説明

画像形成装置

【課題】基準位置を検出するための手段が中間転写体上にない画像形成装置においても、中間転写体の位置を高速に決定することができるようにする。
【解決手段】潜像形成手段のポリゴンモータ205を回転させる。回転が安定すると、レーザー206を照射する。現像手段で現像バイアス207を印加し、中間転写手段で一次転写バイアス204を印加して、中間転写ベルト上に画像を形成する。中間転写ベルト上の画像を、表面情報検知手段の表面情報検知センサ203で検知し、EEPROM202へ記憶する。中間転写体の回転中に検知された特徴点を、記憶してある特徴点情報と比較して、中間転写体の位置を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機などの画像形成装置に関し、特に、AIOカートリッジや中間転写ベルトなどの像担持体上に画像を形成し、その画像を転写材に転写する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、中間転写ベルトとして中抵抗あるいは高抵抗の無端ベルトを使用している。互いに並行に配置された複数のローラにより中間転写ベルトを張り、ローラを回転駆動させることにより中間転写ベルトを走行させている。この中間転写ベルトを用いた画像形成装置では、ジャム発生時の回復処理の際に、転写紙との摩擦などにより中間転写ベルト表面上に傷がつくことがある。また、中間転写ベルトに接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードに付着した異物などによっても、傷がついてしまうことがある。そのため、転写紙に転写される画像にも傷がついてしまい、画像不良を起こすことがある。
【0003】
また、画像形成装置をしばらくの間使用しない場合、中間転写体を張架するローラによって中間転写ベルトにカール癖がつくことがある。また、経時変化でひび割れが発生して、抵抗値が他の部分と異なる欠陥部が生じることがある。このような中間転写ベルトの変形や欠陥により、色合いが不正常になる転写不良を起こすことがある。また、中間転写ベルト上に画像パターンを形成し、その画像パターンにより各色の色合せや濃度補正を行う装置においては、傷上に画像パターンを形成してしまうことで、正常な補正結果が得られないことがある。
【0004】
このようなことを回避するために、中間転写ベルト上の基準となる位置に基準パターンを設け、その基準位置から傷などの欠陥位置までの相対的な位置関係を把握することで、欠陥位置を避けるか欠陥による影響を小さくすることが行われている。つまり、中間転写ベルト上に基準位置を設け、その基準位置から中間転写ベルト表面上の欠陥位置を把握し、欠陥位置を避けて画像形成をしている。以下に、これに関連する従来技術の例をあげる。
【0005】
特許文献1に開示された「画像形成装置」は、中間転写体に傷等の付けられた欠陥位置が発生しても、中間転写体の欠陥位置以外の領域を使用するようにして、中間転写体の寿命が長く、低コストで、高品質の画像形成を行うことが出来るものである。潜像担持体に形成された静電潜像を、現像器でトナー像化する。異なる色のトナー像を中間転写体に転写して順次重ね合わせる。中間転写体の基準位置を検出する。検出した基準位置を基準として、潜像担持体に形成された静電潜像に対する中間転写体の相対位置を、中間転写体の表面に形成された欠陥部の位置情報により制御する。欠陥位置情報は、入力手段から入力しておく。
【特許文献1】特開平10-115966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の中間転写ベルトの欠陥回避方法では、次のような問題がある。中間転写ベルトの基準位置を決定するために、基準パターンを設けることが必要であり、コストが高くなる。また、中間転写ベルトの位置の判断開始時に基準パターンがセンサから遠くにあるほど、判断に時間がかかる。
【0007】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、基準位置を検出するための手段が中間転写体上にない画像形成装置においても、中間転写体の位置を高速に決定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では、画像形成装置を、潜像担持体と、潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像担持体上の潜像を現像して画像を形成する現像手段と、潜像担持体上の画像を中間転写体に転写する中間転写手段と、中間転写体上にレーザーを照射したときの反射光により中間転写体の表面状態を検知して表面情報を取得する表面検知手段と、中間転写体の表面情報から特徴点情報を生成する特徴取得手段と、予め生成した基準特徴点情報を保持する特徴点記憶手段と、稼動中に取得した測定特徴点情報と基準特徴点情報とを比較する比較手段と、比較結果に基づいて中間転写体の位置を判断する位置判断手段とを具備する構成とした。
【0009】
また、中間転写体が着脱されたことを検知する着脱検知手段と、着脱検知に応じて中間転写体の表面状態を検知しなおして基準特徴点情報を再度生成するように制御する手段とを備える。画像形成の前処理において表面情報検知手段の感度を調整する際に、中間転写体の表面状態を検知して基準特徴点情報を生成するように制御する手段を備える。基準特徴点情報に基づいて中間転写体の交換の必要性を判断する手段を備える。表面状態を検知する際に中間転写体の回転速度を調整する手段を備える。
【0010】
また、特徴取得手段に、特徴点間の距離を計測して基準特徴点間距離と測定特徴点間距離を生成する手段を備え、特徴点記憶手段に、直前の特徴点からの距離を基準特徴点間距離として保持する手段を備え、比較手段に、基準特徴点間距離と測定特徴点間距離とを比較する手段と、測定特徴点間距離と最も近い基準特徴点間距離をもつ基準特徴点を対応特徴点として選択する手段とを備え、位置判断手段に、測定特徴点が対応特徴点であるとして中間転写体の位置を判断する手段を備える。測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、中間転写体の表面状態を検知しなおして基準特徴点情報を再度生成するように制御する手段を備える。または、測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、距離誤差が閾値より小さくなる特徴点を検知するまで計測を繰り返すように制御する手段を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成したことにより、基準パターンを設けることなく、高速かつ正確に低コストで中間転写体の位置を判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図10を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
本発明の実施例は、中間転写体の特徴点情報を、記憶してある特徴点情報と比較して、中間転写体の位置を判断する画像形成装置である。
【0014】
図1は、本発明の実施例における画像形成装置の構成を示す概念図である。図1において、シート104は、印刷用紙である。中間転写ベルト105は、エンドレスのベルトである。AIOカートリッジ106は、各色の画像をそれぞれ形成する手段である。二次転写駆動ローラ107は、中間転写ベルトの駆動手段である。転写ベルトテンションローラ108は、中間転写ベルトの支持手段である。感光体109は、静電潜像が形成されるドラムである。帯電器110は、感光体を帯電させる手段である。露光器111は、感光体を露光する手段である。現像器112は、感光体をトナーで現像する手段である。クリーナーブレード113は、不要なトナーを除去する手段である。レーザー光114は、露光光である。一次転写ローラ115は、トナー像を中間転写ベルト上に転写する手段である。二次転写ローラ116は、トナー像をシートに転写する手段である。TMセンサ117は、中間転写ベルトの表面情報を取得する手段である。
【0015】
図2は、画像形成装置の基本的なシステム構成を示す概念図である。図2において、表面情報検知センサ203は、中間転写ベルト上の画像を検知するセンサである。一次転写バイアス204は、トナー像を転写するためのバイアスである。ポリゴンモータ205は、ポリゴンミラーを回転させるモータである。レーザー206は、露光用の光源である。現像バイアス207は、感光体の潜像を現像するためのバイアスである。
【0016】
図3は、画像形成装置の中間転写ベルトの表面情報を記憶する制御手順を示す流れ図である。図4は、画像形成装置の中間転写ベルトの位置を判断する制御手順を示す流れ図である。図5は、特徴点が多い場合の中間転写ベルトの表面情報を記憶する処理手順を示す流れ図である。図6は、画像形成装置の中間転写ベルトの表面情報を低速回転で記憶する処理手順を示す流れ図である。図7は、中間転写ベルトの表面情報の特徴点間距離を記憶する制御手順を示す流れ図である。図8は、中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で判断する制御手順を示す流れ図である。図9は、中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で正確に判断する制御手順を示す流れ図である。図10は、中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で正確に素早く判断する制御手順を示す流れ図である。
【0017】
上記のように構成された本発明の実施例における画像形成装置の機能と動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、画像形成装置の機能の概要を説明する。中間転写ベルト105に沿って各色のAIOカートリッジ(106Bk、106M、106C、106Y)が並べられたタンデム方式の画像形成装置である。中間転写ベルト105は反時計回りに回転する。回転方向の上流側から順に、複数のAIOカートリッジ(電子写真プロセス部)106Bk、106M、106C、106Yが配列されている。これら複数のAIOカートリッジ106Bk、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。AIOカートリッジ106Bkはブラックの画像を、AIOカートリッジ106Mはマゼンタの画像を、AIOカートリッジ106Cはシアンの画像を、AIOカートリッジ106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0018】
以下の説明では、AIOカートリッジ106Bkについて具体的に説明するが、他のAIOカートリッジ106M、106C、106Yは、AIOカートリッジ106Bkと同様であるので、そのAIOカートリッジ106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成装置106Bkの各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0019】
中間転写ベルト105は、回転駆動される二次転写駆動ローラ107と転写ベルトテンションローラ108とに巻回されたエンドレスのベルトである。この二次転写駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、二次転写駆動ローラ107と、転写ベルトテンションローラ108とが、中間転写ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0020】
AIOカートリッジ106Bkは、感光体としての感光体109Bk、この感光体109Bkの周囲に配置された帯電器110Bk、露光器111、現像器112Bk、クリーナーブレード113Bk等から構成されている。露光器111は、各AIOカートリッジ106Bk、106M、106C、106Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザー光114Bk、114M、114C、114Yを照射するように構成されている。
【0021】
画像形成に際し、感光体109Bkの外周面は、暗中にて帯電器110Bkにより一様に帯電された後、露光器111からのブラック画像に対応したレーザー光114Bkにより露光され、静電潜像を形成される。現像器112Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体109Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0022】
このトナー画像は、感光体109Bkと中間転写ベルト105とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ115Bkの働きにより中間転写ベルト105上に転写される。この転写により、中間転写ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体109Bkは、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード113Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。
【0023】
以上のように、AIOカートリッジ106Bkでブラックのトナー画像を転写された中間転写ベルト105は、中間転写ベルト105によって次のAIOカートリッジ106Mに搬送される。AIOカートリッジ106Mでは、AIOカートリッジ106Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより、感光体109M上にマゼンタのトナー画像が形成される。そのトナー画像が、中間転写ベルト105上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0024】
中間転写ベルト105は、さらに次のAIOカートリッジ106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、中間転写ベルト上に重畳されて転写される。こうして、中間転写ベルト105上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された中間転写ベルト105は、二次転写ローラ116の位置まで搬送され、中間転写ベルト105と二次転写ローラ116とが接する位置(二次転写位置)で、二次転写ローラ116の働きにより搬送されてきたシート104に転写される。
【0025】
なお、画像形成に際して、ブラックのみの印刷の場合は、一次転写ローラ115M、一次転写ローラ115C、一次転写ローラ115Yは、それぞれ感光体109M、感光体109C、感光体109Yから離間された位置に退避し、前述の画像形成プロセスをブラックの場合のみ行う。
【0026】
次に、図2を参照しながら、基本的なシステム構成を説明する。まず、潜像形成手段において、ポリゴンモータ205を回転させ、回転が安定するとレーザー206を照射する。続いて、現像手段において現像バイアス207、中間転写手段において一次転写バイアス204を印加することで、中間転写ベルト上に画像を形成する。この中間転写ベルト上の画像を表面情報検知手段の表面情報検知センサ203で検知し、必要であればEEPROMへ記憶する。
【0027】
次に、画像形成装置の中間転写体の位置判断動作の概要を説明する。予め、中間転写体上にレーザー光を照射し、その反射光により中間転写体上の表面情報を検知して、表面情報を取得する。表面情報から基準特徴点情報を生成して保持する。稼動中に、中間転写体上の表面情報を検知して表面情報を取得する。表面情報から測定特徴点情報を生成する。測定特徴点情報と基準特徴点情報とを比較する。その比較結果に基づいて、中間転写体の位置を判断する。中間転写体の着脱を検知した際には、基準特徴点情報を改めて取得して記憶する。画像形成の前処理において表面情報検知手段の感度を調整する際に、中間転写体の表面状態を検知して、基準特徴点情報を生成する。基準特徴点情報に基づいて、中間転写体の交換の必要性を判断する。表面状態を検知する際に、中間転写体の回転速度を調整する。
【0028】
予め基準特徴点間の距離を計測し、直前の特徴点からの距離を基準特徴点間距離として保持する。稼動時に特徴点間の距離を計測し、直前の特徴点からの距離を測定特徴点間距離とする。測定特徴点間距離と全ての基準特徴点間距離とを比較する。測定特徴点間距離と最も近い基準特徴点間距離をもつ基準特徴点を、対応特徴点として選択する。測定特徴点が対応特徴点であるとして、中間転写体の位置を判断する。測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、中間転写体の表面状態を検知しなおして、基準特徴点情報を再度生成する。または、距離誤差が閾値より小さくなる特徴点を検知するまで計測を繰り返す。
【0029】
次に、図3を参照しながら、画像形成装置の中間転写ベルトの表面情報を記憶する手順を説明する。ステップ100で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ101で、中間転写ベルト105上に画像がない状態で、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。ステップ102で、特徴点が検知されたかどうか調べる。中間転写ベルト105上に傷などの欠陥があると、TMセンサ117で特徴点として検知し、ステップ103で、その情報を特徴点情報として記憶する。ステップ104で、中間転写ベルトが1周したかどうか調べる。1周していれば、ステップ105で、特徴点検知を終了する。1周していなければ、ステップ102に戻る。このように、特徴点検知と記憶の処理を、中間転写ベルト105が1周するまで繰り返し、中間転写ベルト105上の全特徴点を記憶する。
【0030】
次に、図4を参照しながら、画像形成装置の中間転写ベルトの位置を判断する手順を説明する。図3に示したように、中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理を行った後、図4に示すように、中間転写ベルト105の位置判断処理を行う。ステップ200で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ201で、特徴点検知を開始し、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。ステップ202で、特徴点が検知されるまで待つ。TMセンサ117で特徴点が検知されると、ステップ203で、その特徴点情報と、あらかじめ記憶してある特徴点情報を比較する。ステップ204で、特徴点情報が一致したかどうか調べる。特徴点情報が同一でなれければ、ステップ202に戻り、再度特徴点を検知する。特徴点情報が同一であれば、ステップ205で、記憶された特徴点情報を基に、中間転写ベルト105の位置を判断する。ステップ206で、特徴点検知を終了する。
【0031】
ところで、あらかじめ記憶してある特徴点情報と、位置の判断時に検知した中間転写ベルト105上の特徴点情報が変化していると、正確な位置判断ができないことがある。特に、中間転写ベルト105が着脱可能な構成においては、中間転写ベルト105を着脱した際に表面に傷がつくなど、特徴点情報が変化するリスクが高くなる。そこで、中間転写ベルト105が着脱されたことを検知し、着脱後には、再度、図3に示したように、中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理を行う。こうすることにより、記憶している特徴点情報と、位置判断時に検知した特徴点情報が異なることは、ほとんど無くなる。
【0032】
また、図3に示した方法の記憶処理にかかる時間は長くなる。この記憶処理を行うためには、少なくとも中間転写ベルト105を1周分回転させなければならない。中間転写ベルト105が長い場合は、特に時間がかかる。そこで、画像形成装置は、TMセンサ117の感度調整処理と同時に、図3の中間転写ベルト105表面情報の記憶処理を行う。TMセンサ117の感度調整処理は、一般的な画像形成装置では、濃度調整を行う前に実行される。この処理内容は、中間転写ベルト105上に画像を形成しない状態でTMセンサ117を照射し、その反射量を調整することである。これは、図3に示した中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理に類似している。感度調整処理と同時に記憶処理を行うことにより、図3に示した中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理にかかる処理時間は変化しないが、画像形成するために必要な前処理時間を短縮できる。
【0033】
次に、図5を参照しながら、特徴点が多い場合の中間転写ベルトの表面情報を記憶する手順を説明する。中間転写ベルト上に特徴点が多いと、位置判断にかかる時間は短くなるが、記憶している特徴点情報の中に類似した情報を持つ複数の特徴点が存在する確率が高まり、位置を誤判断する可能性が高くなる。また、正常に位置判断できても、欠陥のない領域が狭いため、印刷動作などで特徴点を避けて画像を形成できなくなる。そこで、次のような方法で、中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理を行う。ステップ300で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ301で、中間転写ベルト105上に画像がない状態で、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。
【0034】
ステップ302で、特徴点が検知されたかどうか調べる。中間転写ベルト105上に傷などの欠陥があると、TMセンサ117で特徴点として検知し、ステップ303で、その情報を特徴点情報として記憶する。ステップ304で、中間転写ベルトが1周したかどうか調べる。1周していなければ、ステップ302に戻り、特徴点検知と記憶の処理を、中間転写ベルト105が1周するまで繰り返し、中間転写ベルト105上の全特徴点を記憶する。1周していれば、ステップ305で、特徴点検知を完了する。ステップ306で、特徴点が多いかどうか調べる。中間転写ベルト105上の特徴点数が一定値以上の場合、中間転写ベルト105の交換時期と判断し、ユーザに通知する。このようにして、位置の誤判断を防ぐことができるし、特徴点上に画像を形成してしまって画像不良をきたすようなことも防止できる。
【0035】
次に、図6を参照しながら、中間転写ベルトの表面情報を低速回転で記憶する手順を説明する。中間転写ベルト105上の特徴点を記憶する際に、中間転写ベルト105の回転速度が速いと、小さな特徴点が検出できなくなる。そこで、次の方法で、中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理を行う。ステップ400で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の低速回転を開始する。ステップ401で、特徴点の検知を開始する。低速回転させることで、中間転写ベルト105上の小さな特徴点も、TMセンサ117で取得できる。ステップ402で、特徴点が検知されたかどうか調べる。中間転写ベルト105上に傷などの欠陥があると、TMセンサ117で特徴点として検知し、ステップ403で、その情報を特徴点情報として記憶する。ステップ404で、中間転写ベルトが1周したかどうか調べる。1周していなければ、ステップ402に戻り、特徴点検知と記憶の処理を、中間転写ベルト105が1周するまで繰り返し、中間転写ベルト105上の全特徴点を記憶する。このように、中間転写ベルト105上の特徴点を記憶する際には、中間転写ベルト105の回転速度を遅くすることで、小さな特徴点も確実に検出できる。
【0036】
次に、図7を参照しながら、中間転写ベルトの表面情報の特徴点間距離を記憶する手順を説明する。ステップ500で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ501で、中間転写ベルト105上に画像がない状態で、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。ステップ502で、特徴点番号を0に初期化する。ステップ503で、特徴点が検知されたかどうか調べる。検知されれば、ステップ504で、最初の特徴点かどうか調べる。最初の特徴点でなければ、ステップ505で、1つ前の特徴点からの距離を記憶する。ステップ506で、距離計測を開始する。ステップ507で、特徴点番号に1を加算して、ステップ508に行く。つまり、中間転写ベルト105上に傷などの欠陥があると、TMセンサ117で特徴点として検知して、最初に検知された特徴点を0番目、次に検知された特徴点を1番目…と、特徴点に番号を付ける。
【0037】
ステップ508で、中間転写ベルトが1周したかどうか調べる。1周していれば、ステップ509で、特徴点検知を終了し、1周していなければ、ステップ503に戻る。つまり、0番目と1番目の特徴点間距離をl1とし、1番目と2番目の特徴点間距離をl2とし、…と、各特徴点間距離を、特徴点情報として記憶する。これを、l1〜lnまでの特徴点間距離の総和が、中間転写ベルト105のベルト周長より長くなるまで繰り返し、中間転写ベルト105上の全特徴点を記憶する。
【0038】
次に、図8を参照しながら、画像形成装置の中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で判断する手順を説明する。図7に示したように、中間転写ベルト105の表面情報の記憶処理を行った後、図8に示す手順で、中間転写ベルト105の位置判断処理を行う。ステップ600で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ601で、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。ステップ602で、特徴点番号を0に初期化する。ステップ603で、特徴点が検出されるまで待つ。ステップ704で、最初の特徴点が検出されると、ステップ605で、距離計測を開始する。ステップ606で、特徴点番号に1を加算して、ステップ603に戻る。このように、TMセンサ117で特徴点が検知されると、最初に検知された特徴点を0番目、次に検知された特徴点を1番目と特徴点に番号を付ける。次の特徴点が検出されると、ステップ607で、1つ前の特徴点との距離を記憶する。例えば、0番目と1番目の特徴点間距離をL1として記憶する。ステップ608で、記憶されている特徴点間距離の中で最も近いものを求める。例えば、あらかじめ記憶してあるl1〜lnの中で、L1に最も近いlxを求める。ステップ609で、現在の特徴点は、特徴点間距離から求めた特徴点であると判断する。例えば、1番目の特徴点は、記憶してあるx番目の特徴点だと判断する。ステップ610で、特徴点検知を完了する。
【0039】
次に、図9を参照しながら、中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で正確に判断する方法の手順を説明する。上の例で、あらかじめ記憶してある特徴点の数と、位置の判断時に検知した中間転写体上の特徴点の数が異なっていると、正確な位置の判断ができない。そこで、次の方法で中間転写ベルト105の位置判断処理を行う。ステップ700で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ701で、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。ステップ702で、特徴点番号を0に初期化する。ステップ703で、特徴点が検出されるまで待つ。ステップ704で、最初の特徴点が検出されると、ステップ705で、距離計測を開始する。ステップ706で、特徴点番号に1を加算して、ステップ703に戻る。このように、TMセンサ117で特徴点が検知されると、最初に検知された特徴点を0番目、次に検知された特徴点を1番目と特徴点に番号を付ける。
【0040】
次の特徴点が検出されると、ステップ707で、1つ前の特徴点との距離を記憶する。例えば、0番目と1番目の特徴点間距離をL1として記憶する。ステップ708で、記憶されている特徴点間距離の中で最も近いものを求める。例えば、あらかじめ記憶してあるl1〜lnの中で、L1に最も近いlxを求める。ステップ709で、距離の差が一定値以内かどうか調べる。一定値以内であれば、ステップ710で、現在の特徴点は、特徴点間距離から求めた特徴点であると判断する。例えば、L1とlxの差が閾値以下であれば、1番目の特徴点は記憶しているx番目の特徴点だと判断し、ステップ712で、特徴点検知を完了する。差が閾値以上であれば、ステップ711で、位置判断のエラーとする。このように、あらかじめ記憶してある特徴点間距離と、検知した特徴点間距離の差が、閾値以上であった場合、位置判断を中止し、再度特徴点の記憶を行うことで、中間転写ベルト105の位置を正確に判断できる。
【0041】
次に、図10を参照しながら、中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で正確に素早く判断できる方法の手順を説明する。上の例で、特徴点間の距離の差が範囲外であった場合に、再度特徴点の記憶を行うと、位置を判断するまでにかかる処理時間が長くなる。そこで、次の方法で中間転写ベルト105の位置判断処理を行う。ステップ800で、感光体109Bk〜109Yの全感光体上に画像を形成しない状態で、中間転写ベルト105の回転を開始する。ステップ801で、TMセンサ117を用いて表面情報を取得する。ステップ802で、特徴点番号を0に初期化する。ステップ803で、特徴点が検出されるまで待つ。ステップ804で、最初の特徴点が検出されると、ステップ805で、距離計測を開始する。ステップ806で、特徴点番号に1を加算して、ステップ803に戻る。このように、TMセンサ117で特徴点が検知されると、最初に検知された特徴点を0番目、次に検知された特徴点を1番目・・・と特徴点に番号を付ける。
【0042】
次の特徴点が検出されると、ステップ807で、1つ前の特徴点との距離を記憶する。例えば、0番目と1番目の特徴点間距離をL1として記憶する。ステップ808で、記憶されている特徴点間距離の中で最も近いものを求める。例えば、あらかじめ記憶してある距離l1〜lnの中で、L1に最も近いlxを求める。ステップ809で、距離の差が一定値以内かどうか調べる。一定値以内でなければ、ステップ805で、距離計測を開始する。一定値以内であれば、ステップ810で、現在の特徴点は、特徴点間距離から求めた特徴点であると判断する。ステップ811で、特徴点検知を完了する。例えば、L1とlxの差が閾値以下であれば、1番目の特徴点は、記憶しているx番目の特徴点だと判断する。差が閾値より大きければ、1番目と2番目の特徴点間距離をL2として記憶し、あらかじめ記憶してあるl1〜lnの中で、L2に最も近いlxを求める。これを、差が閾値以下になるまで繰り返す。このように、あらかじめ記憶してある特徴点間距離と、検知した特徴点間距離の差が閾値以上であった場合、次の特徴点間距離を取得し、再度位置判断を行う。これを、差が閾値以下になるまで繰り返すことで、中間転写ベルト105の位置を正確に判断できる。
【0043】
上記のように、本発明の実施例では、画像形成装置を、中間転写体の特徴点情報を、記憶してある特徴点情報と比較して、中間転写体の位置を判断する構成としたので、基準パターンを設けることなく、高速かつ正確に中間転写体の位置を判断できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の画像形成装置は、AIOカートリッジや中間転写ベルトなどの像担持体上に画像を形成して、その画像を転写材に転写する電子写真方式の複写機やプリンタやファクシミリなどとして最適である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施例における画像形成装置の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例における画像形成装置の基本的なシステム構成を示す概念図である。
【図3】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの表面情報を記憶する制御手順を示す流れ図である。
【図4】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの位置を判断する制御手順を示す流れ図である。
【図5】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの特徴点が多い場合の表面情報を記憶する処理手順を示す流れ図である。
【図6】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの表面情報を低速回転で記憶する処理手順を示す流れ図である。
【図7】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの表面情報の特徴点間距離を記憶する制御手順を示す流れ図である。
【図8】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で判断する制御手順を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で正確に判断する制御手順を示す流れ図である。
【図10】本発明の実施例における画像形成装置の中間転写ベルトの位置を特徴点間距離で正確に素早く判断する制御手順を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0046】
104…シート、105…中間転写ベルト、106…カートリッジ、107…二次転写駆動ローラ、108…転写ベルトテンションローラ、109…感光体、110…帯電器、111…露光器、112…現像器、113…クリーナーブレード、114…レーザー光、115…一次転写ローラ、116…二次転写ローラ、117…TMセンサ、203…表面情報検知センサ、204…一次転写バイアス、205…ポリゴンモータ、206…レーザー、207…現像バイアス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、前記潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前記潜像担持体上の潜像を現像して画像を形成する現像手段と、前記潜像担持体上の画像を中間転写体に転写する中間転写手段と、前記中間転写体上にレーザーを照射したときの反射光により前記中間転写体の表面状態を検知して表面情報を取得する表面検知手段と、前記中間転写体の表面情報から特徴点情報を生成する特徴取得手段と、予め生成した基準特徴点情報を保持する特徴点記憶手段と、稼動中に取得した測定特徴点情報と前記基準特徴点情報とを比較する比較手段と、比較結果に基づいて前記中間転写体の位置を判断する位置判断手段とを具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写体が着脱されたことを検知する着脱検知手段と、着脱検知に応じて前記中間転写体の表面状態を検知しなおして基準特徴点情報を再度生成するように制御する手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像形成の前処理において前記表面情報検知手段の感度を調整する際に、前記中間転写体の表面状態を検知して基準特徴点情報を生成するように制御する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
基準特徴点情報に基づいて前記中間転写体の交換の必要性を判断する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
表面状態を検知する際に前記中間転写体の回転速度を調整する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記特徴取得手段に、特徴点間の距離を計測して基準特徴点間距離と測定特徴点間距離を生成する手段を備え、前記特徴点記憶手段に、直前の特徴点からの距離を基準特徴点間距離として保持する手段を備え、前記比較手段に、基準特徴点間距離と測定特徴点間距離とを比較する手段と、測定特徴点間距離と最も近い基準特徴点間距離をもつ基準特徴点を対応特徴点として選択する手段とを備え、前記位置判断手段に、測定特徴点が前記対応特徴点であるとして前記中間転写体の位置を判断する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、前記中間転写体の表面状態を検知しなおして基準特徴点情報を再度生成するように制御する手段を備えることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、距離誤差が閾値より小さくなる特徴点を検知するまで計測を繰り返すように制御する手段を備えることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
潜像担持体に潜像を形成し、潜像を現像して画像を形成し、画像を中間転写体に転写する画像形成方法において、予め前記中間転写体上にレーザー光を照射し、その反射光により前記中間転写体上の表面情報を検知して表面情報を取得して基準特徴点情報を生成して保持し、稼動中に前記中間転写体上の表面情報を検知して表面情報を取得して測定特徴点情報を生成し、測定特徴点情報と基準特徴点情報とを比較し、その比較結果に基づいて前記中間転写体の位置を判断することを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記中間転写体の着脱を検知した際には、基準特徴点情報を改めて取得して記憶することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項11】
画像形成の前処理において前記表面情報検知手段の感度を調整する際に、前記中間転写体の表面状態を検知して基準特徴点情報を生成することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項12】
基準特徴点情報に基づいて、前記中間転写体の交換の必要性を判断することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項13】
表面状態を検知する際に前記中間転写体の回転速度を調整することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項14】
予め基準特徴点間の距離を計測し、直前の特徴点からの距離を基準特徴点間距離として保持し、稼動時に特徴点間の距離を計測し、直前の特徴点からの距離を測定特徴点間距離とし、測定特徴点間距離と全ての基準特徴点間距離とを比較し、測定特徴点間距離と最も近い基準特徴点間距離をもつ基準特徴点を対応特徴点として選択し、測定特徴点が前記対応特徴点であるとして前記中間転写体の位置を判断することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項15】
測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、前記中間転写体の表面状態を検知しなおして基準特徴点情報を再度生成することを特徴とする請求項14記載の画像形成方法。
【請求項16】
測定特徴点間距離と基準特徴点間距離の間の距離誤差がすべて閾値より大である場合には、距離誤差が閾値より小さくなる特徴点を検知するまで計測を繰り返すことを特徴とする請求項14記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−224866(P2008−224866A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60424(P2007−60424)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】