説明

画像形成装置

【課題】 機密文書を出力する際に複写を制限するための画像を付加することができる画像形成装置の提供。
【解決手段】 情報処理装置から送信されたプリントデータを受信した場合、受信したプリントデータを展開して機密文書であるか否かを判断する(S20)。機密文書であると判断した場合(S20:YES)、給紙を開始し(S21)、印字処理を実行する(S22)。そして、特定情報を付加する頁であるか否かを判断し(S23)、特定情報を付加する頁であると判断した場合(S23:YES)、シートの裏面に特定情報を付加する(S24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密性を有する文書を出力する際に複写を制限する旨の情報を含んだ画像を付加する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータのような情報処理装置からプリンタ装置、複合機等の画像形成装置を制御するプリンタドライバの機能として、印刷する各ページ又は任意のページに特定の文字列やマークを写し込む機能(以下、ウォータマーク機能)を有するものが数多く製品化されている。このウォータマーク機能は、利用者が印刷する文書等に「極秘」、「重要」、「回覧」、「至急」、「コピー厳禁」等の文字パターンを写し込むことにより、印刷される文書の取り扱いについて注意を喚起する目的で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように、出力する文書にウォータマークを付加することによって、利用者に対し文書の取り扱いについて注意を喚起することができるものの、利用者の不注意等により複製物が作成される場合、及び悪意のある第三者により不正に複製物が作成される場合があり、情報が漏洩する虞があるという問題点を有している。
【0004】
そこで、従来では、バーコードのような特定の画像を原稿に付加しておき、原稿を複写する際に前記バーコードを光学的に検出した場合、極秘文書であると判断して複写動作を停止させる複写機が提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。同様に、特定のパターンを原稿に追加しておき、原稿を複写する際に前記パターンを光学的に検出した場合、極秘文書であると判断して複写動作を停止させる複写機が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、赤外光反射、赤外光吸収、紫外線吸収等の所定の光学的特性を有するインク、又は所定の磁気特性を有するインクを用いて画像の一部又は全部を形成し、原稿の読取時に光学的手法、又は磁気的手法を用いて前記インクを検出した場合、複写動作を停止させる複写機が提案されている(例えば、特許文献5〜9参照)。
【特許文献1】特開2002−77600号公報
【特許文献2】特開昭54−32322号公報
【特許文献3】特開昭63−163866号公報
【特許文献4】特開平7−38747号公報
【特許文献5】特開昭58−224362号公報
【特許文献6】特開昭59−9681号公報
【特許文献7】特開昭60−8880号公報
【特許文献8】特開昭60−8878号公報
【特許文献9】特開昭56−126844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したように極秘文書であることを示すために原稿の表面にバーコードや特定のパターンを付加する構成である場合、意味のない情報が原稿の画像に加えられることとなるため、必ずしも利用者の意図した画像にならない場合があり、利用者に不満を与えることがある。また、作成する文書の内容によっては付加することができない場合が生じるという問題点を有している。
【0006】
また、原稿の表面にバーコードや特定パターンを付加する構成であるため、付加したバーコードや特定パターンの持つ技術的な意味合いが第三者に知られる可能性が高くなり、修正液等を用いてバーコードや特定パターンを消去することによって複写を制限する機能を回避し得るという問題点を有している。したがって、原稿の複写が不正に行われることがあり、複写制限の目的で原稿の表面に画像を付加した場合であっても情報の漏洩が起こり得るという問題点を有している。
【0007】
また、光学的又は磁気的に特徴を持つインクを用いる場合、そのインクで形成された画像を検出するために原稿の読取手段とは別の検出手段が必要となり、装置全体のコストを押し上げることになるという問題点を有している。また、特殊なインクを用いているため、インクの入手が容易でないという装置管理の面での問題点を有しており、更にインクの維持費が向上するという問題点を有している。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、シートの表面には前記画像データに基づく画像形成を行い、シートの裏面には予め定めた画像データに基づく画像形成を行う構成とすることにより、原稿の画像を変更することなく複写制限等の情報を付加した印刷物を安価に作成することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、画像データを受付け、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う画像形成装置において、所定の画像データを記憶する記憶手段と、受付けた画像データに機密性が有るか否かを判断する判断手段と、前記画像データに機密性が有ると判断した場合、前記画像データに基づくシートの表面への画像形成、及び前記記憶手段に記憶された画像データに基づく前記シートの裏面への画像形成を行う手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、シートの表面には前記画像データに基づく画像形成を行い、シートの裏面には予め定めた画像データに基づく画像形成を行うようにしているため、特定の情報を含めた画像がシートの裏面に付されることとなり、その画像によって複写制限を実施するような制御が可能となる。また、シートの裏面に付加しているため、利用者自身が作成した画像に変更を加えずに済み、また、付加した画像の技術的な意味合いを第三者が知得する機会が減少し、情報漏洩の防止効果が高まる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、受付けた画像データに所定の画像が含まれているか否かを検出する手段を備え、該手段が前記画像を検出した場合、前記判断手段は、前記画像データに機密性が有ると判断するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、受付けた画像データに所定の画像が含まれている場合には、出力する印刷物に機密性があると判断し、シートの裏面に所定の画像を付加するようにしているため、極秘、社外秘、コピー厳禁等のマークや文字列を検出した場合には、例えば、複写制限を実施するための画像がシートの裏面に自動的に付加されることとなるため、利用者自身がプリントドライバ等を利用して機密処理を設定しない場合であっても機密性の向上が図られる。
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、画像データを受付ける際に利用者を識別する識別情報を受付ける手段と、該手段にて受付けた識別情報に基づいて利用者の認証を行う認証手段とを備え、前記判断手段は、前記認証手段による認証結果に基づいて前記画像データに機密性が有るか否かを判断するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、画像データを受付ける際に利用者を識別する識別情報を受付け、受付けた識別情報に基づいて利用者の認証を行い、その認証結果に基づいて出力する印刷物に機密性が有るか否かを判断するようにしているため、機密文書を取り扱う利用者から受付けた画像データについては複写制限を実施するための画像をシートの裏面に付加するように設定することができ、利用者自身がプリントドライバ等により機密処理を設定しない場合であっても機密性の向上が図られる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、前記判断手段が受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、前記画像データに基づくシートの裏面への画像形成を停止する手段を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、前記画像データに基づくシートの裏面への画像形成を停止するようにしているため、複写制限を実施するための画像用にスペースが確保される。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、前記記憶手段に記憶された画像データに基づく画像は、前記シートの表面に形成された画像の複製を禁止する旨の情報を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、シートの裏面に付加される画像は、シート表面に形成された画像の複製を禁止する旨の情報が含まれるため、作成した印刷物を読み取ったときにシート裏面に付加された情報を検出した場合、複写を禁止するような制御が可能となり、情報漏洩の防止効果を高めた印刷物が作成される。
【0019】
本発明に係る画像形成装置は、前記記憶手段に記憶された画像データに基づく画像は、前記シートの表面に形成された画像の複製の可否に係る情報を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、シートの裏面に付加される画像は、シート表面に形成された画像の複製の可否に係る情報が含まれるため、作成した印刷物を読み取ったときにシート裏面に付加された情報を検出した場合、又は前記情報を検出しなかった場合に複写を制限するような制御が可能となり、情報漏洩の防止効果を高めた印刷物が作成される。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、前記記憶手段に記憶された画像データに基づく画像は、利用者の認証を要求する旨の情報を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、シートの裏面に付加される画像は、利用者の認証を要求する旨の情報を含むため、登録外の第三者の使用を制限するような制御が可能となり、情報漏洩の防止効果を高めた印刷物が作成される。
【発明の効果】
【0023】
本発明による場合は、受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、シートの表面には前記画像データに基づく画像形成を行い、シートの裏面には予め定めた画像データに基づく画像形成を行うようにしている。したがって、特定の情報を含めた画像がシートの裏面に付されることとなり、その画像によって複写制限を実施することができる。また、シートの裏面に付加しているため、利用者自身が作成した画像に変更を加えずに済み、また、付加した画像により複写制限を実施していることを第三者が知得する機会が減少するため、情報漏洩の防止効果を高めることができる。
【0024】
本発明による場合は、受付けた画像データに所定の画像が含まれている場合には、出力する印刷物に機密性があると判断し、シートの裏面に所定の画像を付加するようにしている。したがって、極秘、社外秘、コピー厳禁等のマークや文字列を検出した場合には自動的に複写制限を実施するための画像がシートの裏面に付加されることとなり、利用者がプリントドライバ等を利用して機密処理を設定しない場合であっても機密性の向上を図ることができる。
【0025】
また、本発明による場合は、画像データを受付ける際に利用者を識別する識別情報を受付け、受付けた識別情報に基づいて利用者の認証を行い、その認証結果に基づいて出力する印刷物に機密性が有るか否かを判断するようにしている。したがって、機密文書を取り扱う利用者から受付けた画像データについては複写制限を実施するための画像をシートの裏面に付加するように設定することができ、利用者自身がプリントドライバ等を利用して機密処理を設定しない場合であっても機密性の向上を図ることができる。
【0026】
更に本発明による場合は、受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、前記画像データに基づくシートの裏面への画像形成を停止するようにしている。したがって、複写制限を実施するための画像用にシートの裏面にスペースを確保することができる。
【0027】
更に本発明による場合は、シートの裏面に付加される画像は、シート表面に形成された画像の複製を禁止する旨の情報が含まれる。したがって、作成した印刷物を読み取ったときにシート裏面に付加された情報を検出した場合、複写を禁止するような制御を実施することが可能となり、不正な複写による情報の漏洩を防止することができる。
【0028】
更に本発明による場合は、シートの裏面に付加される画像は、シート表面に形成された画像の複製の可否に係る情報が含まれる。したがって、作成した印刷物を読み取ったときにシート裏面に付加された情報を検出した場合、又は検出されなかった場合に複写を制限するような制御を実施することができ、不正な複写による情報の漏洩を防止することができる。
【0029】
更に本発明による場合は、シートの裏面に付加される画像は、利用者の認証を要求する旨の情報を含む。したがって、作成した印刷物を読み取ったときに前記画像を検出した場合、利用者認証を実施させることができ、登録外の第三者の使用を制限するような制御を行うことによって情報漏洩の防止を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る画像形成システムの構成を説明するブロック図である。図中100は、原稿の画像を読み取るスキャナ機能、読み取った画像に基づいてコピー用紙、OHPフィルム等のシート(以下、単に用紙と称する)上に画像を形成するコピー機能、外部から送信されたプリントデータを受信して用紙上に画像を形成するプリント機能、入力された画像データを一時的に保存するファイリング機能、画像データを外部へ送信するイメージ送信機能等を有する複合機である。複合機100には、ローカルエリアネットワークLNを介してパーソナルコンピュータのような情報処理装置200,200が接続されており、インターネット網INを介して情報処理装置300が接続されている。また、公衆電話回線網PNを介して外部のファクシミリ装置400が接続されている。
【0031】
情報処理装置200には、文書、グラフィックス等を作成するためのアプリケーションプログラム、及びローカルエリアネットワークLNを介して複合機100を利用するためのドライバプログラム(プリンタドライバ)が予めインストールされており、任意のアプリケーションプログラムからプリンタドライバを呼び出し、当該プリンタドライバにより作成されたプリントデータを複合機100へ送信することにより、文書、グラフィックス等をプリント出力する構成となっている。
【0032】
ファクシミリ装置400は、画像データを所定の方式により符号化及び復号化する機能を有しており、符号化して得られたファクシミリデータを公衆電話回線網PNを介して送受信できるようにしている。
【0033】
複合機100は、情報処理装置200,200から送信されたプリントデータやファクシミリ装置400から送信されたファクシミリデータを受信した場合、それらのデータに基づいて用紙上に画像形成を行う。このとき、受信したプリントデータ又はファクシミリデータが機密を要するものである場合、用紙の表面には受信したプリントデータ又はファクシミリデータに基づいて画像形成を行い、用紙の裏面には複合機100が予め用意した画像データ(以下、特定情報という)に基づいて画像形成を行うように構成されている。
【0034】
以下、複合機100の制御系の構成について説明する。
複合機100は、各種の演算処理を実行するCPU、制御プログラムを格納しているROM、CPUの演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等により構成される制御部101を備えている。制御部101のCPUは、前記制御プログラムをRAMにロードして実行することにより原稿読取部10、画像形成部20等の動作を制御し、装置全体を本発明に係る画像形成装置として機能させる。
【0035】
管理部102は、複合機100の動作中に必要となる各種のデータを記憶する不揮発性の半導体メモリである。管理部102が記憶するデータとしては、利用者認証を行うためのデータ、前述した特定情報を検出する際に必要なデータ等が挙げられる。
【0036】
通信IF106は、ローカルエリアネットワークLNの通信規格に準拠した回線終端回路を備えており、ローカルエリアネットワークLNに接続された情報処理装置200,200からのプリントデータを受信すると共に、情報処理装置200,200へ通知すべき情報を送信する。通信IF106では、このような各種データの送受信の制御を行う。
【0037】
ファクシミリモデム107は、公衆電話回線網PNへ接続するための回線終端回路を備えており、公衆電話回線網PNを介してファクシミリデータの送受信を行う。そのため、ファクシミリモデム107は、受信したファクシミリデータを復号化するための復号化回路を備えており、復号化して得られる画像データを画像形成部20へ転送して印刷処理を実行させる。また、ファクシミリモデム107は、送信すべきファクシミリデータを符号化するための符号化回路を備えており、該符号化回路にて符号化したファクシミリデータを目的のファクシミリ装置400へ送信する。ファクシミリモデム107は、このようなファクシミリデータの送受信、及びファクシミリデータの符号化処理・復号化処理を実行する。
【0038】
原稿読取部10は、操作パネル103、ADF104、光学式読取ユニット105等により構成される。操作パネル103は、利用者による操作指示を受付ける操作部と利用者に対して通知すべき情報を表示する表示部とからなる。操作部は、利用者による操作指示を受付けるための各種操作キーを備えており、機能の切替操作、各機能における設定値の入力、処理の実行開始指示等を受付ける。表示部は、液晶ディスプレイを備えており、複合機100の動作状況、操作部を通じて入力された各種の設定値、利用者に対して通知すべき情報等を表示する。また、表示部の一部には各種の選択操作を受付けるように構成したタッチパネル方式のソフトウェアボタンが配置される。
【0039】
ADF(Automatic Document Feeder)104は、原稿トレイ11a、呼込ローラ13a等を備えており(図2参照)、原稿トレイ11aにフェイスダウンの状態で積層された原稿を呼込ローラ13aにより1枚ずつ取り込む構成となっている。
【0040】
光学式読取ユニット105は、CIS(Contact Image Sensor)14、光源ユニット15、ミラーユニット17、結像レンズ18、CCDラインセンサ19等を備えており(図2参照)、ADF104によって取り込んだ原稿の表面に光源ユニット15が読取用の光を照射し、原稿からの光像をミラーユニット17及び結像レンズ18を用いてCCDラインセンサ19に結像させ、原稿表面に記録された画像を読取るように構成されている。また、原稿裏面に記録された画像についてはCIS14が同時的に読取るように構成されている。
【0041】
画像形成部20は、画像メモリ108、暗号・復号部109、検出部112、印字部113、特定情報付与部114等により構成されている。画像メモリ108は、原稿読取部10にて取得した画像データ、通信IF106にて受信したプリントデータから展開される画像データ等を一時的に記憶するためのページメモリであり、該画像メモリ108に記憶された画像データは、制御部101からの指示により目的に応じた転送先へ転送される。すなわち、ファイリング機能により画像データを保存する場合には、暗号・復号部109及びHDDインタフェース110を介してHDD111に転送され、印字処理を行う場合には、印字部113へ転送される。
【0042】
暗号・復号部109は、HDD111に保存させるべき画像データを暗号化し、HDD111から読み出した画像データを復号化するために、暗号化回路及び復号化回路を備えている。そのため、暗号化回路は、暗号化すべきデータを入力する入力用バッファ、入力用バッファに設定されたデータに対して所定の暗号化アルゴリズムからなる演算処理を施す演算器、演算器による演算結果を保持する出力用バッファ等により構成される。暗号化すべきデータは入力用バッファに入力され、入力用バッファに設定された入力データを取り出して演算器が演算処理を行い、演算処理が完了した段階でその演算結果を出力用バッファに書き込む。演算が完了したデータを出力用バッファから取り出すことによって、暗号・復号部109によって暗号化されたデータを取得する。復号化回路も同様であり、入力されたデータに対して演算器が演算処理を施し、データの復号化を行う。
【0043】
暗号・復号部109には、HDDインタフェース110を介してディスク状の磁気記録媒体を有するHDD111が接続されている。HDDインタフェース110は、HDD111のインタフェース規格に準拠したコマンドを発行し、そのコマンドを実行することにより、保存させるべきデータの書込処理、保存されたデータの読出処理、及び不要となったデータの消去処理を実行する。HDD111の記憶領域の一部は、画像データ等を記憶するためのデータエリアとして利用されている。操作パネル103を通じて要求を受付けた場合、又は情報処理装置200からの要求を通信IF106を介して受信した場合、前記データエリアに記憶された画像データを読出すようにしている。そのため、プリント処理の失敗又は出力部数の不足等のためにプリント処理を再度実行する必要がある場合には、データエリアに記憶された画像データを任意に読出してプリント処理を実行させることができる。
【0044】
検出部112は、画像メモリ108に一時的に保持された画像データに所定の文字列、又は画像が含まれているか否かを検出するための画像処理回路である。すなわち、本実施の形態では、受信したプリントデータが機密性を有するものであるか否かを検出するために、文字認識又はパターンマッチングを行って、所定の文字列又は画像が含まれているか否かを検出するように構成されている。
【0045】
印字部113は、感光体ドラム23を所定の電位に帯電させる帯電器25、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム23上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置21、感光体ドラム23表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器22、感光体ドラム23表面に形成されたトナー像を用紙上に転写する転写器26等(図2参照)を備えており、電子写真方式にて利用者が所望する画像を用紙上に形成する。
【0046】
特定情報付与部114は、用紙の裏面に特定情報を付加するために、特定の画像のデータとその画像形成位置とを記憶しており、前述の検出部112において所定の文字列又は画像を検出し、プリントデータが機密性を有するものであると判断した場合、前記画像形成位置に印字させるようにで前記データを出力するように構成されている。
【0047】
図2は複合機100の内部構成を示す断面図である。複合機100の最上段には原稿読取部10が設けられており、その下側に画像形成部20及び給紙部50が並設され、更にそれらの下側に給紙部50が配置されている。
【0048】
原稿読取部10に搭載されているADF104は、読取り用の原稿をフェイスダウンの状態で積層するための原稿トレイ11a、載置された原稿の幅方向の位置を規制する原稿規制板12a、原稿トレイ11a上の原稿の有無を検知する原稿検知センサ12b,12c、原稿トレイ11aに積層された原稿を最下層から1枚ずつ取り込むための呼込ローラ13a、呼込ローラ13aにより取り込んだ原稿を所定の読取り位置まで搬送する搬送ローラ13b,13c、画像を読取った後に原稿を排紙トレイ16へ排出する排紙ローラ13dにより構成されている。ADF104は、操作パネル103を利用した利用者の指示をトリガーにして取り込みを開始し、原稿トレイ11aに積層された原稿を1枚ずつ取り込んで順次的に原稿の表面及び裏面に記録された画像を読み取るように構成されている。
【0049】
原稿読取部10に搭載されている光学式読取ユニット105は、原稿の裏面に記録された画像を読み取るためのCIS14と、原稿の表面に記録された画像を読み取るために光源ユニット15、ミラーユニット17、結像レンズ18、及びCCDラインセンサ19等を備えている。
【0050】
CIS14は、例えば、アレイ状に配列されたイメージセンサ及び導光手段(セルフォックスレンズ等のレンズアレイ)、並びに光源(LEDアレイ光源又は蛍光灯)等を備えており、適宜の読取位置に設置されている。
【0051】
光源ユニット15は、露光ランプから照射される読取用の照明光を凹面のリフレクタにより原稿台11bの適宜の読取り位置に集光させ、原稿台11bの面に対して反射面を45°に設置したミラーによって原稿からの反射光の光路を90°変更し、ミラーユニット17へと導くように構成されている。ミラーユニット17は、光源ユニット15のミラーによって光路を90°変更された光の光路を更に180°変更するために、反射面が相互に直交するように配置された一対のミラーを備えている。ADF104から供給される原稿を読取る場合には、光源ユニット15は所定の読取り位置(CIS14の対面位置)に保持された状態で画像を読み取り、原稿台11bにセットされた原稿を読取る場合には、光源ユニット15を原稿台11bの面に平行に走査させるように構成されている。
【0052】
ミラーユニット17によって導かれた光は結像レンズ18の作用によりCCDラインセンサ19に結像する。CCDラインセンサ19は入力された光をその光量に応じたアナログ電気信号に変換して出力する。CCDラインセンサ19から出力されたアナログ電気信号は、図に示していないAD変換器によりデジタル信号に変換され、原稿読取時の光源の配光特性、CCDラインセンサ19の感度ムラ等の補正が施された後、画像データとして生成される。生成された画像データは画像形成部20の画像メモリ108へ出力される。
【0053】
画像形成部20は、感光体ドラム23、感光体ドラム23を帯電させる帯電器25、帯電した感光体ドラム23上に潜像を書き込むレーザ書込装置21、感光体ドラム23上の潜像を現像する現像器22、感光体ドラム23上に残留している現像材を除去して感光体ドラム23を再生するクリーニングユニット24等からなる電子写真方式のプロセス部を備えており、このプロセス部に用紙を搬送することによって画像形成を行う。
【0054】
また、画像形成部20は、プロセス部の下方(上流側)に用紙を収容するための給紙カセット30を備えており、用紙搬送路S1の近傍に設けられたピックアップローラ30aによって収容された用紙を1枚ずつ分離給送する。給紙カセット30から分離給送された用紙がプロセス部へ搬送された場合、その用紙はレジストローラ31によって一旦保持される。レジストローラ31は、図に示していないレジスト前検知スイッチの検知信号に基づいて、感光体ドラム23上のトナー像の先端を、用紙の画像形成領域の先端に合わせるタイミングに制御して、感光体ドラム23の回転に合わせてプロセス部へ搬送するようにしている。
【0055】
更に、画像形成部20の下側には給紙部50が設置されており、複数種の用紙を収容するために給紙カセット51,52,53が設けられている。給紙部50では、前述と同様に、給紙カセット51,52,53が夫々備えるピックアップローラ51a,52a,53aにより収容された用紙を1枚ずつ分離給送し、用紙搬送路S1を通じて画像形成部20のプロセス部へ搬送する。
【0056】
プロセス部にてトナー像が転写された用紙は、プロセス部の下流側に設置された定着ユニット27へと搬送される。定着ユニット27は、ヒートローラ及び加圧ローラを備えており、これら2つのローラによりトナー像が転写された用紙を挟んで回転させ、ヒートローラの熱によりトナー像を用紙上に加熱定着させる。
【0057】
定着ユニット27によりトナー像を加熱定着させた用紙は、本複合機100が備える幾つかの排紙トレイの何れかに排出される。デフォルトの設定では、排紙すべき用紙が排紙トレイ34に導かれるように搬送ローラ32及び切替ゲート33が制御され、排紙ローラ34aを通じてフェイスダウンの状態で排紙トレイ34上に排出される。一方、利用者が排紙部40に搭載されている排紙トレイ41,42,43に排出することを指定した場合、切替ゲート33を切替えて搬送ローラ35により排紙部40に用紙を導き、排紙トレイ41,42,43の何れかに用紙を排出する。
【0058】
また、フェイスアップの状態で用紙を排出する場合、又は用紙の両面に画像形成を行う場合には、搬送ローラ32,35により用紙を一旦把持した後、搬送ローラ32,35を逆方向に回転駆動させて搬送ローラ36により両面原稿搬送路S2へ用紙を導く。フェイスアップの状態で排紙を行う場合には、排紙ローラ37aを通じて排紙トレイ37へ排出する。また、用紙の両面に画像形成を行う場合には、両面原稿搬送路S2を介して再び画像形成部20のレジストローラ31へ導き、画像形成部20のプロセス部において用紙の裏面側にトナー像の形成を行う。なお、両面原稿搬送路S2の下端側には手差トレイ38が設置されており、給紙カセット30,51,52,53に収容されていない種類の用紙をピックアップローラ38aにより取り込めるようにしている。
【0059】
本実施の形態では、出力する印刷物が機密性を有するものである場合、予め定めた頁の裏面に特定情報を付加するようにしている。図3は特定情報を付加した様子を示す模式図である。特定情報として付すべき画像、及びその画像形成位置に関する情報は、特定情報付与部114に記憶されており、印字部113は特定情報付与部114に記憶された情報に従って特定情報を付加するようにしている。図3に示した例では5頁分の画像のうち、1頁目の裏面の略中央に特定情報を付加した様子を示している。
【0060】
なお、特定情報として付加する画像はどのようなものであっても良いが、その大きさ、色、濃度等があまり目立たないものであることが望ましい。また、特定情報は必ずしも画像である必要はなく、例えば、文字列、図形、又はそれらの組み合わせを用いる構成であっても良い。
【0061】
出力する印刷物の機密性については、例えば、情報処理装置200でプリントデータを作成する際に設定する。図4はプリンタドライバが生成するプリント設定画面の一例を示す模式図である。図4に示したプリント設定画面210では、画面の上部に設けられたタグを切り替えて各種の設定を行えるようにしている。メインの設定では出力部数、頁範囲等を設定を受付ける。用紙設定では出力に用いる用紙の種類の設定を受付ける。高度な設定では、頁レイアウト、用紙1枚あたりの画像の割付数等の設定を受付ける。ウォータマークの設定では、用紙に付加するウォータマークの種類の設定を受付ける。
【0062】
ジョブ設定を受付ける画面には、図4に示したようにドキュメントファイリング機能を使用するか否かの設定を受付けるチェックボックス211、ドキュメントファイリング機能の使用条件を設定するファイリング設定欄212、ホールドプリント等の設定を受付けるリテンション設定欄213、機密文書の設定を受付ける機密文書設定欄214が設けられている。また、画面の下部に設けられた実行ボタン215が押下操作された場合、設定された条件にてプリントデータが作成され、作成されたプリントデータが複合機100へ送信される。一方、キャンセルボタン216が押下操作された場合、プリントデータが作成されずプリント設定画面210を呼び出したアプリケーションへ処理を戻すように構成されている。
【0063】
以下、本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順について説明する。図5及び図6は本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。情報処理装置200において任意のアプリケーションプログラムからプリンタドライバが起動され、送信しようとしているプリントデータが確定された場合(ステップS11)、情報処理装置200は前述したプリント設定画面210における設定内容を確認し、送信しようしとしているプリントデータが機密文書であるか否かを判断する(ステップS12)。すなわち、プリント設定画面210の機密文書設定欄214に設けられたチェックボックスがチェックされた場合、送信しようとしているプリントデータが機密文書であると判断する。
【0064】
送信しようとしているプリントデータが機密文書であると判断した場合(S12:YES)、機密文書に係るフラグをオンにする(ステップS13)。本実施の形態では、機密文書に係るフラグはプリントデータに含める情報の1つとして設定されており、機密文書に係るフラグがオンである場合、複合機100はそのプリントデータを機密文書として出力し、機密文書に係るフラグがオフである場合、通常の文書として出力する。機密文書に係るフラグをオンにした場合、又はステップS12において機密文書でないと判断した場合(S12:NO)、プリント設定画面210の実行ボタン215が押下操作されたか否かを判断することにより、プリントデータの送信を開始すべきか否かを判断する(ステップS14)。
【0065】
プリントデータの送信を開始すべきでないと判断した場合(S14:NO)、プリント設定画面210のキャンセルボタン216が押下操作されたか否かを判断することにより、プリントデータの送信をキャンセルすべきか否かを判断する(ステップS15)。キャンセルすべきでないと判断した場合(S15:NO)、処理をステップS14へ戻し、キャンセルすべきであると判断した場合(S15:YES)、キャンセル処理を実行する(ステップS16)。キャンセル処理では、情報処理装置200にて起動されたプリンタドライバを終了する処理、及びプリンタドライバを呼び出したアプリケーションプログラムへ処理を戻すことを行う。
【0066】
ステップS14においてプリントデータを送信すべきであると判断した場合(S14:YES)、プリントデータを複合機100へ送信する(ステップS17)。
【0067】
複合機100が情報処理装置200から送信されたプリントデータを受信した場合(ステップS18)、複合機100の制御部101は、受信したプリントデータを展開し(ステップS19)、出力しようとしているプリントデータが機密文書であるか否かを判断する(ステップS20)。機密文書であると判断した場合(S20:YES)、給紙を開始し(ステップS21)、供給された用紙の表面に前記プリントデータに基づく画像を形成して印字処理を実行する(ステップS22)。
【0068】
次いで、複合機100の制御部101は、特定情報を付加する頁であるか否かを判断する(ステップS23)。特定情報を付加する頁であると判断した場合(S23:YES)、前記用紙の裏面に特定情報を付加する(ステップS24)。具体的には、用紙を両面原稿搬送路S2へ導くことにより印字面を反転させ、ステップS22において記録した面と異なる面(裏面)に、特定情報付与部114から読み出した画像データに基づいて印字処理を実行する。
【0069】
用紙の裏面に特定情報を付加した場合、又はステップS23において特定情報を付加する頁でないと判断した場合(S23:NO)、継続頁があるか否かを判断する(ステップS25)。継続頁があると判断した場合(S25:YES)、処理をステップS21へ戻し、継続頁がないと判断した場合(S25:NO)、本ルーチンによる処理を終了する。
【0070】
また、ステップS20において機密文書でないと判断した場合(S20:NO)、給紙を開始し(ステップS26)、供給された用紙上に前記プリントデータに基づく印字処理を行う(ステップS27)。このとき、プリントデータにより両面印字が指定されている場合には、用紙を両面原稿搬送路S2へ導き、再度印字部113へ搬送することにより両面印字を行う。次いで、複合機100の制御部101は継続頁があるか否かを判断し(ステップS28)、継続頁があると判断した場合(S28:YES)、処理をステップS26へ戻し、継続頁がないと判断した場合(S28:NO)、本ルーチンによる処理を終了する。
【0071】
なお、本フローチャートにおいては、プリント設定画面210の機密文書設定欄214により機密文書であることが指定された場合、印字する用紙の裏面に特定情報を付加する構成としたが、同じくプリント設定画面210のリテンション設定欄213により、「印刷せずにホールド」又は「印刷後ホールド」が設定されている場合にも同様に、印字する用紙の裏面に特定情報を付加する構成であっても良い。
【0072】
また、本実施の形態では、特定情報を付加する記録面を1頁目の裏面としたが、他の箇所へ付加する構成であっても良い。図7は特定情報の記録箇所を説明する模式図である。図7(a)では2頁目の裏面に特定情報を記録している。この場合、2頁目に特定情報を付加している旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10を通じて原稿の画像を読み取る際に前記情報に基づいて特定情報が付されているか否かの検出を行う。また、図7(b)では1頁目及び2頁目の裏面に特定情報を記録している。この場合、1頁目及び2頁目に特定情報を付加している旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10を通じて原稿の画像を読み取る際に前記情報に基づいて特定情報が付されているか否かの検出を行う。また、特定情報の付与領域を定めることもでき、図7(c)に示したように付与領域の開始頁及び終了頁の裏面に特定情報を記録することもできる。この場合、開始頁及び終了頁に特定情報を付加している旨の情報を管理部102に記憶させておき、原稿読取部10を通じて原稿の画像を読み取る際に前記情報に基づいて特定情報が付されているか否かの検出を行う。
【0073】
また、複数種の特定情報を用いる構成であっても良い。例えば、第1の特定情報は、図7(a)に示したような付与の仕方で特定情報を用紙の裏面に記録させ、第2の特定情報は、図7(b)に示したような付与の仕方で特定情報を用紙の裏面に記録させるようにしても良い。
【0074】
以上のようにして印刷物に付与した特定情報は、印刷物を元にして複製物を作成する際に活用される。図8は特定情報が付与された印刷物の読取時の様子を示す模式図である。前述したように、原稿読取部10のADF104から順次供給される原稿の裏面をCIS14によって読み取る。CIS14は図に示した如く原稿の幅方向に長いライン状のセンサであり、読取用の原稿がCIS14の前面を通過する際に適宜のサンプリング周期でデータを取得することにより原稿全面の画像データを取得するように構成されている。
【0075】
なお、本実施の形態では、原稿の表面及び裏面を同時的に読み取る構成としたが、必ずしも同時的に読み取る必要はなく、ADF104に読取用の原稿を表裏反転させる機構を搭載し、原稿の表面を読み取った後に原稿の表裏を反転させ、原稿の裏面の画像を読み取る構成であっても良い。
【0076】
図9は複合機100により作成された印刷物に基づいて複製物を作成する際の処理手順を説明するフローチャートである。複合機100の原稿トレイ11aに原稿が載置され、操作パネル103を通じて原稿の読取指示がなされた場合、制御部101は、ADF104の呼込ローラ13aを駆動して原稿の給送を開始する(ステップS31)。呼込ローラ13aによって1枚ずつ分離給送された原稿は、CIS14の対面位置を通過する際に、原稿裏面の画像がCIS14によってその裏面に記録された画像が読み取られ、原稿表面に記録された画像がCCDラインセンサ19によって読み取られる(ステップS32)。
【0077】
CIS14及びCCDラインセンサ19が読取った画像は画像データとして出力され、画像メモリ108において保持される(ステップS33)。そして、CIS14が読み取った画像に基づいて検出部112が特定情報の検出を行う(ステップS34)。特定情報の検出は、例えば、パターンマッチングにより所定の画像が含まれているか、又は文字認識により所定の文字列が含まれているかを検出することによって行う。
【0078】
そして、検出部112は特定情報が検出されたか否かを判断し(ステップS35)、特定情報が検出されたと判断した場合(S35:YES)、出力を許可し(ステップS36)、ステップS33において保持した画像データを印字部113に送出して印字処理を実行する(ステップS37)。そして、制御部101は全原稿の出力が完了したか否かを判断する(ステップS38)。全原稿の出力が完了していないと判断した場合(S38:NO)、処理をステップS37へ戻して印字処理を続行し、全原稿の出力が完了したと判断した場合(S38:YES)、印字処理を終了する。
【0079】
また、ステップS35において、特定情報が検出されなかったと判断した場合(S35:NO)、出力を不許可として(ステップS39)、画像メモリ108に保持された画像データを消去することにより、読取った画像の無効化を実施する(ステップS40)。
【0080】
なお、図9に示したフローチャートでは特定情報が付与されている場合に出力を許可する構成としたが、特定情報が付与されている場合に利用者の認証を行い、利用者が認証された場合に出力を許可する構成であっても良い。
【0081】
図10は複合機100により作成された印刷物に基づいて複製物を作成する際の他の処理手順を説明するフローチャートである。前述と同様にして、原稿の給送から特定情報を検出するまでの処理(ステップS41〜S44)を実行した後、特定情報が検出されたか否かを判断する(ステップS45)。
【0082】
特定情報が検出されたと判断した場合(S45:YES)、認証要求を行う(ステップS46)。本実施の形態では、機密文書として出力することをプリンタドライバにて指定する際にパスワードを入力を要求しているため、入力されたパスワードを用いて利用者の認証を行うことができる。具体的には、操作パネル103の表示部にパスワードの入力を促す表示を行い、利用者によって入力されたパスワードとプリントデータに付されているパスワードとを比較検証して認証を行うようにしている。
【0083】
そして、利用者が認証されたか否かを判断し(ステップS47)、利用者が認証されたと判断した場合(S47:YES)、又はステップS45において特定情報が検出されなかったと判断した場合(S45:NO)、出力を許可し(ステップS48)、ステップS43において保持した画像データを印字部113に送出して印字処理を実行する(ステップS49)。そして、制御部101は全原稿の出力が完了したか否かを判断する(ステップS50)。全原稿の出力が完了していないと判断した場合(S50:NO)、処理をステップS49へ戻して印字処理を続行し、全原稿の出力が完了したと判断した場合(S50:YES)、印字処理を終了する。
【0084】
また、ステップS47において、特定情報が検出されていないと判断した場合(S47:NO)、出力を不許可として(ステップS51)、画像メモリ108に保持された画像データを消去し、読取った画像の無効化を実施する(ステップS52)。
【0085】
実施の形態2.
実施の形態1では、利用者自身がプリンタドライバを通じて機密文書であることを指定した場合に複合機100が特定情報を付与する構成としたが、受信したプリントデータが特定利用者から送信されたものであると判断される場合に特定情報を付与する構成であっても良い。なお、本実施の形態においても、画像形成システムの構成及び複合機100の内部構成は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0086】
図11は本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。複合機100の制御部101は通信IF106を監視することにより、情報処理装置200から送信されたプリントデータを受信したか否かを判断する(ステップS61)。プリントデータを受信していないと判断した場合(S61:NO)、プリントデータを受信するまで待機する。プリントデータを受信したと判断した場合(S61:YES)、受信したプリントデータを展開し(ステップS62)、展開して得られた画像データを画像メモリ108に保持する。
【0087】
次いで、制御部101は、受信したプリントデータが特定利用者のプリントデータであるか否かを判断する(ステップS63)。特定利用者のプリントデータであるか否かは、例えば、プリントデータの送信元の通信アドレス又はMACアドレスが、特定利用者の装置として管理部102に登録されているものに該当するか否かにより判断することができる。
【0088】
特定利用者のプリントデータであると判断した場合(S63:YES)、給紙を開始し(ステップS64)、画像メモリ108に保持された画像データを印字部113へ転送する。そして、用紙の表面に前記画像データに基づく画像を形成して印字処理を実行する(ステップS65)。次いで、複合機100の制御部101は、特定情報を付加する頁であるか否かを判断する(ステップS66)。特定情報を付加する頁であると判断した場合(S66:YES)、前記用紙の裏面に特定情報を付加する(ステップS67)。
【0089】
用紙の裏面に特定情報を付加した場合、又はステップS66において特定情報を付加する頁でないと判断した場合(S66:NO)、継続頁があるか否かを判断する(ステップS68)。継続頁があると判断した場合(S68:YES)、処理をステップS64へ戻し、継続頁がないと判断した場合(S68:NO)、本ルーチンによる処理を終了する。
【0090】
ステップS63において特定利用者のプリントデータでないと判断した場合(S63:NO)、給紙を開始し(ステップS69)、供給された用紙上に前記プリントデータに基づく印字処理を行う(ステップS70)。次いで、複合機100の制御部101は継続頁があるか否かを判断し(ステップS71)、継続頁があると判断した場合(S71:YES)、処理をステップS69へ戻し、継続頁がないと判断した場合(S71:NO)、本ルーチンによる処理を終了する。
【0091】
実施の形態3.
実施の形態2では、受信したプリントデータが特定利用者から送信されたものであると判断される場合に用紙の裏面に特定情報を付与する構成としたが、受信したプリントデータから展開される画像に特定の画像が含まれている場合に特定情報を付与する構成であっても良い。
【0092】
図12は本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。複合機100の制御部101は通信IF106を監視することにより、情報処理装置200から送信されたプリントデータを受信したか否かを判断する(ステップS81)。プリントデータを受信していないと判断した場合(S81:NO)、プリントデータを受信するまで待機する。プリントデータを受信したと判断した場合(S81:YES)、受信したプリントデータを展開し(ステップS82)、展開して得られた画像データを画像メモリ108に保持する。
【0093】
次いで、制御部101は、展開して得られた画像データに基づいて特定の画像が含まれているか否かを判断する(ステップS83)。例えば、パターンマッチングの手法を用いて、出力しようとしている画像に「コピー厳禁」、「社外秘」等のウォータマークが含まれているか否かを判断する。
【0094】
特定の画像が含まれていると判断した場合(S83:YES)、給紙を開始し(ステップS84)、画像メモリ108に保持された画像データを印字部113へ転送する。そして、用紙の表面に前記画像データに基づく画像を形成して印字処理を実行する(ステップS85)。次いで、複合機100の制御部101は、特定情報を付加する頁であるか否かを判断する(ステップS86)。特定情報を付加する頁であると判断した場合(S86:YES)、前記用紙の裏面に特定情報を付加する(ステップS87)。
【0095】
用紙の裏面に特定情報を付加した場合、又はステップS86において特定情報を付加する頁でないと判断した場合(S86:NO)、継続頁があるか否かを判断する(ステップS88)。継続頁があると判断した場合(S88:YES)、処理をステップS84へ戻し、継続頁がないと判断した場合(S88:NO)、本ルーチンによる処理を終了する。
【0096】
ステップS83において特定の画像が含まれていないと判断した場合(S83:NO)、給紙を開始し(ステップS89)、供給された用紙上に前記プリントデータに基づく印字処理を行う(ステップS90)。次いで、複合機100の制御部101は継続頁があるか否かを判断し(ステップS91)、継続頁があると判断した場合(S91:YES)、処理をステップS89へ戻し、継続頁がないと判断した場合(S91:NO)、本ルーチンによる処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施の形態に係る画像形成システムの構成を説明するブロック図である。
【図2】複合機の内部構成を示す断面図である。
【図3】特定情報を付加した様子を示す模式図である。
【図4】プリンタドライバが生成するプリント設定画面の一例を示す模式図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【図7】特定情報の記録箇所を説明する模式図である。
【図8】特定情報が付与された印刷物の読取時の様子を示す模式図である。
【図9】複合機により作成された印刷物に基づいて複製物を作成する際の処理手順を説明するフローチャートである。
【図10】複合機により作成された印刷物に基づいて複製物を作成する際の他の処理手順を説明するフローチャートである。
【図11】本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【図12】本実施の形態に係る画像形成システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0098】
100 複合機
101 制御部
102 管理部
103 操作パネル
104 ADF
105 光学式読取ユニット
106 通信IF
107 ファクシミリモデム
108 画像メモリ
109 暗号・復号部
110 HDDインタフェース
111 HDD
112 検出部
113 印字部
114 特定情報付与部
200,300 情報処理装置
400 ファクシミリ装置
LN ローカルエリアネットワーク
IN インターネット網
PN 公衆電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを受付け、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う画像形成装置において、
所定の画像データを記憶する記憶手段と、受付けた画像データに機密性が有るか否かを判断する判断手段と、前記画像データに機密性が有ると判断した場合、前記画像データに基づくシートの表面への画像形成、及び前記記憶手段に記憶された画像データに基づく前記シートの裏面への画像形成を行う手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
受付けた画像データに所定の画像が含まれているか否かを検出する手段を備え、該手段が前記画像を検出した場合、前記判断手段は、前記画像データに機密性が有ると判断するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像データを受付ける際に利用者を識別する識別情報を受付ける手段と、該手段にて受付けた識別情報に基づいて利用者の認証を行う認証手段とを備え、前記判断手段は、前記認証手段による認証結果に基づいて前記画像データに機密性が有るか否かを判断するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段が受付けた画像データに機密性が有ると判断した場合、前記画像データに基づくシートの裏面への画像形成を停止する手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶された画像データに基づく画像は、前記シートの表面に形成された画像の複製を禁止する旨の情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶手段に記憶された画像データに基づく画像は、前記シートの表面に形成された画像の複製の可否に係る情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶手段に記憶された画像データに基づく画像は、利用者の認証を要求する旨の情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−25254(P2006−25254A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202312(P2004−202312)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】