説明

画像形成装置及び画像形成ユニット

【課題】要求された構成色の組み合わせに柔軟に対応することができる画像形成装置及び画像形成ユニットを得る。
【解決手段】画像形成装置10に備えられ、かつ予め定められた複数の色により画像を記録媒体12に形成する画像形成部36を、各々前記複数の色の何れか1つで、かつ互いに異なる色により画像を記録媒体12に形成するものであり、かつ互いに異なる筐体38内に設けられた複数の画像形成ユニット40を組み合わせて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成ユニットに係り、特に、複数の色により画像を記録媒体に形成する画像形成装置及び当該画像形成装置に適用可能な画像形成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷業界では、印刷工程の変化により、顧客の要求に応じて必要なときに必要な部数だけ印刷(画像形成処理)を行うオンデマンド印刷が普及した結果、顧客の要求が多様化している。
【0003】
なお、オンデマンド印刷では、K(ブラック)のみを用いた印刷であるモノクロ印刷、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(以下、この組み合わせを総称して「YMCK」という。)を用いた印刷であるフルカラー印刷、YMCKの4色のうち2色を用いた印刷である2色印刷、及びYMCKとは異なるライトブルーやグリーン等の特殊な色を用いた印刷である特殊印刷等の各種印刷が行われている。
【0004】
ところで、これまでメーカは、オンデマンド印刷を事業として行っている事業者(以下、「印刷業者」という。)に対して上記各種印刷のうち、多種類の印刷に対応した印刷装置(画像形成装置)を提供することが困難であった。そして、メーカは、収益性が低く、開発コストの回収が困難な印刷に対応した印刷装置の開発ほど後回しにしていた結果、当該印刷装置のラインナップが少なかった。
【0005】
また、印刷業者が、上記各種印刷のうち、複数種類の印刷に対応するために上記印刷装置を複数導入するには、当該印刷装置を導入するための導入コストが高くなる、という問題や当該印刷装置を設置するための広い設置スペースが必要になる、という問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、フルカラー印刷等を行うことができる印刷機能、記録媒体に対する画像の定着を行うことができる定着機能等の機能毎にモジュール化(ユニット化)された画像形成装置が開示されており、特許文献2及び特許文献3には、モノクロプリンタとカラープリンタを各々モジュール化することによりフルカラー印刷等を実行可能にした画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−93599号公報
【特許文献2】特開2004−205944号公報
【特許文献3】特開2005−70114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では機能毎にモジュール化されており、上記特許文献2及び特許文献3に開示されている技術ではプリンタ毎にモジュール化されているため、色の組み合わせに柔軟に対応することができない。すなわち、上記特許文献1〜特許文献3の画像形成装置で使用可能な色に加えて更に、例えば、ライトシアン及びライトマゼンタ等も用いた印刷を行いたい場合であっても当該ライトシアン及びライトマゼンタ等を追加することができない等、要求に応じて色を組み合わせることができない場合がある、という問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、要求された構成色の組み合わせに柔軟に対応することができる画像形成装置及び画像形成ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置は、予め定められた複数の色により画像を記録媒体に形成する画像形成部を備え、前記画像形成部は、各々前記複数の色の何れか1つで、かつ互いに異なる色により画像を前記記録媒体に形成するものであり、かつ互いに異なる筐体内に設けられた複数の画像形成ユニットが組み合わされて構成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の画像形成装置によれば、予め定められた複数の色により画像を記録媒体に形成する画像形成部を、各々前記複数の色の何れか1つで、かつ互いに異なる色により画像を前記記録媒体に形成するものであり、かつ互いに異なる筐体内に設けられた複数の画像形成ユニットを組み合わせて構成するものとされているので、予め適用が想定される複数の色の各々に対応した画像形成ユニットを予め用意しておくことにより、要求された構成色の組み合わせに柔軟に対応することができる。
【0011】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記複数の画像形成ユニットによる前記記録媒体に対する画像形成処理の動作を制御する制御手段を更に備えたものとしてもよい。
【0012】
特に、請求項2に記載の発明は、請求項3に記載の発明のように、前記複数の画像形成ユニットの各々が、前記記録媒体に位置合わせマークを形成するマーク形成手段と、当該位置合わせマークを検出する検出手段とを備え、前記制御手段が、前記複数の画像形成ユニットのうち、前記記録媒体の搬送方向最上流側の画像形成ユニットを制御することにより、当該画像形成ユニットに備えられた前記マーク形成手段に対して前記位置合わせマークを前記記録媒体に形成させた後、当該画像形成ユニットを除く前記画像形成ユニットを制御することにより、当該画像形成ユニットに備えられた前記検出手段により検出された前記記録媒体上の前記位置合わせマークを基準として画像を当該記録媒体に形成させるものとしてもよい。
【0013】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記記録媒体の搬送方向最上流側の前記画像形成ユニットよりも上流側に設けられ、当該記録媒体に対して予め定められた処理を行うものであり、かつ前記記録媒体の搬送方向最上流側の前記画像形成ユニットに着脱自在とされた筐体内に設けられた前処理ユニットを更に備えたものとしてもよい。
【0014】
更に、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記記録媒体の搬送方向最下流側の前記画像形成ユニットよりも下流側に設けられ、当該記録媒体に対して予め定められた処理を行うものであり、かつ前記記録媒体の搬送方向最下流側の前記画像形成ユニットに着脱自在とされた筐体内に設けられた後処理ユニットを更に備えたものとしてもよい。
【0015】
一方、上記目的を達成するために、請求項6に記載の画像形成ユニットは、予め定められた複数の色の何れか1つにより画像を記録媒体に形成するものであり、かつ所定の筐体内に設けられ、同種の他の画像形成ユニットと組み合わせ可能に構成されている。
【0016】
従って、請求項6に記載の画像形成ユニットは、本発明の画像形成装置における画像形成ユニットと同様に機能するので、本発明の画像形成装置と同様に、要求された構成色の組み合わせに柔軟に対応することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、予め定められた複数の色により画像を記録媒体に形成する画像形成部を、各々前記複数の色の何れか1つで、かつ互いに異なる色により画像を前記記録媒体に形成するものであり、かつ互いに異なる筐体内に設けられた複数の画像形成ユニットを組み合わせて構成しているので、要求された構成色の組み合わせに柔軟に対応することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成について説明する。
【0020】
同図に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、コントローラ20と、前処理ユニット24と、画像形成部36と、後処理ユニット54と、を含んで構成されている。
【0021】
コントローラ20は、画像形成装置10全体の動作を司るものであり、特に、前処理ユニット24、画像形成部36、及び後処理ユニット54の作動を統括的に制御するマスター制御部としての役割を有する。なお、コントローラ20には、当該コントローラ20による各種処理の実行時におけるワークエリアとして用いられる一方、各種プログラム、パラメータ情報等が予め記憶された記憶部20Aが備えられている。また、コントローラ20は、パーソナル・コンピュータ(以下、「PC」という。)14が接続可能とされており、接続されたPC14との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0022】
一方、前処理ユニット24は、コントローラ20と画像形成部36との間に介在されるものであり、画像形成対象とする記録媒体12に対して予め定められた前処理(本実施の形態では、記録媒体12を画像形成部36に供給する給紙処理。)を実行する役割を有する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、記録媒体12として連続紙(連帳紙)が適用されている。
【0023】
前処理ユニット24は、略直方体形状とされた筐体22に収容された状態で構成されており、当該筐体22の一方の側面(記録媒体12の搬送方向上流側の側面)にはコントローラ20と電気的に接続されるコネクタ32が設けられ、当該側面に対向する他方の側面(記録媒体12の搬送方向下流側の側面)には画像形成部36と電気的に接続するためのコネクタ34が設けられている。また、筐体22の上記他方の側面におけるコネクタ34の上方には、記録媒体12を下流側の装置(ここでは、画像形成部36)に向けて排出する排出口28が設けられている。
【0024】
また、前処理ユニット24には、コネクタ32とコネクタ34との間に介在され、コネクタ32を介したコントローラ20からの制御指示に応じて自身の作動を制御するスレーブ制御部30が備えられている。なお、スレーブ制御部30には、当該スレーブ制御部30による各種処理の実行時におけるワークエリアとして用いられる一方、各種プログラム、パラメータ情報等が予め記憶された記憶部30Aが備えられている。
【0025】
一方、後処理ユニット54は、画像形成部36より記録媒体12の搬送方向下流側に設けられるものであり、画像形成部36から排出された記録媒体12に対して、予め定められた後処理(本実施の形態では、画像形成部36から排出された記録媒体12に形成された画像を当該記録媒体12に定着させた後に排出する定着・排紙処理)を実行する役割を有する。
【0026】
後処理ユニット54は、略直方体形状とされた筐体52に収容された状態で構成されており、当該筐体52の一方の側面(記録媒体12の搬送方向上流側の側面)には上流側の装置(ここでは、画像形成部36)と電気的に接続するためのコネクタ62が設けられ、当該側面に対向する他方の側面(記録媒体12の搬送方向下流側の側面)には下流側の装置(例えば、他の後処理を行う後処理ユニット)と電気的に接続するためのコネクタ64が設けられている。
【0027】
また、筐体52の上記一方の側面におけるコネクタ62の上方には、上記上流側の装置から排出された記録媒体12を後処理ユニット54内に搬入する搬入口56が設けられており、筐体52の上記他方の側面におけるコネクタ64の上方には、後処理ユニット54による処理が施された後の記録媒体12を当該後処理ユニット54の外へ排出する排出口58が設けられている。
【0028】
また、後処理ユニット54には、コネクタ62とコネクタ64との間に介在され、コネクタ62を介したコントローラ20からの制御指示に応じて自身の作動を制御するスレーブ制御部60が備えられている。なお、スレーブ制御部60には、当該スレーブ制御部60による各種処理の実行時におけるワークエリアとして用いられる一方、各種プログラム、パラメータ情報等が予め記憶された記憶部60Aが備えられている。
【0029】
一方、画像形成部36は、本実施の形態に係る画像形成装置10に適用可能なものとして予め用意された複数の画像形成ユニット40から、所望のもののみが選択的に組み合わされて構成されている。
【0030】
ここで、本実施の形態に係る画像形成ユニット40の構成を、図2(A)を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置10に組み込み可能なものとして予め用意されている複数の画像形成ユニット40は、画像形成の対象とする色のみが異なるものであるので、ここでは、1つの画像形成ユニット40のみについて説明する。
【0031】
本実施の形態に係る画像形成ユニット40は、略直方体形状とされた筐体38に収容された状態で構成されており、当該筐体38の一方の側面(記録媒体12の搬送方向上流側の側面)には上流側の装置(ここでは、前処理ユニット24又は他の画像形成ユニット40)と電気的に接続するためのコネクタ48が設けられ、当該側面に対向する他方の側面(記録媒体12の搬送方向下流側の側面)には下流側の装置(ここでは、後処理ユニット54又は他の画像形成ユニット40)と電気的に接続するためのコネクタ50が設けられている。
【0032】
また、筐体38の上記一方の側面におけるコネクタ48の上方には、上記上流側の装置から排出された記録媒体12を画像形成ユニット40内に搬入する搬入口42が設けられており、筐体38の上記他方の側面におけるコネクタ50の上方には、画像形成ユニット40による画像形成処理が施された後の記録媒体12を上記下流側の装置に向けて排出する排出口44が設けられている。
【0033】
また、画像形成ユニット40には、コネクタ48とコネクタ50との間に介在され、コネクタ48を介したコントローラ20からの制御指示に応じて自身の作動を制御するスレーブ制御部46が備えられている。なお、スレーブ制御部46には、当該スレーブ制御部46による各種処理の実行時におけるワークエリアとして用いられる一方、各種プログラム、パラメータ情報等が予め記憶された記憶部46Aが備えられている。また、スレーブ制御部46には、画像形成ユニット40内の各部に駆動用の電力を供給する電源70が備えられている。
【0034】
一方、画像形成ユニット40には、搬入口42から搬入された記録媒体12に対し、電子写真方式にて画像形成処理を行う画像形成エンジン部72が備えられている。
【0035】
画像形成エンジン部72には、図2(A)の矢印F方向へ所定の回転速度で回転駆動する像担持体としての感光体74が配設されている。また、感光体74の周囲には感光体74の表面を一様に帯電させる帯電器76が配設されている。この帯電器76による感光体74への帯電が一連の画像形成工程の初段階となる。更に、感光体74の回転方向に沿って帯電器76の下流側には、帯電器76により一様に帯電された感光体74の主走査方向に配列された複数の発光ダイオード(以下、「LED」という。)から画像情報に基づく照射光を射出し、感光体74上に静電潜像を形成するLEDプリントヘッド78が配設されている。
【0036】
また、感光体74の周囲には、感光体74の回転方向に沿ってLEDプリントヘッド78よりも下流側に、感光体74上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成させる現像器80が配設されている。この現像器80の下流側には、形成されたトナー像を記録媒体12に転写する転写器82が配設されている。トナー像が転写された記録媒体12は排出口44から画像形成ユニット40の外へ排出される。なお、転写器82の下流側には、感光体74上に残留するトナーを除去するクリーニング器84が配設されている。
【0037】
また、画像形成エンジン部72には、トナーを現像器80に供給するトナー供給部86と、クリーニング器84により除去された残留トナーを回収する廃トナー回収ボックス88が備えられている。
【0038】
トナー供給部86には、図2(B)に示すように、垂直方向の位置が同一とされた一対のレーザダイオード86A及びフォトダイオード86Bを含んで構成されたセンサ86Cと、現像器80に供給するトナーが貯留されるトナー貯留ボックス86Dと、が備えられている。
【0039】
センサ86Cは、トナー貯留ボックス86Dの底から予め定められた高さ位置に配設されると共に、スレーブ制御部46と電気的に接続されており、スレーブ制御部46は、レーザダイオード86Aから射出され、かつフォトダイオード86Bにより検出されたレーザビームの光強度の値に応じた電圧値を監視することにより、トナー貯留ボックス86Dに貯留しているトナーの残量が所定量より少なくなったことを把握することができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る画像形成ユニット40には、当該画像形成ユニット40を画像形成装置10に組み込んだときに露出される側面に不図示のスイッチが配設されている。スイッチはスレーブ制御部46と電気的に接続されており、スレーブ制御部46は当該スイッチの状態を常時把握することができる。
【0041】
更に、本実施の形態に係る画像形成ユニット40には、後述する位置合わせマーク16(図4も参照。)を検出する検出センサ92が備えられている。
【0042】
なお、本実施の形態に係る画像形成装置10では、コントローラ20、前処理ユニット24、画像形成ユニット40及び後処理ユニット54の各装置に自身を識別するためのアドレスが予め付与されており、これらの装置は所定情報を他の装置に送信する場合、当該情報に対し送信先の装置に予め付与されたアドレスを示すアドレス情報を付加して送信する。
【0043】
また、本実施の形態に係る前処理ユニット24、画像形成ユニット40、及び後処理ユニット54の各筐体は同一形状で、かつ同一のサイズとされており、各筐体は相互に着脱自在とされている。また、これらのユニットは、画像形成装置10に組み込んだ際に、隣接するユニットにおける記録媒体12の搬入口と排出口とが対応し、隣接するユニットに設けられたコネクタ同士が嵌合されるように、各々の搬入口、排出口、及びコネクタが位置決めされている。
【0044】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10では、図1に示すように、各ユニットの搬入口及び排出口の垂直方向位置が同一とされており、記録媒体12の搬送経路が水平となるように構成されている。
【0045】
次に、図3を参照して、画像形成部36を構成する画像形成ユニット40の組み合わせの例について説明する。
【0046】
図3(A)には、画像形成部36を、K(ブラック)により画像を形成する画像形成ユニット40(40K)、C(シアン)により画像を形成する画像形成ユニット40(40C)、M(マゼンタ)により画像を形成する画像形成ユニット40(40M)、及びY(イエロー)により画像を形成する画像形成ユニット40(40Y)の4つの画像形成ユニット40を組み合わせて構成した場合の一例が示されている。
【0047】
また図3(B)には、画像形成部36を、画像形成ユニット40K、及び画像形成ユニット40Mの2つの画像形成ユニット40を組み合わせて構成した場合の一例が示されている。
【0048】
また図3(C)には、画像形成部36を、画像形成ユニット40K、画像形成ユニット40C、画像形成ユニット40M、画像形成ユニット40Y、及びライトブルーやグリーン等のS(特殊色)により画像を形成する画像形成ユニット40Sの5つの画像形成ユニット40を組み合わせて構成した場合の一例が示されている。
【0049】
なお、画像形成ユニット40の組み合わせはこれらに限らず、これら以外の組み合わせも適用することができることは言うまでもない。
【0050】
また、本実施の形態では、図3(A)に示した画像形成ユニット40の組み合わせが適用されている。
【0051】
一方、画像形成装置10の画像形成部36を構成する画像形成ユニット40では、一例として図4に示すように、記録媒体12の搬送方向最上流に組み込まれた画像形成ユニット(以下、「最上流画像形成ユニット」ともいう。)40は、記録媒体12に画像を形成する際に、当該記録媒体12の幅方向(短手方向)の一端部に位置合わせマーク16をページ毎に画像形成エンジン部72にて形成する。
【0052】
なお、最上流画像形成ユニット40は、感光体74の副走査方向に対する位置合わせを行う際に用いられる位置合わせマーク(以下、「副走査用位置合わせマーク」という。)16A、及び感光体74の主走査方向に対する位置合わせを行う際に用いられる位置合わせマーク(以下、「主走査用位置合わせマーク」という。)16Bの2種類の位置合わせマーク16を、各々所定種類(ここでは、4種類)の濃度毎に形成する。
【0053】
そして、画像形成部36を構成する画像形成ユニット40のうち、最上流画像形成ユニット40を除く画像形成ユニット40は、記録媒体12に形成された上記所定種類の濃度の位置合わせマーク16のうち、予め定められた1種類の濃度の位置合わせマーク16の位置を基準として画像を記録媒体12に形成する。
【0054】
次に、図5〜図8を参照して、画像形成処理を行う際の画像形成装置10の作用を説明する。なお、以下の説明では、コントローラ20をマスターとも表記し、前処理ユニット24、画像形成ユニット40及び後処理ユニット54をスレーブとも表記する。
【0055】
まず、図5を参照して、画像形成処理を行う際のコントローラ20の作用を説明する。なお、図5は、形成すべき画像を示す画像情報がPC14から入力された際にコントローラ20によって実行される画像形成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶部20Aにより予め記憶されている。
【0056】
ユーザは、上記画像形成処理の実行を指示する指示情報を入力するに先立ち、複数の画像形成ユニット40の各々に備えられたスイッチのうち、最上流画像形成ユニット40に備えられたもののみを最上流に設置されていることを示す所定状態に設定し、その後に上記指示情報の入力を行う。これに応じて、マスターでは画像形成処理プログラムの実行が開始される。
【0057】
まず、図5のステップ100では、上記画像情報を画像形成部36に組み込まれた各画像形成ユニット40により画像形成の対象とされている色毎に分離し、分離した各画像情報に対し、対応する画像形成ユニット40のアドレスを付加することにより色別画像情報を作成して、各画像形成ユニット40に送信する。
【0058】
次のステップ102では、上記各画像形成ユニット40からの所定情報(本実施の形態では、後述する画像形成処理終了情報。)の受信待ちを行い、次のステップ103では、記録媒体12の搬送動作を停止する指示を示す搬送停止指示情報を全画像形成ユニット40に送信し、その後に本画像形成処理プログラムを終了する。
【0059】
次に、図6を参照して、画像形成処理を行う際の各画像形成ユニット40の作用を説明する。なお、図6は、マスターから自身に対応する上記色別画像情報が入力された際に各画像形成ユニット40のスレーブ制御部46によって実行される画像形成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶部46Aにより予め記憶されている。
【0060】
まず、図6のステップ150では、記録媒体12の搬送動作を開始するように画像形成ユニット40内の各部に指示し、次のステップ152では、自身が最上流画像形成ユニット40であるか否かを、自身に備えられたスイッチが上記所定状態とされているか否かを判定することにより判定し、肯定判定となった場合はステップ154に移行する。
【0061】
ステップ154では、記録媒体12に位置合わせマーク16を形成するよう画像形成エンジン部72を制御し、次のステップ156では、マスターから送信された色別画像情報により示される画像情報のうち、自身のアドレスが付加されたものによって示される画像を記録媒体12に形成するように画像形成エンジン部72を制御した後、ステップ162に移行する。
【0062】
一方、上記ステップ152において否定判定となった場合はステップ158に移行し、検出センサ92による位置合わせマーク16の検出待ちを行い、次のステップ160では上記ステップ156の処理と同様の処理を実行した後、ステップ162に移行する。
【0063】
ステップ162では、画像形成エンジン部72による画像形成処理の終了待ちを行い、次のステップ164では画像形成処理が終了したことを示す画像形成処理終了情報を、自身に付与されたアドレスを付加して送信した後、ステップ166にて記録媒体12の搬送を停止するように画像形成ユニット40内の各部に指示した後、本画像形成処理プログラムを終了する。
【0064】
なお、上記各画像形成ユニット40のスレーブ制御部46は、上述した搬送停止指示情報が受信された直後に、記録媒体12の搬送動作を停止するよう画像形成ユニット40内の各部に指示する。
【0065】
次に、図7を参照して、エラーが発生した際の各スレーブの作用を説明する。なお、図7は、所定時間(本実施の形態では、0.1秒。)毎に各スレーブのスレーブ制御部により実行されるエラー時動作処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは各スレーブに備えられた記憶部に予め記憶されている。
【0066】
まず、図7のステップ200では、予め定められたエラー(一例として、画像形成ユニット40においてトナー貯留ボックス86Dに貯留しているトナーの残量が所定量より少なくなったこと)が発生したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ202に移行してエラーが発生したことを示すエラー情報を、自身に付与されたアドレスを付加して送信した後にステップ204に移行する一方、否定判定となった場合は何ら処理を行うことなくステップ204に移行する。
【0067】
ステップ204では、マスターから後述するエラー時動作実行指示情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ206に移行して、予め定められたエラー時動作(本実施の形態では、現在行っている動作を強制的に終了させる動作)を行うようにスレーブ内の各部に指示した後、本エラー時動作処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合は何ら処理を行うことなく本エラー時動作処理プログラムを終了する。
【0068】
次に、図8を参照して、エラーが発生した際のマスターの作用を説明する。なお、図8は、所定時間(本実施の形態では、0.1秒。)毎にマスターにより実行されるエラー時動作処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶部20Aに予め記憶されている。
【0069】
まず、図8のステップ250では、スレーブからエラー情報を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ252に移行して、エラー時動作の実行を指示するエラー時動作実行指示情報を全スレーブに対して付加して送信した後、本エラー時動作処理プログラムを終了する一方、否定判定となった場合は何ら処理を行うことなく本エラー時動作処理プログラムを終了する。
【0070】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、予め定められた複数の色により画像を記録媒体に形成する画像形成部(ここでは、画像形成部36)を、各々前記複数の色の何れか1つで、かつ互いに異なる色により画像を前記記録媒体に形成するものであり、かつ互いに異なる筐体内に設けられた複数の画像形成ユニット(ここでは、画像形成ユニット40)を組み合わせて構成しているので、要求された構成色の組み合わせに柔軟に対応することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、形成対象とする画像の色を新たに追加したい場合、当該追加色に対応する画像形成ユニットを画像形成部に組み込むことで当該要求に応えることができる結果、新たに画像形成装置を導入する必要がなく、コストを削減することができると共に省スペース化を図ることができる。また、要求される画像形成に必要のない色に対応する画像形成ユニットが画像形成部に組み込まれている場合、当該画像形成ユニットを当該画像形成部から取り外すことにより当該画像形成ユニットの分だけ画像形成装置の設置スペースを小さくすることができる。
【0072】
また、ユニットを画像形成装置10に追加する場合、設置したい場所にある2つのユニット間のコネクタの接続を外し、当該ユニット間に追加したいユニットを設置した後、追加したユニットのコネクタを隣接される2つのユニットのコネクタと接続する。
【0073】
また、ユニットを画像形成装置10から取り外す場合、取り外したいユニットのコネクタと当該ユニットに隣接する2つのユニットのコネクタの接続を外し、取り外したいユニットを画像形成装置10から取り外した後、当該隣接する2つのユニットのコネクタ間を接続する。
【0074】
また、本実施の形態では、制御手段(ここでは、コントローラ20)により、前記複数の画像形成ユニットによる前記記録媒体に対する画像形成処理の動作が制御されているので、全体的な画像形成処理を統括して行うことができる。
【0075】
特に、本実施の形態では、前記制御手段により、前記複数の画像形成ユニットのうち、前記記録媒体の搬送方向最上流側の画像形成ユニットを制御することにより、当該画像形成ユニットに備えられたマーク形成手段(ここでは、画像形成エンジン部72)に対して前記位置合わせマークを前記記録媒体に形成した後、当該画像形成ユニットを除く前記画像形成ユニットを制御することにより、当該画像形成ユニットに備えられた検出手段(検出センサ92)により検出された前記記録媒体上の前記位置合わせマークを基準として画像を当該記録媒体に形成することにより、画像を形成するタイミングを各ユニットにより分散処理するものとされているので、制御手段の負荷を軽減させることができる。
【0076】
また、本実施の形態では、前記記録媒体の搬送方向最上流側の前記画像形成ユニットよりも上流側に設けられ、当該記録媒体に対して予め定められた処理を行うものであり、かつ前記記録媒体の搬送方向最上流側の前記画像形成ユニットに着脱自在とされた筐体内に設けられた前処理ユニット(ここでは、前処理ユニット24)を更に備えているので、画像形成処理の目的に柔軟に対応することができる画像形成装置を提供することができる。
【0077】
更に、本実施の形態では、前記記録媒体の搬送方向最下流側の前記画像形成ユニットよりも下流側に設けられ、当該記録媒体に対して予め定められた処理を行うものであり、かつ前記記録媒体の搬送方向最下流側の前記画像形成ユニットに着脱自在とされた筐体内に設けられた後処理ユニット(ここでは、後処理ユニット54)を更に備えているので、画像形成処理の目的に柔軟に対応することができる画像形成装置を提供することができる。
【0078】
なお、上記実施の形態では、画像形成装置10に1つの後処理ユニット54を備えた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、互いに異なる処理を実行する複数の後処理ユニットを備える形態とすることもできる。この場合、ユーザの要求に更に柔軟に対応することができる。なお、上記複数の後処理ユニットには、画像形成部36から排出された記録媒体12に所定のコーティング剤を塗布した後に排出する塗布ユニット、及び当該塗布ユニットから排出された記録媒体を裁断する裁断ユニット等を適用することができる。
【0079】
また、上記実施の形態では、ユーザによるスイッチの設定状態に基づいて、ハードウェア的に自身が最上流画像形成ユニット40か否かを判定する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コントローラ20からの指示等に応じてソフトウェア的に判定する形態とすることもできる。この場合も、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
更に、上記実施の形態では、コントローラ20、前処理ユニット24、画像形成ユニット40及び後処理ユニット54の各装置に共通の信号線を介して所定情報を送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、コントローラ20、前処理ユニット24、画像形成ユニット40及び後処理ユニット54の各装置に、これらの装置の各々に対応する専用の信号線を介して所定情報を送信する形態とすることもできる。この場合、上記実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、情報の送信速度を高速化することができる。
【0081】
その他、上記実施の形態で示した画像形成装置10のハードウェア構成(図1及び図2参照。)は一例であり、必要に応じて新たな構成要素を追加したり、不要な構成要素を削除したりすることができることは言うまでもない。
【0082】
また、上記実施の形態で示した位置合わせマークの形成状態(図4参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0083】
更に、上記実施の形態で示した各種プログラムの処理の流れ(図5〜図8参照。)も一例であり、必要に応じて処理手順を変更したり、処理内容を変更したり、不要な処理を削除したりすることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略側面図である。
【図2】実施の形態に係る画像形成ユニットの要部構成を示す概略斜視図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成ユニットの組み合わせ例を示す模式図である。
【図4】実施の形態に係る位置合わせマークを示す平面図である。
【図5】実施の形態に係る画像形成処理プログラム(マスター)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る画像形成処理プログラム(画像形成ユニット)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態に係るエラー時動作処理プログラム(スレーブ)の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施の形態に係るエラー時動作処理プログラム(マスター)の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
12 記録媒体
20 コントローラ(制御手段)
24 前処理ユニット
36 画像形成部
40 画像形成ユニット
54 後処理ユニット
72 画像形成エンジン部(マーク形成手段)
92 検出センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の色により画像を記録媒体に形成する画像形成部を備え、
前記画像形成部は、各々前記複数の色の何れか1つで、かつ互いに異なる色により画像を前記記録媒体に形成するものであり、かつ互いに異なる筐体内に設けられた複数の画像形成ユニットが組み合わされて構成されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の画像形成ユニットによる前記記録媒体に対する画像形成処理の動作を制御する制御手段を更に備えた
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の画像形成ユニットの各々は、前記記録媒体に位置合わせマークを形成するマーク形成手段と、当該位置合わせマークを検出する検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記複数の画像形成ユニットのうち、前記記録媒体の搬送方向最上流側の画像形成ユニットを制御することにより、当該画像形成ユニットに備えられた前記マーク形成手段に対して前記位置合わせマークを前記記録媒体に形成させた後、当該画像形成ユニットを除く前記画像形成ユニットを制御することにより、当該画像形成ユニットに備えられた前記検出手段により検出された前記記録媒体上の前記位置合わせマークを基準として画像を当該記録媒体に形成させる
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記録媒体の搬送方向最上流側の前記画像形成ユニットよりも上流側に設けられ、当該記録媒体に対して予め定められた処理を行うものであり、かつ前記記録媒体の搬送方向最上流側の前記画像形成ユニットに着脱自在とされた筐体内に設けられた前処理ユニットを更に備えた
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体の搬送方向最下流側の前記画像形成ユニットよりも下流側に設けられ、当該記録媒体に対して予め定められた処理を行うものであり、かつ前記記録媒体の搬送方向最下流側の前記画像形成ユニットに着脱自在とされた筐体内に設けられた後処理ユニットを更に備えた
請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
予め定められた複数の色の何れか1つにより画像を記録媒体に形成するものであり、かつ所定の筐体内に設けられ、同種の他の画像形成ユニットと組み合わせ可能に構成された画像形成ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−9296(P2008−9296A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181878(P2006−181878)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】