説明

画像形成装置

【課題】原稿判別不能加工処理を解除し、不正コピーを行ったとしても、地紋パターン原稿複製を行ったユーザの割り出しを容易に行える画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿複製の際、所定の地紋がある印刷用紙を原稿として読み取った場合に、特定画素当たりで所定の地紋パターンを認識する地紋パターン認識ユニット50を有し、前記地紋パターンを認識すると、読み取った原稿画像が判断できないように画像を処理する加工原稿判別不能加工機能を有し、利用する際にユーザID認識可能なユーザID認識機能を有する画像形成装置において、パスワードによって原稿判別不能加工を解除した場合でも、地紋パターン認識時には、前記ユーザIDを履歴として記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単体スキャナ、及びコピー、ファクシミリ、プリンタなどの機能を有するデジタル複合機において原稿読み取りと読み取り禁止原稿の識別の機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単体スキャナ、及びコピー、ファクシミリ、プリンタなどの機能を有するデジタル複合機においては、それらが高性能の装置となりかつカラー原稿でも精密な複写が可能となり、例えば、紙幣、株券等の有価証券のような複写を禁じられている所定の特殊原稿、及び社外秘のごとき重要な書類の複写を試みる者に対する対策が必要とされている。
かかる対策のために、従来から、複写禁止されている原稿、例えば、紙幣、株券等の有価証券のような所定の特殊原稿である時に、ユーザにその原稿の複写が禁止されている旨の所定の警告を行なう技術、又は読み取った原稿画像に、記録紙への印刷又はかかる画像データの他の装置への転送を禁じるためのパターンを形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1乃至5参照)。
【0003】
特許文献1では、例えば、原稿が複写禁止されている原稿(例えば、紙幣、株券等の有価証券)のような所定の特殊原稿である時に、ユーザにその原稿の複写は禁止されている旨等の所定の警告を行えるとともに、第3者にもユーザによるそのような原稿の複写について警告でき、さらに、第3者への警告が行われると、その警告動作は、一般ユーザでは簡単容易には停止解除することができないカラー画像形成装置を開示している。
特許文献2では、多彩なページ編集機能を犠牲にすることなく、複写禁止画像の再現を防止し、また、ネットワークを介したデータの運用も防止する技術が開示されている。
特許文献3では、通常の原稿のコピーを妨げることなく、特殊原稿のコピーを禁止して違法複写を未然に防ぐことができ、たとえ特殊原稿がコピーされた場合でも追跡可能とする。また、オリジナルの再現性を低下させ、違法複写を防止及び追跡を可能とする技術を開示している。
また、特許文献4及び5では、地紋認識について技術を含む画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、及び画像処理プログラムを記憶する記憶媒体が開示されている。
【0004】
さらに、本出願人の未公開の係属出願に関する研究には、地紋認識の手段とその禁止解除を課題の解決手段としている、機密文書のコピーやファクシミリによる社外への漏洩を防止する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムが提供されている。
同様に、本出願人の先願に関する研究には、原稿の地紋認識を解決手段として、画像読取り手段により読み取った原稿画像データに、記録紙への印刷又はかかる画像データの他の装置への転送を禁じるためのパターンが形成されている場合に、当該印刷または転送を禁じるか否かを検出するに際して、検出動作を管理者が望む形で行わせることができる画像処理装置が開示されている。
【特許文献1】特開平10−222033号公報
【特許文献2】特開2000−175031公報
【特許文献3】特開平6−125459号公報
【特許文献4】特開2004−274092公報
【特許文献5】特開2004−201068公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原稿複製の際、所定の地紋パターンが印刷された用紙は、情報漏洩防止のセキュリティ機能として、元の原稿を判別できないようにするため、特定の画素当たりで地紋パターンを認識し、原稿判別不能加工を施すようにしている。かかる原稿判別不能加工は特定のユーザ(原稿出力の本人や、情報開示可能対象者)に関しては不要である。
また、管理責任者に依頼すれば、パスワードによって、原稿判別不能加工処理は解除可能であるが、パスワードを盗用すれば、管理責任者になりすまして、不正コピーが可能となるセキュリティの欠陥がある。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、原稿判別不能加工処理を解除し、不正コピーを行ったとしても、地紋パターン原稿複製を行ったユーザの割り出しを容易に行える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、所定の地紋を有する原稿を読みとった場合に特定画素中の所定の地紋パターンを認識する地紋パターン認識手段と、前記地紋パターン認識手段が、前記地紋パターンを認識した時に、読み取った原稿画像を判別出来ないように画像処理する画像処理手段と、ユーザIDを認識可能なユーザID認識手段と、すくなくとも前記ユーザIDを記憶する記憶手段と、を備えた画像形成装置において、前記画像処理手段による前記画像処理を解除した場合でも、前記地紋パターン認識時は前記ユーザIDを前記記憶手段に履歴として記憶する画像形成装置を特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、少なくとも警告を表示する表示手段をさらに備え、前記地紋パターン認識手段が前記地紋パターンを認識した時に、不正コピーである旨及び前記ユーザIDが履歴として保存される旨の警告を前記表示手段に表示する請求項1記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、前記地紋パターン認識手段が前記地紋パターンを認識した時に、不正コピーである旨及びユーザIDを履歴として保存する旨を音声により警告する音声発信手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記地紋パターン認識手段が前記地紋パターンを認識した時に、不正コピーである旨を発光により警告する発光手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置を特徴とする。
【0007】
また、請求項5に記載の発明は、少なくとも警告のオン/オフを設定する設定手段をさらに備え、前記表示手段による警告は、前記設定手段によりオン/オフを不可としたことを特徴とする請求項1乃至4何れか一項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記音声による警告は、前記設定手段によりオン/オフ可能とした請求項1乃至5何れか一項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記発光による警告は、前記設定手段によりオン/オフ可能とした請求項1乃至5何れか一項記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、前記画像処理手段は、前記地紋パターン内に埋め込まれた識別コードとユーザIDが一致した特定のユーザを前記画像処理の対象外と判断し、前記画像処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至7何れか一項記載の画像形成装置を特徴とする。
【0008】
また、請求項9に記載の発明は、前記特定のユーザは、複数のユーザにより構成されるグループである請求項8記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、前記所定の地紋を有する原稿のプレスキャンをする場合、該プレスキャンの結果、前記地紋パターン内に埋め込まれた識別コードとユーザIDが一致したとき、前記画像処理を行うか否かを事前に前記特定のユーザに通知する請求項8又は9記載の画像形成装置を特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、前記特定のユーザを前記画像処理の対象とするか否かは、前記設定手段によりオン/オフする請求項8乃至10何れか一項記載の画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、たとえ、原稿判別不能加工処理を解除し、不正コピーを行ったとしても、地紋パターン原稿複製を行ったユーザの割り出しを容易に行えるという効果がある。
また、本発明によれば、地紋パターン内の情報から判断して、特定のユーザに対しては、原稿判別不能加工処理対象外と判断し、この原稿判別不能加工処理を行わないことができるので、現在のユーザが管理者である場合には、その都度警告が発せられることの煩わしさを解消するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明による画像形成装置のシステムの操作パネルの外観を示す概略図である。図2は図1の画像形成装置のシステム制御ブロック図である。
図1の操作パネル(設定手段)1には、液晶表示部2、初期設定キー3、テンキー8、プリントボタン11に加えて、種々のキー及びボタン、例えば、コピーキー4、スキャナキー5、プリンタキー6、ファクシミリ(FAX)キー7、クリアボタン9等が示されている。
図2のシステム制御ブロック図を基に、本発明による画像形成装置のシステムの実施の形態である制御形態について説明する。システムコントローラ20は、スキャナアプリケーション、コピーアプリケーション、FAXアプリケーション、プリンタアプリケーション等の複数及び単体アプリケーションの機能を有することができ、システム全体の制御を行う。
【0011】
操作パネル制御装置21は、本システムの設定の入力とその状態内容を表示する装置である。画像制御装置22は原稿画像の読み取り、公知の電子写真技術による転写用紙への画像書き込みを行う。画像データバス/制御コマンドバス23は、画像データと制御コマンドが時分割で転送されるバスである。
CPU24はシステムコントローラ20の制御を行う。ROM25にはシステムコントローラ20の制御プログラムが記憶されている。RAM26は、CPU24が使用する作業用メモリである。NVRAM(記憶手段)27は不揮発性メモリであり、システム全体の情報の保管を行う。ネットワークI/Fコントローラ28はネットワークとの接続制御を行う。
システムI/F29は、CPU24の命令によりシステム内で処理される、FAXデータ、プリンタデータの転送制御を行う。ワークメモリ30はプリンタで使用する画像展開の作業用メモリである。フレームメモリ31は、読み取り画像や書き込み画像の画像データを蓄える作業用メモリであり、画像データは、符号化されたデータ、又はドット画像データである。
【0012】
FIFOバッファ32は、フレームメモリ31への入力画像の書き込み時にデータ転送速度変換を行う。同様にFIFOバッファ33は、フレームメモリ31の画像データを出力画像としてデータ転送する時の速度変換を行う。
メモリコントローラ34はCPU24の制御なしにフレームメモリ31、及びHDDC35とバス間の画像の入出力を制御する。HDDC35は、内部に周知のHDD(Hard Disk Drive)(図示せず)を含み、HDDへの画像データの入出力制御を行う。HDDには画像読み取り装置36で読み取られた画像、及びネットワーク経由で取得した画像が保存される。
操作パネル制御装置21のCPU38は、この操作パネル制御装置21の制御を行う。ROM39には操作パネル制御装置21の制御プログラムが記憶されている。RAM40はCPU38で使用する作業用メモリである。入力装置41は、ユーザがシステム設定の入力を行う装置である。
表示装置(表示手段)42は、システムの設定内容及び状態を確認するユーザのために、それらを表示する装置(図1の液晶表示部に対応)である。
【0013】
CPU43は、画像入出力制御装置22の制御を行う。ROM44には、画像入出力制御装置22の制御プログラムが記憶されている。RAM45はCPU43で使用する作業用メモリである。
画像書き込みユニット37はレーザ光を画素周波数で点灯し、ポリゴンスキャナでスキャンする公知の光学書き込み装置の制御ユニットである。画像処理ユニット(画像処理手段)36は、ランプ光を原稿で反射しCCDで読み取る、公知の光学式スキャナの制御を行うユニットである。
また、画像処理ユニット36は、画像処理を行い、可視及び不可視の識別子を画像データから分離する。分離した識別子はCPU43でコード化され、システムコントローラ20に送られ、ネットワーク上に存在する画像処理装置及びコンピュータを特定する。
原稿搬送制御ユニット46は、複数枚積載された原稿から画像読み取りユニット36が読み取る原稿を1枚ずつ搬送する。また、原稿搬送制御ユニット46は原稿のサイズ検出も行う。
【0014】
電子写真プロセスユニット47は感光体上にレーザ光で書き込まれた潜像画像をトナーで実像化し、転写紙に転写、定着する周知の電子写真技術を制御するユニットである。電子写真は1つの例であり、インクジェットのような作像法であっても本発明は適用可能とする。
転写紙搬送制御ユニット48は、電子写真プロセスユニット47で画像が転写される転写紙の搬送制御を行う。課金装置I/Fユニット49は、画像入出力制御装置22と課金装置(図示せず)を接続するため、CPU43の命令を課金装置の専用I/Fへ変換し、課金装置と印刷条件、課金、印刷可否信号の送受信を行う構成になっている。
地紋認識ユニット50は地紋パターン認識を行う。画像読み取りユニット36から2値化された画像データが地紋認識ユニット50に送られる。そこで、地紋認識ユニット50は地紋検出結果を画像処理ユニット36に送る。
画像処理ユニット36は、地紋認識ユニット50から送られる地紋検出結果及びCPU43の指示により、画像データを所定の階調と位相に固定化し、原稿画像の判読ができないように原稿判別不能加工(画像処理)を施す。
【0015】
図2には、さらに、画像データバス/制御コマンドバス23を介してシステムコントローラ20と画像入出力制御装置22を接続するバス制御51、52、53、54、及び操作パネル制御装置21と画像入出力制御装置22を接続するバス制御55及び56が示されている。
図3は図1の画像形成装置のシステム初期設定の管理者用画面を示す概略図である。図4は地紋認識機能有効を設定する画面を示す概略図である。図5は地紋パターン認識ブロック図である。
図3には、システム初期設定の管理者用画面を示しており、管理者用設定画面57で不正コピー抑止アイコン58、設定表示アイコン59を、そして図4には、地紋認識機能有効を設定する不正コピー抑止の選択ボタン60及び設定画面61を示している。次に、図5の地紋パターン認識ブロック図を基に、画像データから地紋認識する例を説明する。
【0016】
図5の地紋パターン認識ブロックは、図2に示した地紋認識ユニット50に含まれている。2値化された画像データは孤立ドット検出部62に送られる。この孤立ドット検出部62では、主走査d画素×副走査lライン(特定画素)中にある孤立画素66を検出する。孤立画素の検出情報は画像データとともに位相情報記憶部63に送られる。
位相情報記憶部63では、主走査d画素×副走査lライン中にある孤立画素66の情報から、主走査d画素×B数分のBdと副走査lライン×L数分のLlであるBd×Llブロック中で孤立画素の位置関係情報67を記憶する。
パターンマッチング部64では、位相情報記憶部63で記憶されたBd×Llブロック中の孤立画素66の位置関係情報67と、所定の地紋パターンとのマッチング68を行う。パターンマッチング部64によるパターンマッチングの結果は地紋検出部65に送られる。この地紋検出部65では、副走査ライン中で所定のn個のパターンマッチング検出により地紋であると認識され、検出信号が出力される。
孤立ドット検出部62及びパターンマッチング部64は、原稿画像データの解像度が所定より低い場合には画素の干渉から地紋パターンを検出できなくなるため、原稿読み取り時に所定以上の解像力が必要とされる。
【0017】
図6は本発明によって地紋が印刷された原稿を読み取った例を示す概略図である。図7は本発明によって地紋がない原稿を読み取った例を示す概略図である。
次に、図6と図7を参照して、地紋印刷された原稿と地紋がない原稿で、読み取り後の画像の違いを説明する。
地紋印刷された原稿70(図6)を地紋認識して読み取り、地紋が認識されると、原稿画像を判読できないように加工(画像処理)する。地紋印刷された原稿70を地紋認識しないで読み取ると、原稿画像はそのまま読み取られる。
一方、図7のように、地紋印刷されていない原稿73を地紋認識して読み取っても、地紋が認識されないため、原稿画像はそのまま読み取られる。さらに、地紋印刷されていない原稿73を地紋認識しないで読み取っても、原稿画像はそのまま読み取られる。
【0018】
図8はネットワークの接続例を示す概略図である。次に、図8のネットワーク接続を基に、本システムの実施の形態であるネットワーク接続と画像データの転送例を説明する。
本発明である画像処理装置は、デジタル複合機80、81であったり、スキャナ装置82、83であったり、プリンタ装置84、85である。デジタル複合機80、81は原稿を読み取り、画像の保存と印刷ができる。スキャナ装置82、83は読み取った画像の保存ができる。プリンタ装置84、85は印刷する画像の保存ができ、印刷ができる。
デジタル複合機80、81とスキャナ装置82、83は、電話回線としての公衆回線網86、87、88、89へ、読み取った画像をFAXデータとして直接送信できる。デジタル複合機80、81とスキャナ装置82、83とプリンタ装置84、85はネットワーク90に接続することができ、画像の送信と受信ができる。
コンピュータ91、92、93は、ネットワーク90に接続されたデジタル複合機80、81、スキャナ装置82、83、プリンタ装置84、85を操作することができ、画像の送信と受信ができ、画像を保存することができる。
【0019】
図9は地紋パターン認識を有効に設定する例を示すフローチャートである。図10は本発明の実施の形態による管理者IDと認証コードを入力する画面を示す図である。図11は管理者IDと認証コードの対応を示す図である。次に、図9のフローチャートを基に、地紋パターンを認識する機能を有効とするか無効とするかを、システム管理者が設定する例を説明する。
システム管理者(以下、単に管理者とする)は、不正コピー抑止設定を開始するために、システムの操作パネル(設定手段)1(図1)にある初期設定キーボタン3の押下により、システム初期設定を選択する(S1)。図3の初期設定画面より、システム初期設定画面を表示し(S2)、管理者用設定アイコン57を選択して管理者用設定画面を選択すると(S3)、管理者用設定画面を表示する前に、図10の管理者を識別するための認証コード入力画面が表示される。
管理者は管理者IDと管理者用認証コードを入力し(S4)、図11に示した、システムに予め登録されている管理者IDと管理者用認証コードが一致した場合に(S5でNo)、管理者用画面が表示される(S6)。管理者IDと管理者用認証コードは、NVRAM27(図2)に保存されている。
管理者用設定画面にある不正コピー抑止アイコン58を選択し(S7)、図4の不正コピー抑止選択画面を表示する(S8)。不正コピー抑止選択画面にある、不正コピー抑止設定アイコンより、不正コピー抑止する(実行)60を選択し(S9)、不正コピー抑止設定61が終了し(S10)、地紋パターンを認識する機能が有効となる。不正コピー抑止設定はNVRAM27に保存される。
【0020】
図12は地紋パターン認識し、ユーザIDを履歴として、NVRAMに保存する例を示すフローチャートである。図13は不正コピー履歴の画面例を示す図である。
次に、図2、図9、図12、及び図13を用いて、パスワードによって「原稿判別不能加工」解除した場合でも、地紋パターン認識時には、ユーザIDを履歴として記憶する例を説明する。
図2には、図示しないが、ユーザID入力・認識装置(ユーザID認識手段)が装備されているとする。かかる装置は、例えば、IDカードによりIDを入力する、指紋/静脈/目の虹彩によりユーザIDを入力する等々によりID認識をするように構成されている(S11)。
図12のステップ(S12)にて、原稿をスキャンした際、地紋有りかどうかを判断し(S13)、地紋有りの原稿であったとする(S13でYes)。この場合には、ステップ(S12)にて認識したユーザIDをNVRAM27に記憶(保存)する(S14)。
【0021】
次に、原稿判別不能処理解除中かどうかを判断し(S15)、図9のステップ(S9)にて設定した内容が「しない」であった場合、すなわち、原稿判別不能処理解除中である場合(S15でYes)、通常処理とし(S16)、反対の場合(S15でNo)、原稿判別不能加工処理(画像処理)を施す(S17)。NVRAM27内の内容は、図13のように履歴として参照可能であるため、意図しない不正コピーが発覚した場合、この履歴からユーザの割り出しが可能となる。
このように、原稿複製の際、所定の地紋パターンが印刷された用紙は、情報漏洩防止のセキュリティ機能として、元の原稿を判別できないようにするため、特定の画素当たりで地紋パターンを認識し、原稿判別不能加工を施す。この場合、特定のユーザ(原稿を作成した本人や、情報開示可能対象者)に関しては、この原稿判別不能加工は不要である。
管理責任者(管理者)に依頼すれば、パスワードによって原稿判別不能加工処理は解除可能であるが、パスワードを盗用すれば、管理者になりすまして、不正コピーが可能となるセキュリティの欠陥がある。そこで、たとえ、原稿判別不能加工処理を解除し、不正コピーを行ったとしても、地紋パターン原稿複製を行ったユーザの割り出しを容易に行えるという効果がある。
【0022】
図14は不正コピー履歴を記録していることを警告表示する画面例を示す図である。図15は不正コピーを行った際、音声警告通知するか否かを設定する画面例を示す図である。
次に、図2、図12、図14、及び図15を参照して、ユーザIDを履歴として記憶するとともに、操作パネル表示に「不正コピー」であり、ユーザIDが履歴として保存される旨の警告を通知する例を説明する。
図12のステップ(S13)にて、原稿スキャンした際、地紋ありの原稿であったとする。ステップ(S14)にて、ステップ(S11)で認識したユーザIDをNVRAM27に記憶する。さらに、図15のような表示が操作パネル1の液晶表示部2(図1)にて通知される。
このように、管理者になりすましても、現在のユーザが不正コピーを行っていることが、画像処理装置(画像形成装置)に記録されており、ユーザの割り出しが可能であることをユーザに表示通知として知らせることにより、不正コピーの抑止効果がある。
【0023】
次に、図2及び図12を用いて、ユーザIDを履歴として記憶するとともに、音声により「不正コピー」であり、ユーザIDが履歴として保存される旨の警告を通知する例を説明する。
図12のステップ(S13)にて、原稿スキャンした際、地紋ありの原稿であったとする。ステップ(S14)にて、ステップ(S11)にて認識したユーザIDをNVRAM27に記憶する。
さらに、図2に図示しない音声発信装置(音声発信手段)から図14に示すような「警告!この原稿の複製は、不正コピーとみなされます。あなたのユーザIDは、履歴として記録されます。」のような音声が発せられ、通知される。
これにより、現在のユーザが管理者になりすましても、不正コピーを行っていることが、画像処理装置に記録されており、ユーザ割り出し可能であることをユーザに音声通知として知らせることによって、不正コピーの抑止効果がある。この場合、通知手段は音声であることにより、視覚的に障害のあるユーザでも判別可能であるという効果がある。
【0024】
次に、図2及び図12を参照して、ユーザIDを履歴として記憶するとともに、パトライト等の発光手段により「不正コピー」である旨の警告を通知することの例を説明する。
図12のステップ(S13)にて、原稿スキャンした際、地紋ありの原稿であったとする。ステップ(S14)にて、ステップ(S11)にて認識したユーザIDをNVRAM27に記憶する。さらに、図2に図示しない発光装置(発光手段)から発光し、警告を行う。
これにより、現在のユーザが管理者になりすましても、不正コピーを行っていることが、画像処理装置に認識されていることを、周囲にも気づかれる位の明るさの発光で知らせることにより、不正コピーの抑止効果がある。
この場合、通知手段は視覚に訴える表示であることにより、聴覚的に障害のあるユーザでも判別可能であるという効果がある。しかし、不正コピー時、不正コピーを行っていることは、画像処理装置に記録されており、ユーザ割り出し可能であることを、発光により通知することは、音声による通知と同様に、管理者である場合には不要であるため、いちいち光が発せられることの煩わしさを解消するために、発光手段の発光による警告は、初期設定の際に、操作パネル1によりオン/オフの設定を可能とすることができる。
【0025】
次に、図2、図12及び図14を参照して、操作パネル1(図1)の表示警告は必ず行うこととして、操作パネル1によるオン/オフの設定は不可とする例を説明する。図12のステップ(S13)にて、原稿スキャンした際、地紋ありの原稿であったとする。
ステップ(S14)にて、ステップ(S11)にて認識したユーザIDをNVRAM27に記憶する。さらに、図14のような表示が操作パネル1にて通知され、この表示は必ず行われ、初期設定等で表示されないような設定は不可能とする。
このように、不正コピー時、不正コピーを行っていることが、画像処理装置に記録されており、ユーザの割り出しが可能であることを、必ず表示することにより、不正コピーを抑止する効果がある。
【0026】
図15は不正コピーを行った際、音声警告通知するか否かを設定する画面例を示す図である。次に、図15を参照して、音声警告は、初期設定によりオン/オフの設定を可能とする例を説明する。初期設定等において、図15のような画面にて「いいえ」の設定を行うことにより、音声発信装置からの警告音声は発せられないことになる。
このように、不正コピー時、現在のユーザが不正コピーを行っていることが、画像処理装置に記録されており、ユーザ割り出し可能であることを、音声により通知することは、この画像処理装置の管理者である場合には不要であるので、その都度音声が発せられることの煩わしさを解消するという効果がある。
図16は不正コピーを行った際、発光警告通知するか否かを設定する画面例を示す図である。次に、図16を用いて、発光警告は、初期設定の際に、操作パネル1によるオン/オフの設定を可能とする例を説明する。初期設定等において、図16に示すような画面にて「いいえ」の設定を行うことによって、発光手段からの発光は行わないことになる。
このように、不正コピー時、現在のユーザが不正コピーを行っていることを、発光により通知することは、現在のユーザが管理者である場合には不要であるため、その都度周囲にも気づかれる位の明るさの光が発せられることの煩わしさを解消するという効果がある。
【0027】
図17はスキャン前にユーザIDあるいはグループIDを認識して原稿スキャンする場合の動作を示すフローチャートである。図18はスキャン前にユーザIDあるいはグループIDを認識して原稿をプレスキャンする場合の動作を示すフローチャートである。
次に、図2、図6及び図17を用いて、地紋パターン内の情報から判断して、特定のユーザに対しては、原稿判別不能加工対象外と判断し、原稿判別不能加工処理を行わない例を説明する。
図6に示すような、パターン70を地紋として印刷する際に、特定のユーザの識別コード(複製許可者用ID)が、地紋パターン内に埋め込まれるような指定をユーザが指定可能とする。識別コードは数値等であからさまに判るような内容でもよく、あるいは暗号のような内容でもよく形態は問わない。
一方、識別コードが埋め込まれた印刷物(地紋印刷された原稿)を原稿として、複製する場合を想定する。先ず、スキャン前にユーザID認識手段がユーザIDあるいはグループIDを認識する(図17のS20)。図2には図示しないがユーザID認識手段であるユーザID入力・認識装置が装備されているとする。この手段としては、ユーザIDを入力する、IDカードによりID入力する、指紋/静脈/目の虹彩によりユーザID入力する等々によりID認識する(図17のS21)。
次に、原稿スキャンした際、地紋ありの原稿であったとする(図17のS22)。画像処理ユニット36は、ステップ(S21)で認識したIDと比較を行い(図17のS23)、一致しない場合(S23でNo)、原稿判別不能加工処理を行うが(図17のS24)、一致した場合(S23でYes)は、原稿判別不能加工対象外ユーザと判断し、原稿判別不能加工処理を行わず(図17のS25)、通常どおり現行の複製あるいは、電子化が終了する。
【0028】
次に、図2、図6、図18を用いて、プレスキャンを行い、原稿判別不能加工するか否かを事前にユーザに通知する方法を説明する。上述したように、図6のパターン70に示すような、地紋を印刷する際に、特定のユーザの識別コード(ユーザID等)が、地紋パターン内に埋め込まれるような指定をユーザが指定可能とする。識別コードは数値等であからさまに判るような内容でもよく、あるいは暗号のような内容でもよく形態は問わない。
プレスキャンにより、原稿判別不能加工するか否かを事前にユーザに通知することにより、自分が特定ユーザであることを認識していない場合、原稿判別不能加工が施された無駄な電子ファイル、印刷物が発生することを未然に防止することが可能という効果がある。
一方、識別コードが埋め込まれた印刷物を原稿として、複製する場合を想定する。先ず、スキャン前にユーザID認識手段はユーザIDあるいはグループIDを認識する(図18のS30)。図2には図示しないが、ユーザID認識手段としてのユーザID入力・認識装置が装備されているとする。この手段としては、ユーザIDを入力する、IDカードによりID入力する、指紋/静脈/目の虹彩によりユーザID入力する等々によりID認識する(図18のS30)。
次に、原稿スキャンした際、地紋ありの原稿であったとする(図18のS32)。画像処理手段は、ステップ(S31)で認識したIDと比較を行い(図18のS33)、一致しない場合は原稿スキャン不可通知を行うが(図18のS34)、一致した場合は、原稿判別不能加工対象外ユーザと判断し、原稿スキャン可能通知を行う(図17のS35)。
【0029】
次に、図2を用いて、通知手段が表示である方法を説明する。管理者は事前に初期設定等にて、操作パネル制御装置21内の入力装置41にて、「地紋パターン原稿スキャン可否通知手段」を「表示」と設定し、NVRAM27に記憶しておく。そこで、不正コピーである通知が必要な場合、表示装置42にその旨が表示される。
次に、図2を用いて、通知手段が音声である方法を説明する。管理者は事前に初期設定等にて、操作パネル制御装置21内の入力装置41にて、「地紋パターン原稿スキャン可否通知手段」を「音声」と設定し、NVRAM27に記憶しておく。そこで、不正コピーである通知が必要な場合、図示しない音声発信装置にてその旨が音声ガイドとして通知される。
次に、さらに、図2を参照して、画像形成装置において、特定のユーザに対して、原稿判別不能加工対象外と判断する設定の操作パネル1によるオン/オフが可能であること方法を説明する。管理者は、事前に初期設定等にて、操作パネル制御装置21内の入力装置41にて、特定ユーザに対する、原稿判別不能加工処理回避設定をオン/オフし、該内容がNVRAM27に記憶される。
「原稿判別不能加工」対象外の特定ユーザは、複数のユーザにより構成される、特定のグループという単位であることにより、一人に限定せず、「ooo文書電子化可能グループ」「xxx文書複製可能グループ」といった複数メンバーに対して効力があることが可能という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による画像形成装置のシステムの操作パネルの外観を示す概略図。
【図2】図1の画像形成装置のシステム制御ブロック図。
【図3】図1の画像形成装置のシステム初期設定の管理者用画面を示す概略図。
【図4】地紋認識機能有効を設定する画面を示す概略図。
【図5】地紋パターン認識ブロック図。
【図6】本発明によって地紋が印刷された原稿を読み取った例を示す概略図。
【図7】本発明によって地紋がない原稿を読み取った例を示す概略図。
【図8】ネットワークの接続例を示す概略図。
【図9】地紋パターン認識を有効に設定する例を示すフローチャート。
【図10】本発明の実施の形態による管理者IDと認証コードを入力する画面を示す図。
【図11】管理者IDと認証コードの対応を示す図。
【図12】地紋パターン認識し、ユーザIDを履歴として、NVRAMに保存する例を示すフローチャート。
【図13】不正コピー履歴の画面例を示す図。
【図14】不正コピー履歴を記録していることを警告表示する画面例を示す図。
【図15】不正コピーを行った際、音声警告通知するか否かを設定する画面例を示す図。
【図16】不正コピーを行った際、発光警告通知するか否かを設定する画面例を示す図。
【図17】スキャン前にユーザIDあるいはグループIDを認識して原稿スキャンする場合の動作を示すフローチャート。
【図18】スキャン前にユーザIDあるいはグループIDを認識して原稿をプレスキャンする場合の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0031】
1 操作パネル
2 液晶表示部(表示装置42)
20 システムコントローラ
21 操作パネル制御装置
22 画像入出力制御装置
24 CPU
36 画像読み取りユニット
37 画像書き込みユニット
38 CPU
43 CPU
50 地紋認識ユニット
63 位相情報記憶部
62 孤立ドット検出部(孤立画素検出)
63 位相情報記憶部
64 パターンマッチング部
65 地紋検出部
80 画像形成装置(デジタル複合機)
82 スキャナ装置
84 プリンタ装置
86 公衆回線網
91 コンピュータ
90 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地紋を有する原稿を読みとった場合に特定画素中の所定の地紋パターンを認識する地紋パターン認識手段と、
前記地紋パターン認識手段が、前記地紋パターンを認識した時に、読み取った原稿画像を判別出来ないように画像処理する画像処理手段と、
ユーザIDを認識可能なユーザID認識手段と、
すくなくとも前記ユーザIDを記憶する記憶手段と、
を備えた画像形成装置において、
前記画像処理手段による前記画像処理を解除した場合でも、前記地紋パターン認識時は前記ユーザIDを前記記憶手段に履歴として記憶することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
少なくとも警告を表示する表示手段をさらに備え、
前記地紋パターン認識手段が前記地紋パターンを認識した時に、不正コピーである旨及び前記ユーザIDが履歴として保存される旨の警告を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記地紋パターン認識手段が前記地紋パターンを認識した時に、不正コピーである旨及びユーザIDを履歴として保存する旨を音声により警告する音声発信手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記地紋パターン認識手段が前記地紋パターンを認識した時に、不正コピーである旨を発光により警告する発光手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも警告のオン/オフを設定する設定手段をさらに備え、
前記表示手段による警告は、前記設定手段によりオン/オフを不可としたことを特徴とする請求項1乃至4何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記音声による警告は、前記設定手段によりオン/オフ可能としたことを特徴とする請求項1乃至5何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記発光による警告は、前記設定手段によりオン/オフ可能としたことを特徴とする請求項1乃至5何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像処理手段は、前記地紋パターン内に埋め込まれた識別コードとユーザIDが一致した特定のユーザを前記画像処理の対象外と判断し、前記画像処理を行わないことを特徴とする請求項1乃至7何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記特定のユーザは、複数のユーザにより構成されるグループであることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記所定の地紋を有する原稿のプレスキャンをする場合、該プレスキャンの結果、前記地紋パターン内に埋め込まれた識別コードとユーザIDが一致したとき、前記画像処理を行うか否かを事前に前記特定のユーザに通知することを特徴とする請求項8又は9記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記特定のユーザを前記画像処理の対象とするか否かは、前記設定手段によりオン/オフすることを特徴とする請求項8乃至10何れか一項記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−48080(P2008−48080A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220711(P2006−220711)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パトライト
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】