説明

画像形成装置

【課題】外部装置からの信号を検出して起動する電源回路を搭載した画像形成装置において、外部装置からの信号を検出できなくなった場合でも、自立動作が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ100は、USBケーブル31を介して接続されたPC30から5Vの起動電圧が入力されて制御側電源42,43と駆動側電源45,46とを起動用リレースイッチ49a,49bを介して起動させる画像形成装置であって、インクジェットプリンタ100の各種電源42,43,45,46を起動させた際に、起動用リレースイッチ49aに対して5Vの起動電圧を印加する自己保持回路40aを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パソコン等の外部接続装置から信号を受信して電源のON/OFFを行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(以下、PCと示す)と接続されており、PCから電源ON信号を受信して、内部の電源回路によって装置を起動させる画像形成装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、PC等の外部装置から入力される信号を検出して、主電源回路を動作させる電源制御部を備えた電源装置が開示されている。
【0003】
これによれば、省電力状態からの復帰を円滑に行うとともに、省電力動作状態における消費電力を必要最小限に抑えることができる。
【特許文献1】特開2005−57500号公報(平成17年3月3日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電源装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された電源装置では、省電力モードにおける消費電力の抑制等に関しては有効であるものの、例えば、外部装置と主装置とを接続するUSBケーブルが抜けてしまった場合や、外部装置の方が先にシャットダウンしてしまった場合等についての対策については、特に考慮されていない。このため、PC等の外部装置から信号を検出できなくなって、主装置側において自立して動作することができなくなってしまう。
【0005】
本発明の課題は、外部装置からの信号を検出して起動する電源回路を搭載した画像形成装置において、外部装置からの信号を検出できなくなった場合でも、自立動作が可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る画像形成装置は、外部装置から入力される信号を受信して電源回路において起動処理を行う画像形成装置であって、制御系電源回路と、駆動系電源回路と、制御部と、自己保持回路と、を備えている。制御系電源回路は、制御ユニットに対して電力を供給する。駆動系電源回路は、駆動ユニットに対して電力を供給する。制御部は、外部装置から信号を受信して、外部装置側から供給される駆動電圧によって制御系電源回路および駆動系電源回路をリレー駆動する。自己保持回路は、制御部によってリレー駆動された後、制御系電源回路および駆動系電源回路に対して駆動電圧を印加する。
【0007】
ここでは、例えば、PC等の外部装置からUSBケーブル等を通じて入力された信号(コマンド)を受信して、外部装置側から制御系電源回路および駆動系電源回路に対してリレー駆動電圧が印加されて起動する画像形成装置において、制御系電源回路および駆動系電源回路がリレー駆動されて起動した後には、上記各電源回路に対して自己保持回路から駆動電圧が印加される。
これにより、起動した後で、外部装置との接続が断たれたり、外部装置の電源がオフされたりした場合でも、画像形成装置側において自立して駆動を継続させることができる。
【0008】
第2の発明に係る画像形成装置は、外部装置から入力される信号を受信して電源回路において起動処理を行う画像形成装置であって、制御系電源回路と、駆動系電源回路と、制御部と、信号監視部と、を備えている。制御系電源回路は、制御ユニットに対して電力を供給する。駆動系電源回路は、駆動ユニットに対して電力を供給する。制御部は、外部装置から信号を受信して、外部装置側から供給される駆動電圧によって制御系電源回路および駆動系電源回路をリレー駆動する。信号監視部は、外部装置から供給される駆動電圧の有無を検出する。
【0009】
ここでは、例えば、PC等の外部装置からUSBケーブル等を通じて入力された信号(コマンド)を受信して、外部装置側から制御系電源回路および駆動系電源回路に対してリレー駆動電圧が印加されて起動する画像形成装置において、制御系電源回路および駆動系電源回路がリレー駆動されて起動した後には、上記各電源回路に対して供給される駆動電圧の印加状況を監視する。
【0010】
これにより、外部装置からの駆動電圧の印加状況を監視することで、例えば、PC等の外部装置と画像形成装置との接続を行うUSBケーブル等が抜けてしまったり、画像形成装置のシャットダウンよりも先に外部装置側の電源が落とされたりして外部装置との接続が断たれたことを、画像形成装置側において容易に認識することができる。この結果、外部装置との接続が断たれた場合には、そのまま電源がオン状態のままとなることなく、自発的にシャットダウンする措置を採る等の制御を行うことができる。
【0011】
第3の発明に係る画像形成装置は、第1の発明に係る画像形成装置であって、外部装置から入力される信号の有無を検出する信号監視部を、さらに備えている。
ここでは、制御系電源回路および駆動系電源回路がリレー駆動されて起動した後には、上記各電源回路に対して供給される駆動電圧の印加状況を監視する。
これにより、制御系電源回路および駆動系電源回路に対して駆動電圧を印加する自己保持回路を備えた画像形成装置において、外部装置からの駆動電圧の印加状況を監視することで、例えば、PC等の外部装置と画像形成装置との接続を行うUSBケーブル等が抜けてしまったり、画像形成装置のシャットダウンよりも先に外部装置側の電源が落とされたりして外部装置との接続が断たれたことを、画像形成装置側において容易に認識することができる。この結果、外部装置との接続が断たれた場合には、そのまま電源が自己保持回路のよってオン状態で維持されたままで放置されることなく、自発的にシャットダウンする措置を採る等の制御を行うことができる。
【0012】
第4の発明に係る画像形成装置は、第2または第3の発明に係る画像形成装置であって、制御部は、信号監視部において駆動電圧が検出されなくなると、自発的に電源オフの処理を行う。
ここでは、信号監視部において、外部装置との接続が断たれたことを検出すると、自発的にシャットダウン動作に入るように制御を行う。
【0013】
これにより、PC等のような外部装置からの信号(コマンド)を受信して各種動作を行う画像形成装置において、画像形成装置の電源を切る前に外部装置の電源がオフ状態になったり、USBケーブル等が外れて外部装置からの信号を受信できなくなったりした場合でも、自ら電源を落として終了することができる。この結果、電源が入ったままの状態で長時間放置されることを回避することができる。
【0014】
第5の発明に係る画像形成装置は、第1の発明に係る画像形成装置であって、印画紙に対してインクを吐出するインクヘッドと、インクヘッドの待機位置においてインクヘッドにおけるインクを吐出する部分を覆うキャップ部材と、をさらに備えている。
ここでは、インクヘッドからインクを吐出して画像形成を行うインクジェットプリンタに対して、本発明を適用している。
【0015】
これにより、例えば、画像形成装置のシャットダウンをする前にPC等の外部装置が強制終了してしまった場合でも、自己保持回路によって継続して画像形成装置を動作させることができる。この結果、外部装置の強制終了とともに画像形成装置の電源も落ちてしまった結果、インクジェットプリンタのインクヘッドがキャップの位置に収まっていない状態のまま長時間放置されてインク詰まりを発生させる等の不具合の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る画像形成装置によれば、起動した後で、外部装置との接続が断たれたり、外部装置の電源がオフされたりした場合でも、画像形成装置側において自立して駆動を継続させることができる。
第2の発明に係る画像形成装置によれば、外部装置との接続が断たれた場合には、そのまま電源がオン状態のままとなることなく、自発的にシャットダウンする措置を採る等の制御を行うことができる。
【0017】
第3の発明に係る画像形成装置によれば、外部装置との接続が断たれた場合には、そのまま電源がオン状態のままで放置されることなく、自発的にシャットダウンする措置を採る等の制御を行うことができる。
第4の発明に係る画像形成装置によれば、電源が入ったままの状態で長時間放置されることを回避することができる。
【0018】
第5の発明に係る画像形成装置によれば、インクジェットプリンタのインクヘッドがキャップの位置に収まっていない状態のまま長時間放置されてインク詰まりを発生させる等の不具合の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(画像形成装置)100について、図1〜図4を用いて説明すれば以下の通りである。
[インクジェットプリンタ100の構成]
インクジェットプリンタ100は、図1に示すように、外部装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、PCと示す。)30に対して、USBケーブル31を介して接続されており、その内部に搭載された様々な機構によって、セットされているペーパー(印画紙)Pに対してインクを吐出させて印画を行う。
【0020】
インクジェットプリンタ100は、筺体15と、マガジン21と、プリント部200と、インク貯留部210と、を備えている。
筐体15は、上部に排出口19と、排紙トレイ18とを有している。排出口19は、ペーパーPをインクジェットプリンタ100の外部へ排出する。排紙トレイ18は、排出口19から排出されたペーパーPを受け止める。
【0021】
マガジン21は、筐体15の下部に2つ配置されており、印画面が外側となるように巻回されているロール状のペーパーPを保持する。
プリント部200は、筐体15内の上中央部に配置され、ペーパーPに対して画像データの印画を行う。プリント部200は、ペーパーPに対してインクを吐出して画像を形成するために、各色ごとにプリントヘッド(インクヘッド)4a(図2参照)等を備えている。
【0022】
インク貯留部210は、印画処理の際に吐出されるインクを貯留する。ここでは、扉15a内に、色相が互いに異なるインクカートリッジ23(図2に示すインクカートリッジ23C,23M,23Y,23K)が挿抜できるように収容されている。これらのインクカートリッジ23には、例えば、シアン(C)、マジェンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)等のインクが封入されている。各インクカートリッジ23は、封入されているインクが全て消費されると、新しいインクカートリッジ23に交換される。なお、扉15aは、鉛直方向に延びる軸心を中心に開閉可能な状態で筐体15に対して取り付けられている。
【0023】
[プリント部200の構成]
プリント部200は、図2に示すように、主として、搬送部2と、2本のレール3と、キャリッジ4と、プラテン5と、コントロールユニット6とから構成される。
搬送部2は、マガジン21(図1参照)から引き出されたペーパーPの搬送を行う。具体的には、プリント部200に対してペーパーPの搬送方向上流側および下流側に配置されるローラ対25,26によって、ペーパーPの搬送が行われる。
【0024】
ローラ対25は、2つのローラ間にペーパーPを挟み込むように構成されており、一方のローラ側が反時計回りに回転することでペーパーPを下流側に搬送する。
ローラ対26では、印画処理の終了したペーパーPを2つのローラ間にガイドし、ペーパーPをさらに下流側へと搬送する。各ローラは、その軸心方向がペーパーPの搬送方向に対して直角に交差するように配置される。
【0025】
2本のレール3は、図2に示すように、ペーパーPの搬送方向に対して交差方向において、互いに略平行となるように配置される。ここでは、レール3は、キャリッジ4を貫通している。
キャリッジ4は、図2に示すように、略直方体に凸部を設けた形状であり、凸部の底面にペーパーPに印画を施すプリントヘッド4aを有している。キャリッジ4は、その長手方向がペーパーPの搬送方向に対して直交方向に向くように配置され、さらに凸部の底面がペーパーPに対向するようにレール3に対して摺動可能に取り付けられる。さらに、キャリッジ4のプリントヘッド4aの部分には、インクをペーパーPに対して吐出するノズル(図示せず)が含まれている。キャリッジ4の上面には、両端開口状態の突筒部10が突設されている。各突筒部10の片方の開口端は、チューブ9C,9M,9Y,9Kを介してインク貯留部210のインクカートリッジ23C,23M,23Y,23Kにそれぞれ接続される。また、他方の開口端は、プリントヘッド4aのノズルに連通している。
【0026】
プリントヘッド4aは、上記各色のインクそれぞれに対応するように仕切られた空間、および各色のインクが吐出されるノズルを複数有している。上記空間は、キャリッジ4の長手方向に並んでいる。インクの吐出は、図示しない吐出手段によって行われる。ここで、吐出手段としては、例えば、ノズルから所定量でかつ適正なタイミングでインクを吐出させるピエゾ素子等の圧電素子を用いることができる。圧電素子は、電圧が印加されることにより、プリントヘッド4a内のインクをノズルに向けて押し出すように構成されている。さらに、プリントヘッド4aは、印字を行う時以外には、待機位置へと移動して、インクを吐出するノズル部分を覆うためのキャップ4bによって保護される。
【0027】
ノズルは、片方の開口端が、平面状のプリントヘッド4aの底面に一致するように構成されている。また、ノズルの他方の開口端は、突筒部10の内穴から分岐した複数の図示しない接続穴にそれぞれ接続されており、ノズルが接続穴を介して突筒部10と連通するように構成されている。これにより、各チューブから供給されてくるインクを複数のノズルから吐出できるようになっている。キャリッジ4の長手方向には、各色のインクに対応したノズル列が形成され、各ノズル列はノズルを複数有している。印画処理においてインクを吐出する際には、ノズルは、コントロールユニット6によってペーパーPに対して突出するように制御される。
【0028】
プラテン5は、キャリッジ4およびプリントヘッド4aに対向する位置に配置されている。搬送されてくるペーパーPは、印画を行う際に、プラテン5におけるプリントヘッド4aに対向するプラテン面に沿うように搬送される。
コントロールユニット6は、図2に示すように、搬送部2、レール3、プリントヘッド4a等にそれぞれ接続されており、これらに対して供給・停止などの制御指示を行う。また、コントロールユニット6は、電源回路40と接続されており、制御系および駆動系の電力が電源回路40から供給される。なお、本実施形態のインクジェットプリンタ100に搭載された電源回路40の構成については、後段にて詳述する。
【0029】
[プリント部200の動作説明]
インクジェットプリンタ100のプリント部200は、ペーパーPの搬送方向に直交する方向に移動するキャリッジ4を走査して1行分の画像を印画した後、ペーパーPを一行分搬送して停止させる。続いて、次の行の画像を同様に印画し、さらに同様の搬送動作を繰り返しながら画像形成を行い、印画処理を終了する。この印画処理において高品質な画像を得るためには、プリントヘッド4aに搭載されているノズルから、インクをペーパーPの所定の位置に正確に吹き付ける必要がある。
【0030】
まず、マガジン21から引き出されたペーパーPは、搬送部2のローラ対25によって、搬送方向下流側のプリント部200におけるプリントヘッド4aとプラテン5との間隙に搬送される。また、ローラ対25は、ペーパーPの厚みによるこしの特性により、そのままプラテン5の面に沿って所定のプラテンギャップを維持しながらペーパーPを搬送していく。
【0031】
ペーパーPの印画箇所がプラテン面のほぼ中央部分に到達すると、キャリッジ4は連続的にレール3上を往復運動する。その際、インクカートリッジ23からチューブ9C,9M,9Y,9Kを介してプリントヘッド4aに供給されたインクが、図示しない吐出手段の動作によって、ノズルからペーパーPに向けて吐出される。続いて、搬送部2が、プリントヘッド4aの往復タイミングに対応してペーパーPを搬送する。これにより、ライン状の印画が連続状態となって面状となり、ペーパーPにおける印画面(プリントヘッド4aと対向する面)に画像が形成される。
【0032】
印画が終了すると、ペーパーPはプラテン面に沿ってさらに搬送されていき、ローラ対26において、ローラ間に挟みこまれ、下流側に押し出される。その後、カッターによって所定のサイズにカットされる。
そして、プリントヘッド4aは、印画が終了すると、レール3に沿って所定の待機位置へ移動し、この待機位置においてキャップ4bによってノズル部分が覆われて保護される。
【0033】
[電源回路40の構成]
本実施形態のインクジェットプリンタ100では、上述したように、USBケーブル31を介して接続されたPC30からVbusラインによって5VのVbus電圧を印加されて駆動する電源回路40を搭載している。
電源回路40は、図3に示すように、自己保持回路40a、Vbus信号検出部(信号監視部)40b、CPU(制御部)41、制御側電源(制御系電源回路)42,43、インターロック用電源44、駆動側電源(駆動系電源回路)45,46、AC電源47、インターロックリレースイッチ48a,48b、起動用リレースイッチ49a,49bおよびインターロックスイッチ50を備えている。
【0034】
自己保持回路40aは、USBケーブル31のVbusライン経由でPC30側から供給される5Vの起動電圧によって電源回路40が起動した後でローカル電源として5Vの起動電圧を起動用リレースイッチ49aに対して印加する5V電源40aaを有している。これにより、インクジェットプリンタ100を起動した後で、インクジェットプリンタ100側およびPC30側のいずれかにおいてUSBケーブル31が抜けおちたり、PC30が先にシャットダウンしてしまったりした場合でも、インクジェットプリンタ100の動作を保持することができる。このため、上述した印画処理中にプリントヘッド4aが待機位置に戻らない状態で放置された結果、ノズル部分においてインクが詰まってしまう等の不具合の発生を効果的に防止することができる。
【0035】
Vbus信号検出部40bは、起動用リレースイッチ49aと並列関係になるように配置されたダイオード等の電流検出器であって、USBケーブル31(Vbusライン)を介してPCから印加されるVbus信号(5Vの駆動電圧)の有無を検出して、CPU41に対して送信する。
CPU41は、Vbus信号検出部40bから受信したVbus信号の有無に応じて、インクジェットプリンタ100の動作、つまり電源回路40からの電力供給を保持するか否かを決定する。具体的には、PC30から印加されるVbus信号を受信している場合には、CPU41はそのままインクジェットプリンタ100の動作(電源回路40からの電力供給)を保持する。一方、PC30からのVbus信号を受信しなくなった場合には、CPU41は自発的にインクジェットプリンタ100をシャットダウンさせるように終了モードへ移行する。このように、Vbus信号が検出されなくなった場合には自らシャットダウン動作に入るように制御することで、USBケーブル31の抜け落ち等に起因してPC30側との接続が断たれた場合でも、インクジェットプリンタ100が電源ON状態のままで長時間放置されることを回避することができる。
【0036】
制御側電源42,43は、制御系回路に対して電力を供給するための、それぞれ5V、42Vの電源であって、PC30からVbus信号、つまり5Vの起動電圧が印加されて起動用リレースイッチ49a,49bが作動すると、AC電源47から電力供給を受けて起動する。
インターロック用電源44は、上述した制御用電源43の下流側に配置されており、後述するインターロックスイッチ50と接続されている。
【0037】
駆動側電源45,46は、駆動系回路に対して電力を供給するための、それぞれ24V、36Vの電源であって、PC30からVbus信号、つまり5Vの起動電圧が印加されて起動用リレースイッチ49a,49bが作動すると、AC電源47から電力供給を受けて起動するとともに、インターロックリレースイッチ48a,48bが機能すると、AC電源47からの電力供給が停止する。
【0038】
AC電源47は、上述した制御系および駆動系電源42,43,45,46に対してそれぞれ電力を供給する。
インターロックリレースイッチ(X1)48a,48bは、インターロックスイッチ50の下流側、および駆動系電源回路側における駆動側電源45,46とAC電源47との間にそれぞれ配置されている安全スイッチである。そして、インターロックリレースイッチ48a,48bは、インクジェットプリンタ100の筐体15の扉15aが開けられること等によりインターロックスイッチ50が作動すると、インターロックリレースイッチ48a(X1)に電流が流れなくなってインターロックリレースイッチ48bがOFF状態となり、駆動側電源45,46に対するAC電源47からの電力供給を停止させる。
【0039】
起動用リレースイッチ(X2)49a,49bは、PC30と接続されたUSBケーブル31が接続されるUSBポートと上述したCPU41との間、およびAC電源47と制御側電源42,43との間にそれぞれ配置されている。そして、起動用リレースイッチ49a,49bは、PC30から印加される5Vの起動電圧としてのVbus信号を受信すると、起動用リレースイッチ(X2)49aに電流が流れて起動用リレースイッチ49bがON状態となり、AC電源47から制御側・駆動側電源42,43,45,46に対してそれぞれ電力が供給される。
【0040】
インターロックスイッチ50は、インターロックリレースイッチ48a,48bを作動させるためのスイッチであって、例えば、インクジェットプリンタ100の筐体15の扉15a等を開けた際に作動するマグネットリードスイッチ(近接センサ)である。例えば、インクジェットプリンタ100の筐体15の扉15aが開けられると、インターロックスイッチ50が作動してOFF状態となり、インターロックスイッチ48aに電流が流れなくなってインターロックリレースイッチ48bがOFF状態となり、駆動側電源45,46への電力供給を停止する。
【0041】
<電源回路40における起動動作および終了動作>
本実施形態のインクジェットプリンタ100では、図4に示すフローチャートに従って、起動動作と終了動作とが行われる。
すなわち、ステップS1においては、まず、USBケーブル31を介してPC30と接続されると、PC30から5Vの起動電圧が印加される。
【0042】
ステップS2においては、この起動電圧の印加により、起動用リレースイッチ49aに電流が流れて起動用リレースイッチ49bをON状態へ移行させる。
さらに、ステップS3においては、起動電圧の印加により、Vbus信号検出部40bにおいてVbus電圧を検出し、この検出結果がCPU41へと送られる。
一方、上述した起動用リレースイッチ49bがON状態へと移行したことにより、ステップS4においてAC電源47から供給される電力によって、ステップS5において、制御側電源42,43およびインターロック用電源44、駆動側電源45,46が起動される。
【0043】
なお、このとき、駆動側電源45,46の上位側に配置されたインターロックリレースイッチ48bはON状態となっている。そして、インクジェットプリンタ100の筐体15の扉15aが開けられること等に起因してインターロックスイッチ50が作動すると、インターロックリレースイッチ48aを介してインターロックリレースイッチ48bがOFF状態へと移行することで、AC電源47から駆動側電源45,46への電力供給が停止される。
【0044】
ここで、PC30からの5Vの起動電圧の供給を行うUSBケーブル31が、何らかの原因でPC30側あるいはインクジェットプリンタ100側の差込口から抜けてしまった場合や、PC30がインクジェットプリンタ100へ終了コマンドを送信する前にシャットダウンしてしまった場合には、PC30からUSBケーブル31を介しての起動電圧の供給はストップしてしまう。
【0045】
このとき、本実施形態のインクジェットプリンタ100では、起動用リレースイッチ49aに対して5Vの電圧を印加する5V電源40aaを含む自己保持回路40aを電源回路40内に有している。
これにより、何らかの原因によってPC30から5Vの起動電圧の供給が停止した場合でも、自己保持回路40aから5Vの電圧が供給されることで、インクジェットプリンタ100の動作を保持することができる。よって、例えば、インクジェットプリンタ100における印画処理中にPC30からの起動電圧の供給が停止した場合でも、そのまま印画処理を継続して印画処理が完了してからプリントヘッド4aをキャップ4bがある待機位置へと移動させることができる。この結果、インクジェットプリンタ100において印画処理中にPC30からの起動電圧の供給が停止して、プリントヘッド4aがキャップ4bのある待機位置まで戻らないまま長時間放置されたために、ノズルにおいてインクが詰まってしまう等の不具合の発生を回避することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、ステップS6において、CPU41がVbus信号検出部40bを介して5V起動電圧の(Vbus信号)の入力の有無を監視している。
これにより、PC30から5Vの起動電圧の供給が停止した場合には、ステップS7において、自己保持回路40aから供給される5Vの電圧によってインクジェットプリンタ100の動作が保持される。なお、自己保持回路40aから供給される5Vの電圧については、Vbus信号が検出されなくなってから印加されるものではなく、Vbus信号によってインクジェットプリンタ100が起動された時からVbus信号と平行して、起動用リレースイッチ49aに対して5Vの電圧を印加し続けているものとする。
【0047】
そして、ステップS8およびステップS9において、CPU41が、インクジェットプリンタ100における印画処理状況等を確認した上で、ステップS10において、自発的に終了動作に入るように制御を行うことができる。よって、インクジェットプリンタ100における印画処理が完了してプリントヘッド4aが待機位置へ戻った後で、自発的に終了動作に入ることで、ノズル部分におけるインク詰まりの発生を回避しつつ、長時間インクジェットプリンタ100が電源ON状態で操作不能なまま放置されることを防止することができる。
【0048】
[インクジェットプリンタ100の特徴]
(1)
本実施形態のインクジェットプリンタ100は、図3に示すように、USBケーブル31を介して接続されたPC30から5Vの起動電圧が入力されて制御側電源42,43と駆動側電源45,46とを起動用リレースイッチ49a,49bを介して起動させる画像形成装置であって、インクジェットプリンタ100の各種電源42,43,45,46を起動させた際に、起動用リレースイッチ49aに対して5Vの起動電圧を印加する自己保持回路40aを備えている。
【0049】
これにより、USBケーブル31が抜けたり、インクジェットプリンタ100に終了コマンドを送信する前にPC30がシャットダウンしてしまったりして、USBケーブル31を介して起動電圧や動作コマンドが入力されない状態となった場合でも、自己保持回路40aの5V電源40aaから起動用リレースイッチ49aに対して5Vの電圧が印加されているため、インクジェットプリンタ100の動作を保持することができる。
【0050】
(2)
本実施形態のインクジェットプリンタ100では、図3に示すように、USBケーブル31を介して接続されたPC30から5Vの起動電圧が入力されて制御側電源42,43と駆動側電源45,46とを起動用リレースイッチ49a,49bを介して起動させる画像形成装置であって、PC30からUSBケーブル31を介して5Vの起動電圧が印加され続けているか否かを監視するために、Vbus信号検出部40bを備えている。
【0051】
これにより、USBケーブル31が抜けたり、インクジェットプリンタ100に終了コマンドを送信する前にPC30がシャットダウンしてしまったりして、USBケーブル31を介して起動電圧や動作コマンドが入力されない状態となった場合でも、インクジェットプリンタ100側においてこの状況を容易に認識することができる。この結果、PC30からの指示入力が送信されなくなったことを認識することで、電源が入った状態のまま動作不能となることなく、自発的にシャットダウン動作に移行する等のその後の措置を採ることが可能になる。
【0052】
(3)
本実施形態のインクジェットプリンタ100では、Vbus信号検出部40bにおいてVbus信号が検出されなくなると、図4に示すように、CPU41が、自発的に終了モードへ移行してインクジェットプリンタ100のシャットダウンを行う。
これにより、Vbus信号の未検出によってUSBケーブル31が差込み口から抜けてしまったこと等によりPC30からの動作コマンドを受信できない状態になった場合でも、そのまま電源ONの状態で操作不能なまま放置されることを防止して、自発的にシャットダウン動作に入ることができる。
【0053】
(4)
本実施形態のインクジェットプリンタ100は、ペーパーPに対してプリントヘッド4aのノズルからインクを吐出して印画処理を行うとともに、印画処理が完了した後には、プリントヘッド4aを待機位置へ戻してノズル部分をキャップ4bによって覆っている。
これにより、上述したように、インクジェットプリンタ100では、USBケーブル31が差込み口から抜ける等してPC30からの起動電圧や操作コマンド等が受信できなくなった場合には、自己保持回路40aから自律動作用の5V電圧を起動用リレースイッチ49aに対して印加する自己保持機能を有していることから、インクジェットプリンタ100における印画処理中にPC30からのVbus信号が断たれても、印画処理を継続させることができる。この結果、PC30からのVbus信号を受信できなくなったことでプリントヘッド4aが待機位置以外の場所で停止してしまうことを防止することができるため、プリントヘッド4aのノズル部分におけるインク詰まりの発生を防止することができる。
【0054】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、インクジェットプリンタ100に搭載された電源回路40に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、インクジェットプリンタ以外にも、露光処理および現像処理によって画像形成を行う写真処理装置等を含む各種画像形成装置に搭載される電源回路に対しても、本発明を適用することは当然に可能である。
(B)
上記実施形態では、外部装置としてPC30を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
例えば、PC以外にも、インクジェットプリンタ等の画像形成装置に対して、指示入力を行う外部装置を用いることもできる。
(C)
上記実施形態では、外部装置としてのPC30とインクジェットプリンタ100との間をUSBケーブル31によって接続した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
USBケーブル以外にも、例えば、IEEE1394ケーブルやLANケーブル等を介してPCとインクジェットプリンタとを接続し、起動電圧や各種動作信号を入力するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の画像形成装置は、外部装置との接続が断たれたり、外部装置の電源がオフされたりした場合でも、画像形成装置側において自立して駆動を継続させることができるという効果を奏することから、外部からの指示入力に応じて起動、動作を行う各種装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係るプリント部を備えたインクジェットプリンタの外観斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係るプリント部とその周辺の構成を示す図。
【図3】図1のインクジェットプリンタに搭載された電源回路の構成を示す回路図。
【図4】図3の電源回路における起動、終了動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0060】
2 搬送部
3 レール
4 キャリッジ
4a プリントヘッド(インクヘッド)
4b キャップ
5 プラテン
6 コントロールユニット
10 突筒部
15 筐体
15a 扉
18 排紙トレイ
19 排出口
21 マガジン
23 インクカートリッジ
25,26 ローラ対
30 パーソナルコンピュータ(PC)
31 USBケーブル
40 電源回路
40a 自己保持回路
40aa 5V電源
40b Vbus信号検出部(信号監視部)
41 CPU(制御部)
42,43 制御側電源(制御系電源回路)
44 インターロック用電源
45,46 駆動側電源(駆動系電源回路)
47 AC電源
48a,48b インターロックリレースイッチ
49a,49b 起動用リレースイッチ
50 インターロックスイッチ
100 インクジェットプリンタ(画像形成装置)
200 プリント部
210 インク貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から入力される信号を受信して電源回路において起動処理を行う画像形成装置であって、
制御ユニットに対して電力を供給する制御系電源回路と、
駆動ユニットに対して電力を供給する駆動系電源回路と、
前記外部装置から前記信号を受信して、前記外部装置側から供給される駆動電圧によって前記制御系電源回路および前記駆動系電源回路をリレー駆動する制御部と、
前記制御部によってリレー駆動された後、前記制御系電源回路および前記駆動系電源回路に対して前記駆動電圧を印加する自己保持回路と、
を備えている画像形成装置。
【請求項2】
外部装置から入力される信号を受信して電源回路において起動処理を行う画像形成装置であって、
制御ユニットに対して電力を供給する制御系電源回路と、
駆動ユニットに対して電力を供給する駆動系電源回路と、
前記外部装置から前記信号を受信して、前記外部装置側から供給される駆動電圧によって前記制御系電源回路および前記駆動系電源回路をリレー駆動する制御部と、
前記外部装置から供給される前記駆動電圧の有無を検出する信号監視部と、
を備えている画像形成装置。
【請求項3】
前記外部装置から入力される前記信号の有無を検出する信号監視部を、
さらに備えている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記信号監視部において前記駆動電圧が検出されなくなると、自発的に電源オフの処理を行う、
請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印画紙に対してインクを吐出するインクヘッドと、
前記インクヘッドの待機位置において前記インクヘッドにおけるインクを吐出する部分を覆うキャップ部材と、
をさらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−268959(P2007−268959A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100235(P2006−100235)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】