説明

画像形成装置

【課題】 付着物質の除去動作に必要なトナーの消費量を抑え、良好な状態の画質を得ることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 像担持体と、該像担持体上の不要トナーを除去するための像担持体クリーニング手段とを備え、前記像担持体上に形成したトナー像を紙などの転写材に転写することなく像担持体クリーニング手段により除去することにより、像担持体上の付着物質を除去するように動作する画像形成装置において、前記動作時に像担持体上に形成するトナー像のパターン形状を、装置の使用状況に関連する所定の情報に基づき変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子写真技術を利用した複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、像担持体上に形成したトナー像を中間転写体に1次転写し、その中間転写体上のトナー像を転写材に2次転写する、中間転写方式を採用した画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置において、像担持体や中間転写体は、1次転写を行うために接触可能な状態となっているが、両者には他にも、紙などの転写材や、ローラなどに使用されるゴム部材などが、直接または間接的に接触する状態にあることがほとんどである。このようなとき、像担持体や中間転写体に接触するゴム部材が原因となる不具合例として、ゴムに含まれる成分が染み出して、像担持体や中間転写体の表面を汚染したりすることがある。このような状態になると、画像を乱したり、表面性を悪化させたりすることがある。
【0004】
また、同様に像担持体や中間転写体に付着するものとして、像担持体や中間転写体に塗るために設けている潤滑剤なども、塗り量が過多になりすぎた場合に不具合を発生する場合がある。
【0005】
これらの問題を回避するための手段として、従来、下記のようなものが知られている。第一の方法として、像担持体や中間転写体のクリーニング手段としてゴムブレードを用いる場合、像担持体や中間転写体へのゴムブレードの当接圧を高めることで、付着物質を掻き取る能力を向上させる方法である。しかし、この場合、副作用として、像担持体や中間転写体の表面を削ってしまったり、キズをつけてしまったりして、画像上にスジ状の異常画像を発生させてしまうことがあった。また、当接圧を高めることで、ゴムブレードの磨耗が進行し易くなる為、ゴムブレードそのものの耐久性の低下を引き起こしてしまうことがあった。
【0006】
また、第二の方法として、像担持体や中間転写体に対して、クリーニング手段とは別の手段として、ブラシ部材などを当接させて、付着物質を掻き取る方法もある。しかし、この場合、ブラシ部材を新たに設けるためのスペースやコストの問題があること、また、ブラシ部材により掻き取られた付着物質をブラシ部材そのものから回収するための手段も必要になるなど、装置の肥大化・複雑化・高コスト化につながる問題があった。
【0007】
そこで考えられた手段として、像担持体上や中間転写体上にトナー像を形成させ、そのトナー像をそれぞれのクリーニング手段により除去することにより、トナーとともに付着物質を絡め取る方法が提案されている(特許文献1参照)。これにより、上記問題を気にすることなく、付着物質の除去が可能となった。
【0008】
【特許文献1】特開2003−5608号公報
【0009】
しかし、特許文献1の技術においては、前記除去動作を行うために、実際の作像に使用されないトナーの消費量が非常に多くなるという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこでこの発明は、前記従来のものの問題点を解決し、付着物質の除去動作に必要なトナーの消費量を抑え、良好な状態の画質を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、像担持体と、該像担持体上の不要トナーを除去するための像担持体クリーニング手段とを備え、前記像担持体上に形成したトナー像を紙などの転写材に転写することなく像担持体クリーニング手段により除去することにより、像担持体上の付着物質を除去するように動作する画像形成装置において、前記動作時に像担持体上に形成するトナー像のパターン形状を、装置の使用状況に関連する所定の情報に基づき変化させることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、像担持体と、該像担持体上の不要トナーを除去するための像担持体クリーニング手段とを備え、前記像担持体上に形成したトナー像を紙などの転写材に転写することなく像担持体クリーニング手段により除去することにより、像担持体上の付着物質質を除去するように動作する画像形成装置において、前記動作の頻度を所定の情報に基づき変化させることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、所定の情報は、画像形成装置が使用した用紙サイズの集計から算出されることを特徴とする。請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、所定の情報は、画像形成装置が使用された温湿度条件であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、前記のようであって、像担持体上に形成したトナー像を紙などの転写材に転写することなく像担持体クリーニング手段により除去することにより、像担持体上の付着物質質を除去するように動作する画像形成装置において、動作時に像担持体上に形成するトナー像のパターン形状を、装置の使用状況に関連する所定の情報に基づき変化させる、あるいは動作の頻度を所定の情報に基づき変化させる、ことにより、部分的な付着物質除去モードの適用が可能となり、付着物質の除去動作に必要なトナーの消費量を抑えることができ、かつ良好な状態の画質を得ることができるという優れた効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の一実施の形態を、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、一実施の形態の適用例であるタンデム型中間転写方式の電子写真装置の概略図である。この電子写真装置はタンデム画像形成装置1、書き込み光学装置2、全体を支える給紙テーブル3、搬送・反転装置4、最終的に画像を転写紙に定着する定着装置5などで構成されている。
【0017】
この図1の画像形成(作像)部分を拡大したものが図2である。タンデム画像形成装置1は、中央に無端ベルト状の中間転写体501が設けられている。中間転写体501は、単層あるいは多層構造からなるゴムまたは樹脂などで構成される。
【0018】
中間転写体501は、2次転写バイアスローラ502および支持ローラ503・508・509で張架され、図示例では反時計回りに回転可能となっている。また、2次転写バイアスローラ502に対し、中間転写体501を挟んで向かい側には、2次転写ユニット600が対向するように設置されている。2次転写バイアスローラ502は、図示しない2次転写電界形成手段によりトナーと同極性の電界を形成することが可能となっており、これによる静電斥力を利用して、転写紙へトナーを2次転写することができる。
【0019】
支持ローラ509の左側には、画像転写後に中間転写体501上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置520が設けられている。中間転写体クリーニング装置520を拡大したものが図3である。中間転写体クリーニング装置520は、トナー像を除去するためのブレード部材521と、除去したトナー像を本体の廃トナータンクに搬送するためのコイル部材524と、固形潤滑剤523と、潤滑剤塗布ブラシ522とから構成されている。ブレード部材521の当接角度、位置、圧力などは、使用するトナーや装置の作像速度などにより適切に設定される。固形潤滑剤523は、スプリングや錘などの手段により、潤滑剤塗布ブラシ522に押し付けられ、潤滑剤塗布ブラシ522は、回転しながら固形潤滑剤523を削って、中間転写体501へ潤滑剤を塗りこむ動作を行う。
【0020】
支持ローラ503と支持ローラ508の中間転写体501の内側には、1次転写時に電界を形成される1次転写バイアスローラ504・505・506・507が中間転写体501に接触可能な状態で配置されている。
【0021】
そして、中間転写体501を挟んで1次転写バイアスローラ504・505・506・507の向かい側には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの感光体101・102・103・104が横に並べて配置され、これにてタンデム画像形成装置1が構成される。
【0022】
それぞれの感光体101〜104の周りには、それぞれ、感光体帯電手段201〜204、感光体クリーニング手段301〜304、現像手段401〜404、が配置されている。
【0023】
クリーニング手段301〜304の詳細を示したものが、図4である。クリーニング手段301〜304は、トナー像を除去するためのブレード部材311と、除去したトナー像を本体の廃トナータンクに搬送するためのコイル部材314と、固形潤滑剤313と、潤滑剤塗布ブラシ312とから構成されている。ブレード部材311の当接角度、位置、圧力などは、使用するトナーや装置の作像速度などにより適切に設定される。固形潤滑剤313は、スプリングや錘などの手段により、潤滑剤塗布ブラシ312に押し付けられ、潤滑剤塗布ブラシ312は、回転しながら固形潤滑剤313を削って、感光体101〜104へ潤滑剤を塗りこむ動作を行う。
【0024】
感光体101〜104への書き込み露光は、感光体帯電手段201〜204と現像手段401〜404の間の位置で、図示しない露光装置によりレーザ照射されて行われる。また、2次転写ユニット600の下側には、転写紙を2次転写部に送り込むレジストローラ800が設置され、上側には、転写紙上のトナー像を定着する定着装置700が設置されている。
【0025】
<通常の画像形成動作>
さて、今このカラー電子写真装置を用いて作像動作を行うときは、まずパソコンや図示しないスキャナなどから画像信号が入力される。信号入力後所定のタイミングで、図示しない駆動モータで感光体101〜104および中間転写体501を回転させる。
【0026】
感光体101〜104の回転と同時に、感光体クリーニング手段301〜304による予備クリーニング動作が行われ、その後、感光体帯電手段201〜204による帯電動作、図示しない露光手段による露光動作、現像手段401〜404による現像動作が行われる。このようにして感光体101〜104上に形成したトナー像は、それぞれ所定のタイミングで1次転写バイアスローラ504〜507にトナーと逆極性の電界を形成することで中間転写体501上に1次転写され、単色または多色の可視画像が形成される。そして、その際に、中間転写体501上に転写しきれずに感光体101〜104上に残留したトナー像は、それぞれ感光体クリーニング手段301〜304によりクリーニングされる。
【0027】
一方、画像信号の入力後、所定のタイミングで、給紙テーブル3から転写紙が繰り出され、レジストローラ800に突き当てて止める。そして、中間転写体501上の可視画像にタイミングを合わせてレジストローラ800を回転し、中間転写体501と2次転写ユニット600との間に転写紙を送り込む。そして同時に、2次転写電界形成手段により2次転写バイアスローラ502にトナーと同極性の電界が形成され、中間転写体501上の可視画像が転写紙上に2次転写される。その後、転写紙は定着装置700を通過し、熱と圧力とを加えられることにより転写紙上に可視画像が定着される。
【0028】
一方、2次転写時に転写紙上に転写しきれずに中間転写体501上に残留したトナー像は、中間転写体クリーニング装置520で除去され、再度の画像形成に備える。
【0029】
<付着物質除去動作の説明>
次に、上記通常の画像形成時以外に、下記のようなクリーニング動作(以下、「付着物質除去モード」と呼ぶ)を行う。
【0030】
まず、感光体101〜104や中間転写体501への付着物質除去モードが発動したとき、タンデム画像形成装置1は、通常の画像形成動作時と同じく、感光体101〜104上の少なくとも一部にトナー像を形成し、1次転写バイアスローラ504〜507によってトナーと逆極性の電界を形成し、トナー像を中間転写体501上に1次転写する。中間転写体501上のトナー像は、通常の画像形成時とは異なり、転写紙への2次転写は行わずに、そのまま中間転写体クリーニング装置520まで運ばれ、そこでゴムブレード521により掻き取り除去されながら、一定時間、空回転動作が行われる。また、中間転写体501上に転写されきれなかった感光体101〜104上の微小な残留トナーは、その後、感光体クリーニング手段301〜304にて同様に掻き取り除去される。また、これと同時に、感光体101〜104および中間転写体501に対し、それぞれ潤滑剤塗布ブラシ312・522により固形潤滑剤313・523の塗布が行われる。
【0031】
上記動作により、感光体101〜104、および中間転写体501上の付着物質に対し、以下の効果が生まれる。まず、通常時に感光体クリーニング手段301〜304や中間転写体クリーニング装置520に対し、通常時に突入するトナー量(転写残トナー量)よりも多目のトナー像を突入させることで、表面に付着した物質をトナー像に絡めとるように付着させ、そのトナーと一緒にクリーニングするという効果がある。この効果をもたせるには一定量のトナー像が必要で、通常時の転写残留トナーだけでは力不足のため、このような動作を行う。
【0032】
トナー量は、感光体帯電手段201〜204による帯電動作、図示しない露光手段による露光動作、現像手段401〜404による現像動作などにより調整される。この調整にはいくつかの方法があり、そのうちの一つは、通常の画像形成動作と同様に、感光体101〜104上を感光体帯電手段201〜204により帯電させ、図示しない露光手段により露光し、現像手段401〜404により現像動作を行う方法である。
【0033】
また、このようにして感光体101〜104上に形成したトナー像を中間転写体501に転写する際に、1次転写バイアスローラ504〜507に印加する電界の強度を調整することにより、トナー量の振り分けも可能である。例えば、感光体101〜104だけに付着物質除去モードを適用したい場合には、感光体101〜104に必要な量だけのトナー像を感光体101〜104上に形成し、1次転写バイアスローラ504〜507の電界(T)をオフすることにより、形成したトナー像をほぼすべて感光体101〜104に突入させることができる(図5(A))。また、逆に中間転写体だけに付着物質除去モードを適用したい場合には、中間転写体501の付着物質除去に必要なだけのトナー像を感光体101〜104に形成し、1次転写バイアスローラ504〜507に最適な転写電界を印加することで、ほぼすべてのトナー像を中間転写体501に転写して、付着物質除去モードに使用することができる(図5(B))。また、両者同時に付着物質除去モードを入れたい場合には、両者に必要な量の合計分を感光体101〜104上に形成し、1次転写バイアスローラ504〜507に、最適な転写電界よりも弱めの電界を形成することで、両者にトナーを分配し、同時に付着物質除去モードを適用することができる(図5(C))。このように、同時に付着物質除去モードを行えば、感光体と中間転写体の付着物質除去モードを別々に行うことに比べ、付着物質除去モードを動作させている時間を短縮することができ、装置利用者の待ち時間を低減することができる。
【0034】
また、付着量除去モードはトナーを消費するため、トナーがなくなりそうな色については、できるだけ付着量除去モードを入れないような制御も設けておいて、切り替えて使用できるようにしてもよい。また、これらは、画質を優先するか、トナー消費低減を優先するか、装置利用者が選択的に設定できるようにしておくとよい。
【0035】
付着物質除去のために形成するトナー像はそのままクリーニング手段により除去されて破棄され、転写紙の上に形成する通常画像にはならず、使用されずに破棄されてしまう。従来の技術においては、トナー消費量が多いことが問題となっていた。この発明では、トナー消費を抑えるため、以下のことを行う。
【0036】
まず、トナー消費を抑えるためには、像担持体のどの部分に付着物質が多くついているかを特定し、その部分のみを重点的に除去動作の対象とすればよいことに気づいた。次に、像担持体のどの部分に付着物質が多くついているかを特定するために利用可能な情報が何かを考え、画像形成装置が使用された紙サイズに関する履歴の情報が利用できることに気づいた。
【0037】
なぜなら、まず、第一にゴムローラからの染み出し物質については、紙が通過している部分では紙があるために像担持体や中間転写体とゴムローラとの接触の機会が少なく、付着物質が発生しにくいという特徴があるため、どのような紙サイズで使用されてきたかの履歴がわかれば、付着物質の付着状態が想定可能となるためである。また、第二の理由として、紙が通過する際には、潤滑剤などが適度に紙により消費されるため、潤滑剤塗布状態についても、紙が通過したかどうかで左右される特徴があるため、紙サイズの使用履歴情報から状態を推測することが可能である。
【0038】
以上の考えに基づけば、像担持体の作像領域全面にトナーを付着させていた従来の技術に対し、適用場所を絞ることが可能となるため、トナー消費を抑えた除去動作が可能になる。
【0039】
具体的には、下記のようなパターンが考えられる。まず、第一に、最大画像面積に対応する用紙のみを使用しているような場合であれば、直接ゴムローラが接触する機会が少ないために、付着物質の発生もわずかである。そのような場合は、付着物質除去モードを入れる頻度を従来の技術よりも少なく、もしくはなくして、トナー消費を抑えるようにする。ただし、紙を連続使用する場合でも間欠使用する場合でも、紙間やジョブエンド動作などでゴムローラなどと接触する機会はあるため、基本的には頻度を落としても付着物質除去モードを入れることが望ましい場合が多い。特に、感光体や中間転写体の周方向長さに対し紙が短い場合や紙間距離が多いような場合は、それだけゴムローラなどと像担持体との接触機会が多いため、重み付けを行う必要がある。
【0040】
次に、最大画像領域よりも小さい紙が連続して使用された場合、非画像部に対応する領域は付着物質がつき易くなるため、この部分を付着物質除去モードで重点を置くべき部分とする。具体的には、除去モード時のトナー量やトナー像長さによる重み付けを多く行う。
【0041】
重み付けの算出は、例えば以下のような方法を行う。
(a)像担持体とローラとの総接触距離の算出
像担持体の周方向長さに、前回除去モードを実行してからの像担持体に付着物の原因となる部材が接触した総回転数を乗じることで算出する。
(b)像担持体と紙との接触距離の算出
いろいろな紙サイズの使用履歴に対し、紙の像担持体円周方向に対する長さに、前回除去モードを実行してからの紙の使用枚数を乗じて算出する。
(c)像担持体とローラとの接触距離の算出
(a)から(b)を減算することで像担持体とローラが接触していた時間を算出する。
(d)領域別重み付けの算出
(c)を(a)で割ることで、像担持体の各領域ごとの重み付けを算出する。
【0042】
これら重み付けの算出の例として、以前に除去モードを発動させた時点からの作像状況がA3サイズを0枚・A4サイズを400枚・A5サイズを300枚・A6サイズを200枚で、その時の像担持体の総回転数が500回転だった場合を例に図6に具体的に示す。まず、(a)像担持体とローラとの総接触距離の算出は図(A)に示すように、前回からの像担持体の総回転数が500回転で、像担持体の周長が796mmのため、398000mmとなる。次に、(b)像担持体と紙との接触距離は図6(B)に示すように、A3サイズは使用枚数が0のため、0mmとなり、A4サイズは、使用枚数が400枚で紙長さが297mmのため、118800mmとなる。同様に、A5サイズ、A6サイズは、それぞれ63000mm、21000mmとなる。次に、(c)像担持体とローラとの接触距離の算出は図6(C)に示すように、まず、A4以上A3以下の領域は、像担持体とローラとの総接触距離398000mmに対して、A4以上の大きさの紙(今回の例においてはA3)と像担持体との接触距離0mmのため、398000−0=398000mmとなる。次に、A5以上A4以下の領域には、A5以上の大きさの紙(今回の例においてはA3、A4)と像担持体との接触距離は0mm、および118800mmのため、398000−0−118800=279200mmとなる。以下同様に、A6以上A5以下の領域は、398000−0−118800−63000=216200mmとなり、A6以下の領域は、398000−0−118800−63000−21000=195200mmとなる。最後に、(d)領域別の重み付けは図6(D)に示すように、(c)像担持体とローラとの接触距離を(a)像担持体とローラとの総接触距離にて割り算することにより、像担持体の各領域のローラとの接触時間に応じた重み付け値を算出する。
【0043】
最終的に、図6で示した、最終重み付けを行った結果から決定された画像パターンは図7に示すような形になる。従来は、フィルミング除去モード適用時は、このような重み付けなしにトナー画像を像担持体全面に形成していたが、この発明によれば必要最小限のトナー画像形成を行うため、図7の斜線で塗りつぶした部分の不必要なトナー消費を抑えて同等なフィルミング除去効果を生み出すことが可能となる。
【0044】
図6の例は、単純に計算した結果をそのまま適用しているが、使用された環境条件などにより補正を入れることも望ましい。
【0045】
図6,7では、紙サイズを定型サイズで集計しているが、不定型であっても計算可能である。また、重み付けの仕方も使用情報の内容により補正を入れて装置に最適化すればより効果的である。(環境条件での補正はわずかで、紙サイズによる補正がほとんどにする、あるいはその逆、など。)
【0046】
適用度の大小は、トナー像の付着量や付着させる長さにより可変させる。どちらも除去能力に影響するパラメータだが、付着量に関しては、トナーがある一定の量を超えると付着物質との接触がないままクリーニング手段に除去されるトナーの割合が高くなってくるため、除去能力はある量で一定に飽和する傾向がある。より線形に相関があるのは、絡め取るためにトナーと付着物質が接触する機会の長さ(時間)であるため、通常は、付着量は必要十分な量で一定とし、適用度に応じて付着長さを変える。
【0047】
<実施例の具体的条件>
次に、実施例のより具体的な条件について説明する。感光体ドラム101〜104としては、有機感光体(OPC)を用い、帯電ローラ201〜204によって−200〜−2000Vに一様に帯電したものに原稿の画像に対応したレーザ光を照射して光書き込みを行い静電潜像を形成する。トナーは負帯電性のものを用いてネガ−ポジ現像を行い、感光体101〜104上にトナー像を形成する。感光体101〜104のクリーニング手段としては、クリーニング部材としてのブレード部材311には、ウレタンゴムを用いた。中間転写体501としては、厚さ0.10mm、幅246mm、内周長796mmの熱硬化性樹脂からなる中間転写ベルトを用い、この中間転写ベルト501の移動速度を155mm/secに設定した。このような材質で形成した中間転写ベルト全体の体積抵抗率を測定したところ、107〜1012Ωcmであった。上記各体積抵抗率は、JISK 6911に記載されている測定方法を用い、電圧100Vを10秒間印加して測定したものである。
【0048】
また、中間転写ベルト501の表面抵抗率を、三菱油化製の抵抗測定器「ハイレスターIP」で測定したところ、109〜1014Ω/□であった。この表面抵抗率は、上記抵抗測定器を用いるほか、JISK 6911に記載されている表面抵抗測定法で測定することもできる。支持ローラ502〜508としては、直径12mm〜26mmの金属ローラもしくはゴムローラを用い、そのローラ幅は、中間転写ベルト501の蛇行を防止するために、236mmとした。また、支持ローラ509に関しては、直径12mm、幅230mmとし、他の支持ローラに比べて幅を小さくした。また、支持ローラ509に対しては、クリーニング部材としてウレタンゴムのブレード部材521を設けた。
【0049】
2次転写対向ローラ600としては、直径26mm、幅230mmのウレタン発泡樹脂からなるローラを用いた。また、2次転写のための高圧電源901に印加する電界は、トナーとして負帯電性のトナーを用いた場合は、電流0〜−100μA・電圧0〜−4kV程度の領域を使用した。付着物除去モードにおける画像形成時の帯電手段201〜204の出力は、感光体101〜104の帯電電位が−50V〜−1000Vになるように、例えば、交流電圧1000V〜4000Vに直流電圧−50V〜−1000Vを重畳した電圧を印加した。また、その際の現像手段401〜404の出力は、−50V〜−950Vとした。さらに、1次転写バイアスローラ504〜507の出力は、+200V〜+2000Vとした。これらの出力値は、トナーの帯電状況や感光体の疲労状況、1次転写バイアスローラの電気抵抗などにより上記値の範囲で調整することで、必要な画像濃度を得ることが可能である。
【0050】
次に、特許請求の範囲の請求項2以下に記載した発明の特有な効果について説明する。請求項2に記載の発明によれば、必要に応じて最小限の付着物質除去モードの適用が可能となる。また、請求項3や請求項4の発明によれば、使用した紙サイズや環境条件から、付着物質が付着した状態を推定することができ、かつその部分にのみ付着物質除去モードを適用することが可能となるため、トナー消費を抑えられるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の一実施の形態である、タンデム型中間転写方式の電子写真装置の概略図である。
【図2】同上の画像形成(作像)部分を拡大した概略図である。
【図3】同上の中間転写体クリーニング装置を拡大した概略図である。
【図4】同上の感光体クリーニング手段を拡大した概略図である。
【図5】付着物質除去モードを適用したときの作用説明図である。
【図6】重み付けの算出の一例を示す図面である。
【図7】重み付けの算出の結果から、付着物質除去モード時の画像に重み付けを行った一例を示す図面である。
【符号の説明】
【0052】
1 タンデム画像形成装置
2 書き込み光学装置
3 給紙テーブル
4 搬送・反転装置
5 定着装置
501 中間転写体
520 中間転写体クリーニング装置
101〜104 感光体
301〜304 感光体クリーニング手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上の不要トナーを除去するための像担持体クリーニング手段とを備え、前記像担持体上に形成したトナー像を紙などの転写材に転写することなく像担持体クリーニング手段により除去することにより、像担持体上の付着物質を除去するように動作する画像形成装置において、
前記動作時に像担持体上に形成するトナー像のパターン形状を、装置の使用状況に関連する所定の情報に基づき変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、該像担持体上の不要トナーを除去するための像担持体クリーニング手段とを備え、前記像担持体上に形成したトナー像を紙などの転写材に転写することなく像担持体クリーニング手段により除去することにより、像担持体上の付着物質を除去するように動作する画像形成装置において、
前記動作の頻度を所定の情報に基づき変化させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置において、所定の情報は、画像形成装置が使用した用紙サイズの集計から算出されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、所定の情報は、画像形成装置が使用された温湿度条件であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−171429(P2007−171429A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367415(P2005−367415)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】