施錠部31,41には,例えばソレノイドなどが用いられるが,その他,周知の施錠機構を採用すればよい。
具体的に,前記メンテナンス扉30,40は,前記プリンタ装置Yにおける印字処理の開始時に施錠され,印字処理の終了後に解錠される。また,前記メンテナンス扉30,40は,前記プリンタ装置Yにおいて紙詰まりなどの所謂ジャムが発生した場合にも,前記制御部3の指示によって解錠される。これにより,ユーザは,前記メンテナンス扉30,40を開放してジャムを解消するための作業(ジャム処理)を行うことが可能となる。
【0019】
ところで,前記プリンタ装置Yで機密文書などを印字出力する際にジャムが発生した場合に,前記メンテナンス扉30,40の施錠部31,41を解錠せずに施錠しておき,ユーザ認証が行われた場合にのみ該施錠部31,41を解錠するように制御することによって,前記メンテナンス扉30,40の開放を制限して機密文書の情報漏洩を防止する手法が従来周知である(例えば特許文献1及び2参照)。
ここで,従来装置では,予め設定された固定的なパスワード(以下「第1の設定パスワード」という)の照合によってユーザ認証が行われていた。しかし,この場合には,その第1の設定パスワードが他人によって一度盗用されると,その他人はその後何度でもその第1の設定パスワードを用いてユーザ認証を行うことができ,ユーザ認証の信頼性が低いという問題があった。ここに,前記第1の設定パスワードは,前記パソコンZやユーザごとに予め設定されたものであって,前記プリンタ装置Yの前記記憶部2に予め記憶されたものである。
しかしながら,本発明の実施の形態に係る前記画像形成システムXでは,後述するジャム発生後処理(図3のフローチャート参照)が実行されることにより,前記ユーザ認証の信頼性が高められており,機密文書の情報漏洩の防止を図ることができる。
【0020】
以下,図3のフローチャートを用いて前記画像形成システムXにおいて実行されるジャム発生後処理の手順の一例について説明する。なお,図中のS101,S102,…及びS201,S202,…は,前記プリンタ装置Y側及び前記パソコンZ側の処理手順(ステップ)番号をそれぞれ表す。
当該ジャム発生後処理は,前記パソコンZから前記プリンタ装置Yに画像データが入力されることにより,前記プリンタ装置Yにおいて前記画像データについての印字処理が開始された場合に実行される。なお,前述したように,前記プリンタ装置Yでは,印字処理の開始に伴って前記制御部3によって前記施錠部31,41が施錠されることにより前記メンテナンス扉30,40の開放が規制される。
先に前記画像形成システムXにおいて実行されるジャム発生後処理における前記プリンタ装置Y側の処理ついて説明し,続いて前記パソコンZ側の処理について説明する。
[プリンタ装置Y側の処理]
まず,ステップS101では,前記制御部3によって,前記プリンタ装置Yにおいてジャムが発生したか否かが判断される。ここで,前記プリンタ装置Yにおいてジャムが発生したと判断されると(S101のYes側),実行中の印字処理が中断され,処理はステップS102に移行する。なお,ここで中断された印字処理は,前記ジャムが解消された場合に再開される。
一方,前記プリンタ装置Yにおいてジャムの発生が検出されない場合には(S101のNo側),通常の印字処理が実行され,印字終了後に前記施錠部31,41は解錠される。
【0021】
ステップS102では,前記制御部3によって,前記プリンタ装置Yにおいて実行中の印字処理が機密文書に関するものであるか否かが判断される。具体的には,前記パソコンZから入力された画像データに含まれた印字条件に基づいて判断される。
ここで,前記プリンタ装置Yにおいて実行中の印字処理が機密文書に関するものではないと判断された場合には(S102のNo側),処理はステップS103に移行する。ステップS103では,前記制御部3によって前記施錠部31,41が制御されることにより,前記メンテナンス扉30,40の開放が許可される。これにより,ユーザは,前記メンテナンス扉30,40を開放してジャム処理を行うことができる。このとき,前記出力用紙は,機密文書に関するものではないため,他人に見られても特に問題はない。
一方,前記プリンタ装置Yにおいて実行中の印字処理が機密文書に関するものであると判断された場合には(S102のYes側),処理はステップS104に移行する。
【0022】
ステップS104では,前記制御部3によって,前記ジャムが発生したときの画像データを入力した前記パソコンZに対して,前記プリンタ装置Yにおいてジャムが発生した旨が通知(ジャム発生通知)されると共に,前記第1の設定パスワードの入力が要求される。ここに,前記第1の設定パスワードを要求するときの前記制御部3が,第1のパスワード入力要求手段に相当する。なお,このとき前記施錠部31,41は解錠されていない。即ち,前記画像形成システムXでは,機密文書の印字処理実行中にジャムが発生した場合には前記施錠部31,41によって前記メンテナンス扉30,40の開放が規制されている。ここに,前記施錠部31,41は,用紙取出扉開放規制手段の一例である。
その後,ステップS105では,前記制御部3によって,前記パソコンZからパスワードを受信するための処理が実行され,前記パソコンZからパスワードを受信したと判断された場合には(S105のYes側),処理はステップS106に移行する。
ステップS106では,前記制御部3によって,前記ステップS105において受信されたパスワードが前記第1の設定パスワードと一致するか否かが判定される。ここに,かかる判定処理を実行するときの前記制御部3が第1のパスワード判定手段に相当する。
ここで,前記ステップS105において受信されたパスワードが前記第1の設定パスワードと一致すると判定された場合には(S106のYes側),処理はステップS108に移行し,一致していなければ(S106のNo側),処理はステップS107に移行する。前記ステップS107では,前記制御部3によって前記パソコンZに対してエラー通知が行われる。
【0023】
ステップS108では,前記制御部3によって,前記第1の設定パスワードとは異なる第2の設定パスワードが生成される。具体的に,前記制御部3は,数字やアルファベットをランダムに組み合わせることによって前記第2の設定パスワードを生成する。ここで生成された前記第2の設定パスワードは,前記記憶部2に記憶される。ここに,前記第2の設定パスワードを生成するときの前記制御部3が第2の設定パスワード生成手段に相当する。
そして,続くステップS109では,前記制御部3によって,前記ジャムが発生したときの画像データを入力した前記パソコンZに前記第2の設定パスワードが送信される。ここに,係る送信処理を実行するときの前記制御部3がパスワード送信手段に相当する。
【0024】
その後,ステップS110では,前記制御部3によって,前記表示・操作部4に,前記第2の設定パスワードの入力をユーザに要求するための表示が行われる。ここに,前記第2の設定パスワードを要求するときの前記制御部3が,第2のパスワード入力要求手段に相当する。
そして,ステップS111では,ユーザにより前記プリンタ装置Yの前記表示・操作部4に対してパスワードが入力されたか否かが前記制御部3によって判断される。
前記ステップS111は,前記プリンタ装置Yの前記表示・操作部4に対してパスワードが入力されるまで継続され(S111のNo側),入力されたと判断されると(S111のYes側),処理はステップS112に移行する。
【0025】
ステップS112では,ユーザにより前記プリンタ装置Yの前記表示・操作部4に対して入力されたパスワードが,前記記憶部2に記憶された前記第2の設定パスワードと一致するか否かが前記制御部3によって判断される。ここに,かかる判定処理を実行するときの前記制御部3が第2の設定パスワード判定手段に相当する。
ここで,ユーザにより前記プリンタ装置Yの前記表示・操作部4に対して入力されたパスワードが,前記第2の設定パスワードと一致すると判断された場合には,処理はステップS113に移行し,一致しないと判断された場合には,処理はステップS110に戻って再度パスワードの入力を要求するための表示が行われる。
ステップS113では,前記ステップS103と同様に前記制御部3によって前記施錠部31,41が解錠されることにより,前記メンテナンス扉30,40の開放が許可される。ここに,かかる処理を実行するときの前記制御部3が規制解除手段に相当する。これにより,ユーザは,前記メンテナンス扉30,40を開放してジャム処理を行うことができる。
以上が前記プリンタ装置Y側の処理である。続いて前記パソコンZ側の処理について説明する。
【0026】
[パソコンZ側の処理]
まず,ステップS201では,前記プリンタ装置Y側の前記ステップS104で行われる前記第1の設定パスワードの入力要求を受け付けるための処理が実行される。そして,前記第1の設定パスワードの入力要求を受け付けた場合には(S201のYes側),処理はステップS202に移行する。
ステップS202では,前記制御部102によって,前記プリンタ装置Yでジャムが発生したこと(ジャム発生通知)及び前記第1の設定パスワードの入力要求が前記表示部103に表示される。ここに,図4(a)は,前記ステップS202における表示の一例示している。
【0027】
ステップS203では,ユーザ操作により前記操作部104にパスワードの入力が行われたか否かが前記制御部102によって判断される。そして,前記ステップS203はパスワードの入力が行われるまで継続され(S203のNo側),入力が行われたと判断された場合には(S203のYes側),処理はステップS204に移行する。
ステップS04では,前記制御部102によって,前記ステップS203で入力されたパスワードが前記プリンタ装置Yに送信される。
その後,ステップS205では,前記制御部3によって,前記プリンタ装置Y側の前記ステップS107で送信されるエラー通知が受信されたか否かが判断される。ここで,エラー通知が受信されたと判断された場合には(S205のYes側),処理はステップS206に移行し,前記制御部102によって前記表示部103にエラーが表示される。その後,処理は前記ステップS202に戻る。
【0028】
一方,前記ステップS205で,前記エラー通知が受信されていないと判断された場合には(S205のNo側),処理はステップS207に移行し,前記制御部102によって,前記プリンタ装置Y側の前記ステップS108で送信される前記第2の設定パスワードが受信されたか否かが判断される。
ここで,前記第2の設定パスワードが受信されたと判断された場合には(S207のYes側),処理はステップS208に移行し,受信されていないと判断された場合には,処理は前記ステップS205に戻る。
ステップS208では,前記制御部102によって,前記プリンタ装置Yから受信した前記第2の設定パスワードが前記表示部103に表示される。ここに,かかる表示処理を実行するときの前記制御部102がパスワード表示手段に相当する。なお,図4(b)は,前記ステップS208における前記第2の設定パスワードの表示の一例示している。これにより,前記パソコンZのユーザは前記第2の設定パスワードを知得することができる。
【0029】
以上説明したように,前記画像形成システムXでは,前記パソコンZのユーザは,前記パソコンZで前記第1の設定パスワードを入力することにより,その都度新たに発行される前記第2の設定パスワードを知得することができ,該第2の設定パスワードを用いて前記メンテナンス扉30,40の施錠部31,41を解錠させることができる。即ち,前記パソコンZから画像データを送信したユーザ以外の他人が,そのユーザの第1の設定パスワードを盗用したとしても,前記第2の設定パスワードを知得することができないため,前記メンテナンス扉30,40を開いて機密文書を見ることはできない。
このように,前記画像形成システムXは,従来のように固定的なパスワードを用いてユーザ認証を行っていた場合に比べて,ユーザ認証の信頼性が高められており,機密文書の情報漏洩防止に好適である。
【0030】
なお,本実施の形態では,本発明に係る画像形成装置の一例として前記プリンタ装置Yを例に挙げて説明したが,これに限られるものではなく,本発明は,例えば複写機に適用することが可能である。
具体的には,複写機に対して複写処理を開始させた後,ユーザが該複写機から離れる場合,その複写処理の実行中にジャムが発生すれば,他人によってジャム処理が行われ,出力用紙が見られてしまうおそれがある。そこで,前記プリンタ装置Yと同様に,ジャムが発生した場合にも前記メンテナンス扉30,40に相当するメンテナンス扉を施錠しておき,その複写処理を要求したユーザの携帯電話など(情報処理装置の一例)を前記パソコンZの換わりに用いることにより,そのユーザのみがそのメンテナンス扉を開放することができるように制御すればよい。即ち,ユーザの携帯電話と複写機との間で前記ジャム発生後処理(図3のフローチャート参照)を実行することにより,前記第1の設定パスワードの照合,前記第2の設定パスワードの発行及び照合を行って,前記メンテナンス扉を解錠させればよい。
【実施例】
【0031】
ここに,図5は,前記ジャム発生後処理の他の例を説明するためのフローチャートである。なお,前記パソコンY側の処理については同様であるため図示は省略している。
前記実施の形態では,前記プリンタ装置Yにおいて機密文書に関する印字処理が実行されているときに,ジャムが発生した場合には,該プリンタ装置Yの動作が中断され,前記メンテナンス扉30,40が施錠されたままの状態となり,その後,前記メンテナンス扉30,40は,前記第2の設定パスワードが照合されることにより解錠される。そのため,前記パソコンZから印字処理を要求したユーザがジャム処理を行うまでの間は,他人は他の印字処理を前記プリンタ装置Yに実行させることができない。
本実施例では,ジャムが発生した場合であっても,前記出力用紙を施錠可能な場所に移動させることができる場合には,該出力用紙を退避させることにより,他の印字処理を実行することのできる構成について説明する。
【0032】
本実施例に係る前記画像形成システムXでは,前記排紙トレイ71a〜71cの施錠部73a〜73cが,ユーザが保有する鍵ではなく,前記排紙トレイ71a〜71c各々を使用するユーザごとに予め設定されたパスワードの照合により,前記制御部3によって解錠されるように構成されている。具体的に,前記施錠部73a〜73cは,前記メンテナンス扉30,40の施錠部31,41などと同様に,例えばソレノイドなどによって構成される。
【0033】
また,本実施例に係る前記画像形成システムXでは,前記プリンタ装置Yに,ジャムの発生箇所を検出するジャム発生箇所検出機能が設けられいる。前記ジャム発生検出機能は前記制御部3によって具現される。
具体的に,前記制御部3は,前記プリンタ装置Y内に設けられた各種の用紙検知センサ,例えば前記レジストローラ67の近傍に設けられたレジストセンサ(不図示)や前記定着装置66の後流側に設けられた画像形成の終了を検知する画像形成終了検知センサ(不図示),前記ソーター8の前記搬送経路81,86a〜86c各々から前記排紙トレイ70,71a〜71cに出力用紙が排紙されたことを検知する複数の排紙センサ(不図示)などの検知結果に基づいて判断する。
例えば,前記レジストセンサによって用紙が検知される前にジャムが発生すれば,ジャムは前記画像形成部6よりも前段で発生していると判断され,前記レジストセンサによって用紙が検知された後,前記画像形成終了検知センサによって出力用紙が検知される前にジャムが発生すれば,前記画像形成部6においてジャムが発生していると判断される。同様に,前記画像形成終了検知センサによって用紙が検知された後,前記排紙センサによって出力用紙が検知される前にジャムが発生すれば,前記ソーター8においてジャムが発生していると判断される。
また,前記ソーター8の前記搬送経路81,86a〜86c各々に設けられた前記複数の排紙センサのいずれかが出力用紙を検知している状態でジャムが発生した場合には,その排紙センサが設けられた搬送経路においてジャムが発生していることを特定することが可能である。
【0034】
以下,図5を参照しつつ,本実施例に係るジャム発生後処理について説明する。なお,前記実施の形態で説明した前記画像形成システムXと共通する構成要素や処理手順には同じ識別符号を付して説明を省略する。
図5に示すように,本実施例に係るジャム発生後処理では,前記ステップS104の前段において後述するステップS301〜S39が実行され,前記ステップS113に換えて後述するステップS310が実行される。
ここでは,説明の便宜上,前記排紙トレイ71aに続く前記搬送経路86aに設けられた排紙センサ(不図示)によって前記出力用紙が検知されている状態でジャムが発生した場合を例に挙げて説明する。
[ステップS301]
ステップS301では,前記制御部3の前記ジャム発生箇所検出機能によって,前記ジャムが発生した箇所が検出される。ここに,かかる検出処理を実行するときの前記制御部3がジャム発生箇所検出手段に相当する。
ここでは,前記搬送経路86a上でジャムが発生していることが検出される。
【0035】
[ステップS302]
そして,ステップS302では,前記制御部3によって,前記ジャムが発生した箇所に基づいて,前記出力用紙を搬送することのできる排紙トレイが前記排紙トレイ71a〜71cの中から選定される。例えば,前記ジャムが発生している前記搬送経路86aに最も近い施錠可能な排紙トレイが選定される。なお,このとき前記排紙トレイ70は,施錠することができないため選定対象から除外されている。
ここで,前述したように,前記ソーター8の前記搬送経路86a〜86cの各々の間では,出力用紙を移動させることが可能である。具体的に,前記搬送経路86a上の出力用紙は,前記制御部3によって,前記搬送経路86aの搬送ローラ87a,88aが逆回転され,出力用紙が前記搬送経路86bに搬送されるように前記分岐部82bが切り替えられることにより,前記搬送経路86bに搬送される。
ここでは,前記ステップS302において,前記搬送経路86aから最も近い前記排紙トレイ71bが選定される。なお,前記排紙トレイ71b内に既に出力用紙が収容されている場合など,該排紙トレイ71bが使用中である場合には,その次に近い前記排紙トレイ71cが選定される。
なお,前記出力用紙を予め設定された特定の排紙トレイに搬送するように制御することも他の実施例として考えられるが,この場合には,前記特定の排紙トレイに搬送することができない位置でジャムが発生した場合に,出力用紙を退避させることができない。しかし,前記ステップS302のように,前記ジャムの発生箇所に基づいて搬送先を複数の排紙先のいずれかに切り替るように処理すれば,前記出力用紙を退避することができる可能性が高まる。
【0036】
[ステップS303,S304]
ステップS303では,前記制御部3によって,前記出力用紙を搬送することのできる施錠可能な排紙トレイが選定されたと判断されると(S303のYes側),処理はステップS304に移行される。一方,選定されなかったと判断された場合(S303のNo側),例えば前記排紙トレイ71b,71cが共に使用中である場合などには,前記メンテナンス扉30,40の施錠状態を維持したまま,処理がステップS104に移行する。
ステップS304では,前記制御部3によって,前記ステップS302で選定された前記出力用紙の搬送先の排紙トレイ,ここでは前記排紙トレイ71bの取り出し扉72bが施錠される。
ここで,通常,前記取り出し扉72bを解錠するためのパスワードは,前記排紙トレイ71bのユーザに対応するものであるが,当該ジャム発生後処理において前記排紙トレイ71bが一時的に利用される場合には,前記取り出し扉72bを解錠するための元のパスワードは一時的に無効となり,後述する第2の設定パスワードのみが有効となる。
【0037】
[ステップS305〜S307]
そして,ステップS305では,前記制御部3によって,前記プリンタ装置Y内に設けられた各種の搬送ローラや分岐部が制御されることにより,前記画像形成部6や前記ソーター8などに残留した出力用紙が前記ステップS302で選定された搬送先へ搬送される。ここでは,前記制御部3によって,前記搬送経路86aの搬送ローラ87a,88aが逆回転され,出力用紙が前記搬送経路86bに搬送されるように前記分岐部82bが切り替えられることにより,前記出力用紙は前記排紙トレイ71bに搬送される。ここに,かかる搬送制御を実行するときの前記制御部3がジャム発生時用紙搬送手段に相当する。
このとき,前記制御部3によって,一定時間が経過しても用紙検知センサ(不図示)によって前記出力用紙が搬送されていることが検知されなかった場合や搬送ローラに過負荷が作用したことが検知された場合などには(S306のYes側),前記出力用紙が,移動させることができないように破れていたり,紙詰まりを起こしている状態であると考えられる。そのため,この場合には,前記出力用紙を搬送するための処理は中止され(S307),前記メンテナンス扉30,40の施錠状態が維持されたまま,処理はステップS104に移行する。
一方,単に,前記排紙トレイ71aに用紙が飽和した場合や,前記給紙部5の給紙カセット52や53が突然抜かれた場合にも,前記プリンタ装置Yでは,ジャムが発生したと判断されるが,このような場合には,出力用紙は移動可能な状態にあり,前記出力用紙は,前記排紙トレイ71bまで搬送される。
【0038】
[ステップS308〜S309]
次に,ステップS308では,前記ステップS302で選定された場所,ここでは前記排紙トレイ71bに前記出力用紙が正常に収容されたか否かが前記制御部3によって判断される。
ここで,正常に収容されたことが検知された場合には(S308のYes側),前記制御部3によって前記メンテナンス扉30,40の施錠部31,41が解錠(規制が解除)される(ステップS309)。なお,前記出力用紙が前記排紙トレイ71bに正常に搬送されたか否かは,前記搬送経路86b上に設けられた排紙センサ(不図示)による検知結果に基づいて判断される。
このとき,前記プリンタ装置Yでは,前記出力用紙が前記排紙トレイ71bに退避されているため,他の印字処理を実行することが可能である。即ち,本実施例に係る画像形成システムXでは,前記出力用紙を施錠可能な場所に退避することができる状況では,他人によって取り出されない場所に前記出力用紙を移動させて機密文書などの情報漏洩を防止すると共に,他の印字処理を実行することができる。
なお,ステープル処理やパンチ処理などを施す後処理部を有する構成(不図示)において,それらの処理を実行するために前記画像形成部6から排紙された用紙が一時的に収容される中間トレイに,施錠可能な扉が設けられている場合には,その中間トレイを出力用紙の退避先としてもよい。
【0039】
[ステップS310]
その後,前記ステップS104〜S111までの処理が実行され,前記ステップS111において前記第2の設定パスワードが一致したと判断された場合には,処理はステップS310に移行する。
ステップS310では,前記制御部3によって,前記出力用紙が収容されている場所が解錠される。具体的には,前記出力用紙が前記排紙トレイ71bに収容されている場合には,該排紙トレイ71bが解錠され,前記出力用紙が前記画像形成部6や前記ソーター8に残存している場合には,前記メンテナンス扉30,40が解錠される。このとき,前記制御部3によって,前記排紙トレイ71bの解錠用のパスワードは元に戻される。
なお,前記ジャム発生後処理では,前記排紙トレイ71aのユーザが,他人の前記排紙トレイ71bを一時的に使用していることになるが,このとき前記排紙トレイ71bの取り出し扉72bを解錠するためのパスワードは,その都度新たに発行される前記第2の設定パスワードに一時的に変更されているため,当該ジャム発生後処理の実行中において前記排紙トレイ71bのユーザによって前記排紙トレイ71bが解錠されることがなく,また,当該ジャム発生後処理の終了後には,元のパスワードの戻されるため前記排紙トレイ71aのユーザが前記排紙トレイ71bを解錠することはできなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムXの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係るプリンタ装置Yの内部構成を示す模式断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成システムXにおいて実行されるジャム発生後処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【図4】ジャム発生後処理におけるパソコンZの表示例を示す図。
【図5】ジャム発生後処理の他の例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
1…通信装置
2…記憶部
3…制御部
4…表示・操作部
5…給紙部
6…画像形成部
7…排紙部
8…ソーター
100…LAN
101…記憶部
102…制御部
103…表示部
104…操作部
S101,S102,〜…処理手順(ステップ)番号
S201,S202,〜…処理手順(ステップ)番号
X…画像形成システム
Y…プリンタ装置(画像形成装置の一例)
Z,Z1,Z2…パソコン(情報処理装置の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成部,前記画像形成部により画像が形成された後の用紙が排紙される排紙部,前記画像形成部から前記排紙部に用紙を搬送する用紙搬送部,前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部から用紙を取り出すための用紙取出扉,及び当該画像形成装置においてジャムが発生した場合に前記用紙取出扉の開放を規制する用紙取出扉開放規制手段を有する画像形成装置と,
前記画像形成装置に通信接続され,該画像形成装置に画像データを入力する一又は複数の情報処理装置と,
を備えてなる画像形成システムであって,
前記画像形成装置が,前記ジャムが発生したときの画像データを入力した前記情報処理装置に,予め設定された第1の設定パスワードの入力を要求する第1のパスワード入力要求手段と,前記情報処理装置で所定の操作手段により入力された第1の入力パスワードが前記第1の設定パスワードと一致するか否かを判定する第1のパスワード判定手段と,前記第1のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に新たに第2の設定パスワードを生成する第2の設定パスワード生成手段と,前記第2の設定パスワードを前記ジャムが発生したときの画像データを入力した前記情報処理装置に送信するパスワード送信手段と,前記画像形成装置において前記第2の設定パスワードの入力を要求する第2のパスワード入力要求手段と,前記画像形成装置で所定の操作手段により入力された第2の入力パスワードが前記第2の設定パスワードと一致するか否かを判定する第2のパスワード判定手段と,前記第2のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に前記用紙取出扉開放規制手段による規制を解除する規制解除手段と,を備えてなり,
前記情報処理装置が,前記パスワード送信手段により送信された前記第2の設定パスワードを表示するパスワード表示手段を備えてなることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記排紙部が,用紙を収容する用紙収容部と,前記用紙収容部から用紙を取り出すための収容用紙取出扉と,前記収容用紙取出扉の開放を規制する収容用紙取出扉開放規制手段とを有する一又は複数の排紙トレイを含んでなり,
前記画像形成装置が,当該画像形成装置においてジャムが発生した場合に,前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部に残存する用紙を前記排紙トレイのいずれかに搬送するジャム発生時用紙搬送手段を更に備えてなる請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置におけるジャムの発生箇所を検出するジャム発生箇所検出手段を更に備えてなり,
前記ジャム発生時用紙搬送手段が,前記用紙を搬送する前記排紙トレイを前記ジャム発生箇所検出手段による検出結果に基づいて選定してなる請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
入力された画像データに基づいて画像を形成する画像形成部,前記画像形成部により画像が形成された後の用紙が排紙される排紙部,前記画像形成部から前記排紙部に用紙を搬送する用紙搬送部,前記画像形成部及び/又は前記用紙搬送部から用紙を取り出すための用紙取出扉,及び当該画像形成装置においてジャムが発生した場合に前記用紙取出扉の開放を規制する用紙取出扉開放規制手段を有する画像形成装置と,を備えてなる画像形成装置であって,
前記ジャムが発生したときに画像データを入力した所定の情報処理装置に,予め設定された第1の設定パスワードの入力を要求する第1のパスワード入力要求手段と,前記所定の情報処理装置で所定の操作手段により入力された第1の入力パスワードが前記第1の設定パスワードと一致するか否かを判定する第1のパスワード判定手段と,前記第1のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に新たに第2の設定パスワードを生成する第2の設定パスワード生成手段と,前記第2の設定パスワードを前記所定の情報処理装置に送信するパスワード送信手段と,前記画像形成装置において前記第2の設定パスワードの入力を要求する第2のパスワード入力要求手段と,前記画像形成装置で所定の操作手段により入力された第2の入力パスワードが前記第2の設定パスワードと一致するか否かを判定する第2のパスワード判定手段と,前記第2のパスワード判定手段により一致すると判定された場合に前記用紙取出扉開放規制手段による規制を解除する規制解除手段と,を備えてなることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−114563(P2008−114563A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302274(P2006−302274)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】