説明

画像形成装置および方法

【課題】像担持体1周に亘ってトナーパターンが形成された場合であっても、高精度に画像を補正できるようにする。
【解決手段】クリープ変形した位置にトナーパターンが形成されているか否かを判定する位置判定部601と、クリープ変形した位置にトナーパターンが形成されている場合には、センサ24がトナーパターンを検知しないように制御する検知制御部602と、検知したトナーパターンの電圧値を平均化して画像を補正するための補正量を求める補正部603と、トナーパターンを形成する感光体ドラム10と、トナーパターンを検知する反射型センサ24と、各種処理に必要なパラメータ等を記憶するRAM28と、クリープ変形した位置が進んだ時間を計時するカウンタ31と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体にトナーパターンを形成し、形成したトナーパターンを検知して色ずれ(位置ずれ)補正を行う画像形成装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、像担持体上に形成される複数色の画像を重ねてカラー画像を形成する画像形成装置において、カラー画像の濃度を制御するため、あるいは色ずれを制御するための基準となるトナーパターンを像担持体上に形成し、これらのトナーパターンを反射型センサで読み取って濃度調整や色ずれ調整する技術が知られている。
【0003】
このような画像形成装置では、通常複数のローラを用いて像担持体を支持しており、像担持体とローラが接触する部分にもトナーパターンを形成する場合がある。しかし、ローラが長時間停止していた場合には、像担持体とローラの接触部分がローラ状にクリープして変形してしまう。その結果、変形によって反射型センサが発した反射光の向きが変わり、その部分に形成されたトナーパターンを反射型センサで正しく読み取れず、誤ったトナーパターンの濃度や位置を検出し、その誤った濃度や位置に基づいて画像を補正するため、その補正の精度が低下してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題に対して、例えば特許文献1では、像担持体のある部分に位置検出用のマーカや突起等の目印を設けて、ローラと像担持体の接触部分の位置にその目印を合わせ、その目印より後ろの部分にトナーパターンを形成することによって、ローラが長時間停止して像担持体がクリープして変形した場合には、その変形した部分にトナーパターンを形成しないように制御している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、像担持体を1周以上させてトナーパターンを形成する場合、像担持体がクリープ変形した目印部分にもトナーパターンを形成してしまう。その結果、その部分に形成されたトナーパターンは、反射型センサで誤って検知され、画像を補正する精度が低下するという問題は解決されていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、像担持体1周に亘ってトナーパターンが形成された場合であっても、高精度に画像が補正できる画像形成装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、複数色の画像を像担持体に重ね合わせて形成するとともに、前記像担持体上にパターン画像を形成する画像形成手段と、前記像担持体上に形成された前記パターン画像を検知して検知信号を出力する検知手段と、前記像担持体上で前記パターン画像を検知すべきでない非形成位置に前記パターン画像があるか否かを判定する位置判定手段と、前記非形成位置に前記パターン画像があると判定された場合に、前記検知手段によるパターン検知を無効とする検知制御手段と、検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて前記画像形成手段による画像形成のタイミングの補正を行う補正手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる画像形成装置は、複数色の画像を像担持体に重ね合わせて形成するとともに、前記像担持体上にパターン画像を形成する画像形成手段と、前記像担持体上で前記パターン画像を形成すべきでない位置である非形成位置が前記パターン画像を検知する検知位置付近にあるか否かを判定する位置判定手段と、前記非形成位置が前記検知位置付近にあると判定された場合に、前記像担持体上に前記パターン画像を形成しないように前記画像形成手段を制御する形成制御手段と、検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて色ずれ補正または濃度補正を行う補正手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、像担持体上の所定の位置がパターン画像を検知する位置付近にあるか否かを判定し、その所定の位置がパターン画像を検知する位置付近にあると判定された場合には、その位置付近に形成されたパターン画像を検知しないので、像担持体1周に亘ってトナーパターンが形成された場合であっても、正確なトナーパターンの補正量を算出できるという効果を奏する。
【0010】
また、本発明によれば、像担持体上の所定の位置がパターン画像を形成する位置付近にあるか否かを判定し、その所定の位置がパターン画像を形成する位置付近にあると判定された場合にはパターン画像を形成しないので、正確なトナーパターンの補正量を算出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1−1】第1の実施の形態にかかる画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【図1−2】第1の実施の形態にかかる他の画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる反射型センサの構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態にかかる画像形成装置の内部構成と全体の構成との関係を示すブロック図である。
【図4−1】駆動ローラに沿ってクリープ変形した位置が形成される例を示す図である。
【図4−2】駆動ローラと二次転写ローラの間に生じるニップ幅に沿ってクリープ変形した位置が形成される例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態にかかる色ずれ制御用トナーパターン、濃度制御用トナーパターンが中間転写ベルトに形成された場合の例を示す図である。
【図6】第一の実施の形態にかかる画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図7−1】中間転写ベルトに形成された濃度制御用トナーパターンを検知した場合の各パターンの電圧値の関係を示す図である。
【図7−2】中間転写ベルトに形成された色ずれ制御用トナーパターンを検知した場合の各パターンの電圧値の関係を示す図である。
【図8−1】中間転写ベルトのクリープ変形位置に形成された濃度制御用トナーパターンを検知した場合の各パターンの電圧値の関係を示す図である。
【図8−2】中間転写ベルトのクリープ位置に形成された色ずれ制御用トナーパターンを検知した場合の各パターンの電圧値の関係を示す図である。
【図9】中間転写ベルトに形成されたトナーパターンとカウント値と反射型センサとの関係を示す図である。
【図10−1】第一の実施の形態にかかるRAMが記憶するカウンタ値の例を示す図である。
【図10−2】第一の実施の形態にかかる中間転写ベルトが動作する例を示す図である。
【図11】第一の実施の形態にかかる画像形成装置における全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第一の実施の形態にかかる画像形成装置が行うパターン検知処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】第一の実施の形態にかかる画像形成装置が行う補正量算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】第一の実施の形態にかかる画像形成装置が行うパターン検知処理の他の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第二の実施の形態にかかる画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図16】検査した中間転写ベルト上に形成されたトナーパターンとカウント値と反射型センサとの関係を示す図である。
【図17】第二の実施の形態にかかるRAMが記憶するカウンタ値の例を示す図である。
【図18】第二の実施の形態にかかる画像形成装置における全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】第二の実施の形態にかかる画像形成装置が行う検査処理の手順を示すフローチャートである。
【図20】第三の実施の形態にかかる画像形成装置の内部構成を示すブロック図である。
【図21】中間転写ベルト上に形成されたトナーパターンとカウント値と感光体ドラムとの関係を示す図である。
【図22−1】第三の実施の形態にかかるRAMが記憶するカウンタ値の例を示す図である。
【図22−2】第三の実施の形態にかかる中間転写ベルトが動作する例を示す図である。
【図23】第三の実施の形態にかかる画像形成装置における全体の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】第三の実施の形態にかかる画像形成装置が行うパターン形成制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図25】第三の実施の形態にかかる画像形成装置が形成したトナーパターンが中間転写ベルト上に形成された例と示す図である。
【図26】第三の実施の形態にかかる画像形成装置が行う他のパターン形成制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および画像形成方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本実施の形態では、本発明にかかる画像形成装置を、シアン(Cyan)、マゼンダ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(Black)の各色のドラムを一列に並べて各ドラムに静電潜像を生成し、像担持体上に各色のトナーパターンを形成するタンデム方式の複合機100に適した例を示す。ここで、複合機とは、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、コピー機能を一つの筐体に収納した装置である。なお、以下に示す実施の形態では、本発明にかかる画像形成装置をカラー複合機に適用した例をあげて説明しているが、これに限定されるものではなく、カラープリンタ機能を有する装置であれば、いずれの装置も本発明を適用することができる。また、像担持体には、搬送ベルトや中間転写ベルト等が広く含まれるが、本実施の形態では、像担持体として中間転写ベルトを例にとって説明する。また、各色のトナーパターンを形成する装置については、同じ方法によりトナーパターンを形成するため、図示する各色を表す英字符号Y、M、C、Kを省略し、数字符号のみを記載して説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1−1に、第一の実施の形態にかかる複合機100のハードウェア構成を示す。
【0015】
感光体ドラム10は回転方向Bに回転駆動し、帯電装置12によってその表面が所定の極性に帯電される。そして、その帯電面に露光装置15から出射されたレーザ光が照射されることにより、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成され、形成された静電潜像が現像装置11によってイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色の画像として可視像化される。また、感光体ドラム10は、後述する制御部からの指示によって、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色についての濃度制御用トナーパターン、色ずれ制御用トナーパターンを中間転写ベルト16上に形成する。
【0016】
また、感光体ドラム10の周回には、現像装置11、帯電装置12、クリーニング装置13、一次転写ローラ14がそれぞれ配設され、一次転写ローラ14と感光体ドラム10との間には無端状の中間転写ベルト16が挟まれた状態で回動する仕組みとなっている。そして、現像装置11は、帯電装置12によって帯電された感光体ドラム10上に形成された静電潜像をトナーパターン像に現像し、一次転写ローラ14によって、各感光体ドラム10に可視像化されたトナー像が中間転写ベルト16の表面に転写される。
【0017】
無端状の中間転写ベルト16は、駆動ローラ17とテンションローラ19の2軸によって支持されている。その理由は、出来る限り複合機全体を小型化するためである。したがって、本実施の形態では、複数のローラによって中間転写ベルト16を張架せず、2軸によって張架して無端状の中間転写ベルト16内部に生じる空間の大きさを抑制している。
【0018】
反射型センサ24は、像担持体16に向けて、中間転写ベルト16に対して主走査方向に反射型センサ24a〜24cの3つが配置されており、各反射型センサは感光体ドラム10が像担持体上に形成した濃度や色ずれの基準となるトナーパターンの濃度や各色の位置を検知する。具体的には、反射型センサ24は、感光体ドラム10が中間転写ベルト16上に形成した濃度制御用トナーパターン、色ずれ制御用トナーパターンを、後述する検知制御部602の指示によって検知する。そして、このセンサ24が検知した各トナーパターンに基づいて、制御部301は帯電電位、露光強度、現像バイアス電圧、転写電圧、およびトナー補給量等形成される画像の濃度の調整を行うための種々のパラメータを生成する。
【0019】
図2に、反射型センサ24の構成の一例を示す。反射型センサ24は、赤外発光ダイオード等から構成される発光素子241と、フォトトランジスタ/フォトダイオードから構成される受光素子242、受光素子243と、これらの受光素子を収容するホルダ244と、を備える。発光素子241は、中間転写ベルト16に形成されたトナーパターンに対して各色のトナー濃度および位置を測る。一方、受光素子242は、形成されたトナーパターンからの正反射光を検知し、受光素子243は、そのトナーパターンからの拡散反射光を検知する。そして、反射型センサ24は、反射光を検知した場合、検知した光強度を電気信号(電圧値)に変換して、かかる電圧値を検知信号として出力する。
【0020】
より具体的には、中間転写ベルト16上に形成されたトナーパターンの濃度は、そのトナーパターンからの正反射光と拡散反射光の両方を受光素子242、及び受光素子243で検知する。この正反射光と拡散反射光の両方を検知することにより、ブラックとカラーの両方の色について低濃度から高濃度まで検知することができる。一方、中間転写ベルト16上に形成されたトナーパターンの各色の位置は、正反射光を受光素子242が検知する。その理由は、正反射光は中間転写ベルト16がクリープして変形するとその向きが変わるので、各色の位置のずれを検知するのに適しているためである。
【0021】
図1−1に戻って、感光体ドラム10、中間転写ベルト16、反射型センサ24以外の複合機100の構成について説明する。
【0022】
二次転写ローラ18は、給紙ユニット21から記録媒体である転写紙Pが給紙され、レジストローラ対22の回転によって所定のタイミングで転写紙Pが駆動ローラ17と二次転写ローラ18の間に送り込まれると、中間転写ベルト16に担持されている合成カラー画像を転写紙Pに転写する。
【0023】
クリーニング装置20は、トナーパターンを二次転写ローラ18によって転写した後に中間転写ベルト16の表面に付着する転写残トナーを除去する。
【0024】
このように、図1−1に示す複合機が、上述した各構成を備えて上述した動作をすることにより、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各トナーパターンが、中間転写ベルト16に正確に順次重ね合わせた状態で形成され、転写紙P上に転写される。その後、定着装置23により熱と圧力によってそのパターン像が転写紙Pに定着され、図示しない排紙トレイ上に排出されてフルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0025】
図1−2に、他のタンデム方式のカラー複合機の一例を示す。この複合機は、図1−1に示す二次転写ローラ18を介さずに、直接転写紙にパターン像を転写する方式の複合機である。この図1−2に示す複合機を構成する各部の装置は、図1−1に示す複合機と同様であるので、図1−1に示す複合機100のかわりに図1−2に示す複合機を用いることもできる。
【0026】
続いて、第1の実施の形態にかかる複合機100の内部のハードウェア構成を図3に示す。複合機100は、内部のハードウェアとして制御部301と、RAM(Random Access Memory)28と、I/F(Inter Face)部29と、書込部30と、カウンタ31と、I/O(Input Output)部32と、から構成される。
【0027】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)26と、ROM(Read Only Memory)27と、から構成される。
【0028】
CPU26は、ROM27に格納される各種プログラムに応じて、反射型センサ24やカウンタ31等の各種装置を含んだ複合機100の全体を制御する。
【0029】
ROM27は、トナーパターンの検知タイミングを判定するプログラムや、トナーパターンを形成するタイミングを判定するプログラム、検知したトナーパターンに基づいて画像の補正量を求めるプログラム等の各種プログラムを記憶する。
【0030】
RAM28は、反射型センサ24が検知したトナーパターンの正反射光、拡散反射光に基づく電圧値や、カウンタ31が計時した時間の他、イエロー、ブラック、シアン、マゼンタのそれぞれの単色の階調に応じてY1〜Y10、K1〜K10、C1〜C10、M1〜M10といった各色の濃度制御用トナーパターンや色ずれ制御用トナーパターン、およびこれらのトナーパターンを中間転写ベルト16に形成する間隔等の各種パラメータやデータを記憶する他、ROM27に記憶される各種プログラムが計算のためにワークエリアとして使用する。なお、トナーパターンの階調度は、たとえばイエローの場合にはY1=濃度10%・・・Y10=濃度100%とあらかじめその色の割合が記憶されている。
【0031】
I/F部29は、有線LAN,無線LAN,USB等の外部装置を接続するためのポートである。外部装置に記憶された画像データは、CPU26の指示によってI/F部29を介してRAM28に取り込まれる。
【0032】
書込部30は、CPU26の指示によってRAM28に格納された画像データを取り込み、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)から構成される画像信号をイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の印刷用画像信号に変換し、変換した印刷用画像信号を露光装置15に送出する。
【0033】
カウンタ31は、中間転写ベルト16上のある位置(例えば、中間転写ベルト16の表面がクリープして変形した部分の位置)が二次転写ローラ18にしたがって回動する時間を計測するものである。
【0034】
I/O部32は、CPU26が、反射型センサ24が検出したトナーパターンの濃度や色ずれ情報を受け取るためのインターフェースである。
【0035】
なお、カウンタ31に代わってテンションローラ19にエンコーダ33を設けることによって、ベルト16のある位置が二次転写ローラ18にしたがって回動する時間を計測することもできる。エンコーダ33は、テンションローラ19が中間転写ベルト16にしたがって従動回転する位置を測定する装置である。この場合、CPU26はエンコーダ33から中間転写ベルト16の位置情報をI/O部32を介して受け取ることもできる。
【0036】
続いて、図4−1、図4−2を用いて中間転写ベルト16がクリープして変形する場合の例を示す。
【0037】
図4−1は、駆動ローラ17に中間転写ベルト16が巻回されている状態を示す例である。このような状態で複合機100が停止したまま長時間放置された場合、中間転写ベルト16はこの駆動ローラ17の曲面に沿って屈曲癖が生じてしまう。そして、このような屈曲癖が生じた部分がクリープ変形した位置となる。
【0038】
また、図4−2は、駆動ローラ17に二次転写ローラ18がニップ幅を持たせた状態で装着され、中間転写ベルト16が駆動ローラ17と二次転写ローラ18ベルトの間に挟み込まれた状態を示す例である。このような中間転写ベルト16との接触部分が少なく、曲率半径の比較的大きい二次転写ローラ18によって挟み込まれることで屈曲癖が付きにくい状態であっても、駆動ローラ17に二次転写ローラ18の間にニップ幅が生じて駆動ローラ17と二次転写ローラ18との接触部分で弧を描くようになる。そして、このような状態で複合機100が停止したまま長時間停止放置された場合も、図4−1の場合と同様に中間転写ベルト16に屈曲癖が生じてしまう。そして、このような屈曲癖が生じた部分もクリープ変形した位置となる。
【0039】
このように、図4−1、図4−2に示すような屈曲癖が中間転写ベルと16に生じ、この屈曲癖が付いた部分に感光体ドラム10が形成したトナーパターンが形成されると、反射型センサ24の発光素子241によって受光素子242、および受光素子243がトナーパターンを検出しても、トナーパターンからの反射光の反射方向が変わるため検出したトナーパターンが誤っている場合がある。したがって、このようなトナーパターンを検出しないようにするため、後述する各種の処理が必要となる。
【0040】
続いて、図5を用いて感光体ドラム10が中間転写ベルト16上に形成するトナーパターン、及び反射型センサ24とトナーパターンの位置関係を例示する。
【0041】
中間転写ベルト16に形成されるトナーパターンには、画像データの濃度を調整するための濃度制御用パターンと、画像データの色ずれを制御するための色ずれ制御用パターンの2種類がある。
【0042】
濃度制御用パターンは、Y1〜Y10、K1〜K10、C1〜C10、M1〜M10の順(図5では、このうちY9、Y10、K1〜K10、C1、C2を例示している)に中間転写ベルト16の中央部に形成され、同じく中央に設置された反射型センサ24bの正反射光および拡散反射光により各色の濃度を検出する。
【0043】
一方、色ずれ制御用パターンは、Y21〜Y30、K21〜K30、C21〜C30、M21〜M30の順に、主走査方向に対して平行、および斜めの方向に並列して中間転写ベルト16上の主走査方向の両端付近に形成され、同じく両端付近に設置された反射型センサ24a,24cの正反射光により各色の搬送方向、主走査方向の双方の色ずれ量を検出する。
【0044】
続いて、第一の実施の形態にかかる複合機100の機能的構成について説明する。図6は、第一の実施の形態にかかる複合機100の機能的構成を示すブロック図である。
【0045】
図6に示すように、複合機100は、上述した感光体ドラム10Y、10M、10C、10K、反射型センサ24、RAM28、カウンタ31の他、位置判定部601と、検知制御部602と、補正部603と、感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kと、反射型センサ24と、RAM28と、カウンタ31と、を主に備えている。
【0046】
これらの構成は、図1−1、または図1−2に示すハードウェア構成により実現される。例えば、位置判定部601と、検知制御部602と、補正部603による種々のハードウェアを構成する装置に対する指示は、ROM27に格納されたプログラムが実行されたCPU28により実現される。
【0047】
位置判定部601は、中間転写ベルト16上でクリープ変形位置がトナーパターンを検知するセンサ24の検知位置付近にあるか否かを判定する処理部である。具体的には、位置判定部601は、RAM28にあらかじめ記憶されたクリープ変形した中間転写ベルト16の位置に相当するカウント値の範囲にカウンタ31がカウントしたカウント値が含まれるか否かを調べることによってクリープ変形位置がセンサ24による検知位置に到達したか否かを判定する。このクリープ変形位置はトナーパターンを形成すべきではない非形成位置である。
【0048】
検知制御部602は、位置判定部601によって、中間転写ベルト16のクリープ変形位置がセンサ24による検知位置付近にあり検知するタイミングであると判定された場合に、検知位置付近に形成されたトナーパターンのセンサ24による検知を無効とするように制御する。具体的には、検知制御部602は、検知位置付近に形成されたトナーパターンによるセンサ24から出力される検知信号を無視して、補正部603で使用しない。なお、検知制御部602を、各トナーパターンを検知するタイミングでないと判定した場合には、各トナーパターンを検知するようにセンサ24の発光素子241を制御するように構成してもよい。
【0049】
補正部603は、センサ24から出力されるトナーパターンの検知信号に基づいて補正量を算出し、画像形成(書込部30による書き込み)のタイミングの補正を行うものである。
【0050】
すなわち、検知制御部602がRAM28に記憶した電圧値と、あらかじめ濃度制御用トナーパターン、色ずれ制御用トナーパターンの各パターンごとにRAM28に記憶された電圧値の基準値とを比較して、ずれがあるか否かを判定する。
【0051】
そして、ずれがあると判定した場合には、補正部603は。公知の技術により、ずれに基づいた補正量を算出して、算出した補正量に基づき濃度補正処理あるいは色ずれ補正処理を行う。例えば色ずれ補正処理としては、特開2006−284773に記載された技術を用いることによってその色ずれについての平均化処理を行う。
【0052】
RAM28には、濃度制御用トナーパターン、色ずれ制御用トナーパターンが検知する反射光の基準となる電圧値や、これらのトナーパターンを形成する順序、各トナーパターンの間隔(形成するタイミング)のほかパターンの数、カウント値、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置がセンサ24までに進む予測時間があらかじめ記憶されている。
【0053】
次に、濃度制御用トナーパターンおよび色ずれパターンを検知した場合の転写電圧について説明する。図7−1は、センサ24が濃度制御用トナーパターンを検知した場合の転写電圧の変化の例を示す説明図である。図7−1では、K2〜K8までのトナーパターンと、各トナーパターンに対応する転写電圧を示している。図示するように、センサ24が濃度制御用トナーパターンを検知すると、通常であれば転写電位はその濃度が増すに従って低い値を示す。
【0054】
また、図7−2は、センサ24が色ずれ制御用トナーパターンを検知した場合の転写電圧の変化の例を示す説明図である。図7−2では、Y20〜Y21、K20〜K21、C20〜C21、M20〜M21のトナーパターンと、各トナーパターンに対応する転写電圧を示している。図示するように、色ずれ制御用トナーパターンの場合、センサ24が色ずれ制御用トナーパターンを検知すると、通常であれば転写電位はほぼ一定の値を示すので、あらかじめしきい値を設け、そのしきい値よりも電圧値が低いか否かによって色ずれパターンの有無を判定する。
【0055】
続いて、図4−1、図4−2に示すようなクリープ変形箇所に濃度制御用トナーパターン、色ずれ制御用トナーパターンが形成され、センサ24がこれらのトナーパターンを検知した場合の例を示す。
【0056】
図8−1は、図7−1に示した濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した中間転写ベルト16上の位置に形成された場合の電圧値の変化を示す説明図である。図示するように、センサ24は、中間転写ベルト16の歪みによって、本来の電圧値とは異なる誤った電圧値を検知してしまうので、後述する各種の処理が必要となる。
【0057】
また、図8−2は、図7−2に示した色ずれ制御用トナーパターンが、クリープ変形した中間転写ベルト16上の位置に形成された場合の電圧値の変化を示す説明図である。この場合も、濃度制御用トナーパターンを検知する場合と同様に、センサ24は中間転写ベルト16の歪みによって、色ずれ制御用トナーパターンが形成されていない位置についても色ずれ制御用トナーパターンがあると誤って検知してしまうので、このような場合にも、後述する各種の処理が必要となる。
【0058】
RAMに記憶されたカウント値は、中間転写ベルト16上に色ずれ制御用トナーパターンが形成された場合の、センサ24、クリープ変形した位置と、そのクリープ変形した位置の「先頭」「最後尾」の位置に相当するカウンタ31によるカウント数である。図9は、中間転写ベルト16上に色ずれ制御用トナーパターンが形成された場合の、センサ24、クリープ変形した位置と、そのクリープ変形した位置の「先頭」「最後尾」の位置、及びこれらのカウント値の関係を示す説明図である。図9において、横軸を時間軸とする。
【0059】
このクリープ変形した位置の「先頭」「最後尾」の位置は、クリープ変形した部分の中心点(たとえば、駆動ローラ17と二次転写ローラ18とのニップ幅の中点、あるいは駆動ローラ17と二次転写ローラ18との接点)からトナーパターンの搬送方向にある幅βを設けたその先頭と最後尾(いずれも中心から搬送方向に等距離の位置)である。このようにクリープ変形した位置の「先頭」と「最後尾」を設けた理由は、クリープ変形位置は駆動ローラ17や二次転写ローラ18に沿って弧を描くように生じ、クリープ変形位置がセンサ24を通過するには一定の時間がかかるためである。そして、誤検知する可能性のある部分をマージンとして、センサ24の位置を基準として設定したものである。
【0060】
この図9では、パターン1〜10までの色ずれ制御用トナーパターンが中間転写ベルト16上に形成され、そのうちパターン6の部分がクリープ変形した位置である例である。この例では、カウンタ31のカウント値「CCCC」がクリープ変形した位置の先頭のカウント値「DDDD」がクリープ変形した位置の最後尾のカウント値を示している。図示するように、センサ24を中心としてその前後の幅β(に相当するカウント値)の部分にパターン6が形成されているので、後述する各処理において、センサ24はパターン6を検知せず、パターン1〜5、パターン7〜10を検知し、その後補正量が算出される。
【0061】
図10−1は、RAM28が記憶するカウンタ値の例を示す説明図である。図10−1に示すように、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置の先頭がセンサ24に到達する時間、及びその位置の最後尾がセンサ24に到達する時間を記憶する。図10−1では、図9に示したクリープ変形した位置の状態を例にとって、クリープ変形位置の先頭、最後尾の値がそれぞれ「CCCC」秒、「DDDD」秒であることを示している。
【0062】
RAM28に記録される予測時間は、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置がセンサ24までに進むまでの時間である。このように、RAM28に、予測時間があらかじめ記憶される理由は、中間転写ベルト16は、駆動ローラ17の動きに従って、図10−2に示すような等加速度運動、等速直線運動をするためである。すなわち、複合機100の電源がONされ、制御部301から各装置に起動命令がなされると、駆動ローラ17は、図に示すカウント値がthになるまでは一定の加速度で等加速度運動を行い、その後は一定の速度で等速直線運動を行う。従って、クリープ変形している位置がセンサ24までに進む時間を等加速度運動する時間をあらかじめ記憶しておけば、その後クリープ位置がセンサ24を通過する時間が求められるからである。
【0063】
次に、以上のように構成された第一の実施の形態にかかる複合機100で行われる実行処理について説明する。図11は、複合機100が起動されてから、第一の実施の形態にかかる処理が終了するまでの全体処理の手順を示すフローチャートである。なお、本処理の対象となるトナーパターンは、濃度制御用トナーパターンと、色ずれ制御用トナーパターンの2種類あるが、いずれのトナーパターンを用いても同じ処理手順となるため、ここでは色ずれ制御用トナーパターンを例にとって以降の説明を行う。
【0064】
まず、制御部301は、初期処理を行う(ステップS1101)。初期化処理では、複合機100の電源がONされたことを検知して、感光体ドラム10、センサ24、駆動ローラ17等の各装置を起動し、カウンタ31をリセットする。さらに、制御部301は、センサ24の発光素子241の発光量をあらかじめ定められた値に設定する。
【0065】
続いて、制御部301は、パターン形成処理を行う(ステップS1102)。パターン形成処理では、RAM28に記憶された色ずれ制御用トナーパターンを読み出し、書込み部30、露光装置15を介して、感光体ドラム10に色ずれ制御用トナーパターンを形成するように指示する。この指示を受けて、各感光体ドラム10(イエロー、マゼンダ、シアン、ブラック)は、中間転写ベルト16上に、RAM28に記憶されたパターンの順序、間隔でトナーパターンを順次形成する。尚、このパターン形成処理(ステップS1102)では、トナーパターンの形成順序をイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順としているが、どのような順でトナーパターンが形成されてもよい。
【0066】
次に、制御部301は、パターン検知処理を行う(ステップS1103)。図12は、パターン検知処理の手順を示すフローチャートである。
【0067】
まず、制御部301の位置判定部601は、RAM28に記憶された色ずれ制御用パターンの種類及びその数、例えばイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック及びY1〜Y10等のパターンの数、を読み出し、センサ24によりすべての色ずれ制御用トナーパターンを検知したか否かを判定する(ステップS1201)。
【0068】
そして、位置判定部601が、すべての色ずれ制御用トナーパターンを検知していないと判定した場合(ステップS1201;No)、続いてセンサ24は、色ずれ制御用パターンを検知する(ステップS1202)。一方、位置判定部601が、すべての色ずれ制御用トナーパターンを検知したと判定した場合(ステップS1201;Yes)、パターン検知処理全体が終了する。
【0069】
続いて、検知制御部602は、センサ24が検知した反射光を電圧値に変換してRAM28に記憶する(ステップS1203)。さらに、センサ24が色ずれトナーパターンを検知したときのカウンタ31によるカウント値をRAM28に記憶する(ステップS1204)。
【0070】
次に、位置判定部601は、カウンタ31が計時するカウント値があらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形位置の「先頭」のカウント値であるか否かを判定する(ステップS1205)。そして、位置判定部601は、カウント値がクリープ変形位置の「先頭」のカウント値でないと判定した場合(ステップS1205;No)、ステップS1201に戻って、ステップS1202〜S1204までの各処理を繰り返す。
【0071】
一方、位置判定部601が、カウント値がクリープ変形位置の「先頭」のカウント値であると判定した場合(ステップS1205;Yes)、検知制御部602は、センサ24の発光素子241を色ずれ制御用トナーパターンを検知しないように制御することにより、パターン検知信号を無視する(ステップS1206)。
【0072】
続いて、位置判定部601は、カウンタ31が計時するカウント値があらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値であるか否かを判定する(ステップS1207)。そして、位置判定部601は、カウント値がクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値でないと判定した場合(ステップS1207;No)、ステップS1206に戻って、センサ24の発光素子241を、トナーパターンを検知しないように制御することによりパターン検知信号を無視する。このようにして、カウント値がクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値に到達するまで、ステップS1206の処理を繰り返す。
【0073】
一方、位置判定部601が、カウンタ31が計時するカウント値があらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値であると判定した場合(ステップS1207;Yes)、ステップS1201に戻る。そして、すべての色ずれ制御用トナーパターンが検知されていない場合は、ステップS1202〜S1207の処理を繰り返す。そして、すべての色ずれ制御用パターンが検知された場合にはパターン検知処理を終了する。
図11に戻り、パターン検知処理(ステップS1103)が完了すると、補正量算出処理を行う(ステップS1104)。図13は、補正量算出処理の手順を示すフローチャートである。補正部603は、まずパターン検知処理(ステップS1103)で検知した電圧値が、あらかじめRAM28に記憶された基準値とずれがあるか否かを判定する(ステップS1301)。そして、補正部603が、検知した電圧値と基準値との間にずれがないと判定した場合(ステップS1301;No)、基準値とのずれがないので、後述する補正のための処理は行わずに補正量算出処理(ステップS1104)を終了する。
【0074】
一方、補正部603が、検知した電圧値と基準値との間にずれがあると判定した場合(ステップS1301;Yes)、そのずれ量をRAM28に記憶し、特開2006−284773に記載された方法等によってその色ずれについて平均化処理を行って色ずれ補正量を算出し(ステップS1302)、色ずれ補正処理を行う。そして、補正部603は、求めた補正量をRAM28に記憶する(ステップS1303)。そして、クリープ変形した位置に形成された色ずれ制御用トナーパターンは、パターン検知処理(ステップS1103)では検知していないため、図7−2に示すような誤った電圧値に基づいて補正量が算出され、その補正量がステップS1303で記憶されることはない。
【0075】
図11に戻り、このように補正量算出処理が行われ完了する(ステップS1104)と、制御部301は、センサ24、カウンタ31等の各種装置を停止する終了処理(ステップS1105)を行う。
【0076】
このように、クリープ変形した位置がセンサ24にかかるか否かを判定し、クリープ変形した位置がセンサ24にかからないと判定した場合に、色ずれ制御用トナーパターンを形成するようにセンサ24を制御するので、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置に形成された色ずれ制御用トナーパターンを検知することはなく、高精度にトナーパターンの補正量を算出することができる。
【0077】
尚、上述した第1の実施の形態においては、検知制御部602は、センサ24の発光素子241がクリープ変形した位置に形成された色ずれ制御用トナーパターンを検知しないように制御したが、例えば、クリープ変形した位置に形成された色ずれ制御用トナーパターンをセンサ24で検知した後、RAM28に記憶された電圧値を削除することによって、誤った電圧値を用いて補正量を算出しないようにすることもできる。
【0078】
図14に、クリープ変形した位置に形成された色ずれ制御用トナーパターンをセンサ24が検知して、その後検知した色ずれ制御用トナーパターンの電圧値を削除する場合の処理手順について説明する。以下の説明では、ステップS1201〜S1204の処理の内容は、クリープ変形した位置に色ずれ制御用トナーパターンを形成した場合と同じであるため同一の符号を付して省略する。従って、図14において位置判定部601がすべての色ずれ制御用トナーパターンを検知したと判定した場合(ステップS1201;Yes)から説明する。
【0079】
位置制御部601が、すべての色ずれ制御用トナーパターンを検知したと判定すると(ステップS1201;Yes)、続いて位置判定部601は、RAM28に記憶したカウント値が、あらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形位置の「先頭」のカウント値から「最後尾」のカウント値の範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS1401)。そして、位置判定部601は、RAM28に記憶したカウント値がクリープ変形位置の「先頭」のカウント値から「最後尾」のカウント値の範囲に含まれないと判定した場合(ステップS1401;No)、何もせずにパターン検知処理(ステップS1103)を終了する。
【0080】
一方、位置判定部601が、RAM28に記憶したカウント値がクリープ変形位置の「先頭」のカウント値から「最後尾」のカウント値の範囲に含まれると判定した場合(ステップS1401;No)、検知制御部602は、そのカウント値のタイミングで記憶された電圧値をRAM28から削除する(ステップS1402)。以上の処理が終了すると、パターン検知処理(ステップS1103)の処理全体が終了する。
【0081】
このように、検知制御部602がセンサ24に対して中間転写ベルト16上に形成されたすべての色ずれ制御用トナーパターンを検知するように制御し、その後検知した色ずれ制御用トナーパターンの電圧値をRAM28から削除することにより、補正量算出処理(ステップS1104)において、高精度にトナーパターンの補正量を算出できる。
【0082】
(第2の実施の形態)
上述した第一の実施の形態においては、クリープ変形した位置は、図4−1、図4−2に示したような駆動ローラ17や、駆動ローラ17と二次転写ローラ18との接点等の部分に中間転写ベルト16が接する部分に生じる場合に、その部分に形成された色ずれ制御用トナーパターンを検知しないようにパターン検知処理を行うこととした。しかし、センサ24の反射光が誤って検知される場合は他にも存在する。例えば、中間転写ベルト16上に埃があった場合や、中間転写ベルト16の表面にキズが生じていた場合等に、その部分にトナーパターンが形成された場合にも反射光が誤って検知されてしまう。そこで、第二の実施の形態においては、色ずれ制御用トナーパターン、濃度制御用トナーパターンを検知する前に中間転写ベルト16の状態を検査する検査処理を行う場合について説明する。
【0083】
図15は、第二の実施の形態にかかる複合機1500の機能的構成を示すブロック図である。複合機1500は、上述した第一の実施の形態にかかる複合機100とは、検査部1501が追加された構成を有している点で異なり、他の構成については第一の実施の形態と同様である。以下の説明では、上述した第一の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
検査部1501は、複合機1500に電源がONされた後、センサ24が色ずれ制御用トナーパターン、濃度制御用トナーパターンを検知する位置を基準にして中間転写ベルト16が1周したか否かを判定するものである。また、検査部1501は、センサ24が検知した反射光を電圧値に変換し、その値が、あらかじめRAM28に記憶された電圧値の範囲(許容範囲)に含まれるか否かを判定する。そして、検査部1501は、検知制御部602が変換した電圧値が、記憶された電圧値の範囲に含まれると判定した場合に、そのときのカウント値をカウンタ31から読み取ってRAM28に記憶する。さらに、検査部1501は、記憶したカウント値に、中間転写ベルト16がさらに1周したときのカウント値を求めて加算し、その加算した値をRAM28に記憶する。この2周目以降のカウント値は、中間転写ベルト16の速度(等速度)から求めることができる。
【0084】
この許容範囲は、色ずれ制御用トナーパターン、濃度制御用トナーパターンから検知されるべき電圧の基準値(例えばaボルト等)と、誤差としての許容値(例えばbボルト)とを設けておき、実際に検知された電圧値がこの範囲(a−bボルト)の範囲にある場合には、センサ24の検知誤差と判定し、検知された値がこの範囲以上の差がある値の場合には、センサ24が検知した反射光は、中間転写ベルト16上の埃やキズ等のある位置に形成された色ずれ制御用トナーパターン、濃度制御用トナーパターンからの反射光であると判定する。
【0085】
図16は、中間転写ベルト16上にトナーパターンを形成する前に、中間転写ベルト16上に埃等がないか検査した後、色ずれ制御用トナーパターンが形成された場合の、センサ24、埃等がある位置と、その位置の「先頭」「最後尾」の位置から設定されるマージンの位置、及びこれらのカウント値の関係を示す説明図である。図16では、横軸を時間軸としている。このマージンの位置を設定する理由は、第一の実施の形態で説明した理由と同じ理由である。
【0086】
この図16では、パターン1〜10までの色ずれ制御用トナーパターンが中間転写ベルト16上に形成されるが、これらのトナーパターンを形成する前に、埃等が存在する部分(図中に示すNGポイント)のカウント値が検査によって求められ、そのカウント値と基準として中間転写ベルト16が1周した部分にパターン2が形成され、さらに中間転写ベルト16が2周した部分にパターン7が形成された例を示している。この例では、カウンタ31のカウント値「EEEE」および、NGポイントがセンサ24を通過するために必要なマージンγのカウント値を示している。図示するように、センサ24は、NGポイントを中心としたその前後の幅γの部分にパターン2、およびパターン7が形成されているので、後述する各処理において、センサ24はこれらのパターンを検知せず、パターン1、パターン3〜6、パターン8〜10を検知し、その後補正量が算出される。
【0087】
RAM28は、第一の実施の形態にかかるRAM28と同様の内容を記憶するほか、後述する検査部1501が、中間転写ベルト16上に存在する埃やキズ等の位置を判定するために使用する電圧の基準値及び許容範囲、さらに電圧値が基準を満たさないと判定された位置のマージン(例えば図16に示したカウント値γ)を記憶する。
【0088】
図17は、RAM28が記憶するカウンタ値の例を示す説明図である。図17に示すように、RAM28には、NGポイントと後述する検査部1501が求めた2周目以降のカウント値を表形式で記憶する。図17では、図16で示した1周目のNGポイントのカウント値と2周目のNGポイントのカウント値を記載しているが、NGポイントが複数ある場合には表の横方向にその位置を記憶し、さらにその位置の縦方向には、検査部1501が求めたカウント値が記憶されることを示している。
【0089】
次に、以上のように構成された第二の実施の形態にかかる複合機1500で行われる実行処理について説明する。図18は、複合機1500が起動されてから、第二の実施の形態にかかる処理が終了するまでの処理全体の流れを示すフローチャートである。
本実施の形態にかかる複合機1500では、制御部301により初期処理を行い(ステップS1801)、その後、検査部1501により、トナーパターンの位置に埃やキズ等があるか否かを検査する検査処理を行う(ステップS1802)。検査処理を行った後に、パターン形成処理(ステップS1803)、パターン検知処理(ステップS1804)、補正処理(ステップS1805)および終了処理(ステップS1806)を行う。ここで、初期化処理、パターン形成処理、パターン検知処理、補正処理および終了処理については、第一の実施の形態と同様の処理が行われる。
【0090】
なお、本実施の形態では、検査処理を、パターン形成処理よりも先に行っているが、トナーパターンを検知する前に、トナーパターンの位置に埃やキズ等があるか否かを判定すればよいので、パターン形成処理(ステップS1102)とパターン検知処理(ステップS1103)の間に行うように構成してもよい。
【0091】
次に、ステップS1802の検査処理の詳細について説明する。図19は、検査処理の手順を示すフローチャートである。まず検査部1501は、中間転写ベルト16が、1周したか否かをセンサ24が色ずれ制御用トナーパターンを検知する位置を基準として判定する。具体的には、RAM28には第一の実施の形態の場合と同様に、複合機1500の電源がONされてからセンサ24等の各装置が起動するまでにかかる時間が記憶されているので、検査部1501は、その時間が経過した後、中間転写ベルト16が1周したか否かを、その速度(等速度)から判定する。そして、中間転写ベルト16が1周したと判定した場合(ステップS1901;Yes)は、検査処理の処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS1901において、検査部1501が中間転写ベルト16が1周していないと判定した場合(ステップS1901;No)、センサ24に反射光を検知するよう指示し、この指示に従って、センサ24は中間転写ベルト16からの反射光を検知する(ステップS1902)。
【0093】
続いて、検査部1501は、センサ24が検知した反射光から電圧値を求め、その値がRAM28に記憶された電圧値の許容範囲にあるか否かを判定する(ステップS1903)。そして、検査部1501が求めた電圧値が、RAM28に記憶された電圧値の許容範囲にあると判定した場合(ステップS1903;Yes)、ステップS1901に戻り、中間転写ベルト16が1周するまでステップS1902以降の各処理を繰り返す。
【0094】
一方、ステップS1903において、検査部1501が求めた電圧が、RAM28に記憶された電圧値の許容範囲にないと判定した場合(ステップS1903;No)、ステップS1902においてセンサ24が反射光を検知したときのカウント値をカウンタ31から読み取り、中間転写ベルト16の速度(等速度)から中間転写ベルト16が2周目以降に周回したときのカウント値を求めて、これらのカウント値をRAM28に記憶する(ステップS1904)。このステップS1904の処理が終了し、かつ中間転写ベルト16が1周すると、検査処理(ステップS1801)の処理全体が終了する。
【0095】
このように、中間転写ベルト16が1周するまでの間に、その反射光から変換された電圧値がある一定の範囲に含まれるか否かを判定し、変換された電圧値がある一定の範囲に含まれないと判定されたときのカウント値を記憶しておくことによって、パターン検知処理(ステップS1103)において、このカウント値のときには色ずれ制御用トナーパターンを検知しないように検知制御部602がセンサ24を制御する。そして、このようにして中間転写ベルト16上に生じた埃やキズ等の部分からの反射光をセンサ24が検知しないため、高精度にトナーパターンの補正量を算出することができる。
【0096】
(第3の実施の形態)
上述した第一、第二の実施の形態においては、中間転写ベルト16上にクリープ変形した位置、または埃やキズ等が生じた位置にもトナーパターンを形成し、センサ24の発光素子241を制御して、これらの位置に形成されたトナーパターンを検知せずに画像の補正量を高精度に算出することとした。しかし、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置にトナーパターン自体を形成しないことによっても、画像の補正量を高精度に算出することができる。そこで、第三の実施形態においては、トナーパターンを形成する際に中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置を求め、その位置にはトナーパターンを形成しないように制御するパターン形成制御処理を行う場合について説明する。
【0097】
図20は、第三の実施の形態にかかる複合機2000の機能的構成を示すブロック図である。複合機2000は、図20に示すように、位置判定部2001と、ドラム制御部2002と、補正部603と、感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kと、反射型センサ24と、RAM28と、カウンタ31と、主にを備えている。
ここで、補正部603と、感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kと、反射型センサ24と、RAM28と、カウンタ31については、第一の実施の形態と同様である。
【0098】
位置判定部2001は、カウンタ31が計時するカウント値に、あらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形した位置が感光体ドラム10に到達するまでの時間のカウント値に加算することによって、クリープ変形した位置が、感光体ドラム10が濃度制御用トナーパターンを形成する位置に到達したか否かを判定する。また、各色の濃度制御用トナーパターンがすべて形成されたか否かを、各色の濃度制御用トナーパターンの種類、およびその数によって判定する。さらに、各色について最後の濃度制御用トナーパターンが形成されたときのカウント値をRAM28に記憶し、そのカウント値に中間転写ベルト16が1周するカウント値を加算することによって、次に形成される色の濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した位置に形成されてしまうか否かを判定する。そして、クリープ変形した位置に形成されてしまうと判定した場合は、クリープ変形した位置が、感光体ドラム10が濃度制御用トナーパターンを形成する位置を通過するまで、次の色の濃度制御用トナーパターンの形成動作に入らないように待機する。
【0099】
ドラム制御部2002は、位置判定部2001が未だ各色のすべてのパターンを形成していないと判定した場合に、その色の濃度制御用トナーパターンをRAM28から呼び出して感光体ドラム10にパターンを形成するよう制御する。
【0100】
RAM28は、第一の実施の形態にかかるRAM28と同様の内容を記憶するほか、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置が感光体ドラム10までに進む予測時間があらかじめ記憶されている。この予測時間があらかじめ記憶される理由は、第一の実施の形態にかかる複合機100の場合の処理で説明した内容と同じ理由による。また、RAM28は、位置判定部2001が各色の濃度制御用トナーパターンをすべて形成したときのカウント値を記憶する。このカウント値を記憶する理由は、各色について濃度制御用トナーパターンがすべて形成され、次の色のトナーパターンを形成する際に、その形成する部分がクリープ変形した位置にかかるか否かを判定するために必要だからである。さらに、RAM28は、クリープ変形した位置のマージンを記憶する。
【0101】
図21は、中間転写ベルト16上に色ずれ制御用トナーパターンが形成された場合の、各色の感光体ドラム10、クリープ変形した位置と、そのクリープ変形した位置のマージンの位置、及びこれらのカウント値の関係を示す説明図である。図21では、横軸を時間軸としている。なお、このマージンの位置を設定した理由については、第一の実施の形態で説明した理由と同じ理由であるため、ここではその説明を省略する。
【0102】
この図21では、パターン1〜10までの色ずれ制御用トナーパターンが中間転写ベルト16上に形成され、そのうちマゼンダ色の濃度制御用トナーパターンを形成するときにクリープ変形した位置がかかる例を示している。この例では、カウンタ31がカウント値「AAAA」(マージン幅を計時したときαのカウント値を含む)にイエローの濃度制御用トナーパターンの形成を開始し、次のクリープ変形した位置が到達するカウント値「BBBB」(マージン幅を計時したときαのカウント値を含む)が計時されるまでマゼンダの濃度制御用トナーパターンを形成しないように、感光体ドラム10を制御している。このように、クリープ変形した位置にはマゼンダ色のパターンを形成しないので、後述する各処理において、すべてのトナーパターンを検知して、その後補正量が算出されることとなる。
【0103】
図22−1に、RAM28が記憶するカウンタ値の例を示す。図示するように、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置として、その位置の最後尾が感光体ドラム10に到達する時間、すなわち濃度制御用トナーパターンを形成し始めるカウント値(この例ではイエローの濃度制御用トナーパターンを形成する時間)を記憶する。さらに、この時間を基準として位置判定部2001が、トナーパターンがクリープ位置にかかるか否かを判定するときに使用するカウント値(この例ではマゼンダ色の濃度制御用トナーパターンがクリープ変形した位置にかかる場合において、そのトナーパターンを形成し始めるカウント値)を記憶する。そして、図22−1では、これらの値がそれぞれ「AAAA」秒、「BBBB」秒であることを示している。
【0104】
図22−2は、中間転写ベルト16が駆動ローラ17によって動作する状態を示す説明図である。図22−2に示すように、中間転写ベルト16は、等加速度運動、等速直線運動をする。従って、複合機2000の電源がONされ、制御部301から各装置に起動命令がなされると、駆動ローラ17は、図に示すカウント値がthになるまでは一定の加速度で等加速度運動を行い、その後は一定の速度で等速直線運動を行う。以降の説明については、第一の実施の形態の場合に説明した内容と同じ内容なので、ここでは説明を省略し、続いてドラム制御部2002の説明に入る。
【0105】
続いて、上述した複合機2000で行われる実行処理について説明する。図23は、複合機2000が起動されてから、第三の実施の形態にかかる処理が終了するまでの全体処理の手順を示すフローチャートである。
本実施の形態にかかる複合機1500では、制御部301により初期処理を行い(ステップS2301)、その後、パターン形成制御処理を行う(ステップS2302)。そして、パターン形成制御処理を行った後に、パターン検知処理(ステップS2303)、補正処理(ステップS2304)および終了処理(ステップS2305)を行う。ここで、初期化処理、パターン形成処理、パターン検知処理、補正処理および終了処理については、第一の実施の形態と同様の処理が行われる。
【0106】
図24では、イエロー、ブラック、シアン、マゼンダの順序で濃度制御用トナーパターンを形成する前提で、パターン形成制御処理(ステップS2301)の全ての処理のうち、イエローの濃度制御用トナーパターンを中間転写ベルト16に形成した後にブラックの濃度制御用トナーパターンを形成する部分の処理のみを示している。これは、イエロー以外のブラック、シアン、マゼンダの濃度制御用トナーパターンを形成する場合も、これと同様の手順で処理できるため、これらの濃度制御用トナーパターンを形成する処理の説明を省略している。さらに、図24では、濃度制御用トナーパターンは、イエローが最初に形成されるように記載しているが、本実施の形態においては、濃度制御用トナーパターンがクリープ変形した位置に形成されることがないようにすればよいので、トナーパターンの形成順序はどのような順番であっても構わない。
【0107】
次に、パターン形成制御処理の詳細について説明する。図24は、パターン形成制御処理の手順を示すフローチャートである。まず位置判定部2001は、カウンタ31が計時するカウント値があらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値であるか否かを判定する(ステップS2401)。この判定を行うことにより、感光体ドラム10が、イエローの濃度制御用トナーパターンを形成するタイミングを判定できる。そして、位置判定部2001が、カウント値が記憶されたクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値でないと判定した場合(ステップS2401;No)、カウンタ31が計時するカウントが、RAM28に記憶したカウント値になるまで待機する。
【0108】
一方、位置判定部2001が、カウント値が記憶されたクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値であると判定した場合(ステップS2401;Yes)、次のステップに進む。
【0109】
続いて、位置判定部2001は、RAM28に記憶された濃度制御用パターンの種類及びその数、例えばイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック及びY1〜Y10等のパターンの数、を読み出し、感光体ドラム10によりすべての濃度制御用トナーパターンを形成したか否かを判定する(ステップS2402)。
【0110】
そして、イエローの濃度制御用トナーパターンをすべて形成していないと判定した場合(ステップS2402;No)、ドラム制御部2002は、RAM28からイエローの濃度制御用トナーパターンを読み出して、感光体ドラム10に対して中間転写ベルト16上にイエローの濃度制御用トナーパターン(例えば、Y1の濃度制御用トナーパターン)を形成するように指示する(ステップS2403)。
【0111】
そして、感光体ドラム10は、ドラム制御部2002からの指示を受け、中間転写ベルト16上にイエローの濃度制御用トナーパターン(例えば、Y1の濃度制御用トナーパターン)を形成する(ステップS2404)。この濃度制御用トナーパターンが形成されると、ステップS2402に戻り、イエローの濃度制御用トナーパターンすべてが形成されるまでステップS2403、S2404の処理を繰り返す。
【0112】
このようにして、クリープ変形した位置が感光体ドラム10を過ぎた後にイエローの濃度制御用トナーパターンを形成し始め、すべてのイエローの濃度制御用トナーパターンを形成したと判定すると(ステップS2402;Yes)、位置判定部2001は、最後にイエローの濃度制御用トナーパターンを形成したときのカウント値(例えばY10の濃度制御用トナーパターンを形成したときのカウント値)をRAMに記憶する(ステップS2405)。
【0113】
続いて、位置判定部2001は、次に形成するブラックの濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した位置にかかるか否かを判定する(ステップS2406)。具体的には、RAM28に記憶したイエローの濃度制御用トナーパターンの数(例えば、K1〜K10の場合には10個のパターン数)、各パターンを中間転写ベルト16に転写する間隔(例えば、0.5秒ごとに各パターンを転写する場合には0.5秒)、最後にRAMに記憶したカウント値、及び中間転写ベルト16の速度(等速度)から、ブラックの濃度制御用トナーパターンすべてを中間転写ベルト16に形成する時間と、クリープ変形した位置が感光体ドラム10に到達する時間を比較して、ブラックの濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した位置にかかるか否かを判定する。
【0114】
そして、位置判定部2001は、ブラックの濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した位置にかかると判定した場合(ステップS2406;Yes)、さらにクリープ変形した位置からマージンを含めた位置が、感光体ドラム10を経過したか否かを判定する(ステップS2407)。そして、位置判定部2001は、クリープ変形した位置からマージンを含めた位置が、感光体ドラム10を経過していない(ステップS2407;No)と判定した場合は、そのマージンを含めた位置が感光体ドラム10を経過するまで待機する。
【0115】
一方、位置判定部2001は、ブラックの濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した位置にかからないと判定した場合(ステップS2406;No)、またはクリープ変形した位置からマージンを含めた位置が、感光体ドラム10を経過したと判定した場合(ステップS2407;Yes)、次のステップに進む。なお、図24では前述したように、ステップS2407以降の処理は記載していないが、このステップS2407以降の処理では、各色ごとにステップS2402〜S2407の処理と同じ内容の処理を行う。そして、すべての色について濃度制御用トナーパターンを形成した場合に、パターン形成制御処理(ステップS2301)のすべての処理が終了する。そして、本実施の形態にかかるすべての処理が終了すると、図25に示すように中間転写ベルト16上に濃度制御用トナーパターンが形成される。この図25に示すように、本実施の形態にかかる処理を行うことにより、クリープ変形した位置が濃度制御用トナーパターンにっかかることなく(この例では、シアンとマゼンダを形成する間にクリープ変形した位置がかかる場合を示している)中間転写ベルト16上に形成される。
【0116】
このように、クリープ変形した位置が感光体ドラム10にかかるか否かを判定し、クリープ変形した位置が感光体ドラム10にかからないと判定した場合に、濃度制御用トナーパターンを形成するように感光体ドラム10を制御するので、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置に濃度制御用トナーパターンが形成されることはなく、高精度にトナーパターンの補正量を算出することができる。
【0117】
尚、第三の実施の形態では、各色についての濃度制御用トナーパターン(例えば、イエローであればY1〜Y10)をひとつの単位として、その色の濃度制御用トナーパターンがクリープ変形した位置にかかるか否かを判定し、その部分にはパターンを形成しないように感光体ドラム10を制御した。しかし、このように制御すると、各色についてすべてのパターンが経過するまではトナーパターンの形成を待たなければならず、その分パターンを形成するための時間がかかってしまう。そこで、各色のパターン単体(例えば、Y1やY2、Y3・・・等)を中間転写ベルト16に形成するときに、その位置がクリープ変形した位置にかかるか否かを判定することによって、クリープ変形した位置にトナーパターンを形成せず、かつ短時間でトナーパターンを形成する処理の例を次に示す。
【0118】
図26は、第三の実施の形態にかかるトナーパターン形成制御処理(ステップS2301)を応用して、前述した各色のトナーパターン単体を中間転写ベルト16に形成するときに、その位置がクリープ変形した位置にかかるか否かを判定する処理の例である。
【0119】
まず、位置判定部2001は、カウンタ31が計時するカウント値があらかじめRAM28に記憶されたクリープ変形位置の「最後尾」のカウント値であるか否かを判定し(ステップS2601)、RAM28に記憶された濃度制御用パターンの種類及びその数を読み出して、その色の濃度制御用トナーパターンをすべて形成したか否かを判定する(ステップS2602)。これらの処理の内容は、第三の実施の形態にかかるステップS2401、S2402と同様の処理内容であるため、詳細な説明は省略する。
【0120】
続いて、位置判定部2001は、その色の濃度制御用トナーパターンをすべて形成していないと判定した場合(ステップS2602;No)、さらに、次に読み出す濃度制御用トナーパターン単体(例えば、Y10)を形成する位置が、クリープ変形した位置にかかるか否かを判定する(ステップS2603)。具体的には、RAM28に記憶された濃度制御用トナーパターンの間隔(例えば、各トナーパターン単体を形成する間隔が0.5秒ごとの場合は0.5秒)と、中間転写ベルト16の速度(等速度)、及びクリープ変形した位置が感光体ドラム10の位置に到達するカウント値から、形成される単体のトナーパターンがクリープ変形した位置にかかるか否かを判定する。
【0121】
そして、位置判定部2001が、次に形成する色ずれ制御用トナーパターン(例えば、Y10)がクリープ変形した位置にかからないと判定した場合(ステップS2603;No)、ドラム制御部2002は、その濃度制御用トナーパターン(例えば、Y10)を中間転写ベルト16上に形成するように指示し(ステップS2603)、感光体ドラム10は、ドラム制御部2002からの指示を受け、その濃度制御用トナーパターン(例えば、Y10)を中間転写ベルト16上に形成する(ステップS2604)。そして、位置判定部2001が、その色の濃度制御用トナーパターンをすべて形成したと判定するまで(ステップS2602;Yes)ステップS2603〜S2605の各処理を繰り返す。尚、ステップS2603、S2604の処理内容は、第三の実施の形態にかかるステップS2403、S2404と同様の処理内容であるため、詳細な説明は省略する。
【0122】
一方、位置判定部2001が、次に形成する色ずれ制御用トナーパターン(例えば、Y10)がクリープ変形した位置にかかると判定した場合(ステップS2603;Yes)、位置判定部2001は、次に形成するブラックの濃度制御用トナーパターンが、クリープ変形した位置にかかるか否かを判定する(ステップS2606)。このステップS2606の処理内容は第三の実施の形態にかかるステップS2407の処理内容と同じ処理内容であるため、詳細な説明は省略する。
【0123】
そして、位置判定部2001は、クリープ変形した位置からマージンを含めた位置が、感光体ドラム10を経過していない(ステップS2606;No)と判定した場合は、そのマージンを含めた位置が感光体ドラム10を経過するまで待機する。
【0124】
一方、位置判定部2001は、次に形成する濃度制御用トナーパターン(例えばY10)が、クリープ変形した位置からマージンを含めた位置が、感光体ドラム10を経過したと判定した場合(ステップS2606;Yes)、次のステップに進む。そして、位置判定部2001が、その色の濃度制御用トナーパターンをすべて形成したと判定すると(ステップS2602;Yes)、感光体ドラム10は、ドラム制御部2002からの指示を受け、その色の最後に形成した濃度制御用トナーパターン(例えば、Y10)のカウント値をRAM28に記憶する(ステップS2607)。なお、この図26では前述したように、ステップS2607以降の処理は記載していないが、このステップS2607の処理を行った後、各色についてステップS2602〜S2607の処理を行う。そして、すべての色について濃度制御用トナーパターンを形成した場合に、パターン形成制御処理(ステップS2301)のすべての処理が終了する。
【0125】
このように、第三の実施の形態にかかる処理の応用例として、クリープ変形した位置が感光体ドラム10にかかるか否かを、各色の単体の濃度制御用トナーパターン毎に判定し、その位置が感光体ドラム10にかからないと判定した場合に、濃度制御用トナーパターンを形成するように感光体ドラム10を制御するので、中間転写ベルト16上のクリープ変形した位置に濃度制御用トナーパターンが形成されることはなく、高精度にトナーパターンの補正量を算出することができる。
【0126】
これまで説明した第一〜第三の実施の形態にかかる各複合機では、クリープ変形した位置や、中間転写ベルト16上の埃やキズ等の生じた位置を、図10−1、図17、図22−1に示したように、カウント値(時間)をRAM28に記憶させることによって求めた。しかし、各装置の起動が終了すると、中間転写ベルト16は駆動ローラ17によって等速度で進むため、時間の代わりに、クリープ位置からセンサ24や感光体ドラム10までの距離や、ベルト1周の長さ等をRAM28に記憶させ、これらの値を用いてトナーパターンを検知する位置、またはトナーパターンを形成する位置を判定することとしてもよい。
【0127】
上述した各実施の形態においては、トナーパターンを中間転写ベルト16上に形成する場合や検知する場合の制御方法について説明したが、このような場合に制限するものではなく、例えば、トナーパターン以外の画像データを中間転写ベルト16に転写する場合や、トナーパターンを中間転写ベルト16以外のベルトに転写する場合等にも適用可能である。
【0128】
なお、上述した実施形態の複合機で実行される画像形成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0129】
上述した実施形態の複合機で実行される画像形成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0130】
さらに、上述した実施形態の複合機で実行される画像形成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上述した実施形態の複合機で実行される画像形成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0131】
上述した実施形態の複合機で実行される画像形成プログラムは、上述した各部(位置判定部、検知制御部、補正部、検査部、ドラム制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから画像形成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、位置判定部、検知制御部、補正部、検査部、ドラム制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0132】
100、1500、2000 画像形成装置
10Y、10M、10C、10K 感光体ドラム
11Y、11M、11C、11K 現像装置
12Y、12M、12C、12K 帯電装置
13Y、13M、13C、13K クリーニング装置(ローラ)
14Y、14M、14C、14K 一次転写ローラ
15 露光装置
16 中間転写ベルト
17 駆動ローラ
18 二次転写ローラ
19 テンションローラ
20 クリーニング装置(ベルト)
21 給紙ユニット
P 転写紙
22 レジストローラ対
23 定着装置
24 反射型センサ
241 発光素子
242、243 受光素子
244 ホルダ
26 CPU
27 ROM
28 RAM
29 I/F部
30 書込部
31 カウンタ
32 I/O部
33 エンコーダ
301 制御部
601、2001 位置判定部
602 検知制御部
603 補正部
1501 検査部
2002 ドラム制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2004−198674号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色の画像を像担持体に重ね合わせて形成するとともに、前記像担持体上にパターン画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体上に形成された前記パターン画像を検知して検知信号を出力する検知手段と、
前記像担持体上で前記パターン画像を検知すべきでない非形成位置に前記パターン画像があるか否かを判定する位置判定手段と、
前記非形成位置に前記パターン画像があると判定された場合に、前記検知手段によるパターン検知を無効とする検知制御手段と、
検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて前記画像形成手段による画像形成のタイミングの補正を行う補正手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知制御手段は、前記非形成位置が前記検知位置付近にあると判定された場合には、前記検知位置付近に形成された前記パターン画像による前記検知手段からの検知信号を無視することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段による検知信号を前記検知位置とともに記憶する記憶手段をさらに備え、
前記検知制御手段は、前前記非形成位置が前記検知位置付近にあると判定された場合には、前記記憶手段から前記非形成位置の前記検知信号を消去し、
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶された前記検知信号に基づいて検知信号に基づいて色ずれ補正または濃度補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体上の前記非形成位置の存在の有無を検査する検査手段、をさらに備え、
前記位置判定手段は、前記像担持体上に前記非形成位置が存在すると判断された場合に、前記非形成位置が前記検知位置付近にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検査手段は、前記検知手段からの検知信号が予め定められた基準値を超えているか否かを判断することにより、前記像担持体上の前記非形成位置の存在の有無を検査し、前記検知手段からの検知信号が前記基準値を超えている場合に、前記像担持体上に前記非形成位置が存在すると判定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数色の画像を像担持体に重ね合わせて形成するとともに、前記像担持体上にパターン画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体上で前記パターン画像を形成すべきでない位置である非形成位置が前記パターン画像を検知する検知位置付近にあるか否かを判定する位置判定手段と、
前記非形成位置が前記検知位置付近にあると判定された場合に、前記像担持体上に前記パターン画像を形成しないように前記画像形成手段を制御する形成制御手段と、
検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて色ずれ補正または濃度補正を行う補正手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記像担持体上の位置が進行する時間を計時する計時手段、をさらに備え、
前記位置判定手段は、前記検知位置に相当する時間が予め定められた基準期間に含まれるか否かを判定することにより、前記非形成位置が前記検知位置付近にあるか否かを判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記補正手段は、検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて前記画像形成手段による色ずれ補正を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記補正手段は、検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて前記画像形成手段による濃度補正を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
像担持体上にパターン画像を形成するパターン形成工程と、
検知手段によって、前記像担持体上に形成された前記パターン画像を検知して検知信号を出力する検知工程と、
前記像担持体上で前記パターン画像を形成すべきでない位置である非形成位置が前記パターン画像を検知する検知位置付近にあるか否かを判定する位置判定工程と、
前記非形成位置が前記検知位置付近にあると判定された場合に、前記検知位置付近に形成された前記パターン画像の前記検知手段による検知を無効とするように制御する検知制御工程と、
検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて色ずれ補正または濃度補正を行う補正工程と、
複数色の画像を前記像担持体に重ね合わせて形成する画像形成工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項11】
複数色の画像を像担持体に重ね合わせて形成するとともに、前記像担持体上にパターン画像を形成する画像形成工程と、
前記像担持体上に形成された前記パターン画像を検知して検知信号を出力する検知工程と、
前記像担持体上で前記パターン画像を検知すべきでない非形成位置に前記パターン画像があるか否かを判定する位置判定工程と、
前記非形成位置に前記パターン画像があると判定された場合に、前記検知手段によるパターン検知を無効とする検知制御工程と、
検知された前記パターン画像の検知信号に基づいて前記画像形成手段による画像形成のタイミングの補正を行う補正工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−217796(P2010−217796A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67123(P2009−67123)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】