説明

画像形成装置

【課題】 転写手段と定着手段の間において、画像形成面側に設けられる部材の帯電を抑え、被記録媒体の挙動を安定して制御しうる構成を簡易に実現する。
【解決手段】
レーザプリンタ1は、転写ローラ32と定着器21の間において用紙を搬送しつつ、この用紙に画像を形成するように構成されている。これら転写ローラ32と定着器21の間において、搬送用紙3'の画像形成面側には、ダクト部100が対向配置され、一方、搬送用紙3'の非画像形成面側には、ガイド部材110が対向配置されている。そして、ダクト部100には、板状の金属部材にて構成された導電性を有する第1導電性部材102が設けられており、他方、ガイド部材110には、板状の金属部材にて構成された導電性を有する第2導電性部材112が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザプリンタにおいて、転写手段と定着手段との間の搬送経路における用紙(被記録媒体)の非画像形成面側に導電性部材を設けた構成が提供されている。例えば特許文献1では、非画像形成面側に配置された搬送ガイド(ガイド部材)にアース(接地)された導電性部材(搬送板金)が設けられる構成が開示されている。この構成によれば、転写時に電荷を帯びた用紙(被記録媒体)とその用紙の非画像形成面側に配置された搬送ガイド(ガイド部材)との間に適度な電位差を生じさせることができるため、用紙を安定して搬送できることとなる。
【特許文献1】特開2002−328552公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、現在において画像形成装置の分野では、小型化の要請が強まっており、この要請を満たすべく装置全体の小型化を実現しようとすると、各種部品をより密に配置する必要があり、転写手段と定着手段の間に構成される搬送経路の付近においても各種部材が集中することとなる。このような状況にあっては、各種部材が電荷を帯びてしまうと、単に非画像形成面側の部材のみ接地するという従来の構成では、搬送される被記録媒体の挙動を安定して制御できないという問題がある。即ち、小型化を図ろうとした場合、非画像形成面側のみならず、画像形成面側の部材についても搬送される被記録媒体とより近づけて配置する必要があるため、この画像形成面側の部材の帯電が被記録媒体の挙動に影響を及ぼしやすくなってしまうという問題が新たに生じる。
【0004】
本発明は上記のような事情に基づいてなされたものであって、転写手段と定着手段の間において、画像形成面側に設けられる部材の帯電が被記録媒体に作用するのを抑え、被記録媒体の挙動を安定して制御しうる構成を簡易に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、像担持体と、前記像担持体に担持された現像剤像を搬送される被記録媒体の画像形成面側に転写するための転写手段と、前記被記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、前記転写手段によって転写された前記現像剤像を前記被記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、前記転写手段と前記定着手段との間に位置し、搬送される前記被記録媒体の画像形成面側に対向配置される画像形成面側部材と、前記転写手段と前記定着手段との間に位置し、搬送される前記被記録媒体の画像形成面とは反対面側に対向配置される非画像形成面側部材と、を備え、前記画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第1導電性部材を有することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1導電性部材は、搬送される前記被記録媒体に直接対向するように配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置において、前記第1導電性部材は、前記画像形成面側部材の外面の少なくとも一部を被覆するように設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置において、当該画像形成装置の内部の空気を外部に排出するダクト部を有し、前記ダクト部により、前記画像形成面側部材の少なくとも一部が構成されており、当該ダクト部に前記第1導電性部材が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記像担持体を帯電させる帯電器を有し、前記ダクト部は、少なくとも前記帯電器内の空気を排出可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記画像形成面側部材は、前記被記録媒体の搬送方向において前記転写手段による転写位置よりも下流側の位置に、前記転写位置を通過した前記被記録媒体の後端部が当該画像形成面側部材側に引き付けられることを当接によって抑制する引付抑制部を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記引付抑制部は、搬送される前記被記録媒体の幅方向両端部と対向する位置において、前記被記録媒体と対向する方向に突出する第1突出部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記第1突出部は、前記被記録媒体の幅方向両端側から中央側につれ突出量が次第に小さくなるように突出していることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置において、前記第1突出部は、搬送される被記録媒体側に面し、かつ前記被記録媒体の画像形成面に対して傾斜するように構成される傾斜面を有し、前記傾斜面は、前記搬送方向の下流側かつ前記幅方向の両端側に向かうにつれて搬送される前記被記録媒体に次第に近接するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記引付抑制部は、搬送される前記被記録媒体の幅方向において前記第1突出部よりも中央側の位置に、前記被記録媒体の搬送方向に延びるリブ状の第2突出部を有していることを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、前記第2突出部と搬送される前記被記録媒体との距離は、前記第1突出部と搬送される前記被記録媒体との距離よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、請求項10又は請求項11に記載の画像形成装置において、前記第2突出部は複数設けられ、その複数の前記第2突出部が、搬送される前記被記録媒体の幅方向において互いに間隔をあけて設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明は、請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第2突出部は、前記被記録媒体の搬送方向に沿って線状に構成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項14の発明は、請求項6ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記引付抑制部は、前記被記録媒体の搬送方向において前記第1導電性部材よりも上流側に設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項15の発明は、請求項6ないし請求項14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記像担持体を備え、かつ当該画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されるプロセスカートリッジを有し、前記プロセスカートリッジの一部が、前記画像形成面側部材の少なくとも一部として構成され、前記引付抑制部は、前記プロセスカートリッジの筐体に設けられていることを特徴とする。
【0020】
請求項16の発明は、請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の画像形成装置において、回転可能に構成され、かつ前記被記録媒体と当接して前記被記録媒体を送り出す給紙ローラと、前記像担持体に付着した紙粉を除去する紙粉除去装置と、を更に備え、前記紙粉除去装置の筐体が、前記画像形成面側部材の少なくとも一部として構成されており、前記紙粉除去装置の筐体には、搬送される前記被記録媒体の幅方向における前記給紙ローラに対応する部分にのみ、紙粉を受ける樹脂フィルムが、一部を突出させた状態で取り付けられていることを特徴とする。
【0021】
請求項17の発明は、請求項16に記載の画像形成装置において、記樹脂フィルムにおける前記紙粉除去装置の筐体から突出する突出部において、粘着層が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項18の発明は、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の画像形成装置において、前記非画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第2導電性部材を有していることを特徴とする。
【0023】
請求項19の発明は、請求項18に記載の画像形成装置において、記第2導電性部材は、搬送される前記被記録媒体に直接対向するように配置されていることを特徴とする。
【0024】
請求項20の発明は、請求項18又は請求項19に記載の画像形成装置において、記第2導電性部材は、前記非画像形成面側部材の外面の少なくとも一部を被覆するように設けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項21の発明は、請求項18ないし請求項20のいずれかに記載の画像形成装置において、前記非画像形成面側部材は、前記転写手段から前記定着手段に向かって延びるガイド部材を備えたことを特徴とする。
【0026】
請求項22の発明は、請求項21に記載の画像形成装置において、前記ガイド部材は、搬送方向に沿って延びる複数のガイドリブを有しており、前記第2導電性部材の少なくとも一部が、前記被記録媒体の搬送方向において、前記ガイドリブの上流側端部と同位置、又は前記上流側端部よりもさらに上流側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項23の発明は、請求項18ないし請求項22のいずれかに記載の画像形成装置において、前記像担持体を備え、かつ当該画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジを有し、前記プロセスカートリッジの一部が、前記画像形成面側部材の少なくとも一部として構成され、前記非画像形成面側部材において、前記第2導電性部材の少なくとも一部が、前記プロセスカートリッジと対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【0028】
請求項24の発明は、請求項18ないし請求項23のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写手段を収容する転写手段収容部を備え、前記第2導電性部材は、前記転写手段又は前記転写手段収容部に隣接して配置されていることを特徴とする。
【0029】
請求項25の発明は、請求項18ないし請求項24のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第2導電性部材と搬送される前記被記録媒体との距離よりも、前記第1導電性部材と搬送される前記被記録媒体との距離のほうが大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0030】
請求項26の発明は、請求項18ないし請求項25のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第2導電性部材は、板状の金属部材によって構成されていることを特徴とする。
【0031】
請求項27の発明は、請求項1ないし請求項26のいずれかに記載の画像形成装置において、前記第1導電性部材は、板状の金属部材によって構成されていることを特徴とする。
【0032】
請求項28の発明は、請求項1ないし請求項27のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写手段による転写位置と前記定着手段との間における前記第1導電性部材よりも前記転写位置寄りの位置に、前記被記録媒体が帯びている電荷を低減させる電荷低減手段が設けられていることを特徴とする。
【0033】
請求項29の発明は、請求項28に記載の画像形成装置において、前記電荷低減手段は、前記被記録媒体と接触可能な位置に設けられていることを特徴とする。
【0034】
請求項30の発明は、請求項28又は請求項29に記載の画像形成装置において、前記像担持体は回転可能に構成され、前記転写手段は、前記像担持体の外周面と対向配置されており、前記転写手段における前記像担持体との対向位置が転写位置とされており、前記電荷低減手段の先端は、前記像担持体の回転軸線と前記転写位置とを結ぶ平面と直交し、かつ前記転写位置を通る直交平面と一致する位置、又は前記直交平面から離隔する方向へ離れた位置に設けられていることを特徴とする。
【0035】
請求項31の発明は、請求項28ないし請求項30のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷低減手段は、被記録媒体の搬送経路と交差する方向に突出して設けられていることを特徴とする。
【0036】
請求項32の発明は、請求項28ないし請求項31のいずれかに記載の画像形成装置において、前記電荷低減手段は、前記被記録媒体に対向する、複数の糸状部又は複数の先鋭部を有してなる被記録媒体対向部を備えたことを特徴とする。
【0037】
請求項33の発明は、請求項32に記載の画像形成装置において、前記被記録媒体対向部を接地手段に接続するための導電性を有する接続手段を備えたことを特徴とする。
【0038】
請求項34の発明は、請求項28ないし請求項33のいずれかに記載の画像形成装置において、前記非画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第2導電性部材と、前記転写手段から前記定着手段に向かって延びるガイド部材と、を備え、前記ガイド部材には、前記被記録媒体の搬送方向に沿って延びる複数のガイドリブが設けられており、前記電荷低減手段は、前記被記録媒体の搬送方向において、前記ガイドリブの上流側端部よりもさらに上流側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0039】
請求項35の発明は、請求項28ないし請求項34のいずれかに記載の画像形成装置において、記非画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第2導電性部材を有しており、前記電荷低減手段は、前記第2導電性部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0040】
請求項36の発明は、請求項28ないし請求項35のいずれかに記載の画像形成装置において、前記非画像形成面側部材は、前記転写手段から前記定着手段に向かって延びるガイド部材を備え、前記ガイド部材は、前記電荷低減手段を位置決めする位置決め部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば、転写手段と定着手段の間に構成される画像形成面側部材に導電性を有しかつ接地された第1導電性部材が設けられているため、この第1導電性部材を含む画像形成面側部材の電位が零に近づく。このため、画像形成装置の小型化によって画像形成面側部材が搬送される被記録媒体に近づけて配置されても、画像形成面側の電位を一定に制御して、被記録媒体の挙動を安定化させることができる。特に、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、搬送される被記録媒体の画像形成面側に帯電器が配置され、非画像形成面側に転写手段が配置される。帯電器には、通常、転写手段に印加されるバイアスとは逆極性のバイアスが印加されるため、転写後の被記録媒体は画像形成面側部材に引き付けられ易いが、第1導電性部材を接地してその電位を零とすることにより、第1導電性部材を含む画像形成面側部材と搬送される被記録媒体との電位差を小さくして、被記録媒体の画像形成面側部材への引き付けを防止できる。
【0042】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、画像形成面側部材において、被記録媒体に対してより影響を及ぼしやすい被記録媒体に直接対向する部分の電位を零に近づけることができるため、搬送される被記録媒体の挙動がより一層安定しやすくなる。
【0043】
<請求項3の発明>
請求項3の構成によれば、簡易な構成にて画像形成面側部材の表面を零に近づけることができる。
【0044】
<請求項4の発明>
請求項4のように、画像形成装置内部の空気を外部に排出するダクト部を設けるようにすれば、画像形成装置の内部を清浄に保つことのできる構成となる。
【0045】
<請求項5の発明>
請求項5のように、帯電器内の空気をダクト部によって排出する構成とすると、帯電器内を清浄に保つことができて有用であるが、その一方で、帯電器からの空気の影響を受けてダクト部が帯電しやすくなってしまう問題がある。通常、帯電器には、転写バイアスとは逆極性のバイアスが印加されるため、転写バイアスと同極性に帯電した被記録媒体はそのダクト部側に引き付けられることとなる。しかしながら、請求項5の構成では、このようなダクト部において、第1導電性部材を接地した状態で設けているため、帯電器内を清浄に保つ構成を実現しつつ、ダクト部への被記録媒体の引き付けを効果的に抑えることができる。
【0046】
<請求項6の発明>
被記録媒体は転写位置を通過すると、被記録媒体の後端部は像担持体の支持から開放されて画像形成面側が拘束されないフリーな状態となる。この状態では、被記録媒体の後端部が画像形成面側部材に引き付けられる虞があるが、請求項6の構成では、引付抑制部が設けられ、この引付抑制部の当接により、被記録媒体の後端部が画像形成面側部材へ向かう移動を拘束できるため、被記録媒体の挙動がより一層安定することとなる。
【0047】
<請求項7の発明>
請求項7の構成によれば、第1突出部によって被記録媒体の幅方向両端部が支持されることとなるため、被記録媒体において画像が形成される幅方向中央側の部分に影響を及ぼしにくく、かつ被記録媒体の引き付けを効果的に防止できる構成となる。
【0048】
<請求項8の発明>
請求項8の構成によれば、第1突出部が、被記録媒体の幅方向両端部において、両端側から中央側につれ突出量が次第に小さくなるように構成されているため、被記録媒体において画像が形成される幅方向中央側の部分に与える影響をより一層低減でき、形成される画像の品質を一層高めることができる。
【0049】
<請求項9の発明>
請求項9の構成によれば、幅方向両端部に設けられる第1突出部において、搬送方向の下流側かつ幅方向の両端側に向かうにつれて搬送される被記録媒体に次第に近接するように傾斜面が構成されているため、被記録媒体の両端部を支持可能としつつ、第1突出部の突出が被記録媒体の搬送を阻害しにくい構成となる。
【0050】
<請求項10の発明>
請求項10の構成によれば、第1突出部に加え、被記録媒体の搬送方向に延びるリブ状の第2突出部が設けられているため、画像形成にあまり影響を与えることなく被記録媒体の中央側の部分においても引き付けを防止できることとなる。
【0051】
<請求項11の発明>
請求項11の構成によれば、突出量の大きい第1突出部によって主たる支持がなされ、第2突出部による支持は第1突出部に比べて抑えられる。従って、第2突出部が被記録媒体の画像形成に与える影響を極力抑えることができる。
【0052】
<請求項12の発明>
請求項12の構成によれば、複数の支持位置が構成されるため、被記録媒体の引き付けをより安定して抑制でき、かつ、第2突出部が幅方向において間隔をあけて設けられているため、連続的に第2突出部を設けるような場合と比較して画像への影響がより抑えられることとなる。
【0053】
<請求項13の発明>
請求項13の構成によれば、第2突出部が被記録媒体の搬送方向に沿って線状に構成されているため、より一層画像への影響を抑えることができる。
【0054】
<請求項14の発明>
請求項14の構成によれば、被記録媒体の搬送方向において第1導電性部材よりも上流側に引付抑制部が設けられており、第1導電性部材が設けられた部分のみならず、転写手段と第1導電性部材が設けられた部分の間の領域においても被記録媒体がスムーズに搬送されることとなる。
【0055】
<請求項15の発明>
請求項15の構成によれば、像担持体を備えたプロセスカートリッジの筐体に引付抑制部が設けられており、像担持体と転写手段とにより形成される転写位置に近接してより引き付け現象が生じやすいプロセスカートリッジの筐体において効果的に引き付けを防止できる。
【0056】
<請求項16の発明>
紙粉除去装置の筐体に紙粉落下防止用の樹脂フィルムを配置すると紙粉を効果的に除去できるが、その一方で、樹脂フィルムの帯電が問題となる。しかしながら、請求項16のように、紙粉が発生しやすい給紙ローラに対応する部分のみに樹脂フィルムを配置すれば、帯電を抑えつつ紙粉を効果的に除去できることとなる。
【0057】
<請求項17の発明>
請求項17の構成によれば、簡易な構成にて紙粉の除去効果をより一層高めることができる。
【0058】
<請求項18の発明>
請求項18の構成によれば、転写手段と定着手段の間に構成される画像形成面とは反対面側の非画像形成面側部材に、接地された第2導電性部材が設けられているため、画像形成面側のみならず非画像形成面側についても第2導電性部材を含む非画像形成面側部材の電位を零に近づけることができる。通常、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、転写手段は搬送される被記録媒体の非画像形成面側に設けられ、非画像形成面側部材は転写バイアスと同極性に帯電しやすくなり、搬送される被記録媒体の挙動は不安定になりがちである。しかし、第2導電性部材を接地してその電位を零とすることにより、第2導電性部材を含む非画像形成面側部材と搬送される被記録媒体との間に電位差を生じさせて、被記録媒体を引き付け、その挙動を安定化させることができる。なお、この際、被記録媒体の非画像形成面側が引き付けられるため、画像品質への影響はない。
【0059】
<請求項19の発明>
請求項19の構成によれば、非画像形成面側部材において、被記録媒体に対して影響を及ぼしやすい被記録媒体に直接対向する部分の電位を零に近づけることができるため、搬送される被記録媒体の挙動がより一層安定しやすくなる。
【0060】
<請求項20の発明>
請求項20の構成によれば、簡易な構成にて非画像形成面側部材の表面の電位を零に近づけることができる。
【0061】
<請求項21の発明>
請求項21の構成によれば、ガイド部材によって被記録媒体をスムーズに搬送でき、かつ第2導電性部材により帯電に起因する被記録媒体の乱れを防ぐことができるため、被記録媒体の挙動がより一層安定することとなる。
【0062】
<請求項22の発明>
請求項22の構成によれば、ガイドリブによって被記録媒体の搬送の安定化が図られ、その一方で、そのガイドリブの上流側端部に至るまで第2導電性部材が配されているため、被記録媒体が上流側端部で電荷の作用を受けることなくスムーズにガイドリブ側に移行することとなる。
【0063】
<請求項23の発明>
請求項23の構成によれば、プロセスカートリッジと非画像形成面側部材との間を被記録媒体がスムーズに通過する構成となる。
【0064】
<請求項24の発明>
請求項24の構成によれば、転写手段又は転写手段収容部に隣接する位置に第2導電性部材が設けられているため、転写手段近傍において被記録媒体の挙動の安定化が図られ、転写手段から非画像形成面側部材側に被記録媒体がスムーズに移行する構成となる。
【0065】
<請求項25の発明>
請求項25の構成によれば、第1導電性部材よりも第2導電性部材のほうが搬送される被記録媒体に近い構成となるため、第1導電性部材側よりも第2導電性部材側の方が被記録媒体を引き付ける力が強くなる。従って、画像形成面が効果的に保護されることとなり、画像品質を高精度に保つことができる。
【0066】
<請求項26の発明>
請求項26の構成によれば、第2導電性部材を簡易にかつ安価に構成できる。
【0067】
<請求項27の発明>
請求項27の構成によれば、第1導電性部材を簡易にかつ安価に構成できる。
【0068】
<請求項28の発明>
請求項28の構成によれば、転写直後に被記録媒体の電荷を低減できることとなるため、搬送される被記録媒体の挙動をより一層安定させることができる。
【0069】
<請求項29の発明>
請求項29のようにすれば、効率的に電荷を低減できる構成となる。
【0070】
<請求項30の発明>
請求項30の構成によれば、転写位置から被記録媒体が向かう延長方向に対して電荷低減手段が大幅に交差しないように配置されることとなるため、電荷低減時に被記録媒体に衝撃が生じにくい構成となる。
【0071】
<請求項31の発明>
請求項31のように、電荷低減手段を搬送経路と交差する方向に突出するように設けると、搬送経路に沿うように電荷低減手段を配置するような構成と比較して、電荷低減手段が被記録媒体と対向する時間が短くなる。従って、電荷をある程度低減可能としつつそれほど急激に電荷が除去され難い構成となる。
【0072】
<請求項32の発明>
請求項32の構成によれば、電荷をある程度低減可能であり、かつ電荷が一気に除去され難い好適な構成となる。
【0073】
<請求項33の発明>
請求項33の構成によれば、被記録媒体から電荷を急激に除去せずに、ある程度安定して低減できる構成となる。
【0074】
<請求項34の発明>
転写手段と定着手段の間に構成される画像形成面とは反対面側の非画像形成面側部材に、接地された第2導電性部材が設けられているため、画像形成面側のみならず非画像形成面側についても第2導電性部材を含む非画像形成面側部材の電位を零に近づけることができる。通常、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、転写手段は搬送される被記録媒体の非画像形成面側に設けられ、非画像形成面側部材は転写バイアスと同極性に帯電しやすくなり、搬送される被記録媒体の挙動は不安定になりがちである。しかし、第2導電性部材を接地してその電位を零とすることにより、第2導電性部材を含む非画像形成面側部材と搬送される被記録媒体との間に電位差を生じさせて、被記録媒体を引き付け、その挙動を安定化させることができる。なお、この際、被記録媒体の非画像形成面側が引き付けられるため、画像品質への影響はない。
一方、このような構成をとると、第2導電性部材が被記録媒体を引き付ける際に、被記録媒体がガイドリブに強く接触する虞がある。そしてこのように、被記録媒体がガイドリブに強く接触すると、被記録媒体には、接触時の振動により被記録媒体に転写された現像剤像に乱れが生じやすくなってしまう。また、被記録媒体がガイドリブに強く接触すると、ガイドリブ接触時に被記録媒体から電荷が一気に除去され、被記録媒体に転写された現像剤像に乱れが生じやすくなってしまう。
このような問題に対し、請求項34の構成によれば、被記録媒体がガイドリブに接触する前に、電荷低減手段によって被記録媒体が帯びる電荷をある程度減少させておくことができるため、被記録媒体とガイドリブとの接触の程度は極めて軽くなる。従って、ガイドリブ接触時の衝撃(振動)と急激な電荷除去が重なるようなことがなく、ガイドリブ接触時の画像の乱れを効果的に防止できることとなる。
【0075】
<請求項35の発明>
請求項35の構成によれば、電荷低減手段を、第2導電性部材を介して接地することができ、電荷低減手段を接地する際の特別な装置を不要とすることができる。
【0076】
<請求項36の発明>
請求項36の構成によれば、ガイド部材に対して電荷低減手段が安定的に位置決めされることとなる。従って、ガイド部材にガイドされながら搬送される被記録媒体と電荷低減手段とが離れすぎたり、過度に接触するようなことを防ぐことができ、被記録媒体から電荷を安定的に低減できることとなる。また、電荷低減手段を装置本体に取り付ける際の取付誤差をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について説明する。
1.全体構成
まず、図1ないし図4を参照して本実施形態に係るレーザプリンタの全体構成について説明する。図1は、本発明の画像形成装置としてのレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図である。図2は、プロセスカートリッジのうち現像カートリッジを除いた部分を示す平面図であり、図3はその側面図である。また、図4は、レーザプリンタにおけるプロセスカートリッジ、ダクト、及びガイド部材の配置を示す斜視図である。
【0078】
このレーザプリンタ1は、本体ケーシング2と、その本体ケーシング2内に収容される、被記録媒体としての用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0079】
本体ケーシング2の一方側の側壁には、後述するプロセスカートリッジ20を着脱するための着脱口6が形成されており、その着脱口6を開閉するためのフロントカバー7が設けられている。このフロントカバー7は、その下端部に挿通されたカバー軸(図示せず)に回動自在に支持されている。これによって、フロントカバー7をカバー軸を中心として閉じると、図1に示すように、フロントカバー7によって着脱口6が閉鎖され、フロントカバー7をカバー軸を支点として開くと(傾倒させると)、着脱口6が開放され、この着脱口6を介して、プロセスカートリッジ20を本体ケーシング2に対して着脱させることができる。なお、レーザプリンタ1においてプロセスカートリッジ20以外の本体部分が装置本体1aである。本実施形態では、感光体29等各種部品を備えたプロセスカートリッジ20が、装置本体1aに対して着脱可能に構成されており、プロセスカートリッジ20の具体的な構成については後述する。
【0080】
なお、本実施形態では、図1におけるフロントカバー7が設けられる側を「前側」とし、その反対側を「後側」とする。また、以下の説明では、レーザプリンタ1の前後方向をX軸方向、レーザプリンタ1の高さ方向をY軸方向とし、さらに搬送される用紙の幅方向をZ軸方向とする。
【0081】
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱可能に装着される給紙トレイ9と、給紙トレイ9の前端部の上方に設けられる給紙ローラ10および分離パッド11と、給紙ローラ10の後側に設けられるピックアップローラ12と、給紙ローラ10の前側下方において対向配置されるピンチローラ13と、給紙ローラ10の前側上方において対向配置される紙粉取りローラ8と、給紙ローラ10の後側上方に設けられるレジストローラ14とを備えている。
【0082】
給紙トレイ9の内部には、用紙3を積層状に載置可能な用紙押圧板15が備えられている。この用紙押圧板15は、後端部において揺動可能に支持されることによって、前端部が下方に配置され、給紙トレイ9の底板16に沿う載置位置と、前端部が上方に配置され、傾斜する搬送位置とに揺動可能とされている。
【0083】
また、給紙トレイ9の前端部には、用紙押圧板15の前端部を上方に持ち上げるためのレバー17が設けられている。このレバー17は、用紙押圧板15の前側から下側へ回り込むように断面略L字状に形成されており、その上端部が、給紙トレイ9の前端部に設けられたレバー軸18に取り付けられ、その後端部が、用紙押圧板15の前端部の下面に当接している。これによって、レバー軸18に図中時計回りの回転駆動力が入力されると、レバー17がレバー軸18を支点として回転し、レバー17の後端部が用紙押圧板15の前端部を持ち上げ、用紙押圧板15を搬送位置に位置させる。なお、符号15'は、用紙押圧板が持ち上げられた状態を示すものである。
【0084】
用紙押圧板15が搬送位置に位置されると、用紙押圧板15上の用紙3は、ピックアップローラ12に押圧され、ピックアップローラ12の回転によって、給紙ローラ10と分離パッド11との間に向けて搬送開始される。
【0085】
一方、給紙トレイ9を本体ケーシング2から離脱させると、用紙押圧板15は、その自重によって、前端部が下方に移動し、用紙押圧板15が載置位置に位置される。用紙押圧板15が載置位置に位置されると、用紙押圧板15上に用紙3を積層状に載置することができる。
【0086】
ピックアップローラ12によって給紙ローラ10と分離パッド11との間に向けて送り出された用紙3は、給紙ローラ10の回転によって、給紙ローラ10と分離パッド11との間に挟まれたときに、確実に1枚ごとに捌かれて給紙される。給紙された用紙3は、給紙ローラ10とピンチローラ13との間を通り、紙粉取りローラ8によって、紙粉が取り除かれた後、レジストローラ14に搬送される。
【0087】
レジストローラ14は、1対のローラから構成され、用紙3を、レジスト後に、後述する感光体29と転写ローラ32との間であって、感光体29上のトナー像(トナー像が現像剤像に相当する)を用紙3に転写する転写位置に搬送する。感光体29は、特許請求の範囲でいう像担持体に相当する。
【0088】
画像形成部5は、スキャナ部19、プロセスカートリッジ20、定着器21などを備えている。
【0089】
スキャナ部19は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図示しないレーザ光源、回転駆動されるポリゴンミラー22、fθレンズ23、反射鏡24、レンズ25および反射鏡26などを備えている。レーザ光源から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー22で偏向されて、fθレンズ23を通過した後、反射鏡24によって光路が折り返され、さらにレンズ25を通過した後、反射鏡26によってさらに光路が下方に屈曲されることにより、プロセスカートリッジ20の後述する感光体29のドラム本体34の表面上に照射される。
【0090】
プロセスカートリッジ20は、スキャナ部19の下方において、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されている。このプロセスカートリッジ20は、筐体として、上フレーム27と、上フレーム27と別体に形成されて、上フレーム27と組み合わされる下フレーム28とを備えている。また、プロセスカートリッジ20は、筐体内に、感光体29、帯電器としてのスコロトロン型帯電器30(以下、単に帯電器30ともいう)、現像カートリッジ31、転写ローラ32、およびクリーニングブラシ33を備えている。
【0091】
感光体29は、円筒形状をなし、最表層がポリカーボネートなどからなる正帯電性の感光層により形成されるドラム本体34と、このドラム本体34の軸心において、ドラム本体34の長手方向に沿って延びる金属製のドラム軸35とを備えている。図2ないし図4に示すように、ドラム軸35が上フレーム27に支持され、このドラム軸35に対してドラム本体34が回転自在に支持されることにより、感光体29は、上フレーム27において、ドラム軸35を中心に回転自在に設けられている。
【0092】
図1に示すように、スコロトロン型帯電器30は、上フレーム27に支持されており、感光体29の後側斜め上方において、感光体29と接触しないように所定間隔を隔てて、感光体29と対向配置されている。このスコロトロン型帯電器30は、放電ワイヤ37と、感光体29の軸方向に所定間隔を隔てて対向配置された対向電極38a、38aと、放電ワイヤ37と感光体29との間に設けられ、放電ワイヤ37から感光体29への放電量を制御するグリッド電極38bとを備えている。このスコロトロン型帯電器30では、対向電極38a、38a、及びグリッド電極38bにバイアス電圧を印加すると同時に、放電ワイヤ37に高電圧を印加して、放電ワイヤ37をコロナ放電させることにより、感光体29の表面を一様に正極性に帯電させることができる。
【0093】
なお、このスコロトロン型帯電器30には、放電ワイヤ37をクリーニングするためのワイパ36が、放電ワイヤ37を挟持するように設けられている。
【0094】
図1、図4に示すように、現像カートリッジ31は、後側が解放されるボックス状に形成され、下フレーム28に対して着脱自在に装着されている。図1に示すように、この現像カートリッジ31内には、トナー収容室39、供給ローラ40、現像ローラ41および層厚規制ブレード42が設けられている。
【0095】
トナー収容室39は、仕切板43によって仕切られる現像カートリッジ31の前側の内部空間として形成されている。トナー収容室39内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが充填されている。このトナーとしては、重合性単量体、たとえば、スチレンなどのスチレン系単量体や、アクリル酸、アルキル(C1〜C4)アクリレート、アルキル(C1〜C4)メタアクリレートなどのアクリル系単量体を、懸濁重合などによって共重合させることにより得られる重合トナーが用いられている。このような重合トナーは、略球状をなし、流動性が極めて良好であり、高画質の画像形成を達成することができる。
【0096】
なお、このようなトナーには、カーボンブラックなどの着色剤やワックスなどが配合され、また、流動性を向上させるために、シリカなどの外添剤が添加されている。トナーの平均粒径は、約6〜10μmである。
【0097】
また、トナー収容室39内には、アジテータ44が設けられている。トナー収容室39内のトナーは、アジテータ44により攪拌されて、仕切板43の下方において前後方向に連通する開口部45から供給ローラ40に向かって放出される。
【0098】
供給ローラ40は、開口部45の後側に配置されて、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。この供給ローラ40は、金属製のローラ軸を、導電性の発泡材料からなるローラで被覆することにより構成されている。この供給ローラ40は、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0099】
現像ローラ41は、供給ローラ40の後側において、供給ローラ40と互いに圧縮されるように接触した状態で、現像カートリッジ31に回転可能に支持されている。また、現像ローラ41は、現像カートリッジ31が下フレーム28に装着された状態で、感光体29に対向して接触する。この現像ローラ41は、金属製のローラ軸96(図1では図示略、図4参照)を、導電性のゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されている。図4に示すように、ローラ軸96は、現像カートリッジ31の後端部において、その両端部が現像カートリッジ31の側面から前後方向と直交する幅方向外方に突出している。現像ローラ41のローラは、カーボン微粒子などを含む導電性のウレタンゴムまたはシリコーンゴムからなるローラ本体の表面に、フッ素が含有されているウレタンゴムまたはシリコーンゴムのコート層が被覆されている。現像ローラ41には、現像時に現像バイアスが印加される。また、現像ローラ41は、図示しないモータからの動力の入力により、供給ローラ40と同じ方向に回転駆動される。
【0100】
層厚規制ブレード42は、図1に示すように、金属の板ばね材からなるブレード本体46の先端部に、絶縁性のシリコーンゴムからなる断面半円形状の押圧部47を備えている。この層厚規制ブレード42は、現像ローラ41の上方において現像カートリッジ31に支持されて、押圧部47がブレード本体46の弾性力によって現像ローラ41上に圧接されている。
【0101】
開口部45から放出されたトナーは、供給ローラ40の回転により、現像ローラ41に供給され、このとき、供給ローラ40と現像ローラ41との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ41上に供給されたトナーは、現像ローラ41の回転に伴って、層厚規制ブレード42の押圧部47と現像ローラ41との間に進入し、ここでさらに帯電されて一定厚さの薄層として現像ローラ41上に担持される。
【0102】
転写ローラ32は、特許請求の範囲でいう転写手段に相当するものであり、感光体29に担持されたトナー像を用紙に転写するように構成されている。この転写ローラ32は、下フレーム28に回転自在に支持されており、上フレーム27と下フレーム28とが組み合わされた状態において、感光体29と上下方向において対向して接触し、感光体29との間にニップを形成するように配置されている。この転写ローラ32は、金属製の軸部材32aを、導電性のゴム材料からなるローラ32bで被覆することにより構成されている。転写ローラ32には、転写時に負極性の転写バイアスが印加される。また、転写ローラ32は、図示しないモータからの動力の入力により、感光体29と反対方向に回転駆動される。なお、転写バイアスとしては、帯電器30に印加されるバイアスとは逆極性のバイアスが印加される。
【0103】
クリーニングブラシ33は、下フレーム28に取り付けられており、上フレーム27と下フレーム28とが組み合わされた状態において、感光体29の後側において、感光体29と対向して接触するように配置されている。
【0104】
感光体29の表面は、その感光体29の回転に伴って、まず、スコロトロン型帯電器30により一様に正帯電された後、スキャナ部19からのレーザビームの高速走査により露光され、用紙3に形成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。
【0105】
次いで、現像ローラ41の回転により、現像ローラ41上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光体29に対向して接触するときに、感光体29の表面上に形成されている静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光体29の表面のうち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給される。これにより、感光体29の静電潜像は、可視像化され、感光体29の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
【0106】
その後、感光体29の表面上に担持されたトナー像は、図1に示すように、レジストローラ14によって搬送されてくる用紙3が、感光体29と転写ローラ32との間の転写位置P1を通る間に、転写ローラ32に印加される転写バイアスによって、用紙3に転写される。トナー像が転写された用紙3は、定着器21に搬送される。
【0107】
なお、転写後に感光体29上に残存する転写残トナーは、現像ローラ41に回収される。また、転写後に感光体29上に付着する用紙3からの紙粉は、クリーニングブラシ33によって回収される。
【0108】
定着器21は、特許請求の範囲でいう定着手段に相当するものであり、転写ローラ32によって転写されたトナー像(現像剤像)を用紙(被記録媒体)に定着させるものである。この定着器21は、プロセスカートリッジ20の後側に設けられ、定着フレーム48と、その定着フレーム48内に、加熱ローラ49および加圧ローラ50とを備えている。
【0109】
加熱ローラ49は、表面がフッ素樹脂によってコーティングされた金属管と、その金属管内に加熱のためのハロゲンランプとを備え、図示しないモータからの動力の入力により回転駆動される。
【0110】
加圧ローラ50は、加熱ローラ49の下方において、加熱ローラ49を押圧するように対向配置されている。この加圧ローラ50は、金属製のローラ軸を、ゴム材料からなるローラで被覆することにより構成されており、加熱ローラ49の回転駆動に従って従動される。
【0111】
定着器21では、転写位置において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ49と加圧ローラ50との間を通過する間に熱定着させる。トナーが定着した用紙3は、本体ケーシング2の上面に向かって上下方向に延びた排紙パス51に搬送される。排紙パス51に搬送された用紙3は、その上側に設けられる排紙ローラ52によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ53上に排紙される。
【0112】
2.プロセスカートリッジの構成
(フレーム構成)
図2に示すように、プロセスカートリッジ20に設けられた上フレーム27は、左側壁54、右側壁55および上壁56を一体的に備えている。
左側壁54は、図2、図3に示すように、ドラム本体34に幅方向(感光体29の軸方向)一方側(以下、この幅方向一方側を左側、幅方向他方側を右側とする。)から対向する左下側板部57と、左下側板部57の上端縁から右側に向かって延び、延設板部58と、延設板部58の右側端縁から上方に延びた左上側板部59とを備えている。
【0113】
左下側板部57には、このドラム軸35を支持する軸受部材66が嵌め込まれており、軸受部材66に形成された図示しない孔にドラム軸35が挿通されている。
【0114】
左上側板部59には、図3に示すように、その前側に、スコロトロン型帯電器30の放電ワイヤ37への給電のための第1端子61が設けられており、その後側には、スコロトロン型帯電器30の対向電極38a、38a及びグリッド電極38bへの給電のための第2端子62が設けられている。また、左上側板部59の上端縁は、前後方向において、略水平に延びた水平部分と、この水平部分の後端から、斜め下方に向けて延びた傾斜部分とで形成されている。
【0115】
右側壁55は、図2に示すように、平板状に形成され、ドラム本体34と右側から対向している。右側壁55の上端縁は、左上側板部59の上端縁に対応して、前後方向において、略水平に延び、左上側板部59の上端縁の水平部分と互いに対向する水平部分と、この水平部分の後端から、斜め下方に向けて延び、左上側板部59の上端縁の傾斜部分と互いに対向する傾斜部分とで形成されている。また、右側壁55には、軸受部材67が嵌め込まれており、この軸受部材67に形成された図示しない孔にドラム軸35が挿通されている。
【0116】
上述したように、左右に配置されている各軸受部材66,67を介して、感光体29のドラム軸35が支持されており、ドラム軸35の両端部は、各軸受部材66,67から左右方向外方に突出し、その両端部には、止め部材78が外嵌されている。そして、この止め部材78によりドラム軸35の抜け止めがなされている。左側の軸受部材66から突出したドラム軸35の端部には、プロセスカートリッジ20が本体ケーシング2に装着された状態で、ドラム軸35を接地するための本体ケーシング2に設けられる図示しないアースが接続される。
【0117】
また、ドラム軸35は、各軸受部材66,67の間において、ドラム本体34を相対回転可能に支持している。ドラム本体34の軸方向左側端部にはギア部材(図示略)が装着されており、このギア部材に対し図示しないメインモータからの動力を伝達されることによりドラム本体34(図1参照)が回転するように構成されている。
【0118】
また、上壁56は、図2に示すように、上水平部64および上傾斜部65を備えている。上水平部64は、左上側板部59の上端縁の水平部分と右側壁55の上端縁の水平部分との間に架設されている。
【0119】
上水平部64は、感光体29の上方に配置されている。また、この上水平部64には、スキャナ部19からの高速走査されるレーザビームLB(図1参照)を入射させるためのレーザ入射窓641が、平面視において略矩形状に開口されている。また、レーザ入射窓641に隣接して後述する複数の通気路162が設けられている。
【0120】
上傾斜部65は、左上側板部59の上端縁の傾斜部分と右側壁55の上端縁の傾斜部分との間に架設されている。この上傾斜部65は、前後方向において上水平部64と所定間隔を隔てて、感光体29の後側斜め上方に配置されている。この上傾斜部65には、上述のスコロトロン型帯電器30が設けられている。放電ワイヤ37は、上傾斜部65において、左上側板部59と右側壁55の間に張設されており、また、対向電極38a、38a、及びグリッド電極38bは、上傾斜部65において、左上側板部59と右側壁55との間に架設されている。
【0121】
また、図2に示すように、下フレーム28は、1対の側壁92が設けられており、図3のように、左側の側壁92には、転写電極113を露出させるための開口部111が形成されている。また、左側の側壁92には、クリーニングブラシ33(図1)にクリーニングバイアスを印加するためのクリーニング電極104が設けられている。
【0122】
3.搬送経路の構成
次に、搬送経路の構成について説明する。
(画像形成面側部材)
まず、画像形成面側部材について説明する。図5には、画像形成面側部材に相当するダクト部100の斜視図を示しており、図6には、ダクト本体101から第1導電性部材を取り外した状態を示している。また、図7は、レーザプリンタにおけるプロセスカートリッジ、ダクト、ガイド部材、及び装置本体の一方のフレームの配置を示す斜視図であり、図8は、プロセスカートリッジ、ダクト、及びガイド部材の配置を示す平面図である。図9は、図8のA−A断面(中央断面)を示す断面図であり、図10は、図8のB−B断面を示す断面図である。
【0123】
本実施形態に係るレーザプリンタ1では、図1に示す転写ローラ32と定着器21の間において用紙を搬送しつつ、この用紙に画像を形成するように構成されている。転写ローラ32と定着器21の間において搬送される用紙3(以下、転写ローラ32と定着器21との間において搬送状態にある用紙を搬送用紙3'という)において感光体29側の面が画像形成面に相当しており、この搬送用紙3'の画像形成面側には、ダクト部100が対向配置されている。ダクト部100は特許請求の範囲でいう画像形成面側部材に相当しており、搬送用紙3'の画像形成面に臨むように設けられている。
【0124】
一方、転写ローラ32と定着器21の間において、搬送用紙3'の画像形成面とは反対面(即ち、非画像形成面)側には、非画像形成面側部材に相当するガイド部材110が配置されている。ここでは、搬送用紙3'において、転写ローラ32側の面が反対面(非画像形成面)に相当している。このガイド部材110は、搬送用紙3'の非画像形成面に臨むように対向配置されている。ダクト部100とガイド部材110は、互いに対向する構成をなし、画像形成の際には、これらダクト部100とガイド部材110の間を用紙3が通過するように構成されている。
【0125】
図5に示すように、ダクト部100は、板状の金属部材(例えば、ステンレス、或いは鉄板に亜鉛メッキを施してなる亜鉛メッキコート材など)にて構成された導電性を有する第1導電性部材102を備えており、この第1導電性部材102は、ダクト部100における非導電性材料(ここでは樹脂材料)からなるダクト本体101外面を被覆するように設けられ、接地されている。具体的には、図5及び図6に示すように、スキャナ部19に設けられた導電性のフレーム120とねじ部材106によって接続されており、第1導電性部材102とフレーム120が共に、当該レーザプリンタ1における図示しないアースに接続されている。フレーム120は、図7及び図8に示すように、プロセスカートリッジ20の上方に位置するものであり、このフレーム120に装着されるようにして、フレーム120とプロセスカートリッジ20の間にスキャナユニット19(図1参照)が配置されることとなる。
【0126】
図5及び図6に示すように、第1導電性部材102は、ダクト部100において搬送用紙3'(図1参照)の画像形成面と直接対向するように配置されている。また、この第1導電性部材は、画像形成面側部材たるダクト部100の外面を覆う部分、即ち、ダクト本体101の一方の壁面を覆う板状の被覆部102a、及び、他方の壁面を覆う板状の被覆部102bを有しており、さらに、側壁を覆う被覆部102c、102を有している。これら被覆部102a、102b、102c、102dがダクト本体101の周囲においてダクト本体101の壁面を環状に覆うように構成されている。また、第1導電性部材102は、ねじ部材105によってダクト本体101に取り付けられている。被覆部102a、102bからはそれぞれ延出部102e、102fが搬送用紙3'(図1)とは反対側に延びており、これら延出部102e、102fがダクト部101の上端部付近においてねじ部材106によって上述のフレーム120と接続されている。
【0127】
本実施形態の構成では、転写ローラ32と定着器21の間に設けられたダクト部100において導電性を有しかつ接地された第1導電性部材102が設けられているため、この第1導電性部材102とダクト部100とを合わせた全体の電位が零に近づく。このため、当該レーザプリンタ1の小型化によってダクト部100が搬送用紙3'(図1)に近づけて配置されても、画像形成面側の電位を一定に制御して、搬送用紙3'の挙動を安定化させることができる。特に、本実施形態のレーザプリンタ1においては、搬送用紙3'の画像形成面側に帯電器30が配置され、非画像形成面側に転写ローラ32が配置されているが、帯電器30には、転写ローラ32に印加されるバイアスとは逆極性のバイアスが印加されるため、搬送用紙3'はダクト部100に引き付けられ易くなる。これに対して、本実施形態に係る構成では、第1導電性部材102を接地してその電位を零とすることにより、第1導電性部材102を含めてダクト部100と搬送用紙3'の電位差を小さくしているため、搬送用紙3'の引き付けを効果的に防止できることとなる。そして、このようにダクト部100のが用紙に影響を及ぼさないため、ダクト部100と搬送用紙3'との距離を小さく設定可能となっており、装置全体の小型化(特に高さ方向の小型化)が実現されている。
【0128】
また、図5に示すように、ダクト部100には、吸引孔103、107、108が設けられており、これら吸引孔103、107、108を介してレーザプリンタ1の内部の空気を吸引し外部に排出するように構成されている。具体的には、図7に示すように、レーザプリンタ1の一方の側壁をなすフレーム172においてダクト部100の内部空間と連通する排気孔171及びファン170が設けられており、このファン170による吸引により、レーザプリンタ1の内部空気が吸引孔103、107、108を介して吸引され、ダクト部100の内部を通ってレーザプリンタ1の外部に排出されるようになっている。
【0129】
本実施形態に係るダクト部100は、図9に示すように、帯電器30内の空気を吸引孔108を介して吸引し、排出孔171より装置外部に排出可能に構成されている。なお、このように、帯電器30の内部の空気をダクト部100によって排出する構成とすると、帯電器30の内部を清浄に保つことができて有用であるが、その一方で、帯電器30からの空気の影響を受けてダクト部100が帯電しやすくなってしまう問題がある。帯電器30は、転写バイアスとは逆極性のバイアスが印加されるため、転写バイアスと同極性に帯電した搬送用紙3'(図1)はダクト部100側に引き付けられることとなる。しかしながら、本実施形態の構成では、このようなダクト部100において、第1導電性部材102が接地した状態で設けられているため、帯電器30内が清浄に保たれ、かつダクト部100への搬送用紙3'の引き付けが効果的に抑えられることとなる。なお、図9では、帯電器30からダクト部100へ向かう空気の流れを矢印F1にて示している。
【0130】
また、ダクト部100は、図9に示すように、帯電器30の内部のみならず、定着器21側の空間140の空気をも外部に排出可能に構成されている。図9では、定着器側の空間140からダクト部100へ向かう空気の流れを矢印F2,F3にて示している。図5、図7に示すように、ダクト部100のダクト本体101における用紙搬送方向下流側の壁部には、多数の吸引孔103(図5では、そのうち3つのみ符号を付している)が設けられており、搬送用紙3'(図1)と対向する側の端部には、複数の吸引孔107(図5では、そのうち3つのみ符号を付している)が設けられている。図9に示すように、これら吸引孔103、107を介して帯電器側の空間140からの空気がダクト部100内へ流れ、図7に示す排出孔171より排出されるようになっている。なお、図9では図示はしていないが、ガイド部材110において通気孔142(図16参照)が複数設けられており、この通気孔142を介してレーザプリンタ1の外部の空気が内部に入るように構成されている。図9では、この空気の流れを矢印F4にて示している。
【0131】
(引付抑制部)
図11は、プロセスカートリッジを裏面側から見た図である。
本実施形態においては、プロセスカートリッジ20の筐体(具体的には下フレーム28)がダクト部100と共に画像形成面側部材の一部をなしている。
図10、図11に示すように、画像形成面側部材の一部をなすプロセスカートリッジ20の筐体の下フレーム28は、用紙搬送方向における転写ローラ32による転写位置P1よりも下流側の位置に引付抑制部130が設けられている。この引付抑制部130は、転写位置P1を通過した用紙の後端部がプロセスカートリッジ20側に引き付けられることを当接によって抑制する構成をなしている。即ち、用紙が転写位置P1を通過すると、この用紙の後端部は感光体29の支持から開放されて画像形成面側が拘束されないフリーな状態となる。この状態では、用紙の後端部がプロセスカートリッジ20の筐体(詳しくは下フレーム28)における画像形成面側の部分(即ち、プロセスカートリッジ20の端部)に引き付けられる虞がある。しかしながら、図10、図11に示す構成ではプロセスカートリッジ20において下フレーム28の定着器側端部に引付抑制部130が設けられているため、用紙が転写位置P1を通過した後においてもこの引付抑制部130の当接により、用紙後端部が下フレーム28の端部へ引き付けられにくくなり、用紙の挙動がより一層安定するようになっている。
【0132】
また、図12(A)はプロセスカートリッジ20を定着器側から見た図を示し、図12(B)はプロセスカートリッジ20の端部における搬送用紙3'の後端部の挙動を概念的に説明している。なお、図12(B)にて例示される搬送用紙3'は、当該レーザプリンタ1において用いられる最大サイズのものである。図11、図12(A)(B)に示すように、引付抑制部130は、搬送用紙3'(図1、図12(B)参照)における幅方向(即ちZ軸方向)の両端部と対向する位置において、用紙と対向する方向に突出する第1突出部135と、搬送用紙3'の幅方向(Z軸方向)における第1突出部135よりも中央側の位置において、用紙搬送方向に延びるように設けられたリブ状の第2突出部133とによって構成されている。
【0133】
この構成では、図12(B)に示すように、第1突出部135によって搬送用紙3'の幅方向両端部が支持されるようになっており、搬送用紙3'において画像が形成される幅方向中央側の部分に第1突出部135による支持の影響が及びにくくなっている。また、第1突出部135に加え、用紙搬送方向に延びるリブ状の第2突出部133が設けられており、画像形成にあまり影響を与えることなく中央側の部分においても用紙後端部の引き付け防止が図られている。なお、図12(B)では、一点鎖線Nによって通常時における搬送用紙3'の後端部の挙動を概念的に説明しており、他方、極めて強い引き付けが生じた場合(即ち、最悪時)の搬送用紙3'の後端部の挙動を二点鎖線Mによって示しているが、図に示すように、最大サイズの用紙が用いられる場合、第2突出部133は、極めて強い引き付けが生じた場合のみ搬送用紙3'を支持することとなる。
【0134】
図12(A)に示すように、第1突出部135は、用紙の幅方向(Z軸方向)の両端側から中央側につれ突出量が次第に小さくなるように突出している。このように、第1突出部135が、両端側から中央側につれ突出量が次第に小さくなるように構成されているため、図12(B)のように搬送用紙3'の引き付けが生じた場合であっても、当該搬送用紙3'において画像が形成される幅方向中央側の部分に及ぼされる影響がより一層低減され、画像形成品質が一層高められることとなる。
【0135】
また、図11に示すように、第1突出部135は、搬送用紙3'(図1、図12(B))に面し、かつ用紙の画像形成面に対して傾斜するように構成される傾斜面135aを有している。この傾斜面135aは、裏面側から見て略三角状に構成されており、図11、図12に示すように、端部135b、135b側の突出量が小さく、端部P3、P3側の突出量が大きくなるように構成されており、搬送方向の下流側かつ幅方向の両端側に向かうにつれて搬送される用紙に次第に近接するように構成されている。このように、幅方向両端部に設けられる第1突出部135において、搬送方向の下流側かつ幅方向(Z軸方向)の両端側に向かうにつれて搬送される用紙に次第に近接するように傾斜面135aが構成されているため、搬送用紙3'の両端部が支持可能とされる一方で、第1突出部135の突出が用紙搬送を阻害しにくくなっている。
【0136】
また、図13に示すように、第2突出部133と搬送される用紙との距離L2は、第1突出部135と搬送される被記録媒体との距離L1よりも小さくなるように構成されている。この構成では、突出量の大きい第1突出部135によって主たる支持がなされ、第2突出部133による支持は第1突出部135に比べて抑えられることとなる。従って、第2突出部133が用紙の画像形成に及ぼす影響を極力抑えることができるようになっている。即ち、図12(B)の二点鎖線Mにて示されるような、極めて強い引き付けが生じた場合であっても、第1突出部135による支持が主となり、第2突出部133による支持については、それほど当接力が大きくならない構成となっている。また、一点鎖線Nで示される通常時の搬送用紙3'のような弱い引き付けであれば、第1突出部135のみの支持で足り、第2突出部133によっては支持されないため、幅方向中央側の保護が一層図られることとなる。なお、図12では、当該レーザプリンタ1で用いられる最大サイズ(例えばA4サイズ)の搬送用紙3'を例示しているが、これよりも小さいサイズの用紙も使用可能とされている。このような小さいサイズを用いる場合、その用紙の幅方向のサイズが、端部135b、135bの間隔よりも小さい場合には、引き付けが生じた場合に第1突出部135による支持が行われず、第2突出部133のみによって支持がなされることとなる。
【0137】
また、図11、図12に示すように、第2突出部133は複数設けられ、その複数の第2突出部133が、搬送される用紙の幅方向(Z軸方向)において互いに間隔をあけて設けられている。この構成によれば、複数の支持位置が構成されるため、用紙の引き付けをより安定して抑制でき、かつ、第2突出部133が幅方向において間隔をあけて設けられているため、連続的に第2突出部133を設けるような場合と比較して画像への影響がより抑えられることとなる。また、第2突出部133は、用紙搬送方向に沿って線状に構成されているため、画像への影響がより低減されるようになっている。
【0138】
図13に示すように、引付抑制部130は、用紙搬送方向において第1導電性部材102よりも上流側に設けられているため、第1導電性部材102が設けられた部分のみならず、その上流側(即ち、転写ローラ32と第1導電性部材102が設けられた部分の間の領域)においても用紙がスムーズに搬送されることとなる。
【0139】
なお、本実施形態では、上述したような引付抑制部130が、プロセスカートリッジ20の筐体に設けられているため、感光体29と転写ローラ32のニップ位置(転写位置P1)に近接してより引き付け現象が生じやすいプロセスカートリッジ20の筐体(詳しくは下フレーム28)において効果的に引き付けを防止できるようになっている。
【0140】
なお、プロセスカートリッジ20には、図1、図9に示すように、クリーニングブラシ33が設けられており、このクリーニングブラシ33によって感光体29に付着した紙粉を除去できるように構成されている。本実施形態では、プロセスカートリッジ20においてクリーニングブラシ33及びクリーニングブラシ33を囲む筐体部分(下フレーム28におけるクリーニングブラシ33を囲む部分)が紙粉除去装置160として構成されている。上述したようにプロセスカートリッジ20の筐体は、画像形成面側部材の一部として構成されているが、図11及び図14の説明図(図9の一部を拡大し、模式的に説明する説明図)に示すように、このプロセスカートリッジ20の筐体には、搬送用紙3'(図12(B))の幅方向(Z軸方向)において給紙ローラ10に対応する部分にのみ、紙粉を受ける樹脂フィルム131が、一部を突出させた状態で取り付けられている。なお、図11では、樹脂フィルム131を斜線処理(ハッチング)を施して示している。図15及び図16に示すように、給紙ローラ10は、搬送用紙3'(図12(B))の幅方向(Z軸方向)中央部の所定範囲に亘り配置されており、図11に示す樹脂フィルム131は、Z軸方向において、給紙ローラ10が設けられた範囲(給紙ローラ配置領域C1)とほぼ同じ範囲で配置されている。なお、ここでは、Z軸方向において、給紙ローラ配置領域C1とほぼ同程度の範囲で樹脂フィルム131を配置しているが、給紙ローラ配置領域C1を含みそれよりもやや広い領域に亘って樹脂フィルム131が配置されていてもよい。また、上述したように、樹脂フィルム131は、搬送用紙3'(図12(B))の幅方向(Z軸方向)中央部の所定範囲に亘って配置されているが、樹脂フィルム131の両側方における搬送用紙3'と対向する部分(領域C2,C3部分(図11))は、樹脂フィルムが配置されない非配置領域として構成されている。
【0141】
即ち、紙粉除去装置160の一部(具体的には、下フレーム28の一部に)紙粉落下防止用の樹脂フィルムを配置すると紙粉を効果的に除去できるが、その一方で、樹脂フィルムの帯電が問題となる。しかしながら、上記構成のように、紙粉が発生しやすい給紙ローラ10に対応する部分のみに樹脂フィルムを配置すれば、帯電を抑えつつ紙粉を効果的に除去できることとなる。
【0142】
図14に示すように、樹脂フィルム131は、例えばPETからなるフィルム本体131aと、粘着層131bとを有しており、紙粉除去装置160の筐体(即ち下フレーム28)から突出する突出部131cにおいて、粘着層131bが感光体29側に露出して設けられている。この構成によれば、簡易な構成にて紙粉の除去効果をより一層高めることができる。詳しくは、両面に粘着媒体が設けられたシート部材(両面テープなど)が粘着層131bとして、フィルム本体131aを覆うように設けられ、この粘着層131bの一方面がフィルム本体131aと接着し、他方面の一部が筐体(即ち下フレーム28)の外面と接着している。そして、粘着層131bにおいて、筐体と接着しない部分(即ち、粘着層131bのうち、樹脂フィルム131の突出部131cに設けられる部分)が感光体29側に露出している。
【0143】
(非画像形成面側部材)
次に、非画像形成面側部材について説明する。
図15は、ガイド部材110を例示する平面図であり、図16は、その斜視図である。図17は、ガイド部材110から第2導電性部材112を取り外した状態を例示する斜視図である。
上述したように、本実施形態に係るレーザプリンタ1では、非画像形成面側部材に相当するガイド部材110が、搬送用紙3'(図13)の非画像形成面に臨むように対向配置されており、さらに、このガイド部材110には、図15ないし図17に示すように、導電性かつ接地された第2導電性部材112が設けられている。第2導電性部材112は、板状の金属部材(例えば、ステンレス、或いは鉄板に亜鉛メッキを施してなる亜鉛メッキコート材など)によって構成されており、ガイド部材110の外面の一部を被覆するように(より具体的にはガイド部材110における非導電性材料からなる部材本体部111の外面を覆うように)設けられている。また、第2導電性部材112は、搬送される搬送用紙3'(図13)の非画像形成面(即ち、画像形成面とは反対側の面)と直接対向するように配置されている。
【0144】
本実施形態の構成では、転写ローラ32と定着器21の間に構成される画像形成面とは反対面側に設けられたガイド部材110に、接地された第2導電性部材112が設けられているため、搬送経路を構成する部材に関し、画像形成面側のみならず非画像形成面側についても第2導電性部材112と非画像形成面側部材たるガイド部材100とを合わせた全体の電位を零に近づけることができる。本実施形態のレーザプリンタ1においては、転写ローラ32は搬送用紙3'(図13)の非画像形成面側に設けられ、ガイド部材110は転写バイアスと同極性に帯電しやすくなり、搬送用紙3'(図13)の挙動は不安定になりがちである。しかしながら、第2導電性部材112を接地してその電位を零とすることにより、第2導電性部材112を含めてガイド部材110と搬送用紙3'(図13)との間に電位差を生じさせて、搬送用紙3'を引き付け、その挙動を安定化させることができる。なお、この際、搬送用紙3'の非画像形成面側が引き付けられるため、画像品質への影響はない。
【0145】
ガイド部材110は、転写ローラ32から定着器21に向かって延びており、かつ、搬送方向に沿って延びる複数のガイドリブ114を有している。なお、図15の例では、第2導電性部材112は、被記録媒体の搬送方向において、ガイドリブの上流側端部114aと第2導電性部材112の上流側端部112aとがほぼ同位置となるように設けられているが、ガイドリブ114の上流側端部よりもさらに上流側に第2導電性部材が設けられていてもよい。
【0146】
また、図13に示すように、第2導電性部材112の一部が、プロセスカートリッジ20と対向する位置に配置されている。これにより、プロセスカートリッジ20とガイド部材110の間を用紙3がスムーズに通過する構成となっている。また、プロセスカートリッジ20には、転写ローラ32を収容するように転写ローラ32の周囲を囲む転写手段収容部150が設けられており、第2導電性部材112はこの転写手段収容部150に隣接して配置されている。なお、転写ローラ32が、下流側に露出するような構成の場合には、転写ローラ32と隣接するように第2導電性部材が設けられていてもよい。本実施形態では、転写手段収容部150に隣接する位置に第2導電性部材112が設けられているため、転写ローラ32近傍において用紙3の挙動の安定化が図られ、転写ローラ32からガイド部材110に用紙3がスムーズに移行する構成となる。
【0147】
本実施形態では、図13に示すように、第2導電性部材112と搬送される用紙3の距離L4(即ち、第2導電性部材112から搬送用紙3'までの最短距離)よりも、第1導電性部材102と搬送される用紙3の距離L3(即ち、第1導電性部材102から搬送用紙3'までの最短距離)のほうが大きくなるように構成されている。この構成では、第1導電性部材102よりも第2導電性部材112のほうが搬送用紙3'と近い構成となるため、第1導電性部材102側よりも第2導電性部材112側の方が用紙3が引き付けられやすくなる。従って、用紙3の画像形成面が効果的に保護されることとなり、画像品質を高精度に保つことができる。即ち、第1導電性部材102を接地することで、第1導電性部材102を含めたダクト部100と搬送用紙3'との間にも電位差が生じているため、距離L4よりも距離L3のほうが小さくなるように構成してしまうと、逆に第2導電性部材112が搬送用紙3'を引き付ける力を第1導電性部材102が搬送用紙3'を引き付ける力が上回ってしまい、ダクト部100へ搬送用紙3'が引き付けられてしまうという不具合を生ずるが、本実施形態に係る構成では、このような不具合が生じず、搬送用紙3'の挙動が極めて安定することとなる。
【0148】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について説明する。
図18は、実施形態2に係るレーザプリンタを例示する要部側断面図であり、図19は、図18のレーザプリンタに用いられるガイド部材付近を示す斜視図である。図20は、図19の構成から第2導電性部材112及び除電ブラシ200を取り外した状態を示す斜視図である。図21は、実施形態1で示した図13を変形させた構成(即ち、本実施形態に係るレーザプリンタに対応させるように、図13の構成に除電ブラシ200を取り付けた構成)を示すものであり、図18のレーザプリンタの要部断面を拡大して示す拡大図である。図22は、実施形態1で示した図14を変形させた構成(即ち、本実施形態に係るレーザプリンタに対応させるように、図14の構成に除電ブラシを取り付けた構成)を示すものであり、図18のレーザプリンタにおける除電ブラシ200の位置について説明する説明図である。
【0149】
なお、本実施形態の説明で例示する図18のレーザプリンタ1は、電荷低減手段としての除電ブラシ200が導電性を有する接続手段(具体的には後述する導電性接着剤)によって第2導電性部材112に接続されている点が実施形態1と異なり、除電ブラシ200及び接続手段を除いた構成は実施形態1と同一である。従って、除電ブラシ200以外の部分については実施形態1と同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
【0150】
本実施形態に係る構成では、転写手段たる転写ローラ32による転写位置P1と定着手段たる定着器21との間において、第1導電性部材102よりも転写位置P1寄りの位置に、用紙(被記録媒体)が帯びている電荷を低減させるための除電ブラシ200が設けられている。
【0151】
本実施形態にかかる構成でも、実施形態1と同様に、転写ローラ32と定着器21の間に構成されるダクト部100(即ち、画像形成面側部材)に導電性を有しかつ接地された第1導電性部材102が設けられているため、この第1導電性部材102を含むダクト部100の電位が零に近づく。このため、レーザプリンタ1の小型化によってダクト部100が搬送される用紙に近づけて配置されても(即ち、本実施形態に係る構成のように小型構成をなす場合、あるいは更なる小型化が図られるような場合であっても)、画像形成面側の電位を一定に制御して、用紙の挙動を安定化させることができるようになっている。
【0152】
特に、本実施形態に係る構成のような電子写真方式を用いた画像形成装置においては、搬送される用紙の画像形成面側に帯電器30が配置され、非画像形成面側に転写ローラ32が配置される。帯電器30には、通常、本実施形態に係る構成のように転写ローラ32に印加されるバイアスとは逆極性のバイアスが印加されるため、転写後の用紙は画像形成面側部材たるダクト部100に引き付けられ易くなってしまうが、本実施形態に係る構成では第1導電性部材102を接地してその電位を零としているため、第1導電性部材102を含むダクト部100と搬送される用紙との電位差を小さくして、用紙のダクト部100への引き付けを防止できるようになっている。
【0153】
本実施形態ではさらにこのような構成に加えて、第1導電性部材102を含むダクト部100の全体と搬送される用紙との電位差をより小さくできるように構成されている。即ち、上述したように第1導電性部材102を設けてダクト部100付近の電位をほぼ零とした場合であっても、用紙が多量の電荷を帯びている場合には、画像形成面側部材たるダクト部100と用紙との間に依然としてある程度の電位差が生じてしまう虞がある。これに対し本実施形態に係る構成では、搬送される用紙がダクト部100付近に至る前に、除電ブラシ200によってこの用紙が帯びている電荷を低減させることができるため、用紙とダクト部100との電位差を一層小さくすることができ、搬送される被記録媒体の挙動をより一層安定させることができる。
【0154】
また、本実施形態では、実施形態1と同様に、第1導電性部材102に加え、転写ローラ32と定着器21の間に構成される非画像形成面側部材たるガイド部材110に、接地された第2導電性部材112が設けられている。従って、画像形成面側のみならず非画像形成面側についても第2導電性部材112とガイド部材110とをあわせた全体の電位を零に近づけることができるようになっている。通常、本実施形態に係る構成のような電子写真方式を用いた画像形成装置においては、転写ローラ32は搬送される用紙の非画像形成面側に設けられ、非画像形成面側部材たるガイド部材110は転写バイアスと同極性に帯電しやすくなり、搬送される用紙の挙動は不安定になりがちである。しかし、第2導電性部材112を接地してその電位を零とすることにより、第2導電性部材112を含むガイド部材110と搬送される用紙との間に電位差を生じさせて、用紙を引き付け、その挙動を安定化させることができるようになっている。また、上述したように、非画像形成面側部材として、転写ローラ32から定着器21に向かって延びるガイド部材110が設けられているが、図19、図21に示すように、ガイド部材110には、実施形態1と同様に、用紙の搬送方向に沿って延びる複数のガイドリブ114が設けられている。
【0155】
一方、このような構成をとると、第2導電性部材112が用紙を引き付けてその用紙がガイド部材110のガイドリブ114に接触する際に、用紙がガイドリブ114に強く接触する虞がある。このように搬送される用紙がガイドリブ114に強く接触するような構成であると、用紙には、接触時に大きな振動が加わるため、用紙に転写された現像剤像に乱れが生じやすくなってしまう。また、搬送される用紙がガイドリブ114に強く接触すると、ガイドリブ114と接触する際に用紙から電荷が一気に除去されるため、用紙に転写された現像剤像に乱れが生じやすくなってしまう。しかしながら、本実施形態に係る構成では、第2導電性部材112によって用紙の挙動を安定化できる構成を実現しつつ、その一方で、除電ブラシ200が、用紙の搬送方向において、ガイドリブ114の上流側端部114aよりもさらに上流側の位置に設けられているため、用紙が帯びる電荷を、用紙がガイドリブ114に接触する前に除電ブラシ200によってある程度減少させておくことができる。従って、用紙とガイドリブ114との接触の程度は極めて軽くなり、ガイドリブ接触時の衝撃(振動)と急激な電荷除去が重なるようなことがなく、ガイドリブ接触時の画像の乱れを効果的に防止できることとなる。
【0156】
なお、本実施形態に係る構成では、第2導電性部材112付近に至る前に、除電ブラシ200によってある程度電荷が低減されることとなるが、除電ブラシ200によっては完全に電荷を除去しないようにしているため、除電ブラシ200付近を通過した後においても、ある程度の電荷が残存することとなる。従って、この残存する電荷と、零レベルに維持される、第2導電性部材112を含むガイド部材110とによりある程度の電位差が生じることとなり、第2導電性部材112を含むガイド部材110によって用紙を引き付ける機能が果たされることとなる。
【0157】
次に、除電ブラシ200について詳細に説明する。
図19に示すように、除電ブラシ200は、樹脂材料(例えばPET材料)からなる板状の保持プレート204と、その保持プレート204に取り付けられた複数の導電性繊維素材(例えば、アクリル繊維やナイロン繊維等に硫化銅等を化学結合させてなる有機導電性繊維など)からなる糸状部202を備えている。糸状部202はそれぞれ、下端が保持プレート204の中心よりも下方に位置するように保持プレート204に接着されている。そして、幅方向所定領域に亘って糸状部202の配置領域が構成されており、これら複数の糸状部202によって用紙に対向する被記録媒体対向部が構成されている。なお、本実施形態では、用紙における画像形成可能領域の全幅に亘るように構成されている。
【0158】
また、図19及び図20に示すように、上述の除電ブラシ200における複数の糸状部202は、保持プレート204に接着される側とは反対側が導電性接着剤によって第2導電性部材112に接続されている。即ち、この構成では、被記録媒体対向部を構成する複数の導電性繊維素材が、導電性接着剤によって第2導電性部材112に接続されることとなるため、用紙の電荷が効率的に低減されることとなる。なお、導電性接着剤は特許請求の範囲でいう「導電性を有する接続手段」に相当する。また、第2導電性部材が特許請求の範囲でいう接地手段に相当する。導電性接着剤としては、エポキシ樹脂等の樹脂をベースに、金、銀、ニッケル、カーボン等の導電性粒子を配合したペースト状の導電性樹脂からなる接着剤などを用いることができるが、導電性を有し、かつ接着媒体として機能するものであればこれ以外であってもよい。
【0159】
また、図21に示すように、除電ブラシ200は、搬送される用紙(搬送用紙3’)と接触可能な位置(即ち、搬送用紙3'が通過する経路上にその一部が設けられる位置)に設けられている。具体的には、図22のように、除電ブラシ200の先端202aは、感光体29の回転軸線J1と転写位置P1とを結ぶ平面D1と直交し、かつ転写位置P1を通る直交平面D2と一致する位置に設けられている。この構成では、転写位置P1から用紙が向かう延長方向に対して除電ブラシ200が大幅に交差しないように配置されることとなるため、電荷低減時に用紙に衝撃が生じにくい構成となる。なお、除電ブラシ200の先端202aが、感光体29の回転軸線J1と転写位置P1とを結ぶ平面D1と直交する直交平面D2からわずかに下方に離れた位置に設けられていてもよい。
【0160】
また、図21のように、除電ブラシ200は、用紙の搬送経路(搬送用紙3’の経路)と交差する方向に突出して設けられている。このように、除電ブラシ200を搬送経路と交差する方向に突出するように設けると、搬送経路に沿うように除電ブラシ200を配置するような構成と比較して、除電ブラシ200が用紙と対向する時間がその単位面積あたりにおいて短くなる。従って、電荷をある程度低減可能としつつそれほど急激に電荷が除去され難い構成となる。
【0161】
また、図19に示すように、ガイド部材110は、除電ブラシ200を位置決めする位置決め部115を有している。この位置決め部115は、ガイド部材110の底面110aにおいて突出する突起部として構成されており、図19及び図20に示すように、この位置決め部115が除電ブラシ200における保持プレート204の下端部を支持することにより、保持プレート204のガイド部材110に対する下方向への相対移動が拘束されることとなり、結果として、除電ブラシ200がガイド部材110に対して安定的に位置決めされることとなる。従って、ガイド部材110にガイドされながら搬送される用紙と除電ブラシ200とが離れすぎたり、過度に接触するようなことを防ぐことができ、用紙から電荷を安定的に低減できることとなる。また、除電ブラシ200を装置に取り付ける際の取り付け誤差を低減できる。
【0162】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、ダクト部100に第1導電性部材102を配置したが、ダクト部100以外の部材に配置してもよい。
【0163】
(2)上記実施形態では、板状の金属部材によって第1導電性部材102を構成したが、これ以外であってもよい。例えば、導電性を有する樹脂部材によって第1導電性部材を構成してもよい。同様に、板状の金属部材以外(例えば導電性を有する樹脂部材など)によって第2導電性部材を構成してもよい。
(3)上記実施形態では、ダクト部100に第1導電性部材102を被覆することにより搬送用紙3'の紙面に対して第1導電性部材102が直角に延びるように構成したが、これ以外の構成であってもよい。例えば、第1導電性部材102が搬送用紙3'の紙面に沿って平行となるように設置されていてもよく、第1導電性部材102が紙面に対して傾斜して配置されていてもよい。
(4)なお、引付抑制部としての第1突出部135及び第2突出部133の構成は、第1導電性部材102が設けられない構成(即ち、画像形成面側部材が接地されないような構成)であっても引き付けを抑制するという独自の効果を奏し、引付抑制部と第1導電性部材102とが共に存在することにより相乗的な効果が期待できる。
(5)実施形態2では、電荷低減手段として複数の糸状部を備えてブラシ状に構成された除電ブラシを例示したが、複数の先鋭部が幅方向に並んでなる金属材料等からなる除電板によって電荷低減手段を構成してもよい。
(6)上記実施形態1、2では、第1導電性部材と第2導電性部材とが共に設けられた画像形成装置を例示したが、このようにせず、第1導電性部材のみが設けられ、第2導電性部材が設けられないような構成としてもよい。また、実施形態2では、第1導電性部材と第2導電性部材とが共に設けられた画像形成装置において、さらに電荷低減手段が設けられた構成を例示したが、第1導電性部材のみが設けられ、第2導電性部材が設けられないような構成において電荷低減手段が設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態1に係るレーザプリンタの一実施形態を示す要部側断面図
【図2】プロセスカートリッジのうち現像カートリッジを除いた部分を示す平面図
【図3】図2の部分の側面図
【図4】レーザプリンタにおけるプロセスカートリッジ、ダクト、及びガイド部材の配置を示す斜視図
【図5】ダクト部付近の構成を示す斜視図
【図6】ダクト部から第1導電性部材を取り外した状態を示す斜視図
【図7】レーザプリンタにおけるプロセスカートリッジ、ダクト、ガイド部材、及び装置本体の一方のフレームの配置を示す斜視図
【図8】プロセスカートリッジ、ダクト、及びガイド部材の配置を示す平面図
【図9】図8のA−A切断面を示す断面図
【図10】図8のB−B切断面を示す断面図
【図11】プロセスカートリッジを裏面側から見た図
【図12】(A)はプロセスカートリッジを定着器側から見た図、(B)はプロセスカートリッジ端部における搬送用紙の後端部の挙動を概念的に説明する説明図
【図13】図10の一部を拡大した拡大図を用いて各部材の位置関係を説明する説明図
【図14】図9の一部を拡大し模式的に示す模式図
【図15】ガイド部材を示す平面図
【図16】ガイド部材を示す斜視図
【図17】ガイド部材から第2導電性部材を取り外した状態を示す斜視図
【図18】実施形態2に係るレーザプリンタを例示する要部側断面図
【図19】図18のレーザプリンタに用いられるガイド部材付近を示す斜視図
【図20】図19の構成から第2導電性部材及び除電ブラシを取り外した状態を示す斜視図
【図21】図13を変形させた構成を示すものであり、図18のレーザプリンタの要部断面を拡大して示す拡大図
【図22】図14を変形させて示すものであり、図18のレーザプリンタにおける除電ブラシの位置について説明する説明図
【符号の説明】
【0165】
1…レーザプリンタ(画像形成装置)
3…用紙(被記録媒体)
10…給紙ローラ
20…プロセスカートリッジ
21…定着器(定着手段)
28…下フレーム(プロセスカートリッジの筐体、紙粉除去装置の筐体)
29…感光体(像担持体)
30…帯電器
32…転写ローラ(転写手段)
100…ダクト部(画像形成面側部材)
102…第1導電性部材
110…ガイド部材(非画像形成面側部材)
112…第2導電性部材(接地手段)
114…ガイドリブ
114aガイドリブの上流側端部
115…位置決め部
130…引付抑制部
131…樹脂フィルム
131b…粘着層
133…第2突出部
135…第1突出部
135a…傾斜面
150…転写手段収容部
160…紙粉除去装置
200…除電ブラシ(電荷低減手段)
202…糸状部
202a…先端(電荷低減手段の先端)
204a…位置決め部
D1…平面(像担持体の回転軸線と転写位置とを結ぶ平面)
D2…直交平面
J1…軸線(像担持体の回転軸線)
L1…第1突出部と搬送される被記録媒体との距離
L2…第2突出部と搬送される被記録媒体との距離
L3…第1導電性部材と搬送される用紙との距離
L4…第2導電性部材と搬送される用紙との距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に担持された現像剤像を搬送される被記録媒体の画像形成面側に転写するための転写手段と、前記被記録媒体の搬送方向下流側に設けられ前記転写手段によって転写された前記現像剤像を前記被記録媒体に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置であって、
前記転写手段と前記定着手段との間に位置し、搬送される前記被記録媒体の画像形成面側に対向配置される画像形成面側部材と、
前記転写手段と前記定着手段との間に位置し、搬送される前記被記録媒体の画像形成面とは反対面側に対向配置される非画像形成面側部材と、
を備え、
前記画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第1導電性部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1導電性部材は、搬送される前記被記録媒体に直接対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1導電性部材は、前記画像形成面側部材の外面の少なくとも一部を被覆するように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
当該画像形成装置の内部の空気を外部に排出するダクト部を有し、
前記ダクト部により、前記画像形成面側部材の少なくとも一部が構成されており、当該ダクト部に前記第1導電性部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体を帯電させる帯電器を有し、
前記ダクト部は、少なくとも前記帯電器内の空気を排出可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成面側部材は、前記被記録媒体の搬送方向において前記転写手段による転写位置よりも下流側の位置に、前記転写位置を通過した前記被記録媒体の後端部が当該画像形成面側部材側に引き付けられることを当接によって抑制する引付抑制部を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記引付抑制部は、搬送される前記被記録媒体の幅方向両端部と対向する位置において、前記被記録媒体と対向する方向に突出する第1突出部を有することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1突出部は、前記被記録媒体の幅方向両端側から中央側につれ突出量が次第に小さくなるように突出していることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1突出部は、搬送される被記録媒体側に面し、かつ前記被記録媒体の画像形成面に対して傾斜するように構成される傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記搬送方向の下流側かつ前記幅方向の両端側に向かうにつれて搬送される前記被記録媒体に次第に近接するように構成されていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記引付抑制部は、搬送される前記被記録媒体の幅方向において前記第1突出部よりも中央側の位置に、前記被記録媒体の搬送方向に延びるリブ状の第2突出部を有していることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第2突出部と搬送される前記被記録媒体との距離は、前記第1突出部と搬送される前記被記録媒体との距離よりも小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2突出部は複数設けられ、
その複数の前記第2突出部が、搬送される前記被記録媒体の幅方向において互いに間隔をあけて設けられていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2突出部は、前記被記録媒体の搬送方向に沿って線状に構成されていることを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記引付抑制部は、前記被記録媒体の搬送方向において前記第1導電性部材よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項6ないし請求項13のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記像担持体を備え、かつ当該画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されるプロセスカートリッジを有し、
前記プロセスカートリッジの一部が、前記画像形成面側部材の少なくとも一部として構成され、
前記引付抑制部は、前記プロセスカートリッジの筐体に設けられていることを特徴とする請求項6ないし請求項14のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項16】
回転可能に構成され、かつ前記被記録媒体と当接して前記被記録媒体を送り出す給紙ローラと、
前記像担持体に付着した紙粉を除去する紙粉除去装置と、
を更に備え、
前記紙粉除去装置の筐体が、前記画像形成面側部材の少なくとも一部として構成されており、
前記紙粉除去装置の筐体には、搬送される前記被記録媒体の幅方向における前記給紙ローラに対応する部分にのみ、紙粉を受ける樹脂フィルムが、一部を突出させた状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記樹脂フィルムにおける前記紙粉除去装置の筐体から突出する突出部において、粘着層が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記非画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第2導電性部材を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記第2導電性部材は、搬送される前記被記録媒体に直接対向するように配置されていることを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記第2導電性部材は、前記非画像形成面側部材の外面の少なくとも一部を被覆するように設けられていることを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記非画像形成面側部材は、前記転写手段から前記定着手段に向かって延びるガイド部材を備えたことを特徴とする請求項18ないし請求項20のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記ガイド部材は、搬送方向に沿って延びる複数のガイドリブを有しており、
前記第2導電性部材の少なくとも一部が、前記被記録媒体の搬送方向において、前記ガイドリブの上流側端部と同位置、又は前記上流側端部よりもさらに上流側の位置に設けられていることを特徴とする請求項21に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記像担持体を備え、かつ当該画像形成装置の装置本体に対して着脱可能に構成されたプロセスカートリッジを有し、
前記プロセスカートリッジの一部が、前記画像形成面側部材の少なくとも一部として構成され、
前記非画像形成面側部材において、前記第2導電性部材の少なくとも一部が、前記プロセスカートリッジと対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項18ないし請求項22のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項24】
前記転写手段を収容する転写手段収容部を備え、
前記第2導電性部材は、前記転写手段又は前記転写手段収容部に隣接して配置されていることを特徴とする請求項18ないし請求項23のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項25】
前記第2導電性部材と搬送される前記被記録媒体との距離よりも、前記第1導電性部材と搬送される前記被記録媒体との距離のほうが大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項18ないし請求項24のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項26】
前記第2導電性部材は、板状の金属部材によって構成されていることを特徴とする請求項18ないし請求項25のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項27】
前記第1導電性部材は、板状の金属部材によって構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項26のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項28】
前記転写手段による転写位置と前記定着手段との間における前記第1導電性部材よりも前記転写位置寄りの位置に、前記被記録媒体が帯びている電荷を低減させる電荷低減手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項27のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項29】
前記電荷低減手段は、前記被記録媒体と接触可能な位置に設けられていることを特徴とする請求項28に記載の画像形成装置。
【請求項30】
前記像担持体は回転可能に構成され、
前記転写手段は、前記像担持体の外周面と対向配置されており、
前記転写手段における前記像担持体との対向位置が転写位置とされており、
前記電荷低減手段の先端は、前記像担持体の回転軸線と前記転写位置とを結ぶ平面と直交し、かつ前記転写位置を通る直交平面と一致する位置、又は前記直交平面から離隔する方向へ離れた位置に設けられていることを特徴とする請求項28又は請求項29に記載の画像形成装置。
【請求項31】
前記電荷低減手段は、被記録媒体の搬送経路と交差する方向に突出して設けられていることを特徴とする請求項28ないし請求項30のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項32】
前記電荷低減手段は、前記被記録媒体に対向する、複数の糸状部又は複数の先鋭部を有してなる被記録媒体対向部を備えたことを特徴とする請求項28ないし請求項31のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項33】
前記被記録媒体対向部を接地手段に接続するための導電性を有する接続手段を備えたことを特徴とする請求項32に記載の画像形成装置。
【請求項34】
前記非画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第2導電性部材と、前記転写手段から前記定着手段に向かって延びるガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材には、前記被記録媒体の搬送方向に沿って延びる複数のガイドリブが設けられており、
前記電荷低減手段は、前記被記録媒体の搬送方向において、前記ガイドリブの上流側端部よりもさらに上流側の位置に設けられていることを特徴とする請求項28ないし請求項33のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項35】
前記非画像形成面側部材は、導電性かつ接地された第2導電性部材を有しており、
前記電荷低減手段は、前記第2導電性部材に取り付けられていることを特徴とする請求項28ないし請求項34のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項36】
前記非画像形成面側部材は、前記転写手段から前記定着手段に向かって延びるガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記電荷低減手段を位置決めする位置決め部を有することを特徴とする請求項28ないし請求項35のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−146117(P2006−146117A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−24226(P2005−24226)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】