説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】利用者を特定するための識別情報が記憶された記憶媒体(例えばICカード)がかざされることにより省電力状態から復帰させる際、利用者が所望する機能を選択的に復帰させることで、電力消費削減及び復帰時間の短縮を実現する画像形成装置を提供することである。
【解決手段】画像形成装置としての複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能を有し、利用者を特定するための識別情報が記憶されたICカード7と無線通信を行うカードリーダ6と、装置の動作を制御する制御部8とを備え、装置の一部が省電力状態になっているときに、カードリーダ6がICカード7から前記識別情報を取得した場合、制御部8は、ICカード7がカードリーダ6にかざされる状態に応じて、省電力状態から復帰させる機能の選択を行う構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカード等の記憶媒体を無線通信により読み取る無線通信部を備えた、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうち2つ以上の機能を有する画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードが普及してきており、様々な装置にICカード認証が採用されている。その1つに企業内で使用される複写機やプリンタや複合機などの画像形成装置がある。画像形成装置は各部署や各フロアで共有されることが多く、各人が自身のICカードをかざすことにより使用可能となる。これにより、個人単位での画像形成装置の使用状況を管理することができる。
【0003】
また、カードリーダを備えた画像読取り装置として、特許文献1には、画像読取り手段と、画像送信手段と、画像の読取り、送信の各種モード設定を行う操作手段と、操作手段の設定に応じ画像読取り手段および画像送信手段を制御する制御手段と、ユーザID認識手段と、パーソナライズ情報を記憶するサーバに対して認識したユーザIDを送信するユーザID送信手段と、送信したユーザIDに対応したパーソナライズ情報をサーバから受信するパーソナライズ情報取得手段と、前記操作手段をパーソナライズするパーソナライズ手段とを有する画像読取り装置(FAX装置)が記載されている。
【特許文献1】特開平11−17862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の画像読取り装置においては、省電力状態(スリープ状態)から復帰する際、常に全ての機能が稼働するようになっており、スキャナでの読み取りしか行わないときなど、一部の機能しか使用しない場合には、復帰のための電力及び時間に無駄が生じる。
【0005】
本発明は、利用者を特定するための識別情報が記憶された記憶媒体(例えばICカード)がかざされることにより省電力状態から復帰させる際、利用者が所望する機能を選択的に復帰させることで、電力消費削減及び復帰時間の短縮を実現する画像形成装置を提供することを目的とする。また、その画像形成装置を含んだ画像形成システムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうち2つ以上の機能を有する画像形成装置において、利用者を特定するための識別情報が記憶された記憶媒体と無線通信を行う無線通信部と、装置の動作を制御する制御部とを備え、装置の一部が省電力状態になっているときに、前記無線通信部が前記記憶媒体から前記識別情報を取得した場合、前記制御部は、前記記憶媒体が前記無線通信部にかざされる状態に応じて、省電力状態から復帰させる機能の選択を行うことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、省電力状態から利用者が所望する機能のみを復帰させることができる。
【0008】
上記の画像形成装置において、前記省電力状態から復帰させる機能の選択の状態を示す表示部を備えることが、利用者の利便性向上に繋がる。
【0009】
また上記の画像形成装置において、前記記憶媒体が前記無線通信部にかざされる状態とは、前記記憶媒体がかざされている時間とすれば、所定の時間を閾値として容易に設計でき、利用者の利便性も高い。
【0010】
また上記の画像形成装置において、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能の全ての機能を有し、前記省電力状態から復帰させる機能の選択は、前記記憶媒体がかざされる時間の短い順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と切り替えていくようにしてもよい。
【0011】
また上記の画像形成装置において、前記記憶媒体が前記無線通信部にかざされる状態とは、前記記憶媒体がかざされる回数とすれば、所定の回数を閾値として容易に設計でき、利用者の利便性も高い。
【0012】
また上記の画像形成装置において、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能の全ての機能を有し、前記省電力状態から復帰させる機能の選択は、前記記憶媒体がかざされる回数の少ない順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と切り替えていくようにしてもよい。
【0013】
また上記の画像形成装置において、前記無線通信部と前記表示部とが隣接していることが、視認性の観点から望ましい。
【0014】
また本発明は、上記の何れかに記載の画像形成装置と、利用者を特定するための識別情報が記憶された記憶媒体とを含む画像形成システムとする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、無線通信部に記憶媒体がかざされることにより省電力状態から復帰させる際、記憶媒体がかざされる状態に応じて、省電力状態から復帰させる機能を切り替えていくことにより、利用者が所望する機能を選択的に復帰させることができる。その際、必要な構成のみを復帰させるので、電力消費削減及び復帰時間の短縮を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図1〜7を参照しつつ説明する。ここで、本発明は、各種画像形成装置に適用可能であるが、以下ではICカード7(記憶媒体に相当)により利用者を特定し、利用資格を有するかの認証を行うためのカードリーダ6(無線通信部に相当)を備えた複合機1(画像形成装置に相当)を例に挙げて説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0017】
(画像形成装置の概略)
まず、図1に基づき、本発明の実施形態に係る複合機1の概略について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の模型的正面断面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の複合機1は、最上部に原稿搬送装置3aを有し、複合機1本体には、操作パネル2、原稿読取部3b、用紙供給部4a、用紙搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、カードリーダ6等が設けられる。
【0019】
前記原稿搬送装置3aは、原稿の複写時、複数の原稿搬送ローラ対31の回転駆動により、原稿載置トレイ32に積載された原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、原稿読取部3bの読み取り位置に向けて搬送する。前記原稿読取部3bは、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。原稿読取部3bの上面には、コンタクトガラス33が設けられ、又、原稿読取部3b内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。
【0020】
そして、この光学系部材を用い、原稿搬送装置3aが搬送する原稿や、コンタクトガラス33に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成し、複合機1は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。尚、原稿搬送装置3aは、図1の紙面奥側に支点が設けられ持ち上げ可能であり、コンタクトガラス33に原稿を載置した後、原稿搬送装置3aで原稿を押さえる。
【0021】
前記用紙供給部4aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、普通紙、再生紙、厚紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ用紙搬送路4bに送り込む。用紙供給部4aは、収納用紙が載置されるカセット41、カセット41から用紙搬送路4bに送り出すため回転駆動する給紙ローラ42等を備える。例えば、印刷時には、給紙ローラ42が回転駆動し、画像形成に必要となる用紙が1枚ずつ用紙搬送路4bに送り出される。
【0022】
前記用紙搬送路4bは、用紙供給部4aから排出トレイ43まで用紙を搬送する。尚、用紙搬送経路上には画像形成部5a、定着部5b等が配される。そして、用紙搬送路4bには、用紙の案内のためのガイド44や、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラ対45や、搬送されてくる用紙を画像形成部5aの手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラ対46等が設けられる。
【0023】
前記画像形成部5aは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部5aは、図1中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム51、及び、感光体ドラム51の周囲に配設された帯電装置52、レーザ走査ユニット53、現像装置54、転写ローラ55、清掃装置56等を備える。
【0024】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部5aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する感光体ドラム51は、図1において、感光体ドラム51の右斜め上方に設けられる帯電装置52によって所定電位に帯電させられる。レーザ走査ユニット53は、図1において、帯電装置52の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光Lをから出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、原稿読取部3bで得られた画像データや、ネットワーク等により接続されるユーザ端末100や相手方FAX装置200(図2参照)から送信された画像データ等が用いられる。そして、図1において、感光体ドラム51の右斜め下方に設けられる現像装置54は、感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム51の左方に設けられる転写ローラ55は感光体ドラム51に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラ55には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム51上のトナー像が転写される。清掃装置56は、転写後に感光体ドラム51に残留するトナーを除去する。
【0025】
前記定着部5bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部5bは、主として発熱体を内蔵する加熱ローラ57と加圧ローラ58で構成される。加熱ローラ57と加圧ローラ58は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ43が受け止める。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の利用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0026】
そして、詳細は後述するが、本実施形態における複合機1の右側面上方に、利用者を特定するための識別情報を記憶するICカード7(記憶媒体に相当)と電波(電磁波)により無線通信を行って、ICカード7に記憶されるデータの送受信を行うカードリーダ6が設けられる。このICカード7には、カードを所有する利用者を識別、特定するためのデータである識別情報が記憶されるが、この識別情報は、例えば、社員IDや所属部署等、個人を特定するためのデータとすることができる。またICカード7には、必要に応じて、特定の企業情報(企業名)や所定のページのアドレス(例えば、天気予報やニュースのページのアドレス)も記憶される。
【0027】
尚、本発明を実施するためには、利用者が特定されればよいが、本実施形態の複合機1では、利用者特定のほか、カードリーダ6により取得された識別情報を用いて、そのICカード7の所有者が複合機1の利用資格を有するかの認証が行われる。これにより、複合機1の利用管理が行われる。
【0028】
次に、図2に基づき、本発明の実施形態に係る複合機1のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る複合機1の構成の一例を示すブロック図である。
【0029】
複合機1内には、制御部8が設けられ、制御部8は、複合機1の動作を制御し、例えば、CPU81、記憶部82、画像処理部83等から構成される。
【0030】
CPU81は、中央演算処理装置であって、記憶部82に格納され、展開される制御プログラムに基づき複合機1の各部を制御する。尚、CPU81以外に、操作パネル2の表示制御用のCPUが操作パネル2等に設けられても良い。画像処理部83は、印刷を行う画像データや、ユーザ端末100や相手方のFAX装置200に送信される画像データに対し、各種画像処理を施す。
【0031】
記憶部82は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。この記憶部82には、複合機1の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶できる。又、特定の企業情報(企業名)に対応した広告情報や、インターネットの所定のページのアドレスや、画像形成装置の状態であるジャム率及び用紙残量や、識別情報毎の利用記録(例えば用紙使用枚数)なども必要に応じて記憶できる。
【0032】
そして、制御部8は、操作パネル2、原稿搬送装置3a、原稿読取部3b、用紙供給部4a、用紙搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b等の各部と信号線等で接続され、複合機1の動作を制御する。又、制御部8には、認証部9が接続される。認証部9はハードウェアとして、又は、制御部8のCPU81、記憶部82、プログラム等で、ソフトウェア的に実現可能である。
【0033】
又、認証部9は、カードリーダ6と接続される。そして、認証部9は、カードリーダ6が取得したICカード7の記憶する識別情報と、認証部9が保有し利用可能か否か(利用資格を有するか)の認証を行うためのデータ(以下、「認証用データ」という。)と、を比較し、利用可否の認証を行う。例えば、認証部9は、利用資格を有する利用者が所持するICカード7の記憶する識別情報を、認証用データとして全ICカード7について記憶しておく。そして、認証作業では、例えば、認証用データ内に、ICカード7から得られた識別情報と一致するものがあるかを確認する。即ち、認証部9は、ICカード7内の識別情報に基づき、複合機1を利用する資格を有し利用させてよいかの認証を行う。
【0034】
ここで、本実施形態の複合機1の制御部8は、基本的に、複合機1を利用不可状態とする。例えば、利用不可状態では、操作パネル2にコピーやFAX送信を行う旨の操作・入力が行われても、制御部8は、その動作指示入力を無視する。又、ユーザ端末100から画像データの送信があっても、印刷を行わず、制御部8は、画像データの送信を受け付け記憶部82等に一時的に保存しても印刷は行わない。これにより、複合機1は利用者を制限し、利用者の特定も行い、複合機1の利用状況の管理を行うことができる。
【0035】
一方、利用可能である場合の認証結果は、制御部8に送られ、この認証結果を受けて、制御部8は、複合機1を利用可能な状態とする。言い換えると、認証部9からカードの所有者が複合機1を利用できる資格を有するとの認証結果が送られた場合(利用可能な者のICカード7と認められた場合)、複合機1は利用可能となる。そして、この時、その印刷枚数や使用日時等の利用記録を得て、認証部9から利用者を特定するための情報(例えば、識別情報)もあわせて送信される。そして、制御部8は、記憶部82等に、利用記録を保存する。
【0036】
更に、制御部8は、各種コネクタ、ソケット等を備えたI/F部84(インターフェイス部)と接続される。I/F部84は、ネットワークや公衆回線等により複数のユーザ端末100や相手方のFAX装置200と接続され、例えば、画像データをユーザ端末100や相手方FAX装置200(インターネットFAXでもよい)に送信することができる(スキャン機能、FAX機能)。又、ユーザ端末100や相手方FAX装置200からの画像データに基づき印刷を行うこともできる(プリンタ機能、FAX機能)。即ち、複合機1は、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうちの複数の機能を備える。又、I/F部84を利用し、ネットワーク内のサーバ300と複合機1を接続でき、例えば、サーバ300に各利用者のデータを記憶させておくこともできる。
【0037】
(カードリーダ6、ICカード7、認証部9の構成)
次に、図3に基づき、本発明の実施形態に係るカードリーダ6、ICカード7及び認証部9について詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態に係る認証部9、カードリーダ6、ICカード7の構成、接続の一例を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、本実施形態の複合機1では、制御部8とカードリーダ6の間に直列に認証部9が設けられる。これにより、ICカード7による認証システムが構築されている。以下、各構成について説明する。
【0039】
まず、複合機1には、カードリーダ6が設けられ、このカードリーダ6は上述したように、ICカード7と電磁波(電波)により無線通信を行う。そして、カードリーダ6は、CPU61、メモリ62、アンテナ63、変調回路部64、復調部65等を有している。
【0040】
CPU61は、メモリ62に記憶される制御用プログラムや制御用データを利用して、カードリーダ6の動作、通信の制御、各種演算を行う。アンテナ63は、ICカード7との無線通信のため、電波(電磁波)の放出やICカード7からの電波(反射波等)を受信する。変調回路部64は、搬送波を送り出し、搬送波に信号波をのせる変調を行う。この変調回路部64は、振幅変調、周波数変調、位相変調等、カードリーダ6とICカード7間の通信に採用される変復調方式に応じたものとなる。復調部65は、ICカード7からの信号波の復調を行い、ICカード7から送られた識別情報等のデータ信号を取り出す。
【0041】
また、カードリーダ6に隣接してLED表示部400が設けられている。LED表示部400は、省電力状態から復帰させる機能の選択の状態をLEDの点灯により示す。
【0042】
図4に、カードリーダ6及びLED表示部400の平面図を示す。図4でLEDは3つ設けられており、手前から順にスキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能がそれぞれ選択されていることを点灯により示す。なお、LEDの他に液晶パネルなどを用いてもよい。
【0043】
次に、利用者を特定するための識別情報を記憶するICカード7について説明する。ICカード7は、制御演算回路、変復調回路、メモリ等を内蔵するICチップ71と、アンテナ72と電源部73を内蔵する。そして、ICチップ71は、少なくとも識別情報を記憶し、ICカード7は、無線通信によりカードリーダ6から指示を受け、ICチップ71内の識別情報をカードリーダ6に送信する。そして、ICカード7は、カードリーダ6から放出された搬送波を受け、これを電源部73にて整流し、電源として利用してICチップ71を駆動させ、そしてアンテナ72から保持するデータを反射波に乗せてカードリーダ6に送信する、いわゆるパッシブ型のものを採用することができる。
【0044】
又、ICカード7は、カードリーダ6からのデータ受信や指示を受け、ICチップ71内のメモリのデータの書込・更新を行うこともできる。この場合、カードリーダ6は、カードライタとして機能する。
【0045】
そして、カードリーダ6と制御部8と接続される認証部9は、CPU91や、メモリ92、接続回路93を備え、カードリーダ6や制御部8とデータの送受信が可能である。又、CPU91は、認証部9の動作を制御する。メモリ92は、認証部9の動作制御用プログラム、認証用データ等を記憶する。そして、CPU91は、カードリーダ6で読み取られ、認証部9に送信されたICカード7の識別情報と、メモリ92が格納する認証用データを比較し、認証用データ中に一致するデータがあるかを確認する。そして、一致した場合は、複合機1の利用を許可すべき旨の信号と、例えば、一致した識別情報等の利用者を特定する情報を制御部8に向けて送信する。
【0046】
図5は、本発明の実施形態に係る複合機1の操作パネル2の一例である。図5に示すように、複合機1の正面上方に設けられる操作パネル2は、テンキー部21やスタートキー22等の入力用の各種キーを備える。又、操作パネル2は、装置の動作状態や各種情報を表示し、又、タッチパネルによりモード選択等を行うことができる液晶表示部23を備える。
【0047】
そして、操作パネル2を操作し、複合機1の利用可能者の新たな登録や変更を行うことができる。この場合、例えば、操作パネル2から複合機1を利用させる個人を特定する各種データ(例えば、個人名、所属部署、ユーザ端末100のアドレス等)を入力する。そして、各種データから識別情報を生成し、生成された識別情報を記憶部82や認証部9のメモリ92に認証用データとして追加し、又、カードリーダ6をカードライタとして利用し、ICカード7に識別情報の記憶・更新を行わせる。即ち、ICカード7の新たな登録を行うことができる。又、会社の社員証や身分証明書用に、既にICカード7が用いられている場合、カードリーダ6に社員証や身分証明書を読み取らせ、読み取った情報を認証用データとして、記憶部82や認証部9のメモリ92に記憶してもよい。これにより、新たなICカード7を用意することなく、複合機1の利用を管理することができる。
【0048】
なお、図4のLED表示部400を省略し、液晶表示部23に省電力状態から復帰させる機能の選択の状態を表示するようにしてもよい。
【0049】
次に、省電力状態にカードリーダ6にICカード7がかざされたときの復帰動作について説明する。本実施形態における省電力状態とは、操作パネル2、原稿搬送装置3a、原稿読取部3b、用紙供給部4a、用紙搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、画像処理部83及びI/F部84への通電を抑制又は遮断した状態とする。
【0050】
図6は、ICカード7がかざされたときの複合機1の第1例の動作を示すフローチャートである。まず、図6のスタートでは、複合機1は、利用者がおらず、利用不可でかつ省電力状態である。このとき、ステップS10においてカードリーダ6は、ICカード7がかざされたことを検出するため、電磁波(電波)を一定周期で発信している。そしてステップS11でICカード7がかざされたかを確認する。複合機1は、ICカード7がカードリーダ6にかざされるまで、利用不可状態を維持する(ステップS11のN)。
【0051】
そして、ステップS11でICカード7がカードリーダ6にかざされた場合、ステップS12へ進んでICカード7がかざされている時間tを計測開始する。これには、制御部8などが有する計時手段を用いればよい。時間tはICカード7がカードリーダ6にかざされている状態が維持されている時間とする。
【0052】
続いて、ステップS13へ進んでカードリーダ6は、ICカード7から識別情報を読み取り、ステップS14へ進んでその識別情報に基づき認証部9が、そのICカード7の所有者に複合機1を利用させて良いか認証を行う。もし、認証部9が有する認証用データ内に、取得された識別情報と一致するデータがなければ、ステップS15へ進んで制御部8は、複合機1の利用不可状態を維持し、ステップS10に戻る。
【0053】
一方、ステップS14において認証部9が複合機1を利用させても良いと認証した場合、その結果と利用者を特定するデータが制御部8に送信される。そしてステップS16へ進んで制御部8は、時間tが3秒以上経過しているか否か、つまりICカード7が3秒以上カードリーダ6にかざされ続けているか否かを判別する。
【0054】
ステップS16において時間tが3秒未満の場合、つまりICカード7がカードリーダ6にかざされていた時間tが3秒未満の場合は、ステップS15へ進んで制御部8は、複合機1の利用不可状態を維持し、ステップS10に戻る。
【0055】
一方、ステップS16において時間tが3秒以上の場合、つまりICカード7が3秒以上カードリーダ6にかざされ続けている場合は、ステップS17へ進んでスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDを点灯させる。これにより、利用者は今ICカード7をカードリーダ6から離せばスキャン機能及びFAX機能が復帰することを理解できる。
【0056】
次に、ステップS17からステップS18へ進んで、制御部8は時間tが5秒以上経過しているか否かを判別する。ステップS18において時間tが5秒未満の場合、つまりICカード7がカードリーダ6にかざされていた時間tが3秒以上5秒未満の場合は、ステップS19へ進んでスキャン機能及びFAX機能の復帰動作を開始する。具体的には、図2に示した操作パネル2、原稿搬送装置3a、原稿読取部3b、画像処理部83、I/F部84を復帰させる。これらは通電すれば直ぐに復帰するので直ちに利用することができる。なお、スキャン機能及びFAX機能では使用しない用紙供給部4a、用紙搬送路4b、画像形成部5a、定着部5bは省電力状態を維持する。
【0057】
一方、ステップS18において時間tが5秒以上の場合、つまりICカード7が5秒以上カードリーダ6にかざされ続けている場合は、ステップS20へ進んでスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDを消灯させ、プリンタ機能の選択を示すLEDを点灯させる。これにより、利用者は今ICカード7をカードリーダ6から離せばプリンタ機能が復帰することを理解できる。
【0058】
次に、ステップS20からステップS21へ進んで、制御部8は時間tが7秒以上経過しているか否かを判別する。ステップS21において時間tが7秒未満の場合、つまりICカード7がカードリーダ6にかざされていた時間tが5秒以上7秒未満の場合は、ステップS22へ進んでプリンタ機能の復帰動作を開始する。具体的には、図2に示した用紙供給部4a、用紙搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、画像処理部83、I/F部84を復帰させる。ここで復帰時間の律速となるのは定着部5bである。
【0059】
なお、プリンタ機能では使用しない操作パネル2、原稿搬送装置3a、原稿読み取り部3bは省電力状態を維持する。プリンタ機能のみが復帰している状態からスキャン機能及びFAX機能を復帰させたい場合、例えば操作パネル2に触れられ操作パネル2が復帰した後に操作パネル2でスキャン機能及びFAX機能が選ばれた場合は、原稿搬送装置3a、原稿読取部3bを復帰させることになるが、これらの復帰には時間を要さないので直ぐに利用することができる。
【0060】
一方、ステップS21において時間tが7秒以上の場合、つまりICカード7が7秒以上カードリーダ6にかざされ続けている場合は、ステップS23へ進んでプリンタ機能の選択を示すLEDを消灯させ、コピー機能の選択を示すLEDを点灯させる。これにより、利用者は今ICカード7をカードリーダ6から離せばコピー機能が復帰することを理解できる。
【0061】
続いて、ステップS23からステップS24へ進んでコピー機能の復帰動作を開始する。具体的には、図2に示した操作パネル2、原稿搬送装置3a、原稿読取部3b、用紙供給部4a、用紙搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、画像処理部83を復帰させる。ここで復帰時間の律速となるのは定着部5bである。
【0062】
このように、カードリーダ6にICカード7がかざされることにより省電力状態から復帰させる際、ICカード7がかざされる時間の短い順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と復帰させる機能を切り替えていくことにより、利用者が所望する機能を選択的に復帰させることができる。その際、必要な構成のみを復帰させるので、電力消費削減及び復帰時間の短縮を実現することができる。
【0063】
なお、上記のステップS16、S18、S21で採用した時間tの閾値には特に限定はなく、例えば他に、ステップS16ではt>0、ステップS18ではt>3、ステップS21ではt>5(秒)などとしてもよい。この場合、ステップS16からステップS14へ進むことはなくなり、ICカード7をカードリーダ6にかざすと直ちにスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDが点灯する。時間tの閾値は装置の設置者によって任意に設定できるものとする。
【0064】
また、本実施形態ではカードリーダ6にICカード7がかざされる時間が7秒以上の場合、コピー機能を復帰させることとしたが、9秒でまたスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDを点灯させるようにしてもよい。
【0065】
図7は、ICカード7がかざされたときの複合機1の第2例の動作を示すフローチャートである。図6と同様のステップについては同符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0066】
ステップS10からステップS11へ進んでICカード7がカードリーダ6にかざされた場合、ステップS13へ進んでカードリーダ6は、ICカード7から識別情報を読み取り、ステップS14へ進んでその識別情報に基づき認証部9が、そのICカード7の所有者に複合機1を利用させて良いか認証を行う。もし、認証部9が有する認証用データ内に、取得された識別情報と一致するデータがなければ、ステップS15へ進んで制御部8は、複合機1の利用不可状態を維持し、ステップS10に戻る。
【0067】
一方、ステップS14において認証部9が複合機1を利用させても良いと認証した場合、その結果と利用者を特定するデータが制御部8に送信される。そしてステップS30へ進んで制御部8は、カードリーダ6にICカード7がかざされた回数nを1回と認定し、ステップS17へ進んでスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDを点灯させる。これにより、利用者はこのまま待てばスキャン機能及びFAX機能が復帰することを理解できる。
【0068】
次に、ステップS17からステップS31へ進んで制御部8は、カードリーダ6にICカード7がかざされた回数nが2回か否かを判別する。ステップS31において回数nが1回のままであった場合は、ステップS32へ進んで回数n=1となった時点から所定時間(例えば2秒)経過したか否かを判別する。ステップS32において、所定時間経過していなければステップS31に戻り、所定時間経過していれば、利用者がICカード7を1回だけかざすことを望んでいると判断して、ステップS19へ進んでスキャン機能及びFAX機能の復帰動作を開始する。
【0069】
一方、ステップS31において回数nが2回であった場合は、ステップS20へ進んでスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDを消灯させ、プリンタ機能の選択を示すLEDを点灯させる。これにより、利用者はこのまま待てばプリンタ機能が復帰することを理解できる。
【0070】
次に、ステップS20からステップS33へ進んで、制御部8は、カードリーダ6にICカード7がかざされた回数nが3回以上か否かを判別する。ステップS33において回数nが2回のままであった場合は、ステップS34へ進んで回数n=2となった時点から所定時間(例えば2秒)経過したか否かを判別する。ステップS34において、所定時間経過していなければステップS33に戻り、所定時間経過していれば、利用者がICカード7を2回だけかざすことを望んでいると判断して、ステップS22へ進んでプリンタ機能の復帰動作を開始する。
【0071】
一方、ステップS33において回数nが3回以上であった場合は、ステップS23へ進んでプリンタ機能の選択を示すLEDを消灯させ、コピー機能の選択を示すLEDを点灯させる。これにより、利用者はこのまま待てばコピー機能が復帰することを理解できる。続いて、ステップS23からステップS24へ進んでコピー機能の復帰動作を開始する。
【0072】
このように、カードリーダ6にICカード7がかざされることにより省電力状態から復帰させる際、ICカード7がかざされる回数の少ない順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と復帰させる機能を切り替えていくことにより、利用者が所望する機能を選択的に復帰させることができる。その際、必要な構成のみを復帰させるので、電力消費削減及び復帰時間の短縮を実現することができる。
【0073】
なお、上記のステップS31、S33で採用した回数nの閾値には特に限定はない。
【0074】
また、本実施形態ではカードリーダ6にICカード7がかざされる回数が3回以上の場合、コピー機能を復帰させることとしたが、4回でまたスキャン機能及びFAX機能の選択を示すLEDを点灯させるようにしてもよい。これは装置の設置者によって任意に設定できるものとする。
【0075】
また、上記第1例ではICカード7をかざす時間の短い順に、第2例ではICカード7をかざす回数の少ない順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と復帰させる機能を切り替えるようにしたが、切り替える順番はどの順序でもよい。切り替える順番は装置の設置者によって任意に設定できるものとする。
【0076】
なお、本発明の画像形成装置は、コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうち2つ以上の機能を有するものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、無線通信によりICカード等の記憶媒体と、それを読み取るカードリーダ6を備えたプリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置とを含む画像形成システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の複合機の模型的正面断面図である。
【図2】本発明の複合機の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の認証部、カードリーダ、ICカードの構成、接続の一例を示すブロック図である。
【図4】カードリーダの平面図である。
【図5】本発明の複合機の操作パネルの一例を示す図である。
【図6】本発明のICカードがかざされたときの複合機の第1例の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明のICカードがかざされたときの複合機の第2例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 複合機(画像形成装置)
6 カードリーダ(無線通信部)
7 ICカード(記憶媒体)
400 LED表示部(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能のうち2つ以上の機能を有する画像形成装置において、
利用者を特定するための識別情報が記憶された記憶媒体と無線通信を行う無線通信部と、装置の動作を制御する制御部とを備え、
装置の一部が省電力状態になっているときに、前記無線通信部が前記記憶媒体から前記識別情報を取得した場合、前記制御部は、前記記憶媒体が前記無線通信部にかざされる状態に応じて、省電力状態から復帰させる機能の選択を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記省電力状態から復帰させる機能の選択の状態を示す表示部を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶媒体が前記無線通信部にかざされる状態とは、前記記憶媒体がかざされている時間であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能の全ての機能を有し、
前記省電力状態から復帰させる機能の選択は、前記記憶媒体がかざされる時間の短い順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と切り替えていくことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶媒体が前記無線通信部にかざされる状態とは、前記記憶媒体がかざされる回数であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
コピー機能、プリンタ機能、スキャン機能、FAX機能の全ての機能を有し、
前記省電力状態から復帰させる機能の選択は、前記記憶媒体がかざされる回数の少ない順に、スキャン機能及びFAX機能、プリンタ機能、コピー機能と切り替えていくことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記無線通信部と前記表示部とが隣接していることを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の画像形成装置と、
利用者を特定するための識別情報が記憶された記憶媒体とを含む画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−28613(P2010−28613A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−189471(P2008−189471)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】