説明

画像形成装置

【課題】 転写時における転写ニップ上流、及び下流の微少空隙でのトナー転移を、現像時の像担持体の表面電位分布(トナー顕像パターン)によらず防止して、転写チリ、ドット画像再現不良、トナー飛散、前工程転写トナーの像担持体への逆転写等の不具合を容易、且つ効果的に抑制する。
【解決手段】 感光体と、現像剤を担持し搬送する現像ローラと、感光体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、現像ローラの表面と感光体の表面との電位差が殆ど0Vであるときの、現像ローラと感光体との対向領域を通過する直前の現像ローラに担持されている現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、感光体から次の転写材表面に電界転写した直後の上記転写材の表面トナー像の平均帯電量をQ2とした場合に、
{│Q2│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白黒、モノカラーあるいはフルカラーの電子写真複写機、ファクシミリ、プリンタ等として用いられ、電子写真方式あるいは静電記録方式等により形成された潜像担持体上のトナーを記録紙等の転写材に転写電界を付与して転写することにより画像を得る画像形成装置に関するものである。より詳しくは、潜像担持体上に形成されたトナー像を、直接記録媒体に転写する直接転写方式、及び中間転写体に一次転写した後に記録媒体に二次転写する中間転写方式の画像形成装置、更には、潜像担持体上に形成された複数のトナー像を直接記録媒体上に複数回重ね合わせて転写することによってカラー画像を得る直接転写方式、及び中間転写体上に複数回重ね合わせて中間転写した後、記録媒体に一括転写することによってカラー画像を得る中間転写方式のカラー画像形成装置に関わっている。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−062140号公報
【特許文献2】特開平10−010886号公報
【特許文献3】特開平05−100534号公報
【特許文献4】特開2003−084504号公報
【特許文献5】特開2003−241518号公報
【特許文献6】特開2002−357939号公報
【0003】
電子写真方式等を利用した画像形成装置においては、感光体等の潜像担持体(あるいは像担持体)上に原稿画像や画像情報に応じた露光を行って静電潜像を形成し、この静電潜像を現像手段のトナーにより現像して顕像化した後、そのトナー像を記録紙等の転写材上に転写し、定着して画像を形成する。この場合における現像方法としては、現在、現像剤としてトナーと磁性キャリアとからなる二成分系現像剤を用いる二成分系現像方式や、キャリアを用いない一成分系現像剤を用いる一成分系現像方式等が知られているが、より高画質や高速が要求される場合には二成分系現像方式が好適に用いられている。そして、二成分系現像方式では、二成分系現像剤が、現像剤担持体上で現像磁気ブラシと呼ばれる穂立ちを形成するが、この現像磁気ブラシが、現像工程において現像担持体に接触する所謂接触現像と、接触しないまま現像が行われる所謂非接触現像が知られている。通常、高画質や高濃度が求められる場合には、前者の接触現像が用いられることが多い。
【0004】
従来の画像形成プロセスでは、現像電流や、環境に応じて予め求めてあるデータに基づいて、転写電流を制御したり、前後の工程色トナーの帯電量の序列を制約する等、機構や方式が複雑になっている。その割には現像剤の経時的な、あるいは環境による変化で制御の信頼性が損なわれる可能性が高い。
【0005】
また転写電界を付与して像担持体から中間転写体や記録媒体等の転写材へトナー像を転写する際にトナーチリという現象(以下、転写チリという)が発生する場合があることが知られている。転写チリとは、像担持体から転写材へトナー像を転写する際に、像担持体上に形成されたトナー像(可視像)が本来転写されるべき位置に転写されず、その周辺に拡散して転写されてしまい、結果として画像がぼけてしまう現象であり、特に細線部分での画像のシャープさを損なわせるものである。画像重ねする際に顕著で、3色、4色と重ね合わせるときには、この転写チリの現象は一層発生し易くなり、画像自体も粒状性が悪くなり、ザラザラとした画像になるという問題がある。
【0006】
2色以上のトナーでカラー画像を形成するにあたって、転写チリ現象の発生を防止し、画像の粒状性(ザラツキ)の改善を図るために、特許文献1では、像担持体上の潜像を現像して顕像化する現像手段を備え、現像手段として、現像剤の色が異なる2つ以上の二成分現像方式の現像器を具備する現像装置を備えた画像形成装置において、現像装置と、現像剤担持体で担持・搬送する二成分現像剤の搬送量や層厚を規制するドクターブレードを有し、現像装置の各現像器中のトナーの帯電量Qが、作像順毎に、Q1<Q2<Q3<Q4と高くなる構成が提案されている。
【0007】
転写不良等による異常画像の発生を伴うことなく、感光体上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する際の転写チリの発生を防止するために、特許文献2では、中間転写ベルトと感光体との間の転写ニップ部よりも中間転写ベルト移動方向の上流側に、中間転写ベルトの転写面に向けてトナーの帯電極性と同極性の電荷を付与するスコロトロン帯電器を設けることが提案されている。
【0008】
また温度や湿度の環境変化に左右されずに的確な転写条件のもとで良好に転写を行うために、特許文献3では、現像スリーブと現像バイアス電源の間に現像電流測定回路を接続し、現像電流測定回路と転写電源との間に転写制御回路を接続し、そして該転写制御回路に、温度及び湿度の変化に対する現像電流と適正転写電流との関係を表すデータを記憶させ、上記現像電流測定回路によって検知した現像電流に基づいて最適な転写電流を選択し転写電源を制御するように設定することが提案されている。
【0009】
現像剤担持体上に担持されたトナーの帯電電荷量の変化を抑制して、残像現象を抑制し、均一な濃度の画像を形成するために、特許文献4では、現像ローラと感光体ドラムの表面との電位差が0Vであるときの、現像ローラと感光体ドラムとの対向領域通過直後のトナーの平均帯電電荷量をQ1、現像ローラに現像バイアスが印加され、感光体ドラムの表面電位が非画像部電位であるときの、現像ローラと感光体ドラムとの対向領域通過直後のトナーの平均帯電電荷量をQ2とした場合に、|Q2|−|Q1|/|Q1|≦±0.45の関係を満足する条件下で現像を行うことが提案されている。
【0010】
更には、横ラインの細り・後端白抜け・孤立ドット画像の抜け・ハーフトーン画像のざらつき感悪化を発生させず、またスキャベンジ効果、エッジ効果をも低減させるために、特許文献5では、小径(φ30以下)の潜像担持体に対して磁気ブラシ搬送する小径(φ16mm以下)の現像剤担持体を有し、所定の複数のパラメータを設定することが開示され、また像担持体へのトナーの逆転写による画像劣化を防止するために、特許文献6では、各感光体のうちの、一次転写直前の画像形成に関与しない感光体の表面と中間転写ベルト上のトナーとの間で放電が生じないように感光体の表面電位と、一次転写電界による中間転写ベルトの表面電位との電位差を制御することが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような従来技術を背景として、転写時における転写ニップ上流、及び下流の微少空隙でのトナー転移を、現像時の像担持体(感光体)の表面電位分布(トナー顕像パターン)によらず防止して、転写チリ、ドット画像再現不良、トナー飛散、前工程転写トナーの像担持体への逆転写等の不具合を容易、且つ効果的に抑制することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、本発明にしたがって、像担持体(感光体)と、現像剤(一成分系現像剤又はトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤)を担持し搬送する現像剤担持体(現像ローラ;二成分現像剤使用の場合は、固定又は回転する磁石を内蔵した現像スリーブ)と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、上記現像剤担持体の表面と上記像担持体の表面との電位差が殆ど0Vであるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過する直前の現像剤担持体に担持されている現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、像担持体から次の転写材(直接転写方式では紙等の最終転写材、間接転写方式では中間転写体)表面に電界転写した直後の上記転写材の表面トナー像の平均帯電量をQ2とした場合に、
{│Q2│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像することで、解決される。本発明の狙いは、現像剤中のトナーの平均帯電量と、後工程である、現像や転写の際のトナーの平均帯電量の差(低下量)を少なくすることにある。転写前途中のコロナチャージャ電荷付与等、何らかのトナー帯電嵩上げ処理工程を経由する場合もあり、その場合には一次転写体(中間転写体)での「トナー像の平均帯電量」と二次転写体(最終転写材)での「トナー像の平均帯電量」を同時に問題にすることもある。
【0013】
ここで、│Q1│、│Q2│はトナー帯電量の絶対値を表し、トナー体積平均粒径が5〜12μm程度の場合は、Q1が負極性の場合は−15〜−50μC/gが好適であり、Q2は−10.5〜−60μC/gが好適である。現像工程に到達する前のトナーに付与する帯電量を適正レベルにして、転写ニップ前後の空隙部電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を防止でき、転写ニップ前後空隙で像担持体から転写材への転写チリの主因である転移現象を防止できる。│Q1│が15μC/gに満たないと、現像に関わるトナー中に正規極性と逆の極性(上記例では+極性)に帯電したトナーの比率が過分になり、現像部からのトナー飛散等で機内を汚染したり、現像工程では像担持体の地肌部汚れが多くなる等の不具合がある。また│Q1│が50μC/gを超える場合は、現像工程で像担持体の高濃度画像部に十分量のトナーを現像でき難くなる。
【0014】
│Q2│が10.5μC/gに満たない場合は、転写に関わる像担持体上トナー中に非常に低い正規極性帯電のトナー(弱帯電トナー)比率が多く、像担持体と転写材間に間隙があり且つ弱い転写電界が作用しても、該弱帯電トナーが像担持体から離れて転写材に転移し易いトナー比率が多かったことになり、転写後の転写材上画像周辺部にトナーが散乱してしまう「転写チリ」の度合いが酷い。また│Q2│が60μC/gを超えている場合は、転写電界強度を強く(本発明例では高々転写材に加える転写バイアス電圧は1.5kVで済むが、例えば2.0kVの高電圧の転写バイアスを印加)した場合等で、転写後の転写材上高濃度部画像で90%以上の十分な転写率の画像が得られ難くなっている。更に、該高電圧を転写バイアスで用いた場合は、転写ニップ前後の空隙で放電が起き易く、該放電で像担持体上の低濃度部画像や低面積率画像(点や線等)に付着しているトナー(高濃度のベタ部画像のトナーより平均帯電量は低め)は極性が反転する割合が増え、転写し難くなったり(転写ヌケ)、一旦転写材に転写した画像が、再び像担持体に転移してしまう逆転写現象が起き易い。
【0015】
上記課題は、また本発明にしたがって、像担持体と、現像剤担持体と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、上記現像剤担持体の表面と上記像担持体の表面との電位差が0Vであるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過する直前の現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、像担持体から次の転写材表面に電界転写する直前の上記像担持体の表面トナー像の平均帯電量をQ3とした場合に、
{│Q3│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像することで、解決される。これは、転写直前のトナー帯電レベルを、トナー帯電量の減衰を抑えたり、像担持体上の画像を乱さない、コロナチャージャ等、何らかの帯電電荷付加によって、所定レベル電荷に保つものである。
【0016】
ここで、│Q1│、│Q3│はトナー帯電量の絶対値を表し、トナー体積平均粒径が5〜12μm程度の場合は、Q1が負極性の場合は−15〜−50μC/gが好適であり、Q3は−10.5〜−60μC/gが好適である。現像工程に到達する前に帯電量を十分付与したトナーに関し、転写工程に到達する途中工程で弱い転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を、トナーの体積抵抗率を高めて(本発明例では、3gトナーに6トン/5cmの加重を掛けて厚さ約2mmのトナーペレットに成型し、厚み方向に1kVの電圧を印加した時の、1分後測定抵抗で1012Ω・cm以上)トナー保持電荷の減衰を抑えたり、転写前に、負極性コロナ帯電等で、トナー電荷量を増やすことによって、転写時に弱帯電トナー比率を過分にしないようにすることで、転写ニップ前後空隙で像担持体から転写材に転写チリの主因である転移現象を防止できる。
【0017】
│Q1│については既述したとおりである。│Q3│が10.5μC/gに満たない場合は、転写に関わる像担持体上トナー中に非常に低い正規極性帯電のトナー(弱帯電トナー)比率が多く、像担持体と転写材間に間隙があり且つ弱い転写電界が作用しても、該弱帯電トナーが像担持体から離れて転写材に転移し易いトナー比率が多く、転写後の転写材上画像周辺部にトナーが散乱してしまう「転写チリ」の度合いが酷くなる。また│Q3│が60μC/gを超えている場合は、転写電界強度を強く(本発明例では高々転写材に加える転写バイアス電圧は、1.5kVで済むが、例えば2.0kVの高電圧の転写バイアスを印加)する必要があり、転写後の転写材上高濃度部画像で90%以上の十分な転写率の画像が得られ難くなる。更に、該高電圧を転写バイアスで用いるため、転写ニップ前後の空隙で放電が起き易く、該放電で像担持体上の低濃度部画像や低面積率画像(点や線等)に付着しているトナー(高濃度のベタ部画像のトナーより平均帯電量は低め)は極性が反転する割合が増え、転写し難くなったり(転写ヌケ)、一旦転写材に転写した画像が、再び感光体に転移してしまう逆転写現象が起き易くなる。
【0018】
上記課題は、また本発明にしたがって、像担持体と、現像剤担持体と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、上記現像剤担持体の表面と上記像担持体の表面との電位差が0Vであるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過する直前の現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、現像剤担持体に現像バイアスが印加され、像担持体表面の電位が画像部電位であるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過した直後の像担持体表面の画像部に現像されたトナーの平均帯電量をQ4とした場合に、
{│Q4│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像することで、解決される。これは、現像工程でのトナー帯電量の変化を抑えることを特徴とするものである。
【0019】
ここで、│Q1│、│Q4│はトナー帯電量の絶対値を表し、トナー体積平均粒径が5〜12μm程度の場合は、Q1が負極性の場合は−15〜−50μC/gが好適であり、Q4は−10.5〜−60μC/gが好適である。現像工程に到達する前に帯電量を十分付与したトナーに関し、現像・転写工程に到達する途中工程で弱い転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を、現像時に像担持体に対しトナーが摩擦帯電系列上正規な極性側に位置するようにしたり、トナーの体積抵抗率の上限を抑えて(本発明例では、3gトナーに6トン/5cmの加重を掛けて厚さ約2mmのトナーペレットに成型し、厚み方向に1kVの電圧を印加した時の、1分後測定抵抗で1015Ω・cm以下)トナーに現像電界の直流成分によって電荷注入し易くしたり、2成分現像の現像電界に交番電界を重畳することによりトナーを振動させて、キャリアとの摩擦帯電量を増加させることで、転写工程前に転写前の予備コロナ帯電処理等の補助手段なしで、転写時に弱帯電トナー比率を過分にしないようにすることができ、転写ニップ前後空隙で感光体から転写材に転写チリの主因である転移現象を防止できる。尚、上記注入電荷に関しては、放電もし易いことから、トナーの体積抵抗率下限を既述のように1012Ω・cm以上にすることが望ましい。
【0020】
│Q1│については既述したとおりである。│Q4│が10.5μC/gに満たない場合は、転写に関わる像担持体上トナー中に非常に低い正規極性帯電のトナー(弱帯電トナー)比率が多く、像担持体と転写材間に間隙があり且つ弱い転写電界が作用しても、該弱帯電トナーが像担持体から離れて転写材に転移し易いトナー比率が多く、転写後の転写材上画像周辺部にトナーが散乱してしまう「転写チリ」の度合いが酷くなる。また│Q3│が60μC/gを超えている場合は、転写電界強度を強く(本発明例では高々転写材に加える転写バイアス電圧は、1.5kVで済むが、例えば2.0kVの高電圧の転写バイアスを印加)する必要があり、転写後の転写材上高濃度部画像で90%以上の十分な転写率の画像が得られ難くなる。更に、該高電圧を転写バイアスで用いるため、転写ニップ前後の空隙で放電が起き易く、該放電で感光体上の低濃度部画像や低面積率画像(点や線等)に付着しているトナー(高濃度のベタ部画像のトナーより平均帯電量は低め)は極性が反転する割合が増え、転写し難くなったり(転写ヌケ)、一旦転写材に転写した画像が、再び感光体に転移してしまう逆転写現象が起き易くなる。
【0021】
現像工程と転写工程の間に像担持体表面上トナー像に該トナーの正規極性と同極性の電荷を付与する手段を設けていれば、好適である。転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を、該トナーの正規極性と同極性(例えばトナーの正規帯電極性が負の場合は負極性)の帯電で、トナー電荷量を増やすことによって、転写時に弱帯電トナー比率を過分にしないようにすることで、転写ニップ前後空隙で像担持体から転写材に転写チリの主因たる転移現象を防止できる。
【0022】
像担持体表面の現像前地肌部電位をVD、画像部電位をVL、現像バイアス電圧をVBとすると0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<400Vを満たす直流現像電界条件で現像すれば、現像剤担持体と像担持体間の電位差が小さく、現像領域でトナーの正規極性電荷を低減させる放電現象を防止でき、転写前に像担持体表面上トナー像に電荷付与処理を施すことなく、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。
【0023】
1成分現像の場合は現像剤担持体芯金と表層間の抵抗を10Ω以下(測定条件は電圧印加電極を一方は現像剤担持体芯金、他方は金属板、又は導電性テープ。他方、電極と現像剤担持体は現像ニップ相当面積で接触。印加電圧は200〜400V)に抑えることが好適である。2成分現像では、現像ギャップを0.2〜1mmに保ち、キャリアの抵抗を1014Ω・cm(100回タッピング充填。測定電極ギャップ2mm。印加電圧1kV)以下にすることが好適である。
【0024】
トナーの比誘電率を2.5〜4、体積固有抵抗を1010〜1015Ω・cmとすれば、現像装置内で主に摩擦帯電電荷を付与されたトナーは、体積固有抵抗1015Ω・cm以下の場合、現像電界で静電誘導や電荷注入現象による帯電電荷増大効果が働き易く、且つ該帯電電荷増大効果で付与された電荷は該トナー電荷の放電時定数(抵抗と比誘電率の積に比例)が大きいので、転写工程まで保持し易く、転写工程でも有効に働き、像担持体非画像部対向による静電誘導や電荷注入による帯電電荷量の変化が起き難く、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。より好ましいトナーの比誘電率は2.5〜3、体積固有抵抗は1010〜1012Ω・cmである。
【0025】
現像バイアスとして像担持体の画像部表面電位より高めと低めのレベルを現像領域内で少なくとも1周期以上繰り返す態様の交番電圧を用いれば、現像装置内で主に摩擦帯電電荷を付与されたトナーに対し、現像電界でトナー振動が起こり易く現像電界中でも摩擦帯電電荷増大効果が働き易く、且つ該帯電電荷増大効果で付与された電荷は該トナー電荷の放電時定数(抵抗と比誘電率の積に比例)が大きい場合に、転写工程まで保持し易いので、転写工程でも有効に働き像担持体非画像部対向による静電誘導や電荷注入による帯電電荷量の変化が起き難く、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。交番電圧の現像時の周波数は1KHz〜10KHz、該電圧の最大値と最小値の差は500V〜100Vが好適である。
【0026】
トナーをクリーニング回収する専用のクリーニング手段を備えなくとも、転写工程でトナーの帯電量が適正な範囲(本発明例では絶対値で10.5〜60μC/g)に維持でき、高効率転写で転写残トナーが非常に少なく、残像及び像担持体表面のトナーフィルミングを防止できる。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、現像工程に到達する前に帯電量を十分付与したトナーに関し、弱い転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を防止でき、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、現像工程に到達する前に帯電量を十分付与したトナーに関し、転写工程に到達する途中工程で弱い転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を防止でき、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、現像工程に到達する前に帯電量を十分付与したトナーに関し、現像工程で弱い転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を防止でき、転写前に像担持体表面上トナー像に電荷付与処理を施すことなく、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、現像工程に到達する前に帯電量を十分付与したトナーに関し、現像工程で弱い転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加しても、転写前に像担持体表面上トナー像に電荷付与処理を施すことによって、トナー像の低帯電トナーの比率を低減でき、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。転写電界で転移する低帯電トナーの比率が増加する不具合を、コロナ帯電等で、像担持体表面トナーの正規極性と同極性(トナーの正規帯電極性が負の場合には負極性)の電荷を付与して、トナー電荷量を増し、転写時に弱帯電トナー比率を過分にしないようにし、転写ニップ前後空隙で像担持体から転写材に転写チリの主因である転移現象を防止する。0.5〜10kHzで最大〜最小間電位差VP−Pが高々5kV程度の交流成分を含み、直流成分がトナーの正規極性側に偏ったコロナ帯電電荷を用いて、トナー電荷を過不足なく増やしてもよい。
【0031】
請求項5に記載の発明によれば、現像材担持体と像担持体の間の差が小さいので、現像領域でトナーの正規極性電荷を低減させる放電現象を防止でき、転写前に像担持体表面上トナー像に電荷付与処理を施すことなく、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。好適条件例として、VDの絶対値が600V以下、VLの絶対値が50〜300V、VDとVLの差の絶対値が400V未満の組み合わせ条件が挙げられる。
【0032】
請求項6に記載の発明によれば、現像装置内で主に摩擦帯電電荷を付与されたトナーが1015Ω・cm以下の場合、現像電界で静電誘導や電荷注入現象による帯電電荷増大効果が働きやすく、且つ該帯電電荷増大効果で付与された電荷は該トナー電荷の放電時定数(抵抗と比誘電率の積に比例)が大きいので、転写工程まで保持しやすいので、転写工程でも有効に働き像担持体非画像部対向による静電誘導や電荷注入による帯電電荷量の変化が起き難く、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。より好ましいトナーの比誘電率は2.5〜3、体積固有抵抗は1010〜1012Ω・cmである。またトナー帯電量の平均値の絶対値としては20〜40μC/g、トナーの体積平均粒径は4〜10μmが好適である。
【0033】
請求項7に記載の発明によれば、現像装置内で主に摩擦帯電電荷を付与されたトナーに対し、現像電界でトナー振動が起こりやすく現像電界中でも摩擦帯電電荷増大効果が働きやすく、且つ該帯電電荷増大効果で付与された電荷は該トナー電荷の放電時定数(抵抗と比誘電率の積に比例)が大きいので、転写工程まで保持しやすいので、転写工程でも有効に働き像担持体非画像部対向による静電誘導や電荷注入による帯電電荷量の変化が起き難く、転写ニップ前後空隙で像担持体と転写材の転写チリを発生させる転移現象を防止できる。交番電圧の現像時の周波数は1KHz〜10KHz、該電圧の最大値と最小値の差は500V〜100Vが好適である。
【0034】
請求項8に記載の発明によれば、高効率転写で転写残トナーが非常に少ないので、残像及び像担持体表面のトナーフィルミングを防止できる。少なくとも現像手段の一つ(できれば黒色トナー使用現像手段)にクリーニング機能をもたせ、像担持体上の転写残トナーを回収させて、専用クリーニング手段を持たせずに像担持体のトナーフィルミングや残像画像の発生を防止すると、省スペース化やコストダウンに好適である。本発明では、転写で、トナー帯電電荷量分布が好適で、転写率が高めに維持できるので、転写残トナーの量が少なく、現像でクリーニングを兼ねる形態でも、転写残トナーによる残像を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の詳細を、図に示された例に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明を適用した画像形成装置であるカラーレーザープリンタ(以下、プリンタという)の概略構成を示すものである。図1において、矢印の方向に回転する像担持体としてのドラム状感光体1の周囲には、感光体クリーニングユニット2、感光体を1一様帯電する帯電手段としての帯電器4、画像情報に応じて感光体1に光を照射する露光手段としての露光ユニット5、感光体上の静電潜像を現像する現像手段6,7,8,9、中間転写ベルト10等が配置されている。感光体上にトナー像を形成するトナー像形成手段は、上記帯電器4、露光ユニット5、現像手段6,7,8,9等により構成されている。
【0036】
現像手段は、イエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9の4個の現像器から構成される。フルカラー画像形成時はイエロー現像器6、マゼンタ現像器7、シアン現像器8、ブラック現像器9の順でトナー像(可視像)を形成し、各色のトナー像が中間転写ベルト10に順次重ね転写されることでフルカラー画像が形成される。トナー像が中間転写ベルト10に転写された後の感光体1の表面は、感光体クリーニングユニット2のブレード3でクリーニングされる。
【0037】
中間転写ベルト10は、駆動ローラ13、一次転写バイアスローラ11、および従動ローラ12a,12bにより張架されており、不図示の駆動モータによって駆動されるようになっている。上記一次転写バイアスローラ11の圧接力は、圧接バネ30により調節されている。中間転写ベルト10は、PVDF(フッ化ビニルデン)、ETFE(エチレン−四フッ化エチレン共重合体)、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)等にカーボンブラック等の導電性材料を分散させて電気抵抗を調整した混合・合成材料を2種類以上組み合わせることで使用でき、その体積抵抗率が10〜1015Ωcmの範囲にすると、感光体上トナー像を中間転写ベルトの表面に転写(一次転写)する際に転写チリが発生する不具合がでにくい。
【0038】
図2に示す例は、感光体1’がエンドレスベルト、現像が1成分現像方式を採用した例である。中間転写ベルト10の抵抗特性や材料・構成については、図1の例と同様である。
【0039】
ここで、一次転写バイアスローラ11による圧接によって生じる感光体1と中間転写ベルト10との当接圧は、5×10−4Mpa以上、5×10−2Mpa以下であるのが望ましい。この範囲内であると、圧接力不足による転写性の悪化、及び過圧接によるトナーの凝集を防ぐことができ、転写効率を向上させ、中抜け画像の発生を防止することができる。
【0040】
中間転写ベルトの表面が弾性を有し、好ましくは表面マイクロ硬度をマイクロゴム硬度計(例えば、高分子計器社製:MD−1)による測定で30度〜70度の範囲にすることで、一次転写の転写ニップでトナー像部分に転写圧力が集中するのを防止でき、一次転写時のトナー像と像担持体の間の非静電気的付着力上昇を防止でき、一次転写の転写ヌケを防止できる。更に、転写材、記録媒体たる転写紙の表面性にかかわらず、白抜け、中抜け、文字つぶれ、色ずれ等が発生しない転写を行うことができ、高品質なフルカラー画像を印字することができる。
【0041】
また、中間転写ベルトが厚み方向に圧縮性を有した弾性層を備える構成とし、好ましくは表面マイクロ硬度をマイクロゴム硬度計(例えば、高分子計器社製:MD−1)による測定で30度〜70度の範囲にすることでも、一次転写の転写ニップでトナー像部分に転写圧力が集中するのを防止でき、一次転写時のトナー像と像担持体の間の非静電気的付着力上昇を防止でき、一次転写の転写ヌケの防止余裕度を向上できる。
【0042】
また、感光体表面の保護層にシリコーンオイルSH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を少し(0.1〜1.0部程度)存在させたり、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を感光体表面に塗布する等で、中間転写ベルトのオイラ−ベルト法で測定した静止摩擦係数μが感光体の静止摩擦係数μ以上より相対的に大きくなる(μ≧μ)ようにすると、一次転写時のトナー像と像担持体の間の非静電気的付着力上昇を抑制でき、一次転写の転写ヌケの防止余裕度を向上できる。
【0043】
重合トナー等の球形に近いトナーで、平均円形度0.90〜0.99のトナーを使用し、トナー像と感光体の非静電気的付着力上昇を抑制すると、一次転写電界強度を抑制でき、一次転写の転写ヌケの防止余裕度を向上できる。母体トナー中に、定着部でオイル塗布の必要がないようにワックス等の離型剤を含ませたトナーを使用し、トナー表面に若干ではあるが離型剤が存在する状態にして、トナー像と感光体の非静電気的付着力上昇を抑制すると、一次転写電界強度を抑制でき、一次転写の転写ヌケの防止余裕度を向上できる。母体トナーに疎水性の無機微粒子を外添し、より好ましくはシリカ(SiO)を外添して、トナーの流動性を良くし、トナー像と感光体の非静電気的付着力上昇を抑制すると、一次転写電界強度を抑制でき、一次転写の転写ヌケの防止余裕度を向上できる。シリカはシランカップリング剤、シリコーンオイル等によって表面を疎水化処理したものが更に好ましい。
【0044】
また中間転写ベルト10の表面には、必要に応じて離型層をコートしてもよい。このコートに用いる材料としては、ETFE、PTFE(ポリ四フッ化エチレン)、PVDF、PEA(パーフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体)、PVF(フッ化ビニル)等のフッ素樹脂が使用できるが、これらに限定されない。
【0045】
次に、静止摩擦係数の測定を上記オイラー法による行う場合について説明する。先ず、紙片(TYPE6200、A4T目:株式会社リコー製)を297mm×30mmに切り、両端に糸を付けて測定紙片を作成する。紙片の特性は秤量:71.7g/m2、厚さ:89μm、密度:0.81g/cm、平滑度:表;40s、裏;37s、体積抵抗:1.2E+11Ω・cm、摩擦係数:表/裏;(ゴム付きオモリ)tanθで、縦;0.64、横;0.65である。測定紙片をテーブルの一端に支持部材を用いて支持された感光体ドラム1にのせて、一方の糸に0.98N(100g重)の重りを結び付け、他方の糸にはデジタルプッシュプルゲージを結び付ける。この状態でデジタルプッシュプルゲージによって糸を介して測定紙片を引っ張り、測定紙片が動き出した時のデジタルプッシュプルゲージの値を読む。この時の値をF(N)とすると、静止摩擦係数μは、
μ=(2/π)×〔ln(F/0.98)〕
で求められる。
【0046】
中間転写ベルト10の製造方法としては、注型法や遠心成型法等がある。表面粗さRzを小さくする場合には、ベルトの表面に対応する型側の表面粗さRzを小さくすることで、該ベルトの表面粗さRzの値を調節することが可能である。尚、必要に応じて、ベルト表面を研磨して調節してもよい。
【0047】
中間転写ベルト10に接離可能なベルトクリーニングユニット19は、クリーニングブレード18、およびクリーニングブレード18を中間転写ベルト10に対して接離させる接離機構26等で構成されており、1色目のイエロー画像を一次転写したあとの、2、3、4色目を一次転写している間は、上記接離機構26によって中間転写ベルト10の表面から離間させられる。上記接離機構26は、クリーニングブレード18が感光体1の表面に当接するようにクリーニングユニット19を付勢する不図示の付勢手段と、クリーニングユニット19の揺動する底面部に当接した状態で後述の制御部200で回転駆動される偏心カムを用いて構成されている。
【0048】
また、中間転写ベルト10の外周面の幅方向端部にはベルト位置検出マーク23が設けられており、マークセンサ24によって上記マーク23が検出されたタイミングで各色の画像形成プロセスを開始することにより、各色画像の正確な色重ねが可能となる。本技術では、中間転写ベルトの回動方向の伸縮歪みや変化が無いので色ずれ防止に有効である。
【0049】
二次転写ユニット15は、二次転写バイアスローラ14、および該二次転写バイアスローラ14を中間転写ベルト10に対して接離させる接離機構16等で構成されている。接離機構16は、二次転写バイアスローラ14が中間転写ベルト10から離間するように二次転写ユニット15を付勢する付勢手段としてのバネ部材と、二次転写ユニット15の揺動する底面部に当接した状態で後述する制御部200により回転駆動される偏心カムとを用いて構成されている。二次転写バイアスローラ14はSUS等の金属製芯金上に、導電性材料によって10〜1010Ωの抵抗値に調整されたウレタン等の弾性体を被覆することで構成されている。なお、二次転写バイアスローラ14の抵抗値測定は、導電性の金属製板に二次転写バイアスローラ14を設置し、芯金両端部に片側4.9N(両側で合計9.8N)の荷重を掛けた状態にて、芯金と金属製板との間に1000Vの電圧を印加したときに流れる電流値から算出した。
【0050】
二次転写バイアスローラ14は、不図示の駆動ギヤによって駆動力が与えられており、その周速は中間転写ベルト10の周速に対して、略同一となるよう調整されている。この二次転写バイアスローラ14は、通常中間転写ベルト10の表面から離間しているが、中間転写ベルト10の表面に形成された4色の重ね画像を転写紙22に一括転写するときにタイミングを取って接離機構16で押圧され、二次転写バイアス印加手段としての高圧電源100により、二次転写バイアスローラ14に二次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト10から転写紙22への転写を行う。
【0051】
上記構成のプリンタにおいて、上記転写紙22は給紙ローラ25、レジストローラ21によって、中間転写ベルト10上の4色重ね画像の先端部が二次転写位置に到達するタイミングに合わせて給紙される。転写紙22に転写された4色重ね画像は定着手段17で定着された後、排紙される。
【0052】
上記プリンタにおいて使用されるトナーは、体積平均粒径が4〜10μmの範囲であることが望ましい。トナーの粒径を上記範囲のように小径化することで、トナー飛散を防止し、かつ、高解像度での画像形成が可能となるとともに、トナー小径化による、現像時の地汚れ、トナーの流動性の悪化及びトナー凝集を防止し、中抜け画像の発生を効果的に防止できる。
【0053】
上記トナーに使用される結着樹脂としては、従来からトナー用結着樹脂として使用されてきたものは全てが適用可能である。具体的には、ポリオール樹脂、スチレンアクリル共重合体、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン/p−クロロスチレン共重合体、また、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/インデン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、更には、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が使用可能であり、これらは単独であるいは2種以上を混合して使用される。
【0054】
上記トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた染料及び顔料全てを適用可能である。具体的には、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミユウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラゲンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミユウムレッド、カドミユウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(E2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマリーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマリーンライト、ボンマリーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレットB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサジンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアンエメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物等を使用することが可能である。尚、上記着色剤の使用量は、一般に、バインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部である。
【0055】
本例では、4色のトナーを使用するが、3色や2色あるいは単色又は5色以上のトナーを用いてもかまわない。また使用する色の種類も、どのような色であってもかまわないが、フルカラーを再現できる色を選択するのが好ましい。特に、上述のように、トナーの色が、黒、イエロー、シアン、マゼンタの4色であると、現像の回数が少なくてすみ、かつ比較的広い色調範囲をカバーできるので好適である。
【0056】
また上記トナーには、必要に応じて、帯電制御剤を含有させてもよい。この帯電制御剤としては、公知のものが全て使用できる。具体的には、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩等を使用することが可能である。
【0057】
上記帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法等によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは、バインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。更に好ましくは、2〜5重量部の範囲がよい。ここで、0.1重量部未満の場合には、トナーの負帯電が不足し実用的でない。また10重量部を越える場合には、トナーの帯電性が高すぎて、キャリアや現像スリーブ等との静電吸引力が増大し、スペントやフィルミング等によって画像濃度の低下を招く。尚、必要に応じて、複数の帯電制御剤を併用してもよい。
【0058】
本例のプリンタでは、トナー単独で現像剤となって静電潜像を顕像化する所謂1成分現像法で現像してもよいし、トナーとキャリアを混合してなる2成分現像剤を用いて静電潜像を顕像化する2成分現像法で現像してもよい。2成分現像法を用いる場合、使用キャリアとしては、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等、従来と同様のものを使用することができる。また、これらキャリアは、樹脂を被覆したものであってもよく、この樹脂としては、ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、シリコーン樹脂等を使用することができる。いずれにしても、トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対して、トナー0.5〜6.0重量部程度が適当である。
【0059】
また上記トナーには、必要に応じて、添加剤を混合させてもよい。この添加剤としては、疎水性シリカ、疎水性酸化チタン、疎水性酸化アルミニウム等の無機微粒子からなる流動性付与剤、ケーキング防止剤、四フッ化エチレン樹脂やステアリン酸亜鉛等の滑剤、カーボンブラックや酸化スズ等の導電性付与剤、酸化セリウムや炭化ケイ素等の研磨剤、低分子量ポレオレフィン等の定着助剤等を用いることができる。これらは、単独あるいは2種以上混合して使用される。これら添加剤の添加量は、トナー100重量部に対して0.1〜5重量部が望ましい。
【0060】
上記トナーを製造するにあたっては、上述したような構成材料をヘンシェルミキサー等の混合機にて混合した後、連続混練機あるいはロールニーダー等の混練機にて加熱混練し、混練物を冷却固化後、粉砕分級して所望の平均粒径を得る方法が好ましい。この他の製造方法としては、噴霧乾燥法、重合法、マイクロカプセル法等がある。そして、こうして得られたトナーを、必要に応じて所望の添加剤とヘンシェルミキサー等の混合機にて十分に混合することで、トナーを製造することができる。
【0061】
本例のトナーは、各色共通の材料としては、バインダー樹脂としてポリエステル系樹脂を使用し、帯電制御剤としてサリチル酸亜鉛誘導体を使用する。このサリチル酸亜鉛誘導体は、ポリエステル系樹脂100重量部に対して、4重量部の比率で含有されている。その他、各色トナーには、それぞれ着色剤が含有されており、上記ポリエステル系樹脂100重量部に対して、ブラックトナーではカーボンブラックが5重量部、イエロートナーではジスアゾ系イエロー顔料(C.I.PIGMENTYELLOW17)が5重量部、シアントナーでは、銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.PIGMENTBLUE15)が4重量部、マゼンタトナーではキナクドリン系マゼンタ顔料(C.I.PIGMENTRED184)が4重量部の比率で含有している。
【0062】
以下、本発明の実施例と比較例において画像形成を行った画像評価について説明する。画像評価は、転写率と転写チリ画像に絞って比較評価した。表1が比較評価した結果の主な内容である。
【0063】
【表1】

【0064】
実施例1、2共に、従来例より転写率が高く、且つ転写チリが非常に少なくなっている。図3〜図5は表1で比較した例の帯電量分布の推移を比較したもので、ホソカワミクロン製のE-SPARTアナライザーで測定した値を示した。図3が実施例1に相当し、図4が実施例2に相当し、図5が従来例に相当する。
【0065】
ところで、弾性層を有する中間転写ベルトにおいて、弾性層単層で構成する場合には、ベルト駆動時に伸びが発生してしまい、色ずれ等の原因となるため、伸び防止層を設けるのが好ましい。伸び防止層は中間転写ベルトに積層したり、弾性層単層中に弾性材料と混在する形態で伸び防止層と弾性層が同一となる構成とする等がよい。更に適宜硬度がより高いがより薄い表面コート層を設けて表面の経時変化を防止してもよい。
【0066】
上記伸び防止層としては、PI(ポリイミド)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂や、繊維を用いた芯体層で構成もよい。この芯体層に用いる繊維としては、綿、絹、麻等の天然繊維、キチン繊維、アルギン酸繊維等の再生繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、アラミド繊維等の合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の無機繊維等を用いることができる。本例では、太さ100μmのアラミド繊維を織布形状にして用いた。上記弾性層に用いる材料としては、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等が挙げられる。本例では、硬度60度(JIS−A)のニトリルブタジエンゴムを用いた。なお、上記弾性層の厚みは500μmとした。上記表面コート層に用いる材料としては、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴムおよび熱可塑性エラストマー等が挙げられる。本例では、ポリウレタンにフッ素樹脂を配合したものを塗工したものを用いた。なお、塗工厚みは数μmから数十μm(好ましくは1〜10μm)であった。
【0067】
尚、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載したものであって、本発明を限定するものではない。例えば、本実施の形態では、像担持体として感光体ドラムを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、感光体ベルト等、全ての像担持体に適用可能である。また、図1の態様では、感光体ドラムは1本の形態であるが、黒、イエロー、シアン、マゼンタ色別に専用の感光体ドラムを用いる所謂4連タンデム型のフルカラー画像形成システム形態でも適用可能である。また、本実施の形態では、一次転写手段として転写ローラを用いたが、回転型転写ブラシ等の回転型接触転写方式はもちろんのこと、転写ブラシ、転写ブレード、転写プレート等の接触転写方式を用いた画像形成装置であれば本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係る別の画像形成装置の概略構成図である。
【図3】画像評価を行った際の帯電量分布の推移での実施例1における結果を示すグラフである。
【図4】画像評価を行った際の帯電量分布の推移での実施例2における結果を示すグラフである。
【図5】画像評価を行った際の帯電量分布の推移での従来例における結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0069】
1 感光体
2 クリーニングユニット
4 帯電器
5 露光ユニット
6,7,8,9 現像手段
10 中間転写ベルト
11 一次転写バイアスローラ
12 従動ローラ
13 駆動ローラ
14 二次転写バイアスローラ
15 二次転写ユニット
16 接離機構
17 定着手段
18 クリーニングブレード
19 ベルトクリーニングユニット
21 レジストローラ
22 転写紙
23 ベルト位置検出マーク
24 マークセンサ
25 給紙ローラ
26 接離機構
30 圧接バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、現像剤担持体と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、
上記現像剤担持体の表面と上記像担持体の表面との電位差が0Vであるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過する直前の現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、像担持体から次の転写材の表面に電界転写した直後の転写材表面トナー像の平均帯電量をQ2とした場合に、
{│Q2│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、現像剤担持体と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、
上記現像剤担持体の表面と上記像担持体の表面との電位差が0Vであるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過する直前の現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、像担持体から次の転写材の表面に電界転写する直前の像担持体表面トナー像の平均帯電量をQ3とした場合に、
{│Q3│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
像担持体と、現像剤担持体と、像担持体上に形成されたトナー像を転写材に電界転写する手段とを備えた画像形成装置において、
上記現像剤担持体の表面と上記像担持体の表面との電位差が0Vであるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過する直前の現像剤中トナーの平均帯電量をQ1、現像剤担持体に現像バイアスが印加され、像担持体表面の電位が画像部電位であるときの、現像剤担持体と像担持体との対向領域を通過した直後の像担持体表面の画像部に現像されたトナーの平均帯電量をQ4とした場合に、
{│Q4│−│Q1│}/│Q1│≧−0.3
の関係を満足する条件下で現像することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
現像工程と転写工程の間に、像担持体表面トナー像に該トナーの正規極性と同極性の電荷を付与する手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
像担持体表面の現像前地肌部電位をVD、画像部電位をVL、現像バイアス電圧をVBとすると0<|VD|−|VB|<|VD−VL|<400Vを満たす直流現像電界条件で現像することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーの比誘電率を2.5〜4、体積固有抵抗を1010〜1015Ω・cmとしたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
現像バイアスとして像担持体の画像部表面電位より高めと低めのレベルを現像領域内で少なくとも1周期以上繰り返す態様の交番電圧を用いることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナーをクリーニング回収する専用のクリーニング手段を備えないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−259122(P2006−259122A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75252(P2005−75252)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】