説明

画像形成装置、プログラム及びシステム

【課題】複数の利用者端末が画像形成装置を共有する通信環境のもとで、稼働中の利用者端末の台数に応じて画像形成装置の電源状態を切り替える場合よりも、画像形成装置の電源状態を適切に制御することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置101は、自装置の電源状態を切り替える電源管理部5と、自装置と同じ通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、電源管理部5による電源状態の切り替え動作を制御する電源制御部3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラム及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク(以下、「通信網」とも記す)上で複数の利用者端末に共有される画像形成装置に関する従来技術として、例えば特許文献1には、画像形成装置を利用する端末装置の稼働状態を検出し、稼働中の端末装置の台数に応じて画像形成装置の電源状態を切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開20007−28062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、複数の利用者端末が画像形成装置を共有する通信環境のもとで、稼働中の利用者端末の台数に応じて画像形成装置の電源状態を切り替える場合よりも、画像形成装置の電源状態を適切に制御することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、自装置の電源状態を切り替える電源切り替え手段と、自装置と同じ通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、前記電源切り替え手段の動作を制御する電源制御手段とを備える画像形成装置に係るものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が、予め設定された閾値未満である場合は、当該閾値以上である場合よりも自装置の電力消費が少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末が、前記通信網に存在しない場合は、自装置の電力消費が最も少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が、前記閾値以上である場合は、前記通信網に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況が規定時間にわたって継続したことをきっかけとして、自装置の電力消費が相対的に少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記通信網に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況が規定時間にわたって繰り返し継続するごとに、自装置の電力消費が段階的に少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、自装置の電源状態が節電状態になっているときに、前記通信網に接続されている利用者端末から処理要求を受けた場合に、当該利用者端末を操作している利用者が自装置の利用権を有し、かつ当該利用者が過去に自装置を利用した実績を示す利用実績度数が利用限度数に達していないかどうかにより、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記処理要求を行なった利用者が自装置の利用権を有し、かつ当該利用者の利用実績度数が前記利用限度数に達していた場合は、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が、前記閾値以上である場合は、稼働中の利用者端末を操作している利用者ごとに、過去に自装置を利用した実績を示す利用実績度数を確認し、当該利用実績度数が利用限度数に達していない利用者が存在しない場合は、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、自装置の電源状態が節電状態になっているときに、前記通信網に接続されている利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けた場合に、自装置の状態に応じて、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9記載の画像形成装置において、前記電源制御手段は、前記自装置の状態が画像形成不可の状態である場合に、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、前記電源切り替え手段の動作を制御するものである。
【0015】
請求項11に記載の発明は、画像形成装置を構成するコンピュータを、自装置の電源状態を切り替える電源切り替え手段、自装置と同じ通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、前記電源切り替え手段の動作を制御する電源制御手段として機能させるためのプログラムに係るものである。
【0016】
請求項12に記載の発明は、利用者が操作する利用者端末と、前記利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう画像形成装置とを通信網で接続し、前記画像形成装置は、自装置の電源状態を切り替える電源切り替え手段と、前記通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、前記電源切り替え手段の動作を制御する電源制御手段とを備えるシステムに係るものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、11,12に記載の発明によれば、複数の利用者端末が画像形成装置を共有する通信環境のもとで、稼働中の利用者端末の台数に応じて画像形成装置の電源状態を切り替える場合よりも、画像形成装置の電源状態を適切に制御することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、稼働中の利用者端末でかつ画像形成装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が閾値未満と少ない場合に、画像形成装置の電力消費を抑えることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、稼働中の利用者端末でかつ画像形成装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末が通信網に存在しない場合に、画像形成装置の電力消費を最小限に抑えることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、請求項4記載の発明によれば、稼働中の利用者端末でかつ画像形成装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が閾値以上と多い状況であっても、通信網に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況が規定時間にわたって継続した場合に、本構成を有しない場合に比べて画像形成装置の電力消費を低減させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、稼働中の利用者端末でかつ画像形成装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が閾値以上と多い状況であっても、通信網に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況が規定時間にわたって繰り返し継続した場合に、本構成を有しない場合に比べて画像形成装置の電力消費を低減させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、画像形成装置に処理要求を行なった利用者の利用実績度数が利用限度数に達しているかどうかに応じて、画像形成装置の電源状態を切り替えることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、画像形成装置に処理要求を行なった利用者の利用実績度数が利用限度数に達している場合に、画像形成装置の無駄な電力消費を避けることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、稼働中の利用者端末でかつ画像形成装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が閾値以上と多い状況であっても、画像形成装置の利用権を有する利用者全員の利用実績度数が利用限度数に達している場合に、画像形成装置の無駄な電力消費を避けることができる。
【0025】
請求項9,10に記載の発明によれば、利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けても画像形成装置が画像形成に応じられない状況で、画像形成装置の節電状態が不要に解除されないように、画像形成装置の電源状態を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明が適用されるシステムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置の電源状態のレベル分けの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のパケット受信時の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で行なわれる電源制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で行なわれる電源制御処理の他の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置で行なわれる電源制御処理の応用例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下に記述する実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0028】
図1は本発明が適用されるシステムの概略構成図である。図示したシステムは、複数台(図例では3台のみ表示)の利用者端末100と、画像形成装置101と、利用者管理装置102とを、共通の通信網103で相互に接続した構成となっている。ここで記述する「通信網」とは、「通信用のネットワーク」のことである。なお、ここではシステムの構成要素の1つに利用者管理装置102を含めているが、利用者管理装置102の機能(詳細は後述)は画像形成装置101の内部に持たせてもよい。このため、本発明に係るシステムの構成要素として、利用者管理装置102は必須の要素ではない。
【0029】
利用者端末100は、利用者が操作する端末装置であって、例えば、表示装置(液晶モニター等)や入力装置(キーボード、マウス等)が付属するパーソナルコンピュータを用いて構成されている。利用者端末100には、それぞれ固有のアドレス情報(MACアドレス等)が割り当てられている。即ち、利用者端末100aには、他の利用者端末100b,100c,…とは異なる、固有のアドレス情報が割り当てられている。また、利用者端末100bには、他の利用者端末100a,100c,…とは異なる、固有のアドレス情報が割り当てられている。また、利用者端末100cには、他の利用者端末100a,100b,…とは異なる、固有のアドレス情報が割り当てられている。利用者端末100aは、利用者Uaによって操作されるものとなっている。また、利用者端末100bは、利用者Ubによって操作され、利用者端末100cには、利用者Ucによって操作されるものとなっている。こうした点は、利用者端末100a,100b,100c以外の利用者端末についても同様である。
【0030】
画像形成装置101は、利用者端末100(100a,100b,100c,…)を操作する利用者から処理要求を受けて、当該処理要求に基づく処理(利用者が要求する処理)を行なうものである。画像形成装置101は、例えば、印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX(ファクス)処理といった複数の処理機能を併せ持つ複合機を用いて構成されている。
【0031】
利用者管理装置102は、利用者端末を操作している利用者に関する情報や、画像形成装置101を利用する権利(利用権)を有する利用者に関する情報(以下、まとめて「利用者情報」とも記す)を管理するものである。利用者管理装置102は、例えば、利用者の認証を行なう認証サーバなどを用いて構成されるもので、利用者端末の識別情報(MACアドレス等)とそれを操作する利用者の識別情報を1:1の関係で対応付けた管理テーブルを有する。通信網103に接続された利用者端末100を利用するにあたって、利用者は、自身に割り当てられた利用者の識別情報を付加して利用者管理装置102に認証処理を依頼する。利用者管理装置102は、利用者の認証に成功すると、その旨を認証処理の依頼元となった利用者端末に通知するとともに、当該利用者端末の識別情報とこれを操作する利用者の識別情報を組にして管理テーブルに登録する。
【0032】
利用者端末の識別情報(以下、「端末ID」とも記す)としては、例えば、MACアドレスを用いるとよい。また、利用者の識別情報(以下、「利用者ID」とも記す)としては、利用者ごとに割り当てられる固有の情報など、利用者を一意に特定する情報であれば、どのような情報を用いてもよい。利用者IDを割り当てる利用者の単位は、個人単位であってもよいし、所属先や配属先などの組織(グループ)単位であってもよい。また、パスワードや証明書を組み合わせた情報を、利用者IDとして用いてもよい。
【0033】
通信網103は、利用者端末100(100a,100b,100c,…)、画像形成装置101及び利用者管理装置102の間で、規定の通信規約(例えば、TCP/IPなど)に基づいて双方向の通信(データや情報の受け渡し)を実現するものである。通信網103は、例えばLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)等を用いて構成されるものである。
【0034】
図2は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の内部構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置101は、大きくは、通信部1と、処理要求受付部2と、電源制御部3と、状態管理部4と、電源管理部5と、機能処理部6とを備えた構成となっている。
【0035】
通信部1は、上記通信網103を介して外部の装置(本形態例では利用者端末100、利用者管理装置102に相当)と通信するネットワーク・インターフェースとなるものである。通信部1は、処理要求検知部7を有している。処理要求検知部7は、自装置(画像形成装置101)に対して外部の装置から処理要求があったかどうかを検知するものである。
【0036】
処理要求受付部2は、上記通信部1で処理要求検知部7が検知した処理要求を受け付けるものである。処理要求受付部2は、単に処理要求を受け付けるだけでなく、実際に受け付けた処理要求の内容を判断する処理を行なう。処理要求の内容(種類)には、少なくとも印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX処理、ステータス処理などが含まれる。このため、処理要求受付部2は、実際に受け付けた処理要求の内容が、印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX処理、ステータス処理等のうち、いずれの処理内容に該当するかを判断する。
【0037】
上記利用者の識別情報は、例えば、いずれかの利用者端末100から画像形成装置101に処理要求を送信するときに、当該処理要求と一緒に送信する仕組みとなっている。
【0038】
電源制御部3は、予め設定された制御条件にしたがって、電源管理部5による電源状態の切り替え動作を制御するものである。電源状態の切り替えに際しては、電源制御部3から電源管理部5に電源状態の変更指示がなされ、この変更指示にしたがって電源管理部5が自装置の電源状態を切り替える仕組みになっている。電源制御部3による電源制御の具体的な内容については後段で説明する。
【0039】
状態管理部4は、自装置(画像形成装置101)の状態を管理するものである。状態管理部4は、例えば、印刷用紙の有無や消耗品の有無に基づいて、画像形成装置101が印刷可能な状態(画像形成可の状態)にあるかどうかを管理する。さらに詳述すると、状態管理部4は、画像形成装置101の用紙収容部(不図示)に印刷用紙がセットされていない場合や、画像形成装置101の消耗品が寿命を迎えて即補充又は即交換が必要な場合などは、画像形成装置101が印刷可能な状態にない、つまり印刷不可の状態(画像形成不可の状態)にあると判断する。
【0040】
電源管理部5は、画像形成装置101が備える各種のハードウェアの電源を管理するものである。電源管理の対象となるハードウェアとしては、例えば、ユーザーインターフェース(UI)部8、ハードディスク(HDD)9、ネットワークソフトウェア制御部(図中のS/Wはソフトウェアの略)10、第1のネットワークハードウェア(図中のH/Wはハードウェアの略)11、第2のネットワークハードウェア12、状態管理用ハードウェア13、印刷用ハードウェア14、画像読取用ハードウェア15、複写用ハードウェア16、FAX用ハードウェア17、画像データ処理用ハードウェア18、情報管理用ハードウェア19などがある。状態管理用ハードウェア19は、画像形成装置101の状態を検出するためのハードウェアである。状態管理用ハードウェア19には、例えば、印刷用紙の有無を検知するセンサや消耗品の有無を検知するセンサなどが含まれる。情報管理用ハードウェア19は、画像形成装置101が待機モードから省電力モードに移行するときに、移行直前のマシンの状態を示す情報(ステータス情報)を保持する場合などに用いられる。
【0041】
電源管理部5は、例えば図3に示すように、7つの電源レベル(以下、単に「レベル」と記す)に分けて画像形成装置101の電源状態を管理する。レベル1は、自装置(画像形成装置101)の消費電力が最も少なくなる電源状態(以下、「休止状態」とも記す)であり、上記省電力モード時の電源状態に相当する。レベル7は、自装置の消費電力が最も多くなる電源状態であり、上記待機モード時の電源状態に相当する。各々のレベル1〜7は、自装置の消費電力が段階的に異なるように区分されている。即ち、レベル2はレベル1よりも消費電力が多い電源状態であり、レベル3はレベル2よりも消費電力が多い電源状態である。また、レベル4はレベル3よりも消費電力が多い電源状態であり、レベル5はレベル4よりも消費電力が多い電源状態である。また、レベル6はレベル5よりも消費電力が多い電源状態であり、レベル7はレベル6よりも消費電力が多い電源状態である。
【0042】
本書では、画像形成装置101が自身のもつ処理機能を最大限に発揮するときの電源状態を稼働状態と定義し、それよりも電力消費が少ない電源状態を節電状態と定義する。そうすると、レベル1〜6は、いずれも節電状態に該当するものとなり、レベル7は、稼働状態に該当するものとなる。また、画像形成装置101は、自装置の電源状態がレベル1〜5のうちのいずれか1つからレベル7に切り替わることで、節電状態から稼働状態へと復帰することになる。節電状態から稼働状態への復帰は、復帰直前の節電状態のレベルが低いほど、稼働状態に復帰するまでに時間がかかる。換言すれば、復帰直前の電源状態のレベルが高いほど、稼働状態に復帰するまでの時間が短くなる。
【0043】
消費電力の相対的な比較は、各々のレベルに対応してハードウェアに電源を投入した段階での消費電力を対象にしており、電源投入後の実動作による消費電力の増大分は見込んでいない。例えば、ハードディスクを例に挙げて説明すると、ハードディスクに電源を投入した段階での消費電力と、実際にデータの蓄積などでハードディスクを動作させた段階での消費電力は、後者の方が多くなるが、上述した電源状態のレベル分けは、電源投入段階の消費電力を想定している。このため、例えば、自装置の電源状態をレベル1からレベル2に変更する場合は、レベル1で電源を投入しているハードウェアをすべて含んで、それよりも多いハードウェアを対象に電源を投入することになる。また、自装置の電源状態をレベル1からレベル3に変更する場合は、レベル1で電源を投入しているハードウェアと、それ以外にレベル2で電源が投入されるハードウェアをすべて含んで、それよりも多いハードウェアを対象に電源を投入することになる。つまり、電源状態のレベルが上がるほど、電源を投入する対象となるハードウェアの数(種類)が増加する。電源管理部5は、自装置の電源状態を上記7つのレベルのうちのいずれかに切り替える機能を有する。このため、電源管理部5は、「電源切り替え手段」としての機能を果たす。
【0044】
レベル1は、例えば、MAC/PHY規格にしたがって通信網103を介して受信したパケットが自装置宛てのパケットか否かを判断するパケットフィルタなどの機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル1では、第1のネットワークハードウェア11に電源が供給された状態となる。
【0045】
レベル2は、例えば、ARP/Ping処理、ブロードキャストやマルチキャストによる検索などの機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル2では、レベル1で電源が供給されるハードウェアに加えて、第2のネットワークハードウェア12に電源が供給された状態となる。
【0046】
レベル3は、例えば、プロトコルによって最低限のCPU(例えば、ネットワークインターフェースカードに搭載されるCPUなど)の電源を入れ、ステータスの応答(ハードディスクへのアクセスが不要なもの)を行なう機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル3では、レベル2で電源が供給されるハードウェアに加えて、ネットワークソフトウェア制御部10に電源が供給された状態となる。
【0047】
レベル4は、例えば画像形成装置101のファームウェア全体の制御機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル4では、レベル3で電源が供給されるハードウェアに加えて、状態管理用ハードウェア13と情報管理用ハードウェア19に電源が供給された状態となる。
【0048】
レベル5は、例えば、プロトコルによって最低限のCPUの電源を入れ、ステータスの応答(ハードディスクへのアクセスが必要なもの)を行なう機能やデータを蓄積する機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル5では、レベル4で電源が供給されるハードウェアに加えて、ハードディスク9に電源が供給された状態となる。
【0049】
レベル6は、ユーザーインターフェース機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル6では、レベル5で電源が供給されるハードウェアに加えて、ユーザーインターフェース部8に電源が供給された状態となる。
【0050】
レベル7は、利用者端末100を操作する利用者や、ユーザーインターフェース部8を操作する利用者から処理要求を受けた場合に、その処理要求に対応する処理機能を働かせるために必要となる電源状態である。レベル7では、レベル6で電源が供給されるハードウェアに加えて、印刷用ハードウェア14、画像読取用ハードウェア15、複写用ハードウェア16、FAX用ハードウェア17、画像データ処理用ハードウェア18のうちの少なくとも1つに電源が供給された状態となる。
【0051】
機能処理部6は、処理要求受付部2で受け付けた処理要求の内容にしたがって、印刷処理、画像読取処理、複写処理、FAX処理、ステータス処理などの機能処理を行なうものである。機能処理部6は、印刷処理部21、画像読取処理部22、複写処理部23、FAX処理部24、ステータス処理部25を有している。印刷処理部21は、用紙に画像を印刷する処理を行なうものである。画像読取処理部22は、原稿に記録された画像を読み取る処理を行なうものである。複写処理部23は、原稿から読み取った画像を用紙に複写する処理を行なうものである。FAX処理部24は、FAXデータを送信したり受信したりする処理を行なうものである。ステータス処理部25は、自装置のステータス(動作状態)を確認したり、確認結果を外部の装置(ステータスの確認要求を行なった装置)に通知したりする処理を行なうものである。
【0052】
以上述べた画像形成装置101の構成要素のなかで、通信部1、処理要求受付部2、電源制御部3,状態管理部4、電源管理部5、機能処理部6については、電源管理の対象となるハードウェア資源を除いて、例えば、プログラムを格納するROM(Read-Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ROMに格納されたプログラムをRAMに読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータ・ハードウェア資源を用いて実現されるものである。また、本発明は、以下の処理を行なう手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを含むものである。
【0053】
(パケット受信時の処理例)
図4は本発明の実施の形態に係る画像形成装置のパケット受信時の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは画像形成装置101の電源状態がレベル1(休止状態)のときにパケットを受信した場合の処理例について説明する。
【0054】
まず、通信部1の処理要求検知部7は、通信網103を介して外部の装置(利用者端末装置100を含む)から自装置宛のパケットを受信したかどうかを繰り返し確認する(ステップS1)。そして、自装置宛のパケットを受信したと判断すると、そのパケットに含まれる処理要求を検知する。
【0055】
次に、処理要求検知部7が検知した処理要求を処理要求受付部2で受け付けた後(ステップS2)、その処理要求の内容がレベル1の電源状態で対処可能な内容であるかどうかを処理要求受付部2で判断する(ステップS3)。そして、処理要求の内容がレベル1の電源状態で対処可能な内容であると処理要求受付部2が判断すると、ステップS3からステップS16に移行し、そこで現状の電源レベルのまま処理要求に応じた処理を実行する。この場合、電源制御部3は、電源管理部5に電源状態の変更指示を行なわない。このため、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル1に設定された状態で、機能処理部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、MAC/PHY処理など)を実行することになる。
【0056】
一方、上記ステップS3において、処理要求の内容がレベル1の電源状態で対処可能な内容ではないと処理要求受付部2が判断すると、その判断結果を受けて電源制御部3は、自装置の電源状態のレベルを上げるべく、電源管理部5に電源状態の変更指示を行ない、この変更指示を受けて電源管理部5が自装置の電源状態をレベル1からレベル2に変更する(ステップS4)。
【0057】
次に、処理要求受付部2は、先に受け付けた処理要求の内容がレベル2の電源状態で対処可能な内容であるかどうかを判断する(ステップS5)。そして、処理要求の内容がレベル2の電源状態で対処可能な内容であると処理要求受付部2が判断すると、ステップS5からステップS16に移行し、そこで現状の電源レベルのまま処理要求に応じた処理を実行する。この場合、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル2に設定された状態で、機能処理部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、パケット処理など)を行なうことになる。
【0058】
一方、上記ステップS5において、処理要求の内容がレベル2の電源状態で対処可能な内容ではないと処理要求受付部2が判断すると、その判断結果を受けて電源制御部3は、自装置の電源状態のレベルを上げるべく、電源管理部5に電源状態の変更指示を行ない、この変更指示を受けて電源管理部5が自装置の電源状態をレベル2からレベル3に変更する(ステップS6)。
【0059】
次に、処理要求受付部2は、先に受け付けた処理要求の内容がレベル3の電源状態で対処可能な内容であるかどうかを判断する(ステップS7)。そして、処理要求の内容がレベル3の電源状態で対処可能な内容であると処理要求受付部2が判断すると、ステップS7からステップS16に移行し、そこで現状の電源レベルのまま処理要求に応じた処理を実行する。この場合、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル3に設定された状態で、機能処理部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、通信網103を用いた応答処理など)を行なうことになる。
【0060】
一方、上記ステップS7において、処理要求の内容がレベル3の電源状態で対処可能な内容ではないと処理要求受付部2が判断すると、その判断結果を受けて電源制御部3は、自装置の電源状態のレベルを上げるべく、電源管理部5に電源状態の変更指示を行ない、この変更指示を受けて電源管理部5が自装置の電源状態をレベル3からレベル4に変更する(ステップS8)。
【0061】
次に、処理要求受付部2は、先に受け付けた処理要求の内容がレベル4の電源状態で対処可能な内容であるかどうかを判断する(ステップS9)。そして、処理要求の内容がレベル4の電源状態で対処可能な内容であると処理要求受付部2が判断すると、ステップS9からステップS16に移行し、そこで現状の電源レベルのまま処理要求に応じた処理を実行する。この場合、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル4に設定された状態で、機能処理部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、状態確認など)を行なうことになる。
【0062】
一方、上記ステップS9において、処理要求の内容がレベル4の電源状態で対処可能な内容ではないと処理要求受付部2が判断すると、その判断結果を受けて電源制御部3は、自装置の電源状態のレベルを上げるべく、電源管理部5に電源状態の変更指示を行ない、この変更指示を受けて電源管理部5が自装置の電源状態をレベル4からレベル5に変更する(ステップS10)。
【0063】
次に、処理要求受付部2は、先に受け付けた処理要求の内容がレベル5の電源状態で対処可能な内容であるかどうかを判断する(ステップS11)。そして、処理要求の内容がレベル5の電源状態で対処可能な内容であると処理要求受付部2が判断すると、ステップS11からステップS16に移行し、そこで現状の電源レベルのまま処理要求に応じた処理を実行する。この場合、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル6に設定された状態で、機能処理部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、ハードディスク9に格納されたデータの参照やハードディスク9へのデータの格納など)を行なうことになる。
【0064】
一方、上記ステップS11において、処理要求の内容がレベル5の電源状態で対処可能な内容ではないと処理要求受付部2が判断すると、その判断結果を受けて電源制御部3は、自装置の電源状態のレベルを上げるべく、電源管理部5に電源状態の変更指示を行ない、この変更指示を受けて電源管理部5が自装置の電源状態をレベル5からレベル6に変更する(ステップS12)。
【0065】
次に、処理要求受付部2は、先に受け付けた処理要求の内容がレベル6の電源状態で対処可能な内容であるかどうかを判断する(ステップS13)。そして、処理要求の内容がレベル6の電源状態で対処可能な内容であると処理要求受付部2が判断すると、ステップS13からステップS16に移行し、そこで現状の電源レベルのまま処理要求に応じた処理を実行する。この場合、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル6に設定された状態で、機能処理部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、パネル表示や入力など)を行なうことになる。
【0066】
一方、上記ステップS13において、処理要求の内容がレベル6の電源状態で対処可能な内容ではないと処理要求受付部2が判断すると、その判断結果を受けて電源制御部3は、利用者端末100を操作して自装置宛てに処理要求のパケットを送信した利用者が、自装置を利用する権利を有する利用者(正規利用者)であるかどうかを確認する(ステップS14)。そして、処理要求を行なった利用者が、自装置を利用する権利を有する利用者ではないと判断すると、電源制御部3は、電源管理部5に電源状態の変更指示を行なわずに、一連の処理を終える。
【0067】
一方、上記ステップS14において、処理要求を行なった利用者が、自装置を利用する権利を有しない利用者であると判断すると、電源制御部3は、自装置の電源状態のレベルを上げるべく、電源管理部5に電源状態の変更指示を行ない、この変更指示を受けて電源管理部5が自装置の電源状態をレベル6からレベル7に変更した後(ステップS15)、ステップS16に進む。この場合、ステップS16においては、画像形成装置101の電源状態がレベル7に設定された状態で、機能制御部6が処理要求の内容にしたがって処理(例えば、印刷処理など)を行なうことになる。
【0068】
なお、上記の処理例においては、処理要求を行なった利用者が、自装置を利用する権利を有する利用者ではないと判断した場合(ステップS14でNoの場合)に、自装置の電源状態を現状のレベルに維持するように制御するものとしたが、これに限らず、例えば、処理要求を行なった利用者が、自装置を利用する権利を有する利用者ではなく、かつ、自装置が印刷可能な状態ではないと判断した場合に、自装置の電源状態を現状のレベルに維持するように制御してもよい。
【0069】
(電源制御に係る第1処理例)
図5は本発明の実施の形態に係る画像形成装置で行なわれる電源制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは節電を目的とした電源制御処理を例に挙げて説明する。かかる電源制御処理は、例えば予め設定された時間間隔で繰り返し実行されるか、予め設定された条件を満たすたびに繰り返し実行されるものである。
【0070】
まず、電源制御部3は、自装置(画像形成装置101)の電源状態がレベル1になっているかどうかを判断する(ステップS21)。自装置の電源状態がいずれのレベルに設定されているかは、電源制御部3が電源管理部5に問い合わせることによって確認する。自装置の電源状態がレベル1になっていると判断した場合は、そのまま電源制御処理を終える。
【0071】
また、電源制御部3は、自装置の電源状態がレベル1になっていないと判断した場合(換言すると、画像形成装置101の電源状態がレベル2以上になっている場合)は、通信網103に接続されている複数の利用者端末100(100a,100b,100c,…)の稼働状況を確認する(ステップS22)。各々の利用者端末100の稼働状況については、例えば、利用者端末が稼働しているかどうかを問い合わせる問い合わせ信号を、通信網103に接続されているすべての利用者端末に向けてマルチキャスト方式で送信し、当該問い合わせ信号に対して応答のあった利用者端末を「稼働中の利用者端末」と認識する仕組みを採用すればよい。
【0072】
次に、電源制御部3は、上記ステップS22で稼働状況を確認した結果に基づいて、通信網103上で稼働中の利用者端末の台数がm未満(mは自然数)であるかどうかを判断する(ステップS23)。mの値は、ネットワーク管理者がUI部8又は外部の装置から画像形成装置101を操作することで、予め任意の値に設定される仕組みとしてもよいし、デフォルトの値に合わせて予め設定される仕組みとしてもよい。
【0073】
上記ステップS23において、稼働中の利用者端末の台数がm未満であると判断した場合は、電源制御部3は、予め設定された条件で電源の切り替え処理を行なった後(ステップS24)、電源制御処理を終える。
【0074】
なお、上記ステップS24の電源切り替え処理のなかで、電源制御部3が画像形成装置101の電源状態を具体的にどのように制御するかに関しては、本発明では特に規定はしない。例えば、mの値がm=1に設定されている場合は、上記ステップS24で自装置の電源状態をレベル1に切り替えるように制御すればよい。また、mの値がm=5に設定されている場合は、上記ステップS24で自装置の電源状態のレベルを1つ下げるように制御してもよいし、さらに制御条件を細かく分けて自装置の電源状態を段階的に下げるように制御してもよい。
【0075】
一方、上記ステップS23において、稼働中の利用者端末の台数がm未満ではないと判断した場合(換言すると、稼働中の利用者端末の台数がm以上の場合)は、電源制御部3は、稼働中の利用者端末を操作している利用者に関する利用者情報を確認する(ステップS25)。
【0076】
利用者情報は、例えば、通信網103に接続されている利用者管理装置102に対して、電源制御部3が通信部1を介して利用者情報の取得要求を行ない、当該取得要求に対して利用者管理装置102から返信された利用者情報を通信部1で受信し、その利用者情報を電源制御部3が取得する仕組みとすればよい。その際、利用者情報の取得要求には、上記稼働状況の問い合わせ信号に対して応答のあった利用者端末のアドレス情報(MACアドレス)を指定し、当該取得要求を受けた利用者管理装置102は、指定のアドレス情報で特定される利用者端末を操作している利用者に関する利用者情報を返信する。利用者管理装置102は、前述したように端末ID(MACアドレス)と利用者IDを対応付けた管理テーブルを有しているため、この管理テーブルを参照することにより、稼働中の利用者端末を操作している利用者全員を特定し、それらの利用者に関する利用者情報を画像形成装置101に返信する。
【0077】
次に、電源制御部3は、稼働中のm台以上の利用者端末のうち、自装置(画像形成装置101)の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が0台であるかどうかを判断する(ステップS26)。稼働中の利用者端末を操作している利用者のうち、いずれの利用者が自装置の利用権を有しているか、又は有していないかについては、利用者管理装置102から送られる利用者情報に基づいて判断されるものとする。また、画像形成装置101の利用権を有する利用者(利用者ID)は、予めネットワーク管理者の手動設定により利用者管理装置102に登録されるものとする。
【0078】
次に、電源制御部3は、上記ステップS26で自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が0台であると判断すると、電源管理部5に電源状態の変更指示を行なうことで、自装置の電源状態をレベル1に変更した後(ステップS27)、電源制御処理を終える。
【0079】
また、電源制御部3は、上記ステップS26で自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が0台ではないと判断すると、これに続いて当該利用者端末の台数がn(nは2以上の自然数)以上であるかどうかを判断する(ステップS28)。そして、自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数がn未満である場合は、電源管理部5に電源状態の変更指示を行なうことで、自装置の電源状態のレベルを1つ下げる(ステップS29)。また、自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数がn以上である場合は、そのまま電源制御処理を終える。
【0080】
以上のとおり、電源制御部3は、自装置(画像形成装置101)と同じ通信網103に接続されている利用者端末100のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、当該端末台数が0台の場合と、当該端末台数がn以上の場合と、当該端末台数がn未満の場合で、それぞれ異なる条件で電源管理部5の動作を制御する。
【0081】
具体的には、電源制御部3は、通信網103上で稼働中の利用者端末のうち、自装置(画像形成装置101)の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数がn未満(0台を含む)である場合は、自装置の電源状態をレベル1に変更するか、自装置の電源状態のレベルが1つ下げるように、電源管理部5の動作を制御し、n以上である場合は、自装置の電源状態を現状レベルに維持するように、電源管理部5の動作を制御する。このことから、電源制御部3は、通信網103上で稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数がn未満である場合は、n以上である場合に比べて画像形成装置101の電力消費が少なくなるように、電源管理部5の動作を制御することになる。
【0082】
また、電源制御部3は、通信網103上で稼働中の利用者端末のうち、自装置(画像形成装置101)の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が0台である場合に、自装置の電源状態をレベル1に変更するように、電源管理部5の動作を制御する。このことから、電源制御部3は、通信網103上で稼働中の利用者端末のなかに、自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末が存在しない場合は、自装置の電力消費が最も少なくなるように、電源管理部5の動作を制御することになる。
【0083】
(電源制御に係る第2処理例)
図6は本発明の実施の形態に係る画像形成装置で行なわれる電源制御処理の他の例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、電源制御部3は、上記ステップS21〜29と同様の処理に加えて、ステップS29の後に、自装置の電源状態がレベル1になっているかどうかを判断する(ステップS30)。そして、レベル1になっていれば、そのまま電源制御処理を終え、レベル1になっていなければ、ステップS31に移行する。また、上記ステップS28で“端末台数≧n”の条件を満たした場合にもステップS31に進む。
【0085】
ステップS31において、電源制御部3は、自装置(画像形成装置101)宛てに処理要求のアクセスがない時間の長さを計測しているタイマの値が、予め設定されたTmを過ぎたかどうかを判断する。そして、“タイマ値≧Tm”の条件を満たさない場合は、自装置宛てに処理要求のアクセスがあったかどうかを確認し(ステップS32)、処理要求のアクセスがあれば、そのまま電源制御処理を終える。また、処理要求のアクセスがなければ、上記ステップS31に戻る。
【0086】
また、電源制御部3は、上記ステップS31で“タイマ値≧Tm”の条件を満たした場合は、電源管理部5に電源状態の変更指示を行なうことで、自装置の電源状態のレベルを1つ下げる(ステップS33)。次に、電源制御部3は、自装置の電源状態がレベル1になっているかどうかを判断し(ステップS34)、レベル1になっていれば、そのまま電源制御処理を終える。また、レベル1になっていなければ、上記タイマをリスタートさせた後(ステップS35)、上記ステップS32に移行する。タイマのリスタートでは、タイマ値がゼロにリセットされた状態で、アクセスなしの時間の計測が開始(再開)される。
【0087】
以上のとおり、電源制御部3は、“端末台数≧n”の条件を満たした場合に、タイマ値を確認し、そこで“タイマ値≧Tm”の条件を満たした場合は、自装置の電源状態のレベルを1つ下げるように、電源管理部5の動作を制御する。このことから、電源制御部3は、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数がn(閾値)以上である場合は、通信網103に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況がTm(規定時間)にわたって継続したことをきっかけとして、自装置の電力消費が相対的に少なくなるように、電源管理部5の動作を制御することになる。
【0088】
また、電源制御部3は、自装置の電源状態がレベル1になるか、自装置宛てに処理要求のアクセスがあるまでは、繰り返しタイマをリスタートして、“タイマ値≧Tm”の条件判断を行ない、その判断結果に基づいて電源管理部5の動作を制御する。このことから、電源制御部3は、通信網103に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況がTm(規定時間)にわたって繰り返し継続するごとに、自装置の電力消費が段階的に少なくなるように、電源管理部5の動作を制御することになる。
【0089】
なお、上記の処理例においては、通信網103に接続されている利用者端末から処理要求を受けた場合(上記ステップS32でYesと判断した場合)に、そのまま電源制御処理を終えるようにしたが、本発明はこれに限らず、例えば図7に示すような処理手順を採用してもよい。
【0090】
(電源制御に係る第3処理例)
すなわち、自装置(画像形成装置101)の電源状態が節電状態(レベル1〜レベル6)になっているときに、通信網103に接続されている利用者端末から処理要求を受けた場合(上記ステップS32でYesと判断した場合)に、その利用者端末を操作している利用者が自装置(画像形成装置101)の利用権を有する正規利用者かどうかを、利用者管理装置102への問い合わせによって確認する(ステップS36)。そして、自装置の利用権を有する利用者からの処理要求であった場合は、その利用者に関して、過去に自装置を利用した実績を示す利用実績度数が利用限度数に達していないかどうかを、利用者管理装置102への問い合わせによって確認する(ステップS37)。なお、利用者管理装置102への確認のための問い合わせは、1回にまとめて行なってもよい。
【0091】
ここで、画像形成装置101の利用権を有する利用者に関しては、利用者管理装置102の管理テーブルに登録される利用者ごとに、画像形成装置101を利用する場合の利用限度を示す利用限度数が、例えばネットワーク管理者の手動設定により、利用者情報の1つとして利用者管理装置102に予め設定されるものとする。利用限度数は、例えば、印刷処理に関しては、印刷に使用する用紙の枚数で規定されるものである。利用限度数は、使用者の利用実績度数と比較される。利用実績度数は、利用者が過去に画像形成装置101を利用した実績を示すものである。その場合、1人の利用者が画像形成装置101で印刷に使用した用紙の枚数を利用実績度数で表すものとすると、当該利用者からの処理要求を受けて画像形成装置101が印刷処理を行なった用紙の枚数を利用者管理装置102に通知し、この通知を受けて利用者管理装置102が該当する利用者の利用実績度数を加算処理する仕組みとすればよい。
【0092】
上記ステップS37において、利用者の利用実績度数が利用限度数に達していない場合は、利用者からアクセスのあった処理要求に基づく処理を行なうべく、上記パケット受信時と同様の処理(図4参照)を行なう。また、処理要求を行なった利用者が自装置の利用権を有しない場合や、利用者の利用実績度数が利用限度数に達している場合は、電源制御部3は、仮に処理要求の内容が印刷処理等であったとしても、自装置の電源状態をレベル7へと上げることなく、処理要求元の利用者端末への応答に必要な電源レベルに変更するように、電源管理部5の動作を制御する(ステップS38)。
【0093】
この場合、電源制御部3は、処理要求を行なった利用者が自装置の利用権を有し、かつ当該利用者の利用実績度数が利用限度数に達していた場合は、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、電源管理部5の動作を制御することになる。その際、電源制御部3は、自装置の電源状態を節電状態に維持するために、例えば、自装置の電源状態をレベル4よりも高いレベルに上げないように、電源管理部5の動作を制御する仕組みとすればよい。
【0094】
なお、図示はしないが、電源制御部3が行なう電源制御処理の一形態として、例えば、次のような形態を採用してもよい。すなわち、上記図5のステップS28において、“端末台数≧n”の条件を満たした場合に、当該n台以上で稼働中の利用者端末を操作している利用者ごとに、利用者管理装置102への問い合わせによって利用実績度数を確認し、利用実績度数が利用限度数に達していない利用者が存在しない場合(換言すると、確認したすべての利用者の利用実績度数が利用限度数に達していた場合)は、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、電源管理部5の動作を制御する形態を採用してもよい。その際、電源制御部3は、自装置の電源状態を節電状態に維持するために、例えば、自装置の電源状態をレベル4よりも高いレベルに上げないように、電源管理部5の動作を制御する仕組みとすればよい。
【0095】
また、電源制御部3は、自装置の電源状態が節電状態になっているときに、通信網103に接続されている利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けた場合に、自装置の状態に応じて、電源管理部5の動作を制御する形態を採用してもよい。より具体的には、自装置の状態が画像形成不可の状態である場合に、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、電源管理部5の動作を制御する形態を採用してもよい。自装置の状態は、状態管理部4への問い合わせによって確認すればよい。また、自装置の電源状態を節電状態に維持するために、例えば、自装置の電源状態をレベル4よりも高いレベルに上げないように、電源管理部5の動作を制御する仕組みとすればよい。
【符号の説明】
【0096】
1…通信部、2…処理要求受付部、3…電源制御部、4…状態管理部、5…電源管理部、6…機能処理部、100…利用者端末、101…画像形成装置、102…利用者管理装置、103…通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置の電源状態を切り替える電源切り替え手段と、
自装置と同じ通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、前記電源切り替え手段の動作を制御する電源制御手段と
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が、予め設定された閾値未満である場合は、当該閾値以上である場合よりも自装置の電力消費が少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末が、前記通信網に存在しない場合は、自装置の電力消費が最も少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が、前記閾値以上である場合は、前記通信網に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況が規定時間にわたって継続したことをきっかけとして、自装置の電力消費が相対的に少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、前記通信網に接続されている利用者端末のいずれからも処理要求のない状況が規定時間にわたって繰り返し継続するごとに、自装置の電力消費が段階的に少なくなるように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記電源制御手段は、自装置の電源状態が節電状態になっているときに、前記通信網に接続されている利用者端末から処理要求を受けた場合に、当該利用者端末を操作している利用者が自装置の利用権を有し、かつ当該利用者が過去に自装置を利用した実績を示す利用実績度数が利用限度数に達していないかどうかにより、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電源制御手段は、前記処理要求を行なった利用者が自装置の利用権を有し、かつ当該利用者の利用実績度数が前記利用限度数に達していた場合は、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電源制御手段は、前記稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数が、前記閾値以上である場合は、稼働中の利用者端末を操作している利用者ごとに、過去に自装置を利用した実績を示す利用実績度数を確認し、当該利用実績度数が利用限度数に達していない利用者が存在しない場合は、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記電源制御手段は、自装置の電源状態が節電状態になっているときに、前記通信網に接続されている利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けた場合に、自装置の状態に応じて、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記電源制御手段は、前記自装置の状態が画像形成不可の状態である場合に、自装置の電源状態を節電状態に維持するように、前記電源切り替え手段の動作を制御する
請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
画像形成装置を構成するコンピュータを、
自装置の電源状態を切り替える電源切り替え手段、
自装置と同じ通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、前記電源切り替え手段の動作を制御する電源制御手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
利用者が操作する利用者端末と、
前記利用者端末を操作する利用者から処理要求を受けて処理を行なう画像形成装置と
を通信網で接続し、
前記画像形成装置は、
自装置の電源状態を切り替える電源切り替え手段と、
前記通信網に接続されている利用者端末のうち、稼働中の利用者端末でかつ自装置の利用権を有する利用者が操作している利用者端末の台数に基づいて、前記電源切り替え手段の動作を制御する電源制御手段とを備える
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−201843(P2010−201843A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51637(P2009−51637)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】