説明

画像形成装置

【課題】本発明は、用紙を並列給紙して並列記録するとともに、記録出力モードを種々変更可能な画像形成装置に関する。
【解決手段】幅広複写機1は、データ配置部69のラインメモリを、画像形成部6に並列給紙するA4以下用紙の並列給紙数に対応させた数のメモリブロックに分割し、画像読取部8で読み取られハードディスク67に一旦蓄積された画像データを、並列給紙される各用紙に並列記録する画像データとして当該メモリブロックに並列に展開して、当該展開した画像データに基づいて画像形成部6で並列給紙されてくる用紙に同時に並列画像記録出力して排紙する。したがって、プリント速度を向上させることができるとともに、ラインメモリを有効活用しつつ、画像形成後の用紙の出力形態を種々変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳細には、用紙を並列給紙して並列記録するとともに、記録出力モードを種々変更可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙サイズがA2、A0等の幅広の画像形成装置(幅広機)は、その主な用途が、新聞、新聞広告、設計図面等の特殊用途であるが、A2サイズやA0サイズ以下のサイズであるA3サイズやA4サイズの一般文書に対しても兼用で利用されている。
【0003】
そして、小サイズの用紙に画像形成する場合においても、幅広サイズの用紙に画像形成する場合に対して、その画像形成速度(以下、必要に応じてプリント速度という。)の上昇率が少ない。
【0004】
例えば、A2サイズの画像形成装置の場合、A2サイズのプリント速度が1分間に20枚の速度であるとしたとき、用紙搬送速度は、大サイズの用紙の場合も小サイズの用紙の場合も一定であるため、A4サイズのプリント速度は、紙間距離を50mm離した(紙間間隔が50mm)とすると、以下の計算結果から、1分間に34枚程度のプリント速度となり、プリント速度があまり速くならない。
【0005】
20×594(A2長手サイズ)/(297(A4長手サイズ)+50(紙間距離)) =34.2(枚/分)
そして、従来の画像形成装置の場合、プリントエンジンで画像形成するのに、画像データを最大用紙幅サイズ分、例えば、A2サイズ分のデータを取り込むだけの容量を有したラインメモリに展開して、当該展開したは画像データをプリントエンジンに転送して画像形成している。そして、例えば、A2サイズの画像形成装置で、A4サイズの画像をA4サイズの用紙にプリント出力する場合、A2サイズのラインメモリのうち、A4サイズのみを画像利用域としてダミーデータの挿入などを行い、A4サイズ以外の領域を画像禁止領域として、当該A4サイズの画像領域にのみ画像データを展開して、当該展開した画像データをプリントエンジンに転送して画像形成するため、ラインメモリのA4サイズの画像領域以外の画像禁止領域が未使用領域となり、ラインメモリの利用効率が悪い。
【0006】
そして、従来、複数枚の用紙を並列給紙して画像形成する画像形成装置が提案されている(特許文献1、特許文献2等参照)。
【0007】
これらの従来の用紙を並列給紙して画像形成する画像形成装置では、例えば、原稿を読み取る画像読取手段で、開いた状態でセットされた書物の左右2ページの原稿画像を1回の走査で1ページずつ別々に、一回の画像形成の間に複数枚の記録紙を並列に給紙する並列給紙手段によって取り込まれる2枚の記録紙に同時に、画像形成を行なうことが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平5−17038号公報
【特許文献2】特開平7−307841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術にあっては、並列給紙する用紙に同時に画像形成することは開示されているが、並列給紙の詳細な構成や並列給紙される複数の用紙に画像を同時記録するためのラインメモリの利用方法については開示されておらず、ラインメモリを有効利用して、並列給紙を適切に行ってプリント速度を向上させる上で、改良の必要があった。
【0010】
そこで、本発明は、出力画像サイズが最大出力可能画像サイズの1/4以下の小サイズ出力画像である場合には、当該出力画像サイズに対応する小サイズの用紙を同時に並列に給紙して、当該並列給紙する用紙に同時並列書込処理を行うとともに、ラインメモリに同時並列書込する複数枚の画像データを同時に展開し、また、画像データの配置方法を変更することで、プリント速度を向上させるとともに、ラインメモリを有効活用しつつ、画像形成された用紙の出力形態を種々変更させて利用性を向上させることのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明の画像形成装置は、複数の用紙を並列して収納する給紙トレイを備えた給紙部から画像形成部に当該並列収納されている用紙を同時に並列に搬送し、出力メモリに展開されている画像データを前記画像形成部に転送して当該画像データに基づいて、前記画像形成部で前記並列給紙される用紙にそれぞれ同時に並列に画像を記録出力して、当該画像の記録出力された用紙を排紙部に並列に排出する画像形成装置であって、前記出力メモリを、前記画像形成部に並列給紙する複数の前記用紙の数に対応させた数のメモリブロックに分割し、当該複数のメモリブロックに前記各用紙に並列記録する前記画像データを並列に展開することにより、上記目的を達成している。
【0012】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記画像形成装置は、入力される画像データを、一旦画像データ蓄積メモリに蓄積した後、前記出力メモリの前記メモリブロックに展開するものであってもよい。
【0013】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記画像形成装置は、前記入力画像を複数部並列記録出力する場合、前記入力画像の画像データをページ順に順次前記複数のメモリブロックに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を前記入力画像の最後のページまで行って1部分の並列記録出力が完了すると同様の処理を出力部数だけ行う原稿順序モード、前記入力画像をページ順に順次前記複数のメモリブロックに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を出力部数だけ行い、次に、入力画像の残りのページをページ順に順次前記複数のメモリブロックに展開して当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を前記入力画像の全てのページの記録出力が完了するまで行う原稿ページモード、前記入力画像の1ページ目の画像データを全ての前記メモリブロックに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行い、次に、前記入力画像の次のページの画像データを全ての前記メモリブロックに展開して当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を前記入力画像の全てのページの記録出力が完了するまで行う処理を出力部数分を記録出力するまで行うソートモード等の各種出力モードによる並列記録出力を、前記出力メモリの複数の前記メモリブロックへの前記画像データの展開順序を種々変更するものであってもよい。
【0014】
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記画像形成装置は、前記出力メモリの複数の前記メモリブロックにそれぞれ異なる入力画像の画像データを展開して当該複数の入力画像を並列記録出力するものであってもよい。
【0015】
また、例えば、請求項5に記載するように、前記画像形成装置は、前記用紙を並列収納する前記給紙トレイを備えた前記給紙部、当該給紙部から並列給紙される用紙に並列記録する前記画像形成部及び当該画像形成部での並列記録に対応する画像データがそれぞれ展開される複数の前記メモリブロックを有する前記出力メモリ等の並列記録出力を実行する複数列の並列記録出力機構が、それぞれ個別に動作可能であり、当該複数列の並列記録出力機構を個別に動作させて記録出力する個別記録出力動作を実施するものであってもよい。
【0016】
さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記画像形成装置は、並列記録出力された前記用紙が並列排紙される前記排紙部上に排紙されている前記用紙の有無を検出する排紙用紙検出手段を備え、当該排紙用紙検出手段の検出結果に基づいて、前記複数列の並列記録出力機構のうち前記記録済み用紙が排紙されていない前記排紙部上に排紙を行う前記並列記録出力機構を選択して前記個別記録出力を実施するものであってもよい。
【0017】
また、例えば、請求項7に記載するように、前記画像形成装置は、前記排紙部上の前記用紙の残存の有無を報知出力する報知出力手段を備えているものであってもよい。
【0018】
さらに、例えば、請求項8に記載するように、前記画像形成装置は、前記並列記録出力処理と前記個別記録出力処理とを適宜選択して実行するものであってもよい。
【0019】
また、例えば、請求項9に記載するように、前記画像形成装置は、前記複数の入力画像の画像データを、一旦前記画像データ蓄積メモリに蓄積した後、前記出力メモリの複数の前記メモリブロック毎に当該複数の入力画像の画像データを展開して、当該入力画像毎に並列記録出力するものであってもよい。
【0020】
さらに、例えば、請求項10に記載するように、前記画像形成装置は、それぞれ複数ページからなる複数の入力画像を並列記録出力する際、当該入力画像毎にページ順序を揃えて記録出力するものであってもよい。
【0021】
また、例えば、請求項11に記載するように、前記画像形成装置は、前記給紙トレイが、並列収納する複数の前記用紙の用紙サイズの合計サイズ以上の用紙サイズの幅広用紙を単独で収納可能であり、前記出力メモリが、全ての前記メモリブロックを利用して当該幅広用紙に対応する幅の画像データが展開され、前記画像形成部が、当該出力メモリからの画像データに基づいて当該幅広用紙に単独で画像を記録出力する単独記録出力を実施するものであってもよい。
【0022】
さらに、例えば、請求項12に記載するように、前記画像形成装置は、前記画像形成部が光書込手段としてLEDアレイを用いた電子写真方式の画像形成部であり、当該LEDアレイが、前記並列記録数に対応する数の分割LEDアレイで構成され、当該各分割LEDアレイが前記出力メモリの前記各メモリブロックからの画像データに基づいて個別に光書込動作を行うものであってもよい。
【0023】
また、例えば、請求項13に記載するように、前記画像形成装置は、前記各分割LEDアレイ毎にレジストを調整可能であってもよい。
【0024】
さらに、例えば、請求項14に記載するように、前記画像形成装置は、前記LEDアレイの全ての前記分割LEDアレイまたは前記各分割LEDアレイ毎に点灯数を変更することで画素密度を変更して、前記単独記録出力または前記並列記録出力を実行するものであってもよい。
【0025】
また、例えば、請求項15に記載するように、前記画像形成装置は、前記用紙を並列収納する前記給紙トレイを備えた前記給紙部、当該給紙部から並列給紙される用紙に並列記録する前記画像形成部及び当該画像形成部での並列記録に対応する画像データがそれぞれ展開される複数の前記メモリブロックを有する前記出力メモリ等の並列記録出力を実行する複数列の並列記録出力機構が、それぞれ個別に動作可能であり、当該複数列の並列記録出力機構を個別に動作させて記録出力する個別記録出力動作を実施する際、非動作の前記並列記録出力機構の前記分割LEDアレイをオフにするものであってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の画像形成装置によれば、出力画像サイズが最大出力可能画像サイズの1/4以下の小サイズ出力画像である場合には、当該出力画像サイズに対応する小サイズの用紙を同時に並列に給紙して、当該並列給紙する用紙に同時並列書込処理を行うとともに、ラインメモリに同時並列書込する複数枚の画像データを同時に展開し、また、画像データの配置方法を変更することで、プリント速度を向上させるとともに、ラインメモリを有効活用しつつ、画像形成された用紙の出力形態を種々変更させて利用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【実施例1】
【0028】
図1〜図20は、本発明の画像形成装置の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置の一実施例を適用した幅広複写機1の正面概略構成図である。
【0029】
図1において、幅広複写機1は、本体筐体2内に、給紙部3、搬送部4、反転部5、画像形成部6、排紙部7及び画像読取部8等が収納されており、本体筐体2から側面に突出する状態で、手差しトレイ9及びコピートレイ10等が設けられている。
【0030】
給紙部3は、3段のA2用給紙トレイ(給紙トレイ)11〜13が設けられており、各A2用給紙トレイ11〜13には、A2サイズ及びA2サイズ以下の用紙がセットされるとともに、後述するように、A4サイズの用紙が並列にセットされる。また、手差しトレイ9には、手差しにより用紙がセットされる。
【0031】
反転部5は、搬送切換部14、反転搬送部15、両面ユニット16及びA3用給紙トレイ17等を備えており、A3給紙トレイ17には、A3サイズの用紙がセットされる。
【0032】
反転部5は、用紙に両面記録を行う場合に、画像形成部6で片面に画像の記録の完了した用紙を搬送切換部14で反転搬送部15に切り換えて搬送させて、両面ユニット16内に一旦収納させる。反転部5は、両面ユニット16内に収納した用紙をスイッチバック動作で記録面を反転させて、両面ユニット16から再度白紙面を上側にした状態で画像形成部6に搬送し、画像形成部6で未記録面に画像形成して、排紙部7に排出させる。
【0033】
上記給紙部3は、A2用給紙トレイ11について図2及び図3に示すように、A2用給紙トレイ11〜13に、その幅方向(短手方向)両端部が用紙側面規制部材21a、21bで規制される状態で幅広のA2サイズの用紙(A2用紙)Paが収納されるとともに、図4及び図5に示すように、A4サイズ以下の幅狭の用紙サイズの用紙(A4以下用紙)Pb(図4及び図5では、A4サイズを示している。)が図4に矢印で示す用紙搬送方向に対して並列に収納され、A4以下用紙PbをA2用給紙トレイ11〜13に収納する場合には、図4に示すように、A2用給紙トレイ11〜13の短手方向中央部に、並列収納されるA4以下用紙Pbの間に所定のレジスト領域を設けるための用紙中央規制部材22がA2用給紙トレイ11〜13の長手方向に延在する状態で着脱可能に装着される。
【0034】
各A2用給紙トレイ11〜13は、図6に示すように、その底面の中央部に、A2用底板23がフランジ部24を中心に用紙搬送用後端部側が上方に所定角度回動可能に取り付けられており、また、その底面のA2用底板23の両側部に当該両側部が一部重なる位置にA4用底板25a、25bがフランジ部26a、26bを中心に用紙搬送用後端部側が上方に所定角度回動可能に取り付けられている。そして、A2用給紙トレイ11〜13には、図7及び図8に示すように、A2用底板23の下方からA2用底板23の両側部のA4用底板25a、25bにわたって底板加圧レバー27が設けられており、この底板加圧レバー27は、A2用底板23の下方に配設されているA2用底板加圧レバー部27aとA4用底板25a、25bの下方に配設されているA4用底板加圧レバー部27bとがシャフト27cで連結されている。
【0035】
底板加圧レバー27は、シャフト27cが図示しないモータ等の駆動部により、図7及び図8で時計方向に回転駆動されることで、図7に示したように、A2用底板加圧レバー27aが上方に回動移動して、図7及び図9に示すように、A2用底板23を上方に押し上げるとともに、A2用底板23がA4用底板25a、25bを押し上げ、シャフト27cが図示しないモータ等の駆動部により、図7及び図8で反時計方向に回転駆動されることで、図8及び図10に示すように、A4用底板25a、25bのみを上方に押し上げる。そして、A2用給紙トレイ11〜13は、A2用紙Paが載置されるときには、A2用底板23を中心とする両方のA4用底板25a、25bにわたってA2用紙Paが載置され、A4以下用紙Pbが載置されるときには、図4に示した用紙中央規制部材22を挟んでA4用底板25a、25b上にA4以下用紙Pbが載置される。
【0036】
また、A3用給紙トレイ17には、A3サイズの用紙が収納される。
【0037】
搬送部4は、その給紙部3の部分には、図1、図3、図5及び図11に示すように、各A2用給紙トレイ11〜13及びA3用給紙トレイ17の部分に、それぞれ呼出コロ31、給紙コロ32及び逆転コロ33が配設されており、呼出コロ31を図示しない呼出モータで回転駆動することで、A2用給紙トレイ11〜13及びA3用給紙トレイ17内のA2用紙PaまたはA4以下用紙PbあるいはA3用紙を呼び出して、逆転コロ33で、用紙Paまたは用PbあるいはA3用紙を1枚ずつ分離して、給紙コロ32で分離された1枚のA2用紙PaまたはA4以下用紙PbあるいはA3用紙を送り出す。
【0038】
搬送部4は、各A2用給紙トレイ11〜13及びA3用給紙トレイ17の近傍に、グリップ搬送ローラ34が配設されており、各グリップ搬送ローラ34は、各A2用給紙トレイ11〜13及びA3用給紙トレイ17から送り出されてきたA2用紙Pa、A4以下用紙Pb、A3用紙を搬送路に沿って画像形成部6へと搬送する。
【0039】
特に、A2用給紙トレイ11〜13部分の搬送部4は、図3及び図5に示したように、A4以下用紙Pbに対しても適切にA4以下用紙Pbの送り出しを行えるように、A4以下用紙Pbの用紙搬送方向先端部付近であって、当該A4以下用紙Pbの短手方向略中央部の位置に、それぞれ呼出コロ31、給紙コロ32及び逆転コロ33が配設されており、呼出コロ31を図示しない呼出モータで回転駆動することで、A4用給紙トレイ11〜13内のA2用紙PaまたはA4以下用紙Pbを呼び出して、逆転コロ33で、A2用紙PaまたはA4以下用紙Pbを1枚ずつ分離して、給紙コロ32で分離された1枚のA2用紙PaまたはA4以下用紙Pbをのみ分離する。
【0040】
搬送部4は、上記各A2用給紙トレイ11〜13に収納されているA2用紙PaまたはA4以下用紙Pbを選択的に、A3用給紙トレイ17に収納されているA3用紙を、図1に矢印で示すように、画像形成部6に搬送するだけでなく、手差しトレイ9にセットされた用紙を、図1に矢印で示すように、画像形成部6に搬送する。
【0041】
特に、搬送部4は、A2用給紙トレイ11〜13にA4以下用紙Pbが並列に収納されている場合、当該並列に収納されているA4以下用紙Pbを同時並列に画像形成部6に搬送する。
【0042】
画像形成部6は、画像形成ユニット41及び定着ユニット42等を備えており、給紙部3の各A2用給紙トレイ11〜13、A3用給紙トレイ17または手差しトレイ9から搬送部4により搬送されてきてレジストローラ43でタイミング調整された用紙Pa、Pbの上面に画像形成ユニット41で画像形成した後、定着ユニット42で定着して、排紙部7、あるいは、反転部5に送り出す。特に、画像形成部6は、A2用給紙トレイ11〜13に並列収納されているA4以下用紙Pbが搬送部4によって並列搬送されてくると、当該へ列搬送されてきたA4以下用紙Pbに同時に画像形成する。
【0043】
排紙部7は、画像形成部6で画像の形成された用紙Pa、Pbをコピートレイ10上に排出して載置する。特に、画像形成部6で並列給紙されてきたA4以下用紙Pbに同時に画像形成されたA4以下用紙Pbについては、そのまま同時にコピートレイ10上に並列排紙する。
【0044】
画像読取部8は、コンタクトガラス51上にセットされた原稿に光源52から光を照射して、原稿で反射された反射光をミラー53で順次反射させて、レンズ54により光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device )55に集光し、CCD55で光電変換して、原稿の画像を読み取る。
【0045】
この幅広複写機1は、図12に示すようにブロック構成されており、ベースコントロールユニット(BCU)61、センサ62、動作負荷制御部63、画像処理ユニット64、画像読取部8、画像形成部6、コントローラ65、操作部66及び画像データ蓄積メモリとしてのハードディスク(HDD)67等を備えている。
【0046】
ベースコントロールユニット61は、CPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、ベースコントロールユニット61には、センサ62、動作負荷制御部63及び画像処理ユニット64等が接続されている。ベースコントロールユニット61は、ROM内のプログラムに基づいて幅広複写機1の各部を制御して、幅広複写機1の全体の制御を行う。
【0047】
センサ(排紙用紙検出手段)62は、コピートレイ10上に排出される記録済みの用紙Pa、Pbの有無の検出を行う。特に、コピートレイ10は、A2用給紙トレイ11〜13に並列収納され搬送部4によって並列搬送されて画像形成部6で並列して画像形成されたA4以下用紙Pbは、コピートレイ10上に並列に排出されるため、A4以下用紙Pbが並列して排出される第1排紙スペースと第2排紙スペースが設けられており、センサ62は、この並列に搬送されるコピートレイ10上の第1排紙スペースと第2排紙スペースの用紙の有無を個別に検出して、検出結果をベースコントロールユニット61に出力する。
【0048】
動作負荷制御部63は、ベースコントロールユニット61の制御下で、幅広複写機1の動作負荷の制御を行う。
【0049】
画像処理ユニット64は、画像処理部68とデータ配置部69を備えており、画像処理部68には、画像読取部8で読み取られた原稿の画像データがデジタル変換されて入力される。画像処理部68は、画像読取部8から入力される画像データに必要な画像処理、例えば、シェーディング補正処理、地肌除去処理等を施して、コントローラ65に転送する。
【0050】
コントローラ65は、画像処理ユニット64、操作部66、ハードディスク67等の複数のプロセッサやメモリに接続されており、幅広複写機1の画像データの出力タイミング等のコントロールを行う。特に、コントローラ65は、画像処理ユニット64の画像処理部68から送られてきた画像データを一旦ハードディスク67に記憶させ、各画像データの出力タイミングに応じて必要な画像データをハードディスク67から取り出して、画像処理ユニット64のデータ配置部69に転送する。
【0051】
画像処理ユニット64のデータ配置部69は、図13に示すように、画像形成部6の画像書込幅に対応するラインメモリ(出力メモリ)70を備え、このラインメモリ70に、コントローラ65から転送されてきた画像データを画像領域に応じて配置する。このラインメモリ70は、FIFO(First-In First-Out)であり、順次配置された画像データを先頭から順に画像形成部6に転送する。
【0052】
画像形成部6は、画像書込を行うためのLD(Laser Diode )等の光デバイスと当該光デバイスを駆動するドライバIC等を備え、画像処理ユニット64のデータ配置部69から転送されてきた画像データに応じて光デバイスを駆動(点滅動作)させて、書込動作を行う。
【0053】
操作部66は、各種操作キーでコピー枚数の設定やコピー部数の設定等の各種操作が行われ、また、操作キーから入力された各種命令や幅広複写機1からオペレータに通知する各種情報を表示する表示部を備えている。
【0054】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の幅広複写機1は、A2用給紙トレイ11〜13に、A4以下用紙Pbを複数並列して配置することができ、この複数並列配置されるA4以下用紙Pbに同時に画像形成する画像データのデータ配置部69のラインメモリ70への展開方法を種々変化させて、ラインメモリ70の利用効率を向上させつつ利用性の良好な各種形態の画像出力を高速に行う。
【0055】
すなわち、幅広複写機1は、画像読取部8のコンタクトガラス51上に原稿がセットされ、操作部66で、コピー枚数、複写モード、画質等のコピー条件が設定入力されて、スタートキーが押下されると、画像読取部8のコンタクトガラス51上にセットされた原稿を画像読取部8に主走査副走査させて読み取らせる。画像読取部8は、読み取った原稿の画像データをデジタル変換して画像処理ユニット64の画像処理部68に転送し、画像処理部68は、画像読取部8から転送されてきた画像データ(入力画像の画像データ)に必要な画像処理を施してコントローラ65に転送する。コントローラ65は、画像処理部68から転送されてきた画像データをハードディスク67に一時蓄積する。
【0056】
コントローラ65は、操作部66から入力されたコピー枚数、複写モード等のコピー条件に応じてハードディスク67から画像データを読み出して画像処理ユニット64のデータ配置部69に転送し、データ配置部69が転送されてきた画像データを内部ラインメモリ70に配置する。
【0057】
データ配置部69は、ラインメモリ70に配置した画像データを順次画像形成部6に転送し、画像形成部6が当該転送されてきた画像データに基づいて書込処理を行って用紙に画像形成する。
【0058】
このような一連の画像形成処理において、出力する画像サイズがA4サイズ以上の並列給紙を行わないときには、データ配置部69は、ラインメモリ70に用紙幅または出力画像領域に対応するレジスト部を設けて画像データを配置する。
【0059】
一方、出力する画像がA4サイズ以下の画像であって並列給紙を行う場合、例えば、A4以下用紙Pbを並列給紙する場合には、データ配置部69は、図14(a)に示すように、ラインメモリ70を中心から2つのメモリブロック70a、70bに分割して、ラインメモリ70の先端側の前段メモリブロック70aと後側の後段メモリブロック70bとに分けて画像データを配置するとともに、前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bとの間に、A2用給紙トレイ11〜13から画像形成部6に並列給紙されてくるA4以下用紙PbのA2用給紙トレイ11〜13の用紙中央規制部材22の幅に対応する間隔のレジスト部70cを設けて、画像外領域とする。例えば、4枚の原稿をコピーする場合、データ配置部69が、図14(a)に示すように、前段メモリブロック70aに原稿ページ1目の画像データを、後段メモリブロック70bに原稿2ページ目の画像データを配置して、当該配置した画像データを画像形成部6に転送して、画像形成部6がA2用給紙トレイ11〜13の1つから並列給紙されてきたA4以下用紙Pbに、図14(b)に示すように、書込処理を行って画像形成し、データ配置部69が、前段メモリブロック70aに原稿ページ3目の画像データを、後段メモリブロック70bに原稿4ページ目の画像データを配置して、当該配置した画像データを画像形成部6に転送して、画像形成部6がA2用給紙トレイ11〜13の1つから並列給紙されてきたA4以下用紙Pbに書込処理を行って画像形成する。そして、データ配置部69は、ラインメモリ70の前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bとの間に、並列給紙されてくるA4以下用紙Pbの並列間隔に対応するレジスト部70cを設けて画像外領域としているため、画像の先端を示す同期検知出力に対応して、レインメモリ70の1ライン分の画像データをそのまま画像形成部6に転送して、画像形成部6で画像の書込処理を行うことで、前段メモリブロック70aの画像の書込を行い、レジスト領域を経て、後段メモリブロック70bの画像の書込を行うことができる。
【0060】
また、4ページの原稿を複数部コピーする場合には、各ページを当該部数分ずつ並列記録出力する処理をページ毎に順次繰り返し行うようにしてもい。例えば、2部コピーする場合には、原稿1ページ目の画像データを前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに配置し、1ページ目の画像形成が終了すると、同様に、原稿2ページ目の画像データを前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに配置して画像形成する処理を、原稿ページの最後まで順次行う。
【0061】
そして、この場合、上述のように、A2用給紙トレイ11〜13の少なくとも1つには、用紙中央規制部材22を挟んでA4以下用紙Pbが並列に収納されており、シャフト27cが図7及び図8で反時計方向に回転駆動されることで、図8及び図10に示すように、A4用底板25a、25bのみがA4以下用紙Pbの用紙搬送方向先端部の上面が呼出コロ31、給紙コロ32に当接するまで上方に押し上げられている。この状態で、幅広複写機1は、A4以下用紙Pbが並列収納されているA2給紙トレイ11〜13から返送部4にA4以下用紙Pbを並列給紙を開始させて画像形成部6に並列搬送させ、画像形成部6で、上述のように画像形成させる。
【0062】
このように、本実施例の幅広複写機1は、給紙部3の複数の用紙を並列して収納するA2用給紙トレイ11〜13から画像形成部6に用紙を並列搬送して、ラインメモリ70に展開されている画像データを画像形成部6に転送して当該画像データに基づいて画像形成部6で並列給紙される用紙にそれぞれ同時に並列に画像を記録出力して、当該画像の記録出力された用紙を排紙部7に並列に排出するに際して、ラインメモリ70を、画像形成部6に並列給紙する複数のA4以下用紙Pbの数に対応させた数の前段メモリブロック70aと後側の後段メモリブロック70bに分割し、当該前段メモリブロック70aと後側の後段メモリブロック70bに各用紙に並列記録する画像データを並列に展開している。
【0063】
したがって、プリント速度を向上させることができるとともに、ラインメモリ70を有効活用しつつ、画像形成後の用紙の出力形態を種々変更させることができ、利用性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施例の幅広複写機1は、入力される画像データを、一旦ハードディスク67に蓄積した後、ラインメモリ70の前段メモリブロック70aと後側の後段メモリブロック70bに展開している。
【0065】
したがって、前段メモリブロック70aと後側の後段メモリブロック70bへの画像データの展開を容易にかつ多彩に行えるようにすることができ、ラインメモリ70を有効活用しつつ、画像形成後の用紙の出力形態をより一層種々変更させてより一層利用性を向上させることができる。
【0066】
また、本実施例の幅広複写機1は、データ配置部69のラインメモリ70の前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bへのデータ展開の方法を任意に変更することができ、この前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bへのデータ展開を種々変更することで、画像の出力モードを種々変更することができる。
【0067】
例えば、原稿画像の画像データをページ順に順次複数のメモリブロックである前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を原稿画像の最後のページまで行って1部分の並列記録出力が完了すると同様の処理を出力部数だけ行う原稿順序モード、原稿の各ページをコピー部数ずつ画像形成して順次用紙出力する原稿ページモード、出力用紙の画像を原稿のページ順に積み重ねて出力するソートモード等がある。
【0068】
そして、原稿順序モードで出力する場合には、例えば、原稿が4枚、コピー部数が4部の場合、図15(a)に示すように、前段メモリブロック70aに原稿1ページ目の画像データを配置して、後段メモリブロック70bに原稿2ページ目の画像データを配置し、当該画像データを画像形成部6に転送して、画像形成部6で1部だけ画像形成する。1部のコピーが終了すると、前段メモリブロック70aに原稿3ページ目の画像データを配置し、後段メモリブロック70bに原稿4ページ目の画像データを配置して、同様に1部だけ画像形成を画像形成部6で行う。上記処理をコピー部数(すなわち、4部)だけ繰り返し行うことで、図16(a)に示すように、原稿順序モードで画像形成されたA4以下用紙Pbをコピートレイ10上に排出することができる。
【0069】
また、原稿ページモードで出力する場合には、例えば、原稿が4枚、コピー部数が4部の場合、図15(b)に示すように、前段メモリブロック70aに原稿1ページ目の画像データを配置して、後段メモリブロック70bに原稿2ページ目の画像データを配置し、コピー部数だけ画像形成部6に転送して、画像形成部6でコピー部数(すなわち、4部)だけ画像形成し、4部のコピーが終了すると、前段メモリブロック70aに原稿3ページ目の画像データを配置し、後段メモリブロック70bに原稿4ページ目の画像データを配置して、同様にコピー部数である4部の画像形成を画像形成部6で行う。上記処理を行うことで、図16(b)に示すように、原稿順序モードで画像形成されたA4以下用紙Pbをコピートレイ10上に排出することができる。
【0070】
さらに、ソートモードで出力する場合には、例えば、原稿が4枚、コピー部数が4部の場合、図15(c)に示すように、前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに原稿1ページ目の画像データを配置し、1回分の画像データを画像形成部6に転送して、画像形成部6で1回だけ画像形成すると、前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに原稿2ページ目の画像データを配置して、同様に1回分の画像データを画像形成部6に転送して画像形成する処理を、順次、原稿3ページ目の画像データ及び原稿4ページ目の画像データに付いても同様に処理する。上記処理を行うことで、図16(c)に示すように、ソートモードで画像形成されたA4以下用紙Pbをコピートレイ10上に排出することができる。
【0071】
このようにすると、ラインメモリ70を有効活用しつつ、画像形成後の用紙の出力形態をより一層種々変更させることができ、より一層利用性を向上させることができる。
【0072】
さらに、本実施例の幅広複写機1は、並列給紙、並列画像形成、並列排紙の処理経路のうち、片側の一方の機構のみを使用して、A4サイズ以下の画像サイズの画像形成を行うことができる。
【0073】
この場合、幅広複写機1は、図17(a)に示すように、データ配置部69がラインメモリ70の片側、例えば、前段メモリブロック70aにのみ原稿の画像データを配置し、もう一方側、例えば、後段メモリブロック70bには、データ無し(白紙)とする。このラインメモリ70の画像データを画像形成部6に転送して、当該画像データの配置されている側にのみ給紙部3のA2用給紙トレイ11〜13のいずれかから搬送されてくるA4以下用紙Pbに画像形成する。
【0074】
このようにすると、複数の原稿読取画像等の入力画像を同時に出力することができ、より一層利用性を向上させることができる。
【0075】
そして、この場合、並列排紙が可能なコピートレイ10上の当該並列排紙位置のうちいずれかに排紙されているA4以下用紙Pbが載置されているか検知してベースコントロールユニット61に出力し、ベースコントロールユニット61は、A2用給紙トレイ11〜13の並列収納されているA4以下用紙Pbのうち、コピートレイ10のA4以下用紙Pbの載置されている側に排出されるA4以下用紙Pbが給紙されないように、当該側のA4以下用紙Pbの収納されている側のA4用底板加圧レバー部27a、27bを下げて、A4用底板25a、25bを下方に下げるように制御するとともに、ラインメモリ70の前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bのうち当該コピートレイ10のA4以下用紙Pbの載置されている側とは反対側に対応するメモリブロック70a、70bに画像データを配置するようにメモリ配置部69に命令を出す。
【0076】
例えば、コピートレイ10の前段メモリブロック70a側の出力位置に出力済みのA4以下用紙Pbが残っていて、次のA4サイズの画像データがくると、ベースコントロールユニット61は、後段メモリブロック70bに画像データを配置するようにメモリ配置部69に命令を出すとともに、A2用給紙トレイ11〜13の並列収納されているA4以下用紙Pbのうち後段メモリブロック70b側のA4以下用紙PbのA4用底板15bのみを上方へ動作させ、当該後段メモリブロック70b側のA4以下用紙Pbを画像形成部6に搬送させ、後段メモリブロック70bのみを使用して画像形成を行う。
【0077】
このようにすると、ラインメモリ70を有効活用しつつ、画像形成後の用紙の出力形態をより一層種々変更させることができ、より一層利用性を向上させることができる。特に、並列記録出力されたA4以下用紙Pbが並列排紙される排紙部であるコピートレイ10上に排紙されている用紙の有無を検出するセンサ62の検出結果に基づいて、複数列の並列記録出力機構のうち記録済み用紙が排紙されていないコピートレイ10上に排紙を行う並列記録出力機構を選択して個別記録出力を実施すると、記録済み用紙がコピートレイ10上に取り忘れられている場合にも、当該取り忘れられている記録済み用紙と新たに記録した用紙とが混ざることを防止しつつ、記録出力することができ、より一層利用性を向上させることができる。
【0078】
そして、この場合、センサ62がコピートレイ10上に用紙の取り忘れがあるのを検知すると、その旨を、報知出力手段としての操作部66の表示部に表示出力したり、音声で拡声出力して、報知してもよい。このようにすると、記録済み用紙がコピートレイ10上に取り忘れられている場合に、当該取り忘れられている記録済み用紙を事前に除去する等の事前の対応を行えるようにすることができ、より一層利用性を向上させることができる。
【0079】
また、幅広複写機1は、同じ原稿の同じページの画像データまたは異なるページの画像データを分割されているラインメモリ70に展開して並列記録出力するだけでなく、異なる原稿群を同時に並列記録出力することができる。
【0080】
例えば、図18に示すように、原稿群Aと原稿群Bを並列コピー出力する場合、原稿群Aと原稿群Bを画像読取部8で順番に読み取って一旦ハードディスク67に蓄積し、ハードディスク67から原稿群Aの1ページ目の画像データと原稿群Bの1ページ目の画像データを読み出して、ラインメモリ70の前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bとにそれぞれ配置する。この前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bの画像データを画像形成部6に転送して、並列記録する。上記処理を原稿群Aと原稿群Bの同じページ目の画像データについて順次処理することで、図18に示すように、原稿群Aと原稿群Bを並列コピー出力することができる。
【0081】
また、例えば、上記原稿群Aのコピー枚数が5枚、原稿群Bのコピー枚数が20枚のときに、原稿群Aと原稿群Bを並列同時出力を行う場合、当然原稿群Aのコピー動作が早く終了するが、このとき、残りの原稿群Bの出力を原稿群Aの出力で利用していた側を利用して並列同時出力する。具体的には、前段メモリブロック70aに原稿群Aの画像データを展開し、後段メモリブロック70bに原稿群Bの画像データを展開して並列出力を行っていて、原稿群Aのコピー動作が先に周流すると、原稿群Aの展開に利用していた前段メモリブロック70aをも利用して残りの原稿群Bの画像データを配置する。
【0082】
さらに、原稿群Aと原稿群Bをソートして出力する場合には、例えば、コピー1枚目は原稿群Aの画像データを前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに展開し、1枚目終了後、2枚目は、原稿群Bの1枚目の画像データを前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bに展開するという処理を繰り返し行うことで実現することができる。
【0083】
なお、上記説明では、画像形成部6の光デバイスとして、LDを例に挙げているが、光デバイスとしては、LDに限るものではなく、例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。
【0084】
この場合、図19(b)及び図20(b)に示すように、A2サイズの光デバイス80としては、安価なA4サイズの前段LEDアレイ(分割LEDアレイ)80aと後段LEDアレイ(分割LEDアレイ)80bの2つをつなげることで、安価にA2サイズの光デバイス80を構成することができる。2つの前段LEDアレイ80aと後段LEDアレイ80bは、用紙の出力方向(搬送方向)に対して直交する方向に配設されるとともに、並列出力時のラインメモリ70のレジスト領域70cに対応する長さ分だけ重なる状態で配設され、各LEDアレイ80a、80bは、それぞれ独立して点灯動作が可能である。
【0085】
このLEDアレイ80a、80bは、VDBというPCB基板により制御されており、画像読取装置から読み取られて画像処理部68で画像処理の施された画像データは、VDBに入力され、VDBからLPHに渡される。そして、LEDアレイ80a、80bが、この転送された画像データに基づいて画像書出等のトリガ信号により点灯動作を実行することで、画像書込動作を行う。
【0086】
そして、光デバイス80を用いて画像形成を行う場合、図19(a)に示すように、画像データがA4サイズよりも大きくラインメモリ70を分割することなく使用して展開する画像データである場合には、当該ラインメモリ70から1ページの画像データを、図19(b)に示すように、前段LEDアレイ80aと後段LEDアレイ80bの両方を使用した状態で転送し、図19(c)に示すように、当該前段LEDアレイ80aと後段LEDアレイ80bが当該1つの画像データに基づいて点灯して書込を行うことで、画像形成する。また、A4サイズ以下の画像データで並列出力を行う場合には、図20(a)に示すように、ラインメモリ70の前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bのそれぞれに原稿1ページ分の画像データが展開され、この各前段メモリブロック70aと後段メモリブロック70bの画像データがそれぞれ前段LEDアレイ80aと後段LEDアレイ80bに転送され、図20(b)に示すように、前段LEDアレイ80aと後段LEDアレイ80bがそれぞれ個別に転送されてきたページ単位の画像データに基づいて点灯して書込を行うことで、図20(c)に示すように、用紙に画像形成する。
【0087】
このように、画像形成部6を光書込手段としてLEDアレイ80を用いた電子写真方式の画像形成部とし、当該LEDアレイ80を、並列記録数に対応する数の分割LEDアレイ80a、80bで構成し、当該各分割LEDアレイ80a、80bでラインメモリ70の各メモリブロック70a、70bからの画像データに基づいて個別に光書込動作を行うと、安価で小型なものとすることができるとともに、ラインメモリ70のメモリブロック70a、70bへの画像データの展開方法を種々変更することで容易に種々の画像形成を行えるようにすることができ、より一層利用性を安価に向上させることができる。
【0088】
また、光デバイス80は、前段LEDアレイ80aと後段LEDアレイ80bのそれぞれが独立して駆動可能であるため、それぞれの出力のコピー条件に応じて、画像の横レジストや書き出しのレジスト調整の設定が可能となる。これは、書き出しまでのマスク領域を設定することで、安易に実現することができ、また、画像の変倍率も同様に対応することができる。
【0089】
さらに、上述のように、片側単独出力の場合は、使用しないもう一方のLEDアレイ80a、80bをOFFにする。このようにすると、消費電力を削減することができる。
【0090】
また、LEDアレイ80a、80bのLEDの点灯個数を変更することで、画素密度を変更することができる。例えば、通常コピーは、600dpiで行い、画素密度の低いファクシミリ受信画像の出力には、LEDの点頭数を減らすことで、容易にかつ消費電力を削減しつつ実現することができる。
【0091】
ところがこのような画素密度の変更は、光デバイスとしてLD(レーザダイオード)を使用して、LDから出射されるレーザ光をポリゴンミラーで走査する場合には、ポリゴンミラーを回転駆動するポリゴンモータの回転速度を変更することで対応する必要があり、高精度な制御回路を必要とするとともに装置も大型化してコストが高くつくが、LDアレイを用いると、上述のように安価で小型かつ容易に画素密度を変更することができる。
【0092】
また、LEDアレイ80a、80bを用いると、LD走査方式のポリゴンミラーのような可動部がなく、高信頼性であり、また、A0幅等の大判サイズのプリント出力を必要とする場合には、主走査方向に光ビームを走査させるための光学的空間が不要であり、LEDアレイとセルフォックレンズ等の光学素子を一体化したLEDヘッド(発光素子アレイユニット)を配置することで対応することができ、幅広複写機1全体を小型化することができる。
【0093】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
A0、A2等の幅広の複写装置等の幅広の画像形成装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施例を適用した幅広複写機の正面概略構成図。
【図2】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイのA2用紙収納時の裏面部分断面図。
【図3】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイ部分のA2用紙収納時の斜視図。
【図4】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイのA4用紙収納時の裏面部分断面図。
【図5】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイ部分のA4用紙収納時の斜視図。
【図6】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイの底板を明示する平面図。
【図7】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイのA2用底板とA4用底板の双方を上方に押し上げている状態の側面断面図。
【図8】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイのA4用底板のみを上方に押し上げている状態の側面断面図。
【図9】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイのA2用底板とA4用底板の双方を上方に押し上げている状態の正面図。
【図10】図1の幅広複写機の給紙部のA2用給紙トレイのA4用底板のみを上方に押し上げている状態の正面図。
【図11】図1の幅広複写機の搬送部の正面図。
【図12】図1のブロック構成図。
【図13】図12のデータ配置部の備えているラインメモリの平面図。
【図14】図12のラインメモリの並列給紙時のメモリブロック構成(a)と用紙への画像出力(b)の説明図。
【図15】図12のラインメモリの原稿順序モード出力時の画像データの配置(a)と原稿ページモード出力時の画像データの配置(b)の説明図。
【図16】並列給紙を利用した原稿順序モード出力時の用紙出力例(a)、原稿ページモード出力時の用紙出力例(b)及びソートモード出力時の用紙出力例(c)を示す図。
【図17】並列給紙の片側のみを利用した画像形成時のラインメモリの画像データの配置(a)と用紙への画像出力(b)の説明図。
【図18】2つの縁列群を並列出力する場合の説明図。
【図19】図1の画像形成部の光デバイスとして2つのLEDアレイを用いてA2サイズ画像データを出力する場合のラインメモリの画像データの配置(a)、LEDアレイの配置の構成図(b)及び用紙への画像出力(c)の説明図。
【図20】図1の画像形成部の光デバイスとして2つのLEDアレイを用いてA4サイズ画像データを並列給紙出力する場合のラインメモリの画像データの配置(a)、LEDアレイの配置の構成図(b)及び用紙への画像出力(c)の説明図。
【符号の説明】
【0096】
1 幅広複写機
2 本体筐体
3 給紙部
4 搬送部
5 反転部
6 画像形成部
7 排紙部
8 画像読取部
9 手差しトレイ
10 コピートレイ
11〜13 A2用給紙トレイ
14 搬送切換部
15 反転搬送部
16 両面ユニット
17 A3用給紙トレイ
21a、21b 用紙側面規制部材
Pa A2用紙
Pb A4用紙
23 A2用底板
24 フランジ部
25a、25b A4用底板
26a、26b フランジ部
27a A2用底板加圧レバー部
27b A4用底板加圧レバー部
27c シャフト
31 呼出コロ
32 給紙コロ
33 逆転コロ
34 グリップ搬送ローラ
41 画像形成ユニット
42 定着ユニット
43 レジストローラ
51 コンタクトガラス
52 光源
53 ミラー
54 レンズ
55 CCD
61 ベースコントロールユニット(BCU)
62 センサ
63 動作負荷制御部
64 画像処理ユニット
65 コントローラ
66 操作部
67 ハードディスク(HDD)
68 画像処理部
69 データ配置部
70 ラインメモリ
70a 前段メモリブロック
70b 後段メモリブロック
70c レジスト部
80 光デバイス
80a 前段LEDアレイ
80b 後段LEDアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の用紙を並列して収納する給紙トレイを備えた給紙部から画像形成部に当該並列収納されている用紙を同時に並列に搬送し、出力メモリに展開されている画像データを前記画像形成部に転送して当該画像データに基づいて、前記画像形成部で前記並列給紙される用紙にそれぞれ同時に並列に画像を記録出力して、当該画像の記録出力された用紙を排紙部に並列に排出する画像形成装置であって、前記出力メモリを、前記画像形成部に並列給紙する複数の前記用紙の数に対応させた数のメモリブロックに分割し、当該複数のメモリブロックに前記各用紙に並列記録する前記画像データを並列に展開することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、入力される画像データを、一旦画像データ蓄積メモリに蓄積した後、前記出力メモリの前記メモリブロックに展開することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記入力画像を複数部並列記録出力する場合、前記入力画像の画像データをページ順に順次前記複数のメモリブロックに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を前記入力画像の最後のページまで行って1部分の並列記録出力が完了すると同様の処理を出力部数だけ行う原稿順序モード、前記入力画像をページ順に順次前記複数のメモリブロックに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を出力部数だけ行い、次に、入力画像の残りのページをページ順に順次前記複数のメモリブロックに展開して当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を前記入力画像の全てのページの記録出力が完了するまで行う原稿ページモード、前記入力画像の1ページ目の画像データを全ての前記メモリブロックに展開し当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行い、次に、前記入力画像の次のページの画像データを全ての前記メモリブロックに展開して当該展開した画像データに基づく並列記録出力を行う処理を前記入力画像の全てのページの記録出力が完了するまで行う処理を出力部数分を記録出力するまで行うソートモード等の各種出力モードによる並列記録出力を、前記出力メモリの複数の前記メモリブロックへの前記画像データの展開順序を種々変更することで実行することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記出力メモリの複数の前記メモリブロックにそれぞれ異なる入力画像の画像データを展開して当該複数の入力画像を並列記録出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記用紙を並列収納する前記給紙トレイを備えた前記給紙部、当該給紙部から並列給紙される用紙に並列記録する前記画像形成部及び当該画像形成部での並列記録に対応する画像データがそれぞれ展開される複数の前記メモリブロックを有する前記出力メモリ等の並列記録出力を実行する複数列の並列記録出力機構が、それぞれ個別に動作可能であり、当該複数列の並列記録出力機構を個別に動作させて記録出力する個別記録出力動作を実施することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、並列記録出力された前記用紙が並列排紙される前記排紙部上に排紙されている前記用紙の有無を検出する排紙用紙検出手段を備え、当該排紙用紙検出手段の検出結果に基づいて、前記複数列の並列記録出力機構のうち前記記録済み用紙が排紙されていない前記排紙部上に排紙を行う前記並列記録出力機構を選択して前記個別記録出力を実施することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置は、前記排紙部上の前記用紙の残存の有無を報知出力する報知出力手段を備えていることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、前記並列記録出力処理と前記個別記録出力処理とを適宜選択して実行することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記複数の入力画像の画像データを、一旦前記画像データ蓄積メモリに蓄積した後、前記出力メモリの複数の前記メモリブロック毎に当該複数の入力画像の画像データを展開して、当該入力画像毎に並列記録出力することを特徴とする特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、それぞれ複数ページからなる複数の入力画像を並列記録出力する際、当該入力画像毎にページ順序を揃えて記録出力することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、前記給紙トレイが、並列収納する複数の前記用紙の用紙サイズの合計サイズ以上の用紙サイズの幅広用紙を単独で収納可能であり、前記出力メモリが、全ての前記メモリブロックを利用して当該幅広用紙に対応する幅の画像データが展開され、前記画像形成部が、当該出力メモリからの画像データに基づいて当該幅広用紙に単独で画像を記録出力する単独記録出力を実施することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成装置は、前記画像形成部が光書込手段としてLEDアレイを用いた電子写真方式の画像形成部であり、当該LEDアレイが、前記並列記録数に対応する数の分割LEDアレイで構成され、当該各分割LEDアレイが前記出力メモリの前記各メモリブロックからの画像データに基づいて個別に光書込動作を行うことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記画像形成装置は、前記各分割LEDアレイ毎にレジストを調整可能であることを特徴とする請求項12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置は、前記LEDアレイの全ての前記分割LEDアレイまたは前記各分割LEDアレイ毎に点灯数を変更することで画素密度を変更して、前記単独記録出力または前記並列記録出力を実行することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成装置は、前記用紙を並列収納する前記給紙トレイを備えた前記給紙部、当該給紙部から並列給紙される用紙に並列記録する前記画像形成部及び当該画像形成部での並列記録に対応する画像データがそれぞれ展開される複数の前記メモリブロックを有する前記出力メモリ等の並列記録出力を実行する複数列の並列記録出力機構が、それぞれ個別に動作可能であり、当該複数列の並列記録出力機構を個別に動作させて記録出力する個別記録出力動作を実施する際、非動作の前記並列記録出力機構の前記分割LEDアレイをオフにすることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−154342(P2006−154342A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345292(P2004−345292)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】