説明

画像形成装置の光源、この光源に用いる導光板の端面加工方法

【課題】 光学的なアライメントを容易に行うことができる画像形成装置の光源を提供するとともに、当該光源に用いる導光板を製造する際に、導光板のクラックやチッピング等の損傷が発生することを抑制できる端面加工方法を提供する。
【解決手段】 発光素子3が出射した光Dを集光するとともに、集光した光Dを個別に出射する複数条の導光路を備えた導光板2と、導光板2の出射面から出射した光を感光ドラム400上に結像させるレンズアレイ12とが基材11に実装された構成を有し、基材11が、実装されたレンズアレイの基材11上の各焦点に対応する位置に、導光板2の出射面24を位置決めする位置決め手段を備える。
また、導光板2の端面加工には、導光板2が導光板形成用基板25と上部支持基板とに挟持された状態で、導光板形成用基板25及び上部支持基板4とともに研磨する方法を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の光源、この光源に用いる導光板の端面加工方法に関し、特に、基板上に複数条の導光路が所定ピッチで配設され、導光路の上面に発光素子を備える画像形成装置の光源及びこの光源に用いる導光板の端面加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の画像形成装置では、高解像度の画像を短時間で印刷する機能が要求されている。
【0003】
高解像度の画像を印刷するためには、印刷画像の潜像を感光体上に形成する光源が、主走査方向に狭ピッチで露光できることが必要である。また、印刷を短時間で行うためには感光体上に潜像の形成を短時間で行うこと、すなわち、感光体への照射光量を十分大きくして、露光時間を短くすることが必要になる。
【0004】
上記光源に使用される代表的な発光素子として、LED(Light Emitting Diode)がある。例えば、2400dpiの光源を形成しようとすると、LEDは約10μmピッチで形成される必要があり、このとき1素子の大きさは5μm程度にする必要がある。このようなサイズのLEDの形成は、発光部となる拡散層(pn接合)の形成が困難である上、形成が可能であっても、発光部の面積は素子面積と同一になるので、十分な光量を得ることができず、発光素子を狭ピッチで配置することと、露光時間を短くすることとを両立させることは困難であった。
【0005】
そこで、本願出願人は、後掲の特許文献1において、図6の斜視図及び図7の側面図に示す光源100を提案している。図6及び図7に示すように、この光源100は、導光板形成用基板205上に感光体400の表面に対して垂直な方向(以下、光伝送方向という。)に伸びるコア(導光路)201が感光体400の表面に対して平行な方向(以下、主走査方向という。)に複数条配置された導光板200を備え、前記各コア201の上面に光伝送方向に長い発光面を有する発光素子300が形成されている。
【0006】
この発光素子300が発した光Dは、コア201内で全反射を繰り返して、コア201の光伝送方向の一端面である出射面203から出射する。なお、コア201の光伝送方向の他端面には反射材204が積層されており、光Dの漏れを少なくしている。
【0007】
上記のように、コア201から出射された光は、GI(Graded Index)ファイバレンズやロッドレンズ等のレンズアレイ102を介して感光体400の表面に結像される。したがって、上記複数条のコア201の出射面203を、感光体400に形成される潜像の1画素に要求される面積と同じ面積にするとともに、画素間のピッチと同じピッチで配列することで、主走査方向に狭ピッチで配置された、大光量を出射可能な光源100を実現することができる。なお、図6及び図7に示すように、上記導光板200とレンズアレイ102は、例えばアルミニウム等からなる基材101に、レンズアレイ102の一方の焦点にコア201の出射面203が位置するように実装され、レンズアレイ102の他方の焦点が感光体400の表面となるように位置合わせされる。
【0008】
また、上記図6では、導光板形成用基板205上にコア201が単純に所定の間隔をおいて配設された導光板200を用いた光源100を概念的に示したが、現実には、各コア201上面への発光素子300の形成を容易にするために、各コア201の間にコア201よりも低屈折率のクラッド202(図6に二点鎖線で示す。)を介在させて導光板200の上面が平面になる構成としている。
【特許文献1】国際公開第2004/039595号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、導光板200の出射面203とレンズアレイ102の入射面との間の距離、及び、レンズアレイ102の出射面と感光体400との間の距離は、潜像を良好に形成するためにレンズアレイ102の焦点距離Fと一致させる必要がある。また、図7に一点鎖線で示すように、導光板200とレンズアレイ102を伝送される光Dの光軸Lも、感光体400の表面に略垂直の角度で入射させなければならないため、導光板200及びレンズアレイはこのような光学的なアライメントがなされた状態で基材101に実装されなければならない。
【0010】
上記光学的なアライメントは、画像形成装置の高解像度化の要求に応じるために、微細化された構造を有する光源では非常に高精度(例えば、位置合わせ精度が数μm)で行われることが必要であり、光源100の組立は非常に困難な作業となっている。
【0011】
一方、上記導光板200の出射面203は、光伝送手段102への光Dの入射効率を高めるために平滑面であることが望ましく、このような平滑な出射面203を得るために図8(a)に示すような、端面加工(端面研磨)がなされる。すなわち、導光板200が形成された導光板形成用基板205の出射面203側の端面に対して、光伝送方向に直交するように研磨プレートや研磨パッド等の研磨具Pが配置され、この研磨具Pが導光板形成用基板に当接した状態で上下方向(あるいは、左右方向、円状)に繰り返し移動することによって端面が研磨され、平滑面に加工される。
【0012】
しかし、導光板200は、導光板形成用基板205の上面に形成された厚さ150μm程度の薄膜であるため、研磨の際に導光板200に加わる振動や衝撃によって、例えば、図8(b)の端面加工後の導光板200を示す平面図に矢印Xとして示すように、コア201とクラッド202との接合面や導光板形成用基板205とクラッド202との接合面に剥離が発生したり、図8(b)に示す平面図や図8(c)の端面加工後の導光板200を示す正面図に矢印Yで示すように、研磨面にクラックやチッピング等が発生したりするという問題があった。なお、図8(b)、(c)において、チッピング部分は白色で示している。
【0013】
また、導光板200の製造は、導光板形成用基板205上に大きなサイズで一括形成された後に、スクライブやダイシング(カッティング)等の手法を用いて所望のサイズに分割する製造方法も使用されるが、この分割の際にも、衝撃や振動により研磨と同様の不具合が発生するという問題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の事情に基づいて提案されたものであって、光学的なアライメントを容易に行うことができる画像形成装置の光源を提供することを目的とする。また、本発明は上記画像形成装置の光源に用いる導光板を製造する際に、導光板のクラックやチッピング等の損傷が発生することを抑制できる端面加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するために以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係る画像形成装置の光源は、上面に設けられた発光素子が出射した光を集光するとともに、当該集光した光を個別に出射する複数条の導光路を備えた導光板と、導光路の出射面から出射した光を感光体上に結像させるレンズアレイとが基材に実装される構成を有している。そして、前記基材は、実装されたレンズアレイの基材上の焦点に、上記導光板の出射面を位置決めする位置決め手段を備える。
【0016】
上記位置決め手段には、例えば、当該レンズアレイの基材上の焦点に対応する位置に形成した、導光板の実装面がレンズアレイの実装面より低い状態となる段差を採用することができる。このとき、当該段差に、例えば、上記導光板が形成された導光板形成用基板の出射面側の端面を当接させることで、レンズアレイと導光板との間の光学的なアライメントを行う自動的に行うことが可能となる。このとき、導光板の出射面と導光板形成用基板の出射面側の端面とが面一であれば、上記段差の形成位置はレンズアレイの入射面から焦点距離だけ離れた位置になる。この場合、光学的なアライメントの精度は、段差の位置精度と形状精度及び、導光板形成用基板の端面の平滑度に依存することになり、段差の形成、及び導光板形成用基板端面の平滑化を高精度で行うことにより、容易に且つ高精度でアライメントを行うことが可能となる。
【0017】
一方、導光板の出射面と導光板形成用基板の出射面側の端面とを面一にする端面加工には、上記導光板の上面に当該導光板を支持する支持基板(以下、上部支持基板という。)を貼付した後、導光板が導光板形成用基板と前記上部支持基板とに挟持された状態で、少なくとも一方の導光路端面を、導光板形成用基板及び上部支持基板とともに研磨し、研磨後に前記導光板から上部支持基板を分離する方法を採用すればよい。
【0018】
これによれば、端面加工の際に、導光板にクラックやチッピング等が発生することを抑制することができ、良品率を向上させることができる。また、前記導光板が導光板形成用基板と上部支持基板とに挟持された状態で、当該導光板をダイシングやスクライブ(カッティング)等により分割し、その後に端面を研磨する構成とすれば、分割の際に導光板にクラックやチッピング等が発生することも抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源組立時に、レンズアレイの基材上の焦点に導光板の出射面を自動的に位置合わせすることができるため、光学的アライメントが非常に容易となる。
【0020】
また、導光板の出射面の端面加工(端面研磨)を行う際に、導光板は導光板形成用基板と上部支持基板とに挟持されているため、従来、端面加工時に導光板に多発していたクラックやチッピング等の損傷の発生を抑制できるとともに、良品率を著しく向上させることができる。また、導光板の分割する際にも、導光板を導光板形成用基板と上部支持基板とに挟持させることで、クラックやチッピング等の損傷が発生することを抑制することができ、更に、良品率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって詳細に説明する。図1は、本発明の画像形成装置の光源1を示す概略断面図である。また、図2は、図1のS−S部の概略断面図である。
【0022】
図1に示すように、光源1は、上記で説明した従来の光源100と同様に、基材11上に導光板2とGIファイバレンズやロッドレンズ等のレンズアレイ12が実装された構成を有する。
【0023】
また、導光板2は、図2に示すように、導光板形成用基板25上に設けられた板状のクラッド22に複数条のコア21が所定ピッチで埋設された構造を有し、各コア21の上面には、有機あるいは無機の発光材料を用いた発光素子3(エレクトロルミネッセンス素子)が形成される。
【0024】
発光素子3は、下層電極31(個別透明電極)、発光層32、上層電極33(共通金属電極)からなり、下層電極31と上層電極33とに挟まれた領域の発光層32が、両電極間に印加された電圧(あるいは、電流)に応じた発光強度で発光することになる。
【0025】
上記導光板2は、導光板形成用基板25上に形成されていればよく、その形成方法は本発明に直接関与しないため任意の方法を使用することができる。例えば、以下の方法により導光板2を形成することが可能である。
【0026】
まず、シリコンや石英等からなる1mm程度の厚さを有する導光板形成用基板25上に、スピンコートやスクリーン印刷等により、熱硬化又はUV(Ultra Violet)硬化樹脂からなる液状のクラッド材を塗布した後、加熱やUV光照射等の硬化処理を行うことで板状のクラッド22が形成される。
【0027】
次に、クラッド22上に、UV硬化樹脂からなる液状の透光性を有するコア材が塗布される。このコア材にマスク(コア21のパターンに対応する開口部を有するマスク)を介してUV光が上方から照射される。このとき、マスクの開口部に位置するコア材のみが硬化されるため、有機溶剤等を用いて未硬化のコア材を洗浄除去することで、図2に示すコア21の矩形パターンが形成される。
【0028】
続いて、コア21の各パターン間に液状のクラッド材を充填するとともに、当該クラッド材の硬化処理を行うことで、コア21がクラッド22で被覆される。そして、クラッド22を上面から研磨し、コア21の表面を露出させることで、図2に示す複数条のコア21(導光路)を備える導光板2が得られる。
【0029】
また、他の形成方法として、上述のようにして形成した板状のクラッド22にフォトリソグラフィ及びエッチング等の公知の微細加工技術によりコア21に対応する溝を形成し、当該溝に液状のコア材を充填して硬化させる方法や、金型等を用いた公知の成型技術によりコア21に対応する溝を備えたクラッド22形成し、当該溝に液状のコア材を充填して硬化させる方法等がある。
【0030】
以上のようにして形成された導光板2は、図4に示すように、スクライブやダイシング(カッティング)等により、光伝送方向及び/又は主走査方向が所望の大きさになるように分割された後、各コア21の上面に発光素子3が形成される。
【0031】
このような分割は、導光板2上に発光素子3を形成し、さらに、最上面にポリイミド膜等からなる保護膜を形成した後に行ってもよいが、本実施の形態では発光素子3の形成前に分割を行うようにしている。
【0032】
なお、上記発光素子3の形成工程では、蒸着やスピンコート等により、下層電極31、発光層32がサブミクロンオーダの膜厚で順に形成され、発光層32上に上層電極33が形成される。各層は、図6に示したように、各コア21上に個別に形成されてもよいが、図2の例では、製造プロセスを容易にするために、下層電極31として各コア21に個別な透明電極を形成し、発光層32と上層電極33は共通の層(全下層電極31を覆う単一の層)を形成している。また、図面では、発光層32を単層構造として示しているが、電子輸送層や正孔輸送層等を備えた多層構造であってもよい。
【0033】
以上のようにして形成された発光素子3を備える導光板2は、各発光素子3が出射した光を対応するコア21で集光し、コア21の光伝送方向の一端面から出射することができる。なお、導光板2の各コア21の光出射面と反対側の面には、反射材24が塗布あるいは蒸着されている。
【0034】
さて、本発明の光源1は、上述した発光素子3を備えた導光板2とレンズアレイ12とが、基材11上に公知のダイボンド材等を用いて実装される。なお、本発明に直接関与するものではないため詳細な説明は省略するが、基材11上の任意の箇所には、各発光素子3の発光を制御するポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)等からなる電源制御回路が必要に応じて形成され、ワイヤボンド等により各発光素子3と接続されている。
【0035】
図1に示すように、本発明の光源1に使用する基材11は、導光板2の出射面23をレンズアレイ12の基材11上の焦点位置に位置決めするために、導光板2の実装面11aがレンズアレイ12の実装面11bより掘り下げられた段差13(位置決め手段)を備えている。この段差13の大きさは、導光板形成用基板25の端面が位置決めできる程度(例えば、数百μm)であればよいが、段差13の大きさh1、レンズアレイ12の実装面11bに対する焦点の高さh2(以下、光軸高さh2という)、および、導光板2の実装面11aに対するコア21中心部の高さh3(以下、光軸高さh3という)は、h1=h3−h2の関係式を満たすようにしている。例えば、導光板形成用基板25の厚さが1mm、クラッド22の厚さが150μm、コア21の厚さが103μm(解像度200dpi相当)、レンズアレイ12の光軸高さh3が500μmである場合、段差13の大きさは約600μmとなる。
【0036】
また、図1の例では、上記段差13は、基材11の感光体400側の端面14(以下、出射側端面14という。)からの距離がレンズアレイ12の光伝送方向の長さLとレンズアレイ12の焦点距離Fとの合算距離(L+F)となる位置に形成されており、出射面23側の導光板形成用基板25の端面26をこの段差13に当接させた状態で実装する。そして、レンズアレイ12が、基材11の出射側端面14を基準に位置合わせされて実装されることで、出射面23を自動的にレンズアレイの焦点位置に配設することが可能となる。
【0037】
なお、上記説明では導光板形成用基板25の光伝送方向の端面と、導光板2の出射面23とが面一である場合について説明したが、導光板2の出射面23が導光板形成用基板25の光伝送方向の端面に対して内側にオフセットして形成されている場合は、上記段差13は、基材11の出射側端面14との距離が、レンズアレイ12の光伝送方向の長さLとレンズアレイ12の焦点距離Fとの合算距離に当該オフセット距離を加算した距離となる位置に形成すればよい。
【0038】
また、上記では、レンズアレイ12を基材11の出射側端面14に位置合わせする構成を説明したが、図3(a)に示すように、レンズアレイ12を位置決めするために、上記段差13に加えて、レンズアレイ12の実装面11bを掘り下げた第2の段差15を基材11が備える構成としてもよい。このとき、導光板2の実装面11aとレンズアレイ12の実装面11bとの高さの差をh4は、h4=h3−h2の関係式を満足する大きさに設定される。
【0039】
さらに、位置決め手段は、基材11に一体に形成されていることが好ましいが、図3(b)に示すように、別体の板材16を配置する構成としてもよい。この場合、導光板2とレンズアレイ12の光軸高さを合わせるためには、導光板2の導光板形成用基板25の厚さを調整すればよい。また、位置決め手段は、図3(c)に示すように、主走査方向に連続した段差(突条)に限るものではなく、主走査方向で複数に分断された突部17でもよい。
【0040】
上記構成とすれば、光源1の光学的なアライメントを自動的に行うことができ、組立が非常に容易になる。また、より高いアライメント精度を得るために、上記段差13に当接する導光板形成用基板25の端面26は極めて平滑であることが好ましく、当該端面26と出射面23とは面一であることが好ましい。
【0041】
そこで、このような端面26の形成に好適な端面加工方法を以下で説明する。なお、図5は本発明に係る端面加工方法を示す模式図である。
【0042】
図5(a)に示すように、本発明に係る端面加工方法では、まず、上述のように形成した導光板2の上面に、石英やシリコン等からなる0.5〜1mm程度の厚さを有する上部支持基板4を、公知の高耐熱ワックス等、後の工程で当該上部支持基板4を分離することが可能な接着剤を用いて貼り付ける。このとき、必要に応じて、導光板形成用基板25の下面に上部支持基板4と同一の材質からなる下部支持基板を貼り付けてもよい。本実施の形態では、導光板形成用基板25の厚さが1mm程度であるため、下部支持基板の貼付は行わず、導光板形成用基板25を下部支持基板として用いている。
【0043】
次に、上記のように導光板2が導光板形成用基板25と上部支持基板4とに挟まれた状態で、導光板2の出射面23に対して、光伝送方向に垂直な面を形成する研磨が行われる。すなわち、光伝送方向に垂直な面となるように配置された研磨プレートや研磨パッド等の研磨具Pが、導光板2、導光板形成用基板25、及び上部支持基板4に当接した状態で上下(あるいは、左右、円状)に繰り返し移動され、導光板2の出射面23は、導光板形成用基板25と上部支持基板4とともに研磨される。
【0044】
このとき、研磨が行われる研磨面10が、研磨前に図4に示すスクライブやダイシング(カッティング)により切断された面であれば、研磨量を分割により形成された凹凸が解消する量とすることができるので、研磨時間を短くすることができる(図5(b))。なお、スクライブやダイシング(カッティング)による分割も、導光板2が上部支持基板4と導光板形成用基板25(下部支持基板)とに挟持された状態で行うことが好ましい。図4では、上部支持基板4の輪郭のみを破線で示し、上部支持基板を透過させた図を示している。また、必要に応じて、導光板2の出射面23に対向する面(反射材24が積層される面)も研磨される(図5(c))。
【0045】
そして、研磨が完了した後に(図5(d))、上部支持基板4が加熱や剥離剤を用いた剥離処理によって導光板2の上面から分離され(図5(e))、導光板2のコア21の上面に、上述のようにして発光素子3が形成される。
【0046】
以上のようにして端面加工がなされた導光板2は、その上面が上部支持基板4に、又下面が導光板形成用基板25(下部支持基板)に張り付いた状態で、両基板とともに分割や研磨が行われるため、コア21やクラッド22の剥離や、クラックやチッピング等の破損等の発生が抑制される。このため、本発明に係る端面加工方法を採用することで、導光板2の端面加工工程における不良率を著しく低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る画像形成装置の光源は、光学的なアライメントを容易に行うことができるという効果を有し、高解像度の印刷を可能とする光源等として有用である。また、本発明に係る端面加工方法は、画像形成装置の光源に用いる導光板の端面加工工程での不良の発生を著しく低減できるという効果を有するとともに、本方法を適用した光源は、高解像度の印刷を可能とする光源として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の光源の断面図。
【図2】図1のS−S部の要部断面図。
【図3】本発明の光源の変形例の断面図。
【図4】導光板の分割を説明する説明図。
【図5】本発明の端面加工方法を示す模式図。
【図6】画像形成装置に適用された従来の光源を示す斜視図。
【図7】従来の光源の製造方法を示す模式図。
【図8】従来の端面加工方法による欠陥を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1 光源
2 導光板
3 発光素子
4 上部支持基板
11 基材
12 レンズアレイ
13 段差(位置決め手段)
21 コア
22 クラッド
23 出射面
24 反射材
25 導光板形成用基板(下部支持基板)
31 下層電極
32 発光層
33 上層電極
100 光源
101 基材
102 レンズアレイ
200 導光板
201 コア
202 クラッド
203 出射面
205 導光板形成用基板
300 発光素子
400 感光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、当該発光素子が出射した光を感光体上に結像させるレンズアレイとを備えた画像形成装置の光源において、
前記発光素子が上面に設けられ、当該発光素子が出射した光を集光するとともに、当該集光した光を前記レンズアレイに個別に出射する複数条の導光路を備えた導光板と、
前記導光板と前記レンズアレイとが実装される基材と、
前記実装されたレンズアレイの基材上の焦点位置に設けられた、前記導光板の出射面を位置決めする位置決め手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置の光源。
【請求項2】
前記位置決め手段が、前記出射面に対応する面を当接させることで位置決めが行われる段差である請求項1に記載の画像形成装置の光源。
【請求項3】
前記導光板が導光板形成用基板上に、当該導光板形成用基板の一端面と前記出射面とが面一となる状態に形成され、当該一端面を前記段差に当接させることで位置決めが行われる請求項2に記載の画像形成装置の光源。
【請求項4】
水平方向に複数条配置された導光路を備える導光板の端面加工方法において、
前記導光板の上面及び下面に、当該導光板を支持する支持基板を貼り付けるステップと、
前記導光板が前記支持基板に挟持された状態で、前記導光路の光伝送方向の少なくとも一方の端面を、両支持基板とともに研磨するステップと、
を有することを特徴とする導光板の端面加工方法。
【請求項5】
前記導光板が前記両支持基板に挟持された状態で、当該導光板を分割するステップをさらに有し、分割後に前記研磨を行う請求項4に記載の導光板の端面加工方法。
【請求項6】
前記支持基板の一方が、前記導光板がその上面に形成される導光板形成用基板であり、他方の支持基板のみが導光板に貼り付けられる請求項4または5に記載の導光板の端面加工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−106360(P2006−106360A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292929(P2004−292929)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】