説明

画像形成装置、差込口指示方法、およびコンピュータプログラム

【課題】複数の外部記憶装置を一度に装着できる画像処理装置において、ユーザが、目的の外部記憶装置がどれであるかを簡単に識別できるようにする。
【解決手段】外部記憶装置を装着する差込口を複数個有する画像形成装置1に、実行したジョブを示すジョブ一覧をディスプレイDPに表示させる処理を行うジョブ一覧生成部111と、ディスプレイDPに表示されたジョブ一覧の中からユーザが選択したジョブにおいて使用されたUSBメモリが装着されているUSB差込口11を指示するUSB差込口指示部114と、を設けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のUSB差込口を有する画像形成装置およびそのSUB差込口の指示方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリンティング、ドキュメントサーバ、およびファイル転送などの様々な機能を集約した、複合機などと呼ばれる画像処理装置が多く用いられている。このような画像処理装置は、MFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれることもある。
【0003】
近年、複合機として、USBメモリなどの外部記憶装置を装着できる機種が開発されている。このような機種の複合機では、スキャンした画像データをその外部記憶装置に保存することができる。また、外部記憶装置内に保存されている画像データに基づいて印刷を行うことができる。
【0004】
従来、このような外部記憶装置を装着して使用できる複合機に関連する技術として特許文献1に示されるような方法が提案されている。
【0005】
特許文献1には、画像形成装置のメイン電源をOFFすることなくオプションカード(外部記憶装置)の着脱作業を可能にするための方法が示される。また、オプションカード内のデータの読み出し中に誤ってそのオプションカードが引抜かれてしまうことを防止するための方法が示される。
【特許文献1】特開平6−12344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在、上記のような複合機において、外部記憶装置の差込口を複数個有する機種が開発されている。そのような機種を用いると、複数のユーザがそれぞれの外部記憶装置を一度に装着できるので、複数のユーザが複合機を共有する環境において特に便利である。
【0007】
ところが、外部記憶装置が複数個装着されていると、いずれの外部記憶装置が自分のものであるかが分からなくなってしまうことがある。また、自分の外部記憶装置と間違って他人のものを取り外して持ち去ってしまう恐れもある。
【0008】
本発明はそのような問題点に鑑み、複数の外部記憶装置を一度に装着できる画像処理装置において、ユーザが、目的の外部記憶装置がどれであるかを簡単に識別できるようにすることを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、外部記憶装置を装着する差込口を複数個有する画像形成装置であって、実行したジョブを示すジョブ一覧を表示手段に表示させるジョブ一覧表示処理手段と、前記表示手段に表示された前記ジョブ一覧の中からユーザが選択したジョブにおいて使用された前記外部記憶装置が装着されている前記差込口を指示する差込口指示手段と、を有する。
【0010】
好ましくは、前記差込口に装着された前記外部記憶装置に記憶されているデータの特徴を示す記憶装置データを生成する記憶装置データ生成手段と、前記記憶装置データを、当該記憶装置データに係る前記外部記憶装置が装着されている前記差込口と対応付けて保存する記憶装置データ保存手段と、当該画像形成装置において実行されたジョブの属性を示すジョブ属性データを生成するジョブ属性データ生成手段と、を有し、前記ジョブ属性データ生成手段は、ジョブの実行に際して前記外部記憶装置が使用された場合は、当該外部記憶装置の前記記憶装置データを含む当該ジョブの前記ジョブ属性データを生成し、前記差込口指示手段は、前記記憶装置データ保存手段に保存されている前記記憶装置データのうちから、前記ジョブ一覧においてユーザによって選択されたジョブの前記ジョブ属性データに含まれる前記記憶装置データに対応する前記記憶装置データを特定し、当該特定した記憶装置データに対応する前記差込口を指示する。
【0011】
または、前記ジョブ属性データは、当該ジョブ属性データのジョブの実行の際に前記外部記憶装置が使用されたか否かを示すフラグを含み、前記ジョブ一覧表示処理手段は、前記ジョブ属性データに含まれる前記フラグに基づいて、実行の際に前記外部記憶装置が使用されたジョブのみを示す前記ジョブ一覧を前記表示手段に表示させる。
【0012】
または、前記ジョブ一覧表示処理手段は、前記差込口に装着されている前記外部記憶装置の前記記憶装置データを含む前記ジョブ属性データに基づいて、当該装着されている外部記憶装置が実行に際して使用されたジョブのみを示す前記ジョブ一覧を前記表示手段に表示させる。
【0013】
または、前記ジョブ一覧表示処理手段は、ユーザによって指定された期間内に実行されたジョブのみを示す前記ジョブ一覧を前記表示手段に表示させる。
【0014】
または、実行されたジョブに係る画像のサムネイルを示すサムネイル画像データを生成するサムネイル生成手段を有し、前記ジョブ一覧表示処理手段は、前記サムネイル画像データに基づいて、前記サムネイルの一覧を前記ジョブ一覧として前記表示手段に表示させる。
【0015】
または、実行されたジョブに係る画像のサムネイルを示すサムネイル画像データを生成するサムネイル生成手段と、前記ジョブ一覧においてユーザによって選択されたジョブに対応する前記サムネイルを前記表示手段に表示させるサムネイル表示処理手段と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複数の外部記憶装置を一度に装着できる画像処理装置において、目的の外部記憶装置がどれであるかをユーザが簡単に識別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は画像形成装置1の概観の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は画像形成装置1のUSB差込口11付近の概観を示す図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリンティング、ドキュメントサーバ、およびファイル転送などの様々な機能を集約した複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)などと呼ばれる画像処理装置である。
【0019】
図2に示すように、画像形成装置1は、CPU10a、RAM10b、ROM10c、ハードディスク10d、制御用回路10e、操作パネル10f、通信インタフェース10g、印刷装置10h、およびスキャナ10iなどによって構成される。
【0020】
スキャナ10iは、原稿の用紙に描かれている写真、文字、絵、図表などの画像を光学的に読み取って画像データ(濃度データ)を生成する装置であり、画像形成装置1の本体上面に設けられている。取得された画像データは、図示しない画像処理部においてデジタルデータに変換され、周知の画像処理が施された後、印刷装置10hに送られて印刷のジョブに用いられる。または、ユーザが予め指定したディレクトリ(フォルダ)に保存される。保存先として、USBメモリなどの外部記憶装置内のディレクトリまたはハードディスク10dなどの内部の記憶装置のディレクトリを指定することができる。画像データは、ヘッダまたはフッダなどのデータが付加されたファイルとしてそれらのディレクトリに保存される。また、通信インタフェース10gから他の装置に送信して保存することもできる。
【0021】
印刷装置10hは、スキャナ10iでスキャンして得た画像データまたは他の装置から送信されてきた画像データに基づいて、画像を用紙に印刷する装置である。ユーザは、USBメモリなどの外部記憶装置に保存されているファイルを指定してそのファイルの画像データに基づく印刷を画像形成装置1に実行させることもできる。
【0022】
通信インタフェース10gは、他の装置と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)またはモデムなどである。
【0023】
通信インタフェース10gは、公衆電話回線を解してファクシミリデータの送受信を行う他、LAN、インターネットなどのネットワークを介して他の装置との間で電子メールなどを用いてデータの送受信を行うことができる。これによって、画像形成装置1は、通常のファクシミリ通信を行うファクシミリ装置としての機能だけではなく、電子メールの送受信の端末としての機能も有する。従って、電子メールの添付ファイルとして、各種の画像データを送受信することもできる。なお、通信インタフェース10gが行う通信は、有線であってもよいし無線であってもよい。
【0024】
操作パネル10fは、ディスプレイDPおよび複数の操作ボタンによって構成される。ディスプレイDPは、タッチパネル式のディスプレイであって、画像形成装置1を操作するユーザへのメッセージおよびユーザが画像形成装置1を操作するための種々の画面を表示する。操作ボタンは、ユーザが画像形成装置1に対して、ジョブの実行の指令または印刷の部数などの処理の条件を入力するためのボタンである。
【0025】
制御用回路10eは、ハードディスク10d、スキャナ10i、印刷装置10h、通信インタフェース10g、および操作パネル10fなどの装置を制御するための回路である。制御用回路10eは、例えば、種々の電子部品を用いたハードウェア回路によって構成される。
【0026】
ROM10cおよびハードディスク10dには、後で説明する図4に示すような各部の機能を実現するためのプログラム(コンピュータプログラム)およびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAM10bに読み出され、CPU10aによってプログラムが実行される。つまり、CPU10aは、コンピュータとして動作することが可能である。なお、そのようなプログラムは、半導体メモリ、CD−ROM、およびDVDなどの記録媒体に記録され、適宜インストールされる。また、ネートワークを介してサーバからダウンロードするようにしてもよい。
【0027】
また、図1に示すように、画像形成装置1には、複数のUSB差込口(挿入口)11a、11b、11c、発光ダイオード12a、12b、12c、給紙部13a、13b、13c、およびトレイ14が設けられている。以下、USB差込口11a、11b、および11cを「USB差込口11」と総称して記載することがある。他の部材またはデータなどについても同様に、符号の末尾に付した連番またはアルファベットを省略することによって総称して記載することがある。
【0028】
USB差込口11は、USBインタフェースを有する外部機器を画像形成装置1に装着(挿入)するための差込口である。画像形成装置1は、USB差込口11に装着された外部機器とデータの送受信を行うことができる。各USB差込口11には、それぞれを識別するための情報である差込口番号が予め付与されている。
【0029】
また、図2に示すように、各USB差込口11a、11b、および11cの付近には、それぞれに対応する発光ダイオード(LED)12a、12b、および12cが設けられている。
【0030】
給紙部13は、印刷装置10hに用紙を供給する。画像形成装置1の中央付近に設けられているトレイ14には、印刷装置10hによって画像が印刷された用紙が排出される。
【0031】
図4は画像形成装置1の機能的構成の例を示す図、図5はディレクトリ構成テーブルTLDの例を示す図、図6はファイル属性テーブルTLZの例を示す図、図7はジョブ属性テーブルTLJの例を示す図、図8はジョブ一覧LSJが表示されたディスプレイDPの例を示す図である。
【0032】
図4に示すように、画像形成装置1は、記憶装置データ保存部101、ジョブデータ保存部102、コマンド受付部103、記憶装置装着検知部104、記憶装置データ生成更新部105、記憶装置抜取り検知部106、記憶装置データ削除部107、ジョブ属性データ生成更新部108、ジョブ実行制御部109、サムネイル生成部110、ジョブ一覧生成部111、表示制御部112、選択ジョブ検知部113、およびUSB差込口指示部114などによって構成されている。
【0033】
記憶装置データ保存部101は、記憶装置データDKを保存する。ジョブデータ保存部102は、図7に示すようなジョブ属性テーブルTLJを保存する。これら記憶装置データDKおよびジョブ属性テーブルTLJについては、後で詳しく説明する。
【0034】
コマンド受付部103は、ユーザが操作パネル10fを用いて入力した指令を受け付ける。ユーザは、操作パネル10fを用いて印刷およびスキャンなどのジョブの実行の指令を入力することができる。例えば、印刷対象としてUSB差込口に装着されているUSBメモリ内のファイルを指定して印刷を指示することができる。また、スキャンによって得られた画像データのファイルの保存先としてそのUSBメモリ内のディレクトリを指定することができる。
【0035】
記憶装置装着検知部104は、USB差込口11にUSBメモリが装着された際にそのことを検知する。
【0036】
記憶装置データ生成更新部105は、記憶装置装着検知部104がUSBメモリの装着を検知したときにその装着されたUSBメモリの記憶装置データDKを生成する。生成した記憶装置データDKは、そのUSBメモリが装着されているUSB差込口11の差込口番号と対応付けて記憶装置データ保存部101に保存する。
【0037】
記憶装置データDKには、その装着されたUSBメモリ内のディレクトリ構成を示すディレクトリ構成データ、そのUSBメモリに保存されているファイルの属性を示すファイル属性データが含まれる。
【0038】
ディレクトリ構成データは、具体的には、図5のようなディレクトリ構成テーブルTLDを示す。ディレクトリ構成テーブルTLDには、SUBメモリ内のディレクトリごとに、そのディレクトリの名前(フォルダ名)およびそのディレクトリの親ディレクトリの名前(親フォルダ名)を示すレコードが格納されている。なお、親ディレクトリとは、あるディレクトリに着目した場合におけるそのディレクトリを含む1つ上の階層のディレクトリのことである。
【0039】
ファイル属性データは、具体的には、図6に示すようなファイル属性テーブルTLZを示す。ファイル属性テーブルTLZには、USBメモリに保存されているファイルごとに、そのファイルの名前(ファイル名)、サイズ、フォーマット、作成日時、更新日時、およびそのファイルが格納されているディレクトリのパスなどのファイルの属性を示すレコードが格納される。
【0040】
なお、ファイル属性データは、USBメモリのルートディレクトリに保存されているファイルのみの属性を示すデータであってもよいし、所定階層内のディレクトリに格納されているファイルの属性を示すデータであってもよいし、全てのディレクトリに保存されている全てのファイルの属性を示すデータであってもよい。
【0041】
記憶装置データDKには、ディレクトリ構成データまたはファイル属性データのいずれかのみが含まれるようにしてもよい。
【0042】
また、記憶装置データ生成更新部105は、スキャンによって得られた画像データのファイルがUSBメモリに保存されるなどしてそのUSBメモリにファイルが追加されたときに、そのUSBメモリの記憶装置データDKのファイル属性テーブルTLZにそのファイルの属性を示すレコードを追加して、その記憶装置データDKを更新する処理も行う。その他、ユーザがそのUSBメモリ内のファイルを削除したりそのUSBメモリのディレクトリ構成を変更したりしたときに、変更された後のUSBメモリの状態が反映されるように、適宜、記憶装置データ保存部101に保存したそのUSBメモリの記憶装置データDKの内容を更新する。
【0043】
記憶装置抜取り検知部106は、USBメモリがUSB差込口11から抜き取られた際にそのことを検知する。
【0044】
記憶装置データ削除部107は、記憶装置抜取り検知部106が抜き取りを検知すると、そのUSB差込口11の差込口番号と対応付けて保存されている記憶装置データDKを記憶装置データ保存部101から削除する。
【0045】
ところで、ユーザが画像形成装置1に印刷またはスキャンなどのジョブの実行を指示すると、ジョブ属性データ生成更新部108は、そのジョブに関するジョブ属性データDJを生成し、ジョブ属性テーブルTLJのレコードとして保存(登録)する。
【0046】
図7に示すように、ジョブ属性データDJには、そのジョブのジョブ番号、ジョブの種別(ジョブ種別)、ファイル名、ページ数、部数、登録時刻、実行時刻、実行結果、メモリ有無、記憶装置データDK、およびサムネイルデータが示される。
【0047】
ジョブ番号は、ジョブを識別するための識別情報である。ユーザがジョブの実行の指令を入力した際にそのジョブに対して付与される。
【0048】
ジョブ種別は、プリントまたはスキャンなどの、そのジョブの種別である。ファイル名は、印刷の対象となったファイルの名前またはスキャンして得た画像データのファイルの名前である。そのファイルの絶対パスとしてもよい。
【0049】
ページ数は、印刷の対象となったファイルのページ数、またはスキャンした原稿の枚数である。部数は、印刷の部数である。なお、部数には、そのジョブ属性データDJのジョブ種別がスキャンである場合は「−」が示される。
【0050】
登録時刻は、そのジョブ属性データDJが登録された時刻である。実行時刻は、そのジョブが実行された時刻である。実行結果は、そのジョブの実行の結果である。実行結果として、「正常終了」または「エラー発生」が示される。
【0051】
メモリ有無は、そのジョブにUSBメモリが使用された場合において、その使用されたUSBメモリがUSB差込口11に装着されているか否かを示すフラグである。「有」は、装着されていることを示し、「無」は装着されていないことを示す。
【0052】
「ジョブにUSBメモリが使用された場合」とは、USBメモリ内に保存されているファイルに基づいて印刷のジョブが実行された場合、またはスキャンによって得られた画像データのファイルの保存先としてUSBメモリ内のディレクトリが指定されそのディレクトリにそのファイルが保存された場合を意味する。なお、そのジョブの実行にUSBメモリが使用されていない場合は、メモリ有無には、「−」が示される。
【0053】
さらに、ジョブ属性データDJには、印刷対象の画像またはスキャンされた画像のサムネイルを示すサムネイルデータが付加される。また、そのジョブ属性データDJのジョブにおいてUSBメモリが使用された場合は、そのUSBメモリの記憶装置データDKが付加される。
【0054】
また、ジョブ属性データ生成更新部108は、USBメモリが抜き取られまたは装着されたときに、そのUSBメモリが使用されたジョブのジョブ属性データDJのUSBメモリ有無の値を更新する。この処理は次のようにして行う。
【0055】
記憶装置抜取り検知部106がUSBメモリの抜取りを検知したときに、そのUSBメモリが抜き取られたUSB差込口11の差込口番号と対応付けられて記憶装置データ保存部101に保存されている記憶装置データDKを抽出する。その記憶装置データDKと同じ内容の記憶装置データDKを含むジョブ属性データDJがその抜き取られたUSBメモリを使用したジョブのジョブ属性データDJと判断できる。よって、各ジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKとその抽出した記憶装置データDKとを照合し、一致するものを特定する。一致する記憶装置データDKを含むジョブ属性データDJのメモリ有無を「無」に更新する。
【0056】
また、記憶装置装着検知部104がUSBメモリの装着を検知したときにもジョブ属性データDJの更新を行う。この処理は次のようにして行う。
【0057】
記憶装置装着検知部104がUSBメモリの装着を検知すると、記憶装置データ生成更新部105は、そのUSBメモリの記憶装置データDKを生成する。ジョブ属性データ生成更新部108は、その生成された記憶装置データDKと各ジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKとを照合し、一致する記憶装置データDKを含むジョブ属性データDJを特定する。そして、そのジョブ属性データDJのメモリ有無を「有」に更新する。
【0058】
さらに、ジョブ属性データ生成更新部108は、既に説明したように記憶装置データ生成更新部105が記憶装置データDKを更新したときにも、ジョブ属性データDJを更新する。この処理は次のようにして行う。
【0059】
更新前の記憶装置データDKとジョブデータ保存部102に保存されている各ジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKとを照合し、それらが一致するジョブ属性データDJを抽出する。そして、抽出したジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKを、記憶装置データ生成更新部105によって更新された後の記憶装置データDKに置き換える。
【0060】
ジョブ実行制御部109は、ジョブ属性テーブルTLJに登録されたジョブを、スキャナ10iおよび印刷装置10hを制御して順次実行させる。
【0061】
ジョブが正常に完了すると、ジョブ属性データ生成更新部108は、そのジョブのジョブ属性データDJの実行結果の値を「正常終了」に変更する。エラーが発生した場合は、「エラー発生」に変更する。
【0062】
サムネイル生成部110は、実行されたジョブに係る画像、すなわち印刷のジョブの場合は印刷の対象となったファイルの画像データに示される画像、スキャンのジョブの場合はスキャンによって得られた画像データに示される画像のサムネイルを示すサムネイルデータを生成する。生成したサムネイルデータは、そのジョブのジョブ属性データDJに付加して保存する。なお、ファイルの先頭ページに示される画像のサムネイルのみを生成するようにしてもよいし、全てのページのサムネイルを生成するようにしてもよい。
【0063】
ユーザが所定の操作を行うと、ジョブ一覧生成部111は、実行されたジョブの属性を示す一覧であるジョブ一覧のジョブ一覧データを、ジョブ属性テーブルTLJ(図7参照)に基づいて生成する。
【0064】
表示制御部112は、ユーザへのメッセージおよびジョブの条件の設定のための画面などをディスプレイDPに表示させる。また、ジョブ一覧データに基づいて、図8に示すようなジョブ一覧LSJをディスプレイDPに表示させる。
【0065】
ユーザは、ジョブ一覧LSJに表示させるジョブを絞り込むための条件を予め指定しておくことができる。条件が指定されている場合は、ジョブ一覧生成部111は、その条件に基づいてジョブ属性テーブルTLJからジョブ属性データDJを検索し、そのジョブ属性データDJのジョブの属性を示すジョブ一覧データを生成する。ジョブの絞込みの条件として、例えば、USBメモリが使用されたジョブ、現在画像形成装置1に装着されているUSBメモリが使用されたジョブ、または所定期間内に実行されたジョブなどを指定する。これらの条件の論理和または論理績による組合せの条件を指定できるようにしてもよい。すなわち、例えば、USBメモリが使用されたジョブでありかつ所定期間内に実行されたジョブのような条件を指定できるようにしてもよい。
【0066】
なお、ジョブ属性テーブルTLJにおいて、メモリ有無が「有」であるジョブ属性データDJのジョブが、現在画像形成装置1に装着されているUSBメモリが使用されたジョブである。また、記憶装置データDKを含むジョブ属性データDJのジョブが、USBメモリが使用されたジョブである。
【0067】
図8において、ジョブ一覧LSJには、ジョブ番号、ジョブ種別、ファイル名、登録時刻、実行時刻、ページ数、部数、実行結果、およびメモリ有無が示される。
【0068】
ユーザがこのジョブ一覧LSJにおいていずれかの行を選択すると、図8のジョブ一覧LSJの4行目のように、その行の背景の色が反転し、その行が選択された状態となる。行が選択されると、選択ジョブ検知部113は、その行に該当するジョブのジョブ属性データDJを特定する。表示制御部112は、特定されたジョブ属性データDJに含まれるサムネイルデータに示されるサムネイルを画像表示エリアARSに表示させる。
【0069】
USB差込口指示部114は、ジョブ一覧LSJにおいてユーザが選択したジョブに使用されたUSBメモリが装着されているUSB差込口11を指示する。この処理は次のようにして行う。
【0070】
選択ジョブ検知部113がジョブ属性データDJを特定すると、そのジョブ属性データDJに記憶装置データDKが含まれているか否かをチェックする。含まれている場合は、そのジョブ属性データDJのジョブは、実行の際にUSBメモリが使用されたジョブ、すなわちUSBメモリに保存されているファイルに基づいて実行された印刷のジョブまたは画像データのファイルの保存先としてUSBメモリ内のディレクトリが指定されたスキャンのジョブであると判断できる。そのようなジョブである場合は、そのジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKを抽出する。
【0071】
USB差込口11にUSBメモリが装着されている場合は、記憶装置データ保存部101には、それら装着されている各USBメモリの記憶装置データDKが保存されている。それらの各記憶装置データDKとジョブ属性データDJから抽出した記憶装置データDKとを照合し一致するものを特定する。一致するものがある場合は、その一致した記憶装置データDKに対応付けられている差込口番号のUSB差込口11の箇所の発光ダイオード12を点灯させることによって、そのUSB差込口11を指示する。
【0072】
図9はジョブの実行の際の画像形成装置1における処理の流れを説明するためのフローチャート、図10はジョブ一覧LSJにおいてジョブが選択された際の画像形成装置1における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0073】
次に、ジョブの実行の際の画像形成装置1における処理の流れについて図9のフローチャートを参照しながら説明する。
【0074】
図9において、ユーザがUSBメモリをUSB差込口11に装着すると(#101でYes)、画像形成装置1はそれを検知する。画像形成装置1は、そのUSBメモリの記憶装置データDKを生成し(#102)、それをそのUSBメモリが装着されたUSB差込口11の差込口番号と対応付けて保存する。
【0075】
次に、ジョブ属性テーブルTLJに格納されている各ジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKとステップ#102で生成した記憶装置データDKとを照合し、一致する記憶装置データDKを含むジョブ属性データDJを探索する。そのようなジョブ属性データDJがあった場合は(#103でYes)、そのジョブ属性データDJのメモリ有無を「有」に変更する(#104)。
【0076】
ユーザが印刷またはスキャンのジョブの条件を設定しジョブの実行の指令を入力すると(#105でYes)、画像形成装置1は、そのジョブのジョブ属性データDJを生成し(#106)、それをジョブ属性テーブルTLJに登録する。入力された条件に基づいてそのジョブを実行する(#107)。そのジョブに係る画像のサムネイルを生成し保存する(#108)。
【0077】
実行したジョブがスキャンである場合においてステップ#105でユーザがスキャンした画像データのファイルの保存先としてUSBメモリ内のディレクトリを指定した場合は、画像形成装置1は、そのスキャンのジョブの実行の後(#109でYes)、スキャンによって得られた画像データのファイルをその指定されたUSBメモリ内のディレクトリに保存する。そのUSBメモリの記憶装置データDKを生成し直し、ステップ#102において保存したそのUSBメモリの記憶装置データDKと置き換える(#110)。
【0078】
さらに、その更新前の記憶装置データDKと同じ内容の記憶装置データDKを含むジョブ属性データDJを抽出し、そのジョブ属性データDJの記憶装置データDKをその更新後の記憶装置データDKに置き換える。
【0079】
これによって、記憶装置データ保存部101の記憶装置データDKおよび各ジョブ属性データDJに含まれるそのUSBメモリの記憶装置データDKが、保存されたファイルの属性が反映された記憶装置データDKに置き換えられる。
【0080】
ユーザがそのUSBメモリを抜き取ると(#111でYes)、そのUSBメモリを使用した各ジョブのジョブ属性データDJのメモリ有無を「無」に変更する(#112)。
【0081】
次に、ジョブ一覧LSJにおいて行が選択される際の画像形成装置1における処理の流れを図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0082】
図10において、ユーザは、予め、ジョブ一覧LSJに表示させるジョブの条件を設定しておく。ユーザがジョブ一覧LSJの表示のための操作を行うと、画像形成装置1は、ユーザによって設定された条件に該当するジョブ属性データDJをジョブ属性テーブルTLJから検索し(#201)、検索したジョブ属性データDJに基づいて、ジョブ一覧LSJをディスプレイDPに表示させる(#202)。
【0083】
表示したジョブ一覧LSJにおいてユーザが行を選択すると(#203でYes)、画像形成装置1は、その選択された行のジョブのジョブ属性データDJに含まれる記憶装置データDKを抽出する。
【0084】
このときいずれかのUSB差込口11にUSBメモリが装着されていれば(#204でYes)、保存しているそれら装着されている各USBメモリの記憶装置データDKのうちで、ジョブ属性データDJから抽出した記憶装置データDKと一致するものを特定する(#205)。そして、その特定した記憶装置データDKに対応付けられている差込口番号のUSB差込口11の発光ダイオード12を点灯させる(#206)。
【0085】
ただし、ユーザがジョブ一覧LSJから行を選択しても、その際にUSBメモリがUSB差込口に1つも装着されていなければ(#204でNo)、そのまま処理を終了する。
【0086】
本実施形態によると、ジョブ一覧LSJにおいてUSBメモリが使用されたジョブが選択されると、そのUSBメモリが装着されているUSB差込口11の発光ダイオードが点灯する。よって、複数のUSBメモリが画像形成装置1に装着されていても、いずれのUSBメモリがそのジョブに関するものであるかを簡単に知ることができる。従って、ユーザが目的のものとは別のUSBメモリを誤って抜き取ってしまうという弊害を低減できる。
【0087】
また、ユーザは、ジョブ一覧LSJに表示された文字の情報だけでなく、画像表示エリアARSに表示されたサムネイルも確認できるので、自分のジョブと他人のジョブとを見誤りにくくすることができ、上記のような弊害をさらに低減できる。
【0088】
本実施形態では、外部記憶装置としてUSBメモリを用いる場合の例を示したが、外付けのハードディスクなどの他の記憶装置を用いてもよい。また、CF(Compact Flash)カードまたはPCカードなどのUSBインタフェース以外の外部記憶装置を用いてもよい。
【0089】
本実施形態では、記憶装置データDK同士を照合する際に両者の内容が一致するもの同士を同じUSBメモリの記憶装置データDKと判定するようにしたが、記憶装置データDK同士の一致の割合を求めそれが所定の割合以上であった場合に、両者を同じUSBメモリの記憶装置データDKと判定するようにしてもよい。また、記憶装置データDK同士を照合する際に、記憶装置データDKに含まれるディレクトリ構成データのみを照合するようにしてよいし、ファイル属性データのみを照合するようにしてもよい。また、ファイル属性データに含まれる所定の属性だけまたは所定の属性の組合せだけを照合するようにしてもよい。
【0090】
本実施形態では、発光ダイオード12によってUSB差込口11を指示するようにしたが、画像表示エリアARSにUSB差込口11付近のイラストを表示することによって指示するようにしてもよい。
【0091】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、機能、各画面の構成および内容、処理の内容または順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】画像形成装置の概観の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像形成装置のUSB挿入口付近の概観を示す図である。
【図4】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図5】ディレクトリ構成テーブルの例を示す図である。
【図6】ファイル属性テーブルの例を示す図である。
【図7】ジョブ属性テーブルの例を示す図である。
【図8】ジョブ一覧が表示されたディスプレイDPの例を示す図である。
【図9】ジョブの実行の際の画像形成装置における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図10】ジョブ一覧においてジョブが選択された際の画像形成装置における処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
10a CPU(コンピュータ)
11 USB差込口(差込口)
101 記憶装置データ保存部(記憶装置データ保存手段)
105 記憶装置データ生成更新部(記憶装置データ生成手段)
108 ジョブ属性データ生成更新部(ジョブ属性データ生成手段)
110 サムネイル生成部(サムネイル生成手段)
111 ジョブ一覧生成部(ジョブ一覧表示処理手段)
112 表示制御部(ジョブ一覧表示処理手段、サムネイル表示処理手段)
114 USB差込口指示部(差込口指示手段)
DK 記憶装置データ
DP ディスプレイ(表示手段)
DJ ジョブ属性データ(ジョブ属性データ)
LSJ ジョブ一覧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶装置を装着する差込口を複数個有する画像形成装置であって、
実行したジョブを示すジョブ一覧を表示手段に表示させるジョブ一覧表示処理手段と、
前記表示手段に表示された前記ジョブ一覧の中からユーザが選択したジョブにおいて使用された前記外部記憶装置が装着されている前記差込口を指示する差込口指示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記差込口に装着された前記外部記憶装置に記憶されているデータの特徴を示す記憶装置データを生成する記憶装置データ生成手段と、
前記記憶装置データを、当該記憶装置データに係る前記外部記憶装置が装着されている前記差込口と対応付けて保存する記憶装置データ保存手段と、
当該画像形成装置において実行されたジョブの属性を示すジョブ属性データを生成するジョブ属性データ生成手段と、を有し、
前記ジョブ属性データ生成手段は、ジョブの実行に際して前記外部記憶装置が使用された場合は、当該外部記憶装置の前記記憶装置データを含む当該ジョブの前記ジョブ属性データを生成し、
前記差込口指示手段は、前記記憶装置データ保存手段に保存されている前記記憶装置データのうちから、前記ジョブ一覧においてユーザによって選択されたジョブの前記ジョブ属性データに含まれる前記記憶装置データに対応する前記記憶装置データを特定し、当該特定した記憶装置データに対応する前記差込口を指示する、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ属性データは、当該ジョブ属性データのジョブの実行の際に前記外部記憶装置が使用されたか否かを示すフラグを含み、
前記ジョブ一覧表示処理手段は、前記ジョブ属性データに含まれる前記フラグに基づいて、実行の際に前記外部記憶装置が使用されたジョブのみを示す前記ジョブ一覧を前記表示手段に表示させる、
請求項請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ一覧表示処理手段は、前記差込口に装着されている前記外部記憶装置の前記記憶装置データを含む前記ジョブ属性データに基づいて、当該装着されている外部記憶装置が実行に際して使用されたジョブのみを示す前記ジョブ一覧を前記表示手段に表示させる、
請求項請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ジョブ一覧表示処理手段は、ユーザによって指定された期間内に実行されたジョブのみを示す前記ジョブ一覧を前記表示手段に表示させる、
請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項6】
実行されたジョブに係る画像のサムネイルを示すサムネイル画像データを生成するサムネイル生成手段を有し、
前記ジョブ一覧表示処理手段は、前記サムネイル画像データに基づいて、前記サムネイルの一覧を前記ジョブ一覧として前記表示手段に表示させる、
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
実行されたジョブに係る画像のサムネイルを示すサムネイル画像データを生成するサムネイル生成手段と、
前記ジョブ一覧においてユーザによって選択されたジョブに対応する前記サムネイルを前記表示手段に表示させるサムネイル表示処理手段と、を有する、
請求項1ないし5のいずれに記載の画像形成装置。
【請求項8】
外部記憶装置を装着する差込口を複数個有する画像形成装置における差込口指示方法であって、
当該画像形成装置が実行したジョブを示すジョブ一覧を表示手段に表示させ、
前記表示手段に表示された前記ジョブ一覧の中からユーザがいずれかのジョブを選択した際に、当該選択されたジョブにおいて使用された前記外部記憶装置が装着されている前記差込口を指示する、
ことを特徴とする差込口指示方法。
【請求項9】
外部記憶装置を装着する差込口を複数個有する画像形成装置に備えられたコンピュータにおいて実行されるコンピュータプログラムであって、
当該画像形成装置が実行したジョブを示すジョブ一覧を表示手段に表示させる処理と、
前記表示手段に表示された前記ジョブ一覧の中からユーザがいずれかのジョブを選択した際に、当該選択されたジョブにおいて使用された前記外部記憶装置が装着されている前記差込口を指示する処理と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−303070(P2009−303070A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157106(P2008−157106)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】