説明

画像形成装置

【課題】転写ローラが、正しい向きとは逆向きに装着された状態で画像形成がなされることを原因して生じる画像不良の発生を防止する画像形成装置を提供する。
【解決手段】開閉カバー12に着脱可能に装着される転写ローラ36を、開閉カバー12に正しい向きとは逆向きに装着しようとした場合に、転写ローラ36の軸36c、軸36cに設けられた駆動伝達部材56、又は、軸36cに設けられた距離規制部材54cと、前カバー12に設けられた突起12aとの間で干渉が生じ、転写ローラ36の逆向きでの装着が阻止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ファクシミリ、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、像担持体にトナー像を形成し、このトナー像を転写ローラでシートへと転写することで画像形成を行っている(例えば、特許文献1)。そして、この転写ローラを、装置から着脱可能することが知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平8-320634
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、転写ローラを着脱可能とすることは知られていても、例えば転写ローラの交換をするとき等に転写ローラを逆向きに装着してしまい、この状態で画像形成がなされることを原因として、正常な画像形成を行えなくなることがあるとの問題点があった。
【0005】
なお、前述の特許文献1には、像担持体が逆向きに装着されることを防止しようとする技術が示されているものの、転写ローラが逆向きに装着されることについての開示はない。
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、転写ローラが逆向きに装着されることを防止して、転写ローラが逆向きに装着された状態で画像形成がなされることにより画像不良が生じることを防止する画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の特徴とするところは、開放部を備えた筐体と、この筐体の開放部を開閉する開閉カバーと、この開閉カバーに設けられた転写ローラと、前記開閉カバーに前記転写ローラを逆向きに装着した場合、前記筐体、前記開閉カバー、及び前記転写ローラから選ればれた少なくとも二つの部材間で干渉を生じさせる逆装着防止手段とを有する画像形成装置にある。したがって、転写ローラを逆向きに装着しようしても、逆装着防止手段が、筐体、開閉カバー、転写ローラから選ばれた少なくとも二つの部材間で干渉を生じさせ、転写ローラの逆向きでの装着を防止する。
【0008】
好適には、前記逆装着防止手段は前記開閉カバーと前記転写ローラとの間で干渉を生じさせる。したがって、転写ローラを逆向きに装着しようしても、逆装着防止手段が、開閉カバーと転写ローラとの部材間で干渉を生じさせ、転写ローラの逆向きでの装着を防止するので、開閉カバーを閉じる前に転写ローラの逆向きでの装着に気付くことができ、開閉カバーの無理な閉鎖による筐体内部や開閉カバーの破損を防止することができる。
【0009】
また、好適には、前記逆装着防止手段は、前記転写ローラが有する軸と、前記開閉カバー又は前記筐体との少なくとも一方の部材との間で干渉を生じさせる。したがって、転写ローラを逆向きに装着しようとしても、逆装着防止手段が、開閉カバーと筐体との少なくとも一方の部材と、転写ローラの回転軸との間で干渉を生じさせ、転写ローラの逆向きでの装着を防止するので、金属等で形成された転写ローラの他の部位と比べて剛性の高い回転軸で干渉を生じさせ、傷つき等の劣化を低減することができる。
【0010】
また、好適には、前記転写ローラが有する駆動伝達部材と、前記開閉カバー又は前駆筐体の少なくとも一方の部材との間で干渉を生じさせる。したがって、転写ローラを逆向きに装着しようとしても、逆装着防止手段が、開閉カバーと筐体との少なくとも一方の部材と、転写ローラが有する駆動伝達部材との間で干渉を生じさせ、転写ローラの逆向きでの装着を防止するので、転写ローラの転写に寄与する導電部材等が傷ついて転写性能が劣化することを防止することができる。
【0011】
また、好適には、前記筐体内に配置された像担持体を有し、前記逆装着防止手段が、前記転写ローラが有する前記像担持体と距離を規制する距離規制部材と、前記開閉カバー又は前記筐体の少なくとも一方の部材との間で干渉を生じさせる。したがって、転写ローラを逆向きに装着しようとしても、逆装着防止手段が、開閉カバーと筐体との少なくとも一方の部材と、転写ローラが有する距離規制部材との間で干渉を生じさせ、転写ローラの逆向きでの装着を防止するので、転写ローラの転写に寄与する導電部材等が傷ついて転写性能が劣化することを防止することができる。
【0012】
また、好適には、前記逆装着防止手段が、前記筐体内に配置される駆動伝達機構から前記転写ローラへの潤滑剤の飛散を遮蔽する遮蔽手段を兼ねる。したがって、駆動伝達機構から潤滑剤が飛散し、転写ローラへと付着することが少なくなる。
【0013】
また、好適には、少なくとも像担持体と把手を備え前記把手を把持して前記筐体から着脱自在なプロセスカートリッジを有し、前記逆装着防止手段は、前記開閉カバーの前記把手との対向部の近傍に設けられている。したがって、開閉カバーの把手との対向部には把手と開閉カバーとの干渉を防ぐための空間が存在し、この空間に近傍に逆装着防止手段が設けられていることで逆装着防止手段の存在が目立つものとなり、転写ローラの装着時に逆向きの装着を未然に防ぐことができる。
【0014】
また、好適には、前記逆装着防止手段は、前記開閉カバーの前記把手との対向部の近傍であって、前記プロセスカートリッジを前記筐体へ装着する側と反対側に設けられている。したがって、開閉カバーの把手との対向部に把手と開閉カバーとの干渉を防ぐための空間が、逆装着防止手段よりも前記プロセスカートリッジを前記筐体へ装着する側(前記開閉カバーを開閉操作する側)となり、メンテナンスの際に転写ローラを装着する等の場合に逆装着防止手段の存在が目立つものとなり、逆向きの装着を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、転写ローラが逆向きに装着されることを防止し、転写ローラが逆向きに装着された状態で画像形成がなされることにより画像不良が生じることを防止する画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2には、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概要が示されている。図1及び図2において、画像形成装置8は、開放部10aを備えた筐体10を有し、この筐体10の内部に画像形成手段14が配置されており、筐体10の上部には画像形成がなされたシートが排出される排出部16が設けられ、筐体10の下部には例えば2段の給紙ユニット18,18が設けられると共に、筐体10の開放部10aを開閉する開閉カバー12が筐体10に装着されている。
【0017】
像形成手段14は電子写真方式のもので、感光体からなる像担持体28と、この像担持体28を一様帯電する例えば帯電ローラからなる帯電装置30と、この帯電装置30により帯電された像担持体28に、光により潜像を書き込む光書込み装置32と、この光書込み装置32により形成された像担持体28の潜像を現像剤により可視化しトナー像とする現像装置34と、この現像装置34によるトナー像を用紙に転写する転写ローラ36と、像担持体28に残存する現像剤をクリーニングするクリーニング装置38と、転写ローラ36により転写された用紙上のトナー像を用紙に定着させる例えば加圧ローラと加熱ローラとからなる定着装置40とから構成されている。光書込み装置32は例えば走査型のレーザ露光装置からなり、後述するプロセスカートリッジ46を横切り、像担持体28に潜像を形成する。クリーニング装置38は、像担持体28に接触するクリーニングブレード42と、このクリーニングブレード42で掻き落とされた現像剤を収納する現像剤回収部44とを有する。なお、光書込み装置32は、他の実施形態としてLEDや面発光レーザ等を用いることができる。
【0018】
これらの像形成手段14を形成する部材のうち、像担持体28、帯電装置30、現像装置34及びクリーニング装置38は一体化されてプロセスカートリッジ46を構成し、これらを一体として交換ができるように筐体10に対して着脱自在な構成となっている。このプロセスカートリッジ46には、交換作業の便宜にために、筐体10に装着した状態において開口部10a方向へと伸びる左右に二つ把手46a、46aが設けられている。
【0019】
それぞれの給紙ユニット18は、シートが収納される給紙カセット20と、この給紙カセット20に収納されたシートを供給する供給ローラ22とから構成される。この給紙ユニット18のシート搬送方向下流には、シートを前述の画像形成手段に供給するタイミングを調整するためのレジストローラ24が設けられおり、このレジストローラ24のシート搬送方向下流には、前述の像担持体28と転写ローラ36とで形成される転写ニップNが位置し、この転写ニップNのシート搬送方向下流には前述の定着装置40が位置する。
【0020】
開閉カバー12は、その下端部または下端部近傍を中心として開閉可能に筐体10に装着されており、その内側には前述の転写ローラ36が装着されている。この開閉カバー12は、閉められた状態においては、装置の外カバーの一部をなす状態となると共に、転写ローラ36を前述の像担持体28に対向する位置において保持し、像担持体28との間で転写ニップNを形成する状態となる(図1を参照)。一方、開閉カバー12が開かれた状態においては筐体12の開口部12aが開放された状態となり、前述のプロセスカートリッジ46が交換できる状態となるとともに、転写ローラ36は略水平は状態にある開閉カバー12の上側に載置された状態となり、これにより視覚性が良くなり、操作者が容易に転写ローラ36を見つけることができる状態となる(図2を参照)。
【0021】
この開閉カバー12は、画像形成をなす際は閉められた状態で使用される。一方、転写ニップにN詰まったシートを取り除いたり、プロセスカートリッジ46を交換したり、また、転写ローラ36を交換したり等の装置のメンテナンスを行う際には、開かれた状態で使用される。
【0022】
ここで、転写ローラ36の交換する際に、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きに装着してしまう恐れがある。そこで、この実施形態に係る画像形成装置は、転写ローラ36が逆向きに装着されることを防止する逆装着防止手段を備えている。この逆装着防止手段は、転写ローラ36が逆向きに装着された場合に、筐体10、開閉カバー12、及び、転写ローラ36から選ばれた少なくとも二つの部材間で干渉を生じさせて、転写ローラ36が逆向きに装着され、その状態で用いられることを防止するものである。
【0023】
図3乃至図6は逆装着防止手段を示し、図3は転写ローラ36が正しい向きで装着され、かつ、開閉カバー12が閉じられた状態における転写ローラ36の周辺を示す断面図であり、図4は転写ローラ36が正しい向きとは逆向きに装着されと想定し、かつ、開閉カバー12が閉じられた状態にあると想定した場合における転写ローラ36の周辺を示す断面図であり、図5は逆装着防止手段を構成する開閉カバー12と転写ローラ36とを示す分解斜視図であり、図6は、転写ローラ36が正しい向きに装着された状態を示す斜視図である。図3乃至図6において、逆装着防止手段は、転写ローラ36と、開閉カバー12の転写ローラ36側に設けられた突起12aとから構成される。
【0024】
突起12aは開閉カバー12と一体として成形しても良いし、開閉カバー12とは別部品として開閉カバー12に装着しても良い。突起12aの開閉カバー12に設ける位置については、後述する転写ローラ36の軸36b、軸36cの長さと一定の関係を保つように定められる。この突起12aが設けられる位置についても後述する。
【0025】
転写ローラ36は、ローラ本体36aと、このローラ本体36aの一端から伸びる軸36bと、ローラ本体36aの軸36bが設けられた側とは逆側の端部から伸びる軸36cと有する。この軸36bには、転写ローラ36を回転自在に支持する軸受52と、転写ローラ36と像担持体28との距離とを一定の状態に保つ距離規制部材54とが装着されており、軸36cには、軸受52、距離規制部材54と併せて、例えばギアからなる駆動伝達手段56が装着されている。
【0026】
軸36bと軸36cとは、ローラ本体36aに一本の軸を貫通させ、その突出した一端を軸36bと、突出した他端を36cとしても良いし、軸36bと軸36cとを別部材として、それぞれローラ本体36aの各端部に取り付けても良い。この軸36bの端部からローラ本体までの長さをLbとし、軸36cの端部からローラ本体までの長さをLcとすると、LbがLcよりも短くなるように各長さが定められている。
【0027】
この軸36bと36cとにそれぞれ装着される軸受52、52には、それぞれ、その一端が開閉カバー12に固定された例えばバネからなる弾性体58、58が当接しており、この弾性体58、58と軸受52、52とが、正しく装着された状態の転写ローラ36を像担持体28へと付勢する。それぞれの軸受52、52は、開閉カバー12に設けられた軸受支持部12b、12bに装着され、この軸受支持部12b、12bと軸受52、52とで転写ローラ36の位置決がなされる。
【0028】
距離規制部材54、54は、ローラ本体36aと同径か、または、ローラ本体36aよりも若干大きな径を有し、軸36b、36cに回転可能な状態で装着されている。軸受52、52と弾性体58、58とにより転写ローラ36が像担持体28へと押し付けられると、この距離規制部材54、54が像担持体28に接触した状態となり、転写ローラ36と像担持体28との距離を一定に規制する。
【0029】
駆動伝達手段56は、例えば像担持体28に設けられたギアからなる駆動伝達手段60等からの駆動伝達を受ける部材であり、この駆動伝達手段56から駆動力が伝達されることにより転写ローラ36は回転する。
【0030】
前述の突起12aが開閉カバー12上において設けられる位置について説明を加える。軸受54、54と軸受支持部12b、12bとで転写ローラ36が正しい向きに位置決された状態において(図3参照)、突起12aは、軸36bの近傍であって、かつ、ローラ本体36aの端部からの距離Lが軸36bの長さLbよりも長くなる位置に設けられる。また、転写ローラ12が逆向きに装着された状態においては(図4参照)、軸36cの近傍であって、かつ、ローラ本体36aの端部からの距離Lが軸36cの長さLcよりも短くなる位置に設けられる。すなわち、突起12aは、ローラ本体36aの端部から距離Lが、軸36bの長さLbよりも長く、かつ、軸36cの長さLcよりも短くなる位置に設けられる。
【0031】
また、転写ローラ28が正しい向きで装着された場合、突起12aは転写ローラ36の軸36b側の端部より外側に位置する。よって、この突起12aよりも更に外側に、例えば筐体10内に配置されたギア列などからなる駆動伝達機構が配置されていたとしても、突起12aがこの駆動伝達機構から飛散する潤滑剤を遮蔽する遮蔽手段として働き、転写ローラ28に潤滑剤が付着しにくくなる。なお、転写ローラ36は、正しい向きと逆向きに装着しようとしても、軸36cと突起12aとが互いに干渉して実際には装着することができないが、図4では説明の便宜上、転写ローラ36が逆向きに装着された状態を想定して示している。
【0032】
次に第1の実施形態の作用を説明する。
画像形成を行うにあたっては、開閉トレー12は閉めた状態とされる。開閉トレー12が閉められると、この開閉トレー12に正しい向きで装着された転写ローラ36は、弾性体58、58と軸受52、52とにより像担持体28に押圧される。この際、距離規制部材54、54により像担持体28と像担持体28の距離は一定に保たれるとともに、転写ローラ36に装着された駆動伝達手段56は、駆動伝達手段60からの駆動力受け入れる状態となる。
【0033】
この状態において、画像形成が開始されると、像担持体28が帯電装置30により一様に帯電され、この帯電された像担持体28には、画像信号に基づいて光書込み装置32から発した光が照射され潜像が形成され、この潜像が現像装置34のトナーにより現像されて、トナー像の形成がなされる。
【0034】
このトナー像の形成と同時に、サイズ信号等により給紙ユニット18の一つが選択され、給紙カセット20の一つに収納されたシートは供給ローラ22により送り出され、レジストローラ24により一次停止され、タイミングをとって転写ローラ36と像担持体28とで形成される転写ニップNに導かれる。このようにして転写ニップNにシートが導かれると、このシートに像担持体28上の現像剤が転写ローラ36により転写され、この現像剤が転写されたシートは定着装置40を通って排出部16へ排出される。
【0035】
転写ローラ36の交換等を行うにあたっては、開閉トレー12は開いた状態とされる。開いた状態にある開閉トレー12に転写ローラ36を装着する際、転写ローラ36の向きが正しければ、この転写ローラ36は、軸受52、52と軸受支持部12bとにより位置決めされる。この際、転写ローラ36の軸36bの長さLbよりも、ローラ本体36aの端部から突起12a、12bまでの距離Lが長いため、開閉トレー12に設けられた突起12aと転写ローラの軸とは干渉し合うことはない。
【0036】
一方、転写ローラ12を逆向きに装着しようとした場合、軸36cの長さLcよりも、ローラ本体36aの端部から突起12aまでの距離が短いため、転写ローラ36の軸36cと突起12aと互いに干渉しあう。したがって、転写ローラ12を逆向きに装着しようとしても、転写ローラ36と開閉カバー12との干渉により、転写ローラ12を装着することが防止される。このため、転写ローラ38が逆向きに装着された状態で画像形成がなされることにより画像不良が生じることが防止される。
【0037】
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。
図7及び図8は、第2の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、図7は転写ローラ36が正しい向きで装着され、かつ、開閉カバー12が閉じられた状態における転写ローラ36の周辺を示す断面図であり、図8は転写ローラ36が正しい向きとは逆向きに装着されと想定し、かつ、開閉カバー12が閉じられた状態にあると想定した場合における転写ローラ36の周辺を示す断面図である。
【0038】
前述した第1の実施形態においては、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きで開閉カバー12に装着しようとした場合に、突起12aと軸36cそのものとの間で干渉を生じさる位置に突起12aが設けられているのに対して、第2の実施形態においては、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きで開閉カバー12に装着しようとした場合に、突起12aと軸36cに取り付けられた駆動伝達手段56との間で干渉を生じさせる位置に突起12aが設けられている。
【0039】
第2の実施形態においても、ローラ本体36aの端部から突起12aまでの距離をL、軸36bの長さをLb、軸36cの長さをLcとした場合に、距離LがLbよりも長く、Lcよりも短いとの関係が保たれる。よって、転写ローラ36を逆向きに装着しようとすると、転写ローラ36と開閉カバー12との干渉により、転写ローラ12を装着することが防止されて、転写ローラ38が逆向きに装着された状態で画像形成がなされることにより画像不良が生じることが防止される。
【0040】
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。
図9及び図10は、第3の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、図9は転写ローラ36が正しい向きで装着され、かつ、開閉カバー12が閉じられた状態における転写ローラ36の周辺を示す断面図であり、図10は転写ローラ36が正しい向きとは逆向きに装着されと想定し、かつ、開閉カバー12が閉じられた状態にあると想定した場合における転写ローラ36の周辺を示す断面図である。
【0041】
前述した第1の実施形態においては、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きで開閉カバー12に装着しようとした場合に、突起12aと軸36cそのものとの間で干渉を生じさる位置に突起12aが設けられているのに対して、第3の実施形態においては、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きで開閉カバー12に装着しようとした場合に、突起12aと軸36cに取り付けられた距離規制部材54との間で干渉を生じさせる位置に突起12aが設けられている。
【0042】
第3の実施形態おいては、ローラ本体36aの端部から突起12aまでの距離をLとし、ローラ本体36aの一端部から軸36bに取り付けられた距離規制部材54bまでの長さをLbとし、ローラ本体の他端部から軸36cに設けられた距離規制部材54cまでの長さをLcとした場合に、距離LがLbよりも長く、Lcよりも短いとの関係が成りたつように、距離規制部材54b、54c、及び突起12aの位置が定められている。したがって、転写ローラ36を正しい向きで装着した場合には、突起12aと距離規制部材54bとの間に干渉は生じない(図9を参照)。これに対して、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きに装着しようとした場合、突起12aと距離規制部材54cとの間で干渉が生じ、転写ローラ36の開閉カバー12への装着が阻止され、転写ローラ38が逆向きに装着された状態で画像形成がなされることにより画像不良が生じることが防止される。
【0043】
次に本発明の第4の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第4の実施形態を示す斜視図である。第1の実施形態乃至第3の実施形態では、開閉カバー12上であって、正しい向きに装着された転写ローラ36の軸36b側の端部近傍である位置Aにのみ位置する様に突起12aが設けられていた。これに対して、第4の実施形態では、突起12aが、開閉カバー12上の把手46aと対向する対向部近傍であって、プロセスカートリッジ46を装着する側とは反対側の場所(開閉カバー12の開閉操作をする側)である位置Bにも位置する構成となっている。すなわち、突起12aは、転写ローラ36に対して垂直な方向に、位置Aから位置Bまで伸びる形状をしている。
【0044】
突起12aがこのような形状であるため、突起12aは転写ローラ36を交換する際に、良く目立ち、転写ローラ36を交換する者の注意をうながすものとなり、転写ローラ36を逆向きに装着してしまうことを未然に防止することができるようになる。また、この突起12aが、転写ローラ36を正しい向きとは逆向きに装着された場合に、転写ローラ36の軸36cと干渉し合う部材であることは第1の実施形態と同様である。また、突起12aを、軸36cと干渉し合う構成を採用することに代えて第2の実施形態と同様に駆動伝達手段56との間で干渉が生じる構成を採用しても良いし、第3の実施形態と同様に距離規制部材54bとの間で干渉が生じる構成を採用しても良い。
【0045】
以上で説明した各実施形態においては、逆装着防止手段として、開閉カバー12と転写ローラ36と間で干渉を生じさせる構成を採用したが、逆装着防止手段は、筐体10、開閉カバー12、及び、転写ローラ36から選ばれた少なくとも二つの部材間で干渉を生じさせるものであれば、他の構成を採用しても良い。具体的には、転写ローラ36が逆向きに装着された場合に、筐体12と開閉カバー12との間で干渉が生じる構成を採用しても良いし、筐体12と転写ローラ36との間で干渉が生じる構成を採用しても良いし、また、筐体10、開閉カバー12、及び、転写ローラ36の三部材間で干渉を生じさせる構成を採用してよい。ここで筐体12とは、筐体12そのもののみならず、例えばプロセスカートリッジ46等の筐体12内に配置された部材を含む意味である。よって、逆装着防止手段として、例えば、転写ローラ36が逆向きに装着された場合に、転写ローラ36とプロセスカートリッジ46との間で干渉を生じさせる構成を採用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上述べたように、本発明は、転写ローラを備えた画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概要を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きに装着された状態を示す横断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きとは逆向きに装着された状態を示す横断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きに装着される状態を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る開閉カバーを示し、転写ローラが正しい向きに装着された状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きに装着された状態を示す横断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きとは逆向きに装着された状態を示す横断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きに装着された状態を示す横断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る逆装着防止手段を示し、転写ローラが正しい向きとは逆向きに装着された状態を示す横断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
8 画像形成装置
10 筐体
10a 開口部
12 開閉カバー
12a 突起
12b 軸受支持部
14 像形成手段
16 排出部
18 給紙ユニット
20 給紙カセット
22 供給ローラ
24 レジストローラ
28 像担持体
30 帯電装置
32 光書込み装置
34 現像装置
36 転写ローラ
36a ローラ本体
36b 軸
36c 軸
38 クリーニング装置
40 定着装置
42 クリーニングブレード
44 現像剤回収部
46 プロセスカートリッジ
46a 把手
52 軸受
54 距離規制部材
56 駆動伝達手段
58 弾性体
60 駆動伝達手段
N 転写ニップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放部を備えた筐体と、
この筐体の開放部を開閉する開閉カバーと、
この開閉カバーに設けられた転写ローラと、
前記開閉カバーに前記転写ローラを逆向きに装着した場合、前記筐体、前記開閉カバー、及び前記転写ローラから選ればれた少なくとも二つの部材間で干渉を生じさせる逆装着防止手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記逆装着防止手段は前記開閉カバーと前記転写ローラとの間で干渉を生じさせることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記逆装着防止手段は、前記転写ローラが有する軸と、前記開閉カバー又は前記筐体との少なくとも一方の部材との間で干渉を生じさせることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記逆装着防止手段は、前記転写ローラが有する駆動伝達部材と、前記開閉カバー又は前駆筐体の少なくとも一方の部材との間で干渉を生じさせることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記筐体内に配置された像担持体を有し、
前記逆装着防止手段が、前記転写ローラが有する前記像担持体と距離を規制する距離規制部材と、前記開閉カバー又は前記筐体の少なくとも一方の部材との間で干渉を生じさせることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記逆装着防止手段が、前記筐体内に配置される駆動伝達機構から前記転写ローラへの潤滑剤の飛散を遮蔽する遮蔽手段を兼ねることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
少なくとも像担持体と把手を備え前記把手を把持して前記筐体から着脱自在なプロセスカートリッジを有し、
前記逆装着防止手段は、前記開閉カバーの前記把手との対向部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記逆装着防止手段は、前記開閉カバーの前記把手との対向部の近傍であって、前記プロセスカートリッジを前記筐体へ装着する側と反対側に設けられていることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−267757(P2006−267757A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87539(P2005−87539)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】