説明

画像形成装置

【課題】画像データを記憶する記憶部の低温環境における動作速度の低下を防止できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置のスリープモード中に(S101;Yes)、画像形成装置に搭載されたハードディスク装置の温度を測定し(S102)、この測定温度がハードディスク装置の動作速度が低下する温度(10℃以下)の場合は(103;Yes)、ハードディスク装置への通電を所定時間だけ実行する(S105/S106)。通電後にハードディスク装置の温度を再度測定し(S107)、この測定温度が一定温度(18℃)未満の場合は(S108;No)、一定温度以上になるまでハードディスク装置に対する所定時間の通電を繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスク装置などを画像データの記憶装置として備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のハードディスク装置は、大容量化や高密度化に伴い温度の影響を受けやすくなっていることから、低温時や高温時の信頼性を確保する対策を講じているものがある。しかし、その影響で使用環境温度やハードディスク装置自体の温度が低温または高温となったときにデータの読み書き動作に速度制限が生じる。また、通電開始から安定動作するまでの制御の初期状態にも同様に動作速度の低下が発生する。
【0003】
このようなハードディスク装置を画像データの記憶装置として搭載した画像形成装置においては、画像形成装置の動作状態にハードディスク装置が低温になると冷却FANの回転を停止する制御を行ってハードディスク装置の温度上昇を早める、あるいは、低速アクセス状態でのジョブの投入や多重投入を禁止する制御を行うなどして、ハードディスク装置の低速動作中の不具合を防止するようにした技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2006−56062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の技術は画像形成装置の動作状態におけるハードディスク装置の温度制御に関するものであり、ハードディスク装置への通電を停止させるスリープモード(非動作状態)などでの温度制御までは考慮されていない。そのため、スリープモード時などにハードディスク装置が低温となり、その状態から画像形成装置を起動(ウェイクアップ)してハードディスク装置への通電を再開し直ちに原稿の読み取りや印刷を開始すると、ハードディスク装置による画像データの入出力が原稿読取/印刷出力に間に合わなくなり、処理の中断や生産性の低下を招いてしまうことがある。
【0006】
このように、ハードディスク装置を搭載した画像形成装置においては、装置の起動直後から装置の最速条件で原稿読取/印刷出力を実施したい場合に、上述したようなハードディスク装置の温度環境因子が生産性に影響するため解決しなければならない問題となっている。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、画像データを記憶する記憶部の低温環境における動作速度の低下を防止できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]画像データの入力部と、
前記入力部から出力された画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した画像データに基づいて用紙上に画像形成する画像形成部と、
前記記憶部の温度を検出する温度検出部と、
当該画像形成装置の動作モードをスリープモードまたは他のモードに切り替える動作モード切替部と、
当該画像形成装置の動作モードが前記スリープモードのとき前記温度検出部の検知結果に基づいて前記記憶部の通電制御を行う制御部と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【0010】
上記発明では、画像形成装置の動作モードがスリープモードのときに温度検出部が検出した記憶部の温度に基づいて記憶部の通電制御を行う。たとえば、記憶部のデータ読み書き速度が低下する低温温度を検出したときは記憶部に通電し、データ読み書き速度が低下しない常温温度を検出したときは記憶部に通電しないなどの通電制御を行う。これにより、スリープモード中も記憶部を動作速度の低下しない温度に維持でき、スリープモードから他のモード(通常モード)へ移行した後に直ちに画像形成を開始しても、記憶部を動作速度の低下しない状態でアクセスすることができる。
【0011】
[2]画像データの入力部と、
前記入力部から出力された画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した画像データに基づいて用紙上に画像形成する画像形成部と、
前記記憶部の温度を検出する温度検出部と、
当該画像形成装置の動作モードを前記記憶部に対して連続通電する第1動作モードまたは通電停止する第2動作モードに切り替える動作モード切替部と、
当該画像形成装置の動作モードが前記第2動作モードのとき前記温度検出部の検知結果に基づいて前記記憶部の通電制御を行う制御部と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【0012】
上記発明では、画像形成装置の動作モードが記憶部に対して通電停止する第2動作モードのときに温度検出部が検出した記憶部の温度に基づいて記憶部の通電制御を行う。なお、この第2動作モードは温度以外の要因で記憶部を通電停止させておくモードである。たとえば、記憶部のデータ読み書き速度が低下する低温温度を検出したときは記憶部に通電し、データ読み書き速度が低下しない常温温度を検出したときは記憶部に通電しないなどの通電制御を行う。これにより、第2動作モード中も記憶部を動作速度の低下しない温度に維持でき、アクセス要求が生じた場合に直ちに記憶部を動作速度の低下しない状態でアクセスすることができる。
【0013】
[3]複数の前記記憶部と、
前記複数の前記記憶部に対応して設けられた複数の前記温度検出部と、
を備え、
前記制御部は前記複数の前記記憶部に対する前記通電制御を1台ずつ行う
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の画像形成装置。
【0014】
上記発明では、複数の記憶部に対する通電制御を1台ずつ行うようにすることで、通電制御を複数の記憶部に対して同時並行に行うような場合に比べて、スリープモード時/第2モード時の消費電力を抑制することができる。
【0015】
[4]前記制御部は前記複数の前記記憶部に対する前記通電制御を予め設定された優先度の高い記憶部から順に行う
ことを特徴とする[3]に記載の画像形成装置。
【0016】
上記発明では、複数の記憶部に対する通電制御を1台ずつ行う場合は、たとえばアクセス要求される可能性の低い記憶部よりも可能性の高い記憶部の優先度を高めた設定とし、その優先度の高い記憶部から順に通電制御を行って昇温しスタンバイさせる。これにより、各記憶部に対する通電制御を効率よく行うことができる。
【0017】
[5]前記記憶部が設けられた当該画像形成装置の内部の温度を検出する環境温度検出部を更に備え、
前記制御部は前記通電制御を前記温度検出部の検出結果と前記環境温度検出部の検出結果とに基づいて行う
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0018】
スリープモードや記憶部への通電を停止する第2動作モードでは、画像形成装置の内部の温度が低下し、記憶部の温度はその画像形成装置内の温度低下に追従して変化する傾向がある。そこで上記発明では、記憶部の通電制御を記憶部自体の温度と記憶部が設けられた画像形成装置の内部の環境温度とに基づいて行うようにする。このように、画像形成装置内の環境温度も加味することで、記憶部の温度変化を予測した余裕のある通電制御を実現できる。
【0019】
[6]前記環境温度検出部は熱電対である
ことを特徴とする[5]に記載の画像形成装置。
【0020】
[7]前記通電制御は前記記憶部を一定時間の間隔でオン/オフする制御である
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0021】
上記発明では、記憶部を一定時間の間隔でオン/オフするだけであるため制御が簡単になる。
【0022】
[8]前記通電制御は前記記憶部の温度が所定温度以上になるように行う
ことを特徴とする[1]乃至[7]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0023】
[9]前記温度検出部は、前記記憶部が内部に備える内部温度検出部である
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0024】
上記発明では、記憶部が内部に備える内部温度検出部を用いて温度を検出することにより、記憶部内の正確な温度を検出し制御できるようになる。また、簡単な構成での温度検出が可能になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る画像形成装置によれば、画像データを記憶する記憶部の低温環境における動作速度の低下を防止することができる。したがって、画像形成装置をスリープモードなどから起動した直後などでも記憶部を動作速度の低下しない状態でアクセスすることができ、最大の生産性で処理できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成を示すブロック図である。画像形成装置10は、原稿を光学的に読み取るスキャナ機能、該読み取りで得た画像データを用紙上に画像形成して印刷出力するコピー機能、外部から入力された印刷データを画像データに変換し、該変換した画像データを用紙上に画像形成して印刷出力するプリント機能、公衆回線を通じて外部機器と画像データをファクシミリ送受信するファクシミリ機能などを備えたデジタル複合機として構成されている。
【0028】
図1に示すように、画像形成装置10は、全体制御部11と、ハードディスク装置12(図中、HDD;Hard Disk Driveと表示)と、外部インターフェース(I/F;Interface)13と、ファクシミリ部14と、スキャナ部15と、画像処理部16と、プロセス制御部17と、プロセス制御インターフェース18と、プリンタ部19と、温度センサ20と、モード制御スイッチ21と、電源制御部22とを備えている。また全体制御部11は、上記の各機能を含む画像形成装置10の全体の動作を統括制御するCPU(Central Processing Unit)30と、ROM(Read Only Memory)31と、RAM(Random Access Memory)32と、不揮発メモリ33と、ハードディスク装置12が配下に接続されたハードディスク装置インターフェース34とを備えている。
【0029】
ROM31は、CPU30が実行するプログラムや各種固定データを記憶している。RAM32は、CPU30がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するワークメモリや、原稿の読み取りで取得した画像データやファクシミリ受信した画像データを一時的に格納する画像メモリとして機能する。不揮発メモリ33は、装置固有の各種パラメータやハードディスク装置12の通電制御に使用する制御データなど、電源オフ後も保存すべき所定のデータを記憶する機能を果たす。
【0030】
ファクシミリ部14は、図示しない公衆回線と接続され、画像データをファクシミリに対応した圧縮方式で圧縮・伸張する機能や、公衆回線を通じたファクシミリ送受信のための各種通信手順を制御する機能を果たす。
【0031】
スキャナ部15は、原稿を読み取って画像データを取得する機能を果たし、原稿を照射する光源、原稿を幅方向に1ライン分読み取るCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサおよびこのイメージセンサが出力するアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するA/D変換器を備えている。また、図示省略してあるが、イメージセンサによるライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に移動させる移動機構、原稿からの反射光をイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーからなる光学部品などを備えている。
【0032】
外部インターフェース13は、LAN(Local Area Network)2、ファクシミリ部14、スキャナ部15などが接続され、ファクシミリ部14やスキャナ部15あるいは外部とデータの授受を行う機能や、LAN2などを通じて外部端末から受信した文字コードなどで構成された印刷データを画像データ(イメージデータ)に展開(ラスタライズ)する機能を備えている。この外部インターフェース13は画像データの入力部としての機能を果たす。
【0033】
ハードディスク装置12は、スキャナ部15による原稿の読み取りで取得した画像データの複数部の印刷出力などを可能とするために、大量の画像データを記憶し蓄積する機能を果たす。またハードディスク装置12は、装置自体の使用時間や装置内部の温度などを含む各種の検査項目をリアルタイムに検出してその情報を保持する自己診断機能としてのSMART(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)を搭載している。
【0034】
画像処理部16は、全体制御部11から入力される画像データに対して印刷出力のための各種画像処理を施しプロセス制御部17へ出力する機能を備えている。プロセス制御部17は、画像処理部16から入力される画像データをプロセス制御インターフェース18を介してプリンタ部19へ出力すると共にプリンタ部19によるプリント動作を制御する機能を備えている。
【0035】
プリンタ部19は、プロセス制御部17からプロセス制御インターフェース18を介して入力された画像データに対応する画像を電子写真プロセスによって用紙上に形成して出力する。プリンタ部19は、図示しない、用紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、入力される画像データに応じて点灯制御されるLD(Laser Diode)と、LDから射出されたレーザ光を感光体ドラム上で走査させる走査ユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有する、いわゆるレーザープリンタとして構成されている。レーザ光に代えてLED(Light Emitting Diode)で感光体ドラムを照射するLEDプリンタのほか他の方式のプリンタであってもかまわない。
【0036】
画像形成装置10の内部では、プリンタ部19の近傍にプロセス制御インターフェース18およびプロセス制御部17が配設されており、更にそれらの近傍にハードディスク装置12が設置されている。
【0037】
温度センサ20は、熱電対で構成されており、プロセス制御インターフェース18に接続されると共にプロセス制御部17およびプリンタ部19の近傍に取り付けられ、画像形成装置10の内部の温度(環境温度)を検出する環境温度検出部としての機能を果たす。また、ハードディスク装置12がプロセス制御部17およびプリンタ部19の近傍に設置されていることで、温度センサ20はハードディスク装置12の周囲の環境温度を検出する機能も兼ね備えている。
【0038】
画像形成装置10には、動作モードとして通常モードおよびスリープモードが設けられており、モード制御スイッチ21は画像形成装置10の動作モードを通常モードまたはスリープモードへ切り替える動作モード切替部としての機能を備えている。なお、このモード制御スイッチ21は画像表示およびタッチ操作が可能なタッチパネル式の操作表示部(オペレーションパネル)として構成されており、画像形成装置10の動作状態や操作案内、警告、エラーなどに関する各種の情報を表示する機能、およびユーザからの入力操作を受け付ける機能も備えている。
【0039】
電源制御部22は、図示しない電源部と接続され、ハードディスク装置12、画像処理部16、プロセス制御部17、プロセス制御インターフェース18、プリンタ部19、モード制御スイッチ21などに対する電源制御(通電/停止)を行う機能を果たす。また、外部インターフェース13、ファクシミリ部14、スキャナ部15などは、電源制御部22による電源制御を受けずに動作するようになっている。
【0040】
以下に、画像形成装置10が動作モードとして備えている通常モードおよびスリープモードについて説明する。
【0041】
通常モードとは、操作表示部としてのモード制御スイッチ21を含む装置各部が通電されており、ユーザがモード制御スイッチ21から機能操作できる状態である。この通常モードではハードディスク装置12も通電されている。換言すると、通常モードとはハードディスク装置12に対して連続通電する動作モード(第1動作モード)である。
【0042】
スリープモードとは、節電効果を得るために装置各部をパワーオフ/ローパワーにするが通常モードへ復帰するためのトリガ(起動信号)は受け付ける状態である。このスリープモードでは、モード制御スイッチ21はバックライトを消灯もしくは更に表示を消しているがユーザによるタッチ操作は感知するようになっている。また、ハードディスク装置12、画像処理部16、プロセス制御部17、プリンタ部19などは電源制御部22により通電停止され、プリント機能は停止した状態となる。ただし、外部インターフェース13、ファクシミリ部14、スキャナ部15は通電されて動作可能状態(待機状態)になっている。スリープモードにおいてモード制御スイッチ21がタッチ操作されたり、LAN2を通じてプリントジョブが外部インターフェース13に入力されたり、公衆回線を通じてファクシミリジョブがファクシミリ部14に入力されたり、原稿がスキャナ部15にセットされたりすると、画像形成装置10はウェイクアップして通常モードに復帰する。また、プロセス制御インターフェース18は電源制御部22による通電を受け、温度センサ20は有効状態になっている。
【0043】
上記のように、スリープモードではハードディスク装置12が通電停止された状態となる。換言すると、スリープモードとはハードディスク装置12に対して通電停止する動作モード(第2動作モード)である。ただし、ハードディスク装置12は後述する通電制御によりスリープモード中でも通電される場合がある。
【0044】
このスリープモードは、モード制御スイッチ21でスリープモードの選択操作(スリープモード選択ボタンの押下操作など)を行うことにより手動的に切り替わる、または、無操作およびジョブの無入力状態で所定時間を経過するとタイマーにより自動的に切り替わるようになっている。
【0045】
次に、画像形成装置10による通常のコピー動作とプリント動作における画像データの入力から出力までの流れを説明する。
【0046】
コピー動作の場合は、スキャナ部15で原稿画像の読み取りを行うと、スキャナ部15から画像データが順次出力され外部インターフェース13を介して全体制御部11に入力される。この画像データはRAM32に一時的に格納され、更にRAM32からハードディスク装置インターフェース34を介してハードディスク装置12に転送され格納される。
【0047】
プリント動作の場合は、外部インターフェース13は図示しない外部端末からLAN2を通じて印刷データを受信すると、印刷データを画像データに展開する。この画像データは外部インターフェース13から全体制御部11に入力され、コピー動作と同様にRAM32に一時的に格納され、RAM32からハードディスク装置インターフェース34を介してハードディスク装置12に転送され格納される。
【0048】
コピー動作およびプリント動作共に、ハードディスク装置12に格納された画像データは出力時に読み出されて全体制御部11を経由し画像処理部16へ出力され、画像処理部16で各種の画像処理を施された後、プロセス制御部17およびプロセス制御インターフェース18を経由してプリンタ部19へ出力される。プリンタ部19は、入力される画像データに従ってLDの点灯制御を行って画像を用紙上に形成し、印刷出力する。
【0049】
次に、画像形成装置10のスリープモードにおいて実施するハードディスク装置12の通電制御について説明する。
【0050】
背景技術で説明したように、ハードディスク装置は低温になるとデータの読み書き速度が低下することがある。また、この温度要因によるデータ読み書き速度の低下は機種によって異なっていることがあり、中にはデータ書き込み速度が大幅に低下する機種もある。そのため、特に高解像度および高速出力を実現した画像処理装置においては、ハードディスク装置のデータ読み書き速度の低下による影響で、原稿の読み取りや印刷出力に対してハードディスク装置による画像データの入出力が間に合わずにデータ待ち時間が発生してしまい、処理の中断や生産性の低下を招いてしまうことがある。
【0051】
そこで、本実施の形態では画像形成装置10に搭載するハードディスク装置12の温度とデータ読み書き速度の関係(特性)を予め測定し、原稿読取/印刷出力でデータ読み書き速度の低下を許容できる下限温度を設定しておき、画像形成装置10のスリープモード時にはその下限温度を用いてハードディスク装置12の通電制御を行うようにする。さらに、通電制御の開始にマージンを持たせるために、画像形成装置10の内部におけるハードディスク装置12の周囲の環境温度も加味して通電制御を行うようにする。
【0052】
詳細には、ハードディスク装置12における上記の測定結果に基づいて設定した下限温度(T)を全体制御部11の不揮発メモリ33に予め記憶しておき、画像形成装置10のスリープモード時には通電停止されたハードディスク装置12の温度を監視する。この温度が下限温度以下になったときには、画像形成装置10による原稿読取/印刷出力でハードディスク装置12にデータ読み書き速度の低下が発生すると判断でき、ハードディスク装置12を一定時間通電して昇温させる制御を行う。また、ハードディスク装置12の温度が上記の下限温度に近づいており(T+α1)、かつ、周囲の環境温度が下限温度(T)以下のときには、ハードディスク装置12の温度がまもなく下限温度以下になる可能性があると判断でき、この場合も同様にハードディスク装置12を一定時間通電して昇温させる制御を行う。さらにこの一定時間の通電は、ハードディスク装置12の温度が一定温度(T+α2)以上になるまで繰り返し行うようにする。
【0053】
たとえば、ハードディスク装置12が10℃以下になると原稿読取/印刷出力の生産性に影響が及ぶデータ読み書き速度の低下を発生するような場合には、通電開始条件となる下限温度(T)を10℃に設定する。また、環境温度が下限温度以下のときにハードディスク装置12への通電を開始する温度マージン(T+α1)は任意に設定できるが、本実施の形態では環境温度を測定する温度センサ20の測定誤差が2℃程度あることなどを考慮し、下限温度+2℃(=12℃)に設定する。また、ハードディスク装置12への通電停止条件となる一定温度(T+α2)も任意に設定できるが、本実施の形態では18℃に設定する。このようにして設定した各温度を用いて以下に説明するハードディスク装置12の通電制御処理を実施する。
【0054】
図2は、本実施形態の画像形成装置10が実施するハードディスク装置12の通電制御処理の流れを示している。
【0055】
CPU30は、本処理を開始すると(スタート)、画像形成装置10の動作モードがスリープモードに切り替わったか否かを常時監視する(ステップS101)。ユーザによるモード制御スイッチ21の操作またはタイマーで自動的にスリープモードに切り替わると(ステップS101;Yes)、CPU30は電源制御部22に指示を送り、電源制御部22によるハードディスク装置12への通電を停止させる。続いてCPU30は、ハードディスク装置12の温度と画像形成装置10の内部の温度を測定する(ステップS102)。詳細には、CPU30はハードディスク装置12のSMARTがリアルタイムに検出するハードディスク装置12の内部の温度情報を取得すると共に、温度センサ20がリアルタイムに検出する画像形成装置10の内部(ハードディスク装置12の周囲)の温度情報を取得する。
【0056】
次にCPU30は、ハードディスク装置12のSMARTから取得した温度情報よりハードディスク装置12の温度が10℃以下であるか否かを判断する(ステップS103)。10℃を超える場合は(ステップS103;No)、CPU30は更に温度センサ20から取得した温度情報も参照して、ハードディスク装置12の温度が12℃以下でかつ画像形成装置10の内部の温度(ハードディスク装置12の使用環境温度)が10℃以下であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0057】
ここで否定判断の場合は(ステップS104;No)、ステップS101へ戻り、CPU30はスリープモードへの切替判断以降の処理を継続する。また肯定判断の場合(ステップS104;Yes)、または、ハードディスク装置12の温度が10℃以下の場合は(ステップS103;Yes)、CPU30は電源制御部22に指示を送り、電源制御部22によるハードディスク装置12への通電を所定時間tだけ実行する(ステップS105/S106)。この通電によりハードディスク装置12の温度は上昇する。
【0058】
通電が終了すると、CPU30はハードディスク装置12の温度を再度測定する(ステップS107)。すなわち、CPU30はハードディスク装置12のSMARTがリアルタイムに検出するハードディスク装置12の内部の温度情報を再度取得する。
【0059】
そしてCPU30は、取得した温度情報よりハードディスク装置12の温度が18℃以上であるか否かを判断する(ステップS108)。18℃未満の場合は(ステップS108;No)、ステップS105へ戻り、ステップS105以降の処理(ハードディスク装置12に対する所定時間tの通電)を繰り返す。また18℃以上の場合は(ステップS108;Yes)、ステップS101へ戻り、CPU30はスリープモードへの切替判断以降の処理を継続する。
【0060】
このように、本実施の形態に係る画像形成装置10では、スリープモード時にハードディスク装置12の温度に基づいてハードディスク装置12の通電制御を行うことにより、スリープモード中もハードディスク装置12を動作速度の低下しない温度(10℃以上)に維持できる。これにより、スリープモードから通常モードへ移行した後に直ちに原稿の読み取りや印刷出力を開始しても、ハードディスク装置12を動作速度の低下しない状態でアクセスすることができる。したがって、ハードディスク装置12による画像データの入出力が原稿の読み取りや印刷出力に間に合わなくなるようなことを回避でき、ジョブ開始時から画像形成装置10の最速条件(最大の生産性)で原稿読取/印刷出力を実施することができる。
【0061】
また、スリープモードでは画像形成装置10の各部をパワーオフ/ローパワーにすることで装置内部の温度が低下し、ハードディスク装置12の温度はその画像形成装置10内の温度低下(低温環境温度)に追従して変化する傾向がある。これに対し、本実施の形態ではハードディスク装置12の通電制御をハードディスク装置12自体の温度と画像形成装置10内の温度(環境温度)とに基づいて行うことにより、ハードディスク装置12の温度変化を予測した余裕のある通電制御を実現することができる。さらにこの通電制御は、ハードディスク装置12を一定時間の間隔でオン/オフするだけであるため制御が簡単になる。
【0062】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置50の概略構成を示すブロック図である。
【0063】
画像形成装置50は、カラーコピー機能やカラープリント機能を備えたデジタルカラー複合機として構成されている。この画像形成装置50は、カラー画像の形成に使用するシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(blacK)の各色の画像データを個別にハードディスク装置に格納するように構成されており、ハードディスク装置を4台搭載している。詳細には、シアンの画像データを格納するハードディスク装置12Cと、マゼンタの画像データを格納するハードディスク装置12Mと、イエローの画像データを格納するハードディスク装置12Yと、ブラックの画像データを格納するハードディスク装置12Kとを搭載している。
【0064】
さらに、スキャナ部15はカラー原稿の画像を読み取ってC,M,Y,Kの各画像データを出力する機能を備えている。全体制御部11、画像処理部16、プロセス制御部17はC,M,Y,Kの各画像データを個別に処理する機能を備えている。プリンタ部19は入力されたC,M,Y,Kの各画像データからカラー画像を形成する機能を備えている。また電源制御部22は、4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kを個別に通電制御する機能を備えている。
【0065】
その他の各部は第1の実施の形態で説明した画像形成装置10と同様の構成となっている。通常モードやスリープモードにおける装置各部の通電状態なども第1の実施の形態と同様である。
【0066】
次に、画像形成装置50のスリープモードにおいて実施するハードディスク装置の通電制御について説明する。
【0067】
図4〜図6は、本実施形態の画像形成装置50が実施する4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kの通電制御処理の流れを示している。
【0068】
一般に節電効果を得るスリープモードなどは、使用可能な電力(基準電力)が電力規制の規格で定められており、消費電力がこの基準電力以下となるように制限されている。そのため、本実施形態のように4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kを搭載した画像形成装置50では、スリープモード時に各ハードディスク装置に対して同時並行に通電すると消費電力が上記の基準電力を超過してしまうおそれがある。そこで本実施形態の通電制御処理では、4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kに対する通電制御を1台ずつ行うようにすることで消費電力を抑えるようにしている。
【0069】
またカラー対応機であっても、一般にはカラーよりもモノクロでコピーや印刷する機会が多いため、ハードディスク装置12C、12M、12Yよりもハードディスク装置12Kへのアクセス要求頻度が高くなる可能性がある。また、カラーの原稿や印刷データにおいてもブラックの使用率が高い場合が多いため、シアン、マゼンタ、イエローよりもブラックの方がデータ量は多くなり、ハードディスク装置12C、12M、12Yよりもハードディスク装置12Kに対する必要データ転送レートが高くなる可能性がある。
【0070】
そこで本実施形態の通電制御処理では、アクセス要求される可能性が最も高く、しかも他の色よりも高いデータ転送レートが要求されると予想されるハードディスク装置12Kの通電制御を最優先し、次に残り3台のハードディスク装置12C、12M、12Yの通電制御を順次行うようにしている。そのために、ハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kの通電制御の優先順位を機能割り当てに対応させて予め設定している。本実施形態では、ハードディスク装置12Kを1番目に割り当て、残り3台については便宜的に、ハードディスク装置12Cを2番目に割り当て、ハードディスク装置12Mを3番目に割り当て、ハードディスク装置12Yを4番目に割り当てている。
【0071】
CPU30は、本処理を開始すると(スタート)、画像形成装置50に搭載された4台のハードディスク装置の機能割り当てを確認する(ステップS111)。ここでCPU30は、ブラック用のハードディスク装置12Kが1番目(HDD(1))に割り当てられており、シアン用のハードディスク装置12Cが2番目(HDD(2))に割り当てられており、マゼンタ用のハードディスク装置12Mが3番目(HDD(3))に割り当てられており、イエロー用のハードディスク装置12Yが4番目(HDD(4))に割り当てられていることを確認する。
【0072】
確認を終えると、CPU30は画像形成装置50の動作モードがスリープモードに切り替わったか否かを常時監視する(ステップS112)。ユーザによるモード制御スイッチ21の操作またはタイマーで自動的にスリープモードに切り替わると(ステップS112;Yes)、CPU30は電源制御部22に指示を送り、電源制御部22によるハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kへの通電を停止させる。
【0073】
続いてCPU30は、4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kの温度を機能割り当てで確認した順番(1番目から4番目までの順)に測定し、各温度情報を一時記憶する。
【0074】
詳細には、変数nを0に設定した後に(ステップS113)、変数nを+1加算して(ステップS114)、n番目のハードディスク装置(HDD(n))の温度を測定し、その温度をtmp(n)で一時記憶する(ステップS115)。このハードディスク装置の温度測定は、第1の実施の形態で説明したように、ハードディスク装置のSMARTがリアルタイムに検出するハードディスク装置の内部の温度情報を取得することにより行う。そして変数nが4になるまで(ステップS116)、ステップS114からステップS116までの処理を繰り返す。
【0075】
変数nが4になると(ステップS116;Yes)、4台のハードディスク装置の温度測定が完了する。続いてCPU30は、画像形成装置10の内部の温度を測定し、その温度をtmp_mで一時記憶する(ステップS117)。この画像形成装置10の内部の温度測定は、第1の実施の形態で説明したように、温度センサ20がリアルタイムに検出する画像形成装置50の内部(ハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kの周囲)の温度情報を取得することにより行う。
【0076】
次にCPU30は、変数nを0に設定した後に(ステップS118)、変数nを+1加算して(ステップS119)、変数nが4以下であれば(ステップS120;Yes)、n番目のハードディスク装置(HDD(n))の温度情報tmp(n)を読み出し、その温度情報tmp(n)を基にn番目のハードディスク装置の温度が10℃以下であるか否かを判断する(ステップS122)。10℃を超える場合は(ステップS122;No)、CPU30は更に画像形成装置50の内部の温度情報も読み出して参照し(ステップS123)、n番目のハードディスク装置の温度が12℃以下でかつ画像形成装置50の内部の温度が10℃以下であるか否かを判断する(ステップS124)。
【0077】
ここで否定判断の場合は(ステップS124;No)、ステップS119へ戻り、CPU30は次の番号のハードディスク装置について、同様にステップS119からステップS124までの処理を繰り返す。また、この処理の繰り返しで変数nが4を超えた場合には(ステップS120;No)、ステップS112へ戻り、CPU30はスリープモードの判断以降の処理を継続する。
【0078】
また肯定判断の場合(ステップS124;Yes)、または、n番目のハードディスク装置の温度が10℃以下の場合は(ステップS122;Yes)、変数nが1であるか否か、すなわち、現在対象としているハードディスク装置がブラック用(HDD(1))であるか否かを判断する(ステップS125)。変数nが1であれば図5のステップS126へ移行し、変数nが1でなければ図6のステップS130へ移行する。
【0079】
ステップS126へ移行した場合には、CPU30は電源制御部22に指示を送り、電源制御部22によるブラック用のハードディスク装置12K(HDD(1))への通電を所定時間tだけ実行する(ステップS126/S127)。この通電によりハードディスク装置12Kの温度は上昇する。
【0080】
通電が終了すると、CPU30はブラック用のハードディスク装置12Kの温度を再度測定し、その温度情報をtmp(1)で一時記憶する(ステップS128)。
【0081】
そしてCPU30は、温度情報tmp(1)よりブラック用のハードディスク装置12Kの温度が18℃以上であるか否かを判断する(ステップS129)。18℃未満の場合は(ステップS129;No)、ステップS126へ戻り、ステップS126以降の処理を繰り返す。また18℃以上の場合は(ステップS129;Yes)、図4のステップS112へ戻り、CPU30はスリープモードへの切替判断以降の処理を継続する。
【0082】
ステップS130へ移行した場合には、CPU30はブラック用を除くシアン用、マゼンタ用、イエロー用の各ハードディスク装置12C、12M、12Y(HDD(2)/HDD(3)/HDD(4))に対する所定時間tの通電を実行する。
【0083】
詳細には、変数nを1に設定した後に(ステップS130)、変数nを+1加算して(ステップS131)、CPU30は電源制御部22に指示を送り、電源制御部22によるn番目のハードディスク装置(HDD(n))への通電を所定時間tだけ実行する(ステップS132/S133)。この通電によりn番目のハードディスク装置の温度は上昇する。
【0084】
通電が終了すると、CPU30はn番目のハードディスク装置の温度を再度測定し、その温度情報をtmp(n)で一時記憶する(ステップS134)。
【0085】
そしてCPU30は、温度情報tmp(n)よりn番目のハードディスク装置の温度が18℃以上であるか否かを判断する(ステップS135)。18℃未満の場合は(ステップS135;No)、ステップS132へ戻り、ステップS132以降の処理を繰り返す。また18℃以上の場合は(ステップS135;Yes)、変数nが4になるまで(ステップS136)、ステップS131からステップS136までの処理を繰り返す。
【0086】
変数nが4になると(ステップS136;Yes)、ハードディスク装置12C、12M、12Yに対する通電が完了し、ハードディスク装置12C、12M、12Yの温度は一定温度(18℃)以上となる。そして図4のステップS112へ戻り、CPU30はスリープモードの判断以降の処理を継続する。
【0087】
また、図6に示した処理ではハードディスク装置12C、12M、12Yに対して全て通電制御を実行するようにしているが、一定温度(18℃)以上のハードディスク装置に対しては通電制御を実行しないようにしてもよい。その変形例を図7に示す。
【0088】
図7に示した処理では、CPU30は変数nを1に設定した後に(ステップS140)、変数nを+1加算して(ステップS141)、温度情報tmp(n)よりn番目のハードディスク装置の温度が18℃以上であるか否かを判断する(ステップS142)。18℃以上の場合は(ステップS135;Yes)、現在対象としているn番目のハードディスク装置に対する通電制御は行わず、変数nが4になるまで(ステップS143)、ステップS141からステップS143までの処理を繰り返す。
【0089】
また18℃未満の場合は(ステップS142;No)、図6のステップS132からステップS134までと同じ処理を行う。すなわち、CPU30は電源制御部22に指示を送り、電源制御部22によるn番目のハードディスク装置(HDD(n))への通電を所定時間tだけ実行する(ステップS144/S145)。この通電後に、CPU30はn番目のハードディスク装置の温度を再度測定してその温度情報をtmp(n)で一時記憶する(ステップS146)。
【0090】
その後はステップS142へ戻り、ここで温度情報tmp(n)よりn番目のハードディスク装置の温度が再度18℃未満であれば(ステップS142;No)、ステップS144以降の処理を繰り返す。18℃以上であれば(ステップS142;Yes)、ステップS143へ移行する。
【0091】
そして、ステップS143にて変数nが4になると(ステップS143;Yes)、図4のステップS112へ戻り、CPU30はスリープモードの判断以降の処理を継続する。
【0092】
上記の処理により、ハードディスク装置12C、12M、12Yにおいては一定温度(18℃)未満のものだけが通電制御を実行されて一定温度以上に昇温され、最初から一定温度以上のものは通電制御が実行されないようになる。
【0093】
このように、4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kを搭載したカラー対応の画像形成装置50においても、スリープモード時にハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kの温度に基づいて各ハードディスク装置の通電制御を行うことにより、スリープモード中も各ハードディスク装置を動作速度の低下しない温度(10℃以上)に維持できる。これにより、スリープモードから通常モードへ移行した後に直ちにカラー原稿の読み取りやカラーの印刷出力を開始しても、各ハードディスク装置を動作速度の低下しない状態でアクセスすることができる。したがって、ジョブ開始時から画像形成装置50の最速条件(最大の生産性)でカラーの原稿読取/印刷出力を実施することができる。
【0094】
また本実施の形態の場合も、各ハードディスク装置の通電制御をハードディスク装置自体の温度と画像形成装置50の内部の環境温度とに基づいて行うことにより、各ハードディスク装置の温度変化を予測した余裕のある通電制御を実現することができる。さらにこの通電制御も各ハードディスク装置を一定時間の間隔でオン/オフするだけであるため制御が簡単になる。
【0095】
また、本実施の形態では4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kに対する通電制御を1台ずつ行うことで消費電力を抑制している。これにより、スリープモードの消費電力を電力規制の基準電力以下に抑えて規格を満足できるようになる。さらにこの4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kに対する通電制御を1台ずつ行う際には、カラー対応機の使用状況などを考慮して通電制御の優先度はハードディスク装置12Kが最も高くなるように設定し、ハードディスク装置12Kを優先的に昇温させてスタンバイするようにしている。これにより、カラー対応機に搭載された4台のハードディスク装置12C、12M、12Y、12Kに対する通電制御をカラー対応機の使用状況などに応じて効率よく行うことができる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0097】
たとえば、実施の形態ではハードディスク装置に対する通電制御をスリープモード時に行うようにしているが、この通電制御はスリープモードに限らずハードディスク装置への通電を停止させる各種モード(待機モード/ローパワーモードなど)において行うようにしてもよい。
【0098】
また、実施の形態で説明した通電制御処理では、ハードディスク装置に対する通電制御をハードディスク装置の温度と画像形成装置の内部の温度(環境温度)を用いて行うようにしているが、ハードディスク装置の温度のみを用いて行うようにしてもよい。
【0099】
さらに、ハードディスク装置を一定時間の間隔でオン/オフするようにしているが、通電制御(通電/停止)の方法はこれに限らない。たとえば、ハードディスク装置の温度が通電停止条件となる一定温度(18℃)に満たないためにハードディスク装置に対する通電を繰り返し行うような場合には、1回目の通電時間に対して2回目の通電時間は1/2にする、3回目の通電時間は1/3にするなど、2回目以降の通電時間を前回の通電時間よりも短くするようにしてもよい。また通電時間の長さは、ハードディスク装置の温度と、通電停止条件となる一定温度との差が大きければ通電時間を長くし、差が小さければ通電時間を短くするなど、温度差に応じて変更するようにしてもよい。
【0100】
また、ハードディスク装置に対する通電制御は、実施の形態で説明したような時間に基づく制御に限らず、ハードディスク装置の温度を常時監視し一定温度以上になったタイミングで通電停止するなどの温度に基づく制御としてもよい。
【0101】
また、実施の形態ではハードディスク装置の温度を自己診断機能(SMART)を利用して検出するようにしているが、このような自己診断機能を搭載していないハードディスク装置に対しては、ハードディスク装置の表面などに温度センサを取り付けて装置外部の温度を検出するようにしてもよい。
【0102】
また、実施の形態では画像データの記憶装置(記憶部)としてハードディスク装置を例に説明したが、温度要因でデータの読み書き速度が低下するものであればハードディスク装置以外の記憶装置でもかまわない。
【0103】
また、本発明は実施の形態で説明したデジタル複合機に限らず、デジタル複写機やデジタルプリンタ機などの他の画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るハードディスク装置の通電制御処理を示す流れ図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るハードディスク装置の通電制御処理を示す流れ図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るハードディスク装置の通電制御処理を示す流れ図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るハードディスク装置の通電制御処理を示す流れ図である。
【図7】図6に示す通電制御処理の変形例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0105】
2…LAN
10…画像形成装置
11…全体制御部
12…ハードディスク装置
12C…ハードディスク装置
12K…ハードディスク装置
12M…ハードディスク装置
12Y…ハードディスク装置
13…外部インターフェース
14…ファクシミリ部
15…スキャナ部
16…画像処理部
17…プロセス制御部
18…プロセス制御インターフェース
19…プリンタ部
20…温度センサ
21…モード制御スイッチ
22…電源制御部
30…CPU
31…ROM
32…RAM
33…不揮発メモリ
34…ハードディスク装置インターフェース
50…画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの入力部と、
前記入力部から出力された画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した画像データに基づいて用紙上に画像形成する画像形成部と、
前記記憶部の温度を検出する温度検出部と、
当該画像形成装置の動作モードをスリープモードまたは他のモードに切り替える動作モード切替部と、
当該画像形成装置の動作モードが前記スリープモードのとき前記温度検出部の検知結果に基づいて前記記憶部の通電制御を行う制御部と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像データの入力部と、
前記入力部から出力された画像データを記憶する記憶部と、
前記記憶部から読み出した画像データに基づいて用紙上に画像形成する画像形成部と、
前記記憶部の温度を検出する温度検出部と、
当該画像形成装置の動作モードを前記記憶部に対して連続通電する第1動作モードまたは通電停止する第2動作モードに切り替える動作モード切替部と、
当該画像形成装置の動作モードが前記第2動作モードのとき前記温度検出部の検知結果に基づいて前記記憶部の通電制御を行う制御部と、
を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
複数の前記記憶部と、
前記複数の前記記憶部に対応して設けられた複数の前記温度検出部と、
を備え、
前記制御部は前記複数の前記記憶部に対する前記通電制御を1台ずつ行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は前記複数の前記記憶部に対する前記通電制御を予め設定された優先度の高い記憶部から順に行う
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶部が設けられた当該画像形成装置の内部の温度を検出する環境温度検出部を更に備え、
前記制御部は前記通電制御を前記温度検出部の検出結果と前記環境温度検出部の検出結果とに基づいて行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記環境温度検出部は熱電対である
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通電制御は前記記憶部を一定時間の間隔でオン/オフする制御である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記通電制御は前記記憶部の温度が所定温度以上になるように行う
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記温度検出部は前記記憶部が内部に備える内部温度検出部である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−118005(P2009−118005A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286581(P2007−286581)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】